ピアノ・トリオ

2018年10月17日 (水)

聴き落としていたアルバム(4)~デイブ・キングDave King Trio「I've been ringing you 」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

まさにミステリアスな深遠な世界だ!!

<Jazz>
Dave King with Bill Carrothers & Billy Peterson
「I've been ringing you 」

Sunnyside / USA / SSC1336 / 2012


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Dave King (ds cymbals & waterphone on "goodbye")
Bill Carrothers (p)
Billy Peterson (b)

 THE BAD PLUSそして HAPPY APPLEのドラマーであるデイブ・キングが結成したピアノ・トリオ"Dave King Trio" のアルバムだ。
  既にリリースしてから数年経ているが、今年リリースされた寺島靖国のコンピュレーション・アルバム『For Jazz Drumms Fans Only Vol.2』(Terashima Records/TYR-1068/2018)に取りあげられ私は注目した。今更ながらアルバム全編を聴いて感動している。

800pxdave_king_drummer2 デイブ・キングDavid(Dave) King(→)は、ミネアポリス出身の1970年生まれで、目下ミュージシャンとしては脂がのっている。フリー・ジャズの激しさを持つThe Bad Plus (with Reid Anderson and Ethan Iverson)のトラマーとして彼は名を知らしめている。


(Tracklist)
1 goodbye
2 lonely woman
3 so in love
4 autumn serenade
5 if i should lose you
6 people will say we’re in love
7 this nearly was mine
8 i’ve been ringing you

 このアルバム、USAと言えどもなんとECM風というか、まさにユーロ系が得意とすやや暗めにして、哲学的に迫ってくる世界を持っている演奏なのだ。それはミステリアスであるにも関わらず、しかも不思議な安らぎ感を生むという私にとってはたまらない一枚。
Billcarrothers2w この重要因子は、以前にもここで取りあげたことのあるピアニストのビル・キャロザースBill Carrothers(→)による効果も大きいと踏んでいるが、収録曲目はスタンダードが中心であるが、その描き方には驚異を感ずるのである。

  M1 "goodbye" はっきり言えば、完全に私の好みの方に期待を裏切ってくれた。デイブのドラムスがドスンと来るかと思いきや、優しいブラシ奏法に、ピアノ、ベースが静かに十分間をとって余韻を残しての演奏よる静かな水面を描くがごとき深遠な世界。
  M3. " so in love" Cole Porterの曲だが、スタートはドラムスの音で始まるも、ややスローに展開し、ここまで心に深く染み込む演奏も希有である。
 M4. "autumn serenade"は如何にもこの初秋にぴったりの気分を描いてくれる。
 M6. "people will say we’re in love"が唯一やや激しさのドラムスが響くが、このアルバムの頂点ともなる役を果たし、メリハリをつけての快演。

 驚きは、Bad Plusの”破壊的ドラマー”と言われるデイブ・キングが、ピアノにビル・キャロザース、ベースにビリー・ピーターソンというトリオを構成したのは、如何にして何を目指して結合したのか解らないのだが、ここまで意気投合してミステリアスにして深遠、哲学的世界を描くに至るのか、その過程には興味を抱かざるを得ない程である。
 いずれにしてもビル・キャロザース効果は絶大であること、そして録音もリアルで楽しめる。いっやー、しかし良いアルバムに出会ったものだ。完全に私のお気に入りアルバムに登録だ。

(参考) (ネットにみる紹介文)
David King (born June 8, 1970) is an American drummer and composer from Minneapolis. He is known for being a founding member of the jazz groups The Bad Plus (with Reid Anderson and Ethan Iverson) and Happy Apple (with Michael Lewis and Erik Fratzke) although he is active in many other projects including free jazz collective Buffalo Collision with NYC "Downtown" musicians Tim Berne and Hank Roberts and the electronic art/pop group Halloween Alaska as well as the noise/prog band The Gang Font with former Hüsker Dü bassist Greg Norton.            

(評価)
□ 演奏 ★★★★★
□ 録音 ★★★★★☆

(My Image Photo)
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Sony ILCE-7M3,  Zeiss Vario-Tessar FE 4/16-35 ZA OSS, PL

(視聴)

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2018年10月 7日 (日)

シャイ・マエストロ Shai Maestro Trio 「The Dream Thief」

流麗なメロディ中に内省的思考が支配

<Jazz>
Shai Maestro Trio 「The Dream Thief」

ECM / Ger / ECM2616 / 2018

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Shai Maestro (p)
Jorge Roeder (double-bass)
Ofri Nehemya (ds)

Prodused by Manfred Eicher
Recorded April 2018
Engineer : Stefano Amerio

 イスラエル出身の今や人気のベーシスト・アヴィシャイ・コーエンのバンドでの活躍で知ることになった若きピアニストのシャイ・マエストロ、イスラエル・ジャズ界に貴重な位置にある話題の才能あふれる彼の初のECM作品だ。
 イスラエルは中東パレスチナに位置し、ユダヤ人が3/4を締めていてユダヤ教が主流だが、イスラム、キリストも混在し文化は複雑。近年ジャズ界への進出も注目されている。
 プロデューサーのECMアイヒャーとのレコーディングに初めてマエストロが自己のトリオで臨んで出来上がった注目作(↓トリオとアイヒャーの録音風景)。メンバーはペルー人ベーシストJorge Roeder(7年間ずっと一緒だとか)と、新たにイスラエル人のドラマーOfri Nehemyaを迎えてのトリオ。

