ピアノ・トリオ

2017年6月20日 (火)

アナト・フォート・トリオAnat Fort Trio 「Birdwatching」

自然界から人間を知らしめるアルバム

<Jazz>
Anat Fort Trio   Gianluigi Trovesi  「Birdwatching」
ECM / JER. / 4732357 / 2016

Birdwatchingw

Anat Fort: piano
Gary Wang: double bass
Roland Schneider: drums
Gianluigi Trovesi: alto clarinet

Recorded November 5-7, 2013 at Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano
Produced by Manfred Eicher.

Af3trw  これはイスラエル出身の女流ピアニスト、アナト・フォートAnat FortのECM3作目で、昨年にリリースされたアルバム。
 実はこのピアニストに関しては白紙であって、ここに来て2007年のカルテット作品『A Long Story』から、トリオもの『And If』(2010)、そしてこの近作『Birdwatching』と、一気に彼女のECMアルバム3作を聴いてみたということになった。

 さてこの近作アルバムだが、トリオ・メンバーのGary Wang(b)とRoland Schneider(ds)は、長年一緒の仲と言うことであり、スペシャル・ゲストにイタリアのリード奏者Gianluigi Trovesiをフィーチャーしたカルテット作品。

(Tracklist)
1 First Rays 2 Earth Talks 3 Not The Perfect Storm 4 It's Your Song 5 Jumpin' In 6 Milarepa Part 1 7 Song Of The Phoenix I 8 Song Of The Phoenix II 9 Murmuration 10 Meditation For A New Year 11 Inner Voices 12 Sun

  収録12曲の11曲がFortのオリジナル、他の1曲(M11)はメンバー4人の共作。録音は、2013年11月、スイスにて行われている。

 静かにして、穏やかなピアノ・ソロM1.”First Rays ”からスタート、”最初の光、輝き”ということで、朝の光景だろうか?既に真摯な気持ちにさせる。
 そして続くM2.”Earth Talks ”から Gianluigi Trovesiのalto clarinetが登場。クラリネットの音色から優しさの満ちた世界に。
 しかし、M3.”Not The Perfect Storm ”は意外に荒々しさを感じさせる曲に変わる。
 M4.”It's Your Song ”はクラリネットなしのピアノ・トリオで描く希望に満ちた世界に。
 M5.”Jumpin' In ”は又々印象は変わって不安感が・・・・これは自然界の一つの厳しさを表現か。演奏も極めて現代音楽的で、彼らの内包しているアグレッシブな部分を見る思いだ。
 M6.”Milarepa Part 1”は、再び一荒らし去っての安堵が漲る。
 M7.M8.”Song Of The Phoenix”不死鳥の如く自然の静かにして力強い姿を感ずる
 M9.”Murmuration ”クラリネットが響き、彼女のピアノが追従して不思議な広がりが。
  M10.”Meditation For A New Year ”自然界の姿か、ピアノは躍動と美しさを演じている。
 M11.”Inner Voices ”かなりフリーな演奏で有りながら、4者の思が結ばれる自然への不思議感。
 M12.”Sun”明るい未来感のある静かなピアノ・ソロの響きで終わる。

 予想外のフリーでダイナミックな曲にも驚くのだが、その感情に自然に対応しつつ、やはり静謐にして抒情的、自然の持つ深遠さなどを見事に描ききった作品に思う。今回のアルバム・タイトルを『野鳥観察』にしての”自然の厳しさと美しさとの対話”にしたのは、過去の作品からもごく自然な流れと感じた。

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R1632410w_2 アナト・フォートは、テルアビブ近郊にて1970年3月8日生まれ。ニュージャージー州のウィリアムパターソン大学で音楽を学び、ジャズの即興の探究や彼女のスキルを開発するために1996年にはニューヨークに移動もしている。こうした経過で最初のアルバム『Peel』(Orchard, 1999)を製作した。その後2007年、37歳の時に、Poul Motianのドラムスでアルバム『A Long Story』(→)にてECMデビューをした。
 今回三アルバムを聴くことになって、その結果、これからの彼女の次作も私にとっては気になる存在となった。

(視聴)

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2017年6月16日 (金)

アーロン・パークスAaron Parksピアノ・トリオ作品「Find The Way」

メリハリある抒情派美旋律が聴けるトリオ・アルバム

<Jazz>
Aaron Parks 「Find The Way」
ECM / GER / ECM2489 / 2017

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Aaron Parks (piano)
Ben Street (double bass)
Billy Hart (drums)

Recorded Oct. 10-12, 2015 at Studios La Buissonne, Pernes-les-Fontaines

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51d09vewdvlw アーロン・パークスは、なんと10歳代の1999年からアルバム・デビューしているが、30歳になって(2013年)ピアノ・ソロ・アルバム『Aborescence』ECM/GER/3744401/2013 →)でECMデビューを果した。そして既にここで取りあげたことのあるピアニストだ。あの作品は静かな森、樹木の情景の中の一つの空想、瞑想といった世界を描いたのであろうかと思わせた神秘的情景の作品で注目したのだった。そして今回はピアノ・トリオ作品、ECM2作目である。

