Espen Eriksen (p) Lars Tormod Jenset (b) Andreas Bye (ds)
all selections by Espen Eriksen
ノルウェーのピアニストEspen Eriksen、ドラマーAndreas Bye、ベーシストLars Tormod Jensetによるピアノ・トリオの5作目となる最新作。本作はロックダウン中のオスロで2020年4月に録音されたものという。 ほぼ10年前にアルバム『you had me at goodbye』(RCD2096/2010)とうアルバムに接したのが私はこのトリオを知った初めなのだが、当時の記憶としてかなりメロディーを前面に出した接しやすい演奏のトリオという印象であった。そんなことから今回も聴いてみようとしたものだ。
(Tracklist)
1 Where The River Runs 2 Back To Base 3 Dancing Demons 4 End Of Summer 5 Transparent Darkness 6 A Long Way From Home 7 Reminiscence
北欧のピアノ・トリオは、やはりどこか情景的に自然界の不思議さに通ずる演奏モノが多いように感じているが、そこが私にとっては魅力となっている。そこでこの久々に聴いたトリオはどうかというと、まず冒頭の曲M1." Where The River Runs"が、なんと自然界の深遠さを描くが如く曲として登場する。複雑さを避けた非常に聴きやすい美しいピアノの旋律と、ベース、ドラムスは控えめで演じ、やはりそれ程深くなく、又暗くない叙情的曲として迫ってきた。
そしてM2."Back To Base"、 M5."Transparent Darkness"など難しさという感覚は全くなく、淡々と演じていていやらしさが無い。ちよっとその点はある意味では物足りないということにもなるかも知れない。 M3."Dancing Demons"は踊る魔神(守護神)というのだろうか、リズムカルな中にもちょっと伝統的な北欧の地を思わせる。 アルバム・タイトル曲M4." End Of Summer"は、なかなか美しいピアノの旋律が軽快なリズムにのって心地よく演じられ、やっぱり今回の看板曲なんだろうなぁと感ずるところ。これをやりたかったんですね、ジャズというところを超越している。 M6."A Long Way From Home"は、タイトルのせいもあるが、何となく物語的世界。それも派手さは無く、しかし暗くもなくて北欧の物語なんだと想像する。 M7."Reminiscence"は回想と言って良いのか、どこか懐かしさのある抒情性もある世界で、人間性と自然の調和が感じせられる静かでなんとなく哀愁の雰囲気も。
01. I Fall In Love Too Easily 02. Pithecanthropus Erectus 03. Englishman In New York 04. Cielito Lindo 05. I'll Be Seeing You 06. Brave Bull 07. After You Left 08. Strode Rode 09. Linna 10. Kiss From A Rose 11. No Rain, No Rainbow 12. Tennessee Waltz Part-I 13. Tennessee Waltz Part-II
私の個人的期待はバラード調のM01., M03.,M05., M07.に尽きるのだが、M01." I Fall In Love Too Easily"はオープニング曲で、冒頭からバラード演奏で期待度は高めるに十分。思いのほか情感があってピアノの音にも十分と言える良質の澄んだところにあり、録音はミックス効果というところか、良い線をいっている。 M03." Englishman In New York"にきて、いよいよと期待したのだが、この曲にはニューヨークの異国人としての哀感があるのだが、どうもそれが残念ながら十分伝わってこない。演奏する音の中にふと優しさが感ずるところが欲しいような。 M05." I'll Be Seeing You"この曲には期待した。流れに思いやりが感ずるも、もう一歩深入りして欲しい。ドラムスのブラシの音が聞こえてくるが、彼女のピアノばかりが前に出てソロ演奏のように聴こえ、やっぱりトリオとして描き切れていないのでは。 M06." Brave Bull"彼女のオリジナル曲。一生懸命演奏しているのは解るが、トリオの楽しさと味がやっぱり見えてこない。 M07."After You Left" これが問題曲。なんとアレッサンドロ・ガラティのアルバム『Shades Of Sounds』の冒頭の曲。なんと比較するには相手がまずかった。冒頭ベースから入って面白いかなぁと思ったが、ガラティの哀愁が滲み出て心情に触れる世界までには一歩至らずだ。メロディーのジャズ編曲された流れ、打鍵音の強弱に音の間という繊細な世界、更にガラティの中盤のベースと築くジャズ世界に対しては、やはり比較は無理があった。 決定的なのはM12.M13"Tennessee Waltz"で解るのだが、彼女はまだまだ人間の哀愁バラードの世界というのは少々厳しく、M13のようなピアノを思いっきり弾きまくってのトリオとしての構築が好きなんですね。こちらの方が生き生きしていて、そこに魅力を感じたアルバム作りのほうが良いのかも知れない。
