音楽

2018年5月22日 (火)

フレッド・ハーシュ・トリオFred Hersch Trio「LIVE IN EUROPE」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(我が家の庭から・・・エゴノキの花(その2) 満開 )



究極のトリオ演奏に迫る・・・・・・

<Jazz>
Fred Hersch Trio「LIVE IN EUROPE」
PALMETTO-RECORDS / PM2192 / 2018

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Fred Hersch (piano)
John Hébert (bass)
Eric McPherson (drums)

Recorded at Flagey Studio 4, Belgium, Nov.24th,2017


E01948d138494cw_2  最近のフレッド・ハーシュ(1955年Cincinnati/Ohio生まれ)の活躍は、年齢的には還暦過ぎの充実期とは言え、かっての大病からすれば驚くところである。
 昨年9月には彼の・ピアノ・ソロ・アルバム『open book』(PM2186/2017)が同じPALMETTOレーベルからリリースされており、あれは韓国ライブからのものだったが、これは昨年末の2017年11月、ベルギーでレギュラー・トリオによるライブ演奏の録音もの。この時は、3週間に及ぶヨーロッパ・ツアーを行ったようで、その最後から2番目のコンサートを収録したものだという。
 更に彼は今年(2018)になって、ソロ来日もしていて、なかなかその活動性も高いところだ。

 さてこのアルバムは、宣伝紹介では彼の言葉として「ピアノも最高にすばらしいもので、音響もパーフェクトだった」、「いい演奏が出来た“感覚”をもてた日だった」、「自分の演奏だけでなく、トリオのメンバーのジョン・エベール、エリック・マクファーソンの演奏も、最高!このトリオで活動して9 年。今では、3人がいつも完全にイコール(対等)。演奏中はいつも同じ言語をシェアしているけれど、創造性、内容、エネルギーのレベルにおいて、改めて“打たれるものがあった”」と、この9年のキャリアのあるレギュラー・トリオによるこの日の演奏に喜びを持ったようだ。

(Tracklist)
1. We See (Thelonious Monk) 5:51
2. Snape Maltings (Fred Hersch) 7:24
3. Scuttlers (Fred Hersch) 2:39
4. Skipping (Fred Hersch) 4:49
5. Bristol Fog (for John Taylor) (Fred Hersch) 8:26
6. Newklypso (for Sonny Rollins) (Fred Hersch) 8:40
7. The Big Easy (for Tom Piazza) (Fred Hersch) 6:56
8. Miyako (Wayne Shorter) 7:10
9. Black Nile (Wayne Shorter) 6:44
10. Solo Encore: Blue Monk (Thelonious Monk) 5:17

Images

 リストを見ると10曲中6曲がハーシュのオリジナル曲。オープニングのモンクの曲M1.“We See”は軽妙にして跳ねるようなリズムと音の展開、こうゆう曲を聴く方はどう感ずるかだが、トリオ3者の絡み合いは如何にも完璧が要求される。演奏者が楽しんでいる世界だ。
 又M2. "Snape Maltings"もメロディーというよりは、この異様な展開を3者が構築する技量に圧倒される。 ピアノの流れをベース、ドラムスがサポートするというトリオ世界とは完全に別物。
 とにかくこのアルバムは全体的にもかなりの高揚感がある。ハーシュがこうして健康を回復してのトリオの楽しさの心の高まりをエベールとマクファーソンが共有しての世界に昇華している。そして例の如くハーシュのピアノの響きがクリアにして美しい。
 まあ唯一、このトリオとしての深い人生を感ずる演奏に流れたのは、John Taylorに捧げたM5. "Bristol Fog"だ。メロディーの主役がピアノからベース、そしてピアノと展開して8分を越える世界には私の期待を裏切らなかった。ハーシュの美的世界を堪能できる。
 M9." Black Nile "では、ドラム・ソロからスタート。激しさと言うよりは緻密さの感ずるところから始まって、次第に人生の夢をかき立てるところまでトリオの演奏は展開するのだ。

 これは一つの究極のトリオ演奏を示したと言って良い演奏に溢れていた。ハーシュの夢を感ずる回復の姿は、トリオ・メンバーの対等な展開の世界であることを示したものであった。
 まあ、私好みの曲は少々少ないことが残念だが、演奏技量の高さを感じさせて頂いたところに脱帽である。

(評価)
□演奏 : ★★★★★☆ 
□録音 : ★★★★★☆
 

(参考視聴)

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2018年5月18日 (金)

チェット・ベイカーChet Baker & Bill Evans「THE COMPLETE LEGENDARY SESSIONS」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(我が家の庭から・・エゴノキStyrax japonicaの花 D800,90mm,1/125sec,F5.6,ISO1600 )(15,May,2018)


宝物は更なる宝物になれたか・・・・・

<Jazz>
Chet Baker & Bill Evans「THE COMPLETE LEGENDARY SESSIONS」
STATE OF ART RECORDS / Euro / STATE OF ART 81219 / 2018

Legendarysessions

New York 1958-1959
24BIT DIGITALLY REMASTERED / STEREO


Listmembers トランペッター・チェット・ベイカーChet Baker(1929-1988) といえば、とにかく私にとっての名盤は『CHET~ballards by CHET BAKER』(Reverside/RLP12-299/1959)なんですが、Bill Evansとの共演をはじめ、参加メンバーも豪勢でとにかく人気盤。勿論当初はモノラル録音盤であり、それがステレオ盤になり、このところ音質重視で復刻LP盤のリリースも、又リマスター盤ということで近年はCDとしては、Chet Baker/Bill Evans 『Alone Together』 (Jazz Images/Euro/JIM38003/2016)があるのだが・・・・。
 ここに来て『THE COMPLETE LEGENDARY SESSIONS』(←)というものも出ている。かってのReversideの『CHET』なども持ち合わせているのであるが、24ビット・リマスター盤ということと他のセッションの数曲追加の全15曲のアルバムリリースであってのことで買ってみたという訳である。