 彼は今やアメリカの人気ピアニストで、1983年ワシントン州シアトル生まれで、まだ30歳代の新進気鋭である。
81qjz1hm4hl__sl1400_w_2 私は出逢ったアルバムの古いものと言っても、2008年のBlueNoteレーベルのアルバム『INVISIBLE CINEMA』(with  Mike Moreno, Matt Penman, Eric Harland  Universal.M.C./JPN/UCCQ9018/2014→)であり、近年の話である。。しかしそれ以前から、女性ヴォーカル・アルバム(Monika Borzym , Rebecka Larsdotterなど)のバックでのピアノを演ずることも多く、そんな活躍して来ている。
 今回は、ECMという流れの中でのトリオ作品であって、十分堪能出来るアルバムを仕上げてくれた。

(Tracklist)
1. Adrift
2. Song For Sashou
3. Unravel
4. Hold Music
5. The Storyteller
6. Alice
7. First Glance
8. Melquiades
9. Find The Way

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(Billy Hart,    Aaron Parks,   Ben Street )

 さてこのアルバムは、冒頭の曲M1.”Adrift ”のピアノの流れは、私のあまり好きはでないミニマル・ミュージックに通ずるような奏法から始まって、オヤッと思ったがそれがそのまま続くわけでなく、期待通り美しい戦慄が流れる。この曲ドラムスの叩き込みのアクセントはかなり攻めてくるが、ピアノの美旋律とのバランスが面白い。全編ピアノの音は澄んで美しく、旋律もヨーロッパ的なニュアンスも感じられ、抒情派のムードも悪くない。
 面白いのは、トリオ・メンバーのベーシストはBen Streetと、そしてドラマーBilly Hartの力強さを感ずるダイナミックなリズム隊で、曲によっては快調でメリハリがあってなんとも言えないスリリングな流れを作り上げ、美旋律ピアノとのインター・プレイがなかなか味なもの。特にM4.” Hold Music” は、アルバムの中間部に登場する曲だが、Billy Hart のドラムス主導で異色な仕上げ。そしてそれがM5.”The Storyteller ”、M6.”Alice”に流れて、単なる抒情派ではないトリオによるやや前衛的な響きもあって、現代的なセンスのインター・プレイを聴き取れる。そこにはパークスのピアノも単なる甘いロマンティックというところに止まっていないところが見事である。

 アーロン・パークスのピアノは、全体に不思議に力みというところは感じない。それは感じられる情景を、意外に冷静な中での対応をしていて、それをハイレベルな技法によって生み出される流麗なピアノの響きでもってして表現している事のためか。
 アルバム全体に起伏もあり、抒情的な美しいメロディーも流れて来るので、私にとっては納得のアルバムだ。以前聴いたBlue Note盤の『INVISIBLE CINEMA』と比べると、むしろ取っつきやすいアルバムである。これはECM効果の結果だろうか。

(参考)  Aaron Parks  :  Discography
         The Promse  1999
         First Romance  2000
         The Wizard  2001
         Shadows  2002
         Invisible Cinema  2008  Blue Note
         Alive in Japan   2013
         Arborescence   2013  ECM
    Find The Way  2017   ECM

(試聴)

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2017年5月23日 (火)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi 「MÉNAGE À TROIS」

やっぱりエンリコのピアノは流麗にして美しかった

<Jazz>
Enrico Pieranunzi・André Ceccarelli・Diego Imbert 「MÉNAGE À TROIS」
BONSAI / IMP / BON160901 / 2016

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Enrico Pieranunzi (piano)
Diego Imbert (double bass)
André Ceccarelli (drums)
Recorded on Studio de Meudon, Meudon, Frabce  at 12-15, Nov, 2015

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 CAM Jazzとの独占契約の解除があって以来、ちょっとこのところエンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziはその活動も多方面に広がって、そのピアノ作品は若干難しい面もあったりして少々構えている私で、そんな事から今回このニュー・アルバムにはすぐに飛びつかず様子を見ていた私でありました。ところがブログ友爵士さんは昔からのファンだけあってやっぱり静かにしている私に薦めているので、結局のところ聴くことになったという次第。

 今作はフランスのBonsai Musicにて録音した注目のトリオ新作だ。それもクラシックとの融合を図った演奏と言うことで、やっぱり気になる作品でもある。

1797bigpmgrandw1  大体アルバム・タイトルの「MÉNAGE À TROIS」が凄い。これってフランス語で”三人婚”の事ですね、一般には男1+女2で平和な暮らしを営むという私には信じがたい状態。それはこの場合、イタリア人のエンリコ+フランス人二人のトリオってことでしょうか?、それともドラムスはエンリコの長年の朋友アンドレ・チェカレッリ(→)で、それが「2」で、それにベースのフランスのジャズ界のディエゴ・アンベールを加えた「2+1」なのか、とにかく洒落ていて難しいです。私はエンリコのフランスでの遊び心を何処かに秘めたのではと想像もするのだが・・・・。

