ユーロピアン・ジャズ

2019年2月14日 (木)

ツォーマス・トゥルネンのピアノ・ソロTuomas A. Turunen 「Ornaments of Time」

自然を見つめる思索的響きの世界

<Jazz>

Tuomas A. Turunen 「Ornaments of Time」
SKIP RECORDS / GERM. / SKP 9139-2 / 2017

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Tuomas A. Trunen plays on piano (Fazioli F278 mkⅢ)
Recorded, mixed & mastered by Stefano Amerio on Sep.5-8 2017

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 このところスウェーデンのEmil Brandqvist trioの2枚のアルバム(『Falling Crystals』(SKP 9135-2)、『Within A Dream』(SKP 9141-2))で 、その美しいピアノの調べを披露しているピアニストとして気になったのがツォーマス・トゥルネンTuomas Antero Turunen である。彼の名前をみると、フィンランドのシンフォニック・メタル・ロック・グループ「Nightwish」のTuomas HolopainenとTaja Turunenを思い起こすと言うと、知る人ぞ知るということなのだが、まあそれはそれとして、とりあえずは彼のアルバムを手に入れてみた。

24301387 彼はフィンランド出身(1980年生まれ)で子供のころからピアノに接し、なんと5歳で作曲をしたといわれている。
 しかし大学では数学を専攻し、又格闘技も身に着けたりしているらしいが、その後ミュージックの世界への魅力は持ち続けていたようで、2001年からはクラシック及びジャズの本格的勉強をしてきた若き新鋭ピアニストで、ジャズ・ピアノとしてはスウェーデンにてあのLars Jansson やAnders Jorminからも教育を受けてきたという。そんなところからも抒情的なピアノ・プレイが築かれてきたのかも知れないと想わせるのだ。

(Tracklist)

List


Tuomasforest 収録曲は上のような12曲で、トラディショナルの2曲を除いて10曲は彼の手による曲で、完全なピアノ・ソロ・アルバムである。
  オープニングのM01."I heid her and said goodbye..."から、抒情的美旋律のクラシック調のピアノの調べが流れる。
 そしてほぼ全編、美しい自然に向かって詩的な感覚で眺めた哲学的・抒情的な演奏で占められている。

 ジャケをみると息子そして母のメモリーに捧げるアルバムと記されていて、自己のファミリーに想いを馳せた演奏集とも言えるようだ。
 2曲のトラディショナルも彼の地と関係したものであろうか、心安まる美しさに満ちている。

 ピアノもFazioliF278を使っており、又録音、ミックスの技術者として Stefano Amerio を起用していて、かなり美とリアリティーを意識して作られたアルバムであることは容易に想像され、そんな意味でも聴き応えある。

(このアルバム・ジャケは何を描いたのか、じっと見ても解りません。水のしぶきのようにも見えますが・・・・どなたか解りますか ? )

 彼はEmil Brandqvist trioの重要なピアノを担当しており、これからユーロ・ジャズのやや前衛性を加味した抒情的ピアノ演奏として益々目を離せない存在になりそうだ。

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★★☆

(試聴)

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2019年2月10日 (日)

エンリコ・ピエラヌンツィのニュー・アルバム Enrico Pieranunzi 「PLAY GERSHWIN」

ジャズでもなくクラシックでもなく・・・これは何なんでしょう
<Jazz, Classic>
Enrico Pieranunzi  Gabriele Mirabassi  Gabriele Pieranunzi
「PLAY GERSHWIN」
CAM JAZZ / IMPORT / CAMJ7939 / 2018
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Enrico Pieranunzi (piano)

Gabriele Mirabassi (clarinet)
Gabriele Pieranunzi(violin)

