エンリコ・ピエラヌンツィ

2015年11月28日 (土)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi ニュー・ライブ・アルバム「TALES FROM THE UNEXPECTED」

エンリコ・ピエラヌンツィの詩情ピアノ・トリオ・ジャズが帰ってきた!

  <Jazz>
    Enrico Pieranunzi 
    「TALES FROM THE UNEXPECTED」
                                  ~Live at Theater Gütersloh~
           ETERNAL MOMENT / KKE054 / 2015

Talesfrom

Enrico Pieranunzi(p)
Jasper Somsen(b)
André Ceccarelli(ds)

Recorded live at Theater Gütersloh 29. 08. 2015

Proximity エンリコ・ピエラヌンツィ(1949年イタリアのローマ生まれ)は、いろいろと動いていますね。このところのCAM JAZZ最新作は、ラルフ・アレッシ(tp,cor,flh)、ダニー・マッキャスリン(ts,ss)、マット・ペンマン(b)というNYの世界でしょうか”アメリカン・カルテット”で挑んだまたもややや変則と言いたくなる意欲作の「PROXIMITY」というアルバムもリリースされたが、・・・・ここで取り上げたこちらは今年のドイツにおける「European Jazz Legends」においての、ヨーロピアン・トリオ・ライブの登場だ。全10曲オリジナル曲で4曲が即興演奏。ドラマーにアンドレ・チェカレリAndré Ceccarelliが参加。

1. Improtale 1 (4:46)*
2. The Waver (8:03)
3. Anne Bloomster Sang (6:59)
4. Improtale 2 (6:13)*
5. B.Y.O.H. (6:41)
6. Tales From The Unexpected (8:41)
7. Improtale 3 (7:41)*
8. Fellini's Waltz (6:41)
9. Improtale 4 (2:24)*
10. The Surprise Answer (6:22)
(11. Interview with Enrico Pieranunzi by Götz Bühler (11:50))
Total Time 76:33
               (*印 即興演奏)


Enricopieranunzi3 スタート曲” Improtale 1”からBassのアルコ奏法から入る即興曲を展開、これが又魅力的なヨーロッパ的な美しさが伝わってくる。これはしめしめと聴き入るのである。
 M2”The Water”、M3”Anne Bloomster Sang ”と、懐かしきピアノの繊細にして美旋律が聴き取れる。特にM3でこのアルバムの良さが全開、Bassが思いの外哀愁感ある旋律を奏で、そこにピアノの流れるようにして艶やかな緻密なピアノ・タッチは端正なヨーロッパ詩情そのもので、両者の交互に描き展開する彩りは快感。
 しかしやっぱりピエラヌンツィの演奏は何時聴いても優雅にして清々しい。

 そして一方、” Improtale (不体裁?)”という4曲の即興演奏は、特に2曲目からドラマティックの3者の交錯が非常に前衛的なセンスを生かしての展開で、その他の曲との対比が素晴らしい。その為M5”B.Y.O.H.”、M8”Fellini's Waltz ”が非常に抒情的な印象を倍増して迫ってくる。私は即興演奏の中では” Improtale 3 ”がお気に入り。
 そしてM6アルバム・タイトル曲”Tales From The Unexpected”が、このトリオのテクニック的な充実度を見せつけるが如きの心憎い快演である。

(参考) これは参考までにVillage Vangardでのライブ

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2015年6月15日 (月)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziの新盤 「DOUBLE CIRCLE」

ギターとピアノの落ち着いた中にも美と実験的センスを持ったデュオ

 イタリアの我が愛するピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィも近年色々な姿を見せるピアニストだが、今回は珍しくアコースティック・ギターとのデュオだ。

<Jazz>

  E.PIERANUNZI - F.CASAGRANDE  「DOUBLE CIRCLE」
     CamJazz / ITA / CAMJ 7885-2 / 2015

Doublecircle_2

               Enrico Pieranunzi (piano)
               Federico Casagrande(acoustic guitar)

 エンリコ・ピエラヌンツィの前作は昨年リリースされたピアノ・トリオもの『Stories』であったが、私が彼を愛する所以は、あの叙情的なピアノの調べで迫ってくるところである。しかし単なる叙情派ではない彼の姿も魅力的で、あのアルバムではアグレッシブなインプロヴィゼイションを聴かせてくれたところも忘れられないのだが・・・・・・。
(参考)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/enrico-pieranun.html

