女性ヴォーカル

2020年4月 6日 (月)

キアラ・パンカルディChiara Pancaldi & Alessandro Galati 「The Cole Porter Songbook」

やはりパンカルディのヴォーカルはハイレベルであるが異色
~~注目のアレッサンドロ・ガラティとのデュオ

<Jazz>

Chiara Pancaldi & Alessandro Galati 「The Cole Porter Songbook」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1086 / 2020

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Chiara Pancaldi キアラ・パンカルディ (vocalヴォーカル)
Alessandro Galati アレッサンドロ・ガラティ(piano ピアノ)

 このところジャズ・シンガーとしての話題の豊富な個性派キアラ・パンカルディ(1982年イタリアのボローニャ生まれ。つい先日アルバム『PRECIOUS』(CR73497/2020)のリリースがあった)と、最近、寺島レコードからリリースが多い私の注目の叙情派でありながらアヴァンギャルドな面も見せるキャリア十分のピアニスト:アレッサンドロ・ガラティ(1966年イタリアのフィレンツェ生まれ)のデュオ作品。両個性派同士で実は注目していたアルバム。
  主題はアルバム・タイトルどおりのコール・ポーターの作品に迫ろうとしたもの。もともとキアラ・パンカルディの唄は独特の世界があって、どうも100%万歳して受け入れている訳ではないため、このアレッサンドロ・ガラティのセンスで如何に変貌して迫ってくれるかが楽しみのポイントでもあった。

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(Tracklist)

1. Easy To Love
2. Just One Of Those Things
3. Night And Day
4. So In Love
5. All Of You
6. My Heart Belongs To Daddy
7. It's Delovely
8. Let's Do It
9. Dream Dancing

Ag5x  デュオとは言っても、やはりヴォーカルの占める位置は大きいですね。私にしてはガラティのピアノにそって優しく歌ってくれる方が期待していたんですが、なになにパンカルディの独特の節回しによっての彼女のヴォーカルの独壇場にも近い世界が造られている。パンカルディの声の質は中高音のつややかさはなかなかのものと言えるものでこれには全く不満は無いが、なんといってもハートフルでありテンダリーでありながらその節回しと音程は変化した異質であってその歌は独特ですね。先のアルバムとその点は全く変わっていない。この世界にぞっこん惚れ込むという人が居るとは思うが、どうも素人向けとは言えず、万人に受けるという点ではちょっと疑問にも思っている。
 イタリアのミュージシャンはあらゆる分野に多く活躍しているが、この世界においてはパンカルディは独特である。まさか私自身のみがそう感ずるのだろうか、ラテナーノーツを担当している寺島靖国も声の質の良さを認めては居るが、あまり異質性には語っていない。いずれにしても彼女の唄はやっぱり上手いというのは当たっているのだろうと思う。とにかく上手い・・・しかし私は魅力については、もう少し馴染みやすい世界であってほしいと思うのである。いずれにせよ残念ながら万人向きではない。しかしそれでも丁寧にじっくりと語りかけてくる様は出色であり魅力も大いにある。更にリズムの展開にも彼女の魅力的なパンチ力のセンスが生きているという処も事実なのだ。

 そして今回のように、コール・ポーターの曲を何故選んだのかと言うことでは、ガティもパンカルディも曲の良さと言うことに一致していた。そしてM4."So in Love"は彼女の歌がいいですね、ムードが最高。続くM5."My Heart Belongs to Daddy"のガラティのピアノは美しい。
 このアルバムでは、私の期待に反してガラティは「伴奏者」に徹していた。彼の味のあるメロディーの表現は、ヴォーカルを生かす為に仕組まれたピアノの味をしっかり作り上げているのだ。

 私の個人的評価はまあ質の高さは認めるが、受け入れやすさや聴きやすさと言う点ではちょっと低くなった。こうゆうのはイタリア本国ではどんな評価か知りたいところだ。

(評価)

□   編曲・歌・演奏  ★★★★☆ 85/100
□ 録音       ★★★★☆ 85/100

(視聴)

このアルバム関係はまだ見当たらないので・・・過去のモノを
Cole Porter "So in Love" (これは惚れ惚れしますね)

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2020年3月23日 (月)

ペトラ・リネッカーpetra linecker 「Warm Embrace」

温かみの世界を狙った・・女性ヴォーカルとピアノとのデュオによる秀悦作品

<Jazz>

Petra Linecker & Martin Gasselsberger 「Warm Embrace」
ATS Records / Eu / / 2019

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Petra Linecker (vo)
Martin Gasselsberger (p)

 世界の美女狩りを得意とする我が友人から紹介のあったアルバムである。 
 オーストリアの女性ヴォーカリスト、ペトラ・リネッカーとピアニスト、マーティン・ガッセルスベルガーのデュオ作品。私にとっては全くの初物であるが、彼女は既にオーストリアではベテランであるようだ。
 とにかく"リネッカーの美しく透明感に富みながら深みと情感あふれたヴォーカル"がどうも売り物のようで、ピアノとのデュオでたっぷり聴くことが出来る。アルバム・ジャケのデザインからして並の世界でなさそうな雰囲気が伝わってくる。

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(Tracklist)
Image2_20200322094201 1. Warm Embrace *
2. Over the Rainbow
3. Lullaby of Birdland
4. The Nearness of you
5. I can't stand the Rain
6. Imagine
7. Georgia on my Mind
8. Honeysuckle Rose
9. In Heaven's Spaces *
10. On a clear Day *
11. Everything must change
12. Wrong way round *
13. Anxious Moments *

