アンナ・マリア・ヨペク

2018年11月19日 (月)

アンナ・マリヤ・ヨペクの新作 Anna Maria Jopek 「ULOTNE幻想」

「ポーランド民族音楽への愛」からの回想か・・・・・

<Jazz>

Anna Maria Jopek & Branford Marsalis 「ULOTNE 幻想」
AMJ / Import / AMJ001 / 2018


Ulotne1

Jopek Anna Maria (voc)
Marsalis Branford (ts,ss)
Krzysztof Herdzin (p,arr)
Mino Cinelu (per)
Maria Pomianowska (Bilgoray suka)
Robert Kubiszyn (b)
Piotr Nazaruk (cytra)
Marcin Wasilewski (p)
Atom String Quartet

 近年、世界各地の音楽とミュージシャンとの共演に挑戦してきたアンナ・マリヤ・ヨペクのニューアルバム。
 これは自主製作盤といってよいものであるが、おそらく彼女の意志が大きく働いてのものと推測する。ジャケ、ブックレットもポーランド語、英語、日本語が記されている。今や日本は彼女にとっては音楽的にも最愛の国でも有り、その結果であろう。

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 彼女としてみれば、ポーランドから発して世界各地の民族的愛を探究してきたことより、なんとしても根本的には自己の”ポーランド民族音楽への愛”をアルバムにしたかったという究極の一枚と思われる。それにはクラリネットとか、ソプラノサキソフォンの音が欲しかったのかも知れない。その結果ソプラノ・サックスにブランフォード・マルサリスBranford Marsalis をフィーチャーしての二人名義のアルバムを完成させた。又ピアニストはクシシュトフ・ヘルジンKrzysztof Herdzin が務めているが、彼の編曲も大いに力を発揮した作品とみる。日本での人気の高いピアニストのマルチン・ヴァシレフスキMarcin Wasilewski の登場もある。更にこのアルバムへの貢献は夫のマルチン・キドリンスキMarcin Kydrynskiであることが、曲の作曲者を見ても伺える。

(Tracklist)
DISC 1
1. W Polu Lipenka (tradycyjny)/野に立つ菩提樹
2. W Kadzidlanskim Boru (tradycyjny/Tadeusz Sygietynski)/カジドランスキ森
3. Niepojete i Ulotne (Marcin Kydrynski)/おぼろげ
4. Patrz i Sluchaj (Anna Maria Jopek/Marcin Kydrynski)/見て、耳を澄ませて
5. Niezauwazone (Anna Maria Jopek/Marcin Kydrynski)/見過ごされしもの
6. Czekanie (Anna Maria Jopek)/待ち侘びて
7. Na Droge (Anna Maria Jopek)/旅立ち
8. Opowiesc (Krzysztof Herdzin)/物語
9. Czule Miejsce (Anna Maria Jopek/Marcin Kydrynski)/繊細な心
10. Nielojalnosc (Andrzej Zieliński/Adam Kreczmar)/移り気

DISC 2 Bonus CD
1. Pozegnanie z Maria- pamieci Tomasza Stanko (Tomasz Stanko)/マリアとの別れ
2. A Night in the Garden of Eden (Karry Kandel)/
3. To i Hola (tradycyjny)
4. Czekanie – Alternate Version (Anna Maria Jopek)/待ち侘びて

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           (当アルバム・ゴールド・ディスクの獲得)

 上に紹介したように、このアルバムはアンナ・マリア・ヨペックとブランフォード・マルサリス(Sax)のコラボレーションアルバムの型を取っていて、通常のCD にボーナスCD がついたスペシャル・エディションとなっている。
 タイトルの「ULOTNE」は、「幻想」と訳されていて、中身はスラブ民族のトラディッショナルとポーランド民族音楽にインスピレーションを受けたものからの作曲など、ヨペクの民族音楽への拘りと思い入れの曲集である。又トマシュ・スタンコを追悼して、2年前に共演し、レコーディングされた楽曲「マリアとの別れ」もボーナス盤に収録されていた。

Na こんな事からして、彼女のキーバのゴンザロとの前作『Minione』(Universal Music Poland/2017→)とは全く趣向の異なった作品で、我々日本人からしても馴染みのない民族音楽に若干戸惑うのである。音楽ジャンルもこれというものでなく色々なタイプが混在し、文化の多様性を集約している作品として受け取れる。そんなところから、一般的ジャズ・アルバムとは性質を異にして、マルサリスの美しく歌いあげるソプラノ・サックスや、ピアノの音もそれぞれ美しいのだが、如何せん私の聴く立場としてスラブ民族音楽旋律を理解してついて行くことが出来ず、又肝心のヨペクのヴォーカルも情緒たっぷり引きつけるところがあり、高音部への歌いあげなどかなりの技能を発揮してはいるが、今回は私の鑑賞能力に無理があり、理解が追いつかず聴くに大きな感動というものには巡り会えなかった。

 まあこうしたアルバムは、ヨペクのようにジャズ・ヴォーカリストとして一定の評価を勝ち取ったものとして、彼女の今だから出来る事としての「拘り」として、ポーランドにおける一つの自己の世界の格調を高めたものとして作られた感がある。従って若干自己満足的なニュアンスもあり、一般ジャズ愛好家に広く愛着あるアルバム作りをしたというものではないと思う。もともと過去の彼女のアルバムにはこうしたトラッドものが顔を出していたのは事実で、その拘りは感ずるが・・・・・ここまで迫られると芸術性が高くなった分、ちょっと難物となった。

