リッチー・バイラークRichie Beirachの未公開ライブ音源を加えての復刻盤 「INBORN」
マイケル・ブレッカー、ジョン・アバークロンビーに捧げるアルバム
Michael Brecker :2007年1月13日 白血病のため死去、57歳。
John Abercrombie: 2017年8月22日 心不全により死去、73歳。
<Jazz>
Richie Beirach 「INBORN」
Jazzline Records / IMPORT / N77049 / 2018
Recorded April 17 & 18 1989 at Clinton Recording Studios, New York City
Richie Beirach (piano)
Randy Brecker (trumpet, flugelhorn on CD1-1,2,4,6,7,8,CD2-1,2,7)
Michael Brecker (tenor saxophone on CD1-3,5,CD2-3,5)
John Scofield (guitar on CD1-1,4,8,CD2-2,7)
George Mraz (bass except CD2-1)
Adam Nussbaum (drums except CD1-3,5,CD2-1,3,5)
1989年4月NYで吹き込まれリリースされたリッチー・バイラークのチェット・ベイカーのトリビュート・アルバム『Some Other Time - A Tribute To Chet Baker』(Triloka原盤)(→)に、同じ顔ぶれによる当時の未発表のライヴ音源を加えて2枚組としての充実再発版。これは80年代のジャズ界華々しい時のアルバムで、やはり耽美派ロマンチストのアルバムとして人気を博したもの。ただ私はリッチー・バイラークはトリオもの又はソロ・ピアノのアルバムが中心だった為、手にしてなかったので当然今回飛びついたのであった。
上のメンバーにみるようにランディ・ブレッカー、マイケル・ブレッカー、ジョン・スコフィールド、ジョージ・ムラーツ、アダム・ナスボームと組んだセクステット構成だが、曲によって変わる変動的コンポもの(下のList参照)。
CD-2のStudio版は、リッチーのオーソドックなピアノ・トリオ(piano,bass & drums)やマイケルとのデュオ(piano, sax)などでそのリリシズムはしっとりと味わえる。
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■ [CD2]は、かってリリースされたアルバムの再発なのだが、バイラーク主導型の曲展開にランディのトランペット、マイケルのサックスが、朗々と歌いあげるバラード・プレイによって抒情的にして哀愁感のある曲に仕上げられている。 バイラークの名曲"Sunday Song"などもマイケルのサックスは見事にバイラーク流にあわせてのバラード演奏で十分に楽しませてくれる。この曲は私にとっては、24年前に来日ソロ・ライブの最後に聴かせてもらった曲で、感動モノなのである。
更に"Some Other Time "も、そのエヴァンス流がしっかり味わえるバイラークの世界の出来である。
■[CD1]は、今回初公開のようだが、スタジオ版とは対照的に、この連中と言ったら叱られそうだが、当時のジャズ・メンの典型的スタイルをセクステットでお互い絶好調と言わんばかしにたたき込んで来て、バイラークのピアノもリリシズムを返上してアグレシッシブに迎え撃つ、この様はそれまでのニュー・ヨーク・ジャズが如何に盛り上がっていたかが窺い知れる演奏が聴ける。
アルバム・タイトルの"Inborn"は、両方に収録されているが、この曲はバイラークらしい秘めたるロマンチィシズムと、ジャズの展開の楽しさとを両面持っている曲でマイケルのサックスがここでもバイラークのピアノに歩調を合わせつつ、だがしっかりと自己主張もしていて、トリビュートとしての選択は的確な曲である。
このリリシズムたっぷりのスタジオ版が、ライブ版で知ることが出来るこんなジャズ・スピリット満開で演奏するセクステットの中で作り上げられた事に驚きながら感動できて、この2枚組構成は見事に成功している。まさにジャズ界トリビュート版といっても良い仕上げであった。
(評価)
□曲・演奏 ★★★★★
□録音 ★★★★☆
(参考視聴)
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