ピアノ・トリオ

2018年4月 7日 (土)

アレッサンドロ・ガラティ Alessandro Galati Trio 「OUTER GOLD, INNER LOAD.」

[My Photo Album (瞬光残像)]   四月の高原

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「融雪の時・・・」-2-

優しく美しくそして深遠に・・・・スタンダードもガラティの世界

<Jazz>
Alessandro Galati Trio 「OUTER GOLD, INNER LOAD.」
ATELIER SAWANO / JPN / AS 161 / 2018

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Alessandro Galati: piano
Gabriele Evangelista: bass
Stefano Tamborrino: drums
Recorded on 21,22/08/2017 at Artesuono Recording Studios UDINE, ITALY.
Recorded, Mixed & Mastered STEFANO AMERIO

  いやはや、優しいアレッサンドロ・ガラティ・トリオのアルバムが登場しました。かっては、日本では彼の作品はBLUE GLEAMがリリースしてきたんですが、近年は澤野工房ATELIER SAWANOが担当していますね。昨年の『Cold Sand』(AS 155)を筆頭に、かってのガラティの哀愁の美旋律を呼び込んでくれてます。そして今回はなんと「澤野工房が作品を企画・制作するにあたって常に拘ってきたポイントが二つある。フォーマットとしてピアノ・トリオであることと、素材がスタンダード・ナンバーであること。ジャズという音楽を多くの方に届けたい、それもでき得ることなら生活の一部となるような心地よさと共に・・・」ということの事で誕生した一枚。
 メンバーはこのところ固定したトリオで、とにかく優しく優しく包んでくれるようで美しく深遠なピアノ・トリオでのスタンダード集が誕生したのだ。
  そして録音、ミックスは今時の注目株ステファノ・アメリオだ。

Agtrentinoinjazz(Tracklist)
01. Alone Together (A. Schwartz)
02. Blue Monk (T.Monk)
03. Caravan (D. Ellington)
04. Falling in Love with Love (R. Rogers)
05. Django (J. Luis)
06. Sunny  (B. Hebb)
07. Garota de Ipanema (a.c. Jobin)
08. How Deep Is the Ocean (I. Berlin)

 演奏は、有名なスタンダード曲を、とにかくガラティ流の編曲で優しさに溢れている。そして録音もそれに準じて刺激の無い優しさを出して、聴くに非常に快感である。ピアノはそれほど前面に出ず、ドラムスはやや奥に位置するがシンバル音は繊細に美しく伸びている。これがアメリオ流だ。
 実はこれに平行して、あの寺島靖国がなんとアレッサンドロ・ガラティに、このアメリオと共に挑戦していて、そのアルバムもTERASHIMA RECORDSから近々リリースされる。アルバム『Shades of Sounds』(TYR1062/2018.4)だ。とにかく楽しみなのである。 まあ1994年のアルバム『TRACTION AVANT』(VVJ 007)以来ガラティ・ファンの私にとっては、当に嬉しさいっぱいのこの春である。

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 このアルバムで驚いたのは、私が子供の頃から好きなM03." Caravan" (D. Ellington)が、あの疾走するリズムと打って変わってスロー・ナンバーでしっとり聴かせるのである。ガラティは自己のオリジナル曲によるアルバムに拘りがあるというだけあって、こうしてスタンダード取りあげさせると、それは素材でしかなくやはり彼自身の世界に溶け込ませるのである。
 又、そうは言ってもM02." Blue Monk" (T.Monk)M04. "Falling in Love with Love" (R. Rogers)では、スウィング感をしっかり描いて、決してジャズの楽しさも忘れては居ない。
 M07. "Garota de Ipanema"  (a.c. Jobin)のブラジルからユーロへの変容がこれまた聴いての楽しみというところだ。
 
 まあとにかくこのガラティの世界はスタンダードものにしても、究極は彼自身の世界そのものであって、自分のオリジナルと大きな変わりは無い。つい数年前にはやや実験色の強いスリリングな世界を”アヴァンギャルドavant-gardeな”と思わせる革新的なところをかなり試みていたが、このところ彼の本質的なユーロの美旋律に原点回帰していて私にとっては至福の世界である。
 ここで下手な評論は止めて、是非とも聴いて頂くことをお勧めして、もうすぐに出る寺島レコードにも期待しつつ一締めとする。

(評価)
□ 演奏 ★★★★★
□ 録音 ★★★★★

(参照) アレッサンドロ・ガラティ(灰とダイアモンドと月の裏側の世界)

(参考視聴) 

  *   *   *

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2018年4月 4日 (水)

フロネシスPHRONESIS 「A LIVE」

[My Photo Album (瞬光残像)]   四月の高原

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「融雪の時」-1-


欧州情緒を秘めての緊迫感に圧倒される・・・・
現代感覚のモダン・ジャズ

<Jazz>
PHRONESIS 「A LIVE」
AGATE/Inpartmaint Inc./ JPN / AGIP-3608 / 2017

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Jasper Høiby (bass)
Ivo Neame (piano)
Mark Guiliana (drums)

 デンマーク出身のベーシスト・ジャスパー・ホイビー Jasper Høiby を中心にロンドンで活動するピアノトリオPHRONESISの2010年のUKツアーを収録したもので2枚組。
 これは2010年にリリースされた3rdアルバムだが、隠れた名作とされており、ここに国内にてCDリリースとなったらしい。ちなみにこのトリオは今日までに7枚のアルバムをリリースしている。

