趣味

2022年3月19日 (土)

「ジャズ批評」誌=ジャズオーディオ・ディスク大賞2021     (追加考察) セルジュ・ディラート Serge Delaite Trio 「A PAZ」

人気企画だが、選考基準が相変わらず不明瞭

 今年も、「ジャズ批評」誌 No.226(2022年3月)は結構楽しませて頂いたが、この恒例の「ジャズオーディオ・ディスク大賞2021」が面白いですね。特に近年音楽を聴く環境の変化は著しく、なかでも音源の入手法が、ネット環境の発展とともに大きく変わってきた。CD、LPなどから配信によるところにウェイトがある状況が顕著となって、ちょっとその世界も今後変わってゆくのかとも思いつつも、私的には、相変わらずCD派で経過しており、こんな企画が今後どんなものに変わってゆくのかともふと思いながらも、今年も昨年を顧みつつ愛読した次第。

Audiodiscaw  特に私は「インストゥルメンタル部門」に注目度が高いのだが・・

① 金賞 : Alessandro Galati Oslo Trio 「Skyness」
② 銀賞 : Yuko Ohashi Trio 「Kiss From A Rose」
③ 銅賞 : Serge Delaite Trio 「A PAZ」

 と、いう結果であった。
 まあ、こうした音楽評価は好みがあるので、それなりに偏ってくるだろうことは解るし、又それぞれの特徴を持って評価しても誰もが賛同することは難しいだろうし、そうは言ってもなんとなく客観的にも、それが順当なところだろうと落ち着くのも必要だろうと・・・複雑なのである。

  たまたま、この①と②のアルバムは私はここで昨年取り上げて感想を書いているので参考にしてみてください。(下記にリンク先)

 私の評価としては、演奏よし、録音よしの① 金賞 : Alessandro Galati Oslo Trio 「Skyness」は順当なところでしょうね。そして② 銀賞 : Yuko Ohashi Trio 「Kiss From A Rose」がちょっと疑問。③ 銅賞 : Serge Delaite Trio 「A PAZ」は、好みによってジャズ演奏の世界に評価が分かれるところと思われ、しかし結果はそんなところに落ち着いたのかと見たところだ。

 実は、これらに疑問が私は何年も前から持っている。それは選考基準が不明瞭だからだ。そもそも「ジャズオーディオ・デイスク大賞」とは何なのかということだ。どうも単に「ジャズ・ディスク大賞」ということでなく、「オーディオ」という言葉が入っていることは、ジャズ・ミュージックとしての曲や演奏のみでなく、オーディオ的感覚を加味しての評価とみれるが、おそらくそうだろう。

Seiichi_goto  選考委員の総評を見ると、私が疑問に思う「②」に関して、選考委員長後藤誠一氏(→)は "ジャズは‥‥演奏もさることながら音へのこだわりも重要である。その両者が絶妙なハーモニーとニュアンスを奏でる、それこそがジャズオーディオであると思う"と述べて、高評価の理由は "ラフミックスと最終マスタリングを並べて2枚組で提供するという斬新な聴き比べアルバム構成が、ジャズオーディオにふさわしいと思い、最終選考でも1位に推挙した"と。おっしゃることの意味はよく解るが、1位とした"演奏もさることながら"の演奏の質が果たして多くのアルバムの中でトップなのだろうか。私から見るとこの「大賞」は、音へのこだわりが評価においてかなりのウェイトで重要なようである。ちなみになんと選考委員10名中で、このリリース・レ-ベルの寺島氏の0点はしょうがないにしても4名が全く評価しないという0点なんですね。このように評価は演奏か音かのどちらかにウェイトを置くかによって全く変わってしまうのである。こんなあいまいな評価基準で選考した結果はかなり不思議なものになってしまっている。
(追記: 同誌の「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム2021」にて、なんとライター46名の多きの中で、ベスト5枚の中に②および③のアルバムを挙げた人は皆無でした)


 私が思うには、選考要素をあげ、そのウェイトを定め評価することぐらいはしないとまずいのではないだろうか(後藤氏は少なくとも医学という科学者ですから)。例えば最低で大まかなところとしても、演奏10点満点、録音・音質10点満点として合わせて20点満点での評価とするとか、いろいろのやり方があろうかと思うのである。
 せっかくジャズミュージックを愛し、造詣の深い選考委員の意思が正確に伝わらないのでは残念である。我々が聴くほうとして参考になるのはこのような企画も大いに良いと思うのであり、そのためのその充実を願っているのである。

 追加だが、後藤誠一氏は、音楽の現在のストリーミングを代表的とする配信社会から、CDなどが売れなくなってきたことを憂いつつ、「配信で聴く音楽は保存しない限り、通り過ぎる音楽である。心に留めることは所有する喜びにも通ずる。そしてこの喜びはジャケットを見て、ライナーノーツを読み、倍加される。一枚一枚のCDやLPはミュージシャンの心や魂がこもったギフトである。・・・・そして、自分のオーディオで聴くことが大事である。」と、書いているが、CDやLPから脱皮できない私は、まさに賛成である。