参考)
62557_444917708535_5510521_n<ブランフォード・マルサリスBraford Marsalis>  (ネットにみる紹介)
  1960年8月26日、ルイジアナ州ニューオリンズ生まれ。教育者エリスを父に持つ音楽一家に育ち、4歳でピアノ、小学校でクラリネット、15歳でアルト・サックスを演奏。父親が教鞭を執るニューオリンズの芸術専門学校と、ボストンのバークリー音楽大学に学び、’80年にクラーク・テリー・ビッグ・バンドでプロ・デビューした。’81年には、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズと、実弟ウィントンのグループに加入。’83年に、故ケニー・カークランドやジェフ・ワッツらと初リーダー作『シーンズ・イン・ザ・シティ』を発表し頭角を現した。以後、『ロイヤル・ガーデン・ブルース』『ルネッサンス』などの話題作を出す一方、マイルス・デイヴィス・グループでも活動し、『デコイ』の録音に参加。’85年にスティングの『ブルー・タートルの夢』に加わると、ツアー・メンバーとしても後援し、’88年には同バンドの一員として来日した。
 ’92年のアルバム『ブルース・ウォーク』で、グラミーの「最優秀器楽ジャズ・グループ賞」を受賞。’00年は、ピアノにジョーイ・カルデラッツォを迎えたカルテットによる『コンテンポラリー・ジャズ』で3つ目のグラミーを獲得。それに並行し、オルフェウス室内管弦楽団との近代フランス音楽集『クリエイション~20世紀フランス音楽作品集』もリリースし、ジャズ以外の舞台にも成果を残してきた。カルテットによる最近作は、『ブラッグタウン』と『メタモルフォーゼン』で、共に世界的なヒットになった。

(評価)
□ 曲  :  ★★★★☆
□ 演奏 : ★★★★☆
□ 録音 : ★★★★☆

(視聴)

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2017年7月 2日 (日)

アンナ・マリア・ヨペクとスティングの共演 STING with ANNA MARIA JOPEK 「SPECIAL IN TORUN 2016」

あの"Fragile" をデュエットで・・・・・・

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                                              ( Anna Maria Jopek )

< Rock,  Jazz>
STING with ANNA MARIA JOPEK 「SPECIAL IN TORUN 2016」
MEGADISC / Poland / 2017

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Sting : Guitar & Vocals
Anna Maria Jopek : Vocals
Live at Torun, Poland Dec.8, 2016

Sting  ポーランドの憂愁の歌姫アンナ・マリア・ヨペックについては、先日6年ぶりの久々のニュー・アルバム『Minione』 をここで紹介したところだが、彼女をお気に入りとなると、いやはやその名の見えるアルバムはついつい手に入れたくなる。
 このアルバムはスティングStingが2016年12月8日にポーランドで、これも久々のなんと13年ぶりのポリスのDNAを繋ぎ込んだロック・アルバム『57TH&9TH』をリリースしてのプロモーション・テレビ・スペシャルに出演。放映は今年の2017年1月1日に行われたモノ。そこになんとアンナ・マリア・ヨペックが登場。その様子を納めたブート・アルバムである。

 中身は下の様な内容で、私から見ると叱られそうだが、どうしてもヨペックに注目がいってしまうのである。と言うところで、とにかくあの”Fragile”を、スティングとヨペックがデュエットで唄っているところがハイライトです。いやはやこれは考えもつかなかった共演であった。

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 とにかくヨペックのインターナショナルな活動はお見事である。それもその彼女が興味を持った国のミュージックを吸収していくところ、しかもそれをポーランド流に解釈して仕上げてしまうのだ。今回のニューアルバム『Minione』においても、マイアミにてミュージックの宝庫キューバに焦点を絞って、名ピアニストのゴンザロ・ルバルカバとの共演により彼女なりの哀愁のアルバムとして作り上げてしまった。それも彼女流のポーランド・ミュージックを忘れていないところが凄い。

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 このアルバムに納められているスティングに彼女が果敢に挑戦している姿は素晴らしい。是非ともファンは一度は聴いておきたいところです。
  登場する彼女の曲である”Szepły Lzy”や”Upojenie”の編曲による歌がこれ又新鮮ですね。

(視聴) ”Fragile” by Sting  ft.Anna Maria Jopek

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2017年6月 5日 (月)

アンナ・マリア・ヨペックAnna Maria Jopek のニュー・アルバム 「Minione」

描くはポーランドとキューバとの人間的哀感の融合
~ 憂愁の歌姫ヨペックとゴンザロ・ルバルカバの競演 ~

<Jazz>
Anna Maria Jopek, Gonzalo Rubalcaba 「Minione」
Universal Music Poland / Import / 573 980 8 / 2017

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Anna Maria Jopek - voice
Gonzalo Rubalcaba - piano
Armando Gola - bass
Ernesto Simpson - drums


Recorded at The Hit Factory Criteria Miami, 22nd-24th August and 20th-22nd December 2016

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 いや~~出ましたね、お久しぶりのニュー・アルバム。ポーランドのアンナ・マリヤ・ヨペック(1970~)となると、私にとっては好みの世界で3本の指に入るジャズ・ヴォーカリスト、それは憂愁の歌姫である(彼女は1997年よりアルバム・リリースしている。20年のキャリアだ。詳しくは末尾参照)。
 最終アルバムが3部作の一枚小曽根真との『HAIKU』となると思うので6年ぶりの登場です。この間、ボックス・セット『Dwa Serduszka Cztery Oczy』日本ライブも楽しませてもらったりとしてきましたが、今回はなんとこれも私好みのゴンサロ・ルバルカバのピアノ・トリオとの共演。期待に十分です。彼とは2011年のポーランドを歌い込んだアルバム『POLANNA』で共演していたので、今度はルバルカバの故郷キューバに近いMiamiでのお返し共演録音といったところか。

Amj5(Tracklist)
1. Twe Usta Klamia/Your lips lie : 5:58
2. Kogo Nasza Milosc Obchodzi/ Who cares for our love  4:14
3. Co Nam Zostalo Z Tych Lat/ What remains of those years?   5:11
4. Nie Wierze Ci / I don't believe you  5:02
5. Besame Mucho  4:23
6. Co Nam Zostalo... Wybrzmienie  1:29
7. Pokoik Na Hozej 6:42
8. To Ostatnia Niedziela / It's the last sunday 4:15
9. Miasteczko Belz 4:36
10. Nie Wierze... Detal 0:28
11. Rebeka 6:01

