北欧ジャズ

2023年8月17日 (木)

ニルス・ラン・ドーキー Niels Lan Doky 「Yesterday's Future」

デンマークの騎士のピアノ・ジャズ・プレイ

<Jazz>

Niels Lan Doky 「Yesterday's Future」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1114 / 2023

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Niels Lan Doky (piano)
Tobias Dall (bass except 04,10,12)
Nikolaj Dall (drums except 04,10,12)

Live at the Louisiana Museum of Modern Art

  寺島レコードから寺島靖国氏の推薦と言っていいのだろうデンマークの人気ピアニストのニルス・ラン・ドーキー Niels Lan Dokyのアルバムがリリースされた。(本国ではLPのみで、日本でCDリリース)

 実はちょっと意外でもあったのは、彼の演ずるところ寺島氏は果たして好みなのだろうかと言うところであった。私も実は彼のアルバムは以前にも聴いているがあまり気合が入らない。2021年にここでアルバム『Improvisation On Life』(2017)を取り上げたが、彼のデンマーク生まれの体質を感ずる美メロディーが生きていたのを評価したが、私の好みとしては今一歩、ジャズの味に満足感が得られず、評価としては良好標準80点として一段上げて85点としたのだった。

202109080900w  今回、取り敢えず寺島氏のライナー・ノーツでどんなことを書くのか、それも興味で取り敢えず手に入れて聴いてみたというところである。
 ニルス・ラン・ドーキー(→)は1963年デンマークのコペンハーゲン生まれで、ニューヨークからパリでの活動を経て母国デンマークへ戻り(2010年)、地道に更なる研鑽を重ねてきた国際派の人気ヴェテラン・ピアニストである。今回はトリオ編成によるデンマークのルイジアナ近代美術館でのコロナ明け2022年の公演の模様を捉えたライヴ・アルバム。寺島氏によるとこのアルバム作成は彼の方から申し入れてきたという事のようだ。ちょっとこんなところからも内容は若干懐疑的な気持ちで聴いたところであった。

(Tracklist)

01. Children's Song
02. Farewell Song
03. Forever Frank
04. Where The Ocean Meets The Shore (solo piano)
05. Sent From Heaven
06. Just Do It
07. Yesterday's Future
08. Free At Last
09. Rough Edges
10. December (solo piano)
11. High Up North
12. Afterthought (solo piano)
13. Are You Coming With Me?
14. Misty Dawn
15. Yesterday's Future - studio version - (*bonus track)

  やはり相変わらず端正なピアノの響きである。評価は"落ち着きや安定性を感じさせると同時に鋭いキレのよさや適度な尖り感をも湛えた、澄みきったクリスタルの如き潤いある鮮明タッチのピアノが響く"と表現されている通りだが、曲展開はアクティヴィティ溢れるメロディック・プレイと叙情性あるメロディーある曲の取り交ぜたアルバム構成で変化に富んでいる。
 しかし、自然の情緒ある世界や心情の表現の哀愁ある世界の表現である曲が私にとっては納得の世界であって、ダイナミック・スウィギング・アクションを求めた曲では、トリオとしての何かジャズの不思議な味わいにもう一歩満足感が無かった。例えば、M8."Free At Last"などでも、あらゆる種類の解放感を祝う曲と言うのだが、トリオならでの楽しさがあまり感じられないのだ。


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 そんなことから、私的に於ける推薦曲はM1." Children's Song"のどこか子供たちに愛着あるメロディーの快感、M4."Where The Ocean Meets The Shore"のソロ・ピアノで描く自然への心情などが・・
 又タイトル曲のM7."Yesterday's Future"が、やはり聴きどころで、人の心情の陰影が感じられて納得。しかしベース、ドラムスは単なる添え物で味気ない。
 その他は、M14."Misty Dawn"の神秘的な美しさに迫ろうとした印象は悪くはなかった。

 全体的な印象は端麗さとクラシック的真面目さがとこかに目立って、泥臭い人間性と言う世界には迫り切れていないし、又一方哲学的深淵さも至っていない。そんな点が究極中途半端的で、はっきり言って寺島靖国氏のお気に入りのジャズの楽しさも、スタンダードの世界が無いだけに、薄いのではないかと思ったところだ。更にトリオといってもピアノのためのトリオであって、3者で築くトリオというニュアンスが少ないところが空しいのかもしれない。
 寺島氏にとってもこのニルスのアルバムは一つのテスト的アプローチであったと思う。この後にアレサンドロ・ガラティのように何枚かのアルバムに繋がってゆくという事はないだろうと思った次第。

(評価)
□ 曲・演奏 87/100
□ 録音   87/100

(試聴)

 

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2023年6月17日 (土)

トーマス・フォネスベック Thomas Fonnesbaek & Justin Kauflin 「Danish Rain」

欧州美学と米国ジャズの融合による世界

Thomas Fonnesbaek & Justin Kauflin 「Danish Rain」
STORYVILLE / Import / 1018532 / 2023

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Justin Kauflin (piano)
Thomas Fonnesbaek (bass)

Recorded in Village Recording Studio March 28,29-2022

 このところエンリコ・ピエラヌンツィやジャン・ピエール・コモとのトリオとかシーネ・エイとのデュオ・アルバムでお目にかかっているデンマーク出身の気鋭ベーシストのトーマス・フォネスベックThomas Fonnesbaek (下左)のニュー・アルバムである。タイプはジャズ界の若きピアニストのジャスティン・カウフリン(下右)とのデュオで、シンプルな構成だけに彼のベースの生み出す多彩な音や流れをしっかり聴きとれるアルバムの登場だ。

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 このフォネスベック(1977年生まれ、46歳)は、ニールス・ペデルセンやラーシュ・ヤンソンに師事し、ラーシュ・ヤンソン・トリオやトーマス・クラウセン・トリオで活躍し、北欧ジャズシーンで今やなくてはならないベーシスト。テクニックは素晴らしくリズム感に富んでいて、そして師匠であるニールス・ペデルセンを思わせるメロディとハーモニーの感性が、彼独自のスタイルの基になっていると評されている。前述のシーネ・エイとのコラボ作品は、デンマーク音楽賞の「Best Vocal Jazz Release that year」を受賞したという事だが、最近のデュオ・スタイルを旨く造り上げた。
 今回の相手カウフリンJustin Kauflin(1986年生まれ、37歳)は若き米国のスーパースターのジャズピアニストで作曲家 / 教育者 /レコード プロデューサーとしての顔も持っている。彼は 病により11 歳のとき視力を失い、以降は盲目のピアニストとして活躍を続け来ていると。全米のジャズフェスティバルで最高の栄誉を獲得し、15歳にしてジェイ・シネット・トリオとしてプロとして演奏を始めたという驚きの経歴。

