ピアノ・トリオ

2018年12月13日 (木)

寺島靖国プレゼンツ「For Jazz Audio Fans Only~ Vol.11」

今回もサウンド・演奏に充実感に浸れる

<Jazz>
Yasukuni Terashima Presents
「For Jazz Audio Fans Only~ Vol.11」

TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1074 / 2018

Forjazzfans

 オーディオ・ファンに向けたコンピレーション「For Jazz Audio Fans Only」の第11巻が登場した。ジャズを聴くにはまずそのサウンドが良くないと納得しないと言う寺島靖国の選曲シリーズだ。なにしろ「ジャズは音で聴け!」のコンセプトの下に集められたもので、なるほどと思わせるに十分だ。私もその傾向にあるといえば・・・・そうかも知れない。なんと言っても昔の録音の名演奏シリーズも音にがっかりしてしまうことは何度も経験している。そんな中でこのような企画はこれからのCD製作に良い刺激を与えていることは間違いないだろう。
 今回はそう有名で無いミュージシャンものが多いと思うが、それが私にとっては良い発掘の場ともなっていて楽しみなのである。

(Tracklist)
1 OLD CITY (LOUIS PERDOMO)
2 BALLAD FOR L (MARIO NAPPI TRIO)
3 INTERLUDE (FABIAN MEYER TRIO)
4 DJANGO (CLAUDIO FILIPPINI TRIO)
5 ULTIMO GIORNO IN VIA PALAZZI (MICHELE DI TORO TRIO)
6 AUTUMN LEAVES (SWEET BABY J'AI)
7 WHERE OR WHEN (THE LYNNE ARRIALE TRIO)
8 ILTER FABEL (MAKIKO HIRABAYASHI TRIO)
9 WHEN THE DAY IS YOUNG (STEPHAN BECKER TRIO)
10 SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE (SILVES TRIO)
11 LONGING (EMIL BRANDQVIST TRIO)
12 MISS (ALEXI TUOMARILA TRIO)
13 NO REGRETS (SIMON DENIZART TRIO)

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**今回も圧倒的にトリオものが多い。まぁ私のようにビック・バンドを好まない人間にとっては、これ又歓迎である。

  そしてまずの注目株は2曲目の”BALLAD FOR L”のイタリアの若武者マリオ・ナッピ・トリオMARIO NAPPI TRIOだ。これがなかなかのくせ者。アルバム『Triology Vol.2』からの曲が取りあげられた。彼らはなかなか一筋縄では行かないアグレッシブな世界を築く。そしてそれに相応しいトリオ対等の録音位置にありシンバルも冴える。
 次の注目はM4 "DJANGO" (アルバム『THE ENCHANTED GARDEN』上左)のクラウディオ・フィリッピーニ・トリオCLAUDIO FILIPPINI TRIO、イタリアのトリオだ。このトリオを知っただけでも十分このアルバムを手に入れた成果はある。とにかくピアノが素晴らしい上にドラムスはどちらかというと繊細派、ベースは意外にリード派だ。エンリコ・ピエラヌンツィが才能を認知しているトリオである。そう言えば押して知るべしと言った所。
  M6 "AUTUMN LEAVES" ベースとSWEET BABY J'AIのヴォーカルが低音で迫ってくる。
 M9 "WHEN THE DAY IS YOUNG" (STEPHAN BECKER TRIO、アルバム『Solar Energy』上中央)が録音が素晴らしくピアノが冴える。演奏も思索的で素晴らしい。
 M11 "LONGING" (EMIL BRANDQVIST TRIO)あたりは優しく美しくで気持ちが良い。
 M12 "MISS"は、先日ここで取りあげたALEXI TUOMARILA TRIOで、絶妙なピアノ・プレイが聴き応え十分(アルバム『Seven Hills』より、上右)。

 こんな調子で、なかなか今回のこのコンピ・アルバムは充実感があります。まあ年に一回のリリース・ペースで、あまり第一線の注目盤は避けているようで、その為若干古いリリースものもありましたが、私にとっては意外に新鮮で面白かった。
 

(試聴)

① CLAUDIO FILIPPINI TRIO

           *

② STEPHAN BECKER TRIO

                     *

③  ALEXI TOUMARILA TRIO

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2018年12月 9日 (日)

ラーシュ・ヤンソンのニュー・アルバム Lars Jansson Trio 「JUST THIS」

端麗なピアノ・タッチは緩急・メリハリの効いたメロディーに乗って

<Jazz>
Lars Jansson Trio 「JUST THIS」
Spice of Life / JPN / SOLSV41 / 2018

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Lars Jansson ラーシュ・ヤンソン (piano)
Thomas Fonnesbaek トーマス・フォネスベック (bass)
Paul Svanberg ポール・スヴァンベリー (drums)

 スウェーデン抒情派ピアノのベテラン・ラーシュ・ヤンソンLars Jansson (1951年スウェーデンのオーレブロ生まれ)の、レギュラー・トリオによる全曲13曲をオリジナルで構成したアルバムの登場だ。2015年の『Facing The Wall』(SV-0033/2015)以来3年ぶりとなる。
 前回ここで取りあげたのは2年前のセルフ・カヴァー・アルバム『More Human』(SOLSV-00371/2016)だったが、あのアルバムからは、人間性が溢れていたところにどっぷりと浸かることが出来たが、さてこのオリジナル曲集は?と興味の湧くところである。

