キャメル

2017年4月 5日 (水)

キャメルCamel 日本ライブ映像 「ichigo ichie - Live in Japan 2016」

キャメル復活の16年ぶりの日本ライブ映像

<Progressive Rock>
Camel 「ichigo ichie - Live in Japan 2016」
Camel Production / UK / CP813DVD / 2017

Ichogo_2

 アンディ・ラティマーの健康回復で復活したある意味でのプログレッシブ・ロックのキャメル、昨年(2016)5月には日本ライブも成功裏に・・・・・。これはなんと16年ぶりの来日ライブだった。
 その日本公演”Red Moon Rising Tour in Japan Ichigo Ichie一期一会”から東京/ EXシアター六本木公演の模様を収録したDVD映像版。

Andrew Latimer: Guitar, Flute, Vocals
Colin Bass : Bass, Vocals
Denis Clement : Drums, Recorder
Peter Jones : Keyboards, Vocals

David20minasian20camel38_2

 アルバム・タイトルが”一期一会”というからふるってます。メンバーはキーボードのピーター・ジョーンズ以外は、このところの不変3人でである。しかし驚きはこのキーボーディストで、彼は全盲アーティスト、マルチ・プレイヤーでヴォーカルも担当する。
 今回のセット・リストを見ると、どちらかというと過去のキャメル、つまり1975年からの主なところを選曲している。私は1975年の「The Snow Goose」以来のファンであるが、完全なラティマー主導の1984年「Stationary Traveller」以降のキャメルの方が好きで、少々その関係の曲が少なくちょっと残念感もある。

 <Set List>
Never Let Go (Latimer)
The White Rider (Latimer)
Song Within a Song (Latimer/Bardens)
Unevensong (Latimer/Bardens)
Rhayader/Rhayader Goes To Town (Latimer/Bardens)
Preparation (Latimer/Bardens)
Dunkirk (Latimer/Bardens)
Spirit of the Water (Bardens)
Air Born (Latimer/Bardens)
Lunar Sea (Latimer/Bardens)
Drafted (Latimer/Hoover)
Ice (Latimer)
Mother Road (Latimer)
Hopeless Anger (Latimer)
Long Goodbyes (Latimer/Hoover)
Lady Fantasy (Latimer/Bardens/Ferguson/Ward)

Camel_2 とにかくアンディの病気克服によって、再出発のセルフ・リメイクである'13年作『THE SNOW GOOSE: RE-RECORDED』発表後、まさかのキィ・ボードのGuy LeBlancが急逝した。それによって新たにRED BAZAR/TIGER MOTH TALESのマルチ・ミュージシャンPeter Johns(key/vo)をメンバーに迎え入れたわけだ。彼は全盲のためステージの仕草は若干不自然ではあるが、キャメル・サウンドは十二分に熟している。こうしたプレイヤーを仲間に入れるアンディの姿勢は、近年の作品ともマッチしていてキャメルらしさが出ていて良い。
  Colin Bass(b/vo)の風貌も眉毛と髭によって変わってきてますね。彼はもう立派なキャメル・メンバーです。アンディーを支えてキャメルを守っている彼の力も大きい。

  SetListのように”Never Let Go” からスタート。往年のキャメルの曲を演奏するが、こうしてみるとLatimerとBardensとのコンビの曲が多い。
 ”The Whiter Rider”,”Rhayder/Rhayader Goes To Town”,”Lunar Sea”,”Ice”などなど懐かしの曲が演奏される。
 アンディーは、キブソン・レスポールを”Ice”などで、手慣れたところで泣かせてくれる。後半では「Dust and Dreams」からの”Hopeless Anger”には力が入っていたし、「Stationary Traveller」の”Long Goodbyes ”はラストに登場して、これはやっぱり聴かせますね。会場と彼らが一つの世界になった。
 アンコールは例の如く”Lady Fantasy ”の圧巻の演奏で納めた。
 今回は一つのテーマでのライブというよりは、やっぱり復帰お目見え的なところだ。まあそれで良かったとは思う。

 ライブ映像版としては、現在の撮影技術としては映像はそれほど素晴らしくない。プロショットで取り敢えずは記録したと言うだけのもの、画質、演奏の撮影などイマイチだ。ロック・ライブ映像としては、もう一工夫欲しかったというのが偽らず気持ち。まあお金をかけるパワーは目下このバンドには無いというところだろう。
 又、4人バンドというのは若干ライブとしては薄い。そんな点は1984年のPeter Bardens やMel Collins などを呼んで行った「Pressure Points LIVE」に比べると少々豪華さと厚みに欠けるが、目下はこれで良いのかも知れない。

(視聴)

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2016年6月 2日 (木)

キャメルCamel日本ライブ成功~A.Latimer健在

 幾多の難問題を乗り越えて・・・・・

 アンディ・ラティマーが骨髄線維症により骨髄移植という大変な治療を経て、難病より回復し、元気にライブ活動は嬉しいことです。そしてこの5月の日本ライブも成功と言って良いでしょう。
 しかし又悲しい事に、復活CamelのキーボーディストのGuy LeBlancが、昨年癌に犯され50代で無くなってしまったことがあって、相当のダメージがあったのではと思っていた。にもかかわらず、このところPeter Jonesが加わってバンドとしての活動も見事に成し遂げている。今回のライブは、私は参加していないが、胸を熱くして成功を祈っていたところだ。
 
Camelweb_800<日本ライブの模様>
(Set List)
1 Never Let Go
2 The White Rider
3 Song Within A Song
4 Unevensong
5 Rhayader
6 Rhayader Goes To Town
7 Preparation
8 Dunkirk
9 Spirit Of The Water

10 Air Born
11 Lunar Sea

12 Drafted
13 Ice
14 Mother Road
15 Hopeless Anger
16 Long Goodbyes
Encore
17 Lady Fantasy
(Members)  Andrew Latimer (Guitars, Flute, Vocals),  Colin Bass (Bass, Vocals),   Denis Clement (Drums),  Peter Jones (Keyboards, Vocals)

