女性ヴォーカル

2019年10月19日 (土)

ロバータ・ガンバリーニRoberta Gambarini 「DEDICATIONS」

説得力十分のジャズ・ヴォーカルの自信作・・・三大女性ジャズ・ヴォーカリストに捧げる

<Jazz>

Roberta Gambarini 「DEDICATIONS」
55 Records / JPN / FNC J-5566 / 2019

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Roberta Gambarini ロバータ・ガンバリーニ (vocal)
Jeb Patton ジェブ・パットン (piano)

2019年1月14日ニュージャージー州サウスオレンジSouth OrangeのAlley Cat Productions録音

 イタリア・トリノ出身で米国にてジャズを学び活躍しているロバータ・ガンバリーニ(1972年生れ)のアルバム。彼女に関しては10年前にアルバム「EASY TO LOVE」(IOR 77084)で話題になったことは何となく覚えているが、その後特に歩みを追ってこなかったが、我が友人よりこのアルバムを教えられて、なんとなく興味を持って聴いたというところだ。
 まず注目点はピアノとのデュオで歌い上げるところだ。これはなかなかヴォーカルに自信がないと出来ない技、そして第二の注目点は、歴代女性ジャズ・ヴォーカリストのエラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレエの三人に捧げられた一編であることだ。これもヴォーカルに自信のある現れであるとみれる。

 

Rg1 (Tracklist)

1. Lady Be Good / How High The Moon
2. As Time Goes By
3. Willow Weep For Me
4. Blame It On My Youth
5. Two For The Road
6. Lullaby Of Birdland
7. It Don't Mean A Thing
8. Misty
9. I Can't Give You Anything But Love

 なかなかじっくり歌い込むタイプですね。そしてドラマチックな歌唱というのは当たっていると思う、それは結構艶のある歌声で低音から高音までしっかり発音してのヴォーカルは評価に値する。ボストンのニューイングランド音楽院で学んでのアメリカ・デビューを果たしたというだけに実力派だ。ムーディーに歌うジャズ・ヴォーカルと違ってなかなか迫力すら感ずるところはアメリカン・ジャズ世界でどのように迎えられるいるのか、ちょっとその点は不明だが、こうして順調にアルバムをリリースしているところは見事である。とにかくM2."As Time Goes By"ではドスの効いたという表現にあたる歌い舞わしもみられるのだ。
 パットンのピアノはジャズ・ピアノそのもので、ムード作りに貢献しているが、とにかく彼女の迫力ある歌声が響きわたって、バランスからみてこのコンビでよかったのかと私は若干思ってしまうが、それが又いいという評価もあるのだろうと想像しているのである。
 そしてやっぱり聴き慣れているM3."Willow Weep For Me"そしてM4."Blame It On My Youth"と流れていって解るのだが、従来のジャズ・ヴォーカルと一線を画していて、柔軟・弾性・張り・躍動・情感と人一倍優れていて、希有に感ずるところもあるヴォーカルだ。
 聴き慣れたと言えうか、私の好きな曲M8."Misty"では、やはり彼女の人並み外れた歌唱力に感心してしまうのだ。

 まあ、後は好みと言うことになるが、近年の女性ジャズ・ヴォーカルのパターンとは違って説得力十分で、むしろそれが好き嫌いの別れるところにあるかと思うが・・・・。私の場合は時にはこのタイプも面白いと聴いた。

(評価)
□ 選曲・歌 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆

(参考視聴)

 

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2019年10月15日 (火)

メリッサ・スティリアノウMelissa Stylianou 「NO REGRETS」

こちらはNYのナイトクラブ・ムードをやさしく醸し出す

<Jazz>

Melissa Stylianou 「NO REGRETS」
Anzic Records / US / ANZ-0046 / 2014

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Melissa Stylianou - Voice
Bruce Barth - Piano
Linda Oh - Bass
Matt Wilson - Drums
Anat Cohen - Clarinet (6,9)
Billy Drewes - Alto Saxophone (3,8)

Recorded Live to Two-Track by James Farber at Sear Sound, NYC, March 11, 2014

 ニューヨークで活躍中のメリッサ・スティリアノウMelissa Stylianouのヴォーカル・アルバム「SILENT MOVIE」(ANZ-6636/2012)を先日取り上げたので、ついでにその後の近作のこのアルバムも検証だ。しかし近作と言っても2014年リリースの5作目で、その後は新作が無いようだ。前作同様、バックはピアノ・トリオが中心だが、2曲にアナット・コーエン(クラリネット)をゲストに、又その他アルト・サックス(ビリー・ドリュース)も2曲に入るというタイプ。まあ清々しくナチュラルな歌唱で魅了するカナダ・トロント出身の彼女だが、このアルバムは活動しているNYのムードが漂っている。

(Tracklist)

01. Nice Work If You Can Get It
02. Remind Me
03. I Got It Bad (Feat. Billy Drewes)
04. Humming To Myself
05. I Wish I Knew
06. Somebody's On My Mind (Feat. Anat Cohen and Linda Oh)
07. Down by the Salley Gardens (Feat. Matt Wilson)
08. A Nightingale Can Sing The Blues (Feat. Billy Drewes)
09. I'll Never Be The Same (Feat. Anat Cohen)
10. Polkadots and Moonbeams
11. I Mean You (Feat. Bruce Barth)