Img_1 とにかくチェット・ベイカーといえば、悲劇のミュージシャンのレッテルは今日に於いても貼られている。1950年代半ばにおいては、所謂美男子、トランペット演奏も一級、唄も歌えると、時代の寵児とも目され、マイルス・デイヴィスをも凌ぐ人気を誇っていたわけである。
 しかしこのアルバム録音当時の1950年代後半から1960年代にかけてはあのヘロインに耽溺してしまい、その為このドラッグ絡みの事件を数多く起こして、米国はじめ公演先の国でも逮捕されたりしていた上に一時服役もするという状態に陥った。
 更に、1970年にはドラッグ絡みの喧嘩騒ぎで前歯を折られるという事もあったようで、演奏活動を休止したりした。その後復活したが、1975年頃より活動拠点を安堵を求めてか主にヨーロッパに移した。
 そして1988年5月13日、オランダアムステルダムのホテルの窓から転落死、その原因は定かではなく自殺説もある。

 ところでこのCD盤だが、名盤『CHET』 と作曲家チーム、ラーナー& ロウ楽曲集『Chet Baker Plays The Best Of Lerner And Loewe』からの合計14曲のチェット・ベイカー、ビル・エヴァンスの共演セッションを完全収録を売り物に、ボーナス・トラック1曲を加えたもの。

Chetbaker1dragankudjerski さて、問題のこの24BIT DIGITALLY REMASTERED の音であるが、Reversideから数年前にサービス日本盤として出されたCD(MONO/UCCO-99047)と比較してもはっきり言ってそう大きくは音質は高まったとは言えない。シンバルやフルートは右から聴こえてくるようにステレオ化は成されては居り、トランペット、サックスの響きにやや味付けを感じたが、どうもこれは私の期待が大きすぎたのか、そんなに目をみはるような大きな意味は無かった。
 又私のようにBallards好きからして聴いてみると、追加のセッションものはそれ程面白い訳でも無く、これも期待は空振りであった。そうは言ってもこの時代物をこれだけの内容、そして音質向上の努力の結果には敬意を表したい。初めてのこの『CHET』ものを入手するのであれば、当然これをお勧めするところだ。

  と、言うところで・・・・今や無きものに何か期待して新しい感動をつい求めてしまうのは、これぞファン気質というところか?。満足できる新しい発見があれば、それはそれ幸せと言うことだから。

(評価)
□演奏・    :★★★★★
□録音・音質 :★★★★☆

(参考視聴)

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2018年5月15日 (火)

恐ろしや70歳越え(声) 奥村チヨ 卒業アルバム「ありがとう~サイレントムーン」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(我が家の庭から・・・   NikonD800/90mm/PL/May,2018)

歌謡曲の歴史~50年前からの一物語の終焉

日本歌謡曲

奥村チヨ 卒業アルバム「ありがとう~サイレントムーン」
Universal Music / JPN / UPCY-7465 / 2018

Photo

 「サイレントムーン」 奥村チヨ : Vocals
              渡辺なつみ作詞、浜圭介作曲、高橋哲也編曲
 

Cybgk0euqaa4w こうゆうのを話題にするのは慣れない話ですが・・・若い人は当然知らない話で、50年前に「東芝三人娘」というのがありました。それが50年経った訳だから・・・当然彼女らは現在70歳前後なんですね。
 それは小川知子、奥村チヨ、黛ジュン、1960年代後半(かっての東京オリンピック直後の頃)の歌謡曲黄金時代に活躍した三人の女性歌手。東芝音楽工業(現・EMIミュージック・ジャパン)からレコード歌手としてデビューしたこの三人だ。それも現在も健在で活動しているから凄い。

 その奥村チヨ(1947年生まれ)が70歳を過ぎての今年2018年に引退すると言うことで話題になっている。しかも新曲「サイレントムーン」(渡辺なつみ作詩、浜圭介作曲)を歌ってアルバム・リリースしてのことである。
 彼女は、高校三年生の時にCMソングを唄って、東芝の草野浩二の目にとまり、高校卒業してシルビー・バルタンの「私を愛して」のカヴァーからスタート。

Photo_3 「ごめんネ…ジロー」(1965年)「北国の青い空」(1967年)などをヒットさせたのだったが、その「北国の青い空」は、当時エレキ・ギターの全盛期を作ったベンチャーズ(→)が日本でも圧倒的人気があって、これは彼らの作曲した曲で、これを歌いあげた事によって私も一目置くことになった。

 しかし、その彼女のコケティッシュな魅力、小悪魔のようでいて可憐な可愛らしさがあるというイメージから、本人の希望とは裏腹に、レコード会社の戦略もあって「恋の奴隷」を初めに「恋狂い」と「恋泥棒」の「恋三部作」を発表し、圧倒的ヒットを飛ばしたのであった。それにより当然紅白歌合戦にも選ばれたが、メインの曲「恋の奴隷」は、その内容から不適切となって(今じゃ考えられないことだが)、「恋泥棒」を唄ったという話が残っている。
 その後の「中途半端はやめて」など、ヒットはするがそのコケティッシュなイメージは更にエスカレートして、本人はいよいよ納得しないところとなった。

