エスビョルン・スヴェンソン

2012年8月 1日 (水)

e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)は何処に流れてゆくか?(2):マグヌス・オストロムMagnus Öströmの試み「Thread Of Life」

残った二人は歩みを始めた(2)~マグヌス・オストロム

Magnus Öström 「Thread Of Life」
ACT Music  9025-2 ,   2011

Threodoflifea
 e.s.t.のピアニスト、エスビョルン・スヴェンソン事故死の後、ドラマーのマグヌス・オストロムも彼らしいアルバムをリリースしている。彼の場合もギターを加え、ピアノ、ベース、ドラムスの編成の形をとった。メンバーはストックホルムで活躍している連中を集めているようだ。

Andreas Hourdakis : guitars
Gustaf Karlöf : grand piano, keys
Thobias Gabrieson : bass
Magnus Öström : drums

Magnusostrom3  もともと彼は、エスビョルン・スヴェンソンとは子供の頃からの付き合いで、二人でピアノとドラムスによって曲を演奏したりという間柄だ。そしてダン・ベルグルンドとの出会いによってトリオ編成され、世界的なジャズ・トリオに成長した。そして彼のトリオにおける位置は意外に繊細にして感受性豊か、そして詩人としての役割を果たしてきたようだ。そして彼にとっては、スヴェンソンの事故死は相当のショックであったろうと推測される。

 従ってここに見る彼のアルバムは、完全にe.s.t.を引きずっていると言うか、そうならざるを得なかったと言ったところなのだろう。全曲彼のオリジナル曲で仕上げた。

Threodoflifelist  左のような10曲の中で、”ballard for E”は、かっての共演者のパット・メセニー(acous.Guitar)とトリオ仲間のダン・ヘルグルンド(double bass)とが集結してトリオで演奏している。エスビョルン・スヴェンソンの鎮魂歌のようにも聴ける。
 更に”Hymn(賛美歌)”が最後に20分弱の演奏が納められた。彼はスヴェンソンの死に当たって、こうしたアルバムにて自分自身の心や身の処し方を整理したかったのであろうと推測する。
 
 ダン・ヘルグルンドのアルバム(Tonbruketの2nd「Dig it to the end」)とは性格が異なり、どちらかというと旋律を聴かせようとするアルバム。しかし、何年も一緒にやってきただけあって、エレクトリックな音の配置は似ていないこともない。
 しかし、印象としてはe.s.t.の矛を収めるべくオストロムの優しさとあのグループの先鋭性をうまく取り合わせた好盤といっておきたい。”weight of death”、”longing”などの曲にはそんなニュアンスが良く出ている。

 e.s.t.に注目していた私にとっては、いまや彼らのライブ版の映像DVDやCDなどを聴きながらも、残された二人についても関心を寄せているといったところである。

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2012年7月29日 (日)

e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)は何処に流れてゆくか?(1):ダン・ベルグルンドの革新性のプログレッシブ・ロック

残った二人は歩み始めた(1)~ダン・ベルグルンド

tonbruket 「Dig it to the end」
ACT Music  9026-2,   2011

Dig_it_to_the_endtonbruket

 スウェーデンのe.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)のベーシストのダン・ベルグルンドDan Berglund は、ピアニストのスベンソン死後に、2010年、アルバム「Dan Berglund's Tonbruket」をリリース。その美と過激さを備えた格好良さに周囲をおどろかした。そして2011年はこの2ndアルバムが誕生。
 エスビョルン・スベンソンが、元々実力派の彼を知り勧誘してジャズ・トリオe.s.t..を結成した経過があり、以前からの彼なりきの世界は歴然と存在していることは周知のとおりだ。そしてこのトリオは、リーダーによるリーダーのトリオというのでなく、次第にお互いの音楽性を尊重しての三者の個性をぶつかり合わせて構成してゆくパターンをとってきた。しかし、彼らの演奏するオリジナル曲の原案は、やはりピアニストのスヴェンソンによるところが大きかったことから、彼の亡き後のベルグルンドのパターンはどう展開するのか大きな関心もあったところ。

TonbruketmembersDan Berglund : double bass
Johan Lindström : guitars, lap- and pedalsteel
Martin Hederos : piano, pumorgan, keybords, violin
Andress Werliin : drums, percussion


