ジョバンニ・ミラバッシ

2023年1月27日 (金)

2022年 ジャズ・アルバム(インスト) ベスト10

 2023年もスタートして、もう1月も終わろうとしているので、そろそろ昨年リリースされたジャズ・アルバムを取り敢えず整理しておきたい。そのうちに「ジャズ批評」誌でも、恒例の「ジャズ・オーディオ・ディスク大賞」が発表されるので、その前に私なりの独断と偏見によって、特に「INSTRUMENTAL部門」の「ディスク大賞」をここに挙げてみた。

 なお評価はリアルタイムに当初聴いた時の感想によることにした(このブログに当初記載したもの)。後からいろいろと考えると迷うところが多いため、初めて聴いて評価したものを尊重する(現在はちょっと異った評価のものもあるが)。又「ディスク」を評価と言うことでも所謂「曲・演奏(100点満点)」と「録音(100点満点=これは一般的な音の良さで、録音、ミックス、マスターなどを総合考慮)」のそれぞれの評価の合算(200点満点)で評価し、又同点の場合は演奏の評価の高いものの方を上位に、更に両者とも全く同点のものは、現在の評価によって順位を付けた。

 

🔳1 Alessandro Galati Trio  「Portrait in Black and White」
   (曲・演奏:95/100  録音:95/100  総合評価190点)

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🔳2   Worfert Brederode  Matangi Quartet  Joost Libaart  「Ruins and Remains」
    (曲・演奏:95/100  録音:95/100  総合評価190点)

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🔳3   Angelo Comisso  Alessandro Turchet   Luca Colussi「NUMEN」
    (曲・演奏:95/100  録音:95/100  総合評価190点)

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🔳4   Kjetil Mulelid Trio 「who do you love most ?」
   (曲・演奏:90/100  録音:92/100  総合評価 182点)

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🔳5   Tord Gustavsen Trio 「Opening」
   (曲・演奏:90/100  録音:90/100  総合評価180点)

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🔳6   Helge Lien Trio 「Revisited」
    (曲・演奏:90/100  録音:90/100  総合評価180点)

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🔳7   Kit Downes  Petter Eldh  James Maddren 「Vermillion」
    (曲・演奏:90/100  録音:90/100  総合評価180点)

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🔳8   Giovanni Mirabassi  「Pensieri Isolati」
    (曲・演奏:90/100  録音:88/100  総合評価178点)

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🔳9  Joel Lyssarides  Niklas Fernqvist  Rasmus Svensson Blixt  「Stay Now」
    (曲・演奏:90/100  録音:88/100  総合評価178点)

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🔳10 Alessandro Galati Trio 「European Walkabout 」
    (曲・演奏:88/100  録音:90/100  総合評価178点)

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(考察)
 年末に登場したAlessandro Galati Trio 「Portrait in Black and White」が、なんと1位を飾った。2位のWorfert Brederode 「Ruins and Remains」と同点であったが、ジャズ・アルバムとしての楽しさの評価を加味してこの順とさせて頂いた。
 しかし、相変わらずAlessandro Galatiの演ずるところ、ジャズというものの奥深さと聴く人間との関係に迫ってくるところは素晴らしい。そんな意味では「European Walkabout」は、もう少し上位と今は考えているが、聴いた当初の評価がこうであったので10位に甘んじた。

 Worfert Brederode 「Ruins and Remains」は、異色であるが彼の特徴が十分生かされた企画で驚きとともに上位に評価。
 今年はTord Gustavsen の久々のトリオものの出現があって嬉しかった。ほんとは3位ぐらいかもと今となると思うのだが、Angelo Comisso 「NUMEN」Kjetil Mulelid Trio 「who do you love most ?」の実力ある素晴らしさに圧倒されてしまった。
 Helge Lien のトリオものも嬉しかったが、曲が再演奏集というところで、こんなところに落ち着いた。

 Kit Downes 「Vermillion」の品格のあるジャズには高評価を付けた。
 Giovanni Mirabashiは、相変わらずのピアニストの演ずるレベルの高さが実感できた。
 Joel Lyssarides 「Stay Now」この線の北欧世界に期待しての高評価とした。

Stefanoameriowithhorus2w  なお、録音の質もかなり良くなってきているが、その出来から見ても、エンジニアとしては、やはりStefano Amerio(ArteSuono Recording Studio /  Itary→)の活躍が抜きんでていた。私の偏りもあるが、ここに選ばれた10枚うち、なんと6枚が彼の録音によるものであったという結果に驚いている。

  ジャズ演奏の最も基本的なインスト部門では、相変わらず本場米国を凌いでの欧州一派の健闘が昨年も圧倒していた。はてさて今年はどんなところに感動があるか楽しみである。
 なお、この10アルバムは、このブログで取り上げているので詳しくはそちらを見ていただくと嬉しい限りである。

(試聴)
Alessandro Galati Trio  「Portrait in Black and White」

  

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2022年5月15日 (日)

ジョバンニ・ミラバッシ Giovanni Mirabassi NYtrio「The Sound Of Love」

ミッシェル・ルグランのトリビュート・アルバム

<Jazz>

Giovanni Mirabassi New York Trio featuring Tatiana Eva-Marie
「The Sound Of Love - tribute to Michel Legrand」
VENUS Records / JPN / VHVD-1299 / 2022

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ジョヴァンニ・ミラバッシ Giovanni Mirabassi (piano)
アレキサンダー・クラフィー Alexander Claffy (bass)
ジョー・ペリ Joe Peri (drums)
*Special Guest :タチアナ・エヴァ・マリー Tatiana Eva-Marie (vocals #1,3-7,9)

Recorded at Big Orange Sheepp Studios,Brooklyn,New York on Nov.17,18,19th and 20th 2021

 日本のVENUS Recordsの企画で、出来上がったアルバム。人気のピアニスト:ジョバンニ・ミラバッシ自身も日本にはいろいろと接点があって、結構乗り気であったようだ。特にフランスのポピュラー・ミュージックの大御所で誰もが知ってるミッシェル・ルグランのトリビュートものということと、以前に約束したアバロン・ジャズ・バンドのタチアナ・エヴァ・マリー(1985年生まれ)とのアルバム造りと、いろいろと条件は揃ってのアメリカにての録音ものだ。
 これはニュー・ヨークでの初めて組んだトリオによるもので、単なる女性ヴォーカルものでなく、彼が演じたかったトリオ・ジャズに彼女の歌の色を添えてもらったという感じだの出来。