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 ニューヨークで活躍中のブルース・バース(p)、リンダー・オー(b)、マット・ウィルソン(ds)がバックを固め、このアルバムは前作よりは明らかにニューヨークのジャズ・ナイト・クラブ・ムードで満ち満ちている。相変わらず彼女のヴォーカルはマイルドで角が無く、あまり癖というものを感じさせない好感度の高いモノだ。
 オープニングM1."Nice Work If You Can Get It"はガーシュインの曲で、それに続く曲群も同様にスタンダート曲が中心である。
 M6."Somebody's On My Mind", M9." I'll Never Be The Same" は、Anat Cohenのクラリネットを入れて落ち着いたムードを歌い上げる。
 M7." Down by the Salley Gardens " はがらっと変わった印象だと思ったら、アイルランド民謡らしい。非常に素直な歌声でゆったり語り聴かせる。このあたりは前作のフォーク調を愛する彼女の一面なんだろう、注目曲。
 M10."Polkadots and Moonbeams " とにかく優しく美しく包み込んでの物語調ヴォーカル。
 M.11." I Mean You " ピアノ曲をピアノのように珍しく弾んで歌う。

  全体的には、優しいムードとゆったりと非常に美しく歌い上げるスタンダード・ジャズといったところで、無難。印象はやはり極めて良好であるが、聴きようによってはちょっと冒険が無くて物足りなさを感ずるかもしれない。

(評価)
□ 選曲・歌 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆

(試聴)

 

 

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2019年9月22日 (日)

メリッサ・スティリアヌMelissa Stylianou「SILENT MOVIE」

とにかく柔らかく澄んで温かみのある美しい声は特筆ものである

<Jazz>
MELISSA STYLIANOU  「SILENT MOVIE」
Anzic Records / US / ANZ-0036 / 2012

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Melissa Styianou(vo)
Pete McCann(g)
Gary Wang(b)
Rodney Green(ds) 
Jamie Reynolds(p)
Anat Cohen(ss=M2.5, bs=M4,11, cl=M9) 
Jamie Shipp(perc=M2,4,5,10,11)
Yoed Nir(cello=M4,10,11)

51hwxcsze4l  カナダはトロントに生まれたジャズ・ヴォーカリストMELISSA STYLIANOU(メリッサ・スティリアヌ)の第4作目のアルバム(2012年リリース)。実はこの歌手知らなかったんですが、1976年生れと言うことで、このアルバム制作時は30歳中頃ですね。今年リリースされた寺島靖国の「For Jazz Ballad Fans Only Vol.1」で知って、是非聴いてみたいと手に入れた一枚なんです。結論的に聴いてみて良かった一人ですね。
 実はこのアルバムは、彼女がWEBでCDリリースの為の$13,500を目標に寄付を呼びかけ、約150名の方がそれに賛同、目標金額を達成し、CD完成に至ったのだという。それ以前の三作は自主制作であったようだ。この後2014年にアルバム「NoRegrets」(同じANZICから>右上)もリリースしている。彼女は、現在、ニューヨークを拠点に活動しているようだ。

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(Tracklist)
01. Smile
02. Something in the way she moves
03. Silent Movie
04. Onde Ir
05. Hearts and Bones
06. Today I Sing the Blues
07. Hearing Your Voice
08. I Still Miss Someone
09. The Folks Who Live on the Hill
10. First Impressions
11. Swansea
12. Moon River

 最初と最後に"Smile"、"Moon River"というおなじみのナンバーが登場しています。とにかく彼女の歌う声の質が、伸びやかにして柔らかく美しく癖の無いのがいいですね。これが何と言っても強みです。寺島靖国もこれに参ったんでしょうね。
 James Taylor (M2.“Something in the Way She Moves”)の曲を聴くと、妖艶なというのでなくむしろ素直な素朴な美しさが漂っている。
 アルバム・タイトル曲M3."Silent Movie"こそ、清純さすら感じられる美しさだ。そしてM5."Hearts and Bones”のPaul Simon"の曲、更にJohnny Cash のM8.“I Still Miss Someone”などを聴くと、意外に彼女はこうしたフォークっぽい曲が好きなのかもしれない。
 M9."The Folks Who Live on the Hill "などはギターとクラリネットのバックで、静かに説得力のある歌を聴かせ、当初のイメージを完全に変えさせられた。

 彼女のデビューは1999年で、2003,2004,2006年と3回、自国のNational Jazz Awards of Canadaで、ジャズ・ヴォーカリスト・オブ・ザ・イヤーにノミネートされた様だ。ただ商業ベースにしっかり乗っているようで無く、現在2014年以来はアルバムリリースは無い。ニューヨークのジャズ・クラブで歌っているようだが、ナイトクラブ的ムードとちょっと違ったところがそんなところになっているのかもしれない。
 近年の彼女、体格はSinne Eegと同等に迫力ある。それはそれとしていずれにしても彼女の声の質、やさしいムードはこれからも支持は必ずありそうだと思うのだが。

(評価)
□ 選曲・演奏・歌  ★★★★☆
□ 録音       ★★★★☆

(試聴)

