回顧シリーズ(音楽編)

2016年5月 9日 (月)

ピアノ・トリオの企画モノ 「BEAUTIFUL JAZZ PIANO」

TOWER RECORDS が絡んでのピアノ・トリオ企画もの
1950-1960年代回顧~とにかく楽しめます

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                   (”BEAUTIFUL” ~ 我が家に咲いた今年最後の牡丹(白))

       
        <Jazz>
      
     「BEAUTIFUL JAZZ PIANO」
        Not Now Music / Import / NOT3CD208 / 2015

Beatifuljazzpiano

 どうもよく解らないのですが、元は輸入物のようです。あのTOWER RECORDS が絡んでの企画モノと言って良いのでしょう。
 ジャズ・ピアノのオリジナル・コンピレーション。1950~1960年代に絞っての主としてピアノ・トリオもの名曲、名演45曲です。
 これはなんと言っても安いんです。3枚組で1000円少しで手に入りますので、変なモノかなぁ~と思いつつも、TOWER RECORDS とあるし、輸入物のようだし・・・と、まあ失敗してもと覚悟をして購入したんです。それも、もう数ヶ月前なんですが、ちょっと聴いただけで放置していてここに来てゴールデン・ウイークという暇も出来たのでしっかり聴いてみました。

Bill1 いやはや驚きました。これは紛(まが)い物で無く、間違いなくビル・エヴァンス、オスカー・ピーターソン、バド・パウエル、レッド・ガーランド、アーマド・ジャマル、セロニアス・モンク、ホレス・シルバー、ソニー・クラーク、ケニー・ドリューなどなどのオリジナル録音モノのベスト版で、しかもリマスターされたであろうこの歴史物としては良音質ものであって、これはこれはとんだ獲物でした。いやはや懐かしい曲が次々と出てきます。

 Bill Evans を見てみると、”Waltz For Debby  ”と、まさに代表曲、そして”Very Early ”、”Blue In Green ”、”Someday My Prince Will Come ” の4曲が登場して、まあこうしたアルバムですから、こんなところで良いのではと思いつつ、このアルバムの様子がわかろうというところだ。

 私はどちらかというと、アルバムをトータルに聴いて評価するタイプであるので、こうしたオムニバスものって、軽く聴き流すのですが、それにしてはこれはなかなか重厚です。

Thelonious_monk2_2(Disc1)
1.Bobby Timmons/Moanin' 
2.Bill Evans/Waltz For Debby 
3.Oscar Peterson/Night And Day 
4.Bud Powell/Cleopatra's Dream 
5.Erroll Garner/Misty 
6.Thelonious Monk/Honeysuckle Rose 
7.Horace Silver Trio/Opus de Funk 
8.Junior Mance/Love For Sale 
9.Sonny Clark/Tadd's Delight 
10.Andre' Previn/It Could Happen To You 
11.Hampton Hawes Trio/I Got Rhythm 
12.Barry Harris/Moose The Mooche 
13.The Three Sounds/You Are My Sunshine
14.McCoy Tyner/There Is No Greater Love 
15.Red Garland/Gone Again

 M2.Bill Evans”Waltz For Debby”  は勿論ですが、いやはや懐かしいですねM5.Erroll Garner”Misty” これ好きでした。 そしてクラシック・コンダクターでもあるAndre' PrevinのM10.”It Could Happen To You”  と。更にRed Garlandものも完璧です。

Red_garland (Disc2)
1.Shelly Manne/I Could Have Danced All Night 
2.Red Garland/Cjam Blues 
3.Sonny Clark/I Didn't Know What Time It Was 
4.Claude Williamson/I'll Remember April 
5.Ahmad Jamal Trio/Speak Low 
6.Bill Evans/Very Early 
7.Kenny Drew Trio/When you wish upon a star 
8.Junior Mance/Whisper Not
9.Erroll Garner/Exactly Like You 
10.Hampton Hawes Trio/Somebody Loves Me. 
11.Ray Bryant/Daahoud 
12.The Three Sounds/Love Walked in 
13.Bud Powell/There Will Never Be Another You 
14.Oscar Peterson/Things Ain't What They Used To Be 
15.Bill Evans/Blue In Green

 演者、曲を見ていただけると解るのだが、いやはや下手な企画モノよりは良い物を選び出していますし、この時代物としては音質も良く、暇なときにはただただ難しいことは抜きにして流しておくと気持ちが安まる代物です。


Oscar_5(Disc3)
1.Wynton Kelly/Come Rain or Come Shine. 
2.Bill Evans/Someday My Prince Will Come 
3.Sonny Clark/Softly As In A Morning Sunrise 
4.Roland Hanna/Easy To Love 
5.Bobby Timmons/This Here 
6.Phineas Newborn Jr./Manteca 
7.Hampton Hawes Trio/All The Things You Are 
8.Horace Parlan/The Lady Is a Tramp 
9.Claude Williamson/Witchcraft 
10.Kenny Drew Trio/Caravan 
11.Horace Silver/The St.Vitus Dance 
12.Ray Bryant/Golden Earrings 
13.Andre Previn and his Pals/Tonight 
14.Oscar Peterson/Take The "A"Train 
15.Miles Davis(Red Garland)/Billy Boy

 そして取りあげたのはこの蒼々たるメンバーですから、下手な解説はないのですが・・・、それでも英語で選ばれたミュージシャンの取りあげた意義と簡単な紹介がある。そしてそれぞれの曲のオリジナル・アルバムはしっかりと記載されている。これがしっかりしている証拠です。このあたりはまともな代物ですね。

