スノーウィ・ホワイト

2021年7月16日 (金)

スノーウィ・ホワイト Snowy White 「SOMETHING ON ME」

ホワイトらしい優しさに包まれたブルース・ロック色が濃い

<Rock>

Snowy White and The White Flames「SOMETHING ON ME」
Soulfood / EU / SWWF2020 / 2020

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Snowy White : Guitor
Thomas White : Drums
Rowan Bassetts : Bass
Juan van Emmerloott : Drums, Perercussion
Ferry Lagenddijk : Piano, Organ
Max Middleton : Keys

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 スノーウィ・ホワイト Snowy White(1948-)(→)は私の愛するギタリストだが、70年代から活動し、80年代初頭にソロキャリアを開始した。「Blues Agency」、「Blues Project」、「The White Flames」などの名前で独自のバンドを結成してきた。かってのピーター・グリーン(フリートウッド・マック)、ピンク・フロイド、ロジャー・ウォーターズなどとの共演、そしてアイルランドのハードロックバンド、シン・リジィなどの活動も見逃せない。私が興味を持ったのは70年代にピンク・フロイドのサポート・メンバーとしての時代だが、その後ロジャー・ウォーターズとの活動は長きにわたった。

 このニュー・アルバムは「The White Flames」となっているが、メンバーは一新されている。もともと1993年から2000年の間に、彼は2人のなかなか味のあるオランダ・インドネシアのミュージシャン、Juan van Emmerloot(ドラム/パーカッション)とWalter Latupeirissa(ベースとリズムギター)と一緒にツアーとレコーディングを行った。 「The White Flames」として、彼らは『No Faith Requir』、『Restless』、『The Way It Is』、『Realistic』などの一連のアルバムをリリースし、ヨーロッパ全土でライブ演奏した。更にバンドはキーボードのマックス・ミドルトンMax Middletonをも増強しての充実ぶりだった。
 その後近年2017年の「The White Flames」のアルバム『Reunited...』(SWWF2017)ではこのメンバーが久しぶり集結していたが、2019年には『THE SITUATION』(SWWF 2019)をリリース。今回は主としてドラムスにThomas White、ベースにRowan Bassettsと (Juan van Emmerloottが曲により参加)なり、その他多様な「The White Flames」メンバーが競演していて、演奏スタイルも更に優しくなって変化している。そして彼の控えめな態度がそのものとして、ジャケでは彼は愛器ギブソンの影に顔を隠しているところが面白い。

Snowy_white1w_20210715154501 (Tracklist)
1.Something On Me (7:44)
2.Another Blue Night (5:09)
3.Another Life (5:13)
4.Get Responsible (5:08)
5.Cool Down (3:42)
6.Ain’t Gonna Lean On You (8:00)
7.It’s Only The Blues (5:45)
8.Commercial Suicide (7:05)
9.I Wish I Could (4:22)
10.Whiteflames Chill (4:29)
11.One More Traveller (4:40)

  全曲、ホワイト自身のオリジナル曲。相変わらず刺激のない彼独特のヴォーカルが聴ける。とにかくよき時代から今日までのロック界においては、最も紳士といわれる彼だから、極めて大人の味を聴かせてくれる。とにかくクラシックなブルース指向の英国のエレクトリック・ギター・プレーヤーの1人で、そのサウンド、テクニック、スタイルは、ブルースの独創性とモダンロックの因子を反映し、彼独自と言ってよい「イングリッシュ・ブルース」を構築した。ハード・エッジのリフを持ってブルース・フレーズを演じての世界は、極めて上品なギター演奏で、それに基づいたどちらかというとのんびりとしたブルージーな曲仕上げ、このアルバムは、なかなか品と味の音楽コレクションである。 

 こうしたブルースとの彼の交わりは、かって70年代に、今や伝説的なブリティッシュブルースのギタリストであるピーター・グリーンと親しくなり、一緒にジャムをすることに多くの時間を費やしたという経過が大きく影響していると思われる。これはバンド「Blues Project」という活動にも残されている。

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 彼自身が独自での主体的に演ずるとこんな世界となり、実は元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズの攻撃性のロックとは、見方によると相対するモノとなっている。ところがその彼がロジャー・ウォーターズの総決起集会のような何年にも及ぶ世界ツアーなどに、『Roger Waters THE WALL Live in Berlin』以降、ほぼ25年間に及ぶ間、ずっと長く付き合ってきたのは実に不思議な現象である。この違いこそが、むしろ両者をしてお互いに無いものをもってして、相手を認め合うところとなったのではないかと想像するのだ。男同士の付き合いというのはそれなりに不思議なもので、とにかく彼の今日の老界に突入する前は、殆どロジャー・ウォーターズとのお付き合いに費やされており、合間をみてソロ・アルバムをリリースしてきた。   

 このアルバムは、どちらかというとブルース主体のバンド「Blues Project」よりは、メンバーの関係か、ややハード・ロックよりの「The White Flames」名のバンドで演じたものであるが、それでも彼なりのブルースよりの演奏が主体になっている。とにかく何ともいえない優しい世界に包まれており、彼の今の安定した老期を迎えての一つの世界であると同時に、世界のコロナ・パンデミック社会を見据えてのアルバム作りになっていたものかも知れない。

(評価)
□ 曲・演奏・歌 :  85/100
□   録音     :  85/100

(試聴)

 

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2019年7月20日 (土)

スノウィー・ホワイトのニュー・アルバム Snowy White and The White Flames 「THE SITUATION」

枯れた味が魅力のロックとブルース

<Rock, Blues>

SNOWY WHITE AND THE WHITE FLAMES 「THE SITUATION」
Soulfood / IMPORT / SWWF2019  / 2019

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SNOWY WHITE & THE WHITE FLAMES
Snowy White : Guitor & Vocals
Walter Latupeirissa : Bass & Vocals
Max Meddleton : Keyboards & Percussion
Juan Van Emmerioot : Drums & Percussion
Kuma Harada : Bass
etc.
  
