アデル Adele 「30」
またまたポピュラー界に嵐は起こるか・・・涙と過去の精算
<Pop, Country, Rock>
Adele 「30」
Sony Music / Japan / SICP 6425 / 2021
Adele – vocals (all tracks), background vocals (3), tambourine (5)
Ludwig Göransson – bass, keyboards, melodica, piano, synthesizer (1)
David Campbell – strings (1, 3, 7, 10, 12)
Greg Kurstin – bass, piano (2–5, 7); drum machine (2), melodica (3, 4, 7), steel guitar (3), clapping (4, 5), guitar (4), organ (4, 5, 7), drums, keyboards, percussion (5, 7); synthesizer (7)
Chris Dave – drums (3–5, 9), percussion (3, 9, 12), bongos, vibraslap (4)
etc
6年ぶりというお久しぶりのアデルAdele Laurie Blue Adkins(1988-)のアルバム登場、と言うことで「メガジャケ(24cm×24cm)」付きCDを買って聴いてます。
このところどこに行ったのか解らず状態であってなんとなく忘れかけた時に、突然リリースされた先行シングル「Easy One Me(イージー・オン・ミー)」は米Billboardの全米シングルチャートでNo.1の座を4週以上キープしているだけではなく、ストリーミングの世界でも、1日あたりに再生された楽曲としては最大の数字を叩き出し新記録を樹立しているとか、いやはやブランクは何処に行ったのかと思わせる。
アルバム題材の彼女の三年前の30歳当時は、私生活はやっぱり悲しい状況にあった。2012年に当時の恋人慈善活動家サイモン・コネッキとの間に男児を出産。サイモンとは2016年に結婚するも、2019年9月に離婚。得意のと言うと叱られそうだが、またまた失恋をテーマにした世界で迫ってくるのかと思うのである。しかし内容は、シングルマザーで育った自分を思うに付け、むしろ愛する9歳の息子に自分を何時か理解してもらいたいとの意味が強いとか、いろいろと説はあるが、まあそんなところだ。
思い起こせば、2008年のデビュー・アルバム『19』で世界は圧倒された。ポップ界は、一気に色が塗り替えられた思いで、私にとっては、凄い"じゃじゃ馬"の登場という感じでのスタートだったが、なんとグラミー賞「最優秀新人賞」と「最優秀ポップ女性歌手」の2部門を受賞。とにかく当時英国でエリザベス女王のお気に入りになって人気のあったケイティ・メルアも吹っ飛んでしまった。
続く2ndアルバム『21』(2011)は、これも19カ国で1位を獲得し全世界で2,500万枚を販売、今世紀最大のセールスを記録。全米アルバムチャートでもヒット記録を樹立、ギネス記録にもなる。また2012年第54回グラミー賞に主要3部門を含む6部門でノミネートされ、すべての賞を受賞。当時の話題の歌唱力のルーマーも圧倒されてしまう。
2015年3rdアルバム『25』でもグラミー賞計5部門を受賞し、史上初めて主要4部門のうち3部門を2度も制覇したという世界No1のアーティストとなった。
なんだかんだと言っても、今世紀を代表する英国出身のSSWアデルは現在33歳。張り上げる歌声にはハスキーな魅力があって、歌声と自身のオリジナル曲による恋愛経験などを基にしたあからさまの歌詞が訴えてきて、曲のとっつきやすさもあって人気を集めているわけだ。
(Tracklist)
01. STRANGERS BY NATURE | ストレンジャーズ・バイ・ネイチャー
02. EASY ON ME | イージー・オン・ミー
03. MY LITTLE LOVE | マイ・リトル・ラヴ
04. CRY YOUR HEART OUT | クライ・ユア・ハート・アウト
05. OH MY GOD | オー・マイ・ゴッド
06. CAN I GET IT | キャン・アイ・ゲット・イット
07. I DRINK WINE | アイ・ドリンク・ワイン
08. ALL NIGHT PARKING(WITH ERROLL GARNER)INTERLUDE | オール・ナイト・パーキング(with エロル・ガーナー)インタールード
09. WOMAN LIKE ME | ウーマン・ライク・ミー
10. HOLD ON | ホールド・オン
11. TO BE LOVED | トゥ・ビー・ラヴド
12. LOVE IS A GAME | ラヴ・イズ・ア・ゲーム
(Bonus Tracks)
13. Wild Wild West | ワイルド・ワイルド・ウェスト
14. Can't Be Together | キャント・ビー・トゥゲザー
15. Easy On Me (with Chris Stapleton) | イージー・オン・ミー(with クリス・ステイプルトン)
M1."STRANGERS BY NATURE " おお!これは、大人っぽくなったなぁーーと思わせるスローバラードでスタート。雰囲気はこりゃ聖歌ですね。そしてM2."EASY ON ME"の先行リリースのヒット曲に続く。これも昔の声の張り上げるところで無く、ちょっと抑制しているところは大人のムード。このあたりで自己の離婚の状況に迫り、その結果M3."MY LITTLE LOVE"が彼女にとっては重大なテーマ、このアルバムの焦点にある息子に対しての自分の親の姿として許しを請うのだ。その泣きの語りに涙を誘う。
そしてM5."OH MY GOD" ,M6." CAN I GET IT"では、特にM6.には、軽快な曲で心に展望が開けている様を歌っているように聴ける。
ただ、この流れは、恨み節に終わっていないところが、彼女の大人になった姿と言って良いのだろうか。
M8."ALL NIGHT PARKING",M9."WOMAN LIKE ME"のスローな歌が如何にも大人の心の歌だ。ここにみるアデルの30年の歴史が一つの結論に向かっている。
M11." TO BE LOVED"なかなか説得力のある歌、過去の清算を行っているのだろうか、解らない。
M12." LOVE IS A GAME "の最後の結論にいたるところ、ここには暗さが無い。一つの納得と達観の世界をゆったり歌い上げる。
やはり究極の処、彼女らしい自己の心の歌だ。過去と違うところは息子を持った母親としての強さも感じられる。「アデルも恨み節から卒業して・・・」と、この4thアルバムの評価も私にはその術も持ち合わせず、人間的発展の世界として受け止めておこう。
(評価)
□ 曲・歌 : 88/100
□ 録音 : 85/100
(視聴)
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