波蘭(ポーランド)ジャズ

2018年7月10日 (火)

ヤスクウケ・セクステットJaskułke Sextet 「Komeda Recomposed」

プログレッシブな~格好いいジャズだ!!

<Jazz>
Jaskułke Sextet 「Komeda Recomposed」
CORE PORT / JPN /RPOZ-10041 / 2018

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スワヴェク・ヤスクスケSławek Jaskułke  (作曲、グランドピアノ、アップライトピアノ)
エミル・ミシュクEmil Miszk (トランペット、フリューゲルホルン)
ピョトル・ヘンツキPiotr Chęcki (テナー・サックス)
ミハウ・チェシェルスキMichał Jan Ciesielski(アルト・サックス)
ピョトル・クワコフスキPiotr Kułakowski (ベース)
ロマン・シレファルスキRoman Ślefrarski (ドラムス)

 上のアルバムの演奏メンバーを見て解るとおりセクステットなのだ。ピアノ・トリオ+トランペット、テナー・サックス、アルト・サックスという珍しいタイプ。とにかく私の好きな編成じゃないのだが、聴いてみると結構格好いいジャズを展開している。

Komeda ポーランドが舞台のジャズの話題となると、なんだかんだ言っても、ポーランド・ジャズ史上最高の作曲家クシシュトフ・コメダ(Krzysztof Komeda:1931-1969)(→)と言うことになる。

 そのコメダの曲を楽しませてくれたのは過去にも取りあげたMarcin WasilewskiのSimple AcousticTrio(『Lullaby for Rosemary』(2001))やNBS Trio(『Plays KOMEDA(2010)) とかLeszek Moźdźer(『Komeda』(2011))ですね、そうそうKomeda Project(『Crazy girl』(2006))もあった。

01tr そしてここに又ポーランドの人気ピアニストのスワヴェク・ヤスクウケSławek Jaskułke(←)  によってのコメダの登場となったのだ。
 しかし・・・・それが安易にコメダの美メロディーということに期待したら、なんと一発食らうのは間違いない。ポーランドのジャズとなると今やオラシオ氏の登場となるが、彼のライナー・ノーツを見ても、これは「カヴァー・アルバム」じゃないと強調している。難しい話だが、コメダの名曲を文字通りアルバム・タイトルにある”Re-Composed”つまり”再構築”するという斬新と言えば斬新な内容。まあ原曲はそう多く私は知っているわけでは無いので、完全にここではヤスクウケのオリジナル曲に近い。

(Tracklist)
1. KATO(「Astigmatic」(1965)収録Kattoma、その他より)
2. OXIS
3. NASTIC
4. CRAZY(映画「水の中のナイフ」収録曲Crazy Girl、その他より)
5. SVANTE(「Astigmatic」(1965)収録Svantetic、その他より)
6. ETIC(SVANTEのPart2)
7. SZARO(Szara Koledaより)
8. EPILOG

  こうして見ると、あの名作と言われるコメダ・クインテットのアルバム『Astigmatic』(1965)とか、映画ロマン・ポランスキ監督の『水の中のナイフ』の曲”Crazy Girl”あたりが注目点なんですね。素人っぽい私から見ると”ローズマリーの赤ちゃん”などが最右翼なんだがちょっと違う。
 そして曲はその曲をただなぞるという手法で無く、その血となる部分、骨となる部分をヤスクウスケ流に構築し直してのコメダ独特の短いリフが複数のコメダ曲から取り出して組み上げる手法で、まさに彼自身の曲として再構築されている。成る程これが「Recomposed」という事なんだと解る。

 セクステットのメンバーは結構若くて、これが又ロックとジャズといったジャンルに拘らない世界のコンテンポラリー・ジャズを演じて、流れは静寂性を描いたり、ダイナミックなパワーを見せつけたり、この絶妙にコントロールされた両極の世界はとにかく格好いいのです。特にピアノの流れとドラムスの迫力のリズム(ジャズでも時にはこれだけ叩くのも有りだ)は聴きどころ。不思議な世界を頭に描かせる冒頭のM1." KATO"が典型。
 又ピアノとトランペット、サックスとのインタープレイも奥深い。
 アルバムを通してM1." KATO"からM8. "EPILOG"までで起承転結がきちっと出来ているところもお見事。
  ヤスクウケのピアノがこうしてコメダを自己表現の世界に引っ張り込んだでの新しいジャズ・シーンに打って出た格好で、いやはや驚きのポーランド・ジャズだ。

[スワヴェク・ヤスクスケSławek Jaskułke] 
 1979年1月2日生まれ、ポーランド・プツク出身のジャズ・ピアニスト/コンポーザー。名門カトヴィツェ音楽大学へ進むも退学し、2年間欧州の各地を放浪しながら音楽を演奏。ポーランドへ戻るとサックス奏者のズビグニェフ・ナミスウォフスキに見出され、プロキャリアをスタート。自身のピアノ・トリオやショパンのカヴァー・プロジェクトなど、多彩な活動を展開。かつてはポーランドの人気パンク・ジャズ・ユニット、ピンク・フロイトでの活動経験も。映画音楽やモダン・クラシカルの仕事にも関与。2002年の初リーダー作以来、10枚以上の作品を発表。2017年にピアノ・ソロ作『夢の中へ』(原題:SENNE)をリリース。(ネットに見る紹介内容)

(評価)

□ 演奏・曲  ★★★★★☆
□ 録音    ★★★★★☆

(参考視聴)

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2018年4月30日 (月)

ポーランドのマテウス・パルゼクMateusz Pałka Trio「SANSA」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(Nikon D800 / 90mm / 22,Apr.2018)

ポーランドの若きトリオによる現代感覚の思索的世界

<Jazz>
Mateusz Pałka Trio「SANSA」
EMME RECORDS / POL / ERL1704 / 2017

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Mateusz Pałka(p)
Piotr Południak(b)
Patryk Dobosz (ds)
Recorded at RecPublica Studios Lubrza, Feb 24-25, 2017