Jasperhoiby_dsc01w ジャスパー・ホイビー(→)は77年生まれで40歳、コペンハーゲンのベーシストであるが、メンバーは彼自身の活躍の場である英国におけるミュージシャンでの構成であるが、このアルバムはドラムスには、アヴィシャイ・コーエン・トリオの注目株の米国のマーク・ジュリアーナMark Guiliana が参加している。本来このトリオのメンバー構成はドラムスは、2007年の1stアルバム『Organe Warfare』からアントン・イガーAnton Egerとなっているが、この時は替わっている。又ピアノは、私はマークしていなかったのだが、英国の1981年生まれの若きサキソフォン奏者でもあるという現代ジャズ天才肌のマルチ奏者のアイヴォ・ニーム  Ivo Neame が担当している。
 近年はJasper Høiby、Ivo Neame、Anton Egerに落ち着いたトリオで、彼ららしい三者のバトルを繰り返している。(最近作『Parallax』(EDN1070))

(Tracklist)
▶Disc 1
1. Untitles #1
2. Blue Inspiration
3. French
4. Eight Hours
5. Abraham’s New Gift
6. Rue Cinq Diamants
7. Happy Notes
8. Love Songs
▶Disc 2
1. Untitled #2
2. Smoking the Camel
    (all music by Jasper Høiby)


Giuliana_markimage1w_2 とにかく優しいピアノ・トリオではない。ここではジャスパー・ホイビーの重低音ベースが響き渡るが、マーク・ジュリアーナ(→)のドラムスも決して奥に引っ込んでいないで明解にリズムを刻む。ピアノ・トリオではあるが、ピアノ主役にしてドラムス、ベースがバックのリズム隊として支えていくというパターンではない。見事な三者対等のインター・プレイだ。録音もピアノだけがいやに前に出ているのでなく、三者が対等にその位置を確保され明解にそのプレイが聴く事が出来る。ライブ録音であるため時折会場のオーディエンスの音が入るがそれ程気になるほどでなくうまく仕上げている。

 しかしライブだけあって、長曲が多い。10分以上が5曲ある(Disc1-M2, M5, M7, M8, Disc2-M2 )。それだけ三者それぞれが納得の演奏で仕上げにもっていってのトリオ作品とみる。
 
  全曲リーダーのジャスパー・ホイビーの作曲。ユーロ独特のピアノの哀愁ある美旋律でうっとりというタイプでなく、ピアノの響きはやはりどこか哀感を含んだ響きを繰り返す中に、ベースは独自の低音を響かせるのだが、なんとそれはしっかり融合して聴くものに快感を味合わせてくれる。そしてこれに又ドラムス、シンバルの響きが的確に誘導していくパターンはスリリングで緊迫感あってにくいところだ。

 特にハイテンポで疾走感あるベースに平行してドラムスのステック音が共鳴し、そこにピアノが乗ってくるM5."Abraham’s New Gift"では、10分の中に、ベース、ピアノ、ドラムスの順にそれぞれの締める位置が明確に演じきり、聴く者にとっての緊張感と共に、十二分にトリオのインター・プレイが次第に天空に昇華する気分を楽しませてくれる。

Ivo2 M6."Rue Cinq Diamants"は、静かに美しいアイヴォ・ニーム(→)のピアノ・プレイから始まって、ドラムスの響きが緊張感を高めて行く。そして中盤にはベースがやはり深遠な世界を描いて次第に三者の交錯は格調高く展開。
 とかく全曲無駄なしのトリオ・アンサンブルが光り、つい引き込まれてしまう。
 最後の締めくくりDisc2-M2."Smoking the Camel"は、どことなく哀感あるピアノ旋律、響くベース音、シンバル音がメリハリを付ける・・・・といったなかなか深遠な流れから始まって、中盤のドラムス・ソロが次に来る三者のアンサンブルの妙を暗示する。後半もスティックが軽快な流れを聴かせてのドラムスのソロが説得力をみせ、そして三者の競演に展開。これぞジャズと思わせる。

 成る程このアルバムは、ユーロのロマンとスリリングな現代ジャズを演ずるピアノ・トリオの隠れた名作と言うのが解るところ、お勧めだ。

(評価)
□ 曲・演奏    ★★★★★
□ 録音    ★★★★☆


(視聴)

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2018年3月31日 (土)

エドガー・クネヒトEdgar Knecht 「DANCE ON DEEP WATERS」

<My Photo Album (瞬光残像)> 2018-No9

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「瞬光・・・・」  (Feb. 2018 撮影)

とにかくピアノの美旋律に酔う

<Jazz>
Edgar Knecht 「DANCE ON DEEP WATERS」

Ozella Music / Germ. / OZ 047 CD /2013

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Edgar Knecht(p), Rolf Denecke(B)、Tobias Schulte(Dr)、Stephan Emig(Perc)

2017jazzbar 昨年の寺島靖国の人気コンピレーション・アルバム『Jazz Bar 2017』(TERASHIMA RECORDS/TYR-1061)(→)の冒頭を飾ったEdgar Knecht による"Lilofee"という曲がある。これが又何とも言えないピアノの美旋律、色々と好きでこの道は聴いてきたとはいえ、とにかく私の知らなかったピアニストである。そんなことで探ってみたのがこのアルバム。
 これは2013年リリースものであって(その後のニュー・アルバムは無し)、遅まきながら寺島靖国は、2017年盤の「Jazz Bar」に選んでいるのだが、それは多分これを落としておいてはいけないと言うことだったのかも知れない。