 Andrew Latmer回復後には、新演奏録音アルバム「Snow Goose」がリリース(参照http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/camel-the-snow-.html)されたわけだが、ここでその後のライブ活動に焦点を当てる。(↓)ライブ映像版(オフィシャルDVD)の紹介。

   <Progressive Rock>
      CAMEL 「IN FROM THE COLD」
      Camel Production / UK / CP812DVD / 2015

Infromthecold
Recorded Live at The Barbican,London,England, 2014
Andrew Latimer (Guitars, Flute, Vocals)
Colin Bass (Bass, Vocals)
Denis Clement (Drums)
Guy LeBlanc (Keyboards, Vocals)

 このライブ映像は、当然ラティマーAndrew Latimer の健在ぶりを観ることが目的ではあったが、それがギー・ルブランGuy LeBlanc の最後の姿を観ることにもなってしまった映像版。

Camel2014_2(Set1) 「Snow Goose」全曲
(Set2)
1. Never Let Go
2. Song Within A Song
3. Echoes
4. The Hour Candle
5. Tell Me
6. Watching the Bobbins
7. Fox Hill
8. For Today
9. Lady Fantasy

 しかしAndrew Latimer も歳を取りましたが、この演奏ぶりは決して後退していない。相変わらずの抒情派で、ストラトとレスポールの泣きのギターを堪能させてくれる。又Colin Bass も相変わらず元気でヴォーカルも衰えず老人バンドという感じはみじんも無い。このあたりは立派。考えて見るとこの二人でこのバンドを支えてきたようなもので、それには喝采を浴びせたい。
 Guy LeBlanc は2000年以降Camelに参加(アルバム「a nod and a wink」2002年)、又カナダで自己のバンドのネイサン・マールNathan Mahlでも頑張っていたが、再び近年Camelにキーボーディストとして復帰、結構良い味を出していたんだが・・・・。この映像版ではヴォーカルも披露して健闘している。・・・・・改めてこの姿を観つつ冥福を祈るのである。

Al1
 この再起の2014年以来、「Snow Goose」の再録をこなしたAndrew Latimer は、もともと叙情的哀愁あるギターを披露してきただけあって、彼のステージは病後や年齢を超えて、むしろ若きときよりは中身の訴える力が大きくなり、近年の1970年代ロック・グループが哀しいかなもはや昔の面影無くお茶を濁しているのとは裏腹に、その味の濃さをみせてくれている事に感動である。

(視聴) Camel Live

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2014年5月14日 (水)

キャメルCamelの復活 : 新録音「The Snow Goose」を買ってお祝い

昨年から今年のUK、欧州ツアー大成功~アンディ・ラティマーAndrew Latimerが完全復活!

<Progressive Rock>

    Camel 「The Snow Goose」
     Camel Productions   CP 0014CD / 2013

Newthesnowgoose

 多血症の治療で骨髄移植術後の骨髄線維症になり、その闘病生活から復活したキャメルCamelのバンド・リーダーであるギタリストのアンディ・ラティマーAndrew Latimer。2013年10月のUKから始まった今年の春までの欧州ツアーは全ての会場がSold outで、彼の復活を歓迎した。あの名作3rdアルバム「The Snow Goose」を引っさげて「The Snow Goose TOUR」としてキャメルの原点に戻っての復活劇。

 思い起こせば、アンディ・ラティマーの過去の総決算的アルバムであった2002年の「A Nod And Wink」以来12年も経つんですね。'90年代はこのバンドも完全にアンディ・ラティマーのバンドになってBassのコリン・バスColin Bassと2人で「Dust And Dreams怒りの葡萄」 、 「Harbour Of Tears港町コーヴの物語」と名作コンセプト・アルバムを作り上げたが、その後の2003年には彼の多血症によって闘病生活に入ってのCamelの活動は休止、そして完全に消え去ったと思われていた。
 しかし、ラティマーの主として映像もののディレクターをかって努めていたデビッド・ミナシアンが自己のアルバム「Ranrom Acts Of Beauty」を2010年にリリースしたが、そこに一曲だけラティマーが参加していた。これによってラティマーの復活が期待されたが、あれから3年経過の復活劇であった。

Thesnowgooselist  さてこのアルバムは完全に1975年版の復活祝いの再録音、オリジナルに一部を除いてかなり忠実に演奏している。ラティマーのギターが色濃くはなってアレンジもしているが、とにかく私としては、良し悪しよりお祝いとしてやっぱり買うことにしたというところ。

 なにせもう40年近く前の作品の復刻。しかもこのアルバムに記しているように(”This recording is dedicated to the memory of Peter Bardens(1945-2002)”)、バンドCamelの歴史はキー・ボードの亡きピーター・バーデンス主導で始まったといっていいもの。アンディ・ラティマーは当然彼と共に歩み、バーデンスが脱退したその後も究極のところ彼がこのバンドを発展させ守ってきた。既にこの3rdあたりからは、ラティマーの力も大きくなってきていたのだった。
(私自身は、バーデンスの作品よりもラティマーのギター主導となった「Stationary Traveller」以降の方が好きなんですが・・・・)

Andrewlatimer2014  さて、もともとこのアルバムはアメリカの作家ポール・ギャリコの「スノー・グース」を元に作られたキャメルのオリジナル曲。英兵がダンケルクの戦いで救援を待つ、それを救ったフリップ・ラヤダーがその後砲弾を浴びて倒れる。この醜い人嫌いの男と少女との間の純情の関係を、傷ついた一羽の鳥を媒介として語る哀しき物語を描いている。このあたりは生死の境の大病、そしてその後襲った全身の疼痛の悲劇、そしてそれを克服して復帰したラティマーの10年の闘病生活がどうもダブって来てしまって私自身も感傷的になって聴くという状態になっている。