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 そこで1971年12月になって、本人の歌手引退も辞さない強い希望から実現した曲で、自身のコケティッシュ・イメージを脱却した「終着駅」(千家和也作詞、浜圭介作曲)を発表し、これが又販売枚数が40万枚と好評を得た。そしてこれは作曲者の浜圭介にとっても認められた作品で有り、奥村チヨは彼と結婚して、1974年に芸能界の第一線を退いたのだった。
 ・・・・と、考えて見れば昔々のお話しで、なんとそれが1980年になると、ビクターから、「せめてさよならは…」をリリースして歌手活動を再開。1993年に、折からの1960年代ブームに乗って「恋の奴隷」が再ヒットしちゃったんですね。

 更に個性的な歌唱スタイルで1995年にはなんと新曲「パローレ・パローレ」 (岡田冨美子作詞、金野孝作曲)が大ヒット、それは彼女が50歳になろうとしていた時である。若い人からは”唄がうまいあのおばさんは一体誰れ?”と話題沸騰したのは、我々から見るとニンマリする話であった。
 そして2000年には「浮雲」(金野孝作詞、浜圭介作曲)も実力溢るる曲で人気を獲得、いよいよ70歳を過ぎての今年になって、自分でも納得の新曲「サイレントムーン」を得たと言うことで引退宣言となったのだ。それが又この曲、若々しい声で唄いあげていていやはや恐ろしいお婆ちゃんの物語であった。

 そこで今回リリースされた引退記念アルバム(CD+DVD)の内容は以下。話題となった曲の多い彼女の経歴からも収録曲が不十分ということで、巷には若干の不満があるようだが・・・、一枚のCDに納めようとしたらこんなところであろうか。取り敢えず最後の新曲「サイレントムーンSilent Moon」がトップと最後(カラオケ版)に収録。

Co1_2【収録曲】
DISC1(CD)
1.サイレントムーン
2.私を愛して Car tu t'en vas
3.ごめんネ・・・ジロー
4.北国の青い空
5.涙いろの恋
6.恋の奴隷
7.恋泥棒
8.くやしいけれど幸せよ
9.嘘でもいいから
10.中途半端はやめて
11.終着駅`95
12.別離の讃美歌
13.何かありそうな西銀座
14.バスが来たら
15.浮雲
16.サイレントムーン(カラオケ)

DISC2(DVD)
・サイレントムーン(Music Video)
・奥村チヨMemorial Video
・浮雲(Music Video)

(視聴)

① 恋の奴隷

②  終着駅

③  サイレントムーン

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2018年5月12日 (土)

ヨーナス・ハーヴィスト・トリオJoonas Haavisto Trioのニュー・アルバム「Gradation」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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  (我が家の庭から・・・・「モッコウバラ」   NikonD800/90mm/PL/May,2018)


北欧の世界を感じさせるコンテンポラリー・ジャズ

<Jazz>
Joonas Haavisto Trio「Gradation」
BLUE GLEAM / JPN / BG009 / 2018

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Joonas Haavisto : Piano
Antti Lötjönen : double bass
Joonas Riippa : Drums
Recorded December 17-19,2017 at Kallio-Kuninkala Studio, Järvenpää, Finland


 ヨーナス・ハーヴィスト(フィンランド)は北欧気鋭のピアニストだ。その4枚目のトリオ作が日本のBlue GLEAMレーベルからリリースされた。
 前作は日本でも好評の『Okuオク』(BLUE GLEAM/BG007)で、あれから2年ぶりとなる。日本の「奥」の世界をイメージしてのあの深遠なる演奏に再び触れたいと今作にも自ずから期待してしまう。今作は、ヨーナスのトリオ結成12年目の作品となるようだ。
 彼はなんと世界からの好評を受ける中、2017年には、あの名門ピアノ・メーカーのSteinway & Sonsの専属アーティストにもなったようだ。
 今作、収録全8曲(ハーヴィストのオリジナル7曲、トラディショナル1曲)で構成されたアルバムで、今回も何とも北欧の世界を感じさせるアルバムである。


Joonas001trw(Tracklist)
1.  Surge
2.  Moriens
3.  Sitka*
4.  Flight Mode
5.  Sigh
6.  Emigrantvisa
7.  Polar Night (Bonus Track )
8.  At The Dock

All compositions by Joonas Haavisto exept "6"(traditional)
Teemu Viinikainen : guitar (*印)

 過去の様式から一歩前進しての現代感覚で作り上げるジャズ芸術も多様化しているが、彼らのピアノ・トリオのジャンルはコンテンポラリー・ジャズというところに納まるのかも知れない。
 しかし美旋律ものというものではないが、北欧の自然からの美しい印象が流れてくる。新しいセンスのジャズを構築するのだが、所謂アヴァンギャルドという印象も無く、むしろ郷愁を誘うクラシックな深い世界を感じることが出来る。

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 M3. " Sitka"は、アラスカにある都市だそうだが、この曲のみ美しく優しいギターが加わってイメージを変える。それがこのアルバム・・トータルからみて、一つのアクセント効果をもたらしている。
 M4. " Flight Mode"のようにピアノのエネルギーを展開する曲もあるが、スウェーデンのトラッドというM6. " Emigrantvisa"は、なんとなく郷愁を誘うところがあって北欧の自然豊かな世界を想像させるに十分な曲だ。