 このエドガー・クネヒトEdgar Knecht はドイツのジャズ・ピアニストだ。1964年生まれというから、既に円熟期。
 これはピアノ、ベース、ドラムスのトリオに、曲によりパーカッションを加えてのカルテット作品で、1stアルバムは2010年の『GOOD MORNING LILOFEE』(OZ 032CD)で、それに続いてのこれは同メンバーによる2ndアルバムだ(Dr, Perc は若者)。それからすると彼名義のアルバム・デビューは、経過はわからないが遅咲きといえば遅咲きである。

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(Tracklist)
1.  Lilofee
2.  Gedankenfreiheit
3.  Tiefe Wasser
4.  Nachttraum
5.  Fenjas Lullaby
6.  Schwesterlein
7.  Frhling
8.  Wiegenlied

 全曲、エドガー・クネヒトのオリジナル曲構成だが、彼の自国ドイツのトラッド、フォークをベースにしての作品が主力のようだ。その為か、なんとも郷愁を呼ぶ優しさとメローなムードそのものの曲が出てくるのだ。彼のピアノの美旋律もこれでもかとふんだんに散りばめられている。
 特にM1. " Lilofee" 、M3. " Tiefe Wasser"、 M5. " Fenjas Lullaby" とそこにある美的世界は、ユーロ独特のクラシック調のすがすがしさも感じられる。
 M6. " Schwesterlein"を聴いてみて解るが、ピアノ以外にもベースにもどこか美の味付けのあるところが感じられ、その活躍も快感である。この曲は後半のアップテンポに於いてみられるパーカッションの活躍と、カルテット4者の息が合っている様は極めて印象は良い。
  M7. " Frhlig"この曲のように、いかにも民族フォークの流れからの曲もある。
 最後のM8. "Wiegenlied" は、ゆったりと静かな中にこのアルバムの価値感を高めるべく郷愁と思索の心の安まる世界を演出していて、クネヒトの心が滲んでいるようにも聴けた。

 オーソドックスなピアノ・トリオにパーカッションを加えたこのカルテット構成は、クネヒトにとっては納得してのパターンとして演じてきているようだ。とくに長めの曲はスタートはピアノの美しく優雅な調べからスタートして、次第に後半にアップ・テンポに変化して締めくくるパターン。そのアップ・テンポにおいてパーカッションが生きてくる(M2, M4, M6)。
 どこかクラシック調の流れもあって品行方正(笑)にしてオーソドックスなアルバムといったところで、あらゆるミュージック・ファンに愛されそうだ。

(評価)
□ 曲・演奏: ★★★★★ (ジャズの芸術性を極めるというので無く、あらゆるジャンルに適応する世界を描ききったところを評価)
□ 録音    : ★★★★☆

(視聴)

**

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2018年3月21日 (水)

ジャズとオーディオ 寺島靖国「テラシマ円盤堂~曰く因縁、音の良いJAZZ CD ご紹介」

<My Photo Album (瞬光残像)>       (2018-No6)

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「待つ」   (Feb. 2018 撮影)

オーディオ的感覚でジャズを聴く楽しさ

<書籍>
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寺島靖国「テラシマ円盤堂~曰く因縁、音の良いJAZZ CD ご紹介」


音楽の友社 2018年3月1日発行

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 こうゆう書籍の発行されるのは歓迎ですね。主たる内容は雑誌「STEREO」雑誌と「レコード芸術」に連載された記事の総集編である。今やジャズ愛好家の中では知らない人はいないと言われるぐらいのジャズ評論家であり、寺島レーベルでCDのリリース、そして本来のジャズ喫茶のマスターというトリプルに活躍中の寺島靖国の執筆ものだ。

 なんといっても、「STEREO」誌の「寺島円盤堂」は2013年からの56題、毎月一題であるので5年分。又「レコード芸術」誌の「クラシック・ファンのための音のいいJAZZ CD」が60題、これも5年分という総集編。興味のある私にはいっぺんにこうして見れるのは有り難い。もう忘れていたものも多く、懐かしく見れるところも楽しいのである。

Photo_2▶ 巻頭言「オーディオでジャズを楽しむ悦楽」
寺島靖国と言えば、ジャズ・ファンであると同時にオーディオ・ファン。なにせここでも書いているが、彼はCDの評価に音楽とオーディオどちらに重きを置くかという事になると、それは”7:3”でオーディオという位の大将である。これはまさに極端だろうと思うが、私だったらと考えると”7:7”と言いたいですね。それじゃ10を越えていると言われるが、”5:5”とは言いたくない。つまり両方極めて重要と言いたいのです。こんな話は余談だが、そんなファン心をしっかり掴んだ寺島靖国の話は100%賛成とは言わないが、極めて興味深く又参考になる話なのである。
 もともと今日の若者には、かってのオーディオ・ブームなんかは知らないわけで、とにかく秋葉原の電気街は殆どがオーディオ関係で一色になった時代を過ごしてきた私のような高齢者は、極めてオーディオには関心があるのである。

総集編「寺島円盤堂」
 
ここで面白いのは2013年8月号の「ジェーン・モンハイトはCDを聴くにかぎる」ですね、ジャズ・クラブのライブに赴いたら、ロシアの中年婦人がジェーン・モンハイトの顔をして現れた。・・・・と、やはり女性ヴォーカルは、CDによって性能の良いオーディオ装置で、自分にとって魅力ある女性を頭に描きつつ聴くのが良いってことですかね。
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 一方この企画の中でも、やはり録音技師の重要性を訴えていますね、特に注目は最近のイタリアのステファノ・アメリオ(ex : Alessandro Galati Trio盤など)(→)、フランスのヴァンサン・ブルレ(ex : Georges Paczynski Trio盤など)ですね。この点は私も最近非常に注目しているところです。彼はブルレがお気に入りのようだが、私はどちらかと言えばアメリオですね。