 

 

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2019年9月18日 (水)

なんとなく好きな曲 (2)  「 ESTATE (夏) 」・・夏の恨み節

どこか哀感のある美旋律が・・・・・

Thfvyj925bw  イタリアのブルーノ・マルティーノの曲「ESTATE」を取り上げたい。

 この曲は現在ジャズ界では、多くの演奏家やヴォーカリストによって歌われ演奏されている曲だ。イタリアのピアニストであり作曲家・歌手であったブルーノ・マルティーノBruno Martino(1925-2000)(右)が作曲した曲であり、彼自身が歌って1950年代にヒットしたもの。
 しかし、現在は女性ヴォーカリストに好まれて歌われているし、一方歌なしのピアノ・トリオとして演奏されている場合も多い。そんなところから、私の所持しているアルバムを紐解いてみると、取り敢えずは下のように11の演奏家、歌手のものが出てきた。
 最もポピュラーなのはピアニスト・ヴォーカリストのEliane Elias(右下)ですかね。演奏としては美しいピアノを聴かせてくれるMichele Di ToroとかLynne Arriale、Steve Rudolphなどが気になりますね。そんなわけでこの11ミュージシャンの演ずるものを取り出して、聴いて楽しんでいるのである。

 

<ESTATE を演ずる11ミュージシャン>

Elianeeliasw 1. Akira Matsuo Trio
2. Clara Vuust
3. Andreas Mayerhofer Trio
4. Mette Juul
5. Michele Di Toro
6. Sara Lancman
7. Lynne Arriale Trio
8. Francesca Tandoi Trio
9.Steve Rudolph Trio
10. Eliane Elias
11. The Kirk Lightsey Trio

 こんな演奏・歌などが出てきたので取り敢えず聴きやすいようにCD一枚にまとめてみた。
 もともと歌詞は下の通りで、ブログで日本語訳も載せているものがあったのでここに紹介する。

[ ESTATE  イタリア語歌詞 ]
Estate sei calda come i baci che ho perduto,
sei piena di un amore che è passato
che il cuore mio vorrebbe cancellar.
estate il sole che ogni giorno ci scaldava
che splendidi tramonti dipingeva adesso brucia solo con furor
Verrà un altro inverno cadranno mille di petali di rose
la neve coprirà tutte le cose e forse un po di pace tornerà.
Odio l'estate
che ha dato il suo profumo ad ogni fiore,
l'estate che ha creato il nostro amore
per farmi poi morire di dolore.

Tornerà un altro inverno cadranno mille petali di rose la neve coprirà tutte le cose e forse un pò di pace tornerà.
odio estate
che ha dato il suo profumo ad ogni fiore
estate che ha creato il nostro amore
per farmi poi morire di dolor.
odio estate.
odio l'estate.

Clara_vuust1wMettejuul1wLynne72145ew_20190915212101Francescatandoi1w

(Clara Vuust,  Mette Juul,  Lynne Arriale,  Francesca Tandoi)

[ Estate (夏 ) 日本語訳 ]

山本のりこ訳 (http://noriko-yamamoto.cocolog-nifty.com/memo/2011/07/estate-0e4b.html )
Cdw
それは失ったキスのように熱く
心から消してしまいたいと私が願う
ある過ぎ去った愛に満ちている

私たちを毎日温めた太陽
絵のように美しい夕暮れ
いまは怒り狂うように照りつける
また冬になれば
幾千の薔薇の花びらが落ち
雪がすべてをおおうだろう
そうすれば しばらくの平和が戻ってくる

それぞれの花に香りを与えて
夏は二人の愛をつくった
私を苦しみで殺すほどに
夏を憎む

 これはがマルティーノが「夏の恨み節」を歌ったようだが、女心なのか自分の経験の男の歌なのかそれは良く解らないが、現在は殆どが女性に歌われていて、私としては女心ではないかと。推測している
 ヴォーカルでは、Clara Vuustが素直な歌、Mette Juulはしっとりと、Sara Lancman、Francesca Tandoiは恨み節、Eliane Eliasは大人の回顧といった感じですね。
 演奏ではMichele Di Toroは静かに回顧する、Lyne Arrale Trioは思い出をかみしめて、Steve Rudolph Trioは思い出を軽く美しく、The Kirk Lightsey Trioは人生の新たな出発点として・・・と、いった異なったムードの演奏だ。

 ヴォーカルもそれぞれ違うし、演奏も全く異なる世界に・・と、十分聴き応えがあった。これぞミュージシャンってとこですね。

 

(試聴)

①   Clara Vuust

②  Eliane Elias

 

③ Lynne Arriale Trio

 

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2019年9月14日 (土)

イリアーヌ・イリアスEliane Elias のニュー・アルバム「Love Stories」

ストリングス・オーケストラを擁しての「いろいろの形の愛」を歌う

<Jazz>
Eliane Elias 「Love Stores」
CONCORD Jazz / JPN / UCCO-1210 / 2019

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Eliane Elias- vocals, piano
Marc Johnson – bass
Mark Kibble – background vocals (2)
Marcus Teixeira – guitar (1, 2, 3, 6, 9)
Daniel Santiago – guitar (2)
Roberto Menescal – guitar (8)
Edu Ribeiro – drums (1, 2, 3, 9)
Rafael Barata – drums (5, 8)
Paulo Braga – drums (4)
Celso de Almeida – drums (6)