(Tracklist)
1.Danish Rain (Thomas Fonnesbæk) 6:27
2 Everything I Love (Cole Porter) 6:33
3 Windows (Chick Corea) 6:17
4 Falling Grace (Steve Swallow) 5:48
5 You Must Believe In Spring (Michel Legrand) 5:24
6 Cake Walk (Oscar Peterson) 5:29
7 Imagine (John Lennon) 6:45
8 Country Fried (Justin Kauflin) 4:47
9 Driftin (Herbie Hancock) 5:43

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 演ずるは、彼らのオリジナル2曲とスタンダード7曲の9曲構成。
 やっぱりデュオとなると、ベースもかなり旋律演奏にもウェイトがある。それにピアノがうまく乗って曲を美学の心で作り上げているのは、 M.7." Imagine "が典型で、かなりのインプロのウェイトも大きく力が入っている。インタープレイの面白さも見事で彼らの曲に仕上がっている。
 フォネスベックの曲M1."Danish Rain"も、意外に明るい雨。ピアノの透明感ある旋律美を生かして欧州らしい美を演じている。
 ポーターのM2."Everything I Love"は、さすがアメリカン・ジャズの流れ。
   M5."You Must Believe In Spring " 旋律美のこの曲、まずベースの旋律演奏から始まって中盤からピアノが引き継ぎ、そしてベースのアドリブが効果を発揮して、更にピアノが美しく応酬する。なかなか仕上げが旨い。
 M8."Country Fried"はカウフリンの曲。意外に陽気なところがあった。
 M9."Driftin" カウフリンのピアノはなかなかエモーショナル聴けるリズム感たっぷりだ。後半ベースが安定感に誘導し見事にデュオのハーモニーも聴ける。

 アメリカン・ジャズとユーロ・ジャズの融合として面白く聴ける。やはりデュオだけあってベースの味もしっかり手に取るように聴けますね。
 フォネスベックのヨーロッパのトラッドやクラシックの歴史の上にアクロバティックな味つけが特徴の美学は、カウフリンの力強いアメリカンジャズをベースとしたところによってスリリングな味つけが増しているように感じられジャズの醍醐味が深まっていると思う。相互作用が面白い組み合わせのデュオ・ジャズ演奏だ。

(評価)
□ 曲・演奏 :   90/100
□   録音    :    87/100

(試聴)  "Imagine"

 

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2023年6月12日 (月)

ガブリエラ・ガルーボ Gabriela Garrubo 「 Rodando」

異様な世界を優しい美しい声で迫ってくるのだが・・・・

<contemporary Jazz>

Gabriela Garrubo 「Rodando」
NXN RECORDINGS / Import / NXN 2017 / 2023

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GABRIELA GARRUBO (vocals and piano)
JOHANNES AAGAARD (g)
NILS HENRIK SAGVAG (b)
CATO LYNGHOLM (ds)
AUDUN HUMBERSET (per)
VETLE JUNKER (synth,g)
JONAS HAMRE (sax)(track 2,7 and 8)
OLAV IMERSLUND (b)(track 9 and 10)
CARMEN BOVEDA (cello) (track 8)

Produced by
VETLE JUNKER and GABRIELA GARRUBO

324438670_1282808392652165_1w   ブラジル系ノルウェー人のシンガー、コンポーザーのガブリエラ・ガルーボGabriela Garrubo(年齢不詳、かなりの経験豊富な実力者のようだ)の初アルバム。我々には初お目見えで前知識もなく聴いたのだが、ノルウェー国内のライヴ・シーンではその美しい歌声と、モダン・ノルウェー・ジャズ、ブラジルの80年代ポップス、そしてボサノヴァを絶妙にブレンドしたサウンドということで結構評判を呼んでいたようだ。
   ガブリエラに関する情報はまだ殆ど入っていないが、シンガーであると同時にピアノを演ずるようだ。ベルゲンのグリーグアカデミーで学び、2021年から2022年にかけて、プロデューサーのヴェトルユンカーとこのデビューアルバム「Rodando」の制作で頑張ってきたと。彼らは一緒になって、モダンで新鮮なサウンドとレトロな連想のバランスをとるユニークなリスニング体験を生み出したと評価されている。

 なおこのアルバムのレーベルNXN Recordingsは、ノルウェーのクロスオーバープロジェクトをリリースするために2019年にオスロに設立されたもの。目的は、確立されたジャンルに留まるのでなく、探求し、挑戦する、興味深く革新的で独創的な音楽を出すことのようで、ネオクラシック、アンビエント、ジャズ、現代音楽を目指しているようだ。どうも「クールな北欧サウンド」というところにあるようだが。

(Tracklist)

1. Dirá
2. A chave
3. Stars
4. Um dia
5. Caqui
6. Everything
7. Não
8. Bells
9. Trees
10. O mundo

  ガブリエラ・ガルーボの歌声はなかなかソフトで美声ですね、現代の北欧ジャズとブラジルの80年代音楽とボサノバからの影響の曲というだけあって、M1の短い導入からM2."A chave"が歌い上げられるが曲が異様。全体はポルトガル語と英語で歌われるようだが、言葉が解らなく曲タイトルの意味も解らないのでちょっと大変、途中からサックスが入ってジャズっぽくなった。

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 M3."Stars"はシングルカットされた曲で注目曲。モダンで新鮮なサウンドとレトロな連想のバランスをとるというちょっと意味不明世界で難解だが、彼女の優しく描く声に魅力は伝わってくる。バツクの演奏は軽快で多彩。
 M4.、M5.は、がらっと変わってラテンっぽい雰囲気、ギターのバックで転調して迫ってくる。
 M6."Everything" ソフトな美声で結構説得力あるところが聴きどころ。このあたりは抵抗なく美声の世界に入れる。
 M7.、M8.、M9.それぞれの曲、良く解らない世界だが、不思議に聴いてしまうところが面白い。
 M10."O mundo"もシングルリリースしているようで、ピアノの美しい音としっとりした美声で聴き応え十分、途中でリズムの転調があってラテンの雰囲気も。

 まあ、ユニークと言えばユニーク、ノルウェーのトラッドぽいところも聴ける為だろうか、ノルウェーのジャーナリストは彼女のパフォーマンスが素晴らしいと評価しているのは事実のようだ。まあこのまま迫られても我々には難しいので、ちょっとスタンダード曲を聴かせてくれての展開だとついて行けるといった世界。幸いに親近感の持てる声の質であり一度聴いてみる価値はある。

(評価)

□ 曲・歌 : 87/100
□ 録音  : 85/100

(視聴)

 

 

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2023年4月23日 (日)

レベッカ・バッケン Rebekka Bakken 「Always On My Mind」

常に心にある曲を歌い上げるところはもうベテランの境地


<Jazz,adult contemporary>

Rebekka Bakken 「Always On My Mind」
masterworks / Euro / 19658737682 / 2023

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Bass – Tor Egil Kreken
Drums – Rune Arnesen
Guitar – Eivind Aarset
Keyboards, Vocals – Rebekka Bakken
Piano, Keyboards – Torjus Vierli
Piano, Organ – Jørn Øien