 今やジャズの歴史を回顧することのブームのようですが、それほどジャズも歴史を重ねたと言うことでしょう。私のようにヨーロッパ系にどちらかというと寄っていってしまうのですが、時にこの歴史ある時代を流して聴くと言うことも良いものです。

(視聴) .Bill Evans”Waltz For Debby” 

                              *                            *

    Kenny Drew ”When you wish upon a star   ”

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2016年5月 3日 (火)

例年より早い「春の花」も一段落 / サンタナSANTANA 原点回顧

もう木蓮も咲き誇って散りました・・・・・・・・・・・

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           「くれはもくれん」 Nikon D800 AF-S NIKKOR 50mm 1:1.4G 

                                             *                  *

牡丹も満開を過ぎました・・・・・・

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<今日のミュージック>

サンタナSANTANA原点回顧の3アルバム~オフィシャル盤

 サンタナの原点回帰のReunionによって、懐かしの45年前に気分を運んでいってくれた。おかげで若き気分でこのところ頑張らせて頂いてます・・・単純なもんですね(笑)。

1 Santana「Live At The Fillmore'68」
  Sony Records / SRCS8300-1 / 1997

カルロス・サンタナとグレック・ローリーが中心となっての6人編成「サンタナ・ブルース・バンド」としてスタートしたのが1966年。その後ブルース・バンドからロック・バンドに体制変化をしてのウッド・ストックへのデビュー前の1968年のライブ記録盤。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/santana-d610.html

2SANTANA 「On the road to Woodstock」
Rokarda Records / 250283 / 2011


 1967年にオーナーからの指示でラテン・ロックへ方向転換後の彼らのスタジオ録音版を収録している。
 ブルース・バンドの余韻の残っている曲群が収録されていて興味深い。特に14分に及ぶ”Santana Jam”などが聴きどころ。今となっては確かにこれは貴重盤。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/santana-on-the-.html

3SANTANA 「THE WOODSTOCK EXPERIENCE」
Columbia / Legacy 88697 48242 2 / 2009


ウッドストックでの彼らのプレイを全て収録している。ここまで良質な録音であれば納得もの。
 なお、これにはオリジナルのデビュー・アルバム「SANTANA」がCD版として付いてくる。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/santana-santana.html

(参考視聴)

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2013年6月27日 (木)

回顧は続く・・・・圧倒的迫力のCD盤 : 芸能山城組「Ecophony Rinne 輪廻交響曲」

(回顧シリーズ~音楽編(12)~)驚異の1986年プログレッシブ・ロック作品

 オーディオ界でも、LP盤に変わってCD盤も板に付いてきた頃(1980年代後半)の作品。これは私自身の歴史に於いて驚異のアルバムであった。ミュージックそのものの壮大さに圧倒され、そしてここまで臨場感において素晴らしい録音に当時至るものは無かったと思う(当時のVictor技術の結晶)。
 いずれにしても、こうしてオーディオという音質を語るものにとっては、これは歴史的に記憶される産物であり、ハイレゾ音源によるPCオーディオを語る時代になって、未聴であれば是非とも聴いて欲しいアルバムなのである。

<Progressive Rock> 芸能山城組 「輪廻交響曲 Ecophony Rinne」
                    Victor  VDR-1200  ,  1986

Rinne

第一章  翠性
第二章  散華
第三章  瞑憩
第四章  転生

 さてこのアルバム、ジャンルは何処に収まるのか?、とにかく”Ecophony”というという表現をしているが、つまり交響曲にならった現代民族音楽にロックが加味されたものだ。私は敢えてプログレッシブ・ロックと言う。
 ここの芸能山城組というのはリーダー山城祥二氏の異色の集団である。もともとは合唱団から出発したのだと思うが、このアルバムは民族音楽、民族楽器を駆使して合唱団、ロック・ミュージシャンにより構成されている。もともとインドネシアのケチャ、ブルガリアの女声合唱、日本始め諸外国の民族音楽、民族思想を消化して音楽を中心としての活動と言って良いのかも。
 さてこのアルバムは上記のように、交響曲のパターンで四楽章から成り立っている。そしてこれは山城祥二の書き下ろしオリジナル作品である。

Gamelan(演奏者)お茶大・筑波・東大・早稲田・武蔵野・西日本各山城組連合、斧・雅矢・明連合、山城流鳴神連合 など


第一章翠性~(プロローグ)スタートは肉声和音による深遠な世界に響く太鼓の鳴動。この流れで殆どの者がこのアルバムに引っ張り込まれる。(転生のテーマ)ここでは素晴らしい混声合唱による讃歌が聴かれ(闘いのサブコード)では圧倒的な迫力での和太鼓の連打、この音の快感は最高。山城に言わせるとまさにプログレッシブなサウンドと。

第二章散華~極めて宗教的パート。人の肉声を積み上げてゆくその渦の流れが深淵。

第三章瞑憩~ガムランという楽器と女声合唱が新しい生命を知る瞑想曲

第四章転生~バリ島のジェゴクという打楽器が響く、この包容力のあるサウンドは魅力的。ガムランの金属的音との響きの交錯。(エピローグ)ジェゴク、平太鼓、ギター、オルガンが響く、そして合唱が響き、地球生態系の美しさを歌い上げる。

 これらのサウンドと合唱の世界に魅力を付けたのは明らかに録音技術の高さである。これを初めて聴いた当時は、はっきり言って開いた口がふさがらないという表現をするほど感動ものであった。特に和太鼓の圧倒的な迫力こそ私が驚愕した。しかしこの太鼓も大きなもので無く、一人で持つことが出来る平太鼓だという。しかしそれが意識的にバチによって叩かれたもので、新しさを求めて作り上げられた音と言うから一聴に値する。