 このアルバム、つい昨年末にリリースされたものだが、どうも思い出せないのが、このポーランドの若きトリオ・アルバムをどうして購入したか?って事なんです。私の一つの興味はポーランドの音楽事情なだが、ジャズばかりでなくロック畑でもなかなかのものに逢える。そんな中でこのアルバムの接点が何であったのか・・・・?、いずれにしても味のある価値あるアルバムにお目にかかったものだ。
 このトリオは、ポーランド南部にある歴史情緒ある町クラクフ出身の新世代ピアニスト、マテウス・パルゼクMateusz Pałka(1993年生まれ)率いるトリオで、これは記念すべきデビュー作だ。若き彼らにしては、なんか意外にも円熟感すら感ずる思索的で叙情性をもったピアノトリオ作品なのである。
 (参考)このクラクフKrakówの町はポーランド王国の首都、中央ヨーロッパの文化の中心地であったところ。ポーランドは第二次世界大戦では壊滅的な打撃を受けたのだが、ここにドイツ軍の司令部が置かれていたため、戦災を逃れた都市。ポーランドの京都みたいなところ。欧州では私の好きな町の一つ。

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(Tracklist)
1.  Godbye Truth And Consequences *
2.  This Is Not A Time For A Barber *
3.  Sansa *
4.  Maia *
5.  I Love You (C.Porter)
6.  Hungry Young Rabbit *
7.  Mantra (P.Poludniak)
8.  Little Gold Man *
9.  Eleven *
      ( *印 Written by Mateusz Pałka)

 主たる曲群はマテウス・パルゼクのオリジナル曲であるが、ただ抒情的メロディーに流れるので無く、現代的なセンスに溢れたアグレッシブな因子に支えられた中での如何にも思索的な世界を築いている。
 聴いていると、あっと言う間に収録51分が流れてしまう。それは展開の変化が複雑なので飽きないのだ。そしてピアノ・トリオといえどもドラムスは奥に引っ込んでいるのでなく、見事に対等に演じている。M6."Hungry Young Rabbit"は展開も早くドラムスの威勢も良いのだが、不思議に聴きやすい。そしていつの間にかピアノがリズムを築く展開へという変化がうまいのだ。
 イタリア的なしっとり感の抒情性と異なって、やや乾いた味の旋律やリズムが抒情的なのである。そしてそこが新鮮なのだ。
 過去のものに捕らわれない自己の道を突き進んでいるようで、そこが若さなのであろうが、曲の出来は見事で新鮮にして革新的であるも、なんとそこには円熟感すら感じてしまう。
 M9.  "Eleven"は、最も静寂感あるところからスタートするが、ピアノの音が美しく響き、三者の音の間のとり方もそれぞれが 築くところがうまく融合して快感の出来。アルバム・タイトル曲のM3. " Sansa"が思索的で出色。
 これからも注目株のトリオである。

(評価)
□ 曲・・演奏:  ★★★★☆
□ 録音    : ★★★★☆

(視聴)

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2018年4月15日 (日)

ポーランド・ジャズ・コンピレーション盤「POLISH LYRICISM」

[My Photo Album (瞬光残像)]  四月の高原

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「融雪の時」・・・・・ No4

ポーランドのリリシズムを追って・・・・・・

<Jazz,  Contemporary Classical>
「POLISH LYRICISM」
CORE PORT/ JPN / RPOZ-10040 / 2018

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Tomasz Mrenca 、 Adam Kowalewski feat.Piotr Wylezol 、 Babooshki 、 Slawek Jaskulke Trio 、 Early Birds 、 Sebastian Zawadzki、 Krzysztof Herdzin、 Paweł Kaczmarczyk

 ポーランド・ジャズといえば、その道を極めんと奮戦しているのは、オラシオ(白尾嘉規)氏ですね。ポーランド・ジャズ界から彼の選曲により先般コンピレーション・アルバム『ポーランド・ピアニズム』(RPOZ-10037)がリリースされ喜んだのだが、ここに来て続いて第2弾の登場だ。
 今回はリリシズム・抒情美が味わえるトラッドやクラシックをベースとしたポーランド・ジャズ音楽を特集している。ポーランド独特の魅力をリリシズムというテーマで一歩深めた作品とみて良いだろう。ジャケ(↑)もなかなか印象深い代物。

(Tracklist)

1 トマシュ・ムレニツァ/ランドスケイプ
Tomasz Mreńca / Landscape
(Tomasz Mreńca) from "Land" album PC 2016 For Tune
*Tomasz Mreńca (vln, synth)

2 アダム・コヴァレフスキ feat.ピョトル・ヴィレジョウ/ララバイ・フォー・ユー
Adam Kowalewski feat.Piotr Wyleżoł / Lullaby For You
(Adam Kowalewski) from "For You" album PC2013 Hevhetia
*Adam Kowalewski (b), Piotr Wyleżoł (p)

3 バブーシュキ/ジャリ・モイ、ジャリ
Babooshki / Żali Moji, Żali
(Trad; Karolina Beimcik, Dana Vynnytska, Michał Jaros) from "VESNA" album PC2013 Multikulti Project
*Karolina Beimcik (vo, vln), Dana Vynnytska (vo), Jam Smoczyński (p), Michał Jaros (b), Dima Gorelik (g), Bogusz Wekka (perc)

4 ヤスクウケ・トリヨ/チリ・スピリット
Jaskułke 3yo / Chili Spirit
(Sławek Jaskułke) from "SUGARFREE" album PC 2003 Sławek Jaskułke
*Sławek Jaskułke (p), Krzysztof Pacan (b), Krzysztof Dziedzic (b)

5 アーリー・バーズ/ニェ・モジュナ・ザビチ・ミウォシチ
Early Birds / Nie Można Zabić Miłości
(Martyna Kwolek / fragment wiersza Odłamałam gałaź miłości Haliny Poświatowskiej) from "Świt" album PC 2017 Hevhetia
*Martyna Kwolek (vo), Marcin Pater (vib), Mateusz Szewczyk (b), Patryk Zakrzewski (perc), Piotr Budniak (ds), Marta Fedyniszyn i Gabriela Szymańska (back vo)

6 セバスティアン・ザヴァツキ/エクリプス・オブ・シャドウズ
Sebastian Zawadzki / Eclipse Of Shadows
(Sebastian Zawadzki) from "Luminescence" album PC2014 For Tune
*Sebastian Zawadzki (p)

