マデリン・ペルー

2016年10月29日 (土)

マデリン・ペルーMadeleine Peyrouxのニュー・アルバム「SECULAR HYMNS」

(ライブ録音)フォーキーでソウルフル・・・そしてフル-ジーに

<Jazz>
Madeleine Peyroux 「SECULAR HYMNS」
Impulse / JPN / UCCI-1033 / 2016

Secularhymns

Madeleine Peyroux マデリン・ペルー(vocal, guitar)
Jon Herington ジョン・へリントン(guitar)
Barak Mori バラク・モリ(bass)

2016年1月12,13日 英国-OxfordのParish Church Of Saint Mary The Virginでのライヴ録音

 
  マデリン・ペルー(1974年ジョージア州Athens生まれ)はインパルスImpulseに移籍したんですね、その第一弾アルバム。2016作1月12日にイギリスのオックスフォードにある古い教会にて、約100名の観客を入れてレコーディング。バラク・モリ(Ds)、ジョン・へリントン(g)と彼女のヴォーカルによるトリオによる演奏だ。

2929_mpeyroux2
 私は知らないのだが、世界的に有名だとうフレンチ・シェフのレイモンド・ブランという人が、グレイト・ミルトンという田舎に「ベルモンド ル・マノワール・オ・キャトル・セゾン」 というホテルを開き、そのイベントの一環でディナーの前に近くの12世紀の古い教会でのコンサートが行われた。そこに昨年マデリンのトリオが招待されたらしい。ところがマデリンは、そこが音響効果など良く、なかなかのお気に入りで数ヶ月後にそこで3日借り切ってライブ録音をしたのがこのアルバム。

Peyroux このブログでも彼女のアルバムは何度も取りあげてきたが、考えて見るとプロ20年のキャリアになるんですね。今時のビリー・ホリデイなんとも言われたが、ジャズ畑とは言ってもなかなか立派に彼女なりきの独特な世界を築いていて、それも私の好みとは若干違っていながらもなんとなく気になるんですね。今や、ニュー・アルバムがリリースされると、必ずそれを聴いているというところになっている。

 ヴォーカリストにしてソングライターの彼女だが、今回は全曲カヴァーでオリジナル曲はない(リストは下記)。しかもゴスペル系とトラッドからの曲が主で、スピリチュアルな世界を歌いあげる。。
 相変わらずフォーキーでフルージー、その唄い回しは意外になにげなくさらっとこなしている。しかしどこか哀愁があって、ソウフルで心に響いてくる~そんな不思議な世界なのだ。
 このトリオのベースとギターの演奏は、これまた肩の凝らないゆったりとしたもので、全体のムードはマデリンの歌声と共にトリオの息はピッタリで心安まる世界の構築に貢献している。
 異色のジャズ・アルバムだが充実度は高い。

(Tracklist)
1. ガット・ユー・オン・マイ・マインド Got You On My Mind
2. タンゴ Tango Till They're Sore
3. ハイウェイ・カインド The Highway Kind
4. エヴリシング・アイ・ドゥ・ゴナ・ビー・ファンキー Everything I Do Gonna Be Funky
5. イフ・ザ・シー・ワズ・ウイスキー If The Sea Was Whiskey
6. ハード・タイムス Hard Times Come Again No More
7. ハロー・ベイブ Hello Babe
8. モア・タイム More Time
9. シャウト・シスター・シャウト Shout Sister Shout
10. トランピン Trampin
11. イージー・カム・イージー・ゴー・ブルース (日本盤ボーナス・トラック)

(視聴) "Everything I Do Gonna Be Funky" from 「SECULAR HYMNS」

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2014年12月30日 (火)

今年も女性ヴォーカルで納めます=ニュー・アルバム~ライブ盤(ダイアナ・パントン)&ベスト盤(マデリン・ペルー)

人気のダイアナ・パントン Diana Panton のライブ盤「my heart sings」
注目のマデリン・ペルー Madeleine Peyroux のベスト盤「KEEP ME IN YOUR HEART FOR A WHILE」

 ここに来て話題の両者が、人気のある時は逃すまいと多分繋ぎと言えるアルバムをリリース。繋ぎと解っていても、それでも是非聴いてみたいというのが正直のところ。

  <Jazz>
  Diana Panton Live 「my heart sings 」
  MUZAK / JAPAN Limited Edition  / CD+DVD / MZCQ125 / 2014
  2013年8月20日 ノーヴェル・ホール(台北)録音