 収録曲は上のようで、*印がオリジナル。M1."Warm Embrace "は彼女自身の曲で、残るはこの二人による共作となっている。そしてその他はかなり広いジャンルからの選曲だ。
 インティメイトと表現される世界で、冒頭M1.から静かなピアノをバックに、優しい彼女のヴォーカルが響く。どうも歌詞をしっかり理解しないといけなそうな世界だ。
 M4."The Nearness of you"を聴いても解るのだが、このマーチン・ガッセルスベルガーのピアノが又クラシックに裏打ちされたと思われる知的でクラシカルな響きが秀悦である。
2176454_xxlw_20200323204101  一方M5."I can't stand the Rain "となると一変してブルージーなジャズをしっかり演じているところもあってなかなかキャリアーのあるシンガーであることがわかり、そしておなじみのM6. "Imagine "、M7."Georgia on my Mind"は、ぐっとしっとりムードで歌い上げ、心に響いてくるところは芸達者。
 リズムカルなM8."Honeysuckle Rose "に続いて、二人の共作M9."In Heaven's Spaces "は一変してフォーキーにしてトラディショナルなムードの曲で、ヴォーカルやソロピアノも美しく、この世界に安らぎを求めたような普遍性の世界。
 更にM11."Everything must change "はこのデュオの世界観を凝縮したような尊大なる思想が感じられる素晴らしい演奏。そして二人共作のM13."Anxious Moments"の二人のヴォーカル・デュオも入ったトラディッショナルな世界で幕を閉じる。

 なかなかジャズ世界としては珍しいインティメイトな心洗われる世界を構築していて好感の持てるアルバムとして、お勧めである。

(評価)
□ 曲・歌・演奏  ★★★★★☆  90/100
□ 録音      ★★★★☆   80/100

(視聴)

 
 

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2020年3月14日 (土)

シーネ・エイ Sinne Eeg 「WE'VE JUST BEGUN」

ビックバンドをバックに歌い上げる一世代前のジャズ

<Jazz>

SINNE EEG & THE DANISH RADIO BIG BAND 「WE'VE JUST BEGUN」
BFM jazz / Denmark / BFM JAZZ 7621834675 2 / 2020 

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Sinne Eeg (vocal)

The Danish Radio Big Band
Nikolai Bogelund (conductor)
Jesper Riis (arrangement on 02, 03, 06, 07, 10)
Peter Jensen (arrangement on 01, 04, 05)
Roger Neumann (arrangement on 08, 09)

録音 : 2019年1月28-31日、於:デンマーク-コペンハーゲンのDR Koncerthuset Studio 3

  ここでも何回か取り上げて来たシーネ・エイSinne Eeg(1977年デンマークのレムヴィーLemvig生まれ)のニューアルバム。北欧ジャズ・シンガーとしては日本でも来日したりの人気の彼女だ。
A93785413985582682810jpeg  今回は1964年結成の50年の歴史あるデンマークの名門楽団The Danish Radio Big Band(このバンドは何枚かのアルバムをリリースしている)と組んでのアルバム。昔ながらのジャズの一形態のビック・バンドをバックにしてのもので、私には若干の抵抗があるだが、それでも手に入れてみたもの。
  そしてこのアルバムはどのような関係があったか不明だが、彼女が"My dear friend"と表している一昨年亡くなったアメリカのサックス奏者のロジャー・ニューマンRoger Neumann(1941-2018 →)に捧げている。

(Tracklist)

01. We've Just Begun
02. Like A Song
03. Those Ordinary Things
04. Talking To Myself
05. Hvorfor Er Lykken Sa Lunefuld
06. My Favorite Things
07. Samba Em Comum
08. Detour Ahead
09. Comes Love
10. To A New Day

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 冒頭からビック・バンドが派手に演じて、ちょっと尻込み。
   M2."Like A Song "、M3."Those Ordinary Things"になって彼女のヴォーカルを中心にバックはパーカッションの音もきこえる小コンポ風の演奏になってほっとして聴くのである。相変わらず歌詞をしっかり歌い込んでいてその点は好感が持てる。
 M4." Talking To Myself "は軽快だが、やはりバックは押さえられた演奏でソロに近いギターも入り、彼女のヴォーカル・アルバムとしての形を十分意識しての曲仕上げ。
 M5."Hvorfor Er Lykken Sa Lunefuld "は朗々と歌い上げたり、リズムカルな流れもあったり、彼女の中域の味のある歌声が優しく聴け、更にスキャット風のところもあり味が濃い。
 M6."My Favorite Things " 聴き慣れた曲をシーネ節で。
   M7."Samba Em Comum" このアルバムでは珍しいサンバ曲。まあ何でも歌いますと言ったスタイル。
   M8." Detour Ahead" バラード調でしっとり。
 M9."Comes Love " 彼女らしい歌い込んでの聴かせるタイプ。こうゆうのが彼女の特徴で悪くないです。
  全体の印象は、ロジャー・ニューマンに捧げたということなのか、やはり一時代前のアメリカン・ジャズの世界、それはM10."To A New Day"に特徴的だが、大きめのキャバレー(昔懐かし)での豪勢にジャズを味わいたいという人にはそれなりに良いのでしょう。私にとってはどうでもいいですが。

 彼女のヴォーカルも低音を生かしたり、パンチを効かしたり、結構ブルージーなところもあったりと芸達者である。しかしジャズって考えてみれは幅広いですね、未だにこの昔懐かし世界も健在なんだと、ふと思うのである。そしてまあ聴いてみるのも悪くないでしょう。

(評価)
□ 演奏・歌  ★★★★☆  80/100
□ 録音    ★★★★☆  80/100

(試聴)

 

* *

(参考) 全くこのアルバムとは別のピアノ・トリオとのライブ映像、実はこのタイプの方が彼女は良いのですが・・・↓

 

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2020年3月10日 (火)

カレン・ソウザ Karen Souza 「LANGUAGE OF LOVE 愛の囁き」

オリジナル曲を中心に・・相変わらずのセクシー・ヴォイス

<Jazz>
KAREN SOUZA 「LANGUAGE OF LOVE」
JVCCKENWOOD / JPN / VICJ-61784 / 2020

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KAREN SOUZA カレン・ソウサ (VOCAL)

