クレア・マーティン

2012年6月 6日 (水)

大人のジャズ・ヴォーカル~クレア・マーティンClaire Martinのニュー・アルバム「Too Much In Love To Care」

ケニー・バロンのピアノにのってのバラード集

Claire Martin  Kenny Barron 「TOO MUCH IN LOVE TO CARE」
Linn Records  AKD 390  SACD(multi-ch, hybrid),  2012

Toomuchinlovetocare

  Claire Martin : vocals
  Kenny Barron : piano
  Peter Washington : bass
  Kenny Washington : drums
  Steve Wilson : saxophone & flute

 ここでは過去に何度かクレア・マーティンは取り上げているので紹介は抜きとしても、昨年の大英帝国勲章(OBE)を授かったというのはビックなニュースだった。(英国、1967年産まれ)
 そして待望のニュー・アルバム。今回はケニー・バロンのピアノがフィーチャーされた。
 内容は1990年代の前半のミュージカル・ナンバーを中心としているだけあって、なにか落ち着いてゆったり聴いてられる。聴きようによっては若干古めかしい感じもあって、あまりスリリングでないというところでもあるが、ケニー・バロンのピアノもよき時代と現代の両面に器用に対応して聴かせてくれる。

Toomuchinlovetocarelist  収録曲は左のようで、スタートはアルバム・タイトル曲”too much in love to care”で、いやに軽快であるが、2曲目ガーシュウィンの”embraceable you”からクレアのバラードが全開する。”crazy he calls me”はベースの響きもなかなか説得力あり、クレアのヴォーカルとのマッチングもいい。
 ”how long has this been going on?”ではバックにサックスも加わって演奏陣も充実した音を聴かせる。
 ”a time for time”ではケニー・バロンのピアノが物語り、クレアが歌い上げるパターンがいい、そこにフルートが登場してなかなかムードたっぷり。
 そして”I'm glad there is you”や”too late now”のバラード曲は、大人のムードは更に盛り上がって最も私好みと言ったところかなぁ~~、ピアノも美しい。

Clairemartin6_3  彼女の過去のアルバムでは私は2004年の「SECRET LOVE」とか2007年の「He never mentioned love」が好きなのだが(参照1:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/claire-martin-d.html、参照2:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/claire-martin-0.html)、しかしこのアルバムも大人のジャズ・ヴォーカルとして一級品で、安心して聴いてられる。ほんとはこの過去の2アルバムのように、もうちょっと不安を感じさせてくれた方が別の魅力もあるのだが。
 この盤はSACDのmuti-channel盤 であるが、あまり後方には音も配置せず、自然な配置で聴けるところがよい。又録音もなかなか秀れている。
 

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2011年1月12日 (水)

クレア・マーティン Claire Martin (2) : 英国を代表する女性ジャズ・シンガーの魅力のポイント

成熟した女性シンガーとしての魅力を発散

Clairemartin2  英国の女性ジャズ・ヴォーカリストのクレア・マーティン Claire Martin の実力は一口に語ることは難しい。いくつかのアルバムを聴いてみると、それぞれ同じパターンでないところが彼女の幅広い実力を物語っている。従って一つのアルバムを気に入ったからと言って、もう一枚は必ずしもお気に召すかどうか?。
 いわゆるコンテンポラリーな範疇にも実力を発揮している彼女であるが、私の場合はそうではなくいわゆる彼女本来のジャズ畑の線で、大人のバラード調に魅力を感ずる。そして前回触れなかったアルバムの中で、ここでそんな意味での魅力盤に触れておこう。

Secretlove 「CLAIRE MARTIN / SECRET LOVE」 SACD LINN Records  AKD-246   2004

このてのアルバムは、やはり録音の善し悪しもかなり気になるが、これも LINNレコードのSACDでマルチ・チャンネル録音盤。それなりのクオリティーで聴くことが出来る。

(ミュージシャン)
claire martin : vocals  /  gareth williams : keyboards  /  laurence cottle : bass  /  clark tracey : drums  /  nigel hitchcock : alto saxophone
その外、ギター、テナー・サックス。ハーモニカ、パーカッションなど加わる。

  1. secret love
  2. but beautiful
  3. the meaning of the blues
  4. jive
  5. love is a bore
  6. where do you start?
  7. god give me strength
  8. get happy
  9. my buddy
10. cheek to cheek
11. do'nt misunderstand
12. something cool

収録曲は、スタンダード・ナンバー中心のもの。オープニング曲”secret love”はジャズ・ヴォーカル・アルバムの宣言のようにスタートして、続いて”but beautiful”になると、ギターを主力としたバックで、ぐっとムードが盛り上がってくる。”the meaning of the blues”は、ハーモニカのバック演奏から始まり静かな夜の世界に突入。このあたりはいかにも私好み。”where do you start?”は、ギターのみのバックで彼女なりきのアレンジの効いた語りヴォーカルを聴ける。”my buddy”も、ピアノそしてサックスの比較的静かな流れに乗っての唄は説得力ある。”cheek to cheek”、時にこのようなアップ・テンポの曲を挿入してコント・ラストを付けるところはニクイ選曲で、gareth williams のピアノ、clark traceyのドラムスが健闘。そしてがらっとテンポはスローな”do'nt misunderstand”に流れてゆく。

 やっぱりクレア・マーティンは、ジャズ・ヴォーカルが魅力的であると思う。そうはした意味でもこのアルバムはお勧めアルバムだ。

Perfectalibi 「claire MARTIN / PERFECT SLIBI」 multi-channel SACD  LINN Records  AKD-316    2008  (2000)