 スノーウィー・ホワイトの"THE WHITE FLAMES"バンドのアルバムだ。このバンドの前作は久々に一昨年「Reunited...」(2017)がリリースされた。それはスタジオ・ニュー・アルバムとして2011年の「Realistics」以来で久しぶりであった。バンド名は彼の1983年の初のアルバム・デビューの「White Flames」の名前をつけている。そしてメンバーも変わらずに今回それに続いて順調にお目見えした訳である。
 実は私は、彼らの総集編のような映像とCDのライブを納めた「Live at Rockpalast」(2014年)がリリースされて、これでこのバンドは一応納めたのかと思ったのだが、こうして2017年再結成アルバム、続いてこの2019年のニュー・アルバムと順調にアルバムがお目見えすることは、何につけても結構なことだ。
 一方つい一昨年彼は個人名義でアルバム「RELEASED」(2017)をもリリースしていて、これは彼としては例外的多作である。それはロジャー・ウォーターズとの長い「世界THE WALLツアー」などを終えてからの、経済的余裕と時間の確保と両方が実ってのアルバム制作だったのだろう。

 先日ここで英国ロックからのブルース・ギタリストPeter Frampton を取り上げたとなると、私はこのスノーウィ・ホワイトがどうしても気になる。彼は、主としてこの"The White Flames"と"The Snowy White Blues Project"の2つのバンドで、ロックからブルースを展開していて、なにせ極めて紳士プレイヤーで派手な動きがない。しっかり注意していないとニュー・アルバムにも気がつかずにいることになってしまう。もう彼もいい歳になって枯れた味が滲んできた。実はそれを聴きたいのである。
 これは完全にアルバム制作のスタジオ録音盤。このバンドの11作目か。

Snowy_white1w (Tracklist)

1.The Situation
2.This Feeling
3.L.A. Skip
4.Can't Seem To Do Much About It
5.Crazy Situation Blues
6.Blues In My Reflection
7.Why Do I Still Have The Blues?
8.You Can't Take It With You
9.Migration
10.The Lying Game
11.Hard Blu
12.I Can't Imagine

  とにかく前編スノーウィ・ホワイトらしく優しいムードに包まれている。このバンドのメンバーも、もう結構いい歳になっいるので、荒々しさはない。日本人で英国で活躍してきたベーシストのKuma Haradaも名を連ねていて、これも私にとっては久しぶりだ。
 やはり主体はブルースだが、全体的にしっとりとしたムードだ。相変わらずのホワイトのはヴォーカルは、歌というよりは語っているといったニュアンスである。

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(若き日のTHE WHITE FLAMES ↑)

 タイトル曲のM1."Situation"はパーカッションが響いて、珍しく軽快なラテン・ロック調。
   M2."This Feeling"は、今度はホワイトのシンセが、そしてギターが静かに神妙に流れるちょっと物思いに誘う曲。
 M5."Crazy Situation Blues" ここに来てブルースが全開。この曲は非常にゆったりとした静かなブルース。ホワイトの独特のヴォーカル、そしてギターも美しく流れる。
 M7."Why Do I Still Have The Blues" は、なんと8分以上の長曲仕上げ。静かな美しいゆったりしたギターでスタートして変調しての後半のロックとしての盛り上がりをみせるなど聴き応え十分。
   M9."Migration"は、珍しくキーボードも加わってヴォーカルなしのインスト曲。

 全体に聴きやすく、ホワイトの美しいギターが聴けるアルバム。このバンドとしては、やはり年齢的充実感といったところだろうか。前作に続いて初期のメンバーが再結集して人生を描いている風情を感じたところだ。

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★☆ 
□ 録音       : ★★★★☆

(試聴)  "Crazy Situation Blues"

 

 

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2017年5月19日 (金)

スノーウィ・ホワイトSnowy WhiteライブDVD&CD「Live at Rockpalast」

長年の結成バンドの総集編的アルバム

 先日スノーウィ・ホワイトのソロ・アルバム紹介したところで、それならばと是非とも彼の長年結成してきた「SOWY WHITE & THE WHITE FLAMES」を味わうべく、彼らの究極のライブ・アルバムをここで紹介することとする。
 CD2枚、DVD1枚というライブを映像とCDアルバムをカップリングしての豪華版。

<Blues Rock>
Snowy White 「Live at Rockpalast 」 
Repertoire / UK / REPUK 1208 / 2014

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SNOWY WHITE & THE WHITE FLAMES
Snowy White : Guitor & Vocals
Walter Latupeirissa : Bass & Vocals
Max Meddleton : Keyboards & Percussion
Juan Van Emmerioot : Drums & Percussion

Snowy_white_00 もともと1983年に、彼は遅まきながらソロとして『White Flames』というアルバムをリリース。これから彼のアルバムリリースが始まるわけだが、1996年に、彼のこのアルバム名を付けたトリオ”SNOWY WHITE & THE WHITE FLAMES”を結成(彼のGuitor & Vocalsに、Juan van Emerloot(drums,percussion) と Walter Latupeirissa(bass)の二人のオランダ出身のミュージシャンと共に)し、アルバム『No Faith Requred』をリリースして、その後このメンバーでは2011年の『Realistics』 までに8枚のアルバムがある。ロック、ブルースを演じてのホワイトにとっては大切なバンド。
 
  このメンバーは、時にキーボードを加えながら、ずーと変わらず来ているのだが、近年の活躍は少ない。そろそろ活発な再開するのを期待しているのである・・・・。
 さて、このアルバムは2007年と、それより約10年前の1996年のドイツにおけるライブを収録したものだ。それを2014年にリリースしたということは、総決算なのか、よっぽどお気に入りなのか・・と、いろいろと想像してしまう。
 それは、①ドイツ人気TV音楽番組Rockpalastの放送用にレコーディングされたもの(07年11月5日ドイツForum Leverkusenで行われたLeverkusener Jazztage出演)、②96年4月20日同じくLeverkusenで行われたCrossroads - Blues & More Blues Fest出演の2つだ(↓)。