  アルゼンチン ブエノスアイレス出身、ジャズをベースととして、セクシー度満点で歌い上げることで話題になってはや9年、ジャズ・シンガー=カレン・ソウサの約2年ぶりとなる通算でもう5作目となる新作アルバムの登場。こうしたアルバムはなんだかんだと言っても買ってしまうところが哀しい性(さが)といったところ。
 今アルバムは、オリジナル曲10曲を中心していて意気込みのわかるところと、レオン・ラッセルの「マスカレード」、レナルド・コーエン「哀しみのダンス」や、「枯葉」などのスタンダード・ナンバーも編曲をこらして収録している。

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(Tracklist)

1 マスカレード THIS MASQUERADE
2 エヴリバディ・ノウズ EVERYBODY KNOWS
3 ラヴズ・ノット・フェア LOVE'S NOT FAIR
4 愛の囁き LANGUAGE OF LOVE
5 レス・イズ・モア LESS IS MORE
6 サムワン・ブロート・ミー・ワイン SOMEONE BROUGHT ME WINE
7 ゼア・ユー・アー(セカンド・チャンス)THERE YOU ARE (SECOND CHANCE)
8 リズム・アンド・ブルース RHYTHM AND BLUES
9 イッツ・ゴナ・ハプン・トゥナイト IT'S GONNA HAPPEN TONIGHT
10 イット・ウィル・オール・ワーク・アウト IT WILL ALL WORK OUT
11 枯葉/哀しみのダンス1AUTUMN LEAVES / DANCE ME TILL THE END OF LOVE
(日本盤ボーナス・トラック)
12 ウェイティング・フォー・ア・トレイン WAITING FOR A TRAIN

Press_conference_of_karenw   ジャズ、女性ヴォーカルとなると、やっぱりこのセクシー・ムードのパターンは無くなりませんね。近年では最もその最右翼の彼女のアルバムだけあって、スリーブ・デザインもその世界だ。
 そしてその中身、スタートのレオン・ラッセルのM1."THIS MASQUERADE"からストリングスの入った豪勢なバック演奏だ。そしてあの物憂いいつもの低音を生かした彼女の歌声が響く。そんな意味ではM9." IT'S GONNA HAPPEN TONIGHT"も同様だ。
 二曲目からはずーとオリジナル曲が続くが、やや軽快なM2."EVERYBODY KNOWS"でもセクシーな歌い方はお見事と言いたいところだ。
  M4." 愛の囁き LANGUAGE OF LOVE"は何となくどこかで聴いたことがあるメロディーでなかなかいいです、途中ちょっと変調するところがニクイ。
 しかし曲は多彩です、M5." LESS IS MORE"はピアノをバックにバラード調で少々暗いが、M6."SOMEONE BROUGHT ME WINE"は、一変してサンバ風となるといった具合。
 M11."AUTUMN LEAVES / DANCE ME TILL THE END OF LOVE "はピアノだけをバックに彼女のしっとり歌い上げるところが聴け、この2曲を組み合わせたのもにくいところ。これがアルバムの締めくくりになっている。まあファンにしてはたまらないところだろう。

 こうして聴いてみると、今やジャズ・ヴォーカル界のベテランの雰囲気すら感ずる世界を構築している。ニューヨークが主たる活躍の場としている彼女も、ジャズ・ヴォーカル世界をリードした存在になっていることは事実であり益々の健闘を期待したいところだ。

(評価)
▢ 曲・歌・演奏 :    ★★★★★☆ 90/100
▢ 録音              :  ★★★★★☆ 90/100

(試聴)

 

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2020年2月25日 (火)

キアラ・パンカルディChiara Pancaldi 「PRECIOUS」

歌唱能力は高いが、全体に馴染めないコンテンポラリー・ジャズの極み

<Jazz>

Chiara Pancaldi 「PRECIOUS」
CHALLENGE Records / AUSTRIA / CR73497 / 2020

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Chiara Pancaldi キアラ・パンカルディ (vocal)
Roberto Tarenzi ロベルト・タレンツィ (piano except 3, 7, 8) (electric piano on 3, 8)
Darryl Hall ダリル・ホール (bass except 5)
Roberto Pistolesi ロベルト・ピストレージ (drums except 5)
Diego Frabetti ディエゴ・フラベッティ (trumpet on 2, 9)
Giancarlo Bianchetti ジャンカルロ・ビアンケッティ (guitar on 4, 7)

  キアラ・パンカルディ(1982年イタリアのボローニャ生まれ)のヴォーカル・アルバム3作目。過去の2作はここでも既に取り上げてきた1st『I WALK A LITTLE FASTER』(CR73409/2015)2nd『WHAT IS THERE TO SAY』(CR73435/2017)で、スタンダード・カヴァー集という形あったが、今作はなんと自己のオリジナル曲で埋め尽くされている(9曲中7曲)。そんなところは、イタリア・シーンで活躍中の彼女の意欲作と言ってよいものだ。そしてロベルト・タレンツィ(p)以下のピアノ・トリオ(+ゲスト入りも4曲)をバックにしたもの。
 1stアルバムは、なんと突然のデビューで「ジャズ批評」企画の年間ジャズオーディオ・ディスク大賞2015ヴォーカル部門を取ってしまったものだった。あれは私自身は若干疑問に思っていたのであったが、新たらしモノに弱い大賞という感じでもあった。しかしこの3作目となると新人のインパクトでなく、実力がかなり評されるところである。

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1. Better To Grow *
2. Nothing But Smiles* 
3. Urban Folk Song
4. Adeus *
5. Precious (vo & p duo) *
6. The Distance Between Us* 
7. Songs Don't Grow Old Alone (omit piano)*
8. You And I (We Can Conquer The World)
9. Our Time*

