キャメルのライブ映像盤 Camel 「ROYAL ALBERT HALL / LONDON」
(今日の一枚) モッコウバラ(我が家の庭から)
Sony α7RⅣ, FE4/24-105 G OSS, PL
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「ラティマー復活のCamel」の一つの頂点
<Progressive Symphonic Rock>
Camel 「ROYAL ALBERT HALL / LONDON」
MARQUEE / JAPAN / DVM106 / 2020
Andrew Latimer : Guitars, Flute, vocals
Colin Bass : Bass, vocals
Denis Clement : Drums, Percussion
Pete Jones : Keyboads, vocals, Sax
2018年5月に「Japan Live」を行ったキャメル、その 映像盤を2018年の7月にブートで出現しここで取り上げたのだが、その2ヶ月後の2018年9月のご本家英国ロンドン(ROYAL ALBERT HALL)でのライブ映像盤がオフィシャルにリリースされた。
今回のライブは1976年の4thアルバム『MOONMADNESS 月夜のファンタジア』の全曲再現と過去のポピュラーな曲群という構成。ミュージシャンにとっては由緒あるロイヤル・アルバート・ホールでの価値あるライブで、それをプロショットで納めたオフィシャル盤であるだけに映像も安定しており、収録サウンドも良好で見応えがある。
キャメルと言えば、やはりアンディー・ラティマー(→)のギターだが、ラティマーがオリジナル・キャメル(1973年1stアルバム『Camel』)がメンバーの交代繰り返しほぼ解散状態から、1984年にアルバム『Stationary Traveller』で復活させた。それにより創始者といえるピーター・バーデンスも加わってのオリジナル・メンバー総結集でライブまで行うに至った。
その後、ラティマーのバンドといってよい状態となりながらも、ベースのコリン・バスと共に『Dust and Dreams 怒りの葡萄』('92)、『Harbour of Tears』('96)などの名作も残してきた。ところがラティマーが不幸にも2007年に骨髄線維症という大病を患ってしまった。そして奇跡的にも回復して2010年より徐々に活動再開して、人気を不動にした3rdアルバム『Snow Goose』('75)の再演をしたり、この2018年には『MOONMADNESS』('76)の再演を中心にライブ活動を展開して日本にもお目見えしたわけだ。
話題は、キーボードのピート・ジョーンズ、彼は盲目の天才プレイヤー。ヴォーカルもいいし、サックスも演ずる。このバンドで良い役割を果たしている。
(Tracklist)
<セット1:月夜の幻想曲(ファンタジア)>
1. アリスティラスへの誘い
2. 永遠のしらべ
3. 転移(コード・チェンジ)
4. 水の精
5. 月夜の幻想曲(ファンタジア)
6. Air Born ゆるやかな飛行
7. Lunar Sea 月の湖
<セット2>
1. Unevensong 心のさざ波
2. ヒム・トゥ・ハー
3. エンド・オヴ・ザ・ライン
4. Coming of Age 時代
5. ラージャーズ
6. アイス
7. マザー・ロード
8. Hopeless Anger 絶望の怒り
9. ロング・グッドバイ
10. レディー・ファンタジー
セット・リストを見て解るように、アルバム『MOONMADNESS』全曲披露のファースト・セットに続いて、セカンド・セットではかってのヒット曲を10曲を演じている。アンディ・ラティマーと盟友コリン・バス(→)をはじめとするキャメル復活メンバーは不変で、デニス・クレメント(drums)と盲目のプレイヤー・ピーター・ジョーンズ(keyboards, vocals)の 四人は今や完璧に一つのバンドと化していて気持ちが良い。
この年の日本ライブと若干セットリストは異なっているが、アルバム『Dust and Dreams』からの曲"Rose of Sharon"でのラティマーのギター・ソロが無くなったのがちょっと寂しい。というのも実は、私はこの昔の『MOONMADNESS』よりは、このラティマー主導の後期Camelが好きと言うこともある。私の好きな曲"stationary Travellar"も期待していたんだが・・・それでも各アルバムから一曲づつサービス演奏しているので・・・良しとしておこう。
かってのヒットの10曲披露サービスは、ラティマーの年齢と病後の体力を考えると、ほぼ完璧というところか。
もともとの幻想的な雰囲気や緊張感のある展開、さらには泣きのギターなどあってやはりキャメルは良いですね。このバンドの特徴はテンポの早い曲であっても刺激性が少なく、なんとなく優しくゆったりと心に響くところが魅力。そしてどこかで甘いメロディーが流れる。こんなところが聴く方は気持ちが良い。
そして又一方、非常に哀しい世界の現実を描いて訴えるところも後期キャメルの特徴で、スタインベックの『怒りの葡萄』などをテーマにしたりと、そんな世界はラティマーの人生観に通じているのだろうと何時も思うのである。
セット1では、"Lunar Sea"では、老雄ラティマーは十分テクニカルな部分をこなしているし、セット2では、やはり "Ice", "Mother Road ", "Hopeless Anger"は心打つ。そしておなじみの"Lady Fantasy "はアンコールで聴かせている。
ある意味でのキャメルの総決算的なライブであり、貴重として記録しておく。
(評価)
□ 選曲・演奏 90/100
□ 画像・録音 85/100
(視聴)
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