Doublecirclephoto この最新作は、新進の注目ギタリスト、フェデリコ・カサグランデとのデュオ作品。カサグランデは“ギブソン・モントルー・ジャズ・ギター・コンペティション”の2007 年優勝者とか。いかなる繋がりで、又何を目指しての今作となったかは知るよしも無いが、相当のキャリアの違いを超えての共作となったものだ。

 カサグランデのアコースティック・ギターの醸し出す音色は、このアルバムで聴く限りは、どちらかというと静かな柔らかな優しい音色であって、私の期待するピエラヌンツィの叙情的なピアノの調べとのマッチングが興味を呼ぶところである。

Doublecirclelist トラックリストは右のような11曲(クリック拡大)。ピエラヌンツィの曲が5曲、カサグランデの曲は3曲、両者の共作が2曲、そしてカヴァー曲1曲登場する。

 冒頭から両者のアンサンブルの妙が展開する。ギターとピアノが対等にまみえると両者の響きはこうゆうものなのか、しかし意外にピアノがバックにまわるところが多かったせいか、期待のピアノの響きは後退していて、ギターの音の方が前面に出るところからスタート。
 しかしこのアルバムの曲調は非常に落ち着いた世界にある。最後の曲”Charlie Haden”はピエラヌンツィがチャーリー・ヘイデンに捧げた曲で、1980年代に共演して以来の彼らにはまさにお互いを尊重した素晴らしい関係が続いていたようで、ピエラヌンツィの心の響きを聴くことが出来る。ふと考えて見ると、このアルバムはこの曲に止まらず、チャーリーへのトリビュート・アルバムなのかも知れない。そんな世界に連れて行ってくれる。

Rigonhd2 3.と10の2曲は、両者のインプロヴィゼイションであろうか、このアルバムでは若干異色であるが、彼らの試みの一つであろう。
 4.”Clear”、6.”Within The House of Night”、8.”Beija Flor”の三曲は、カサグランデのギターの美しさもさることながら、ピエラヌンツィのピアノは、その美しさ、メロディーの美しさ、そして心の落ち着きの世界に誘ってくれる。
 又7.”Non-nonsense”はゆったりとした中に不思議な世界に導かれる。このあたりは両者の感覚の一致性を感ずるところでの一つの結晶でしょう。

 旋律を奏でるにふさわしい楽器のピアノ、ギターというもののデュオは、やはり難しい取り合わせの一つと思われるが、特に1.5.曲での両者のアンサンブルはお見事と言いたい。
  しかしこのアルバムでも聴きようによっては主役の無い曲となってしまいがちな難しい面もあったし、更にアンサンブルを生かそうと思うと、ソロであれば両者いずれでも演ずる音の楽しめる余韻というか繊細なところがあると思うが、それがかき消されてしまう状況も生まれる。私の個人的な希望としては、もう少しピエラヌンツィのピアノにしっとりと浸りたかったというところもあったのは事実で、その為なのか若干残念に思うところもあった。

 (フェデリコ・カサグランデは、これまでに3枚のリーダー・アルバムがある=「Federico Casagrande ” Spirit Of The Mountains”(2009)」、「Federico Casagrande ”Ancient Battle Of The Invisible”(2013)」、「Federico Casagrande ” At The End Of The Day”(2014)」)

(CAMJazzの当アルバム紹介=当アルバムの各曲のさわり部分が聴ける
http://www.camjazz.com/releases/8052405141545-double-circle-cd.html

(試聴)Pieranunzi & Casagrande (当アルバムの曲とはイメージは異なりますが)

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2014年5月10日 (土)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi のニユー・トリオ・アルバム : 「STORIES」

まだまだ前進の姿が感じられるアルバム

<Jazz>

ENRICO PIERANUNZI with S.COLLEY  A.SANCHEZ
     「STORIES」
       CamJazz   CAMJ 7875-2 / 2014

Stories

Recorded in New York on 22, 23 February 2011 at Avatar Studio

Enrico Pieranunzi : piano
Scott Colley : bass
Antonio Sanchez : drums

Storieslist

 このトリオ・メンバーは、前作で単なる抒情派でないピエラヌンツィを見せつけた「Permutation」と同じであり、続編というところか。いずれにしても2009年に始動しての2011年の録音がこのアルバムである。つまり3年という期間、温存していたことになる。