 ディープ・パープルを愛していたという彼のロック指向は、ギターを加えたカルテット構成で、ジャズ・センスと合体してプログレッシブなスリリングな世界を作り上げている。
 特に、e.s.t.の後半のジャズを超えての「Tuesday Wanderland」、「Leucocyte」の両アルバムにみる過激性は彼によるところが大きかったことを改めて知ることになる。

Digittotheendlist 11曲の収録であるが、ギタリストのLindströmの曲が6曲で、Berglundは2曲のみ、その他キーボードのHederosが3曲と、完全に"Tonbruket"というグループ活動としてのアルバムになっている。  スタートの”vinegar heart”のドラムスとキーボードの荒々しさと静とのバランスも見事で、このアルバムの期待度を高める。”lilo”に聴かれるようにBeruglundのベースも十分生きているし、逆に彼の曲に安堵の姿が描かれているところが不思議だ。
 ”lighthouse”の異様空間とピアノの響きはe.s.t.を思いおこす世界。しかし”Dig it to the end”の危機感、”gripe”の美とその対比も見事で圧倒される素晴らしい演奏だ。

 しかしこのグループの世界はe.s.tのジャズ・トリオと言う世界ではなく、あの”Leucocyte”に描かれたような、前衛性の高まったどちらかというとキング・クリムゾンも真っ青のプログレッシブ・ジャズ・ロックの世界である。そして北欧独特の美しい旋律が見え隠れするからたまらない。
 このダン・ベルグルンドの体質から産まれる先進性、革新性、先鋭性の進化ともいえる”Tonbruket”の音楽は、ジャズ・ピアノ・トリオとは別の意味で、ロック・ファンを刺激しつつの今後の活動に興味が湧くところである。

 

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2012年7月26日 (木)

e.s.t.(エスビョルン・スベンソン・トリオ)回顧(3) : 何故か気になる最も愛するアルバム「Viaticum」

人間探求の深遠なる世界からの出発・・・・・

 スウェーデンのe.s.t.(エスビョルン・スベンソン・トリオ)に焦点を当てて4回目になるが、過去を振り返って逆行性にアルバムをチェックしている格好だが、私は彼らのアルバムでは何故かこの2005年の「ヴァイアティカムviaticum」が気になっている。それはその後のアルバムである2006年の「Tuesday Wanderland」、2008年の「Leucocyte」への流れの中で、彼らに大きな変化があったのか?と思わせるところがあるからだ。

e.s.t.「ヴァイアティカムviaticum」
Spamboolimbo Productions  SICP764  ,  2005

Viaticum

 私が、彼らに初めて接したアルバムは世界へのアッピール盤2001年の「SOMEWHERE ELSE BEFORE」であった。これはリリースと同時に手にしたわけでなく、この「viaticum」のアルバムを知る直前だったように思う。そして直ちに彼らのアルバムには好印象というか、むしろ強いインパクトを受け、他のアルバムをも聴くことになった。その中で更に私の期待度を満足させてくれたのがこの「viaticum」であった。
 時も時、私はその恩恵にあずかれなかったが、彼らは日本公演も行った。

Viaticumlist 収録曲は左のような9曲。過去のアルバムもその印象はあると言っていいと思うが、このアルバムは妙に人間探求の世界の色が濃くなったと思うのである。進歩と言えば進歩であるのかも知れないが、彼らが世界的なバンドに成長したときに、ふと自分を見つめる事になったものではなかったか?。

 ”tide of trepidation”押し寄せてくる不安の世界、自己をみ見つめてか?、世界を見つめてか?。続く”eighty-eight days in my veins”でのピアノは宿命的に流れる世界を美しく。
”the  unstable table & the infamous fable”では、かっての落ち着いた世界から彼らの危険な因子への挑戦を描いているように思える。
 ”viaticum”に至ると、まさにピアノ、ベースの音は、クラシックの世界からの美を感ずる。彼らのこれからの出発(旅)の一つの覚悟なのか、つまりピアノ・トリオとしての次の世界への旅でもあるように感ずるところである。それはこの続編と言われる翌年2006年のアルバム「tuesday wonderland」は、所謂ジャズ・ピアノ・トリオからの決別のようなアルバムに展開しているからだ。

Estmemphoto4  いずれにしても私の感ずるところでは・・・・このアルバムは彼らの転機の物語であり、過去を見つめ、未来を見つめ、これから歩む道への決断のアルバムと私には思えてならない。それは彼らにとって自己を見つめ直しての必然的な流れであったのであろう。
 
