北欧ジャズ

2024年9月 7日 (土)

ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」

デンマークのジャズ・ピアニストの北欧流美的哀愁世界とトリオ・ジャズの楽しさを描くアルバムが2枚リリース

   北欧・デンマークの2022年、2023年の近年の一手段である配信リリースによるアルバムが寺島レコードから装い新たにLPとCDでリリース。ピアノ・トリオとはかくあるべきと寺島靖国氏に言わしめるピアニストのヘンリック・グンデとイェスパー・ボディルセン(Bass)、モーテン・ルンド(drums)のトリオだ。そして何としてもCD化をと言うことであったようで、ここにその成果が結実。
 私自身は北欧のピアニストが描く世界には共感するところが多いのだが、このグンデの作品は過去に実は入手の記憶がない。寺島靖国の推薦を知ってストリーミング・サービスにより、最近この過去の配信アルバム聴いたところであった。彼らが織り成す演奏は「北欧浪漫派ならではの繊細にしてエレガントな奥深い哀愁風情をしっとりと描いてくれる」というところで、高音質のアルバムを期待していたところである。LPが今や再人気だが、私は音質的にも価格的にもCD軍配派で、CDで購入。
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 ヘンリック・グンデ・ペデルセンHenrik Gunde(→)は、1969年にデンマークのエスビヤーで生まれたジャズピアニストだ。彼はデンマークのジャズシーンで誰もが知る存在のようだ。デンマークのラジオビッグバンドや彼自身のプロジェクトGunde on Garnerなど、さまざまなフォーメーションで演奏活動をしている。このトリオ・プロジェクトは、ジャズの伝説的存在であるエロール・ガーナーのスタイルに敬意を表したもので、特にグンデは、ガーナーのスイングとエネルギーをパフォーマンスに呼び起こす能力で称賛されている。
 イェスパー・ボディルセン(Bass ↓左)は、1970年デンマーク-シェラン島のハスレヴ生まれ、モーテン・ルンド(drums ↓右)は、1972年デンマーク-ユラン半島のヴィボー生まれと、デンマークの実力派トリオである。

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 さて、そのアルバムは下のような二枚で、ジャケも配信時のモノからリニューアルされている。

<Jazz>

Henrik Gunde 「Moods」
Terashima Records / JPN / TYR1127 / 2024

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Henrik Gunde (piano)
Jesper Bodilsen (bass)
Morten Lund (drums)

(Tracklist)
1. Blame It on My Youth
2. My Funny Valentine
3. Solveigs Sang
4. Kärlekens ögon
5. I Will Wait for You
6. Bye Bye Blackbird
7. Moon River
8. Softly as in a Morning Sunrise
9. Fanølyng

 M1."Blame It on My Youth" 冒頭から光り輝くが如くの欧州でもイタリア風とちょっと違った瑞々しい端正なるタッチのピアノの音が響き、北欧独特のどこか哀感のある世界が展開。いっやー美しいですね。
 M2."My Funny Valentine"、M5."I Will Wait for You、M6."Bye Bye Blackbird"、M7."Moon River"、M8."Softly as in a Morning Sunrise"といった日本でもお馴染みのスタンダード曲が続く。これだけポピュラーだと、特徴をどのように原曲を大切にしつつ表現するかは難しいところだと思うが、メロディーを大切にしたピアノと暴れずぐっと曲を深く支えるベースが印象的。そしてM5.は"シェルブールの雨傘"ですね、ドラムスが繊細なステックによるシンバルなどの音を軽快に流し、洗練されたピアノによるメロディーは、適度な編曲を加えて、ベースの音と共に静かな躍動感を加えて、聴くものに又新鮮な感動を与えてくれる。M7.はぐっとしっとり仕上げ、M8.は、"朝日のごとくさわやかに"ですね、詩情の世界から一転しリズミカルに、軽妙な味を3者のテクニックで楽しませ、ピアノとベースも珍しく低音部でのインプロも披露し、ドラムスも最後に出る幕を飾ってジャズを楽しませる。
 録音もただただ音で圧倒するのでなく、繊細に描くところが見事で、寺島靖国が欲しがるアルバムだということが、しっかり伝わってくる。

       * * * * * * * * * * *

<Jazz>

Henrik Gunde「Moods Vol.2」
Terashima Records / JPN / TYR1128 / 2024

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Henrik Gunde (piano)
Jesper Bodilsen (bass)
Morten Lund (drums except 1)

2023年Mingus Records作品

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1. Introduction (p & b only)
2. Ol' Man River
3. Fever
4. The Windmills Of Your Mind
5. Tennessee Waltz
6. From E's Point Of View
7. Golden Earrings
8. Olivia

  さて続編であるが、1stがあまりにも見事であったので、こちらでは少々細工が出てくるのかと思いながら聴いたのだが、ここでもスタンダードと彼のオリジナルの曲との混成によって成り立たせる手法は変わっていない。アルバムはグンデのピアノによる導入曲の後、M2."Ol' Man River"のカントリーつぽい牧歌的哀歌でスタートする。
 とにかく誰もが知っているポピュラーなM5."Tennessee Waltz"を如何に聴かせるかが、寺島靖国に言わせても大きなポイントだったようだ。それだけ有名なのだから、聴く方も何かを求めるわけで、名演でもアレンジが原曲から大きく離れてちょっと残念だということも確かにあり、そんな状況下で適度にジャズ化し適度にメロディーを聴かせ、なかなかうまく処理している。まあその点は心得た処なんでしょうね。
 戻ってM3."Fever"だが、北欧の詩情性アルバムにこの曲というのは驚いた。しかし前後の曲を聴くとこの流れは必要だったことが納得できる。アルバムというのは曲の配列によるメリハリが重要なのだ。
 その他 M4."The Windmills of Your Mind"の"微妙な心境での希望"と M7."Golden Earrings"の"展望"といった未来志向の暗さから脱皮したスタンダードに加え、グンデ作曲のM1."Introduction,M6."From E's Point of View",M8."Olivia" の3曲、これらはやはり透明感あふれるピアノの旋律美にメロディ尊重派を感ずるし、ベース、ドラムスは、単なるサポート役でない対等なインタープレイを演ずるジャズ・グルーヴ感も印象的。1stから、一歩展望ある世界に踏み出した印象の2ndアルバムだった。

