ヘルゲ・リエン

2019年4月20日 (土)

ヘルゲ・リエンのニューアルバム Helge Lien Trio 「10」

新トリオはむしろヘルゲ・リエンの原点回帰による展開をみせた

<Jazz>

Helge Lien 「10」
Ozella Music / Germ / OZ091CD / 2019

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  新トリオでヘルゲ・リエン・トリオのニュー・アルバムが登場している。ちょっとこのところのヘルゲ・リエン(ノルウェー)の作品に若干不満があった私であって、ベーシストのフローデ・ベルグが、オスロ・フィルファーモニック・オーケストラの仕事に専念で抜けたということは更にどう変化するか実は不安であった。
 しかしなんと新加入のベーシストは、マッツ・アイレットセンMats Eilertsen 、これは驚き、つい先日ここで取り上げたあの素晴らしいECMからのベーシスト・リーダー・アルバム「And Then Comes The Night」(ECM2619/2019)のリーダーではないか。彼はノルウェーですからヘルゲ・リエンと結びついても全くの不思議はない。これも又凄いことになったと、ニュー・アルバムを手に入れたのである。それもなんと気合が入った2枚組全30曲である。

List_3

Hl3   まず冒頭のCD1のM1."Be Patient"で、ややこれは期待を裏切っていないぞと確信できた。とにかくリエンの自然界の中に溶け込むようなピアノの澄んだ響きは何にも代えられない。
 M4."Krystall"ではどこか不思議な世界に導かれて、三者の交錯が聴きどころ。
 特にリエンの曲M7."Now"にみる世界は、スリリングにしてミステリアスな世界に引っ張り込まれ、精悍なダイナミックな展開もみせたり、その多様性は実に神秘的ともいえる。どちらかと言うと硬質な部分と美しさの部分との両面が魅力的なのである。
 M6."Before Now"のアイレットセンのアルコ奏法、M8"And Then"からM9."Crabs"のヨハンセンのドラムスも聴きどころである。

  CD2では、M13."Get Ready"M14."Run"の異空間への広がりが面白い。ここでもアイレットセンのベースの味付けとヨハンセンのシンバル、ドラムスがが奮闘。
 M17."Krystall"ではリエンの美しいピアノが響く。
   M19."Berlin Blues"では、なんとなくお遊びがあって楽しい展開。
 M2, M20."Popkoral"は、かってのアルバム「NATSUKASII」を思い出すような牧歌的なムードだ。
 
 久しぶりにヘルゲ・リエンに堪能したアルバムを聴いた感覚になった。ニュー・トリオになってむしろ原点回帰したところと見る。内省的なメランコリックさと、アグレッシブなトリオ演奏の交錯のこの世界が彼の世界だと思うのである。
 又録音も極めて繊細な響きで気持ちが良い。

Helgelientrioanno2017_255520x347

(評価)
▢ 曲・演奏 : ★★★★★☆
▢ 録音        : ★★★★★☆

(視聴)


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[MY PHOTO]  (我が家の枝垂れ桜 2019.4.18)

Dsc07590trw

Sony ILCE-7M3,  FE4/24-105 G OSS,  PL , 105mm, 1/125, f/4.0, ISO1000

 

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2018年3月27日 (火)

ヘルゲ・リエン&クヌート・ヘムHelge Lien, Knut Hem 「Hummingbird」

<My Photo Album (瞬光残像)>       2018-No8

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「春到来」        

ドブロ好きにはたまらないのかも・・・・しかし私にとっては欲求不満

<Jazz>
Helge Lien, Knut Hem  「Hummingbird」
Ozella Music / Germ. / OZ079CD / 2018

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Knut Hem - Dobro / Weissenborn
Helge Lien - Piano


  このアルバムは、今年に入って早々にお目見えしたものだが、私の狙いはノルウェーのヘルゲ・リエンのピアノ・プレイなのである。このところの彼は、昨年の前作であるヴァイオリニストのAdam Bałdychとの共作 『Brothers』(ACT9817-2)もそうだったが、今作も主役から降りて支え役のピアノ・プレイを披露している。おそらく・・・そうだろうと想像して、今まで聴かなかったのだが、少々暇になっての結果、ここに聴くに至ったというところなのである。

