女性ヴォーカル

2019年1月30日 (水)

アガ・ザリアンの久々のニュー・アルバムAga Zaryan 「HIGH & LOW」

ポーランドからの
相変わらずの美しいソフトなヴォーカルが・・・・・しかし

<Jazz>
Aga Zaryan 「HIGH & LOW」
WARNER MUSIC POLAND / IMP./ ZARYAN201801 / 2018
Hl
Aga Zaryan (Vocals)
Michal Tokaj (Keyboards)
David Doruzka (Guitars)
Slawek Kurkiewicz (Electric Bass)
Pedro Segundo (Drums,Percussion)
Lukasz Zyta (Drums #4,9)
Munyungo Jackson (Percussion #3)
Marcin Kaletka (Tenor Saxophone)
Robert Majewski (Trumpet,Flugelhorn)
Grzegorz Nagórski (Trombone)
Corbin Jones (Tuba #5,9,10)
Irena Kijewska (Background Vocals)
Recorded in Warsaw, Sep.-Oct. 2018, Polish Radio Studio S4
  いやはやポーランドの女性シンガー・アガ・ザリアンAga Zaryanの話になるのも久しぶりである。
 ここで彼女のアルバムを取り上げた最後が、ポーランドで手に入れたライブ・アルバム『LIVE AT PALLADIUM』(COSMOPLIS 070・071/2008)の紹介だったと思うので6年前の話になる。とにかく歴史的な悲劇のワルジャワ蜂起をテーマとしてのアルバム『UMIERA PIEKNO』(ポーランド2007年、EMI music poland/2010)を製作して、国家的評価をも勝ち取り頂点に立った彼女である。その後日本でも知られるようになるのだが、ポーランド・ミュージックの日本紹介はそれ程歴史が無い。彼女についても日本でのデビューは2010年になってからだった。従って彼女の数枚のアルバムは殆ど当時に纏めて注目されたのである。
 その後はアルバム『A BOOK OF LUMINOUS THINGS』(2011)を聴いたが、今後への発展におそらく問題意識にテーマがなかなか持てなかったのではと推測する。私にとってはそれ以来7年の経過がある。そしてここに久しぶりにニュー・アルハセムを聴く事になった。
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(Tracklist)
1. Back
2. High & Low
3. Not Here For Long
4. Paths
5. Spirit Voices
6. Proof
7. Dreams, Themes & Schemes
8. Turn Me On
9. A Story From A Tram (Listen, Little Man)
10. Boo To You Too
11. Geri
12. Evil

 相変わらず、彼女の歌声はソフトできつい刺激というものはない。そして充実感あるところがいい。
 ただ今回のアルバムのコンセプトは?、実はよく解らない。しかしバックの演奏はMichal Tokaj (Keyboards)を中心に、構成はジャズ・バンドそのものである。
 アルバム・タイトル曲のM2."High & Low" は、バックにトランペット、トロンボーンが入ってギターを主力に展開する如何にもジャズらしい曲。しかしどうも心に響いてこない。旋律に美しさというもが感じないためかと思う。
 ほとんどの曲はアガ・ザリアン自身が英語で詩をつけているので・・・そのあたりを聴きこまないと・・・・。
 M4 "Paths"にはバックのサックスも歌い上げるのだが、どうも曲自身がピンとこない。
 全体に暗さはなく、むしろ弾むほうが印象深い。
 ただそんな中で後半になって、M6 "Proof"、M7."Dreams, Themes & Schemes"にそれでもキーボードと彼女の唄に美しさが感じられたことは救いであった。
   又M8."Turn Me On"、M11." Geri"はしっとりと歌い込んで不思議なムードがあり、彼女の味が出ていて、この辺りはちょっと注目される。



 とにかく、このアルバムを聴くにつけ何を期待して何に感動するのか、というポイントが見つからないのである。彼女のアルバム『UMIERA PIEKNO』(2007)は、ポーランドという国の独立するまでの苦しい時代を生きてきた女性たちの心が歌われていて、そこには悲劇と陰と力強い意志とが美しく歌われたのだが、そのイメージがあまりにも強いので、このようなよりどころのないヴォーカル・アルバムを聴くと、彼女の歌がうまいだけにちょっと逆にむなしくなる。
 

0006yls0q4em06usc122[アガ・ザリアンAga Zaryan]
 1976年、ポーランド・ワルシャワ生まれの円熟女性ジャズ・ヴォーカリスト。父はクラシック・ピアニスト、母は英語教師/作家らしい。紹介ではエラ・フィッツジェラルドとマイルス・デイヴィスを聴いてジャズに夢中になったという話がある。2002年にアルバム『My Lullaby』でデビュー。2010年のアルバム『Looking Walking, Being』(日本盤は翌年発表)は、ポーランドで最も権威にある音楽賞“フリデリク”でジャズ・コンポーザー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。スタンダードからポップス、ワールド・ミュージックのフィーリングを織り交ぜ、作品ごとに多彩な味付けがある。私の推薦盤は『Umiera Piękno』。
<Aga Zaryan  Discography>
2002 My Lullaby
2006 Picking

2007 Umiera Piękno
2010 Looking Walking, Being
2011 A Book Of Luminous Things
2013 Remembering

2018 High & Low
(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★☆
□ 録音      : ★★★★☆
*
(視聴) 参考までにアルバム『UMIERA PIĘKNO』より"MIŁOŚĆ"

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2019年1月23日 (水)