My_heart_sings

<CD>
1.アイヴ・トールド・エヴリ・リトル・スター
2. コルコヴァード
3. デスティネーション・ムーン
4. 黒いオルフェ
5. 二人でお茶を
6. スマイル
7. プリュ・ジュ・タンブラス
8. イフ
9. アラバマに星落ちて
10.素敵じゃない?
11.ムーン・リヴァー
12. ア・ティスケット、ア・タスケット
13. 夢の中の幸せ
14.フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

<DVD>
1.コンサート・ハイライト
2. アラバマに星落ちて
3. 夢の中の幸せ
4. ディスコグラフィー


1006464032Members :
Diana Panton(vo)
Don Thompson (p,b)
Reg Schwager (g)


 日本でも評判になっているカナダのダイアナ・パントン、取り敢えず特別版として、CD+DVDの二枚組。これは日本の企画盤で、サービスとして収録の3曲の映像付きという企画。彼女は丁度1年前にアルバム「RED」をリリースしている。
 (参考)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/red-f326.html

 2012年に香港と台湾のジャズ・チャートで第一位という人気で、上海、香港、台北のアジア・ツアーが2013年に行われ、その台北での収録。なんとなくあどけない歌声でファンを獲得している彼女、歌のうまさではまだまだというところだが、人気は先行している。
 この舞台は、彼女の師匠のドン・トンプソンとギターのレッジ・シュワガーの2人だけのバックで行われた。彼女の語りと歌が展開する収録内容。美人で可愛らしさという感覚で日本でも確かにファンは多い。そんなところで、商業的なニュアンスの強い発売で、ちょっと評論家も褒めすぎの感のある彼女だが、とは言えこれからの成長が楽しみでもある。

                   *******               *******

     <Jazz>

   THE BEST of Madeleine Peyroux
   「KEEP ME IN YOUR HEART FOR A WHILE」

     CONCORD / UCCO-6011 / 2014

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<Tracklist>
[Disc 1]
1. Don’t Wait Too Long - Album Version
2. You’re Gonna Make Me Lonesome When You Go - Album Version
3. (Getting Some) Fun Out Of Life
4. Between The Bars - Album Version
5. ’m All Right
6. La Vie En Rose
7. Half The Perfect World
8. Dance Me To The End Of Love - Album Version
9. Smile
10. Once In A While
11. The Summer Wind
12. Careless Love - Album Version
13. Guilty
14. Desperadoes Under The Eaves - Extended Version

[Disc 2]
1. Changing All Those Changes
2. J’Ai Deux Amours - Album Version
3. River Of Tears
4. The Things I’ve Seen Today
5. Damn The Circumstances
6. La Javanaise
7. The Kind You Can’t Afford
8. Bye Bye Love
9. Walkin’ After Midnight
10. Standing On The Rooftop
11. Instead
12. Keep Me In Your Heart
13. This Is Heaven To Me - Album Version

London2004_026 さてこちらは米国ジョージア州出身の1974年生まれで18年のキャリアと言う実力派のマデリン・ペルー。彼女についてはここで何度かとりあげているが、母はフランス人であったこともあって、13歳のときの両親の離婚により、パリに住むようになって、ストリート・ミュージシャンとして鍛え上げられている。
 その彼女は過去に六枚のアルバムをリリースしているが、なんと現在所属のRounder以外のモノも含めて、それらから選び抜いたベスト盤であり、二枚組のなんと27曲が収められている。”Keep Me IN Your Heart”は映画にて使われた曲でアルバム初登場ということだが、取り敢えず立派な集大成盤として聴き応えある。

(参考)① http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/madeleine-peyro.html
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/madeleine-peyro.html 

 とにかくマデリン・ペルーの作り上げる音楽は、ジャズでありながらフォークでありブルースでありカントリーでもあり、そこにシャンソンのムードまで醸し出すという不思議なムードを持っていて、つまり独特なマデリン・ペルー節と言って良いもので、なんとなく聴きたくなるという魅力を持っている。”21世紀のビリー・ホリディー”とも言われているが、私はちょっと違った印象で、彼女なりきの世界を持っていると思っている。
 近年はLarry Klein とアルバムと作成しているが、最近作は「THE BLUE ROOM」(2013年)だが、既に2年近く経っているので、このあたりで中身の濃いベスト盤のリリースは歓迎である。

