音楽

2020年9月26日 (土)

寺島靖国プレゼント「For Jazz Audio Fans Only Vol.13」

「ジャズは音で聴け」の世界は今年はどう変わってきたか・・・・

<Jazz>

 Yasukuni Terashima Presents
「For Jazz Audio Fans Only Vol.13」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1092 / 2020

71cxdsmcyl_ac_sl850

  今年も、無事寺島靖国氏の企画によるこのアルバムがリリースされた、13卷目だ。注目される好演奏、好録音盤を取上げ年に一回のリリースであるので、なんと今年でもう13年と言うことですね。オーディオ・ファンでもある私は、おかげで過去の全アルバムを聴いて楽しんでいる。
 恐らく今年のこのアルバムには、私の聴いているのは何か必ず取上げられるだろうと高を踏んでいましたが、なんと全13曲今年までに聴いてきたアルバムが無く完全に肩すかしでした。このあたりが、一般的な世界で無く、オーソドックスでない、にもかかわらず納得の好演奏を紹介してくれるのでありがたいと言う処なんです。

Terashima

 「ジャズは音で聴け」と豪語している彼の世界、中心は私の好きなピアノ・トリオだ。ところがこのところステファノ・アメリオの影響もあってか、低音とシンバルの強力エネルギー溢れるサウンドから、曲の質とその描く内容によっての音場型サウンドへと好みがシフトしつつあることを訴えている寺島靖国。 どんな選曲をしてくるか、ちょっと楽しみというか、期待というか、そんなところでこのアルバムを聴くのである。

(Tracklist)

1. The Song Is You 〔Christoph Spendel Trio〕
2. I Love You So Much It Hurts 〔Han Bennink / Michiel Borstlap / Ernst Glerum〕
3. Cancer 〔Allan Browne Trio〕
4. New Life And Other Beginnings 〔Aki Rissanen〕
5. Sailing With No Wind 〔Carsten Dahl Trinity〕
6. Counter 〔Floris Kappeyne Trio〕
7. Ammedea 〔Pablo Held Trio〕
8. Flight of the Humble 3 〔Robert Rook Trio〕
9. 928 〔Michael Beck Trio〕
10.Mistral 〔Peter James Trio〕
11.Get Out Of Town 〔Stevens, Siegel And Ferguson Trio〕
12.The Day You Said Goodbye 〔Larry Willis Trio〕
13.Don't Let The Sun Catch You Crying 〔Lafayette Harris Jr.〕
()内は演奏者

 こうしてみると、いやはやここに登場するは日本におけるポピュラーな演奏者は少ないというか、私はあまり知らないのであって、探求心、研究心のなさを思い知らされた。
 従って今回のアルバムは私にとっては非常に貴重だ。取上げた曲の全てのアルバムを聴きたい衝動に駆られる。

819mcjlauil_ac_sl90071ucac3tnrl_ac_sl9005157u3mvtil_ac_

 中でもやっぱり曲の良さからは、M1."The Song Is You "、M5."Sailing With No Wind "は興味ありますね。M1は、ポーランド生れのピアニストで、この曲を聴く限りでは、ジャズの中では刺激の無いむしろメロディー重視にも聴こえるが、エレクトロベースが面白い味付けで是非この曲を収録したアルバム『Harlem Nocturne』(BLUE FLAME)(上左)を聴きたいと思った。又M5.はジャズ名演といったタイプで、なかなか叙情もあって素晴らしい。このピアニストのカーステン・ダールはデンマーク生れのベテランで、私は唯一このピアニストは知ってはいるが、未熟にも彼のこのアルバムにはアプローチしてなかったので、美しいピアノの調べのこの曲を収録しているアルバム『Painting Music』(ACT Music)(上中央)は早速聴くことにする。
   そしてM9."928"(Michael Beck Trio)のベースとドラムスの迫力録音が聴きどころ。このマイケル・ベックも名前は聞いたことがある程度で今まで白紙状態であったため興味がある。更にM12."The Day You said Goodbye"がジャズの真髄を演ずるが如きのベースとブラッシが前面に出てきて、そこにピアノを中心とした流れがゆったりとしていて素晴らしい。このアルバム『The Big Push』(HighNote Records)(上右)を是非入手したいと思ったところだ。

 この寺島靖国のシリーズは、演奏は勿論無視しているわけでは無いが、所謂オーディオ・サウンドを重視し、その録音スタイルに深くアプローチしていてライナー・ノーツもその点の話が主体だ。それを見ても如何にサウンド重視がこのアルバムの目的であることが解るが、昔からシンバルの音の重要性の語りが彼の独壇場だ。そしてベース、ピアノの音質と配置などに、かなり興味と重要性を主張している。そんな点も私もこのアルバムに関しては、やはり興味深く聴いたのだった。

  今回は、先ずこのリリースされたアルバムの紹介程度にしておいて、ここに登場したアルバムを入手し聴いて、次回からそのアルバムの感想をここに紹介したいと思っている。

(評価)
選曲  90/100
録音  90/100

(参考視聴)  Carsten Dahl Trinityの演奏

 

 

| | コメント (1)

2020年9月18日 (金)

レイス・デムス・ウィルトゲン REIS DEMUTH WILTGEN  「sly」

若きトリオが、ヨーロッパ・ジャズの一つの最新形を目指して・・・
ステファノ・アメリオの録音とミキシングも聴きどころ


<Jazz>

REIS DEMUTH WILTGEN  「sly」
CamJazz /  /  MOCLD-1037 /  2020

Xat1245729120

Michel Reis (p)
Marc Demuth (b)
Paul Wiltgen (ds)