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Shaimaestrow [シャイ・マエストロShai Maestro]は、1987年、イスラエル生まれのジャズ・ピアニスト。5歳からクラシック・ピアノを始め、なんと8歳でジャズに開眼したという。テルマ・イェリン国立芸術高等学校でジャズとクラシックを学び、バークリー音楽大学のスカラーシップを得て、4年間ジャズ・ピアノやコンポジション、民族音楽論などを学ぶ。2006年からニューヨークでのイスラエル・ジャズ・シーンを牽引する私の好きなアヴィシャイ・コーエン(b)のグループに参加し(アルバム  『Gently Disturbed』(Sunnyside/4607/2008)『SEVEN SEAS』(BlueNote/TOCJ90070/2011)など)、一般に認知される。
 2013年12月の『The Road to Ithaca』(AGIP3526)に続き、2015年5月に3rdリーダー作『UNTOLD STORIES』(AGIP3526)をリリースしている。

(Tracklist)
1.My Second Childhood
2.The Forgotten Village *
3.The Dream Thief *
4.A Moon's Tale *
5.Lifeline *
6.Choral *
7.New River, New Water *
8.These Foolish Things (Remind Me Of You)
9.What Else Needs to Happen *


Smtriow

 収録曲は、マエストロのオリジナルの7曲(*印)が中心である。彼のソロ・ピアノ楽曲も収録されている。

 M1."My Second Childhood"はイスラエルのシンガーソングライターMatti Caspiの曲だそうで、マエストロが子供のころから大好きで、体に染み付いている曲だそうだ。ピアノ・ソロで描く内に秘めた心のその叙情性は見事である。
  M2."The Forgotten Village" 静かに刻むベースとドラムスの音に乗って、ピアノが優しく描く美旋律。全くの内省的異色のトリオ世界。
  M3."The Dream Thief"夢泥棒"という事ことだろうか?、後半見事に疾走し三者の交錯・振動が流れるのだが、そんな中でもどこか思索的なところが不思議という曲。アルバム・タイトル曲だ。
  M4."A Moon's Tale" これも静かなピアノから始まるが、突然ピアノの重低音、そして再び静かにメロディーが流れる。そこにはやはり危機感は無くむしろ安堵の世界。
 M6."Choral" 優しく美しいピアノ・ソロ。
 M7."New River, New Water"流麗な演奏が聴きどころ。
  M9."What Else Needs to Happen"は、物静かな曲だが、なんと突然”語り”が入る。意味は不明。何か次第に荒々しさが起こるかと思いきや、最後まで静かな演奏で終わる。

91vqg2br9klw とにかくECMらしいのだが、静かな情景と美しさを描く手法は希有なトリオ演奏世界、どこか心の奥に迫りが感じるのだが、そこには優しさが残る不思議なアルバムである。
   2015年のアルバム『UNTOLD STORIES』(P-VINE RECORDS/PCD-93893/2015)(→)は、そのジャケの異様さと共に、彼のオリジナル曲に満たされつつ何処か異色の世界ムードの中に包まれ、何とも表現の難しい美しさを秘めてていて不思議なアルバムだった。しかし今回のアルバムはかなり雰囲気はオーソドックスなユーロ・ムードにあって、イスラエル色は薄れている。それもアイヒャー効果なのであろうか、しかしなんとも貴重な美しさのアルバムである。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★☆
□ 録音   ★★★★★☆

(My Image Photo)  (at Shigakogen)

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Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS,  PL

(視聴)

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2018年10月 3日 (水)

マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski Trio 「Live」

抒情派の真髄と、圧巻の迫真プレイで迫る熱演が聴ける

<Jazz>
Marcin Wasilewski Trio 「Live」
ECM / Germ / ECM 2592 6738486 / 2018

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Marcin Wasilewski (piano)
Sławomir Kurkiewicz (double bass)
Michał Miśkiewicz (drums)

 Recorded Aug. 2016 at Jazz Middelheim, Antwerp

Marcinsolo_imgwjpg ポーランドの人気ピアニスト:マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski (1975年ポーランドのスワヴノ生まれ)の、今回もレギュラー・トリオによる、2016年8月ベルギーのジャズ祭でのライヴ収録盤。もともとシンプル・アコースティック・トリオ(私は1995年アルバム『Komeda』(その後『Lullaby for Rosemary』に変わる)以来ファンである)で注目され、その後も不動のメンバーで、自己名義トリオに名を変えての活動が続いている。
 哀愁の抒情派ピアノを演じ、一方ではかなりの躍動的な展開をみせるこのトリオは、取り敢えずは注目株で、ニュー・アルバムは何時も待望しているところだ。

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(Tracklist)
1. Spark Of Life / Sudovian Dance [Live]
2. Message In A Bottle (Sting)[Live]
3. Three Reflections [Live]
4. Night Train To You [Live]
5. Austin [Live]
6. Actual Proof (Sting)[Live]