(視聴 Diana Panton)

                                      **               **

(視聴 Madeleine Peyroux)

<ご挨拶>
 この雑多な拙いブログを介して今年一年お付き合いいただきました諸兄には、いろいろとご指導ご意見賜り有り難う御座いました。
 来たる年もよろしくお願いします。そして皆様にとってご多幸なる年となられますよう祈念申し上げます。

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2013年3月25日 (月)

マデリン・ペルーMadeleine Peyroux のニュー・アルバム:「THE BLUE ROOM」

頑張ってますね~~~と言いたいアルバム

<JAZZ> MADELEINE PEYROUX 「THE BLUE ROOM」
             Universal Music (Pennywell Productions) B001800-02 ,  2013

Theblueroom

 あまり品の良くない言葉で言うと、”いっよ~~、姉御!頑張っているねぇ~~”という感じのマデリン・ペルーの6thアルバムが登場した(彼女は1974年生まれの39歳)。前作「STANDING ON THE ROOFTOP」を取り上げてからもう2年経つのですね(このブログで彼女を語るのも4回目になる。 参照 : http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/madeleine-peyro.html )、彼女としては順調なアルバムのリリースといったところ。

 今作の特徴は自己のオリジナル曲集の前作と違って全てカヴアー曲、しかもシンガー・ソングライターでありながら、”I can't stop loving you”で誰もが知るレイ・チャールズRay Charlesの昔(1960年代始めの)のアルバム「モダン・サウンド・イン・カントリー・アンド・ウェスタン」の再評価を試みる(つまり古い曲を唄う)中での誕生したアルバムという。
 どうもかねてから彼女の歌にはぞっこん惚れ込むと言うことは無いのだが、しかし何となく気になって聴いて、そしてニュー・アルバムとなれば是非とも聴きたくなると言う不思議な存在。そしてこのアルバムもカヴァーとは言っても、やっぱりマデリン・ペルー節そのものなんですね。

members
    Madeleine Peyroux : Vocals , ac.Guitar
    Dean Parks : elec.Guitar
    Joy Bellerose : drums
    Larry Golding : Hammond , piano
    David Pilth : bass

Theblueroomlist TRACK-Listは左にみるとおりで、2.4.7.8.の4曲は、レイ・チャールズのアルバムからだ。とくに”I can't stop loving you”なんて懐かしいそのものです。そして1.のハンク・ウィリアムスから始まって、バディー・ホリー(3.)、ランディ・ニューマン(5.)、レナード・コーエン(6.)、グレン・キャンベル(8.)、ウォーレン・シボン(10.)と、いやはや昔懐かしアメリカの名曲と言えば名曲の世界に、マデリンは首をつっこんでこのアルバムとなっている。

 しかし今となってこの世界とは?、やっぱりある程度歌い込んでくるとこうした世界に興味が湧くのであろうか?。
 これはプロデューサーのラリー・クラインの企画なのか、マデリンの希望なのかは知らないが、前作とは全く発想が違っている。そういえば、ダイアナ・クラールも最新アルバム「GLAD RAG DOLL」は、同じパターンでアメリカの古きよき時代に迫るものであったことを思い出す。

Mp7jpeg  しかし15歳からフランスはパリ街中でのストリート・ミュージックから出発しての百戦錬磨のマデリン・ペルー、前作の自己のオリジナルものと比較して不思議に印象の変わらないアルバムに仕上げてしまった。つまりそれだけ彼女は自分の個性を持っていると言っていい。そしてそれが不思議と言えば不思議、現在に古さを感じさせないのである。そしてなんと言っても聴いていて疲れないのがいい。

 上に挙げたように、バック・ミュージシャンも錚々たるメンバーでこれも又注目度を上げているわけだ。
 まあとにかく、彼女のブルース調の加味したジャズにカントリー色を加え、そしてポップなところも忘れないミュージックに、時として浸るのも悪くないのである。

(試聴)Changing All Those Changes -http://www.youtube.com/watch?v=HECibuK36n8

    [PHOTO  今日の一枚]

P3240454monoblog 
我が家の庭の”山茱萸(さんしゅゆ)”も、老木ですが立派に今年も満開に花を咲かせてくれています。これが春の第一報です。
(OLYMPUS PEN E-P3 , Zeiss Planar 45mm 1: 2 )

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2011年7月 7日 (木)

マデリン・ペルーMadeleine Peyroux (3) : ニュー・アルバム「STANDING ON THE ROOFTOP」

「マデリンによる”最小限の芸術”」という謳い文句がそのままに!