 円熟のイリアーヌ・イリアスのニュー・アルバム登場。近年では、2015年作品『メイド・イン・ブラジル』でグラミー賞を獲得し、その後も『DANCE OF TIMES』(2017)、『MUSIC from Man of La Mancha』(2018)と矢継ぎ早にアルバムをリリースしているピアニストのイリアス、もうこれで26・7枚目位になる。彼女は1960年生れですから、すぐ還暦です。しかしアルバム・ジャケの写真は若くて驚きますね。写真というものは恐ろしいです(笑い)。
 今作は新たなオーケストラ・プロジェクトを擁して、「イリアーヌの愛へのオマージュ」と銘打っている。中身は多彩で、全て彼女のアレンジによるもので、当然と言えるボサ・ノヴァ、そしてなんとシナトラ・ヒット、更に自己のオリジナル曲(3+1)までを収録している。とにかく彼女のピアニスト、ヴォーカリスト、アレンジャー、コンポーザーそしてプロデュサーとしての多彩な才能発揮のアルバムである。

Eliane_elias (Tracklist)
1. A Man and a Woman
2. Baby Come to Me
3. Bonita
4. Angel Eyes
5. Come Fly with Me
6. The Simplest Things *
7. Silence *
8. O Barquinho (Little Boat)
9. The View *
10. Incendiando * (Bonus Track)
*印 Music by Eliane Elias

 まず聴いてみて解るのは、所謂ピアノ・トリオのスタイルに曲によりギターが加わり、そして全曲ストリングス・オーケストラが支えていて、所謂ジャズ演奏よりはムーディーな彼女のヴォーカル・アルバムと言うところを優先している。前作『MUSIC from MAN of La MANCHA』が彼女のヴォーカル抜きの本格的ピアノ・トリオ・ジャズだったので、おそらく、ここではジャズ・ファン向けと言うより広く一般向けに仕上げたアルバムを企画したのだろう。又全曲英語で歌っていることもあり、これは久々にかなりのヒット作となりそうだ。
 アルバム・テーマは「愛」だが、イリアーヌは、「ロマンチックな愛は、感情の現れる様々な愛のうちの一つにすぎず、本作収録の様々な曲を通じていろいろな形の愛を実感してもらい、また愛おしく感じてほしい」というのだ。

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 スタートは、M1."A Man and a Woman"と、なかなか振るっている。この曲の出典である映画「男と女」はここでもふれたので、中身はそちらに譲るが世界的ヒット曲だ。この冒頭からイリアーヌのマイルドにして中低音がソフトな包容力ある歌声が広がる。
 M4."Angel Eyes"は珍しく中盤から後半には、ピアノ・トリオの演奏が中心となるが、やはりストリングス・オーケストラが加わる。この曲は、むしろオーケストラ抜きの方がよかったのでは、というのは私だけだろうか。
 M6."The Simplest Things"は、彼女のオリジナル曲で、なかなかムーディーで、彼女の優しさ溢れる歌が堪能出来る。
 M7."Silence"も彼女のオリジナル。更に静かに流れるような曲で、ストリングス・オーケストラが美しく曲を流して、これぞオーケストラの有効な曲だ。歌も微妙な愛の姿を切々と歌い上げての佳曲。
 M8."Little Bout"は、取り敢えず定番のボサノバ。
   M9."The View"も彼女のオリジナル、やはりやや哀感のあるラブストリーだ。このアルバムはこれで締めくくりとなる。

 日本版は、更にM10のボーナス曲が収録されているが、イメージは全く異なる曲で、このアルバムの仕上げの描いた世界をむしろ壊している。曲は良いのだが、アルバムをトータルに仕上げているのに対して意味の無いボーナス曲、ちょっとセンスを疑う。

 イリアーヌのジャズ・ピアノを期待すると少々空しいが、ヴォーカル・ファンにとっては最上級の仕上がりだった。又彼女の作る曲はかなり美的な説得力があって、そうなのかとやや驚きつつ納得した。そんなアルバムとして取りあえずは無難な良盤と評価しておこう。

(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★☆ 
□ 録音     : ★★★★☆

(試聴)

 

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2019年9月 3日 (火)

キャロル・ウェルスマンCarol Welsman「This is Carol - Jass Beauties」

キャロル・ウェルスマンのピアノ弾き語りのマイルド・ヴォーカルと・・・
ニッキ・パロットのベースとのデュオをまじえて

511tjefn9jlw  ここで取り上げるのが少々遅くなったが、今年三月リリースのアルバムだ。我が美女狩りを得意とする友人から頂いていたアルバムで、2016年日本盤リリースの・・・・
『ディス・イズ・キャロルThis is Carol - ラヴ・ソング20』(MUZAK Fab./MZCF1340/2016)(→)がベスト・セラーとなり、それに続くキャロル・ウェルスマンのピアノ引き語りアルバム第二弾である。
 彼女はカナダのトロント生まれで、既に円熟期に入っていて、ここでも以前から何枚かの彼女のアルバムは取り上げてきた。