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(Trackliat)

1.シェルブールの雨傘 Les Parapluies De Cherbourg (I Will Wait For You) 〈J.Demy-M.Legrand〉
2.思い出の夏 Un Ete 42 (The Summer Knows) 〈M.Legrand〉
3.シュフォールの恋人たち Chanson De Maxence (You Must Believe In Spring) 〈J.Demy-M.Legrand〉
4.リラのワルツ La Valse Des Lilas (Once Upon A Summertime) 〈E.Mmarnay-M.Legrand〉
5.アモール・アモール Amour Amour Je t'aime Tant 〈J.Demy-M.Legrand〉
6.サウンド・オブ・ラブ The Sound Of Love 〈Tatiana Eva-Marie-G. Mirabassi〉
7.ウォッチ・ホワット・ハプンズ Watch What Happens 〈J.Demy-M.Legrand〉
8.これからの人生 What Are You Doing The Rest Of Your Life 〈A&M.Bergman-M.Legrand>
9.風のささやき Les Moulins De Mon Coeur (The Windmills Of Your Mind) <A&M.Bergman-M.Legrand>

 もともとイタリア人のミラバッシは、独裁政権下にフランスへの亡命によりパリで活躍することとなったという経過からも、もうすっかりフランス・ムードに包まれている。
 そもそもこの企画は、呼ばれた女性歌手タチアナによるものだったようだが、彼女はスイス生まれだが11歳で演劇を学び、15歳にパリに移住してソルボンヌ大学にて勉学、したがってやはりフランス文化が体にしみこんでいる。そして2011年からニューヨークで音楽・演劇で活躍している。
 従って、このアルバムは昨年ミラバッシが渡米して録音している。そして現地にて若者2人( Alexander Claffy (bass 下左)、Joe Peri (drums 下右))と初トリオをこのアルバムのために組んでの作品だ。しかし、やっぱりフランス・ムードに満ち満ちている。

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 収録曲は9曲だが、8曲はルグランの曲だが、M6."The Sound of Love"のみミラバッシの曲で、ゆったりとしたバラード曲。タチアナのヴォーカルはやや押さえた情感たっぷりの途切れそうに響くトリビュート曲。

 アルバム・スタート曲は、超ヒット作M1."シェルブールの雨傘"で、なるほどこのムードかと、タチアナのヴォーカルは、基本的には美しい声での優しさに満ちているものだ。言葉はフランス語で歌い上げ、ミラバッシのピアノが流れるように展開したトリオ演奏で、なんと後半は主旋律は顔出さずに終わる。
 M2." Un Ete 42" 、M8."What Are You Doing The Rest Of Your Life"は、トリオのみのインスト・バージョンで、M2は、トリオ演奏の醍醐味が伝わってくる演奏で、ゆったりとした説得力ある序奏からはじまり、中盤以降のピアノが躍動、例のミラバッシならではのパッセージの乗りが聴ける。リズム隊それに伴って躍動して面白い。そしてM8は、異色のベースが大きく役割の果たしている曲だ。流れはベースのテーマ演奏がゆったりと低音で響き、ピアノの洒落た静かな支えが見事。
 M4."La Valse Des Lilas"は、しっとりムードの歌と後半のミラバッシのピアノは別世界、そんな洒落た変化が楽しい。
 M5."Amour Amour Je t'aime Tant "は、タチアナの芸達者な歌のムードの中に、ピアノの流れとともに引っ張り込まれる。

 締めのM9.".風のささやき"は、又々有名曲でしっとりと訴えるところはしっかり押さえて、後半のピアノのメロディーは美しさに満ち、ソロ演奏での盛り上がりも見事で、そして静かにヴォーカルとのデュオで幕を閉じる。

 これは単なるヴォーカルものに終わっていないところが聴き応えある。ミラバッシなりの流麗なピアノは全編満ち満ちていて期待を裏切らないし、原曲から彼のジャズ世界に引っ張り込んでゆくところが見事である。 

(評価)
□ 編曲・演奏・歌  88/100
□ 録音       85/100

(視聴) 現在、当アルバム『The Sound Of Love』に関するものが、まだ見当たらないので・・・・G.MirabassiとTatiana Eva-Marie ものを参考までに

 

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2022年2月10日 (木)

ジョバンニ・ミラバッシ Giovanni Mirabassi 「PENSIERI ISOLATI」

孤独から生まれた今を描いたピアノ・ソロの世界

<Jazz>

Giovanni Mirabassi 「PENSIERI ISOLATI」
JAZZ ELEVEN / IMPORT / MOCLD-1077 / 2022

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Giovanni Mirabassi (p)

71l3dddg1bl_ac_slw  私の注目しているジャズ・ピアニストのジョバンニ・ミラバッシも久しぶりです(歌手サラ・ランクマンとのデュオ「INTERMEZZO」(2019)以来)。なんと言っても彼は2001年にリリースした「AVANTI!」(→)は革命歌、反戦歌、民衆の歌をテーマとし、究極の人間の姿に美しさと哀感を描いたソロ作品をリリースし、ジャズ・ピアノの奥深さに感動させられた。それ以来20年の経過は彼の多彩なアプローチが日本にとっても印象深い世界だった。ピアノ・トリオ好きの私にとっても、彼のピアノ・ソロはあまりソロという感じがなく彼の演ずるピアノ・タッチは多くの音を流してその中に旋律が存在しているという形で、聴く方も圧倒される。演ずる世界が、何となく哀感を持って美しく聴く者の心に入り込んでくるために逃れられないミュージシャンとなっている。

  今回の久々のアルバムも、タイトルは「PENSIERI ISOLATI 」、これはイタリア語で"孤立した思考"と訳して良いのだろうか、彼はイタリアの古き町ペルージャ出身だが、もとファシスト党の流れをくむ国民同盟などと作った新党「自由の国民」を軸に活動するベルルスコーニ政権から逃れるためにフランスに亡命(アルバム「AVANTI!」は、こんな経験もあってのことか)。現在住んでいるモンマルトルの彼のアバート(マンション)での、2020年の春、コロナ禍によって数十のコンサートをキャンセルせざるを得なくなり、家族と過ごしながら内省に追い込まれ、彼の50歳の誕生日は少なくともこの世界の終わりでもあったと感じられた環境に追い込まれたとか。

