エンリコ・ピエラヌンツィ

2020年3月 1日 (日)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi 「COMMON VIEW」

オリジナル曲による創意の結晶といった流れ

<Jazz>

Enrico Pieranunzi  Jesper Somsen  Jorge Rossy
「COMMON VIEW」
CHALLENGE RECORDS / AUSTRIA / CR73459 / 2020

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Enrico Pieranunzi エンリコ・ピエラヌンツィ (piano)
Jasper Somsen イェスパー・サムセン (double bass)
Jorge Rossy ホルヘ・ロッシー (drums)
Recorded at MotorMusic, Mechelen(Belgium)
Recording dates : September 10 & 11,2018

 はっきり言ってこのアルバムも難物です。これは2018年の録音モノだが、エンリコ・ピェラヌンツィは近年この傾向にあることは解っての上でのアプローチであった。とにかくヨーロッパ叙情派ピアノの代名詞的彼であるが(1949年、ローマ生まれ)、このアルバムは極めて端麗なピアノ・タッチが聴かれるもハードにして軽快な転回をみせたり、美旋律を奏でるので無くトリオのそれぞれのアクセントを許容し協調してゆく妙を描く世界に専念していての曲作り。安易な叙情的美を求めるとしっぺ返しが来る。

 

Enricopieranunzi2w (Tracklist)

01. Falling From The Sky (JS)
02. Silk Threads  (JS)
03. Sofa  (JR)
04. Turn In The Path  (EP)
05. Love Waiting Endlessly (JS) 
06. Perspectives  (EP)
07. Instant Reveal I *
08. Who Knows About Tomorrow  (JR)
09. Instant Reveal II * 
10. Recuerdo  (JR)
11. Song For An August Evening (EP)

(JS):Jasper Somsen、(JR):Jorge Rossy 、(EP):Enrico Pieranunzi 、*印:三者

 それにしてもこのトリオのそれぞれの演奏の切れ味は見事と言いたい。けっしてピアノを前面に出してのベース、ドラムスが単なるリズム隊としてのサポートという単純なトリオ演奏では無い。収録曲は彼らがそれぞれ3曲づつ提供し、そして三者による2曲のオリジナル計11曲である。単なるカヴァーという世界で無いので、それは彼らの意志の見せ処としての曲構成展開が演じられているところにある。

 とにかく私にとってようやくゆったり許容できたのは、M2."Silk Threads "、M11."Song For An August Evening "の2曲くらいであった。多分こうゆうアルバムは聴いたことのある旋律が顔を出してホッとさせてくれるというものでないので、恐らく何回と聴いていく内に何かが見えてくるのであろうという世界なのだ。
 冒頭のM1." Falling From The Sky "は三者のお披露目、コラボレーションの妙。M2."Silk Threads "はがらっと変わってゆったりした世界。M3.Sofa""、M4."Turn In The Path"はコンテンポラリーにして実験音楽的ニュアンス。
 M7."Instant Reveal I"はピアノの音の美しさが演じられるも、曲の展開が異様で緊張感を誘う。そしてM9."Instant Reveal II"に繋かがり、三者の交錯が興味をひく。

Trio1

 近年のエンリコ・ピエラヌンツィの単なる耽美性から一歩も二歩も歩んだ彼の創意の意欲から生まれる世界だ。それはトリオのコラボレーションを楽しむ瞑想感覚のあるミステリアスにしてスリリングな一つの世界なのである。
 私からすると、とくにM11."Song For An August Evening "が往年のエンリコ・ピエラヌンティの演奏を思い起こさせて、救われた感じを持ったエンリコ・ワールドであった。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★☆  80/100
□ 録音   ★★★★☆  80/100

(試聴) 

 

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2019年12月25日 (水)

エンリコ・ピエラヌンツィ Enrico Pieranunzi Trio 「NEW VISIONS」

ロマンティックな哀愁とスリリングなダイナミックな演奏と
・・・・トータル・アルバムとして聴くに意味がある

<Jazz>

Enrico Pieranunzi Trio 「NEW VISIONS」
Storyville / IMPORT / 1018483 / 2019

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Recorded March 10,2019 at The Village Recording,  Copenhagen

Enrico Pieranunzi(p)
Thomas Fonnesbaek(b)
Ulysses Owens Jr.(ds)

Recorded March 10, 2019 at The Village Recording, Copenhagen
Produced by Enrico Pieranunzi and Thomas Fonnesbæk
Executive producer: Christian Brorsen
Mastering: David Elberling
Recorded and Mixed by Thomas Vang
Design: FinnNygaard.com
Photos: Gorm Valentin
Liner notes: Christian Brorsen
Thanslation: Steve Schein
Financial support: MPO & Kjeld Büllow
(Storyville 1018483)

  イタリアのもうピアノの巨匠とも言えるエンリコ・ピエラヌンツイ(1949年ローマ生まれ)のメンバーを一新してのピアノ・トリオ作品。本作はデンマークのStoryvilleレーベルからのリリースだ。今年の録音である。場所はコペンハーゲン、そんなことから実質的なリーダーはベースのトーマス・フォネスベックだったのかもしれないという説もあるが、いずれにしてもピエラヌンツィのピアノとの相性も良いようで、このアルバムは両者がそれぞれの曲を提供しつつ、又トリオとしての3人によるオリジナル曲がアルバムの骨格を造っている。

