女性ヴォーカル

2023年9月28日 (木)

レイヴェイ Laufey 「Bewitched」

ファンタジー・ポップで、・・ジャズ色を期待して聴かない方がいい

<pop, Jazz>

Laufey 「Bewitched」
Laufey-AWAL / Import / LAULP003CD / 2023

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Laufey : Vocals, Viola, Phonographic
Ted Case : piano

Thorleifur Gaukur Davidsson : Slide Guitar
Simon Moullier : Vibraphone
Junia Lin : Violin
Carson Grant : Drums
Jordan Rose : Drums

Philharmonia Orchestra (Orchestration : HalRosenfeld)

 ここでも既に取上げたレイヴェイ(本名Laufey Lin Jōnsdēttir, 1999年生まれ、アイスランド出身)の早々の第2弾だ。彼女は2022年に発表した1stフルアルバム『Everything I Know About Love』は、ポップな中にジェントリーでクラシカルなジャズっぽさが見え隠れしての独自のサウンドが、彼女の魅力ある声と共に各方面から高い評価を受けた。今作2ndアルバムは、宣伝では、ジャズ色が更に増したとも言っており、取り敢えず孫の音楽を聴くような感覚で聴いてみた次第である。

Laufeypressphotosalbumreleasew  曲は一曲"Misty"以外全て彼女の手によるもので、SSWとしての技量も発揮している。
 タイトル「Bewitched」 とは"魅せられた"、"魔法をかけられた"の意味だが、1960代後期から1970年初めにテレビ・ドラマで人気を博した「奥様は魔女」とのタイトルにならっての意味で使われているようなフシもあり・・・、果たしてこのアルバムの目指すところは?と、ちょっと気になるところである。
 又、彼女は「アルバムタイトル曲"Bewitched"では、『ファンタジア』や『シンデレラ』などの古いディズニー映画からインスピレーションを得たんです。そのジャンルの映画のスコアは本当に私に刺激を与えました。彼らは音楽や楽器で魔法を見せてくれたんです。その映画の曲の多くは、今日の偉大なジャズミュージシャンたちが演奏するジャズスタンダードになりました。」と言っている。果たしてこの感覚がジャズというところに結び付く何かが有るのだろうか、それがいかなる形で表れてくるかという事もポイントとして聴いてみたいのである。さらにテーマとして引き続き”愛”に焦点を当てているとのこと、どんな進歩が今作であるのか、これも一つの注目点であろう。

(Tracklist)
1.Dreamer
2.Second Best
3.Haunted
4.Must Be Love
5.While You Were Sleeping
6.Lovesick
7.California and Me
8.Nocturne (Interlude) 
9.Promise
10.From the Start
11.Misty
12.Serendipity
13.Letter to My 13 Year Old Self
14.Bewitched

 まず、スタートのM1."Dreamer"からソフトな混成合唱と共にスタート、きつさのない比較的ソフトな声は人気の一つだろう。ただムードは若き女性の夢を描く古きデズニー映画のムード。 
 M2."Second Best"ギターのバックにしての彼女の低音のしっとりヴォーカルは聴き応えある。
 曲の流れで、ストリングスオーケストラがバツクに顔だすがちょっと古臭く、ジャズ・ムードではない。
 M4."Must Be Love"出だしから少しギターとの彼女の歌のデュオ・スタイル、この流れはなかなかいいのだが、そのうち合唱がバックに入ってきて美しく仕上げようとするところがダサい。
 M6."Lovesick" やはり合唱とオーケストラ・サウンドでの盛り上がりを図る手法は同じ。ジャズとしては聴かない方がいい。
 M8."Nocturne" 何故かここに突然間奏ということでピアノソロが入る。アルバム構成の手法としては面白い。
 M9."Promise" スロー・バラード調の感情輸入の歌いこみはそれなりに旨く、聴き応えあり。
 M10."From the Start" 突如、ガラッとムード変わり彼女が愛するというボサ・ノバの登場。ボサ・ノバの描く世界に応える出来として感じなかった。
 M.11"Misty" どうしてか解らないが、この曲のみジャズ・スタンダードが登場する。しかしなかなか出来は面白い。彼女のこの曲だけ別に聴いたことあり、それなりのジャズとしての新感覚の世界として興味を持って、聴いてみたいと思ったが、このアルバムの他の曲にその期待は応えていないので注意。

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 アルバム・タイトル曲M14."奥様は魔女"に期待してみたが、彼女が言う「私のファンは実際にはクラシックやジャズの方が好きだということがわかったので、今回はそれに全力で寄り添って、私が好きな音楽を作ることができました。」と言っているには、ちょっと期待を裏切って、やはりデスニー・ファンタジー世界で終わってしまう。

 このアルバムは、全体に彼女自身が言っていたように、デズニーのファンタージー世界の因子の方を圧倒的に感じて、所謂ジャズ世界ではない。ジャズというのは形だけでなく歴史がある世界だ。デズニーの曲がジャズ・スタンダート化したのは、その演奏によってジャズに昇華したところにあり、そのものがジャズとして捕らえられたわけではない。ちょっとそんなところが勘違いしているような出来であった。ジャズと言われても、まだまだジャズ・ファンは納得しないと思う。
 しかし、彼女の演ずるところがこのスタイルだというのであれば、それはそれそれなりにファンは納得してゆくと思うので、あまりジャズ・ジャズと言わない方が良いのではとも思った次第。

 究極、悪いアルバムではないので、是非とも更なる発展を期待するのである。

(評価)
□ 曲・演奏・歌 87/100 
□ 録音     87/100

(試聴)

 

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2023年9月23日 (土)

ミシェル・ンデゲオチエロ Meshell Ndegeocelle「The Omnichord Real Book」

孤高の世界からの一大絵巻を展開する

<Funk, Soul, Reggae, R&B, Jazz>

Meshell Ndegeocelle「The Omnichord Real Book」
Blue Note / Import / 4896894 / 2023
Digital File 88.2kHz/24bit Flac

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Meshell Ndegeocelle (Voc, Key, Bass, e-harp)

Jason Moran
Ambrose Akinmusire
Joel Ross
Jeff Parker
Brandee Younger
Julius Rodriguez
Mark Guiliana
Cory Henry
Joan As Police Woman
Thandiswa  (and others)