 中身はリエンと同国ノルウェーのクヌート・ヘムKnut Hem(1963年-) とのアコースティック・デュオ作品と言っているが、全く対等の両者のインタープレイの作品という印象は無い。それは相い対する楽器との性質が大いに関係するところなのであろうが、今回はリエンのピアノの相手は、ギターの発展形のようなドブロそしてワイゼンボーン(ラップスライドギター)という楽器であり、その結果がこの作品だ。このギター系の持つやや強烈なサウンドを前面においての演奏であるので、ピアノはサポート役に甘んじ、主役的メロディーを奏でるのはドプロということになっている。それもおそらくこのアルバムの目的としたるところであったのだろうと推察され、まあ不思議は無いとしておこう。

Hlkhw

(Tracklist)
1. Dis (03:58) *
2. Take Another Five (4:31)  *
3. Winterland (7:20) *
4. Moster (3:27) #
5. Music Box (2:57) *
6. Rafferty (5:41) *
7. We Hide and Seek (4:39)
8. Hummingbird (6:42) #
      (*印:Knut Hem  #印:Helge Lien)


Formhall112017holnsteiner049web 上のTracklistに見るように、曲はオリジナル曲が主体だが、クヌート・ヘムが5曲、ヘルゲ・リエンが2曲と、やはりこのアルバムの主役はヘムのドブロ/ワイゼンボーン(→)演奏とみてよいのだろう。やはり曲の展開はドブロが主役で、リエンのピアノはそれを支えるが如く、曲を優美に流している。
 とにかくドブロは高く強く響く。これが好きな人にはたまらないかも知れないが、私自身は好みからは外れるといったところ。(それって不思議なのだが、ロックとなれば、エレキ・ギターが泣いて、キー・ボードはそれを支えるパターンで納得するんですが)

 M4.". Moster"
と M.6" Rafferty" では、ようやく彼のピアノ・メロディが少々聴けるので、なんとなくホッとする。
 タイトル曲のM8." Hummingbird" はリエンの曲で、冒頭ピアノから入るが、彼のピアノの調べもドブロに打ち消される。いずれにしてもこの曲も穏やかに奏でられる美しい旋律が印象的なところだが、私としてはリエンのピアノの調べで聴きたいと思うのである。だが、なかなかそれも許されない。ここでも結局間奏程度に終わってしまう。

 このアルバムは、ゆったりとした優しくほのぼのとしたメロディーの美しい曲集である。にも関わらず、結局何だったんだろう?と、若干欲求不満に終わったアルバムでもあった。

 もともと私はよっぽどでないと、このようなギター系の楽器とピアノのデュオってあまり納得していない。それはピアノというものは、ギターやヴァイオリンとの関係では、その果たす役割が私の期待するところから薄れてしまう為かも知れない。
 ここに見るが如く、ピアノの音とドブロのアンプを通しての音との関係とは、ピアノの調べが優位と言うことには録音による工夫というか操作がない限りはやはりあり得ないと思う。そしてその結果はドブロの世界に落ち着くのである。それがどうも空しいというのは、つまるところ"私の個人的好み"から来るモノといって良いのだろうが、それを如実に示されたアルバムであった。
 お笑いであるが参考までに、・・・・ピアノにはやっぱりベースとドラムス(勿論、シンバルの音を含めて)が合いますね。だからその構成のピアノ・トリオが盛んなのでしょう。

(評価)
□ 曲、演奏 : ★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(参考視聴) Knut Hem のDobro演奏

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2017年7月30日 (日)

アダム・バウデフとヘルゲ・リエン・トリオAdam Bałdych & Helge Lien Trio のニュー・アルバム「Brothers」

牧歌的な静謐とスリリングな緊張感と・・・私好み!!
 ~果たして、神への賛美の叫びか~

<Jazz>
Adam Bałdych & Helge Lien Trio 「Brothers」
ACT / Germ / ACT 9817-2 / 2017

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Adam Bałdych (vln, renaissance vln)
Helge Lien (p)
Frode Berg (b)
Per Oddvar Johansen (ds)
Tore Brunborg (sax) (M5,6,8)