「クラシック・ファンのための音のいいJAZZ CD」
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寺島靖国とすれば、ヘイリー・ロレン(→)とかカレン・ソウザはやっぱり注目株のようですね。
 又イゴール・ゲノー・トリオのアルバム『ROAD STORY』の低音を代表的に録音の素晴らしさを書いています。実は私はこのアルバムのリリース当時に、このブログで取りあげているんですが、私の評は”このトリオはなかなか三者のバランスのとれた演奏の展開で、今後も私のような抒情派には向いている。まさに期待株である。又、このアルバムは録音も良く、ピアノの音は勿論、ベースの響き、ドラムス、シンバルの音などクリアーで良い”と当時書いていて、フムフムと寺島靖国の評価にニンマリしているんです。
 又面白いのはキース・ジャレットは嫌いのようだが、私のお勧めの1980年代末のアルバム『Changeless』(ECM/POCJ-2016)は評価しているようですね。

▶ 「寺島靖国ジャズオーディオ世界」
 さて、この本には上記の2つの総集編の他に、巻頭言と「寺島靖国ジャズオーディオ世界」と称して①から⑧までの8つの特集も収載されている。

Contralaindw①ジャズオーディオ世界遺産 ~この音を聴け CDベスト10
   
Bobo Stenson Trio「Contra La Indecision」(→)が入ってます
②巻頭対談 寺島靖国Vs後藤雅洋「ジャズとオーディオの濃密な関係」
   
かってのシャズにはJBLという絶対論が懐かしい
③クロスポイント/音楽とオーディオの交差点~お気に入りディスクは、こんなシステムで 対談寺島靖国×山之内正(オーディオ評論)
   
ジャズとオーディオ・システムの関わり方
④試聴室のオーディオシステムとジャズ喫茶Megのオーディオシステム
   
CD再生の装置に於けるポイント-ケーブルの話、スーパーツイーターの話
⑤ジャズオーディオ、気になる機器探検
   
スピーカー論
⑥クロスポイント/音楽とオーディオの交差点~お気に入りディスクは、こんなシステムで 対談寺島靖国×鈴木裕(オーディオ評論)
⑦「メグ・ジャズ・オーディオ愛好会」イベント紹介/林正儀
   
人それぞれのオーディオ感覚
⑧「寺島レーベル推薦盤レビュー」音で聴くジャズを実践。オーディオファンにも好評なCD/林正儀

 なかなかここまで多くのジャズ・アルバムを取りあげて、オーディオ的感覚で聴いて行こうという評価をするのもそう多いわけでなく、その為結構面白く見れた本でした。
 もともと寺島靖国は、ピアノ・トリオ・ファンであったり、ユーロ・ジャズに興味は深いと言うことなど、私からみればその点も同感であって、そんな為かこの冊子は親近感を感じた点でもあったかも知れない。
 更に現実的なオーディオ機器における装置の改善のポイントなどの話の特集もあって、そこそこに興味をそそって参考になったというところです。

(PS) 私はステファノ・アメリオStefano Amerio派という話をしましたが、その好例は、Alessandro Galatit『WHEELER VARIATIONS』(SCOL-4024)にて聴くことが出来ます。

(参考視聴) 寺島靖国ジャズ喫茶「Meg」

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2018年3月18日 (日)

ヨアヒム・キューンJoachim Kühn New Trio 「Love & Peace」

<My Photo Album (瞬光残像)>       (2018-No5)

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  「垂直-融解」       (Feb.2018 撮影)

ニュー・ピアノ・トリオの目指すものは?

<Jazz>
Joachim Kühn Trio 「Love & Peace」
ACT / Germ / ACT9861-2 / 2018


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Joachim Kühn(p), Chris Jennings(b), Eric Schaefer(ds)
Recorded by Gerard de Haro at Studios La Buissonne, France, May 15&16,2017

 2015年に新結成して『Beauty & Truth』(2015 年7 月録音) をリリースし、2017年のECHO Jazz Awardにおいて、ベスト・ジャーマン・アンサンブル賞を受賞したドイツのピアニストのヨアヒム・キューンのニュー・トリオ。そしてその第2弾である最新作がここに登場した。

 ピアニストにしてコンポーザーのヨアヒム・キューンは1944年生まれで既にベテランそのものの域に入っている。過去のトリオといえば、30年前の1980 年代に結成したJ.F. ジェニー・クラーク(b)、ダニエル・ユメール(ds)とのトリオが圧倒的に有名。なかなか先鋭的なインプロヴィゼーションが話題で有りながら、そこに美的なセンスがあって人気があった。しかしメンバーを早くに失ったことから、トリオは1998年にて終結してしまっていた。それが十数年経てのここに来て、2015年にクリス・ジェニングス(b)と、エリック・シェーファー(ds)という若いメンバーと”ニュー・トリオ”と称して再び活動を再開したので、否が応でも話題になっているのである。