 究極、ジャズの難しい面の押し売りは感じさせず、ピアノの美しい世界に、トリオとしての味をうまく加えたアルバムと言って良いだろう。ヨーロッパ耽美派ピアノ・トリオの典型と現代欧州流解釈のトリオ・ジャズの楽しさを描いている。グンデの演奏にはユーロ系の北欧独特の詩情性と抒情性が独特の繊細さで描かれるが、けっしてそれだけでないジャズのハード・バッブ系のグルーヴ感を忘れないところが、やっぱりキャリアなんだろうと感じさせられた。
 

(評価)
□ 曲・演奏 :  90/100   
□ 録音        :  88/100

(試聴) 
"Blame It on My Youth" from「Moods」

*
" Tennessee Waltz"from 「Moods Vol.2」

 

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2024年5月29日 (水)

フランス・バク、シーネ・エイ Frans Bak feat.Sinne Eeg 「Softer Than You Know」

人生の感謝の世界を歌い上げる

<Jazz, Popular>

Frans Bak feat.Sinne Eeg 「Softer Than You Know」
Storyville Records / Import / 101 4359 / 2024

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Frans Bak - piano
Sinne Eeg - vocals
Peter Sprague - guitar
Thomas Vang - bass
Emil de Waal - drums
August Wanngren - choir (track 1,3, 5, 6, 7)
Fredrik Lundin - saxophone (track 4)
Hans Ulrik - saxophone (track 6)

All tracks = Music: Frans Bak, Lyrics: Helle Hansen
Recording: The Village Recording, Copenhagen, Denmark, September 2022

 デンマークの重鎮作曲家兼ピアニスト、フランス・バク(下中央)が、自らのオリジナル曲で最新プロジェクトとしてバラード・アルバムをリリース。曲の作詞は、やはりデンマークでミュージシャン・作詞家・教師で活躍しているヘレ・ハンセン(下右)によるものとか。 収録曲は10曲のバラードで構成され、日本でも人気のヴォーカリスト、 シーネ・エイ(下左)がボーカルを担当ということで聴くに至ったものである。

 フランス・バクFrans Bak(1958年デンマーク・コペンハーゲン生まれ)は、デンマーク王立音楽院を卒業後、数々のバンドを結成し、クラシック音楽をさまざまなジャンル、サウンド、現代のテクノロジーと融合させ、アンビエント、メロディック、アトモスフィアなど、独自のサウンドを生み出してきた。80年代から90年代にかけて、ピアニスト、バンドリーダー、作曲家としての役割を両立させ開花。デンマークの多くのアーティストとコラボレーションし、映画音楽やTVシリーズの音楽の作曲でも高い評価を得ている。特に、映画のサウンドトラックの世界に25年の国際的なキャリアを築いてきている。
 シーネ・エイSinne Eeg(1977年デンマーク生まれ)はスカンジナビア屈指の女性ジャズ・ヴォーカリストと言われ、このブログでも何度か登場している。彼女の感情豊かな声で聴衆を魅了し、魅惑的なパフォーマンスとともに国際的な称賛と人気を得ている。デンマーク音楽賞の最優秀ボーカル・ジャズ・アルバム賞を4回受賞するなど、数々の賞と称賛を受けている。

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 レコーディングには、トーマス・ヴァング(ベース)、エミール・デ・ワール(ドラムス)、ピーター・デ・ワール(ベース)、ハンス・ウルリック(サックス奏者)など、豪華なメンバーが参加。

(Tracklist)

1. Softer Than You Know
2. Lonely Waltz
3. Out of the Blue
4. Stay With Me
5. 1-2-3
6. Ready Again
7. Is This It
8. When I’m Near You
9. I Will Never Let You Down
10. Close Your Eyes

  フランス・バクが、彼の音楽の原点へのノスタルジックな回帰を示す最新プロジェクトで、ジャズとポップスの融合と表現しているところのゆったりとしたソウルフルなメロディーにての曲で、しかもヘレ・ハンセンの歌詞がまた心に響くもので、このバラードアルバムを造り上げている。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの間、バクは自分のバンドのサウンドに夢を抱き、サックス奏者のフレドリック・ランディンとの偶然の出会いがきっかけで音楽への情熱が再燃したとか。そして作詞家のヘレ・ハンセンとのコラボレーションによって曲を仕上げて、シーネ・エイの魅惑的な歌声を得て、フルアルバムの制作に至ったようだ。

 とにかく非常に優しく聴くものすべてに心地よさを提供できるような心温まる曲であり、シーネ・エイもジャズ・ヴォーカルというイメージでなく、ちょっと世界が変わったような自分を見つめる素直な真摯な気持ちで歌い上げている。(下に歌詞を紹介する)

(タイトル曲の歌詞)「Softer Than You Know」
5946964413926w In the silence
Within a moment
All becomes apparent
And it′s clearer than you know
And it's nearer than you know

Whirls of snowflakes
A dance on ice skates
Frosty childhood keepsakes
And it′s brighter than you know
And it's lighter than you know

Every memory unlocking a world
That you used to understand
And its magic is fully unfurled
In the end descending
Till it lands on your hand

Like a sunray
A flying bobsleigh
Candles on a birthday
And it's softer than you know
Like an ember, like a glow
Like the whisper of the snow
So much softer than you know

静寂の中で
一瞬のうちに
すべてが明らかになります
そして、それはあなたが知っているよりも明確です
そして、それはあなたが知っているよりも近いです

雪の渦
アイススケートの上でのダンス
冷ややかな子供時代の記念品
そして、それはあなたが知っているよりも明るいです
そして、それはあなたが知っているよりも軽いです

すべての記憶が世界を解き放つ
あなたが理解していたこと
そして、その魔法は完全に展開されます
最後は下降
それがあなたの手に着地するまで

太陽の光のように
空飛ぶボブスレー
誕生日のキャンドル
そして、それはあなたが知っているよりも柔らかいです
燃えさしのように、輝きのように
雪のささやきのように
あなたが知っているよりもずっと柔らかい

 こんな雰囲気でアルバム全体が経過する。感謝の心の歌と言って良いのかも・・・クリスマスソングを聴いているような雰囲気もあり、どうもジャズと言うには別世界と私は思うのであるが(M4"Stay With Me"はLundinのSaxが入って少々ジャズっぽいが)、時にはこの世界も良いものである。

(評価)
□ 曲・歌詞・歌  88/100
□ 録音      85/100
(試聴)

 

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2024年5月19日 (日)

ダグ・アーネセン Dag Arnesen Trio 「ICE BREAKING」

メロディー主導型からトリオでの多くのジャズ要素に挑戦

<Jazz>

Dag Arnesen Trio 「ICE BREAKING」
LOSEN RECORDS / Import / LOS 296-2 / 2024

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Dag Arnesen (piano)
Magne Thormodsæter (bass)
Øyvind Skarbø (drums except 9)