(Tracklist)
1. Mr. Gollywogg (d'après Gollywogg's Cake - Walk de C. Debussy) 03:57 (Enrico Pieranunzi)
2. 1 ère Gymnopédie 03:47 (Erik Satie)
3. Sicilyan Dream (d'après Siciliano, BWV.1031 de J.S. Bach) 04:42 (Enrico Pieranunzi)
4. Medley: La plus que lente / La moins que lente 07:15 La plus que lente 02:07 (Claude Debussy) La moins que lente 05:08 (Enrico Pieranunzi)
5. Hommage à Edith Piaf (XVème Improvisation, Hommage à Edith Piaf) 04:44 (Francis Poulenc)
6. Le crépuscule 04:00 (Darius Millhaud)
7. Mein Lieber Schumann I (d'après Davidsbündlertänze Op.6 (No.2) de R. Schumann) 07:06 (Enrico Pieranunzi)
8. Medley: Romance / Hommage à Milhaud 05:00 Romance 01:25 (Darius Millhaud) Hommage à Millhaud 03:35 (Enrico Pieranunzi)
9. Mein Lieber Schumann II (d'après Carnaval de Vienne Op.26, Allegro, de R. Schumann) 07:05 (Enrico Pieranunzi)
10. Hommage à Fauré (d'après Improvisation, 5ème des « Pièces Brèves » Op.84 de G. Fauré) 04:38 (Enrico Pieranunzi)
11. Liebestraum pour tous (d'après Liebestraum No. 2 de F. Liszt) 04:18 (Enrico Pieranunzi)

 いっや~~なかなか百戦錬磨のエンリコだけあって、単なるクラシックものとは全くの別物です。やっぱりジャズですね。原曲の面影は無いでは無いが、やっぱり一筋縄ではゆかない(良い意味ですが)彼の色彩濃いジャズ化の世界。エンリコの編曲と彼の作曲をドッキングしたりしての快作。つまりクラシックの名曲はあくまでも彼のジャズの誘導の素材でしか無いと言っても良いくらいだ。

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 さて登場する曲は、ドビュッシー、サティ、バッハ、シューマン、クープラン、リストといった作曲家だ。
 バッハと言えば懐かしのジャック・ルーシェを思い出すが、M3.”Sicilyan Dream ”に登場。バッハのイメージはあるが、ルーシェのようにその曲を生かしてジャズにしたというのでなく、全くの別物。つまりエンリコのジャズにその味を効かしたというパターン。編曲の凄さが出ている。
 しかし彼にはバッハよりはドビュッシーのほうが合いますね。それはM4.”La plus que lente / La moins que lente ”で味わえる。静かな世界をリリカル路線で聴かせるせるが、後半は彼の曲をドッキングさせて、それはなんとスウィングさせてのジャズ世界。いやはや遊び心も持ち合わせたピアノ達人だ。
 M5.” Hommage à Edith Piaf ”これは哀歌ですね。フランスの誇るシャンソン歌手エディット・ピアフへのオマージュだ。
 M7.”Mein Lieber Schumann I”シューマンを演ずるエンリコは、彼のベースに流れるクラシックの味そのものを生かしつつ演ずるジャズの流れる美しさに堪能する。
 M8.”Romance / Hommage à Milhaud ”これは彼の得意のクラシック流世界。そして気持ちを安らげる1曲に仕上がっている。
 まあこのように多彩な世界を演じてくれるエンリコのドラマティックで情熱込めたピアノ・プレイでありながら、彼の持つリリカルなところがしっかり織り込まれた快作だ。

 エンリコのクラシック楽曲を知り尽くしての演奏に、どちらかというとジャズ・ピアニストとしてのアレンジの妙にウェイトが置かれていて、それに更にインプロヴィゼーションが加わって、その融合の名演奏のアルバムと言って良いのでは思う。

(視聴)

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2017年5月 7日 (日)

マーク・ジョンソンをフィーチャーしてのサン・ビービー・トリオSøren Bebe Trio 「EVA」

北欧とNYで生み出す静寂感溢れる美しい世界

Sb1_2 ”北欧の風景が聞こえてくる”とまで言われているピアニスト=サン・ビービー(ソレン・ベベ)のトリオ新作『HOME』(FOHMCD008)を先日紹介したところだが・・・・・、
 その前2013年にはマーク・ジョンソンをフィーチャーしての『EVA』をリリースしており、これも又”深い透明感と牧歌的な美しいメロディー”と表現されるに十分なアルバムで、ここで取りあげておく。