 ここにきてマデリン・ペルーのニュー・アルバムが登場している。5thアルバムだ。過去にこのブログで、①2010.10.27「確かにレトロな中に不思議な安堵感」、②2010.12.30「何故か気になるノスタルジック?な世界」と二度彼女を取り上げているので、細かいところは省略して早速ニュー・アルバムをチェックしてみよう。

Standingontherooftop 「MADELEIN PEYROUX / STANDING ON THE ROOFTOP」 DECCA B0015636-02 ,  2011

 ちょっと2ndアルバム「Careless Love」に通ずるジャケ・アートだ。今回はクレイグ・ストリートをプロデューサーに迎えバック・ミュージシャンも充実し、更に作曲にゲストも多彩でなかなかの充実ぶり。

(members)
   madeleine peyroux : vocal
   christpher bruce : guitars
   charley drayton : drums
   john kirby : keyboards
   mishell ndegeocello : bass
   jenny sceinman : violin
   marc ribot : guitars

   その他

(List)
   1. martha my dear
   2. the kind you can't afford*
   3. the things i've seen today*
   4. fickle dove*
   5. lay your sleeping head,my love
   6. standing on the rooftop*
   7. i threw it all away
   8. love in vain
   9. don't pick a fight with a poet*
  10. meet me in rio*
  11. ophelia*
  12. the way of all things*

            ( *印:彼女のオリジナル(共作あり))

Madeleinepeyrouxmjf48__05  以上の12曲中、8曲が彼女のオリジナル。そのうち5曲には豪華にもビル・ワイマン(2)、ジェニー・シェインマン(3,4)、アンディ・スコット・ローゼン(9)などが共作している。
 1曲目はJohn lennon, paul maccartney の曲で、これからスタートするが彼女の歌い回しが面白い。2、3曲目からはさすがオリジナル、マデリン節が聴ける。バックがかなり強力ではあるが、彼女の唄を十分生かす演奏に徹しているて、ギターが美しい。4、5曲目はスローに、そしてやさしく丁寧に説得するが如くで、なかなか類似性のないマデリンの歌だ。こうゆうのを聴かされると、やっぱり何度か聴きたくなるアルバムというところだ。
 6曲目のアルバム・タイトル曲は、彼女は相変わらずスローに歌うが、リズムの刻みが面白くバック・メンバー共々気合いが入っている。この曲の表現は難しくこれは一聴してもらうのが一番。
 彼女の好きなボブ・ディランの曲も登場する。8曲目の”love in vain”のような異様空間も注目したい。
 オリジナル曲の”meet me in rio”は、ブルース、ボサノバ、シャンソンのミックス版といったところ。又”opheria”などは聴かせどころで、なかなかの名曲。若き時代のフランスにおけるストリート・ミュージシャンとしての経験が、この特異な世界を創り上げる原動力であろうことはやはり間違いない。

 とにかく、オリジナリティーを持った不思議な世界に誘われるアルバムであり、彼女のヴォーカルは力みがなくそれでいて説得力あり益々充実をみせる。クセがあるけど嫌みはない。この特異な世界は貴重である。こうして彼女のアルバムを聴いてくると病み付きになる。
 しかも今回のアルバムは誰が付けたか”最小限の芸術”という謳い文句であり、なかなかにくいキャチ・フレーズである。まさにその通りの芸術性を十分に臭わせる出来だ。彼女のアルバムでも名盤になるのは間違いない。

(最後に)
 今回の日本の大震災に当たって、彼女は震災直後に日本にメッセージを発信している。
 ”ここニュー・ヨークでも、世界中でも。日々刻々と伝わるニュースから希望を見いだそうと、そして何か支援できることはないか、と日本のことをじっと見守っています。
 皆さんの悲劇は私たちの悲劇、皆さんの復興は私たちの復興。2001年9月には世界中がアメリカ人と同じ気持ちになったと言われました。いまはみんな日本人と同じ気持ちであると私は信じています。( ニュー・ヨークより、マデリン・ペルー)”

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2010年12月30日 (木)