 ジョージ・ガーシュインと言えば、シンフォニック・ジャズと言われるクラシックとしてもジャズとしても通ずるアメリカの20世紀の作曲家だが、それを題材にしたイタリアのピアノの詩人と言われるエンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziのニュー・アルバムの登場。
 これが案の定、クラシックともジャズとも、なんとも正体の不明なアルバムの登場となった。それも彼のピアノにクラリネット、ヴァイオリンの加わったトリオ演奏によると言う不思議な世界を演じきったもの。もともとクラシックがベースと言うエンリコの事、まぁ聴いてみるとクラシック・スタイルと言ったほうが良いのかも知れない。
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もともとガーシュインの曲は、管弦楽曲、オーケストラとしての演奏が主体だが、それを3人の演奏となると室内楽的スタイルで、ちょっとイメージも変わる。更にそこにはそれなりのジャズ世界を演じてきた彼のアレンジが登場するわけで、そこが味噌と言えば味噌なのだが、如何にも正体不明なアルバムなのである
 まあこのところハイドンやバッハとか、さらにドビュッシーの曲を取りあげての彼の世界を演じてきたと言う事もあるのだが、ちょっと私の期待の世界とは別方向に流れているエンリコで、その極めつきがここに登場したとも言えると思う。
(Tracklist)
01. An Americab in Paris
02. Prelude 1

03. Prelude 2 (Blue Lullaby)
04. Prelude 3 (Spanish Prelude)
05. Prelude (Melody No.17)
06. Varaazioni Un Tema Di Gershwin

07. Rhapsody In Blue

V4w  今回のトリオは、彼の兄弟のGabriele Pieranunzi(→)のViolinと、何年かとお付き合いのあるGabriele Mirabassi (右下)のClarinetと言う構成で有り、気心知れた仲間での挑戦と言うことだと思う。まあしかしヴァイオリン、クラリネットと来れば、所謂ジャズのオーソドックスなトリオであるドラムスのようなリズム隊が居ないので、それが一つジャズ離れしたところだろう、もともとジャズ的世界とか何とかとには拘った話でも無いのかも知れない。

C3w そこでむしろ"Prelude"の4曲のように、美しく演ずるのであるが、ピアノがリズム役を担っていて、いわゆるジャズのオーソドックスなピアノ・トリオを期待してはいけない。まあメロディーを奏でる3者のトリオであるのだが、むしろピアノより、クラリネツトとヴァイオリンの美しさがここでは前面に出でいる。
 とにかく懐かしのガーシュインのメロディーが流れてくる。それはピアノの音であったり、クラリネットであったり、ヴァイオリンだったり美しくは演じられている。当初私はヴァイオリンがもう少しスリリングな展開をしてくれるのではと期待したが、そんなところにはなくむしろ一般的な旋律隊であった。
 そしてメインは、M01. "An Americab in Paris"M07. "Rhapsody In Blue"の2曲と言うところだ。特にM01の方は全体の流れが実に起承転結がしっかり築かれ中間部の美しさなど見事と言えば見事な仕上げであった。一方M07は、むしろこの編曲であるならオーソドックスなピアノトリオで演じてみると面白いのかもしれないと思って聴いた。
 M06."Variazioni Un Tema Di Gershwin"のみエンリコによる曲と思われるが、即興的ニュアンスも感じられるも、特に引きつける魅力はあまり感じられなかった。

  ガーシュインのポピュラーな曲は、結構ジャスで演奏されてきているので、そんなところかと最初は思ったが、なにせこの構成のトリオであって、まぁ~ジャズ的ムードは期待しない方が良い。ところが一方クラシックとして聴けば、結構美しく演奏してくれているのだが、ちょっと変なアレンジもあって意外性も顔を出してすんなり行かない。はっきり言うと中途半端なんですね。こうゆうのを好んで聴くのはどうゆう人なのかとむしろそっちに興味を持つところである。まぁ私の愛聴盤にはなりそうもないものであった。
(評価)
□曲・演奏 : ★★★★☆
□録音:   ★★★★☆

(視聴)

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2019年2月 5日 (火)

アレッサンドロ・ガラティのニュー・アルバム Alessandro Galati 「Live from The Inside Out」

トリオはやっぱりライブが楽しい!!

<Jazz>

Alessandro Galati 「Live from The Inside Out」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1077 / 2019


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ALESSANDRO GALATI(PIANO)
GABRIELE EVANGELISTA(BASS)
STEFANO ATKINSON(DRUMS)

Recorded in 2015-2018 in The Cities of Pisa, Prato, Roma, Bolzano, Palermo.