 これは何とも素晴らしい世界を構築してくれました。とにもかくにも私の印象では、キューバ人の多いあの華々しい巨大都市マイアミではあるが、その静かな路地裏の夜に描かれた哀感ある人間模様の世界という感じだ。
 この都市の人種的な構成は白人が多いのだが、ここの人口の65.76%はヒスパニックまたはラテン系である。この都市の民族的な構成はキューバ系が1/3と最も多く、アフリカン・アメリカンが2割強と言うところのようだ。
Gonsarow  そんな都市の人間模様には、キューバ人であるルバルカバ(ハバナ出身、1963年~)に描かせると現実味が帯びる。このアルバムの曲のアレンジメントはルバルカバによるもので、それだけ彼はヨペクの世界に思い入れを演じたと思う。それを又完全にヨペックの歌い込みによってヨーロッパ的な哀愁を加味して倍増して描ききっている。いやはや恐ろしいコンビの傑作だ。多分これはあの『PORANA』からイメージは作り上げられていたのであろう。
 
  スタートのM1.”Twe Usta Klamia”で完全に哀愁と大人の人間世界のヨペク節に突入。これから逃れられない感覚になる。
 M2.” Kogo Nasza Milosc Obchodzi”は軽快で有りながらどこかもの哀しさを感ずる曲仕上げ。  
 ボサノヴァ調、ときに現れるタンゴ調、これらもここまで彼らの哀感の世界に変容してしまうところが見事だ。
 そしてなんともここまで変調したM5.”Besame Mucho ”は希有の一言。ヨペクはハミングで哀愁を漂わせて唄いきる。
 そして又、M4.”Nie Wierze Ci”の哀しき暗さは特筆もの。又M11.”Rebeka”の優しさも見逃せない。
 アルバム全編を通して揺るぎないヨペクの世界感がひしひしと伝わってくる。

 とにかくヨペツクのポーランド・ドラッド探究は勿論、日本やポルトガル、そして他のアンゴラやブラジル、カーボ・ヴェルデなど民族的世界観の追求の一幕であろうか?。今回は、キューバ系世界にその焦点を絞った今作で、彼女のホーランド・ミュージックと世界ミュージツクの融合は一層深みを成している。そして彼女の暦年の磨かれた哀感ある歌唱力に喝采を浴びせるのである。まさに憂愁の歌姫だ。

 アンナ・マリヤ・ヨペクの過去のアルバムを参考までに↓・・・

(Anna Maria jopek Discography)
Ale jestem (1997年)
Szeptem (1998年)
Jasnosłyszenie (1999年)
Dzisiaj z Betleyem (1999年)
Bosa (2000年)
Barefoot (2002年)
Nienasycenie (2002年)
Upojenie (with Pat Metheny) (2002年;2008年)
Farat (live) (2003年)
Secret (2005年)
Niebo (2005年)
ID (2007年;2009年)
BMW Jazz Club Volume 1: Jo & Co (live) (2008年)
Polanna (2011年)
Sobremesa (2011年)
Haiku (2011年;2014年)
Minione (2017年)


(視聴)

 

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2015年3月21日 (土)

アンナ・マリア・ヨペクAnna Maria Jopek~BOX SET「Dwa Serduszka Cztery Oczy」

      <My Photo Album 瞬光残像 = 南イタリア編>

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南イタリア・マテーラMateraの洞窟住宅群の中に入っていくと、こんな生活臭たっぷりの情景におめにかかれる。このような一見建物に見える住宅に入ると中は岩をくり貫いた洞窟なのである。  (photo 2012.12)

                       *    *    *    *

<Jazz>
             Anna Maria Jopek 「Dwa Serduszka Cztery Oczy」 
             AMJMUSIC / 179 478 2 / 2008

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 アンナ・マリア・ヨペク、2013年の秋にライブでお目にかかってから、まだニュー・アルバムはリリースされていません。そろそろ良いのではと・・・・思いつつ、その埋め合わせというか繋ぎに彼女のボックス・セット(3枚組)を仕入れて聴いているんですが、これがなかなかのもので、一枚は既に持っているアルバム(CD)ですが、その他2枚、一枚はライブ盤、一枚はレアトラック盤と納得の良盤でご機嫌なんです。

Amjlist この3枚組ボックス・セットの内容は左のようなところ(クリック拡大)。

<一枚目> 「ID

Id これは、異国情緒たっぷりのアルバムで、既に2007年にリリースされたもの(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/nightwach-cc87.html)で、ここでも過去に私は取り上げているので、それはそれとして・・・・・。
 その後、2011年に「Haiku俳句」(ピアニスト小曽根真と共演)、
「Sobremesa」「Polanna」の3部作を一気にリリース(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/3-4392.html)して、彼女のポーランドを中心としての国際的なアプローチの結晶を完成させ、多くの賞賛と賞を獲得した。

 それにより一つの頂点に達してしまった為か、このところ新作が届いていない。多分このような成功の次の作品には、自己の納得がそう簡単ではないのであろう。日本でのライブ時の様子
は非常に元気であったので、目下は、ニュー・アルバムに着手していると思うのだが、待ち遠しいところだ。・・・・そんな訳でこのボックス・セットで、私は間を埋めているのです。

Anj2<二枚目> 「SPOZA」
 ここに登場するこの2枚目が興味深い。これは未発表音源集であるので、そんなところも魅力。中身は誕生日パーテイーで録音されたモノとか、ゲスト演奏モノ、シングルに収録されていたモノなどや、未発表のサウンドトラックからの選曲ということらしいが、驚くことに録音が生々しく良好で、良い意味での意外性があった。
 収録14曲中9曲は彼女の作曲、その他も作詞などしており彼女一色のアルバム。ポーランド語で解らないところが一層奥深いトラディショナルなムードをも醸し出す曲もあって面白い。又彼女への曲を長年手がけているMarcin Kydryńskiの曲 ”Jakby Nic Się Nie Stało”は、やはりヨペク味いっぱいの美曲。
 バックの演奏陣にピアノは、Leszek Moźdźer、そして Tord Gustavsen(”Daleco”は納得の深遠な名曲)などの一流どころが演じているし、ギターのMarek Napiórkowskiの快演が聴ける。