ケイト・マクギャリー Kate Mcgarry 「THE SUBJECT TONIGHT IS LOVE」

透明感あるしっとりとしたヴォーカル

<Jazz>
KATE MCGARRY  KEITH GANZ  GARY VERSE
「THE SUBJECT TONIGHT IS LOVE」

Binxtown Records / JPN / RCIP-0282 / 2018
Album

Kate McGarry - Vocals / Piano (07)
Keith Ganz - Acoustic & Electric Guitar / Bass
Gary Versace - Piano / Keyboard / Organ / Accordeon

Special Guests
Ron Miles - Trumpet (12)
Obed Calvaire - Drums (09)
Katemcg  ジャズ・ヴォーカリストと言っても一味違うフォーク、ソウルの味のある独特の世界をゆくソング・ライターでもあるケイト・マクギャリーKate McGarryの最近作。
 とにかく彼女の描く世界は凜として透明感あるしっとりとした心潤うところにあり、それを生かすべくバックは夫のKeith Ganzのアコースティックなギターを主体にシンプルそのもので、たっぷり彼女の歌声を手に取るように聴く事が出来る。又キーボードはGary Versace が、ピアノ、オルガン、アコーディオンなどをこれ又シンプルに演じ、彼女のヴォーカルを前面に押し上げるべく落ち着いた演奏を聴かせるのである。

(Tracklist)


Tracklist1


 今作もアコースティックなバツク演奏に支えられて気品あるアルバムに仕上がっている。
   M1."Prologue"と"M12.Eplogue"があってアルバム・トータルにリラックスした心に通う世界を心地よく聴かせる。
 M2."Secret Love"のように馴染みの曲も、完全にアカペラに近い雰囲気で物語をゆったり語るがごときケイト節で歌いあげて好感。
 M3."Climb Down"のようにKeith Ganzの味のあるギターで、優しさと叫びと歌うブルース調も聴かせ味わい深い。
 M5."Fair Weather"M10."She Always Will"は8分に迫る曲で、静かにアコースティックに演じられるピアノとギターそしてベースも美しく、物語を聞かせる如くのヴォーカルは見事。
 アルバム中盤から後半へのM7、M8、M9 も、落ち着いた世界をしっとりと歌い上げる。
 M11."Indian Summer"、 ピアノもギターもシンプルに静かな世界をしっとりと構築する。そして彼女のヴォーカルもそんな雰囲気を更に品良く歌ってくれる。
 こうした作品はジャズといっても一種独特の味があり、豪勢なリズムたっぷりの世界とは完全に異にする。そのため好き好みでは分かれるところにもあるとみる。一日を振り返って夜に一人で静かに物思いにふけり聴いているにはベストなアルバムである。
*
ケイト・マクギャリーKate McGarryは、1970年生まれ今年で49歳になる。アイルランド系米国人。米・マサチューセッツ州出身のジャズ・ヴォーカリスト。マサチューセッツ大学アマースト校へ進学、ジャズとアフロ・アメリカン・ミュージックの学位取得。卒業後は「ワン・オクロック・ジャンプ」のメンバーとして活動。その後ロサンゼルスへ移り、クラブで歌ったり、ハリウッドで映画やTVの仕事をもしている。
 92年に初アルバム『Easy To Love』(2016年に再発、VTL015)を発表。以後アルバム『Show Me』(2001)、『Mecy Streets』(2005)、『THE TARGET』(2007)、『Girls Talk』(2012)をリリース。2009年のアルバム『IF LESS IS MORE...Nothing is Everything 』はグラミーにノミネート。国内外のクラブやフェスのほかラジオへも出演、ニューイングランドやマンハッタンの音楽学校では教壇にも立つという。
(評価)
□ 曲・歌・演奏 :★★★★★☆
□ 録音      :★★★★☆
(視聴)

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2019年1月19日 (土)

ザーズZAZの4thアルバム「EFFET MIROIR~心、重ねて~」

ちょっと大人の味も出ての新境地のアルバム登場
*
  ストリート・ミュージシャンからのスーパー・スター”タッシュ・スルタナ”登場で刺激を受けると、そうそう忘れてはいけないフランスの”ZAZ(Isabelle Geffroyイザベル・ジュフロワ 1980-)”がいる。しかもなんと久々のニュー・アルバムが登場しているので、当然ここに取り上げるのだ。
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<Chanson, Jazz, Rock, Pop>

ZAZ 「EFFET MIROIR~心、重ねて~」
Waner Music France / JPN / WPCR-18126 / 2018
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*
 前作「PARIS "~私のパリ~"」(2014)以来、4年ぶりの4作目となる本作。今回は”日仏同時発売”されたということで、日本での彼女の”人気の高さ”が裏付けられている。
  2010年のデビュー・アルバム「ZAZ~モンマルトルからのラブレター」 (RESPECT RECORD/RES180)がフランスでは大ヒットして、日本にも伝わってきたわけだ(2010年、フランス・アルバム・チャートにて8週連続1位を記録した)。ストリート・ミュージシャンとして鍛えられたところに魅力をはらんでいて、曲自身の魅力としては、シャンソンはもちろん、フォーク、ブルース、アヌーシュ(ジプシー)・スウィング、ロックなどが加味して、ジャズ的アプローチが結実しているところにある。 更にそれに加えて、特にヒット曲”私のほしいもの”でも感じられるように、若いなりきの生き様に一つの”確固たる信念”とも思えるものが見えているところも魅力の一つだったように思う。
 そして時は流れフランスの大シャンソン歌手エディット・ピアフの再来と言われるまでに成長して、彼女のややハスキーな魅力の歌声で、しっかりフランスはじめ世界各地で確固たる地位を築いてきた。そんな中で久々のニュー・アルバムの登場をみたわけだ。

