ポール・コゾフ

2011年9月 6日 (火)

秋の夜長の回顧シリーズ(2) : 涙もののポール・コゾフの世界(2)

企画盤もポール・コゾフの場合は貴重であった。

Backstreetdelux 「KOSSOFF / Back Street Crawler  DELUXE EDITION」 Universal/Iland Records 5306082 ,  2008

 これは1973年のフリーを脱退した後のポール・コゾフの彼名義のアルバム「KOSSOFF / Back Street Craeler」のデジタル・リマスター版とそれに加えて未リリースの15トラックを加えた2CDのデラックス盤。2008年にリリースされたもの。
 これにはなんと1972-1973年当時のコゾフの多分これはポラロイド写真と思われるものが数枚ブックレットに載せられ涙をそそる。

 アルバムの5曲もオリジナル・テープからデジタル・リマスターしたものでかなりの改善が成されている。ギター・サウンドを楽しませてくれる”time away”を聴いてみても、十分現在のオーディオ装置で、眼前に迫ってくるコゾフを感じ取れる。

Backstdeluxlist  それにも増して、過去にリリースされなかった15トラックの登場がなによりも喜ばせてくれるのである。(左参照=クリック拡大)
 
   ”Tuesday Morning”のearly take が2トラック。そしてなんと楽しいのが、この曲のBlues版、Groove版、 Boogle版、 Piano Jam版と4トラックが更に加わる。Blues版は当然私好みでお気に入りだが、Groove版のギターの泣きもたまらなく切ない。Piano Jam では、ピアノの音も美しく、それにギターが乗っていって納得の出来。

 DISC 2 では、”I'm Ready” の6分越えのフル・バージョンも聴ける。
 ”Time Away” とくると、なんとなんと38分を超えるJohn Martyn session ものが登場する。多分John Martyn との掛け合いのギターと思われるが、最初から最後まで延々と続くこの流れには脱帽するところ。
 ”Molton Gold”も別テイクをしっかり楽しませてくれる。

Paulk2  このフリー後のコゾフはストラトキャスターを使っていたようだが、彼の音はレスポール時代とも決して私には大きく変わって聴こえない。それには弦おいても彼自身の工夫と選択があったようで、それぞれにコゾフの音というものがあったといえる。
 又、あの高音部のビブラートも万人をもってして泣かせてしまう繊細さが彼の持ち味であって、このDELUXE盤のボーナス・トラックには更にその味が充満していて、私にとってはなくてはならない貴重CDなのである。
 嬉しいことに、この日本盤があってそれは更に好音質のSHM-CD(super high material CD)盤としてリリースされている。今の内にそれも手に入れたいと実は思っているところなのだ。

 ポール・コゾフという三十数年前の若きアーティストに感謝しつつ、夜を過ごすのである。
 

 

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2011年9月 5日 (月)

秋の夜長の回顧シリーズ(1) : 涙もののポール・コゾフPaul Kossoff の世界

あのギターの音色は忘れられるものか!

 9月になると、ふと秋らしい夜が時として感じられる。・・・・・と、なるとなんとなく昔のよき時代の音が懐かしくなる。私はベスト盤はどちらかというと否定者なんですが、ものによっては、ベスト盤でもなかなか良いものもある。ここに取り上げるものもその一枚。あのギター・プレイの音を聴くと、何故か胸が締め付けられる思いになる。それがポール・コゾフPaul Kossoff だ。

Photo 「PAUL KOSOFF / THE COLLECTION」 Loudwoof  CRCL-4005 ,  1996

 もう15年も前のポール・コゾフのベスト・アルバム。なんとなくこの時期に良く取り出すものだ。今年も同じように聴いている。ベスト・アルバムでは私の愛聴盤の筆頭クラスなのである。

 コゾフが亡くなって既に35年が経ってしまっている(1976年死亡)。しかし相変わらずロック話では彼の名前は必ず出てくるところが凄い存在だ。あの死に方も壮絶(ドラッグの恐ろしさ)、ライブ行きの飛行機のトイレ内での突然死。しかし、その姿は誰にでも何時かはと想像されていたところが悲劇的だ。彼は1950年生まれであるから彼の26年という人生で、そこで描いたギターの世界が、今も世界で愛されるという現実は恐ろしいところだ。
 もともとコゾフは少年時代からクラシック・ギターを練習していたが、エリック・クラプトンのブルス・ギターに惹かれてゆく。

Collectoinlist1 このベスト・アルバムには15曲が収まっている。当然彼をして世に知らしめたのは、バンド・フリーFree(1968年-、18歳-)での活動であり、そのバンド時代の曲は当然1.2.3.の3曲が聴ける。多くのブルース・バンドの中ではポール・ロジャースの独特なヴォーカル・スタイル(ファンキーという表現もあった)とコゾフの神経集中のギターには観衆を引き込んだ。
 そして4曲目のコゾフのソロ・アルバム「バック・ストリート・クロウラー」('73)からの”time away”が、このアルバムの私にとっては一つの頂点である。
 1973年コゾフの病気でフリー解散。その後1975年、バンド”バック・ストリート・クロウラー”を結成。6.7.8曲はそのアルバム「2番街の悲劇」から。
 フリー時代は、ギブソン・レスポールを操り、ソロ後はフェンダー・ストラトキャスターを使っている。
Collectoinlist2 9.11.12.14曲は、コゾフの「ライブ’75」からだ。
 ”The band played on”はライブものらしい彼の熱演が手に取るように聴ける。この時のコゾフは心臓発作により瀕死状態になっての直後のものとか、彼の演奏への執念が感じ取れるところだ。
 ”It's a long way down to the top” は、彼のギターが泣きをもって歌い上げる。このベスト盤でも聴きところ。ライブはいいですね。
 13.”molten gold”は、バック・ストリート・クロウラーのスタジオ・セッション版。
 最後の”some kind of happy”では、悲しい曲でないのに何故かもの悲しくなる。

