シーネ・エイ Sinne Eeg 「WE'VE JUST BEGUN」
ビックバンドをバックに歌い上げる一世代前のジャズ
<Jazz>
SINNE EEG & THE DANISH RADIO BIG BAND 「WE'VE JUST BEGUN」
BFM jazz / Denmark / BFM JAZZ 7621834675 2 / 2020
Sinne Eeg (vocal)
The Danish Radio Big Band
Nikolai Bogelund (conductor)
Jesper Riis (arrangement on 02, 03, 06, 07, 10)
Peter Jensen (arrangement on 01, 04, 05)
Roger Neumann (arrangement on 08, 09)
録音 : 2019年1月28-31日、於:デンマーク-コペンハーゲンのDR Koncerthuset Studio 3
ここでも何回か取り上げて来たシーネ・エイSinne Eeg(1977年デンマークのレムヴィーLemvig生まれ)のニューアルバム。北欧ジャズ・シンガーとしては日本でも来日したりの人気の彼女だ。 今回は1964年結成の50年の歴史あるデンマークの名門楽団The Danish Radio Big Band(このバンドは何枚かのアルバムをリリースしている)と組んでのアルバム。昔ながらのジャズの一形態のビック・バンドをバックにしてのもので、私には若干の抵抗があるだが、それでも手に入れてみたもの。
そしてこのアルバムはどのような関係があったか不明だが、彼女が"My dear friend"と表している一昨年亡くなったアメリカのサックス奏者のロジャー・ニューマンRoger Neumann(1941-2018 →)に捧げている。
(Tracklist)
01. We've Just Begun
02. Like A Song
03. Those Ordinary Things
04. Talking To Myself
05. Hvorfor Er Lykken Sa Lunefuld
06. My Favorite Things
07. Samba Em Comum
08. Detour Ahead
09. Comes Love
10. To A New Day
冒頭からビック・バンドが派手に演じて、ちょっと尻込み。
M2."Like A Song "、M3."Those Ordinary Things"になって彼女のヴォーカルを中心にバックはパーカッションの音もきこえる小コンポ風の演奏になってほっとして聴くのである。相変わらず歌詞をしっかり歌い込んでいてその点は好感が持てる。
M4." Talking To Myself "は軽快だが、やはりバックは押さえられた演奏でソロに近いギターも入り、彼女のヴォーカル・アルバムとしての形を十分意識しての曲仕上げ。
M5."Hvorfor Er Lykken Sa Lunefuld "は朗々と歌い上げたり、リズムカルな流れもあったり、彼女の中域の味のある歌声が優しく聴け、更にスキャット風のところもあり味が濃い。
M6."My Favorite Things " 聴き慣れた曲をシーネ節で。
M7."Samba Em Comum" このアルバムでは珍しいサンバ曲。まあ何でも歌いますと言ったスタイル。
M8." Detour Ahead" バラード調でしっとり。
M9."Comes Love " 彼女らしい歌い込んでの聴かせるタイプ。こうゆうのが彼女の特徴で悪くないです。
全体の印象は、ロジャー・ニューマンに捧げたということなのか、やはり一時代前のアメリカン・ジャズの世界、それはM10."To A New Day"に特徴的だが、大きめのキャバレー(昔懐かし)での豪勢にジャズを味わいたいという人にはそれなりに良いのでしょう。私にとってはどうでもいいですが。
彼女のヴォーカルも低音を生かしたり、パンチを効かしたり、結構ブルージーなところもあったりと芸達者である。しかしジャズって考えてみれは幅広いですね、未だにこの昔懐かし世界も健在なんだと、ふと思うのである。そしてまあ聴いてみるのも悪くないでしょう。
(評価)
□ 演奏・歌 ★★★★☆ 80/100
□ 録音 ★★★★☆ 80/100
(試聴)
* *
(参考) 全くこのアルバムとは別のピアノ・トリオとのライブ映像、実はこのタイプの方が彼女は良いのですが・・・↓
最近のコメント