20170720_210108trw 少し難題にはなるが、タイトルの「Just This」は彼の探求する禅の心「ビギナーズ・マインド “初心”」の見地から生まれたと説明されている。全13曲には全てが彼の人生への深い想いと彼自身の心の反映されたものとして受け入れられているが・・・・。
 更に、このアルバムをレコーデイングする直前に夫人のクリスティーナの重篤な病気という精神的に苦悩する中での作品作りとなったものと言うことで、彼の持ち前の人間性の表現がここにありと言う世界のようだ。

 ”その追い込まれた精神の中で葛藤する彼のピアノは今まで以上に人間味溢れ極めて説得力のある力強いものになっている”と評価されているが・・・・。
 ヤンソンの言うところよると「人生の全てを受け入れるということは簡単なことではない。しかし現在を見つめ完全に自分を没頭させること、Just This。」と・・・・。

(Tracklist)
01. ジャスト・ジス / Just This
02. ピュア・センセイション / Pure Sensation
03. ワルツ・フォー・ビル / Waltz For Bill
04. レシーヴィング / Receiving
05. ボーヒュースレン / Bohuslan
06. ムスタファ / Mustapha
07. インティメイト・トーク / Intimate Talk
08. チェリッシュド / Cherished
09. ターン・ザ・ホール・シング・アップサイド・ダウン / Turn The Whole Thing Upside Down
10. ノー・パーパス / No Purpose
11. セイフ・トリップ / Safe Trip
12. アナッタ/ Anatta
13. トゥー・ハヴ・オア・トゥー・ビー/ To Have Or To Be

(all tracks composed and arranged by Lars Jansson)


Larsjansson01 スタートからアルバム・タイトル曲M01."Just This"が登場するが、なるほどヤンソンの陰影の感じられない家族愛的優しいメロディーが流れる。
 M02."Pure Sensation"やビル・エヴァンスに捧げたと言うM03."Waltz For Bill"は、ややアップ・テンポに展開する曲。しかし意外に印象に残らない、それは難点らしいところが無いのだ。これが実はヤンソンの演ずる曲の一つの特徴であるように思う。
 M04."Receiving"は、彼の技巧の妙による流れの魅力的な曲。
 中盤には、トリオとしての三者の技量の交錯が聴きどろの数曲が展開する。
 M10."No Purpose"M12. "Anatta"は、彼らしい心に落ち着きと安らぎを与えてくれる。
 最後のM13."To Have Or To Be"は、締めくくりに相応しいどこか愛情のあるバラッド。

  相変わらず彼の持ち味どおりで、難解な展開にはならない。やはり「ピアノ・トリオの教科書」的安定感があり、安心して聴いていられるピアノ・トリオ世界だ。そこがヤンソンの特徴だろうと思うが、聴き終わって”これだ!”というインパクトがない。逆にそうしたところが魅力なのかも知れないが、私にとってはどこか”毒”とまでは言わないが、そんな刺激がないところがちょっと寂しいのである。
 

(評価)
□曲・演奏 ★★★★☆
□録音   ★★★★☆

(試聴)

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2018年11月27日 (火)

ジョバンニ・ミラバッシのニュー・アルバム GIOVANNI MIRABASSI TRIO 「SUMMER'S GONE」

ロマンティック・メロディストの世界は抒情的にして流麗な世界

<Jazz>
GIOVANNI MIRABASSI TRIO 「SUMMER'S GONE」
CAMJAZZ / Import / CAMJ 7938-2 / 2018
Summersgone
Giovanni Mirabassi (piano)
Gianluca Renzi (bass except 5,7,10,12)
Lukmil Perez (drums except 5,7,10,12)
Recording & Mixing Engineer : Stefano Amerio
Recorded at Artesuono Recording Studio in Nov. 2016
 イタリア人であるがパリで活躍しているピアニスト:ジョバンニ・ミラバッシGiovanni Mirabassiの久々のトリオ・アルバム(CamJazz第4弾)。前トリオ・アルバムは、ジブリ・アニメの大ファンだと公言し製作したジブリ曲集でもある『Animessiアニメッシ』(2013)であったが、どうも過去のアルバムと比して若干魅力は失せていた。そしてあれから既に4年半を経過してしまったんですね。
 むしろ昨年のCamJazzからのソロ・アルバム『LIVE IN GERMANY』 が私にとっては魅力を感じたところだ。

 今回の中身は全12曲中11曲がミラバッシのオリジナル曲というところが注目点。しかも彼のピアノ・ソロ曲も挿入されている。とにかくミラバッシとくれば2001年の『AVANTI!』(2001)が強力で、全てあのアルバムと比較して聴いてしまうと言う私である。あのようなソロによるものと、このトリオでは若干意味合いは異なっても、やはり彼の独特な抒情派で有りながらどこかコンテンポラリーなところがあり、又緊張感のある硬質な切れ味を加味してのメロデッックに聴かせるところが大きな魅力である。そんな意味でも待ちに待ったトリオ作品だ。
 更にレコーディング・ミキシング・エンジニアがステファノ・アメリオというところも聴きどころである。
42518634trw(Tracklist)
01. Requiem For N. F. (6:04)
02. A Dirty Job (5:02)
03. Le Voyage De Yui (3:52)
04. Quasi Quasi (5:04)
05. Ausencias (solo piano) (Astor Piazzolia)(8:08)
06. La Mélodie Du Désastre (4:32)
07. Impro 1 (solo piano) (1:06)
08. Summer's Gone (6:41)
09. My Corean Heart (4:55)
10. Impro 2 (solo piano) (0:51)
11. Nana Nana Nana (777) (5:45)
12. Valentina (solo piano) (3:01)