 彼の言葉によると「私はこの時空のギャップを利用して、親密なメロディの記録を作った。自分で作曲したもの、そうでないものもあり、私の音楽的青春を回顧するかのようでした。 心ではなく、アルゴリズムに作品の正当性を納得させなければならない日が来るとは、誰も想像していませんでした。しかし、芸術は流れに乗って進んでいくものです。歴史の囚人である我々は、鏡という単純な効果によって、我々の時代のことを伝えます。だから、私はできる限り、今の時代を演奏しました。私たち人間のために、私の子供たちのために、他の人の子供たちのために、私の話を聞いてくれるすべての人たちのために。選んで聴いてくれる人たち、あるいは偶然に耳にする人たち、ある日耳にして、好きになってくれないかもしれないし、BGMでかかっているこのピアノ曲集に注意を払ってくれないかもしれない人たちのためにも。私は毎週、自分の孤独を録音して、明日のためにとっておく作業を繰り返しました。」と言っている。
 そんな内省的な懐古的な孤独の中でも将来を未来を描いて、今を一生懸命演奏したと言っているわけだ。

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1.The Healing waltz
2.Un Peu comme cette Époque
3.Pensées isolées
4.Seascape
5.Les chants magnétiques
6.Canta che ti passa
7.Behind the white door
8.Reactionnary Tango
9.Le libre arbitre
10.What's new
11.Ovoulez vous que je m'assoie ? (Bonus track)

 もう全編に彼の指の流れから描く世界は抒情性たっぷり。
   ミラバッシのコード・アレンジの妙が多彩で、もともとのクラシカルなアプローチが全編に渡って繰り広げられ、ジョバンニ彼自身のオリジナリティを追求する姿勢は相変わらずだ。
 又例の如く彼の特徴のパッサージ奏法の凄さですね、これが途切れることなく曲中これでもかこれでもかと流れてお休みさせてくれない。聴きようによっては、曲によってピアノの一つの鍵打音の余韻の世界が味わえない感じにもなるが、曲の流れの中で聴き手の勝手な空想を越えて休む暇も無く引っ張られるのだ。

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 今回のアルバムは、どの曲がどうだのこの曲がああだのと言うところまで聴き込むには私の能力で結構大変なところにあって、全体の印象が評価というか感想になるが、まず激しい激動の感覚は完全に押さえられ、やや憂いのあるメロディーによって抒情性は高まっている。更にクラシック派の流れも顔を出して、どこかすがすがしさも感じてしまう。
 曲のタイトルが彼の曲は英語でなく、フランス、イタリア語なのか難解。したがって聴いたそのものの印象だが・・・
 私の曲のイメージからは、M1."The Healing waltz"は、優しさ溢るる曲でスタート、M2."Un Peu comme cette Époque"は、予期せぬ状況を描き、M3."Pensées isolées"では哀感が伝わってくる。
 Johnny MandelのM4."Seascape"は、懐かしさ溢れる静かな美しい展望が眼前に迫ってくる。
 M5."Les chants magnétiques"は、彼のピアノの音の余韻が美しい。M6."Canta che ti passa" 過去に思いを馳せているのか。
 Carla BleyのM8."Reactionnary Tango"は、哀感とメロディーの美しさが。M9."Le libre arbitre"は、美しいメロディーがクラシックを聴いているような気分になる。
 M10."What's new"は、静かな中に過去から未来への展望が見えてくる。

 良いメロディーで、即、取っつきやすいと言うより、何度も何度も聴くことによってその良さと凄さを感ずる曲作りだ。彼が今の時代を記録的にも残しておきたいという意欲も十分に感じられる。
 こうした作品は、それなりの専門家の技術面も含めての評価をむしろ私自身聞いてみたいと思うのである。

(評価)
□ 曲・演奏 90/100
□ 録音   88/100

(視聴)

*

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2019年5月30日 (木)

ジョバンニ・ミラバッシGiovanni Mirabassiのニュー・アルバム「INTERMEZZO」

イタリア・カンツォーネを演じたアルバム

<Jazz>

Gioovanni Mirabassi   Sarah Lancman 「 INTERMEZZO」
JAZZ ELEVEN / JPN / JZE11004 / 2018

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Gioovanni Mirabassi : piano  
Sarah Lancman  : vocals
Olivier Boge : saxophone

  イタリアの人気ジャズ・ピアニスト・ ジョバンニ・ミラバッシが、昨年彼のトリオと共に来日したフランス人女性ジャズ・シンガー・サラ・ランクマンとデュエットでイタリアを旅するソング集がリリースされた。曲によってはアルト・サックスが色を添えるというパターンである。

  ミラバッシはアルバム「AVANTI」(2001)以来私は彼のジャズ・ピアノのファンで、ニュー・アルバムがリリースされるとつい飛びついてしまう。

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1. Il Poeta
2. Estate
3. Parlami D'Amore Mariù
4. Ah, Che Sarà, Che Sarà
5. Vedrai, Vedrai
6. La Canzone Di Marinella
7. Almeno Tu Nell'universo
8. Sabato Italiano
9. Senza Fine

 これはイタリアのカンツォーネ集といったところだ。従って、イタリア風土を反映した比較的明るい恋の唄といったところか、そんなところからなんとなくロマンティックなムードに包まれるアルバムに仕上がっている。そんな訳で、あまり暗さはなく聴きやすい。サラ・ランクマンの歌は、かなり情感は込められてはいるが、どこか物悲しい哀愁と言うところではなく、やはり比較的ロマンテイックなムードの方が優先している。

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 M3."Parlami D'Amore Mariuマリウ愛の言葉を"は、1932年の映画「殿方は嘘つき」のヴィットリオ・デ・シーカの歌った曲と紹介されている。サックスとサラのヴォーカルが交錯してムードたっぷりの仕上げで、ミラバッシのピアノはバックにあって愛の唄を盛り上げていて、注目曲。
 しかし中でも私が取り上げたい曲は、M5."Vedrai,Vdrai"で、これはルイジ・テンコの1965年の人気曲だそうで、メロディーが美しく、そこには抒情的な哀感のある歌声が聴ける。
  M6."La Canzone Di Marinella"は、やや陰影のある唯一アルトサックスが歌い上げるヴォーカルなしの曲だ。
  M7."Almeno Tu Nell'universo宇宙の中にあなただけ"は、1989年サンレモ音楽祭批評家賞の曲だそうだが、ミラバッシのクラシックムードのピアノ演奏と歌い上げるサラの広い世界を展開する曲。
 M8,M9は、実のところそう注目されるというものでなかった。