Paolo Paliaga (piano : Fazioli F 278 Grand Piano MkⅢ) Dino Contenti (Double Bass, Percussion) Ferdinando Farao (Drums)
Recorded, Mixed and Mastered by Stefano Amerio
過去のアルバムが名門Act Music からリリースされ、既に話題になっていたアルボラン・トリオの新作(自主製作盤)である。 このトリオはリーダーのイタリアのパオロ・パリアーガ(ピアノ)を中心に2005年に結成された。現在のメンバーはミラノ出身のフェルディナンド・ファラオ(ドラムとパーカッション)とディノ・コンティティ(ベース)からなる。このトリオの名前のアルボランは、スペイン・アンダルシア沿岸と北アフリカ・モロッコの間にある地中海の無人アルボラン島に由来しているという。音楽の神秘性を重視し、ヨーロッパ音楽の伝統とアフリカのリズムの魅力に影響された世界を構築するを目指し、彼ら自身のオリジナリティを重視した世界を構築している。 そして今回の注目は、何と言っても今や人気のエンジニア=ステファノ・アメリオが録音担当していて、マスターからミックス全ての行程に関わっての彼のセンスで作り上げたという代物である、よってその音世界も注目のポイント。そしてそれが功を奏して、「ジャズ批評」誌の「ジャズオーディオ・ディスク大賞2020」のインストゥルメンタル部門のトップ賞(金賞)に輝いている(2021年3月号)。まあとにかく、後藤誠一氏、藤田嘉明氏らがベタ褒めであった。
(Tracklist)
1. Les Voix S’En Vont 2. Human 3. Canto Quantico 4. Earth Breath 5. Puerto Natales 6. Multiple Frames 7. In Un Altrove 8. Frug 9. Origine E’La Meta 10. Due Passi Nel Mare 11. Triodiversity 12. Essential Is No Longer Visible 13. Willywaw 14. Arriva Entre Los Picos
やはり思った通りの一通り演奏しましたという感じの出来だ。いつも思うのだが、彼の演奏にユーロ・ジャズの味がどうも感じない。Venus Records との連携の結果であろうか、今回のように一人の作曲者に絞っているので、その対象が何を描きたかったかというところにほんとに踏み込んで演奏しているのかと、ちょっと疑いぽくなってしまう。作品という感じがしないのだ。
ここで前回取上げたマッシモ・ファラオ・トリオのアルバムは、ストリングス・オーケストラとの共演の『Like An Elegant Wine』(VHCD1278/2020)であったが、あれも変化というモノが無く、ポピュラー演奏版といった感じであった。今回もとにかく一通り演奏しました聴いてくださいというアルバムで、ジヤズの面白さというところがあまり感じないアルバムなのである。
そしてこのアルバムの特徴は、トリオにギターを加えたところだが、それもピアノと交互に旋律を奏でるという手法であまり面白くない。ジャズ・ミュージシャンとしてのアドリブや展開の色づけというところでは、ちょっとそのあたりが見えたのがM2."Il Buono Il Brutto Il Cattivo 続・夕陽のガンマン"であった。 まあ、ポピュラー音楽的に、多くの誰にも聴けるというところを狙っての刺激の無い演奏というところではこれで良いのかも知れない。 私が期待したM3."Gabriel's Oboe"、M5."C'era Una Vilta Il West"では、単に旋律をたどった演奏。そしてM10."Playing Love"の「海の上のピアニスト」のテーマ曲、これもあの哀感がもっとあって欲しかった。 いずれにしても映画音楽であるので、もう少し遊び心の展開と、叙情的なジャズ・アレンジが欲しかったと思うのである。しかしこれは単なる私の希望であって、これはこれで"聴きやすさで良し"とするところもあるのだろうと、取り敢えずVenusレコードの希望に添ったものだったのかもと思うのであった。
1.A Twin Thought 2.Uneven 3.Il Sogno 4.Le isole Dei ciclopi 5.In The Night 6.Bluesme 7.Nell'Intramente 8.Inútil Paisagem 9.Triotango 10.Anna 11.In a Cave 12.The Nearness of You
All composed by Stefania Tallini except M8 and M12