Akira

 その後、この芸能山城組はオーディオと音楽と民族楽器と合唱の美を追求して、アルバム「AKIRA交響曲」も出現させる(1988年)、お見事!!。こちらのアルバムも是非とも聴いて欲しいもの(左)。・・・・・・とにかく素人集団が目的をもって向かって一つになったエネルギーとその美は恐ろしい。私にとっては歴史に残る感動のサウンドをここに紹介した。

(試聴)「輪廻交響曲」 http://www.youtube.com/watch?v=JLmiYD49EcY&list=PL2FypcadVRfA7c4J8qeyv7EynEyLJ7JeR

   「KANEDA from ”AKIRA”」 http://www.youtube.com/watch?v=MSU4v4jrWpA

~芸能山城組について~ (ホーム・ページよりここに紹介(転載))

 芸能山城組は、人間にもっとも美しく快く感動できる表現をジャンルや民族の壁をこえて追求するマルチパフォーマンス・コミュニティです。1974年に組頭・山城祥二(本名・大橋 力:当時 東京教育大学助手、現在 財団法人国際科学振興財団主席研究員)を中心に結成されました。メンバーは科学者、ビジネスマン、教員、学生など全員がアマチュアです。日本はもとより世界各地にフィールドワークを展開し、インドネシア・バリ島のケチャやブルガリアン・ポリフォニーを世界で初めて習得していちはやく日本で上演したことでも知られています。これら非西欧文化圏のすぐれた音楽や芸能を紹介するとともに、それらの国に渡航しての公演や現地のアーティストの招聘事業など、国際交流への貢献でも、実績を重ねています。

 世界で初めて、バリ島人以外の手による合唱舞踊劇ケチャの全編上演に成功したほか、ブルガリアやグルジアの合唱、バリ島の交響打楽ガムランやジェゴグ、さらに日本各地にある世界水準の伝統歌唱や舞踊、太鼓芸能など、世界80系統にも及ぶパフォーマンスを上演してきました。とりわけ、すぐれた共同体に育まれた卓越した芸能や音楽を地球上からよりすぐり、最先端の研究成果やテクノロジーと融合させながら、未来の地球社会にふさわしい新しい表現の形を実現させてきた足蹟は他の追随をゆるしません。アマチュアの立場を堅持しながら、その実績は、質量とも国際的にトップレベルにあります。

 さらに、それらを糧に、現代的要素と融合させたオリジナル楽曲『恐山』、『輪廻交響楽』、『交響組曲AKIRA』、『翠星交響楽』をはじめLP/CD14枚、DVD-Audio1枚をリリースするなど、音楽の新しい地平を常に切り拓いてきました。最近では、ハイパーソニック・サウンドトラックの構築を担当したBD『AKIRA』の成功が注目されています。

 しかし、芸能山城組は、芸能集団である以前に、遺伝子DNAに約束された人類本来のライフスタイルを模索し検証しようとする実験集団であり、“行動する文明批判”の拠点であることをもって真髄とします。1981年、当時の地球社会の通念とは隔絶した「文明の危機到来の予測と、その克服をめざす自然科学的世界像に基づくアプローチ」を掲げて<文明科学研究所>を設立し、軌道に乗せてきました。その文明批判の大きな特徴は、批判の対象とする西欧文明最大の武器であり、地球を現在の危機に導いた元凶でもある科学技術を単純に否定するのではなく、逆にこの武器を奪い取り、自家薬籠中のものとして、近現代科学技術文明そのものを攻略するところにあります。そのアクティビティは、同時に、伝統的共同体の叡智に学び、専門化や単機能化を排した地道で真摯な群れ創り、人創りにも向けられてきました。

 文明科学研究所は、研究者、教育者、ジャーナリスト、エンジニアそして学生と多様なメンバーの中で、生命科学、脳科学、情報工学などの分野で博士号をもつものが10名をこえ、メンバーが筆頭著者となった論文が最高の科学誌Natureに採択されることを始めとする輝かしい業績に象徴されるように、国際的にも最前線にあります。この強力な研究陣を育て、その活動を導いてきたのも、芸能山城組・組頭  山城祥二こと科学者 大橋 力です。

 こうした私たちの比類ない活性の歩みをいま振り返ると、おおよそ20年以上、世界の動きに先行しています。ハイパーソニックBD『AKIRA』に象徴される時代を先取りする一連の創作活動も、諸民族の伝統のエッセンスと最先端の科学技術を武器として、西欧近代文明に向けて放つ鮮烈なメッセージに他なりません。

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2013年6月 1日 (土)

回顧はつづく(音楽編-11-) エルヴィス・プレスリー Elvis Presley

キング・オブ・ロックンロールとして20世紀の象徴

 

 時々昔の唄や曲をふと聴きたくなることがあるが、前回ブレンダ・リーの”好きにならずにはいられない Can't Help Falling Love”の話をしたので、この曲となるとエルヴィス・プレスリーを取り上げないわけにはゆかない。エルヴィスはこの曲を1961年に唄って英国でも一位になっている。映画「ブルー・ハワイ」でお披露目して、そしてその後は彼のステージでは必ずお別れの曲として唄われてきたもの。ロックン・ロールはもちろんだが、こうした彼の唄うスロー・バラードも人気があった。
 ロックン・ロール、ロカビリーという言葉も日本の一般大衆には、エルヴィスによってもたらされたと言っていいし、あの軽快で楽しい音楽というものが日本にとっては如何にも外国の先進性すらも感じ取らせたものであった。