 どうも結論的には、私自身の期待度が大きかったせいか若干肩透かし。しかし考えてみればこれがカンツォーネ集なのかもしれない。そんなつもりで聴くのが良いと思う。つまりミラバッシの余興のようなアルバムであった。

(参考)サラ・ランクマンSarah Lancman(vocal)
  1989年、フランス生まれ。ローザンヌ音楽大学でピアノとヴォーカルを専攻。卒業後、2012年にモントルージャズフェスティバルで国際シュア・ジャズヴォーカルコンクールで優勝。2015年よりジョバンニ・ミラバッシと活動を共にするようになり、共同設立したこのレーベル「JAZZ ELEVEN」で作品をリリースしている。

(評価) (まあ、80点と言うところでしょう)

▢ 曲・演奏・歌 ★★★★☆
▢ 録音     ★★★★☆

(視聴) 

 

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2018年11月27日 (火)

ジョバンニ・ミラバッシのニュー・アルバム GIOVANNI MIRABASSI TRIO 「SUMMER'S GONE」

ロマンティック・メロディストの世界は抒情的にして流麗な世界

<Jazz>
GIOVANNI MIRABASSI TRIO 「SUMMER'S GONE」
CAMJAZZ / Import / CAMJ 7938-2 / 2018
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Giovanni Mirabassi (piano)
Gianluca Renzi (bass except 5,7,10,12)
Lukmil Perez (drums except 5,7,10,12)
Recording & Mixing Engineer : Stefano Amerio
Recorded at Artesuono Recording Studio in Nov. 2016
 イタリア人であるがパリで活躍しているピアニスト:ジョバンニ・ミラバッシGiovanni Mirabassiの久々のトリオ・アルバム(CamJazz第4弾)。前トリオ・アルバムは、ジブリ・アニメの大ファンだと公言し製作したジブリ曲集でもある『Animessiアニメッシ』(2013)であったが、どうも過去のアルバムと比して若干魅力は失せていた。そしてあれから既に4年半を経過してしまったんですね。
 むしろ昨年のCamJazzからのソロ・アルバム『LIVE IN GERMANY』 が私にとっては魅力を感じたところだ。

 今回の中身は全12曲中11曲がミラバッシのオリジナル曲というところが注目点。しかも彼のピアノ・ソロ曲も挿入されている。とにかくミラバッシとくれば2001年の『AVANTI!』(2001)が強力で、全てあのアルバムと比較して聴いてしまうと言う私である。あのようなソロによるものと、このトリオでは若干意味合いは異なっても、やはり彼の独特な抒情派で有りながらどこかコンテンポラリーなところがあり、又緊張感のある硬質な切れ味を加味してのメロデッックに聴かせるところが大きな魅力である。そんな意味でも待ちに待ったトリオ作品だ。
 更にレコーディング・ミキシング・エンジニアがステファノ・アメリオというところも聴きどころである。
42518634trw(Tracklist)
01. Requiem For N. F. (6:04)
02. A Dirty Job (5:02)
03. Le Voyage De Yui (3:52)
04. Quasi Quasi (5:04)
05. Ausencias (solo piano) (Astor Piazzolia)(8:08)
06. La Mélodie Du Désastre (4:32)
07. Impro 1 (solo piano) (1:06)
08. Summer's Gone (6:41)
09. My Corean Heart (4:55)
10. Impro 2 (solo piano) (0:51)
11. Nana Nana Nana (777) (5:45)
12. Valentina (solo piano) (3:01)


 考えてみるとこのアルバムは、ミラバッシのオリジナル曲集であることが、久しぶりと言うか珍しい部類に入るので、興味は津々というところであった。冒頭のM1." Requiem For N. F"から透明感のあるピアノの響きが止めなく流れ、ベース、ドラムスが快調に展開する。いっや~ミラバッシ世界が始まったなぁ~と嬉しくなる。
   M3." Le Voyage De Yui"
は、彼独特のコンテンポラリーなフリー・ジャズっぽい演奏もしてみせる。そしてそれが良いアクセントになっている。
 .そして皮肉にもこのアルバムの中では、私の場合彼がソロ・ピアノで演じたM5."Ausencias" (唯一彼のオリジナルでないPiazzoliaのカヴァー曲)が、一番お気に入りの曲になってしまった。つまりそれ程彼のソロで演ずるピアノの音は多彩でリリカルにして美しく、まさに宙を舞うが如くの展開に惚れ惚れとしてしまうのである。
*
Trio

 だからと言って、トリオ演奏が劣るわけで無く素晴らしい。特にアルバム・タイトル曲であるM08." Summer's Gone"が心を引きつける。ここにはロマンティック・メロディストの面目躍如なるミラバッシのピアノの音が澄みわたって美しく響き、しかも詩情をたっぷりと感じるところを演じてくれる。
 そしてアメリオの録音は、ピアノ・トリオとは言え、けっしてベース、ドラムスをないがしろにしない。三者をものの見事に配置する。従ってドラムス、シンバルの音も冴え渡り、ベースも心地よく響き、そんな中で、ミラバッシのピアノが非常に多くの音を多彩に演ずる。ふとピアノ・ソロ演奏かと思わせるところがあるくらいだが、ベース、ドラムスの二者はスパイスと高揚感を持たせてくれる役目は十分に果たしてくれる。

 とにかくミラバッシの抒情的で流麗な演奏は、如何にも独特の世界であって、どの曲を聴いてもその美しさに圧倒される。それはイタリア人の歌心なのか、ピアノで演ずる端麗美と詩情と多彩な音により構築するメロディーには彼以外の何物でも無いと聴けばすぐ解るところにある。
 久々にミラバッシのトリオ盤を手にしてご機嫌なのである。
(評価)
□曲・演奏 : ★★★★★☆ 
□録音   : ★★★★★
(参考視聴) 今回のニュー・アルバム映像はまだ見当たらないので、過去のものを・・
 

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2017年3月 8日 (水)

ジョヴァンニ・ミラバッシGiovanni Mirabassiのピアノ・ソロ・ライブ 「LIVE IN GERMANY」

これはミラバッシらしい音の洪水に溢れたアルバムだ

<Jazz>
Giovanni Mirabassi「LIVE IN GERMANY」
CAM Jazz / ITA / CAMJ79102 / 2017.2

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Giovanni Mirabassi (piano) solo
Recorded on 16 Sept. 2014 at Bauer Studio, Ludwigsburg