オープニングのM1."Blue in Green"はM.Davisの曲( 前作はB.Evansの"Time Remembered"でスタート)で、ここでこのアルバムのイメージを印象付ける。この手法は前作と同じであるが、M.DavisとB.Evansの違いを印象づけたいのか、この彼らの手法はなかなか面白い。ところがこれを聴いて、どうしても"M.Davis/Blue in Green"(B.Evans作とも言われているが)が頭に浮かばない、それはあの『Kind of Blue』における"Blue in Green"はバラードだが、この彼らの演奏はドラムスとベースのリズム隊が演ずる快テンポ曲、そこにピアノ演奏が主役にならずに対等なアンサンブルと化す。最初から驚かされて次に流れてゆく。 そしてM2.からM3のアルバム・タイトル曲"Ancient Blue"に進むに、次第に思索世界に沈み込んで行くも、そこに林正樹のピアノがゆったりとしたテンポで、歴史を探ってゆくかのような世界に導いて、彼らの独特の瞑想性を演じてみせる。 なるほど、このトリオはやっぱり一筋縄では行かない。"心して聴け"と前半は終わる。
中盤M4."uncompleted Waltz"は、須川崇志のアルコ奏法か(どうもCelloらしい)、やや優しさを醸し出すも甘さはない。 私の求める美しい詩情性ある抒情的な世界は、なかなか簡単には現れない。成る程、"Blue"というと、これはどうも重い深い陰鬱な状況の"Blue"なのかも知れない。 しかし、中盤以降は緊迫のスリリングなアンサンブルを織り交ぜ、時には現れるアクション演奏から、次第に趣を変える。 M10."Song for Nenna"に至ると、繊細にして美旋律との世界が林正樹のピアノの音にみられ、その余韻のある世界が哲学的世界に誘い、そして須川崇志のベースがアルコにてにてその流れを支え、次第に遠大な世界に盛り上がる。 M11."Anemos"はピアノ・ソロで、一音一音が静かに余韻の世界で演じられ、思索的心象風景の世界で幕を閉じる。
01. Time 02. Mystery And Illusions 03. Human 04. GG (tp & p duo) 05. The Thief's Dream 06. Hank And Charlie (p-b-ds trio) 07. Compassion (solo piano) 08. Prayer (p-b-ds trio) 09. They Went To War 10. In A Sentimental Mood * 11. Ima (For Talma Maestro) (p-b-ds trio)
もともと私の好みからは、ビアノ・トリオ+トランペットというのは恐らく否定的な方向に感ずる処だ。確かにM4." GG", M5."The Thief's Dream"あたりは、ピアノの美しさがトランペットによって消されてしまう感覚になる。しかし救いは、ECM盤ということで想像していたことだが、全体に寧ろ優しく歌うトランペットであったことだ。 M2."Mystery And Illusions", M3." Human"で意外だったのは、イスラエル的エスニック風の味付けがやはりあるが、それはなんとトランペットの響きから一番感じられるところなのだ。そこがこのカルテットとした味噌なのかも知れない。 しかし中盤に入って、M6."Hank And Charlie " M7."Compassion ", M8."Prayer "はピアノ・トリオのみの演奏で、ようやく美しいピアノ、ベースの休まる音、余韻を大切にしたピアノの音から沈着な世界に美しさが漲る(M7はピアノ・ソロで情緒豊か)。又M6.は故ハンク・ジョーンズとチャーリー・ヘイデンの音楽にトリオが敬意を表している。このピアノ・トリオ・スタイルが私好みの世界のだ。 ところが、M9."They Went To War" が注目曲、ここでトランペットの素晴らしさに浸れる。"彼らは戦争に行った"・・その苦しさ、哀しさが、静かに演じられるトランペットの音に哀しく訴える心が感じられ感動。これがマエストロの描きたい一つの世界とみた。 そしてM11." Ima"でこのアルバムは納められるが、そこには、心のよりどころとなる世界を見事にペットなしのマエストロ・トリオが描くのである。ここには民族的ムードは無く、世界に普遍的に未来志向のムードで響く。
Niels Lan Doky 「Improvisation On Life」 Rambling Records / JPN / RBCP3188 / 2017
Niels Lan Doky : piano Niclas Bardeleben : Drums Tobias Dall : Bass
with Debbie Sledge (of Sister Sledge) on Vocals for “Kiss” and Amanda Thomsen on Vocals for “Kærlighed og Krig” (Love and War)
北欧のJAZZシーンでは中堅的存在であるデンマークのピアニスト、ニルス・ラン・ドーキーNiels Lan Doky (→)。ヨーロピアン・ジャズ・ピアノの知名度の高い群に入ってはいるが、どうも私にとっては今ひとつインパクトに欠けていたせいか、過去に於いてそのちょっと変わった名前をどこかで時に見る程度で来てしまっていた。
