マルチン・ボシレフスキ

2016年12月18日 (日)

マルチン・ボシレフスキ絡みで・・・イェジィ・マウェクjerzy małek 「ON AIR」

マルチン・ボシレフスキのピアノと・・・・・・・
トランペッター:マウェクjerzy małek のカルテット・アルバム

<Jazz>
jerzy małek 「ON AIR」

UNIVERSAL MUSIC POLSKA / POL / JZ111026-06 / 2011

Onair

Jerzy Małek - trumpet / Marcin Wasilewski - piano /Michal Baranski - doubloe bass / Michal Miskiewicz - drums
Recorded 1 March 2011 at the tokarnia studio nieporęt

Jm これもポーランドからの一枚。ピアニストのマルチン・ボシレフスキがらみだから当然と言えば当然。
  私はこのイェジィ・マウェクjerzy małek(←)というトランペッターは知らなかったのだが、これは2011年リリースの彼のリーダー・カルテット・アルバムである。ボシレフスキのピアノが参加しており、そしてシンプル・アコースティック・トリオのMichal Miskiewicz が共演。
 マイルスを敬愛しているというこのマウェクが、かっては自主制作盤やマイナーレーベルから地道な発信をし続けてきたというが、ここにUniversalからのメジャー・デビューを果たした作品。全6曲全て彼のオリジナル曲で構成されているカルテットによる演奏。

(Tracklist)
1.  Slavs
2.  Starka
3.  White Tulips
4.  Specjal
5.  Air
6.  Benio

 
Jm2 音楽の国ポーランドらしいメロディーの豊富な曲を展開している。私はマルチン・ボシレフスキのピアノを大いに期待しているのだが、いやはやこのアルバムは明らかに主体はトランペットを中心とした曲作り、彼のピアノは明らかにサポート役に回っている。
  つまりカルテット構成とはいえ、トランペッターのリーダー作らしく、メロディーを浪々とトランペットが歌いあげる。
  印象としては、かなりインプロヴィゼーションを大切にしている曲作りとみた。

 スタート曲M1.”Slavs”は、ボシレフスキのトリオ・アルバムの印象とかなり違っており、叙情的な曲作りというところでは無い。ここでは彼のピアノもトランペットの荒々しい展開に追従して鋭く攻めながらも締め役に貢献して、最後は曲を静かに落ち着かせる。
 全曲比較的長い曲が多く、短いモノでも2曲目の7分11秒。従ってM3.”White Tulips ”は10分を超える曲で、そこで中間部にてピアノやベースのソロも交えて楽しませてくれる。
 全体的に比較的聴き易い曲で占められているが、ここではマルチン・ボシレフスキは、面白いことに前衛的タッチを披露していて、彼のトリオものとは別の面を知ることが出来た。
  そんな中で、M5.”Air ”では、ピアノ・トリオと思われるぐらいたっぷりととられた5分以上の導入部で、ボシレフスキらしい情緒豊かなピアノを聴くことも出来る。
 こうしてみると、ポーランドのジャズ事情はほんとに豊富で驚かされるといったところである。

(参考:Jerzy Małek の Discography)
"By Fife" 2000
"Gift" 2002
"Spirit of the time" 2005
"Bop Beat" 2006
"Culmination" 2009
"On Air" 2011
"Stalgia" 2014

(試聴)

 

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2016年12月 3日 (土)

マルチン・ボシレフスキ絡みで・・・マヌ・カッチェManu Katché 「PLAYGROUND」

ドラマー(マヌ・カッチェ)の作品での
マルチン・ボシレフスキの名プレイ

Marcinw  ポーランドのピアニスト=マルチン・ボシレフスキ好きの私である。ここまでに彼のピアノ・トリオである「シンプル・アコースティック・トリオ」(近年のECMからのリリース・アルバムは同メンバーでも「マルチン・ボシレフスキ・トリオ」と名乗っている)のアルバムは、手に入るモノは全て聴いてきているのだが、次第に彼がフィーチュアーされたアルバムも聴きたいと言うところで、先頃トーマス・スタンコTomasz Stankoとのカルテット・スタイルによるアルバム(『Suspended Night』、『Lontano』)など回顧したのだ。しかしまだその他、トランペッターやドラマーとの共演作もあって、先頃ECMからの2007年のアルバムを遅まきながら手に入れたのでここで取りあげる。