 考えてみるとこのアルバムは、ミラバッシのオリジナル曲集であることが、久しぶりと言うか珍しい部類に入るので、興味は津々というところであった。冒頭のM1." Requiem For N. F"から透明感のあるピアノの響きが止めなく流れ、ベース、ドラムスが快調に展開する。いっや~ミラバッシ世界が始まったなぁ~と嬉しくなる。
   M3." Le Voyage De Yui"
は、彼独特のコンテンポラリーなフリー・ジャズっぽい演奏もしてみせる。そしてそれが良いアクセントになっている。
 .そして皮肉にもこのアルバムの中では、私の場合彼がソロ・ピアノで演じたM5."Ausencias" (唯一彼のオリジナルでないPiazzoliaのカヴァー曲)が、一番お気に入りの曲になってしまった。つまりそれ程彼のソロで演ずるピアノの音は多彩でリリカルにして美しく、まさに宙を舞うが如くの展開に惚れ惚れとしてしまうのである。
*
Trio

 だからと言って、トリオ演奏が劣るわけで無く素晴らしい。特にアルバム・タイトル曲であるM08." Summer's Gone"が心を引きつける。ここにはロマンティック・メロディストの面目躍如なるミラバッシのピアノの音が澄みわたって美しく響き、しかも詩情をたっぷりと感じるところを演じてくれる。
 そしてアメリオの録音は、ピアノ・トリオとは言え、けっしてベース、ドラムスをないがしろにしない。三者をものの見事に配置する。従ってドラムス、シンバルの音も冴え渡り、ベースも心地よく響き、そんな中で、ミラバッシのピアノが非常に多くの音を多彩に演ずる。ふとピアノ・ソロ演奏かと思わせるところがあるくらいだが、ベース、ドラムスの二者はスパイスと高揚感を持たせてくれる役目は十分に果たしてくれる。

 とにかくミラバッシの抒情的で流麗な演奏は、如何にも独特の世界であって、どの曲を聴いてもその美しさに圧倒される。それはイタリア人の歌心なのか、ピアノで演ずる端麗美と詩情と多彩な音により構築するメロディーには彼以外の何物でも無いと聴けばすぐ解るところにある。
 久々にミラバッシのトリオ盤を手にしてご機嫌なのである。
(評価)
□曲・演奏 : ★★★★★☆ 
□録音   : ★★★★★
(参考視聴) 今回のニュー・アルバム映像はまだ見当たらないので、過去のものを・・
 

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2018年11月 9日 (金)

アレクシ・トゥマリラ・ピアノ・トリオAlexi Tuomarila Trio 「Kingdom」

ブラッド・メルドーお墨付きのピアノ・トリオ

<Jazz>
Alexi Tuomarila  Mats Eilertsen  Olavi Louhivuori
「Kingdom」

EDITION / ADN 1090 / 2017

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Alexi Tuomarila (アレクシ・トゥオマリラ, piano)
Mats Eilertsen (マッツ・ アイレットセン, bass)
Olavi Louhivuori (オラヴィ・ロウヒヴオリ, drums)

Recorded on 5th December 2017 at K.K.Studio, Finnland
Produced by Alexi Tuomarila
Executive Producer: Dave Stapleton

15977464_1382560951794505_296827606 このピアノ・トリオは初聴きである。この秋、日本ライブが行われて知るに至った。
 ピアニストアレクシ・トゥオマリアAlexi Tuomarila、1974年-)は、Brad Mehldauが絶賛しているというだけあって、なかなかのピアノ・テクニシャン。又ミュージック・パターンもメルドーに一脈通ずるところもある。
 彼は、フィンランドのジャズピアニストだ。クラシック・ピアノを始め、20歳からブリュッセル王立音楽院へと留学しナタリー・ロリエなどに従事した。在学中に自己名義のアレクシ・トゥオマリア・カルテットを結成し、1999年にベルギーのHoeilaartで開催された国際ジャズ祭で最優秀賞に選ばれているとか(アルバムは、二枚リリースされている。末尾Discograpgy参照)。
 ジャズ界の新生と言えば新生だが、既にその後トリオによるアルバムもリリースし、5枚のアルバムが認められる。又賞の受賞もあって年齢的にも円熟のときを迎えていると思う。

(Tracklist)
1. The Sun Hillock (Alexi Tuomarila)
2. Rytter (Mats Eilertsen)
3. The Girl in a Stetson Hat (Alexi Tuomarila)
4. Vagabond (Alexi Tuomarila)
5. The times they are a-changin’ (Bob Dylan)
6. Shadows (Olavi Louhivuori)
7. Aalto (Alexi Tuomarila)
8. Bruin Bay (Alexi Tuomarila)
9. White Waters (Olavi Louhivuori)