Anj3<三枚目>  そして3枚目の「JO & CO」は、”BMW Jazz Club”、”Ethno Jazz Festiwal”の2つのライブでの収録もの。これが又スタジオ盤と違って、ライブものの特徴そのもので、じっくりと演じて、歌い込みも見事な感動のシロモノ。
Joco 
これは一枚のアルバムとしても過去にリリースされていたのですが、私は今になって初聴きでした。
 登場するは、彼女自身の曲が5曲演じられる。アルバムで聴くのと違ったステージでの熱唱が、彼女の曲に対する意気込みが感じられて凄い。彼女のアルバムものの印象は、そう熱唱派には思えないのだが、東京ライブもそうだったが、かなりの熱唱派なんですね。この盤はライブものであった為、実は別扱いで、いままでは手にしてなかった。早く手に入れておくべきだったと今にして思うのだ。4曲目の”Aya 1984”は極上品。又ジャズを超えたフュージョン派ベーシストのリチャード・ボナの参加などもあって、ひと味もふた味も充実したヨペクの世界が見える。

 締めの”Dwa Serduszka Cztery Oczy”の彼女の歌唱力をみせつけるヨペク節はまさに説得力十分の完成品。

(試聴)

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2013年10月 5日 (土)

アンナ・マリヤ・ヨペックAnna Maria Jopek一夜のライブ

取り敢えずは、ヨペックのライブ参加で本日ご機嫌

 昨年以来アンナ・マリア・ヨペックにぞっこん惚れ込んで全てのアルバムとライブ映像を見(視)聴きしてみたわけであったが、ようやく今夜彼女のライブにたどり着けた。

今回の「Blue Note TOKYO」の宣伝文句は下のようなモノだったが・・・・・

 ジャズやフォークのエッセンスを取り入れたワン&オンリーの音楽世界で人気を集め、これまでゴールド・ディスクを9回、プラチナ・ディスクを7回受賞。ポーランド・ワルシャワ出身の国民的シンガー・ソングライター、アンナ・マリア・ヨペックが登場する。父親が舞踊団の花形ソリスト、母親がダンサー兼歌手という芸術一家に育ち、名門ショパン音楽院でピアノを習得。その後ニューヨークのマンハッタン音楽院に学び、’97年にソロ・デビューを果たした。2002年にはパット・メセニーとの共演アルバム『Upojenie』が母国の音楽チャートで7週連続首位を獲得。2011年に『俳句』(小曽根真との共演)、『Sobremesa』、『Polanna』の3部作を発表し、大きな話題を呼んだことも記憶に新しい。今回は1日限りのスペシャル・ライヴ。どんなステージを楽しませてくれるのか、必見必聴の一夜になるだろう。

Anna1_2Anna Maria Jopek (vo)
Marek Napiorkowski (g)
Piotr Nazaruk (vo,fl,zithar)
Krzysztof Herdzin (p)
Robert Kubiszyn (b)
Cezary Konrad (ds)

 しかしこれだけのメンバーを連れて一夜限りというのは、何かの都合というか?、それとも何かのついでというか?よく解らないがまあ我々の前に現れてくれたのは嬉しいことである。

 有り難いことに大会場でなく「Blue Note TOKYO」ということで、ステージと一体になって視聴可能でこれまた良かったところ。
 とにかく彼女の声の張り上げと同時に胸元から顔が赤みがさすところまでじっくり見てきたというライブ参加であった。又会場のメンバーも極めて紳士的できちっと曲を唄え終わるまで変な騒ぎも無く、しかも拍手等の対応が良くて彼女もご機嫌だった。
 バックのPiotr Nazaruk(vo,fl,zithar)は、驚きの高音のバッキング・ヴォーカルを聴かせ、彼女とのハモリは、いつもバックの女性コーラス隊の役までやってみせた。Cezary Konrad(ds)は、レジ袋と鋏の音をしてリズムを刻んでみせたりと多芸で、この5人のバックは充実していた。

Bluenotex


 一時間と少々のライブであったが、主として内容は彼女のポーランドを前面に出したものだった。そして聴き慣れた曲のオンパレードと多分新曲は2曲のように思う。マイクロフォンはエコーの効いたものと通常のもの2本を器用に使い分けていた。そして予想を裏切って熱唱という印象が強かった。もともと彼女の曲は、ポーランド語のタイトルと歌詞であって、どうも曲名をなかなか覚えられないのだが、特に”Cyraneczka””Przyplyw, odplyw,oddechczau””Szepty i Łzy””Uciekaj,Uciekaj”などが唄われた。多分「Blue Note TOKYO」から明日にはSetListの公開がされるだろうからそれを追記したいと思っている。

 とにかく彼女の健在をみることが出來、衰えるところの無いヴォーカルを堪能して今夜は納得の一日であった。例の3部作 (「POLANNA」「HAIKU」「SOBREMESA」)以来であるので、そろそろニュー・アルバムも・・・と期待も膨らむのだが。

(SETLIST)

CISZA NA SKRONIE
BANDOSKA (ZACHODŹŹE SŁONECZKO)
DWA SERDUSZKA CZTERY OCZY
UCIEKAJ, UCIEKAJ
OJ TĘSKNO MI TĘSKNO
RDZAWE LIŚCIE
ODE MNIE
MODLITWA GDY DZIATKI SPAĆ IDA (JUŹ SIĘ ZMIERZCHA)
POZNAŁEM DZIEWCZYNA
ZROB CO MOŹESZ
O MŌJ ROZMARYNIE
CYRANECZKA
TELL HER YOU SAW ME
FOLLOW ME