Sparkoflife さて、このアルバムのM2、M6以外は、Marcin Wasilewski のオリジナル曲だが、2014年のアルバム『Spark Of Life』ECM/ECM2400/2014)(→)でお目見えした曲M1、M3、M5が演奏されている。ただ2016年のライブ録音で有り、当初のアルバムにみるスタジオ録音盤との違いというか発展形というか、そのあたりが興味の持たれるところである。
 M1."Spark Of Life "、"M5." Austin "は、スタジオ・アルバム同様抒情的にしてメロディーも優しく心に染み込んでくる。これぞマルチン・ボシレフスキと言いたくなるところだ。

Faithful しかし思うに今回の目玉はM4. "Night Train To You"の圧巻のプレイだ。この曲は2011年のアルバム『Faithful』 (ECM/ECM2208/2011)(→)に登場した曲だ。成る程これがライブの醍醐味でもある。 とにかくこの14分に及ぼうとする迫真のプレイは凄い。ボシレフスキ(p)の集中力でアドリブが尽きること無く演じきる熱演に痺れる。しかもそれを支えるリズム隊の挑戦的アプローチによる攻撃的プレイが一層この展開に凄みを加味して迫ってくる。ベースの途切れること無く流れるようなプレイ、ドラムスはかってのスタジオ盤よりは録音の締める位置も高く楽しめる。しかもその3者のプレイに何故か美しさが秘められていて感心するのである。こうゆう演奏をECMがリリースするのは珍しいと思うが、中にちゃんと”Album produced by Manfred Eicher”と記されていて、Eicherご承認の演奏というところにあるとみる。

 ポーランドのジャズに限らずあらゆる分野の音楽レベルの高さは何時も感心するところだが、20歳代でデビューしたこのトリオは確実に発展・進歩しているところが嬉しい。ヨーロッパ耽美系らしい叙情性が満ちたところと、スリリングなトリオ格闘が聴けるこのトリオは貴重だ。
 さてさて次なるスタジオ・ニュー・アルバムに益々期待が持たれるところだ。

(評価)
□ 演奏 ★★★★★☆
□ 録音 ★★★★☆

(My Image Photo)  2018 Autumn

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Sony ILCE-7M3,  Zeiss Vario-Tessar Fe 4/16-35 ZA OSS, PL

(視聴)

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2018年9月23日 (日)

ロベルト・オルサーのニュー・アルバム Robert Olzer Trio 「CELESTE」

天空の美はここに!

 「CELESTE(天)より柔らかく注ぐ美音の雫があなたを浄める、典雅にして透明、深遠にして柔和、天才ピアニストが辿りついた至高の世界がここに!」
 ~これはこのアルバムの宣伝文句だ。澤野工房からクラシカルな演奏の抒情派ロベルト・オルサーのニュー・アルバムの登場だ。

<Jazz>
Robert Olzer Trio 「CELESTE」
ATLELIER SAWANO / JPN / AS163 / 2018


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Roberto Olzer (piano)
Yuri Goloubev (bass)
Mauro Beggio (drums)

Recorded on 28-30th Aug. 2017 at Arteuono Recording Stdios-Cavalicco-Italy
Decorded,mixed & mastered by Stefano Amerio
Roberto Olzer plays FAZIOLI F278 mk III

 イタリアのロベルト・オルサーの久々のトリオ作品。彼は私の注目の期待株。2016年の3rdアルバム『DREAMSVILLE』 以来そんなに間隔が空いているわけでは無いが気持ちは久々である。このところはヴォーカルやトランペットの入ったカルテット作品やソロ・アルバムが続いたためだ。
 今回のアルバム・タイトルは『CELESTE』ということで、なんとこのイタリア語からイタリアの懐かしのプログレッシブ・ロック・グループの”CELESTE”を思い出してしまった。このグループのアルバムがリリースされたのは、オルサーが小児期の話だ。イタリア語で”至高の天空”と言う意味で、その美しく透明感のある音楽が持ち味なのだ。その話とは全く関係ないが、懐かしい”チェレステ”という言葉から回顧してしまったのである。当然このアルバムも狙いは”至高の透明感あふるる典雅な世界”だ。

Ro1(Tracklist)
1 Deliverance*
2 The Old Castle
3 Song 6
4 G-Spot Tornado / Sleep Dirt
5 Parisian Episode VIII*
6 Piece III
7 ... And After*
8 A Simple Song*
9 Celeste
10 Canova*


  オルサー及びメンバーのオリジナル曲が6曲(*印)。その外はMussogsky(M2)、Mompou(M3)の名が出てきたと思うとFrank Zappa(M4)とかWwan Svensson(M6)、Ralph Towner(M9)の名前も出てくる多彩さだが、全体にクラシカルな演奏の美しさ、優しさは一貫している。

 スタートの彼の曲M1 "Deliverance"から、澄んだ美しさのある真摯な気持ちにさせる演奏が飛び込んでくる。”オルサーはこれだから良いのだ”と言いたくなる。
 そして懐かしいメロディーが聴けるムソルグスキーのM2 "The Old Castle"と流れは旨い。
 ちょっと余興っぽいところからスタートするM4 "G-Spot Tornado / Sleep Dirt"、ここではゴロウベフのベースの味も十分堪能できるし、勿論中盤からのピアノの響きの美しさは絶品。なかなか味のある出来だ。繊細なシンバル、ステイックからスタートのM5 "Parisian Episode VIII"はゴロウベフの曲だが、ドラムスのベッジオの如何にも繊細さが滲み出ている。 
 続くM6 "Piece III"は、難しい技巧無しの優しい物語のような曲。
 後半珍しくM8 "A Simple Song"の軽快な曲、そして落ち着いたM9 "Celeste"。最後はオルサーの軽やかなピアノ・プレイのM10 "Canova"で納める。