             *      *     *     *     *     *

 さてここで、銅賞の③ 銅賞 : Serge Delaite Trio 「A PAZ」がここでは取り上げてなかったので以下に少々感想だ。

 <Jazz>
Serge Delaite Trio 「A PAZ」
ATELIER SAWANO / JPN / AS169 / 2021

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Serge Delaite (piano)
Daniel Mayerau (bass except 14)
Denis Maisonneuve (drums)
Herve Faure (tenor saxophone on 14)
Michel Gasperin (bass on 14)

  澤野工房が1年7ヶ月ぶりとしての久々の新譜だったこのアルバム。
 かって、私に好評だった『Sweet And Bitter』(AS162/2018)を思い出すが、彼のフランス的な洒落た明るさのあるアルバムだった。今回はメンバーは変わっているが、基本的にはピアノ・トリオで聴かせてくれる。

Sdw(Tracklist)
01. A Paz
02. Nostalgia In Times Square
03. When Sunny Gets Blue
04. La Valse Des Lilas
05. That's Pad
06. Chez Laurette
07. Bloomdido
08. Our Love Is Here To Stay
09. Line For Lyons
10. Never Let Me Go
11. A Nice Guy
12. Tricotism
13. Joy Spring
14. Fotografia

   そういえば、彼には『Comme Bach』(AS080/2008)のようなアルバムもあった。変わってないのはフランス流の洒落た世界だろう。
 さて、このアルバム、やはり深淵とか暗さとか哲学的とか言う世界とは全く違った明快な優美な世界だ。ちょっと今風のユーロ・ジャズというより、フランス特有の詩的なロマンティシズムといった方がいいのかもしれない。ディラート自身の曲は1曲のみであった。

 M3."When Sunny Gets Blue"、M10."Never Let Me Go"などに詩情性がしっかり描かれているし、M4."La Valse Des Lilas"はフランス的な軽さ、M6."Chez Laurette"はなかなかピアノの描くメロディーが美しい。
 又、M8."Our Love Is Here To Stay"のようなポピュラー・ミュージック・スタイルの軽さなどが印象的。

 究極、フランス独特の洒落た味付きの優雅にして明快といった演奏、私好みとは若干ズレがあったがこれはこれでいい線をいっている。又現代ユーロ・ジャズの流れからはやや古めかしさも感ずるところもあるが、そこは好みであって、録音も良好であり、今回のジャズ・オーディオ・ディスク大賞の銅賞は結果良しの方の順当なところだった。

(評価)
□ 演奏 :  85/100
□   録音 :  88/100

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2021年9月18日 (土)

MQAハイレゾで蘇る・・(1) シェルビィ・リンShelby Lynne 「Just A Little Lovin'」

Image_20210917195701 MQA-HyRes

 ハイレゾ(ハイレゾルーションHygh-Resolution)による音楽鑑賞も一般化してきた。中でも「MQAハイレゾ」の誕生によって、我々にとっては更に身近になった。その音質の良さがあってのことだが、製作の廉価、CDとしての取り扱いの便利さ、ストリーミングやダウン・ロードによる配信の便利さなどから、私も既にその世界に没頭することが出来ている。 

 かってPCを介してのハイレゾに挑戦してきたのはもうかなり前からのこととなるが、ここに来て最も音が良く、身近に取り入れられたのは「MQAハイレゾ」である。このMQAについてはこのブログで2018年に、その可能性に触れたのだが、あれから3年、今や特別のものでなく高音質で聴きたいのなら誰でもすぐに取り入れられるところまでようやく来た。

  ハイレゾというのは・・・・CD(44kHz/16bit)よりも高いレゾルーション(解像度)を持つデジタル楽曲ファイルで、CDよりは高音質を特徴とする。PCM(Pulse Code Modulation=ファイル形式WAV,FLAC)とDSD(Direct Stream Digital=ファイル形式DSF)の二つの音源ファイルが存在するが、その高解像度を記録するためにはファイルが大きくなる欠点がある。
 ところがMQA(Master Quality Authenticated)は、ファイル圧縮技術により、その量を1/2以下には縮小でき(場合によっては1/5)、しかも音質面の時間軸の精度を高め高音質化した。ファイルの縮小化はダウン・ロード、ストリーミング、ディスクメディアにとって有利で応用範囲が広い。

Unnamed_20210917200401RoonEonkyologo_big

 これは英国のオーディオ・メーカーMedirianが開発したもので、今やMQAストリーミングとして統合型再生リゾルーション「Roon」を介しての配信サービス「TIDAL」が、欧州、米国、オセアニアに広く普及している。従って既にCDは影に追いやられストリーミング時代になった。遅れたアジアの日本も、もうそれが普及するのは時間の問題となっている。
 又日本では、現在「e-onkyo music」が、MQA音源を提供していて、何時でもダウン・ロードが可能だ。

 MQA方式は、こうして配信が容易で音質がよいことでストリーミング・ユーザーには有難い。一方CD派にはMQA-CDがあり、今まで記録できなかったハイレゾが記録が出来、再生も従来のCDプレイヤーでOKという利点がある。現在Universal Musicを中心に多数リリース。

█ MQA-CDの再生においては・・・・・

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  ①<従来のCDプレイヤーの場合>・・・・アンプと間に「MQAフルデコード対応DAC」を入れるのみでOK (これは「PC」からのデジタル・データの場合も、これにUSBで入れれば良い)。((例)上写真の上段=「ifi NEO iDSD」・・これはヘッドホーン・アンプ機能あり、USB-DACであり、又スマホなどからBluetoothによる無線入力も可能)