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7 クシシュトフ・ヘルヂン/07ズグウォシ・シェン
Krzysztof Herdzin / 07 Zgłoś Się
(Włodzimierz Korcz) from "Seriale Seriale" album PC1998 Krzysztof Herdzin
*Krzysztof Herdzin (p, arr), Mariusz Bogdanowicz (b), Piotr Biskupski (ds), Krzysztof Bzówka (vln), Józef Kolinek (vln), Andrzej Staniewicz (vln), Robert Dąbrowski (vln), Piotr Reichert (viola), Jan Kuta (cello)
 (Krzysztof Herdzin →)

8 パヴェウ・カチュマルチク・オーディオフィーリング・トリオ&ミスター・クライム/インヴィテイション
Paweł Kaczmarczyk Audiofeeling Trio & Mr. Krime / Invitation
(Bronislaw Kaper) from " VARS & KAPER deconstructiON " album PC2016 Hevhetia
*Paweł Kaczmarczyk (p), Maciej Adamczak (b), Dawid Fortuna (ds), Mr.Krime – Wojciech Długosz – (turntablism & electronics)

9 スタニスワフ・スウォヴィンスキ・セクステット/ライフタイム
Stanisław Słowiński Sextet / Lifetime
(Stanisław Słowiński) from "Visions / Between Love and Death" album PC2017 Hevhetia
*Stanisław Słowiński (vln), Zbyszek Szwajdych (tp), Szymon Mika (g), Kuba Płużek (p), Justin Małodoby (b), Dawid Fortuna (perc)

10 スフェア/ブルゴーニュ
Sphere / Burgundy
(Ania Rybacka) from "Synesthesia" album PC 2014 Hevhetia
*Ania Rybacka (vo), Marek Kadziela (g), Kuba Dybżyński (cl)

             - - - - - - - - - -

▶▶
 上記のように全10曲、なかなか中身はジャズの色づけはあるのだが、ピアノ・トリオ、女性ヴォーカル、トラッド、クラシック・ベースの演奏、弦楽6重奏の味付けなどと多岐に渡って多彩だ。ポーランドの民族的な感覚を大事にしているといった選曲。

 M1.Tomasz Mreńca ."Landscape"はアンビエントもの、ちょっとピンと来ないのだが・・・、まあアルバムとしては、次に来たるモノを期待させるには面白いオープニング。
 M2.Adam Kowalewski feat.Piotr Wyleżoł "Lullaby For You"は、ベーシストのコヴァレフスキのピアニスト・ヴィレジョウとのデュオ作品。ベースが結構重く響いてくるが、ピアノがリリカルだ。
 M3.Babooshki "Żali Moji, Żali" 女性ヴォーカルによる民謡ベースのローカル・ムード。
 M5.Early Birds "Nie Można Zabić Miłości" 女性ヴォーカルものでファンタジックな世界。
 M6.Sebastian Zawadzki "Eclipse Of Shadows" クラシック・ピアノ・ソロの世界
 M7.Krzysztof Herdzin"07 Zgłoś Się" 美しさと優しさでは出色。なんとピアノ・トリオと弦楽6重奏の合体。まさにピアノは抒情的そのもの。
Pawel_kaczmarczykw  M8.Paweł Kaczmarczyk Audiofeeling Trio & Mr. Krime " Invitation" これは驚きのピアノ・トリオ+エレクトロニクスといった前衛的なユニットの作品。(Paweł Kaczmarczyk →)

 やっぱりなぁ~~と思わせるのはポーランド命のオラシオ氏の選曲。それはリリカルな世界を描こうとしているのは解るが、ジャズ・ファンとしてはその凝り過ぎにむしろ不満も少々というところ。
 前作の『POLISH PIANISM』もそうだつたが、ポーランドを描こうとしてどうしても”トラッドをリリカルに”に焦点を当てすぎである。その為ジャズの面白さがむしろ後退しては居ないだろうか?、そんな疑問を持ちながらも、まあこのようなアルバムをリリースしてくれたことには喜びもある。なんと言っても一聴には値する。私的にはM7.クリシュトフ・ヘルヂン(Anna Maria Jopekのヴォーカルのバックも務めている)、M8.パヴェウ・カチュマルチクが大推薦。

(評価)
□ 演奏 ★★★★☆
□ 録音 ★★★★☆

(参考視聴)  ① Krzysztof Herdzin Trio

               *          *

         ② Paweł Kaczmarczyk Audiofeeling Trio

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2018年1月 1日 (月)

謹賀新年   波蘭ジャズ=ピアノ・コンビレーション・アルバム「POLISH PIANISM」

 明けましてお目出度う御座います
 今年もよろしくお願いします       2018年元旦


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                             (Mt. Asama)
                  *          *          *          *


波瀾ジャズ=更なる
発展期待のアルバムの登場だ!

<Jazz>
「POLISH PIANISM」
CORE PORT / RPOZ-10037 / Japan

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Mozdzer = Danielsson = Fresco,  Franciszek Raczkowski Trio,  Slawek Jaskulke Trio, Piotr Wylezol,  Hania Rani & Dobrawa Czocher,   Simple Acoustic Trio,   Sebastian Zawadzki Trio & Strings

  いずれそんな時が来るのでは・・・と、期待を込めながら待っていたアルバムの登場だ。ここれはポーランドのピアノを中心としたジャズ演奏陣のコンピレーションもの。
 このポーランドと言えば、2012年に旅行したことがあるのだが、とにかくクラシックは当然としてロック、ジャズをはじめ音楽というモノ全体を非常に愛して居る国民によって、重みのある長い歴史を乗り越えてきた新しい時代の国作りが行われいる国だ。
 又あのショパンの国だけあって、あらゆる音楽にその基礎には”音楽という学問”がきちんと備わっている印象を受けるのである。多分想像するに、国民の教育には音楽の価値感をしっかり幼少時からたたき込んでいるのではないかと思うのである。
 そんなところからも、ロックにおいてもプログレッシブ・タイプが好まれているし、ジャズにおいても美しいリリカルな旋律を聴かしながらも、新しいところにアプローチしていく姿が感じ取れる。しかも歴史的トラッド的ミュージックの尊重の姿もしっかり備わっているのだ。
 そんなところから、新年の第一号のアルバムとしては、これだと満を持して登場させる。