 とにかくピエラヌンティのややおとなしめの曲と対比的にフォネスベックの曲がダイナミックなところもあって、なかなか飽きさせないアルバムとして仕上がっている。

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(Tracklist)

1. Free Visions 1 (Pieranunzi-Fonnesbæk-Owens Jr.) 3:25
2. Night Waltz (Enrico Pieranunzi) 3:20
3. Anne Blomster Sang (Enrico Pieranunzi) 6:47
4. You Know (Enrico Pieranunzi) 6:35
5. Free Visions 2 (Pieranunzi-Fonnesbæk-Owens Jr.) 2:03
6. Free Visions 3 (Pieranunzi-Fonnesbæk-Owens Jr.) 4:06
7. Alt Kan ske (more Valentines) (Pieranunzi-Fonnesbæk-Owens Jr.) 6:46
8. Free Visions 4 (Pieranunzi-Fonnesbæk-Owens Jr.) 4:08
9. Brown Fields (Thomas Fonnesbæk) 5:07
10. Dreams and the morning (Enrico Pieranunzi) 4:13
11. One for Ulysses (Enrico Pieranunzi) 4:40
12. Orphanes (Thomas Fonnesbæk) 5:10

  上のように、収録12曲の内、ピエラヌンティの曲が5曲。フォネスベックの曲が2曲。3人による曲が5曲という構成だ。やはりピアニストとしてのピエラヌンティの曲は多くなるのは解るが、特徴はトリオ三者による"Free Vision"(自由構想 ?)と銘打った曲が4曲と多いと言うことだろう。
 アルバム・タイトルの「NEW VISIONS」と言うのが意味深で、"新しい構想"、"新しい展望"、"新しい幻影・光景"と言ったところなのだろうか。
 ドラマーのオウエンスJrも、ピエラヌンティの静かな曲では繊細に、三者の共作曲に於いては即興入りの結構ダイナミックに演ずるところがありなかなか聴くに飽きない。又フェネスベックのベース・ソロもそれなりに取り入れられていて聴かせどころが盛り込まれ、ピエラヌンティ・ワンマン・トリオというところにはなく、三者バランスのとれた意欲的なトリオ演奏である。

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 M1."Free Visions 1" は、リズム隊が活発でテンションの高い演奏からスタートしてピアノが同調してゆく形をとっている。これは所謂ピエラヌンティの叙情的世界とは違って新鮮なところを狙っているところが見える。まさに"新しい幻影"といったところか。
 そしてそれに続いてM2."Night Waltz"一転してのピエラヌンティの夜の華やかさを描くワルツ、そして彼の曲らしいM3." Anne Blomster Sang"に流れ、M4."You Know"で、静かに説得力のあるやや暗めの沈静的な世界をピアノの美で描く。
 そうかとしていると再びM5."Free Visions 2"M6."Free Visions 3"はこのアルバムの大切な骨格の三者の前衛的なメロディ・レスの硬質アクションが展開。 
 このように美メロディーのロマンティックな哀愁感をしっとり聴かせ、今回のテーマである4曲の"Free Visions"では、圧倒的ダイナミズムとスリリングな即興を交えた硬質アクションを展開して、とにかく緩急メリハリの効かせた躍動的世界を形作っている。ドラムス一つとっても繊細なタッチと迫力ある重量級の音が、時に現れ時に変化して面白い。
 ここまで来ると、このトリオがアルバム・タイトルを「NEW VISIONS」とした意味が十分理解できるアルバムとなっているのだ。従ってピアノの主役性は失ってはいないが、ベース、ドラムスがかなりその持ち味を心置きなく発揮している様が、曲の重きに貢献している。
 さらにサービス精神も旺盛で、M11."One for Ulysses"では所謂近年のヨーロッパ的でないスウィンギーな展開まで見せてくれている。このあたりは芸達者というところか。

 「静」「動」、「暗」「明」、「沈着」「躍動」、「軽」「重」が交錯するなかなかレベルの高いところでのトリオ演奏を目指していて見事と言いたい。
 音質も録音法によるものか、ピアノ、ベース、ドラムスがそれぞれくっきり見えていてこの点も評価に値する。ちょっと前進のあるアルバム作りで、トータル・アルバムとして聴くところに意味がある。90点の高評価としたい。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音    ★★★★★☆

 

(試聴)

*

 

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2019年2月10日 (日)

エンリコ・ピエラヌンツィのニュー・アルバム Enrico Pieranunzi 「PLAY GERSHWIN」

ジャズでもなくクラシックでもなく・・・これは何なんでしょう
<Jazz, Classic>
Enrico Pieranunzi  Gabriele Mirabassi  Gabriele Pieranunzi
「PLAY GERSHWIN」
CAM JAZZ / IMPORT / CAMJ7939 / 2018
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Enrico Pieranunzi (piano)

Gabriele Mirabassi (clarinet)
Gabriele Pieranunzi(violin)