<Jazz>
SØREN BEBE TRIO featuring MARC JOHNSON 「EVA」
Spice of Life / Imp. / SOL SV-0029 / 2013

Eva

Søren Bebe : Piano
Anders Mogensen : Drums
Marc Johnson : Double Bass
Recorded on Sep. 2nd & 3rd 2012 at SEAR SOUND,Studio V,NEW YORK


 これはデンマークのサン・ビービーの第4作目になる作品だが、ベーシスト=マーク・ジョンソンを迎えて、長年のお付き合いのドラマー=アナス・モーンセンとトリオを組んでのニューヨークのシェア・サウンドで録音されたアルバムである。
  マーク・ジョンソンと言えば、ビル・エヴァンス・トリオの最後トリオのベーシストであるわけで、サン・ビービーにとっても記念的貴重盤となったものであろう。ついでに一言、あの女流ピアニストにしてシンガーのイリアーヌ・イリアスEliane Eliasの旦那様でもある。

Evalist 収録曲は右のような11曲。ドラマーのモーンセンの曲が2曲。残りの9曲はサン・ビービーのもので全オリジナル曲集だ。
 相変わらずサン・ビービーのピアノは優美にして透明感ある像を描く。又モーンセンのドラムスは、シンバル、ブラシを駆使してこれ又繊細にして背景を静寂感に包む。そしてマーク・ジョンソンのベースも、彼らの世界に歩調を合わせた如くの控えめであるが、美しいメロディを演じてくれる。

  M1.”Freshman”冒頭から透明感あるピアノが、飛び込んでくる。続くM2.”For L.R.P.”クラシック調の優しい曲に・・・・。
 M4.”Luft/Air”のその名の通り、空気感が凄い。
 M5.”Flying High”あたりは、ジョンソン効果でピアノとベースの掛け合いがあって、ニュー・ヨーク的雰囲気もあるがやっぱり最終的には北欧世界ですね。
Marcj M8.”One man band”も珍しく押してくる曲だが、ジョンソンの存在感を示すベース・プレイが注目されるが、やはりここでもメロディアスなピアノ・プレイに美しさがあって落ち着いた味を描く。
 M9.”Eva”、これは女性の名前でしょうか、このアルバムのタイトルにもなっている曲だが、そこには控えめな優しいベースとピアノがメロディを交互に演じて美しく仕上げてる。 
  M10.”Change”は、ピアノとベースの和音、ベースのメロディ、そしてピアノの流れがやっぱり優しく静謐な世界を描いてくれる。

 明らかにサン・ビービー・トリオに、一層のベース効果を味わうことがマーク・ジョンソンにして成し遂げられ、このトリオの充実効果に厚みの部分に一役買っていることは事実だ。相変わらずこのアルバムも、サン・ビービー流のスウィングやアクセントのビートとを効かすというものではなかったが、私的にはそれには全く不満はなく納得の良盤の位置にある。

(試聴)

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2017年4月29日 (土)

サン・ビービー・トリオSøren Bebe Trio ニュー・アルバム「HOME」

究極の北欧ピアノ・トリオ美学!!

Søren Bebe Trio「HOME」
FROM OUT HERE MUSIC / Denmark / FOHMCD008 / EU

Home

All compositions by Søren Bebe

Søren Bebe - Piano
Kasper Tagel - Bass
Anders Mogensen - Drums

Recorded Nov. 2015 by Boe Larsen at MillFactory, Copenhagen
Mixed & Mastered by J.E.Kongshaug at Rainbow Studio, Oslo

  ピアノ・トリオ・アルバム『From Out Here』『A Song For You』(参照:この2アルバム、既にここに5年前2012年に取りあげた)で、北欧の美しさを焼き付けられた私にとっては、非常に印象のあるサン・ビービー・トリオSøren Bebe Trioが、ここに来てニュー・アルバムをリリースして来た(おそらく第5弾だ)。

 サン・ビービー(実は彼のこの名前の発音はこれで良いか、"ソレン・ベベ"?いまだに自信がありません)はデンマークを拠点に活躍している新鋭ピアニスト。2004年にデンマークの"Royal Academy Of Music"を卒業、2006年から旧友であるAnders Mogensen、同年のデンマーク「Summer Session」で知り合ったNiels Ryde(electric Bass)とトリオを結成。2008年にはMusic Meccaからこのメンバーでアルバム『Searching』を発表し、ピアノ・トリオ・ファンから注目を集めた。新鋭とはいえ既に10年以上のキャリアを築いてきており、第3作『A Song For You』からベースはKasper Tagel(double Bass) に変わっている。

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List1_2  収録曲は右のような全11曲、全てリーダー・ピアニストのサン・ビービーによるもの。
 とにかく北欧の自然たっぷりの静まりかえった美しい世界が頭に浮かんでくるフレーズに満ちあふれているアルバム。
 ピアノはあくまでも透明感の高い美しい調べを演じ、ベース、ドラムスもそれに呼応して心安まる自然風景を刻み込む。