Music composed and arranged by Adam Bałdych
except 7 composed by Leonard Cohen and arranged by Adam Bałdych & Helge Lien

 ヴァイオリニストのアダム・バウディフAdam Bałdych(ポーランド1986年生まれ)の新作だが、前作『Bridges』(ACT9591-2,  2015)同様にノルウェーを代表する我が愛するヘルゲ・リエン・トリオとの共作となっている。しかし曲はバウディフによるもので(レナード・コーエンの”Hallelujah”の1曲以外)、あくまでもヘルゲ・リエン・トリオはサポート役。と、言ってもヘルゲ・リエンのピアノが重要で、この音なしでは考えられない曲作りである。
 又ノルウェーのサックス奏者トーレ・ブルンボルグが3曲に参加して味付け。
 どうもバウディフの原因は解らないが亡くなった弟の為に捧げられたアルバムのようだ。そんなところからも哀感あるアルバム作りとなっている。

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(Tracklist)
1. Prelude (1:22)
2. Elegy (7:34)
3. Faith (4:52)
4. Love (6:21)
5. One (6:50)
6. Brothers (6:06)
7. Hallelujah (6:08)
8. Shadows (6:32)
9. Coda (4:21)

Adambaldych4_teaser_700x M1. ”Prelude” は、ヴァイオリンとピアノのデュオで冒頭から私が勝手に感じている北欧的な哀愁そのものだ。
 M.2. ”Elegy”の入り方はドラムスとピアノの不安なる打音でピンク・フロイド(ロジャー・ウォーターズ)流。ここでもヴァイオリンとピアノが哀感のある叙情を描き、又一方スリリングな味のヴァイオリンも登場し、懐かしのキング・クリムゾンといった雰囲気をみせる曲。ロジャー・ウォーターズの近作『is this the life we really wants? 』は、ピアノの音を重量感を引き出すに使っているが、それは感覚的には、この曲でも共通点。・・・・と、こんな具合にプログレッシブ・ロックと比較することは叱られそうだが(リエンがウォーターズのファンだと言うのでお許しを)、しかしその共通点が見いだされるところが面白い。しかし醸し出す哀感は完成度の高い曲だ。
  M3.”Faith”はピアノの美しさが前面に。M4. ” Love”の、ヴァイオリンのピッチカート奏法は意外に牧歌的というかトラッド的雰囲気を生み出すんですね。

02helgelientrio2014_lamapre M6.”Brothers”が凄い。静から動、そしてダイナミックな展開。これは単にジャズという世界に止まっていない。聴きようによってはプログレッシブなロックでもある。人一人の激動の人生を表現しているのだろうか?素晴らしい。さすがピンク・フロイド党のリエンが・・・関わっているだけのことはある。
 M7.” Hallelujah” 先頃惜しまれて亡くなったレナード・コーエンと言えばこの曲だ。彼が亡くなる直前までライブで歌い込んでいた。しかし私はこの曲の良さは知っているが、実はその唄う意味を完全に理解しているわけで無い。これ自身は”神の賛美、喜び・感謝の叫び”というのは解るが、ここに取りあげられたことから逆にその中身の深さに迫ってみたいと思ったところである。しかしこの曲も完全に彼らのこのアルバムのモノに昇華している。
 M8.“Shadows”の、ヴァイオリンとサックスが、このように美しく重なり合っての演奏は発聴きだ。
 M9.”Coda”ヴァイオリンそしてピアノの調べは如何にも哀愁感たっぷり。

 実はこのアルバム、購入に若干ビビッていたのだが、Suzuckさんが絶賛しているので、これはと言うところで手にしたモノ。なんとそれは正解で、全編ムダな曲が無く完璧なコンセプト・アルバム。傑作だ。