Gmn1w_20230920124801   ミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello、本名: ミシェル・リン・ジョンソンMichelle Lynn Johnson、1968年8月29日 - )は、アメリカ合衆国の女性シンガーソングライター、ベーシスト、ボーカリストである。ベースのみならず、ギター・ドラム・キーボードといった楽器をこなすマルチ・ミュージシャンで、グラミー賞10度ノミネートの実績を誇る。今作は2018年以来となる待望のニュー・アルバムである。もともとネオ・ソウルのさきがけとして知られており、音楽的にはファンク、ソウル、ヒップホップ、レゲエ、ダブ、R&B、ロック、ジャズの要素を含むという彼女自身のオリジナルの世界であった。今回は名門ブルーノートへ移籍してのリリースで、いよいよジャズとしての本格的スタートとして期待されるところだ。
 今作は全曲ミシェル本人のもので、マルチ奏者/作曲家のジョシュ・ジョンソンがプロデュースを担当。さらに上記のようにジェフ・パーカー、マーク・ジュリアナなどジャズ界を中心に多くがゲストとして参加している。ジャズの因子は濃くなりつつも、彼女のルーツであるソウル、R&Bなど演じそれらを独自のサウンドへと構築しているところが聴きどころ。

  ミシェルは旧西独・ベルリン出身。米・ヴァージニア州へ移った後、ワシントンD.C.で育つ。ゴーゴー・ミュージック・シーンに加わってベースの腕を磨きながら、ハワード大学で音楽を学ぶ。その後、ニューヨークへ進出し、93年に『Plantation Lullabies』でアルバム・デビュー、既に30年のキャリアだ。翌年にジョン・メレンキャンプとのデュエット「ワイルド・ナイト」が全米トップ10のヒット。その後、多くの作品を発表し、グラミー賞ノミネートの常連にと評価は高い。スタジオ作品の前作は2018年の『Ventriloquism』。
  彼女の曲・歌詞にはアフロセントリズム(アフリカ系アメリカ人が,自らの起源をアフリカにもとめる思想。アフリカ中心主義)の世界観から、セクシュアリティ、ジェンダー、黒人のプライド、白人の人種差別のテーマが聴き取れる。

(Tracklist)

1.Georgia Ave (feat. Josh Johnson(sax,vo)) 2:40
2.An Invitation  2:21
3.Call The Tune (feat.Hanna Benn(vo))1:54
4.Good Good (feat. Jade Hicks(vo), Josh Johnson(sax, vo)) 3:28
5.Omnipuss 2:51
6.Clear Water (feat. Deantoni Parks(ds), Jeff Parker(eg), Sanford Biggers(vo))4:35
7.ASR (feat. Jeff Parker(eg)) 7:38
8.Gatsby (feat. Cory Henry(p), Joan As Police Woman(vo))  4:21
9.Towers (feat. Joel Ross(vib)) 3:35
10.Perceptions (feat. Jason Moran(p)) 2:14
11.THA KING (feat. Thandiswa(spoken words)) 0:27
12.Virgo (feat. Brandee Younger(harp), Julius Rodriguez(clavichord, organ)) 8:38
13.Burn Progression (feat. Hanna Benn(vo), Ambrose Akinmusire(tp)) 4:01
14.onelevensixteen 2:49
15.Vuma (feat. Thandiswa(spoken words), Joel Ross(vib)) 3:00
16.The 5th Dimension (feat. The Hawtplates(vo)) 5:24
17.Hole In The Bucket (feat. The Hawtplates(vo)) 5:30
18.Virgo 3 (feat. Oliver Lake (Arr.), Mark Guiliana(ds), Brandee Younger(harp), Josh Johnson(sax)) 6:53

 パンデミック期間中に音楽とじっくり向き合う時間を取ることが出来たというミシェルは、ブルーノート・デビューとなる本作について「昔からレコードのブルーノート・ロゴを見るのが好きだったわ。ジャズという言葉は私にはとても重いけど、自己表現を追い求めているこのレーベルに参加出来てとても感動している。このアルバムは、古いものを新しい方法で見るやり方について表現した作品で、両親が亡くなった時に全てが動き出したの。両親の死後、すべてが急速に変化し、私自身のものの見方も瞬く間に変わった」と語っている。そして「この作品は私の全てであり、私の旅、そして人生の一部よ」と言う。そんな気合いが入っているだけ一つの絵巻と言える充実感がある。
 タイトルは、Omnichordを使ってコロナ禍で自宅で今までの総決算を考えながら音楽製作をしていたことの表現らしい。

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 このように18曲73分という重量級で、曲はそのタイプも多彩である。リリース前に公開されM12.”Virgo”は近未来感覚というか宇宙感覚というか、なかなか味のある洒落たヴォーカルのアフロビートのジャズ、8分強の曲だがなかなか洗練されている。一方M15."Vuma"はヴォーカル・ムードは古典的アフリカンのイメージだ。
 M16."The 5th Dimension"はギターの響きが印象的でなかなか凝った曲で面白い。アルバムは、オープニングのM1."Georgia Ave"から多彩な楽器がバックで使われ、リズム感が快適である。このように全体にみてもしっとり感というものではない。
 ヴォーカルも多彩でバックはコーラスが効果を上げている。M2."An Invitation"はソフトでいいし、M8."Gatsby"のスロー・バラード調も良い。
 とにかく多彩で、M9"Towers "は他の曲とイメージが異なり、明るいポップの雰囲気であったり、M12."Virgo"はファンキーでかっこいい曲だ。

 私は、この世界は殆ど聴かないし、彼女の過去のアルバムも知らない方が多いので、曲の評価や味付けの内容の分析は全く出来ないのだが、過去の流れからみてちょっと違う世界なのかもしれないが、ハウス・ミュージックぽい曲の展開もあり、ディープ・ハウスを思わせるところもあった。
 しかし、まあフォークソウルの流れを重視したファンク、アフロビートの世界として聴きたいところだ。

 いずれにしても音楽技術の曲作りや演奏、歌にかなりの高度なところを感ずるし、なかなか味わい深い。ただ所謂ジャズ色はそう濃くなくて、このジャンルは簡単には語れない。今後がどんな方向に行くのかと注目したいところだ。

(評価)
□ 曲・演奏・歌   88/100
□ 録音       87/100

(試聴)
 

*

 

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2023年9月12日 (火)

カレン・ソウサ Karen Souza 「Suddenly Lovers」

相変わらずで、ソウサ節は健在だ !