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  相変わらずこのトリオは、過去に捕らわれない世界に挑戦しつつも、人の心をつかむ技に長けていて、なんとなく引き込まれていってしまう。そんなところが持ち味で、日本的な感覚にもマッチするところがポイントだ。

(評価)
□ 曲・ 演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★★☆

(参考視聴) Joonas Haavisto Trio

 

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2018年5月 8日 (火)

インドラ・リオス・ムーアIndra Rios-Moore「CARRY MY HEART」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(我が家の庭から・・・・NikonD800/90mm/PL/May.2018)


この心は何処まで届くのか・・・・・トランプ出現の落胆

<Jazz, Soul>

Indra Rios-Moore「CARRY MY HEART」
Impulse!/ International / 6722684 / 2018

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Indra Rios-Moore (vo)
Benjamin Traerup (sax)
Thomas Sejthen (b)
Knuth Finsrud (ds)
Samuel Hallkvist (g)

 インドラ・リオス・ムーア(1980-)のImpulse!第2弾。彼女に関しては私は白紙だったが、これも美女狩り得意の友人からの紹介だ。
 彼女は、NY出身で現在バルセロナを拠点に活動する女性シンガーというところだが、、2017年のアメリカの大統領選挙でトランプが選ばれた結果に対し、「あの結果はまるで顔をビンタされたような気持ちになった」というところからのリリース・アルバムという。
 彼女は見ての通り、ラテン・アメリカの血が入った有色人種ということで、当然のこととして”平等な人権”ということにはかなり敏感に生きてきたのであろう事は想像に難くない。

  Indraという名前は ヒンズー教で”天空の戦士”の事だという、彼女は時代を超えた音楽を創造する事、はたまた拘りを超越して戦う意志の表現なのだろうか?。以前にピンク・フロイドの曲”Money”をカヴァーしているところからも社会派であり、しかも今回は選挙後のアメリカ社会の政治的リアリティに関して唄いたいというところからのアルバムであるところが重要なポイントであろう。

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1. Carry my heart
2. Keep on pushing
3. I can see clearly now
4. Any major dude will tell you
5. Give it your best
6. Be mine
7. Don't say goodnight (it's time for love
8. Love walked in
9. Come sunday
10. What you won't do for love
11. I loved you

  アルバム・タイトル曲のM1."Carry my heart"から彼女の美しい歌声が優しく響くが、どことなく哀しみをもった陰影がある。彼女の唄は、ゴスペル、ソウル、R&Bなどがベースなのだろうか。
 2曲目のM2. "Keep on pushing"は、アフリカ系アメリカ人公民権運動の集団のシンボルとしての賛歌として多く唄われるようになったインプレッションズ(1960代を中心に)の曲の一つ。ここでも彼女の意志がみえる。
 ロックと言えども、ジャズやR&Bの因子が見え隠れしたスティーリー・ダンのM4."Any Major Dude"が彼女を刺激した曲のようだ。
 これも、ソウル・バンドのアイズレー・ブラザースのM7."Don't Say Good  Night"
  更に、白人でR&Bやソウルの流れにあったボビー・コールドウェルのM10. "What you won't do for love" のAORのタイプも登場だ。

Indragroup

 こうして聴いてみると、穏やかに彼女の美しい声での訴える唄が多く、バツク演奏陣は静かにそれを支える。特に彼女の夫のBenjamin Traerupのサックスも優しい。強烈に訴えるのでないこんなパターンであるからこそ彼女のトランプ思想への落胆が一層浮かび上がるように聴こえるのだ。
 彼女の年齢からみれば、ちょっと相応しくない”一昔前のアメリカにおける人権運動の流れを感ずる歌”に共感している姿こそ、アメリカにおける苦労の結晶の長い歴史の経過から築かれた大切なものが、トランプによって一瞬にして崩れて行く状況を悲しんでいるように伝わってくるのである。

(評価)
□ 歌、演奏 :  ★★★★★☆
□ 録音       : ★★★★☆

(視聴)

①   "Carry My Heart"

                *          *          *

② "Money/Pink floyd" カヴァー
(これだけソウルフルになった"Money"は・・・作者ロジャー・ウォーターズも驚きだろう)

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2018年5月 4日 (金)

アレッサンドロ・ガラティ・トリオALESSANDRO GALATI TRIO 「Shades of Sounds」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(Nikon D800/90mm/PL/Apr.2018)


ガラティの「メロディー信仰の世界」で描ききった作品
    ~寺島レコード、気合いでリリース~

<Jazz>
ALESSANDRO GALATI TRIO 「Shades of Sounds」
TERASIMA RECORDS / JPN / TYR-1062 / 2018

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Alessandro Galati  : piano
Gabriele Evangelista  : bass
Stefano Tamborrino :  drums

Recorded in Nov. 2017 at Artesuono Studio (Italy)
Recorded, Mixed & Mastered by Stefano Amerio
Producer : 寺島靖国Yasukuni Terashima

 先日このアルバムが到着して、「今年の目玉の一つは遂に手に」と私は感じ取った。1994年のアルバム『TRACTION AVANT』(VVJ007)以来、アレッサンドロ・ガラティ(1966年イタリア・フィレンツェ生まれ)に虜になってしまっている私が、ここに来て今年は彼のアルバムを近年リリースしてきた「澤野工房盤( 『OUTER GOLD, INNER LORD』(AS161) )」と、それに加えてあの寺島靖国が名エンジニアであるステファノ・アメリオの手による録音に興味を持って企画されたこの「寺島レコード盤」と、立て続けに2枚手に入ると言う事になったのである。そんな訳で、この春は私にとっては大変な感動の時となってしまった。
 もともとガラティはイタリアVia Veneto Jazzレーベルからのリリースだが、日本盤としてBLUE GLEAM盤が頑張っていたのだ。ところが、ここに来て澤野工房そして寺島レコードと、今や人気のこの両レーベルが競ってリリースしてくれることは、何に付けても頼もしい話である。