Recording and Mixing engineer Stefano Amerio 

  ルクセンブルグの若きピアニストのミシェル・レイスは日本での活動は活発で、石若駿をレギュラーメンバーにした彼の他は日本人ミュージシャンのみからなる「ミシェル・レイス・ジャパン・カルテット」で知られる。  この5月に彼のソロ・アルバム『SHORT STORIES』をここで取上げたのだが、あのリリカルな世界が印象的である。
 さて、そのレイスは自国においては、高校時代の同窓のメンバーとトリオ「レイス・デムス・ウィルトゲン」を組んで、既に2013年にデビュー作品をリリースしているのだが、そのトリオが現在までがっちり続いていて、今年第4作を発表したのである。それがこの『sly』である。
 このアルバムはかなり彼らのレクセンブルグを意識したもので、ルクセンブルグの詩人の風物詩「ルナール」というものをテーマにしていて、その「ルナール」というのは狐を指すらしい。それがこのアルバム・タイトル「スライsly」ということになり、その意味は"ずる賢い"と言うことのようだ。
 とにかく、この若きトリオが描く新世代ジャズにアプローチしてみたのであるが、こうしたものがヨーロッパ・ジャズの一つの最新形なのかと聴いた次第だ。

Unnamed_20200916172401 (Tracklist)

1. Snowdrop #
2. No Storm Lasts Forever *
3. If You Remember Me *
4. Fantastic Mr. Fox #
5. Silhouettes On The Kuranda *
6. Viral #
7. Diary Of An Unfettered Mind *
8. Let Me Sing For You *
9. Venerdì Al Bacio *
10. Nanaimo *
11. The Last We Spoke #
12. The Rebellion 
13. Home Is Nearby #

(*印:Michel Reis 、#印:Paul Wiltgen)

 どちらかというと、そう長くない、短い曲も含めて上のように13曲。レイスReisの曲が7曲、ドラマーのWiltgenの曲が5曲、ベーシストのDemuthの曲が1曲という彼らのオリジナル曲だ。

Jb09756_20200916172801Jbm0007Jb09806


 いっやーしかし、この若きトリオの演ずるところはリアル・ジャズとヨーロッパ美学の結合なんですね。
 私は前半6曲は取り付くところが無いくらい異様なアヴァンギャルドな世界だ。印象はドラムスのパンチ力で録音も前面に出てきてバンバンアタックしてくるリアル・ジャズの印象。これらの曲はルクセンブルグの世界観とフリー・ジャズでの叙情詩と行ったところか、私がついて行くには少々厳しい。
 ようやく、心を引かれてのめり込めるのは、主としてミシェル・レイスの曲M7."Diary Of An Unfettered Mind"からで、M.11"The Last We Spoke"までの4曲で、あくまでも私の感覚としての素晴らしさだ。近代感覚あふるる中に美旋律そして叙情を漂よらせて非常に魅力的。
 このアルバムケの前半に評価を持って行く人もいるのではと思うが、私の場合はついて行くのが難儀だった。
 彼らは、彼ら自身のオリジナル曲に固執しているようで、その作曲演奏に自己の世界観を描こうとしている。
 若きトリオが、ヨーロッパの叙情を加味しつつ、リアル・ジャズ、フリー・ジャズ、そしてアヴァンギャルドな世界への挑戦として演ずるところは、注目すべき作品だ。

 そして録音がイタリアの名手ステファノ・アメリオということで注目してみたが、彼は曲を十分意識しての世界観のある音と音場を作り上げるのだが、このアルバムは過去のよく聴いた叙情的美しさを描き挙げるものと異なって、ちょっと驚きのリアル・サウンドを追求している。彼のこのような仕上げは珍しく貴重。そんなところからも、このトリオの演ずるところが窺えるところだ。

(評価)
□ 曲・演奏   85/100
□ 録音     90/100

(参考視聴)  このトリオのライブ模様

| | コメント (2)

2020年9月13日 (日)

チャンピアン・フルトン Champian Fulton 「BIRDSONG」

アメリカン・ジャズの良さをしっかり演ずるアルバムだ


<Jazz>

Champian Fulton 「BIRDSONG」
CHAMPIAN RECORDS / IMPORT / CR003 / 2020

41kjrh9bgl_ac_-1

Champian Fulton (piano) (vocal on 01, 03, 04, 07, 08, 09, 10)
Scott Hamilton (tenor saxophone except 05, 06)
Hide Tanaka (bass)
Fukushi Tainaka (drums)
guest:
Stephen Fulton (Champian's father) (flugelhorn on 02, 08, 09, 11)

Recorded Sept.24,2019 at Samurai Studios, Queens, NY.

  NYシーンで活躍し、ピアニストであり歌手でもあるチャンピアン・フルトン(1985年オクラホマ州ノーマン生まれ)の、今回は、チャーリー・パーカー生誕100周年に因んだパーカー・トリビュート編(チャンピアンのヴォーカルは11曲中7曲に登場)で、スコット・ハミルトン(ts)を迎え、更にシャンピアンの父スティーヴン(flh)もゲスト参入するというジャズ演奏も楽しめる自主制作盤。
 アルバムは結構多いのだが、私が前回ここで取上げたのは、結構アメリカン・ジャズの良さを感じた『After Dark』(GSR022/2016) であった。

118796115_6207827351487_5576786447579044

(Tracklist)

01. Just Friends 7:14 (J. Klenner & S. Lewis / April Music Inc.)
02. Yardbird Suite 6:36 (C. Parker / Atlantic Music Corp.)
03. This Is Always 5:32 (H. Warren & M. Gordon / Four Jays Music Pub.)
04. Star Eyes 5:40 (D. Raye & G. de Paul / April Music Inc.)
05. Quasimodo 5:07 (C. Parker / Songs of Universal Inc.) (p-b-ds trio)
06. All God's Chillun Got Rhythm 4:49 (G. Kahn, W. Jurmann & B. Kaper / April Music Inc.) (p-b-ds trio)
07. Dearly Beloved 4:46 (J. Mercer & J. Kern / Universal - Polygram Intl. Pub. Inc.)
08. Out Of Nowhere 5:06 (J. Green & E. Heyman / Sony ATV Harmony)
09. If I Should Lose You 7:22 (R. Rainger & L. Robin / Sony ATV Harmony)
10. My Old Flame 5:00 (S. Coslow & C. Midnight / Sony ATV Harmony)
11. Bluebird 9:25 (C. Parker / Atlantic Music Corp.)

