クィダムQUIDAM (波蘭プログレ)の変身を2枚のライブ映像で・・・・
QUIDAM のロック・バンドとしての挑戦
既にここでQUIDAMの話は3回目になる。このポーランドのプログレッシブ・シンフォニック・ロック・グループは、リード・ヴォーカルにエミラ嬢Emila Derkowskaを擁した1期と、現在の男性6人グループとなった2期とでは、本質的変化は無いとは言え、やはりイメージはかなり変わったといっていい。
そのあたりは、ライブ映像で観ると、同じサウンドで同じ曲を展開してもイメージは大きく違うのが面白い。そんなところをここで2つのDVDによってチェックしてみる。
<DVD> QUIDAM 「SEE EMILY PLAY - LIVE BOOTLEG」
Live at Teatr MIejki in Inowrocłow, Poland, 16th feb 2003 ( Release 2009)
オフィシャル・アルバム「POD NIEBEM CZAS」(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/quidam-rdthe-ti.html)2009年再発豪華版に付いたオフィシャル・ブートレグである。2003年のポーランドでのステージで、映像はマルチ・カメラで撮っているし、サウンドもそれなりに70点でエミラ嬢の多分最後のステージということであろうが、彼女の奮戦と、当時までこのQUIDAMというバンドの狙い線がみえて楽しい。
Set-List は左のように19曲。一日のステージをたっぷりみせてくれる。Jacek Zasadaのフルートが入り、そこにMaciej Mellerのギターが泣いて、実はその両者のムードのギャップがこのバンドの特徴のようなものだ。フルートとエミラ嬢のクリスタル・ヴォイスの唄声がちょっとゴシック調でありながらアイオナ風のトラッドっぽいムードを造るのだが、そこにそう似つかわしいと思わないキャメルやピンク・フロイド風のギターとキーボードでプログレ・ロックっぽく盛り上げて曲を纏め上げる。そのあたりがなかなか一風変わった味があってこれが又私が注目するところであった。
<DVD> QUIDAM 「The Fifth Season」
~LIVE IN CONCERT~
WYSPIANSKI THEATRE KATOWICE, 15th Nov. 2005
(released in 2006)
さてこちらがリード・ヴォーカルがエミラ嬢から男性のBartek Kossowicz に変わってのステージ映像。彼は表情がちょっと若き頃のピンク・フロイドのギルモアに似ているところがご愛敬。そして声を張り上げずにソフトにマイルドに唄う。
この映像盤は、もちろんオフィシャルものであり、十分の映像とサウンドが堪能できる。
はっきり言って、彼等は女性ヴォーカルでもゴスペル寄りの彼女に見切りをつけて、英語のリード・ヴォーカルでロック・バンドとしてインターナショナルな発展を期したのではないかと思う。そしてかなりハードな演奏とメロディアスでムードある叙情性豊かな演奏の交錯は彼等の初期からの持ち味ではあるが、イメージはかなり変わっている。ヴォーカルが女→男でこうも変わるのかと思うところ。良く聴くと演奏の方法論はそう大きく変わっていないのであるが、ソフトなヴォーカルでその位置を下げギターの占める位置が前面になっているところがポイントか。その為ロック・バンドとしての演奏に重きが増してきた。
この彼等の変身は、多分この方が世界的には認知されてゆきそうだ。ロック・ファンとしては、この男性化したQUIDAMに大いなる期待をしたい。、
このDVDにはインタビューも納められており、彼等の歩みの話も聞ける。初期はキャメルをイメージし、男性化した近年はポーキュパイン・ツリーも視野に入れているというところのようだ。しかし彼等の独自の世界は常に頭に入れているらしい。
Songs / Tracks Listing
1. Hands off
2. Queen of Moulin Rouge
3. SurREvival
4. Sanktuarium
5. Oldies but Goldies : including excerpts from List z pustyni I , Pod powieka ,
Plone, Wesola , Jest taki samotny dom , Niespelnienie ,Gleboka rzeka
6. No Quarter (guitar solo from "Quimpromptu")
7. The Fifth Season (including excerpts from Genesis' "Los Endos")
8. Credo
9. Everything's Ended
10. Jestes (including excerpts from K. Komeda's "Lullaby" of "Rosemary's Baby")
11. Not So Close (including excerpts from Joe South's "Hush")
収録曲はこんなところだが、上のオフィシャル・ブートレグと同じ曲としては注目曲のレッド・ツェッペリンの”No Quarter”が視聴出来る。エミラ嬢とバーテックの違いと同時に、明らかにこの2005年ものには、2003年に比してロックとしてのハードな味とメリハリが高まっていることが解る。彼等の狙いはここにあることがこの曲で見て取れるのだ。ロック・バンドとしての挑戦が始まっている。頼もしい。
又注目は、ちょっと考えられないあのポーランドのジャズの神様のクリストフ・コメダの曲”Lullaby”、”Rosemary's Baby”をやってみせるところだ。こんなところが彼等のミュージックを究めようとするバンドの一端が観れる。(参考②)
この変身は、バンド・メンバーの一新も計っている。中心のギター、フルート、キーボードの3人は不動で、新メンバーとしてドラムス、ベースを迎えている。
Line-up / Musicians
(写真 左より)
Zbyszek Florek / keyboard
Maciej Meller / guitar
Bartek Kossowicz / vocal, chorus
Maciek Wroblewski / drums
Mariusz Ziolkowski /bass
Jacek Zasada / flute
Guest musicians:
- Robert Mowalski "Myca" / chorus (2, 3, 4)
- Grzegorz Nadolny / contabass (4)
- Pawel Molenda ''DJ Paulo'' / scratching (6)
(参考) ① http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/alone-together-.html
② http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/nbs.html
(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=yILeZDZYx2Q
http://www.youtube.com/watch?v=ob3r42VEYRE
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