(参考視聴) Adam Bałdych とHelge Lien Trio の共演(当アルバムとは別)

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2017年3月14日 (火)

ヘルゲ・リエン・トリオHelge Lien Trio「GUZUGUZU」

ノルウェーから極東日本との更なる深まりが・・・・・・

<Jazz>

Helge Lien Trio「GUZUGUZU」
ozella music / GERM / OZ070CD / 2017


Guzuguzu

Helge Lien(p)
Frode Berg(b)
Per Oddvar Johansen(ds)

All music composed by Helge Lien
Recorded and Mixed on Raimbow Studio , Oslo, Sept.2-4 2016

 ノルウェーのヘルゲ・リエンのピアノ・トリオによるニャー・アルバム。彼のカメラ好きによる写真ジャケのアルバム『Natsukasii』はインパクトがあったが、あれは2012年だったんですね。あのアルバムの抒情性に惹かれてから彼のファンになってしまった。それも私のカメラ好きと、なんとピンク・フロイド好きが彼と一致していることもあって、なお共感してしまったと言うことなんです。
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 その後このトリオのドラマーは、ペル・オッドヴァ―ル・ヨハンセンに2013年に代わった。そしてアルバム『Badgers & Other Being』発表して2014年に来日。その際には新潟県のライブ会場での一コマで、屋外で彼と一緒に皆既月食を観たり撮影したのを思い出しますが(8, Oct, 2014)、あのアルバム以来3年ぶりの新生ヘルゲ・リエン・トリオ第2弾(通算5作目)だ(今回のカヴァー・デザインは替わって、リエン作ではないですね)。
 そしてこの4月は、またまた来日公演のスケジュールとなっている。

Trio2

 日本好きのヘルゲ・リエンとは言え、アルバム・タイトル”Natsukasii懐かしい”で驚かされたが、今回アルバムは下のTracklistを見てのとおり、なんと日本語の擬音言葉を曲名として創作されたオリジナル曲によって構成されたものとして登場となった。

(Tracklist)
1.Gorogoro (thundering)
2.Guzuguzu (moving slowly)
3.Nikoniko (smilling
4.Garari (completely)
5.Jasmine
6.Chokichoki (cutting)
7.Kurukuru (spinning around)
8.Shitoshito (raining quietly)


Hl1w M1.”Gorogoro”って"thundering"って言うのですから雷鳴ですかね?。転がるようなピアノ演奏、ベースのアルコ奏法による黒い雲の襲うイメージ、そんなところで聴くと面白いのだが・・・・それにしては美しすぎるか。
 M2.”Guzuguzu” ("moving slowly"の意味というのもちょっと"?"だが) これはピアノとドラムスの掛け合いが面白い。

  彼は、ミュージックというものに関わることになったのは、ピンク・フロイドがその大きな因子であると何時も語っている。
  彼のオリジナル曲、そして演奏は、ある時は郷愁的優しさのあるメロディーを聴かせ、またある時はやや前衛的なスリリングな味つけをしてインパクトの効いたドラマティック展開を聴かせる。伝統的ジャズ手法による美に加えインプロヴィゼーションによる革新性(何方かが言っていた言葉ですが私は納得)を追求するタイプだ。今回のアルバムもそんな因子を持って迫ってくる。写真で言えばややスモーキーな柔らかい像とコントラストの効いた堅めの像との絶妙な交錯といった感覚でその点が上手い。

 M3.”Nikoniko” (smilling) は、なかなかピアノ表現が難しいと思うが、優しいピアノの音が響く印象の曲に仕上がっている。
 M5.”Jasmine”は、この中でも趣向が変わって異国情緒。
 M6.”Chokichoki” (cutting)や M7.”Kurukuru” (spinning around)の躍動感と陰影とがドラマチックで、叙情性とは別物。彼らのこれからの一つの方向性を感じさせる演奏だ。
 M8.”Shitoshito” (raining quietly) しっとりとした雰囲気でアルバムを納めるのである。