Enrico  エンリコ・ピエラヌンツィについては過去に何度か話をしてきたのでそちらを覗いて欲しいが(参照 : 「エンリコ・ピエラヌエンツィのジャズ・゜アノの美学」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/enrico-pieranun.html)、イタリア・ピアニストとしての抒情性のある過去の数多くのアルバムには惚れ惚れとしてきたわけだ。
 しかし彼の世界は、あるときはクラシック・ソロ・ピアノを聴かせてくれたり、又ただただその哀愁と抒情性の世界に浸らせてもらったり、そして一方では、かなりアグレッシブで前衛的なパターンを示したりと、その多彩ぶりはこれまた意外に感ずるほどでもある。

Scolley  このアルバムも8曲中7曲は彼のオリジナルで、1曲のみベーシストのスコット・コリー(左)の曲(4曲目)。ここに組みしているリズム・セッションは、ピエラヌンツィとしては若き世代への挑戦的な意味合いもあろうかと思うが、そのパターンは新展開をここに見せて、彼のもう一つの面を構築する新たなる前進の一つの課程にも見えてくるのである。
 
 特にスタート曲”No Improper Use”では、過去のピラヌンツィのアルバムからは別物のとも思えるアグレッシブなインプロビゼイションの連続的攻撃に強烈な鮮烈さのある印象を受けるが、続く”Detrás Más Allá”になると、やはり彼の抒情性のピアノ・タッチとメロディが流れてくる。

Asanchez ドラマーのアントニオ・サンチェス(左)も、パット・メセニー・バンドの重要な現代ジャズ・トラマーとして注目を浴びているし、こうしたメンバーとピエラヌンツィが全く時代的感覚を感じさせないトリオ演奏で組みしているところには、脱帽せざるを得ない。むしろそんな場に彼は自分の存在を楽しんでいるかのようである。

 このアルバムはこの一枚で一つの世界が出来ているように思う。

 中間部のコリーの4”The Slow Gene”がここに来て攻撃性から内省的面に誘導し、6”Where Stories Are”、7”Flowering Stones”の2曲は私の印象としては現代社会の陰影を感じさせる。そして最後の”The Real You”に安らぎと光明が感じ取れてほっとするのである。

(試聴) このトリオの前作から・・・聴いてみてください

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2013年12月21日 (土)

初積雪の夜に聴く一枚= エンリコ・ピエラヌンツィ Enrico Pieranunzi 「Trasnoche」

今朝は初の積雪で・・・・・

Photo

 我が家の庭の山茱萸(さんしゅゆ)の木は実をたっぷり付けていますが、その上に、今朝はこの冬初の積雪でした。その雪の乗った木の枝より実が覗いている様は、いよいよ冬の到来を実感すると共に、なにか静かな落ち着いた気持ちにもさせてくれてる。
 何かと騒がしい師走とは言え、周りが白い世界になると、世間の雑物をしっかり覆って隠してくれて、又更に今年の一年間の全てを白い世界にしてしまってくれて、新しい年への気持ちを整理してくれるのである。そんなことから私の生息地ではこうして四季をそのまま感じ、そして来る年への期待を盛り上げてくれるのです。

Photo_2 (左はつい先日の雨に打たれていたこの山茱萸の木の写真)

 かっての昔の私の家からここに移植されて、現在我が家の庭のセンターに鎮座している。この木はもう何十年もこうして四季を過ごしてきた少なくとも私より年上の木でして、”老木”といっても良いと思うのですが、今年は実に沢山の実を付けていました。

 今朝は、慌ただしかった年末の行事をほゞこなしてゆっくりとした気持ちの時を迎えたときのこの新雪はなんとも安息の朝であったのです。
 さてそんな日にふと聴きたくなって聴いたのが、エンリコ・ピエラヌンツィのピアノの調べ。私の好きなパターンであるマーク・ジョンソンとのデュオの一枚です。 ↓

<Jazz> Enrico Pieranunzi    Marc Johnson  「Trasnoche」
                    EgeaRecords  SCA 098   ,   2003

Trasnoche_2

 エンリコ・ピエラヌンツィのピアノは、もう何も言うこと無しに美しい旋律とピアノ・タッチで迫ってくるモノと、意外に前衛的なアグレッシブな展開をするモノとがある。このアルバムは、私が雪の静かな朝に思い出すぐらいであるから、もちろん前者のタイプ。
 このアルバムはピエラヌンツィとマーク・ジョンソンとのデュオ作品で、ピエラヌエンツィの詩的なピアノに、共演のベースのマーク・ジョンソンも静かにピアノの調べをサポートし、美しさに誘導して行く。特にアルコ奏法も取り入れてのセンチメンタルな哀愁感がにじみ出てくる。