<Jazz>

Manu Katché 「PLAYGROUND」
ECM / GERM / ECM 2016 / 2007

Playground

MATHIAS EICK(tp), TRYGVE SEIM(ts,ss), MARCIN WASILEWSKI(p), SLAWOMIR KURKIEWICZ(b), MANU KATCHE(ds)
Recrded jan. 2007, Avatar Studios, New York

 フランス系アフリカ人ドラマーのマヌ・カッチェが放つECMからの第二弾。期待通りシンプル・アコースティック・トリオのマルチンMARCIN WASILEWSKIとスワヴォミルSLAWOMIR KURKIEWICZ(b)が良い役をこなしている。
 全体に非常に落ち着いた世界を描く曲群で占められている。全曲マヌ・カッチェによるものだ。
 基本的には、どんな場面に於いてもマルチンのピアノが冷静で静かな情景を描く。それをベースが支え、そしてMATHIAS EICKとTRYGVE SEIMによる二管が、やや押さえられた演奏で旋律を歌いあげ、美しい響きを展開する。
 ドラマーのアルバムとしては、ドラムスは意外に控えめで、ゆったりとした曲の流れにメリハリをうまく付けていくところはさすがで、曲をうまく洗練された世界に描ききる。
 M10.” Inside Game ”では、ピアノとドラムスが共にリズムカルなリズムを刻んでゆくところは面白い展開で、こうしたクインテットでは有りなんだと、なるほどと思わせる。
 アルバムの印象は都会の夜、影を感じさせ、私にとっては納得の作品だった。

(Tracklist)
1. Lo
2. Pieces Of Emotion
3. Song For Her
4. So Groovy
5. Morning Joy
6. Motion
7. Project 58
8. Snapshot
9. Possible Thought
10. Inside Game
11. Clubbing
12. Song For Her


Neighbour_2<参考1>
(前作)Manu Katché 「NEIGHBOURHOOD」
     ECM / GER / UCCE1068 / 2005

 マヌ・カッチェがECMでの最初のリーダー作(→)。タイトルどおりのECMファミリーの仲間達、トーマス・スタンコ のベテラン・トランペッターに、シンプル・アコースティック・トリオのマルチンとスワヴォミルの二人など錚々たるミュージシャン達を従えマヌ・カチェらしいヨーロッパ風味の美しい作品。
MANU KATCHE(ds),TOMASZ STANKO(tp),JAN GARBAREK(ts),MARCIN WASILEWSKI(p),SLAWOMIR KURKIEWICZ(b)

Mi0003439625<参考2>
(マヌ・カッチェのプロフィール)
 1958年生まれ。父親はアフリカ出身、母親はフランス人。7歳からピアノを習い、音楽大学でパーカッションを習得した。ユニークでありながら洗練されたドラム演奏が好評。1986年にリリースされたピーター・ガブリエルのアルバム『So』のセッションに加わった事で一気に有名になった。
 もちろん作曲にも才能を発揮し、ポップやロック音楽の分野での活動が主力であったが、2005年、ソロ・ジャズ・アルバム『Neighbourhood』をECMからリリース(上記)。ヤン・ガルバレク(サクソフォーン)、トーマス・スタンコ(トランペット)、マルチン・ボシレフスキ(ピアノ)などの蒼々たるメンバーでのジャンルを超えた作品で注目された。
 近作にManu Katché『UNSTATIC』(SongsJapan / JPN / SONGX037 / 2016)がある。

(視聴)

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2016年11月 7日 (月)

トーマス・スタンコTomasz Stanko とシンプル・アコースティック・トリオ

ECM世界を描くポーランドのベテラン・トランペッター

230405_stanko_1_event_detail

 これも秋の夜の回顧シリーズである・・・・・。
 ポーランドのベテラン・トランペッターのトーマス・スタンコTomasz Stanko(1942-)と、マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski(1975-)のシンプル・アコースティック・トリオの結合でのカルテット・スタイルによる十年前のアルバムを回顧している。
 この私の愛するシンプル・アコースティック・トリオの近作は、昨年リリースされたサックス奏者とのカルテット作品「Speak Of Life」であった訳だが、以前に同じこのECMから、トーマス・スタンコとのカルテットで2枚がリリースされている。マルチン・ボシレフスキ自身、おそらくスタンコから自己のピアノ・トリオへのトラペットやサックスを加えたカルテットの面白さ多くを学んだのではないかと想像し、その結果、もう一度聴き直しと言うところなんです。