  <「MQA対応CDプレイヤー」の導入> ・・・これはそのままアンプに接続でよい(中・高級機が主であったが、普及機も出てきた)。((例)上写真の二段目 「N-mode X-CD3」) 

 この①②のどちらの方法でも良い。

 私の場合は、上の写真のように、①及び②の両方をいろいろな用途を考えて使っているが、それぞれ優劣無く高音質効果を発揮。ただし機種によりその音質は違うので好みを見つけるのも楽しみである。

        * * * * *

 さて、そんなMQAで高音質にCDが変身することにより、かってのアルバムが再び脚光を浴びるようになった。もともと録音の質の良くないマスターのCDはMQAにしたからといって、そう良くなるものでないが、製作時の録音の音質に力を入れて造られたものは、時代が古くても 現在にその価値が蘇ってくるのである。音の高音質化によって見違える程の傑作盤になって蘇る。そんなものを少し紹介する。

█  蘇ったシェルビィ・リン

<Pop-Folk, Folk, Rock, Jazzy not Jazz>

Shelby Lynne 「Just A Little Lovin'」(2008年作品)
Lost Highway Records / e-onkyo : MQA(96kHz/24bit) ダウンロード

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Shelby Lynne[Vocals],  Rob Mathes[Keyboards],  Gregg Field[Drums],  Kevin Axt[Electric Bass],  Dean Parks[Guitar]

 シェルビィ・リンShelby Lynnは1968年ヴァージニア州クワンティコで生まれ、父親の関係で人口200人足らずの田舎町アラバマ州フランクスヴィルに住む。妹と共に大自然の中での少女時代を過ごしたとか。音楽好きの母や祖母の影響を受ける。
 結婚後、ナッシュヴィルに移住し音楽経験を積む。やがてCBSと契約を交わした彼女はカントリー系のシンガーとしてデビュー。アルバムをEPIC等から5枚発表するが鳴かず飛ばず。1999年にロック・シンガーとして再デビュー、 アルバムは派手でないがそれなりに売れ、2000年度のグラミー賞ではベスト・ニュー・アーティストを授賞する。そして、2001年グラミー受賞後初のアルバム『ラヴ、シェルビィ』をリリース。
 このアルバムはその後の2008年作品で、あの故ダスティ・スプリングフィールドDusty Springfieldのトリビュート盤である。

Shelby_lynne_2014w (Tracklist)

 01. Just a Little Lovin' (05:20)
 02. Anyone Who Had a Heart (03:35)
 03. You Don't Have to Say You Love Me (04:13)
 04. I Only Want to Be With You (03:52)
 05. The Look of Love(03:22)
 06. Breakfast in Bed (03:22)
 07. Willia & Laura Mae Jones (04:10)
 08. I Don't Want to Hear It Anymore (04:38)
 09. Pretend (03:08)
 10. How Can I Be Sure (03:37)

 M1のアルバム・タイトル曲、ドラムスからスタート、ギター、ヴォーカルが続く。ブルースロックぽく、ややJazzyでもあり、彼女のヴォーカルには何ともいえない情感があるのだが、やや冷めた雰囲気もあってそこがなんとも魅力。
 とにかく、音質がよく心地よい、これが一つのポイントだ。静かな中に、バックのシンプルな構成でのシンバルの音、更にギターの音は繊細にしてクリア、ヴォーカルをしっかり支えていて変な刺激もなく、ムードがじっくり迫ってくる。ストリングスやフォーンのない構成である為、それぞれの楽器を明瞭に聴けるのも、MQA高音質の利点そのものである。
 M2,  M5 , M8はバカラックの曲。バラード調やボサノバ調など旨くこなしている。
   聴いてゆくとやっぱり彼女らしいカントリー風なところが出てくるも、ムードは牧歌的というのでなく意外に都会的ムードもはらんでいて現代調。多くはバラード調の曲で聴かせ、いずれもじっくり聴けて快感である。
 M9."Pretend"は、彼女の自作、これは彼女のギターでの弾き語りである。
 とにかく聴かせるタイプのアルバムで、聴いてゆくうちに愛着の出るアルバム。

(評価)
□ 曲・歌・演奏  90/100
□ 録音・音質   95/100

(試聴)

 

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2021年8月13日 (金)

ハイレゾHi-Res音楽鑑賞「MQA-CD」 = そして スーザン・ウォンSusan Wongの3アルバム

[MQA-CD] 

Mqalogoe1471714609314    CDよりは高音質であるハイレゾHi-Res(High-Resolution)により音楽を聴くというのは、既に当たり前の世の中になってきた。そのハイレゾにおいて、最も私が注目したのは、ここで2018年に取上げたMQA-CDである。そしてあれからまる3年が経過し、その姿も明瞭になり、そしてソフトであるMQA-CDも各種多くなってきた。そもそもハイレゾを聴く環境には、それなりの装置と環境が必要で、なかなかそれに至るには難点が多かったが、このMQA-CDの出現によって、かなり簡単・単純化してきた。
 このMQA-CD(Master Quality Authenticated-CD)の利点は、従来のCDに高音質ハイレゾHi-Resを記録したことだ。しかもそれは一般の我々もその信号をデジタル信号として記録可能(SACDと異なり、一般の方法でリッピング可能、更にデータディスクとしても作成も可能)、又一般の従来のCDプレイヤーで再生可能であることだ。更にストリーミングにも適している。