 曲は上記の如く、M5は、Bob Dylanの曲で、ほかの8曲はトリオ・メンバーのオリジナル(リーダーのトゥマリラは5曲)である。
 トゥオマリラのピアノ演奏内容は、コンテンポラリーな面と、一方クラシックに通ずる面との混在で、なかなか面白い。ありきたりのジャズは既に超越していてレベルは高い。
 又ポーランドのベテラン名トランペッター・トマシュ・スタンコTomasz Stankoの下で研鑽を積んでいて、そのせいか演奏も中身は濃い。
 このトリオは、メンバーそれぞれが個性を持って演奏するなかなか一筋ならないトリオであり、しかしそのコミュニケーションは素晴らしくお互いが上手く通じ合ってのことであろう、それぞれの存在が録音も良くベースの弱音やドラムスのシンバルの音も明解に解るが、決して乱れては居ない。そのあたりが敬服してしまうところ。

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 M2. "Rytter"の流れは、アイレットセンがアルコ奏法をもみせるなか、三者の流れの統一感と盛り上がりは納得もの。
 ただユーロ独特の抒情性溢れるメロディーが心に浸みるというタイプでなく、それぞれ及び三者一体の技量の濃さが聴く者に迫ってくると言うタイプで、プロ好み。M4."Vagabond"やM8. "Bruin Bay"の後半は少々難解である。こんなところは、今まで一般受けはもう一つといったところのポイントか。
 私は結構M9."White Waters"は、北欧的世界を頭に描くことが出来、又フィロソフィーも感じられて評価は高い。

<Alexi Tuomarila Discography>
▼Alexi Tuomarila Quartet
2001: Voices Of Pohjola (Igloo - IGL 158)
2003: 02 (Finlandia Records, Warner Jazz - 0927-49148-2)

▼Alexi Tuomarila Trio (Mats Eilertsen, Olavi Louhivuori)
2006: Constellation (Jazzaway Records - JARCD 030)
2013:  Seven Hills (Edition Records - EDN1041)
2017:  Kingdom (Edition Records - EDN1090)

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★★☆

(参考視聴)

**

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2018年10月29日 (月)

聴き落としていたアルバム(5) ~ ビル・キャロザースBill Carrothers 「CASTAWAYS」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

内省的な抒情性が支配するピアノ・トリオ盤

<Jazz>

Bill Carrothers 「CASTAWAYS」
PIROUET / Germany / PIT3067 / 2012

Castaways

Bill Carrothers (p)
Drew Gress (b)
Dre Pallemaerts (d)
All Tunes by Bill Carrothers except "Siciliano"by J.S.Bach

List ビル・キャロザースのピアノの響きは何処か内省的というか、心に訴えてくると言うか、そんなところが魅力である。
 名盤と言われるアルバムBill Carrothers 『After Hours Volume 4』 (Go Jazz Records/GO 6037 2)や、Dave King with Bill Carrothers『I've been ringing you』 (Sunnyside Communications/SCC 1336)を聴いての感動により、もう少し更にというところで2012年リリースのこのアルバムに手を付けてみたのである。

 このアルバムは先日取りあげたDave Kingのアルバム『I've been ringing you』と期を一にして同年のリリース。こちらは彼のリーダー・ピアノ・トリオものである。  これが又期待を裏切らない。

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 M2."Siciliano" 、このアルバムでは唯一カヴァーでJ.S.Bachの曲だ(BWV1053)。これがピアノ・ソロの美旋律で始まり、それを支えるが如くのブラシによるドラムス・プレイ、更にベースも美しい情景を奏でる。この抒情的美しさは素晴らしい。これが彼の真髄でもある。
 そしてそれはM5."Araby"も同様に非常に内省的とも言える世界が美しく展開する。
 M3."Trees"は、トリオそれぞれがゆったりとした演奏で、その音の余韻を生かしての美が漂う曲。
 又"Scottish Suite"は、まさにクラシックの延長線上にある感覚で、ジャズを織り込みながらもそれを超越した感覚になる組曲。

                           *         

 とにかくピアニスト Bill Carrothersが、Drew Gress(b)とDre Palleamaerts(ds)のメンバーをそろえて自己の世界を思うがままに演じたアルバムという印象だ。そこには彼独特の内省的とも言える世界が聴く者に共感を呼ぶが如く構築されている。
  私のお気に入りはM2."Siciliano"あった。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆

(My Image Photo)

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Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS,  PL

(試聴)

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2018年10月17日 (水)

聴き落としていたアルバム(4)~デイブ・キングDave King Trio「I've been ringing you 」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

まさにミステリアスな深遠な世界だ!!