 そして描く深遠なる世界はこのアルバムに凝縮され、そして新たな出発の決意のトリオ演奏を展開し、私が最も彼らを愛することになる重要なアルバムなのでもある。

(参考)
2012.7.16  「LEUCOCYTE」
2012.6.20  「SOMEWERE ELSE BEFORE」
                  「301」
2012.6.1 e.s.t.&Pat Metheny (Jazzbaltica 2003)
 

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2012年7月16日 (月)

E.S.T. (エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)回顧(2) : 何処に向かおうとしたか?「LEUCOCYTE」

最終アルバムの目指したところは?

Estmemphoto2  エスビョルン・スヴェンソン・トリオ e.s.t. を話題にして三回目になるが、彼らに魅力を感じて聴いてきたのはそれ程前からではない。少なくても約数年以内のところだった。今みてみると、私の脇には彼らのアルバムCDが8枚、そしてDVDは2枚というところ。

 私が彼らを知ってから数年の間の彼らの進歩は、2008年のアルバム「LUECOCYTE」を聴いてみると如実に解る。このアルバムを如何に受け入れれば良いのかと思いつつも、先日話題にしたアルバム「301」(思いもかけなかったニュー・アルバム)を聴くに至った訳である(参照:2012.6.12 e.s.t.回顧(1) http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/somewhere-else-.html)。まあこれは派生的なものとして、やはり「LEUCOCYTE」はいろいろの意味で重要だ。

Leucocyte e.s.t. 「LEUCOCYTE」
Spamboolimbo Production AB   B0011861-02 ,  2008

 彼らのトリオの最終作は先日ふれた「301」ということになるが、実質はこのスヴェンソンが生前に確認した「leucocyte」が最終作であろう。このタイトルは”白血球”を意味しているのだろうか?(もともと英語では”leukocyte”であるので・・・そのあたりは?)多分そうであろうと想像しながら詳しくは探求することなく、今日になっている。


Leucocytelist このアルバムの主題は、2.5.7.の3曲だろう。
 2.”静”から始まっての”premotion”は、次第に荒々しいドラムスとエレクトリック・ノイズ音にて構築する。そして最後は静寂のピアノ・プレイ。
 4.”jazz”これはまさにキース・ジャレットの若きエネルギッシュな頃を彷彿とさせる。
 5.”still”の約10分アンビエントな世界。それに続く6.”ajar”の1分少々の美しいピアノ。
 7. 組曲”Leucocyte”-1.AB INTRIMの荒々しく緊張感に漲った25分の前衛的演奏。貪食作用の白血球のごとく迫り来る危機的感覚に陥る世界。2.AD INTERMの無音。3.AD MORTEM のエレクトリック歪曲音が13分間流れ、4.AD INFINITUM と続くアンビエント・ミュージック。エスビョルン・スヴェンソンの急死を想い起こすに、この曲が脳裏を離れない。

 完全にジャズ・ピアノ・トリオの世界から超越していった彼らの意志の凝縮のアルバム。これは彼らの目指すところであったのか、それとも一つの実験であったのか?。

(参考)
Dig_it_to_the_endtonbruket Threod_of_life_2

① Tonbruket / Dig it to the end
② Manus Öström / Thread of life
     (このあたりは次回)

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2012年6月29日 (金)

エスビョルン・スヴェンソン・トリオE.S.T.回顧(1): プログレッシブ・ロック、クラシックそしてフュージョン・ジャズ

涙なしには語れないスウェーデンのあだ花

 北欧のジャズを語ると言うことは、今は亡きこのエスビョルン・スヴェンソン・トリオE.S.T.(Esbjörn Svensson Trio) を語らないと始まらない。私が彼らを知ったのは、下のアルバムからだ。当時一瞬、”おやクリムゾンを追った世界か?”とも思えたジャズ・アルバムに興奮したものだった。