Image_triow そしてアレッサンドロ・ガラティ・トリオは、この現メンバーで落ち着いてますね。ガラティ自身もベースのGabriele Evangelistaには絶対の信頼を置いているし、Stefano Tamborrinoのドラムスの演奏についても”空気をプレイする”と絶賛している。
 それがこのところの『Seals』VVJ090/2014)『On a Sunny Day』(VVJ105/2015)『Cold Sand』 (AS155/2017)などの成功アルバムをリリースしている原点なのかもしれない。

 さて、このアルバムの音に関しては、ステファノ・アメリオの技量を十分に堪能できる。しかもそれには寺島靖国の介入がどこまで具体的にあったかは不明だが、私の聴くところによると見事寺島サウンドの味付けをも感ずることが出来た。そしてそれを聴き分けるには格好のアルバムがある。それは、つい先日リリースされた澤野工房の『OUTER GOLD, INNER LORD』である。こちらも同じガラティ・トリオでアメリオの同じスタジオにおける録音・ミックスであるが、これが若干違うところが面白い。私の気のせいかも知れないが、ドラムスの取り入れが異なっている。この寺島盤ではかなり効果を上げているのだ。
 もう一つ言うならば、さすがガラティのピアノ演奏とアメリオによる録音だ。ピアノの音色が出色の出来だ。寺島靖国の昨年の自慢のアルバム『BALLADS』(TYR-1058/2017)と比較しても、明らかにこちらは格段上の艶のある美しさだ(ピアノは名機Fazioli)。これは、演奏技術、録音技術、ピアノの質による相違であろう・・・この音こそピアノ・トリオの真髄と言いたくなる。

Sqsjfuo4(Tracklist)
1. After You Left
2. Stella By Starlight / Victor Young
3. You'll Walk In The Field
4. Blue In Green / Bill Evans
5. Coracao Vagabundo / Caetano Veioso
6. Andre / Alessandro Galati
7. The Two Lonely People / Bill.Evans
8. Nobody Else But Me / J.Kern , O.Hammerstein
9. Moments Notice / John Coltrane

 収録曲は9曲で、彼のオリジナル曲はM6のみ。Bill Evans、 Victor Young、John Coltraneなど登場するが、
M1とM3は、なんとイスラエルのトラッドということだ。この2曲は当然我々には聴いたことがない曲で、まさに新曲なのである。実は私が思うには、これがこのアルバムの一つのポイントにもなっていると思っている。
  それはまずM1. "After You Left" の抒情性溢れたメロディーとガラティの手によるピアノの哀感の響きはもはや究極のイタリア情感そのものである。これを冒頭に持ってきた寺島靖国のしたたかなこのアルバムの狙いが見えてくる。そしてM3. "You'll Walk In The Field"に置いても、ベースの語りやシンバルの響きが全くこのピアノの哀感を更に盛り上げての描いていて、そこにみる世界は歴史的に流れているイタリアの抒情性の奥深さを感じて聴き入ってしまう。
 M2. "Stella By Starlight"も、この抒情性の流れに完全に同化させ、スローにして哀感をも助長する。
 M4. "Blue In Green"はエヴァンスの色がイタリアのやや湿度のある色に描かれる。ここにもガラティの所以たるところが聴ける。
M6. "Andre"は、ガラティの唯一の曲だが、私をしてかって虜にしたこの曲。これはかなり日本を意識しての彼の美学を再現してくれたのではないだろうか。今回の演奏と録音は、かってのものと比較して、かなりドラムスの効果を上げる録音となって、如何にも三位一体のトリオ作品として聴き取れる。
 リズム感たっぷりのM8. "Nobody Else But Me"M9. "Moments Notice" にしても、やや押さえられた演奏で、ピアノの美しい音が生きていて”優美な印象の世界”に導かれる。

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 とにかくこのアルバムは全体を通して流れはバラード調に仕上げられていて、抒情的、耽美的な流れをしみじみと感じさせる心の奥深いところに響くものになっている。ガラティの繊細な感覚による美旋律家たるところの面目躍如、これはおそらく寺島靖国の目指したアルバムに仕上がったモノと言えると思う。当然私は万歳である。

(評価)
□ 曲、演奏 : ★★★★★
□ 録音    : ★★★★★

(視聴) このニュー・アルバムに関する映像は未だ見当たりませんので・・・

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2018年4月30日 (月)

ポーランドのマテウス・パルゼクMateusz Pałka Trio「SANSA」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(Nikon D800 / 90mm / 22,Apr.2018)

ポーランドの若きトリオによる現代感覚の思索的世界

<Jazz>
Mateusz Pałka Trio「SANSA」
EMME RECORDS / POL / ERL1704 / 2017

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Mateusz Pałka(p)
Piotr Południak(b)
Patryk Dobosz (ds)
Recorded at RecPublica Studios Lubrza, Feb 24-25, 2017