  私はあのアルバム「AVANTI」 以来、イタリア出身でフランスで活躍しているのミラバッシGiovanni Mirabassiのファンなんですが、このライブ・アルバムの購入は若干躊躇していたんです。それも近作の2016年「NO WAY OUT」は、彼の一つの挑戦がみえて良かったんですが、 「VIVA V.E.R.I」、「Animessi」あたりが、実はそれ程面白くなかったせいかも知れない。
 ところが、そうこうしている時に爵士さんからこのアルバムを薦められました。いっやー、このアルバムは成る程あのミラバッシらしさが聴かれて喜んでいるんです。それも彼のかなり力みの無いリラックスした姿を感じ取れるんです。

 このアルバムは、ドイツでのステージ・ライブものなんだが、どうゆう訳か?エラ・フィッツジェラルド、メルセデス・ソーサ、エディット・ピアフ という3人のシンガーに捧げるという酒肴なんですね。
 エラ・フィッツジェラルド(Ella Jane Fitzgerald、1917- 1996年)はコール・ポーター、ジョージュ・ガーシュィン、アントニオ・カルロス・ジョビンなど唄ったし、メルセデス・ソーサ(Haydée Mercedes Sosa, 1935 - 2009年)はアルゼンチン・フォルクローレの女性歌手である。
 そしてエディット・ピアフ(Édith Piaf, 1915 - 1963年)は、フランスのシャンソン歌手で、有名な”ばら色の人生”とか”愛の賛歌”等のヒットがある。何故この3人三様の全く異なった歌手を選んだのかよく解らないが、とにかく共通点は人間模様、喜びと哀しみ、熱い情熱と陰のある憂愁 と・・・・多彩な人生模様といったところなのか。それによって彼の心の一部を覗かせてくれているんです。

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1. Sous Le Ciel De Paris (J. Dréjac - H. Giraud) 4:31
2. Canción Con Todos (A. Tejada Gomez - J. C. Isella) 4:42
3. The Man I Love (I. Gershwin - G. Gershwin) 6:21
4. Hymne À L’Amour (E. Piaf - M. Monnot) 3:29
5. Sólo Le Pido A Dios (L. Gieco) 5:51
6. Mercedes (G. Mirabassi) 3:58
7. My Old Flame (S. Coslow - A. Johnson) 5:11
8. J' M'en Fous Pas Mal (M. Emer) 5:44
9. Ella (G. Mirabassi) 6:17
10. Duerme Mi Tripón (O. Galíndez) 4:43
11. Bewitched (L. Hart - R. Rodgers) 4:48
12. Edith (G. Mirabassi) 5:03
13. I've Grown Accustomed To Her Face (A. J. Lerner - F. Loewe) 2:56


 いやはや、これはやはりミラバッシですね。非常にポピュラーな曲を演じているのだが、それぞれ1曲1曲の展開が複雑な展開を加味させて、何か一度に二つ以上の曲を聴いているような気分になります。
 まずはオープニングM1. ”Sous Le Ciel De Paris”で、このソロ・コンサートの意味を聞かせるが如くシャンソンがミラバッシ流のピアノの音の洪水で満たされるのである。
 今回はあの気になる唸りを上げるような熱演と言うよりは、かなりさらりとした演奏をベースにしているので、違和感なく気楽に聴けるところが良いです。ただライブということで曲間に拍手が入って、どうも私の感覚だと、ミラバッシの世界にのめり込めずにやや客観的に冷静に聴くというところになってしまうのですね。記録と言うよりは聴かせるアルバムとして、拍手を入れたかったら最後だけで良かったのでは?。
 しかし彼はやっぱり技法としては尋常なパッサージ・ワークではないですね。これだけ単調なメロディーでありながらも、そこに聴かれる音の多彩さに圧倒されます。
 アルバム全体で見ると、後半になるにつれ優しさが溢れてきて、心も落ち着いてホッとする世界に連れて行ってくれます。

(ジョヴァンニ・ミラバッシ紹介=http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/giovanni-miraba.html 参照)

(視聴)

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2015年4月 9日 (木)

ジョヴァンニ・ミラバッシGiovanni Mirabassiのニュー・アルバム「NO WAY OUT」

ヴィブラフォンをフューチャーしてミラバッシの挑戦は続く・・・・・

<Jazz>
       GIOVANNI MIRABASSI QUARTET 「 NO WAY OUT」
           Cam Jazz / CAMJ 7884-2 / 2015

Nowayoutbb
 ジャズ・ピアノを愛する者にとっては、なんと言っても説得力のあるのは、イタリア出身でフランスを拠点に活躍しているピアニストのジョヴァンニ・ミラバッシ(1970年生まれ)だ。ここで彼のニュー・アルバムを取り上げよう。
  そういえばミラバッシと言うと、 「Animessi」という日本企画もののジブリのアニメ・ソング・アルバムが昨年リリースされていたが、こっちはCAMJazzから彼の久々の本格的ニュー・アルバムの登場。今回は次のようなメンバーによるカルテットである。

Giovanni Mirabassi : Piano
Stefon Harris : Vibes
Gianluca Rebzi : Double Bass
Lukmil Perez Herrera : Drums

Nowayout2_2 なんとミラバッシお馴染みのピアノ・トリオ+ヴィブラフォンのカルテットだ。このところ私にとってはヴィブラフォンものは久しぶりである。かってのようにどこにも登場した感のあった時代があったが、最も代表的なMJQを思い起こすと、その現代性は隔世の感ありの進歩がこのアルバムにある。まあ近年はヴィブラフォンものが、ちょっと少ないように思うのは・・・私の好みの為だろうか?。それはそれとしてこのアルバムはそんなところの注目点がある。

 ミラバッシのCAMJazzからというと、韓国での収録のオーケストラをバックにしてのトリオもの「VIVA V.E.R.D.I.」が2013年にリリースされて以来の第2弾だ。あのアルバムの評価は若干私は戸惑ったところがあったのですが、その時に、ふとミラバッシはある壁に当たっているのではないか?という事が、頭をよぎったのであった(彼の存在感を世に示した2001年の「AVANTI!」の再現盤2011年の「ADELANTE!」もその一つか)。そして今回のヴィブラフォンを加えてのカルテット、これはやっぱり一つには彼の壁を破りたい挑戦なのだろうと私はこのアルバムを聴いて確信を持った。