DVD: (2 shows on one disc, Stereo and 5.1 Surround Sound)

(1) SNOWY WHITE & THE WHITE FLAMES: ‘Live At Rockpalast'
Leverkusener Jazztage, Forum Leverkusen, Germany, 5th November, 2007
1. I'll Be Moving On
2. American Dream
3. No Faith Required
4. Whiteflames Blues
5. A Miracle I Need
6. Wintersong
7. Terpisah
8. A Miracle I Need (reprise)
9. Interview (with Snowy White)
10. I Loved Another Woman

(2) SNOWY WHITE:
Rough Cut - Not Broadcast ‘Crossroads - Blues & More',  Bluesfest Leverkusen, Germany, 20th April, 1996
1. Intro
2. Looking For Somebody
3. Welcome To The Blues
4. American Dream
5. That Ain't Right
6. No Faith Required
7. Working Blues
8. A Miracle I Need
9. Long Grey Mare

 これにオーディオ用として、2枚のCDに17曲が収納されて同梱されている。

Walter22000w このaudiovisual作品DVDは、やっぱりなんと言ってもホワイトのギターに注目、彼はもともとギブソン・レスポールを愛用しているのだが、やはりそのテクニックは素晴らしい。ギター・テクニックというと、いまやジェフ・ベックがその名を欲しいままにしているが、このホワイトも決して劣るところは無く、そのサウンドの多彩さに感服できる。
 ベースのWalter Latupeirissa(→) のJazzyなプレイもなかなか味のもの。
 彼らのライブ演奏姿がリアルに感じられるところで、映像も落ち着いていてじっくり楽しめる。

Juan2copy2307w(1)2007年Rockplastもの
  これは、なかなか充実している。トリオにMax Meddleton のキーボード加わってて、曲の造りにも厚みが出来てなかなか味がある。映像も特にホワイトのギター・プレイをアップで見事に捉えていて、彼のようなテクニシャンが好むフィンガー・ピッキング・テクニックを堪能できる。
 中身は、既にCDリリースされていた2006年のライブ収録アルバム『LIVE FLAMES』 (2007)で私はしっかり聴いてきたので、ビックリするような珍しさはないが、やっばり映像ものはそれなりに楽しめる。
 アルバム『Little Wing』に登場する彼の十八番の”I'll Be Moving On”からスタート。彼の歌よりもうまく歌いあげるギターの音色に酔いますね。
 ”Whiteflames Blues”は、やっぱり彼の持ち味ブルースの世界をしっかり見せつける。
 1994年のソロ・アルバム『Highway to The Sun』からの曲”I Loved Another Woman”での終盤のホワイトの繊細なるギター・プレイには心底堪能し、彼の音楽的センスに感動するのである。

(2)は、このトリオ・バンド結成時のライブ映像、若きホワイトのテクニックが前面に出ていて彼の張り切りようが解る。当時の”American Dream”は見応え有り。記念的価値たっぷりの映像だ。
 
 とにかく、ここに来ての彼のライブ総集編を観るに付け、このような彼の存在はブリティッシュ・ロック界にとっても貴重であることを改めて知るのである。

 参考までにCD2枚はこんな内容だ。

<CD 1>
1. I'll Be Moving On
2. American Dream
3. No Faith Required
4. Whiteflames Blues
5. A Miracle I Need
6. Wintersong
7. Terpisah
8. A Miracle I Need (reprise)
9. I Loved Another Woman

CD 1, tracks 1-9 from SNOWY WHITE & THE WHITE FLAMES‘Live At Rockpalast', Leverkusener Jazztage, Forum Leverkusen, Germany, 5th November, 2007

<CD 2>
1. Looking For Somebody
2. Welcome To The Blues
3. American Dream
4. That Ain't Right
5. No Faith Required
6. Working Blues
7. A Miracle I Need
8. Long Grey Mare

CD 2, tracks 1-8 from SNOWY WHITE Rough Cut - Not Broadcast‘Crossroads - Blues & More', Bluesfest Leverkusen, Germany,  20th April, 1996

(視聴)

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2017年5月15日 (月)

スノーウィ・ホワイトSnowy White久々のアルバム「RELEASED」

一つの境地、非常に聴きやすいブルース・ロック

<Blues, Rock>
Snowy White「RELEASED」
Snowy White / Imp. / SWSOLO2016 / 2016


Released

all musics : written by Snowy White
Guitar : Snowy White
All instruments, synths and Programming and vocals : Snowy White

 私の愛するギタリストの一人、スノーウィ・ホワイト(Snowy White =本名Terence Charles White 1948年英国生まれ)のソロ・アルバム。彼ほど実力がありながら、目立たないロック・ギタリストはいないと言ってよいぐらいだ。常に一歩控えめな位置に居り、それだけに奥深さと味の深さを感じ取れる。そんな真摯にして紳士な彼の近作がこれだ。

 とにかくリラックスして聴けるブルース・ロック。今のスノーウィ・ホワイトのギターは激しさはなく、非常に心地よい響きだ。
 近年は、ピンク・フロイド時代からのお付き合いで、ロジャー・ウォーターズのツアーやライブには必ず同行している彼だが、あのウォーターズの足かけ4年に及んだ「The Wall ツアー」をこなし、そして昨年は「Desert Trip 2016」など、とにかく社会に常に打って出るウォーターズを、いつも静かに見守っているかの如くのツアー同行でのギター・サウンドを聴かせてくれている。そんな彼だが、昨年の少々の休みに、多分ふと我に返ってのことと思うが、独自のレーベルでこんなソロ・アルバムをリリースしていた。(彼のバンド・アルバム『REALISTIC』(2011年)、ライブ・アルバム『Live at Rockpalast』(2014年)以来の新作)

(Tracklist)
1.  Opening Peace
2.  The Blues Talking
3.  It's All Down To Me
4.  It's Always Love (That Breaks Your Heart)
5.  Out Of Control
6.  I Know What's Coming
7.  Blue Day
8.  Blues On A Borrowed Guitar
9.  Life Full Of Lonely
10.  Missing..
11.  Wrong Side Of The Tracks
12.  Everything - It's Alright
13.  How Was It For You