 ピアニストとしても実績のあるチャンピアンだけあって、全曲彼女のアレンジメントと言うことのようだ。所謂、アメリカン・ジャズの世界で、ヨーロッパ系の哀愁という世界では全くなく、バップ&ブルースの伝統的流れに乗ったピアノや、心地よい刺激の無い包み込んでくるようなテナー・サックス、そしてどちらかというとスリリングというような刺激の無いハートウォーミングなコンポ演奏展開。全体的演奏の流れは結構小気味の良いところもあって、スウィング感たっぷりのジャズの醍醐味はちゃんと持っている。

440pxchampian_at_the_piano

 又彼女の歌声は、中高音が主体のしっとりさのある情感の豊富なところにある。ただし残念ながら声の質は、これは感覚的なモノで致し方の無いところだが、私個人的な好みとは若干違ったところにあるのは、前作でも感じたところだ。
 しかしM3."This Is Always "、M10."My Old Flame"に聴けるしっとりさはある歌い込みは、テナーの調べやベースとの協演に、暗さの無い情感たっぷりのジャズの良さを十分感じ取れる。これはハミルトンの効果たっぷりというところも感ずるのだ。
 M5."Quasimodo "M6."All God's Chillun Got Rhythm"は、インスト曲で、スウィング感たっぷりの軽快なピアノ・プレイや早弾きを披露していてこれもジャズの標準的良さを聴かせてくれる。そしてM7."Dearly Beloved"では、語り聴かせるようなヴォーカル、リズムカルなヴォーカルとの取り合わせが見事。
 とにかく、M1."Just Friends "、M9."If I Should Lose You " など、小ホールで、ゆったりと安らぎながら一夜を過ごすには、なかなか良い気分にさせてくれるジャズの典型の歌と演奏である。
 
 私自身は、ジャズにおいて欧州系のリリカルな演奏を好むのだが、時にこのようなしっとり、マイルド系のアメリカン・ジャズもいいものだと聴くのである。

(評価)
□ 演奏・歌  85/100
□ 録音    80/100

(視聴)

 

| | コメント (0)

2020年9月 8日 (火)

シモーネ・コップマイヤーSimone Kopmajer 「My Wonderland」

懐かしい曲を思いがけなく取上げていて、ホッとして聴ける

<Jazz>

Simone Kopmajer 「My Wonderland」
Lucky Mojo Records /  EU  / LMR201 / 2020

A1lsazpybylw

Simone Kopmajer (vo)
Terry Myers (sax)
Paul Urbanek (p)
Martin Spitzer (g)
Karl Sayer (b)
Reinhardt Winkler (ds)

 オーストリア出身の歌姫、シモーネ・コップマイヤー新作。彼女を取上げるのは2年ぶりだが、なかなか充実度が上がっている。
 彼女は1981年生れで、アルバムは2003年以来、『Romance』『Moonlight Serende』などがあって、2018年に『SPOTLIGHT ON JAZZ』とリリースしてきている。
 今回のアルバムでは、彼女のオリジナル新曲、4曲が聴ける。そしてとジャズとボッサのスタンダーズ、更に驚きはサンタナの懐かしのヒット曲やバート・バカラックの曲などが取上げられている。
 難しく凝っていなくて、あのプリティーなヴォーカルを生かして、円熟した歳となって充実度が増した曲作りが、安心して聴けて好感度は高い。

Dogvjphxsae9glk (Tracklist)

1 My Wonderland *
2 Voce E Eu (You And I)
3 Something New *
4 A Man And A Woman
5 Why Don't You Do Right
6 Caravan
7 A Tinge Of Yellow *
8 In A Mellow Tone
9 Europa (Manana)
10 So Danco Samba
11 Raindrops Keep Falling On My Head
12 A Trembling Moon (Clair De Lune) *
(*印 オリジナル曲)

 歳相応に円熟した大人の味が加わって来た中で、もともとのプリティーな彼女の持ち味がどの程度残っているのかと思いながら聴いたわけだが、やはりその特徴は失われてはいない。しかし究極は大人のジャズに仕上げていて、しかもポップス様の味付けがあって、非常に聴きやすい。 
 あまり力が入っていなく、ちよっと洒落た味を加えた歌というところで、いわゆる和みのボーカル・アルバムというところだ。

 彼女のオリジナル曲も、変な癖も無く聴きやすいが、なんと言ってもM4."A Man And A Woman 男と女" が、久しぶりに聴けて良かったですね。これもあまりジャズっぽくなくてこんなところでいいと思ったところだ。
 なんと言っても驚きはM9." Europa (Manana) 哀愁のヨーロッパ"のサンタナのヒット曲が登場したところですね、あのギターの音色が日本中で受けた曲が、これがジャズ・ヴォーカルに、と言うだけで驚きですが、挑戦したところに評価しましょう。
 M6."Caravan"も驚きました。ヴォーカルものとしては珍しいでしょう。なかなかこのアルバムでは一弐を争う出来で、お見事と言っておく。
 とにかくポピュラーなバカラックのM11." Raindrops Keep Falling On My Head"なども登場して、肩の凝らないアルバムであり、ジャズ世界としてハイレベルと言うモノでは無いが、嫌みが無く聴きやすいヴォーカル・アルバムとして歓迎したところだ。

(評価)
曲・歌  85/100
録音   80/100

(視聴)

 

| | コメント (0)

2020年9月 3日 (木)

ケイト・ウェイディー Kate Wadey 「Moon Songs」

サポート陣が洗練されていて、艶やかさのある温かいヴォーカルが生きている

<Jazz>

Kate Wadey 「Moon Songs」
KATEWADEY.COM 自主制作盤

41gv8b0n3fl_ac_

Kate Wadey (vocal)
Peter Koopman (guitar except 3, 6, 7, 8)
Harry Sutherland (piano except 2, 5, 8, 9)
Samuel Dobson (bass except 5, 7, 8)
Tim Geldens (drums except 5, 7)

