スノーウィ・ホワイト Snowy White 「SOMETHING ON ME」
ホワイトらしい優しさに包まれたブルース・ロック色が濃い
<Rock>
Snowy White and The White Flames「SOMETHING ON ME」
Soulfood / EU / SWWF2020 / 2020
Snowy White : Guitor
Thomas White : Drums
Rowan Bassetts : Bass
Juan van Emmerloott : Drums, Perercussion
Ferry Lagenddijk : Piano, Organ
Max Middleton : Keys
スノーウィ・ホワイト Snowy White(1948-)(→)は私の愛するギタリストだが、70年代から活動し、80年代初頭にソロキャリアを開始した。「Blues Agency」、「Blues Project」、「The White Flames」などの名前で独自のバンドを結成してきた。かってのピーター・グリーン(フリートウッド・マック)、ピンク・フロイド、ロジャー・ウォーターズなどとの共演、そしてアイルランドのハードロックバンド、シン・リジィなどの活動も見逃せない。私が興味を持ったのは70年代にピンク・フロイドのサポート・メンバーとしての時代だが、その後ロジャー・ウォーターズとの活動は長きにわたった。
このニュー・アルバムは「The White Flames」となっているが、メンバーは一新されている。もともと1993年から2000年の間に、彼は2人のなかなか味のあるオランダ・インドネシアのミュージシャン、Juan van Emmerloot(ドラム/パーカッション)とWalter Latupeirissa(ベースとリズムギター)と一緒にツアーとレコーディングを行った。 「The White Flames」として、彼らは『No Faith Requir』、『Restless』、『The Way It Is』、『Realistic』などの一連のアルバムをリリースし、ヨーロッパ全土でライブ演奏した。更にバンドはキーボードのマックス・ミドルトンMax Middletonをも増強しての充実ぶりだった。
その後近年2017年の「The White Flames」のアルバム『Reunited...』(SWWF2017)ではこのメンバーが久しぶり集結していたが、2019年には『THE SITUATION』(SWWF 2019)をリリース。今回は主としてドラムスにThomas White、ベースにRowan Bassettsと (Juan van Emmerloottが曲により参加)なり、その他多様な「The White Flames」メンバーが競演していて、演奏スタイルも更に優しくなって変化している。そして彼の控えめな態度がそのものとして、ジャケでは彼は愛器ギブソンの影に顔を隠しているところが面白い。
(Tracklist)
1.Something On Me (7:44)
2.Another Blue Night (5:09)
3.Another Life (5:13)
4.Get Responsible (5:08)
5.Cool Down (3:42)
6.Ain’t Gonna Lean On You (8:00)
7.It’s Only The Blues (5:45)
8.Commercial Suicide (7:05)
9.I Wish I Could (4:22)
10.Whiteflames Chill (4:29)
11.One More Traveller (4:40)
全曲、ホワイト自身のオリジナル曲。相変わらず刺激のない彼独特のヴォーカルが聴ける。とにかくよき時代から今日までのロック界においては、最も紳士といわれる彼だから、極めて大人の味を聴かせてくれる。とにかくクラシックなブルース指向の英国のエレクトリック・ギター・プレーヤーの1人で、そのサウンド、テクニック、スタイルは、ブルースの独創性とモダンロックの因子を反映し、彼独自と言ってよい「イングリッシュ・ブルース」を構築した。ハード・エッジのリフを持ってブルース・フレーズを演じての世界は、極めて上品なギター演奏で、それに基づいたどちらかというとのんびりとしたブルージーな曲仕上げ、このアルバムは、なかなか品と味の音楽コレクションである。
こうしたブルースとの彼の交わりは、かって70年代に、今や伝説的なブリティッシュブルースのギタリストであるピーター・グリーンと親しくなり、一緒にジャムをすることに多くの時間を費やしたという経過が大きく影響していると思われる。これはバンド「Blues Project」という活動にも残されている。
彼自身が独自での主体的に演ずるとこんな世界となり、実は元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズの攻撃性のロックとは、見方によると相対するモノとなっている。ところがその彼がロジャー・ウォーターズの総決起集会のような何年にも及ぶ世界ツアーなどに、『Roger Waters THE WALL Live in Berlin』以降、ほぼ25年間に及ぶ間、ずっと長く付き合ってきたのは実に不思議な現象である。この違いこそが、むしろ両者をしてお互いに無いものをもってして、相手を認め合うところとなったのではないかと想像するのだ。男同士の付き合いというのはそれなりに不思議なもので、とにかく彼の今日の老界に突入する前は、殆どロジャー・ウォーターズとのお付き合いに費やされており、合間をみてソロ・アルバムをリリースしてきた。
このアルバムは、どちらかというとブルース主体のバンド「Blues Project」よりは、メンバーの関係か、ややハード・ロックよりの「The White Flames」名のバンドで演じたものであるが、それでも彼なりのブルースよりの演奏が主体になっている。とにかく何ともいえない優しい世界に包まれており、彼の今の安定した老期を迎えての一つの世界であると同時に、世界のコロナ・パンデミック社会を見据えてのアルバム作りになっていたものかも知れない。
(評価)
□ 曲・演奏・歌 : 85/100
□ 録音 : 85/100
(試聴)
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