  ノルウェー出身の女性ジャズシンガー=Rebekka Bakken(レベッカ・バッケン)のニュー・アルバム『Always On My Mind』が久々に登場だ。このアルバムは、アニー・レノックス、ボブ・ディラン、ピーター・ガブリエル、エルトン・ジョン、ビートルズ、ランディ・ニューマン、ニック・ケイヴ他、彼女の"人生のサウンドトラック"と表現された過去の彼女の基盤となる曲群をノルウェーのセッションミュージシャンとの競演で収録した所謂カバー・アルバム。
Rebekkabakkenw  彼女は1970年生まれで、53歳、いよいよ充実している。ジャズ・シンガーと言われているも、私から見てのところそうは思っていない。ポップやロックっぽかったり、むしろフォーク、カントリーの味、R&B、ファンクの色などと彼女独特のアダルトコンテンポラリーと言いたくなる世界である。
 今回は、そんな中でも彼女の音楽人生の歴史的回顧を歌いあげていて、かなり大人っぽく仕上げていて魅力がある。

 彼女はこのアルバムについて「これらの曲は"常に私の心に"あり、私自身の作詞作曲に影響を与えました。それらは「私の人生のサウンドトラック」であり、それらのいくつかは私の子供の頃から固執しています。私はこれらの曲のいくつかを聴いて自分の声を発達させました、そしてそれらを私のやり方で再解釈するのにちょうどいいタイミングです」とレベッカ・バッケンは言っている。そんな気持ちと心を感じ取って聴くと味がでるというところだ。

 

(Tracklist)

1. Little Rebel (Casino Steel, Andrew Matheson)
2. Red Right Hand (Nick Cave, Michael Harvey, Thomas Wydler)
3. Break My Heart Again (Finneas O´Connell)
4. Why (Annie Lennox, Dave Stewart)
5. Vincent (Starry Starry Night) (Don McLean)
6. Here Comes The Flood (Peter Gabriel)
7. We Don’t Eat (James Vincent McMorrow)
8. Louisiana 1927 (Randy Newman)
9. Love Hurts (Boudleaux Bryant)
10. Where Teardrops Fall (Bob Dylan)
11. We All Fall In Love Sometimes (Elton John, Bernie Taupin)
12. Brand New Angel (Gregory Dane Brown)
13. (Everything I do) I Do It For You (Bryan Adams, Michael Kamen, Robert John Lange)
14. Yesterday (John Lennon, Paul McCartney)
15. It Must Have Been Love (Per Gessle)

 世界のポピュラー、ジャズ系音楽の歴史を聴くような構成だ。その中身はその音楽の質の高さとかスキルの重要性にアプローチしての自分の回答のような充実ぶりだ

 M2."Red Right Hand " Alternative RockのNick Cave & The Bad Seedsの曲。いっやー、ノルウェーのアイヴィン・オールセットのギター、ベース、ドラムスの重低音を引っ提げてのヴォーカルが、とにかくかっこいい展開。
 M3."Break My Heart Again "  おお新世代フィニアス・オコンネルの曲が、今度はしっとりと、心を歌い上げる。
 M4."Why"  英国社会運動家でもあるアニー・レノックスの曲、カントリーっぽく、見事な歌い上げ。
 M6."Here Comes The Flood" ピーター・ガブリエルを超えて、しっとりと歌い、盛り上がりは更に素晴らしく感動もの。
 M7."We don't eat" アイルランドのスピリチャルな歌のジェイムス・ヴィンセント・マックモローの曲、ソウルっぽくカントリーっぽく中低音のヴォーカルで響いてくる。
 M10."Where Teardrops Fall" ボブ・ディランのちょっとセンチな聖書とのかかわりのある曲。これを取り上げたかと彼女を見直す。
   M14."Yesterday " やっぱりビートルズのこれが出ないとおさまらないのでしょうね。しかしほかの曲と比べると意外にサラっとこなしていると思ったが、よく聴くとなかなか情感も溢れている。 

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 とにかく彼女は歌がうまい、低音部はややハスキーで説得力あり、中高音部にゆくと意外に透明感のある声が伸びてゆく。これで過去にも魅了してきたわけだが、前作『Things You Leave Behind』(2018)のほうがややジャズ寄りにも聴こえるが、今作の幅広さとバッケン節は又違った意味でコンテンポラリーさが濃く、そうでありながら懐かしさも訴えてきて広くカヴァーするところ聴き応え十分。
 昔ロックが開花した当時、特にビートルズはどうってことなくむしろC.C.Rに惚れ込んだ私にとっては何となく懐かしさも感ずる。

 今アルバム、彼女の実力にそったノルウェーの最高のスタジオミュージシャンとの共演も実現して、ギタリストのエイヴィンド・アーセットの音との交わりも見事で、ヨーン・オイエンとトルユス・ヴィエリのオルガンとシンセサイザーが巧みにオーケストレーションし、そこにピアノコードが生き生き旋律を聴かせる。ルーン・アルネセンのゆったりとしたドラムビートが心地よい。そこにレベッカ・バッケンのソウルフルな声のノリが訴えてくる。

 久々に彼女のアルバム登場であったが、これは彼女の歌手人生の回顧でもあり、これで一締めなんてことにならず、更に次への一歩であってほしいと願うところだ。

(評価)
□ 編曲・歌    88/100
□ 録音      87/100

(試聴)

*

 

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2023年4月13日 (木)

ラーシュ・ダニエルソンの異色作 Lars Danielsson 「Symphonized」

ジャズ・カルテットのクラシック・オーケストラとの競演

<Alternative Jazz,  Classic>

Lars Danielsson Liberetto「Symphonized」
ACT MUSIC / Import / ACT6023 / 2023

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Lars Danielsson(contrabass & cello)
Grégory Privat(piano)
Magnus Öström(drums & percussion)
John Parricelli(guitar)
Gothenburg Symphony Orchestra conducted by Peter Nordahl
Carolina Grinne(english horn / oboe d´amore)
Guests:
Arve Henriksen(trumpet on "Nikita‘s Dream" and "Yes to You")
Paolo Fresu(trumpet on "Africa" and "Scherzo")

Recorded by Nilento Studio at Gothenburg Concert Hall
Additional Recording by Bo Savik at Tia Dia Music Studios,Sweden