MQA-CDをハイレゾで再生するには
① 「MQA対応CDプレーヤー」で再生 (従来のCDプレイヤーでなく)
② 従来のCDプレイヤーのデジタル音声出力を使って「MQAフルデコードDAC」に接続して再生
③ MQA-CDをリッピング(特に特別な装置不要)して「USB-DAC」(もちろん「MQAフルデコードDAC」が最適)を通して再生

 ①は、最も簡単だが、従来のものでなく「MQA対応CDプレイヤー」が必要
 ②も簡単、「MQAフルデコードDAC」のみ購入して今までのCDプレイヤーとアンプの間に入れる
 ③は、音楽再生をPCオーディオで行う人向け

 こうしてハイレゾ・サウンドが楽しめる世界が明確になって、当初私は③を試みたが、現在最も簡単な①で行っている。しかし、②が最もその他の場合にも多機能で安価である。

               ----------------


ハイレゾHi-Resの「MQA-CD」でスーザン・ウォンSusan Wongを聴く

Unnamed_20210813175201  スーザン・ウォン(Susan Wong, 1979年10月8日 生まれ →)は、香港出身の歌手、女優、ファッションモデル。中国名は黄翠珊。香港に生まれ、香港を拠点に活動しているが、6歳の頃、家族と共にオーストラリアのシドニーへ移住し、シドニー大学を卒業後に単身で香港に戻った。シドニーでカラオケのコンクールで優勝、これが本格的に歌手としての道を歩むきっかけらしい。
 1997年アルバム・デビュー、2004年再び日本進出で英語歌詞のアルバム・デビュー。好評を獲得。
   現在、彼女のリリース盤は高音質を一つのポイントに置いている「evosound」レーベルもので、そこではMQA-CDリリースにも力を入れている。彼女の3枚のアルバム紹介する。

<Jazzy not Jazz>

Susan Wong 「511」
MQA 24K Gold Disc : evosound / IMPORT / EVSA877G / 2020

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Recorded,mixed and mastered at 96kHz/24bit

 本作は2011年11月に発売されたアルバム「511」のかなり音質に気合いの入った日本製作のゴルド・ディスク(24KT GOLD)のMQA-CDによる再発盤である。スイスを拠点に活動しているプロデューサー、エイドリアン・ツェルビーニAdrien Zerbiniを迎え、ジュネーブにあるスタジオRoom511で録音。スタジオ名をそのままアルバム・タイトルに採用したもの。メジャー・アーティストのエンジニアとして活躍したKEVことケヴィン・メトカーフKevin Metcalfにより96khz/24bitでレコーディングされた。これは世界1000枚の限定製作で、オーディオ・ファン注目度が高く、既にメイカー在庫売り切れとなっている。
 選曲はマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」ほか10ccなどのポピュラーな曲群。
   音質はそれなりに仕上がっている(低音部の重量が少々甘い)。ただし歌やバックの楽器等が全て中央配置である為、奥行きに工夫が施されているが不完全、これはもう少しそう広くない程度で左右分離配置し、広がりも重視すれば良かったかなぁーーと。そして最も重要な彼女のヴォーカルは、若干ウィスパー・タイプでセクシャル・アッピールを試みている。これは聴く人によっての評価だろうが、私はちょっと違和感もあった。

(Tracklist)

1. September
2. I'm Not In Love
3. You Are So Beautiful
4. Home
5. Umbrella6
6. Blame It On The Boogie
7. Everytime You Go Away
8. Billie Jean
9. Empty Room
10. Windmills Of My Mind
11. It Ain't Over T'll It's Over
12. Saving All My Love For You
13. The Winner Takes It All

- - - - - - - - - - - - - - - -

 

Susan Wong 「My Live Stories」
MQA-CD : evosound / IMPORT / EVSA883M / 2019

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Susan Wong(vo)
Pat Bergeson(g)
John Morton(g)
Denis Solee(as,fl)
Eugene Bien(p)
Daniel O'Lannerghty(b)
Marcus Finnie(ds)
Perry Danos(background vo)
Connye Florance(background vo)
Andy Leftwich(vln, mandolin)

Reorded mixed and mastered at 96kHz/24bit

 このアルバムは、アメリカはナッシュヴィルにある世界的に有名なオーシャン・ウェイ・スタジオで録音され、スーザン自身もレコーディングについては、納得の評価をしているらしい。彼女自身のお気に入りの曲を選び、主としてポピュラー、ボサ・ノバの名曲を収録の形になっている。24bit/96khzで録音された音質を出来るだけ聴き手に届けるべくMQA-CDを採用したアルバムだ。
 これは前回は24KTGOLDの材質でのリリースであったが、今回はMQA-CDに音質の高度化を求めた。従って価格の低下も為し得ている。
 ヴォーカルの音質にはかなりの効果を上げており、又バックのシンバル音を聴いてみると、非常に繊細にして素晴らしい。ここでも重量級の低音が欲しいところ。
 ここで取上げた3枚のCDでは、私自身はこのアルバムのバツク演奏スタイルが良いと思った。

(Tracklist)