マデリン・ペルー Madeleine Peyroux (2) : 何故か気になるノスタルジック?な世界

マデリン・ペルーの音楽は、技巧に走らない姿が魅力

Madeleine_peyroux2 ジャズでありながらフォークでありブルースでありカントリーでもあるマデリン・ペルーの作り上げる音楽は、”ビリー・ホリディの再来”、”女性版レナード・コーエン”、”ポスト・ジョニー・ミッチェル”などなどと言われるようだが、私の聴くところでは単にそのように表現できない世界であって、そこに更にシャンソンも加わっての彼女独特の世界なのだと言っていいと思う。
 もともと音楽ファンの父親の聴くジャズを中心とした音楽が、子供であった彼女に影響を及ぼしていたようで、ジャズの範疇において作り上げられたものとして捉えていいのだろう。
 そして両親の離婚となり、母親がフランス語の教師であったことからか?フランスはパリに住んで少女期から音楽に目覚めて、そして作られてきたもの。 

 私にとっては、のめり込んで聴くというわけではないが、何故か気になるマデリン・ペルーの世界なのだ。そして既にここでも10月27日に3rdアルバム「Half the perfect world」を中心に彼女の世界にアプローチしてみたわけであるが、それを見た友人が有り難いことに彼女のライブDVDをプレゼントしてくれた。
 
Madeleinesumethingranddvd 「madeleine peyroux / SOMETHIN' GRAND」 UNIVERSAL UCBU-1028  2010

2009年1月ロサンゼルスのクラブにおけるライブ録音。大会場でないだけに、バンドやマデリンの一挙一動がよく映像に捉えられていて、これも彼女の音楽にマッチングした映像アルバムとなっている。
 収録曲は17曲で、最新作アルバム「bare bones」より9曲、3rd「Half the perfect world」より3曲、2nd「careless love」から4曲、1st「Dreamland」から1曲となっている。

(パーソネル)
 マデリン・ペルー (vo. g)
 ラリー・クライン (b)
 ディーン・バークス (g)
 ジム・ビアード (key)
 サム・ヤエル (org)
 ジョーイ・ワロンカー (ds)
 リサ・ジェマーノ (vln)

 2ndアルバムからのレナード・コーエンの”哀しみのダンス Dance me to the end of love” からスタート。そもそも彼女はギターを演奏してのシンガー・ソングライターではあるが、アルバムでもカヴァー曲が圧倒的に多い。しかしこのライブでは2曲目から彼女とその他のシンガー・ソングライターとの共作の曲が主体をなしている(彼女の好きなボブ・ディランの曲”私はさびしくなるわ”が登場するけれど)。そしてこれらがあのややかったるいというか、やや暗めに感ずるものもあるが、しかしどちらかというと郷愁を呼ぶ心の安堵感を導いてくれるものに仕上がったものが多くなっている。4曲目の”down the circumstances”なんかは歌った後で、ちょっと暗くなったので次の曲”悲しみにさよならI'm all right”は明るく歌うと語りながらのライブで、自分でもそのあたりは意識しているのかも知れない。ブルース調やフォーク調など比較的スローな曲群も歌われ、それなりにマデリン節になっている。
 もともと歌い方は軽く流すようなタイプで、力みやシャウトはなく聴くものにとっては刺激は少ない。それが場合によっては、特に引きつける印象もなくさらっと聴きながしたという感想をもつ人がいる原因であろうか?。しかしこうしたスタイルは、このご時世ではある意味では新しい世界と言ってもいいのかも知れない。我々のようにそれなりに年輪を重ねたものにとっては懐かしさをふと感じてしまうところだ。
 私が思うにマデリンのジャズ畑におけるこの彼女なりきの特殊性は、シャンソンの因子が大いに働いての結果とみている。そこがポイントだ。

 この映像に納められた彼女をみると、気取りもないがもともとそんなに愛想のいいタイプではないといわれているようだが、やや大柄に見える姿で結構オーディエンスに語りかけているところは愛嬌もある。そしてアコースティック・ギターを奏でながらの唄う姿は、ストリート・シンガーでの経験から形作られたパターンなんだろうと想像してしまう。

 このDVDのライナー・ノーツを担当している渡辺亨によると、マデリンを”ノンシャラン(nonchalant)”と言う言葉が似合うと言っている。この言葉は、気ままな、無頓着な、のほほんとした、というような意味らしい。確かにこの映像ものにも、歌い始めてとちって、もう一度歌い直すというシーンも納められていて、普通ならカットするところであろうが、平気で納めているところは結構親近感をもって見て取れる。
 いずれにしても、バック・バンド・メンバーも充実していて、2nd以降プロデュースを担当しているラリー・クライン(Bass)など、どうもこの収録ライブの為の特別メンバーと推測される。私には興味ある映像ものだ。