 

  これも私にとっては初物です。シドニーを主たる拠点として活躍するオーストラリアの女性歌手:ケイト・ウェイディーKate Wadeyの2019年リリース盤。ギター、ピアノ、ベース、ドラムの伴奏による本人自主製作のセカンド・アルバムである。
 先日も、同じオーストラリアの寺島靖国推薦の初物女性歌手のキンバ・グリフィス・セプテット Kimba Griffith Septetを紹介したが、このケイト・ウェイデイーは、それに比較すると、ちょっと注目度は高いですね。なんと言ってもジャズを演ずるに既に味がある。曲も洗練された世界に出来上がっている。それはベーシストのサムエル・ドブソンの支えが大きいようだ。そんなことで自主制作盤とはいえジャズ・ヴォーカル・アルバムとして良い線を行っているので、ここに取上げるのである。

Katew2w

(Tracklist)

1. There's A Lull In My Life
2. The Moon Song
3. East Of The Sun (And West Of The Moon)
4. Just When We're Falling In Love
5. These Foolish Things (vo & g duo)
6. Lover, Come Back To Me
7. Early Autumn (vo & p duo)
8. Goody Goody (vo & ds duo)
9. Nobody Else But Me

   まずなんと言っても、バック陣の演ずるジャズが、ブルージーな味がありながら結構粋な展開のギター、なかなかコンテンポラリーにこなすピアノと良い線をいっている。演ずるは、時にトリオになったりとインスト陣のしっかりスウィンギンな味を見せながらのサポートがジャジーな世界を良い味で描いていて、そこに、ウェイティーのヴォーカルはややトーン高めであるがきめの細かい艶やかさのある声である。そして時折ちょっとハスキーになっての味付けがなかなか心得た技術を持っている。結構落ち着きある展開で、清楚で愛らしいチャーミングなところがちゃんとあって、なかなか聴かせるのだ。

Katew3w  スタンダード曲中心のアルバムだが、スタートのM1." There's A Lull In My Life"は彼女のアカペラで始まって、これはなかなかヴォーカルの実力を訴える。
 M2."The Moon Song"は、アルバム・タイトル曲。これは彼女のこのアルバムでの唯一のオリジナル曲なんですね。やはり歌い込みを静かなギターのバックの展開の中でしっかり説得力あるところで聴かせる。
 M5."These Foolish Things"では、彼女と静かなギターとのデュオがしっとりと展開して、しっかり歌い上げる曲は完成品だ。
 M6."Lover, Come Back To Me"は、誰もが知っている曲を、一転しての速攻スイング曲として演じられ、ピアノとスティックのインプロもまさにジャズ。こんな展開はやはりそれなりの技巧が無いと無理で、なかなか聴かせる。アルバムでも中盤で一つの山を造っている。そして一転してM7."Early Autumn " のバラード世界で、しっとりと迫ってくるのはにくいところ。

 洗練されたどちらかというとまろやかで温かい声、そして聴き手に納得感をひきよせる心を感ずる歌い上げは、叙情性もあってジャズ・ヴォーカルとしても良い線をいっている。これからがどう発展してゆくかが注目されるところはまちがいないところだ。

(評価)
曲・歌 :   85/100
録音  :    85/100

(視聴)

 

| | コメント (2)

2020年8月29日 (土)

エリチン・シリノフ Elchin Shirinov Trio 「Waiting」

民族性の高いエキゾチックな中のスピリチャルなプレイ

<Jazz>

Elchin Shirinov Trio 「Waiting」
SOMETHIN'COOL / JPN /  SCOL-1040 / 2020

71osqxfkffl_acw

Elchin Shirinov (piano)
Andrea Di Biase (double bass)
Dave Hamblett (drums)

 

  ベースのリーダであるアヴィシャイ・コーエン・トリオの近作アルバム『Arvoles』(RAZDAZ Records / RD4619/2019)のピアニストとして注目さたアゼルバイジャン出身のピアニスト:エルチン・シリノフ(1982年生れ)の彼名義のトリオ作品の日本盤の登場。
 アヴィシャイ・コーエンはイスラエルのミュージシャンで私はどちらかというとファンである。それはイスラエル由来の哀愁漂う美旋律が魅力。そのムードに惹かれてトリオ演奏が好きなのだが、実は彼のこの近作『Arvoles』は、ちょっと民族色が強くなって、それ以前の作品と少々異質になったもので、あまり諸手を挙げて歓迎出来なかったアルバムだった。それでもこのアルバムのピアニストが、自己名義ではどのような世界を構築していたのかというところは興味津々であった。

Es1w

 本盤は、トリオによる配信オンリーだった2018年作品で、CD版はエルチン・シリノフ本人の自主製作によるライヴ会場での手売りのみであったという。そんな一般流通はしていなかったものの日本国内盤CD化したもの。アゼルバイシャンというのは、旧ソ連に属していた国であるが、ソ連解体後アルメニアとの民族紛争を経て現在共和国として独立していて、カスピ海に接して居入るが、東ヨーッパとしても存在している。天然資源の油田が産業の核で、日本も経済協力をしており親日国。

Azerbaijan_kigi001_04
 
(Tracklist)

1. Sara Gellin
2. Waiting*
3. Durna
4. Missing*
5. Waltz From Seven Beauties Ballet
6. Muse*
7. O Olmasin Bu Olsun

(*印: シリノフのオリジナル曲)

0014933727_100w

 トリオのベース、ドラムスはロンドンからの迎えてのメンバー。彼は英国との関係が深く、おそらく現在もロンドン在住と思われる。このアルバムはシリノフの過去の活動からの集大成として作られたモノとみてよい。そんなところからも彼を知るにはよいアルバムだ。