 このアルバムは2000年にリリースしたものを、リマスターしてマルチ・チャンネルSACDとして2008年に再発されたもの。
 ジャズの世界から離れてのポピュラー系 コンテンポラリーである。私のようにジャズ系スロー・バラードを期待して聴くと、ちょっと違うじゃないか?と言いたくなる。しかし相変わらずのややハスキーな中低音を生かしての歌いぷりは、見事であり、ところどころの節回しにジャズが臭ってくるところが、やっぱりクレア・マーティンはベースはジャズであることが感じられる。このアルバムのジャケ・デザインはかなり内容の印象をうまく反映していると思う。かなり明るめの印象のアルバムだ。
 このアルバムでは”shadowville”、”more than you'll ever know”の2曲は私にとっては聴きどころであった。特に後者はエレクトリック泣きギターのブルース調ナンバーで私好み。いずれにしても少々おしゃれなアルバムといったところか。

 しかし、このクレア・マーティンというシンガーは、このように10年前のアルバムにも成熟した女性の味を漂わせているところが、特徴なんだろうと思うし、それが魅力になっていると思うところだ。

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2011年1月 8日 (土)

女性ジャズ・ヴォーカル : 円熟のクレア・マーティンClaire Martin 「ア・モダン・アート」、「ヒー・ネヴァー・メンションド・ラブ」

コンテンポラリー・ヴォーカルもこなすが、やはりジャズ・ヴォーカルが魅力

Clairem  一昨年来、女性ヴォーカリストをなんとなく多く取り上げてきたが、この英国はロンドン生まれのジャズ・シンガーであるクレア・マーティンClaire Martin は、やはり取り上げなければならない一人だ。彼女は1967年生まれであるから既に40歳を超えた。彼女は6歳で既にデビュー、10歳でコンテストなどにも顔を出し英国ではよく知られた歌手だ。美貌とその能力のバランスもよく、ブリティシュ・ジャズ・アウォードのベスト・ヴォーカリストに1990年代から何回と選出され、確固たる地位を築き上げている。
 しかし、日本では意外に浸透していない。リリースしているアルバムも多いが日本盤のリリースは近年見ていない。しかしその道好きな人もそれなりに多く、外盤の輸入販売も身近に行われている。


Amodernart_2 「claire martin / a modern art」 SACD-Hybrid LINN Records AKD-340  2009

 好録音で名のある"LINN レコード"から何枚かのアルバムがリリースされているが、これが最も最新盤である。彼女のアルバムは、それぞれにかなり特徴があり、全く同パターンでない。この盤は早い話がアメリカン・ソング・アルバムと言っていいものだ。もともとアメリカの歌手や音楽の影響を強く受けたというクレア・マーティンとしては、かなりのびのびとそして派手に歌われている。

(ミュージシャン)
   claire martin : vocals  /  gareth williams : piano  /  laurence cottle : bass  /  nigel hitchcock : alto sax  /  mark nightingale : trombone  /  phil robson : guitar  /  james maddren : drums  /  chris dagley : drums  /  sola akingbola : percussion

 このように共演ミュージシャンもピアノ・トリオに加えて多彩で、バック・バンドも華々しく展開する。そしてそれにも負けずに彼女のジャジーな歌が全体をリードしてお見事といったところ。
 もともと彼女の声の特徴は厚みのある中・低音がハスキーに伸びてくるところであるが、その特徴も生きている。取り敢えず近代色と古典色の混在したジャズ・アルバムとして一聴の価値がある。
 録音はどうかというと、SACD盤でマルチ・チャンネル録音もされ、音の分離と高音部の伸びも良い。彼女のアルバムの中では派手なジャズを好む人に向いていると思う。

Henevermentionedlove 「claire matrin / He never mentioned love ~ remembering shirley horn」 SACD-Hybrid LINN Records  AKD-295  2007

 これは、アメリカの女性ジャズ・ヴォーカリストでクレアの敬愛するシャーリー・ホーン(2005年71歳で逝去)に捧げたアルバムである。
 結論的に言うと、私が彼女のアルバムでは最も素晴らしいと思っているものだ。

(ミュージシャン)
   claire martin : vocals  /  gareth williams : piano  /  clark tracey : drums  /  laurence cottle : bass
 これに、special guests としてギター、サックス、パーカッションなどが加わる。

  1. He never mentioned love
  2. forget me
  3. everything must change
  4. trav'llin' light
  5. the music that make's me dance
  6. all night long
  7. if you go
  8. a song for you
  9. sloowly but shirley
10. you're nearer
11. L.A.breakdown
12. slow Time
13. the sun died

 このアルバムでは、彼女のハスキーな声が見事にマッチングするしっとりとしたムーディーなバラード曲が展開する。アルバム・タイトル曲の1曲目の”He never mentioned love”は、ピアノの響きと共に静かに彼女のブォーカルが語りかけるように心地よく歌われ、このアルバムの期待を高める。3.everything must change になるとギターがバックを務め夜を彩るムードが醸し出され、4.trav'llin' light は、ベースの音に支えられ控えめのギターが加わり、更にムードは高まってゆく。そして7.8.の両曲では、flugelhorn の音が彼女のしっとりヴォーカルを支え、"a song for you"は夜のジャズ・ムードの最高潮に達する。
 録音もSACD盤でマルチ・チャンネルであるが、しかしむやみに四方に展開するのでなく前方に安定して包み込んでくる。
 曲もジャズ・タイプに統一されていて、安定感たっぷりのまれにみる好アルバムであるので、是非ともSACD盤で聴いて欲しい。このアルバムも、手にはいるのは私の持っている外盤のみであると多分思うが、絶対のお勧め。
 夜の心の安らぎと快感をもたらしてくれる名盤と言っておこう。

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