 このアルバム、つい昨年末にリリースされたものだが、どうも思い出せないのが、このポーランドの若きトリオ・アルバムをどうして購入したか?って事なんです。私の一つの興味はポーランドの音楽事情なだが、ジャズばかりでなくロック畑でもなかなかのものに逢える。そんな中でこのアルバムの接点が何であったのか・・・・?、いずれにしても味のある価値あるアルバムにお目にかかったものだ。
 このトリオは、ポーランド南部にある歴史情緒ある町クラクフ出身の新世代ピアニスト、マテウス・パルゼクMateusz Pałka(1993年生まれ)率いるトリオで、これは記念すべきデビュー作だ。若き彼らにしては、なんか意外にも円熟感すら感ずる思索的で叙情性をもったピアノトリオ作品なのである。
 (参考)このクラクフKrakówの町はポーランド王国の首都、中央ヨーロッパの文化の中心地であったところ。ポーランドは第二次世界大戦では壊滅的な打撃を受けたのだが、ここにドイツ軍の司令部が置かれていたため、戦災を逃れた都市。ポーランドの京都みたいなところ。欧州では私の好きな町の一つ。

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(Tracklist)
1.  Godbye Truth And Consequences *
2.  This Is Not A Time For A Barber *
3.  Sansa *
4.  Maia *
5.  I Love You (C.Porter)
6.  Hungry Young Rabbit *
7.  Mantra (P.Poludniak)
8.  Little Gold Man *
9.  Eleven *
      ( *印 Written by Mateusz Pałka)

 主たる曲群はマテウス・パルゼクのオリジナル曲であるが、ただ抒情的メロディーに流れるので無く、現代的なセンスに溢れたアグレッシブな因子に支えられた中での如何にも思索的な世界を築いている。
 聴いていると、あっと言う間に収録51分が流れてしまう。それは展開の変化が複雑なので飽きないのだ。そしてピアノ・トリオといえどもドラムスは奥に引っ込んでいるのでなく、見事に対等に演じている。M6."Hungry Young Rabbit"は展開も早くドラムスの威勢も良いのだが、不思議に聴きやすい。そしていつの間にかピアノがリズムを築く展開へという変化がうまいのだ。
 イタリア的なしっとり感の抒情性と異なって、やや乾いた味の旋律やリズムが抒情的なのである。そしてそこが新鮮なのだ。
 過去のものに捕らわれない自己の道を突き進んでいるようで、そこが若さなのであろうが、曲の出来は見事で新鮮にして革新的であるも、なんとそこには円熟感すら感じてしまう。
 M9.  "Eleven"は、最も静寂感あるところからスタートするが、ピアノの音が美しく響き、三者の音の間のとり方もそれぞれが 築くところがうまく融合して快感の出来。アルバム・タイトル曲のM3. " Sansa"が思索的で出色。
 これからも注目株のトリオである。

(評価)
□ 曲・・演奏:  ★★★★☆
□ 録音    : ★★★★☆

(視聴)

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2018年4月26日 (木)

ヘイリー・ロレンHalie Lorenのニュー・アルバム 「FROM THE WILD SKY」・・・・・・・・(別話題)アレッサンドロ・ガラティ決定盤登場

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ちょっと期待外れのポップ化路線は彼女の原点回帰?

<Jazz, Pop>
Halie Loren 「FROM THE WILD SKY」
Victor Entertaiment / JPN / VICJ-61772 / 2018

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Halie Loren : Lead Vocals, Piano, Ukulele, Harmonium, Clap & Stomp
Produced & Mixed by Troy Miller



 ヘイリー・ロレンHalie Lore(1984年アラスカ生まれ)と言えば、何と言っても、彼女は今やその美貌と作曲能力とヴォーカルの色気で日本ではジャズ・ヴォーカリストとしては人気No1といっても過言では無い。2016年にライブ・アルバムはあったといえ、スタジオ・アルバムとしては、久々のニュー・アルバムだ。
 そしてなんと驚きですね、今作は10曲彼女によって書かれたオリジナル曲集だ。しかも彼女のリード・ヴォーカルは当然だが、ピアノその他の楽器演奏も演じている。又このアルバム・ジャケも今までのアルバムと違いは感じていたが、なんと彼女のアート・ワークとデザインである。こうしてみると、これは完全に彼女がやりたいことをやったというアルバムとみて良いのだろう。
 更に、英国人プロデューサー、トロイ・ミラーをプロデューサーに迎えコンテンポラリーにしてジャジーな因子の強いとは言え、完全なポップ・アルバムなのだ。

 彼女は、14歳でプロとして歌い始め、22歳(2006年)に自作曲を収録する『Full Circle』(White Moon Production)でアルバム・デビュー。そしてその後の2008年のアルバムが日本で2010年に『THEY OUGHTA WRITE A SONG 青い影』(VICJ61618)として発売され、あっと言う間に人気歌手となる。2012年には初の来日公演などにより人気は不動となり、毎年来日している。

11994398243_7fbed37c6d(Tracklist)
1. Roots
2. How to dismantle a life
3. Wild birds
4. Paper man
5. I can't land
6. Well-loved woman
7. Painter's song
8. August moon
9. Noah
10. Wisdom
11.A mi Manera
12. In My Life *
13. Turn Me On *

 (*印:日本盤ボーナス・トラック)

  彼女のライブには、もう毎年の行事になっているコットン・クラブに2回参じたが、披露曲はジャズ・スタンダードが主力。従って今回のアルバムも、てっきりスタンダード・ジャズ・ヴォーカル集と思っていたのだが、このポップ曲には、ちょっと肩すかしを食らった感覚である。