Nowayoutlist 収録曲(右)は8曲で、全曲ミラバッシのオリジナルという気合いの入ったモノ。そしてトリオは前作と同じメンバーだが、ヴィブラフォン奏者は、まさに現代を代表するアメリカのステフォン・ハリスStefon Harris を呼んでNYブルックリンで2013年12月の録音。
 まずこのアルバムの出来は一口に言ってハイレベル演奏だ。とにかくミラバッシのピアノ・プレイは更に磨きがかかっていて、密度の高い流麗にして詩情豊かで、しかもダイナミックなプレイを展開。彼の新展開への意気込みが伝わってくる。そしてハリスのヴィブラフォンとの交錯、共鳴、アンサンブルはちょっと並のレベルではない。

Nowayout1 なんと言っても3曲目の”Two finger snaps”が凄い。四者の劇的なスリリングなアンサンブル、そして又四者が交互に前面に出てくるうねりが圧巻。
 2曲目”The snow white syndrome”、4曲目”L'Audance”では、ヴィブラフォンの役回りが快調。ミラバッシのピアノとの交錯にメロディーの主張も響かせ、そこに多分ミラバッシのものと思われる”うなり”というよりは”歌声”がバックに重なって曲に色づけする(まあこの「声」は賛否両論あるだろうと思うところだが・・・私は否定的)。
 6曲目”What was that dream about”では、ミラバッシの従来の持ち味を感じさせるピアノ・トリオが前半に詩的叙情性を演じ、中盤にヴィブラフォンが主導して、後半の四者の盛り上がりへと流れ込む。
 最終曲”II Bandolero stanco”は、トリオの美しさで締めくくる。

 このアルバムは明らかにミラバッシが一つの壁を打ち破るべく、彼の技量をたたき込んで作り上げた一枚だ。それだけにレベルが高い。さてこの高さを聴く者がどこまで消化出来るかが問題のアルバム。
 (参考)
  http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/giovanni-mirava.html

 (視聴) ”NO WAY OUT”がないので”Howl's moving castle”を

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2012年12月 8日 (土)

ジョバンニ・ミラバッシGiovanni Miravassi の初期2枚のアルバム 「ARCHITECTURES」、「DAL VIVO I」

ピアノ・トリオ・アルバムとそのライブ演奏にみる”美”

Mirabassi2  私の場合は、ジョバンニ・ミラバッシのピアノ演奏を聴いていると、何故かその他のピアニストものが若干物足りなくなってくる。そのよって来たるところは彼の演奏テクニック(特にパッセージワーク・テクニックとその流れ)、そして曲の運びにあると思うのであるが、聴き込んでゆくうちに離れられなくなる魅力に溢れている。
 そして彼については、アルバムのリリースにリアル・タイムには聴いてきたわけではないので、実際のところは初期のものといえども、近年のものと実は一緒に聴いている。しかしその中で何故か私にとって印象深いアルバムは意外にこの初期のものなのだ。
 このブログでは、彼のソロ・アルバムと言ってよいもので、しかも革命、レジスタンスといったものをテーマにした特異なアルバム「AVANTI!」(2000年)と「iADELANTE!」(2011年)を既に取り上げたので、彼の原点のトリオものにここでアプローチしてみたい。

GIOVANNI MIRABASSI 「ARCHITECTURES」
SKECH    SKE383010・HM79   ,  1999

Architectures このアルバムは所謂彼のピアノを中心としてのピアノ・トリオ・アルバムだ。
 しかも、彼の初のリーダー作であり、また全曲オリジナルというところで、最も原点的な意味での注目アルバムである。
 このアルバムをリリースして彼に対する注目度はぐっと上がった経過があるようだ。(そして衝撃のアルバム「AVANTI!」は、この翌年2000年にソロとして登場したわけだ)

 このアルバムのメンバー
   Giovanni Mirabassi : piano
   Daniele Mencarelli : Contrebasse
   Louis Moutin : Batterie

 彼等は2001年のライブ・アルバムまでこの三人のメンバーでトリオを組んでいる。

Architectureslist  収録曲は左の9曲。全てオリジナルで彼等の発想が見事に展開している。
 もう既にこのアルバムでミラバッシの美が溢れていることに気づく。
彼は、子供の頃からジャズ・ピアノに興味を持って多彩な活動をしてきたようだが、1992年にイタリアから活動をパリに移した(どうもこれはイタリアの音楽界に見切りをつけたことによるようだ)。そしてそのときにクラシックの巨匠アルド・チッコリーニに出会い、三年間にわたって個人レッスンを受け研鑽を深めたという。
 そしてその後フランスのジャズ界にて活動を展開した。そんな経過で生まれたのがこのアルバムであった。

 2曲目の”cafe français”を聴いてみても、このトリオはかなり練れていて、彼のピアノプレイは旋律の美しさのみならず、群を抜いた特技と言えるパッセージワークで歌い上げ、ベース、ドラムスとの関係も冴えている。そして美しく叙情的な世界は魅力的。続く”really don't match”とか”one more blues”ではジャズ・トリオの醍醐味のインター・プレイが見事で、ただ叙情、美というのでなくジャズを楽しめる。このあたりは円熟トリオに聴こえてくるところが恐ろしい。
 ”28 rue manin”のみギターの入ったカルテットになっているが、ちよっと中盤に違った雰囲気を入れる当たりは相当アルバム作りにも練り上げているところがみえてくる。見事と言えるアルバムなのである。

          *                *

GIOVANNI MIRABASSI 「DAL VIVO I」
SKECH  SKE333021・HM79  ,  2001

Dalvivoial  そしてミラバッシの究極の美は、このライブ・アルバムだ。録音は2001年パリで行われ、直ちに2001年にリリースされている。
 上のアルバム「ARCHITECTURES」の2.4.6.9.の4曲がここでライブ演奏されている(当然メンバーは同じ)。つまり彼のオリジナル曲のライブ版であるが、唯一最後に登場する”El pueblo unido jamas sera vencido”だけは、例の衝撃のソロのアルバム「AVANTI!」のトップを飾った曲で、チリの軍事政権を批判した政治闘争歌だ。その美しさに聴く者を虜にしたあのソロ演奏を、ここではトリオで演奏している。

Dalvivoi 収録曲を詳しくみると左のとおりの8曲。 ライブ演奏になるとアルバム版よりは演奏時間も長くなってくる。そのあたりは彼の感情の導入の結果でもあろう。

