アレッサンドロ・ガラティ Alessandro Galati 「TRACTION AVANT vol.2」
あの名作の続編の登場だ !!
<Jazz>
Alessandro Galati Palle Danielsson Peter Erskine
「TRACTION AVANT vol.2」
JAZZMUD / Euro / AWD 544260 / Released: 18 February, 2022
(320kb/s MP3)
Alessandro Galati (p)
Palle Danielsson (b)
Peter Erskine (ds)
またしても、アレッサンドロ・ガラティ話である。いっやー-知らなかったですね、私がガラティにぞっこんになったのは、アルバム『TRACTION AVANT』(Via Vento Jazz / Euro / W5820007 / 1994 録音はECMの名エンジニアJan Eric Kongshaug (下左))だったんですが、なんと昨年に・・その続編という事だろうか、この『TRACTION AVANT Vol.2』がリリース(2022年2月18日)されていたんですね。もともとガラティが先輩二人のキース・ジャレットのヨーロピアン・カルテットのメンバーであったヨーロッパのトップ・ベーシストPalle Danielssonと、ウェザー・リポートなどのジャズ・シーンをリードしつつけるスーパー・ドラマーPeter Erskineと初トリオを組んでのオリジナル曲やスタンダードの演奏を披露し高評価を得た。そしてここに再びトリオを組んでの(録音日不明)ニュー・アルバムである。
更に、なんと『TRACTION AVANT deluxe』(下右)もリリースされていて、こちらは両アルバムの合体ものなんですね。
そしてリリース・レーベルはイタリアのJAzZMUDで、どうも私の思うにはストリーミング・サービスによるリリースのようだ。(Before the creation of LPs, CDs or the like, music resided in the air. With the advent of digital downloads, music simply returns home, again it is more magical and pure.)
(Tracklist)
1 - Red Milk (with Palle Danielsson & Peter Erskine) 07:42
2 - Someday My Prince Will Come (with Palle Danielsson & Peter Erskine) 06:09
3 - Ripple (with Palle Danielsson & Peter Erskine) 07:07
4 - Blues If and As You Please(with Palle Danielsson & Peter Erskine) 06:51
5 - Palle's Solo (Palle Danielsson ) 01:38
6 - You Don't Know What Love Is (with Palle Danielsson) 07:06
7 - Crinkle (with Palle Danielsson) 04:52
8 - Solar (with Palle Danielsson & Peter Erskine) 07:59
1994年の『TRACTION AVANT』(VVJ007)は、当時このバック・メンバーの二人のほうが当然知れていて、ピアニストのガラティはむしろ新人といったところのトリオであったにもかかわらず、素晴らしいピアノ・タッチとメロディ、そしてその叙情性は見事で聴くものを驚かした。そしてガラティの名が知れ渡ることとなるのだが、現在までの多くの名盤がリリースされているにもかかわらず、ここに『Vol.2』のリリースを見たのである。
このアルバムもまさに美学そのものである。リリカルなプレイで注目を集めている彼だが、透明感溢れるサウンドとその描く世界は、ユーロ・ジャズ・ファン必聴ものである。最後の曲は再演"Solar"であった。
冒頭のM1."Red Milk"から、優しいガラティのピアノ・タッチの美旋律が流れ即彼らの世界に引っ張り込まれる。
M2." Someday My Prince Will Come"は、意外に軽快な展開とインプロヴィゼーションが冴えわたり見事と言いたい。
M3."Ripple "旋律よりは、やや前衛的な音の3者の応酬が聴きどころ。
M4." Blues If and As You Please"ドラムス・ソロに誘導されてのピアノ、ベースの速攻が描くところにこの3者の相性の良さが聴け、最後は静かに一段落。
M5."Palle's Solo"ベースの語るような短いソロ演奏。
M6."You Don't Know What Love Is"ぐっと落ち着いたピアノとベースのデュオ。透明感のあるピアノの響き、相づちをうつようなベース、描く世界はぐっと優しく思索的。
M7." Crinkle "深いベース音、それに乗ってピアノも静かな美旋律の世界に・・・、そして次第にピアノのペースが上がって即興性が加わって展開。
M8."Solar "ピアノのゆったりした序奏から、見事なトリオのそれぞれの持ち味を生かしスウィングする展開に織り成すジャズの醍醐味を見せて幕を閉じる。彼らの懐かしがつての演奏のようにも聴こえるが。
どんなきっかけからこの『Vol.2』の企画がなされたか不明だが、ピアノ・トリオとしてのガラティのクリアな音でのリリカルな演奏は相変わらず見事であるが、この3者のスキのない織り成す演奏が、繊細さばかりでなくダイナミックな展開をも見せ、いかにもトリオとしての相性の良さが聴けて楽しいアルバムであった。
(追記)
未発表トラックを追加しての「Vol.2」盤であり「Deluxe」盤であることが判明しました。ただし、「Vol.2」の最後の曲"Solar"は、間違えて"alt.version"を加えるべきところ元のものを入れてあるようです。以下がガラティの言葉です。
「スタジオセッションのオリジナルテープを聴きながら見つけたいくつかの新曲を挿入したアルバムのリリースで新年を迎え、私のキャリアに多くの幸運をもたらし、私の音楽を世界中に知らしめました。
数日間注意深く聴いた後、私は8つの未発表トラックを選び、元々トラクションアバントCDに収録されていたトラックに追加しました。
その結果、雰囲気が信じられないほど魔法のようなダブルアルバムになりました:私の作曲、標準、自由な即興演奏が新しいバランスで交互になり、多くの新旧のファンの好みに合うことを願っています。」 ( A. Galati. )
(2022年1月6日リリース)Recorded by Jan Erik Kongshaug at Larione 10 (FI).
(評価)
□ 曲・演奏 90/100
□ 録音 87/100
(試聴)
*
最近のコメント