 さてここまで復活が現実となると、次なるラティマーの新作アルバムに期待と言うことだ。このあたりの情報はまだ私自身は得ていないが、そこに初めて我が愛するキャメルつまりアンディ・ラティマーの復活があると期待しているのである。

(視聴) 多分、もうステージには立てないと思っていたに相違ないラティマーの復活ライブにおける嬉しそうな顔が印象的です・・・・・・・・

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2011年12月31日 (土)

今年のお別れは・・・キャメル Camel 「The Opening Farewell」(DVD)で・・・

アンディ・ラティマーを登場させたデビッド・ミナシアンに感謝しつつ・・・・

 これは昨年の話になるが、あのキャメルがリーダーのアンディ・ラティマーの病気で2003年以降活動を休止してしまって、私には寂しいかぎりであったが、そこに微かな期待を抱かせてくれたのが、キャメルのプロデューサーのデビッド・ミナシアンDvid Minasianであった。それは彼のマルチ・プレイヤーの技能をフルに使って、彼自身の名前でリリースしたアルバム「Random Acts of Beauty」に、一曲(”Masquerade”)にアンディー・ラティマーのギターとヴォーカルをフューチャリングしてくれたことだ。
 そして期待に胸をふくらませて今年のキャメルの復活を望んでいたが、残念ながらそれは実現しなかった。
 しかし、昨年末にミナシアンは、キャメルの2003年の「Farewll Live」の模様を映像盤として作り上げてくれた。それを実は遅まきながら今年私は手に入れて何度か視聴してきたのである。

Openingfarewell 「CAMEL / The Opening Farewell -camel live in concert」 Camel Productions CP811DVD  ,  (Recorded at the Catalyst, Santa Cruze, California ) ,    2010

 これは、あのキャメルの2002年の最終アルバム「a nod and wink」をリリース後に行われた2003年の”Farewell tour”を収録したもの。
 私はかってこのツアー・ライブもののブートCD盤を紹介しているが(「CAMEL / for today in Virginia」=当ブログ 2011.4.2)、ここに見るは、2003年6月26日カルフォルニア州のサンタクルーズにあるキャタリストThe Catalystというナイトクラブにおけるライブの映像盤。この会場はこじんまりとしていて、聴衆とバンドの一体感が素晴らしい感動のライブ。これをデビット・ミナシアンがプロデュースしている。
 もちろんこれを企画したのはスーザン・フーヴァーSusan Hoover(ラティマーの妻)の努力が実っての結果であろう。これが目下キャメルの最後の映像である。

Openingfarewelllist

収録曲は左のような、最終アルバムの演奏というのでなく、”lady fantesy”から始まって過去のヒット・パレード的選曲である。私としてはキャメルの復活劇であり又区切りでもあり更にラティマー主導型の誕生でもあった”statinary travellar”が嬉しかった。”luna sea”、”another night”などの他、うまく各アルバムから選曲されている。”ice”ではラティマーの泣きギターを十二分に堪能できる。そして”spirit of the water”も見事。又”mother road”のスタートのブルース・ギターも聴きどころ。最後はまさに9.11に捧げた涙涙の曲”for today”をじっくりと演奏して締めくくっているのである。オーディエンスの涙も私には色々な意味でよく解る。
Andrewlatimer3  多分当時既にラタィマーはこの致命的な病気の多血症は発病していたのかも知れないし、そうした目で見ているとベースとヴォーカルを担当するお付き合いが長い Colin Bass への感謝の表情も見て取れる。
 その他、バンド・メンバーは、イエスのサポートで我々にも知られているキー・ボードの Tom Brislin が、なかなかの味を出しての奮戦をしているし、ドラムスは Denis Clement が担当し、見事なバチさばきを披露している。

 このDVDは、Camel Production のオフィシャルなものだけあって、映像は落ち着いた丁寧な撮影で、サウンドも標準をクリアーしている。私にとって、現在はなくてはならない映像ものとなっている。

 とにかく妻のスーザンが公開しているアンディー・ラティマーの多血症という病気、そして骨髄移植術後の骨髄線維症、そして全身の関節痛などと闘っている彼の病気の様子が報じられている。しかし何時かはギターを手にしたラティマーのステージでの微笑みに繋がっていくことを信じつつ、(今年は彼の復活を見れなかったが・・・・・)ほんとに来年こそはと、祈りに似た期待でこの多難であった2011年を送ろうとしているのだ。

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2011年4月 2日 (土)

キャメルの一考察(5) : あの9.11にも触れたキャメルの最終盤「ノッド&ウィンク」

キャメルの最終盤は・・・・・??

Anodandawink 「CAMEL / a nod and wink  ノッド&ウィンク」 Camel productions PCCY-01599,  2002

 「ラージャーズ」で終焉を迎えたかと思っていたキャメルであるが、突然この14thアルバムが2002年リリースされた。
 考えてみれば、キャメルがこの世に出現してから30年の経過を経た。その中で近年はアンディ・ラティマーの力によって、1992年「怒りの葡萄」で復活し、「ハーバー・オブ・ティアーズ」、「ラージャーズ」の3作を作り上げ、彼の得意とする哀愁のある美の世界を構築した。そしてキャメルの締めくくりをしたと今でも私は思う。

 しかし、ここに新作の出現を見たわけであるが、これは明らかにラティマーが彼自身のキャメルを完成させた後、ここに30周年記念作として30年間のバンドの流れを顧みたのだ。今は別の道を歩んでいる共にした仲間に思いを馳せ、特にピーター・バーデンスの死が多分このアルバムを作らせたと思う。スタートからの仲間であるラティマーとバーデンスとはバンドにおいては力を2分していた。このキャメルというもののロック・バンドとしての音楽観も対立する部分も多かった。しかしその中で作り上げたキャメルである。バンドを離れていたバーデンスではあるが、彼のの死という思いもよらない事件でラティマーは過去の友全てをこのアルバムにクレジットさせ、30年を振り返っての作品としたのだった。つまり、彼の音楽活動から必然的に生まれる意欲によって作ったアルバムというよりは、彼が過去を振り返っての纏めとして形を表したアルバムとしての意味付けがなされるものと思う。
  このアルバムの印象は極めて真摯な穏やかな作品である。ラティマーのロック活動における攻撃性や、近作の批判的哀しさというものとは別物である。ただ、あの9.11をテーマにした曲”for today”がラティマーらしく、このアルバムでは異色作であるが、これで締めくくる。