 

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エルヴィス・プレスリー
(本名 Elvis Aron Presley、 1935.1.18-1977.8.16  、アメリカ合衆国ミシシッピ州イースト・トゥペロ生まれ)


 既にエルヴィスのヒット曲をリアル・タイムに喜んで聴いた年齢層は、少なくとも70歳前後になっているわけで、彼の社会に及ぼした”反社会道徳としての評価”のエピソードなどは、現在の若者には全く信じられない昔話の世界となってしまう。なにせ下半身を動かしてリズムにのることすら猛抗議を受けたのであるからやはり1950年代というのは過去そのものであるわけだ。そして自由を売り物のアメリカ社会においてすら、”若者を悪くする音楽”として、排斥運動が展開された。
 エルヴィス自身貧しい幼少時代で育ち、生活環境もメンフィスの貧しい黒人労働者にまぎれてのものであり、そこから黒人音楽の因子(ブルース、R&B、ゴスペルなど)を持ち、カントリー&ウェスタンの流れを取り入れたこの音楽は、人種差別の目からも白人社会として受け入れがたいものであったということだ。そんな中で、1958年には徴兵制度の適応によりエルヴィスは陸軍に招集され、音楽活動も無理矢理中止させられた。
 しかし除隊後の彼を待つ社会には、そんな抑圧を破ってゆく大きな流れは止められず、更にエルヴィスの活動は社会現象となって展開されたのであった。
 こんなロックン・ロールが、その後英国にも飛び火して、営々と続く音楽分野としての”ROCK”となって今日ある事は当時としては考えられないところであった。

 

THE ESSENTIAL COLLECTION 「MEGA ELVIS」
BMG MUSIC   BVCP-850,  1995

 

 

 

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 日本に彼の名が轟いたのは、”ハートブレイク・ホテル Heartbreak Hotel”で1956年の話。そしてその後”I Want You, I Need You, I love You”、”冷たくしないでDon't Be Cruel”、”Love Me Tender”、更に更に”監獄ロックJailhouse Rock” と立て続けにヒット曲が届いたのである。 

 まあこれらの曲を始め彼のヒット曲を聴くには、手っ取り早いところで、こんなベスト盤があった。現在も多くのベスト盤があるが、当時のレコード盤よりも音も安定していてこちらのタイプの方が聴きやすい。

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 このベスト盤のTracklistは左のように全27曲。そしてエルヴィスの徴兵義務を果たして後、”GIフルース”のヒットから、1960年になると、”It's Now Never”、”Surrender”、”今夜はひとりかい? Are You Lonesome Tonight ?”など止まるところを知らずヒットは続き、’61年には彼の生涯のステージのエンディング・テーマ曲”好きにならずにはいられない Cant's Help Falling in Love”が唄われ、甘さも十分発揮してファンをうならせた。まさに世界はエルヴィス・プレスリーの一色となったのである。   

 あのロックン・ロール(ロカビリー)のしゃくり上げる唱法は、この1960年代を通して世界の若い世代に支持された。そこには社会の底辺をしっかり掴んだ音楽の色と、若者の主張の大きな場所としての音楽が発見され、そしてヨーロッパでは更に新しいロックの世界が流れ始め、英国のビートルズの誕生となる。

 たまたまこの歴史そのままに生きてきた私にとっては、やっぱりエルヴィス・プレスリーの誕生から始まってロックそのものが世界の歴史に見えてしまう。そんな中での回顧シリーズの一幕でした。 

(試聴)
  

 

 

             [PHOTO  今日の一枚]

 

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(NIKON D800  AF-S NIKKOR 50mm  1:1.4G )

 

 

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2013年5月29日 (水)

回顧は続く(音楽編-10-)・・・・・ブレンダ・リーBrenda Lee

2年に一度は聴く曲・・・・”好きにならずにいられない Can't help falling in love”

 私の、この「回顧シリーズ(音楽編)」は、1950年代から60年代を中心にして、私にとって非常に親密に感ずるところを取り上げているわけであるが、既に女性ヴォーカルとしては、ペギー・リー、パティ・ページ、ジュリー・ロンドン、ローズマリー・クルーニー、コニー・フランシスなどに焦点を当ててきた。さてさて、今回はブレンダ・リーである。

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 ブレンダ・リー (Brenda Lee 1944.12.11~ 、アメリカ・ジョージア州出身、本名 Brenda Mae Tarpley)

 いやはや今年も聴きました。
 とにかくブレンダ・リーですね。あのダイナマイトと言われた迫力を聴くと元気が出るんです。
 彼女の活躍は1950年代からですから、デビューはなんと10歳というから恐ろしい。そして14歳では”ジャンバラヤJambalaya”をABCテレビで唄って全国にてその名を馳せた。その後のプレスリー顔負けのパンチの効いた唄はヒットに結びつく。1957年のヒット曲”ダイナマイトDynamite”でその迫力にアメリカならずとも世界が圧倒され、”ミス・ダイナマイト”と呼ばれる。そしてその当時から日本にも当然その歌声は届いたのである。
 そして1960年代となると、彼女の歌声が日本中にとどろいていたわけだ。