<Jazz>

Karen Souza 「Suddenly Lovers」
VICTOR ENTERTMENT / JPN / VICJ-61792 / 2023

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Karen Souza : Vocals

  その妖艶なヴォーカルで、熱心なファンというわけではないが、新作となるとなんとなく聴きたくなるのが、どちらかというとオールド・ファッションなスタイルのアルゼンチンのカレン・ソウサ。ここに3年ぶりのニューアルバムの登場である。彼女は1980年代生まれという事なので40歳代そこそこ、なんとなくもう少し歳はとっているのかと思いきや意外に若い。
 過去に2009年に自身のカルテットでブラジル・ツアーを行い大成功する。これを契機にアーティストとして 活動をすべくロサンゼルスに渡りホイットニー・ヒューストン、アレサ・フランクリンらのソングライターであるパム・オーランドに師事し作曲、作詞についても学ぶ。

 今回は、自己のオリジナル曲を中心に(7曲)、ジャズ、ボサノヴァからボレロ、ワルツまで、多様なスタイルで例の低音・ハスキーボイスで迫ってくる。これは自身の完全プロデュース作だ。
 特徴は、アメリカ、メキシコ、エストニア、そして母国アルゼンチンでレコーディングされた本作。Uenso Symphonic Orchestraほか30名以上のアーティストが参加し制作されたとか、ストリングス・オーケストラのバック演奏が目立つ。カレンの良き理解者であるソングライターPamela Phillips OlandやDany Tomasその他の名前が共作者として見られる。

 日本盤のみボーナス・トラックが加わる。セルジュ・ゲンズブール作曲、フランス・ギャルが歌った名曲「娘たちにかまわないで (原題:Laisse tomber les filles)」と、映画の主題歌で、多くに歌われてきたスタンダードナンバー「今宵の君は (原題:The Way You Look Tonight)」の2曲が収録されている。

Sddefaultw (Tracklist)

01. Love is Never Too Late
02. One""Night In New York
03. My Amor
04. I Am Naked
05. Morning Coffee
06. On A Clear Day
07. Embrujo
08. How Did You Get In My Dreams
09. Suddenly Lovers
10. Show Me The Way To Go Home
11. The Way You Look Tonight ※
12. Laisse tomber ※
 (※=国内盤CDボーナストラック)

  オープニングから、さっそく久しぶりの彼女のややハスキーな低音とそれが鼻にかかった特徴ある歌声が前面に出てのセクシー度もたっぷりでの曲が始まる。
 M01."Love is Never Too Late" は、バックにストリングス・オーケストラの演奏が、ギターやピアノのカルテットの演奏と共に流れ、なんとなく優美にはじまるが、彼女の妖艶と評される歌声は失われていない。究極のスタイルは今までと同じである。
 しかし、M03." My Amor", M05."Morning Coffee"はストリングスなしで演じられる。私的にはこのスタイルの方が好きだが、まあそれはそれ難しいことなしで聴いた方がいいだろう。
 又 M04., M08., M09.などは、サックスやトランペット、クラリネット、トロンボーンなども加わってのバックは豪勢だ。
 特にM09."Suddenly Lovers"はアルバム・タイトル曲でどんな世界を狙ったか興味があったが、意外に素直なところで歌い上げている。
 M10."Show Me The Way To Go Home"はギターが生きての小編成トリオ・バツクでなかなか味わい深い。やはりこのパターンが良いですね。

 いずれにしても、今作も相変わらずの彼女の世界が聴くことが出来る。こんなスタイルのジャズ・ヴォーカルものも時には良いもので、いろいろ言うことなしに聴くのが一番いいと思う次第だ(笑)。

(評価)
□ 曲・歌  87/100
□ 録音   87/100
(試聴)

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2023年9月 7日 (木)

ニッキ・ヤノフスキー Nikki Yanofsky 「Nikki By Starlight」

懐かしのアメリカン・ソングを若き力で歌い上げる

<Jazz>

Nikki Yanofsky 「Nikki By Starlight」
MNRK Music Group / Import / MMUC286912 / 2023

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Nikki Yanofsky : Vocals 
Produce : Nikki Yanofsky、Paul Shrofel

 いままでその気で聴いたことのなかったカナダ・モントリオール出身のニッキ・ヤノフスキー。今回のニュー・アルバムはグレイト・アメリカン・ソングを取り上げたジャズ・ヴォーカルものということで考察を兼ねて聴いてみた。

Iha024382nikkiyanofsky400x600  彼女は、2006年、当時12歳でモントリオール・ジャズ・フェスティバルで最年少のアーティストとして単独公演、その後ジャズなど音楽界で活躍を続けるヴォーカリスト。子供の頃からエラ・フィッツジェラルドを敬愛し、2007年にはトリビュートアルバム『We All Love Ella』にNatalie Cole、Chaka Khan、Dianne Reevesなどの中に弱冠13歳で参加し世界中のジャズファンに知られることになった。2008年アルバム『Ella…Of Thee I Swing』でデビューした。又、2010年にはバンクーバー冬季五輪の開会式で、カナダ国歌を歌唱し世界中の注目を集めたまさに経過は驚きのヴォーカリストだ。

 2010年2ndアルバム『Nikki~for Another Day』では”A列車で行こう”などのジャズスタンダードも歌うが、若さのポップ路線を披露し、2014年『Little Secret』、2020年『Turn Down The Sound』とR&Bからポップ系でのアルバムを多くリリースしている。
 今回は全編ジャズ・スタンダードとちょっと大人の味に傾いてきたというところが聴きどころのようだ。

(Tracklist)

1.Hoagy Carmichael: I Get Along Without You Very Well (Except Sometimes)
2.Lew Brown, Sam H. Stept, Charlie Tobias: Comes Love
3.Carl Sigman, Sidney Keith Russell: Crazy He Calls Me featuring Greg Phillinganes(p)
4.Cole Porter: I Get A Kick Out Of You
5.Murray Grand: Comment Allez Vous
6.Victor Young, Ned Washington: Stella By Starlight
7.Bob Haymes, Marty Clarke:They Say It's Spring
8.Lorenz Hart, Richard Rodgers: It Never Entered My Mind featuring Greg Phillinganes(p)
9.Andre Hornez, Henri Betti: C'est Si Bon
10.John Wes Montgomary: West Coast Blues
11.Bart Howard: Let Me Love You
12.Antonio Carlos Jobim, EUGENE LEES: Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado) featuring Nathan East(eb)
13.Bruno Brighetti, Bruno Martino: Estate featuring Arturo Sandoval(flh)
14.Gus Kahn, Nacio Herb Brown: You Stepped Out Of A Dream
15.Lennard Bernstein,Beetty Comden,Adolph Green: Some Other Time


  確かに選曲はアメリカン・ジャズの多岐にわたっているのに気が付く。彼女は、このアルバムのレコーディングを、「自分の最も純粋な部分を再び引き出すことができた楽しい時間だった」と回想しているようで、もともと入り口がエラ・フィッツジェラルドであってやはりアメリカン・ジャズが好みだという事が解る。まあ30歳前後であってここらあたりから、ポップは卒業してもいいのかもしれない。