(Tracklist)
1.Demain c'est toi 明日はあなたのもの
2.Que vendra 何が起きようが我が道をゆく
3.On s'en remet jamais もう一度あなたの声を
4.J'aime j'aime 好き好き
5.Mes souvenirs de toi あなたの思い出
6.Toute ma vie 私の一生
7.Je parle 私は話す
8.Resigne-moi 私にかまわないで
9.Ma valse ワルツ
10.Si c'etait a refaire またやり直せたら
11.Pourquoi tu joues faux どうして調子はずれなの
12.Plume 羽根のように
13.Nos vies 私たちの人生
14.Saint Valentin ヴァレインタインデー
15.Laponie ラップランド
*
  このアルバムには15曲登場するが、今作の特徴はかってのヒット曲のカヴァーでなく、全てオリジナルだ。彼女自身の曲の外、フランスの新進気鋭の一連のミュージシャンが提供した曲であることだ(彼女がそれに詩を担当したものもある)。
  曲のタイプは、シャンソンをベースに南米音楽、ポップ、サルサ、ロックなど様々なジャンルをクロス・オーヴァーしたものでジャジーな雰囲気もある。まさに「ザーズの世界」が堪能できる。これらはパリ、ブリュッセル、そしてモントリオールで制作されたものだという。

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 M1."明日はあなたのもの"で、おやっと思うほどの彼女の成長が感じられる。未だ見ぬ我が子に想いを馳せて、しっとりと歌いあげる。いっや~大人のムードだ。
 
M2."Que vendra何が起きようが我が道をゆく"から続く曲は、いつものザーズの流れで、リズムを刻み意志の強さを歌う。
 
M3、"On s'en remet jamaisもう一度あなたの声を"、M4."J'aime j'aime好き好き"は、シャンソンと言うよりは”ロックのザーズ節”の展開だ。
 M5 ".Mes souvenirs de toiあなたの思い出"は、ちょっぴり淋しさのシャンソン曲。こうした曲は彼女はうまくなりましたね~~。
 M8. "Resigne-moi私にかまわないで" この曲はこのアルバムではかなり重要な位置にある訴えも重い。彼女のミュージシュンとしてここまで進歩・発展した充実の曲。このアルバムの一つの頂点。
 M9、M10 は再び自分を取り戻していくシャンソンとロックの2曲。
 このように、彼女のこの数年間を振り返り、そしてこれからの人生に向かってゆく決意のような曲展開になっている。
 M13."Nos vies私たちの人生" 重なり合う不思議な人生を歌いあげる。そこには展望が描かれている。
 M14 ."Saint Valentinヴァレインタインデー"は、ちょっと印象的な歌。”私はいつもここにいる”と存在感を訴えているのか、それとも開き直り?
Guillaumeponcelettrw_2 M15."ラップランド"この最後の曲は印象的。殆ど彼女の唄というよりは語りでしめられているが、その美しさは抜群で、かってなかった彼女の別の世界が見えてくる。これは彼女の詩に注目のフランス若手ピアニストのギヨーム・ポンスレGuillaume Poncelet(1978-)(→)(おそらく彼のアルバム「Quatre Vingt Huit(88)」からの曲"Morning Roots"だと思う)が曲を付けたもので、「極北の地」に対する”憧れ”なのか、未来に自己を求める姿が見えてくる。
 印象深いのは”過去の息を吐き出し、新たに息を吸い込む”のくだりであり、おそらく自分をもう一度見つめ直して歩む決意を歌っているのではと想像するのだが・・・それにつけても美しい曲、往年のフランス映画のシーンのようだ。
 なかなか全編トータルに彼女が自己を見つめてこれから新しい道を進もうとする意志のようにも感ずるアルバムで、彼女の歌声と言い、曲の変化といい、なかなかの上出来アルバムの登場だ。進歩を感じた。
(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★★☆
□ 録音      : ★★★★★☆
(視聴)

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2019年1月15日 (火)

[久々の衝撃]一人バンドのタッシュ・スルタナTASH SULTANA 「FLOW STATE」

パーフェクトなシンガー&マルチ・インストゥルメンタリスト"一人バンド"の初のフル・アルバム

 今のようなネット社会になる前(1980-1990年代)のパソコンが普及してきた頃、もう30年以上前の話だが、「パソコン通信」という電話回線を使ってのパソコンとホスト局とのサーバとの間での通信手段があって、そこで全国の諸々の愛好者と仲間を作って参加者のみのクローズドな会話をしてきたものだ。その当時の「PC-VAN~ Rock」のロック仲間から新年早々、最近ジャズに現(うつつ)を抜かしている私に、年賀状での推薦があった。それがこの”衝撃のタッシュ・スルタナ”だ。

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<Psychedelic Rock,  Altanative Rock>

TASH SULTANA 「FLOW STATE」

Lonely land Records / EU / 19075870562 / 2018

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Tash Sultana : Guitar, vocals, bass, piano, keyboards, trumpet, drums, pan flute, mandolin, saxophone, percussion

Produser : Tash Sultana
Engineered by Nikita Miltiadou、Dann Hume
Mastered Andrei Eremin