  スウェーデンが誇るベーシストのラーシュ・ダニエルソン(Lars Danielsson)率いるスーパーグループ「Liberettoリベレット」、前作アルバム『cloudland』(2021)はここでも取り上げたが、熟成されたカルテットのアンサンブルと北欧ジャズの新たな可能性が見事な融合を魅せるエレガンスとリリシズム溢れる4作目であったが、一年半ぶりの5作目の登場だ。今作は、ダニエルソン が、グレゴリー・プリヴァ(GregoryPrivat)(p)、マグヌス・オストロム(Magnus Ostrom)(ds,ex.E.S.T.)、ジョン・パリチェッリ(John Parricelli) (g)といった、現在のジャズシーンで最右翼の名手たちを揃えて10年以上となってのここに、なんとクラシックの伝統とジャズを融合させた新しいジャンルを創り出した。

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 もともとこの2012からのカルテットのグループ名「Liberotto」 とは、作曲の構成法・クラシック的性質・オペラに於ける叙情主義を示す「リブレットLibrretto」と、ジャズの基本原則でもある即興の"自由"を表すラテン語「リベLiber」を合わせた造語ということだが、めざすところクラシック音楽とジャズとが、ダニエルソンの音楽キャリアで決定付ける2 つの重要なポイントであることを如実に示していた。初代のピアニストとしてアルメニア生まれの天才ティグラン・ハマシアン(Tigran Hamasyan)を、ドラムスにはe.s.t.のマグヌス・オストロムを迎えるなど、国や地域性を超えクラシック音楽とジャズを融合させた作品は高く評価された。そしてついになんとオーケストラとの競演のかたちでここに新たな局面を実現したという事になる。

(Tracklist)

Larsdanielsson-by-jan-w Disc 1
1.Liberetto 5:03
2.Passacaglia 5:39
3.Africa 6:59
4.Sacred Mind 5:19
5.Lviv 4:47
6.Nikita‘s Dream 5:41
7.The Fifth Grade 8:20
8.Yes To You 4:04
Disc 2
1.I Affettuos 7:26
2.II.Elegi 7:50
3.Intermedium 2:08
4.III. Le Bagatelle 13:37
5.IV. Scherzo 7:55

  [Disc 1]は、もともとが究極的に美しいところを演ずるLiberettoだが、今回のオーケストラ・アレンジでそのサウンドはより深みを増した姿を披露し、選曲はダニエルソン自身の曲を彼自身により編曲したもので、『Liberetto』(2012年)からM1."Liberetto"、『Liberetto II』(2014年)からM2."Passacaglia"M3."Africa"、『Liberetto III』(2017年)からM5."Lviv"、『Cloudland』(2021年)からM6."Nikita’s Dream"など人気曲が並んでいる。
 [Disc 2]は今作のための書き下ろしの組曲が収録されており、ソリストとしてイングリッシュ・ホルン/オーボエ・ダモーレ奏者のカロリーナ・グリンネ(Carolina Grinne)をフィーチュアしている。

843dcfcd2437cedcw   いずれにしてもミュージシャンは常に何かを求めているというパターンが多いが、ダニエルソンもおそらくその一人という事であろう、この従来からのカルテットの演奏に飽き足らず、一歩又新しい試みを企てたという事になろう。彼の目指しているところの一つには、もともとのクラシックの世界があったというか、今もあるということだと思う。今回の競演オーケストラはスウェーデンの国立エーテボリ交響楽団Gothenburg Symphony Orchestra(↓) で Peter Nordahl (→)の指揮によるもの。

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 しかしここまで本格的クラシック世界を描くとは思っていなかったのだが、M4."Sacred Mind"は完全にオーケストラ演奏である。 
   全体に彼らのカルテット"リベレット"の演奏とオーケストラとの関係もいろいろな取り合わせがあるように思うが、M6."Nikita's Dream"ではピアノと管楽器、ベースとストリングスのユニゾンが不思議な美を描いて、成程と狙いがみえてくる。又協奏曲的手法による彼らのカルテットのオーケストラとの交わりもなかなか斬新でのめり込める。

 又、Disc.2に聴けるようにホルンやオーボエの美しさとストリングスの魅力に、彼のジャズ・ベースの響きが極めて新鮮にも聴こえて、又ドラムスが介入する姿なども、いかにも一つのジャンルを築いていることは称賛に値する。更に、オーケストラの描く荘厳な世界のジャズとの関わり合いを追求する姿なども垣間見え、二重協奏曲のスタイルを極めたことは興味深い試みであった。

   しかしジャズの世界において、ジャズ愛好家というものの求めるところ、メンバーそれぞれの演奏者の即興感覚とアドリブの楽しさとトリオやカルテットという小人数の描くところに独特な味わいを求めるとすると、大編成となるオーケストラとの競演では、ある意味では魅力が薄れてしまう事にもなりかねない。従って時にこのような異色の世界との交わりも良いが、もし仮にこのスタイルで進んでゆくと、果たして今までのファンがそのまま継続して支えてくれるかどうか・・・ふと、そんなことを考えながら鑑賞した次第だ。
 今は、どの音楽分野でもある過去に築かれた世界からの脱皮を試みて、"ポストクラシック"とか"オルタナティブ・ジャズ"とか試行錯誤があろうが、それぞれのミュージックの本質的な部分はやはり失わないことがある意味では大切なような気もする。

 いずれにしても、やはりダニエルソンの世界は、クラシックに留まらず各種ミュージックの感動的な世界を描こうとしているところがよく理解できたアルバムであった。

(評価)
□ 曲・編曲・演奏   88/100 
□ 録音        88/100

(試聴)

*

 

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2023年3月25日 (土)

シモン・ウェストマン Simon Westman Trio 「MOVING FORWARD」

朗々と清々しく牧歌的に人間謳歌を演じ上げる

<Jazz>

Simon Westman Trio 「MOVING FORWARD」
Proforne Records / Sweden / PCD314 / 2023

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Simon Westman (piano) (celesta on 2)
Magnus Bergström (double bass)
Magnus Gran (drums) (hand drum on 6)

Recorded 17-18 May 2022,at Svenska Grammonfonstudion by Ake Linton

 スウェーデンの新鋭ピアニスト、シモン・ウェストマンのピアノトリオ作品。これは私にとっては初物だが、このトリオの第2弾であることのようだ。

 ちょっと紹介を見ると、シモン・ウェストマンは1979年インドネシア・ジャカルタ生まれだが、スウェーデン北部のスンツヴァルで育った。そのため2000年、ヨーテボリ音楽大学に入学しスウェーデンのジャズピアニスト、アンダース・ペルソンらの下でジャズピアノを学び、卒業後、ドイツのケルン音楽大学でイギリスのジャズピアニスト、ジョンテイラーに師事した。シモンは作曲とピアノ演奏の両方でテイラーの影響を受けていると。そしてこのトリオは2010年からで、既に10年以上の経過があり、ヨーテボリのジャズクラブで演奏しているということらしい。
 北欧からの叙情性をもったメロディアスなピアノ・トリオ作品という評価が出ているので、仕入れてみたアルバム。