<Jazz>
Tomasz Stanko Quartet「Lontano」
ECM / GERM / ECM 1980 9877380 / 2006

Lontano

Recorded Nov. 2005, Studio La Bussonne,Pernes-les-Fontaines
Prodused by Manfred Eicher


TOMASZ STANKO(tp), MARCIN WASILEWSKI(p), SLAWOMIR KURKIEWICZ(b), MICHAL MISKIEWICZ(ds)

Lontanolist  スタンコ本人が”これまでで最高の作品になると思うよ”と予告していたECMからの作品で評判になったモノだ。母国ポーランドの私の好みのピアニスト・マルチン・ボシレフスキのシンプル・アコースティック・トリオを従えたカルテットでの作品。
 とにかくマルチン・ボシレフスキのピアノの叙情性と美しさをバックにしてのスタンコのミュートを効かせたトランペットが永久な響きで歌いあげるわけで悪いわけが無い。
 そこに又Eicherが絡むわけで、そりゃー理知的であり、哲学的世界でもあり、深遠な世界の異空間の構築はお見事なのだ。
 オープニングはボシレフスキの澄んだピアノが響き、冷徹とも言える世界を描いたところにスタンコのトランペットがむしろ暖かさと深遠さを交えた響きが重なるというECM世界、とにかく痺れきったアルバムだった。

              *           *          *

<Jazz>
Tomasz Stanko Quartet「Suspended Night」
ECM / GERM / ECM 1868 / 2004

Suspendednightw

TOMASZ STANKO(tp), MARCIN WASILEWSKI(p), SLAWOMIR KURKIEWICZ(b), MICHAL MISKIEWICZ(ds)
(Tracklist) 1.Song for Sarah    2. Suspended Variation I-ⅹ


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 75年生まれのボシレフスキが30歳になろうとしているころのスタンコの指揮下での作品。彼のピアノは、キース・ジャレットに惚れ込んでピアニストを志したと言うだけあって、ビル・エヴァンスからのスタイルを見事に演じている。そしてこのスタンコとの共演が又若きシンプル・アコースティック・トリオを大きく育てたとも言われている。ゆったりと叙情的に流しながらも、スタンコのトランペットのメロディーを支える技術はお見事である。
  このアルバムもかなりクールな世界といって良いのでしょうね。トランペットが深遠な緊張感もって迫り、一瞬の叫びで切り込んでくるところが凄い。とにかく2曲目から11曲までの10のバリエーションでアルバム一枚を埋めてしまう。とにかく繊細さは、スタンコに勝るとも劣らないボシレフスキの持つピアノであって、その
兼ね合いの見事なインプロヴィゼーションの世界としてはバラエティにもとんでいて多分Eicherも満足の一作であったと思う。

(試聴)

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2015年1月 2日 (金)

謹賀新年 2015 ~ マルチン・ボシレフスキ・トリオMarcin Wasilewski Trio「Spark Of Life」

明けましてお目出度うございます
               今年もよろしくお願いします

                                       2015年 

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ナポリ Napoli(南イタリア)の12月の朝        (photo 2014.12)
    ポンペイを全滅させたヴェスヴィオ火山(左側の山影)のむこうに太陽が登る   

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ユーノーの神殿 Tempo di Giunoneにて地中海を臨む   (photo 2014.12)
  (アグリジェントAgrigento=南イタリア・シチリア島)
 紀元前470年、シチリア島に入植してきたギリシャ人によって建造された神殿遺跡

                **    **   **

 さて新年早々のミュージックとなると、まずは昨年リリースされたアルバムでお気に入りながらここに書き落としていたアルバムを記しておきたい。それも昨年の大晦日からこの新年を迎えての二年越しに選んで聴いたアルバムでもあります。