Calesslove2 そんなマデリンの方向性が良く出たアルバムがある。

2ndアルバム「Careless Love」Rounder Records  Rounder-11661-3192-2   2004  (左)

 1996年デビュー以降8年ぶりにリリースされたもの。レナード・コーエン、ボブ・ディラン、ハンク・ウィリアムス、などのカヴァー集だが、マデリン流ジャズ・ミュージックが花咲いている。全体的にスローな展開が多く日光の下で輝いて聴くというものでなく、深夜にゆったりとした気持ちで聴くに向いている。
 なにかジャズによって、よき時代を思い起こさせてもらい、そして現実社会での奮闘を癒してもらうには良いのかも知れない。

 世界でも100万枚以上の売り上げがあったというアルバムである。ラリー・クラインのプロデュースだ。彼女はルイ・アームストロング、ボブ・ディラン、ビリー・ホリディが最も敬愛する3人だと言っている。そうした流れを感じながら、聴き流すぐらいの気持ちで聴いているといいアルバムである。
 

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2010年10月27日 (水)

マデリン・ペルー Madeleine Peyroux (1) : 確かにレトロな中に不思議な安堵感

21世紀のビリー・ホリディと言われるが、ジャジーであるがブルース?フォーク?カントリー?のレトロな特異な世界

 彼女の歌声に接したのはそれほど前のことではない。実はその時にふと映画などでみるアメリカの第二次世界大戦前の姿を頭に描いた。後からそれが現在30代のまだまだ若いマデリン・ペルーという歌手と知り興味をそそられた。

Madeleine_peyroux 彼女は米国ジョージア州出身とか、1974年生まれと言うから今年で36歳。母はフランス人であったこともあって、13歳のときの両親の離婚により、パリに住むようになったという。
 いくつかのストリート・ミュージシャンの世界に始まり、ローカルなグループでヴォーカルを担当して10代にしてヨーロッパ各地をツアーしていたというから意外に歴戦の勇士。
 アルバム・デビューは、1996年22歳での「Dreamland」 (Atlantic)。このアルバムは古いスタンダード・ナンバーを取り上げて既にレトロな世界を聴かせたところは驚きと言っていい。

Halftheperfectworld 彼女のアルバムは現在4枚と思うが、その中でも私の好きなものを取り上げると・・・・

「Half the perfect world  /ハーフ・ザ・パーフェクト~幸せになる12の方法」 Rounder Records emarcy/rounder 02602517032798 , 2006

 彼女は、殆どの曲に楽器はギターを弾くが、支えるバンドは Sam yael (piano), Dean parks (Guitar), David piltch (Bass), Jay bellerose (Drums) というジャズ系、曲により Sax, Violin, Trumpet などが加わる。
 収録曲は、4曲は彼女のオリジナル。しかし確かに不思議に何か過去に聴いたようなノスタルジックな気持ちに誘われる。そしてジャズ畑で一般的には取り上げられるアルバムではあるが、その世界はフォーク、カントリーぽかったり、そして聴くものに何か郷愁と安堵感を与えてくれるのだ。そして彼女の歌声はあくまでも自然であり、情熱的というニュアンスはなく、どちらかというとサラッと流すといっていいタイプである。
 バック・バンドも叩き付けるような演奏はなく、どちらかというと静かに彼女の唄を支えてゆくという演奏に終始している。
 21世紀のビリー・ホリディとも言われるが、私の印象としては黒人歌手の世界とは異なっていると思う。あくまでも白人のかっての素朴な世界の再現である。

 (曲目リスト)
    1. I'm all right
    2. the summer wind
    3. blue alert
    4. Everybody's talkn'
    5. river
    6. a little bit
    7. once in a while
    8. the heart of saturday night
    9. half the perfect world
   10. la javanaise
   11. california rain
   12. smile

 10曲目には、なんとパリ育ちであるだけにフランス語のシャンソンも登場する。いずれにしても、疲労を癒してくれるアルバムであることは間違いない。
 いずれ手持ちのアルバム「Careless love」なども含めて、もう少し彼女の世界を考察してみたいと思っている。

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