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                                         (Kraków(Poland)にて 2012年筆者撮影)

 このアルバムは、そんなところを背景にこのジャンルに於いて今や追従を許さないオラシオ氏が選曲して作り上げたものだ。その結果下に全てを記すが、今やポーランドに限らすユーロ圏そして世界に支持者のいるミュージシャンの集合となった。
 かってのポーランド・ジャズ界での功労者クリシュトフ・コメダを思い起こすわけだが、今日に於いては、その流れをしっかりと発展させているレシェク・モジジェル、マルチン・ヴァシレフスキなどが、ここにも登場して楽しませてくれる。

  さてオラシオ氏の選曲だが、このアルバム製作に於いて彼の意気込みはかなりのものであったかと理解は出来るが、ちょっとポーランドのミュージシャンの芸術性に少々懲りすぎた感はぬぐえない。まあそんなところで、少々力が入りすぎたか?、このアルバムは非常に奥深く聴き応えは十分ではあるが、ちょっとゆとりを持って、ポーランドの親近感を増す為にも、もうちょっとポピュラーなイジーリスニング的な面も盛り込んでは良かったのではと、ふと思う。例えばコメダものであれば、Simple Acoustic TrioかLeszek Możdżerの”Sleep Safe a Warm (ローズマリーの赤ちゃん)”とか。
 そうは言っても、私のように特にジャズにおいてはユーロ系のリリカルな世界を好む人間にとっては、ポーランドというのは当然その対象として重要で有り、こうしたアルバムが登場したことは、極めて歓喜に値すると評価してしまうのである。

(Tracklist)

Leszek_mozdzerw1 モジジェル=ダニエルソン=フレスコ/「サファーリング」
Możdżer - Danielsson – Fresco / 「Suffering」
(Lars Danielsson) from "THE TIME" album P C 2005 Leszek Możdżerc
# Leszek Możdżer (p), Lars Danielsson (b), Zohar Fresco (perc)

2 フランチシェク・ラチュコフスキ・トリオ/「5/8」
Franciszek Raczkowski Trio / 「 5/8」
(Franciszek Raczkowski) from "Apperentice" album PC2015 for tune
# Franciszek Raczkowski (p), Paweł Wszołek (b), Piotr Budniak (ds)


Slawekjaskulke2trw_23 スワヴェク・ヤスクウケ・トリオ/「メアリ」
Sławek Jaskułke Trio / 「Mary」
(Sławek Jaskułke) from "ON" album PC2015 Sławek Jaskułke
# Sławek Jaskułke (p), Max Mucha (b), Krzysztof Dziedzic (ds)

4 ピョトル・ヴィレジョウ/「ホワイト・ウォーター」
Piotr Wyleżoł / 「White Water」
(Piotr Wyleżoł) from "Improludes" album P C 2014 Hevhetia
# Piotr Wyleżoł (p)

5 ハニャ・ラニ&ドブラヴァ・チョヘル/「レプブリカ・マジェニ」
Hania Rani & Dobrawa Czocher / 「Republika Marzeń」
(Grzegorz Ciechowski, Zbigniew Krzywański) from "Biała Flaga" album P C 2015 MyMusic
# Hania Rani (p), Dobrawa Czocher (cello)


Marcinw6 シンプル・アコースティック・トリオ/「シンプル・ジャングル」
Simple Acoustic Trio / 「Simple Jungle」
(Marcin Wasilewski) from "Habanera" album PC 2000 Marcin Wasilewski
# Marcin Wasilewski (p), Sławomir Kurkiewicz (b), Michał Miśkiewicz (ds)

7 セバスティアン・ザヴァツキ・トリオ&ストリングズ/「ズヴウォカ」
Sebastian Zawadzki Trio & Strings / 「Zwłoka」
(Sebastian Zawadzki) from "Euphony" album PC2015 for tune
# Sebastian Zawadzki (p), Sofie Meyer (1st vln), Polyxeni Zavitsanou (1st vln), Kalina Wasilewska (2nd vln), Susan Bregston (viola), Valeriya Sholokova (cello), Johannes Vaht (b), Morten Lund (ds)

1tubisw8 トゥビス・トリオ/「シェデム・シェデム」
Tubis Trio / 「Siedem Siedem」
(Maciej Tubis) from "Live in Luxembourg" album PC2008 Maciej Tubis
# Maciej Tubis (p), Marcin Lamch (b), Przemek Pacan (ds)


9 レシェク・クワコフスキ/「プションシニチュカ」
Leszek Kułakowski / 「Prząśniczka」
(Stanisław Moniuszko) from "Katharsis" album PC1999 Leszek Kułakowski
# Leszek Kułakowski (p), Jacek Niedziela (b), Marcin Jahr (ds), Paweł Kukliński (1st vln), Jakub Rabizo (2nd vln), Błażej Maliszewski (viola), Tadeusz Samerek (cello)


Michaltoajw10 ミハウ・トカイ・トリオ/「ザ・サイン」
Michał Tokaj Trio / 「The Sign」
(Michał Tokaj) from "the sign" album P C 2014 Hevhetia
# Michał Tokaj (p), Michał Barański (b), Łukasz Żyta (ds)

11 スワヴェク・ヤスクウケwithハンセアティカ・チェンバー・オーケストラ/「バイ・ゾポト」
Sławek Jaskułke with Hanseatica Chamber Orchestra / 「By Zopt」
(Sławek Jaskułke) from "Fill the Harmony Philharmonics" album PC2005 Sławek Jaskułke
# Sławek Jaskułke (p), Sławomir Kurkiewicz(b), Krzysztof Dziedzic(ds), Hanseatica Chamber Orchestra


(視聴)

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2017年7月30日 (日)

アダム・バウデフとヘルゲ・リエン・トリオAdam Bałdych & Helge Lien Trio のニュー・アルバム「Brothers」

牧歌的な静謐とスリリングな緊張感と・・・私好み!!
 ~果たして、神への賛美の叫びか~

<Jazz>
Adam Bałdych & Helge Lien Trio 「Brothers」
ACT / Germ / ACT 9817-2 / 2017

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Adam Bałdych (vln, renaissance vln)
Helge Lien (p)
Frode Berg (b)
Per Oddvar Johansen (ds)
Tore Brunborg (sax) (M5,6,8)

