秋の夜長の回顧シリーズ(2) : 涙もののポール・コゾフの世界(2)
企画盤もポール・コゾフの場合は貴重であった。
「KOSSOFF / Back Street Crawler DELUXE EDITION」 Universal/Iland Records 5306082 , 2008
これは1973年のフリーを脱退した後のポール・コゾフの彼名義のアルバム「KOSSOFF / Back Street Craeler」のデジタル・リマスター版とそれに加えて未リリースの15トラックを加えた2CDのデラックス盤。2008年にリリースされたもの。
これにはなんと1972-1973年当時のコゾフの多分これはポラロイド写真と思われるものが数枚ブックレットに載せられ涙をそそる。
アルバムの5曲もオリジナル・テープからデジタル・リマスターしたものでかなりの改善が成されている。ギター・サウンドを楽しませてくれる”time away”を聴いてみても、十分現在のオーディオ装置で、眼前に迫ってくるコゾフを感じ取れる。 それにも増して、過去にリリースされなかった15トラックの登場がなによりも喜ばせてくれるのである。(左参照=クリック拡大)
”Tuesday Morning”のearly take が2トラック。そしてなんと楽しいのが、この曲のBlues版、Groove版、 Boogle版、 Piano Jam版と4トラックが更に加わる。Blues版は当然私好みでお気に入りだが、Groove版のギターの泣きもたまらなく切ない。Piano Jam では、ピアノの音も美しく、それにギターが乗っていって納得の出来。
DISC 2 では、”I'm Ready” の6分越えのフル・バージョンも聴ける。
”Time Away” とくると、なんとなんと38分を超えるJohn Martyn session ものが登場する。多分John Martyn との掛け合いのギターと思われるが、最初から最後まで延々と続くこの流れには脱帽するところ。
”Molton Gold”も別テイクをしっかり楽しませてくれる。
このフリー後のコゾフはストラトキャスターを使っていたようだが、彼の音はレスポール時代とも決して私には大きく変わって聴こえない。それには弦おいても彼自身の工夫と選択があったようで、それぞれにコゾフの音というものがあったといえる。
又、あの高音部のビブラートも万人をもってして泣かせてしまう繊細さが彼の持ち味であって、このDELUXE盤のボーナス・トラックには更にその味が充満していて、私にとってはなくてはならない貴重CDなのである。
嬉しいことに、この日本盤があってそれは更に好音質のSHM-CD(super high material CD)盤としてリリースされている。今の内にそれも手に入れたいと実は思っているところなのだ。
ポール・コゾフという三十数年前の若きアーティストに感謝しつつ、夜を過ごすのである。
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