Recorded November 19– 21, 2023 by Davide Bertolini
at Griegakademiet Studio, Bergen, Norway
Mixed January 17 and 23, 2024
by Davide Bertolini at Griegakademiet, Bergen
Mastered February 2024 by Morten Lund
at Lund’s Lyd, Oslo, Norway

  1970年代から既に半世紀の評価ある活動の歴史がある中で、近年、ノルウェーの伝統的な音楽やメロディを取り入れノルウェーの音楽文化とジャズの融合を探求したアルバム『Norwegian Song』シリーズ(ⅠからⅣの4枚のCD,2007-2017)が人気を呼び、日本でもおなじみのピアニストのダグ・アルネセン(1950年ノルウェー-ホルダラン県ベルゲン生まれ 下左)の最新ピアノ・トリオ作品。彼はクラシック・ピアノからノルウェーの音楽遺産やグリーグなどの作曲家/ピアニストたちからインスピレーションを受けての美しい世界を築いてきている。

 今回のトリオは新生で、ベースのマグネ・トルモドセーター (下中央)は、ノルウェーでジャズ・ミュージシャンとして活動。作曲家でもあり、グリーグ・アカデミー(出身地ベルゲン)の准教授でとしても活躍する。 ドラムスのオイヴィン・スカルボ (下右)は、グリーガ・アカデミーのテリエ・イスンセに師事し、ノルウェー、キューバ、ナイジェリアの伝統音楽も研究している。ノルウェーの即興音楽シーンを牽引する存在であり、数多くのバンドのメンバーやオーガナイザーとして活躍している。  
 今回のアルバムは、2曲を除いて全曲アーネセンの新作オリジナルが収録。相変わらず聴く者をして一種独特な北欧の世界に導いてくれる。

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(Tracklist)

1. A New One 5:48
2. Ice Breaking 4:33
3. Sarah 5:00
4. That's OK 4:52
5. Podstrana 5:40
6. Bim Bam Bom 4:27
7. After Dinner 5:42
8. Jumping Around 4:34
9. A Special Memory 4:18 (p & b duo)
total time 44:54
*all compositions by Dag S. Arnesen

 メロディーが過去の彼の作品のテーマであったと思うが、このアルバムは進化と言えるのだろうか、音楽的により多くの要素が含まれた多様なアプローチがなされている。例えばリズムやハーモニーが中心的な役割と思われる曲もある。ピアノの響きはなかなか精緻で丁寧な印象でクリアー・タッチ。ベースも印象を深める貢献が大きく、ドラムスも的確にグルーヴ感とスリルを演じている。

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 やはり従来のメロディラインが魅力的なスタート曲M1."A New One"、そして続くアルバム・タイトル曲M2."Ice Breaking "、愛猫に捧げた曲らしいM3."Sarah "では、従来の枠から一歩進んでの形を破る意味合いも込めてトリオで描くジャズ・グルーブとスリルをも楽しんでいるが如くである。
 注目は、複雑なコードの繋がりの味を楽しめるM7."After Dinner"など、彼の音楽的世界の一面を見せている。
 又昔に作曲されたM9."A Special Memory"は、ノスタルジックな味を記憶をたどるように聴かせてくれる。一方やはり古い異色の曲M6."Bim Bam Bom "などのかっての試みを再び再現しているような、これも一つの回顧なのかもしれない。
 M8."Jumping Around"も、今回のアルバムの特徴としての美メロディーに留まっていないところを主張しているようだ。

 従って、彼の『Norwegian Song』のアルバムのような北欧の風土色や独自の心象スケッチ傾向を感じさせるところもあるものの牧歌的・美メロディー、リリカルな世界に期待するとちょっと、それだけに留まっておらず、バラードからアップビートの曲もあり、躍動的なフレーズには意外性を感ずるところがあった。しかしその変化も適度でハード・バップの本道にあり、70歳超えての進化と言うかそんな姿勢だけでも頭が下がるところである。

(評価)
□ 曲・演奏   88/100
□ 録音     88/100

(試聴)

 

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2024年5月 4日 (土)

インギ・ビャルニ・スクラソン Ingi Bjarni Trio 「 Fragile Magic」

北国らしい神秘性と叙情性が感じられる世界

<Jazz>

INGI BJARNI TRIO 「Fragile Magic」
Skarkali / import / IBS003 / 2024

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Ingi Bjarni Skúlason – piano
Bárður Reinert Poulsen – bass
Magnús Trygvason Eliassen – drums

Nyglerauguwebw   アイスランド・フェロー諸島出身のジャズ・ピアニスト、インギ・ビャルニ・スクラソンIngi Bjarni Skúlason(→)率いるピアノ・トリオ作品。彼は、既に6枚のアルバムをリリースしているが、トリオものは3枚目のようだ。私は今回初めて彼のアルバムを聴いた。経歴は、オランダのデン・ハーグでジャズ・パフォーマンスの学士号を取得し、その後、ヨーテボリ大学で作曲の修士号を取得した。コペンハーゲンとオスロで交換留学を行ったとの紹介がある。
 彼はピアニストであり作曲家でもあり、即興のサウンド・マジシャンの評価で魅惑的な音色と詩的なメロディーを作り上げ、「表現の自由と、叙情的で自由な即興演奏の両方のためのスペースを備えた独自のフォークミュージック」との紹介がある。ユニークなサウンドと即興演奏への革新的なアプローチで賞賛されているようだ。

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 そしてトリオ・メンバーは、同じくフェロー諸島出身のコントラバス奏者バルズル・ライナート・ポウルセン(上右)とアイスランド人のドラマー、マグナス・トリグヴァソン・エリアセン(上中央)という同郷の三人。 このトリオは、Nordic Jazz Comets、Jazzahead 、VetrarJazz、コペンハーゲン・ジャズ・フェスティバル、レイキャビク・ジャズ・フェスティバルなどの数多くフェスティバルに出演してきたと。そして2018年にはアイスランド音楽賞の年間最優秀ジャズプレイヤーにもノミネート。更に2020年春、クインテットでの録音『Tenging』でアイスランド・ミュージック・アワードに5部門にノミネートされ、最も有望なアイスランドのジャズ・アーティストとして表彰された。硬質さとエレガンスが共存するフォーキーなピアノトリオと評されている。

(Tracklist)

1.Impulsive 06:16
2.Fragile Magic 05:20
3.Visan 05:33
4.Glimpse 05:56
5.Suburb 03:29
6.Úti á götu 05:55
7.Introduction 03:42
8.My Sleepless Nights in June 03:33
9.Einn, tveir, þrír 06:17