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               (New Trio)
(Tracklist)
1.  Love And Peace (Joachim Kühn)
2.  Le Vieux Chateau (Modest Mussorgsky)
3.  Christal Ship (The Doors)
4.  Mustang (Joachim Kühn)
5.  Barcelona - Wien (Joachim Kühn)
6.  But Strokes Of Folk (Joachim Kühn)
7.  Lied ohne Worte No. 2 (Eric Schaefer)
8.  Casbah Radio (Chris Jennings)
9.  Night Plans (Ornette Coleman)
10.  New Pharoah (Joachim Kühn)
11.  Phrasen (Joachim Kühn)


 収録曲をみるとキューン自身の曲が6曲、メンバーの曲が2曲と、11曲中8曲はオリジナル曲という構成で、ここにも意気込みを感ずる。アルバム・タイトル曲のキューンの"Love And Peace" はオープニングに登場して、2分足らずの曲で、意外と聴きやすいなぁ~といった雰囲気を作る。取り敢えずの印象だが、心配するほどの先鋭性は感じられない、彼もこうして若いメンバーと組して意外に達観したおとなしさに落ち着いたのだろうか?。
 MussorgskyのM2. "Le Vieux Chateau"がいいですね。要所要所に懐かしいメロディーがピアノによって顔を出して楽しませてくれる。
 前半数曲は珍しいことに彼の前衛性、先鋭的なところは殆どみせずに聴きやすいトリオに徹している。M4. " Mustang"なんかはリズムカルで軽快で明るくて驚きますね。
 M5.  "Barcelona - Wien"がなんとも美しい。バルセロナからウィーンへの飛行機の中で作曲されたいうのだが、クラシック的フレージングにやや哀愁帯びた美ジャズが交錯して面白いのである。私はこの曲が一押しだ。
 M10. " New Pharoah"になると前衛的なインプロヴィゼーションがやはり顔を出して、M11. " Phrasen"に流れて行くのだが、このあたりはキューンの面目躍如といったところ。

 いずれにせよ、総じてかなり聴きやすいアルバム仕立てで、ホッとするのである。
 えらい聴き惚れて・・・と言うよりは、期待が大きかったせいか、う~~んまあそんなところかなぁ~~と、それなりにと言ったアルバムであった。
 さて、このニュー・トリオはキューンにとっても如何なるところを目指してゆくのか?、まだ私には明確に見えてこない。そんなところが目下の特徴と言えば特徴なのだろうか。
(評価)
□ 曲、演奏 : ★★★★☆
□ 録音    : ★★★★★

(視聴)

 

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2018年3月11日 (日)

キース・ジャレットKeith Jarrett Gary Peacock Jack Dejohnette 「After The Fall」

<My Photo Album 瞬光残像>                  (2018-No3)

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「回想」                                        (Feb,2018 撮影)


キース復活直後の”トリオ・ジャズ第一号録音”の登場だ!

<Jazz>
Keith Jarrett, Gary Peacock, Jack Dejohnette
「After The Fall」

ECM / Germ / ECM2590/91 /2018


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Keith Jarrett (piano)
Gary Peacock (double bass)
Jack DeJohnette (drums)
Recorded live in concert November 14, 1998New Jersey Performing Arts Center; Newark, New Jersey
Produced by Manfred Eicher

 大御所のキース・ジャレット・トリオのニュー・アルバムの登場だ。しかしなんともう20年前の録音もの。慢性疲労症候群という難病に冒され、1996年のソロ・ツアーをもって休養に入った後、復帰したのは1998年。ついこのあいだの事ような気でいたがもう20年前になるんですね、その復帰後初のトリオ・ライブとして今回話題になっているものだ。ニュージャージー・パフォーミング・アーツ・センターで行われたライヴの音源。
 今まであの復帰してのトリオ第一号アルバムは、2000年にリリースされた人気のパリの1999年録音モノ『Wisper Not』(UCCE-1004/5)であったのだったが、今回のこれはまさにそれこそ正真正銘復帰トリオ第一号として当然ここに注目してしまう代物なのだ。
 しかもキース自身が「改めてこのコンサートの音の素晴らしさに驚いた。これは私にとって病気からの復活を示すドキュメンタリーというだけでなく、本当に素晴らしいライヴなんだ。」と語っているようだ。

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(Tracklist)
Disc 1
1.  The Masquerade Is Over (Live)
2.  Scrapple From The Apple (Live)
3.  Old Folks (Live)
4.  Autumn Leaves (Live)枯葉
Disc 2
1.  Bouncin’ With Bud (Live)
2.  Doxy (Live)
3.  I’ll See You Again (Live)
4.  Late Lament (Live)
5.  One For Majid (Live)
6.  Santa Claus Is Coming To Town (Live) サンタが街にやってくる
7.  Moments Notice (Live)
8.  When I Fall In Love (Live)

Kj1w 収録曲は上のようだが、アルバム『Wisper Not』とは、Disc2のM1. "Bouncin’ With Bud"M8. " When I Fall In Love "が共通しているが、このアルバムも全てがスタンダード曲で埋められている。
 中でもDisc1のビル・エヴァンスから始まって誰もが演ずるM4. " Autumn Leaves (枯葉)"だが、13分に及ぶハイテンポにしてインプロヴィゼーション豊富な構成で起承転結が見事に計算された曲に仕上げられていて驚いた。う~~ん成る程キースの世界はこれだけリアルタイムに即興しながらも計算し尽くされているところを見せつけるのだ。
 Disc 2の、演奏面の味つけに重点が於かれている事が一層濃い思われるソニー・ロリンズのM2. " Doxy "やジョン・コルトレーンのM7. "Moments Notice"なども登場させて、キースの回復を祝しているかのような展開もみせている。
 M3. " I’ll See You Again"M4. " Late Lament" にみるムードは、私の感覚では、ちょっとした人まばらな深夜の酒場のムードを連想して、私の好むところなのだ。それをこのライブに於いて聴かせてくれたというのは、やはり彼は復活した事を彼自身とオーディエンスとでお互いに実感しているようにも思えた。
 更にM6. " Santa Claus Is Coming To Town"などお馴染み曲を披露したのは、聴衆サービスにも配慮しているキースがみて取れる。