Nikkiyanofsky

 M1." I Get Along Without You Very Well " ストリングス入りのバックでスタートするもあいさつ程度で、メインはギター、ピアノ、ベース、ドラムスのカルテットでオープンニングにふさわしくリズムカルに比較的オーソドックスな歌。
 M2."Comes Love"になってニッキ節が始まる。バックはビック・バンド・スタイルで意外に古臭い印象。ヴォーカルは中高音にウェイトがある。
 M3."Crazy He Calls Me" ピアノとのデュオ・スタイル、ちょっと節回しに彼女らしさが。
 M4."I Get A Kick Out Of You"ベース誘導型で疾走してジャズっぽさがある。ここでもバックは管楽器が入って古臭い。
 M5."Comment Allez Vous" バックの女性コーラスのハモリで聴かせる。
M6."Stella By Starlight", M8."It Never Entered My Mind" のスロー曲は、意外に女性っぽい味を出していて味がある。しかしM6は、相変わらずバックの複数の管楽器がうるさい。M8.はピアノとストリングスでいい味だ。
 M7."They Say It's Spring"は意外にオーソドックス。M9."C'est Si Bon"は軽快でいい。
 M10." West Coast Blues"ハモンド・オルガンのバックで楽しい。
 M12." Quiet Nights Of Quiet Stars" バックのギターが生きていてムード良好。歌はやっぱりうまいし、発声も余裕たっぷり。
 M13."Estate " 待ってましたの登場、Arturo Sandovalのflhのサポートも気が利いていて旨く仕上げている。
 M14."You Stepped Out Of A Dream" ごくオーソドックスに。最後のM15."Some Other Time" アルバムの締めをゆったりと語り聴かせてくれる好感。

 なんと想いの外、極めてオーソドックスなスタイルのヴォーカルで逆に驚いた。優しさの編曲でジャズ入門型のアルバムで角もなく聴き応えは気持ちいい。女性ヴォーカリスト王国のカナダで彼女は成長していることが解る。更に旨く育ってジャズを楽しませてほしいものだ。

(評価)
□ 編曲・歌   87/100
□ 録音     87/100
(試聴)

 

 

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2023年8月12日 (土)

ウィズイン・テンプテーション Within Temptation 「Wireless」

"戦争に目覚めろ"がテーマか

<alternative Metal Rock>

Within Temptation 「Wireless」
(Single CD)Music On Vinyl / Europe / MOV7068 / 2023

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シャロン・デン・アデル (Sharon den Adel) - ボーカル (1996年- ) 
ルード・ヨリー (Ruud Jolie) - ギター (2001年- )
ステファン・ヘレブラット (Stefan Helleblad) - リズムギター (2011年- )
イェローン・ファン・フェーン (Jeroen van Veen) - ベース (1996年- )
マルテン・スピーレンブルフ (Martijn Spierenburg) - キーボード (2001年- )
マイク・コーレン (Mike Coolen) - ドラムス (2011年- )

ローベルト・ヴェスターホルト (Robert Westerholt) - ギター(1996年- ※2011年以降は製作とスタジオ録音に専念) 

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   久々にシンフォニック・メタルの話題です。CDリリースがこのところ低迷しているロック界、この1997年オランダで誕生したWithin Temptationも、スタジオ・アルバム『RESIST』(VICP-65510 / 2019)が5年ぶりにリリースされて以来は、その前からの沈黙を破って活動が再開され歓迎されたが、あれからもう既に4年経過。
 アルバム『Hydra』(2014)の大成功後は、噂では"燃え尽き症候群"のような状態に陥り、シャロン嬢(今は既に母親としての貫禄もついて)はソロ・プロジェクトを始動させたりで、このバンドの行く末に不安がよぎったが、しかしアルバム『RESIST』が登場し、取り敢えずファンをホッとさせたのだった。
 そして2020年に「メタル・フェスティバル」(ドイツの「WAKEN OPEN AIR 2019」)の話題にてここに取り上げて以来あっという間に3年経過、その後のWithin Tについては、丁度このタイミングでシングル・アルバム『WIRELESS』のお目見えがあったので、ちょっと見てみたい。

 この間、昨年2022年に4曲入りEP『AFTERMATH』(MOV12071)が、なんとLP(CLEA VINYL 3000枚限定)でリリースされている。そしてまたここに今年新曲シングル『WIRELESS』(MOV7068)がリリースされたのだ。しかし時代の影響かフルCDアルバムの登場はなく、サブスク・ストリーミング時代の中であって、この両者の5曲とそのインスト版5曲の計10曲のアルバムとしてストリーミングで聴くことが出来るのであり、それを取り上げてみた。

(Tracklist)

351392760_9294924082w2 <Single>
A: Wireless
b: Wireless (Instrumental)

<Streaming>
1.Wireless
2.Don't Pray For Me
3.Shed My Skin
4.The Purge
5.Entertain You
6.Wireless (Instrumental)
7.Don't Pray For Me (Instrumental)
8.Shed My Skin (Instrumental)
9.The Purge (Instrumental)
10.Entertain You (Instrumental)

  とにかく目玉曲はM1."WireLess"だ。このところ無事母となったシャロン・デ・アレンが夫のローベルトの協力によってライブ活動も充実して、新曲を登場させた。なにせシャロンは一時のソロ・プロジェクトの「マイ・インディゴ」にてこのバンドとは異なるエレポップにアンビエント系をまじえながらどちらかというとオーソドックスな音に乗せての清々しく美しい歌唱を頑張ってみた経験などから、やはりWithin Tの世界は身についた充実感があるのだろう、ここに世界に訴えるところに到達している。まあそれこそロックの原点であろうから、そんな衝動にかられたということ事態、再びロック世界の開始という事にも通ずるのかもしれない。

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 なかなかパワフルですね、何年か前の彼らを思い出しながらヘビーなリフを楽しめるし、さらに壮大なコーラスをブレンドしたサウンドを堪能できる。シャロンも歳を超えて声も出ているし奮闘。彼らの問題意識が刺激したんでしょうね。ようやくロジャー・ウォーターズが叫んでいる社会や政治的問題、特に戦争と言うものの非人間性に彼らも目が覚めて、戦争を目の前にしての若者と政治問題に目が向いた。活動の目標も見えてきたというところでしょう。ロックの存在感が実感できたというパワーが感じられる。

 彼らの言葉は「このシングルは、戦争や混乱に飢えている人々、そしてメディアを操作し支配しようとする人々に対して書かれた曲です。この曲は、正当な理由があって戦地に行くのだと信じている兵士のことを歌っています。彼は政府に支配されたメディアによって洗脳され、自分が救世主として歓迎されると思っていましたが、結局自分は利用されたのだと悟ります。人々は彼を残虐な支配者として見るようになり、彼は自分が間違った側にいることに気づくのです。彼の人生は、そして他の多くの人々の人生も、欺かれ、破滅させられるのです」