   「冷涼な空気感の中に、北の国らしい抒情性が込められたピアノトリオ演奏」と記されたモノがあったが、なんとなく神秘的で世俗から一歩離れた感覚になる世界である。主体は即興演奏からの発展系なのか、アルバム・タイトル曲のM2."Fragile Magic"では、"はかない魔術"ということであろうか、静かな世界に、ピアノによる美しいメロディーが奏でられ、それをベースが独特に叙情的に発展させ、再びピアノが更にその流れから発展し展開する形をとって、私の感覚では、冷涼と言うよりはむしろ季節の自然の変化との対面による厳しい環境下からむしろゆったりと開放的に受け入れる季節の到来に人間的な暖かさを感ずるところがある。非常に叙情的であり、又その中に詩情があって素晴らしい。

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 とにかく全編淀むところが無く、一つの物語の展開の中に没入出来て神秘的な世界を感ずることが出来る。
 又、このトリオのスタイルは、それぞれの描くところが即興の中に綿密な互いの結びつきがあって快感である。特にピアノの美しい流れに加えて、ベースのメロディー及び時に見せるピアノとのハーモニーとユニゾンが魅力的であり、ドラムスは地味ではあるが確かなサポートが大きい。このようなユニークで即興重視の世界はなかなか安易には構築できないと思われ、今後も更に発展して行って欲しいと願うところである。

(評価)
□ 曲・演奏   88/100
□ 録音     88/100

(試聴)

 

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2024年4月11日 (木)

インガー・マリエ Inger Marie 「Five Minutes」

ぐっと落ち着いたヴォーカル・アルバム

<Jazz>
Inger Marie 「Five Minutes」
Stunt Records / Import / STUCD23082 / 2024

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Inger Marie Gundersen(vocal),
Espen Lind(guitar, keyboards, and backing vocals),
Torjus Vierli(piano, organ, and keyboards),
Tom Frode Tveita(bass),
Martin Windstad(drums and percussion),
Kristian Frostad(pedal steel, lap steel, and guitar),
Erlend Viken(fiddle),
Tore Johansen(trumpet)

 北欧を代表するディーヴァの一人として幅広い人気を誇るシンガー、インゲル・マリエ・グンデシェン(Inger Marie Gundersen インガー・マリエ 下左)の、5年ぶり、そしてパンデミック以来のニュー・アルバム。彼女は1957年ノルウェー南岸のアレンダール生まれで、約40年ロック、ジャズのシンガーとして活動してきて、2004年に遅咲きアルバム・デビュー(『Make This Moment』)で人気者に、既に60歳代後半だ。それにつけても頑張ってますね。

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 このアルバムは、母国ノルウェーのマルチ鍵盤楽器奏者、作曲家のエスペン・リンド(Espen Lind (born 13 May 1971) 上右)が共演・プロデュースしている。彼はテレビ・パーソナリティとしてのキャリアに加えてテイラー・スウィフトやビヨンセなどと仕事してきた国際的に評価を得ているノルウェーのレジェンド。そしてその他、スウェーデンのトム・フルーデ・トヴェイタ(Bass)以外すべてノルウェーのミュージシャン達が共演している。

(Tracklist)
01. Five Minutes(Gretchen Peters)
02. Sailing(Iain & Gavin Sutherland)
03. My Valentine(Paul McCartney)
04. We Kiss in a Shadow(Oscar Hammerstein II/Richard Rodgers)
05. Wild Horses(Mick Jagger/Keith Richards)
06. Thank You Lord(Bill Fay)
07. Why Worry(Mark Knopfler)
08. Litter Person(Jon Brion)
09. Narrow Daylight(Diana Krall/Elvis Costello)

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 彼女の息を呑むような歌声を聴かせつつ、ロックの流れやフォークぽい展開があったりの彼女なりのジャズの独特のサウンド世界が作られる。それは温かく、軽くなく、誠実で、過去に聴いてきた曲も共感を誘う新しい意味をもたらして迫ってくる。

 Torjus Vierli(ピアノ、オルガン、キーボード)の彼女のヴォーカルを支える技量も素晴らしく、彼女の描く曲の展開に大きく寄与している。何につけてもEspen Lind(ギター)が、彼のサウンドを上品に全体に乗せていて品格あるアルバムに作り上げているのは見事である。

M01."Five Minutes" 心を落ち着かせ思い描くことの為にタバコを吸うには5分間あればいいと、静かなしっとりとした説得力ある控えめのヴォーカルでスタート。
M02."Sailing" 愛しい人を求め大西洋を渡る歌と解釈されつつ、実はこれは自由と神の成就へと至る人類の精神的なクリスチャン・ソングとロッド・スチュアートがカヴァーした歌。そんな心深くに染みてくるマリエの歌。
M03." My Valentine" 多くの有名どころがカヴァーしている名曲。ささやかな愛が情感豊かに歌われる。
M04."We Kiss in a Shadow" 秘密裏の恋の喜び、歌声とピアノの相乗的効果の美しさが見事。
M05." Wild Horses" ストーンズの解釈がいろいろと言われる曲だが、マリエは何かを心に描いて訴えてくる。
M06." Thank You Lord" 低音でのリズムにのつて、ギターの響きと共にスロー・ロックの味わいを感じさせちょっと異色の曲で私のお気に入り。内容は"主に感謝の心を訴える・・・"といったところか。
M07."Why Worry" 暗い中に光明を見出して慰めてくれるような世界。
M08."Litter Person" 小さな人間の大切なものをしっとりと訴える。
M09."Narrow Daylight" 冬が終わって夏に向かう・・そこには展望か、Diana Krallの歌だが、なかなか味わい深く歌い上げている。

 人生の経験を歌い込んだような選曲と歌い込み、年齢的声量低下はエコーで若干補足はしているが、彼女の真骨頂の控えめな詩情ゆたかな世界をしっとりと聴くことが出来る。

(評価)
□ 選曲・歌 90/100
□ 録音   88/100

(試聴)


*



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2024年4月 6日 (土)

アンナ・グレタ Anna Greta「Star of Spring」

待望のACTからの2ndの登場・・・神秘的で感動的な世界

<Jazz>

Anna Greta「Star of Spring」
(CD) ACT MUSIC / Import / ACT 9748 / 2024

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Anna Gréta (piano, vocals, backing vocals, keys, organ),
Einar Scheving (drums & percussion),
Skúli Sverrisson (electric bass),
Þorleifur Gaukur Davíðsson(guitar and pedal steel),
Birgir Steinn Theodórsson(double bass),
Magnús Trygvason Eliassen(drums),
Sigurður Flosason(bass clarinet),
Albert Finnbogason(synthesizer)
Recorded at Sundlaugin Studio, Iceland during May 2023 and at Studio 1001 in Stockholm
during July - September 2023.