Sw3

 なんとも優しく聴きやすい彼のエレキ・ギタ-・サウンドや彼の演ずる各種演奏機器(シンセサイザー等)そしてヴォーカルでブルース・ロックを展開するソロ・アルバム。ホワイトは、ギターは殆どフェンダーでなく、ギブソン(レスポール)を使うところが特徴だ。
 M8.”Blues On A Borrowed Guitar”を代表的に、得意のブルース・ギターを十分味合わせてくれる。
 いずれにしても、このアルバムの彼のギター・サウンドは、全体的に非常に角の無い優しさとクリアな音色とで、時に泣きも入って聴く者をして安らげてくれる。
  M9.”Life Full Of Lonely”は、彼の得意な繊細なクリアーにして軽快なギター・サウンドを、このアルバムでは珍しく”The White Flames”のメンバーと共に聴かせてくれ、近年お付き合いのMax Middletonのピアノとの交わりがなかなか洒落ていて味わい深い。
  M.10 ”Missing...”は、ギター・サウンドと曲の流れとが、ちょっとピンク・フロイド風の仕上げ。ところが彼のヴォーカルで全く別物となるが、それは上手いのか下手なのかよく解らない独特のもので、これはホワイトだとすぐ解るもの。

 もともと以前にも取りあげてきたが、彼には3つの世界を持っている。一つは延々と続いてきたシャジィーでブルージィーなロックである「Snowy White & The White Flames」、そして彼のブルースの世界「Snoey White's Blues Agency」や「The Snowy White Blues Project」、それとピンク・フロイド時代からの「ロジャー・ウォーターズとのお付き合い」だ。
 今回のアルバムはそれらから離れての完全のソロ(4曲を除いて)。自己でマルチ楽器をこなしている。私の印象とすれば、まさにウォーターズとのお付き合いの一休みの一時に、心安まる世界を構築したという感じである。
 いやはやホワイトらしい、万人に聴いてもらいたいクリアーで美しく真摯なギター・アルバムである。

(試聴)

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    2015年12月 5日 (土)

    ロジャー・ウォーターズRoger Waters 映像盤 : 「ROGER WATERS THE WALL」

    映画として仕上げたロック・ライブ・ショー「THE WALL」
       ~やはりここにも反戦の姿が~

    <Progressive Rock>
     Roger Waters 「ROGER WATERS THE WALL」
            UNIVERSAL / 61174998 / 2015

    Rwthewall
    製作 Roger Waters
    監督 Roger Waters  & Sesan Evans
    脚本 Roger Waters  & Sesan Evans
    Director of photography  Brett Turbull
    United Kungdom  /  133 minutes

     いよいよ出ましたね、先般世界規模で一斉公開した映画版”ロジャー・ウォーターズの「THE WALL-LIVE」”ここにきてBlu-Ray盤での登場。「THE WALL」の映画としては1982年アラン・パーカー監督ものが懐かしいところ。(参照:「Pin Floyd THE WALL」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/pink-floyd-the-.html

    Rw10b2 とにかく舞台装置が大きすぎてのライブであったため、なんと1年間かけてじっくり世界のポイントを回る予定のツアーが、その成功が思った以上で、2010-2013年の足かけ4年間に渡る過去に例のない大ツアーとなってしまったもの。その結果、4大陸にわたって3年間で219公演450万人以上のファンを動員し、ソロ・アーティストとしては歴代最高の興行収益を記録した。しかしとにかくステージ作りの資材・機器と、その運搬費用、更に技術スタッフの費用が莫大で、収益という点ではウォーターズは大きくは期待していなかったようだ。
     音楽史上最も成功したツアーのひとつでもあると言われているが、これはむしろウォーターズが資材を投げ打って世界に彼の存在をアッピールした生涯をここに賭けての彼自身の最大の行事であった(残念ながら日本公演なし)。

    (メンバー)
    ボーカル・ギター・ベース: ロジャー・ウォーターズ
    ギター: デイブ・キルミンスター
    ギター: スノーウィ・ホワイト
    ギター: G.E.スミス
    キーボード: ジョン・カーリン
    ハモンドオルガン・ピアノ: ハリー・ウォーターズ
    ドラム: グラハム・ブロード
    ボーカル: ロビー・ワイコフ
    バックボーカル: ジョン・ジョイス、パット・レノン、マーク・レノン、キップ・レノン

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     これは映画版の『ロジャー・ウォーターズ ザ・ウォール』であって、史上最大のスケールの「The Wall Live ツアー」の様子を収録しての制作ではあるが、ウォーターズの父親が1944年にイタリアで戦死して眠る墓地の場所へ、さらにはなんと祖父もその父親が2歳の時にやはり戦死していることが明かされ、その為その埋葬地をも訪れ、そこにウォーターズは息子Harry Watersと娘India Waters等と訪れるシーンも描かれる。そんなロードムービー的な映像を盛り込んでいる。
     それは彼の人生の中でも最もネガティブな因子、それは戦争というモノによって及ぼされた父親の存在を失った事。そして幼少期から若きロッカーとしての活動期の精神的負担をによっての不安定な人間の側面を吐露し、それを歌い上げたピンク・フロイド時代のアルバム『THE WALL』(1979年リリース)を全曲演じて、これを通じて自己の人生の負の根幹に一つのけじめを付ける旅を描いているのだ。
     特に父Eric Flecher Watersと母に抱かれている赤子のロジャーの一緒に撮られた写真は印象深く、その直後に父は出征し第二次世界大戦の激戦地イタリアのアンツィオで戦死し、激戦地で有名なMonteCassinoにある墓地に埋葬されている。
     この作品のコンセプトとして、”戦争や紛争というものによる多くの犠牲を被る人間の悲惨さ”を描いた反戦の要素を描こうと試みているところが重要だ。