 既に前作までに彼らのトリオ作品は・・・・・”ピアノはリリカルなピアニストとしてビル・エヴァンスからキース・ジャレットの延長線上にある。そしてビートは何を加えてかというと、夜にひっそりと咲く花のように悲しいメロディーを持った、民謡にも似たシンプルな感性である”・・・と評されている。このアルバムもその流れで、まさにその世界を描き、私にとっては何にも変えられない美世界である。それもクラシック調の味に北欧ジャズのインプロヴィゼーションの醍醐味も加味された世界をしっかり構築している。

 とにかくスタートのM1.”The Path to Somewhere”の曲名どおり、硬質にして繊細なピアノの美音が響き、この世界はどこに連れて行ってくれるのか、全身任せたくなる深遠にして安定感の美学に浸れる。
 中盤のM5.”A Simple Song”、M6.”Haarlem Landscape”などは、彼らの余裕の世界であるが、やっぱり美しい。
  M10.”Home”はその通りの安堵の世界。
 そしてその流れは破綻すること無く、終曲M11.”Tak”まで、しっかりとTotal Playing time 45分間流れ、時の経過も忘れる北欧の空想の世界である。
 北欧の静謐な美学を求めるなら絶対お勧めアルバムだ。

                *           *          *

Eva_2 実はこのアルバムの前には、2013年にサン・ビービーは名ベーシストのマーク・ジョンソンMarc Johnsonをフィーチュアーして、ピアノ・トリオを組んで、
 アルバム『EVA』(Spice of Life / SOL SV-0029 / 2013 →)
・・・・・をリリースしている。
 このアルバムも美しさは群を抜いている。今回このアルバム『HOME』と同時に私の名盤仲間に入れたので、又後ほど取りあげたいと思っているところだ。

(視聴)”The Path to Somewhere” from 「HOME」

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2017年4月24日 (月)

ジョエル・レンメル・トリオJoel Remmel Trio 「SOME THINGS NEVER CHANGE」

美旋律ジャズでありながらフリー・インプロヴィゼーション展開重視

<Jazz>
Joel Remmel Trio「SOME THINGS NEVER CHANGE」
Atelier Sawano / JPN / JRT003 / 2016

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Joel ‐ Rasmus Remmel : piano
Heikko ‐ Joseph Remmel : bass
Aleksandra Kremenetski : drums

  取りあえず2013年の1stアルバム『LumeKristall』から注目してきた東欧はエストニアの若きピアノ・トリオの昨年リリースされた3rdアルバム。
 今回のアルバムは過去の2作よりは一歩前進というか発展というか進化を示していると思う。聴きやすいメロディーを取り入れた曲を主とするところから脱却して、おそらく即興を重視したややスタイルを複雑にした曲のため、ちょっと評価に躊躇するところがあって、しばらく横に置きっ放しになっていた。しかし彼らの流れは注目価値ありというところで、そのため遅まきながら今になってここ登場することになった。

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(Tracklist)
1. Kolmekesi Paadis
2. Stepping Into The Basement
3. Some Things Never Change
4. Taevatahed Laulvad
5. By The Book
6. Vaikse Aja Ilu
7. Mul On Hea Jeesuses
8. Turn Out The Stars

 殆どが、ピアニストのJoel Remmelの曲だが、女流ドラマーのAleksandra Kremenetskiの曲も1曲(M4)登場。

 オープニングから、メロディ中心と言うよりは、演奏のスリリングな交錯がみられるフリー・インプロヴィゼーションの展開となる。メロディの美しい欧州のピアノ中心のトリオ曲というところから完全に脱却を図っている。もともとフリージャズ世界に足を入れていたところがあるようで、過去の2作品にもそんな因子が顔を出していたが、若いといえども結成して7年経過したこの3rdでは、思い切ってその世界に展開を広げた感がある。
 アルバム・タイトルとなっているM3.”Some Things Never Change”は、ベースの低音からスタートとして次第にメロディーの美しさを交えつつも、やや前衛的ジャズ印象を貫いて展開するため、聴く方はこれらの多様なスタイルについて行けるかがポイントだろう。
 M6.”Vaikse Aja Ilu”では彼らの特徴であるピアノ・メロディの美しさと、変調する中にも優しい展開が支配し、ここにきて彼らの過去のアルバムの美しさを思い出した。それもそのはずこの曲1stアルバムにも登場していたもの。後半に入ってのインプロヴィゼーションに手を加えている。そして最後の1分間は安堵の流れを聴かせてくれて、なにかほっとする響きで終える。
 そしてM7.”Mul On Hea Jeesuses”では、この曲の前半はクラシック流の美ピアノの音で支配して、後半は一転してやや荒々しい古典的ピアノ・ジャズと化すという変化のアレンジを見せる。
 M8.”Turn Out The Stars”は最終トラックにふさわしいこのアルバムの締めくくりである。ビル・エヴァンスの曲のアレンジだ。それは美しいメロディのみに止まらない彼らの姿勢を変調ジャズにて示すのだ。