  やはりロベルト・オルサーはいいですね。今アルバムの私の推薦はM1からM3への流れ。そしてM4のトリオ味だ。録音もStefano Amerioでトリオを納得の配置で描き、それぞれの音はハッとするほどの響きを持つ。

(評価)
□曲・演奏 ★★★★★☆
□録音   ★★★★★

(My Image Photo) 私からも「天空」

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Sony ILCE-7M3,  ZEISS Vario-Tessar FE 4/16-35 Za OSS,  PL  


(参考視聴)

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2018年9月20日 (木)

聴き落としていたアルバム(3)~ 小曽根 真MAKOTO OZONE「Ballads」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

小曽根の世界はやはりこれだ!!

<Jazz>
MAKOTO OZONE「Ballads」
Verve / JPN / UCCJ-2074 / 2008

Ballads

Makoto Ozone : piano
James Genus : bass
Kiyishi Kitagawa : bass
Clarence Penn : drums
Wallace Roney : Trumpet
Michel Brecker : sax


  小曽根真のピアノの高度な演奏そしてセンス良さというか、そのあたりは近くはあのAnna Maria Jopekのアルバム『HAIKU』で唸らせたが、・・・・このところは久々のトリオ盤『DIMENSIONS』(2017)、そしてクラシック盤『Beyond BORDERS』(2018)と言う2枚だろうか。

 さて彼のブレイは、私の好みからしてみるとやっぱりバラードものだと思っている。しかしもともと私はアルバムは一枚の何曲かをトータルに聴いて評価するタイプであるため、ベスト盤とかオムニバス盤というのはなんとなく敬遠して来た。が、今年の過去に経験の無い猛暑がようやく収束して、このなんとなく秋の雰囲気になると、何故か急に彼のバラードが聴きたくなって、ここに来て今更彼のベスト盤に手を付けたのである。それがこのアルバムだ。

(Tracklist)
1.シー She
2.ア・ア・マン・オン・ア・コブルド・ストリート *#
3.マイ・トゥモロウ* (TVドラマ『あしたの、喜多善男』:メイン・テーマ)
4.エイジアン・ドリーム*
5.ミスト Myst*
6.ユーアー・ノット・アローン*
7.レイク・トゥーン*
8.ネイチャー・ボーイ
9.ホエア・ドゥ・ウィー・ゴー・フロム・ヒア*
10.サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー
11.ウィー・アー・オール・アローン
12.自由への賛歌#
13.リボーン*
*印 Makoto Ozone
#印 New Recording

 ベスト盤だけあって、演奏スタイルはピアノ・ソロ、デュエット、トリオ、ビッグバンドと多彩。これは過去に私も聴いてなかったアルバムも含めて14年間にリリースされた作品からのセレクションである。曲自身は彼のオリジナルが主だ(8曲)。

  CM曲として使われた「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」、「ウィ・アー・オール・アローン」の外、TVドラマ「あしたの、喜多善男」のテーマ「マイ・トゥモロウ」なども収録されている。

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 冒頭から静かな世界を描くM1."She"、M2."A Man on Cobbled Street"と、ピアノ・ソロでスタート。彼独特のピアノの音の余韻が心を静かに落ち着かせる。
 M3. "My Tomorrow"これはどこか心の温まるメロディ。
 M4. "Asian Dream"で、ピアノ・トリオ演奏となるもその沈静世界の延長上にある。
 M5. "Myst"トランペットが入り旋律を奏でるが、小曽根のピアノと対をなして美世界を描く。
 M6. "You're Not Alone"は、ビック・バンド編成だが、静かなスタート、小曽根のピアノは何処か郷愁を誘う美しさだ。
 M7. "Lake Thun "これも美しいピアノ・ソロ。彼の作曲によるバラードを十分に楽しませる。
 M8. "Nature Boy"広く知られたこの曲も、やはりソロでスローに演じられる中に情緒豊かに訴えてくる。
  M9. "Where Do We Go from Here" Saxと共演の形をとっているが、Saxが唄ってピアノが合い間に情景を美しく描くスタイルも安定感たっぷり。
  M10. "Someone to Watch over Me"管楽器を中心としたビック・バンドをバックにしての曲。このアルバムではアクセントの曲となった。
  M11.、 M12. スタンダードの聴き慣れた曲も彼らしい編曲が生きていて楽しい。
 M13. "Reborn" 美しく納めたソロ演奏。

  全体にバラード特有の内省的というか、心を落ち着かせ休めるというか、そんな世界を抒情的に又情感たっぷりに描ききった13曲である。ベスト盤であり、ピアノ・ソロからトリオなど演奏バターン各種だが、彼の編曲の妙も素晴らしく、そこには彼の美しくしかも深遠さも加味したピアノの調べは聴き手の心の琴線に触れる響きを持っている。さすが小曽根と言いたくなるところ。彼のニューレコーディングも交えて、又ビック・バンド曲をアクセントとしたアルバムとしてのバランスも結構とれていて納得であった。