1. You’ve got a friend
2. Billie Jean
3. Something
4. (They long to be) Close to you
5. September
6. You make me feel like a natural Woman
7. What a difference a day made
8. Perfect
9. Cry me a river
10. I will survive
11. Love will keep us alive
12. California dreaming
13. When you say nothing at all
14. Sometimes when we touch
15. Have you ever seen the rain
16. Do that to me one more time
17. Desperado

- - - - - - - - - - - - - - 

 

Susan Wong 「Close To Me」
MQA-CD : evosound / IMPORT / EVSA648M / 2019

2_20210811124401

Recorded ,mixed and mastered in Hi-Res audio (96kHz/24bit)

 2018年、96KHz/24bit録音され、2019年リリースの彼女のMQA-CD最新盤、20年を超えるキャリアの中で、最長の制作期間4年を費やした通算6枚目のアルバム。高音質レコーディングに徹底したこだわりでのハイクオリティー・サウンドと銘打って、アメリカ、香港、フィリピンと3カ国でのレコーディングを通して造られている。
 ここでは彼女のヴォーカルには変化がみられ、これまでのウィスパー官能スタイルから、ややストレートな方向に向かっていて、むしろこのほうが良いかとも思う。彼女のヴォーカルを最大限活かすアレンジで徹底カヴァーしたものとの事だが、チェロなど加わったスタイルとなっている。

(Tracklist)

1.Vincent
2.Sing For You
3.Man In The Mirror
4.The One You Love
5.Sunday Morning
6.What's Going On
7.Don't Dream It's Over
8.He's the One
9.Can't Hurry Love
10.That's Why You Go Away
11.When You Were My Man
12.Yesterday

 これらのスーザン・ウォンの高音質盤リリースに力を入れている「evosound」は、アジアを拠点としている高音質盤をリリースするレーベルである。彼女のこれらMQA-CDは、オーディオ・ファンに人気のもの。ここに取上げた3枚の中では、この「Close To Me」が最新盤であるだけ音質は優れている。録音の焦点は当然彼女のヴォーカルにあり、それぞれ彼女を音場の中央前面おいており、その点はかなり充実している。ただし私が聴くに、バック演奏の質がもう少しジャズ的な充実があると面白いと思うところだ。演奏音がクリアであるが、音場的に左右に広がりがもう少しあることと、低音域の充実、それと奥行き面にもう少し深さが欲しいと思った。それは同じ「evosound」の以前紹介した好録音Chantal Chamberland「Temptation」(EVSA719M/2019)と比較してみると解るところ。
 しかし、こうしてハイレゾ・サウンドのリリースに力を注いでいるところは大いに評価したい。

(評価)
□ 選曲・演奏・歌   85/100
□   録音        88/100

(視聴)

*

 

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2021年4月24日 (土)

2020-2021 冬の想い出 (3)

この「冬の撮影記録第三回」です
この冬は例年よりはやはり雪は少なめでした
そして三月は暖かく、四月には桜の開花も早く、あっという間に春盛んとなった

(クリック拡大)

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(使用機種)
Sony ILCE7RM4, FE4/24-105 G OSS, PL
Sony ILCE6000(fullspectrum), Zeiss Vario-Tessar F4/15-25 ZA OSS, IR720-760

PL = PL(polarized light ) Filter    偏光
IR = InfraRed Filter (720, 760) 赤外線

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2021年3月25日 (木)

2020-2021年  冬の想い出 (2)

この冬の撮影記録第二回です。
例年に近い積雪の冬でしたが、それでも昔の冬よりは少ない雪でした。
そして、三月は例年より暖かく早い融雪の時となった。

                                (クリック拡大)

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(使用機種)
Sony ILCE7RM4, FE4/24-105 G OSS, PL
Sony ILCE6000(fullspectrum), Zeiss Vario-Tessar F4/15-25 ZA OSS, IR720-760

PL = PL(polarized light ) Filter    偏光
IR = InfraRed Filter (720, 760) 赤外線

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2021年3月 4日 (木)

2020-2021 冬の想い出 (1)

    

1 「初冬」  December. 2020

 当ブログから写真関係は「瞬光残像」http://photofloyd.exblog.jp の方に分派させたため、こちらへの投稿が減っているが、ここでこの「2020-21:冬」の何枚かを二~三回に分けて当ブログに記録しておく。
 (先ずは初冬の11枚 - 全てMonochrome)    <クリック拡大>

 

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(使用機種)
Sony ILCE7RM4, FE4/24-105 G OSS, PL
Sony ILCE6000(fullspectrum), Zeiss Vario-Tessar F4/15-25 ZA OSS, IR720-760

PL = PL(polarized light ) Filter    偏光
IR = InfraRed Filter (720, 760) 赤外線

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2021年2月 3日 (水)

Sony のやる気は半端でなかった-「Sony α1」の登場

フルサイズ・ミラーレス機の創始者としての意地か
・・・遂に出たフラグシップ機「Sony α1」

[カメラの話]