( *印:キアラのオリジナル曲 )

 まずは印象は、ジャズ・ヴォーカルの線はしっかりしている。しかしどちらかというと躍動感ある現代風の流れが感じられるが少々難物。
 オープニングのM1." Better To Grow "では、やはりとマイナスの予想が当たってしまった。この曲は彼女のクリーン・ヴォイスは解るが、曲自身が魅力が感じられない。なにせブラジル音楽からの影響を受けていると言うとおりのテンポが快調なコンテンポラリーものであるが、私にとってはよりどころのない曲。
 そのイメージが続いて、彼女のかなり歌い上げる力量は理解しつつ、どうも旋律自身心に響いてこない。演奏の美旋律という処ではなく、フリー・ジャズっぽいところにむしろ興味は行ってしまった。
 アルバム・タイトル曲M5."Precious "は、初めてゆったりした物語調の曲となる。このあたりになってようやくピアノの美しさをバックに彼女のヴォーカルが私にとって美を感じられる世界となった。
 いずれにしても残すところM7.,M9.の2曲ぐらいが、馴染めると言えば馴染めた曲だ。
   M7."Songs Don't Grow Old Alone"はギターの美しい音と旋律を主としたバックに彼女の深みのある美しさのある歌声が展開して、スキャット系のヴォーカルも色づけしてなかなか技量の深さも感じ、これはなかなか良い。M8."You And I"はS.Wonderの曲というが、それも彼女のジャズ世界に変容していて見事言えば見事。
  そして最後のM9."Our Time" この曲はピアノの美しさに誘われての彼女の深い歌い込みが聴かれ好きなタイプ、そこには美しさと哀感も感じられてトランペットの響きもナイス、これはいい。変にブラジルっぽくなくこうした曲なら私は大歓迎だ。

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61kw1h2xjglw  アルバムを通して、彼女の美声と歌う技量の高さは実感できる。ただこれは好みの問題だが、私にとっては受け入れられる曲がなんと3-4曲のみと言うところで、少々残念であった。やはり何曲かはスタンダードをじっくり歌って欲しいと思うのであるが如何なものだろうか。
 彼女は私の好きなピアニストのアレッサンドロ・ガラティとの共演ものが次に控えているようで(「The Cole PorterSongbook」→)、そちらはピアニストのパターンからして期待に添ってくれるかもしれないと思うところである。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★☆  曲より技量をかって 80/100
□ 録音      ★★★★☆            80/100

 

(試聴)

 

 

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2020年2月17日 (月)

パトリシア・バーバーPatricia Barber 「HIGHER」

ベテランの醸し出す世界は展望に満ちていた

<Jazz>

Patricia Barber 「HIGHER」
ArtistShare / U.S.A / AS0171 / 2019

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Patricia Barber, piano, voice
Patrick Mulcahy, bass
Jon Deitemyer, drums
Neal Alger, acoustic guitar
Jim Gailloreto, tenor saxophone
Katherine Werbiansky, lyric soprano

 ヴォーカリスト、ピアニストにして作曲家でもあるパトリシア・バーバーの久々の新作(レーベルはArtistShare、彼女のDiscographyは末尾参照)。私の米国では最もと言ってよい関心の高い女流ミュージシャンだ。なんと1955年生まれであるから、歳はおして知るべしというところ。
 過去にここで何回か取り上げてきたように、様々な作品に取り組んできたヴェテランである。そして今回は8曲の自作曲でジャズの枠組みの中での組曲的手法によって聴かせるところに、まだまだチャレンジ精神はみなぎっている。そんな意欲作であるが、極めてヴォーカルは聴きやすく優しく説得力あるところにある。いずれにしてもヴェテランならではの味わいが溢れている。

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1. Muse (Patricia Barber)
2. Surrender (Patricia Barber)
3. Pallid Angel (Patricia Barber)
4. The Opera Song (Patricia Barber)
5. High Summer Season (Patricia Barber)
6. The Albatross Song (Patricia Barber)
7. Voyager (Patricia Barber)
8. Higher (Patricia Barber)
9. Early Autumn (words: Johnny Mercer, Ralph Burns, Music: Woody Herman)
10. In Your Own Sweet Way (Music: Dave Brubeck)
11. Secret Love (Words: Paul Francis Webster, Music: Sammy Fain
12. The Opera Song with Katherine Werblansky (Patricia Barber)

 スタートのM1."Muse "がいいですね、語り調で優しいヴォーカル、そしてそれにも増して優しさ溢れるピアノの美旋律。
   このM1.からM8.まで彼女のオリジナル曲が連なり、" Angels, Birds, and I "命名されたこの8曲の組曲に仕上げているようだ。
 M2."Surrender "はアコースティック・ギターを中心にバックを支える。ここにも後半のピアノの美しさの流れは圧巻。
 M3."Pallid Angel"にはサックスの登場と多彩。M4."The Opera Song "はこの流れの中で、特異な展開に驚く。
 流れは比較的ゆったりとしていて、一つ一つかみしめての味わいを示すが、曲は多彩な展開をしている。
 M6."The Albatross Song "の描くところは解らないにしても、何か抵抗との対抗的な雰囲気あり。
 それに続くM7."Voyager"では、新しき迫る世界に向かってのやや複雑な試みと展開がなされる。そしてアルバム・タイトルのM.8""Higher は、ゆったりとしたピアノ・ソロのバックで、ここに来る展開を経ての身に感じての射してくる光明を感じさせ、展望の中に終わる。