 スタートの”jean-paul chez les anges”は、私は先にこの後(2004年)の映像ライブ版「LIVE at SUNSIDE!」で視聴している為か、いかにもミラバッシと、ちょっと聴いただけで解る流麗なピアノの音が流れ出す。約10分に及ぶ演奏だが中後半のドラムスとの盛り上がりが見事。2曲目”place de la marie”はリズミカルでありながら美の世界が展開する。続く”28 rue manin”もライブで一段と叙情性が増して心に響いてくる。ドラムスのLouis Moutinも、このミラバッシとのトリオには手慣れたところで、一層味付けが増してブラッシング、シンバルの音が微妙にサポートして感動。
 そして4.”des jours meilleurs”以降も、ミラバッシのピアノは華麗にして叙情的、そしてその美しさに圧倒される。5.”requiem”ではベースのアルコ弾きが入って、更に盛り上がりが聴ける。
 最後の7.”cafe français”、8.”el pueblo unido ・・・”の美はもう表現を超えたところにあって何も語れない。まさにヨーロッパ・ジャズの素晴らしさを感ずるアルバムである。

(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=OyBrEnp5ZLI

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(ポーランド・ワルシャワにて   2012.10)

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2012年12月 1日 (土)

ジョバンニ・ミラバッシGiovanni Mirabassi : 革命歌「iADELANTE!」

あの「Avanti!」から10年、再びソロで革命、レジスタンスに焦点を絞る・・・・・

 美しくも激しい心のほとばしりを描くミラバッシの2011年の作品と言いたいところであるが、とにかく多彩で圧倒もされる。

GIOVANNI MIRABASSI 「iADELANTE!」
Discograph  LC14846-614 957 2  ,   2011

Iadelante

 ジョバンニ・ミラバッシの活動は、やはり主たるはピアノ・トリオと言っていいと思う。既に積み上がった彼のアルバム群を聴くにつけ、彼がイタリアからフランスへと活動拠点を移したのは音楽的探求とその活動の充実のためなのか?、彼の描く世界の意味付けからなのか?、はたまた人生の生活の場としての意味なのか?、その点は解らない・・・・・。
  しかしこのアルバムはソロ活動として、キューバの首都ハバナ(studio Abdala)に赴いての録音である。そして非常に録音は優秀、彼のピアノ・タッチまで目に見えるようにピアノの音が流れる。 
 ”ADELANTE”とは”前へ”という意味のようだが、彼のあの10年前のベスト・セラー・アルバム「Avanti!」の衝撃に原点回帰にして、そして一種のこれからの彼自身の前進の意味をもっての再出発のアルバムにもとれる。
 しかし、一般に言われるような「Avanti!」の焼き直し的二番煎じとはちょっと違う印象だ。それは比較的短い曲群で構成されたアルバムで、ヴォーカル入り2曲(キューバの曲)、バンドが入るものなどの試みもあって別仕立て。

Iadelantelist2  左のように17曲が収められているが、非常に国際色豊かな曲群だ。テーマはやはり”革命””抵抗”に通じている。

 なにせスタートが聴いたことがある曲と思ったら”インターナショナルL'Internationale”、これは知る人ぞ知るかってのソビエト連邦の国歌だ(もともとは、フランスで作られた歌とか?)。こう美しくなるとは・・・と驚かされる。2曲目は革命の人チェ・ゲバラを讃えた歌”Hasta siempre”。3曲目の”partisan”は、歳をとるにつけ人気の出たアメリカ・ロック歌手のレオナード・コーエンの曲、彼はユダヤ系カナダ人で、革命後のキューバに潜入していたことがある異色の歌手(参考http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/leonard-cohen-c.html )。4曲目の”a luta continua”は、反アパルトヘイト活動のモザンビークの女性歌手ミリアム・マケバの曲。そしてそしてなんとドイツから御存じ”Lili Marlieen”、第二次世界大戦の最中、ベオグラードのドイツ群放送局から流され戦場で愛された歌で有名だ。この演奏でミラバッシの優しさが感じ取れる。最後の”Gracias a la vida”は、アルゼンチンのフォルクローレ女性歌手メルセデス・ソーサのもので、彼女は軍事独裁政権下で歌によって社会変革運動を進めた。

Mirabassi1  いやはや凄い、これをピアノ・ソロを中心に展開するわけだ。しかしこのアルバムは全体に聴くに実はそう難しくない。アルゼンチンの”Libertango”はなかなか展開がメロディアスで聴きどころだ。ラストの”Gracias a la vida”は、ミラバッシの演奏は途中までピアノ・ソロで、中盤以降にベース、コンガ、ドラムスが入り、彼の熱の入ったときのハミング声も聴かれ、最後は合唱で纏めるという面白い仕上げである。

 ただ、彼の真髄の哀愁、叙情、憂いの美の世界をピアノ・ソロで・・・と、言うのをあまり期待しすぎると若干違いを感ずるのでは?。実は私がそうだったわけであるが、アルバム「Avanti!」の”El pueblo unido jamas sera vencido”の美しさに及ぶものは実は無かったと言って良い。彼がそれを目指したのであれば、もう少し違った仕上げをしたであろう。そこに彼のただの焼き直し的なものでない”前進の心”を見てゆきたいのである。しかしファンがそれをどう支持してゆくかは別の話であるが・・・・、しかし随所に出てくる彼の伝えたい人の心は感ずるし、そこにある美をピアノの音で堪能できる。特に彼の特徴である右手で描く華麗なパッセージワークはやはり素晴らしい。

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=3J5DAFQ7etI

(参考) http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/giovanni-miraba.html

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(ポーランド・ザモシチにて   2012.10)

 

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2012年11月16日 (金)

人の心の曲とは? ジョバンニ・ミラバッシGiovanni Mirabassi 「AVANTI !」

人間の究極の姿に美があるのか・・・・・

 ”知っているようで知らない”と・・・・・言う世界はあるものですね。いやはやほんとに何でこれに接点がなかったのだろうか?と、今、私自身に疑問を持ちつつ、こうして接していると、なんか非常に悔しい気持ちでいっぱいになっている。
 それでも、それでも・・・・今こうして接することの出来たことに感激を持って聴いているアルバムがある。

GIOVANNI MIRABASSI PIANO SOLO 「AVANTI !」
ATELIER SAWANO,  SKECH   SKE333015  ,  2001

Avanti

 これは知る人ぞ知るジャズ・ピアニストのジョバンニ・ミラバッシのソロ・アルバムなのだ。

 いやはや、知らなかったのは私だけか?・・・・とにかくインパクトのある作品。それはなんと”美”である。
 彼はイタリア出身でフランスを拠点に活動しているジャズ・ピアニスト。私がいろいろと彼のことをここに書く知識も無いので、”Bluenote”が紹介しているものを末尾に付けたので参照して欲しい。
 とにかく目下彼のアルバムを私はむさぼっているのである。