 ロックの存在感と問題意識に一つの世界が確認できたというところで、エネルギーの蓄積発散に光がさしたというところだろうか、いずれにしても今後の健闘に期待したいところだ。

(評価)
□ 曲・演奏・コンセプト  87/100
□ 録音          87/100

(視聴)

 *

      (30:00から・・・"Wireless")

 

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2023年8月 7日 (月)

ケイティ・ジョージ Caity Gyorgy 「You're Alike, You two」

クリーンヴォイスでジェローム・カーンに捧げるピアノとのデュオ作品

<Jazz>

Caity Gyorgy & Mark Limacher「You're Alike, You two」
MUZAK,fab / Japan / MZCF-1456 / 2023

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Caity Gyorgy ケイティ・ジョージ (vocal)
Mark Limacher マーク・リモーカー (piano)

2022年8月、The National Music Centre(カルガリー)録音

 昨年(2022年)5月、ここでデビュー・アルバム 『PORTRAIT of CAITY GYORGY』(MZCF-1448 / 2022)を取り上げたケイテイ・ジョージだが、日本でも比較的好評で早速ここにニュー・アルバムの登場である。

Licensedimagew_20230806172801  カナダのグラミー賞『JUNO Award2023』にて、「Best Jazz Vocal Album of The Year」を2年連続受賞という快挙を達成したようだが、巨匠ジェローム・カーン(→)に捧げたアルバムの登場となった。いずれにしてもシンガー、コンポーザー、アレンジャー、プロデューサーのマルチな技能で快進撃を続けるという才女ぶりだが、カナダでコンポーザー、オーケストラのアレンジャーとして活躍する注目の新世代ピアニスト、マーク・リモーカーを迎えてデュオ・スタイルで制作した今作は、彼女の一曲以外は全てジェローム・カーンの作品で埋め尽くされた。
 ジェローム・カーン(1885-1945)はアメリカ、ニューヨーク出身で、戦前流行のミュージカルの作曲家。ジャズのスタンダードとなった曲が多く、代表作には「煙が目にしみる」だが、「イエスタデイズ」「オール・マン・リヴァー」「アイム・オールド・ファッションド」「思い出のパリ」などがある。彼女がなぜカーンを取り上げたかは不明だが、ジャズ・スタンダード曲に好感を持っていたのかもしれない。どちらかというと瑞々しいクリーン・ヴォイスのケイティ・ジョージ(下左)とマーク・リモーカー(下右)の端正なピアノで綴った作品と言うところにある。 

Picture2wMark_limacher_portrait_piano

(Tracklist)

1 Nobody Else But Me 03:40
2 A Fine Romance 04:13
3 Yesterdays 02:47
4 I'll Be Hard to Handle 04:05
5 You Couldn't Be Cuter 03:30
6 Bill 04:23
7 I'm Old Fashioned 03:09
8 April Fooled Me 03:51
9 Pick Yourself Up 03:53
10 The Bartender 03:11

 ピアノとのヴォーカルというデュオ作品で、彼女の歌がバックに隠れるということなく十二分に楽しめる。選曲は意外にマニアックで一般にポピュラーなスタンダードという事ではないために、かえって新鮮である。しかし何となく曲風はオールド・タイプの雰囲気であり、前作のポピュラーよりの曲よりはジャズのニュアンスが強い。
  ただ今回の彼女の声質は録音のせいか、高音がきつくちょっと気持ちよく聴くというには刺激が強い。私のオーディオ装置としてはあまり相性が良くなかった。

 M1.M2.は編曲の関係もあるか、私の知らない曲で音質も固く落ち着いて聴いている雰囲気でない。
 M3."Yesterdays"は、中低音部が多いせいで、若干しっとりとした仕上げで声のきつさもとれて、ようやく聴きこむことが出来た。
 M4."I'll Be Hard to Handle"彼女のスキャットを生かしたヴォーカルで、ジャズとしては歌う方聴く方両者プロ好みかも、ただ私にとってはあまり魅力を感じない。
 M5."You Couldn't Be Cuter "やはりこうして聴いているとオールドタイプで、ミュージカルっぽい。
 M6." Bill "しっとりとしたこの曲となって、優しさも加わってなんとなく聴きこむ曲となりピアノとの関係も生きてこのスタイルで私はもう少し押してほしかった。
 M7.以下では、M.8 " April Fooled Me"あたりがなんとなく戦前の良き時代のムードの中での物語風で、バラード調に仕上げられていて私好み。ピアノも語り聴かせる演奏は抒情性と優美性があって気持ちが良い曲であった。

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 今回の演ずるところ、戦前のミュージカル・イメージで意外に溌溂していて、歌う本人にはそれなりに芸を要求されてジャズ心を刺激して張り合いのあるところにありそうだが、どうも聴く方の私にとっては時代的ズレと好みから一致できなかった。しかし一部のバラード調の曲では十分の歌唱力を示していた。今後の彼女の展開を占うようなアルバムだ。
 リモーカーのピアノは、時代を表現した躍動感ありの流れに極めて快調にリズムカルに流れ好感あり、一方のバラード調の曲ににおいては抒情性を表現してなかなかの展開。

 まあ彼女は芸達者と言える新人としての作風はかなりのものは感ずるが、私にとっては今後聴きたいヴォーカリストに入るかどうかは、まだまだ決まらない世界であった。・・・何といっても高音部の声の質と録音が快感でなかったことが問題だ。

(評価)
□ 選曲・演奏・歌  85/100
□ 録音       83/100

(試聴) 推薦曲"April Fooled Me"



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2023年7月13日 (木)

ニコール・ズライティス Nicole Zuraitis 「How Love Begins」

キャリア十分の実力派のファースト・アルバム

<Jazz>

Nicole Zuraitis 「How Love Begins」
Outside In Music / Import / OUIA23132 / 2023

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Nicole Zuraitis (vocals,piano #1-3,7,9,10,rhodes #8)
Christian McBride (bass)
Gilad Hekselman (guitar)
Maya Kronfeld (organ,wurlitzer,rhodes)
Dan Pugach (drums)

With *special guests:
David Cook (piano # 5,6,8)
Billy Kilson (drums #3,5,6)
Sonica (Thana Alexa / Julia Adamy)
on background vocals (Track 1)