 前作2021 年のACTデビュー作『Nightjar in the Northern Sky』のアイスランド出身ジャズSSW、ピアニストのアンナ・グレタAnna Greta(下左)のアルバムは、久々の注目株としてここで一昨年前に取り上げたのだが、2年半の経過で待望の続編ともいえる2ndの登場で喜んでいるのである。
 最新北欧ジャズサウンドと神秘的でメランコリックな歌声に魅了されるアルバムだ。アイスランド出身のベテラン・ベーシスト・作曲家のスクーリ・スヴェリソン(下右 1966年生まれ、ルー・リード、デヴィッド・シルビアン、坂本龍一などとの共演)が今回もサポート。

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 アンナ・グレタは 2014 年からストックホルムに拠点を移しているが、生まれ故郷であるアイスランドの自然の風景の美しさと力強さからインスピレーションを得ている。2021 年の ACTデビューの前作は"鳥"にちなんでのアルバム・タイトルだったが、続編となる本作は、冬の終わりと春の到来を象徴する「春の星」とも呼ばれる"雪の輝き"という花をモチーフに選んだのだという。彼女は語るところ「春になると草原を覆い尽くし、緑から青へと変えていく姿にインスパイアされただけでなく、そうせざるを得ないから咲くという事実にもインスパイアされた」こんな意味深な言葉からも、彼女はアイスランドの美しさに留まっていない一つのコンセプトを持って曲を造り歌っていることが推測される。それは下に紹介する彼女の芸術作品からもうかがい知れるところである。

(Tracklist)

01 Her House 4:25
02 She Moves 2:23
03 Star Of Spring 3:05
04 Catching Shadows 3:47
05 Metamorphoses of the Moon 3:44
06 Spacetime 4:07
07 The Body Remembers 5:13
08 Mother Of Dreams 3:39
09 Imaginary Unit 3:27
10 Nowhere 3:53
11 Denouement 3:21

 全編美しさに魅了されるヴォーカルに満ちている

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  M1."彼女の家" 厳寒の地に春が訪れ、そこに単なる明るさでない厳しさの解放の複雑な気持ちが感じられる落ち着いた美しいヴォーカル。
  M2."彼女は移動" 開放された展開を描いているのか。
  タイトル曲のM3."春の星"は、何とも言えない独特のエレガントと言える世界、単なる明るさでなくそこには厳しいアイスランドのやや陰鬱な冬のイメージがあってのその雪の輝きの美しさの花の美を訴える。この後のM4.と共に、彼女自身のバックの高音のヴォーカルとハモって一層訴えを増す歌。
 M5."月の変身" 彼女の美しいピアノが中盤で神秘的情景を描く
 M6."時空" 珍しくちょっと陽気さが逆に気になる展開の曲。
 M7."肉体は覚えている" 60 年代から70 年代にかけてグリーンランドで起こった女性の強制出産管理をトピックにした暗部に切り込む。曲は美しいが哀しさが前に出ている。
 M8."夢の母" 郷愁の歌。
   M9."想像上の一人" 珍しいリズムカルな展開。
   M10."どこにもない" 感動的な美を神秘的に歌い上げる。後半の盛り上がりの意味を理解したい。
   N11."終局"でも、美しくしっとりと歌われるが決して明るいというものではない。自然の厳しさの中から生まれるものに深く思い入れているとしか思えない。メランコリックな中に未来を見据えた希望も感じられるところが救いである。

 とにかく彼女の素晴らしピアノ・テクニックの下、独特のヴォーカル・ラインは非常に神秘性をもって印象的に響いてくる。テーマが明るい世界ではないのであるが、なんとか美しさを求めているけなげな姿を想像させる。大自然と厳しさと美に人間性を求めて描く世界は非常に感動的で稀有な世界である。ジャズ因子はしっかり感じられる中での彼女の独特な音楽が感じられる。スカンジナビア・ジャズとしても重要なお勧めアルバムだ。

(参考)アンナ・グレタの芸術 =  「絵画」

 アンナ・グレタの話「私はいつも視覚芸術に興味を持っていましたが、私たちの多くが以前よりも少し時間を持っていることに気づいたCOVID中に自分自身を描き始めました。絵を描くことは私にとってです。自由な表現、手放しの方法、そして境界のない創造の方法。」
左から 「ブラックレイン」「すべての人の心の内側」「暗闇に唄う」(クリック拡大)

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(評価)
□ 曲・歌  88/100
□ 録音   88/100

(試聴)

 

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2024年3月28日 (木)

ペッテル・ベリアンデル Petter Bergander Trio 「Watershed」

葛藤・分裂とに想いを馳せ、音楽による喜びを描く

<Jazz>

Petter Bergander Trio 「 Watershed」
(CD)Prophone Records / Import / PCD324 2024

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Petter Bergander ペッテル・ベリアンデル (piano)
Eva Kruse エーファ・クルーゼ (double bass)
Robert Mehmet Sinan Ikiz ロベルト・メフメット・シナン・イキズ (drums)

 スウェーデンのキャリアある中堅ピアニストのペッテル・ベリアンデル(1973年生まれ、王立ストックホルム音楽大学で学ぶ 下中央)の、2014年結成の自己のトリオによる第3作アルバムの登場だ。前作と同じ鉄壁レギュラー・トリオであるハンブルク生まれのエーファ・クルーゼ Eva Kruse(1978‒ 下左)の女流ベース、イスタンブール生まれのロベルト・メフメット・シナン・イキズ Robert Mehmet Sina Ikiz(1979‒ 下右)のドラムだ。彼らはスウェーデンはじめヨーロッパにてのツアーを行ってきている。

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 ペッテル・ベリアンデルは音楽について次のように語っている。「私たちは人々にクレイジーでエキサイティングな体験と熱意を伝えたいと思っています。本作 『ウォーターシェッド』 は混乱した世界と時代から生まれたアルバムです。曲を書いたとき、人生における分裂の種を蒔きかねないような出来事について考えました。友人間、家族間、あるいは自分自身の中での葛藤。音楽は喜びと芸術を取り戻す手段のようになりました。」と。
 テーマは「分岐・分裂」というところか、しかしなかなか三者の連携プレイがみごとであって、その点は注目はされてきたトリオだが、この新作では、これまでよりインタープレイは更に洗練されてきて、モダンなビートと、そして即興が描くところ、葛藤を乗り越えた姿にこれまた磨きがかかってきた点が注目されるアルバムである。全曲ベリアンデルのオリジナル。