<Jazz>

Carol Welsman featuring Nicki Parrott 「This is Carol - Jazz Beauties」
MUZAK.Fab. / JPN / MZCF1385 / 2019

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キャロル・ウェルスマンCarol Welsman (ヴォーカル、ピアノ)
ゲスト:
ニッキ・パロット Nicki Parrott(ヴォーカル3/4/15、ベース1/3/4/6/8/15)
ラリー・クーンスLarry Koonse (ギター4/5/8)
録音:2018年11月/ロサンゼルス

 今回はベーシストに日本人気のニッキ・パロットを招いてピアノ、ベースのデュオ演奏にウェルスマンのヴォーカルを乗せている。それが又バックがシンプル演奏であり、その為アカペラに近いヴォーカルが手に取るように聴ける。又三曲ではパロットのヴォーカルも登場する。
 これは完全に日本人向けの日本盤アルバムで、とにかくポピュラーな曲がぞろぞろ出てくる。

0010946720_10w(Tracklist)

1. バードランドの子守唄
2. 慕情
3. アローン・トゥゲザー
4. サヴォイでストンプ
5. 酒とバラの日々
6. アズ・ロング・アズ・アイ・リヴ
7. 時の過ぎ行くまま
8. イルカに乗った少年
9. 降っても晴れても
10. ラヴ・ミー・テンダー
11. バット・ノット・フォー・ミー
12. グッド・ライフ
13. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
14. 素敵なあなた
15. ドリーム

 とにかく人気、実力を兼ね備えたトップ・シンガー&ピアニスト、キャロル・ウェルスマン。彼女の落ち着いた温もりたっぷりのマイルドにして包み込むような歌声が好感である。又彼女のピアノは非常に丁寧に優しく弾かれ、そこにニッキ・パロットのベースが6曲でサポートする。まあとがった刺激の無い、しかし軽くなく重量感のあるところはさすがベテランだ。

 上のListのように、とにかくなじみ深いポピュラーなスタンダード曲を後から後から登場させる。そんなところからとにかく刺激無くゆったりと聴くことが出来る。
 M2."Love Is A Many Splendored Thing 慕情" こんな映画音楽も懐かしい。
   M4."Stompin' At The Savoy"は、ピアノとベースのデュオの上にウェルスマンとパロットのヴォーカルのデュオが乗って、又ギターも加わって楽しい曲に仕上がっている。
   M5."Days Of Wine And Roses 酒とバラの日々"この曲が、このアルバムではギターも入ってちょっと特徴があって、なかなかよい出来だったと言って良いのだろう。
 M8."Boy On A Dolphin イルカに乗った少年"もピアノの調べに乗って美しく歌い上げている。
 M10."Love Me Tender"、昔プレスリーでよく聴ききましたが、ウェルスマンもしっとり歌ってくれる。
 M13."Fly Me To The Moon" 結構一生懸命歌ってくれてます。
 M15."Dream" これを聴くと、パロットと一緒のヴォーカル・デュオが結構良くて、もう少しこのスタイルあってもよかったのかなぁーとも思うところだ(3曲だけだった)。

 とにかく毒の無い素直な丁寧な優しいそしてちょっと洒落ているヴォーカル・アルバムで万人向きというか、日本人向けのやさしいジャズ・アルバム。これは多分、日本からの要請で、彼女の気合いの入ったアルバム作りの中での息抜きみたいなものなんでしょうね。何かジャズを求めての芸術性みたいなところからは別物で、簡素と言えば簡素な曲作りだ。ときにはこうゆう気楽なアルバムも良いと言っておきたい。

(評価)

□ 選曲・演奏・歌  ★★★★☆
□ 録音       ★★★★☆

(試聴)

 

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2019年8月14日 (水)

[名盤検証] ミーナ・クライアル MEENA CRYLE & THE CHRIS FILLMORE BAND 「in concert -Live on Tour 」

女性ギタリストのブルース・ヴォーカル・・哀愁と熱唱と

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<Blues, Rock>

MEENA CRYLE & THE CHRIS FILLMORE BAND 「in concert -Live on Tour」
Continental Record / Holland / CBHCD2028 / 2017

Inconcert

Meena Cryle :Vocals,Rhysm Guitar
Chris Fillmore : Lead Guitar
Roland Guggenbichler : Organ
Carl Kaye : Pedal Steel Guitar
Jojo Lackner : Bass
frank Cortez : Drums

   なんとオーストリア出身の1977年生れの女性シンガー・ギタリストのミーナ・クライアルのブルース・ロック・アルバム。リード・ギタリストはクリス・フィルモアが共演しての充実演奏をバックに、ブルース、ソウル、ロックのヴォーカル・アルバムだ。
 なんとなく、時にブルースが無性に聴きたくなるのだが、元祖黒人のブルースは当然としても、白人系でもブルースをこよなく愛して演ずるミュージシャンも多い。あのエリック・クラプトンもそんな一人であり、又ここで取り上げたピーター・フランプトン、スノーウィ・ホワイト等の英国陣もなかなかそれなりのブルースを演じてくれる。