Themelodyatnighteithyou 1998年に復帰第一作目として発表されたピアノ・ソロ作品『The Melody At Night, With You』(POCJ-1464)(→)や、更に2000年には、パリでのトリオ・ライヴを収録した先述の『Wisper Not』と、この二作でキースの復活を実感して喜びに浸った事を思い出す。そして嬉しいことに、今再び感慨深くこのアルバムに接することが出来たのである。

Atthedeer1_2ついでに一言、今回のジャケ・デザインはそれなりに芸術性は高いのでしょうが、私はキースの病気の少々前の『At The Deer Head inn』(POCJ-1225)(→)のようなタイプの方が好きなんですね。こうした懐古的アルバムは何かその時代を感じさせるようなものであったらどうなんでしょうね。

(参考視聴)

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2018年3月 8日 (木)

福盛進也トリオShinya Fukumori Trio 「For 2 Akis」

<My Photo Album (瞬光残像)>   (2018-No2)

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       「輝き」                                     (Feb. 2018 撮影)


日本とヨーロッパの美学の結合~品格のある名盤

<Jazz>
Shinya Fukumori Trio 「For 2 Akis」

ECM / GERM / ECM2574 / 2018

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Matthieu Bordenave (tenor saxophone)
Walter Lang (piano)
Shinya Fukumori 福盛 進也 (drums)

フランス Pernes-les-Fontainesの(Studio) La Buissonneにて2017年3月録音

 このところリリースされたECM盤の中でも注目されているアルバム。なんと日本とフランスとドイツの美学の結合だ。ベース抜きのピアノ、サックス、ドラムスのトリオ作品。バンド・リーダーは日本人福盛 進也、彼のドラムスがシンバルの繊細にしてスリリンクな音を主体にして響く。ピアノはウォルター・ラングとくるから聴きたくなりますね。

(Tracklist)
1. Hoshi Meguri No Uta  星めぐりの歌(宮澤賢治)
2. Silent Chaos
3. Ai San San 愛燦燦(小椋佳)
4. For 2 Akis
5. The Light Suite : Kojo No Tsuki荒城の月(滝廉太郎)/ Into The Light / The Light
6. No Goodbye
7. Spectacular
8. Mangetsu No Yube 満月の夕(中川敬&山口洋)
9. Emeraude
10. When The Day Is Done
11. Hoshi Meguri No Uta星めぐりの歌 (var.)

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 私はうるさいサックスはお断りなのだが、ここに響くマシュー・ボーデネイヴ(フランス)のテナー・サックスはユッタリとしていてソフトで、その役割はメロディーをしっとりと流すというところで落ち着いている。そうですね、ECM盤ですからそんなところです。そしてウォルター・ラング(ドイツ)のピアノは前衛的なところはお預けで、例の如くの優しく自然の姿を描くが如くの美的センスで演じられている。福盛 進也のドラムスもやや後方に位置して録音され切れ味のよいシャープな響きだが、けっして前面に出るというスタイルでなく、シンバルの響きも快い。

 M1. "Hoshi Meguri No Uta" は、曲が曲だけに懐かしい郷愁感があって聴き惚れる。
 M2. "Silent Chaos" のように静かなシンバルとブラッシングの中に、ピアノが美しく語り始めるパターンは良いですね。後から顔をだすサックスは無くとも十分世界を描ききっていると思うのだが・・・・これは私の好みですけど。
Sfrbp5833s_2 M5. "The Light Suite : Kojo No Tsuki/ Into The Light / The Light"が面白いですね。荒城の月の世界から広がり発展する宇宙空間までを、ややスリリングな展開をも加味してのドラムス・プレイをみせるジャズの味を忘れずに描ききっている。
 まあジャケ・デザインにみる都会的な世界と言うよりは、日本の郷愁を呼ぶ曲を取り混ぜて、デリケートにして優しく懐かしの哀愁感があるところを描いて、牧歌的な自然の中の人間の美を感ずるところにある。
 トリオの洗練されたインター・プレイも見事で、愛される要素のたっぷりとあるアルバムで、静謐にして品格すら感じられるところがあって、名盤の登場と言ってもよいのではないか。

 福盛 進也は、15歳でドラムを始め、17歳時に渡米、ブルックヘブンカレッジ、テキサス大学アーリントン校を経て、ボストンのバークリー音大を卒業、10年間のアメリカでの活動後、2013年にドイツのミュンヘンへ拠点を移し、以来ヨーロッパ広域で活躍してきた日本人ドラマーで、1984年大阪府阿倍野区生まれである。

(視聴)

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2018年2月25日 (日)

ギレーム・フルザ・トリオGuilhem Flouzat Trio「A THING CALLED JOE」

ドラマー・リーダーの古き良き時代ムードのピアノ・トリオ・ジャズ

<Jazz>
Guilhem Flouzat Trio「A THING CALLED JOE」

Sunnyside / US / SSC1492 / 2017

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Sullivan Fortner (p)
Desmond White (b)
Guilhem Flouzat (ds)