Avantilist  この作品は2000年のもので、日本では2001年に澤野工房が発売している。左のように、ミラバッシのピアノ・ソロ16曲。このアルバムに付いてくる強力なブックレットをざっと見ることで、その世界が何たるかが想像できる。そしてそこに流れてくるピアノの響きは、先ずは1曲目”El pueblo umido jamas sera vencino”という全く解らない曲名だが、そのブックレットの英語の説明だと”the united peaple will never be defeated”(団結した人々は決して屈しない)というところのようだ。なんと哀愁のあるそして美しいピアノ演奏。これは実はチリの独裁政権に対しての抵抗の歌なのである。
 いやはや驚きだ。ここに登場する曲群は、なんと革命歌、反戦歌、民衆の抵抗の歌、レジスタンスの心、そして民衆の心の歌なのである。

Photo2  これらの歌を何故ミラバッシがピアノソロによる演奏によってアルバムにしようとしたか?は、私の現在の知るところとしては解らない。そこに迫るには、もう少し私自身が彼の幾枚かのアルバムを聴き込む中に、多分解ってくることがあるだろう。それはこれからのテーマである。目下現在は彼のアルバムに耳を傾け、そして人というものの究極の状態に於ける美しさというものを知らしめられているという状態である。

 この中には、誰もが知っていると思われる”Jonny i hardly knew ye”、そしてジョン・レノンの”Imagie”も登場する。

Img_03b  私は、アルバムのライナーノーツというのはあまりその気になって見ない方なんですが・・・、このアルバムの北見柊の話は端的にこのアルバムを旨く表していると思う。そこで何も突き詰めていない私が下手な講釈を言うよりは、それをここに載せてこのアルバムの紹介としたい(↓)。(クリック拡大)
(左:Giovanni Mirabassi) 
又私がこのアルバムに接することになったのも・・・・”爵士さん”に感謝する。これを手始めにもう少し深入りしてゆきたいのです。

[ブックレットの写真]

<1>1973年  : クーデター直前のアウグスト・ピノチェト
<2>1944年8月: 第二次世界大戦、フランスのパルチザン
<3>1789年5月: フランス革命、(イラスト)  
<4>1871年  : パリ・コミューン、モンマルトルの大砲
<5>1965年  : コンゴのチェ・ゲバラ
<6>1945年  : ルイ・アラゴン
<7>1949年  : シルヴァーナ・マンガーノ(映画「苦い米」)
<8>1938年2月: スペイン市民戦争・エブロ川の戦い
<9>1989年9月: 南アフリカ・ケープタウン・反アパルトヘイト平和大行進
<10>1915年9月: 第一次世界大戦・シャンパーニュ地方バポームの丘の攻防戦
<11>1870年代  : ミハイル・アレクサンドロヴィッチ・バクーニン
<12>1981年  : ハンガーストライキのシン・フェイン党員受刑者に祈りを捧げるため刑務所の前に集まった民衆を制止する警察のバリケードライン
<13>1930年代 : イタリアファシストデモ
<14>1967年  : ペンタゴン前の平和主義者のベトナム反戦デモ、銃口に花を挿すデモ参加者
<16>1942年  : 第二次世界大戦、スターリングラード包囲戦でのロシア軍兵士

(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=OYpWXagXbjw
(参考)http://www.youtube.com/watch?v=P0-rnnitNBc&feature=related

Avanti_2


[ジョバンニ・ミラバッシ解説=http://www.bluenote .co.jp/jp/sp/248.html より]
 1970年5月4日、イタリア中部ウンブリア州のペルージャ生まれ。弁護士の父親がピアノやギターなど楽器をたしなみ、気力旺盛なレコード・コレクターだったため、小さい頃からジャンルの線引きなしに音楽を聴きあさった。3人兄弟の次兄で、クラリネット奏者の長兄ガブリエルもジャズ系のレコーディング・アーティストとして活躍中。3歳でピアノを弾き始め、10歳でジャズに開眼しても独学を堅持。オスカー・ピーターソンやビル・エヴァンスらを範にするうち、母国を代表するエンリコ・ピエラヌンツィのピアノに強い影響を受けた。17歳でチェット・ベイカーと共演する厚遇を受け、19歳でスティーヴ・グロスマンとも共演。22歳でイタリア音楽界に見切りをつけパリに渡った。そこで生まれて初めて師事したピアニストが、イタリアからフランスに渡って大成した名匠アルド・チッコリーニだった。ウェイターや夜警のアルバイトをしながら自身のグループでパリのジャズ界に参入し、フラヴィオ・ボルトやステファノ・ディ・バティスタら同郷の仲間と出会うと、’96年にアルバムを初レコーディング。するとこれが、国際ジャズ・コンペのグランド・プライズに輝くことではずみをつける。ソロ・デビューは’99年、ピアノ・トリオでオリジナルばかり演じた『Architectures』で。続いて’01年にソロ・ピアノによる反戦歌、革命歌集『Avanti!』で、フランス・ジャズ界最高の栄誉であるジャンゴ・ライハイルト賞の「最優秀新人賞」を獲得。アルバムのセールスは2万枚を超えた。そこから、ピアノ・ソロやトリオのほか、フラヴィオ・ボルトとの変則トリオによる意欲的な試みを続け、’04年11月に自身のトリオを率いて初来日。日本では、澤野工房による丹誠な支援によって知名度も人気も急上昇。シャンソンやカンツォーネの名曲を弾いたピアノ・ソロ・アルバム『Cantopiano』の反響も手伝って、高い評価を不動のものにしてきた。初来日以降、本公演が6年連続6度目。来日メンバーのトリオでは、’08年1月に1枚目の『Terra Furiosa』を発表。最新作『新世紀~アウト・オブ・トラック』(ビデオアーツ・ミュージック)は同じ顔ぶれによる録音だが、〈インプレッションズ〉や〈アローン・トゥゲザー〉など名物スタンダードに初挑戦。豪放な解釈と華麗な表現手法でアイデンティティを吹き込んだ。来日するのは、’08年3月以来1年ぶり。オフィシャル・サイトは「http://www.mirabassi.com/en/index2.html」。

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