 そして現在に至るまで、この作品以降の新作はない。その大きな要因はラティマーの重病によることが大きいというか、それによるものであろうが、血液疾患での悪性腫瘍である疾病であったようで、その後骨髄移植は成功したという。それでも特に両手関節の疼痛があり、復帰は困難と見られていた。しかし、先頃David Minasian のアルバム「Randdom acts of Beauty」に一曲登場して、我々を喜ばした訳だ(当ブログ2011.3.4参照)。
 
Fortodayinverginia  私にとってのキャメルの目下の最終盤は、このブートレグである。

「CAMEL / for today in Virginia」 ~Live at the Birchmere.Alexandria.Vierginia. USA, 30th June 2003 ~ Amity 199

 これは、上のアルバム「ノッド&ウィンク」リリース後に行われたツアーの2003年のライブもの。
 (Members)
    Andrew Latimer : Guitar, Flute, Vocals
    Colin Bass : Bass, Acoustic Guitar, Vocals
    Denis Clement : Drums
    Tom Brislin : Keyboards
 とにかく気心知れた4人による極めてロック・サウンドのライブ音源である。内容は「ノッド&ウィンク」からの曲が中心というのでなく、”lady fantasy” からスタートして殆ど過去のヒット曲で前半は埋められ。つまり新アルバムのツアーというのでなく、彼とコリン・バスとの音楽活動と見ていい。
 これはブートとはいえ、サウンドは極めて良好。4人の演奏がライブであるだけ手に取るように聴ける。バーデンスの曲”arubaluba”までも登場する。しかし、”for today”は10分を超える熱演であったが、これで締めくくり、アンコールは”never letgo”だ。
 私にとっては、なかなか貴重なブートであるのだ。

 最後に、一日も早いキャメルの復活を祈るのである。

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2011年4月 1日 (金)

キャメル CAMEL の一考察(4) : 哀愁の2枚「ハーバー・オブ・ティアーズ」、「ラージャーズ」

アンディ・ラテイマーの絶好調~哀愁の美

Harbouroftears 「CAMEL / Harbour of tears ハーバー・オブ・ティアーズ-港町コーヴの物語-」 Camel Productions PCCY-00864 , 1996

 ライブ・アルバムを抜くと12thアルバムとなる。アンディ・ラティマーのコンセプト・アルバムの3作目といってもいい。アイルランドにおけるラティマーの祖母が体験した哀しき一家離散の悲劇がテーマ。
 彼の父親の死によって、彼のルーツを探ってゆくうちに、英国により征服されたアイルランドの悲劇を知った。それはアイルランド人が英国の植民地に追い立てられるように移住させられるということで、祖国を捨て家族は離散するアイルランドの歴史的民族悲劇を取り上げたのだ。
 オープニングの曲”Irish air”はアイルランドの民族の歌である。いきなり無伴奏で女性ヴォーカル(メイ・マッケンナ)が聴かれ、そしてそれを支えるが如く同曲をインストゥルメンタルで続いてバンドが演奏し、フルート、ギターを中心に旋律を語り、物語が始まる。
 全曲ラティマーが作り、良き伴侶のスーザン・フーヴァーが歌詞を担当している。
 作品の印象は、アルバム「Dust and Dreams」の続編的哀愁のアルバムであるが、そこには美しさがあり見事である。中間部の曲”Under the moon”では、ラティマーのソロ・ギターの音は涙ものである。
 このアルバムのライナー・ノーツを担当した伊藤政則は、”涙の港と呼ばれたコーヴから旅立った人々は、そのコーヴの港を遠くの沖の船の上から眺め、水平線に消えようとするエメラルドの祖国を記憶の中に刻み込もうとしたに違いない。・・・・コーヴは、その美しい海に多くの人々の涙を飲み込んできたのである”と記している。彼にとってもこのアルバムは大きなインパクトがあったと推測する。

Rajaz 「CAMEL / Rajaz  ラージャーズ-別れの詩-」Camel Productions PCCY-01414,  1999

 前作から3年の経過でリリースされた13thアルバム。アンディ・ラティマーが彼とスーザンとの共作によるコンセプト・アルバム前3作から又一歩飛躍した感のある作品。
 実は、私はこのアルバムを聴いた当時は、”おやこれでラティマーはキャメルを封印するのか?”と思った内容だった。
 砂漠に連なるラクダの隊商、そこに流れる静かにして苦労に耐える姿と、会っては分かれる彼らの祈りにも似たRajaz(詩)が流れる。そんな情景を描きつつ、ラティマーは一つの区切りをつけたと思う。
 メンバーは、ラティマーに加えてベースのcolibn bassは長いコンビ。そして ton scherpenzeel(key.), dave stewart(drums) が参加、更にbarry phillips のチェロが加わる。

Andrewlatimer1  曲は”the final encore”では、キャメルの過去の曲名を繋いで詩を作り上げ、4曲目の”Rajaz”は、ラティマーの総決算の曲だ。アコースティック・ギターから始まり彼のヴォーカル、そしてチェロとフルートの響きが哀愁を帯び、最後に彼のエレクトリック・ギターが感動を呼ぶ。なんと”6曲目の”straight to my heart”では、彼の自伝を語っている。”sahara”というインスト曲は、彼のヴォーカルと感想のギターが美しい。最後の曲”lawrence”では、静かに消えゆく姿をイメージさせ、このアルバムを閉じる。