Sony1w  ソニーのカメラがここまで発展してきたのかと実は驚かされている。
 ここに来て、恐るべき高性能機「Sony α1」(→)の登場となったのである。
 
 なんと、Sonyミラーレス・フルサイズ一眼カメラの「α9Ⅱ」の連写等の性能グレード・アップ、そして「α7RⅣ」の高画素の取り込み、「α7SⅢのダイナミックレンジの高性能、ソニー機自慢のトリオの性能を取り込んでの性能アップを図っての新フラグシップ・カメラが登場したのである。
 「α7RⅣ」に近づけた5010万画素メモリー内蔵フルサイズ積層型CMOSイメージセンサー、しかもこの5010万画素での秒間30コマ撮影をAF/AE追従高速連写可能とし、フリカーレス使えないモノを使える工夫、フラッシュがつかえないものを1/200でも使えるとし、更に動態がどうしても歪むところをアンチディストーションシャッターによる改善、そして人物、動物、鳥にも対応したリアル・タイム瞳AFと、信じられない高性能となっている。
 更に、なんと8K画像にも着手し、8K30Pの動画性能を載せた。そして驚きは、スマホとHDMIにより繋いで、画像モニターとして使いながら画像処理して即離れた地に送信できるという離れ業。
 又、ファインダーも944万ドットの高精細OLEDによる高機能EVF、手ぶれ防止は5.5段の補正効果実現した。

  既にここ数年、フルサイズ・ミラーレス機にカメラ界は振り回され、一眼レフ機は大きい上に機能的にもミラーレス機の便利さからは低迷。遅まきながらニコン、キャノンはそろって、この分野にエネルギーを注いだが、ソニーはまたしても一歩先を目指しているのである。しかも相変わらずのコンパクト・ボディーで他社の追従を許さない。私が目下使用している「α7RⅣ」の高画素機から見ても、これだけの機能を盛り込みながらも、そのカメラ本体のコンパクトさは負けておらず、これも脅威である。

 思い返せば、そもそもソニー・カメラに私が期待したのは、あのコニカ・ミノルタのカメラ部門がソニーに移管され発展させることになった時からである。
Dscrx1w  そして次の注目は2012年の「Sony RX-1」(→)が発表されたときだ。なんとAPS-Cサイズが標準化されつつあるときに、35mmフィルム・サイズの所謂フルサイズのセンサーによるコンパクトなミラーレスカメラの出現だ。明らかに大型されたセンサーと、それにも増してレンズの性能が、かっての35mmフィルム感覚で使えるところが、昔からのカメラ愛好家にとってはたまらない。つまりフルサイズセンサーと大口径F2レンズを搭載しながら、手のひらにのる驚異的なコンパクトサイズを実現させたのだった。
 ただ、これに私が飛びつかなかったのは、残念ながらレンズ交換機能の無い事であり、しかし当時必ず交換レンズ対応機が出現することを信じ、待機したのである。

 

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 そしてなんと2013年10月、ついにソニーはフルサイズでミラーレスのコンパクトにしてレンズ交換可能なSony α7」(上)を発表、遂に時は来たと、私は直ちに購入に走った。まだ当時、カメラの二大メーカーのニコン、キャノンは全く興味無しの相変わらずの大きな一眼レフ機に主体をおいていた。しかしそのソニーのなみなみならない努力により、遂にコンパクトなミラーレス機で一眼レフを機能的に対等の領域に入ってきたので、ニコン、キャノンを驚かせたのである。
 一眼レフと言うファインダー構造から脱して、センサーにて感知した画像を見ながら撮影するというEVFによるファインダーの採用、これも私は当時からデジタルカメラにおいて必ず有利になると踏んでいた。高価な無駄なミラー構造そしてプリズム構造を廃してEVFによるところは必ずや光学ファインダーに近づくことを信じていた。当時まだ十分とは言えないが、機能的に耐えられるところまでに発展させたソニーは、堂々とミラーレス機として登場させたのであった。
 更に、レンズ交換可能機であることから、しかも新開発のEマウントの情報公開したため、マウント・アダプターの生産が活発化し、それにより過去の遺産のレンズをメーカーを問わず使用可能としたことだ。私にとっては当時ライカ、ツァイス等の遺産を持ち合わせていたため、それがこのカメラを手にした大きな要因でもあった。

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 そして、このソニー機をその後は、改良・高機能を繰り返してきており、「α7Ⅲ」(上左)に買い換え、更に現在は最も高画素なローパスフィルターレスのα7RⅣ」(上右)の購入により使用している。特に「α7RⅣ」の35mmのフルサイズにての6100万画素という高画素機というのは、昔のフィルム大型カメラも画像の繊細さに於いて遙かに超えてしまい信じられないところにある。
 又、おかげでアダプターの高機能(スマート化)により、目下ライカMマウント・レンズをオートフォーカスにて使用したり、あのコンタックスのカール・ツァイス・レンズもオートフォーカスで使用している。かって私にとって主流であったニコンレンズも使用可能と、楽しみが大きい。

 こうしてデジタルカメラの最も重要なる一つの潮流であるフルサイズ・ミラーレス機は、既に各社のメイン器機になりつつある。一眼レフ愛好家も既にこのカメラを手にしないものは居ないと言って良い程浸透した。私も実はニコンの一眼レフ機はこのところあまり出番が無くなっているという実情だ。
 そしてこうした「Sony α1」高機能機が登場して、この機種の創始者であるソニーの心意気を感ずることが出来たし、これからもこれに甘んずること無く各社が頑張って行くところであろう。特に今やニコンはやや置いて行かれ"ソニー・キャノン戦争"と言われるこの現象も、ユーザーからすれば発展に寄与することになるのだろうと歓迎である。日本のカメラもまだまだ世界的に捨てたモノで無いということで喜んでいる。

(参考)

 

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2020年8月 7日 (金)

[ カメラの話 ] 陽の強い夏ともなれば・・・KIYOHARA SOFT の世界

ソフト・フォーカスの魅力はフレアと光反射の滲みにあり・・・・??