Paul_kossoff  ベスト盤は冒頭に述べたように私はあまり好まない。アルバムをトータルに聴いてゆきたいからだ。しかし、ことによってはベスト盤によって回顧の醍醐味も感じられるものである。そんな一枚をふと秋の風を感じたときに聴いてみるのもいいものだ。 
 

 

| | コメント (2) | トラックバック (1)

その他のカテゴリー

Audio CLASSIC Progressive ROCK アイオナ アガ・ザリヤン アデル アメリカン・ジャズ アヤ アレクシス・コール アレッサンドロ・ガラティ アンジェイ・ワイダ アンナ・マリア・ヨペク アンヌ・デュクロ アヴィシャイ・コーエン アーロン・パークス イエス イタリアン・プログレッシブ・ロック イメルダ・メイ イモージェン・ヒープ イリアーヌ・イリアス イーデン・アトウッド ウィズイン・テンプテーション ウォルター・ラング エスビョルン・スヴェンソン エスペン・バルグ エミリー・クレア・バーロウ エミール・ブランドックヴィスト エレン・アンデション エンリコ・ピエラヌンツィ エヴァ・キャシディ オルガ・コンコヴァ カティア・ブニアティシヴィリ カレン・ソウサ ガブレリア・アンダース キアラ・パンカルディ キャメル キャロル・ウェルスマン キング・クリムゾン キース・ジャレット クィダム クレア・マーティン グレッチェン・パーラト ケイテイ・メルア ケイト・リード ケティル・ビヨルンスタ コニー・フランシス コリン・バロン ゴンザロ・ルバルカバ サスキア・ブルーイン サラ・ブライトマン サラ・マクラクラン サラ・マッケンジー サンタナ サン・ビービー・トリオ ザーズ シェリル・ベンティーン シゼル・ストーム シネイド・オコナー シモーネ・コップマイヤー シャイ・マエストロ ショスタコーヴィチ シーネ・エイ ジェフ・ベック ジャック・ルーシェ ジョバンニ・グイディ ジョバンニ・ミラバッシ ジョルジュ・パッチンスキー スザンヌ・アビュール スティーヴン・ウィルソン スティーヴ・ドブロゴス ステイシー・ケント ステファン・オリヴァ スノーウィ・ホワイト スーザン・トボックマン セリア セルジオ・メンデス ターヤ・トゥルネン ダイアナ・クラール ダイアナ・パントン ダイアン・ハブカ チャンピアン・フルトン チャーリー・ヘイデン ティエリー・ラング ティングヴァル・トリオ ディナ・ディローズ デニース・ドナテッリ デヴィット・ギルモア デヴィル・ドール トルド・グスタフセン ドリーム・シアター ナイトウィッシュ ニコレッタ・セーケ ニッキ・パロット ノーサウンド ハービー・ハンコック バンクシア・トリオ パスカル・ラボーレ パトリシア・バーバー ヒラリー・コール ビル・エヴァンス ビル・ギャロザース ピアノ・トリオ ピンク・フロイド フェイツ・ウォーニング フランチェスカ・タンドイ フレッド・ハーシュ ブッゲ・ヴェッセルトフト ブラッド・メルドー ヘイリー・ロレン ヘルゲ・リエン ペレス・プラード ホリー・コール ボボ・ステンソン ポーキュパイン・ツリー ポーランド・プログレッシブ・ロック ポール・コゾフ マッツ・アイレットセン マツシモ・ファラオ マティアス・アルゴットソン・トリオ マデリン・ペルー マリリオン マルチン・ボシレフスキ マーラー ミケーレ・ディ・トロ ミシェル・ビスチェリア メコン・デルタ メッテ・ジュール メラニー・デ・ビアシオ メロディ・ガルドー モニカ・ボーフォース ユーロピアン・ジャズ ヨアヒム・キューン ヨーナス・ハーヴィスト・トリオ ヨーナ・トイヴァネン ラドカ・トネフ ラーシュ・ダニエルソン ラーシュ・ヤンソン リサ・ヒルトン リズ・ライト リッチー・バイラーク リリ・ヘイデン リン・エリエイル リン・スタンリー リヴァーサイド リーヴズ・アイズ ルーマー レシェック・モジュジェル ロジャー・ウォーターズ ロバート・ラカトシュ ロベルト・オルサー ローズマリー・クルーニー ローレン・ヘンダーソン ヴォルファート・ブレーデローデ 中西 繁 写真・カメラ 北欧ジャズ 問題書 回顧シリーズ(音楽編) 女性ヴォーカル 女性ヴォーカル(Senior) 女性ヴォーカル(ジャズ2) 女性ヴォーカル(ジャズ3) 寺島靖国 戦争映画の裏側の世界 手塚治虫 文化・芸術 映画・テレビ 時事問題 時代劇映画 波蘭(ポーランド)ジャズ 相原求一朗 私の愛する画家 私の映画史 索引(女性ジャズヴォーカル) 絵画 趣味 雑談 音楽 JAZZ POPULAR ROCK SONYα7