 おそらく今でも私はそう思うのだが、ラティマーは自己の主導によってコンセプトアルバムを過去(1980年代から90年代に)に作り上げた。そしてこのアルバムでは、全ての曲を作り、歌詞をスーザンとともに書き、全てを自分のヴォーカルにして、キャメルの締めくくりをしたと思われるのだ。
 そして美しい哀愁のある曲を彼の演奏でたっぷり聴かせ、まさに曲の歌詞と言い、演奏と言い、その内容はスーザンが言うとおり”Farewell”であった。
 キャメルの”さよなら”であった。

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2011年3月31日 (木)

キャメル CAMEL の一考察 (3) : オフィシャル・ライブ盤の魅力

キャメル演奏の魅力はライブで・・・・

 ブートレグでは多くのライブものがあるのはキャメルも例外ではない。しかしこうしてみるとオフィシャルなものでも、意外にライブ盤が揃ってきているキャメルだ。数枚挙げてみる。

Aliverecord 「CAMEL / A LIVE RECORD ライブ・ファンタジア」GAMA RECORS  POCD-1825/6 , 1978

キャメルの初オフィシャル・ライブ・アルバム。1977年、5thアルバム「Rain Dances」リリースした際に、ゲストとして Mel Collins(Sx, Fl, Clarinet) 、Brian Eno(Key.)など多数迎え、その後ライブも活発に行った。その当時の1974-1977年収録ものである。従って、バーデンス、ラティマー、ウォード、ファーガソンに加えて、Mel Collins, Richard Sinclair が参加している。
 タイミングとしてはこの直後に「Breathless」をリリースしたわけで、初期と第2次キャメルの様子が比較できるアルバムとして面白い。
 過去のヒット曲を並べ、特に「Snow Goose」をDavid Bedford指揮のロンドン・シンフォニー・オーケストラと共演し、全曲2枚目のLPのC、D面に収録している。

Ontheroad1981 「CAMEL / ON THE ROAD 1981 」Camel Production PCCY-01097, 1997

 まあ不思議な言葉であるが、オフィシャル・ブートレグというところで、BBC音源によるアルバム「NUDE」リリース後のツァー収録である(1981年4月ハーマンスミス・オデオン(ロンドン))。

 これはラティマーによるライブ盤リリース活動の一環で、十数年後の1997年になってのリリースものだ。この時は既にバーデンスは抜けていて、オリジナル・メンバーはAndrew LatimerとAndy Wardのみ。BassにColin Bassが登場している。彼は「リモート・ロマンス」から参加して既に重要なメンバーになっている。他はKit WatkinsとJan SchelhaasのKeyboardsだ。つまりバンド:キャメルもいよいよラティマー主導のものとして動いていることが判る。
 収録曲は”never let go”でスタートするが、主として「NUDE」からの10曲であり、アルバムでは Mel Colinsのフルート、サックスが入るが、このライブでは既にいない。

Pressurepointcd 「CAMEL / PRESSURE POINTS~Live in Concert」Esoteric Recordings ECLEC 22162,  2009

 前回紹介した1984年の「Stationary Traveller」リリース後映像盤(LD)でお目見えした5月11日、Hammersmth Odeon のライブもののCD盤。しかもこの"ECLEC 22162"は、24-bit リマスター盤でサウンドも向上し収録曲も6曲追加の全16曲で2009年にCD2枚組でリリースされたもの。LD映像盤よりも3曲多い。
 この時のキャメルは実に中身が濃い演奏であった。いや過去に於ける最高のスタッフと演奏を行ったと言ってもいい。特に既にバンドから離れていた Mel Collins (Sax) とPete Bardens (Organ)もゲスト参加している。従って Keyboards が4人スタッフと豪華で、Andy Latimer のギターも冴え渡る。
 内容は、過去のヒット曲集とアルバム「Stationary Traveller」からの曲であり、初のオフィシャル映像盤としても収録したことよりも、かなり力の入ったライブもの。
 この活動で、キャメルは一端幕を閉じたわけで、そんな意志の入ったライブものとして見ると、なかなか感動ものである。キャメル・ファンとしては必聴盤。

Neverletgo 「CAMEL / NEVER LETGO」 CAMEL Productions CP-004CD , 1993

 この盤はあのアルバム「怒りの葡萄 Dust and Dreams」リリース後のライブもの。いわゆるオフィシャル・ブートレグである。
 既に、ラティマー・キャメルとなっての完成域に入っている。
 これは前回にも取り上げているので参照して欲しい。

Commingofage 「CAMEL / COMING OF AGE」 CAMEL Productions PCCY-01232 , 1998

アルバム「怒りの葡萄」で復活を遂げたラティマー率いるキャメルは、コンセプト・プログレ・アルバムの型を完成させた。
 そして4年後の1996年には、ラティマー自身のルーツであるアイルランドの歴史にみる悲劇の舞台を描くに至ったアルバム「Harbour of Tears :港町コーヴの物語」をリリースし、そして97年のワールド・ツアーよりのライブ録音もの。このツアーは日本でも大阪、名古屋、東京、川崎と訪れ歓迎された。ここに収録されたものは、3月13日カルフォルニアはロスのBillboard Live である。
 とにかく精力的ライブで、なんと30曲披露。その中、28曲がこのライブ盤で聴ける(CD2枚組)。過去のアルバムからのヒット曲12曲に加え、「怒りの葡萄」から4曲。そして「ハーバー・オブ・ティアーズ」から12曲で、あの”父に捧げる詩”で幕を閉じる。
 メンバーは、アンディ・ラティマーとコリン・バースのコンビは当然で、それにFoss Patterson(Key. Vo.) と Dave Stewart(Drums)である。もともと哀愁と美しいメロディのアルバム「ハーバー・オブ・ティアーズ」であり、このライブ盤でも後半はじっくりとアイルランドの風土からの曲の流れに我々を導いてくれる。
 
 

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2011年3月26日 (土)