     さてこの映画は、2014年トロント映画祭でプレミア公開され話題を呼んだものであり、それに加え今年2015年9月に一夜限りの企画として全世界中の映画館で統一してプレミア上映され、結果的に何十万人ものファンを動員することとなったものである。
    Thewall0022
     そもそもこのアルバム『THE WALL』の占める位置は・・・・・・・・、
     1977年、ロックというミュージックの転換期に、ピンク・フロイド時代のロジャー・ウォーターズは、社会批判とミュージック・パターンのよりアグレッシブな方向への転換を試みたアルバム『アニマルズANIMALS』を作成した。しかしそのツアーでは圧倒的な支持を得ながらも、そこに集まった観衆の騒ぎとも言える状況を見るに付け、自己の精神性との隔たりに嫌気がさし、次回はステージに”壁”を築き上げ観衆と隔離した状況で演奏しようというなんとも前代未聞の大胆な発想を持って、それから生まれたアルバムであり、そこに彼は自己の人生の父親不在の悲惨な部分、幼少期の社会からの逃避、疎外感、教育のマイナス部分、そして成人した後の負の部分を背負った自己の生活の破綻を暴露し歌い上げ、社会に訴えたものである。

    (参照)「アニマルズ」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/pink-floyd-1729.html
     
     アルバム『THE WALL』リリース後、1980年から1981年に行われたツアーは、圧倒的支持を得ながらも壮大な仕掛けを用いた過去に無い大がかりのツアーであったことと、スケールが大きすぎたため、その費用が莫大となり収支マイナス、多大な借金を背負うことになり4都市31公演にとどまった。
     しかしロジャー・ウォーターズの『ザ・ウォール』の再演は常に秘めたる”志”であって、2回目は、1990年7月21日、有名ミュージシャン達が集結し、西ドイツと東ドイツを隔てていたベルリンの壁の崩壊直後の跡地ポツダム広場で、災害救済記念基金チャリティー・コンサートとして開催。20万人を集めて世界的話題になった(Roger Waters 「THE WALL-Live in Berlin」)。
     そして最初のツアーから30年後(2010年~2013年)に、3回目としてウォーターズにより企画されたのが今回の世界ツアーだ。

    (参照)第一回「ウォール・ツアー」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/the-wall-359e.html
         「ベルリン・ウォール・ライブ」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/the-wall-12cc.html

    Rwthewalllist2
     さて、この映画『ROGER WATERS THE WALL』のBlu-ray発売で、かってのピンク・フロイドやロジャー・ウォーターズのファン以外の世界中の者にも、この「THE WALL」というものの凄さを見せることが可能になったのではないか?。一方、評論家たちが「目を見張るばかり」「素晴らしい映像」と形容したと言っているが、この映画は、やはり4K技術での撮影という最新技術を投入していて確かに美しく圧巻。更にロード・ムービーに描かれる自然の風景もその詩情性に惹かれるところであった。

    Tumblr_nvgs7e3r2 又ライブ会場のスケールの大きさと、舞台の構成、投影される映像とサウンドの高技術と精度の高さ、見事な総合芸術であった。私から見るとロック・ライブと言うよりは、ジャンルを超えたミュージック・ショーと行った方が良いと思う。
     そしてそこにあるウォーターズ独特の圧倒的ロック・サウンド、人間性に迫る内容と反戦的物語が観る者をして圧倒する(左の”A THEFT”が印象的)。特にウォーターズ自身の内面的に傷ついている人間像を露呈しているところに更に感動を呼ぶ因子を抱えているのである。

     残るはやや残念なところは、ミュージシャンの演奏姿に十分な時間が割かれていないところだ。つまりステージ・ロック・ライブ映像を目的にしていないところのマイナス部分である。まあそこまで要求も酷かも知れないが、私的には三人のギター演奏、ジョン・カーリン、ハリー・ウォーターズの演奏姿など、もう少しじっくり観たいという欲求もあるのだが・・・・、しかしそれは過去の多くのブートで観てきたところで、今回のこれにはあまり要求しないことにする。

    (視聴)

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    2012年2月28日 (火)

    スノーウィ・ホワイトの”Snowy White & THE WHITE FLAMES”ユニットの5作目「 The Way It Is ....」

    スノーウィ・ホワイトのトリオ・ユニット考察~その4~

    Thewayitis「Snowy White & THE WHITE FLAMES / The Way It Ts ....」  WFVp001CD  ,  2004

     2004年のスノーウィ・ホワイトのトリオ・ユニットの5作目(インディーズ盤であるが、録音はなかなか優秀)。
     このアルバムは何か事情があったのか、2つのパートに別れると言っていい。一つは、いわゆるオリジナル・メンバーに2作目(「NO FAITH REQUIRED」)からのサポート・メンバーのJuan"Rabitt"BundrickのHammondが加わっての2001年の録音もの(前作時の収録ものか?)と、もう一つは2003年になってのドラムス(Richard Bailey)が変わり、更に常にスノーウィ・ホワイト盤支えているKuma Harada(bass)などが加わっての多彩なメンバーによるものが9曲という全12曲構成。

       1. no stranger to the blues
       2. bird of paradise
       3. black magic woman
       4. what i'm searching for
       5. angel inside you (part1)
       6.     〃        (part2)
       7. falling
       8. the way it is
       9. a piece of your love
      10. this time of my life
      11. easy
      12. sweet bluesmaker