<Jazz>
Dave King with Bill Carrothers & Billy Peterson
「I've been ringing you 」

Sunnyside / USA / SSC1336 / 2012


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Dave King (ds cymbals & waterphone on "goodbye")
Bill Carrothers (p)
Billy Peterson (b)

 THE BAD PLUSそして HAPPY APPLEのドラマーであるデイブ・キングが結成したピアノ・トリオ"Dave King Trio" のアルバムだ。
  既にリリースしてから数年経ているが、今年リリースされた寺島靖国のコンピュレーション・アルバム『For Jazz Drumms Fans Only Vol.2』(Terashima Records/TYR-1068/2018)に取りあげられ私は注目した。今更ながらアルバム全編を聴いて感動している。

800pxdave_king_drummer2 デイブ・キングDavid(Dave) King(→)は、ミネアポリス出身の1970年生まれで、目下ミュージシャンとしては脂がのっている。フリー・ジャズの激しさを持つThe Bad Plus (with Reid Anderson and Ethan Iverson)のトラマーとして彼は名を知らしめている。


(Tracklist)
1 goodbye
2 lonely woman
3 so in love
4 autumn serenade
5 if i should lose you
6 people will say we’re in love
7 this nearly was mine
8 i’ve been ringing you

 このアルバム、USAと言えどもなんとECM風というか、まさにユーロ系が得意とすやや暗めにして、哲学的に迫ってくる世界を持っている演奏なのだ。それはミステリアスであるにも関わらず、しかも不思議な安らぎ感を生むという私にとってはたまらない一枚。
Billcarrothers2w この重要因子は、以前にもここで取りあげたことのあるピアニストのビル・キャロザースBill Carrothers(→)による効果も大きいと踏んでいるが、収録曲目はスタンダードが中心であるが、その描き方には驚異を感ずるのである。

  M1 "goodbye" はっきり言えば、完全に私の好みの方に期待を裏切ってくれた。デイブのドラムスがドスンと来るかと思いきや、優しいブラシ奏法に、ピアノ、ベースが静かに十分間をとって余韻を残しての演奏よる静かな水面を描くがごとき深遠な世界。
  M3. " so in love" Cole Porterの曲だが、スタートはドラムスの音で始まるも、ややスローに展開し、ここまで心に深く染み込む演奏も希有である。
 M4. "autumn serenade"は如何にもこの初秋にぴったりの気分を描いてくれる。
 M6. "people will say we’re in love"が唯一やや激しさのドラムスが響くが、このアルバムの頂点ともなる役を果たし、メリハリをつけての快演。

 驚きは、Bad Plusの”破壊的ドラマー”と言われるデイブ・キングが、ピアノにビル・キャロザース、ベースにビリー・ピーターソンというトリオを構成したのは、如何にして何を目指して結合したのか解らないのだが、ここまで意気投合してミステリアスにして深遠、哲学的世界を描くに至るのか、その過程には興味を抱かざるを得ない程である。
 いずれにしてもビル・キャロザース効果は絶大であること、そして録音もリアルで楽しめる。いっやー、しかし良いアルバムに出会ったものだ。完全に私のお気に入りアルバムに登録だ。

(参考) (ネットにみる紹介文)
David King (born June 8, 1970) is an American drummer and composer from Minneapolis. He is known for being a founding member of the jazz groups The Bad Plus (with Reid Anderson and Ethan Iverson) and Happy Apple (with Michael Lewis and Erik Fratzke) although he is active in many other projects including free jazz collective Buffalo Collision with NYC "Downtown" musicians Tim Berne and Hank Roberts and the electronic art/pop group Halloween Alaska as well as the noise/prog band The Gang Font with former Hüsker Dü bassist Greg Norton.            

(評価)
□ 演奏 ★★★★★
□ 録音 ★★★★★☆

(My Image Photo)
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Sony ILCE-7M3,  Zeiss Vario-Tessar FE 4/16-35 ZA OSS, PL

(視聴)

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2018年10月 7日 (日)

シャイ・マエストロ Shai Maestro Trio 「The Dream Thief」

流麗なメロディ中に内省的思考が支配

<Jazz>
Shai Maestro Trio 「The Dream Thief」

ECM / Ger / ECM2616 / 2018

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Shai Maestro (p)
Jorge Roeder (double-bass)
Ofri Nehemya (ds)

Prodused by Manfred Eicher
Recorded April 2018
Engineer : Stefano Amerio

 イスラエル出身の今や人気のベーシスト・アヴィシャイ・コーエンのバンドでの活躍で知ることになった若きピアニストのシャイ・マエストロ、イスラエル・ジャズ界に貴重な位置にある話題の才能あふれる彼の初のECM作品だ。
 イスラエルは中東パレスチナに位置し、ユダヤ人が3/4を締めていてユダヤ教が主流だが、イスラム、キリストも混在し文化は複雑。近年ジャズ界への進出も注目されている。
 プロデューサーのECMアイヒャーとのレコーディングに初めてマエストロが自己のトリオで臨んで出来上がった注目作(↓トリオとアイヒャーの録音風景)。メンバーはペルー人ベーシストJorge Roeder(7年間ずっと一緒だとか)と、新たにイスラエル人のドラマーOfri Nehemyaを迎えてのトリオ。