(評価)
□ 曲・演奏 :★★★★★☆
□ 録音   :★★★★☆  

(My Image Photo) 

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Sony ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL  Aug. 2018

  

(視聴)

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2018年9月12日 (水)

聴き落としていたアルバム(2)~ヤコブ・カールソンJacob Karlzon 3 「THE BIG PICTURE」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

コンテンポラリー抒情派モード・ジャズ

<Contemporary Jazz>
Jacob Karlzon 3 「THE BIG PICTURE」
STUNT / Denmark / STUM23011 / 2011

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Jacob Karlzon(p,elp,org,key,programming)
Hans Andersson(b)
Jonas Holgersson(ds,per)

もともとこのブログを書くようになったのは、”感動した、好きだ、知って欲しい”という事柄を綴り、多くの人に見てもらういうと言う事が目的かと言えば、実はそうでは無い。ここは私個人の記録の場であって、こうして書いておく事によって忘れないでおこうという、つまり「備忘録」なのである。従って取りあげることもどちらかというと私の趣味の分野が多く、又偏っているところも否めない。そんな気楽さの為、開始から既に12年になろうとしているのである。しかしそれによって嬉しいことに、偶然目にした人がご意見や教えてくれる事が幾度とあって、何度と知識を広げられて助かったり感動もしてきた。

Hirez51a4004edit そんな事から、今日の本題のジャズ・アルバムであるが、大体これは聴き逃したというより知らなかったアルバムである。スウェーデンのピアニスト、ヤコブ・カールソンJacob Karlzon(1970年生まれ)(→)のリーダー・ピアノ・トリオ・アルバム。と言うと、おおよそ見当が付こうと言うところだが、それがなかなか一筋縄では行かない。クラシックなアメリカン・ジャズやオーソドックスなピアノ・トリオでは全くないのだ。ならば何故聴いたのかと言えば、なんとあのスウェーデンの女性シンガービクトリア・トルストイViktoria Tolstoy(ロシアの文豪トルストイのひい孫)関連から、そこは有り難いことに友人のアドバイスなのである。

(Tracklist)
1. The Big Picture
2. Bakersfield Revisited
3. Maniac
4. On The Horizon
5. In God's Country
6. Newbie
7. Ma Salama
8. Utopian Folksong
9. At The End Of The Day

 ヤコブ・カールソンと言えば、北欧一円と言うより近年欧州を広く股にかけて活躍を続けているスウェーデンのピアニストだ。もともとビル・エヴァンスやキース・ジャレットといった叙情的で伝統的なプレイを知らしめていたと思うのだが、このアルバムは、あのESTもちらっと思い出すパターンのアコースティック・ピアノを中心に、エレクトリック・ピアノ、オルガン、プログラミングなどはエフェクトのように重ね合わせて効果を上げ、ジャズ・4ビートから逸脱して、当に現代的なサウンドを展開している。

M1. "The Big Picture"は、アルバム・タイトル曲だが、あまり印象の無い曲でこのアルバムは何だろうと不安になる。
 M2. "Bakersfield Revisited"、M8. "Utopian Folksong"あたりは、聴きようによってはジャズ好きのロック・バンドのアプローチにも似たアグレッシブなスリリングな展開を見せる。
 かと言って、M3. "Maniac" となると一転してメロデックになり、M4. "On The Horizon"では、静寂を描き広大な自然風景が浮かぶ北欧ムードたっぶりのピアノ美旋律を堪能できる。
 更にM6. "Newbie"は、ドラムスの圧倒的軽快なリズムに乗ってのピアノ、ベースのご満悦の曲進行という世界に入る。
 M7. "Ma Salama"これは素晴らしい。ゆったり落ち着いた美しいピアノの響きの序章から次第に宇宙感覚に広がってく。
 最後のM9. "At The End Of The Day"はピアノ・ソロで余韻の美しいピアノが心を落ち着かせてくれる。

 ファンキーなリズミカルな生きの良い刺激的トリッキーな熱演があるかと思うと、癒し的なピアノ旋律によって心を洗うが如く深遠な奥行き・広がりを感じさせたり、緩急や色合いの多彩さで圧倒する。これは妙演と言うべきかも、確かにカールソンのオールラウンドな辣腕ぶりが十分発揮されている。アコースティックなピアノに加えエレクロニックの色合いを加味したり、所謂オーソドックスなピアノ・トリオとは異なる世界である。これがクラシック、現代音楽を加味したニューエイジ世界として受け入れられて行くというのもジャズの一つの世界なのであろう。

(評価)
演奏: ★★★★☆
録音: ★★★★☆

(参考)

 Vt2① Viktoria Tolstoy との共演盤
     Viktoria Tolstoy & Jacob Karlzon 「Moment Of Now」→
         ACT /Germ/9727-2/2013

 ② Viktoria Tolstoy     http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-4886.html
            

(My Image Photo)  「どこか不安な空」

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Sony α7Ⅲ ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL  Aug. 2018

(試聴)

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2018年9月 3日 (月)

久々のトリオで・・・トルド・グスタフセンTord GustavsenTrio「The Other Side」

グスタフセンのピアノが待望のトリオで・・・・・

<Jazz>
Tord GustavsenTrio 「The Other Side」
ECM / Germany / 2608 6751618 / 2018

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Tord Gustavsen (piano, electronics)
Sigurd Hole (double bass)
Jarle Vespestad (drums)