(Tracklist)

1. On The Train To Lviv
2. Watershed
3. Day Eleven
4. Get Out Of Here
5. Lilla Blåvinge
6. If I Would Have Known
7. Lucky
8. Days To Come

 「葛藤」、「分裂」などテーマは暗さをイメージさせるが、トータルに暗いアルバムではなく、極めて安定感の中にむしろ展望がイメージされる世界に聴きとれた。

 M1. "On The Train To Lviv"  ウクライナの戦争下, 列車が向かうはウクライナ小さな美しい都市Lviv、列車の進行する様と戦い中にある都市への思いが複雑に交錯して描かれる。
 M2. "Watershed" "あらゆる人間関係の対立によぎる分裂の不安とは"と問いかける。ネガティブな印象はない、真摯な気持ちの印象。
 M3. "Day Eleven"  "厳しい現実を知る事による暗い不安"が滲むピアノの低音の響きで始まる曲。中盤からのピアノ美しい音、ベースのソロに近い演奏部分に描いている世界が微妙に不安が襲う。ドラムスのブラッシ音もどこか不安な世界に導く。私の注目曲。
 M4. "Get Out Of Here" ベースの響きとクラシックを思わせるピアノ流れ(これはバツハだ)とに、ドラムスの軽快なブラッシ。最後の三者のユニゾンの響きが印象的。
 M5. "Lilla Blåvinge" 絶滅した蝶の名前のようだが、地球に対する人間の行いに問題意識を訴えているのか、繰り返すピアノの旋律が不安げ。
 M6. "If I Would Have Known" 来し方の状況分析にも光明がある姿を描いたか、どこか展望を感ずる。
 M7. "Lucky" いかにも三者対等な音楽は気持ちの浮き上がりの感ずる演奏。
 M8. "Days To Come" 冷静な心と期待感も含めての展望も感じられる曲。

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 私の印象深い曲はM3."Day Eleven"だ。人間の醜い分裂の姿を見てしまった自分に今できることは今何が求められているのだろうかと、懐疑的にしかし何かに向かおうする意志が感じられる曲として評価したい。
 このトリオは、あくまでも詩的情緒とノリの快感を重要視する今時風の抒情派の味を持ったコンテンポラリーな快演だ。従ってテーマの割には暗部にのめり込まないところが救いである。そして美しいメロディーも顔を出すが、あくまでも耽美的に溺れないところがテーマを生かす特徴なのかもしれない。クルーゼ(b)やイキズ(ds)の芸の細かい技によるバックアップも大いに印象を深めるが、しかしやはりそれより遥かに増してベリアンデル(p)のごく自然体の力みのない独創性満点のアドリブ演奏が、やや難題の曲想であるが手慣れた展開で演じ切る。なかなか卓越した技量のピアニストだ。

(評価)
□ 曲・演奏   88/100
□ 録音     87/100
(試聴)
"Day Eleven"

 

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2024年3月 7日 (木)

ヴィクトリア・トルストイ Viktoria Tolstoy「STEALING MOMENTS」

清々しいテンダーにしてロマンティックな好印象のアルバム

<Jazz>

VIKTORIA TOLSTOY 「 STEALING MOMENTS」
ACT MUSIC / Import / ACT97472 /  2024

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Viktoria Tolstoy (vocal) (possibly tambourine? on 03)
Joel Lyssarides (piano except 01) (keyboard on 01, 08, 09, 10) (celeste on 03)
Krister Jonsson (electric guitar except 01) (acoustic guitar on 01)
Mattias Svensson (bass except 01)
Rasmus Kihlberg (drums except 01) (percussion on 06, 08, 09)

Produced by Nils Landgren

Viktoria_tolstoyaw    文豪トルストイが高祖父に当たるということで話題のロシア系スウェーデン人のジャズ歌手ヴィクトリア・トルストイ(1974年スウェーデン-シグトゥーナ地区マーシュタ生まれ)の、今回は、ACTでの第1作『Shining On You』(2004年)から20年になるのを記念しての、ピアノ、ギター、ベース、ドラムのカルテットをバックにした彼女をとりまくファミリーを意識したある意味感謝のアルバムのようだ。もともと彼女は1990年よりの活動で、既に30年以上のベテランということの仲間入りしている。もともとジャズに軸足を置いてはいるが、ポップス、ファンク畑などオールラウンドな適応力もあっての人気ヴォーカリストらしい作品となっている。
   過去にここでは彼女の映画音楽を歌ったアルバム『Meet Me At The Movie』(2017)を取り上げたことがあったが評価はよかった。
 今回のアルバム中身はデビュー作から関係しているアーティスト達の作曲した曲が中心になっている。下の曲リストを見ると解かるが、スウェーデン・ジュズ界の巨匠ニルス・ランドグレンをはじめ、イーダ・サンド、ヴォルフガング・ハフナー、セシリエ・ノルビー、ラース・ダニエルソン、イイロ・ランタラ、ヤン・ルンドグレンといったベテランミュージシャン、長年の友人や仲間たちが、彼女の歌声や造られてきたイメージを新しい曲に盛り込んで書き下ろし、また注目は、故エスビョルン・スヴェンソンのインスト曲であった「Hands Off」も収録されている。

(Tracklist)

1 A Love Song (Nils Landgren)
2 Good and Proper End (Iiro Rantala, Anna Alerstedt)
3 Wherever You're Going (Ida Sand)
4 Hands Off (Esbjörn Svensson, Eva Svensson)
5 Summer Kind Of Love (Jan Lundgren, Hanna Svensson)
6 I Don't Wanna Lose You (Ida Sand)
7 License To Love (Lars Danielsson, Caecile Norby)
8 What Should I Do (Ida Sand)
9 Synchronicity (Wolfgang Haffner, Anna Alerstedt)
10 Stealing Moments (anna alerstedt)