 

  以前2014年に、ここで紹介したKIYOHARA SOFT レンズですが、このところの長い梅雨の曇天から明るい陽が射してきたとと同時に、暑さも忘れ思い出して取り出したレンズ。このレンズは陽の光の反射の滲みが好きで私は撮ってきたレンズ。もともとはフィルム・カメラ時代の産物ではあるが、このデジタル時代になってみると、いくらでもレタッチ・ソフトでそんな効果は簡単に出来るのだが、やっぱりレンズ効果で描いてみるとその味はひと味違って楽しいのだ。

 ベス単フード外し(1920年頃のコダック社の人気カメラVest Pocket Kodakのレンズ)で、一躍ソフト・フォーカス撮影が注目されたのである。そしてその線を狙って工夫して作られたKIYOHARA SOFTレンズですが、当初1986年70mm(VK70R)であったが、その後ユーザーの期待に応えて出来た50mmレンズ(VK50R)、私の所有しているのはNIKON Fマウントのものを所持しているので、下のようにNIKONのデジタル一眼に装着して遊んで居るのである。

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  ソフト像だとピント合わせが難しいため、撮影時はF8-11あたりでピントを合わせ、この一眼カメラでソフト効果を確認しながら、F4.5-6あたりに開いて撮影するのである。

( 写真:クリック拡大)

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( 下は今年の春の思い出 )

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SOFTKIYOHARA SOFT  VK50R

発売時期 1987年  フィルター径 40.5㎜
レンズ構成 1群2枚+保護ガラス1枚
最近接距離 0.45m  絞り羽根枚数 10枚
絞り f4.5-16  質量 約125g

(参考)

 

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2020年6月23日 (火)

[デジタル・カメラ改造] フルスペクトラム(Full Spectrum)カメラの世界

フル・スペクトラム・カメラFull Spectrum Camera の多機能の一つ
・・・・・「赤外線(infra red)写真」

 

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                                         1  (初夏の景色)

 

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                                        2   (初夏の樹木と空)

 この二枚は赤外線写真です。緑の木々は冬の雪の着いたような「白」に写る。そして青い空は「黒」、雲は「白」と異様な世界となる。こうしたモノクロ写真はそれなりにかっては愛されたのだが、カメラがフィルムからデジタルとなった現在、デジタル・カメラでは殆ど赤外線写真を撮るのは大変(困難)になった。

  それは現在のデジタル機のセンサーは、本来、近紫外線から可視光、近赤外線の短波長部分までの領域にわたって感度がある。光の波長で約300 nm から 1000 nm位までの範囲です。可視光の波長範囲(400nm - 700 nm)に比べ、非常に広い波長に感光します。しかし紫外線や赤外線などの有害光線まで写ることは、赤みを帯びた異様な色の写真になる。それで普通のデジタルカメラには、センサーの前にローパスフィルター、そしてその上にブルーの有害光線除去フィルターを装着してある。これにより我々の目に見える世界がカメラで写し取ることが出来る。しかしこれは赤外線を殆どカットしてしまうので赤外線写真は簡単には撮れないことになる。

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 そこで、改造としてデジタル・カメラのセンサーの前にあるロ-パス・フィルター、有害光線除去フィルターを外して、無色透明なガラス・フィルターを付けると、全波長領域に渡って感度のあるカメラになる。これが「フルスペクトラム(full spectrum)カメラ」である。(上は、この改造をした私のSony α6000) 

 この「フルスペクトラム(full spectrum)カメラ」は、近紫外線から可視光、近赤外線の短波長部分までの領域に感度がある。光の波長では、可視光(400 - 700 nm) よりかなり広い約300 nm から 1000 nm位までの範囲と非常に広くなっている。そうすると、このカメラは多目的に対応できるようになり、一番はレンズの前に、赤外線のみを通すフィルター(IR760=760nm以下の波長カット)を付け、丁度初夏の今の時季に普通のカラー撮影すると下の(上)のような真っ赤な赤外線写真になる。それをモノクロ写真感度とすると昔のフィルム時代のモノクロの赤外線写真と同様な写真(下の(下)=まるで冬景色ですね)が撮れるようになるんです。(レンズでなくカメラのセンサーの前に赤外線フィルターを付ける方法もある=これは赤外線写真専門機になる)

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 こうしてデジタル機でも改造により赤外線写真を撮って楽しむことが可能になるのである。
 さて、このフルスペクトル改造カメラは、一方天体観測によく使われるのだ。センサーの集光能力を100%発揮出来るので、夜空や天体撮影等でかなり有効な撮影が出来る。又、レンズの各種フィルターを使用して光の波長をコントロールする事で、通常のカメラ同様の「カラー写真」、更にこのような「赤外線写真」、そして「紫外線写真」の撮影にまで可能となるのである。好きな人は改造を試みたらと・・・思うのである。

█ ここで少々、「赤外線写真」を供覧します(↓)    ( クリック拡大 )

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2019年9月 6日 (金)