  進化する若きトリオの1シーンを感じさせるアルバムであった。

(視聴)

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2017年4月16日 (日)

ベネディクト・ヤーネル・トリオBenedikt Jahnel Trio 「THE INVARIANT」

流麗なピアノと風格あるクラシック調な哲学的ジャズ世界

<Jazz>

Benedikt Jahnel Trio 「THE INVARIANT」
ECM / JERM / ECM2523 5712837 / 2017

Theinvariant

Benedikt Jahnel: piano
Antonio Miguel: double bass
Owen Howard: drums

Recorded March 2016 at Rainbow Studio, Oslo
produced by Manfred Eicher.

 ECM盤が続きます。前回、Julia Hülsmann Trio の『Sooner and Later』を取りあげたが、あのアルバムのジャケからふと思い出したアルバム。私はジャケに結構拘っているのですが、訴えてくる印象が似ているのでこのアルバム『THE INVARIANT』を再考するに至った。
 ところがなんとジャケ(Cover photo)の作成者をみると、『Sooner and Later』のLiner photosを担当したArne Reimerという人の写真によるものだった。
 まあそれはそれとしてこれもドイツですね、ベルリンを拠点にして活躍中のピアニストのベネディクト・ヤーネルBenedikt Jahnel によるトリオ作品。5年ぶりのECM第2作目となるもの。
 このアルバムのタイトルは「不変」と訳せば良いのか、いずれにしてもこのトリオ結成して10年と不変で来たようで契りは深い。そのトリオ・メンバーはスペイン人ベーシスト、アントニオ・ミゲルと、カナダ人ドラマー、オーウェン・ハワードと国際的。

(Tracklist)
1. Further Consequences
2. The Circuit
3. Mirrors
4. Mono Lake
5. Part Of The Game
6. For The Encore
7. Interpolation One
8. En Passant

 曲は全てベネディクト・ヤーネルによるもの。彼は1980年生まれのドイツ人、2000年にベルリン芸術大にて学位取得し、2005年米国N.Y.に渡り、2007年にベルリンに戻っている。

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 とにかくオープニングM1.” Further Consequences ”から聴かれる彼のピアノはクラシック調にして流麗そのもの。その曲名も哲学的であり描くところも深い。それがECM流に流れて、M2.”The Circuit ”に繋がって行く。
 そして9分以上のM3.” Mirrors ”には、その深遠な世界にはまってしまう。
 M4.” Mono Lake ”は、やや安堵感が漂ってほっとする。
 M5.”For The Encore ”は欧州的美の広がる静謐さが感じ取れる優しい曲。
 M7.”Interpolation One ”のベースとピアノの音で描く暗さは凄いが、M8.”En Passant ”で一転して明るい陽光の差す様な世界に、そして流麗なピアノの調べを経て静かに幕を閉じる。
 はっきり言って、曲の流れは聴きやすく難解では無い、しかし描く世界の哲学的世界は深い。しばらく解釈に時間がかかって横に置いておいたが、今こうして聴き直してみると、これはなかなかハイレベルな格調高い名盤です。

(視聴)

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2017年4月12日 (水)

ジュリア・ハルスマン・トリオJulia Hülsmann Trio 「Sooner and Later」

ECM流のピアノ・トリオ・アルバムだが・・・・高尚の一言

<Jazz>
Julia Hülsmann Trio 「Sooner and Later」
ECM / JERM / ECM 2547 / 2017

Soonerandlater

Julia Hülsmann(p)
Marc Muellbauer(double bass)
Heinrich Köbberling(ds)

Produced by Manfred Eicher
Recorded Sep. 2016, Rainbow Studio, Oslo

(Tracklist)
1. From Afar *
2. Thatpujai *
3. You & You +
4. Biz Joluktuk 
5. All I Need
6. The Poet (For Ali) -
7. Offen -
8. J.J. *
9. Soon *
10. Later +
11. Der Mond *
(Composer : "*印"Julia Hülsmann、  "+印"Heinrich Köbberling"、  "-印"Marc Muellbauer)

Julia_huelsmannw 1968年生まれのドイツの女流ジャズ・ピアニストにしてコンポーザーのジュリア・ハルスマンのピアノ・トリオ作品。
  彼女はベルリンを拠点にしてのベテラン・ジャズ・ピアニストだ。このところはクインテット、カルテットという作品が続いていたが、久々の6年ぶりのトリオ作品と言うことだ。

 まずECMと言えどもジャケの印象は更に地味で、そしてそこには日常の姿をしっかり見つめようとする想(こころ)を感じ取れる。
 そして演奏は明らかに”ECMサウンド”で、物静かに哲学的に流れて行く。演奏の特徴は彼女の名前を冠したアルバムだが、ピアノが決して前面に出て振る舞うと言うところがないところだ。三者の対等なるトリオ演奏が聴きどころ。