1017anna


(参考試聴)http://www.youtube.com/watch?v=5IVr84FMBxM

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2012年12月18日 (火)

アンナ・マリヤ・ヨペクAnna Maria Jopek のあの「UPOJENIE」をライブ映像で・・・

Pat Metheny との共演で、なんと、「HAIKU俳句」の”Cyraneczka”も登場

 ポーランドのアンナ・マリア・ヨペクの唄う世界に魅せられて、今年は良く聴いたのが彼女のアルバムだ。私はライブものが好きと言うことで、Bootleg ではあるが、あのパット・メセニーとの舞台を映像で楽しんでいる。とにかく豪華なバック構成でのライブだ。これは2002年ポーランド、ワルシャワにおける録画もの。

PAT METHENY, ANNA MARIA JOPEK
「UPOJENIE~
Warsaw Poland December 09,2002 (2nd Show)

Dvdannapat
 はっきりいってヨペクは、憧れのギタリストでジャズ界に旋風を吹き込んだ人気と実力のパット・メセニーとの共演が実現して、一躍世界的なヴォーカリストに躍り出ることが出来たと言って良い。
 そして制作されたアルバムが「UPOJENIE」(2002年)で、ここではパット・メセニーの曲、そしてポーランドの曲を絶妙に織り交ぜて素晴らしい作品となった。これは日本では2011年に装丁も新たにして初C化されている。

 更に2011年には3部作として出された「Polanna」、「Haiku」、「Sobremesa」の3枚のアルバムはそれぞれが性格を異にして、いずれも素晴らしいアルバムだった。特に「Haiku」では日本芸術にも着手して私には強烈な印象がある。(これらは既にここで取り上げたので参考にして欲しい=①http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-2332.html ②http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/3-4392.html )

 さてそのメセニーとの共演ライブがブートとは言え、プロショット映像で楽しめるのがこのDVD。映像の質はベストとはゆかないが、それでも内容は十分鑑賞に堪える。

Dvdannapatlist 収録は左のような11曲。アルバム「UPOJENIE」からの曲が中心であるが、その中で主としてメセニーの曲が歌われている。
 このステージは、アルバムの収録が完了して直後の12月にワルシャワのコングレス・ホールでコンサートを行ってのもの、その模様がこの映像版。メセニーの”this is not america”も登場するので楽しくなる。これによってヨペクは不動の歌姫の地位を獲得することになったんですね。
 
 とにかくヨペクは納得の歌い込みだ。やはりメセニーとの共演ステージとなると気合いも入るというところであろう。ライブ演奏でのメンバーは下のようで、なかなか充実のステージである。

Anna Maria Jopek : Vocals
Pat Metheny : Guitars, Guitar Synthesizer
Leszek Mozdzer : Piano
Pawel Bzim Zarecki : Synthesizer
Darek Oleszkiewicz : Acoustic Bass
Marcin Popieszalski : Electric Bass
Robert Kubiszyn : Acoustic Bass & Electric Bass
Cezary Konrad : Drums
Mino Cinelu : Percussion
Marek Napiorkowski : Guitar
Piotr Nazaruk : Vocals, Recorder, Percussion
Dorota Miskiewicz : Vocals
Agnieszka Piotrowska : Vocals
Dizzy Reed Piano Solo -Baba O'Riley

  1.”Cichy zapada zmrok”は私がヨペクを初めて聴いた曲で、更にメセニーの42String Pikaso Guitarの印象深い演奏、まるで日本の琴の調べを連想する世界。これで虜になってしまったのだった。
 2.、3.は、メセニーの曲で、リズムカルに流れるものと情感のある曲とであるが、ヨペクのヴオーカルは水を得たよう納得の出来。
 5.”Przyplw, Odplyw, Oddech Czesu”の情景的世界を叙情的に唄ってヨペクらしく私の好むところ。
 7.”Piosenka dla stasia”は、常にヨペクを支えているMarcin Kydrynskiの曲。
 
 そして、驚きは6.”Cyranecka”の登場だ。この曲は、昨年のアルバム「Haiku俳句」に納められている圧倒的盛り上がりを聴かせる曲。とにかくヨペクの歌唱力を見せつけるところ。アルバムでは小曽根のピアノと福原の笛が心搏に迫るところであったが、ここではピアノに加えてのドラムス、パーカッションの演奏の迫力も別の味があってなかなか良い。

 取り敢えず、「UPOJENIE」のライブ・ステージを映像で通して見れるのは有り難いところ。

 (試聴)http://www.youtube.com/watch?v=lkYTujyvb_c

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(ポーランド・ワルシャワにて    2010.10)

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2012年9月11日 (火)

アンナ・マリア・ヨペクAnna Maria Jopekの近作3部作アルバム検証 : 「SOBREMESA」

締めくくりのポルトガル文化から生まれた世界は

Anna6_2   アンナ・マリア・ヨペクの3部作「POLANNA」「HAIKU」「SOBREMESA」は、作品の意味と音楽的完成度の高さ、そして彼女の魅力はちょっと一言では語れない作品として受け止めている。
 三部作は、波蘭(ポーランド)、日本、葡萄牙(ポルトガル)のそれぞれの国情(その国の背負ってきた民族的歴史)から生まれてきた音楽に迫りつつ、彼女自身の音楽と歩んできた結晶として見ていってよいと思う。そこには彼女の味がそのまま詰まっている。

(参照)
「POLANNA」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/3-4392.html
「HAIKU(俳句)」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-2332.html 