BIG ARTIST ALBAM  「BRENDA LEE」
AILE DISK  AILE GR-40
 

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 彼女の歌声で日本では”この世の果てまで The End of The World”は誰もが聴いた唄でしたね。これらのヒット曲をCDに納めて手頃な値段で売られたのが、このCDアルバム。もう結構昔のもので、これは日本での制作もの。それでも当時のものをここまで音を改良したのは立派と言えば立派。結構聴けます。
 この企画・制作は、エーデルディスク(株)で、これは「ビック・アーティスト・アルバム」編で約150人のアーティストを取り上げている。そしてその他、「ジャズ」「ムード音楽」「ロック事典」等々多岐にわたって広く(浅く?)音楽を一般に提供した。私は何処でどうして買ってきたかは全く覚えのないCDですが、こうゆう安価で昔を懐かしむというのも、まあ結構なことと言えるでしょう。

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収録は、左のように13曲。”アイム・ソリー I'm sorry”はほんとに良く聴かれた曲です。とにかくハスキーでありながら、パンチが聴いていて、ロックン・ロールのビートに乗っても見事であった彼女が、こうしたバラードものも魅力たっぷりに歌い込んでファンを惹きつけた。そしてそんな中でも”行かないで If you go away”などの出來は、その歌唱力を見せつけた代表的な曲。
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 そして彼女の唄う”愛の賛歌 If You Love Me”は、お見事であったし、そして私の好きな曲は、”好きにならずにいられない Can't Help Falling in Love ”でしたね。この曲はエルヴィス・プレスリーが見事に歌い込んで話題の曲だったが、彼女の歌も負けず劣らずなかなか愛すべき出來であった。

 彼女は現在60歳代の最後にいるわけだが、50年前となる1960年代の活躍はお見事そのもの。結構広い年齢層に受け入れられたものだ。
 1970年代以降は、どちらかというとカントリーの方向に流れ、若きパンチのロックンロールとは離れていくが、とにかく現在までスタンダード曲のJazzyなアルバムもあったりと、日本に於いても歴史に残るヴォーカリストと言っていいのであろう。

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=qvYXwHXF7to

         [PHOTO  今日の一枚]

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(NIKON D800 ,  AF-S NIKKOR 50mm 1:1.4G)

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2012年7月11日 (水)

回顧は続く(音楽編-9-)・・・パティ・ページ Patti Page

アメリカ合衆国の資本主義の歪みの歴史の中からの歌手として・・・・・

Image003  回顧が続いてしまうが、ついにという感じでパティ・ページ Patti Page(本名 Clara Ann Fowler) を取り上げることになった(jazzを愛するブログ「JAZZYな生活」を拝見して、ここに思いを馳せることになった)。勿論彼女を語るには、1950年の大ヒット”テネシー・ワルツ”ということになるが、そこまでの物語が深刻であり又彼女の努力の結晶であり、最も私の関心の持たざるを得ないところである。
 既にこのブログでも取り上げてきたあのスタインベックの小説「怒りの葡萄 The Grapes of Wrath」の舞台であるオクラホマ洲の最も悲惨な資本主義の歪み(矛盾)の中の貧しい家に彼女は1927年に産まれたという。経済の流れの中の非人間的事実を告発したジョン・スタインベックのこの小説は、ジョン・フォードが映画化し(http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/the-grapes-of-w.html)、又ロックではあのキャメルのアンディ・ラティマーが音楽の世界で取り上げている(http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/camel-f6d2.html)。
 私の偏見では、世界の二大小説は、一つは下村湖人「次郎物語」、もう一つがこのスタインペックの「怒りの葡萄」であると言ってしまうのだ。

 話は余談になってしまったので、ここらでパティ・ページに戻るが、彼女の子供の時代に父は線路工夫、母と姉妹は綿摘みをして生計を立てていたという。非常に貧しい家庭であり、そして18歳には、オクラホマ洲のラジオ局の15分番組に歌手として出演するようになったとか。

 さて、彼女のもう一つの記録すべきポイントは一人の多重唱というアイデアで、多重録音で一人での4重唱を”with my eyes wide open l'm dreaming”という曲でやってのけたと言うことだ。この曲のヒットが彼女のプロとしての道を切り開いたポイントであったようだ。コニー・フランシスもこの手法をよく聴かせてくれたが、それより先んじて10年、パティ・ページはこれをもって、メアリー・フォードなどにも影響をもたらしたという。

Starbox_3  彼女のヒット曲集はこれまた多くある。

  左は「STAR BOX - PATTI PAGE」 Sony Music Direct 2003年リリースもの。歴史的曲群であるが、音はそれなりによい。そして広く多くの曲を収録している。ただし残念ながら”テネシー・ワルツ”などヒット当時のオリジナルでなく、1960年代になっての再録音もの。その為私なんかには、なにかちょっと違うぞという感じになってしまって、懐かしさは半減してしまう。
 そんなところであるが、私の棚をひっくり返しして探してみたら、もう何年か前に買った安いCD(1990年もの)が、オリジナルもので、慰めてくれるものがあった。それがこれだ(↓)。

Patti Page~ Champion Selecction Series
Della Inc. PF-3506  ,  1990

Championselection_3   これは日本での企画ものである。しかし内容は見事1950年からの初リリース当時のオリジナルを収録している。(当時定価1200円)
 その為なんと12曲収録中5曲はモノラルである。しかし単にSP、LPなどからの移植ものでなく、音質は現代物とはゆかないが、ノイズはなく、それなりに結構楽しませてくれるものとして仕上げてある。