 
Ts2 オーストラリア・メルボルン出身のシンガーソングライター、マルチ・インストゥルメンタリストの23歳の才女タッシュ・スルタナTash Sultanaの初のフル・アルバム。
 なにせ、ギター、トランペット、サックス、パン・フルート、グランド・ピアノ等15種以上の楽器を自ら演奏。3歳から始めたというギターはジミ・ヘンドリックスに喩えられる程の腕の持ち主で聴く者を唸らせる。彼女はメルボルンの繁華街スワンストンで長年ストリートミュージシャンとしての活動してきた。
 2008年から2012年までは”Mindpilot”というバンドのボーカリスト、メルボルンでいくつかの賞を受賞。その後ソロで活動を開始、2016年頃よりYoutubeにてパフォーマンス映像を公開し評判を呼びSNSで大きな注目を集めた。公開曲「Jungle」がオーストラリアチャート39位を記録し、現在までに5,000万回以上のストリーミングを記録する。2017年にはオーストラリアの権威ある賞、ARIAミュージック・アワードにて4部門にノミネート。現在はアメリカ、イギリスを中心にドイツ、フランス、ニュージーランド、イタリア、カナダなどワールドツアーを敢行中、ソールドアウトが続出とか。今年のコーチェラにも初出演するなど勢いが止まらない。

  これまでは、インストを含む2枚のEP『Instrumentals』、『Notion』を発表しており、今回この初のフル・アルバムにはシングル「Free Mind」、「Salvation」、「Harvest Love」など全13曲を収録。

 とにかくステージ上には一人だけ。足元や手元に多くのペダルやエフェクター、サンプラー、キーボード、ギター等を置き、全てを操って音を重ねていくパフォーマンスで圧巻。


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1. Seed (Intro)
2. Big Smoke
3. Cigarettes
4. Murder to the Mind (Album Mix)
5. Seven
6. Salvation
7. Pink Moon
8. Mellow Marmalade
9. Harvest Love
10. Mystik (Album Mix)
11. Free Mind
12. Blackbird
13. Outro
(All songs written by Tash Sultana)

 収録13曲、全てが彼女のオリジナル、そしてオール楽器も全て彼女が演奏。
 ストリート・ミュージシャンと言うと、フランスのZAZを思い出しますが、総じて技量が高いのが特徴だ。このタッシュは例外で無いどころか、それ以上の楽器の演奏能力が高いのとヴォーカルが見事というところは、近年見たことのないハイレベルだ。それは当に衝撃!。

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 M1." Seed (Intro)"澄んだギター・サウンドからスタート。そして美し響くヴォーカルが次第にレゲェ調に・・・・冒頭から魅力的。
  続くM2. "Big Smoke"から前半だけ聴いても衝撃が走る。
 曲展開は当に「タッシュ・スルタン節」だ。サイケデリックな展開の中に、R&Bであったり、レゲェ、ヒップポップが絡んだり、ポップな要素がたっぷり盛り込まれている。
 そしてギターは、エレキを中心に全ての要素が絡む奇っ怪さ。美しさ、リズムカル、泣き、早弾きと、恐ろしくなるギター・プレイだ。キーボードも説得力有り。
 ヴォーカルは、ソウルフルであり、時にクールに、又展開によりパワフルに、情熱的に、と多彩。
 M7. "Pink Moon"こうしっとりと歌われると、これが又たまりませんね。情感が伝わってくる。声域の広さも感心します。
 M9. "Harvest Love" このようなスローな曲の情感も半端じゃない。
 M12. "Blackbird"ギタリストの本領発揮。フラメンコ調を臭わせたりギター・テクニックはお見事。そしてギター・サウンドはM13. "Outro"へ続き美しく終わる。このあたりもニクイところだ。

 いやはや恐ろしいミュージシャンが現れました。これぞ何年に一人の逸材だ。なんとなく低調なミュージック界を奮起すべく背負って立つプレイヤーが登場したと言って間違いない。私にとってはアデルの出現時より圧倒的に衝撃は大きい。

 (評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★★
□ 録音      : ★★★★★☆
     
 (視聴)

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2019年1月12日 (土)

リン・エリエイル Lynne Arriale Trio 「GIVE US THESE DAYS」

硬派で爽快なプレイの女流ピアニスト作品

<Jazz>
Lynne Arriale Trio 「GIVE US THESE DAYS」
ChallengeRecords / AUSTRIA / CR73453 / 2018

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Lynne Arriale (piano)
Jasper Somsen (bass except 9)
Jasper van Hulten (drums except 9)
Kate McGarry (vocal on 9)
Recorded Decem, 18-19, 2017 at MotorMusic Studioa, Belgium

39051739w 米国ベテラン女性ピアニストのリン・エリエイルLynne Arrialeとオランダ出身のイェスパー・サムセン(b)とイェスパー・ファン・フルテン(ds)の二人と組んだトリオ作品(→)。ベルギーでの録音だ。

  リンは、知る人ぞ知るピアニストだが、長い経歴の中で幾つかの作品がある。しかし実は私は全く知らないということではないが、ちょっと片聴き程度のところだった。と言うとお解りでしょうが、所謂ユーロ系の叙情派とは全く異なって、むしろ今となればアメリカン・ジャズの古典的流れにある”現代ハード・パップ・ピアノの王道をゆく正統派”と表現されるタイプなのだ。しかし彼女の活動の広さを物語るように、今回のこのアルバムはユーロ製作である。

 しかし、彼女の演ずる曲(以前のアルバム『With Words Unspoken』(Digital Music Products/518/2016)に登場する"Where Or When")が、昨年末の寺島靖国の『For Jazz Audio Fans Only Vol.11』に登場して、おやっと、ちょっと関心を抱いたと言う事と、フォーク、ソウル、ジャズに通ずる女性シンガーのケイト・マクギャリーの名もスペシャル・ゲストとして見えた為、ここらで一度はしっかり彼女のアルバムも通して聴いておこうと、この最近作を手に入れた次第。

 彼女は1957年ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ、ピアニスト&作曲家として国際的に演奏活動を行うほか、ノースフロリダ大学でジャズを教え、各国でもワークショップなどを開催。又様々なコンクールで審査委員を務めるという既にもはや重鎮。