      *          *

 とにかく、今回のアルバムはテーマがユニークそのもので(ウォーターズのピンク・フロイドの頃の手法も感ずる)、何か一歩脱皮というか、壁を破りたい試みというか、前作もそうだったがヘルゲ・リエン・トリオとしての挑戦も感じられる。それは平坦な叙情にのみ収まりきれない何かエネルギーの発露を求めたような印象を持つのである。

(参考視聴) 映像はニュー・アルバム関係は見つからず・・・・参考までに前作から

  *   *

(試聴) ニュー・アルバムから”Jasmine”

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2015年11月14日 (土)

アダム・バウディフ&ヘルゲ・リエン・トリオAdam Bałdych & Helge Lien Trio 「Bridges」

トラディッショナル・ジャズ・ヴァイオリンとピアノ・トリオの描く不思議なカルテットの世界

<Jazz, Traditional>

      Adam Bałdych & Helge Lien Trio 「Bridges」
       ACT Music / Germany / 9591-2 / 2015

Bridges

Adam Bałdych (vn)
Helge Lien (p)
Frode Berg (b)
Per Oddvar Johansen (ds)

Recorded by Klaus Scheuermann at Hansa Studio, Berlin, March 13-15, 2015

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 ポーランドのトラッドやフォークの因子を持って創造的ミュージックを展開するジャズ・ヴァイオリニストのアダム・バウディフとノルウェーのヘルゲ・リエン・トリオとの共演作品の登場。
 共演と言っても、あくまでも主としてアダム・バウディフの曲によって主導するアルバムで、ヘルゲ・リエンはサポートと言って良いでしょう。若くしてこうしたヴァイオリニストがいることだけでも驚きだが、それにどんな関係にて成立したのか解らないが、ヘルゲ・リエン・トリオがこれ又絶大な効果を上げていて、現代音楽とトラッドとジャズ・ピアノ・トリオの一体化によるまさに不思議な世界が聴かれる。

Bridgeslist スタート曲がアルバム・タイトルの”Bridges”、この曲でこのアルバムの世界が見えてくる。とにかくトラッドといってよいヴァイオリンの技巧的な音と調べ、そしてあのヘルゲ・リエンの叙情的なピアノがそれに協調して美しい世界を展開。しかしそれは我々の馴染んでいる世界とは遙かに離れた異世界。当然私はこのアダム・バウディフという人の演奏と描く世界を知るのは初めてなので、いやはやこれが彼の創造の世界なのかと初聴きの興味で聴き入ってしまった。
  ”Requiem”はさすがに哀愁そのもの。何故か北欧の自然をイメージしてしまう。
 ”Karina”では、ヘルゲ・リエン・トリオならではの北欧トリオが生きている。
 そしてACT Music は相変わらず良い録音盤を提供している。ここでもヴァイオリンとピアノの澄んだ音色が素晴らしい。この音があってこそこの世界が迫ってくるのだ。

Adambaldych
 アダム・バウディフは2011年のベルリン・ジャズ・フェスティバルでセンセーショナルなデビューを飾ったポーランド出身の目下30歳前後の若きヴァイオリニスト。バークリー音楽大学を卒業後、ニューヨークをベースに活動しているらしい。2012年にラーシュ・ダニエルソンらと1stアルバムをリリースしている(Adam Bałdych & Baltic Gang「Imaginary Room」(ACT/ACT9532/2012))。
 彼のこのトラッディッショナルな世界はポーランドの民族音楽が基礎にあるのかそのあたりはよく知らないが、かなり好みも別れるところと思うが、一度は聴いておいて損は無い。
 ただ、さすがにヘルゲ・リエンの尖った角がなく、力みも無く、そして優雅にして繊細な演奏が聴き応えある。そしてここでは彼の持ち合わせている北欧の叙情性と前衛的なセンスが貢献しているのだろう。実はこれはヘルゲ・リエンに引きつられて購入したアルバム。いずれにしても彼のトリオの活動の一つの世界として位置づけて聴いたと言ったところだ。

(視聴)

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2014年10月 9日 (木)