ANNA MARIA JOPEK 「SOBREMESA」
AMJ MUSIC ,  UNIVERSAL  278 3521 ,   2011

Sobremesa_2

さて、この3部作の最後はこの「SOBREMESA」だが、彼女のホーム・ページにあるように”「POLANNA」「HAIKU」の非常に洗練されたCDを味わった後のデザートになることを願っています”と紹介されている。しかしこのアルバムも、ポルトガルの魅力を凝縮しつつ単にポルトガル音楽を歌ったというのでなく、彼女のポーランドを基盤としての世界との融合が試みられている。ここにもポーランド、日本とは又異質の民族性がしっかりと浮き彫りにされ、そこに郷愁の薫り高い哀愁と人間的な美しさが混在し、これも又愛すべきアルバムとして作り上げられている。

Sobremesalist_2 収録は左の13曲。バンド・メンバーは下記のとおりである。
Anna Maria Jopek - vocals
Joao Balao - cavaguinho, percussions, kalimba
Ernesto Leite - piano, keyboards
Marito Marques - percussions
Ruca Rebordao - percussions, berimbao
Tiago Santos - guitar
Yami - vocals, bass guitar, guitar


そして、曲によって更に次のメンバーが加わる。
Ze Antonio - cavaquinho
Nelson Canoa - piano
Ivo Costa - percussions
Krzysztof Herdzin - flute
Roberto Majewski - flugekhorn
Henryk Miskiewucz - clarinet, soprano saxophone
Marco Oliveira - guitar
Paulo Paz - double bass
Victor Zamora - piano


このように、まさに総力戦で、更に更にゲストとして次のような男女のヴォーカルが色を添える。
Sara Tavares - vocals
Beto Betuk - vocals
Camane - vocals
Paulo de Carvalho - vocals
Luis Guerreiro - guitar
Ivan Lins - vocals
Tito Paris - vocals


Anna5_2  ヨペクの優しいややハスキーなそして高音になると少し鼻にかかる独特のヴォーカルがスタート。ポルトガル語文化圏のミュージックらしくギター(キターラ、カバキーニョ、ヴィオラ?)がバックを支えるが、そこはそれジャズ色の加味としてか?ソプラノサキソフォンが加わったりする。続いて軽快な曲、哀愁たっぷりの曲などが続く。そして曲によっては男性ヴォーカルが優しく包み込むように曲を盛り上げ、フルート、クラリネットなども登場する。

 そうそうポルトガル音楽と言えばFadoというところですね。Fadoは宿命という意味のようだが、ポルトガルの民族歌謡といっていいのだろうか?、旧くは歴史をたどると諸説があるが、ポルトガルの植民地ブラジルから黒人哀歌の流れの逆輸入の形で首都のリスボンで育ち庶民に広く広がったとか?。 そしてすぐ思い浮かぶのはアマリア・ロドリゲスだ。彼女の歌によって我々は知るところとなるが、決して明るくはなくサウダージと言われるむしろ郷愁、哀愁、思慕のある歌としての印象が強い。

 ロドリゲスとヨペクということになると、ちょっと簡単には共通点は感じないが、しかし、3.”Mae Negra”になるとヨペクの哀愁の歌声がバックのピアノの調べにのって納得のゆくところに誘ってくれる。この曲にはゲスト・ヴォーカルにPauro de Carvakhoが盛り上げ、ポルトガル・ギター(ギターラ?)、ストリングス、ドラムス、マラカスなどのバックが色づけている。 又6.”Noce Nad Rzeką”もCamaneとの哀愁の唄声。更に10.”Smuga Smutku”もヴォーカルIvan Linsの支えの中でのヨペクの郷愁色の強い曲だ。
 一方、5.”Kananga Do Amor”は男性ヴォーカリストYamiとのデュエットでは、なかなか良いムード。
 12.”Spójrz.Przeminęło”ギターラ、ヴィオラ、ヴィオラ・バイジョの響きか?、ポルトガルの世界にヨペクが浸透してゆく。
 
 ここに取り上げた曲群は、ポルトガルは当然として、かっての植民地であったブラジル、そしてアフリカのアンゴラ、カーボ・ヴェルデなどを含めてポルトガル語文化圏の音楽の凝縮集のようだが、ヨペクがこのように違和感なく歌い上げるとは予想外でした。もともと近年のカーネーション革命など複雑な政治情勢をも乗り越えてきたポルトガルは、陰影と陽気の両面を持った音楽の多彩さがあるように思う。
 デザートとしてはえらい豪華なアルバムを作り上げたと十分納得のゆくところであった。

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2012年8月28日 (火)

アンナ・マリヤ・ヨペクの近作3部作アルバム検証:「POLANNA」

Anna4 3部作「POLANNA」・「HAIKU(俳句)」・「SOBREMESA」それぞれの完成度の高さに圧巻

 ポーランドの歌姫アンナ・マリア・ヨペクAnna Maria Jopek のアルバムに興味と愛着を持つにつれ、いつの間にか9枚のCDが手元にそろってきた。こうなったらパーフェクトに揃えたいと思っているところだが、その中で、やや長い3年の間を置いてのアルバムリリースであった近作(2011年)は驚きの一気の3連発で、特別な企画性を感ずる。これらのアルバムは、それぞれの性格を異にしていて、その芸術性も高く感じられ素晴らしい。そんな訳でここに取り上げておくことにした。

 この3アルバムのうち、”波蘭(ポーランド)”と”和(日本)”の融合による、特に芸術性の高さもピカ一感ずる名盤「HAIKU(俳句)」は、既にここにて取り上げているので残る2作にアプローチする。(参考:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-2332.html ) 
 まずは注目すべきこのアルバム「POLANNA」だ。

ANNA MARIA JOPEK 「POLANNA」
AMJMusic , UNIVVERSAL  278 352 2 , 2011

Polanna

 このアルバムの印象は、アンナ・マリア・ヨペクのホーム・ページにも書いているとおりの、”ポーランドの音楽をルネッサンスから現代まで、古典的な伝統と現代ジャズへの系譜をを見つめ直す”といういささか大それた作業をやってのけた。その為か、このアルバムに限らず他国との融合を計った他の2作に於いても、ポーランド語に徹しているところがニクイと言えばニクイところである。しかし私はこの方法論には賛成である。彼女はインターナショナルなアプローチで、一枚のみ英語盤(「SECRET」)を出しているが、意味は解らなくともポーランド語のほうが如何にも彼女の世界が見えてくるように思えるし、唄い方の感情導入も安心感があり、作品としても充実しているからだ。そして例のごとくややハスキーであるが、深い美を誘う哀愁ある歌声が十分堪能できる。