 先ずの特色は、M1."Sara Gellin" 、M3."Durna"のように、アゼルヴァイジャンの民謡を取上げていて、民族音楽の性質が濃い。この点はアヴィシャイ・コーエンの『Alvores』と似ている。なかなかそこにはエキゾティックなトラディッショナルのフォーキーな民族舞踏と云うべき趣を醸し出す。そしてリズムは非常にバライティーに富んでの複雑な面を持っている。そのあたりは聴いていてちょっと目(耳)を離せない。
 しかしこのアルバムでは彼のオリジナルが三曲あるが、M4."Missing"が最も民族的世界から離れての、美旋律が顔が出すしっとりムードの曲で、私にとっては一番聴くに気持ちの良い曲であった。

 Elchinhometrw 彼のこのようなアゼルヴァイジャンのジャズをムガームジャズと言うらしいが、このエキゾチックさが新鮮で、しかもそこに聴き慣れないテクニックが異国情緒たっぷりの中のアドリブとして攻めてくるところがスリリングであり、それと同時に民族的哀感が同席していて、如何にも聴く方にとっては新鮮なんですね。

 しかし私個人的には、ちょっとこの方向には馴染めないところがあって、若干複雑な気持ちである。あまり無理して聴くこともないので、M4あたりで納得しておこうと思うのである。

(参考) ムガームジャズ(Mugham Jazz, Azerbaijani Jazz)とは、ペルシャの古典音楽をルーツとする独特の旋法が特徴的なアゼルバイジャンの民俗音楽であるムガームと、アメリカ生まれの即興音楽ジャズが、1960年代頃より東欧一のジャズの都として栄えたバクーにて融合し生まれた音楽のジャンル。

 

(評価)
□ 曲・演奏   80/100
□ 録音     75/100

(視聴)

| | コメント (0)

2020年8月24日 (月)

マッシモ・ファラオ・トリオ Massimo Faraò Trio 「Like An Elegant Wine」

ストリングス・オーケストラをバックに、あくまでも優雅に美しく


<Jazz>

Massimo Faraò Trio, Accademia Arrigoni's Strings Orchestra
「Like An Elegant Wine エレガントなワインのように」
VENUS RECORDS / JPN / VHCD-1278 / 2020

Like-an-elegant-wine_20200822203901

マッシモ・ファラオ MASSIMO FARAO (piano)
ニコラ・バルボン NICOLA BARBON (bass)
ボボ・ファッキネネィック BOBO FACCHINETTI (drums)

with Accademia Arrigoni's Strings Orchestra
Conducted by Bill Cunliffe

2020年2月15日,16日 Magister Recording Area Studios,Preganziol,Italy 録音
Sound Engineers Andrea Valfre’ and Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Produced by Tetsuo Hara

  このところ Venus Records の看板になりつつあるあのイタリアのピアニスト・マッシモ・ファラオ( 1965- )が、とにかく美しく優美にと、繊細にしてメロデックな演奏を、ストリングス・オーケストラをバックに優しく演ずるアルバムの登場。

O0595039614486503717

(Tracklist)

1.ラブ・ケイム・オン・スティールシー・フィンガース
2.Io Che Amo Solo Te 君だけを愛して
3.オールダー・マン・イズ・ライク・アン・エレガント・ワイン
4.Days Of Wine And Roses 酒とバラの日々
5.ホエン・サマー・カムズ
6.ニアネス・オブ・ユー
7.ティズ・オータム
8.イージー・リビング
9.スプリング・ウィル・ビー・ア・リトル・レイト・ディス・イヤー

 とにかく全編優美なストリングス・オーケストラとマッシモ・ファラオ・トリオが輪をかけて優美に演奏するアルバム。そんな訳でジャズ感覚は少なく、ポピュラー・ミュージック感覚で聴いてゆくアルバムだ。
 とにかく、あのジャズの'50-'60年代の典型的なハード・バッブ・スタイルを継承するがごとくのマッシモ・ファラオのピアノ演奏も、ここではただただメロディーの美しさに絞っての演奏である。そんなために曲M1、M2、M3と、私には殆ど同じ曲の流れかと思うぐらいに変化は無くただただ美しいのである。
 M4."酒とバラの日々" になってヘンリー・マンシーニーの耳慣れた曲が現れて、成る程こんな具合に仕上げるのかと、その優美さの引き出しに納得してしまうのだ。続くM5."When Summer Comes" なんかは、オスカー・ピータンソンの美的ピアノを更に美しくといった世界に溺れてしまう。
 その後も、全く変化無しに映画音楽などを取上げて、全編ピアノの音も美しく、ベース、ドラムス陣もこれといっての特徴も出すところもなくストリナグスに押されて流れて言ってしまう。
 時には、こうした疲れないバックグラウンド・ミュージック的な世界も良いのかなぁーと思いながら聴いてしまったアルバムだった。それにしても途中で一つぐらいは暴れて欲しかったが、いやいやそれをしないで通したマッシモに取り敢えず敬意を表しておく。

(評価)
□ 演奏 :    85/100
□   録音 :    85/100

(視聴)    関連映像がないので・・・参考までにトリオ演奏を

 

| | コメント (0)

2020年8月20日 (木)

キンバ・グリフィス・セプテット Kimba Griffith Septet 「EACH TIME THE FIRST TIME」

ヴォーカル・演奏=寺島靖国お気に入りの二流ジャズ

<Jazz>

Kimba Griffith Septet 「EACH TIME THE FIRST TIME」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1087 / 2020

Eachtimethefirsttime

Kimba Griffith (vocal)
Adrian Perger (trumpet, arrangement)
Ben Gillespie (trombone)
Gideon Brazil (tenor saxophone, flute)
Ryan Griffith (guitar)
Mark Elton (bass)
Sam Bates (drums)

