モニカ・ボーフォースMonica Borrfors 「Hello Young Lovers !」
まさに円熟の女性ジャズ・ヴォーカル
<Jazz>
Monica Borrfors「Hello Young Lovers !」
GAZELL / SWE / GAFCD1119 / 2016
Recorded in the OAL Studio, Sollentuna , May, 2015
Monica Borrfors(vo)
Gösta Nilsson(p)
Filip Augustson(b)
Jesper Kviberg(ds)
Anders Bergcrantz(tp)
Fredrik Lindborg(ts)
ジャズ・ヴォーカルは殆ど女性にまかせろという時代だと思う。そのよって来たるところは、聴く者は男性が圧倒的に多いのかも知れない。そしてその魅力というのは可愛い魅力、美しい声の魅力、セクシーな魅力、ジャズ的センスに満ちている魅力、落ち着いた大人の世界の魅力などなど多彩だ。そんな中でここに取りあげるのは、まさに大人の包容力あるゆったりした世界でソフトでマイルドに包んでくれるジャズの一枚である。
1980年から活躍しているスウーデンを代表するベテランで、大人の女性ジャズ・ヴォーカリスト、モニカ・ボーフォースMonica Borrfors(1954年生まれ)の久々の新作。2010年リリースの『Li'l Darlin』以来である。彼女のアルバムは数枚もっているが、これは彼女のリーダー作として10作目のアルバムになるらしい。
スタンダードをしっとりと聴かせてくれます。とにかくベテランの味が満載のアルバム。
バックの演奏も充実。ピアノ・トリオをベースにトランペット、テナー・サックスが曲によって入る。特にピアノのGösta Nilssonは彼女の夫君で、私の持ち合わせているアルバムでは、私のお気に入りの1995年のアルバム『Slowfox』でも勿論関わっており、前作『Li'l Darlin'』(2009年)でも今回のピアノ・トリオは変わっていない。そしてこのアルバムではプロデュースとアレンジを行っていて、製作にはやはり彼の力が大きいようだ。
この他参考までに、彼女は以前ここで取りあげた「スウィート・ジャズ・トリオ」との共演によるアルバムもなかなか魅力的な世界を演じてきている。(アルバム『a certain sadness』(2002年)、『Remembering Billie』(2004年))
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/monica-borrfors.html
さてこのアルバムのTracklistは左のような16曲。特にアルバム・タイトル曲”Hello Young Lovers”にも表れているが、彼女の孫達に捧げられているアルバムとしても作り上げられたようだ。
最後の曲”Epilogue after The Storm”のみはプロデューサーでピアニストのGösta Nilssonの曲で、締めくくりとしてのソロ演奏である。その他はスタンダード曲集であり(と言っても、私にとっては初聴きの曲も多い)、全てに彼女の暖かいマイルドにしてソフトなしかも英語による歌声が聴ける。
特にM3.”Nature Boy”のしっとりとした歌い込みとバックのベースと共に描く世界は静かな落ち着いた夜の世界を感じ取れるのである。それは続いてM4.”It Never Entered My Mind”もミュートを効かしたトランペットの静かに響き渡る音と彼女のヴォーカルが素晴らしく共鳴して心に響いてくる。このあたりは完全に大人の世界ですね。
又彼女のヴォーカル・アルバムであるが、M10.”Doxy”、M11”The Boy Next Door”、M12.”I Didn't Know What Time It Was”のようにバックの演奏陣がたっぷりと中間部でヴォーカル抜きで演ずるところもあって、このアルバムは演奏陣にとっても気合いが入って居るというか、プロデューサーのGösta Nilssonの意志が相当に入っていることが解る。
いやはやとにかくこれぞ大人のジャズ世界ですね。
(視聴)
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