Lynne72145ew(Tracklist)
1. Woodstock
2. Appassionata
3. Finding Home
4. Give us These Days
5. Slightly Off-center
6. Another Sky
7. Let it be
8. Over and Out
9. Take it with Me


 これは本流のピアノ・トリオである。そして女流ピアニストということは感じさせない歯切れのよいメリハリのあるピアノ・タッチが特徴といってよいだろう。基本的にはスウィングする流れからの発展形。
 それはジョニ・ミッチェルの曲M1. "Woodstock"の冒頭から見事に展開する。しかもこの曲では、進行するにつれ昂揚のある流れから次第に徐々に盛り上がって、遂に見事なる華を全開する硬派の爽快にして豪快なプレイに驚かされる。
  一方M4. "Give us These Days"のアルバム・タイトル曲では、その心に染み入る抒情的な美しさを演じてくれる。この彼女のオリジナル曲を、アルバムタイトルに持ってきたと云ところからも、彼女はこのようなちょっと物思いにふけるロマンティックな線も大切にしていることと推測できる。
 
M7. "Let it be"は、お馴染みビートルズの曲だが、変にしつこさが無く意外にサラっとしていて原曲も生かしての編曲部もなかなか聴きごたえある。
 
M9. "Take it with Me"は、トリオものでなく、しっとりと聴かせるシンガーKate McGarry が登場する。ピアノとヴォーカルのデュオ作品だ。曲はトム・ウェイツのもので、これが私のもう一つの目当てであったもの。そのムードは抱擁感に包まれて味わい深く良いですね。実はもう一曲ぐらい聴きたいといったところ。

 結論的には、ジャズの先生の基本をクリアした充実作品として聴いた。

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(視聴) "Give Us These Days"

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2018年12月17日 (月)

シモーネ・コップマイヤーSimone Kopmajer 「SPOTLIGHT ON JAZZ」

キュートから円熟味の加味されたロマンチィック・スタイルへ

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<Jazz>
Simone Kopmajer 「SPOTLIGHT ON JAZZ」
Lucky Mojo / EU / LMR 1801 / 2018

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Simone Kopmajer (Vocals)
Terry Myers (ts,cl)
Paul Urbanek (p)
Martin Spitzer (g)
Karl Sayer (Bass)
Reinhardt Winkler (Drums)

 オーストリア出身のジャズ・シンガーでヴィーナス・レコードからデビューしたシモーネ・コップマイヤーSimone Kopmajerのニュー・アルバム。ジャズ・スタンダードにスポットライトを当てたそのままのタイトルの付いたアルバムの登場だ。これはVenusでなくLucky Mojo Recordsからのリリース。彼女は最近は米国での活動も多い。

61qu5ysczl__w_2 私の知る限りだと、かっては"シモーネ"と言う名前でアルバムがリリースされていた。私が持っているのはデビュー当時のアルバムを二枚組にしたVenus Recordsの"The Best Coupling Series"のもので、『Moonlight Serenade 』+『 Romabce』(VHCD-1147/2013 →)である。この当時はキュートと言った表現に当たる可愛い声でのジャズを歌ったアルバムであった。これはもともと2003年に彼女のデビューした時のもので(彼女は1981年生まれであるから、当時22歳)、もう15年前になる。従って今回のアルバムはどんなムードか、若干彼女の変化に興味を持ちつつこれを聴いた訳だ。

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1 Spotlights 3:56 *
2 Pennies From Heaven 5:10
3 You Don ́T Call Me 3:30
4 Mighty Tender Love 4:17 *
5 Poinciana 6:46
6 Dig That Riff 4:00
7 Remember Jeannie 6:58 *
8 Struttin ́ With Some Barbecue 4:08
9 Exactly Like You 4:44
10 A Gift From Buddy 4:40
11 Stompin ́ At The Savoy 4:25
12 We ́Re Goin ́ In 4:32
13 Mood Indigo 4:04
14 Dig That Riff 3:02

 (*印:Simoneのオリジナル曲)

  それでもあのキュートは残しつつ若干卒業して、適当に垢抜けた円熟味が加味され大人のジャズヴォーカル色が加わったロマンテイック・スタイルになった彼女をこのアルバムで聴ける。
 バックはピアノ・トリオにテナー・サックス、ギターが加わって、ジャズの条件はしっかりとそろえている。全体に標準的なサウンドで、荒れることの無い、コンテンポラリーな変化も無い大人しいバックで、やはり彼女のヴォーカルを主体とした演奏だ。
 実は彼女の前作『Good Old Times』は昨年リリースされたアルバムだが私は聴いてなかった。その中身はロック・ポップスに近いモノだったようだが、今回はしっかりジャズ・シンガーを表に出している。

  オープニングのM1,"Spotlights"から、やや陽気な展開で、その流れはアルバム全体の印象となっている。まあ声の質から言っても深刻さの無いお手軽ジャズ・ヴォーカル・アルバムとして聴くのがよいのだろうと思う。
 私的は M2、M3、M5あたりは落ち着いたムードで好感。
 M10 "A Gift From Buddy" M13 "Mood Indigo"の2曲は、大人のムード仕立てで、このアルバムでは出色。

(評価)
□ 歌・演奏 : ★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(視聴)

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2018年12月 5日 (水)

ソニア・スピネロのニュー・アルバム Sonia Spinello Quintet 「CAFÉ SOCIETY」

実力派のヴォーカルは情感たっぷり

<Jazz>
Sonia Spinello Quintet 「CAFÉ SOCIETY」
Abeat Jazz / ITA / ABJZ182 / 2018

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Sonia Spinello : voice
Fabio Buonarota : trumpet
Gianni Cazzola : drums
Lorenzo Cominoli : guitar
Attilio Zanchi : doublebass