[カメラ話題] テックアートから驚きの傑作マウント・アダプター「TECHART LM-EA7」

「ライカMレンズ」を 今人気の「SONY Eマウント・カメラ」で
・・・オートフォーカス動作させるマウント・スマートアダプター
     「TECHART LM-EA7」

(カメラ・レンズ遊び)

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 上の2枚の写真は、今人気のフルサイズ・ミラーレス・デジタル・カメラ「SONY α7Ⅲ」に世界のトップ・ブランドのドイツのライカ・カメラのMマウントレンズをレンズアダプター「TECHART LM-EA7」(下参照)を介して付けた状態だ。左が「ズミクロンM35mm」、右が「エルマリットM90mm」を付けている。
 これがなんと、両者がMF(マニュアル・フォーカス)のレンズであるが、驚きのAF(オート・フォーカス)として機能してしまうという画期的なアダプターなのである。

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                                              ( F/2.0 , 1/250sec , ISO100)

 実はこれは昨年から話題になっていたのだが、大分改良もなされてきたようであり(現在Ver.6である=無線アップデート)、私の場合はここに来て、十数年前に使っていたフィルム・カメラ時代のライカ・レンズの味が忘れられず、それをデジタル機で使いたくなったのである。しかもオートフォーカス機能の無いレンズをオート・フォーカスで使おうという離れ業なのだ。(上がその[作例 1] 「Sony α7Ⅲ + エルマリットM 90mm」で、ガマズミの実にオートで焦点を合わせ撮ったもの)

 このアダプターのメーカーのTECHARTというのは中国のメーカーで、日本にこの製品を大量に送込んできている。こうした画期的製品を目下は中国のお家芸化していて、日本でも昔と違って評価も上がって来ている
 今年早々に紹介したコンタックスNレンズをSONYα7に付けてオートフォーカスで使えるスマート・アダプターfringer社の「SMART ADAPTAER FR-CNSE Mark Ⅲ」なども性能は良く評価は高いが、それに匹敵する注目製品である。

 このように電子接点によりカメラに情報を伝えオートフォーカス機能などがあるものをスマートアダプターというが、ここで取り上げたアダプターは下のようなものである。

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 この「LM-EA7」は、MF方式のライカMマウントレンズを、どうやってAF動作させるのかと言うと、これはテックアートが独自開発したモーターを内蔵し、Sony Eマウント・カメラからのバッテリーによる電流により、レンズ側のマウント面を前後に動かしてピントを合わせる。繰り出し量は4.5mmで、レンズのピントリングを無限遠にセットしておけば、無限遠から近接までAFでピントが合うという仕掛け。

Img_1785trw_20190905163501 オールドレンズはその大半がMFレンズだ。そしてマウントアダプター経由でデジタルカメラで使う際も当然MF撮影となる。ところがその常識を、これはあっさりと覆す製品として登場したのだった。このテックアートの「LM-EA7」は、ライカMマウントレンズをSony機でAF動作させるマウントアダプターだ。従って、かっての名器コニカのレンジファインダー・カメラのHEXAR RFも実はMマウントであるので、このM-HEXANONレンズも当然使える(右--作例下)のだ。合焦までの時間も思った以上にスムーズで、しかも合焦精度も悪くない。

Img_1798trw_20190905165001 そして更に面白いことに、例えば、ニコンのレンズも実はニコン独特のFマウントであるが、それをライカのMマウントに変えるアダプターもあり(例えば K&F concept NIK-L/M  )、それを付けるとこの「LM-EA7」に付けられるので、結局のところSONYのデジタル機に付けられると言うことになる(オールド・レンズNIKKOR 50mm F/1.4を付けた例が右)。その結果、ニコンのオールド・レンズはニコンのカメラではオートフォーカス撮影することが出来ないのに、なんとSONYのカメラではオートフォーカスレンズとして復活できるという珍現象も起きているのだ。

 これはSONYは、自己のレンズのEマウントの基本仕様を2011年4月から無償開示していることにより、各社がこのEマウントのレンズを始めアダプターなど制作していることが、こんな現象を起こす源であるようだ。

 (作例 2)  Sony α7Ⅲ + [TECHART LM-EA7] + Konica M-HEXANON 50mm F2

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                                                ( F/2.0,  1/1600,  -1.3eV, ISO100) 
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 (作例 3)     Sony α7Ⅲ + [TECHART LM-EA7] + [NIK-L/M] + NIKON NIKKOR 50mm F/1.4

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                                              ( F/1.4, 1/2000,  ISO640)
(参考)
[TECHART LM-EA7の概要]
  「ライカMマウントレンズ」をソニーα「Eマウント」規格のミラーレスカメラに取り付けるための、AFモーター搭載の電子マウントアダプター。
 (特徴)
■TECHART独自開発したAF駆動用モーター搭載、MFレンズのAF動作を実現
■コンティニュアスAF(AF-C)対応
■他社のMマウントアダプターを組み合わせて使用可能
■ヘリコイドで最短撮影距離を延伸、繰り出し量:4.5mm
■レンズデータ(10本まで)の記録可能
■無線で製品アップデートが可能

対応機種
ソニーα9、α7RIII、α7III、ソニーα7R II、α7 II、α6500 およびα6300など、位相差AF搭載のEマウントカメラ

(参考)

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