 ジャズCD界も今や低調の中で、何となく頑張っている寺島靖国によるTERASHIMA RECORDS からの一枚。いつも通りそろそろリリースされるのが、『For Jazz Audio Fans Only Vol.13』(2020年版)であるが、その前にちょっとコロナ渦の中、Stay Homeで暇つぶしに聴いてみたという代物。
 全く聴いたことの無いオーストラリアの歌手のキンバ・グリフィス・セプテット Kimba Griffith Septet、何が特徴なのかも知らない。ライナー・ノーツの寺島靖国によると、オーストラリア、メルボルンでの生れで、現在もそこのジャズ・クラブで活躍とか、いずれにしても気に入って売り物になるだろうと、日本発売に踏み切ったのだろう。彼女に関しては詳しい紹介もないので解らないが、人々の終末期のケアに携わる仕事もしているとか、ちょっと変わった存在でもある。

J00429_randk0w

(Tracklist)
01. Too Close For Comfort
02. From This Moment On
03. Getting To Be A Habit
04. A Good Man Is A Seldom Thing
05. That's All
06. The Carioca
07. Comes Love
08. Old Devil Moon
09. How Long Has This Been Going On?
10. Dream Dancing
11. Sickness & Health
12. The Endless Queue (日本限定ボーナストラック!)

 とにかく変なアルバムです。何を歌おうとしているか解らないジャズ・アルバム。そうジャズ・アルバムに仕上げようとして訳がわからなくなったと言った方が良いのか。
   前半は、ホーンが頑張って華々しいビック・バンドっぽいバック、彼女のヴォーカルが少々音程を外しての健闘。このパターンで進行する。
 最後まで聴くと、この歌手のほんとの目指すところはこうしたジャズじゃ無いのだろうと思ってしまった。M4."A Good Man Is A Seldom Thing"はスロー・バラード調だが、このパターンはどうかと聴くと、比較的素直で変な技巧は無くて良いのだが、どうも情感という処では描くところが薄い。
 寺島靖国もこれにぞっこんというなら彼のジャズ心はどこに焦点を当てて、しかもお気に入りになったのだろうか。ちょっと疑問に思うのである。

J00429_randk0059

 あるところには、なんと「澄みきった清潔感や透徹さと、落ち着いた渋味や陰影っぽさ、がナチュラルに一体化した、中音域の折り目正しく涼やかな美声(ちょっとハスキーに掠れるところもある)による、中々のハイテクニシャンでスウィンギン・グルーヴィーなノリにノッた躍動的側面もあるものの、基本はあくまで歌詞とメロディーを大切にした優しい真心溢れる、自然体で語りかけてくるような抒情指向の柔和な演唱」と書かれているものがある。・・・ほんとかなぁと思いつつ聴いているのだが、確かに癖の無い歌声、力みとか、過度の装飾の無いところは好感持てる。しかしそうはいっても歌の情感、テクニックなどちょっと高度とは言えない、むしろ平坦で一生懸命歌っているといった感じ。ジャズ心という一つの世界はあまり感じない。
 
J00483_0095w  又バックの演奏陣も曲の情感が余り感じられなく、一生懸命演奏しているといった感じ、そしてちょっとサックス、トランペット、トロンボーン等がうるさい印象で、二流クラブのジャズ演奏かと思ってしまう。
 曲の出来は、寺島靖国推薦のM6."The Carioca"と、私的にはM7."Comes Love"、そしてM9." How Long Has This Been Going On?"のように静かなギターをバックにしっとり歌うというのが、強いて言えばこのアルバムの中では聴きどころなんでしょうね(最後のフォーン・セクションは要らない)。
 ところが、M11."Sickness & Health"となると、一変してトラディッショナルなフォークっぽい曲で、バッキング・ヴォーカルが入ってガラッとムードが変わって、異色な雰囲気。ところが彼女のヴォーカルはこれには合うんですね。おそらく彼女はこのパターンなんじゃないだろうか。つまりスウィング・ジャズにはどうも向いていないのではと・・・。
 オマケのM12."The Endless Queue " は、単なるポピュラー・ソングで、このアルバムの前半とは別物でちょっと不自然ある。

 私は一枚のアルバムを通して聴く方なので、このようなアルバムを敢えてジャズ・ヴォーカルものとしてリリースしたところに、ちょっと疑問を感じつつ聴いたアルバムだった。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  70/100
□ 録音      75/100

(視聴)
 

 

| | コメント (0)

2020年8月15日 (土)

ダーリオ・カルノヴァーレDario Carnovale 「I Remember You」

絶妙のスウィング感でバランスのとれた緩急メリハリある抒情派作品

<Jazz>

Dario Carnovale / Alfred Kramer / Lorenzo Conte 
「I Remember You」
FONE / EU / SACD173 / 2019

711pyugu9bl_acw

Dario Carnovale ダーリオ・カルノヴァーレ (piano)
Lorenzo Conte ロレンツォ・コンテ (bass except 4)
Alfred Kramer アルフレッド・クラーマー (drums except 4)

2016年10月イタリア-イル・カステッロ、セミフォンテ・スコト宮殿(の地下)録音

  イタリアはシチリアの州都パレルモは数年前に訪れたことのある懐かしい美しい街だが、ここはシチリア島の玄関口と交通の要所ということで、なかなかの大都市。しかも教会や宮殿が立派で、ギリシャ、アラブ、フランス、スペインなどが混じりあっての独特の文化が生まれている。更に余談だが、ここのマッシモ劇場は、映画「ゴッド・ファーザー」で有名になったところ。
Dc3    このパレルモ出身の俊英ピアニストに、ダーリオ・カルノヴァーレ (→) がいて、彼のピアノ・トリオ作品を一度しっかり聴きたいと思っていた時に、このSACD盤が目に留まり早速聴いてみたというところだ。高音質に定評のあるイタリア「foneレーベル」のセミフォンテ・スコト宮殿地下録音プロジェクトの一つとして2016年10月に吹き込まれ、2019年にリリースされたアルバムである。
 このカルノヴァーレは、2年ほど前にイタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州に活動の拠点を移しているそうだが、そんな彼が、高音質レーベルで知られるFone Jazzに、アルフレッド・クラマー(ds)、ロレンツォ・コンテ(b)というトリオでスタンダード中心に録音したスペシャル・セッション版である。