キャメル CAMEL の一考察(2) : アンディ・ラティマーの築いた世界「怒りの葡萄」

8年の沈黙を経て名盤「DUST AND DREAM 怒りの葡萄」のリリース
                                                                       Andrewlatimer2          アンディ・ラティマーの奮戦によって1984年10thアルバム「Stationary traveller」のリリースが出来たキャメルであったが、既にここに来ては、かってのキャメルではなかった。このバンドの原点メンバーであり、そしてただ一人の残党あるアンディ・ラティマー主導のコンセプト・アルバムとして作り上げられ、そしてこのスタイルはむしろ私にとっては歓迎であった。それはまさにニュー・キャメルであったのだ。
 彼は直ちにこのアルバムをひっさげてツアーに出る。
 バンド・メンバーは、Andy Latimer(Guitar, Vocal)、 Colin Bass(bass)Paul Burgess(drums)、Ton Scheppenzeel(keyboards)、Chris Rainbow(vo. , key)の5名に、なんと既にキャメルから去っていた Pete Bardensと Mel Colins が加わって花を添えている。
 そしてそのライブの模様は、キャメル初めてのオフィシャル映像のLD(レーザー・ディスク)盤としてリリースされた。

Ldpressurep_2  「CAMEL / PRESSURE POINTS~LIVE IN CONCERT (PolyGram SM037-3345)
 この80年代の当時でもなかなかキャメルの映像はレアであったが、ここに素晴らしい映像とサウンドで我々の前に出現したのだった。
 あの哀愁の曲”stationary traveller” では、ラティマーのギターが泣き、Pan Pipesの音が心に響く。かってのヒット曲”rhayader”、”rhayader goes to town”、”Lady fantasy”なども演奏されるが(”Lady fantasy”の盛り上がりは凄い、アルバムとは比較にならない出来であった。ライブの醍醐味そのもの)、ライブ会場全体の印象は、詰めかけたオーディエンスにとって何か心打つライブであった。当時公にはなっていなかったが、多分メンバーは心に決めていた”キャメルの幕引き”のライブであったのだ。
 そして私には感動で迎えた1984年のキャメルであったが・・・・、これが見納めになることが後に明らかになったのだった。

Dustanddreams  しかし。簡単に事は終わらない。このキャメルの消えた1984年から8年という長い経過を経て、遂にキャメル復活のニュースが聴かれ、ここに出現したのが・・・・

「CAMEL / DUST AND DREAMS 怒りの葡萄」 Camel productions CP-001CD , 1992

 わたしにとっては衝撃であった。あの名作スタインベックの「怒りの葡萄 The Grapes of Wrath」にインスバイヤーされたアルバムの登場であった。資本主義社会の矛盾と陰の部分と人間の力強い生き様と哀愁を描いたこの作品は、あのジョン・フォードによっても映画化もされている(このブログ:2009年11月2日参照)私にとっての貴重な3本の指に入る作品だ。それを主として”staitionary travellar LIVE”のメンバーで作り上げリリースしたのだ。もちろんこれにはラティマーの伴侶のスーザンが協力とサポートが大きく働いている。(このもジャケ・デザインも素晴らしい。砂地に立つ男の子の表情が総べてを物語る。これはロック・アルバム史に残る傑作だと思っている)

 全編ラティマーの渾身の作品が並ぶ。全16曲が一つの世界を描ききる。悲劇の物語のスタート”go west”、”Rose of Sharon”に描かれる青春期女性の人生、”end of the line”のたたずむ道の厳しさ、”hopeless anger”、”whispers in the rain”に描かれる希望と絶望感。
 果たしてこのアルバムは、小説「怒りの葡萄」を知らないものにはどう捉えられるのか?、映画「怒りの葡萄」(残念ながら映画は小説の途中で終わってしまうが)を知らないものにはどう捉えられるか?・・・・このことは私には全く解らない。とにかく私の青春時代にとっては強烈なインパクトのあったこの小説が見事に頭に描かれるこの曲群、素晴らしいの言葉以上では語れない。ロックというジャンルを超えて一歩昇華している。
 ラティマーがこのスタインベックの小説に感動し、数年かけて構想を練った作品であったという。彼が少なくとも私の感動と彼の感動がどこかで一致したことが当時嬉しかったものだ。

Neverletgo  この後、彼はやはりツアーを敢行してステージでも全曲披露している。それが左の2枚組オフィシャル・ブートレグだ。

「CAMEL / NEVER LETGO」 CAMEL Productions CP-004CD, 1993

 このライブでは、1972年からのキャメルのヒット曲”never let go”でスタートし、”rhayader goes to town”、”echoes”、”ice”など登場し、そしてこのアルバム「Dust and Dreams」を再現し、”Lady fantasy”で幕を閉じる。
 ラティマー版キャメルのオンパレード。まだ手にはいるようだったら、録音、演奏もよいので是非ともお勧めである。

Refugee ちょっと、ブートレグの話になるとその気になってしまう私であるので、ここでキャメルの1984年の「Stationary travellar」LIVE の全模様を聴きたかったら、良好のものを紹介しておく。左のAYANAMIの2枚組ブートだ。

「CAMEL / refgee」 Live in utrecht, holland 5/15/1984  , Ayanami-120

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2011年3月24日 (木)

キャメル CAMEL の一考察(1):「スノー・グース」から「ステーショナリー・トラベラー」

叙情派プログレッシブ・ロックという世界を築いた不思議なバンドの変遷

 Minasianのアルバム「Random Acts of Beauty」(このブログ2011.3.4で紹介)で、久々のアンディ・ラティマーのギターが聴けたことで、私のロック史において重要なバンド”キャメルCAMEL”をここで思い起こすわけである。

 そのキャメルは、もともと英国の叙情派プログレッシブ・ロックとしての名声が高いが、結成は1972年、ピンク・フロイドで言うと7thアルバム「雲の影」、キング・クリムゾンでは5thアルバム「Eearthbound 」の頃で、プログレもピークを迎えた頃である。こうしてみると遅咲きの感あるが、重要メンバーのギタリスト、アンディ・ラティマーAndrew Latimer は、既に1968年より”STRANGE BREW”というバンドを始めており、彼自身は英国ロック旋風の新しい流れを求めた中に見い出すことができるのだ。そしてこのバンドの中断や再結成をしている時に、キーボード・プレイヤーを募集し、オーディションに合格したピーター・バーデンスPete Bardensを迎え、このラティマーとバーデンスの出会いこそがバンド”キャメル”を産むことになった。