Meenabyjohanneswahlw  さてこのミーナ・クライアル(→)だが、注目は女性シンガー・ギタリストと言うところだ。ブルースの女性版はやはり注目したくなる。彼女は、アルバム・デビユーして既に20年近くになっている。最近と言っても彼女が40歳にならんとしていた2017年に、リリースされたのがこのアルバム。当初はミーナ独自の名義でのアルバムとして2001年に「twilight zone」がリリースされているが、やはりギタリストとしてクリス・フィルモアがサポートしている。そしてこのアルバムはライブ盤であるが、The Chris Fillmore Band と彼女と対等な名義でのアルバムとなっている。この形は前作「TELL ME」からで、こうしたブルースは如何にギターの味が重要かと言うことも示していることである。
  彼女はこのフィルモアとの共演で、ギター演奏はリズム・ギターに寄っているが、ここではヴォーカルに大きなウェイトをおいていて、独特のややハスキーなパンチのある熱唱の面と、時にブルース独特の哀愁のある訴えるところを巧みにこなすのである。

 

Songlist

1448998707_comp_20151128_w   ソング・リストは上のようだが、冒頭1曲目はロックで展開するが、M2."Since I Met You Baby"には堂々のブルースを展開して、彼女の歌と共に、やや後半にはフィルモアの泣きギターが訴えて、これぞブルースだと展開する。
 M3."Rather go blind"はこんどはしっとりとミーナが歌い上げ、後半は熱唱に。こうして聴いてくるとさすが暦年のブルース女子が円熟期を迎えて充実した歌唱力発揮である。
 M4.M6.はロックそのもの。
   M5."It makes Me Scream" なにせ人気曲。これは語り調の哀愁あるギター・プレイからスタートして、おもむろにミーナのブルース節が切々と迫ってくる。このアルバムでもトップ・クラスの出来。いやはやフィルモア(→)のギターに惚れ惚れしてしまう、約9分30秒の曲。
  M7."Load have Mercy"ここでもブルースを展開。
  M8."Tell Me"これが懐かしの演歌調スロー・バラード調ロック、ギターも歌い上げて久々に懐かしい気持ちになる。
 そしてM9.はロック、M10.は再びスロー・バラードととにかく変化を持たせて飽きさせない。彼女は歌が旨くて曲による歌い回しに情感が行き届いていて納得。多分これはこのステージのお別れの曲。そして以下のM11.M12はアンコールのようだ。

  いやはや久しぶりにブルース、ブルース・ロック、ロックン・ロール、泣きギター、そしてしっとりの哀愁のヴォーカル、さらにはジャニス・ジョプリンなみの熱唱と、諸々100%の満足感アルバムであった。
   
 ( Meena : Discopraphy )
2010: Try Me, Ruf Records
2012: Feel Me, Ruf Records
2013: Tell Me, Ruf Records (Meena Cryle & The Chris Fillmore Band)
2017: In Concert: Live On Tour, Continental Blue Heaven (Meena Cryle & The Chris Fillmore Band)

(評価)
□ 曲・歌・演奏 :  ★★★★★
□   録音     : ★★★★★☆

(試聴)     "It Makes Me Scream "

 

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2019年8月10日 (土)

エマ・フランク EMMA FRANK 「COME BACK」

SSWのフォーキーにしてエレガントなヴォーカル

<Jazz , Rock, Pops, Folk>

EMMA FRANK 「 COME BACK 」
JUSTIN TIME RECORDS / Canada  /  RCIP-0289 / 2019

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Emma Frank (vo)
Aaron Parks (p , syn)
Tommy Crane (ds)
Zack Lober (b)
Franky Rousseau (g , syn)
Simon Millerd (tp) #6
Chi eh-Fan (vla , vn) #1, 3
Pedro Baraquinha ( g , b , perc , syn) #9

 この歌手は私の場合初物である。ちよつと巷ではそれなりの評価が出ている様子であり聴いてみたモノである。
 この作曲家・歌手のエマ・フランクEmma Frankはアメリカ生れで、カナダ・モントリオールの大学へ文学を専攻するために住んだ。そこでミュージシャンとしての道に進み、現在カナダ、アメリカでの音楽活動の道にいて、どちらかというとニューヨークが中心の活動になっているようだ。
 このアルバムはプロデュサーのフランキー・ルソーの力が大きいようだが、エマ・フランク自身も作曲家としての力を十二分に注いだものであり、又注目されるのはジャズ・ピアニトストとして今や私も関心の高いアーロン・パークスのピアノがバックに控えているところだ。この関係でのアルバム2作目となるものとか。

Emmafrank2 (Tracklist)
1. I Thought
2. Either Way *
3. Two Hours
4. Sometimes
5. Promises
6. Dream Team *
7. See You
8. Lilac *
9. Before You Go Away