Jhkleadershipchristianmcbridesquare680x6   8 度のグラミー賞に輝き、現代ジャズ界の雄クリスチャン・マクブライド(→)を共同プロデューサーに迎えて制作された、キャリア十分のナチュラルな歌声を披露しエモーショナルな表現力で訴える女流ピアニストでSSWのニコール・ズライティスの歌アルバム登場。わたしにとっては、初物である。
 なんといっても、彼女の唄声を盛り込んでのマクブライドのプロデュース・ワークが見事で、ジャズの聴きどころ満載の強力な作品。

 ニコール・ズライティスは、ニューヨークのブルックリン在住。2016年コーヒーミュージックプロジェクトNYCソングライティングコンペティション優勝。2015年サラ・ヴォーン国際ジャズボーカルコンクール準優勝。2014年ハーブアルパートヤングジャズコンポーザーズASCAPアワード受賞者、アメリカントラディションコンクール(ジョニーマーサー賞とピープルズチョイス)の2015年全国ファイナリストなどの経歴あり。現在ニューヨーク市の有名な55バーで彼女のバンドが活躍。

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1. The Good Ways
2. Travel
3. Reverie
4. Let Me Love You
5. Burn
6. Two Fish
7. Well Planned Well Played
8. 20 Seconds
9. Like Dew
10. The Garden
11. Save It For A Rainy Day (BONUS TRACK)
12. Travel (Alt Take) (BONUS TRACK)

  ブライティスは、なかなかゴージャスでしなやかな声を持ち、低音域に温かみのある共鳴、中・高音域はまあ標準的発声力。私的には少々耳に負担となる声で、静かなバラード調の方が良い。其れにもまして彼女は熟練したピアニストであり、素晴らしいSSWでそちらにも注目すべきと思っている。目下年齢は明らかならず、まあ1980年前後の生まれでしょう、ドラマーのDan Pugach は亭主だ。

 演ずるところM1."The Good Ways"からしてアメリカンですね。rhodes、そしてギター、ベースこの快調なリズムと彼女のやや派手な歌声が響く。冒頭の低音部はなかなか味があるが中高音部は少々キツイ。
 M2."Travel"ガラっと印象が変わる。彼女のピアノにギターが印象的に描くところ新天地に思いを馳せる。
 M3."Reverie"の彼女のピアノが美しく流れ、おもむろにヴォーカル・・珍しくヨーロム-ド。後半にギターとドラムスの描くところからエモーショナルに一変。
 M4." Let Me Love You" ギターとの歌のデュオでのバラード、もう一つささやき調が良かったかも。M5."Burn"一転してジャジーな高速展開。歌とギターとベースのソロがジャズですねぇ。なかなか手慣れています。こんなところはキャリアですね。M6." Two Fish"はぐっと落ち着いたアメリカ・スウィング・ジャズ。

 なかなかここまでに既に全て異なった多彩な展開をみせ、飽きさせない、マクブライドの旨さなのだろうか。
 後半もどうように変化に富む。M7."Well Planned Well Played"なつかしのムード。
A210898613801362056470  ちょっと異様なM.8" Like Dew"を経て、聴かせどころはM9."Like Dew"か、彼女の詩と曲で女心をしっとり歌っている。哀愁を聴かせるGilad Hekselman(→)のギター、彼女のピアノも訴える。

 いずれにしても彼女の曲、演奏、歌という世界はお見事、曲の変化、演奏の変化とアルバムの構成が多彩で充実度が高い。バックの演奏はかなり良い線をいっている。女性ヴーカルものは、その声の質も好みに影響が大きい。若干彼女の声の質が私の好みとして少々異なるのでその点がちょっと残念だった。

(評価)
□  曲・演奏・歌  90/100
□  録音      87/100

(視聴)

 

 

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2023年6月28日 (水)

シエナ・ダーレン Sienna Dahlen & Bill Coon 「Balladextrous」

実力派同士によるウィスパー・ヴォイスとギターのデュオ

<Jazz>

Sienna Dahlen & Bill Coon 「Balladextrous」
CELLAR LIVE / Import / CMRV060322 / 2023

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Sienna Dahlen - vocals
Bill Coon - guitar

Executive Producers: Cory Weeds, Bill Coon and Sienna Dahlen
Produced by Sienna Dahlen
Recorded at Demitone Studio in Vancouver, BC on January 6th and 7th, 2020?
Recorded, mixed and mastered by Dave Sikula
Photography by Ricardo Hubbs
Design and layout by John Sellards
Photo editing by Florence-Ariel Tremblay

  モントリオールを拠点として活動している女性実力派ヴォーカリスト兼作曲家でジュノー賞受賞のシエナ・ダーレンと、バンクーバーを拠点としているベテラン・ギタリスト兼作曲家ビル・クーンによるデュオアルバム(ジュノー賞(JUNOS)とは、音楽業界での卓越した業績を表彰するためにカナダ録音芸術科学アカデミーによって授与される賞)。彼らはジャズライブで出会って、このジャズバラードのアルバムを制作することに意気投合しての作品。古き良き時代からのスタンダード・ナンバーを演じている。

Ab6761610000e5eb0e6168d4f20ab47152054958  シエナ・ダーレンは、カナダのブリティッシュコロンビア州北部にあるドーソンクリークと呼ばれる小さな田舎町で育ち、モントリオールでの12年間のプロの音楽制作期間にわたって、マギル大学でジャズの音楽学士号を取得し、ジャズとフォークでの活動が盛んで多くのアルバムを制作し、自己名義の4枚のCDをリリースしている。2年前にオンタリオ州トロントに移り、最近トロント大学で音楽修士号を取得しました(2008年)。シエナはカナダ、米国、欧州など海外でプロとしのフリーランサーだ。現在は教育者としての活動が多彩。

Billcoon450  ビル・クーンはカナダのジャズ兼作曲家(1959年生まれ)だ。彼はジュノーにノミネートされたアーティストであり、2009年のナショナルジャズアワードの「ギタリストオブザイヤー」を受賞している。彼は1988年にジャズ研究の美術学士号を取得してコンコルディア大学を卒業し、2012年にサイモンフレーザー大学で教育学修士号を取得しました。彼はキャピラノ大学とバンクーバー交響楽団音楽学校の教員である。

(Trackliat)

1. Too Late Now
2. Round Midnight
3. Happy Talk
4. I Get Along Without You Very Well
5. When Lights Are Low
6. Autumn In New York
7. Day Dream
8. All Of You
9. I'm In The Mood For Love