 パリ生まれ、NYを拠点に活動するドラマー・ギレーム・フルザGuilhem Flouzatのリーダーによるピアノ・トリオ・ジャズだ。彼の事は知らなかったが、エリック・ハーランドに師事したのだという。
 中身はスタンダード演奏曲集。ジャケはいやに何かトリオ・ムードはお遊び的なところがあるが、聴いてみると特にそのようなものでなく、まあ音楽学校のクラスメイトのトリオと言うことで楽しくやったのであろう事はうかがい知るところである。

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(Tracklist)
1. There's No You (Hal Hopper & Tom Adair)
2. Oska T (Thelonious Monk)
3. Perdido (Chano Pozo)
4. When I Fall In Love (Victor Young & Carolyn Leigh)
5. Walking My Baby Back Home (Fred E. Ahlert & Roy Turk)
6. Midnight Mood (Joe Zawinul)
7. Mrs Parker of KC (Jaki Byard)
8. Happiness Is A Thing Called Joe (Harold Arlen & Yip Harburg)


  まずなんといってムードはクラシック・ジャズ。ちょっとアップ・テンポの曲となると、昔の西部劇映画に出てくる酒場でのピアノの雰囲気ですね。これが良いのか悪いのか、そりゃ好みでしょうね。私にとっては、拒否でもなく、万歳と喝采を浴びせるものでもなく、意外に肩が凝らずゆったり聴けることは事実だ。
 ピアノの音も、多分アコースティックなモノを使ったのでは無いのだろう、軽くて味わいは少ない。ただM1." There's No You"、 M4. "When I Fall In Love"、M6. "Midnight Mood"などのスローな曲は Sullivan Fortnerのピアノもなかなかテクニックのあるところを聴かせ、どこか余裕の演奏が感じられて気分はよい。こんなパターンは結構頂きだ。アメリカ的であって、陰影を求めないところはそれなりに気楽に聴くにはそれで良しと思うところなのである。
 思ったほどリーダーは、表に出てきてのドラム・プレイはしていない。仲の良いクラス・メイトリオで旧友を深め小気味の良いところで楽しんだという作品であった。

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2018年2月13日 (火)

フランク・ハリソン・トリオFrank Harrison Trio 「Lunaris」

ピアノによって語られる内省的、抒情的世界

<Jazz>
Frank Harrison Trio 「Lunaris」
Linus Records / UK /LRCD02 / 2014


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Frank Harrison : Piano
Dave Whitford : Bass
Enzo Zirilli : Drums

  これも寺島靖国コンピ・シリーズ『Jazz Bar 2017』(TYR-1061)の恩恵で知ることになったものだ。そこに登場した曲"My Love and I"(David Rassin)が収録されているのは、ピアニスト・フランク・ハリソンFrank Harrisonのトリオによるアルバム『Lunaris』である(2014年リリース)。私が注目することになったこのアルバムは、彼としては3作目の作品。 
  何時しかイギリスの”ピアノ詩人”と言われているらしいフランク・ハリソン。彼はバークリー音楽院で研鑽を積み、イギリスに戻ってからは自国の一流アーティストを中心に共演、活動を続けて来ている。オックスフォードを中心に活動しているようで、現在最もよい年頃を迎えている40歳だ。

81lc97xnhylw  彼のピアノ・トリオ作品としては、デビュー作は2006年に発表(アルバム『First Light』)。更に2012年にはLinus Recordsから2nd『Sideways』(LDCD01)をリリース。
 
(参考)その1stアルバム・・・・
 『First Light』Basho Music/SRCD152)
    FRANK HARRISON(p)
    AIDAN O'DONNELL(b)
    STEPHEN KEOGH(ds)  

 このアルバムはかなりの好評で彼が注目を浴びることになったものだという。そんなことから聴くことにしたのであるが、一部のピアノトリオ・ファンにひっそりと愛されて来ていたらしいが、私は今にして聴いているわけである。
 当時28歳でのデビューだ。収録9曲で、彼のオリジナルは5曲。歳に似合わずといっていいのか、静寂な雰囲気を醸し出すのが得意で、やはり内省的にして静謐な音楽性に満ちている。ジャケも上のように地味ではあるが、部屋の床の一部にさしてきた陽の光を描いていて、その心を十分に表している。なかなかの好作品。

 さて本題に戻るが、ここに取りあげたこの2014年の近作(3rd)では、ベース、ドラムスが変更されているが、相変わらず陰影に富んだクラシカルなタッチで不思議な宇宙空間を描く作品を作り上げているのだ。

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          (現トリオ・メンバー Harrison,  Whitford,  Zirilli)

Fkw(Tracklist)
1.My Love and I 
2.I'm Old Fashioned 
3.Stars *
4.An Evening of Spaceships and UFOs *
5.Io  *
6.Sunrise(Port Meadow) *
7.Ascent  *
8.The Bird  *
9.BoRG-58  *
10.The Recruited Collier
11.Emily 
12:Stars II  *