*印以外はEmmaのオリジナル曲

 冒頭のM1."I Thought" は、シンガー・ソング・ライターでヴォーカリストの彼女の曲からスタート。成る程これはフォークぽい流れの中にエレガントな世界が展開し牧歌的世界というのが当たっている。彼女の歌声もソフトにして美しく包み込むような魅力がある。バックにはアーロン・パークスのピアノ・トリオに加えてViola, violin も加わっての曲作りだが、これはジャズというよりは、Folk, Pops, Rock の世界である。そしてその流れはM2.においても同様で、これがアルバム全編に及んでいるのだ。
 私はジャズの愛好者ではあるが、もともとロックの愛好者でもあり60年代から延々と続いているのだが、実はその流れからしてこの曲作りをみると、メンバーがジャズ・メンということでジャズと思われるかもしれないが、明らかにジャズというよりはPopsに近いFolkの世界であって、そのためジャズ愛好者からは異色で関心がもたれるのかもしれない。
 M3."Two Hours"は彼女自身の曲だが、支えるピアノにもまして高音の流れるような歌声、そしてハーモニー、ストリングスの流れが美しい曲。
 M5."Promises"、ここでは、ヴォーカルとピアノが対等に歌い上げるが、やはりパークスのピアノは魅力的。
 ここまで聴いてくるとM7あたりは添え物程度の曲で、M8."Lilac"になって、何か展望を感ずる世界を訴える。パークスのピアノもここでは弾んでいる。
 最後のM9."Before You Go Away" になってギターが登場してフォーク・ムードを静かに支えるも、パーカッション、シンセが参加して展望的に広がって終わる。

 確かに全編ノスタルジックで情緒豊かであり、暗くはないが、ただ明るいわけでもない。そこには歌詞の意味を十分理解してみないと簡単には評価してはいけないムードも感ずる。とにかくソフトにして美しくエレガントで、自然の中での人間の存在の価値観にも通ずるところも感じられて良いアルバムである。ただしやはりこれはジャズ分野で取り扱われているが、ジャズとは言いがたいですね、技法だけでなく世界観が違うとみる。

(評価)
□ 曲・演奏・歌 ★★★★★☆
□ 録音     ★★★★☆

(試聴)    " I Thought "

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2019年8月 2日 (金)

スーザン・トボックマン Susan Tobocman のニュー・アルバム「LOVE FROM DETROIT」

独特の発声と歌い回しで・・・・オールマイティーに

<Jazz>

SUSAN TOBOCMAN 「LOVE FROM DETROIT」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1079 / 2019

Lovefromdetrroitw_20190730123801

Susan Tobocman スーザン・トボックマン (vocal except 12)
Cliff Monear クリフ・モネア (piano)
Paul Keller ポール・ケラー (bass)
David Taylor デヴィッド・テイラー (drums)

Recorded Live at The Steinway Gallery on Nov. 7th, 2018

  過去に2アルバムが手元にあるニューヨークやデトロイトで活躍する女性歌手のスーザン・トボックマンの、5年ぶりのリリースとなるニュー・アルバム。
 ここで彼女を最初に取り上げたのは2013年に寺島レコードからアルバム「WATERCOLOR DREAM」がリリースされたときだった。彼女のヴォーカルは、所謂都会派ジャズ・クラブにぴったりスタイルで評判だった。
 過去の2アルバムは、2013年「WATERCOLOR DREAM」(TYR-1036)、翌年「Live in Detroit」(TYR-1040)がリリースされていて、今回はその2作目の続編といってもよいものである。 
 前作に引き続いてバックはクリフ・モネア(p)率いるピアノ・トリオだ。今回もデトロイト(場所も前作と同じスタインウェイ・ギャラリー)でのライヴ録音盤。

Susant3 (Tracklist)

1. Let's Face The Music And Dance (Irving Berlin)
2. The Way To You (Susan Tobocman)
3. I Should Care (Paul Weston, Alex Stordahl / Sammy Cahn)
4. Jim (Caesar Petrillo, Milton Samuels / Nelson Shawn)
5. I Could Have Danced All Night (Frederick Loewe / Alan Jay Lerner)
6. Too Late Now (Burton Lane / Alan Jay Lerner)
7. Fragile (Sting)
8. Frim Fram Sauce (Joe Ricardel / Redd Evans)
9. Every Time We Say Goodbye (Cole Porter)
10. Isn't It A Pity? (George Gershwin / Ira Gershwin)
11. I Wish I Knew (Harry Warren / Mack Gordon)
12. Touch And Go (Susan Tobocman) (instrumental)
13. I'll Be Seeing You (Sammy Fain / Irving Kahal)

 収録以上13曲。ますますジャズ・クラブ・ムードたっぷりの彼女のヴォーカルは円熟味を増しての感がある。ただし、ライブ録音の技術的問題の為かもしれないが、声量は以前より落ちているような印象がする。

 軽快にM1."Let's Face The Music And Dance"がスタートする。そうそうこの歌い方は彼女独特の世界だ。しぶいしゃがれ声と彼女独特のアクセント、それは彼女のオリジナル曲M2."The Way To You"のようにじっくり歌い上げる曲だとなおさら強調される。これは声の出し方に一息溜めて出す手法で実感は深い。ライナーの後藤誠一はこの技法に旨さの深みを強調していたが、私は少々気になる。これは1stアルバムでも見られたが、このアルバムに来てなお強調されている。
 M4."Jim"となると、クリフ・モネアのピアノ・トリオの味付けが如何に生きているのが解る。
 M5."踊り明かそうI Could Have Danced All Night "誰もが聴き慣れたこの曲の軽快な展開に、やはりこのトリオの生きの良い演奏と彼女の気合いの入ったヴォーカルが会場を喜ばせる。そして一転してじっくり歌い込みのM6."Too Late Now "、しかしこの曲途中からの転調してのスウィング・リズムを混ぜての旨い編曲が見事。
 M7." Fragile "は、スティングの代表曲。これも結構トボックマン節に化けている。こうして聴いているとやっぱり彼女の歌は旨いのが実感出来る。このアルバムでも出色の出来だが・・・・。
 M8."Frim Fram Sauce"は陽気そのもの。コール・ポーターのM9."Every Time We Say Goodbye"の歌い込みは情緒たっぷり。M11." I Wish I Knew"の情感はやっぱり並ではない。こうゆうバラッドはお手の物なんでしょうね。
   M12."Touch And Go"トボックマンのオリジナルでしかもインスト曲。トリオの溌剌とした演奏。   M13. "I'll Be Seeing You "最後にふさわしいお別れの曲。ここでも情感が溢れている。