Music composed and arranged by Adam Bałdych
except 7 composed by Leonard Cohen and arranged by Adam Bałdych & Helge Lien

 ヴァイオリニストのアダム・バウディフAdam Bałdych(ポーランド1986年生まれ)の新作だが、前作『Bridges』(ACT9591-2,  2015)同様にノルウェーを代表する我が愛するヘルゲ・リエン・トリオとの共作となっている。しかし曲はバウディフによるもので(レナード・コーエンの”Hallelujah”の1曲以外)、あくまでもヘルゲ・リエン・トリオはサポート役。と、言ってもヘルゲ・リエンのピアノが重要で、この音なしでは考えられない曲作りである。
 又ノルウェーのサックス奏者トーレ・ブルンボルグが3曲に参加して味付け。
 どうもバウディフの原因は解らないが亡くなった弟の為に捧げられたアルバムのようだ。そんなところからも哀感あるアルバム作りとなっている。

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(Tracklist)
1. Prelude (1:22)
2. Elegy (7:34)
3. Faith (4:52)
4. Love (6:21)
5. One (6:50)
6. Brothers (6:06)
7. Hallelujah (6:08)
8. Shadows (6:32)
9. Coda (4:21)

Adambaldych4_teaser_700x M1. ”Prelude” は、ヴァイオリンとピアノのデュオで冒頭から私が勝手に感じている北欧的な哀愁そのものだ。
 M.2. ”Elegy”の入り方はドラムスとピアノの不安なる打音でピンク・フロイド(ロジャー・ウォーターズ)流。ここでもヴァイオリンとピアノが哀感のある叙情を描き、又一方スリリングな味のヴァイオリンも登場し、懐かしのキング・クリムゾンといった雰囲気をみせる曲。ロジャー・ウォーターズの近作『is this the life we really wants? 』は、ピアノの音を重量感を引き出すに使っているが、それは感覚的には、この曲でも共通点。・・・・と、こんな具合にプログレッシブ・ロックと比較することは叱られそうだが(リエンがウォーターズのファンだと言うのでお許しを)、しかしその共通点が見いだされるところが面白い。しかし醸し出す哀感は完成度の高い曲だ。
  M3.”Faith”はピアノの美しさが前面に。M4. ” Love”の、ヴァイオリンのピッチカート奏法は意外に牧歌的というかトラッド的雰囲気を生み出すんですね。

02helgelientrio2014_lamapre M6.”Brothers”が凄い。静から動、そしてダイナミックな展開。これは単にジャズという世界に止まっていない。聴きようによってはプログレッシブなロックでもある。人一人の激動の人生を表現しているのだろうか?素晴らしい。さすがピンク・フロイド党のリエンが・・・関わっているだけのことはある。
 M7.” Hallelujah” 先頃惜しまれて亡くなったレナード・コーエンと言えばこの曲だ。彼が亡くなる直前までライブで歌い込んでいた。しかし私はこの曲の良さは知っているが、実はその唄う意味を完全に理解しているわけで無い。これ自身は”神の賛美、喜び・感謝の叫び”というのは解るが、ここに取りあげられたことから逆にその中身の深さに迫ってみたいと思ったところである。しかしこの曲も完全に彼らのこのアルバムのモノに昇華している。
 M8.“Shadows”の、ヴァイオリンとサックスが、このように美しく重なり合っての演奏は発聴きだ。
 M9.”Coda”ヴァイオリンそしてピアノの調べは如何にも哀愁感たっぷり。

 実はこのアルバム、購入に若干ビビッていたのだが、Suzuckさんが絶賛しているので、これはと言うところで手にしたモノ。なんとそれは正解で、全編ムダな曲が無く完璧なコンセプト・アルバム。傑作だ。

(参考視聴) Adam Bałdych とHelge Lien Trio の共演(当アルバムとは別)

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2017年7月 2日 (日)

アンナ・マリア・ヨペクとスティングの共演 STING with ANNA MARIA JOPEK 「SPECIAL IN TORUN 2016」

あの"Fragile" をデュエットで・・・・・・

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                                              ( Anna Maria Jopek )

< Rock,  Jazz>
STING with ANNA MARIA JOPEK 「SPECIAL IN TORUN 2016」
MEGADISC / Poland / 2017

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Sting : Guitar & Vocals
Anna Maria Jopek : Vocals
Live at Torun, Poland Dec.8, 2016

Sting  ポーランドの憂愁の歌姫アンナ・マリア・ヨペックについては、先日6年ぶりの久々のニュー・アルバム『Minione』 をここで紹介したところだが、彼女をお気に入りとなると、いやはやその名の見えるアルバムはついつい手に入れたくなる。
 このアルバムはスティングStingが2016年12月8日にポーランドで、これも久々のなんと13年ぶりのポリスのDNAを繋ぎ込んだロック・アルバム『57TH&9TH』をリリースしてのプロモーション・テレビ・スペシャルに出演。放映は今年の2017年1月1日に行われたモノ。そこになんとアンナ・マリア・ヨペックが登場。その様子を納めたブート・アルバムである。

 中身は下の様な内容で、私から見ると叱られそうだが、どうしてもヨペックに注目がいってしまうのである。と言うところで、とにかくあの”Fragile”を、スティングとヨペックがデュエットで唄っているところがハイライトです。いやはやこれは考えもつかなかった共演であった。

Stingwitamylist

 とにかくヨペックのインターナショナルな活動はお見事である。それもその彼女が興味を持った国のミュージックを吸収していくところ、しかもそれをポーランド流に解釈して仕上げてしまうのだ。今回のニューアルバム『Minione』においても、マイアミにてミュージックの宝庫キューバに焦点を絞って、名ピアニストのゴンザロ・ルバルカバとの共演により彼女なりの哀愁のアルバムとして作り上げてしまった。それも彼女流のポーランド・ミュージックを忘れていないところが凄い。

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 このアルバムに納められているスティングに彼女が果敢に挑戦している姿は素晴らしい。是非ともファンは一度は聴いておきたいところです。
  登場する彼女の曲である”Szepły Lzy”や”Upojenie”の編曲による歌がこれ又新鮮ですね。