Recorded January 2018, at Rainbow Studio, Oslo
Produced by Manfred Eicher

 久々のノルウェーのトルド・グスタフセンTord Gustavsen のピアノ作品がトリオでリリース。2007年の『Being There』 (ECM/2017 B0008757-02)以来となりますね。近年は彼のレパートリーの拡大と新分野への挑戦などで、カルテットやアンサンブルといったところがお目見えしてきたわけだが、私にとっては待望のピアノ・トリオ作品で、これは今年の一月の録音だ。

Tord_gustavsen_trioby_brem

 トリオのメンバーは、ベーシストが、Harald JohnsenからSigurd Holeに変わっている。ドラムスはもう長年のお付き合いで変更無しのJarle Vespestad だ。ノルウェー出身の三者によるトリオで、グスタフセンの緩徐で深く沈み込むピアノの流れは変わらずに、心に染み込む静かなメロディーによるトリオの世界を構築している。
 録音もピアノに対してベース、ドラムスも生きていて、なかなかトリオ・バランスを重視した好録音である。

Tord_croppedw(Tracklist) 

1. The Tunnel
2. Kirken, den er et gammelt hus
3. Re-Melt
4. Duality
5. Ingen veinner frem til den evige ro
6. Taste and See
7. Schlafes Bruder *
8. Jesu, meine Freude * Jesus, des eneste
9. The Other Side
10. O Traurigkeit *
11. Left Over Lullaby No.4
12. Curves

  今回はトルド・グスタフセン自身の曲が主だが、J.S.Bachが取りあげられている(上記*印の3曲)。
 オープニングM1. "The Tunnel" から、グスタフセン世界が迫ってくる。何度聴いてもドップリと浸れるグスタフセン世界は、やはり深遠であり哲学的でも有り、人間心理の究極の姿を描くが如くで、このアルバムも全編を通して真摯な気持ちで聴くことが出来る。
  M4. "Duality" M5.、 "Ingen veinner frem til den evige ro"に来るともう自他共に許すグスタフセン世界だ。
 アルバム・タイトル曲である彼の曲M9."The Other Side "は、珍しく”彼独特の静寂の中に流れる美しさと深遠さ”というタイプでなく、静かに物語り調に淡々と描いてどこか明るさも感じられる。この"Other Side"の意味はそんなところにあるのだろうか。
 これに続いてM10. "O Traurigkeit"は、やや対比的にJ.S.Bachのメディーをオリジナルの世界とは全く異なる完全なグフタフセン世界に沈み込ませるが、中盤から後半にかけてはトリオで盛り上がる珍しいタイプ。これも彼の今回の一つの試みの曲とみる。
 そしてM11. "Left Over Lullaby No.4"は、彼のファン・サービスの演奏。完全に本来の静寂と沈静の世界ですね。

 いっや~~、やはりトルド・グスタフセンはいいですね。完璧と言ってしまいたいアルバムだ。ピアノの弾くメロディの深遠さ、そして緩急、強弱、余韻の生かし方もハイレベル。何時もニュー・アルバムを待っているのだが、期待を裏切らない。北欧の世界感なのであろうか、又彼の学んだ心理学が生きているのか、この世界はしっかりと守りつつ、今後にも発展していって欲しいものである。

(評価)
□演奏:★★★★★
□録音:★★★★★☆

(私のイメージPHOTO=「夏の記憶に2018」)

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2018.9.3撮影(志賀高原)  Sony α7Ⅲ ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL

(視聴)

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2018年8月30日 (木)

マッシモ・ファラオMassimo Farao' Trio 「AUTUMN LEAVES」

とにかくロマンティックな明るさの軽装ジャズ

<Jazz>
Massimo Farao' Trio 「AUTUMN LEAVES」
Venus Records / JPN / VHCD-78297 / 2015

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Massimo Farao (p)
Aldo Zunino (b)
Marco Tolotti (ds)
Recorded at  Pianopiano Studios in Torino ITALY on Feb. 11,12and13,2014
Produced by Tetsuo Hara
Sound Engineer by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara

 今まで、世間の話からあまり気にとめておかなかったイタリアのこのマッシモ・ファラオ・トリオMassimo Farao' Trio だが、先日取り敢えずはクラシックを題材にしたジャズ・ニュー・アルバム『MOLDOU plays classics』 (VHCD-1242)のリリースがあり聴く機会があった。
 聴いた結果は、早い話がピアノ・スウィング・ジャズの肩の凝らない演奏といったものであり、イタリアものとしては珍しいように思ったのだ。かってからの評判は、”あまりのポピュラーな世界で面白みに若干欠ける”といったところにあり、それは如何なるものかと、更にもう少し聴いてみようと、近くはこのVenus Recordsから2015年のアルバムが手っ取り早いので聴いてみたという話である。

 このアルバムは、スタンダードの聴き慣れたもののオンパレードということで、あまり毒にもならないだろう(御免なさい)と言ったところの内容だ。よく見てみるとお相手のトリオ・メンバーは異なっていて、マッシモ・ファラオがその都度やりたいことによって集めているメンバーなんだろうと思う。