33599w

(Tracklist)

1. I Remember You (Victor Schertzinger) 5:41
2. Madrigale (Carnovale) 4:00
3. I'll Close My Eyes (Reid - Kaie) 7:38
4. Alone (Carnovale) 2:25 (solo piano)
5. What Is This Thing Called Love (Cole Porter) 5:55
6. Emersion (Carnovale) 8:19
7. Ckc (Carnovale - Conte - Kramer) 6:27

Lc1_20200814212401  しかし、メロディアスにしてスインギーな展開にアドリブの効いた流れ、そして時々適度にイタリア独特の美旋律が流れ、しかし時にハードなダイナミックな展開と多彩多芸。特にM4."Alone"のカルノヴァーレのピアノ・ソロでは、やや前衛がかったオルタナティブな世界も見せる。
 私にとっては、なんと言ってもM3."I'll Close My Eyes" いわゆる美旋律のピアノを中心に描くピアノトリオの世界が、何と言えない心地よさだ。ベースそしてシンバルも手頃の余韻を持って響きそれは快適。落ち着いた夜にぴったり。
 しかし、その他の曲で、特にスタートのアルバム・タイトル曲M1."I Remember You"での、ここまで小気味のいい軽やかなスイング感を大切にしたリリカルなプレイを展開してみせるトリオも珍しい。これも彼らのキャリアの蓄積がそうさせるのであろうと思うが、力みの無い洗練された技巧派ジャズなのである。この軽妙さはジャズ心の極致である。
Ak2  M5."What Is This Thing Called Love"、これはドラムスの疾走から始まって迫真のインタープレイの展開、とにかく息詰まるスリル感たっぷりの生々しい演奏は凄絶で圧巻。この三人はこれをやらずには納まらないと言ったところか。
 M6."Emersion"のそれぞれの世界をそれぞれがアクロバティックに流れてゆき、そして演じてゆくうちにトリオとしての交錯そして統一感への世界は面白い。美的という処からは別物だが、これが又このトリオの味なのかも知れない。
 そして続く終曲 M7."CKC"は三者による作品。この"CKC"とは何かと思ったら、どうやら三人の頭文字だ。この曲には三者がクレジットされている。それは緻密に静とその世界の神秘性にも迫る情景に納得。そして次第に現実の世界に目覚めさせる。

 又、音質も極めて自然な録音で、さすがはFONE JAZZだけあってその心意気はSACD盤としてリリースされている。これは派手さで無く自然体を追った録音と行って良い。むしろかってのアナログのLP時代を思い起こさせる。
 とにかくトリオ・ジャズの楽しさ満載のアルバムであった。

(評価)
□ 曲・演奏   90/100
□ 録音     90/100

(参考視聴)

 

| | コメント (0)

2020年8月11日 (火)

キャロル・ウェルスマン Carol Welsman 「Dance with Me」

"キャロル、ラティーナを歌う"と・・・ラテン・ジャズ・ヴォーカル・アルバム

<Jazz>

Carol Welsman 「Dance with Me」
Justin Time Records / JPN / MZCF-1419 / 2020

61ubksceblw

Carol Welsman キャロル・ウェルスマン (vocal, piano, produce)
Justo Almario ジュスト・アルマリオ (tenor saxophone, soprano saxophone, flute)
Rene Camacho ルネ・カマチョ (bass, background vocal)
Jimmy Branly ジミー・ブランリー (drums)
Joey de Leon ジョーイ・デ・レオン (conga, percussion, background vocal)
Juan Luis Guerra フアン・ルイス・ゲラ (guest vocal on 04)
Oscar Hernandez オスカー・ヘルナンデス (arrangement, produce)

200306_042atrw  カナダのベテラン歌姫キャロル・ウェルスマン(1960年カナダ・トロント生まれ) の、なんと「ラテンを歌う」というニューリリース盤。それも私は彼女自身の過去のアルバムでもラテンものはあまり印象に無いし、ピアノ弾き語りのジャズのイメージがあって、実はあまりラテンには合わない印象なんですね。
   以前ここで話題にした『ディス・イズ・キャロルThis is Carol - ラヴ・ソング20』(MUZAK Fab./MZCF1340/2016) がベスト・セラーとなって、日本でもおなじみの彼女だが、本人の話だと、ライブでラテンものを歌うと会場が楽しげに盛り上がると言うところから、ラテンものは従来から考えていたとのこと。
 満を持して作り上げたアルバムで、なかなかバックにはラテン・ジャズ界の雄オスカー・へルナンデス、そしてトロピカル・ラテンの至宝ドミニカ共和国1957年生れのファン・ルイス・ゲラ(1曲デュエットを展開)といったグラミー賞連中をはじめとするトップ・プレイヤー達が集まり、楽しく演ずるところは、ジャジーでゴージャスな明るいラテン・ワールドとなっている。

(Tracklist)

1.You and the Night and the Music 貴方と夜と音楽と
2.A Taste of Paradise
3.Femme Fatale (Amor Fugaz)
4.Dance With Me (Si Tu No Bailas Conmigo)
5.Time to Dance Cha Cha Cha (Ya Llego La Hora)
6.Yesterday (Como Fue)
7.Island Lullaby
8.I Think of You (Hoy Como Ayer)
9.I Won't Dance
10.Revelations
11.Yesterday I Heard the Rain (Esta tarde Vi Llover)