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Shaimaestrow [シャイ・マエストロShai Maestro]は、1987年、イスラエル生まれのジャズ・ピアニスト。5歳からクラシック・ピアノを始め、なんと8歳でジャズに開眼したという。テルマ・イェリン国立芸術高等学校でジャズとクラシックを学び、バークリー音楽大学のスカラーシップを得て、4年間ジャズ・ピアノやコンポジション、民族音楽論などを学ぶ。2006年からニューヨークでのイスラエル・ジャズ・シーンを牽引する私の好きなアヴィシャイ・コーエン(b)のグループに参加し(アルバム  『Gently Disturbed』(Sunnyside/4607/2008)『SEVEN SEAS』(BlueNote/TOCJ90070/2011)など)、一般に認知される。
 2013年12月の『The Road to Ithaca』(AGIP3526)に続き、2015年5月に3rdリーダー作『UNTOLD STORIES』(AGIP3526)をリリースしている。

(Tracklist)
1.My Second Childhood
2.The Forgotten Village *
3.The Dream Thief *
4.A Moon's Tale *
5.Lifeline *
6.Choral *
7.New River, New Water *
8.These Foolish Things (Remind Me Of You)
9.What Else Needs to Happen *


Smtriow

 収録曲は、マエストロのオリジナルの7曲(*印)が中心である。彼のソロ・ピアノ楽曲も収録されている。

 M1."My Second Childhood"はイスラエルのシンガーソングライターMatti Caspiの曲だそうで、マエストロが子供のころから大好きで、体に染み付いている曲だそうだ。ピアノ・ソロで描く内に秘めた心のその叙情性は見事である。
  M2."The Forgotten Village" 静かに刻むベースとドラムスの音に乗って、ピアノが優しく描く美旋律。全くの内省的異色のトリオ世界。
  M3."The Dream Thief"夢泥棒"という事ことだろうか?、後半見事に疾走し三者の交錯・振動が流れるのだが、そんな中でもどこか思索的なところが不思議という曲。アルバム・タイトル曲だ。
  M4."A Moon's Tale" これも静かなピアノから始まるが、突然ピアノの重低音、そして再び静かにメロディーが流れる。そこにはやはり危機感は無くむしろ安堵の世界。
 M6."Choral" 優しく美しいピアノ・ソロ。
 M7."New River, New Water"流麗な演奏が聴きどころ。
  M9."What Else Needs to Happen"は、物静かな曲だが、なんと突然”語り”が入る。意味は不明。何か次第に荒々しさが起こるかと思いきや、最後まで静かな演奏で終わる。

91vqg2br9klw とにかくECMらしいのだが、静かな情景と美しさを描く手法は希有なトリオ演奏世界、どこか心の奥に迫りが感じるのだが、そこには優しさが残る不思議なアルバムである。
   2015年のアルバム『UNTOLD STORIES』(P-VINE RECORDS/PCD-93893/2015)(→)は、そのジャケの異様さと共に、彼のオリジナル曲に満たされつつ何処か異色の世界ムードの中に包まれ、何とも表現の難しい美しさを秘めてていて不思議なアルバムだった。しかし今回のアルバムはかなり雰囲気はオーソドックスなユーロ・ムードにあって、イスラエル色は薄れている。それもアイヒャー効果なのであろうか、しかしなんとも貴重な美しさのアルバムである。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★☆
□ 録音   ★★★★★☆

(My Image Photo)  (at Shigakogen)

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Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS,  PL

(視聴)

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2018年10月 3日 (水)

マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski Trio 「Live」

抒情派の真髄と、圧巻の迫真プレイで迫る熱演が聴ける

<Jazz>
Marcin Wasilewski Trio 「Live」
ECM / Germ / ECM 2592 6738486 / 2018

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Marcin Wasilewski (piano)
Sławomir Kurkiewicz (double bass)
Michał Miśkiewicz (drums)

 Recorded Aug. 2016 at Jazz Middelheim, Antwerp

Marcinsolo_imgwjpg ポーランドの人気ピアニスト:マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski (1975年ポーランドのスワヴノ生まれ)の、今回もレギュラー・トリオによる、2016年8月ベルギーのジャズ祭でのライヴ収録盤。もともとシンプル・アコースティック・トリオ(私は1995年アルバム『Komeda』(その後『Lullaby for Rosemary』に変わる)以来ファンである)で注目され、その後も不動のメンバーで、自己名義トリオに名を変えての活動が続いている。
 哀愁の抒情派ピアノを演じ、一方ではかなりの躍動的な展開をみせるこのトリオは、取り敢えずは注目株で、ニュー・アルバムは何時も待望しているところだ。

Marcinwasilewskitriow

(Tracklist)
1. Spark Of Life / Sudovian Dance [Live]
2. Message In A Bottle (Sting)[Live]
3. Three Reflections [Live]
4. Night Train To You [Live]
5. Austin [Live]
6. Actual Proof (Sting)[Live]

Sparkoflife さて、このアルバムのM2、M6以外は、Marcin Wasilewski のオリジナル曲だが、2014年のアルバム『Spark Of Life』ECM/ECM2400/2014)(→)でお目見えした曲M1、M3、M5が演奏されている。ただ2016年のライブ録音で有り、当初のアルバムにみるスタジオ録音盤との違いというか発展形というか、そのあたりが興味の持たれるところである。
 M1."Spark Of Life "、"M5." Austin "は、スタジオ・アルバム同様抒情的にしてメロディーも優しく心に染み込んでくる。これぞマルチン・ボシレフスキと言いたくなるところだ。