    Snowywhite4  これでもスノーウィ・ホワイトのギター・プレイは、相変わらず例のレスポールの他にアコースティック・ギターも登場させて彼なりの多彩なパターンを披露してくれる。
     スタート”no stranger to the blues”はアコースティック・ギターでのブルースでホワイトの優しいヴォーカルから始まるが、中盤からガラッと変わって女性ヴォーカルもバックに加わってエレキによるハード・ロックに変わる。”birds of paradise”はハモンドオルガンの静かな流れで、ホワイトのヴォーカル、そして彼のギターが泣く。
     ご愛敬にサンタナで有名なpeter greenの”black magic woman”も演ってみせる。サンタナもブルース・ギターが得意だが、両者の違いもなかなか面白い。
     ”what i'm searching for”はkuma Haradaのボンゴも加わってラテン・タッチの軽快な曲。
     そしてホワイト自身の曲”angel inside you(part1&2)”がいい。パーカッションをバックにリズムを刻み、ハモンド、サックスの登場もあり、それにホワイトのギターが熱く歌い上げる。ジャズィでもあり、曲の流れの緩急のバランスもよく更にピアノの味付けもあって私の好きな曲だ。
     ”falling”は、珍しいホワイトの歌らしい唄(笑)が聴ける。
     このアルバムも殆どがホワイト自身の作曲した曲だが、後半の曲にはMax Middletonのピアノの入る曲が多く、それなりに味付けが良く楽しめる。締めの”sweet bluesmaker”は、如何にもホワイトらしい泣きのギターとピアノとの交錯が気持ちいい。
     
     昨年(2011年)に、元祖の”THE WHITE FLAMES”のトリオも復活しているし、現在はなんと3年目になるロング・ランのロジャー・ウォーターズの「ザ・ウォール・ツアー」にトリブル・ギターの重要な位置にて参加しており、これからのスノーウィ・ホワイトはまだまだ健在で期待度は高い。

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    2012年2月25日 (土)

    スノーウィ・ホワイトの トリオ・ユニット~SNOWY WHITE and THE WHITE FLAMES

      1996年からのユニット”SNOWY WHITE & THE WHITE FLAMES” は、ギターを中心に多彩なロックを展開(7アルバムをリリース)

    Snowy_white_2010  ブルース・ギタリストと言って良いだろうスノーウィ・ホワイト(1948年生まれ)は、何度かここで取りあげている。それでも、まぁ私のお気に入りですから、まだまだ過去の名盤を書き続けたい。

     その彼のユニットの一つ”Snowy White & THE WHITE FLAMES” は、ブルースに限らず、トリオ編成で普遍的ロックにアプローチしている。(平行して彼のブルース・プロジェクト・ユニットは、別メンバーの”the Snowy White Blues Project”の名の4人編成チームがある)
     もともと彼のソロ・アルバムのアルバム名が「White Flames」(1983年)であったことから、10年以上後にはなるが、1996年(ホワイト48歳)に結成したユニットにこの名前を付けたと思われる。

     (members)
       Snowy White : guitars , vocals
       Walter Latupeirissa : bass,  acoustic guitar
       Jaun van Emmerloot : drums, percussion

     この彼が迎えたリズムセクションのメンバー2人は、オランダ出身のなかなかの実力派だ。そして2007年までライブものを入れると6枚のアルバムをリリースする。そして昨年(2011)久々にニュー・アルバムが登場した( 「REALISTIC」 SWWF2011http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/snowy-white-rea.html 参照)。ここでは、このユニット結成時のアルバムを振り返ってみる。

    Nofaithrequired 「Snowy White and THE WHITE FLAMES / NO FAITH REQUIRED」  VP398CD  ,  1996

     このアルバムは、このユニットの1stアルバムだ。殆どがホワイトの作曲。そしてトリオ以外に Juan "Rabitt" Bundwick のオルガン、Kuma Harada のサポートもありこのアルバムを充実させている。
     彼が、このアルバムではブルース・ギター、泣きギターを思うがままに、あの一種独特のヴォーカルとともに披露している。面白いことにWalter Latupeirissa はベース以外に、アコースティック・ギターで色づけしているところが、なかなか味がある。

    Nofaithrequiredlist 左が、収録曲リスト。冒頭のアルバム・タイトル名の曲”no faith required”は、軽快なパーカッションでホワイトの語り調のヴォーカルでスタートするが、中盤にはエレクトリック・ギター・プレイが炸裂。”a miracle i need”の多彩な彼のギター・テクニックには圧倒される。しかしホワイトのヴォーカルはメロディーを唄い上げるというものではないが、そのブルースにみる哀調を巧みに取り入れていて不思議に納得させられる。
     ”midnight blues”は、バックには静かにオルガンの流れがあり、美しい哀調に満ちた彼のギターの調べを聴かせてくれて、まさに心が安まる。これを聴くと私は完全に虜になってしまうのだ。
     ”slave labour”は、一転してリズム隊が頑張って楽しい。ここに登場するはlatupeirissa のアコギも面白く、このトリオの意気が感じられる曲。
     このアルバムは結構ハード・ロックも加味して非常に楽しめる。そしてセールス的にも成功し、それによりこのユニットを長続きさせることになる。

    Littlewing 「Snowy White and THE WHITE FLAMES / Little Wing」 Hypertension-Music  HYCD298 175  ,  1998

     このスノーウィ・ホワイトのユニットの1998年リリースの2ndアルバム。ここでも11曲中8曲はホワイトの作曲。そしてLatupeirissa が一曲作曲している。

    Littlewinglist  スタート曲”discoveri”は、何か異国の雰囲気を醸し出して次第にハードになってゆくパターン。このアルバムは結構ハード・ロックを奏(や)って見せてくれる。
     ホワイトのピッキングを効かせた演奏や泣きのギターとふんだんに暴れてみせる。バックのリズム隊も結構パワーで叩き込んでくる。ブルースだけのユニットでないことがよく解る。
     アルバム・タイトル曲”little wing”は、ゆったりとリズムを刻み、ホワイトには珍しいメロディーを歌い上げるヴォーカルといったところ。

    Littlewingmembers_3  ハードな曲は多いが、やはり締めくくりとなると、”that ain't right”では、ギターもヴォーカルも、ホワイト節を聴かせ。最後の”melting”はインスト曲でストリングスが流れ、ホワイトの泣きのギターが心打つ。

     このスノーウィ・ホワイトのユニットは、ギター中心のロック・グループではあるが、ただそれだけに終わらないで、幅広いロックのパターンを網羅して楽しませてくれるところが味噌である。