Fullc2 思い起こせば、彼女のオリジナル曲が主体のアルバムというのは、あのデビュー・アルバム『Full Circle』(→)以来かも知れない。そしてあのアルバムの再来と言って良いと言える今作だ。それは12年ぶりの原点回帰ということでもある。
 日本でのヒット『青い影』以来、作られたヘイリー・ロレン像というのは、Jazzy not Jazz路線で、しかもバラード曲が人気を集めているわけであるが、ライブでの彼女の軽快なアクションをみるにつけ、やっぱりジャズというよりはロック寄りに彼女自身は一つの焦点を持っているのかも知れない。そして『Full Circle』同様、彼女の作品集である今作は、ロックから進歩したオルタナティブ・ミュージックであった。しかもあのデビュー作よりはむしろ更に大衆的に解りやすいところのポップ化されたところとなっているのは、若干後退かと残念がるところである。むしろここに至るのであれば、もっとロック、ポップからの異質性・変質性を高めて欲しかっようにも思うのである(その点では『Full Circle』のほうが面白い)。

   ジャズっぽくて、ちょっと面白い曲はM4. "Paper man"あたり。又 M5. "I can't land"は、ややしっとり感もあって楽しめる。M8.."August moon"、M9. "Noah"は、美しいポップ曲 。11番目に登場する”マイ・ウェイ”("A mi Manera")は、スペイン語でのヴォーカルで魅力的、これが一番ヘイリー・ロレンらしい出来。ライブからのビートルズなどのボーナス曲2曲も彼女らしい曲仕上げ。

 まあ今作は、ロックも好きである私にとっては、この手のポップなアルバムも悪くは無いのだが、こうして聴いてみると、やっぱり彼女への期待はジャズ系のヴォーカルにあるのだろうと言うことをあらためて感じたのであった。
 
(評価)
□ 曲・演奏・ヴォーカル: ★★★★☆
□ 録音          : ★★★★☆

(参考視聴) このアルバムとは全く関係ないHalie Lorenをどうぞ・・・

                *          *          *          *          *

[追記]

本日到着・・・・・

ついに寺島レコードからアレッサンドロ・ガラティ・トリオ決定盤登場

Alessandro Galati Trio 「Shades of Sounds」
TERASIMA RECORDS / JPN / TYR-1062 / 2018


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Alessandro Galati  : piano
Gabriele Evangelista  : bass
Stefano Tamborrino :  drums

Recorded, Mixed & Mastered by Stefano Amerio
Producer : 寺島靖国


Shadeslist 待望のアルバム本日到着。美旋律ピアニストのAlessandro Galatiの決定盤だ。
 あの寺島靖国が、気合いを入れてのアルバム・リリース。
 ガラティのオリジナル曲は1曲”Andre”の再録音版。あの私のガラティとの接点が出来た1994年のアルバム『TRACTION AVANT』からの美旋律の名曲。
 録音は名エンジニアのステファノ・アメリオとくるから文句の付けようが無い。ピアノとシンバルそしてベースの響きが抜群。

 評価はじっくり聴いてのここへの再登場により、しっかりしたいと思っている。
 収録曲は右記。
 とにかくスタートの"After You Left"からうっとりである。
 ビル・エヴァンス、ジョン・コルトレーンも登場。
 いずれにせよ、今年No1候補がここに登場した。

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2018年4月22日 (日)

エンリコ・ピエラヌンッィEnrico Pieranunziのドビュッシーへの想い 「Monsieur Claude - A Travel with Claude Debussy」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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  (Nikon D800/ 90mm/19,Apr,2018)



しかし、これはどこか変なアルバムと言ってしまいたい代物

<Jazz>
Enrico Pieranunzi 「Monsieur Claude - A Travel with Claude Debussy」
BONSAI / France / BON180301/2018

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Enrico Pieranunzi(p),
Diego Imbert(b), Andre Ceccarelli(ds)
Featuring: David El Malek(sax-M1,3,6,9), Simona Severini(vo-M4,5,8,11)
Mixed and Mastered by Stefano Amerio

Claude_debussyw あのフランスの作曲家トビュッシーClaude Achille Debussy(1862.8.22-1918.3.25)(←)も今年没後100年なんですね。それにちなんで、なんと注目度も100%のエンリコ・ピエラヌンツィが、ドビュッシーに捧げた作品だ。
  トビュッシーといえば「海」というのがありましたねぇ~、それはそれとして彼の作曲群はクラシック・ファンの中でもそれなりに支持者が多いと思うのだが、私的にはイマイチ夢中になるという感動はなかった。「月の光」とか「亜麻色の髪の乙女」とか聴いたこともあるが、まあ知らない方が多いので、現代ジャズ・ピアノの美旋律最右翼のピエラヌンツィがトリオを中心にして演ずるといことの訳で、興味津々で聴くことになったのである。

(Tracklist)
1.  Bluemantique (d'après Valse Romantique de Claude Debussy) (5:30)
2.  Passepied nouveau (d'après Passepied de Claude Debussy) (4:51)
3.  L'autre ballade (d'après Ballade de Claude Debussy) (5:36)
4.  Romance (Paul Bourget / Claude Debussy) (5:02)
5.  Rêverie (Claude Debussy / arrangement Enrico Pieranunzi) (7:45)
6.  Cheveux (d'après La fille aux cheveux de lin de Claude Debussy) (5:11)
7.  Blues for Claude (Enrico Pieranunzi) (4:28)
8.  Nuit d'étoiles (Théodore de Banville / Claude Debussy) (8:11)
9.  Mr. Golliwogg (d'après Golliwogg's Cake-Walk de Claude Debussy) (5:35)
10.  My Travel with Claude (Enrico Pieranunzi) (2:04)
11.  L'adieu (Guillaume Apollinaire / Enrico Pieranunzi) (6:38)