 ジャズ典型のハスキーというのでなく美声の方のウィスパー・ヴォイスと静かに落ち着いて曲を構築するギターとのデュオ作品だ。シエナはソウルフルでユニークな美しく説得力のあるレコードを作ってきた。今回は、バラードによる世界を描くアルバムと言うことで、スタート曲M1."Too Late Now"から、別れの苦悩の描写の曲だが、ギターが控えめに歌を支える演奏に終始し絶妙な深淵な世界を構築ているため、しっとりとアカペラに近い説得力のあるソウフルな歌声で心に響かせ聴かせる。
 M2." Round Midnight"は、マイルスの「Round about Midnight」のセロニアス・モンクの曲だが、大物演奏とは異なって、ここまで彼女の世界にギターの調べと共に引っ張り込むのに驚く。まさにミッド・ナイトの響き。
 M5."When Lights Are Low "これもマイルスが浮かびますね、照明の落ちたときの愛の歌らしいムードたっぷり
 このところカヴァーの多いM6."Autumn In New York"は、ヴァーノン・デュークの戦前の曲でシナトラが広めたと言ってもいい曲だが、つい最近はダイアナ・クラールを思い出すが、ここでのシエナの歌のしっとり感は全く別世界。これだけ自己世界に歌いこむというのも素晴らしい。
   M8."All of You"愛を訴えるコール・ポーターの曲、高音の優しい訴えが印象的。

 いずれにしても全9曲、アルバム全曲一貫してビル・クイーンの優しき支え語るようなギターに、彼女の嫌みのない美しいウィスパー・ヴォイスとしっとり描く夢の世界のような曲仕上げはちょっと類似のものが無い。さすがは評価の高いジュノー賞受賞歌手のシエナという事で地味ではあるが素晴らしいアルバムであった。

(評価)
 □ 編曲・演奏・歌  90/100
 □ 録音       88/100

(視聴)
 

 

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2023年6月12日 (月)

ガブリエラ・ガルーボ Gabriela Garrubo 「 Rodando」

異様な世界を優しい美しい声で迫ってくるのだが・・・・

<contemporary Jazz>

Gabriela Garrubo 「Rodando」
NXN RECORDINGS / Import / NXN 2017 / 2023

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GABRIELA GARRUBO (vocals and piano)
JOHANNES AAGAARD (g)
NILS HENRIK SAGVAG (b)
CATO LYNGHOLM (ds)
AUDUN HUMBERSET (per)
VETLE JUNKER (synth,g)
JONAS HAMRE (sax)(track 2,7 and 8)
OLAV IMERSLUND (b)(track 9 and 10)
CARMEN BOVEDA (cello) (track 8)

Produced by
VETLE JUNKER and GABRIELA GARRUBO

324438670_1282808392652165_1w   ブラジル系ノルウェー人のシンガー、コンポーザーのガブリエラ・ガルーボGabriela Garrubo(年齢不詳、かなりの経験豊富な実力者のようだ)の初アルバム。我々には初お目見えで前知識もなく聴いたのだが、ノルウェー国内のライヴ・シーンではその美しい歌声と、モダン・ノルウェー・ジャズ、ブラジルの80年代ポップス、そしてボサノヴァを絶妙にブレンドしたサウンドということで結構評判を呼んでいたようだ。
   ガブリエラに関する情報はまだ殆ど入っていないが、シンガーであると同時にピアノを演ずるようだ。ベルゲンのグリーグアカデミーで学び、2021年から2022年にかけて、プロデューサーのヴェトルユンカーとこのデビューアルバム「Rodando」の制作で頑張ってきたと。彼らは一緒になって、モダンで新鮮なサウンドとレトロな連想のバランスをとるユニークなリスニング体験を生み出したと評価されている。

 なおこのアルバムのレーベルNXN Recordingsは、ノルウェーのクロスオーバープロジェクトをリリースするために2019年にオスロに設立されたもの。目的は、確立されたジャンルに留まるのでなく、探求し、挑戦する、興味深く革新的で独創的な音楽を出すことのようで、ネオクラシック、アンビエント、ジャズ、現代音楽を目指しているようだ。どうも「クールな北欧サウンド」というところにあるようだが。

(Tracklist)

1. Dirá
2. A chave
3. Stars
4. Um dia
5. Caqui
6. Everything
7. Não
8. Bells
9. Trees
10. O mundo

  ガブリエラ・ガルーボの歌声はなかなかソフトで美声ですね、現代の北欧ジャズとブラジルの80年代音楽とボサノバからの影響の曲というだけあって、M1の短い導入からM2."A chave"が歌い上げられるが曲が異様。全体はポルトガル語と英語で歌われるようだが、言葉が解らなく曲タイトルの意味も解らないのでちょっと大変、途中からサックスが入ってジャズっぽくなった。

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 M3."Stars"はシングルカットされた曲で注目曲。モダンで新鮮なサウンドとレトロな連想のバランスをとるというちょっと意味不明世界で難解だが、彼女の優しく描く声に魅力は伝わってくる。バツクの演奏は軽快で多彩。
 M4.、M5.は、がらっと変わってラテンっぽい雰囲気、ギターのバックで転調して迫ってくる。
 M6."Everything" ソフトな美声で結構説得力あるところが聴きどころ。このあたりは抵抗なく美声の世界に入れる。
 M7.、M8.、M9.それぞれの曲、良く解らない世界だが、不思議に聴いてしまうところが面白い。
 M10."O mundo"もシングルリリースしているようで、ピアノの美しい音としっとりした美声で聴き応え十分、途中でリズムの転調があってラテンの雰囲気も。

 まあ、ユニークと言えばユニーク、ノルウェーのトラッドぽいところも聴ける為だろうか、ノルウェーのジャーナリストは彼女のパフォーマンスが素晴らしいと評価しているのは事実のようだ。まあこのまま迫られても我々には難しいので、ちょっとスタンダード曲を聴かせてくれての展開だとついて行けるといった世界。幸いに親近感の持てる声の質であり一度聴いてみる価値はある。

(評価)

□ 曲・歌 : 87/100
□ 録音  : 85/100

(視聴)

 

 

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2023年5月18日 (木)

レイヴェイ Laufey 「A Night at the Symphony」

アイスランド出身の女流SSWのオーケストラとの競演版にまたもや話題騒然

 

<  Contemporary Jazz>

Laufey 「A Night At The Symphony」
Label: AWAL Recordings / Release Date: 2023年3月2日

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 Laufey : Vocals & Cello, Guitar
 Iceland Orchestra 

 時代は流れていますね、このところCDアルバムのリリースが低調で話題作も少ない。しかし一方SNSを中心にストリーミングによるアルバム・リリースなどが盛り上がっている。又さらになんとAudioファン向けとしては、ビニール盤(LP)のリリースが好調だ。

 そんな中で、ストリーミング時代の申し子というか、今や人気沸騰のアイスランド出身の女流SSWのレイヴェイLaufeyであるが、昨年に続いてのニュー・アルバムの登場だ。EP盤を含めると第3弾という事になる。