Autumnllist

1. コルコバード
2. エスターテ
3. トゥ・イーチ・ヒズ・オウン
4. ロシュフォールの恋人たち
5. いつか王子様が
6. 危険な関係のブルース
7. チーク・トゥ・チーク
8. アローン・トゥゲザー
9. 枯葉
10. アイ・ソウト・アバウト・ユー

 

 オープニングのジョビンのM1. "コルコバード"からボサノバのリズムをピアノで軽いタッチで流して、ムードは悪くない。中盤もベースを主体に構成したりするが、結構重さが無くてこれはこれで納得。
  そして2曲目はイタリアから"エスターテ"、なるほどマッシモ・ファラオという人は決して暗くしないでの味を求める、ピアノの流れも快感でそれが彼の信条なのかも知れない。ここまでは私は今回のニュー・アルバム『MOLDOU』(VHCD-1242)よりはこちらに軍配を挙げる。
 M3."トゥ・イーチ・ヒズ・オウン"これはまあよき時代のアメリカン・ジャズ・タッチ。バックグラウンド・ミュージックに最適という世界。

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  M4."ロシュフォールの恋人たち"、あれっこんな哀愁感の曲も選ぶのか?、とちょっと不思議な感覚にもなった。実はこの世界は私は好きなんですね。この線で流れてくれれば、マッシモに私は誘惑されてしまいそうだが。
 M5、M6、M7、M8とスタンダードそのものの曲が並ぶ。 演奏もスゥイング・ジャズ・スタンダード。特に気にするところも無く、あまり聴き込む焦点は感じなかった。
 M9."枯葉"、これはアルバム・タイトル曲、ややスローにピアノ・メロディーを中心に編曲、アドリブを加えて取り敢えず力作。相変わらず聴きやすい。もう少し強弱余韻という演奏法はないのだろうか。大きな感動といったとこには至らない。
 M10."アイ・ソウト・アバウト・ユー "マッシモのクラシカルな演奏ジャズの典型。

 宣伝紹介では「マッシモの魅力であるロマンティックなメロディーの表現と幸福感溢れるスインギン・ピアノが楽しめる、華麗なるジャズ・ピアノ・トリオの名品」となっているが、ここに「癖の無い万人向けジャズ」と言ったら良いのではと、一言付け加えるのである。
 選ぶとしたらM4."Chanson De Maxenceロシュフォールの恋人たち"

(評価)
□演奏 : ★★★★☆
□録音 : ★★★★☆

(視聴)

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2018年8月24日 (金)

マッシモ・ファラオ・トリオMassimo Farao' Trio のニュー・アルバム「MOLDAU play classics」

クラシックを取りあげてのスウィング基調のお気軽ジャズ
~ちょっと拍子抜けのところもあるけれどね

<Jazz>

Massimo Farao' Trio 「MOLDAU play classics」
VENUS Records / JPN / VHCD-1242 / 2018


Moldau

MASSIMO FARAO マッシモ・ファラオ (PIANO)
NICOLA BARBON ニコラ・バルボン (BASS)
RUBEN BELLAVIA ルーべン・ベラヴィア (DRUMS)

Recorded at RIVERSIDE STUDIO,TORINO, ITALY on Novenber 7 & 8, 2017
Produced by Tetsuo Hara
Engineered by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara

Foto_1522216430 とにかくイタリアには、ジャズ・ピアノを聴かせる名プレイヤーが軒並み連ねていて、飽きるところが無い。さすがバロックを作り上げた音楽の国民性がしっかりと生きているんだなぁ~~と、あのがさつと思われるイタリア男には、頭が下がる思いである。
 そんな中で、それなりの実績をしっかりと積み上げてきたマッシモ・ファラオMassimo Farao' (1965年生まれ) のニュー・アルバムである。それがなんと私の場合は殆ど接点無しで来たプレイヤーである。何故かって、あまり面白みが感じられなかったというのが偽わざるところ。しかし今回はあの何かとお騒がわせなVENUSレコードからの第3弾であるこのアルバムにクラシックの臭いから手を付けてみたというところ。

 これは、マッシモ・ファラオがオーソドックスなピアノ・トリオで、超有名なクラシク曲をメロディックにロマンティックに、ジャズのスウィングを十分効かせて演奏したというところなのだ。

List

1 ソナタ第8番 悲愴 (ベートーベン)
2 マズルカ (ショパン)
3 ノクターン 夜想曲 (ショパン)
4 エリーゼのために (ベートーベン)
5 ソルベーグの唄 (グリーク)
6 アヴェ・マリア (グノー)
7 愛の夢 (リスト)
8 アンダンテ 交響曲第3番 (ブラームス)
9 ピアノ・ソナタ (モーツアルト)
10 白鳥の湖 (チャイコフスキー )
11 モルダウ (ドボルザーク)
12 アダージョ(アルビノーニ )

 なんとなんと冒頭のM1."悲愴"から、哀切なメロディーをピアノでなぞりながらのスウィングしての曲展開なのだ。私はどんなにか哀愁のバラードかと期待したんですが、ちょっと空しい。でも立派にスウングする演奏から、これこそジャズだと喝采を浴びせる人もいるのだろうなぁ~~と思うところ。
  そして続くM2,M3と相変わらずスウィングは止まるところを知らない。 "夜想曲"までスウィング展開、更に"エリーゼのために"は快調なリズム展開でまさかの異色ムード。あまりにも有名なクラシック曲であるので、原曲のなぞりでは面白くないのは解るのだが、いやはやここまでくると昔の酒場のバックグラウンド・ミュージックだ。