Faithful しかし思うに今回の目玉はM4. "Night Train To You"の圧巻のプレイだ。この曲は2011年のアルバム『Faithful』 (ECM/ECM2208/2011)(→)に登場した曲だ。成る程これがライブの醍醐味でもある。 とにかくこの14分に及ぼうとする迫真のプレイは凄い。ボシレフスキ(p)の集中力でアドリブが尽きること無く演じきる熱演に痺れる。しかもそれを支えるリズム隊の挑戦的アプローチによる攻撃的プレイが一層この展開に凄みを加味して迫ってくる。ベースの途切れること無く流れるようなプレイ、ドラムスはかってのスタジオ盤よりは録音の締める位置も高く楽しめる。しかもその3者のプレイに何故か美しさが秘められていて感心するのである。こうゆう演奏をECMがリリースするのは珍しいと思うが、中にちゃんと”Album produced by Manfred Eicher”と記されていて、Eicherご承認の演奏というところにあるとみる。

 ポーランドのジャズに限らずあらゆる分野の音楽レベルの高さは何時も感心するところだが、20歳代でデビューしたこのトリオは確実に発展・進歩しているところが嬉しい。ヨーロッパ耽美系らしい叙情性が満ちたところと、スリリングなトリオ格闘が聴けるこのトリオは貴重だ。
 さてさて次なるスタジオ・ニュー・アルバムに益々期待が持たれるところだ。

(評価)
□ 演奏 ★★★★★☆
□ 録音 ★★★★☆

(My Image Photo)  2018 Autumn

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Sony ILCE-7M3,  Zeiss Vario-Tessar Fe 4/16-35 ZA OSS, PL

(視聴)

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2018年9月23日 (日)

ロベルト・オルサーのニュー・アルバム Robert Olzer Trio 「CELESTE」

天空の美はここに!

 「CELESTE(天)より柔らかく注ぐ美音の雫があなたを浄める、典雅にして透明、深遠にして柔和、天才ピアニストが辿りついた至高の世界がここに!」
 ~これはこのアルバムの宣伝文句だ。澤野工房からクラシカルな演奏の抒情派ロベルト・オルサーのニュー・アルバムの登場だ。

<Jazz>
Robert Olzer Trio 「CELESTE」
ATLELIER SAWANO / JPN / AS163 / 2018


Celestew

Roberto Olzer (piano)
Yuri Goloubev (bass)
Mauro Beggio (drums)

Recorded on 28-30th Aug. 2017 at Arteuono Recording Stdios-Cavalicco-Italy
Decorded,mixed & mastered by Stefano Amerio
Roberto Olzer plays FAZIOLI F278 mk III

 イタリアのロベルト・オルサーの久々のトリオ作品。彼は私の注目の期待株。2016年の3rdアルバム『DREAMSVILLE』 以来そんなに間隔が空いているわけでは無いが気持ちは久々である。このところはヴォーカルやトランペットの入ったカルテット作品やソロ・アルバムが続いたためだ。
 今回のアルバム・タイトルは『CELESTE』ということで、なんとこのイタリア語からイタリアの懐かしのプログレッシブ・ロック・グループの”CELESTE”を思い出してしまった。このグループのアルバムがリリースされたのは、オルサーが小児期の話だ。イタリア語で”至高の天空”と言う意味で、その美しく透明感のある音楽が持ち味なのだ。その話とは全く関係ないが、懐かしい”チェレステ”という言葉から回顧してしまったのである。当然このアルバムも狙いは”至高の透明感あふるる典雅な世界”だ。

Ro1(Tracklist)
1 Deliverance*
2 The Old Castle
3 Song 6
4 G-Spot Tornado / Sleep Dirt
5 Parisian Episode VIII*
6 Piece III
7 ... And After*
8 A Simple Song*
9 Celeste
10 Canova*


  オルサー及びメンバーのオリジナル曲が6曲(*印)。その外はMussogsky(M2)、Mompou(M3)の名が出てきたと思うとFrank Zappa(M4)とかWwan Svensson(M6)、Ralph Towner(M9)の名前も出てくる多彩さだが、全体にクラシカルな演奏の美しさ、優しさは一貫している。

 スタートの彼の曲M1 "Deliverance"から、澄んだ美しさのある真摯な気持ちにさせる演奏が飛び込んでくる。”オルサーはこれだから良いのだ”と言いたくなる。
 そして懐かしいメロディーが聴けるムソルグスキーのM2 "The Old Castle"と流れは旨い。
 ちょっと余興っぽいところからスタートするM4 "G-Spot Tornado / Sleep Dirt"、ここではゴロウベフのベースの味も十分堪能できるし、勿論中盤からのピアノの響きの美しさは絶品。なかなか味のある出来だ。繊細なシンバル、ステイックからスタートのM5 "Parisian Episode VIII"はゴロウベフの曲だが、ドラムスのベッジオの如何にも繊細さが滲み出ている。 
 続くM6 "Piece III"は、難しい技巧無しの優しい物語のような曲。
 後半珍しくM8 "A Simple Song"の軽快な曲、そして落ち着いたM9 "Celeste"。最後はオルサーの軽やかなピアノ・プレイのM10 "Canova"で納める。

  やはりロベルト・オルサーはいいですね。今アルバムの私の推薦はM1からM3への流れ。そしてM4のトリオ味だ。録音もStefano Amerioでトリオを納得の配置で描き、それぞれの音はハッとするほどの響きを持つ。

(評価)
□曲・演奏 ★★★★★☆
□録音   ★★★★★

(My Image Photo) 私からも「天空」

Dsc03574trw
Sony ILCE-7M3,  ZEISS Vario-Tessar FE 4/16-35 Za OSS,  PL  


(参考視聴)

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2018年9月20日 (木)

聴き落としていたアルバム(3)~ 小曽根 真MAKOTO OZONE「Ballads」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

小曽根の世界はやはりこれだ!!