皆既月食とヘルゲ・リエン・トリオHelge Lien Trio ジャパン・ライブ 

秋の静かな上越の夜に・・・・ヘルゲ・リエン・トリオと共に皆既月食を観察、そしてライブ

Helge Lien        ヘルゲ・リエン    piano
Per Oddvar Johansen ペール・オッドヴァール・ヨハンセン  drums
Frode Berg        フローデ・バルグ    bass 

 今回は、ここで多くを語ることは止めよう。
 2014年10月8日は・・・・天空の見事なショーとヘルゲ・リエン・トリオが神秘な自然の姿を演じてくれた。
   at 上越ラ・ソネ菓寮 春日山店

Lienjohan
さすが、写真好きのヘルゲ・リエン氏、我々と会話をしながらニコンの一眼レフで、天体ショーの撮影。

Helge Lien &
Per Oddvar Johansen

(撮影 小生)


 

Lienberg

Helge Lien &
Frode Berg

撮影をして・・・・さていよいよ演奏に。

(撮影 小生)

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皆既月食直前

ヘルゲ・リエン・トリオと我々が共に眺めた天体ショー

(撮影 小生)

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スモール・ステージ
彼等から約2メートルの位置で演奏を堪能

主として今回のニュー・アルバム「BADGERS and OTHER BEINGS」から・・・ほゞ全曲。

 これほどこのアルバムが天体ショーの神秘性とマッチングするとは思わなかった。

そして当然アンコールは・・・
”Natsukasii”

Xyz
演奏終了後のヘルゲ・リエン氏と私とのツー・ショット、後ろでフローデ・バルグ氏も顔を入れてくれました。
とにかくこんなアット・ホームな親密感の持てたライブ参加は初めてでしたね。

(参照) ヘルゲ・リエン・トリオ http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/helge-lien-trio.html

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2014年8月10日 (日)

ヘルゲ・リエン・トリオHelge Lien Trio の今年のアルバム「BADGERS and OTHER BEINGS」

クラシックからの発展形とコンテンポラリーの見事な融合

<Jazz>
             HELGE LIEN TRIO 「BADGERS and OTHER BEINGS」
             Ozella Music  , OZ 055 CD ,  2014

Badgers

 ノルウェイのヘルゲ・リエン・トリオ、彼等の作品としては、前作の「Natsukashii」 (参照 : HELGE LIEN 「Natsukashii」 )以来3年経ての今年の作品「BADGERS and OTHER BEINGS」であるが、既にここで取り上げたつもりでいたのだが、どうもそうではなかったようで、改めて遅まきながらの登場です。

 今回、ちょっと気になったのは前作までのトリオ・メンバーであったドラムスのKnut Aalefjaer に変わって、Per Oddvar Johansen が努めていることだ(2013年の来日メンバーもこのトリオ)。Helge Lien Trioとしては、2001年の「What are you doing the rest of your life」以来9枚目になり、 Ozella Music  からは3枚目と思うこのアルバムで、新トリオとしてのスタートになった。しかしほっとしたのは、相変わらす聴き終わった後に気持ちのゆとりを作ってくれるところは変わりなく、やはり快感を呼ぶ作品である。
 一方、ベースのFrode berg は、このジャズ・トリオとクラシック・オーケストラ(Oslo philharmonic Orchestra)のベーシストを兼任しているという人材。

Helge_lien_trioHelge Lien : p
Frode berg : b
Per Oddvar Johansen : d

 (Tracklist)
  1. Mor
   2. Joe
   3. Hoggormen
   4. Hvalen
   5. Folkmost
   6. Early Bird
   7. Knut
   8. Calypso In Five
   9. The New Black
  10. Badger's Lullaby