 まあそれがジャズだと言えば、そうなんですが、今時のユーロ・ジャズとしては私としてはどこか哀愁の世界とか、なんとなく思索的な思わせの世界とか・・・どこか芸術的な臭いがするなんて大それたところに期待してしまうのですが。

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 それでもようやくM5."ソルベーグの唄"になって、原曲のムードが演じられてきた(原曲のムードを演ずるが良いとは言っているわけではない)。そしてM6." アヴェ・マリア "になって、これも原曲通りのスロー展開ではあるが、その中にジャズらしいピアノ・タッチが見事で、やっとこのアルバムを聴いた意義が感じられたという始末。
 M7." 愛の夢"、M8."アンダンテ 交響曲第3番"は、スローでムーディーな演奏でスタート、中判にスウィングするという手法。このほうが味があろうかと思うところなのだが。
 なんと言っても、私の興味はM12."アルビノーニのアダージョ"に実はあったのですが、うーん最後に来てようやく納得のユーロ・ジャズ世界を聴かせてくれた。もともと曲が好きなので何処までその世界をジャズ化してくれるかが楽しみだった。これはピアノ・メロディー編曲からインプロも適度に効いて、ようやくピアノの音の余韻の中にドラムスの展開も存在感があって聴く気分も充実できた。

 トータルに判断して、けっして裏切りのアルバムではない。とにかく万人向きのスウィング・ジャズを基調にした世界である。とにかく聴きやすいく難しさが全く感じられないアルバムだ。これがジャズだと言う人もいるのだろう、まあVENUSレコードですから(ジャケはそれらしくないですけど)難しい事は抜きで気楽に聴きましょう。
 推薦ナンバー1は、M12."アルビノーニのアダージョ"だ。

(評価)
□演奏 ★★★★☆
□録音 ★★★★☆

(参考視聴)

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2018年8月21日 (火)

ローカルな地でのジャズ : 山口泰一郎の2ndアルバム「and we met #2 ~ Something We Knew」

真面目にジャズを愛してきた男のピアノ・ジャズ

<Jazz>

Yasuichiro Yamaguchi,  Yasuhito Mori
「and we met #2    Something We Knew」

2w

山口泰一郎Yasuichiro Yamaguchi : piano
森泰人Yasuhito Mori : Bass

Recording : YUMEstudio 2017.12.08

  ピアノとベースのデュオで聴かせるジャズ・アルバム。これはこのコンビによるDuo作品2013年リリースの『and we met 』の続編(2ndアルバム)である。

 このピアニスト山口泰一郎Yasuichiro Yamaguchi を知ったのは、私の友人が長野県上田市にいて、そこに今年私が訪れた事による。山口氏は上田市に住み、ジャズ・ピアニストとして音楽活動しており、今年の5月に、その上田市の「香青軒」というレストランでライブ演奏会が企画され、そこに偶然私が参加出来たのであった。
 それは「山口泰一郎&森泰人 2nd Duo-Album メモリアルジャズライブ」と題されたもので、つまるところこのアルバムのリリース記念会(↓May.9.2018)ということだった。

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 当日は、スウェーデン在住のBassの森泰人とオランダ生まれ沖縄在住というセバスティアン・カプティンのDrumsとのピアノ・トリオ演奏がスタンダード曲を織り交ぜて演じられ、山口泰一郎&森泰人のデュオも披露されたのである。
 
 さて、ここで取りあげたこのアルバムのListは下のような9曲で、スタンダードを中心であるが、彼のオリジナル曲でアルバム・タイトルとなっている"Something We Knew"1曲が入っている。そしてこのライブではアルバムをしっかりと紹介していた。

List2

Liveposterw 山口泰一郎は、それなりの年齢であり熊本出身だ。1977年、バークリー音楽院のサマースクールに参加後、プロ活動を開始ということだ。その後一時は音楽工房を設立しアレンジ活動、又音楽監督としてコンサートやレコーディングを担当するという生活もしていたようだ。しかし自分にとっての原点であるJazzピアノに再び魅了されプレイヤーとしての活動を再開、それにより2009年に軽井沢に住むことになった。現在演奏から音楽関係の多岐に渡る活動をしているKaruizawa Jazz Factory の代表でもあり、今は上田市に居住している。

 このアルバムは如何にも1970年代にジャズを愛した青年の素直なジャズへの想いというか心を演奏しているといった感じで好感度は高い。かってのジャズ・ピアノのリリカルな面にもかなり思い入れがあるとみる演奏だ。従って今日においては、アヴァンギャルドなとかフリー・ジャズ的なアプローチというのでなく、過去の”彼自身が惚れ込んだジャズ世界”を今にして描こうとしている非常にオーソドックスなところにある。
 こうして目下の彼に対しての国内に於ける評価というか期待度がどの程度なのかは私は知らないのだが、中央での華々しさの中での位置はどのようなところにあるのだろうか。いずれにせよ、このようなローカルな地での地道な活動を私はむしろ評価したい。日本のジャズ界にはこうしたローカル活動者も含めてかなり層も厚いという感じが感じられる今日この頃である。
 
(アルバム評価)
□ 演奏: ★★★★☆
□ 録音: ★★★★☆

(視聴)

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