(視聴) ”Fragile” by Sting  ft.Anna Maria Jopek

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2017年6月 5日 (月)

アンナ・マリア・ヨペックAnna Maria Jopek のニュー・アルバム 「Minione」

描くはポーランドとキューバとの人間的哀感の融合
~ 憂愁の歌姫ヨペックとゴンザロ・ルバルカバの競演 ~

<Jazz>
Anna Maria Jopek, Gonzalo Rubalcaba 「Minione」
Universal Music Poland / Import / 573 980 8 / 2017

Na

Anna Maria Jopek - voice
Gonzalo Rubalcaba - piano
Armando Gola - bass
Ernesto Simpson - drums


Recorded at The Hit Factory Criteria Miami, 22nd-24th August and 20th-22nd December 2016

Amjgrw_2

 いや~~出ましたね、お久しぶりのニュー・アルバム。ポーランドのアンナ・マリヤ・ヨペック(1970~)となると、私にとっては好みの世界で3本の指に入るジャズ・ヴォーカリスト、それは憂愁の歌姫である(彼女は1997年よりアルバム・リリースしている。20年のキャリアだ。詳しくは末尾参照)。
 最終アルバムが3部作の一枚小曽根真との『HAIKU』となると思うので6年ぶりの登場です。この間、ボックス・セット『Dwa Serduszka Cztery Oczy』日本ライブも楽しませてもらったりとしてきましたが、今回はなんとこれも私好みのゴンサロ・ルバルカバのピアノ・トリオとの共演。期待に十分です。彼とは2011年のポーランドを歌い込んだアルバム『POLANNA』で共演していたので、今度はルバルカバの故郷キューバに近いMiamiでのお返し共演録音といったところか。

Amj5(Tracklist)
1. Twe Usta Klamia/Your lips lie : 5:58
2. Kogo Nasza Milosc Obchodzi/ Who cares for our love  4:14
3. Co Nam Zostalo Z Tych Lat/ What remains of those years?   5:11
4. Nie Wierze Ci / I don't believe you  5:02
5. Besame Mucho  4:23
6. Co Nam Zostalo... Wybrzmienie  1:29
7. Pokoik Na Hozej 6:42
8. To Ostatnia Niedziela / It's the last sunday 4:15
9. Miasteczko Belz 4:36
10. Nie Wierze... Detal 0:28
11. Rebeka 6:01

 これは何とも素晴らしい世界を構築してくれました。とにもかくにも私の印象では、キューバ人の多いあの華々しい巨大都市マイアミではあるが、その静かな路地裏の夜に描かれた哀感ある人間模様の世界という感じだ。
 この都市の人種的な構成は白人が多いのだが、ここの人口の65.76%はヒスパニックまたはラテン系である。この都市の民族的な構成はキューバ系が1/3と最も多く、アフリカン・アメリカンが2割強と言うところのようだ。
Gonsarow  そんな都市の人間模様には、キューバ人であるルバルカバ(ハバナ出身、1963年~)に描かせると現実味が帯びる。このアルバムの曲のアレンジメントはルバルカバによるもので、それだけ彼はヨペクの世界に思い入れを演じたと思う。それを又完全にヨペックの歌い込みによってヨーロッパ的な哀愁を加味して倍増して描ききっている。いやはや恐ろしいコンビの傑作だ。多分これはあの『PORANA』からイメージは作り上げられていたのであろう。
 
  スタートのM1.”Twe Usta Klamia”で完全に哀愁と大人の人間世界のヨペク節に突入。これから逃れられない感覚になる。
 M2.” Kogo Nasza Milosc Obchodzi”は軽快で有りながらどこかもの哀しさを感ずる曲仕上げ。  
 ボサノヴァ調、ときに現れるタンゴ調、これらもここまで彼らの哀感の世界に変容してしまうところが見事だ。
 そしてなんともここまで変調したM5.”Besame Mucho ”は希有の一言。ヨペクはハミングで哀愁を漂わせて唄いきる。
 そして又、M4.”Nie Wierze Ci”の哀しき暗さは特筆もの。又M11.”Rebeka”の優しさも見逃せない。
 アルバム全編を通して揺るぎないヨペクの世界感がひしひしと伝わってくる。

 とにかくヨペツクのポーランド・ドラッド探究は勿論、日本やポルトガル、そして他のアンゴラやブラジル、カーボ・ヴェルデなど民族的世界観の追求の一幕であろうか?。今回は、キューバ系世界にその焦点を絞った今作で、彼女のホーランド・ミュージックと世界ミュージツクの融合は一層深みを成している。そして彼女の暦年の磨かれた哀感ある歌唱力に喝采を浴びせるのである。まさに憂愁の歌姫だ。

 アンナ・マリヤ・ヨペクの過去のアルバムを参考までに↓・・・

(Anna Maria jopek Discography)
Ale jestem (1997年)
Szeptem (1998年)
Jasnosłyszenie (1999年)
Dzisiaj z Betleyem (1999年)
Bosa (2000年)
Barefoot (2002年)
Nienasycenie (2002年)
Upojenie (with Pat Metheny) (2002年;2008年)
Farat (live) (2003年)
Secret (2005年)
Niebo (2005年)
ID (2007年;2009年)
BMW Jazz Club Volume 1: Jo & Co (live) (2008年)
Polanna (2011年)
Sobremesa (2011年)
Haiku (2011年;2014年)
Minione (2017年)


(視聴)

 

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2016年11月 7日 (月)

トーマス・スタンコTomasz Stanko とシンプル・アコースティック・トリオ

ECM世界を描くポーランドのベテラン・トランペッター

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 これも秋の夜の回顧シリーズである・・・・・。
 ポーランドのベテラン・トランペッターのトーマス・スタンコTomasz Stanko(1942-)と、マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski(1975-)のシンプル・アコースティック・トリオの結合でのカルテット・スタイルによる十年前のアルバムを回顧している。
 この私の愛するシンプル・アコースティック・トリオの近作は、昨年リリースされたサックス奏者とのカルテット作品「Speak Of Life」であった訳だが、以前に同じこのECMから、トーマス・スタンコとのカルテットで2枚がリリースされている。マルチン・ボシレフスキ自身、おそらくスタンコから自己のピアノ・トリオへのトラペットやサックスを加えたカルテットの面白さ多くを学んだのではないかと想像し、その結果、もう一度聴き直しと言うところなんです。

