ディナ・ディローズ Dena DeRose 「Ode To The Road」
叙情性と風格のある円熟ヴォーカルの本格的ジャズ・アルバム
<Jazz>
Dena DeRose 「Ode To The Road」
HIGH NOTE / US / HCD 7323 / 2020
Dena DeRose (vocal, piano)
Martin Wind (bass)
Matt Wilson (drums)
Sheila Jordan (vocal on 04, 06)
Houston Person (tenor saxophone on 07, 11)
Jeremy Pelt (trumpet on 02, 08)
2019年10月1&2日ニュージャージー州ティーネックのTeaneck Sound録音
ピアノ弾き語りの、もうベテラン組に入る私の注目女性歌手ディーナ・ディローズ(1966年ニューヨーク州ビンガムトン生まれで今年54歳)の、前作『United』(HCD7279/2016)以来の4年ぶりのニュー・アルバムだ。なんか非常に久しぶりって感じで聴いている。
今作もマーティン・ウィンド(b)&マット・ウィルソン(ds)とのトリオ作品だが、シーラ・ジョーダン(vo)、ヒューストン・パーソン(ts)、ジェレミー・ペルト(tp)というゲスト陣を迎えて本格的ジャズ・ヴォーカル・アルバム。
彼女の演ずるは、NYジャズそのものだが、現在はオーストリアに住んでいてグラーツ音楽大学で教鞭をとっているという。そしてNYには頻繁に戻って活動しているという生活のようだ。
(Tracklist)
01. Ode To The Road
02. Nothing Like You
03. Don't Ask Why
04. All God's Chillun Got Rhythm / Little Willie Leaps
05. That Second Look
06. Small Day Tomorrow
07. The Way We Were
08. Cross Me Off Your List
09. I Have The Feeling I've Been Here Before
10. A Tip Of The Hat
11. The Days Of Wine And Roses
スタートはアルバム・タイトル曲M1."Ode To The Road"、ピアノ・トリオのバックに堂々の彼女のヴォーカルは、風格すら感ずるダイナミックスさとパッションある躍動感はジャズそのもので、安心してリリカルなハード・パップの世界に身を寄せて聴くことの出来る世界だ。
そしてM3."Don't Ask Why" 、M6."Small Day Tomorrow"のスロー・ナンバーになると、その叙情性と円熟感あるヴォーカルにうっとりというところ。私はバラード好きであって、このテンダーであるにも関わらずブルージーな情熱の世界を演ずる彼女の世界は貴重である。
M7."The Way We Were"は、ヒューストン・パーソンのテナー・サックスが加わって、更にスロー・ナンバーを朗々と歌い上げてお見事。
M8."Cross Me Off Your List"は、今度はジェレミー・ペルトのトランペットが加わって軽快な展開に快活スウィンギン・ジャズ。
M9."I Have The Feeling I've Been Here Before"のバラードは、説得力十分。
締めくくりのM11."The Days Of Wine And Roses"は、ミディアム・テンポのトリオ演奏とパーソンのテナー・サックスも快感。
彼女はピアニストであり"弾き語り"だけあって、メロディーを十分意識しての歌詞に味付けと叙情性を描いている。その様は風格のヴォーカルでありお見事だ。中音域を中心としての歌声には温かみもあって細かいニュアンスをじっくり訴えてくれる。そして躍動感あるスウィンギーな曲にはドラマティックにパンチ力も備わっていてパッションを感じ、文句の言いようのない歌世界だ。
もともとの彼女のピアノ・プレイも文句なく快調に流れて快適だ。
又、このアルバムでのゲストのシーラ・ジョーダンの90歳の若々しいヴォーカルには驚かされた。更にゲスト陣も奮戦していて良いアルバムに仕上げられている。久々の本格ジャズ・ヴォーカル・アルバムを聴いた思いである。
(評価)
□ 選曲・演奏・歌 90/100
□ 録音 85/100
(試聴)
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