Trasnochelist Tracklistは左のような9曲。全てピエラヌンツィのオリジナル。最後の一曲のみジョンソンの名がクレジットされている。
 6曲目の”The way of memories”なんかは、まさに昔の我が記憶を思い起こさせるには十分の曲で、静かな気持ちに滲みこんでくるのである。

  こんな愛聴盤によって至福の時を得られるというのも音楽というモノがあってのこと。感謝感謝である。

Ep2 今日のこんな冬の積雪を外に見て、(実は私は猛吹雪のような降雪はちょっと願い下げであるが、静かに潸々(さんさん)と降る雪の日が最も好きなのです)静かな夜を迎えて聴くには最高のアルバムである。いやはや忘年会の騒ぎから解き放されて久しぶりに心の安まる日であった。

(試聴)”The chant of time”

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2013年8月27日 (火)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziのジャズ・ピアノの美学 : 「Canto nascosto」

イタリア・ジャズ・ピアノの強力な世界を知らされる

 イタリアの抒情派ジャズ・ピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィの話が出てきたので、何と言っても彼の美学の頂点にあるアルバムをここで取り上げる。

<jazz~Piano solo> Enrico Pieranunzi 「Canto nascosto」
                             EGEA  SCA 080,  2000
 

Cantonascosto

 思い起こせば、エンリコ・ピエラヌンツィのピアノの音に痺れたままで、今日までそのままここで取り上げるきっかけも無く放置していたというのが実のところ。とにかく彼のピアノ・トリオ・アルバムSeawardを始め、彼のイタリアの抒情派としての作品はジャズの世界から一歩別の世界に存在している感がある。いずれにしても彼は純粋にクラシック・ピアノ・アルバムをリリースするくらいに、ジャズとクラシックの関係は密である。
 イタリアのビル・エヴァンスと言われる彼の作品の世界は、更に強力な要因はイタリアという音楽の伝統の国のメロディーが体の中に流れていて、そして又その音楽の環境の中で育ってきたというところにあるのではないだろうか。いずれにしてもこのアルバムは私が思うにはピエラヌンツィの美の世界を最も代表しているのではないかと思い取り上げるのである。

                   (収録曲)Cantonascostolist_2
 このアルバムは彼のピアノ・ソロ演奏集である。そして全12曲彼のオリジナル曲。そして全曲使用したピアノが記されている。そこまで収録曲の彼の演奏のピアノの音にこだわっていることが解る(Steiway, Kawai, Fazioli, Borgato 等のピアノ名が挙がっている。この盤でピアノの音が耳の良い人であれば聴き分けられるのでは?と思うのである)。
 そして私にとってはこのアルバムの場合、実は曲のタイトルはどうでも良い。ということは全曲余すこと無く美学で綴られており、どれがどうということでなく一枚のアルバムが一つの世界になっていることだ。それはお恥ずかしいながら、私がかって手にしたこのアルバムは輸入盤であったので、ブックレットの記載内容が解らないこと、そして勿論イタリア語のタイトルが意味不明であって、私にとってはわからない物はどうでも良いと言うことになってしまうのである。言葉を換えればそれほどそれぞれの曲が優劣無く美しいのだ。

Ep4 とにかく聴くと同時にあっという間にピエラヌンツィの美の世界に引きこまれる。そしてアルバム・タイトル曲”Canto nascosto”にくると美しさの頂点に達する(この曲はトリオ盤にも登場)。そして最後の”Todes las tardes”に至るというまさにアルバム・トータルの美の世界。

 彼はローマで1949年生まれ、5歳からピアノを始めていたとか?。父親はギタリストというところで音楽の中でそだったようなもののようだ。10歳代後半にはイタリア・フロジオーネ音楽院で作曲とピアノの学位を取得しているとの紹介がある。19歳からプロの世界入り、多くのミュージシャンと共演。そして26歳には自己の世界を作り上げている。

Ep2 なにせクラシック室内楽の演奏家でもあって、ジャズ、クラシックの壁を越えて活躍中。
 いずれにしても彼のピアノは、曲によってはアバンギャルドな演奏もみせるが、言い方が悪いが現代イタリアにしては品があって、全体に彼自身のオリジナルはスローな曲仕上げが多く抒情的でクラシック風の世界であると言って良いだろう。