 ジョージ・ガーシュインと言えば、シンフォニック・ジャズと言われるクラシックとしてもジャズとしても通ずるアメリカの20世紀の作曲家だが、それを題材にしたイタリアのピアノの詩人と言われるエンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziのニュー・アルバムの登場。
 これが案の定、クラシックともジャズとも、なんとも正体の不明なアルバムの登場となった。それも彼のピアノにクラリネット、ヴァイオリンの加わったトリオ演奏によると言う不思議な世界を演じきったもの。もともとクラシックがベースと言うエンリコの事、まぁ聴いてみるとクラシック・スタイルと言ったほうが良いのかも知れない。
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もともとガーシュインの曲は、管弦楽曲、オーケストラとしての演奏が主体だが、それを3人の演奏となると室内楽的スタイルで、ちょっとイメージも変わる。更にそこにはそれなりのジャズ世界を演じてきた彼のアレンジが登場するわけで、そこが味噌と言えば味噌なのだが、如何にも正体不明なアルバムなのである
 まあこのところハイドンやバッハとか、さらにドビュッシーの曲を取りあげての彼の世界を演じてきたと言う事もあるのだが、ちょっと私の期待の世界とは別方向に流れているエンリコで、その極めつきがここに登場したとも言えると思う。
(Tracklist)
01. An Americab in Paris
02. Prelude 1

03. Prelude 2 (Blue Lullaby)
04. Prelude 3 (Spanish Prelude)
05. Prelude (Melody No.17)
06. Varaazioni Un Tema Di Gershwin

07. Rhapsody In Blue

V4w  今回のトリオは、彼の兄弟のGabriele Pieranunzi(→)のViolinと、何年かとお付き合いのあるGabriele Mirabassi (右下)のClarinetと言う構成で有り、気心知れた仲間での挑戦と言うことだと思う。まあしかしヴァイオリン、クラリネットと来れば、所謂ジャズのオーソドックスなトリオであるドラムスのようなリズム隊が居ないので、それが一つジャズ離れしたところだろう、もともとジャズ的世界とか何とかとには拘った話でも無いのかも知れない。

C3w そこでむしろ"Prelude"の4曲のように、美しく演ずるのであるが、ピアノがリズム役を担っていて、いわゆるジャズのオーソドックスなピアノ・トリオを期待してはいけない。まあメロディーを奏でる3者のトリオであるのだが、むしろピアノより、クラリネツトとヴァイオリンの美しさがここでは前面に出でいる。
 とにかく懐かしのガーシュインのメロディーが流れてくる。それはピアノの音であったり、クラリネットであったり、ヴァイオリンだったり美しくは演じられている。当初私はヴァイオリンがもう少しスリリングな展開をしてくれるのではと期待したが、そんなところにはなくむしろ一般的な旋律隊であった。
 そしてメインは、M01. "An Americab in Paris"M07. "Rhapsody In Blue"の2曲と言うところだ。特にM01の方は全体の流れが実に起承転結がしっかり築かれ中間部の美しさなど見事と言えば見事な仕上げであった。一方M07は、むしろこの編曲であるならオーソドックスなピアノトリオで演じてみると面白いのかもしれないと思って聴いた。
 M06."Variazioni Un Tema Di Gershwin"のみエンリコによる曲と思われるが、即興的ニュアンスも感じられるも、特に引きつける魅力はあまり感じられなかった。

  ガーシュインのポピュラーな曲は、結構ジャスで演奏されてきているので、そんなところかと最初は思ったが、なにせこの構成のトリオであって、まぁ~ジャズ的ムードは期待しない方が良い。ところが一方クラシックとして聴けば、結構美しく演奏してくれているのだが、ちょっと変なアレンジもあって意外性も顔を出してすんなり行かない。はっきり言うと中途半端なんですね。こうゆうのを好んで聴くのはどうゆう人なのかとむしろそっちに興味を持つところである。まぁ私の愛聴盤にはなりそうもないものであった。
(評価)
□曲・演奏 : ★★★★☆
□録音:   ★★★★☆

(視聴)

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2018年7月18日 (水)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi 「WINE & WALTZES Live at Bastianich Winery」

エンリコのワイナリーでのピアノ・ソロ・ライブ

<Jazz>
Enrico Pieranunzi 「WINE & WALTZES  Live at Bastianich Winery」
Cam Jazz / Euro / CAMJ7934 / 2018

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Enrico Pieranunzi (piano) played on Fazioli F278
All music by Enrico Pieranunzi

Recorded & mixing engineer Stefano Amerio
Recorded Live at Bastianich Winery (Cividale del Friuli, Italy) on 6 June 2017

  つい最近エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi のトリオのアルバム(『Monsieur Claude - A Travel with Claude Debussy』(BON180301))がリリースされたばかりだが、ブログ友エンリコ命の爵士さんお勧めのピアノ・ソロ盤が今度はリリースされた(実際には欧州ではこちらが先のリリースのようだが)。
 イタリアからスロヴェニアとの国境に近いところにあるバスティアニッヒ・ワイナリーで昨年行われたエンリコのピアノ・ソロ・パフォーマンスだ。ヨーロッパに行くと、とにかく立派なワイナリーが各地にあるのだが、あの静かなワインの眠る大空間で行われた演奏と、いやはや洒落ている。そしてピアノはイタリアの誇る「FazioliF278」である。