  とにかく、M1、M2と冒頭から詩的な世界が広がる。そしてその流れはM3, M4ても同様だ。刺激性の無い演奏が彼らの持ち味として安定性の感覚を聴く者に及ぼしてくる。
 これはどこかで見たが「文学性の演奏」と言わしめる世界なのである。全編、静かに流れるが、これは単なる抒情性とか美旋律といったところとは異なるのだ。ただし静かな流れと言っても、快調なリズムをも展開する。とにかく高尚という言葉に尽きる演奏なのだ。
 あまりにも整然とした演奏に、はっとするような山が無いと言えばそうなのだが、従ってなんとなく始まって、快く聴いてなんとなく終わるというアルバムなのである。そんなところは北欧ものの大自然をイメージするとか、逆に南のイタリアにおける演歌調を味うとは違っている。これが・・・ドイツなのか?。
 なにせ、花粉症の季節、抗アレルギー剤を内服しているせいか、聴き入っているとすぐ寝てしまうのである。

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  収録11曲中の殆どの9曲が彼らのオリジナル曲(ジュリアが5曲)であるが、作品紹介をみると・・・・、"ツアーでヨーロッパ、アメリカ、ペルー、中央アジア、中国も一緒に廻ったとのことでアジアでの演奏は「自分たちの世界を広げてくれた」という。M-4”Biz Joluktuk ”はその中央アジアでのツアー時にキルギスで12歳のヴァイオリニストが弾くのを聴いた曲に インプロヴィゼーションを施したものと言うのだ。
 M-2”Thatpujai ”ドイツのピアニスト、ユタ・ヒップのソロで聴かれるフレーズをテーマにしているとか"・・・・など、彼らの印象を受けたものにインプロヴィゼーションを繰り広げた曲群のようだ。
 結論、こうした真摯な高尚なアルバムも好感が持てるし私にとっては価値あるアルバム。

(視聴)

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2017年3月14日 (火)

ヘルゲ・リエン・トリオHelge Lien Trio「GUZUGUZU」

ノルウェーから極東日本との更なる深まりが・・・・・・

<Jazz>

Helge Lien Trio「GUZUGUZU」
ozella music / GERM / OZ070CD / 2017


Guzuguzu

Helge Lien(p)
Frode Berg(b)
Per Oddvar Johansen(ds)

All music composed by Helge Lien
Recorded and Mixed on Raimbow Studio , Oslo, Sept.2-4 2016

 ノルウェーのヘルゲ・リエンのピアノ・トリオによるニャー・アルバム。彼のカメラ好きによる写真ジャケのアルバム『Natsukasii』はインパクトがあったが、あれは2012年だったんですね。あのアルバムの抒情性に惹かれてから彼のファンになってしまった。それも私のカメラ好きと、なんとピンク・フロイド好きが彼と一致していることもあって、なお共感してしまったと言うことなんです。
Lienjohan2
 その後このトリオのドラマーは、ペル・オッドヴァ―ル・ヨハンセンに2013年に代わった。そしてアルバム『Badgers & Other Being』発表して2014年に来日。その際には新潟県のライブ会場での一コマで、屋外で彼と一緒に皆既月食を観たり撮影したのを思い出しますが(8, Oct, 2014)、あのアルバム以来3年ぶりの新生ヘルゲ・リエン・トリオ第2弾(通算5作目)だ(今回のカヴァー・デザインは替わって、リエン作ではないですね)。
 そしてこの4月は、またまた来日公演のスケジュールとなっている。

Trio2

 日本好きのヘルゲ・リエンとは言え、アルバム・タイトル”Natsukasii懐かしい”で驚かされたが、今回アルバムは下のTracklistを見てのとおり、なんと日本語の擬音言葉を曲名として創作されたオリジナル曲によって構成されたものとして登場となった。

(Tracklist)
1.Gorogoro (thundering)
2.Guzuguzu (moving slowly)
3.Nikoniko (smilling
4.Garari (completely)
5.Jasmine
6.Chokichoki (cutting)
7.Kurukuru (spinning around)
8.Shitoshito (raining quietly)


Hl1w M1.”Gorogoro”って"thundering"って言うのですから雷鳴ですかね?。転がるようなピアノ演奏、ベースのアルコ奏法による黒い雲の襲うイメージ、そんなところで聴くと面白いのだが・・・・それにしては美しすぎるか。
 M2.”Guzuguzu” ("moving slowly"の意味というのもちょっと"?"だが) これはピアノとドラムスの掛け合いが面白い。