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 全曲ヘルゲ・リエンによる曲で構成されている。オープニングの”Mor ”は、クラシック・ピアノを聴いている感覚になる。しかし次第に3曲目”Hoggormen ”、4曲目”Hvalen ”あたりにくると、彼等のコンポジションを見せつけるスリリングにしてトリオのアンサンブルが強調され、コンテンポラリーな面が随所に聴かれるところとなる。しかし不思議に心が安まる世界が感じられるところが、このトリオの特徴だ。” Early Bird ”などはまさに美旋律。そして9曲目”The New Black ”においては、ややピアノの重低音を響かせ、このアルバムでは一番の現代音楽のアバンギャルドな面を展開するが、それが曲の最後には静かに落ち着いた世界に導いて終わらせるところはお見事。
 北欧の味なのでしょうかメディアム・テンポで軽妙なリズム展開の中にも何か心に響くメロデイーが襲ってきて、郷愁感を引き起こすところが、若さの割にはテクニカルにも又音楽的センスにも優れているように思ってます。最後の”Badger's Lullaby”のスローにして余韻を味合わせる演奏はアルバムの締めくくりとしては最高で、この盤の好印象を残させるに充分な曲である。

(視聴) ”Mor”

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2012年3月27日 (火)

ジャケ党を泣かせるアルバム(1)~「ヘルゲ・リエン・トリオ Helge Lien Trio / Natsukashii」

 ヘルゲ・リエン・トリオ Helge Lien Trio  「Natsukashii 懐かしい」
                      OZELLA MUSIC OZ036 CD   (2011)
                     REC.September 24-26, 2010, Oslo, Norway

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 このところ、最も気に入ったCDアルバムのジャケットがこれだ。とにかく彼らのアルバム・ジャケは過去のものも素晴らしいが、この近作は抜群。
 望遠レンズを使ってのモノクロ作品。とにかく見入ってしまう。しかもこの作品、このピアノ・トリオのピアニストであるヘルゲ・リエン自身の作のようだ。驚きである。
 私のようなジャケ買いが絶えないものにとって、このトリオの場合は中身はおよそ推測できるところであり、即座に入手した代物。紙ジャケでつや消しの素晴らしいもの。これがLPだったらなぁ~~と、しきりに思うところなのだ。

Natsukashiitrio  このトリオは、ヘルゲ・リエンのピアノを中心としたノルウェーのジャズ・グループ。

 Helge Lien : piano
  Frode Berg : Bass
  Knut September : Ds

 このメンバーで、多分本アルバムは、2001年の1st「What are You Doing The Rest of Your Life」以来7作目となる。かなり固い繋がりの仲間の作品と見てよい。
 そしてなんと、アルバム・タイトル及び第1曲目が”Natsukashii 懐かしい”と言う日本語であるところが又嬉しい。そして又、ピアノの旋律が日本的で懐かしい気持ちを起こさせる美しいノスタルジックな曲である。日本を知っての作品に相違ない。

Natsukashiilist 曲リストは、左のとおり。前々作「To The Little Radio」(2006年)はスタンダード集、前作「Hello Troll」(2009年)は、オリジナル曲集であったが、今回も全曲オリジナルである。
2曲目”Afrikapolka”4曲目”E”は、それなりにビートを効かした曲。彼らの醍醐味が覗かれるところ。3曲目の”Bon Tempi”は、ゆったりとした曲だが、次第にトリオでやや前衛性を持って盛り上げていくところが味がある。
 もともと彼らはクラシック畑出身であるので、”Sceadu”の意味は分からないが、クラシック・タイプの意味深な曲。
 そして”Meles Meles”は、”Natsukashii”同様ピアノの旋律の美しい曲だ。
 7曲目の”Hymne”は、オリジナル曲であるだけにメンバーがそれぞれの個性を交錯させてトリオの醍醐味である物語を展開。
 ”Umbigada”、”Small No Need”は、前衛性のある曲。スリリングな展開も聴きどころ。
 こうして、アルバムとしては緩急、美しさと前衛性など織り込んでのバランスも良く取れている。

 ジャケに惚れながらも、なかなか中身も味のあるアルバムとして聴き応えある。録音も良いところも味噌。
 彼らはノルウェーでのジャズに関しての権威ある賞をいくつか受賞しているようで、なるほど実力ある北欧のジャズの世界観を知る思いである。

(視聴)

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