List1 収録曲は、左のように、”テネシー・ワルツtennessee waltz”から始まって、私の好きな”涙のワルツ i want to your wedding ”(①から⑤まではモノラル)、そして”ふるえて眠れ hush, hush, sweet charlotte”も収録(これはステレオ版)。まあ喜ばせてくれる選曲だ。特に1950年のナンバー1ヒットは、この”テネシー・ワルツ”で、戦後の日本の文化革命的ポピュラー・ミュージックといって過言でない。
List2 ”ラブレター”、”酒とバラの日々”、”この世の果てまで”もいいですね。いやはやこうした廉価版でも頑張っているのがあったんでした。  このCDは、現在手に入るかどうかは疑問ですが、まあいろいろと探してみれば、これに勝るものも必ずあるのだろうと思っている。

 パティ・ページの歌声は、我々に当時(戦後10年)何か希望を与えてくれたのは事実であった。

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2012年7月10日 (火)

Connie Francis (3) とにかく多いベスト盤

コニー・フランシスもの~ちょっと変なベスト盤もある

Connie2  コニー・フランシスを取り上げて、年寄り得意の回顧シリーズになってしまってますが、まあ、現在の若い女性ヴォーカルものもそれなりに否定はしませんが、ちょっと時代背景があまりにも違って、個人的には意味合いが全く違ってくるのはしょうがいところでしょう。
 日本では、”ヴィ、エィ、シー、エィ、ティ、アィ、オー、エヌ”と叫んで誰もが唄った”Vacation”とか、”ボーイ・ハント”とか・・・・日本の若い女の子のカバーもあってこれらの曲は国民的に愛されたと言ってもいいでしょうね。しかし、彼女はそれ以上に、世界的な広い分野の多くの歌を唄ってくれて、あの時代を盛り上げてくれたのも事実だったように思うのです。

 さて、ベスト盤の紹介を続けます・・・・・・



The Very Best Of CONNIE FRANCIS

 
Original Greatest Hit

Starlight Int'l Development  SICD-08004,  2005

Goldencoll

 いやはやこうしたベスト盤もあるんですね。これは最近手に入れたものだが、"Made in Hong Kong"となっている。どうも、ドリス・ディとかパティ・ペイジ、ザ・プラターズなどなどの何十人のベスト盤シリーズもののうちのコニー・フランシスものらしい。なにせ値段は500円ながら、立派な装丁と歌詞付きブック・レットが付いている。

Goldenclllist 収録は左のようなところ(クリック拡大)。日本の’60年頃のヒットをしっかり15曲納めている。
 さてそこまでは良いのだが、ええ?、コニー・フランシスの丁度聴きどころの高音部がどうも変である。"Digitally remastered from classic recordings"となっているが、明らかにマスター音源からのものでなく、何かの再生装置で再生させて、それをDigital Recording したのかも知れない。これではコニーの魅力半減。どうも他人がまねして唄ったものではなさそうであるが、どうもいかんですね。初めてコニーを聴こうとするものにとっては、魅力点をそいでしまったようなもの。

 こうゆうものも出回っているので、古き時代のベスト盤探しは慎重でなくてはならないですね。まあとにかくこんな歌を歌っていたというところまではこれで良いのでしょうが、それでも私としては彼女の魅力の歌声をしっかりと聴けるアルバムで聴いて欲しいと願うのである。
<評価> ブックレットは歌詞まで載せて良く出来ているのですが、残念ながら・・・ ★★☆☆☆

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2012年7月 8日 (日)

Connie Francis(2) コニー・フランシス を聴こう!

手持ちのアルバム評価紹介

 懐かしの1950-1960年代に回顧しているところで・・・・・この多芸・百戦錬磨のコニー・フランシスについて、もう少し書いてしまいたい。彼女のアルバムで前回取り上げたベスト盤(http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/connie-francis-.html)以外のもので、目下まだ手に入れる事の出来ると思われる私の所持品を紹介しておこう。

Connie Francis 「The Ultimate Collection」
Spectrum Music     9807582, 9807583, 9811205,    2003

Ultimatecoll

 これはCD3枚組でタイトルどおり究極のベスト・コレクション盤。早い話が、例の日本ヒットのポップスのコニーを期待してはいけない。彼女が名曲、スタンダード・ナンバーを彼女の女性ヴォーカリストとしての力を結集して歌い上げたもののコレクション盤なのである。
 そして、この曲群は1956-1970年の15年間に唄われたものの総集編。あの日本人がカバーしたようなポップ・ヒット・ナンバーは含まれていない。しかし私はお気に入りのベスト盤である。そしてなんといっても当時のものとしては不思議なくらいに音質は良いのである。そしてコニー・フランシスを知るにはこの世界を知って欲しいのである。

Ultimatecd1 <CD1>

 左の収録曲を見て頂くとわかるとおり(クリック拡大)、彼女のポップ・ヒット集ではない。しかし又それほど難しい曲が続くわけでもない。なんとオープニングは”among my souvenirs”で、彼女の得意パターンの二重録音ハモリの美しさの曲からスタートしているあたりはこのベスト盤が彼女の世界を知り尽くして作り上げたことが良くわかる。

 ”am i blue”の歌唱力の素晴らしさ・・・・、
そして”blue hawaii”、”stardust”、”malaguena”、”danny boy”、”swanee”、”over the rainbow”と名曲がどんどん登場する。
 ”danny boy”は、彼女の泣き節と歌い上げる力量に圧倒される。

 ”like someone in love”は、1964年ものだが、1961年の”how long has this been going on”などと、彼女のこうした世界も貴重な世界である。”malaguena”は1960年で、彼女が売り出して絶頂期。私はよくよく聴いた彼女のマラゲーニャだ。