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 続いて組曲によるコンセプトは一締めとなって・・・カヴァー曲となる。
 M9."Early Autumn "の優しいヴォーカル、そして後半のピアノの流れは美しいの一言。
 M10."In Your Own Sweet Way "では、彼女のジャズ・ピアノのテクニカルな聴かせどころ。ここに来てベース、ドラムスとのジャズ展開が堪能出来る。
 M11."Secret Love"は、聴き慣れた曲をハイテンポで演奏してみせ、彼女の一筋ならないところを垣間見せる。
 M12."The Opera Song with Katherine Werblansky " ここで締めとして彼女の曲となり、高音のオペラティックなヴォーカルには驚かされる。いっやー、ただでは終わらないのが彼女だ。

 パトシア・バーバーは、音楽一家で育った米シカゴ州出身のジャズ・ピアニスト・作曲家でありヴォーカリスト。アイオワ大学では当初クラシック・ピアノを専攻、しかし次第にジャズへの要素が濃くなる。89年に1stアルバム『Split』で30歳代半ばでCDデビューを果たすと、94年の3rdアルバム『Cafe Blue』(BN 90760)で一気に日本でも知られるところとなる。注目点は20世紀時代の米国音楽芸術に対して、なんと私も注目のロックの要素も大胆に取り入れた。それらは彼女独自のむしろクールと言われる感覚の一つの姿であり、そんなジャズを超えた作品を多く発表している。2002年に通算7枚目となるスタジオ・アルバム『VERSE』(KOC-CD-5736)やその後『Smash』(Concord Music/2013)などをリリース。又2017年に『Modern cool』(Blu-ray Audio/2013)をサラウンド・サウンドで再発している。
 いずれにしても、米国ジャズ界での一つの世界を築いてきており、私にとっても貴重なミュージシャンだ。

83775193pb2bw (参考) <Patricia Barber  : Discography>
1. Split : Premonition Records (1989)
2. Distortion of Love : Antilles (1992)
3. Cafe Blue (Two versions) : Blue Note Premo. Records (1994)
4. Modern Cool (Three versions) : Blue Note, Premo. Records (1998)
5. Companion : Blue Note, Premonition Records (1999)
6. Nightclub : Blue Note, Premonition Records (2000)
7. Verse : Blue Note, Premonition Records (2002)
8. Live: A Fortnight In France : Blue Note (2004)
9. Live: France 2004 :DVD Blue Note (2005)
10. Mythologies (Two versions) : Blue Note (2006)
11. The Premonition Years : 1994-2002 Blue Note (2007)
12. The Cole Porter Mix : Blue Note (2008)
13. Smash : Concord Records (2013)
14. MONDAY NUGHT (Live at the Green Mill) : not an Label (2016)
15. Higher : ArtistShare  (2019)

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★★☆    90/100
□ 録音      ★★★★☆    80/100  

(試聴)

 

 

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2020年2月 9日 (日)

マルテ・ロイエング Marte Røyeng「REACH」

ジャンルを問わない自己のミュージック世界を築きつつ・・・
欧州の難民問題に端を発して・・・過去の夢より前進をと

<Folk, Pops, Jazz>

Marte Røyeng「REACH」
Oslo Session Recordings / Import / OSR005 / 2019

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マルテ・ロイエング(ヴォーカル、マンドリン、アコースティックギター、エレクトリックギター、ハイストラングギター
マリウス・グランベルグ・レクスタ(ピアノ、ハルモニウム、シンセサイザー、ハモンドオルガン、クラヴィネット、フェンダーローズ
ベンディク・ベルゲスティーグ(エレクトリックギター、ラップスティール、バッキングヴォーカル
イーヴァル・ミュルシェット・アスハイム(ドラム、パーカッション、バッキングヴォーカル
エヴェン・オルメスタ(ベース
サンデル・エーリクセン・ノルダール(ベース、アコースティックギター、バリトンギター、ハイストラングギター、バッキングヴォーカル
イェンニ・ベルゲル・ミューレ(バスクラリネット、クラリネット、バッキングヴォーカル
オーサ・レー(ヴァイオリン
マグヌス・マーフィ・ヨーエルソン(トロンボーン
イングリ・フロースラン・レクスタ(バッキングヴォーカル

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 ノルウェーの女性シンガーソングライターのマルテ・ロイエングMarte Røyeng(1990-)のデビュー・アルバム (「Oslo Session Recordings」レーベルの第5作)。
 アルバム・タイトルが「REACH」、これは"つかもうと手を伸ばす"という意味から「高みにむかって」と言う思いを込めたもののようだ。そしてその内容は、全て彼女のオリジナル曲で占められている。それは彼女自身の音楽であり、どうもジャンルを定めがたい。つまりフォーク、ポップミュージック、ブルース、ジャズ、クラシカルと、さまざまな音楽の要素をはらんだ世界である。いずれにしても今年30歳の彼女だが、音楽というものの幅を広げ深みを持つため、現在ノルウェー国立音楽大学の作曲プログラムで現代音楽の技法を学んでいるらしい。
 そしてこのアルバムの訴えるところは・・・・ノルウェーの社会現象に自ら立ち向かって、前進をと。

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1 Hold(Marte Røyeng) 
2 Pull of the Moon(Marte Røyeng)
3 My Eyes Betray Me(Marte Røyeng) 
4 Ring in the Deep(Marte Røyeng)
5 Wherever You Are(Marte Røyeng) 
6 Loser’s Game(Marte Røyeng)
7 Any Feeling(Marte Røyeng) 
8 Find a Hill(Marte Røyeng/Siril Malmedal Hauge)
9 Making It Up(Marte Røyeng) 
10 Shake Yourself Awake(Marte Røyeng)

 