E.S.T. 「SOMEWHERE ELSE BEFORE」
COLUMBIA  CK85834  ,  2001

Somewhereelsebefore

  Esbjörn Svensson : piano
  Dan Berglund : bass
  Magnus Öström : drums

 先日このトリオには触れたので(参照:2012.6.1「ロック・ジャズを超越して逝ってしまった~E.S.T.」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-3e11.html)詳細は省くが、ピアノの美しさ、そして多彩な音を展開するベース、単なるリズム取りでない音と空間の極限に迫ろうとするドラムス、この3者が絶妙にトリオ・ミュージックを展開する。もともとピアノ・トリオというと、ピアノがどうしても主体になりがちであるが、彼らは見事に3者の繰り出す世界が一つになっているのだ。そしてなんとジャズというよりはプログレッシブ・ロックの手法の音を歪ませたり、デジタル・アンプ/エフェクト・シュミレーターを使い、SEを効かせるというところは驚異であった。

  1. somewhere else before
   2. dodge the dodo
   3. from gagarin's point of view
   4. the return of mohammed
   5. the face of love
   6. pavane
   7. the writh
   8. the chapel
   9. in the face of day
  10. spam-boo-limbo

 このアルバムは、彼らがヨーロッパでその知名度と不動の人気を勝ち取った1999年のアルバム「From Gagarin's Point of View」と2000年のアルバム「Good Moning Susie Soho」からの寄せ集め(U.S. Compilation)盤であったものだ。

      *

e.s.t. Esbjörn Svensson Trio 「301」
ACT  ACT9029-2 ,  2012
Recorded January 2007 at Studio 301, Sydney, Australia

301

 エスビョルン・スヴェンソンが44歳にて2008年6月事故死してしまって、もう彼のトリオの世界にはお目にかかれないのかとファンの落胆は大きかったわけであるが、ここになんと今年ニュー・アルバムが出現した。
 これは彼の亡くなったときに出来上がっていたオーストラリアにての録音アルバム「Leucocyte」(2008年リリース)に未収録の音源があり、それを纏めたものであったようだ。これはシドニーの”スタジオ301”にて録音されたもので、この「301」というアルバム・タイトルとなったらしい。

301list 収録曲は左のように7曲、しかしこれが当時のアルバムから漏れたものとは思えない充実感のある曲が聴ける。

オープニングの”behind the stars”が、スヴェンソンのピアノが静かに美しく語る。そして2曲目”inner city,city lights”に於いては、彼らの代名詞でもあるノイズの世界は深淵に広がり、ベースとドラムスのブラッシングが異空間を展開。そこにピアノも便乗するがごとく不安感ある世界に導くが、次第に美しさに変化して、例のキース・ジャレットシ様の声も入ってかれらのトリオの味が十分聴くことが出来る。
 ”houston,the 5th”では、見事にノイズが曲と化し、この手法はピンク・フロイドやキング・クリムゾンもかって試みた世界であったとも言える。6曲目の”three falling free partII ”は、ピアノ・トリオというよりは、オストロムのドラムスにベルグンドのベースがバトルを繰り返し、そして終章は三者の壮絶なバトルとなる(圧巻だ)。最後の7”the childhood dream”は、如何にも回想的なピアノの響きで優しいフレーズにより人生を美しく描いてくれる。あゝこれが彼らの最後の世界なのだろうか。

Estmemphoto  このトリオは、electronics を効果的に使っているわけであるが、私のようにプログレッシブ・ロックの多くのタイプに馴染んできた流れから入り込むと、全く違和感はない。しかし、ジャズ愛好家が過去のピアノ・トリオとして聴くと多分ネガティブな反応を示す人もいるのではとも思う。しかし、これに馴染むとオーソドックスなピアノ・トリオものちょっと空虚になると言う感覚にもなるのである。
 
 このトリオは、ピアノのスヴェンソンが殆どの曲を書いて、それをトリオ・メンバーが対等な力を発揮して発展させてきた経過があり、彼を失った今となれば、この世界はこれで哀しいかな終止符ということなるのであろう。振り返るとスウェーデンのあだ花であったと言える。
(もう少し彼らの世界をいずれ綴ってみたい)

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2012年6月 1日 (金)

ロック、ジャズを超越して逝ってしまった~E.S.T.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)