昨年末の寺島靖国の人気コンピレーション・アルバムの『JAZZ BAR 2020』に、久々に登場した彼の曲"The Miracle of You"を聴いて、やっぱり少々ピアノの音が軽いが、流麗な演奏には魅力があり、この際一度アプローチしたくなったと言うところだ。 そこで一気に5枚のアルバムを聴いてみたというところで、ここに最も最新のアルバムを取上げることにした。
彼の名義となるピアノ・トリオはメンバーは変わってきているが、かっての"Trio Montmartre" の2001年からの三作『Cafe En Plein Air (カフェ・モンマルトルからの眺め)』(上左)、『Casa Dolce Casa (ローマの想い出)』(上中央)、『SPAIN』(上右) (このトリオはパリのジャズ・ミュージシャンによる日本製作の為のレコーディング・プロジェクトで、ベーシストは、フランソワ・ムータンそして後二枚はラース・ダニエルソンが担当している。ドラムスはジェフ・ボードロー)は、かなり聴きやすいアルバム。
そして2011年のアルバム『HUMAN BEHAVIOUR』(BRO 011)(→)、そしてここに取上げた2017年の『Improvisation On Life』と聴いてくると、やはりそこには美旋律を愛するピアニストの心は常に宿っていて、トリオとしてのジャズの醍醐味を追求しつつ、我々の心に響くところは十分の存在だ。特にTrio Montmartreは、トリオ・ジヤズを極めると言うことより、日本向けにヨーロツパの地名に馴染んだ名曲を取上げての優しい演奏になっている。
(Tracklist) 1.Forever Frank (Niels Lan Doky) 2.Man In The Mirror (Michael Jackson) 3.The Miracle Of You (Niels Lan Doky and Lisa Freeman) 4.Kiss (Prince) feat. Debbie Sledge 5.Langt Højt Mod Nord (High Up North) (Niels Lan Doky) 6.Alone In Kyoto (from a movie “Lost in Translation”) 7.Toots Waltz (Niels Lan Doky) 8.Lady Marmelade (from a movie “Moulin Rouge”) 9.Kærlighed og Krig (Love and War) (Burhan Genç) feat. Amanda Thomsen 10.Don't Know Why (Nora Jones) 11.That's It (Niels Lan Doky) 12.Piano Interlude (Niels Lan Doky) 13.How Deep Is Your Love (Bee Gees)
とにかくインプロヴィゼーション即興演奏が、アルバム・タイトルに出てくるぐらいに、彼らのピアノ・トリオに気合いが入っている。そして冒頭M1."Forever Frank"に自己の早弾きのオリジナル曲をぶつけてきた。しかし相変わらずピアノは名機Bösendorfer 225だと言うが、軽い音である。やっぱりこれは録音法なんでしょうかね、ドラムスの音もバタバタしていてリアル感も少ない。そして気合いが入っている割には、M1.、M2.に感動と言う世界は感じない。 しかしM3."The Miracle Of You"になってガラっと変わってゆったりとメロディーの生きた叙情性たっぷりの美しいピアノ演奏となる。この曲は聴き覚えのある曲だ。この線でいってほしい。 ちょっと意外だが、M4."Kiss"はDebbie Sledgeの女性ヴォーカルが入る。ベースの伴奏と相性が良い中低音を主体としたリズム感たっぷりでの歌声、なかなかジャズ心の芸達者なところを聴ける。後半ニルスのピアノはインプロヴィゼーションの展開となる。成る程ジャズを彩りもって楽しもうというところが見える、なかなかの出来。
M5."Langt Højt Mod Nord" 原曲のメロディーは意外に素直に演奏されるも、ここでもニルスのピアノは即興を織り交ぜて味付けが楽しい。 M6."Alone in Kyoto" 異国の地をゆくをイメージさせるピアノの展開からスタートして、落ち着いた世界に。中盤ベースが深く心を静めるいい役割を演ずる。ピアノの美しさも味がある。 M7."Toots Waltz" ニルスのオリジナル。大半を占めるピアノ・ソロが美しく展開。 M8."Lady Marmelad" 珍しくピアノの低音から始まって、後半の三者によるインプロの醍醐味に進む。このアルバムの一つの主役曲か。 M9."Kærlighed og Krig" 女性ヴォーカルの入る二曲目。澄んだピアノの音、そしてAmanda Thomsenの高音のヴォーカルが入ってトラッドっぽく訴えるように広がる。 M10."Don't Know Why" と M11."That's It " は、ニルスのインプロの世界の緩と急を描く。M11ではドラムスのソロがステックを生かした展開でセンス抜群。 M12."Piano interlude" ピアノ間奏曲を彼のインストで綴り、M13."How Deep Is Your Love"へと流れる。まさにインプロの楽しさを演じて締めくくる。
