ポーランドのプログレ ANAMOR 「ZA WITRAŹEM」
メランコリーな楽曲を展開するプログレ・バンド
<Neo Progressive Rock>
ANAMOR 「ZA WITRAŹEM」
LYNX MUSIC / POL / LM143CD-DG / 2018
アナモーANAMORはこのブログに初登場のバンドだ。彼らはポーランドの1990年代中期に結成された6人編成のもうベテラン・バンドである。どのような経過かは不明だが、ちょっと遅れて1stアルバムは2003年の『IMAGINCJE』(→)であった。もちろん私は当時から知らなかったのだが、ここに来て15年ぶりにニュー・アルバム(2nd)が登場したのである。ロック・ブログを展開しているフレさんが見つけて私も知ることになった。
まずこのジャケの眼光を見るとやっぱり手にしたくなるロック・アルバムである。とにかくこのアルバム・タイトルも何か解らない。解らないなりきに聴くのも良しとするのがロックであって、聴いてから何か感ずればそれはそれOKとするのである。
なにせポーランドという国は音楽の宝庫である。”ショパンの国”としての誇りをもって、音楽というモノを大切にしている国なのだ。おそらく子供の頃からの音楽教育も充実しているのではないかと推測する。クラシック、ジャズの分野でも優れている上に、ロックも盛ん、そして他の国より目立つのがプログレッシブ・ロツクの充実度である。
(Tracklist)
とにかく、主たるはポーランド語とくるから曲名も解らないのがある。しかし、
M1."W GÒRĘ"いっやーー、このオープニングが良いですね。重厚にしてシンフォニック、そしてギターが流れを作る。ベースがちょっと不安な展開をする。そして女性ヴォーカルが登場するが、それは美しいがやや暗めでそしてメランコリックいった感じの世界を構築する。後半のギター・ソロは説得力十分。
M2."POD PRĄD"は、メロディの充実したヴォーカル曲。
M4."STARS"唯一英語の歌詞の曲。意外に内向的。
M6."PODRÓŹ DO WTEDY"やや暗めであるが、情景の美しい曲。
M8."SZMARAGOWO"Marta嬢の歌う世界に誘い込まれるところは深遠。それに続くギターの歌いあげが聴き所。
M9."ZA WITRAŹEM"はエンディングの曲にふさわしく、なかなか抒情的な世界で、さらに彼女のヴォーカルはしっとりと歌い、又歌いあげも哀愁感が漂っていて感動的、そして聴く者の心に迫ってくるのだ。
もともとこのバンドはMarek Misiak(g)、Tomasz Rychlicki(g)、Roman Kusy(b)、Jerzy Misiak(dr)、Marcin Ozimek(key) と女性リード・ヴォーカルのMarta Głowackaという6人編成デスタート。当時の一つの流れであったツイン・ギター・バンドであった。しかしその後Tomasz Rychlicki(g)に替わりMaciej Karczewski(key)が加入して、ツインキーボード編成バンドに変化して今日まで来たようだ。
したがってその特徴はシンフォニックな展開をするロック・バンドなのである。しかしギターは、かってのプログレ・バンドのように美しいソロやフィードバックによるロングトーンを取り入れ、泣きも聴かせて楽しいのだ。どちらかというとCamelのAndy Latimerが頭に浮かんだ。
全体のサウンドの印象はRiversideにも通ずるモノを感ずる。
ヴォーカルのMarta嬢は、もう既にそれなりの年齢にはなっているが、声の質は若い。ロック独特の叫びはみせずに、なかなか情感に満ちたメランコリックな味があって、このバンドの一つの特徴を作っている。かってのQUIDAMのEmila Derkowska嬢をちょっと感ずるところがある。
★
私は強いて言えば、M1とM9がお気に入りだが、なかなか聴き所を心得たシンフォニックにして哀愁までも感じさせるメロディック・ロックだ。
(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★☆
□ 録音 : ★★★★☆
(視聴)
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