45327647_2214351592178953w_2  私の注目のロベルト・オルサーRobert Olzerとのカルテット・アルバム『WONDERland』(ABJZ162/2017)の素晴らしさで知ったイタリアの実力派女性歌手ソニア・スピネロ。今度はクインテットによるスタンダード・ナンバーのアルバムだ。
 相変わらず、彼女のディープにして情感充ち満ちたヴォーカルで歌い上げられているが、彼女は1974年生まれで目下充実の年齢、ジャズ・ヴォーカルの研究者でもあるらしい。
 そして今度はピアノに変わって、トランペット、ギターがムードを盛り上げ役になっている。
 しかしそれにつけても、もうちょっと洒落たアルバム・ジャケにして欲しかった。それによりガラっと変わったムードとして聴けると思うのだが・・・。

20374504_1940449609569154_112946471(Tracklist)
1. Body And Soul
2. But Not For Me
3. Love For Sale
4. Misery
5. Our Love Is Here To Stay
6. Sophisticated Lady
7. You Don’t Know What Love Is
8. Yesterdays

 M1. "Body And Soul" ギターとミュートを効かせたトランペットがムード盛り上げ、ソニアのソフトにして厚みのある深く沈むヴォーカルがしっとりと聴かせる。
 M4. "Misery" も良いですね。これは”悲嘆”と言う意味だろうか、トランペットも哀しく響き、彼女のヴォーカルも美しくも哀しく歌って心打つ。
 M6. "Sophisticated Lady "このあたりは彼女の独壇場。
 M7. "You Don’t Know What Love Is"が、しっとりと訴えてきて、こうゆうムードには私は痺れて弱いんですね(笑)。

  まあどちらかというと、ユーロというよりアメリカン・ナイト・ムードといったところだ。この世界もジャズ・ファンの中では結構好きな人は居るんじゃないかと思うところ。ユーロ好きの私もこのような世界であればOKなんですね。なかなかこのような大人のムード・ヴォーカルも最近少なく、暫く聴き入ってしまった。

(評価)
□ 歌・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(試聴)  

(視聴)

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2018年12月 1日 (土)

ペトラ・ヴァン・ナウスPetra van Nuis 「because we're night people」

女性ヴォーカルを堪能したかったら・・・これだ!

<Jazz>

Petra van Nuis & Dennis Luxion 「because we're night people」
MUZAK.Fab./ JPN / MZCF1378 / 2018

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ペトラ・ヴァン・ナウスPetra van Nuis (vocal)
デニス・ラクションDennis Luxion (piano)
2018年3月14日 録音
Live recording at PianoForteChicago

 女性ヴォーカリストのペトラ・ヴァン・ナウスPetra van Nuisは、近年アンディ・ブラウン(多分、夫)のギターをバックにしたジャズ・ヴォーカル・アルバムで好評を得てきていたが、この新作品はピアノのみをバックにしてのヴォーカル・アルバム。ピアニストには、まさにベテランのデニス・ラクションDennis Luxionを迎え、彼は如何にも優しく親密に一歩ひいて彼女に寄り添い支えるプレイに徹している。
 その作り上げられた世界は、大人の静かな夜を描く彼女の知性派を感じさせる歌声が何の邪魔になる音の無い空間に響き渡ってくる。なんと言ってもアルバム・タイトル「because we're night people」と言うのが、ふるってます。

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(Tracklist)
1.
Street Of Dreams
2.
Night People
3. The Piano Player
4.
Moonlight Saving Time
5.
You And The Night And The Music
6.
While My Lover Sleeps
7.
Small Day Tomorrow
8.
Dreamsville
9.
No Moon At All
10. The Night We Called It A Day
11.
Shadows Of Paris
12.
Black Coffee
13.
Count Your Blessings Instead Of Sheep 

Yjimage_2  とにかくラクションのピアノはリリカルにして流麗で、ムード作りに於いては最高である。そして彼女のヴォーカルは、どちらかというと技巧の凝らした巧さというのはなく、むしろ素直な歌い方で、ジャネット・サイデルほど上手いわけでは無いがどこか似ている。今回私は初めて彼女のアルバムをしっかり聴いたのだが、そうそうダイアナ・パントンもふと思い出したというそんなタイプの歌声である。
 とにかくアルバム全編を通して、しっかり歌詞をかみしめて歌いあげているところは好感が持てる。

 彼女は、米シンシナティ出身。クラシック・ピアニストの父親の影響で幼少期より音楽に接してきて、11歳でシンシナティ・オペラ・カンパニーでデビュー。大学卒業後もミュージカル・タレントとして活動したようだが、ギタリストのアンディ・ブラウンの影響でジャズ・シンガーに転向したという。シンシナティやニューヨークでの活動を経て、2004年からシカゴに拠点を移し、2009年にはブラウンとのデュオ作『Far Away Places(いつも二人で)』を発表。これが日本でも2011年にリリースされファンを獲得している。
 
 これは女性ジャズ・ヴォーカルそのものというアルバムだ。

(評価)
□歌・演奏 :★★★★☆
□録音   :★★★★☆

(試聴)

 

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2018年11月23日 (金)

サラ・ブライトマンのニュー・アルバムSarah Brightman 「HYMN」

忘れる頃にやって来たニューアルバム・・・それは「喜びと希望」

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<Popular,  Classical crossover>