  さて一連の収録曲を聴くと、シンプルなバックに彼女の歌声が前面に出た録音タイプのアルバム作りである。そしてその歌声は比較的装飾の無いシンプルな歌い方の中にソフトなやや一部あどけなさのあるもので聴きやすいところだ。
 そしてどうもこの声とは裏腹に、このアルバムの「高みに向かって」の"心"は決して困難なものを後退的な発想で無く、それを乗り越えてゆきたいという若さの持つ前進的なメッセージでもあるのだ。従って明るいという世界では無く、どことなく暗さも背負っている中の展望を掴もうとするところが感じられる。しかもそのテーマは個人的な恋愛問題的世界で無く、社会の暗部に目を向けているようにも見える。

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 それは最後の曲M10."Shake Yourself Awake"からの推測できるもので、彼女は最近オスロのアパートで、ギタリストのベンディク・ベルゲスティグと一緒に演奏する歌のライブセッションビデオを投稿していて、そこからこの歌は、難民の視点から書かれたものであり、外国の海岸に到着し、前世の幽霊Ghostだけを連れて道路に連らなって歩んで行くボート難民。その歩む姿にその立場になって・・・彼女の思うところがここに秘められているようだ。そこにはその世界、その問題を抱えても、前進を続ける衝動は、過去の夢に後退する誘惑よりも強いと・・・・。 やや陰鬱で詩的な歌詞というのはそのような社会現象に心を向けているところにあるらしい。

・・・・私は海岸に打ち上げられた/私の夢は私の周りに散らばっていた/外国の土地に私と一緒に運ぶには野生すぎる/だから私は目を覚まします/あなたが従うつもりの夢/いくつかの波が壊れます

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 ノルウェーへの難民は、多くはシリア、アフガニスタン、イラン、イラクなどからだ。 昨年の申請者のうちの3人に1人は、18才以下の未成年。270人の子どもは保護者が同伴していない状態でノルウェーに来たという。(過去で 解っていることは2016年には2万370人の難民申請者のうち、1万2451人が難民としての申請を受理された。結果として、およそ6割の申請者が難民としての滞在を許可されたという状況らしい)
  欧州は今や難民受け入れが社会問題だ。受け入れに寛容であったスウェーデンでは、国民の1/4が外国人という国に変わってしまっている。そして北欧ではこれらの諸問題を抱えての世界各地と同様にポピュリズム政治が台頭し、今や難民受け入れに抵抗が始まっている。ノルウェーでは進歩党が政権を握って難民制限の方向にあるのだ。

 このマルテ・ロイエングのアルバムも、そうした社会の現実に遭遇し、積極的に過去で無く前向きで向き合うことに意欲を示している姿と見れる。一聴に値するものとして受け入れたい。

 

(評価)
□ 曲・歌・演奏  ★★★★☆  80/100
□ 録音      ★★★★☆  80/100

 

(視聴)

Marte Røyeng/Shake Yourself Awake

 

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2020年2月 5日 (水)

WOAのウィズイン・テンプテーションWithin Temptation 「W : O : A 2019」

大観衆との一体感はさすがである

<Symphonic Metal>

Within Temptation 「W : O : A 2019」
Bootleg DVD / Hauptstrasse, Wachen, Germany 2019.08.02

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シャロン・デン・アデル (Sharon den Adel) - ボーカル (1996- ) 
ローベルト・ヴェスターホルト (Robert Westerholt) - ギター(1996- 現在制作担当) 
ルード・ヨリー (Ruud Jolie) - ギター (2001- )
ステファン・ヘレブラット (Stefan Helleblad) - リズムギター (2011- )
イェローン・ファン・フェーン (Jeroen van Veen) - ベース (1996- )
マルテン・スピーレンブルフ (Martijn Spierenburg) - キーボード (2001- )
マイク・コーレン (Mike Coolen) - ドラムス (2011- )

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  フィンランドのナイトウッシュのオフィシャル・ライブ映像盤『DECADES』を前回取り上げたので、ここでオランダのウィズイン・テンプテーションを取り上げておこう。いずれにしてもシンフォニック・メタルと言うところでは、この二バンドは今や世界の両雄としてとして君臨しているからである。
 この映像盤は、ブートレグではあるがプロショットもので、その映像はオフィシャル以上の素晴らしさで圧巻。
 ドイツ北部のヴァッケンで1990年から始まって、1998年には世界的メタル・フェスティバルの大イベントに成長したメタルの暑い夏の祭典。そして昨年の「WAKEN OPEN AIR 2019」のステージを録画した最も近くの映像だ。

Img_2085trw (収録曲)

01.Raise Your Banner
02.The Reckoning
03.Stand My Ground
04.In The Middle Of The Night
05.The Heart Of Everything
06.Ice Queen
07.Faster
08.Supernova
09.Paradise (What About Us?)
10.What Have You Done
11.Mad World
12.Mother Earth

 この日は運悪く雷雨トラブルにあった様だが、まさに数万人という大観衆のHARDER STAGEにウィズイン・テンプテーションWITHIN TEMPTATIONが登場。序盤は2018年に5年ぶりにリリースのアルバム『RESIST』から"Raise Your Banner"、"The Reckoning"をプレイ。曲がシャロンの低音のヴォーカルから始まりやや静かな印象のスタートだが、次第に盛り上がってゆくのはさすが人気バンド。
  3曲目にはあの大ヒット曲"Stand My Ground"が登場で、一気にオーディエンスをして虜にしてしまう。
 アルバム『Hydra』(2014)の大成功後は、噂では"燃え尽き症候群"のような状態に陥り、シャロンはソロ・プロジェクトを始動させたりで、このバンドの行く末に不安がよぎったのだった。しかし2018年5年ぶりのアルバム『RESIST』が登場し、ファンをホットさせたのだった。
 そしてこの2019年のメタル・フェスティバルに登場してのパフォーマンスに聴衆は酔うと言うことになった状況なのだ。