1. The Beginning And The End 2. Soon 3. Little Brother 4. Meditation in F mi 5. Snow Castle 6. Branduardi 7. Misty Mountains 8. No Moon Night 9. Kansas Skies 10. I Wonder Prelude 11. I Wonder 12. When the day is done
M1."The Beginning And The End"はアルバム『The Sound of a Rainbow』からだが、タイトルからして何やらこの現状の彼らを物語っている雰囲気ですね。そしてこのアルバムを聴いてみて、アレっこんな曲があったのかと思うのは、彼のトリオ・アルバムというのは刺激の無い優美にして安心感の強い曲だけあって、意外に覚えていないことに気がついた。
01. Night Waltz / Enrico Pieranunzi Trio 02. Elizete / The Chad Lawson Trio 03. Morgenstemning / Dag Arnesen 04. C'est Clair / Yes Trio 05. Tangorrus Field / Jan Harbeck Quartet 06. Danzon del Invierno / Nicki Denner 07. Bossa Nova Do Marilla / Larry Fuller 08. Contigo en la distancia / Harold Lopez-Nussa 09. La explicacion / Trio Oriental 10. Soft as Silk / David Friesen Circle 3 Trio 11. Vertigo / Opus 3 Jazz Trio 12. The Miracle of You / Niels Lan Doky 13. New York State of Mind / Harry Allen
冒頭のM1."Night Waltz"は、昨年ここでレビューしたエンリコ・ピエラヌンツィのアルバム『NEW VOSION』(2019)(下左)からの曲。そしてM3."Morgenstemning "が北欧ノルウェーのダグ・アネルセンのかなり前の三部作のアルバム『NORWEGIAN SONG 2』(LOS 108-2/2011)(下中央)からであり、この2枚のアルバムが私の所持しているものであった。その他11曲は、幸運にも私にとっては未聴のアルバムからの選曲であり、初聴きで期待度が高い。 そもそもこのアルバムを愛してきたのは、結構日本にいる者にとって一般的に知られていないモノを紹介してくれていること、又私のジャズ界では最も愛するピアノ・トリオものが圧倒的に多い、更にどことなく哀愁のある美メロディーを取上げてくれていることなどによる。そして初めて知ったものを私なりに深入りしてみようという気持ちになるモノが結構あることだ。更になんとなく欧州系のアルバムも多いと言うことが私の好みに一致しているのである。
M1."Night Waltz"と続くM2." Elizete "は、哀愁というよりはどちらかというと優美という世界。 M3."Morgenstemning" 聴きなれたグリークのクラシックからの曲。ノルウェーのミュージクですね。美しい朝の光を浴びて・・・と言う世界。とにかく嫌みの全くないダグ・アネルセンの細工無しの美。 M5."Tangorrus Field" (上右) 寺島にしては珍しくテナー・サックスの登場。デンマーク出身のヤン・ハルベック。私はうるさいサックスはちょっと苦手だが、彼の演ずるは豪放と言うが、この曲では何故か包容感のある優しさと幅の広さが感じられ、ピアノとの演じ合いに美しさすらある。今回のアルバムには、最後のM13."New York State og Mind"にはHarry Allenのサックスがやはり登場する。 M7."Bossa Nova Do Marilla" は、ボサノバと言いながらも、驚きのLarry Fullerのピアノの旋律を演ずる流れはクラシックを思わせる。 M8." Contigo en la distancia"(下左)、キューバのHarold Lopez-Nussaにしては、信じれないほど哀愁の演奏。いっやーー驚きました。 M10."Soft as Silk" (下中央)、ベーシストのDavid Friesenの曲。どこか共演のGreg Goebelのピアノの調べが心の奧に響くところがあって、この人の造る曲にちょっと興味を持ちました。ベーシストって意外に美旋律の曲を書く人が多い気がしますが・・。 M12."The Miracle og You" (下右)、このピアニストの Niels Lan Dokyって、実は名は知れているにもかかわらず過去に聴いて来なかった一人で、今回ちょっと興味をそそる技巧派ピアノに聴き惚れて、興味を持たせて頂きました。
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