 収録12曲中、8曲はハリソンのオリジナル(*印、内2曲(M4、M9)はトリオ・メンバー3人によるもの)。
 M4."An Evening of Spaceships and UFOs "は注目曲。ピアノとベースの音とそこに見る間によって描くところが深遠。そして次第にテンポを上げてドラムスも活発に絡んで高揚して行く、この3者のインター・プレイが素晴らしい 。そして再び3者の音一つ一つが間を大切にしつつ静かな情景を描くM5."Io"に繋がって行く 。
 一方M6."Sunrise(Port Meadow)"は如何にも明るく、美しい。
 彼らはこのアルバムでは、宇宙空間に存在する世界の不思議さと地球の自然の美しさ、更にそこに存在する者達を描こうとしたのだろうか、M1."My Love and I"は抒情的な美しさで満ちている。 
 どうもこのアルバムは、それぞれの曲が独立しているのでなく、一つのコンセプトによってトータルに構築されていると思われた。
 陰影のある中に、深遠な哲学的世界を美と叙情をもって描いているところは素晴らしい。

(視聴)

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2018年2月 2日 (金)

ケティー・サーウーKatie Thiroux 「OFF BEaT」

( 2017年リリース 印象に残ったアルバムを-12 )

女流ベーシスト・ヴォーカリストのアルバム

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Katie Thiroux 「OFF BEaT」
CAPRI Records / USA /CPRI 74146-2 / 2017

Offbeat

Katie Thiroux (vocal except 4,5,9) (bass except 3)
Justin Kauflin (piano except 8,10)
Matt Witek (drums except 3,8,10)
Ken Peplowski (clarinet on 1,6,8) (tenor saxophone on 7,9)
Roger Neumann (soprano saxophone on 1) (tenor saxophone on 9)

  ロサンジェルスで活躍中の若手の女性ベーシスト兼ヴォーカリストのケイティー・サーウー(シロウ)の2ndアルバム。彼女のベースにピアノ&ドラムとのトリオに、曲によってはケン・ペプロフスキーらのゲストのクラリネット、サックスが加わっての演奏、そして彼女のヴォーカルが入るアルバム。 若くして多くの音楽賞を獲得し、1st『Introducing Katie Thiroux』は(私は未聴)、高い評価を受けたと言うことだ。今回、プロデュースはジェフ・ハミルトン。曲は、ジューン・クリスティー、デューク・エリントン、フランク・シナトラ、レイ・ブラウンなどの名曲を聴かせる。
 こうなると日本で人気のニッキ・パロットと比較してしまうが、ケイティーの場合は、間違いなくアメリカン・ジャズそのもので、どちらかというとご機嫌なリズムに乗っての小粋なジャズで、パロットの一連のVenus盤にみるようなJazzy not Jazzパターンのヴォーカル中心というのでなく、むしろ演奏中心と言っても良い(ちなみにM4,5,9は、インスト曲)。

Thiroux20press20photo_2_0(Tracklist)
1. Off Beat
2. When Lights Are Low
3. Why Did I Choose You?
4. Slow Dance With Me
5. Brotherhood Of Man
6. Ray's Idea
7. Some Cats Know
8. When The Wind Was Green
9. Happy Reunion
10. Willow Weep For Me

 彼女のヴォーカルは、”テンダネス溢れる瑞々しいリラクシング・ヴォーカル”と表現されているが、ほめて言えばそんなところだ。

   M1. "Off Beat"
は、サックス、クラリネットが華々しくビートが効いた曲で、アメリカン・ジャズそのもの。昔、ジューン・クリスティーが吹き込んだナンバー。
  M2. "When Lights Are Low"は、ピアノ・トリオによる一転して落ち着いたムード。しかししっかりスウィングしている。
 M3. "Why Did I Choose You?"では、しっとりと夜のムードで、彼女のヴォーカルもお話をしているが如くで私好み、この線は良いですね。
  M5. "Brotherhood Of Man"M7. "Some Cats Know" のオープニングは、彼女のベース・ソロもお目見えするが、軽妙な小気味のよいジャズを展開する。
 M8. "When The Wind Was Green"は、彼女のベース弾き語りとペプロフスキーのクラリネットの掛け合いが上出来。このアルバムでは注目曲。

 とにかく居こごちのよい和みムードをもった曲が特に冴えていて、軽妙な小気味のいい洒落たムードを持っている曲も展開する。インスト曲もしっかり聴かせるところも楽しませることが上手であるし、ダイナミックな曲も挿入してフルコースのアルバムだ。
 私のようなユーロ・ジャズ党も、時にはこのアメリカン・ジャズの線も有りというところであった。

(参考:ある紹介記事より転載↓)
Katie Thiroux (ケイティ・サーウー(シロウ))
 
1988年LAで音楽一家に生まれる。4歳でヴァイオリンを始め、8歳でダブルベースに転向。同時にジャズ、クラシックのヴォーカルも学び、10歳でオペラの主役も務めているとい才女。ハミルトン・ハイスクール・アカデミー・オブ・ミュージックに進学し、17歳でLA Jazz Societyなどで多くの賞を獲得。そして2006年にはボストンのバークリー音楽院で6人しか与えられない奨学金を授与され入学。入学後もグレッグ・オスビー、ブランフォード・マルサリスなどと共演。在学最後の年の2009年にはエクアドルのサンフランシスコ大学バークリー校で音楽教授となる。その後、LAに戻り、修士課程を終えた2012年には全米の多くのフェスティヴァルへ出演。そして2013年にはケイティー・サーウーカルテットを結成。2015年にグラミー受賞プロデューサーのジェフ・ハミルトンを迎え、ファーストアルバム『Introducing Katie Thiroux』をリリースし、各メディアでも絶賛された。その後もアメリカ、メキシコ、ドイツなど世界中のジャズフェスティバルに呼ばれ、演奏者、指導者として精力的に活動している。

(視聴)

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