Ultimatecd2 <CD2>

 ”my foolish heart”は印象深かった曲。”Ritorna a me ”のように美しく唄われるのも決して彼女の特別ものではない。”love me tender”のように、プレスリーものが結構彼女はカバーしている。
 ”vaya con dios”も私の当時の彼女のお気に入りの曲。こうゆうタイプを実は日本でも聴いて欲しいと当時思ったものだ。これは1966年もの。
 ”your cheatin' heart”、”bye bye love”は、彼女の初期の人気曲。

Ultimatecd3 <CD3>

 ”moon river”、”the look of love”、”quando quando quando”、”fly me to the moon”、”strangers in the night”、”the last waltz”等々おなじみの曲が登場。今でもこのbacharachの”the look of love ”あたりは、JAZZYな女性ヴォーカリストにとっては登竜門のような曲だし、ブラジル66がヒットさせた曲とのアレンジの違いを感じとるのも面白い。
 
 とにかく、彼女の中高音部の特徴あるヴォーカルが満載であり、考えてみると懐かしの1950-1960年代、日本が近代化に大きく変化をしてゆく時代のポピュラー・ミュージックであった。バックの演奏陣そしてオーケストラは、時代を感じざるを得ない現代の洗練されたところとは若干異なる古めかしさはあが、それでも奮闘していると言っていいのだろう。
 
 時に日本は60年安保闘争を始め大衆運動が社会を動かしていた激動の時代であったのだが、そんな時代にアメリカから入ってきたポップスに日本人の若き層は大きく影響を受けながらも、日本の将来に思いを馳せていたわけである。

 いずれにしても、この3枚組ベスト盤は、コニー・フランシスの総集編としてお勧めである。 
 <評価> 50年以上前のものを、頑張って制作された点を評価して・・・・・★★★★☆

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2012年7月 5日 (木)

回顧シリーズ(音楽編-8-)そりゃー、なんと言ったって コニー・フランシスConnie Francis

百戦錬磨の芸達者ヴォーカル

Conniefrancis1_2  とにもかくにもコニー・フランシスConnie Francisですね。ええ?何の話?って、そりゃー私の若き時代の話です。
 先日、ザ・ピーナッツの双子の歌手の姉の伊藤エミが71歳で亡くなられたということで、昔の青春時代を思い起こしていた方々が多かったんですが、私の場合は残念ながらもうちょっと古い、つまり1950年代後半が頂点でした。と、言うことで女性の歌声と言えばコニー・フランシス。まさにモノラル時代からの話になってしまう。

 彼女の歌声の私の入り口は”フーズ・ソリー・ナウwho's sorry now?”(モノラル)と”カラーに口紅lipstick on your cllar”(ステレオ)、1958年、1959年の2曲ですね。
 ほんとは当時は、もう一人デビー・レイノルズDebbie Raynoldsが良かったですね。歌は1957年の”タミーtammy”が好きでした(これはコニー・フランシスも歌っている)。それはそれとしてコニー・フランシスはとにかく何でも唄う。ロックン・ロールからの所謂ポップス、そしてラテン、シャンソン、ジャズ、民謡系とほんとに何でもコニー節になってしまう。私は当時あまりまだ無かったステレオ盤で、彼女の”ラテンを唄う”をなけなしの小遣いをはたいて買ったのを思い出す(今は残念ながら当時の盤は重なる何回かの引っ越しで私の元から無くなってしまってます。残念!)。

 とにかくR&Rの”カラーに口紅”は魅力的。ヤッヤッヤッヤ、ヤーヤのバックで始まって、彼女としてはやや低音で歌い始めて、それから軽快にしかもリズムカルに、そうでいながらややクールにと魅力たっぷりの曲。当時の曲”間抜けなキューピットstupid cupid”も同様な展開で高音部で声をひっくり返して愛嬌たっぷり。しかし、ほんとは彼女の魅力は最初のヒットである”フーズ・ソリー・ナウ?”のタイプにあるんです。特に高音部が切ない歌声に変わるところ(泣き節)が何とも魅力であった。

THE VERY BEST OF CONNIE FRANCIS
NOT NOW MUSIC    NOT2CD359 ,  2010


Theverybest

・・・・・・と言うところで、現在手に入る彼女のベスト盤の紹介だ。これはCD2枚組で全50曲が網羅されている。ところが、とにかく彼女のアルバムは50枚に及ぶと言われ、この納められた50曲もほんの一部なのである。

Bestlist1DISC1(左)は、どちらかというとヒット曲集。話題にしている1.2.6.の3曲は当然として、実は私のお勧めは3.”among my souvenirs”('59年)と、5.”my happiness”('58年)の2曲のような彼女の2重録音によるハモリ曲。これが彼女の特徴を知るに十分の曲。とくに前者はビルボード2位まで上昇した。

 そうこうしているうちに、1960年代になって、日本でも人気が上昇し特にポップな歌手として受け入れられた。
 誰でも知っている”ボーイ・ハント”、”ヴァケイション”、”可愛いベイビー”、”大人になりたい”等々、当時の日本の女性ポップ歌手は、彼女の歌をカバーして人気を勝ち取っていったのである。それは伊東ゆかり、ザ・ピーナッツ、弘田三枝子、金井克子、青山ミチ、中尾ミエ、森山加代子、後藤久美子等々これも数え切れないほどだ。

 一方、コニー・フランシスの泣き節というのも有名だった。それもそもそも最初のヒット”フーズ・ソリー・ナウ”から始まっている。
 なにせ、プレスリーの12.”heartbrak hotel ”からはじまって、13.”tennesie waltz”まで、カバー曲の出来も良くおどかされたものである。特に’50年のパティ・ペイジの”tennesie waltz”を10年後に再び泣き節でヒットさせたのも有名な話。