<Jazz>
Tomasz Stanko Quartet「Lontano」
ECM / GERM / ECM 1980 9877380 / 2006

Lontano

Recorded Nov. 2005, Studio La Bussonne,Pernes-les-Fontaines
Prodused by Manfred Eicher


TOMASZ STANKO(tp), MARCIN WASILEWSKI(p), SLAWOMIR KURKIEWICZ(b), MICHAL MISKIEWICZ(ds)

Lontanolist  スタンコ本人が”これまでで最高の作品になると思うよ”と予告していたECMからの作品で評判になったモノだ。母国ポーランドの私の好みのピアニスト・マルチン・ボシレフスキのシンプル・アコースティック・トリオを従えたカルテットでの作品。
 とにかくマルチン・ボシレフスキのピアノの叙情性と美しさをバックにしてのスタンコのミュートを効かせたトランペットが永久な響きで歌いあげるわけで悪いわけが無い。
 そこに又Eicherが絡むわけで、そりゃー理知的であり、哲学的世界でもあり、深遠な世界の異空間の構築はお見事なのだ。
 オープニングはボシレフスキの澄んだピアノが響き、冷徹とも言える世界を描いたところにスタンコのトランペットがむしろ暖かさと深遠さを交えた響きが重なるというECM世界、とにかく痺れきったアルバムだった。

              *           *          *

<Jazz>
Tomasz Stanko Quartet「Suspended Night」
ECM / GERM / ECM 1868 / 2004

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TOMASZ STANKO(tp), MARCIN WASILEWSKI(p), SLAWOMIR KURKIEWICZ(b), MICHAL MISKIEWICZ(ds)
(Tracklist) 1.Song for Sarah    2. Suspended Variation I-ⅹ


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 75年生まれのボシレフスキが30歳になろうとしているころのスタンコの指揮下での作品。彼のピアノは、キース・ジャレットに惚れ込んでピアニストを志したと言うだけあって、ビル・エヴァンスからのスタイルを見事に演じている。そしてこのスタンコとの共演が又若きシンプル・アコースティック・トリオを大きく育てたとも言われている。ゆったりと叙情的に流しながらも、スタンコのトランペットのメロディーを支える技術はお見事である。
  このアルバムもかなりクールな世界といって良いのでしょうね。トランペットが深遠な緊張感もって迫り、一瞬の叫びで切り込んでくるところが凄い。とにかく2曲目から11曲までの10のバリエーションでアルバム一枚を埋めてしまう。とにかく繊細さは、スタンコに勝るとも劣らないボシレフスキの持つピアノであって、その
兼ね合いの見事なインプロヴィゼーションの世界としてはバラエティにもとんでいて多分Eicherも満足の一作であったと思う。

(試聴)

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2016年10月 1日 (土)

秋=レシェック・モジュジェル Leszek Możdżer の硬質・透明感のピアノ

ショパンから始まったモジュジェルのジャズ・ピアノ

 今年の天候の変化は例年にはない様相を示す事が多かったが、そうは言ってもやっぱり10月の声を聞くと風情は「秋」ですね。
 そんな秋に覗いた好天は、やっぱり澄んだ青空である。そんな秋には透明感抜群のピアノの調べがいかにもお似合いというところで・・・・思い起こすのはジャズ畑では、ポーランドのレシェック・モジュジェルLeszk Możdżerですね。彼はショパンのジャズ化を成し遂げた(アルバム「Chopin - impressions 」1994年)。

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 ジャズ・ピアノと一口に言っても、演者による音の質の違いは多種多様。同じピアノといってもこれほど音が違うのかと思うと凄い。中でも冷たく硬質にして透明というところでは、このレシェック・モジュジェルがナンバー1だろうと思う。暖かいピアノの音というのはよく私には解らないのだが、この硬質にして冷たいと思われるほどの透明感というのが実は私は好きなんです。

P9271737trw そして不思議に私の愛用している40年以上前のエレクトロヴォイスのスピーカー( EV SP-15A,  エンクロージュアE-15II)が、この空気の乾燥してきた秋になると気のせいか彼のピアノを良く響かせてくれるんですね。
 もともとスピーカーから出す最も難しい音というのがピアノの音と言われるところで、これが上手く鳴れば名スピーカーと言って良いらしい。まあ私のものはそこまでは当然ゆくことはないのだが、秋はどうした訳か、このスピーカーとしてはベストな音を出してくれるのです。

Piano■ <Jazz> 
Leszk Możdżer 「piano」
OUTSIDE MUSIC / EU / OM CD 005 / 2009


 余談はさておき、彼の関係したアルバムは、このブログでもいろいろと過去に取りあげてきたのであるが、私の持ち物の中では、この彼の2004年のソロ・アルバム『pianoピアノ』で彼の持ち味は十分堪能させられた。
 このアルバムは収録12曲中7曲は彼のオリジナル曲で締められており、それはメロディアスで聴き慣れた曲で無いために若干取っつきにくかった。
 それも彼のLars Danielssonとの共演ものなどのように、実にメロディアスであり叙情性にも富んでいて聴き惚れてしまうのだが、それとは相対している為というところによるのだと思う。

 しかし彼のソロといえば何時ぞやここで取りあげた『コメダKomeda』(ACT /Germany / ACT9516 / 2011  (参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/leszek-moder-06.html )が良いですね。あれは最高です。私の好きな”Sleep Safe and Warm ローズマリーの赤ちゃん”が演じられているという事だけでなく全体に好きですね。お勧め品。

61rsaqo■ <Jazz>
Możdżer  Danielsson  Fresco  
「THE TIME」
OUTSIDE MUSIC / OM CD001 / 2005