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1. Peace Please 2:35
2. Out For A Walk 4:59
3. Flying Kite 4:19
4. Turborelax 6:21
5. Moving Forward 5:21
6. Leaving Home 5:34
7. Siv och Gunne 4:07
8. Life Goes On 5:05

 哀愁の北欧世界というのでなく、どちらかというと、ややフォーキーで朗らかといった暗さのない詩情の世界があり、時にダイナミズムな演奏の加味された作品といった方が良いかもしれない。彼らのオリジナリティ重視の曲展開で、主力のピアノの音は素晴らしいクリアな音が聴ける。またベース、ドラムスもサポートというよりはそれぞれをしっかり主張しているし、録音は現代風で三者しっかり聴きとれるリアルさがあって、かなり緻密感のあるインタープレイが十分楽しめるところにある。

 M1."Peace Please"は、重厚なベースのアルコ奏法に乗ってピアノが明快なテンポで、なんとなく親しみやすい美しいメロディーだ。シンバル音も繊細で美しい。短い序奏。
 M2."Out For A Walk " 牧歌的な世界に躍動感と開放感と。
   M3."Flying Kite " 空を飛行する凧(タコ)?、鳶(トビ)? 、緊張感というより明るい溌溂の快調テンポ。
 M4."Turborelax" 静かに落ち着いてゆったりと牧歌的広い空間の安定感。
   M5."Moving Forward "  ドラムスの快テンポと追従するピアノ、ベース。
   M6."Leaving Home " 旅立ちなのだろうか、しかし明るい活発な展開。
   M7."Siv och Gunne" めずらしく少々内向的で思索的。しかしそれほど暗さはない。
   M8." Life Goes On" やはり究極の締めも朗々としている。

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 全体的には、内向的でなく開放的・牧歌的なかなり自然の中での明るい人間的営みが演じられているムードだ。不安感がなく陰影もなく躍動感のある清々しい様は、まさに正攻法の世界の演奏。まあ人間謳歌的で若干張り合いがないと言えば言えないこともない。
 こんな情景は明るい春向きで、しかもタイトルの"Moving Forward"というのも今頃にピッタリだ。
 演奏は、ドラムスの活動も繊細さからややスリリングなところまで演じて、ピアノのオーソドックスな流れに色をつける。ベースとピアノのユニゾン、ハーモニーも堂に入っていて聴きやすい。
 なんとなく優等生的な世界であった。

(評価)

□ 曲・演奏  85/100
□ 録音    88/100

(試聴)

 

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2023年1月12日 (木)

トルド・グスタフセンTord Gustavsen ノルウェー少女合唱団 「Sitlle Grender」

純粋さ漲る少女合唱と・・・・
重量級から澄んだ透明な世界までを描くグスタフセンのピアノ

<Classic,  Jazz>

Det Norske Jentekor,Tord Gustavsen,Anne Karin Sundal-Ask
「stille grender」

2L-164-SABD, EAN13, 7041888525721, ISRC-code,NOMPP2007010-150
Release date:November 2020, Recording date:February 2020

Twl164

Det Norske Jentekor(ノルウェー少女合唱団) / Anne Karin Sundal-Ask, conductor
Tord Gustavsen, piano

Recorded at February 2020, Uranienborg Church, Norway
Disc 1 Hybrid SACD,MCH 5.1DSD,Stereo DSD , RedBook PCM: MQA CD
Disc 2 Pure Audio Blu-ray,2.0 LPCM 192/24, 5.1 DTS HDMA 192/24, 7.1.4 Auro-3D 96kHz, 7.1.4 Dolby Atmos 48kHz mShuttle: MQA + FLAC + MP3

 欧米文化において、クリスマス・ソングというのは一つの文化であって、ある一定のレベルに到達したヴォーカリストは、必ずその関係のアルバムをリリースする事が多い。一年のクリスマス行事を経て神聖な幕閉じ続く新しい年のスタートには、無くてはならない社会的宗教的文化であるからだ。従ってジャズの分野でもクリスマス・ソング・アルバムが多くお目見えするが、どうも日本文化の私にとってはしっくりしない事も多い。音楽であるからジャズも聖歌も讃美歌も同じと考えるのだろうか、いささか私には難しい問題である。

Ab6761610000e5eb04a4b4ecbf44fcf024a34671  さて今日ここに取り上げたアルバムには、そんな疑問もなく素直に聴き入ることが出来る為、このストリーミング時代を迎えて今や完璧にじっくりこの世界に入れる環境も整って、日本文化・欧米文化という事は関係なく、この新しい新年に敬虔な気持ちになれる。又更に私の好むノルウェーのトルド・グスタフセン(→)のピアノも堪能できるのであるからこの上ない。アルバム・リリースから2年以上経ったが、今にしてこの世界がHi-Res環境の良好なる音世界として身近になって、新年の一時を心新たに心安らぐ時間を持つのである。

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 アルバム・タイトルは「静かな集落(村)」と訳してよいのか、とにかくこの主役であるノルウェー少女合唱団の世界は、惚れ惚れする。上の写真のごとく、ほんとに幼い子供から小中学生ぐらい(?)で構成されていて、指導者であり指揮者であるアン・カリン・スンダル・アスクの描くところとトルド・グスタフセンのピアノに浸るのである。

(参考) 又、トルド・グスタフセンのピアノ・ソロ演奏は、別建てのアルバムとしてもリリースされている。彼の独特なる即興を交えてのトラデッショナル、フォークや聖歌などを聴かせてくれるのである。(下のDISC-2)

Twl164solo_20230111182601  <Classic,  Jazz>
 Tord Gudtavsen 「Stille Grender (solo piano)」
 Pure Audio Blu-ray, 2.0 LPCM 192/24, 5.1 DTS HDMA 192/24, 7.1.4 Auro-3D 96kHz, 7.1.4 Dolby Atmos 48kHz
 mShuttle: MQA + FLAC + MP3


(Tracklist)

DISC 1
01. Carol of the Bells  2:06
02. The Bells [solo piano] Tord Gustavsen 2:04
03. Det lyser i stille grender 2:49
04. Deilig er den himmel blå  Det Norske Jentekor,Anne Karin Sundal-Ask  3:05
05. Jul i svingen  Det Norske Jentekor,Anne Karin Sundal-Ask  2:17
06. Glade jul [Stille natt]  2:23
07. Joleklokker over jorda 3:45
08. Eg veit i himmerik ei borg  Det Norske Jentekor,Anne Karin Sundal-Ask  2:32
09. Jul, jul, strålande jul  4:03
10. Jeg er så glad hver julekveld   Det Norske Jentekor,Tord Gustavsen,Anne Karin Sundal-Ask,Janna Dons Strøm,Elida Angvik Hovdar,Agnes Onshus Grønn,Anna Elisabeth Giercksky Russnes,Amalie Eikenes Randen,Anne Magdalene Bru Rem   6:28
11. Nå tennes tusen julelys  3:31
12. Mitt hjerte alltid vanker  8:28
13. Folkefrelsar  Det Norske Jentekor,Tord Gustavsen,Anne Karin Sundal-Ask,Janna Dons Strøm,Elida Angvik Hovdar,Agnes Onshus Grønn  5:48
14. Ljoset nytt i natti rann [solo piano]  Tord Gustavsen  4:15
15. Deilig er Jorden  3:41