(試聴)"canto nascosto"(Enrico Pieranunzi - pianoforte, Marc Johnson - contrabasso, Gabriele Mirabassi - clarinetto TRIO盤 )http://www.youtube.com/watch?v=PAQdudWY1sM

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2013年8月26日 (月)

マッズ・ヴィンディング・トリオMads Vinding Trio : 「The Kingdom (where nobody dies)」

やはり名盤だけあって聴き応え有りだ

 ベーシスト名(Mads Vinding)を冠してのジャズ・トリオ・アルバム。ピアニストがエンリコ・ピエラヌンツィということもあって、なかなかその道では評判の良いアルバムということのようであったが、私は実は聴いてなかった。しかし名盤といわれるものは聴いておかねば・・・・と思いつつ日が経ったが、今回来日することもあり、しかもその上にやはり友人からの勧めによって聴くことになった(感謝)。

 <Jazz> Mads Vinding Trio 「The Kingdom (where nobody dies)」
        M-Plus Domestic  ,  MSTUCD-19703 , 1998
 

Thekingdomb
Mads Vinding (B)
Alex Riel (Ds)
Enrico Pieranunzi (P)


 ピアノ・トリオであるが、リーダーはデンマークのベーシストとしての大御所であるマッズ・ヴィンディングMads Vindingである。彼はデンマークのベテラン・ドラマーのアレックス・リールAlex Rielとはよく共演しているが、ピアニストとしてはイタリアのビル・エヴァンスと言われる人気者でありベテランのエンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziを引っ張り込んでのアルバムだ。もう十数年前のアルバムだが今こうして始めて聴いてみて、いやはやその出來の良さに感心する事しきりというところなのである。

Badsb←Mads Vinding

(TrackList)
1. Alba Prima*
2. Lover
3. Kingdom (Where Nobody Dies) *
4. Someday My Prince Will Come
5. My Foolish Heart
6. Somewhere
7. New Lands*
8. Autumn Song*
9. September Waltz*
10. Interlude No. 948
11. I Remember Clifford

 なにせスタンダード曲5曲の登場はよいのだが、実は他の5曲はピエラヌンツィのオリジナル曲(*印)。そしてトリオとして1曲という構成なんですね。

Phoca_thumb_l_enrico06_rid←Enrico Pieranunzi

 まずスタート”Alba Prima”によってこのアルバムは貴重品になる。ピエラヌンツィの抒情的なメロディーに圧倒される。私などはピアノ・トリオものはどうしても夜の静かなときに聴くために、2曲目の”Lover”はアップテンポの3人の絡み演奏が素晴らしいのだが、多分これはライブ会場では最高でしょうが、どうしても自分の部屋で聴くにはやはり”Alba Prima”ということになるんです。
 このアルバムはピエラヌンツィの5曲とスタンダード曲との速緩のバランスが最高なんですね。そしてアルバム・タイトル曲”The Kingdom”は緩やかで濁り無く穏やかなクラシックを想わせる流れで、ベースの響きも印象的。

Alex_riel←Alex Riel

 
 とにかくもう今は70歳(1940年生まれ)を超えているドラマーのアレックス・リールは、結構重い音を聴かせる人だと思うが、ピエラヌンツィの曲では、むしろ繊細で演奏で控えめな感じ、というかサポートに徹しているんではないだろうか。

 とにかくピエラヌンツィ・トリオって感じで彼の曲は美しいメロディーがほとばしっている。そしてスタンダード曲においては、マッズのベースの味が表に出ながらも、トリオとしての絡みはそれぞれベテランらしくお見事。特に”いつか王子様がSomeday My Prince Will come”のベースの多彩な音に始まってスリリングな展開は注目、この曲ってこうなるの?ってところ。しかしそればかりでなく、トリオ名義の曲となっている”Interlude No.948”では、インプロビゼーションかと思わせる演奏でやや前衛的なタッチをみせて、これ又三者の兼ね合いがスキ無く良いのです。ならばもう一曲ぐらいやって欲しい感じだ。

 このアルバムはそれぞれの曲の演奏のセンスが抜群で、しかもその繋ぎのバランスがよく、そこに美しいメロディーが加味されている。名盤と言われる所以が聴いてみると実感できるのである。
 


(試聴)"Alba Prima" http://www.youtube.com/watch?v=W7WjaCXhHmw

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