 このベスト・アルバムは日本のポップ・ヒットより、彼女の世界でのヒットを纏めているところが聴きどころ。従って日本だけのヒット曲”可愛いベイビー”、そしてあの”ヴァケイション”などは収まっていない。そこが又味噌のベスト盤である。それだけ当時のコニー・フランシス・ファンにはむしろ涙もののベスト盤なのである。16.”my special angel”などは私にとっては懐かしの曲。

Bestlist2_3 さてDISC2は、彼女のjazzyな歌、そしてじっくり聴いてみたいと思うバラード調の曲など、十分な選曲になっている。特に7.”half as much”は最も好んだ曲の一つ。このDISC2が彼女の多くのベスト盤の中でも歌い込みを中心とした選曲で出色のところである。

<評価>このアルバムも、当時のものをよく頑張って編集したというところを評価して・・・★★★★☆

 ところで、コニー・フランシスについてであるが、彼女は1938年アメリカ生まれのイタリア系歌手だ。本名Concetta Rosa Maria Franconeroという。父親が熱心に彼女に音楽を教育して育ったという。
 そして子役時代からテレビ番組に出ているし、映画にも出演している。根っからのタレント人生であった。

 アメリカのタレントにはよくある話であるが、彼女も4回の結婚、離婚など、又ホテルでの黒人によるレイプ事件、弟の殺害される事件など不幸も多かった。そして躁鬱病のような状態の時も経ているが、その後の立ち直りも立派で、評価は一流のタレントとして現在も活動状態にあるというところ。

 

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2011年11月27日 (日)

秋の夜長の回顧シリーズ(6): ペギー・リー Peggy Lee

女性ジャズ・ヴォーカルの一つの原点

Peggybest 「Peggy Lee / Greatest Hits」 Not Now Music NOT2CD284 ,  2009

 もう秋も深まって、初冬の時期となってきたが・・・なんとなく師走の忙しさも感ずるこの頃だ。
 しかし、この夜長にはなんとなく回顧もいいもの。そこでこの「回顧シリーズ」では今回はペギー・リーに焦点を当ててみた。

2  私にとっては、何だかんだと言っても彼女の唄はあの映画「大砂塵」のテーマでビクター・ヤングが作曲した”ジャニー・ギターJohnny Guitar”(1954年)ということになる。歳がばれるが、まだ感受性豊かな少年時代に聴いたこの曲と歌は、1950年のペレス・プラードの”セレソローサ”から4年後となるが、これも日本では一世を風靡した。まさに当時の言葉で言うと洋楽の素晴らしさだった。又、このムードには子供ながらに痺れたものだ。

 私にとってはそんな接点のペギー・リーであるも、実は彼女のジャズ・ヴォーカリストとしての活動は、その十数年前の1940年には始まっていたわけで、あのベニー・グッドマンにスカウトされたというところから、表舞台での活躍が始まったというとところなのであろう。生まれは1920年というから20歳頃からの活動だ。彼女の歴史はこのグッドマン楽団のギタリスト、ディブ・バーバーとの結婚から、ソロに転向して、更に磨きをかけていく。

Greatesthit  ここに紹介したベスト盤には特にヒットした曲25曲(左)が詰め込まれ、更に評判の良かったアルバム二枚も納められており、彼女を十分他の能出来る代物。(デジタル・リマスターされ十分聴くに堪えうる)
 現在もう数え切れないほどの女性ジャズ・ヴォーカリストが、ジャズ界にいるが、やはりこのペギー・リーの歌った曲をコピーして歌いアルバムに納めることが多い。それには彼女の世界が一つの原点になっていることは、誰もが認めるところであろう。

 まずは、今でも多く歌われる’58年にヒットした”fever”からスタートする、そして続くMr.wonderful”などを聴くと、ここには女性ヴォーカルのお手本的唄が聴けるし、なつかしの”manana”などを聴くと歴史的音楽の楽しさを味わえる。
 ”wating for the train to come in”などは、なんとなくかったるさのヴォーカルも聴かせる技量には恐れ入る。
 もちろん”johnny guitar”は登場するし、私の好きな”bye ye blackbirds”で、このベスト選曲は締められている。

 いずれにしても、現在のジャズ・ヴォーカルの原点を聴く気持ちで聴けるところに、このアルバムは貴重である。

Themanilove さて、ここには、1957年のキャピトルから出されたアルバム「The Man I Love」(左)の全12曲が納められ、いやはや如何にも良き時代の優雅なムードを感じさせてもらえる。
 ストリングスもバックに入って、男女の愛をスローなバラードに乗せた曲を、楽しませた好評盤。
 こうしてCDでのリマスター盤は大歓迎である。

Blackcoffee  そしてもう一枚のアルバム「Black Coffee」 、これは1953年、1956年にデッカからリリースされたもの。特にアルバム・タイトル曲の”Black Coffee”は、現代ジャズ・ヴォーカリストのお手本中のお手本。当時ここまで歌い込めたのには感心せざるを得ない。

 何時も言うのだが、私はベスト盤は否定者で、アルバムというのはトータルに聴くところにその心が感じ取れると思っているのだが、この時代のペギー・リーにおいては、むしろベスト盤の価値はそう否定できるところでなく、まあそのまま楽しめばいいのだろうと思う。
 しかしそこにおいても、ここに納められたアルバム「Black Coffee」は今の時代にも色あせずに、この夜長の時間帯に楽しめるところは20世紀の名ヴォーカリストとして数本の指に入るといわれるペギー・リーは、これからも聴かれてゆくところにあるのだと思う。

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