Sarah Brightman 「HYMN」
DECCAGOLD / USA / B0028980-02 / 2018

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Sarah Brightman : Vocal
Orchestra : London Symphony Orchestra
Choirs : Crouch End Festival Choir,  Spirit of David Choir


 いやはや久しぶりですね、ちょっと忘れ掛かっていたサラ・ブライトマンが、5年ぶりにニュー・アルバムをリリース。そして世界ツアーに出ている。前作『ドリーム・チェイサー(夢追人』だった。しかしもう10年前のDVD+CD盤『SYMPHONY~LIVE IN VIENNA』がやはり彼女の絶頂期でしょうね。しかしこうして総決算編のようなアルバムの登場となったのだ。
  アルバム・タイトル「HYMN」とは「讃歌」、内容はこのタイトルから押して知るべしといったところ。この”ヒム”は2曲目に登場する英国プログレ・バンド、バークレイ・ジェイムス・ハーヴェストの名曲で、これをカヴァーしている。
 又日本ではこのアルバムは、YOSHKIが提供した共演曲” Miracle ”が収録されていると言う事からも話題にもなっている。
 前作とは変わって、むしろ彼女の原点回帰的なスタンスで、ハンブルク、マイアミ、ロンドン、バンクーバー、ロサンゼルス、ニューヨーク、そしてブダペストで2年間にわたってレコーディングされたものだという。
 
Blackgolde153tr(Tracklist)
01. Hymn Overture
02. Hymn
03. Sogni 夢 [Feat. Vincent Niclo]
04. Sky And Sand
05. Canto Per Noi私たちの為に歌う
06. Fly To Paradise [Feat. Eric Whitacre Singers]
07. Gia Nel Seno既に胸の中で (La Storia Di Lucrezia)
08. Follow Me
09. You
10. Better Is One Day
11. Tu Che M’Hai Preso Il Cuor君こそ我が心の全て
12. Miracle [Feat. YOSHIKI]
13. Time To Say Goodbye

 ブライトマンは、「『HYMN(讃歌)』という言葉について、そしてそこから思いつくことは何だろうって考えたの。私にとって、それは喜び、希望と光、親近感があって安心感があるものを意味していた。それこそ自分の人生の中で私が必要としていたものだった。私がこれまでにやったきた全てのプロジェクトも全て私の感情から生まれているわ」と語っているようだ。

 そんなところからもかなり壮大な「喜びと希望」と言った感覚の曲が並ぶ。バックにもオーケストラ、合唱団を惜しげも無く引っ張り込んで大きなスケールで歌いあげるところもサラ・ブライトマンのClassical crossoverの面目躍如といった感じだ。これぞ彼女の長年培った総集編と言った充実アルバム仕上げ。

Kaiken2018111202  フランスのヴァンサン・ニクロをフィーチャリングしたM03."Sogni夢"、クラシック・ソプラノを聴かせる彼女特有の歌い込み。
 そしてレハールのオペレッタ『微笑みの国』からのアリア”M11.君こそ我が心のすべて”、これは美しく歌いあげは、お見事。
  又M10."Better is One Day"のような軽快な曲もある。
 更に彼女の最大のヒット曲”M13.タイム・トゥ・セイ・グッバイ”も、最新スロー・バージョンで登場。そして盛り上がり最高潮には例のYOSHIKI(X JAPAN)との夢のコラボレーション(→)が実現しているM12:"Miracle"を歌い上げる。

 いずれにせよ、3オクターヴの声域を持つと言われ、ステージでの圧倒的な存在感のある歌姫サラ・ブライトマンのスケールの大きい曲群に仕上げられ、見事なアルバムとなった。多分1960年生まれだからもういい歳だ。顔も丸くなり体型もなるほど中年パターンに近づいているとは言え、なかなか健闘してのヴォーカルを披露。昔より若干声にヴォリームがなくなった感があるも頑張っている。
 万人向けの良質・充実アルバムと言っておきたい。

(評価)
□ 曲・演奏: ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(試聴)

*           *           *

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2018年11月19日 (月)

アンナ・マリヤ・ヨペクの新作 Anna Maria Jopek 「ULOTNE幻想」

「ポーランド民族音楽への愛」からの回想か・・・・・

<Jazz>

Anna Maria Jopek & Branford Marsalis 「ULOTNE 幻想」
AMJ / Import / AMJ001 / 2018


Ulotne1

Jopek Anna Maria (voc)
Marsalis Branford (ts,ss)
Krzysztof Herdzin (p,arr)
Mino Cinelu (per)
Maria Pomianowska (Bilgoray suka)
Robert Kubiszyn (b)
Piotr Nazaruk (cytra)
Marcin Wasilewski (p)
Atom String Quartet

 近年、世界各地の音楽とミュージシャンとの共演に挑戦してきたアンナ・マリヤ・ヨペクのニューアルバム。
 これは自主製作盤といってよいものであるが、おそらく彼女の意志が大きく働いてのものと推測する。ジャケ、ブックレットもポーランド語、英語、日本語が記されている。今や日本は彼女にとっては音楽的にも最愛の国でも有り、その結果であろう。

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 彼女としてみれば、ポーランドから発して世界各地の民族的愛を探究してきたことより、なんとしても根本的には自己の”ポーランド民族音楽への愛”をアルバムにしたかったという究極の一枚と思われる。それにはクラリネットとか、ソプラノサキソフォンの音が欲しかったのかも知れない。その結果ソプラノ・サックスにブランフォード・マルサリスBranford Marsalis をフィーチャーしての二人名義のアルバムを完成させた。又ピアニストはクシシュトフ・ヘルジンKrzysztof Herdzin が務めているが、彼の編曲も大いに力を発揮した作品とみる。日本での人気の高いピアニストのマルチン・ヴァシレフスキMarcin Wasilewski の登場もある。更にこのアルバムへの貢献は夫のマルチン・キドリンスキMarcin Kydrynskiであることが、曲の作曲者を見ても伺える。