   <Jazz>

     Marcin Wasilewski Trio w/ Joakim Milder
     「Speak Of Life」
      ECM / GER / ECM 2400 / 2014

Sparkoflife

Marcin Wasilewski (p)
Slawomir Kurkiewicz (double-b)
Michal Miskiewicz (ds)
Joakim Milder (ts)
Recorded at Lugano in March 2014
Produced by Manfred Eicher

Sparkoflifelist ポーランドのSimple Acoustic Trioのマルチン・ボシレフスキ・トリオの久々のアルバム。今回はトリオにサックスが加わっての作品。私にとっては所謂ボシレフスキのピアノ・トリオもので満足なんですが、これにスウェーデンのサックス奏者ヨアキム・ミルダーを招いてのマルチン・ボシレフスキのオリジナル4曲に、あのポーランドのジャズの巨匠コメダはじめハービー・ハンコックそしてスティングの曲などが演じられている(右)。

 マルチン・ボシレフスキについては過去にも何回か取り上げてきたが(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/marcin-wasilews.html ) 、このアルバムは、ECMからも4枚目になるところからみても解るように、多分Eicherのお気に入りと思われる。そんなところら想像されるように、確かに彼のピアノ・トリオで醸し出す世界は非常に美しく心が落ち着く演奏である。
 そこで2014年を送り心新たに2015年を迎えるに当たり、静かにこのアルバムをじっくりと聴いて過ごしたというところなのである。そしてヨアキム・ミルダーのサックスもなかなか叙情的な演奏で心に響く世界を構築する。そんなところからもマルチン・ボシレフスキ・トリオとの組み合わせも文句は無い。
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  このアルバムにも、ボシレフスキが何回と演奏しているあのコメダの映画「ローズマリーの赤ちゃん」のテーマ曲”Sleep Safe And Warm”の名曲が登場する(6曲目)。ここではサックスによるメロディーが奏でられ、これ又過去の演奏と一味違ったところを披露している。
 又このアルバムのタイトル曲であるボシレフスキの曲”Speak Of Life”は、このカルテットでの演奏が3曲目に登場し、控えめなドラムスの刻むリズムにピアノが美しく流れ、それにサックスが哀愁のメロディーを乗せる。そして最後に再びこの曲が登場し、それは今度はピアノ・トリオのみの美しい演奏でアルバムを閉じるところは心憎いところだ。

(視聴) Marcin Wasilewski Trio w/ Joakim Milder

                 **            **

  さて今年は未(ひつじ)年ですね・・・・と言うところでこの年の幕開けとしてRoger Waters (Pink Floyd) の「Animals」からの”SHEEP”を視聴しましょう(↓)

(視聴)Roger Waters  "SHEEP"

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2013年3月 5日 (火)

マルチン・ボシレフスキ(Marcin Wasilewski)Simple Acoustic Trio : 「Lullaby Rosemary」

今、旬なピアニストにとってのクリシュトフ・コメダの曲
  ~特に”ローズマリーの赤ちゃん”が印象的~

Wtrio_2  今、ポーランドの旬なJazzピアニスト、レシェック・モジジェルのアルバム「Komeda」を先日取り上げたが、これはポーランドの代表的Jazzピアニスト・作曲家のクリシュトフ・コメダの曲をモジジェルのセンスでシャズ演奏したものだ。しかし・・・・これを聴くと言うことはやっぱりポーランドのマルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski(マルチン・ヴァシレフスキとも発音されるようだが)が、既に1995年にピアノ・トリオ(↑)でやはり挑戦しているので、そのアルバムをここで取り上げるのである。


<JAZZ> Simple Acoustic Trio 「Lullaby for Rosemary」
              nottwo Rcords  , MW727-2  (GPTS 707) ,  2001
              Recorded Feb.7-8,1995 at S3 Studio Warsaw