DISC 2
01. Ved myrke midnattstid [solo piano] Tord Gustavsen  6:04
02. Sjelenes pilgrimsgang [solo piano]  Tord Gustavsen  1:58
03. Ingen krok er mørk [solo piano]  Tord Gustavsen   2:56
04. Inkarnasjon I [solo piano]  Tord Gustavsen  2:36
05. Inkarnasjon II [solo piano] Tord Gustavsen  1:21
06. Inkarnasjon III [solo piano] Tord Gustavsen 3:14
07. Inkarnasjon IV [solo piano]  Tord Gustavsen 1:21
08. Til lave hytter [solo piano]  Tord Gustavsen  4:14
09. Klårt di krubba skina kan [solo piano] Tord Gustavsen 4:05
10. Inkarnasjon V [solo piano] Tord Gustavsen 3:14
11. Inkarnasjon VI [solo piano] Tord Gustavsen 4:28

 とにかく、幼い声まで聴きとれる合唱団が見事です。特にM5."Jul i svingen (スウィンゲンのクリスマス)"は、おそらくまだ日本でいえば小学校前の幼い少女たちの歌声のようだ。あどけなさの残ったかわいらしさと美しさだ。多くの曲は、中学生ぐらいまでの少女達だろうか、一緒に作り上げる世界が見事なのである。
 こんな世界がクリスマス聖歌・讃美歌としては貴重なんでしょうね。

2l164_recordingw  少女による合唱団は、その独自性に細心の注意を払っているといわれる指揮者であるアン・カリン・スンダル・アスク(→)が率いている。そしてそこにはピアノ演奏者グスタフセンとの密接性が旨く構築され、何とも言えない温かい音楽的関係の中で、合唱団同志自体にそして聴く我々に・・・語りかけてくれる。

 アン・カリン・スンダル・アスクAnne Karin Sundal-Ask は、2005年からノルウェー少女合唱団の芸術監督兼指揮者として働いていて、彼女はトロンハイムの音楽院とノルウェー音楽アカデミーで指揮者、フルート奏者、教師として教育を受けた。そして2017年から、彼女はノルウェー少女合唱団の全てにおける責任者となり、合唱団の指揮でいくつかの賞を受賞し、又合唱団を多くの国際コンクールでトップの地位に導いたと。更に彼女は、国際合唱コンクールの審査員も務めてきているとのこと。
 彼女は、特に質を意識し、目標志向で刺激的なリーダーであり、各団員個人が最高のパフォーマンスを発揮できるように、音楽の目標を歌手に伝える能力を備えていると説明されている。指揮者のイントネーション、サウンド、アンサンブル音楽への焦点はトレードマークになり、彼女は合唱団の音楽表現の開発に継続的に取り組んでいるようだ。

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 ピアニストのトルド・グスタフセンは、特にECMレーベルで実績がある。私は彼のピアノ・トリオにぞっこん惚れ込んでいるのだが、彼の描くところ北欧の自然からの影響と、学んだ心理学の世界とも密接に相乗的に音楽に反映され、それは日本人との感覚にも共通性があるのか支持者は多い。このアルバムでは、彼の役割は、様々なクリスマス・キャロルにイントロを付けたり、得意のジャズ風の伴奏を弾いたり、メリハリのあるアバンギャルドなリフを入れたり、あるいはかなり長いソロを披露したりと、様々な形で合唱と絡み、敬虔さと不思議さの世界を形作る。

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 最初の有名な曲M1."Carol of the Bells"では、低音の弦を使ってエレキ・ベースのようなエッジの効いた音のリフを披露して、少女達の密度の高いハーモニーに色づけする。続けてM2."The Bells"この曲のテーマを今度はソロでアレンジして聴かせるなど、単なる伴奏ピアノには終わっていない。
  又M14."Ljoset nytt i natti rann(昨日の夜、新たな光が)"のグスタフセンのソロはダイナミックで、展開も圧巻である。

 とにかく、聴きなれた曲M6."Glade jul (Stille natt)(きよしこの夜)"も含めてのクリスマスキャロル(私の知識レベルでは聖歌、讃美歌、クリスマスソングも含めている)、フォークソングなどの曲群で、ノルウェー少女合唱団とトルド・グスタフセンが見事な連携プレイを披露している。この緊密な優しくのどかで美しい歌声とピアノの透明感のある音との相互作用の中で、我々は表現を倍増させる即興演奏を介して静かな心の安らぎの世界からうっとりとした瞬間へと導かれるのだ。M12."Mitt hjerte alltid vanker (常に待ち望む心を)"M15."Deilig er jorden(この世はうるわし)"はそのさえたる出来だ。単なる聖歌でないこの世界は貴重であった。
  
 (「Disc-2」のグスタフセンのピアノ・ソロ集は、低音の響きの荘厳さから優しさ美しさに満ちたピアノの音の流れに満ちている。又次の機会に詳しく)

(評価)
□ 曲・合唱・演奏  90/100
□ 録音       90/100

(試聴)

*

 

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2022年12月31日 (土)

アリルド・アンデルセン Arild Andersen Group 「Affirmation」

むしろ完全即興の世界で・・・カルテットの味が生きる

<Jazz>

Arild Andersen Group 「Affirmation」
ECM / IMPORT / 4828593 / 2022

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Arild_andersenbw Marius Neset (ts)
Helge Lien (p)
Arild Andersen (b)
Håkon Mjåset Johansen (ds)

Recorded November 2021, Rainbow Studio, Oslo
Engineer: Martin Abrahamsen
Mastering: Christoph Stickel
Cover photo: Thomas Wunsch
Liner photos: Helge Lien
Design: Sascha Kleis
Executive Producer: Manfred Eicher

  今年もあとわずかとなったが、相変わらずコロナ禍での出発であったが、まだその終息を見ない。それでも"with Corona"という社会の在り様も進行して、少しは人間らしい活動もあってミュージック界もなんとなく回復の兆候があったことは喜ばしかった。しかしなんとなく心から開放的な姿はまだまだといったところで、今年締めくくりのアルバムもECMの世界でぐっと落ち着いて来年を見据えることにした。

 ノルウェーのベテラン・ベーシストのアリルド・アンデルセン(1845年生まれ(右上))は、50年以上にわたってECMミュージシャンの経歴があり、ここにニュー・アルバムがリリースされた。今回は久々の彼がリーダーのカルテット構成であるが、もともと独特な北欧イメージを展開し興味をそそるのだが、ピアニストのヘルゲ・リエンの名も連ねていて、更なる興味が湧いたというところである。