 プロデュサーのニルス・ラングレンの曲M1. "A Love Song" (vo-acg-key)から、オープニングということで、 アコースティック・ギターのバックがムードを盛り上げて、心から感謝をしっとりと歌い込む。
 M3. "Wherever You're Going" (vo/tambourine?-elg-p/celeste-b-ds) ポピュラーっぽい歌が展開。
 M4. "Hands Off" (vo-elg-p-b-ds) 注目のEsbjörn Svenssonのインスト曲。やはりガラっとムードが変わる。中盤のピアノの調べと対比して彼女の歌が説得力のある清々しい歌声で、情緒たっぷりに歌う。
 M5. "Summer Kind Of Love" (vo-elg-p-b-ds) ジャズっぽいエレキのサウンドとピアノの響きとで、難しい旋律をうまくこなして歌い込む。この辺りは見事なジャズに展開。
 M6. "Don't Wanna Lose You" (vo-elg-p-b-ds/per) ぐっとバラード調で、心に染み入るしっとりとしたムードで歌い上げる。時として襲う優しく歌う高音が美しく響く。やさしいギターとピアノの演奏の味付けが良い。
 M7. "License To Love" (vo-elg-p-b-ds) 清々しい歌、彼女の世界に歌う。
   M9. "Synchronicity" (vo-elg-p/key-b-ds/per) 丁寧な歌い込み。
   M10. "Stealing Moments" (vo-elg-p/key-b-ds) エレキ・ギターとの対話的ゆったりとしたヴォーカルが聴きどころ、後半のベースの旋律が効果的。

Gettyimages47017w  やはり彼女の透明感のあるクリーンに澄みきった声は貴重だ。そして歌詞の情感を見事に歌い込みちらっと見せるハスキーな味も魅力がある。又バックの繊細なピアノと優しく描くギターがヴォーカルを生かすべく見事に演じ切る。こうしたヴォーカルものは、大編成バックでないほうがしっとり感が出てよい。そしてなんとなく全編を通して品のある処が見事である。
 そもそもACTデビュー20周年の仲間というかファミリーとして関係諸氏に感謝しているということもあるのか、非常に親近感ある好印象の世界を演じ切っている。若干ポップぽいところも見せながら、非常に丁寧に歌い込むところは貴重。又一方我々にとってもエスビョルン・スヴェンソンの名前が出てくるだけで感動してしまうところがある。
 取り敢えず、お勧めのアルバムだ。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  88/100
□ 録音      87/100

(試聴)

 

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2024年2月16日 (金)

セバスチャン・ザワツキ Sebastian Zawadzki 「standards vol.1」

クラシックのベースから発展したピアノ・ソロ・ジャズ

<Jazz>

Sebastian Zawadzki 「standards vol.1」

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Sebastian Zawadzki : piano

158894035_155trw  前回に続いてセバスチャン・ザワツキ(Sebastian Zawadzki、1991年10月14日 - )です。こちらはソロ・ピアノによるジャズ・スタンダート演奏集(経歴等は、前回記事参照)。
 彼の近年の活動の多彩さから・・・ちょっと不思議なアルバムの登場だ。ジャズを演ずるところが彼の主力であるという事を我々に知らしめているのか、ここでは意外にもオリジナル曲でないジャズのスタンダード曲、しかもかなり古いものを取り上げているのだ。



 取り敢えず近年の活動の概略をみると、2019年、ザワツキ自身のディスコグラフィーでも重要となる『Piano Works Vol.2』をリリース。この曲は、コペンハーゲンのロイヤル・アカデミーにある古いアップライト・ピアノとグランド・ピアノで録音され、Spotifyで最も人気のあるセバスチャンの作品の1つで、1曲目"Unstoppable Changes"は300万回近くストリーミングされた静かな不思議な世界に誘われる曲だ。
 続いてのアルバム『Songs about Time』(2020)は、ピアノに弦楽四重奏を重ね美しく平和な世界を描き、新しい音楽の道を模索した。一方Youtubeで最も人気曲の1つである"Entropy"(ピアノの押し寄せる波の美しさは秀悦)をもリリースした。
 2021年には、ジャズトリオのために制作されたシングル「Far Away」(静かな自然の美を堪能)をリリースし、ストリーミングサービスで約300万回のストリーミングを獲得しました。

 更に最新作『Viridian』(2022年)と『Altair』(2022年)を登場させ、これらも彼の新展開を示すもので、『Viridian』は、ポーランドのコルブディにあるTall Pine Recordsで録音されたメロディックな即興ソロ・ピアノ曲のシリーズで、『Altair』は交響楽団、マレット、ピアノのためのロング・プレイ・アルバムである。
 そしてそんな経過から、昨年2023年には、エネルギッシュにも『Pax Elysium』、前回紹介の『Vibrations』をリリースし、この今作をも登場させたのだ。

(Tracklist)

1. A Child Is Born (Cover)05:36
2. My Favorite Things #1 (Cover) 04:43
3. All of Me (Cover) 05:05
4. Estate (Cover) 05:02
5. I Didn't Know What Time It Was (Cover) 06:38
6. Interlude 01:43
7. Darn That Dream (Cover) 05:25
8. I Fall in Love Too Easily (Cover) 06:45
9. Ask Me Now (Cover) 06:44
10. My Favorite Things #2 (Cover) 03:27
11. Time Remembered (Cover) 03:09

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 とにかく、静と美と安らぎの感ずる演奏が良いです。
 M1."A Child Is Born" 静かなピアノの優しく美しい調べでスタート。ビル・エヴァンスも演じたトランペッターのサド・ジョーンズの曲。とにかく過去の多くのいずれのミュージシャンの演奏よりも美しさが光っている。ひそかな希望と展望の感ずるところが良い。
 M2."My Favorite Things" '59年のミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」のリチャード・ドジャースの曲。メロディはちゃんと演じてのクラシック・アレンジにビックリ。
 M3."All of Me " とにかく古い時代のヒットものですね。
   M4."Estate " 私の好きな曲ですが、これが登場とは驚いた。テーマをさらっと流してイタリアのねちこさが見事に美しさに変身
 M5." I Didn't Know What Time It Was"  "時さえ忘れていて"これもリチャード・ロジャースですね。とにかく古い世界に足を入れています。
 M6."Interlude" ぐっと落ち着いた静の空間の間奏曲が入って・・・
 M7."Darn That Dream"  女性の片思いの夢の歌ですかね。アメリカの古き良き時代を連想します。ぐっと音の余韻が生きた演奏。
 M8."I Fall in Love Too Easily"  "すぐ恋に落ちてしまう私"というところでしょうか、シナトラとかチェット・ベイカーの世界ですね。
 M9."Ask Me Now " セロニアス・モンクの曲、ぐっとしんみりと迫る演奏
   M11."Time Remembered " ビル・エヴァンスに迫って収めるところがいいですね。