     

     

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    2011年9月20日 (火)

    スノーウィ・ホワイトSnowy White の近作 :「REALISTIC」

        優しさ溢れるロック・ギター・アルバム~久々のあのトリオが復活

    Realistic 「SNOWY WHITE and The White Flames / REALISTIC」 SWWF 2011 ,  2011

     この7月にリリースされたスノーウィ・ホワイトSnowy White のニュー・アルバム。彼については何度かこのブログでも取り上げている。それは私にとってはふとある瞬間、なんとなく聴きたくなるギタリストであるからだ。
     彼は、このところ三つの活動拠点を持っている。まず一つは、ロジャー・ウォーターズの良きサポート役としてのギタリスト。それはピンク・フロイド時代から続いているわけだ。1990年のベルリンに於ける”ザ・ウォール・ライブ”からロジャーのツアーには常に参加している。最近は2010年、2011年のあの壮大なスケールの北米そしてヨーロッパの”ザ・ウォール・ツアー”にも参加して、来年は南米ツアーを予定している。
     彼の二つめの活動は、 ”Snowy White Blues Project”である。(昨年「In Our Time ... Live」をリリース)これはツイン・ギターとベースそしてドラムスという四人構成でブルース・ロックを展開する。
     そして三つめが、このアルバムの”Snowy White and The White Flames”の活動だ。
     これは、”Blues Project”のメンバーとは別に、1996年に、彼の1983年のソロ1stのアルバム名を付けたトリオを結成して以来のホワイトにとっては大切なバンド。彼のギター、ヴォーカルに、Juan van Emerloot(drums,percussion) と Walter Latupeirissa(bass) によるもの、この二人はオランダ出身である。久し振りの今回は、そこに Max Middleton(keyboards)が加わるという構成である。過去に於いてもこのトリオは、諸々のゲストを加えているが、ここではキー・ボードを加えての普遍的ロックを目指している印象だ。そのニュー・アルバムがこの夏にリリースされたわけだ。

    Realisticlist_3  このアルバムには左のような14曲収録されている。全曲彼のオリジナル新曲であり、ただ”whiteflames Blues”のみこのメンバーで以前から演奏する曲のニュー・バージョン。
     相変わらずスノーウィのレスポールの暖かいギター・サウンドが満たされている。何か一つの安堵感の持てる音なのである。
     スタート曲”on the edge of something”は、キーボード、ベースの音から珍しく軽快なリズムで始まる。そしてスノーウィの楽しそうに軽く弾くギター・サウンドと彼の独特のヴォーカルが語るように入ってくる。
     2曲目の”Ongoing...”は、インスト曲だが、ピアノの音がメロディー・ラインを流した後、彼のギターが泣く。
     3曲目の”Riding the blues”になると、いよいよこのバンドの私好みの世界が現れる。歌い上げるが如きのギター音が心に浸みてくる。
     ”careful now”の後半には、泣きギタープレイを楽しませてくれる。
     ”towards higher ground”はコンガ、ボンゴの軽快なラテンリズムにサンタナ調の世界を感ずるプレイも披露。
     やはり最後の”outro peace”では、美しいギターとピアノの音で締めくくっている。

    Snowy_white3b  このバント”The White Flames”では、スノーウィ・ホワイト以下4人のメンバーが、結構やりたいことをパターンに拘らずに楽しんで演奏しているという印象だ。
     更にあの長いロジャー・ウォーターズの”ザ・ウォール・ツアー”に参加しながらの中で、よくニュー・アルバムが作成出来るものだとも感心してしまう。
     私としては、何時もあまり表に現れずに、質の良いギターを奏でる紳士ギタリストのスノーウィー・ホワイトが、こうして楽しみつつインディーズ盤と言えどもアルバムを作成しているかのごとくに感ずることに嬉しく思うのである。

    (当ブログ参照記事) ①2010.8.20 ギブソン・レスポールを操るギター職人スノーウィ・ホワイトSnowy White= http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/snowy-white-b16.html   ②2010.8.21ギター職人スノーウィ・ホワイト(2): レスポールを愛するギタリストの歩み = http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-8b6c.html

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    2011年7月10日 (日)

    元気なロジャー・ウォーターズRoger Waters と ジェフ・ベックJeff Beck

    まだまだ若いもんにゃ負けられません!!

     今年のブートDVDを見ていても、いやはや頑張ってますね御両人。ロジャー・ウォーターズは1943年、ジェフ・ベックは1944年生まれであり、既に70歳にも近づいている。そして昨年から今年もツアーを行いライブ活動も盛んなため、bootleg も多くが排出されている。最近ちょっと気になったブートDVDを取り上げてみた。

    Pleinsoleil 「JEFF BECK / Plein Soleil」 DEAD FLOWERS RECORDS , DF-DVD-092 , "Sunfest", West Palm Beach, FL, USA 1st May 2011

     2010年来日でもそうであったように、現在昨年より新ジェフ・ベック・バンドで世界ツアー中。特に話題になった可愛い女性ベーシストのタル・ウィルケンフェルドに変わって今回は実力女性ベーシストのロンダ・スミスRhonda Smith、ドラムスはナラダ・マイケル・ウォルデンNarada Michael Walden、そしてキーボードは変わらずのジェイソン・リベロJason Rebello という布陣だ。

     ロンダ・スミスは、カナダ出身、プリンスのベースを務めたこともあり、自己のアルバムのリリースなど、実績は多大。ファンキーでグルーヴィーなスタイルでジャズ要素も加わった女性ベーシスト。実績はトップ・クラス。
     ドラムスのナラダ・マイケル・ウォルデンはアメリカの現在は音楽プロデューサーで、各種の受賞を勝ち取ってる大御所。もともとセッション・ドラマーとしての活動から出発している。ジェフとは1976年の「ワイアード」にて共演。