Snowgoose  そんな経過の中で、何だかんだ言っても、やっぱり我々がキャメルを知り、そして彼らの曲を愛したのは1975年の3rdアルバム「スノー・グース Music inspired by The Snow Goose / 白雁」(左)があったからだと言える。

 1stからのオリジナル・メンバー(peter bardens(key.)、 andy latimer(giit.flut.)、 andy word(drum.)、 doug fergusons(bass))が、このアルバムに来て自己のスタイルを完成したと言っていい。バーデンスのムーグ、ハモンドB-3、メロトロン、そしてラティマーのギターとフルートと、当時のプログレ・ファンには納得の構成。そしてポール・ギャリコの短編小説「白雁」の純真な心の通いの世界にインスパイヤーされて、彼らの音楽的センスと技能を駆使して一つの世界を極めた美しき傑作アルバム。

 ところが実は、このアルバムを私はかって初めてLP時代に聴いて以来、未だにロックという感覚にならないんですね。それはオーケストラの導入なども一つの因子かも知れないが、ただそれだけでない、曲のスタイルやメロディーとあまり美しく出来上がったアルバムの構築にて、ロックというよりはイージー・リスニングに近い絵巻物音楽といった方が良いのか?、そんな世界なのだ。それは全くの私の偏見的個人的感覚なんですが。
Camelmember  さて、私のキャメルとのお付き合いの話になるが、そのスタートはやっぱりこの「スノー・グース」からで、その美しさに魅了されたわけだが、逆に1st、2ndにふり戻ってその後聴いてみると、なんと意外に2ndアルバム「ミラージュ(蜃気楼)MIRAGE」(1974年)は、結構ロックだったりする。そしてこれも私は見逃せない名盤だと思うのだ。ライブでは必ず演奏する”Lady Fantasy”は、このアルバムの最後の締めくくりの曲として登場。

 とにかく、このキャメルが日本でも聴かれるようになったのは私の経過と同じように「スノー・グース(白雁)」からと言っていいと思うが、その時はピンク・フロイドは既に「狂気」で一つの頂点を極めた後であり、彼らは自分たちの音楽の次の道に暗中模索するに至り、なんとか2年半ぶりのアルバム「炎」のリリースが出来た時である。一方キング・クリムゾンは、「レッド」をリリースして解散してしまった時である。このようにプログレッシブ・ロック運動は既に一つの収束を得た時であった。こうした時に彼らは逆に注目と期待を浴びて一つの波となり、翌年(1976年)には早速4thアルバム「Moonmadness」をリリースしたのだ。

Statinarytraveller 「CAMEL / Stationary Traveller」 DECCA pocd-1831 ,  1984

 さて、ここにいきなりキャメルのライブものを別にしての10作目を登場させる。つまり「スノー・グス」以降ここに来るまでのキャメルのアルバムは、私にとってはいずれも悪くはないが、その悪くないところが逆に印象が薄いのだ。
 バンド・メンバーもリチャード・シンクレア(bass)、メル・コリンズ(sax,flut)の加入や、当初のバーデンスの脱退などと変遷を経ている。
 そうそう、7thアルバム「I can see Your House from Here リモート・ロマンス」(1979年)はバーデンス+ラティマーから、ラティマーへの転機のアルバムだった(最後のインスト曲”Ice”にはラティマーの世界が開花する。私はこれ一曲で十分だった)。
 1981年には、あの戦後29年もフィリピンで一人戦って来た小野田寛郎をテーマにした8thアルバム「NUDE」のリリースも話題だった。しかしアルバムとしての完成度は高いとは言えず、そのスタイルにおいては中途半端であったと言わざるを得ない。

 そしてこの10作目「Stationary Traveller」に至ると、振り返ってみればスタート時のメンバーはアンディ・ラティマーのみで、彼一人のバンドと化している。更にこのアルバムは”東西ベルリンの悲劇的実情”をテーマにしていたのだ。ラティマーにしてこの問題を描く事の来たるところは何なのか?、一つの大きな疑問に当時向き合うことになったが、以前に小野田寛郎を取り上げたことにも関係していることが後に解ったのだ。
 (members)
      Andy Latimer : guitar, pipes, piano, vocals
      david paton : bass
      paul burgress : drums
      ton scherpenzeel : Key.
      susan hoover : lyrics
 このアルバム、曲を作ったのはラティマーであって、あのかってのキャメルとは一線を画したロック・アルバムの世界に突入していたのだった。これはむしろ”新星ロック・バンド・キャメル”ではないか!。
 それには1977年よりのラティマーの良き伴侶のスーザンSusan Hooverとの関係が重要であることが解った。それは8thアルバム「NUDE」から加わった彼女とラティマーのコンビの結果が、この3作目にしてようやく開花したものでもあったのだ。全ての歌詞はスーザンによって書かれた。彼女の父親の戦争との関わり、それによるのか彼女には戦争に対する問題意識そして反戦・平和思想があり、それがラティマーの触発を促したのだった。
 ラティマーにとっても、コンセプト・アルバムの世界への意欲が充実した。もともと繊細にして内向的でどこか哀愁のあるラティマーの本質が、こうしたアルバム造りへの気持ちと築き上げられた音楽思想に一致をみるに至ったのだ。

(list)
   1. pressure points
   2. refugee
   3. vopos
   4. clock and daggerman
   5. stationary traveller
   6. west berlin
   7. fingertips
   8. missing
   9. after words
  10. long goodbyes