  とにかく難しいことは抜きにして楽しくラテン・ジャズ・ヴォーカルを楽しんでくださいと言ったスタートは、定番曲 M1."You and the Night and the Music 貴方と夜と音楽と"である。サックス、コンガが響いて明るく一気にラテン・ムードに。
 どちらかというと彼女のヴォーカルは、M2."A Taste of Paradise"のように、中・低音域の歌声が印象深い。
 私はこのM3."Femme Fatale"のようなスローな曲での彼女の味のほうが好きなのでこの曲は歓迎。
 いずれにしても英語で歌っているのは殆ど彼女の作詞らしく、そこまで気合いが入っている。
Juanluisguerra2017w  M4."Dance With Me"は、このアルバムで唯一のファン・ルイス・ゲラ(→)とのデュオ、彼のラテン・ヴォーカルがやっぱりラテン・ムードを盛り上げている。これがアルバム・タイトルになっているメイン曲。
 M5."Time to Dance Cha Cha Cha"バッキング・ヴォーカルと楽しいチャチヤチャだ。
 M6."Yesterday "は、楽天的ではない曲で、むしろ彼女らしい味がある。これもスロー・ナンバー。
 M7."Island Lullaby" 大人のラテン・リズムといった雰囲気で、このアルバムでは中核的曲仕上げ。
 
  まあ肩のこらない力みの無いラテン・ミュージック、バック演奏も南米の猛者連を含む強力な精鋭コンボ体制による本格的なラテン・アルバムと言うが、昔ながらのラテンもの演奏で新しいモノは無い。
 私的には、バラード・コンセプトっぽい語りかけるようなヴォーカルでリラクシング・ムーディーな M8."I Think of You "、 M11."Yesterday I Heard the Rain " あたりがお気に入りであった。

 ヴェテランの風格の彼女の味付けは、このアルバムにもちゃんと感じられ安心して聴いていられる。
 いずれにしても、ラテン特有のダンサブルな展開や、快調なテンポで明るい曲を織り交ぜてのアルバムで、ただでも暗いコロナ渦にあっては、気分転換に良いアルバムであった。

 (評価)
□ 曲・演奏・歌   80/100
□ 録音       80/100

(試聴)

 

| | コメント (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

Audio CLASSIC Progressive ROCK アイオナ アガ・ザリヤン アデル アヤ アレクシス・コール アレッサンドロ・ガラティ アンジェイ・ワイダ アンナ・マリア・ヨペク アンヌ・デュクロ アヴィシャイ・コーエン アーロン・パークス イエス イタリアン・プログレッシブ・ロック イメルダ・メイ イモージェン・ヒープ イリアーヌ・イリアス イーデン・アトウッド ウィズイン・テンプテーション ウォルター・ラング エスビョルン・スヴェンソン エスペン・バルグ エミリー・クレア・バーロウ エミール・ブランドックヴィスト エンリコ・ピエラヌンツィ エヴァ・キャシディ カレン・ソウサ ガブレリア・アンダース キアラ・パンカルディ キャメル キャロル・ウェルスマン キング・クリムゾン キース・ジャレット クィダム クレア・マーティン ケイテイ・メルア ケイト・リード ケティル・ビヨルンスタ コニー・フランシス コリン・バロン ゴンザロ・ルバルカバ サスキア・ブルーイン サラ・ブライトマン サラ・マクラクラン サラ・マッケンジー サンタナ サン・ビービー・トリオ ザーズ シェリル・ベンティーン シゼル・ストーム シネイド・オコナー シモーネ・コップマイヤー ショスタコーヴィチ シーネ・エイ ジェフ・ベック ジャック・ルーシェ ジョバンニ・グイディ ジョバンニ・ミラバッシ ジョルジュ・パッチンスキー スザンヌ・アビュール スティーヴン・ウィルソン スティーヴ・ドブロゴス ステイシー・ケント ステファン・オリヴァ スノーウィ・ホワイト スーザン・トボックマン セリア セルジオ・メンデス ターヤ・トゥルネン ダイアナ・クラール ダイアナ・パントン ダイアン・ハブカ チャンピアン・フルトン チャーリー・ヘイデン ティエリー・ラング ティングヴァル・トリオ ディナ・ディローズ デニース・ドナテッリ デヴィット・ギルモア デヴィル・ドール トルド・グスタフセン ドリーム・シアター ナイトウィッシュ ニコレッタ・セーケ ニッキ・パロット ノーサウンド ハービー・ハンコック パスカル・ラボーレ パトリシア・バーバー ヒラリー・コール ビル・ギャロザース ピアノ・トリオ ピンク・フロイド フェイツ・ウォーニング フランチェスカ・タンドイ フレッド・ハーシュ ブッゲ・ヴェッセルトフト ブラッド・メルドー ヘイリー・ロレン ヘルゲ・リエン ペレス・プラード ホリー・コール ボボ・ステンソン ポーキュパイン・ツリー ポーランド・プログレッシブ・ロック ポール・コゾフ マティアス・アルゴットソン・トリオ マデリン・ペルー マリリオン マルチン・ボシレフスキ マーラー ミケーレ・ディ・トロ ミシェル・ビスチェリア メコン・デルタ メッテ・ジュール メラニー・デ・ビアシオ メロディ・ガルドー モニカ・ボーフォース ユーロピアン・ジャズ ヨアヒム・キューン ヨーナス・ハーヴィスト・トリオ ヨーナ・トイヴァネン ラドカ・トネフ ラーシュ・ダニエルソン ラーシュ・ヤンソン リサ・ヒルトン リッチー・バイラーク リリ・ヘイデン リン・エリエイル リン・スタンリー リヴァーサイド リーヴズ・アイズ ルーマー レシェック・モジュジェル ロジャー・ウォーターズ ロバート・ラカトシュ ロベルト・オルサー ローズマリー・クルーニー ヴォルファート・ブレーデローデ 中西 繁 写真・カメラ 北欧ジャズ 問題書 回顧シリーズ(音楽編) 女性ヴォーカル 女性ヴォーカル(Senior) 女性ヴォーカル(ジャズ2) 女性ヴォーカル(ジャズ3) 寺島靖国 戦争映画の裏側の世界 手塚治虫 文化・芸術 映画・テレビ 時事問題 時代劇映画 波蘭(ポーランド)ジャズ 相原求一朗 私の愛する画家 私の映画史 索引(女性ジャズヴォーカル) 絵画 趣味 雑談 音楽 JAZZ POPULAR ROCK SONYα7