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(Tracklist)
1. Wine & Waltzes (3:47)
2. Blue Waltz (7:11)
3. Twoliness (4:12)
4. Waltz Today (3:47)
5. Fellini’s Waltz (6:03)
6. B.Y.O.H. (8:29)
7. Waltz Tomorrow (4:21)
8. Flowering Stones (8:51)

  さてその中身は、Tracklistにみるとおりの、欧州クラシック音楽の歴史的なものであるワルツを基調としたエンリコのオリジナル曲群だ。つまり3拍子の円舞曲で、そこにはテンポの良さからの明るさがある。それはこうしたワイナリーにおける曲としては、彼の選曲の世界だろうと想像しているのだが。私としてはもう少し深遠なる世界を実は期待してしまうのであるが。
 ただエンリコは、M2. "Blue Waltz", M5. "Fellini’s Waltz"あたりは既に何回かと演奏してきているもので、どこか憂いがあるところが聴きどころなのかも知れない。
 とにかくクラシック音楽的上品さとその軽い明るさのワルツとくれば、どうも私好みとは別世界なのだが、そんなところからも、M1、M4、M7あたりの意義については私には理解不能。しかしそんな私自身の偏見的世界からしても、M2、M3、M5、M6などには、品格を持ったプレイに宿る哀愁感が描かれて、そのメロディラインの美しさと共に私自身は大いにその価値を感じている。

 究極は、このようなアルバムはジャズ・ピアノという範疇にはいるのか、むしろクラシックの派生と聴いた方が良いのか、私のように音楽学問の無い人間には難しいところだが、エンリコ・ピエラヌンツィの近年の一つの姿であることは間違いない。なかなか彼の演奏能力の技術的高さと同時に品格のあるアルバムであった。

 又、アメリオのピアノの音を知り尽くしての録音に感動だ。このワイナリーは、拍手の余韻を聞いても解るが、かなり研究された音響効果の良好な場として選ばれた可能性が高い。
 ただ、演奏と聴く者の拍手の音の重なる部分はないのであるから、こうゆうアルバム作りに於いて、敢えて拍手を入れる必要があるのかとふと疑問に思ったところであった。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★☆
□ 録音   ★★★★★☆

(試聴) Fellini’s Waltz

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2018年4月22日 (日)

エンリコ・ピエラヌンッィEnrico Pieranunziのドビュッシーへの想い 「Monsieur Claude - A Travel with Claude Debussy」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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  (Nikon D800/ 90mm/19,Apr,2018)



しかし、これはどこか変なアルバムと言ってしまいたい代物

<Jazz>
Enrico Pieranunzi 「Monsieur Claude - A Travel with Claude Debussy」
BONSAI / France / BON180301/2018

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Enrico Pieranunzi(p),
Diego Imbert(b), Andre Ceccarelli(ds)
Featuring: David El Malek(sax-M1,3,6,9), Simona Severini(vo-M4,5,8,11)
Mixed and Mastered by Stefano Amerio

Claude_debussyw あのフランスの作曲家トビュッシーClaude Achille Debussy(1862.8.22-1918.3.25)(←)も今年没後100年なんですね。それにちなんで、なんと注目度も100%のエンリコ・ピエラヌンツィが、ドビュッシーに捧げた作品だ。
  トビュッシーといえば「海」というのがありましたねぇ~、それはそれとして彼の作曲群はクラシック・ファンの中でもそれなりに支持者が多いと思うのだが、私的にはイマイチ夢中になるという感動はなかった。「月の光」とか「亜麻色の髪の乙女」とか聴いたこともあるが、まあ知らない方が多いので、現代ジャズ・ピアノの美旋律最右翼のピエラヌンツィがトリオを中心にして演ずるといことの訳で、興味津々で聴くことになったのである。

(Tracklist)
1.  Bluemantique (d'après Valse Romantique de Claude Debussy) (5:30)
2.  Passepied nouveau (d'après Passepied de Claude Debussy) (4:51)
3.  L'autre ballade (d'après Ballade de Claude Debussy) (5:36)
4.  Romance (Paul Bourget / Claude Debussy) (5:02)
5.  Rêverie (Claude Debussy / arrangement Enrico Pieranunzi) (7:45)
6.  Cheveux (d'après La fille aux cheveux de lin de Claude Debussy) (5:11)
7.  Blues for Claude (Enrico Pieranunzi) (4:28)
8.  Nuit d'étoiles (Théodore de Banville / Claude Debussy) (8:11)
9.  Mr. Golliwogg (d'après Golliwogg's Cake-Walk de Claude Debussy) (5:35)
10.  My Travel with Claude (Enrico Pieranunzi) (2:04)
11.  L'adieu (Guillaume Apollinaire / Enrico Pieranunzi) (6:38)