  彼は、ミュージックというものに関わることになったのは、ピンク・フロイドがその大きな因子であると何時も語っている。
  彼のオリジナル曲、そして演奏は、ある時は郷愁的優しさのあるメロディーを聴かせ、またある時はやや前衛的なスリリングな味つけをしてインパクトの効いたドラマティック展開を聴かせる。伝統的ジャズ手法による美に加えインプロヴィゼーションによる革新性(何方かが言っていた言葉ですが私は納得)を追求するタイプだ。今回のアルバムもそんな因子を持って迫ってくる。写真で言えばややスモーキーな柔らかい像とコントラストの効いた堅めの像との絶妙な交錯といった感覚でその点が上手い。

 M3.”Nikoniko” (smilling) は、なかなかピアノ表現が難しいと思うが、優しいピアノの音が響く印象の曲に仕上がっている。
 M5.”Jasmine”は、この中でも趣向が変わって異国情緒。
 M6.”Chokichoki” (cutting)や M7.”Kurukuru” (spinning around)の躍動感と陰影とがドラマチックで、叙情性とは別物。彼らのこれからの一つの方向性を感じさせる演奏だ。
 M8.”Shitoshito” (raining quietly) しっとりとした雰囲気でアルバムを納めるのである。

      *          *

 とにかく、今回のアルバムはテーマがユニークそのもので(ウォーターズのピンク・フロイドの頃の手法も感ずる)、何か一歩脱皮というか、壁を破りたい試みというか、前作もそうだったがヘルゲ・リエン・トリオとしての挑戦も感じられる。それは平坦な叙情にのみ収まりきれない何かエネルギーの発露を求めたような印象を持つのである。

(参考視聴) 映像はニュー・アルバム関係は見つからず・・・・参考までに前作から

  *   *

(試聴) ニュー・アルバムから”Jasmine”

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2017年2月28日 (火)

アレッサンドロ・ガラティAlessandro Galatiのニュー・アルバム「COLD SAND」

 アレッサンドロ・ガラティ・トリオが澤野から登場

 澤野工房であるから、北見柊のライナーが付いている。そして・・・・

Listen to the silence -静謐を聴け
彼方なる天より滴る美音の雫
イタリアが生んだピアノの魔術師
Alessandro Galati が創造する「音時空」

 ・・・・と、言う発売前の宣伝文句に圧倒されますね。これがほんとなら絶対に買いです(笑)。

<Jazz>
Alessandro Galati Trio 「Cold Sand」
ATELIER SAWANO / JPN / AS 155 / 2017

Coldsand

Alessandro Galati: piano
Gabriele Evangelista: bass
Stefano Tamborrino: drums

Recorded on 13,14 September at Artesawano, Cavalicco, Udine, Italy

(Tracklist)
01. Cold Sand
02. Mob Sick
03. Lucy's Eyes
04. Nina
05. Nothing Much to Say
06. Schosty
07. Here, There & Everywhere
08. Here
09. There
10. Everywhere
11. Nowhere
12. Uptown

 前回のイエローのアルバム・ジャケから今回は薄ブルーですね。アルバム・タイトルの「Cold Sand」そのものです。
 とにかく今回のアルバム、個々の曲は勿論それぞれ素晴らしいが、とにかくアルバム・トータルに私は絶賛してしまう。”澤野工房よくやってくれました”というところ。
 私はアレッサンドロ・ガラティは、あの1994年に録音したクラシック・カーのジャケ・アルバム『Traction Avant』に痺れてからのお付き合いだ。今作はあの作品は私の場合勿論リアルタイムではないのですが、20年経ってのものなんですね。私にとってはいよいよ彼のトリオの最高峰に到達した感があります。ここに来るまでには彼のアグレッシブな実験作もあって、それを乗り越えてこのアルバムに到達した嬉しさは格別である。
  ライナーの北見柊の表現する「透明感のある音色、空間の広がりを感じさせる演奏、そして何より、我々の琴線に触れるオリジナルのメロディ・ライン」という当にその世界である。

Trio

 収録曲12曲、M07”Here, There & Everywhere ”はLennon-McCartneyの曲で、それ以外10曲ガラティのオリジナルである。
  とにかく全編哀愁に溢れたピアノの音とメロディが、なんと言えない空間を持ちながら心の奥に滲みこんでくる。
 M8.” Here ”、M09. ”There” などが典型的だが、ベ-スとドラムスがピアノの響きを浸透させてワンテンポ遅れて畳み込んでくる。この絶妙なタイミングもたまらなく快感だ。いっやーー、そして確かにこの深遠な世界は久々の感覚になる。
 又M01. ”Cold Sand”、M05. ”Nothing Much to Say”のメロディー・ラインはもうたまらなくその流れに浸りきれる。

 これはおそらく日本のガラティ・トリオ・ファンを意識してのサービス作品集ではないだろうか?、それ程日本人である我が心に響くのである。
 そして今年はまだ早いのに、今年度のナンバー1に取りあげられることになるだろうと思う快作である。 ユーロ・ジャズに傾倒していて、こんな一枚に出会えることはほんとに幸せを感ずる。

(参考視聴)

(試聴)

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