 スタート曲の”pressure points”は、ベースとギターで力強くスタートする。こうゆうパターンもかってのキャメルにはなかった。このアルバムは基本的には力強いドラムスでビートを刻みロックの味付けが前面に出る。しかし3曲目”Vopos”にして、哀しきテーマが流れ、5曲目のインスト曲”stationary travellar”になると美しい旋律が流れ、ラティマーのpan pipesが心を打ち、更に彼のギターが哀愁を帯びる。全編を通じて曲の構成が見事で非の打ち所がない。私はキャメルの一押しの名盤と言いたいところだ。”after words”のピアノも美しい。最後の”long goodbyes”でキャメルは一つの終止符を打つことになってしまうのだが。

 このアルバムは、ラティマー+スーザンのコンビの結実であった。そしてこの後あの名盤「DUST and DREAMS」へは、8年間の空白が襲うのである。
                                  (続く)


 

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2011年3月 4日 (金)

久々のロック話 :キャメルが味わえる デビッド・ミナシアンDavid Minasian / 「Random Acts of Beauty」

まさにキャメルの世界の再現(アンディ・ラティマーも参加)

 このところ、Jazzyなヴォーカルの美女狩りにうつつを抜かしていましたが、なんと昔のパソコン通信といった時代にお世話になった関西の”ロックおじさん”(勿論、パソ通時代はおにいさん)にちょっとおしかりを受けたのか?(笑)、このデビッド・ミナシアンのアルバムのご示唆を頂きました。
 確かにロジャー・ウォーターズの「ザ・ウォール・ライブ」、スノーウィ・ホワイトの「ブルース・ライブ・アルバム=Snowy White Blues Project/in Our Time...Live」などは取り上げたんですが、やっぱりロック話は少々粗になっていました。
 ところで、このデビット・ミナシアン David Minasian ですが、あのキャメルの二番煎じであることは間違いない(特にアンディ・ラティマー主導の後期キャメル)。しかし決して悪いアルバムではないと・・・・・・、そうは思っていたんですが、ここでは取り上げなかったんですね。この彼のアルバムは手元にありますのでやっぱりここで取り上げておきます。

Randomactofbeauty 「DAVID MINASIAN / Randaom Acts of Beauty」 ProgRock Records PRR-843 , 2010

 とにかくキャメルですね。しかも冒頭の12分を超える”Masquerade”という曲では、キャメルのギタリストのアンディ・ラティマーAndrew Latimer がフューチャーリングされていて、彼のギターとヴォーカルが聴けるのです。なにせ、私のロックの歴史においても重要なアンディが重病の為、キャメルのニュー・アルバムにはここ何年とお目にかかれずいる訳ですが、確かにこのアルバムに1曲のみですが、登場したことは重大ニュースでした。最近の情報だと彼は骨髄移植を受けて成功したと言われていて、と言うことは白血病であったか?と想像はするのですが、四肢の機能異常もあるとか?、それでも実は今か今かとキャメルのニュー・アルバムを待っているのが現実です。
 
 さて、このデビッド・ミナシアンのアルバムですが、彼はクレジットをみるとマルチ・プレイヤーと言っても、それは並のものでない。主としてはキーボード・プレイであるが、それも grand piano, mellotron, harpsicord, moog, organ などなどが挙げられ、その他 Cello, Violin, oboe, flute ,clarinet そして Guitar , Bass ,Drums など、いってみれば全楽器をこなすといった恐ろしさだ。彼はもともと5歳の時からピアノをひき始め、音楽の道のプロへの試みもあったようだが、映像もののプロデュースの道が主たる活動の場となった。しかし映画のサウンドトラックなども製作し、音楽の才能と技能はやはり十分にあったようだ。キャメルとの関係は特に映像もののディレクターとして活躍した。
 そんな関係からアンディ・ラティマーとも交流があって、そして親友となり今回のアルバムにも繋がったわけだが、それ以前にも1984年には、「Tales of Heroes and Lovers 」というアルバムをリリースしている。このアルバムはイエスのアルバムを思わせるジャケ・デザインで、もともと彼はシンフォニック・ロックに興味があったと言っていいのだろう(私は未聴)。
 とにかく、ジェネシス、イエス、ジェスロ・タル、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、ルネッサンスなどなどプログレッシブ・ロック・バンドにインスパイヤーされていたということで、当然キャメルには大きな影響を受けている。そしてこのキャメルばりのアルバムの出現は自然な姿と言うところであろう。

   1. Masquerade
   2. Chambermaid
   3. Strorming the castle
   4. Blue rain
   5. Frozen in time
   6. Summer's end
   7. Dark waters

Davidj  収録は7曲であるが、5.の”Frozen in time”は14分を超える壮大なインスト曲だ(ここではアコースティック・ギター、アコースティック・ピアノも気持ちよく聴ける)。 そしてこのアルバムの曲群は彼のキーボードがうねりにうねって流れ、もちろんメロトロンも活躍。そして泣きのギターが押し寄せてくる。とにかくメロデックでシンフォニックで、過去の気分に私なんかは浸ってしまう。1.は先に触れたように、アンディ・ラティマーのギターとヴォーカルが聴かれ、もうキャメルにどっぷり浸かれる。その他の曲のギターも、ラティマー節を聴かせてくれるが、それはなんとデビッドの息子のジャスティン・ミナシアンJustin Minasian が演奏している。3.”Storming the castle”は軽快なリズムも飛び出す。4.”Blue rain”を聴くとヴォーカルも捨てたものではない。
 6.の” Summer's end”などは、ほんとに涙ものである。

 これこそ死語のプログレッシブ・ロックであって、今となれば懐かしのクラシック・ロックなのだ。そして比較的ゆったりと聴けるロックである。時にこうしたアルバムもいいものだ。
 最後に、私流に少々難を申し上げると、どうもこのジャケが良くないのでは?、特にこうしたアルバムにこの女性はいらなかったなぁ~~と思うのである。取り敢えず昔はジャケ買いをした経験からもジャケのデザインには未だに興味があるし、重要に思っている私で・・・こんなところも察して欲しいのである。

 
 

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