Ep1w まずは聴いての印象だが・・・・ウーンこれはあまりジャズ・ファンには勧めるものではないなぁ~~。ピアノ・トリオの美しさを前面にと言ったものではないし、そういう中でもM1,3,6,9には、SAXが登場してジャズっぽくなってくれるのだが、どこかしっくりしない。
 M2."Passepied nouveau" は、エンリコ・ピエラヌンツィ(→)らしいピアノが、如何にもクラシック調をベースに聴かせてくれるところは聴きどころと思う。この流れで全編通してくれると、一つの世界を描けたのではと思いつつ、次なる変化に欲求不満になる。
 又、更にM4,5,8,11の4曲は、シモーナ・セヴェリーニの歌をフィーチャーしていますが、ちょっとクラシック・ベースにポップ、フォーク感覚もあったりとして、M8."Nuit d'étoiles"や最後の締めくくりの曲M11. " L'adieu " なんかは発声も充実してなかなか良い出来だと思うのだが、どこか印象がちぐはぐ。一つの曲として聴くにはなかなか完成度も高く魅力もあるのだが、このアルバムとしてどこか不釣り合いと言ったところで終わってしまうところが空しい。
  私がそれでもちょっと注意して聴いたのは、M7. "Blues for Claude"や、M9. "Mr. Golliwogg" のようなピアノ・トリオのやや前進的展開に見るところもあるが、感動というところとはほど遠い。
 M10. "My Travel with Claude" は短い曲だが、ここにみるような、何かを思わせるピアノの響きの世界は嬉しくもなった。このパターンで仕上げて欲しかった思うのである。

 結論的には、私のような中途半端者にとっては、このアルバムの評価は難しく、演奏のレベルは高そうだが、多分これからも聴き込みたいと言うものではなかったというところ。高評価の方が居られれば、その聴きどころとアルバムとしての評価の話を聞かせて頂きたいと思っている。録音は、さすがStefano Amerioで良いです。

(評価)
曲・演奏: ★★★★☆
録音     : ★★★★★

(視聴)

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2017年5月23日 (火)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi 「MÉNAGE À TROIS」

やっぱりエンリコのピアノは流麗にして美しかった

<Jazz>
Enrico Pieranunzi・André Ceccarelli・Diego Imbert 「MÉNAGE À TROIS」
BONSAI / IMP / BON160901 / 2016

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Enrico Pieranunzi (piano)
Diego Imbert (double bass)
André Ceccarelli (drums)
Recorded on Studio de Meudon, Meudon, Frabce  at 12-15, Nov, 2015

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 CAM Jazzとの独占契約の解除があって以来、ちょっとこのところエンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziはその活動も多方面に広がって、そのピアノ作品は若干難しい面もあったりして少々構えている私で、そんな事から今回このニュー・アルバムにはすぐに飛びつかず様子を見ていた私でありました。ところがブログ友爵士さんは昔からのファンだけあってやっぱり静かにしている私に薦めているので、結局のところ聴くことになったという次第。

 今作はフランスのBonsai Musicにて録音した注目のトリオ新作だ。それもクラシックとの融合を図った演奏と言うことで、やっぱり気になる作品でもある。

1797bigpmgrandw1  大体アルバム・タイトルの「MÉNAGE À TROIS」が凄い。これってフランス語で”三人婚”の事ですね、一般には男1+女2で平和な暮らしを営むという私には信じがたい状態。それはこの場合、イタリア人のエンリコ+フランス人二人のトリオってことでしょうか?、それともドラムスはエンリコの長年の朋友アンドレ・チェカレッリ(→)で、それが「2」で、それにベースのフランスのジャズ界のディエゴ・アンベールを加えた「2+1」なのか、とにかく洒落ていて難しいです。私はエンリコのフランスでの遊び心を何処かに秘めたのではと想像もするのだが・・・・。

(Tracklist)
1. Mr. Gollywogg (d'après Gollywogg's Cake - Walk de C. Debussy) 03:57 (Enrico Pieranunzi)
2. 1 ère Gymnopédie 03:47 (Erik Satie)
3. Sicilyan Dream (d'après Siciliano, BWV.1031 de J.S. Bach) 04:42 (Enrico Pieranunzi)
4. Medley: La plus que lente / La moins que lente 07:15 La plus que lente 02:07 (Claude Debussy) La moins que lente 05:08 (Enrico Pieranunzi)
5. Hommage à Edith Piaf (XVème Improvisation, Hommage à Edith Piaf) 04:44 (Francis Poulenc)
6. Le crépuscule 04:00 (Darius Millhaud)
7. Mein Lieber Schumann I (d'après Davidsbündlertänze Op.6 (No.2) de R. Schumann) 07:06 (Enrico Pieranunzi)
8. Medley: Romance / Hommage à Milhaud 05:00 Romance 01:25 (Darius Millhaud) Hommage à Millhaud 03:35 (Enrico Pieranunzi)
9. Mein Lieber Schumann II (d'après Carnaval de Vienne Op.26, Allegro, de R. Schumann) 07:05 (Enrico Pieranunzi)
10. Hommage à Fauré (d'après Improvisation, 5ème des « Pièces Brèves » Op.84 de G. Fauré) 04:38 (Enrico Pieranunzi)
11. Liebestraum pour tous (d'après Liebestraum No. 2 de F. Liszt) 04:18 (Enrico Pieranunzi)

 いっや~~なかなか百戦錬磨のエンリコだけあって、単なるクラシックものとは全くの別物です。やっぱりジャズですね。原曲の面影は無いでは無いが、やっぱり一筋縄ではゆかない(良い意味ですが)彼の色彩濃いジャズ化の世界。エンリコの編曲と彼の作曲をドッキングしたりしての快作。つまりクラシックの名曲はあくまでも彼のジャズの誘導の素材でしか無いと言っても良いくらいだ。