  スタンダードといっても、我々の生まれる前の1930-40年という古き良きアメリカ社会のヒット曲のスタンダード化した曲などを多く取り上げて、彼なりの世界を構築したピアノ・ソロが生きたアルバムだ。時にエヴァンスを想わせるところが彼の一面なんだろうと思って聴いている。
 しかし、かってのスタンダードが益々高潔になってくるところが"セヴァスチャン・ザワツキの世界"なんだということが解るところだ。今後も彼には期待の高まるところである。

(評価)
□ 選曲・編曲・演奏   90/100
□ 録音         88/100

(試聴) "" Estate"

"Time Remembered"

 

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2024年2月11日 (日)

セバスチャン・ザワツキ Sebastian Zawadzki trio 「Vibrations」

クラシックから発展させた北欧ジャズのポーランド俊英のピアノ・トリオ

<Jazz>

Sebastian Zawadzki 「Vibrations」
Self Produced / Import / ZAWA2023 / 2023

Vibrations

Sebastian Zawadzki - piano
Maciej Kitajewski - doublebass
Kacper Skolik - drums

 ポーランド出身で現在はコペンハーゲン(デンマーク)に拠点を置くセバスチャン・ザワツキ(1991-)のピアノトリオ新作。彼は19歳でオーデンセ(デンマーク第3の都市)のシダンスク音楽院に入学し、ピアノを学ぶ。また、クラクフ音楽院(ポーランド)やコペンハーゲンのリトミスク音楽院でも学ぶ。また、ロサンゼルスで行われたリチャード・ベリスとのASCAPフィルム・スコアリング・ワークショップに参加した後、オーデンセのシダンスク音楽院にソリストとして戻ったという経歴。

Avatarsiap9xe2e3s8fl0ysw  彼は、活気あるコペンハーゲンのジャズシーンで現在引っ張りだこのサイドマンで、多くの国でツアーやレコーディングを行って来ている。ピアノ・トリオ作品は2014年以来という。とにかく20歳代前半からのジャズピアニストとして音楽のキャリアをスタートさせていて、彼のファースト・アルバムは『Luminescence』(2014)では、ミニマルな即興曲が収録されているという。セカンドアルバム(2015年)は弦楽四重奏とピアノのために書かれてたもの。幼い頃から即興音楽やクラシック音楽に強く影響を受けていて音楽を学んだ結果、クラシック作品を作曲し、そのうちの1つである「ファゴットと室内管弦楽のための協奏曲」(2016年)は、第9回ワルシャワ新市街音楽祭で初演されたという話だ。

  とにかく彼に関しては話題に尽きないので、少々ここで紹介しておくが、新しい演奏の模索にも力を注いでいて、2017年にはクラシックの楽器奏者と電子楽器(主にモジュラーシンセサイザー)を組み合わせたプロジェクトに取り組み、その実験的なスタイルの1stアルバムは、新古典主義の作品『Between the Dusk of a Summer Night』(2017年)で、ブダペスト交響楽団、ソリスト、アンビエント・エレクトロニクスとのコラボレーションでブダペストとコペンハーゲンで録音されたようだ。

 その後も彼の実験的試みは多岐にわたり、2018年には「ピアノ作品集」と呼ばれる一連のアルバムを制作し、第一弾「Piano Works vol.1」を、続いて、弦楽四重奏、シンセサイザー、ピアノのためのサウンドスケープ『Norn』(2018年)を発表した。第2弾「Piano Works vol.2」は2019年発表し彼の代表作となる。更に声、ピアノ、弦楽四重奏を美しく盛り込んだ次のアルバム『Songs about Time』で、新しい音楽の道を模索し続けました。2021年には、ジャズトリオのために制作されたシングル「Far Away」をリリースし、ストリーミングサービスで約300万回のストリーミングを獲得。最新作『Viridian』(2022年)と『Altair』(2022年)は、更なる新たな出発で、『Viridian』は、メロディックな即興ソロ・ピアノ曲のシリーズで、『Altair』は交響楽団、マレット、ピアノのためのロング・プレイ・アルバムである。

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 さてそんな話題の尽きないザワツキの経歴を知りつつ今アルバムを聴くと、いろいろと納得出来てくる。全曲彼のオリジナル曲が収録されているピアノ・トリオ作品だ。

 (Tracklist)

1. Two (5:06)
2. Underestimated (7:48)
3. Coquelicot (5:37)
4. Vibrations (6:49)
5. November (7:24)
6. Painite (7:13)
7. Melancholia (5:36)
8. Zdrowie (6:37)
9. Purple (5:49)

  いわゆるクラシック音楽の要素と北欧ジャズを実験的に組み合わせて、アンビエント、ミニマリズムなど様々な要素を取り込んだサウンドで、真摯な気持ちで聴き入ることが出来る。作曲されたパートと即興演奏の組み合わせがオリジナルだあるだけ全く不自然さが無く、メロディーは美しく、そしてふと自分だけの時間に物思いにふけったり見知らぬ北欧の自然世界を頭に描いて静かに過ごすにはまことに見事なサウンドが響いてくる。
 ザワツキのピアノのメロディックで美しく繊細なタッチ、マチェイ・キタジェフスキのベースラインとカチペル・スコリクの繊細なドラミングが交錯し、主体はピアノが優位な位置でのトリオ演奏が展開されるが、これぞユーロ・ピアノトリオの一つの逸品と言っていいだろう。

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 オープニング曲M1." Two "から、 静かな北欧の自然豊かな世界を連想するピアノの響きと支えるベースが美しい。
 M2."Underestimated" 及びM8."Zdrowie" は、ピアノのクラシックを思わせる音楽展開が支配するも、後半に顔をだす即興部が面白しい
 タイトル曲M4."Vibrations"は、ミニマリズム手法が演じられ、静とダイナミズムが描くところ単なる美というのでなく躍動感が支配している。
 M5." November"は、まさにクラシック・ピアノの美しさに支配されている。
 M7."Melancholia" このようなメランコリックな世界はお手の物といった演奏。ピアノの打鍵音も美しい。
 M9." Purple" ピアノのベースとのユニゾンが生きた曲

 このトリオの美的インスピレーションの支配する演奏と音楽的感性は優れていて、オリジナリティー溢れた独特のサウンドで生み出される曲群は聴く者を支配する。
 何年ぶりのオーソドックスな作曲家およびリーダーとしてのセバスチャン・ザワツキのピアノ・トリオ作品であり、クラシック音楽の要素と北欧ジャズの世界を見事に組み合わせた作品だ。久々のトリオもので、彼のこれからのジャズ経歴で重要な一つの作品になると思われ、今後への期待は大きい。

(評価)
□ 曲・演奏  92/100
□ 録音    90/100
(試聴) "Underestimated"

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