<Jazz>
MAKOTO OZONE「Ballads」
Verve / JPN / UCCJ-2074 / 2008

Ballads

Makoto Ozone : piano
James Genus : bass
Kiyishi Kitagawa : bass
Clarence Penn : drums
Wallace Roney : Trumpet
Michel Brecker : sax


  小曽根真のピアノの高度な演奏そしてセンス良さというか、そのあたりは近くはあのAnna Maria Jopekのアルバム『HAIKU』で唸らせたが、・・・・このところは久々のトリオ盤『DIMENSIONS』(2017)、そしてクラシック盤『Beyond BORDERS』(2018)と言う2枚だろうか。

 さて彼のブレイは、私の好みからしてみるとやっぱりバラードものだと思っている。しかしもともと私はアルバムは一枚の何曲かをトータルに聴いて評価するタイプであるため、ベスト盤とかオムニバス盤というのはなんとなく敬遠して来た。が、今年の過去に経験の無い猛暑がようやく収束して、このなんとなく秋の雰囲気になると、何故か急に彼のバラードが聴きたくなって、ここに来て今更彼のベスト盤に手を付けたのである。それがこのアルバムだ。

(Tracklist)
1.シー She
2.ア・ア・マン・オン・ア・コブルド・ストリート *#
3.マイ・トゥモロウ* (TVドラマ『あしたの、喜多善男』:メイン・テーマ)
4.エイジアン・ドリーム*
5.ミスト Myst*
6.ユーアー・ノット・アローン*
7.レイク・トゥーン*
8.ネイチャー・ボーイ
9.ホエア・ドゥ・ウィー・ゴー・フロム・ヒア*
10.サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー
11.ウィー・アー・オール・アローン
12.自由への賛歌#
13.リボーン*
*印 Makoto Ozone
#印 New Recording

 ベスト盤だけあって、演奏スタイルはピアノ・ソロ、デュエット、トリオ、ビッグバンドと多彩。これは過去に私も聴いてなかったアルバムも含めて14年間にリリースされた作品からのセレクションである。曲自身は彼のオリジナルが主だ(8曲)。

  CM曲として使われた「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」、「ウィ・アー・オール・アローン」の外、TVドラマ「あしたの、喜多善男」のテーマ「マイ・トゥモロウ」なども収録されている。

Oz_1714trw


 冒頭から静かな世界を描くM1."She"、M2."A Man on Cobbled Street"と、ピアノ・ソロでスタート。彼独特のピアノの音の余韻が心を静かに落ち着かせる。
 M3. "My Tomorrow"これはどこか心の温まるメロディ。
 M4. "Asian Dream"で、ピアノ・トリオ演奏となるもその沈静世界の延長上にある。
 M5. "Myst"トランペットが入り旋律を奏でるが、小曽根のピアノと対をなして美世界を描く。
 M6. "You're Not Alone"は、ビック・バンド編成だが、静かなスタート、小曽根のピアノは何処か郷愁を誘う美しさだ。
 M7. "Lake Thun "これも美しいピアノ・ソロ。彼の作曲によるバラードを十分に楽しませる。
 M8. "Nature Boy"広く知られたこの曲も、やはりソロでスローに演じられる中に情緒豊かに訴えてくる。
  M9. "Where Do We Go from Here" Saxと共演の形をとっているが、Saxが唄ってピアノが合い間に情景を美しく描くスタイルも安定感たっぷり。
  M10. "Someone to Watch over Me"管楽器を中心としたビック・バンドをバックにしての曲。このアルバムではアクセントの曲となった。
  M11.、 M12. スタンダードの聴き慣れた曲も彼らしい編曲が生きていて楽しい。
 M13. "Reborn" 美しく納めたソロ演奏。

  全体にバラード特有の内省的というか、心を落ち着かせ休めるというか、そんな世界を抒情的に又情感たっぷりに描ききった13曲である。ベスト盤であり、ピアノ・ソロからトリオなど演奏バターン各種だが、彼の編曲の妙も素晴らしく、そこには彼の美しくしかも深遠さも加味したピアノの調べは聴き手の心の琴線に触れる響きを持っている。さすが小曽根と言いたくなるところ。彼のニューレコーディングも交えて、又ビック・バンド曲をアクセントとしたアルバムとしてのバランスも結構とれていて納得であった。

(評価)
□ 曲・演奏 :★★★★★☆
□ 録音   :★★★★☆  

(My Image Photo) 

Dsc03593trw
Sony ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL  Aug. 2018

  

(視聴)

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