(Tracklist)
DISC 1
1. W Polu Lipenka (tradycyjny)/野に立つ菩提樹
2. W Kadzidlanskim Boru (tradycyjny/Tadeusz Sygietynski)/カジドランスキ森
3. Niepojete i Ulotne (Marcin Kydrynski)/おぼろげ
4. Patrz i Sluchaj (Anna Maria Jopek/Marcin Kydrynski)/見て、耳を澄ませて
5. Niezauwazone (Anna Maria Jopek/Marcin Kydrynski)/見過ごされしもの
6. Czekanie (Anna Maria Jopek)/待ち侘びて
7. Na Droge (Anna Maria Jopek)/旅立ち
8. Opowiesc (Krzysztof Herdzin)/物語
9. Czule Miejsce (Anna Maria Jopek/Marcin Kydrynski)/繊細な心
10. Nielojalnosc (Andrzej Zieliński/Adam Kreczmar)/移り気

DISC 2 Bonus CD
1. Pozegnanie z Maria- pamieci Tomasza Stanko (Tomasz Stanko)/マリアとの別れ
2. A Night in the Garden of Eden (Karry Kandel)/
3. To i Hola (tradycyjny)
4. Czekanie – Alternate Version (Anna Maria Jopek)/待ち侘びて

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           (当アルバム・ゴールド・ディスクの獲得)

 上に紹介したように、このアルバムはアンナ・マリア・ヨペックとブランフォード・マルサリス(Sax)のコラボレーションアルバムの型を取っていて、通常のCD にボーナスCD がついたスペシャル・エディションとなっている。
 タイトルの「ULOTNE」は、「幻想」と訳されていて、中身はスラブ民族のトラディッショナルとポーランド民族音楽にインスピレーションを受けたものからの作曲など、ヨペクの民族音楽への拘りと思い入れの曲集である。又トマシュ・スタンコを追悼して、2年前に共演し、レコーディングされた楽曲「マリアとの別れ」もボーナス盤に収録されていた。

Na こんな事からして、彼女のキーバのゴンザロとの前作『Minione』(Universal Music Poland/2017→)とは全く趣向の異なった作品で、我々日本人からしても馴染みのない民族音楽に若干戸惑うのである。音楽ジャンルもこれというものでなく色々なタイプが混在し、文化の多様性を集約している作品として受け取れる。そんなところから、一般的ジャズ・アルバムとは性質を異にして、マルサリスの美しく歌いあげるソプラノ・サックスや、ピアノの音もそれぞれ美しいのだが、如何せん私の聴く立場としてスラブ民族音楽旋律を理解してついて行くことが出来ず、又肝心のヨペクのヴォーカルも情緒たっぷり引きつけるところがあり、高音部への歌いあげなどかなりの技能を発揮してはいるが、今回は私の鑑賞能力に無理があり、理解が追いつかず聴くに大きな感動というものには巡り会えなかった。

 まあこうしたアルバムは、ヨペクのようにジャズ・ヴォーカリストとして一定の評価を勝ち取ったものとして、彼女の今だから出来る事としての「拘り」として、ポーランドにおける一つの自己の世界の格調を高めたものとして作られた感がある。従って若干自己満足的なニュアンスもあり、一般ジャズ愛好家に広く愛着あるアルバム作りをしたというものではないと思う。もともと過去の彼女のアルバムにはこうしたトラッドものが顔を出していたのは事実で、その拘りは感ずるが・・・・・ここまで迫られると芸術性が高くなった分、ちょっと難物となった。

参考)
62557_444917708535_5510521_n<ブランフォード・マルサリスBraford Marsalis>  (ネットにみる紹介)
  1960年8月26日、ルイジアナ州ニューオリンズ生まれ。教育者エリスを父に持つ音楽一家に育ち、4歳でピアノ、小学校でクラリネット、15歳でアルト・サックスを演奏。父親が教鞭を執るニューオリンズの芸術専門学校と、ボストンのバークリー音楽大学に学び、’80年にクラーク・テリー・ビッグ・バンドでプロ・デビューした。’81年には、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズと、実弟ウィントンのグループに加入。’83年に、故ケニー・カークランドやジェフ・ワッツらと初リーダー作『シーンズ・イン・ザ・シティ』を発表し頭角を現した。以後、『ロイヤル・ガーデン・ブルース』『ルネッサンス』などの話題作を出す一方、マイルス・デイヴィス・グループでも活動し、『デコイ』の録音に参加。’85年にスティングの『ブルー・タートルの夢』に加わると、ツアー・メンバーとしても後援し、’88年には同バンドの一員として来日した。
 ’92年のアルバム『ブルース・ウォーク』で、グラミーの「最優秀器楽ジャズ・グループ賞」を受賞。’00年は、ピアノにジョーイ・カルデラッツォを迎えたカルテットによる『コンテンポラリー・ジャズ』で3つ目のグラミーを獲得。それに並行し、オルフェウス室内管弦楽団との近代フランス音楽集『クリエイション~20世紀フランス音楽作品集』もリリースし、ジャズ以外の舞台にも成果を残してきた。カルテットによる最近作は、『ブラッグタウン』と『メタモルフォーゼン』で、共に世界的なヒットになった。

(評価)
□ 曲  :  ★★★★☆
□ 演奏 : ★★★★☆
□ 録音 : ★★★★☆

(視聴)

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