1. Kiedy Ranne Wstają Zorze
2. Uciekaj, Uciekaj
3. Laura i Filon
4. Rdzawe Liście
5. Przychodź Miły, Dzień Już Biały
6. Dziś Do Ciebie Przyjść Nie Mogę / Czerwone Maki Na Monte Cassino
7. Uwoż Mamo
8. Z Tęsknoty. Kujawiak.
9. Poznałem Dziewczyna.
10. Suwany
11. Modlitwa Kiedy Dziatki Spać Idą (Już Się Zmierzcha)
12. Oj Lulaj, Lulaj
13. Płonie Ognisko i Szumią Knieje


 全13曲、私は4.6.8、12,13などには痺れっぱなしです

 私にとって、このアルバムの注目点は2つ
1つ目は、ポーランドの歴史的な音楽そのものにアンナ・マリア・ヨペクが真摯にアプローチしていること。
2つ目は、ゴンザロ・ルバルカバのピアノが全編哀愁を漂せる演奏の展開していること。

 不幸にしてと言うか、幸いにしてと言うか、ポーランド語の難しさで中身はその道の人に研究して頂けなければ解らない。しかし解らないだけにそれが聴くほうの想像を駆り立てて、むしろ感動してしまう。これには関心のある諸兄がアプローチしている。波蘭(ポーランド)の民謡、彼らの哀しき分散の歴史、他国による統治下における悲惨さ、そして民族的蜂起・挫折、重なる戦争の悲劇など・・・・歴史的に唄われてきた曲が盛り込まれているようだ。ポーランド自身本当に自立と民主化の道はまだたかだか二十数年と言ってもよい(1989年6月18日、複数政党制による自由選挙が実現)。アンナ・マリヤ・ヨペク自身もその道の当事者であったろう。今ここに彼女の総決算的アルバム3部作の第一部「POLANNA」をみるのだ。

Dizgonzalo  そしてポーランドという国情からの内容の濃さに加えて、更に不思議にもキューバの愛すべきピアニストであるゴンサロ・ルバルカバGonzalo Rubalcabaが全編ピアノの響きで郷愁と哀愁と美を描ききっている。まさに恐れ入ったところ。彼のトリオものとしては、左の1994年の「diz」(somethin'else TOCJ-5559)を思い出す。当時私のお気に入りのアルバムだった。しばらく彼の作品からはご無沙汰してしまっていたが、ここに来てアンナ・マリア・ヨペクと結びつくとはおもいもよらなかった。
 この「Polanna」は、ポーランドにて録音され、ニュー・ヨークにて仕上げられたものとか、そのあたりの国際的な因子が見事に結実している。
 特に6曲目の”Dziś Do Ciebie Przyjść Nie Mogę / Czerwone Maki Na Monte Cassino ”は印象的、ギル・ゴ-ルドスタインのアコーディオン、ラファウ・クファイトコフスキのチェロも印象的で、なんとルバルカバのピアノはショパンの調べまで挿入されている。

 
Polannap  この3部作は、多分アンナ・マリア・ヨペクの歩みの一つの区切りの総集編なんであろうと推察する。そこには心打つ世界が広がっていた。

Anna Maria Jopek - vocals
Gil Goldstein - acordeon
Pawel Dobrowolski - drums, percussions
Krzysztof Herdzin - duduk, vocals
Robert Kubiszyn - double bass, acoustic bass guitar
Rafal Kwiatkowski - cello
Robert Murakowski - flugelhorn, tumpet
Marek Naiorkowsku - acoustic guitar
Pedro Nazaruk - vocals, flute, dulcimer
Maria Pomianowska - sarangi
Gonzalo Rubalcaba - piano
Wieslaw Wysocki - clarinet, bass clarinet, saxophone
Staszek Soyka - vocals


 

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2012年8月10日 (金)

トルド・グスタフセンのピアノで聴く女性ヴォーカル・アルバム(1): アンナ・マリア・ヨペク 「id」

国際色豊かで妖艶なアンナ・マリア・ヨペク(ポーランド)

Anna Maria Jopek 「id」
AMJ MUSIC   0602517558366  ,  2008

Id
 ポーランドのシンガー・ソングライターのアンナ・マリア・ヨペクに関しては、パット・メセニーのギターをバックにしての名盤「Upojejie」(2002年)、そして日本の小曽根真のピアノにより作り上げた傑作アルバム「HAIKU俳句」(2011年)をここで取り上げてきたが、このアルバムは2008年のやはり国際色豊かな彼女の姿勢を十分感じさせる一枚。なんとあの私のお気に入りのジャズ・ピアニスト(ノルウェー)のトルド・グスタフセンが3曲彼女のヴォーカルのバックにピアノ・プレイを披露している。又彼女の国ポーランドのレシェック・モジジェルLeszek Możdżerのピアノも3曲に登場と豪華。
 そしてなんとトルド・グスタフセンのピアノが聴ける3曲がこのアルバムでも私好みの哀愁感があって出色の出来であり、レシェック・モジジェルも相変わらずクリアなピアノ打鍵音が響いて快感。

Idlist_2 この11曲の洗練された彼女のヴォーカルと、バックの演奏の充実度が凄い。オーケストラの他13名のミュージシャンの名が連なっている。特に下記のメンバーが気になるところ・・・・・・

 最も私が気になるノルウェーのTord Gustavsen (piano)、ポーランドのLeszek Możdżer(piano)、そしてアメリカのジャズ・サクソフォン奏者のBranford Marsalis ( soprano saxophone)、更にフランスのドラマーManu Katche (drums)、ブラジルのOscar Castro Nervis (guitar , vocals)、そして彼女のアルバム・プロデュサーの Marcin Kydryński ( guitar) などである。