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 さて登場する曲は、ドビュッシー、サティ、バッハ、シューマン、クープラン、リストといった作曲家だ。
 バッハと言えば懐かしのジャック・ルーシェを思い出すが、M3.”Sicilyan Dream ”に登場。バッハのイメージはあるが、ルーシェのようにその曲を生かしてジャズにしたというのでなく、全くの別物。つまりエンリコのジャズにその味を効かしたというパターン。編曲の凄さが出ている。
 しかし彼にはバッハよりはドビュッシーのほうが合いますね。それはM4.”La plus que lente / La moins que lente ”で味わえる。静かな世界をリリカル路線で聴かせるせるが、後半は彼の曲をドッキングさせて、それはなんとスウィングさせてのジャズ世界。いやはや遊び心も持ち合わせたピアノ達人だ。
 M5.” Hommage à Edith Piaf ”これは哀歌ですね。フランスの誇るシャンソン歌手エディット・ピアフへのオマージュだ。
 M7.”Mein Lieber Schumann I”シューマンを演ずるエンリコは、彼のベースに流れるクラシックの味そのものを生かしつつ演ずるジャズの流れる美しさに堪能する。
 M8.”Romance / Hommage à Milhaud ”これは彼の得意のクラシック流世界。そして気持ちを安らげる1曲に仕上がっている。
 まあこのように多彩な世界を演じてくれるエンリコのドラマティックで情熱込めたピアノ・プレイでありながら、彼の持つリリカルなところがしっかり織り込まれた快作だ。

 エンリコのクラシック楽曲を知り尽くしての演奏に、どちらかというとジャズ・ピアニストとしてのアレンジの妙にウェイトが置かれていて、それに更にインプロヴィゼーションが加わって、その融合の名演奏のアルバムと言って良いのでは思う。

(視聴)

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2017年4月 8日 (土)

チャーリー・ヘイデンCharlie Haden (with C. Baker, E. Pieranunzi, B. Higgins) 「Silece」

1989年のリマスター復刻盤に感動

<Jazz>
Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins 「Silece」
Soul Note / ITA / SNGG116-2 / 2017

Silence

Recorded Nov.11-12. 1987 at CMC Studio, Roma

 Charlie Haden ( Bass ), Chet Baker (Trumpet , Vocal), Enrico Pieranunzi ( Piano ), Billy Higgins ( Drums )

Mi0003186081 "Soul Note Remastered Reissue Series"としての登場盤で、これはチャーリー・ヘイデンのSoul Note での初の録音盤(1987年)。
  ヘイデンが、ウエスト・コースト・ジャズへの思いをこめたというコンセプトのもと制作された作品と言うが、今こうしてみると豪勢なメンバーによるカルテットだ。
 なんと言っても、チェット・ベイカーが亡くなる半年前の演奏で、それだけでも興味がある。これは私は過去に一度も聴いてなかった盤であるだけに尚更だ。しかもあの抒情的ピアノ・プレイを聴かせてくれるピエラヌンツィが絡んでいて文句なしだ。

(Tracklist)
1.  Visa
2.  Silence
3.  Echi
4.  My Funny Valentine
5.  ’Round About Midnight
6.  Conception

Chet675 とにかくチェット・ベイカーの演奏が印象的で、これはまさに彼のアルバムかと思わせる程です。2曲目の”Silence ”がチャーリー・ヘイデンの曲でこのアルバムの主役をなしていて、これが静かなエンリコのピアノに続いて、どちらかというと陽ではなく陰に包まれていると言って良いのだが、チェット・ベイカーの押さえてのペットの響きが支配する。それは極めて叙情的な世界であって、それにおもむろに登場するヘイデンのベースが更に深淵なる雰囲気を構築するんですね。私から見るとこれはチェット・ベイカーの人生を象徴するがごとくの出来映えだ。
  M4.”My Funny Valentine”においては、何とか陽の世界を見せようとしているが、やっぱり聴く方の気持ちも入ってしまって、チェット・ベイカーのヴォーカルも登場するが、如何にもこのバンド4者の最大限の花ではあるが、やっぱり抒情的な世界になっている。

Chetbakerenricopieranunzi そしてこのアルバムの私の最大の焦点はM5.” ’Round About Midnight”だ。なんと11分を超える演奏だが、繊細な感覚が4者のそれぞれの全ての音に秘められている。この曲には完全に聴く私は取り込まれてしまった。ベイカーから続くピエラヌンツィにメロディー演奏が引き継がれ、両者の抒情的美が溢れている。そしてその後は優しいヘイデンのベースがほぼソロで演じられ、もう満足の極みである。

 いやはや良いアルバムをリマスター再発してくれたものだ。当時リアル・タイムに聴いた人たちは、どんな気持ちで直後のベイカーの悲しみを送ったのだろうか、今こうして聴いていてその想は想像に難くないのであった。

(視聴)

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2015年11月28日 (土)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi ニュー・ライブ・アルバム「TALES FROM THE UNEXPECTED」

エンリコ・ピエラヌンツィの詩情ピアノ・トリオ・ジャズが帰ってきた!