Laufey5te221108w (Tracklist)

1. Fragile*
2. Valentine*
3. Dear Soulmate*
4. I Wish You Love(Keely Smith)#
5. Night Light*
6. Ég Veit Þú Kemur(Elly Vilhjálm)
7. Falling Behind*
8. Best Friend#
9. Like The Movies#
10. The Nearness Of You(Hoagy Carmichel)
11. Let You Break My Heart Again(2021)
12. What Love Will Do To You*
13. Beautiful Stranger*
14. Every Time We Say Goodbye(Cole Porter)

*印: 1stフル・アルバム「Everything I Know About Love」から
#印: デビューEP盤「Typical Of Me」から

 現在はロサンゼルス在住の彼女が、去年10月、生まれ育った故郷のアイスランドはレイキャビクの歴史あるハルパ・コンサートホールでアイスランド交響楽団と共演したときのパフォーマンスをライヴ収録したアルバムである。
 昨年リリースし話題となっている1stフル・アルバム『Everything I Know About Love』(*印、アルバムは下に紹介)の自作曲を中心に、以前のデビューEP盤『Typical Of Me』(#印)からと、スタンダード曲のカヴァーなどが収録されている。
 まさにチェロやギターなどを弾きながらオーケストラをバックにしての相変わらずの魅力たっぷりの歌いっぷりは見事と言わざるを得ない。クラシックに通じている彼女としては、オーケストラとの競演はこれ又一つの目指すところであろう。ジャージーな味付けも忘れていないところが見事。
 しかし、私としては、このオーケストラ版も面白いが、やっぱり昨年リリースされたジャズ的味付けによるヴォーカル・アルバムの方が好みである。そこで、その人気アルバムを以下に紹介する。

                  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 

<Jazz, Contemporary Jazz>

Laufey 「Everything I Know About Love」
(LP) LAUFEYLLC / Import / LAULP001R / 2022

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music Artist  :  Laufey

 CDリリースの空白感を感じている時に、このアルバムは、昨年ストリーミングとLP盤のみのリリースで話題が集中した。SNSでも評判のこのアルバムは、クラシックのバイオリニストである中国人の母親とジャズ好きのアイスランド人の父親をルーツにもつ女性チェロ奏者/シンガーソングライター、レイヴェイLaufey(1999年、アイスランド・レイキャビク生まれの23歳)のヴォーカル・デビュー・フル・アルバムだ。これはアナログ盤(LP)でのリリースなのである。
 デビュー盤としては、その完成度が高いこと、彼女の声やヴォーカル・スタイルが好評である事、曲も懐かしさと同時に新感覚の世界にあって、音楽好きには楽器の選定やアレンジの妙が出色で、しかもドリーミーな造りに共感した。そんなことでアナログ盤の良さを十分に感じ取れるという事で高評価を獲得している。

 彼女は2021年にバークリー大学を卒業。現在は本拠地をロサンゼルスに移して活動中とのこと(チェロ奏者、ギタリスト、ピアニスト)。今回のフル・アルバムは以前にミニ・アルバムをリリースして好評だった延長にあって、同様な音楽的資質と学習・研究成果を反映したものと受け止められたのであった。
 2021年にEP『Typical of Me』でデビューし、収録曲“Street by Street”が瞬く間にアイスランドのラジオチャートでトップに。さらに東南アジアとアメリカではTikTokから人気に火がつき同じZ世代の支持を獲得し、SpotifyのJazzチャートでは世界1位を記録した曲“Valentine”がある。

(Tracklist)

Maxresdefaultw_20230517124901 01.Fragile

02.Beautiful Stranger
03.Valentine
04.Above The Chinese Restaurant
05.Dear Soulmate
06.What Love Will Do To You
07.I've Never Been In Love Before
08.Just Like Chet
09.Everything I Know About Love
10.Falling Behind
11.Hi
12.Dance With You Tonight
13.Night Light
14.Slow Down
15.Lucky for Me
16.Questions For The Universe

  ちょっと前置きしておくが、私はアナログLPでなく、サブスク・ストリーミングのHi-Res版で聴いている。従ってM14-16の3曲はLP盤にはない(又M3.Valentineは初期LPには収録無し )。

 とにかく、彼女独特の優しさの上に何となく深みのあるロマンティックな美声の歌は、若さとは違ったむしろ大人っぽさのある歌いまわしで驚く。このアルバムの曲は、M6."初めての恋 I’ve Never Been in Love Before"以外はオリジナルであり驚く。クラシックで育ったこともあってか、さすがロック系でなくポピュラー、ジャズ、ボサノヴァといった曲との融合した世界であり、又バラード調も得意としているし、かなりの説得力だ。これなら、大人のジャズ・ファンもお気に入りになりそう。

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 往年のジャズボーカルのスタイルを現代風の表現で一部語り聞かせるところもあって、心憎いほどの親密感のある歌声をしっとりと聴かせる。ただヒットしたアルバムタイトル曲M9."Everything I Know About Love"は、ちょっと一風変わっていてクラシック・ストリングス演奏から入って、変調してBillie Eilischに歌わせても面白そうな現代調を感ずさせるバック演奏の曲で、"私は愛について何も知らない"と迫ってくる。
 スタートのM1."Fragile"はギターをバックにボサノヴァの展開を匂わせつつ、彼女の曲の特徴のとしてのクラシック調の味付けを交えての異なるジャンルの曲の融合が旨い。
 M2."Beatiful Stranger"M5."Dear Soulmate"の優しげなムードもなかなか出色。
 一方ジャズ・バラード調も得意で 人気曲M3."Valentine"(この曲はLPでは収録無かったり入ったりしているようだ)は女性コーラスとの交わりに味付けが旨い。ギターのみの弾き語りによるM11."Hi"などもしっとりとした歌が見事。
 又ジャジーな味付けもM6."What Love Will Do To You",M7."I've Never Been In Love Before"に聴かれるし、M8."Just Like Chet"のChet Bakerを哀しく描くところはジャズ心だ。
 M12."Dance With You Tonight"は、懐かしポピュラームード。M13."Night Light"は、LP締めの曲、ストリングスが入ってコーラスとの歌が見事。

 とにかく多彩な曲展開と、昔からのジャズ・ヴォーカルを思わせたり、物語を語り聴かせたり、クラシック調の味付けが心を休めさせたりと、彼女のめざすところの伝統的な音楽性と新世代ならではの感覚をうまく融合させた独自の世界を構築している。今後が楽しみだ。 

(評価)
□ 曲・演奏・歌  88/100
□ 録音      88/100

(試聴)


*

 

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