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 このステージで見る限り、シャロン嬢もいまや"お母さん"というイメージになってきたとはいえ、このシンフォニック・メタルの中心としてのヴォーカルは相変わらず聴衆を引きつけての演技は立派というところ。
 M5."The Heart Of Everything" は会場に響き渡る展開はシンフォニックな演奏で包み込む。
 M6."Ice Queen" のアコースティック・ギターをバックのこのライブ唯一のシャロンのバラード・ヴォーカルも聴かせどころでしっとりとしていい。
 M7."Faster " ルードとステファンのツインギターも映像を見る限り健在だ。 
   M9."Paradise" 元ナイトウィッシュのターヤとの共演で話題になった曲も登場。
   アンコールのM10."What Have You Done "は、シャロンの実力のみせどころ、なになに歳を感じさせない健在ぶりだ。
 M12."Mother Earth" の荘厳な夕陽に映える会場での一体感はお見事。

 しかし、便利な世の中になりましたね。ついこの間のドイツにおけるライブもプロショットでこうしてじっくり見れると言うことですから。そんな中で、彼らも20年の経過を重ねると紆余曲折もはらむと思うが、こうしてバンドとして健在であった事が何よりも目出度いのである。

<参考 : Within Temptation 過去のスタジオ・アルバム>
①Enter (1997年)
②Mother Earth (2000年)
③The Silent Force  (2004年)
④The Heart Of Everything (2007年)
⑤The Unforgiving (2011年)
⑥Hydra (2014年)
⑦Resist(2019年)

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★☆  90/100
□ 画像・音質 ★★★★☆  85/100

(視聴)

(この"2019WOA-Liveのプロショットもの"は、まだ見つからないので・・・参考に↓)
Within Temptation Ft.Tarja PARADISE Live at Helfest Festival 2016

 

 

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2020年2月 1日 (土)

ナイトウィッシュNightwish 「DECADES Live in Buenos Aires」

オフィシャル・ライブ映像盤~~彼らはやっぱり映像がいい
オペラティック・メタル、シンフォニック・メタルの華

<Symphonic Metal>

Nightwish 「DECADES Live in Buenos Aires」
Ward Records / JPN / Blu-ray / GQXS-90414 / 2020

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Tiomas Holopainen : Keys.
Floor Jansen: Vocals.
Marco Hietala: Bass,Vocals
Troy Donockley : Uilleannpipes, Low whistles, Vocals.
Emppu Vuorinen: Guitar
Kai Hahto: Drums

 世界的に人気のフィンランドのシンフォニックメタル・バンドのナイトウィッシュ、そのライブ映像盤。彼らは今や、オランダのウィズイン・テンプテーションと両横綱的存在といってよい。
 ナイトウイッシュの最新スタジオ・アルバムは2015年『Endless Forms Most Beautiful』で、既に四年以上経過しているが、その間、2017年には『VEHICLE OF SPIRIT』(Nuclear Blast / USA / NBA 3850-7) のライブ映像盤のリリースがあり、そして2018年にベスト・アルバム『Decades(Best of 1996-2016)』(HMHR180302-305)がリリースされ、その記念ワールド・ツアーが全82公演にも及んだ。その中のブエノスアイレス公演を完全収録したものである。

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Nw1  収録曲は右のように全21曲で、初期のヒット曲に加え近作『Endless Forms Most Beautiful』の収録曲という構成である。2018年9月30日のブエノスアイレスの“エスタディオ・マルヴィナス・アルヘンティナス"で、収録技術陣も大がかりでのステージを収録したもの。八千人と言われる熱気ある大観衆とのやりとりがしっかり捉えられており、サウンド面もDTSサラウンドで臨場感は十分。この手はやっぱりスクリーンに投影して、サラウンドの大音響で聴くのが一番だろうね 。(笑い)

 とにかく、ターヤ、アネッテ、そしてあアフター・フォーエバーのフロール・ヤンセンのサポート(2012年)から正式加入と歌姫三代目のナイトウィッシュだ。しかし意外に良かったのは、英国のイリアンパイプ奏者のトロイ・ドノックリーを加入させたことでしょうね。彼は私はケルティック・フォーク・ロックの「Iona」での演奏がお気に入りだったんだが、ナイトウィッシュに招かれ、そして加入、これによってこのバンドの演奏は一層シンフォニックの味も厚みがつき、又ケルト的ムードの神秘性を秘めるようになり、ツォーマスの世界との安定した重複によって充実したというところだ。

 3曲目の"With I had an Angel" あたりから、会場もそして演ずる彼らも元気が出て、続く4曲目の"10th Man Down"が、得意の物語調に曲を進めて、展開がメリハリ、締まりの良い曲に仕上げた結果、非常に盛り上がる。
 6曲目"Gethsemane"のシンフォニック・メタルそのものもインパクトあり。
 9、10曲目はヤンセンの美的ヴォーカルが聴きどころ。特に10曲目"Dead Boy's Poem"は、しっとり聴かせ、情緒たっぷりだ。そして後半メタルに転調しての曲の変化の流れがリーダーのツォーマスの手法の上手いところだ。
Nw3  11曲目"Elvenjig"は彼らの演奏の見せどころ、ドノックリーのパイプが効果的で、なかなか神秘的で良い。
 13曲目"I Want My Tears Back"のヒット曲はリズムカルで楽しく、会場全体も跳ねての一体感に包まれる。
 14曲目"Amaranth"は当然盛り上がり、15曲目のトノックリーのヴォーカルがなかなかのもの。歌姫は横に置いておいて、アルバムの一曲ぐらいは、彼と歌の旨いマルコで歌わせるのも良いのでは。
 16曲目"The Kinslayer" この曲を聴くと初代ターヤを思い出しますね。ここに来て彼女も映像盤リリースしますが、やっぱりナイトウィッシュ時代のような圧倒するものは残念ながら少し弱い、つまり曲や演奏もいかに大きいかですね、ツォーマス偉大なり。
 18曲目"Nemo"も登場してサービス満点。