Lullabyforrosemary

 このシンプル・アコースティック・トリオは、ポーランドの若きピアニストのマルチン・ボシレフスキがリードする少年時代の友(ベースのクルキェヴィッチ)と結成しているトリオで、1990年に15歳でデビューしているポーランド民主化の落とし子である。2000年代になって私は知ったわけであるが、その演ずるピアノのタッチと旋律の美しさはポーランドにおける今や代表株。フリーなセンスをも持ち合わせて聴く者を楽しませてくれている。(参考:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/marcin-wasilews.html
 もともとポーランドという国は文化の中核に音楽をおいており、ジャズに対してもその評価は高い。ヴァシレフスキもカトヴィッツェ音楽大学ジャズ・ポピュラー音楽部を卒業して現在に至っているという。
  Members
       マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski : Piano
   スワヴォミル・クルキェヴィッチSławomir Kurkiewicz : Bass
   ミハウ・ミシュキェヴィッチMichał Miśkiewicz : drums


Sat_komeda_2     さてこのアルバムであるが、1995年のリリースで、なんと恐ろしいというかボシレフスキの20歳時の作品。当時はこのような作曲者コメダの顔のジャケ(右)であった。そしてリニューアルされての登場は、ジャケが変えられ一曲加えられたものが現在手に入る。タイトルも「KOMEDA」から「Lullaby for Rosemary」と変えられているのである。
 一方彼等の近年のアルバムは、ECMからとなり、トリオ名は変わって”Marcin Wasilewski Trio”の名でリリースしている(アルバム「January」、「Faithful」)。

Lullabyforrosemarylist  このアルバムのTrack-Listは左のような8曲+1曲。もちろんいずれもコメダの作品を彼等の解釈で演奏している。コメダは本来医者であったらしいが、音楽にご執心になって、名前も本名からコメダに変えてしまったというのだが・・・・・。
 モジジェルのアルバムもオープニングはこの”Sventetic”からスタートさせたが、これも素晴らしい曲で、彼はややテンポを早めスリリングな感じを出した。一方このトリオの15年前の演奏は、イメージが違っている。テンポはやや緩めにそして優雅さ美しさが前に出ている。しかもトリオとしてDouble-Bass やDrumsをも前面に出してのパートを含んでの展開をみせる。
 このように、コメダの曲といえども演奏家の感覚で異なってくるところが醍醐味であって、それぞれ私にとっては快感だ。

Rosemary1  さてメインは”Sleep Safe and Warm”(映画「ローズマリーの赤ちゃん」の主題曲)になると思うが、このトリオは最後にこの曲を持ってきて、このアルバムの中盤の起伏を静かに納めるべく演奏する。それにつけてもあの「ローズマリーの赤ちゃん Rosemary's Baby」は恐ろしいと言うか、強烈なインパクトを持たされた映画であった。主人公ローズマリーの純粋さを美しく讃え挙げているかのようにも聴こえる曲でありながら、その裏の恐怖をジワッと感じさせるコメダの曲は彼の最高峰であろう。それを見事に演奏してみせるのである。20歳にしてこの味付けをしているところに恐ろしさも感ずるマルチン・ボシレフスキであった。
 このロマン・ボランスキー監督の1960年代末の映画「ローズマリーの赤ちゃん」はジョン・レノン、オノ・ヨーコが住んでいたダコタ・ハウスで撮影されたもので、ホーラー映画と言われるが、現在のものとは一線を画して、映像でなくストリーで恐ろしいインパクトを与えるところは芸術性が高い。そこに描くものも女性の神秘にも似た世界が展開するところも更に評価されるところだ。原作はアイラ・レヴィンというが、この映画が原作どおりなのかは未だに確かめてないが、コメダの曲が見事に文学と映画の芸術の歴史を作るに大いに貢献している。

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=zd8iXsbXlLQ

  [PHOTO 今日の一枚]

P2102401monoblog
(OLYMPUS PEN E-P3   M.ZUIKO DIGITAL 12-50mm 1:3.5-6.3 EZ )

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2011年5月23日 (月)

気持ちを整理してくれる音楽=マルチン・ボシレフスキ・トリオMarcin Wasilewski Trio:「Faithful」

ポーランドの民主化の申し子からの心休まる永遠の贈り物

 何年か前に、ポーランドという社会機構にしても音楽にしても歴史的に重要な国からの印象深いジャズ・ピアノ・トリオのアルバムを買って聴いたことがあった。それは 「TRIO」 (後に紹介)というもので、演奏はマルチン・ボシレフスキを代表とした simple acoustic trio といい、静かな中に不思議に引き込んでゆく魅力あるアルバムだった。そして最近彼らのニュー・アルバムがあることを知って入手し、既にもう数週間聴いている代物がある。