エスビョルン・スヴェンソン・トリオ(Esbjörn Svensson Trio)よ、永遠に

 私の愛視聴盤の紹介だ。と、言っても・・・・・Bootleg DVDであるのだが、

 Estpat2003b
DVD 「E.S.T. & PAT METHENY jazzbaltica  2003」

 スウェーデンのジャズ・トリオであるE.S.T.(Esbjorn Svensson Trio)のライブ映像盤。
 
 Esbjörn Svensson : piano
  Dan Berglund : bass
  Magnus Öström : drums


 彼らの演奏は、ジャズなんだが単なるジャズでない。サウンド・マシーンが使われたり、音を歪ませたりというところは、好みの別れるところであるが、昔のプログレッシブ・ロックの精神という雰囲気もある。でもやっぱりジャズですね。
 そして北欧らしい郷愁と優しさと哀愁と・・・そして曲によっては悲壮感まで漂う。しかも一方革新的なアプローチによるエネルギッシュでアグレッシブなプレイも聴かせてくれる。
 多分、キース・ジャレットの世界の影響は十分にあると思われる。

Esbjorns  テクニックのレベルの高さは誰もが認めるところだが、特にスヴェンソンのピアノは、クラシック的なところから、一方ロック色があったり、そして前衛的ジャズまでの範囲をこなしていて、次にどんな展開が来るのかと聴いていて興味が尽きない。

  エスビョルン・スヴェンソンは1964年、スウェーデンのスクルトゥナというところで生まれ、母はクラシック・ピアノを弾き、父はジャズ愛好家という家庭で育つ。子供の頃から近くにいたマグヌスのドラムスと彼はピアノで楽しんでいたという。
 そしてストックホルムの大学で4年間音楽を学んでいる。その後子供の頃からの友マグヌスと共にジャズ・シーンで活躍。
Photo  1993年に有能なダン(bass)との出会いで、”エスビョルン・スヴェンソン・トリオ”の結成となりアルバムデビューとなった。 1999年ドイツのACTレーベルから「From Gagarin's point of View」でヨーロッパに知れ渡る。その後、アメリカにも進出、日本でも知るようになり、2003年にはアルバム「Seven days of falling」は日本にてもリリースされるようになった。彼らの共同活動の結晶としての独特のバンドの色合いを持った音楽活動もあって、”E.S.T.”と名乗るようになった。そしてあのキース・ジャレットが絶賛している。

 しかし、残念ながらスヴェンソンは2008年、44歳という若さで、スキューバダイビング中の事故で亡くなってしまったのだ。我々に残された彼のロック、ジャズを超越した世界は、これで空しく散ってしまったのだった。


Trioplay  そんな空しい近年であるが、手に入れたこのDVDは2003年のライブもので、映像はプロショットでサウンドも良好、そしてなによりもこのトリオの活躍が手に取るように見れるところにある。まさに貴重品なのである。
 このライブ、ドイツのザルーザでのジャズバルチカ・ジャズ・フェスティバルの模様だ。バックにSchleswing Holstein Chamber Orchestratが共演。更にパット・メセニーPat Methenyのギターがコラボしている。そしてジャズを超えたジャズというE.S.T.ならではの荘厳な世界を展開。

Estpat2003list2 収録は9曲100分である。ストリングスを中心としたオーケストラをバックに、トリオが演奏するわけであるが、スヴェンソンはピアノの右上にPOD(デジタル・アンプ/エフェクト・シュミレーター)を置いて、これも操作する。
 6曲目”behind the yashmak”から、パット・メセニーが登場してギター・プレイが加わる(このDVDのジャケ写真)。これによって又この演奏世界が変化してみせるのだ。
 又7曲目”believe belwft below”(アルバム「Seven days of falling」)には、Nils Landgren のヴォーカルも入る。しかしこの曲が終わった後、Landgrenが使ったヴォーカル用の歌詞を乗せるスタンドをスヴェンソンが片付けたり、彼のあらゆるところへの労を惜しまない姿勢が見える一コマある。こんなところがこのトリオがうまくいっていたところであろう。
 ”dodge the dodo”(アルバム「somewhere else before」)は、前半のオーケストラ、トリオ、メセニーのギターの合奏は壮大で、中盤にはスヴェンソンのソロに近いピアノ・プレイと後半のメセニーのギター・プレイと圧巻で素晴らしい。最後にアンコール曲”round mindnight”は、ピアノ・ソロから始まってトリオのプレイとなり、静かに流れるようなオーケストラのバックで、静穏な安らぎの世界に導いて幕を降ろす。

 又、いずれ彼らのアルバムについても書きたいが、クラシックがベースにあって各種のミュージック・スタイルを吸収して自らのトリオ・ジャズを発展させた北欧の彼らの独特なプレイは歴史に残る名品である。

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