イーデン・アトウッドEden Atwoodのニュー・アルバム:「Angel Eyes」
やっぱり彼女のアルバムは完成品の風格
イーデン・アトウッドをここで話題にしたのは既に2年半も前になってしまう。その間に「Like Someone in Love」というアルバムのリリースがあったが、今回のこのアルバムは、私の独断と偏見によると彼女らしい面の良く現れたアルバムだと思うことと、まあ女性ジャズヴォーカル好きにとってはスタンダート的アルバムというところで取り上げたわけである。
Eden Atwood 「Angel Eyes」
Sinatra Society of Japan XQAM-1523 , 2012
Recorded June,2009/Umbrella Media,Chatsworth,CA/ December,2011,April 2012/Pinewood Studios,Missoula,MT
イーデン・アトウッドと言うと、私の好みからは、アルバム「This Is Always」(2004年)が最高で、それ以上のものはもう多分ないだろうと思っているのであるが・・・、それでもニュー・アルバムがリリースされると聴かざるを得ない存在である。
彼女は声帯に出来た腫瘍の切除術を受けてもう数年になるが、声の質が変わって高音部の繊細さは後退して、やや全体にハスキーになったと言われているが、それでも百戦錬磨のジャズ・ヴォーカル歴は伊達ではなく、歌唱技法の質の高度なところは万人の認めるところであろう。
(Members)
Eden Atwood : Vocals
David Morgenroth : Piano
Chris Colangelo : Bass
Kendall Kay : Drums
Craig Hall : Guitar
さてこのアルバムは、ブルージーな曲、ロック、そしてポピュラーなジャズ・スタンダードと多彩。左のような12曲+日本盤ボーナストラック1というところ。そして3曲目は彼女のオリジナル、その他は全てカヴァーである。
彼女自身が明らかにした”性”の問題を持った体質と、不幸な結婚歴、両親の離婚などから、陰の先入観でどうしても聴いてしまうのだが、1曲目”I'm so lonesome i could cry”はそんな意味でも、ベースの音からスタートしてピアノの演奏も聴き応えあり、彼女のヴォーカルも哀しき訴えの歌に聴こえてくる。そして確かに高音部のハスキーさは増して、昔とは違っていると言えば違うところか。
2.4.などは、ポピュラーな曲だが、しっかりイーデンの歌になっている。しかしこれらよりは3曲目の彼女の曲”As far as the eye can see”のほうが心に響く哀愁があって私は好きだ。
6.7.などはロックの曲をしっかりジャズ・ヴォーカル曲に仕上げているところはお見事。
5.”At last”はギターが、9.”The moon's a harsh mistress”はピアノがムードたっぷりの演奏で、彼女はしっとり唄ってくれて私好み。
12.”Company”は、コーラスが入るが、彼女の多重録音によるものらしい。ちょっと珍しい作りであった。
いずれにしても彼女のヴォーカル・アルバムは、本人はジャズ・ヴォーカルの本道とは異なったところに魅力を広げようとしているらしいが、結局のところ私から見ると、むしろ本道そのもので、ロックを唄ってもジャズになっており、ジャズ・ヴォーカルものとしては、完成品に近いものに感じられるが、いかがなものか。
今回リリースも、前作との間隔も手頃で順調な彼女の活動が窺われ、結構なところである。
(参考) http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/eden-atwood-f1e.html
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