 とにかく、彼らのステージは楽しい。迫力と美しさと懐かしさと神秘的なところも盛り込んで、良いステージだ。まあ楽しむ意味においても、このようなBlu-rayでのステージ映像盤は大歓迎である。
 近々9作目のスタジオ・ニュー・アルバムがリリースされることになっていて、それに伴ってツアーも企画されている。ロックも岐路に立っていて世界的に低調の中、フィンランドのからゴシック・メタル系で出発した彼らが、オペラティック・メタルそしてシンメトリック・メタルという形を作りつつ、そろそろ20年の経過を音楽的充実をしながら世界規模に展開しているのは楽しい限りである。
 

Nw4 (参考) ナイトウイツシユ過去のスタジオ・アルバム

①エンジェルズ・フォール・ファースト Angels Fall First (1997年)
②オーシャンボーン Oceanborn (1998年)
③ウィッシュマスター Wishmaster (2000年)
④センチュリー・チャイルド Century Child (2002年)
⑤ワンス Once (2004年)
⑥ダーク・パッション・プレイ Dark Passion Play (2007年)
⑦イマジナエラム Imaginaerum (2011年)
⑧エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル Endless Forms Most Beautiful (2015年)

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★★☆  95/100
□ 映像・録音   ★★★★★☆  90/100

(視聴)

 

*
"The Kinslayer" Live in Benos Aires 2018 by Floor Jansen

 

*
(参考) "The Kinslayer" Live Heartwall Areana 2006 by Taja Turunen

 

 

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2020年1月28日 (火)

イエトゥル-・ルンデの美声 Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」

とにかく素晴らしい心洗われる美声に包まれて・・・

<Jazz>

Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」
ozella music / Germ. / OZ054CD / 2014

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Gjertrud Lunde - イェトゥルー・ルンデ - voice
Wolfert Brederode - ヴォルファート・ブレーデローデ - piano
Florian Zenker - フロリアン・ゼンカー - guitar, baritone guitar ,electronics
Bodek Janke - ヴォデック・ヤンケ - drums, percussion
Guest : Arve Henriksen - アーブ・ヘンリクセン - trumpet

 美女・美声のノルウェーのシンガー=イェトゥルー・ルンデは、2017年に来日しているが、この一月に再び来日して各地でのライブを行うと言うことで、取り敢えず聴いてみたアルバムである。さらに、ここでかって紹介したことのあるヴォルファート・ブレーデローデ (アルバム「Black Ice」(ECM2476/2016))がピアノでバックを固めている。来日も彼はトリオで同行してのカルテット構成で演奏してくれるというので楽しみである。

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  まあジャズと言えばジャズ。つまりジャズ特有の境界域の不明なジャンルには入るのだろうが・・・ちょっと違うと言えば違うようにも・・・というアルバムですね。

(Tracklist)

1.Akk Mon Min Vei
2.Going Home
3.Marche Vers L'aube *
4.I Dine Tanker / Tanto *
5.Finnskogene *
6.Pilgrim *
7.Rêve Bleu *
8.Beautiful *
9.Lead Me *
10.Gjendines Bådnlåt
11.Eg Veit I Himmerik Ei Borg

 収録曲11曲中7曲が彼女のオリジナル曲と来るから、音楽院の学位を持つ彼女の立ち位置が想像できるところであり、とにかく冒頭から清涼感ある透明度の高い歌声に驚かされる。
 M1."Akk Mon Min Vei "はノルウェーのトラッドのようであり、M2."Going Home"は、我々もよく知るドヴォルザークの「家路」である。その他の彼女の曲以外の2曲(M10, M11)はやはりノルウェーのトラッドと記されていて、深淵である。
 バックの演奏もギターが、ピアノが、北欧ならではの幻想的というか、広い静かな空間に広がるサウンドを聴かせてくれる。

 彼女のオリジナル曲も、伝統を重んじての美しい世界を描いていて感銘を受けるが、 そこには単に美しいと言うだけで無く、ノルウェーの北欧の暗さもあるし、海の冷たい青も描いている。又深遠な森にある不思議な空気感も訴えてくる。
 とにかく全編ブレることなく 北欧の自然を我々に見せてくれる世界だ。アルバムとしての価値は高い。
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 イェトゥルー・グルンデGjertrud Lundeは現在ドイツで活動中のようだが、彼女はノルウェーの音楽一家に生まれる。4歳で最初のコンサートを行う。ノルウェー Stavanger音楽院で学んでいる間においても、幾つかの歌唱コンペで優勝したり幾多の賞や奨学金も得ていたという。オランダのハーグ音楽院でクラシック歌唱と古楽を学んで学位を得ている。このあたりの実力がこのアルバムではにじみ出ている。
 学業と並行してヨーロッパやアメリカでフェスティヴァルやコンサート・ツアーなども行ったらしい。ドイツに住んでからは、古楽、ワールド・ミュージック、ジャズを合わせての自分の音を作り出したのだそうだ。そしてこの2014年のデビュー・アルバムである 「Hjemklang」 は、世界的なジャズ批評サイト All About Jazz により 2014年のベストアルバムの一つに挙げられていると紹介されている。

Image_20200125213601  ヴォルファート・ブレーデローデWolfert Brederode (ピアノ) は、オランダ出身。現代オランダ・ジャズ・シーンで最も輝き、評価は非常に高く、三枚の ECMレーベル・アルバム( 「Currents」( 2007)、「Post Scriptum」(2011)、「 Black Ice」( 2016) ) がある。スイスのシンガーSusanne AbbuehlのECMアルバムにも参加していて一緒に来日した(右は来日時の私とのツーショット)。洗練されたピアノ・タッチから生まれる深遠な世界も聴きどころ。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★★☆      95/100
□ 録音      ★★★★☆         85/100

(参考視聴)

*

 

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