Ep1w まずは聴いての印象だが・・・・ウーンこれはあまりジャズ・ファンには勧めるものではないなぁ~~。ピアノ・トリオの美しさを前面にと言ったものではないし、そういう中でもM1,3,6,9には、SAXが登場してジャズっぽくなってくれるのだが、どこかしっくりしない。
 M2."Passepied nouveau" は、エンリコ・ピエラヌンツィ(→)らしいピアノが、如何にもクラシック調をベースに聴かせてくれるところは聴きどころと思う。この流れで全編通してくれると、一つの世界を描けたのではと思いつつ、次なる変化に欲求不満になる。
 又、更にM4,5,8,11の4曲は、シモーナ・セヴェリーニの歌をフィーチャーしていますが、ちょっとクラシック・ベースにポップ、フォーク感覚もあったりとして、M8."Nuit d'étoiles"や最後の締めくくりの曲M11. " L'adieu " なんかは発声も充実してなかなか良い出来だと思うのだが、どこか印象がちぐはぐ。一つの曲として聴くにはなかなか完成度も高く魅力もあるのだが、このアルバムとしてどこか不釣り合いと言ったところで終わってしまうところが空しい。
  私がそれでもちょっと注意して聴いたのは、M7. "Blues for Claude"や、M9. "Mr. Golliwogg" のようなピアノ・トリオのやや前進的展開に見るところもあるが、感動というところとはほど遠い。
 M10. "My Travel with Claude" は短い曲だが、ここにみるような、何かを思わせるピアノの響きの世界は嬉しくもなった。このパターンで仕上げて欲しかった思うのである。

 結論的には、私のような中途半端者にとっては、このアルバムの評価は難しく、演奏のレベルは高そうだが、多分これからも聴き込みたいと言うものではなかったというところ。高評価の方が居られれば、その聴きどころとアルバムとしての評価の話を聞かせて頂きたいと思っている。録音は、さすがStefano Amerioで良いです。

(評価)
曲・演奏: ★★★★☆
録音     : ★★★★★

(視聴)

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2018年4月18日 (水)

ホリー・コールHolly Coleのニュー・アルバム 「HOLLY」

[My Photo Album (瞬光残像)]             Spring/2018

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                                              (Yaezakura-NikonD800/90mm/17.Apr.2018)

貫禄十分の味のあるヴォーカル

<Jazz>

Holly Cole 「HOLLY」
Universal Music Canada / Canada / IMT2639822 / 2018

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Holly Cole : Vocals
Larry Goldings : Piano
Wycliffe Gordon : Vocal & Trombone
Ben Street : Bass
Scott Robinson : Sax
Justin Faulkner : Drums
Ed Cherry : Guitar
etc.


 ホリー・コールとしては、いやはや久々のアルバムですね。彼女は1963年生まれですから今年で50歳半ばというところで、貫禄十分のスタンダート・ヴォーカル集である。
  2007年に『HOLLY COLE』KOC-CD-4404)ってアルバムがあり、その後2012年には『NIGHT』(TOCP-71318)があって、それ以来ではないだろうか?、とすると6年ぶりと言うことになる。もともと彼女は低音を駆使して重量感があるのだが、今回はそれにややハスキーとなった歌声が更にヴォリューム・アップして迫ってくる。
 カナダのジャズ・ウォーカリストですから、基本的にはアメリカン・ジャズの流れにあって、そんなムードもしっかり聴かせるアルバムだ。

(Tracklist)
1.  I'm Begining To See The Light
2. Your Mind is on Vacation
3. I was doing All Right
4. It could happen to you
5. Ain't that a kick in the Head
6. Teach me Tonight
7. We've got a world that swings
8. They can't take that away from Me
9. Everybody Loves Somebody Sometime
10. I could write A Book
11. Lazy Afternoon



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M3."I was doing All Right" M10."I could write A Book"では、Wycliffe Gordonの渋いところとのヴォーカル・デュオを聴かせていて、両者の声質がこれまた貫禄十分で圧倒してくる。なかなかアメリカン・ジャズ・ムードをしっかり醸し出している。
 M4."It could happen to you"はソロ・ピアノをバックにしっとりとしたムードで唄い聴かせてくれて最高です、これぞ円熟の境地。私のようなバラード好きにとっては、M6."Teach me Tonight"も、静かに流れるHammond Organに乗っての彼女のヴォーカルに降参です。
 M5."Ain't that a kick in the Head"の軽さも彼女ならではの味がある。これも彼女の魅力の一つだ。
 M9."Everybody Loves Somebody Sometime"は、私にとっても懐かしさいっぱいの曲です。バックのピアノとベースのデュオがこれ又落ち着いた味を出して彼女の歌声とピッタリだ。
 M11. "Lazy Afternoon" このやるせない退廃的なムードのスロー・ナンバーは、締めくくりに十分の充実ぶり。Ed Cherry のギターが聴かせます。

 貫禄十分の彼女は、歳と共に味が増していて久々のアルバム・リリースも成功ですね。今年夏に来日しての公演予定がありますが、その時にはしっかりとその味を魅せてくれるでしょう。1991年の”コーリング・ユー”のヒットから25年はいつの間にかもうそんなに経っているのかと言う感じです。こうして彼女の健在ぶりを喜ぶべきでしょう。

(評価)
□ 演奏、ヴォーカル ★★★★★
□ 録音         ★★★★☆

(参照) ホリー・コール (灰とダイアモンドと月の裏側の世界)

(視聴)

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