  <Jazz>
    Enrico Pieranunzi 
    「TALES FROM THE UNEXPECTED」
                                  ~Live at Theater Gütersloh~
           ETERNAL MOMENT / KKE054 / 2015

Talesfrom

Enrico Pieranunzi(p)
Jasper Somsen(b)
André Ceccarelli(ds)

Recorded live at Theater Gütersloh 29. 08. 2015

Proximity エンリコ・ピエラヌンツィ(1949年イタリアのローマ生まれ)は、いろいろと動いていますね。このところのCAM JAZZ最新作は、ラルフ・アレッシ(tp,cor,flh)、ダニー・マッキャスリン(ts,ss)、マット・ペンマン(b)というNYの世界でしょうか”アメリカン・カルテット”で挑んだまたもややや変則と言いたくなる意欲作の「PROXIMITY」というアルバムもリリースされたが、・・・・ここで取り上げたこちらは今年のドイツにおける「European Jazz Legends」においての、ヨーロピアン・トリオ・ライブの登場だ。全10曲オリジナル曲で4曲が即興演奏。ドラマーにアンドレ・チェカレリAndré Ceccarelliが参加。

1. Improtale 1 (4:46)*
2. The Waver (8:03)
3. Anne Bloomster Sang (6:59)
4. Improtale 2 (6:13)*
5. B.Y.O.H. (6:41)
6. Tales From The Unexpected (8:41)
7. Improtale 3 (7:41)*
8. Fellini's Waltz (6:41)
9. Improtale 4 (2:24)*
10. The Surprise Answer (6:22)
(11. Interview with Enrico Pieranunzi by Götz Bühler (11:50))
Total Time 76:33
               (*印 即興演奏)


Enricopieranunzi3 スタート曲” Improtale 1”からBassのアルコ奏法から入る即興曲を展開、これが又魅力的なヨーロッパ的な美しさが伝わってくる。これはしめしめと聴き入るのである。
 M2”The Water”、M3”Anne Bloomster Sang ”と、懐かしきピアノの繊細にして美旋律が聴き取れる。特にM3でこのアルバムの良さが全開、Bassが思いの外哀愁感ある旋律を奏で、そこにピアノの流れるようにして艶やかな緻密なピアノ・タッチは端正なヨーロッパ詩情そのもので、両者の交互に描き展開する彩りは快感。
 しかしやっぱりピエラヌンツィの演奏は何時聴いても優雅にして清々しい。

 そして一方、” Improtale (不体裁?)”という4曲の即興演奏は、特に2曲目からドラマティックの3者の交錯が非常に前衛的なセンスを生かしての展開で、その他の曲との対比が素晴らしい。その為M5”B.Y.O.H.”、M8”Fellini's Waltz ”が非常に抒情的な印象を倍増して迫ってくる。私は即興演奏の中では” Improtale 3 ”がお気に入り。
 そしてM6アルバム・タイトル曲”Tales From The Unexpected”が、このトリオのテクニック的な充実度を見せつけるが如きの心憎い快演である。

(参考) これは参考までにVillage Vangardでのライブ

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2015年6月15日 (月)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziの新盤 「DOUBLE CIRCLE」

ギターとピアノの落ち着いた中にも美と実験的センスを持ったデュオ

 イタリアの我が愛するピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィも近年色々な姿を見せるピアニストだが、今回は珍しくアコースティック・ギターとのデュオだ。

<Jazz>

  E.PIERANUNZI - F.CASAGRANDE  「DOUBLE CIRCLE」
     CamJazz / ITA / CAMJ 7885-2 / 2015

Doublecircle_2

               Enrico Pieranunzi (piano)
               Federico Casagrande(acoustic guitar)

 エンリコ・ピエラヌンツィの前作は昨年リリースされたピアノ・トリオもの『Stories』であったが、私が彼を愛する所以は、あの叙情的なピアノの調べで迫ってくるところである。しかし単なる叙情派ではない彼の姿も魅力的で、あのアルバムではアグレッシブなインプロヴィゼイションを聴かせてくれたところも忘れられないのだが・・・・・・。
(参考)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/enrico-pieranun.html

Doublecirclephoto この最新作は、新進の注目ギタリスト、フェデリコ・カサグランデとのデュオ作品。カサグランデは“ギブソン・モントルー・ジャズ・ギター・コンペティション”の2007 年優勝者とか。いかなる繋がりで、又何を目指しての今作となったかは知るよしも無いが、相当のキャリアの違いを超えての共作となったものだ。

 カサグランデのアコースティック・ギターの醸し出す音色は、このアルバムで聴く限りは、どちらかというと静かな柔らかな優しい音色であって、私の期待するピエラヌンツィの叙情的なピアノの調べとのマッチングが興味を呼ぶところである。

Doublecirclelist トラックリストは右のような11曲(クリック拡大)。ピエラヌンツィの曲が5曲、カサグランデの曲は3曲、両者の共作が2曲、そしてカヴァー曲1曲登場する。

 冒頭から両者のアンサンブルの妙が展開する。ギターとピアノが対等にまみえると両者の響きはこうゆうものなのか、しかし意外にピアノがバックにまわるところが多かったせいか、期待のピアノの響きは後退していて、ギターの音の方が前面に出るところからスタート。
 しかしこのアルバムの曲調は非常に落ち着いた世界にある。最後の曲”Charlie Haden”はピエラヌンツィがチャーリー・ヘイデンに捧げた曲で、1980年代に共演して以来の彼らにはまさにお互いを尊重した素晴らしい関係が続いていたようで、ピエラヌンツィの心の響きを聴くことが出来る。ふと考えて見ると、このアルバムはこの曲に止まらず、チャーリーへのトリビュート・アルバムなのかも知れない。そんな世界に連れて行ってくれる。