 カルテット構成は、サックス奏者のマリウス・ネセット(1985年生まれ(下中央))、ピアニストのヘルゲ・リーエン(1975年生まれ(下左))、ドラマーのホーコン・ミヨセット・ヨハンセン(1975年生まれ(下右))と、アンデルセンからみれば若きから中堅のメンバーでの新しいノルウェー・カルテットであり、オスロのレインボウ・スタジオでの2021年11月の録音作品。ノルウェーの旅行規制により、マンフレート・アイヒャーの参加は見送られとのこと、従ってミュージシャンたちだけの録音となった。録音開始から2日目に、アンデルセンはグループでの即興演奏を提案して「何も計画せず、約23分の第1部と約14分の第2部を録音しました」と。それは「Affirmation Part I」と「Affirmation Part II」で、未編集でその即興はフルで収録され、最後にアンデルセンの作曲した"Short Story"でアルバムは完結するという形になった。

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(Tracklist)

1-4. Affirmation Part I
    One 4:29
    Two 6:13
    Three 4:40
    Four 8:22
5-7. Affirmation Part II
    Five 7:09
    Six 1:38
    Seven 5:23
8. Short Story 7:27

Music by Andersen / Neset / Lien / Mjåset Johansen
except "Short Story" by Arild Andersen

 そもそもこのカルテット・メンバーは、初めての集合でなく、過去に一緒にコンサートなど数多くこなしてきているようだが、このような即興演奏だけでフルセット行うといったことはなかったようだ。そもそもアンデルセンは過去のトリオなどでも即興は得意であったことから、ふとお互いのパターンを知ってのことから思いついたのであろう。

 とにかく、「Affirmation」(肯定・支持・賛同)と名をつけ、上のようなリストにみる2部作であり、最後は彼の曲で締めくくったのである。
 これは、見方によれば、ピアノ・トリオ+サックス(ts)のスタイルだ。こうなると一般的にはその楽器演奏のパターンから、多くはサックスがメロディーを奏で始めると、サックス演者は自己の世界に突入し、サックスの響きだけが中心となるパターンが多い。楽器の音質からサックスの世界で残りのトリオがリズム隊と化してしまうのである。従って私はこのパターンのカルテット構成は好きではないのだ。

Arildandersen01aw  しかし、メインの旋律のないこのようなカルテットの即興集となると、リーダーがベースであるだけに四者がそれぞれの個性を示す方向にリードされ、なんとスタートの"one"から、四者それぞれの他者の描くところに反応しながら形作っていくという流れで、サックスの独壇場は形成されず、それぞれが互いを認めて発展させる方向に流れ、極めてカルテットそのものの面白さが出現することになった。実は私が面白いと思ったところはそこにあったのだ。
 そして描くは、「PartⅠ」は、流れとして北欧の独特な自然と人間との交わりを想像させるかなり静的な世界で、サックスは細かく刻んで踊り、リエンのピアノの旋律が"Three"あたりに至ると一層美しく流れ、"Four"に流れると、ベースが更に深淵な世界に沈みつつも次第にリズムをアップさせてサックスを先頭にピアノが俄然勢いを増し、ドラムスが全体の盛り上がりを頂点に誘導する。この辺りが単純な「静」でなくアクセントをしっかり描く「動」の曲展開に納得する。
 「Part Ⅱ」は、まず"Five"で繊細なシンバル音、ピアノも繊細な響き、ベースが後押しというトリオ形でスタート、スリリングな流れが微妙で面白い。続いてサックスが合わせるように登場。こんな微妙な連携プレイが即興でつづる技には脱帽だ。その後も続くステック・ワークとピアノ、ベースの三者の微妙な裁きが凄い。
 短い曲"Six"では、サックスが動く、その後"Seven"では、ピアノの静とシンバルの静、ピアノの澄んだ美音が心に染みる。次第にベースの誘導でサックスが静かに現れるが、やはり究極はリエンのピアノの美だ。
 そして挑戦は終わり、最後はアンデルセンの曲"Short Story"を優しいサックスの旋律が前面に出て優しく演じて納める。

 オール即興・未編集で作り上げたアリルド・アンデルセンの主導によるこのカルテット作品は、信じられないほどの四者のバランスとまとまりが良好な展開を見せた北欧の静と躍動を描いた作品となった。北欧の一般的ロマンある哀愁と美旋律ものを期待するとちょっと別世界となるが、この世界も魅力的でお見事であった。

 今年一年有難うございました。来る年もよろしくお願いします

(評価)
□  曲・演奏  88/100
□  録音    85/100

(試聴)  
"Short Story" (このアルバムで唯一即興ものでないアンデルセンの曲)

*

(参考)   Arild Andersen Group   

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2022年11月16日 (水)

ジャン-ピエール・コモ Jean-Pierre Como Trio 「MY DAYS IN COPENHAGEN」

やはり躍動性としっとりした世界の美は一級品

<Jazz>
Jean-Pierre Como Trio 「MY DAYS IN COPENHAGEN」
Bonsaï Music / IMPORT / BON220901 / 2022

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Jean-Pierre Como (piano)
Thomas Fonnesbæk (double bass except 06, 10)
Niclas Campagnol (drums except 09, 10)

Recorded at The Village Recording Studio in Copenhagen, Denmark

Fnejbtbx0amzhnbw  フランスの人気ピアニスト、ジャン・ピエール・コモ(1963年パリ生まれ、両親はイタリア人(→))の18枚目となるリーダーアルバムの登場。今回はデンマーク出身の人気ベーシスト:トーマス・フォネスベック(1977〜)とスウェーデン出身の中堅ドラマー:二クラス・カンパニョル(1973〜)という北欧ミュージシャンとのトリオで、スタンダード曲を中心としたコペンハーゲン録音のアルバムだ。

(Tracklist)

01. You And The Night And The Music 6:16
02. You Don't Know What Love Is 4:03
03. Oleo 3:29
04. Stella By Starlight 10:08
05. Triste 5:26
06 Leading To… 1:13 (piano &  drums duo)
07. My One And Only Love 5:29
08. Bye Bye Blackbird 5:10
09. Lover Man 6:27 (piano & bass duo)
10. Starry Sea 2:54 (solo piano)