Anna_maria_jopek4 このアルバムでは、彼女の妖艶さの面が充ち満ちている。そしてポーランドから発する国際的音楽探究の道であることは、それ以降のアルバムを見てもうなずけるところである。ヴォーカルの質もレベル・アップした彼女を聴くことが出来る。
 そして私の注目点であるトルド・グスタフセンは、3曲のみの登場であるが、まさに彼であることがすぐに解る美しいジャズ・ピアノを聴かせてくれる(曲3.9.11)。

 実に充実したアルバムだ。もっともっと日本でも注目されて良かったアルバムのように思う。
 
(参照)
1.アンナ・マリア・ヨペクhttp://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/anna-maria-jope.html
2.トルド・グスタフセンhttp://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/tord-gustavsen-.html

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2012年8月 3日 (金)

アンナ・マリア・ヨペクAnna Maria Jopekの魅力と日本(和)の世界の合体 : 「HAIKU(俳句)」

ポーランドと日本の伝統はジャズで結ばれたか?

Anna_5  アンナ・マリア・ヨペクの2011年最新三部作の一つ「HAIKU(俳句)」に到達して、これは偉いところに来てしまったと、ちょっと放心気味の私であります。そもそもは彼女の入り口は10年前の再発アルバム「Upoienie」でしたが(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/anna-maria-jope.html)、少々深入りしたいということでスタートしたが、こうした世界に足を入れるとは思いもしなかったところ。
 彼女の過去のアルバムを列記してみると、下記のように16枚ある。目下私の手にあるのはまだこの中の6枚のみ。これだけで彼女を語るわけにはいかないが、しかしそれぞれのアルバムには個性があることは十分理解できた。特に彼女はポーランドという自国を世界の国々の音楽を通じて再認識している姿が見えてくる。そんな中での日本との関わりでもある「HAIKU」は我々にとっても興味深い。

  • (参考)
    Anna Maria Jopek  DISCOGRAPHY
  • Ale jestem (1997)
  • Szeptem (1998)
  • Jasnosłyszenie (1999)
  • Dzisiaj z Betleyem (1999)
  • Bosa (2000)
  • Barefoot (international edition of Bosa) (2002)
  • Nienasycenie (2002)
  • Upojenie (with Pat Metheny) (2002)
  • Farat (live) (2003)
  • Secret (2005)
  • Niebo (2005)
  • ID (2007)
  • BMW Jazz Club Volume 1: Jo & Co (live) (2008)
  • Polanna (2011)
  • Haiku  (2011)
  • Sobremesa (2011)

ANNA MARIA JOPEK & MAKOTO OZONE  「HAIKU」
Anna Maria Yopek MUSIC  278-3522  ,  2011

Haiku

Anna Maria Jopek - vocals, kalimba
Pawel Dobrowolski - drums, percussions
Tomohiro Fukuhara - tradditional bamboo hlute
Robert Kubiszyn - double bass, acoustic bass guitar
Pedro Nazaruk - vocals, flute
Makoto Ozone - piano

 ポーランドの歌姫アンナ・マリア・ヨペクと日本を代表するジャズ・ピアニスト小曽根真とのセッションは、この素晴らしいアルバムを生んだ。 そこに香ってくるものはポーランドと日本の伝統の世界。メンバーは上記のようになるが、歌舞伎の笛演奏家福原友裕が絡んでくるからその和の世界は本格的。
 そして小曽根のピアノ・プレイが和洋を自由自在に展開して圧倒的に迫ってくる。そしていつの間にか福原の和笛の音が響き渡り、我々の心の奥に入り込んでくる。更にそこに両国の伝統を美しく歌い上げるヨペクが郷愁感を盛り上げ、はっきりいって前代未聞の静と動を織り交ぜた美と深遠なる世界の極致を作り上げたと言っていい。

Haikulist  スタート曲の”YOAKE(夜明け)”は、日本の古典的静を感じざる福原の笛の音から始まる。これぞ宮本武蔵の達観した剣の道すら思いおこさせる。そして中間部に”DO JO JI(道成寺)”、最後は”YUUGURE(夕暮れ)”で幕を閉じるが、そこまでの道筋が一筋縄では行かないのだ。

 2曲目の”HEJ PRZELECIAL PTASZEK”には、ヨペクのあのややハスキーながら不思議に透明感を感じさせ歌声が、小曽根のピアノの美に絡みながらポーランドの郷愁が唄われる。そして続く”DOLINA”で、ポーランドと日本の交錯が試みられる。
 ”OBEREK”での小曽根のジャズ・ピアノは、一つの絶頂へと向かわせる。
 ”DO JO JI”の福原の笛と小曽根の掛け合いは日本文化の素晴らしさをジャズを超えて緊張感たっぷりに展開し、それを続く”O MOJ ROZMARYNIE”におけるヨペクのヴォーカルが地球に広げる賛歌のごとく響き渡る。ここには小曽根のピアノは日本という枠を遙かに飛び越している。

Osone_photo  このアルバムの誕生には、その前の小曽根真のショパンを題材にしたアルバム「ロード・トゥ・ショパンRoad to Chopin」に、このアンナ・マリア・ヨペクを招いたことから始まったと思う(2009年、ショパンのポーランドのワルシャワにての録音)。
 そしてこのアルバム「HAIKU」は、今度はヨペク側の企画によって、再び録音は、小曽根、福原がポーランドに赴いて行われたものだ。
 
  私の感覚では、これからの今年一年間においても、はっきり言って、このアルバムを超えたものには行き会うことがないのではないかと思っている位だ。それほどジャズの醍醐味、和の美と緊張感の素晴らしさを、小曽根のピアノと福原の和笛の技をもってして演じられ、そしてヨペクのヴォーカルの生む深遠な世界との交錯は見事なのである。

(参考視聴)

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