Rigonhd2 3.と10の2曲は、両者のインプロヴィゼイションであろうか、このアルバムでは若干異色であるが、彼らの試みの一つであろう。
 4.”Clear”、6.”Within The House of Night”、8.”Beija Flor”の三曲は、カサグランデのギターの美しさもさることながら、ピエラヌンツィのピアノは、その美しさ、メロディーの美しさ、そして心の落ち着きの世界に誘ってくれる。
 又7.”Non-nonsense”はゆったりとした中に不思議な世界に導かれる。このあたりは両者の感覚の一致性を感ずるところでの一つの結晶でしょう。

 旋律を奏でるにふさわしい楽器のピアノ、ギターというもののデュオは、やはり難しい取り合わせの一つと思われるが、特に1.5.曲での両者のアンサンブルはお見事と言いたい。
  しかしこのアルバムでも聴きようによっては主役の無い曲となってしまいがちな難しい面もあったし、更にアンサンブルを生かそうと思うと、ソロであれば両者いずれでも演ずる音の楽しめる余韻というか繊細なところがあると思うが、それがかき消されてしまう状況も生まれる。私の個人的な希望としては、もう少しピエラヌンツィのピアノにしっとりと浸りたかったというところもあったのは事実で、その為なのか若干残念に思うところもあった。

 (フェデリコ・カサグランデは、これまでに3枚のリーダー・アルバムがある=「Federico Casagrande ” Spirit Of The Mountains”(2009)」、「Federico Casagrande ”Ancient Battle Of The Invisible”(2013)」、「Federico Casagrande ” At The End Of The Day”(2014)」)

(CAMJazzの当アルバム紹介=当アルバムの各曲のさわり部分が聴ける
http://www.camjazz.com/releases/8052405141545-double-circle-cd.html

(試聴)Pieranunzi & Casagrande (当アルバムの曲とはイメージは異なりますが)

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2014年5月10日 (土)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi のニユー・トリオ・アルバム : 「STORIES」

まだまだ前進の姿が感じられるアルバム

<Jazz>

ENRICO PIERANUNZI with S.COLLEY  A.SANCHEZ
     「STORIES」
       CamJazz   CAMJ 7875-2 / 2014

Stories

Recorded in New York on 22, 23 February 2011 at Avatar Studio

Enrico Pieranunzi : piano
Scott Colley : bass
Antonio Sanchez : drums

Storieslist

 このトリオ・メンバーは、前作で単なる抒情派でないピエラヌンツィを見せつけた「Permutation」と同じであり、続編というところか。いずれにしても2009年に始動しての2011年の録音がこのアルバムである。つまり3年という期間、温存していたことになる。

Enrico  エンリコ・ピエラヌンツィについては過去に何度か話をしてきたのでそちらを覗いて欲しいが(参照 : 「エンリコ・ピエラヌエンツィのジャズ・゜アノの美学」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/enrico-pieranun.html)、イタリア・ピアニストとしての抒情性のある過去の数多くのアルバムには惚れ惚れとしてきたわけだ。
 しかし彼の世界は、あるときはクラシック・ソロ・ピアノを聴かせてくれたり、又ただただその哀愁と抒情性の世界に浸らせてもらったり、そして一方では、かなりアグレッシブで前衛的なパターンを示したりと、その多彩ぶりはこれまた意外に感ずるほどでもある。

Scolley  このアルバムも8曲中7曲は彼のオリジナルで、1曲のみベーシストのスコット・コリー(左)の曲(4曲目)。ここに組みしているリズム・セッションは、ピエラヌンツィとしては若き世代への挑戦的な意味合いもあろうかと思うが、そのパターンは新展開をここに見せて、彼のもう一つの面を構築する新たなる前進の一つの課程にも見えてくるのである。
 
 特にスタート曲”No Improper Use”では、過去のピラヌンツィのアルバムからは別物のとも思えるアグレッシブなインプロビゼイションの連続的攻撃に強烈な鮮烈さのある印象を受けるが、続く”Detrás Más Allá”になると、やはり彼の抒情性のピアノ・タッチとメロディが流れてくる。

Asanchez ドラマーのアントニオ・サンチェス(左)も、パット・メセニー・バンドの重要な現代ジャズ・トラマーとして注目を浴びているし、こうしたメンバーとピエラヌンツィが全く時代的感覚を感じさせないトリオ演奏で組みしているところには、脱帽せざるを得ない。むしろそんな場に彼は自分の存在を楽しんでいるかのようである。

 このアルバムはこの一枚で一つの世界が出来ているように思う。

 中間部のコリーの4”The Slow Gene”がここに来て攻撃性から内省的面に誘導し、6”Where Stories Are”、7”Flowering Stones”の2曲は私の印象としては現代社会の陰影を感じさせる。そして最後の”The Real You”に安らぎと光明が感じ取れてほっとするのである。

(試聴) このトリオの前作から・・・聴いてみてください

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