Faithful 「Marcin Wasilewski Trio / Faithful」 ECM Records ECM-2208 , Recorded August 2010 , 2011

 このマルチン・ボシレフスキ・トリオは、ポーランドで驚いたことに10歳代に結成されたメンバーで、現在まだ30歳代であるが、18年も続いているジャズ・トリオである。
 名門ECMに移籍したことによって我々の前に姿を現したと言っていいところで、その3作目がこのアルバム。
 ポーランドは、誰もが知っている歴史的に非常な不幸を乗り切ってきた国であることが、現在においてどう生かされ、又国民に何が現在育っているのか、あらためて知りたいところであるが、日本においてそれほど情報は多くない。私が取り上げるのは、アンジェイ・ワイダ監督の映画作品(このブログのテーマである「灰とダイアモンド」もその重要な1つ)からのイメージから全てをみていくところに偏って(?)ゆくのであるが、こうしたジャズ・ミュージックが聴かれることは極めて興味深いのである。

 いずれにしても、第2次世界大戦の最中は、ナチス・ドイツとソ連により分割され、戦後はソ連の支配下(1952年人民共和国)といっていい東欧社会を経て、ようやくソ連の崩壊により、1989年になって民主化が行われ、ポーランド共和国となった国である。多分文化活動やそして音楽の分野の革命も大きかったことが推測される。

Mwtrio さて、このアルバムに話は戻そう。
(Members)
   Marcin Wasilewski (p)
   Slawomir Kurliewicz (b)
   Michal Miskiewicz (d)
のトリオ編成で、先に書いたとおり18年の歴史を刻んでいるという硬い契りのトリオだ。つまり感受性豊かな10代に民主化が起こり、そうした中で結成された民主化の申し子のようなバンド。

(List)
   1. an den kleinen radioapparat
   2. night traim to you*
   3. faithful
   4. mosaic*
   5. ballad of the sad young men
   6. oz guizos
   7. song for swirek*
   8. woke up in the desert*
   9. big foot
  10. lugano lake*
         (*印オリジナル)

 このトリオの作品の評価となると、私のような素人には極めて難しい。しかし感ずる世界があるかと言えば、そのあたりは十分にあると答えられる。
 オープニング曲はドイツはユダヤ系のEislerの曲。静かなピアノに、細かい一つ一つの音を大切に演奏して響かせるシンバルとベースのリズムの刻み。既に一曲目で気持ちがぐっ~~と安らかに定まってくる。2曲目にマルチンのオリジナル曲がアップ・テンポに展開。しかし荒々しさはなく説得力がある。トリオのかみ合わせも見事な彼らの技能発揮そのものの曲。3曲目はタイトル曲、なるほどこれぞこのアルバムの世界観。5曲目にはピアノが語る美しいメロディーが流れるスタンダード曲の”ballad of the sad young men”。
 後半の6曲目はブラジルのパスコアールの曲という”oz guizos”、その意味は分からないが彼らの醸し出す人生の裏の派手さのない真実に迫るムードには私は完全に没入する。7、8とマルチンのオリジナルが続くが、品のあるセンスが感じ取れるし、次第に盛り上げていく様と最後の締めの安定感と美しさに感動。9曲目は珍しい活動的前進的な曲造り。最後のオリジナル曲”lugano lake”は、人生と自然の美しさを感じさせてくれる。

 しかし、こうした演奏が手に取るような音で聴けるところは、ECMに感謝しつつ幸せの極地でもある。

Trio 「simple acoustic trio (Marcin wasilewski)/ TRIO」 ECM Records  ECM-1891 9820632 ,  2005

 先にも触れた私がこのトリオに出会った最初のアルバム。当時ポーランド産と聞いただけで真摯に聴き入ったもの。ECM移籍の第1作である。
 そしてその美しくもやや哀愁がある演奏と、そして又心を整理してくれるような世界への導きに感謝したアルバムである。
 是非とも、今回の新作「Faithful」と共に愛聴盤にしてほしい私からの提案である。

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