    Jeffrhondanarada  このジェフ・ベック・バンドは、とにかくパワー・アップされた印象だ。そしてこのDVDは、「Plein Soleil」(太陽がいっぱい)とタイトルがあるように、今年(2011)5月1日フロリダで開催された炎天下のSunfest出演時のステージのオーディエンス録画・録音もの。近頃のブートもかなり程度は良くなって、これも見応えある一枚。 
     ナラダもとっくにドラマーは引退しているのかと思ったらなになにかなりの迫力のあるドラムスで、しかもヴォーカルもいい。
    Rhonda  そしてそれに加えロンダのベースが迫力満点。ソロの演技も見せてくれるが、”rollin & tumblin”のヴォーカルも聴きどころ。ロニー・スコッツ・ライブのイモージェン・ヒープのこの曲の唄もジェフのギターとの掛け合いが楽しかったが、それとは異なってロンダもなかなかやってくれる。やはり”Mna Na Eireann”、”A Day In The Life”などのジェフのギターの美しさも聴けるが、人気曲はおおむね登場するし、やっぱりこのバンドはロンダのファンキーが加わって、迫力は倍増、ジェフも若返っている。ジミヘンの”little wing”も登場して楽しいところだ。

     いずれにしてもブートでここまで楽しめれば文句はない。そして老いて益々盛んなジェフ・ベックに喝采を浴びせるところ。

    Thewallrondon 「Roger Waters / THE WALL LIVE」 ND-2707 , The Wall Tour 2011 in London , ( O2 Arena , London, England , May 17 2011)

     こちらは昨年の9月から12月までの”THE WALL LIVE”の「2010 Nth American tour」に続いての今年3月21日からの今も続いている「2011 European tour」のロジャー・ウォーターズのライブDVD(Bootleg)だ。今年も既に半年が経過しているが、ヨーロッパ各地で一会場数万人を集めてのスペクタル・ショーに観衆が酔っている。
     これは英国に帰ってのロンドン最大のホール”O2アリーナ”にての6日のライブのうちの5月17日のもの。5月12日には、デヴィッド・ギルモアも参加し、ニック・メイスンもステージに登ってのピンク・フロイド・メンバーが顔を揃えるという一幕もあった。
     しかし、スノーウィ・ホワイト、デイブ・キルミンスター、G.E.スミスという3ギタリストを始め総勢12名のライブは中身も濃く、各地での成功でブートDVDも多発されていて、私の手元にも何枚かある。
     この”O2アリーナ”も、ほぼ正面からの映像で画面も安定していて観る価値はある。昔を思うと最近のブートは良くなったものだとつくづく思う。

    Roger2011517  さて、ここに来てのロジャー・ウォーターズは益々元気だ。ツアーの成功が、彼のエネルギーの源となってはいると思うが、最後の”outside the wall”でのこのツアー・メンバーの様子を見ると解るが、相当チーム・ワークも良く、結構楽しいライブ活動をしているのだと思う。それも又彼がここまで元気にライブをこなせる一つの力なのであろう。
     昔(30年前)の「THE WALL LIVE」は、ステージでの装置に多額の費用がかかって観衆は集まったが大赤字を出したので途中で中止したことは有名であったが、今回もかなりの大がかりな装置によるステージで、多分出費も多く大きな収入にはならないであろうと推測する。だが、ロジャーの執念のライブ・ショーであるので、(南米ツアーも追加されそうだ)元気であるのが何より結構なことである。

     ここに来て、二人の高齢ロッカーの活動をブートDVDで見るところから、両人とも元気いっぱい頑張っている様子にちょっと目を向けて喜んでいるのである。
     

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    2010年11月29日 (月)

    ロジャー・ウォーターズ Roger Waters 「2010 THE WALL LIVE」 snapshot 15

    ロジャー・ウォーターズ「2010 北米ツアー ”THE WALL”LIVE」 スナップ写真集

    (28) OUTSIDE THE WALL


    (27)"THE TRIAL"の最後にステージに築かれた「壁」が崩壊される。

    そして少しの間をおいて・・・・
     今回のこのライブ・メンバー12人が崩れた壁のブロックの前に、おもいおもいの楽器を持ちながら並んで現れる。大声援の中、”Outside The Wall”を合唱し紙吹雪舞うステージで「THE WALL」を締めくくる。

    Out13
    Out2_2 Roger Waters (右)
    Robbie Wyckoff (Vo. 左)












    Out14 Dave Kilminster (G. 左)
    Snowy White (G.中央)












    Out5 GrahamBroad (Dr. 右)
    Jon Carin (key. 右から2番目)
    Harry Waters (Key. 右から3番目)
    G.E.Smith (G. 右から4番目)










    Out15_2 Snowy White(左)
        と
    ヴォーカル陣
      Jon joyce
      Kipp Lennon
      Mark Lennon
      Pat Lennon





     ”ただ一人で、あるいは二人連れだって  きみを心から愛している人々が 壁の向こう側を行ったり来たりしている 手に手を取り合うものもいれば 何人か群れをなしているものもいる  血のしたたる心臓を持つ者たちと芸術家たちが 立ち止まる  きみに心からの祈りを捧げると  彼らは次々とつまずき 倒れていった  結局 それほどたやすいことではないのだ 狂った野郎が築いたあの壁に 心ごとぶつかっていくということは・・・・・・” (山本安見 訳)

                          (完)

    (追記(2010/12/23))
      「Roger Waters : 2010 Nth American Tour」 は、9月15日の Tronto Canada から 12月21日 Mexico City までの 56回にも及ぶ公演を無事終了した。まれにみる大規模なステージであり、又ロジャー・ウォーターズのエネルギッシュなライブに驚きの中、大成功に終わった模様。
     前回の「Dark Side Of The Moon Tour」より元気な彼を見たという感想が多い。いずれにしても「The Wall」は彼の人生そのものであったと見て良いし、それに賭けた彼の執念であったと言えるのであろう。
     来年はヨーロッパ・ツアーが開始される。何か新しい試みも企てているようであるし、デヴッド・ギルモアの記念参加もありそうで、もう一つ楽しめそうである。どこかの会場に私もいたいものだ。

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