Jeanpierrecomomydaysw

  10曲中2曲(M6.,M10.)がコモのオリジナル曲で、その他の8曲はスタンダード曲。
 M1."You And The Night And The Music"は、オープニングにふさわしい演奏で、軽快にして流麗なピアノ・タッチに、ベ-ス、ドラムスが後半にはソロ展開も加えてのビートを加味し、ジャズはこれだと訴えてくる。彼らの紹介みたいな演奏。なかなか期待が持てる。
 M2."You Don't Know What Love Is "となりぐっと落ち着いてピアノとベースが交互に旋律を哀感の展開。
   そしてこのアルバムの一つの目玉曲M4."Stella By Starlight "が素晴らしい。雰囲気をがらっと変えて、ぐっと心の奥に響く深い内省型の世界、なんと10分を超える演奏で、三者のインプロブィゼーションの洪水、ビクター・ヤングという世界を超越して迫ってくる。
 M5."Triste"で、軽快に流れるようなピアノに変化。そのあとは、今度は変化してM6."Leading to..."で静かに旋律を奏でるピアノまるで間奏曲。
 そしてもう一つのこのアルバムの目玉曲M7."My One And Only Love"に続き、ここでは思索的で哲学的ともいえる中に美しさのあるピアノが印象的で、しかも流れる水のごとくの演奏の変化を加えてやっぱり一級品だ。ベース、ドラムスの状況を描くサポートも奥深く素晴らしい。
 M9." Lover Man"のピアノ、ベースのしっとり感も、さすがユーロ・ジャズ。

 とにかくこのアルバムは、最後まで飽きさせない構成で、端麗であり歯切れがよく流麗なクリアー・タッチのピアノが、ヨーロならではのロマンティックなところと哀感のある抒情的なところを聴かせつつ、一方ダイナミック・アクションのある躍動的変化を織り交ぜて描く世界はお見事である。スイングしながら歌うがごとくのしなやかさとハーモニーがあり、時としてリズムカルに迫りくるというベースや、やや軽めにシャープでスピーディーに安定したドラム、まさに三者の技量が織り成す世界と、トータル・アルバムとしての曲の構成が素晴らしく、一級品のジャズ・アルバムと言いたい。

 

(評価)
□ 曲・演奏 : 90/100
□ 録音   : 88/100

 

(試聴)

*
"stella by starlight"

 

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2022年10月16日 (日)

ケイティル・ムレリド Kjetil Mulelid Trio 「who do you love the most?」

北欧ジャズの味と醍醐味

<Jazz>

Kjetil Mulelid Trio 「who do you love the most?」
Rune Grammofon / RCD2229 / Hi-Res flac96kHz/24bit / 2022

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Kjetil Andre Mulelid (p)
Bjørn Marius Hegge (b)
Andreas Skar Winther (ds)

Mastered By – Karl Klaseie
Mixed By – Kyrre Laastad
Recorded By – Dag Erik Johansen

recorded june 21st and 22nd 2021

7033662022083w2  ノルウェーのジャズ・ピアニストのケイティル・ムレリドKjetil André Mulerid(1991年2月4日ノルウェーのHurdal生まれ)は、久しぶりの出会いのような感じであった。いつぞや彼らのトリオ2ndアルバム『What You Thought Was Home 』 (Rune Grammofon 2019)(→)で知ってから久しぶりであった。今回はこのトリオの3作目で、私はこれもCDでなく外国配給会社から"Hi-Res flac96kHz/24bitの音源"で入手した。

  ムレリドは2014年、ロンハイムのノルウェー科学技術大学のジャズプログラムを修了し、その後、数種のバンドで活動している(「Wako」、「Lauv」など)。そしてこのKjetil Mulelid Trioは2017年にデビューアルバム『Not Near Enough To Buy A House』リリースして以来、メンバーはベーシストのビョルン・マリウス・ヘッゲ、ドラマーのアンドレアス・スコール・ヴィンターと不変。このトリオは、私の好むところのノルウェーのEspen Eriksen Trioとジャズ界では同じ流れの中にあり、賛美歌からフリージャズまであらゆるものに触発されて彼らなりの実績を上げているという。

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 とにかく、トリオの2017年のデビュー作は国際的に広く受け入れられ、キース・ジャレットとビル・エヴァンスとの比較にも挙がった。この称賛は2019年の続編アルバムも同様だった。これは若さ以上の経験が結晶していると評価もある。
 前作もそうだが、下の収録曲リストのように主としてピアニストのトリオ・リーダーのムレリドにより作曲されているが、ベーシスト、ドラマーも、それぞれの即興を交えての特徴が遺憾なく発揮されたなかなか味のあるトリオである。

(Tracklist)

1.Paul  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 4:35
2.Endless  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 5:02
3.The Road  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 4:47
4.Remembering  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 4:43
5.Point Of View  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 3:48
6.The Archetypal Man  (Composed By – Judee Sill) 5:10
7.For You I'll Do Anything  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 5:50
8.Imagine Your Front Door  (freely improvised) 1:30
9.Gospel  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 4:15
10.Morning Song  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 3:18

  多くのミュージシャンやヴォーカリストとの競演が多いムレリドだが、こうして彼のリーダー・アルバムは1st以来の鉄壁のトリオ作品に集約されている (昨年リリースされたソロ・ピアノ・アルバム『Piano』があるが)。
 このアルバムの録音は優秀で、ピアノは勿論だがべース、ドラムスも手に取るように聴きとれて、トリオの良さが実感できるところだ。又Hi-Res音源で聴いているだけに、澄んだ音も快感。
 北欧らしいフォークっぽいムードと深淵さと、美しいメロディー、ハーモニーの美と複雑なリズム、民族音楽的な雰囲気にゴスペルの要素も忘れていない多彩さだが、究極は真摯な世界にある。

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 M1."Paul "は、ビル・エバンスとの世界にあったドラマーのポール・モティアンに敬意を表したと。冒頭から思索的で叙情的な曲。
 M2."Endless "は、メロディックで、M3."The Road "は、探求と試練を求めての珍しくダイナミックな活力ある曲。ヴィンターのパーカッシブなドラムスが効果発揮。
 M4."Remembering " ピアノの優しさあるメロディーにヴィンターの一風変わったパーカッシブな伴奏、ヘッゲのベースも大いなる貢献している曲。
 M.5."Point Of View " ピアノ・ソロ・アルバムにある曲、シンバル音が印象的にピアノ美旋律に色付け。
 M7."For You I'll Do Anything" 深いベース・ソロからスタート。これもムレリドのソロ曲でピアノの調べは何かに語り掛けるような優しさが。
 M8.".Imagine Your Front Door " は、遊び心のトリオ集団即興演奏。
 M9."Gospel" は、ムレリドの心地よさのゴスペル。M9."Morning Song" は爽やかな展望の心地になる曲。

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 ムレリド自身のピアノで描くメロディックな曲が、このトリオとなると複雑なジャズ曲と変化し、トリオ効果が大きいところが魅力。それは録音においてもその効果を助長されいると思う。かってのピアノ主流でベース、ドラムスは一歩下がって影の支えというスタイルから脱却し発展して、三者の挑戦的に描くトリオ音楽として描く因子も感じられ全てが新しいというわけではないが、興味深い。

(評価)
□ 曲・演奏   90/100
□ 録音     92/100
(試聴)  
"Poul"

*
(参考) トリオ映像

 

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