Sttrio

 とにかく彼女の全てを感じ取れるライブ録音盤だ。ドスの効かした低音、しっとりと聴かせる説得力、パンチの聴いた熱唱と、スカっとした晴れやかさと、歌い込み・テクニック・情感全てトップクラス、ただ後は聴く者の好みにあるかどうかでしょうね。先に触れた彼女の独特の節回しとアクセント、これはハートフルと言えばそうだけど、私は若干というかかなり抵抗がある。アルバム全編これで攻められると、途中で参ったと降参してしまう。最後の挨拶なんかを聞くと良い声をしているので、このままで素直に歌っているのも織り込んだらどうなんでしょうかね、それは無理な相談か。

(評価)
□ 選曲・歌・演奏 ★★★★☆
□ 録音      ★★★★☆

(試聴)

 

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2019年7月25日 (木)

エルELLEのファースト・アルバム「SO TENDERLY」

美しいガラティのピアノをバックにウィスパー・ヴォイスで

<Jazz>

ELLE 「SO TENDERLY」
TERASHIMA Records / JPN / TYR-1081 / 2019

Sotenderly

Elle (vocal)
Alessandro Galati (piano)
Guido Zorn (bass)
Lucrezio De Seta (drums)

Ag1   初お目見えのエルElle本人が期待していたとおりの、日本盤としてはビックリのデビュー・アルバムですね。これは寺島レコードとイタリアのピアニストのアレッサンドロ・ガラティAlessandro Galati(→)とのプロジェクト、その結果の産物なんですね。ガラティはジャズ畑での私の最も愛するピアニストであり、その彼に見いだされたというエルであるが、彼女がイタリアのジャズ・クラブで歌っているのを見つけたようだ。
 そんな結果生まれたアルバムであるので、ガラティの優しい美旋律の生きたピアノ・トリオの演奏で、彼女のヴォーカルがしっとりと聴ける。それはまあウィスパー・ヴォイスという世界ですね。寺島靖国もお気に入りとか・・・そうなれば聴かねばならない一枚となってます。

(Tracklist)

1. How Insensitive
2. Tenderly
3. Time After Time
4. These Foolish Things (Remind Me Of You)
5. Moon River
6. The Nearness Of You
7. Body And Soul
8. Over The Rainbow
9. I Wish You Love

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 やはり日本向け仕上げか、ポピュラーなスタンダード曲を中心に収録されている。
  そして成る程M1."How Insensive"での冒頭からソフトにしてマイルド、やや物憂いエルのウィスパー・ヴォイスが迫ってくる。続くM2."Tenderly"でもその流れは続き、中盤にガラティのソロに近いピアノ、そしてGuido Zornのベースが聴かれ、成る程ガラティの優しく美しくといった演奏もテーマになっていることが解る。
 とにかくエルはもともとはオペラ歌手も務めたとはいうが、極力抑えた発声で夜のジャズ・ムードを盛り上げている。
   しかし、その点はアルバム作りにも有能なガラティのこと、M3.,M4ではメディアム・テンポ曲を配して、そして再びM5."Moon River"、M6."The Nearness Of You"はスロー・テンポに仕上げている。そして彼女のややハスキーで語りかけるような歌声が相変わらず続く。それならむしろM3.,M4.ではもう少し明るく歌い上げたほうがアクセントがあって良かったのではとも思ったところである。まあ私にしてみれば、肩の力を抜いたガラティの美しい旋律のピアノを聴けるのであまり文句はないのだが、とくにそれはM6.M8."Over The Rainbow"の中盤にも顔を出して、しっとりとした中に美しさがあるピアノは出色である。まあこれが目当てでこのアルバムを手に入れているというところもあって、取りあえず満足のアルバムであった。

Trentinoinjazz

 エルに関しての情報は少ないのだが、ボサノバ曲を自作自演していたふしもあり、かなりの実力派か。年齢も30歳代 ?。又こうして聴いていると彼女の押さえられたややハスキーなウィスパリング型の声はむしろ作られたもので、かなり透明感のある声を持っている様子も窺える。そしてかなりチャーミングな面も持っていそうだ。又これからのガラっと変わった発展もありそうな予感がする。

(評価)

□ 選曲・歌・演奏  ★★★★☆
□ 録音       ★★★★☆

( 試聴 目下、この関係の映像等は見当たらないので・・・ちょっとお預け)

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