リバーサイドのニュー・アルバムRiverside「WASTELAND」
美しさと哀しさと・・・そして不安感と(しかし光明が)
<Progressive Metal Rock>
Riverside「WASTELAND」
INSIDEOUT/ Euro / 19075871852 / 2018
Riverside
Mariusdz Duda : Vocal, Guitar, Bass
Piotr Kozieradzki : drums
Michał Łapaj : Keyboards
久しぶりにロック話。ちょっとサボっていて気恥ずかしい感じだ。しかし期待のRiversideだからと・・・気合いが入る。
しかし今やロックは低調の極みと言っても・・・。社会現象とロックの道に乖離が起きているのだろうか?。若きエネルギーは?、問題意識は?。現代に於いて、60年代からの社会現象としてのロックの道との相違は何なのか・・・・。
Riverside、前作『Love, Fear and the Time Machine』以来の3年ぶりの7thアルバム。今作にかける期待は大きい。それは前作が彼らの方向転換を意味するのか、私にとっては不完全燃焼だったからだ。
このバンドはポーランドが生んだ世界に誇るプログレ・バンドである。あの悲劇を繰り返したポーランドの歴史の中から、現代に彼らが何を得ることが出来たのか、そこに期待を裏切る矛盾を感じ取ってしまった彼らの進むべき道はこれから何処に向かうのか、それは問題意識を持ったバンドが常に問われる道なのである。
しかも結束のメンバーの一人であったギタリストのPiotr Grudzinskiが、2016年2月前作リリース直後に40歳で急死する悲劇がバンドを襲う。それから2年、なんとここに残った3人が、深い悲しみと解散の危機を乗り越えてのアルバム・リリースとなったのである。
まずは印象は、リーダーのMariusz Dudaの描く曲が益々美しくなっていることだ。しかし冒頭M1."THE DAY AFTER"は、アカペラで唄われる悲劇の予感のテーマである。曲の終わりにかけて表現できないほどの暗い不安なテーマが流れる。ここにもともと彼らの持つ不安感と、現実に友を失った悲劇とどうしてもオーバーラップさせて聴くものを沈み込ませる。
M2."ACID RAIN"にその流れは繋がるが、彼らのヘビーなメタリックなサウンドが展開する。ここには彼らのかってのサウンドの復活がイメージ出来る。
M3."VALE OF TEARS"もヘビーではあるが、ヴォーカルは美しく流れる。
中盤から終盤に演じられるアコースティック・ギターをバックにポーランドらしい情緒あふれるな美旋律を取り入れた曲群には、悲哀と優しさと人間的な世界が描かれている。これぞ彼らが発展し獲得してきた一つの姿で有り、更に音楽的にもロック世界を超越して空気感が漂う深遠にも聴こえる普遍的なサウンドを大胆に取り入れたスタイルはプログレッシヴ・ロックの一つの姿として十分堪能できるアルバムに仕上がっている。
しかしアルバム・タイトル曲M8"WASTELAND"は、"荒廃した地"と言う事だろうか、精神的にも文化的にも期待感が持てない世界を描こうとしているのか?。中盤でメタリックなサウンドが出現し次第にやや悲壮感が満ちるサウンドが展開する様が印象的だ。しかしかっての彼らの演ずる救いようのない暗さには至らない。そして終曲M9."THE NIGHT BEFORE"に繋がるのだが、そこには未来志向が覗いている。これが今のRiversideなのだろうか。
かってのアルバムを思い起こすと、ヴォーカルのウェイトも多くなり、非常に聴きやすいアルバム造りに変わってきたというところは、前作からの流れも続いていると言ったところである(私的には若干不満も無いでは無い)。しかし「暗」から少しではあっても「光明」の感じられる結論に導くところは、彼らの今の状態が見えると同時に、上手い手法のアルバム製作であったと結論する。
(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★☆
□ 録音 : ★★★★☆
(My Image Photo)
Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS, PL
(視聴)
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