 このアルバムはモジュジェルのLars Danielsson (Cello ,Bass) と、 Zohar Fresco(Percussion, Vocal) とのトリオもの。もう10年も前のアルバムであり、このトリオとしては、この後に『Between Us And The Light』(2006)、『Polska』(2013)の2作がリリースされている。
 私の場合この2005年の『THE TIME』は、2014年に3作目の『Polska』を聴いてから逆にこの不思議なトリオの原点を知りたくなって後から手に入れ聴いたものだ。しかしその結果は、素晴らしさに感動したもので、従ってここに取りあげているという次第。(私にとってはアルバム『Polska』よりは愛着のあるものとなっている)
  曲は下記のとおりで、殆どモジュジェルとダニエルソンのオリジナル。

1. Asta +
2. Incognitor * 
3. Sortorello
4. Tsunami *
5. The Time * #
6. Asta II +
7. Easy Money *
8. Smells Like Teen Spirit
9. Svantetic
10. Suffering +
11. Trip To Bexbach *
12. Asta III +
13. Suffering +

(*印:Możdżer, +印:Danielsson, #印:Fresco)

 『Polska』については、私から見るとどうも異なる三者の不思議な異色トリオ作として捉えたわけだが(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/polska.html )、
  こちらのこのトリオのオリジナル・アルバム『THE TIME』も決して並の世界で無い。やはりその醸し出すムードは異色である。しかしそこにはなんの抵抗もなく自然とその世界に溶け込んで行く魅力のある曲群で占められていて、このトリオものの中では一番好きなアルバム。それはどうもトラッドをベースにした曲展開で、どこか郷愁を誘ってきて、それは我々日本人にも伝わってくるのではないか。
 もともとLars Danielsson はスウェーデンのベース&チェロ奏者、作曲家で、どちらかというと甘いメロディーで取っつきやすい。ACTレーベルからの彼の作品はどれもなかなか素晴らしい。そしてスウェーデン、ポーランドと、いったところからモジュジェルとの関係は不思議なことでは無い。
 ところがパーカッションのイスラエルのZohar Frescoとの関係が、どうしてこうなったのか解らない(過去に映画のサントラでモジュジェルは共演したらしいが・・・)。彼の強烈な個性が中近東風の異国ムードを作り上げ、このトリオの特徴となっていることは間違いない。しかしそこにモジュジェルの硬質で澄んだピアノの音が、従来のユーロ系のピアノ・トリオと違った世界を構築して面白いのである。

(参考1)Możdżer  Danielsson  Fresco のライブ映像を見ると、Możdżerは、ピアノはジャズ・ミュージシャンに多いSteinway & SonsでなくYAMAHAを使ってますね。

(参考2=Leszek Możdżer - Discography)
Chopin - impressions (1994)
Talk to JesusJazz Forum (1996)
Facing the Wind,  (1996)
Chopin Demain-Impressions (1999)
Makowicz vs Możdżer,  (2004)
Piano (2004)
Możdżer, Danielsson, Fresco – The Time,  (2005)
Możdżer, Danielsson, Fresco – Between Us And The Light,  (2006)
Pasodoble ,  (2007)
Firebird V11,  (2008)
Kaczmarek by Możdżer (2010)
Komeda (2011)
Możdżer, Danielsson, Fresco – Polska (2013)

(試聴)Możdżer Danielsson Fresco

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2015年7月24日 (金)

ポーランドのピアノ・トリオRGGを更に求めて・・・・3rd「UNFINISHED STORY」

クラシックとかジャズとか言う世界を超越して己のジャズ世界を探るトリオ

 前々回ポーランドのピアノ・トリオ「RGG trio」に魅せられた話をしたわけだが、話題にした今年リリースされたアルバム『AURA』は彼らの7作目であり、それ以前はマイナーなレーベルからのアルバム・リリースで、私は触れる機会無く来ていたわけです。しかし何となく気になるトリオであって、ここに来てメンバー・チェンジされた以前の作品を少々手に入れてみた。

<Jazz>
                RGG 「UNFINISHED STORY」
                 ECNALUMBA / POL / RGG001 / 2007

Unfinishedstory2
                     Przemysław Raminiak  : piano
          Maciej Garbowski : double bass
          Krzysztof Gradziuk : drums

 このアルバムは3作目で、オリジナル・トリオ・メンバーでの作品。ピアノはPrzemysław Raminiak(1st~5thアルバム)が担当している。アルバム・タイトルの『UNFINISHED STORY』に副題として”Remembering KOSZ”となっていて、ポーランドの1973年に若くして亡くなった天才ジャズ・ピアニストMieczysław Koszを意識してのものとみられ、Tracklistをみると2.4.曲目がKoszの曲である(↓)。

Unfinishedstorylist
 Koszの2曲の他は、2012年にこのトリオから退いたピアニストのRaminiakの曲が6曲と最も多く、ベーシストのGarbowskiのものが2曲、三者の曲が2曲という構成。
 相変わらず格調高い叙情性のある曲が展開すると同時に、Koszの曲はかなり思索的な世界に導かれる。もともとKoszのプレイはポーランドの民族音楽に基づいたと言っても、彼なりきのフリーなセンスで描くところに魅力があったと言うが(残念ながら彼の残されたアルバムがあるのだが私はまだ未聴)、このアルバムもいかにもポーランドというクラシックに裏付けされたミュージシャンの演ずるところであって、非常に実験性のある演奏展開をするが、その中にも品格が感じられ、その描くところ7曲目”Lonliness”に代表される哲学的な雰囲気さえ感じられるアヴァンギャルドな抽象的世界は聴き応えある。
 又三者がクレジットされている2曲は、多分インプロヴィゼイションの世界と推測される。

Rggmembers1_2
 今にしてこのアルバムを聴くことに至ったのであるが、なかなかアメリカン・ジャズと一線を画するユーロを代表する素晴らしさといってよい仕上がりで、彼らの作品群でも実験性が高く、中核をなすものと思われる貴重盤であった。
 こうして築かれてきた世界は、これからも求めて行くところの象徴なのかも知れない。それは、現在ではメンバー・チェンジが行われたが、「RGG」という旧メンバーの頭文字のトリオ名を残しているところにも、そのあたりが窺い知れるのである。

<参考までに「RGG trio」のDiscographyを記す>

1.『Scandinavia』.             2003
2.『Straight Story』           2005
3.『UNFINISHED STORY』 2008
4.『True Story』               2009
5.『ONE』                        2011
6.『SZYMANOWSKI』        2013
7.『AURA』                      2015

(試聴)

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