 このブログを見ると解ると思いますが、私はとにもかくにもアレッサンドロ・ガラティのファンである(ここでは12回目の登場だ)。それはアルバム『TRACTION AVANT』(VVJ007/1994)の感動以来なんですね。
 今回、こうして前回に続いて彼のニュー・アルバムの感想を書くということは、何とも幸せ感いっぱいで有るのだ。寺島靖国の努力から生まれたのでしょうが、今回「ソロ版(『Augustine』(TYR-1078))」とこの「トリオ・ライブ版」が同時にリリースされるという快挙があったのです。

 そしてここでは、この2枚組のトリオ・ライブ版のほうに注目してみる事にした。”アレサンドロ・ガラティ・トリオ”というのはこのところ不変のメンバーで(上記)、これもお互いの関係が上手くいっていると言うことなんでしょうね。ピアノ・トリオといってもベース、ドラムスの活動もしっかりしていてはじめて楽しめるのでありますからね。

A_g_2(Tracklist)
Disc 1
1. L'incontro
2. Sorry I've Lost Your Number
3. Nina
4. Seals
5. How Deep Is The Ocean

Disc 2
1. Casi Abstemia
2. Trampin’
3. Taylor Without Scissors
4. Cherokee



<Disc-1>
 M1-1. "L'incontro"は、アルバム『On A Sunny Day』からの曲だが、うーん寺島靖国はこれから攻めてきたかと、やはり優しく美しく美旋律を大切にしてのライブ・アルバムであることを窺い知れる。
  M1-2"Sorry I've Lost Your Number"も美しい。そしてさらにスリリングな展開が圧巻でそれが美旋律との対比が聴きどころ。3者それぞれが演奏しがいのある曲だろうと思うのだ。聴く方も納得モノ。強弱・遅速の織り交ぜが素晴らしい。ガラティ様々の11分越えの長曲。これを聴いただけでもこのアルバムを買った価値は十分。
 やっぱりM1-4. "Seals"が登場します。この曲があってガラティといったところですので9分とじっくり展開ですね。
 そしてM1-5." How Deep Is The Ocean"が凄い。このスタンダードがこうなるんですね、まさにトリオ作品、3者の美学とパワーが炸裂、これぞライブの醍醐味だ。あっと言う間の11分12秒。

<Disc-2>
 M2-1. "Casi Abstemia" では、ガラティのピアノが美しい旋律を奏でるが、ライブらしく9分以上の曲となっている。アルバム『SEALS』では約5分の曲であった。ここではベースも旋律を奏でたり、ドラムスのスティックの音が印象的で、このあたりはライブの魅力である。
 ガラティの美旋律だけでない面の M2-2. "Trampin’"を登場させてアルバムにアクセントを上手く付けている。この曲では美旋律というよりは3者のインタープレイが楽しめる13分になろうとする長曲。スタジオ盤と違ってドラムスのソロも聴き所となっているし、そこに入っていくピアノも頼もしい。やっぱりライブは良いですね。
 最後はスタンダードのM2-4. "Cherokee"で仕上げですね。ドラムスの奮戦とベースの主張、ピアノの盛り上がりと語り、3者の鬩ぎ合いが楽しめる。

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 今回は、ソロとトリオ・ライブの2タイトルでのリリースで、2019年の幕開けをしっかり楽しませていただいたのだが、やはりソロの美旋律も良いのだが、このトリオ・ライブ盤に私は軍配を挙げる。もともと両者の狙いは違うのだから比較というのもおかしいところだが、やっぱりジャズはトリオが良いですね、しかもライブが。録音もしっかりしている。・・・・今年のベスト・アルバム間違いなし。

(評価)

□ 演奏・曲 : ★★★★★
□ 録音   : ★★★★★

(視聴) "CHEROKEE"

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2019年2月 2日 (土)

アレッサンドロ・ガラティのニュー・アルバム Alessandro Galati 「Augustine」

全編、繊細な優しさ美しさに満ちている

<Jazz>
Alessandro Galati 「Augustine」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1076 / 2019

Augustine

ALESSANDRO GALATI (PIANO SOLO)

 1007803908イタリアの名ジャズ・ピアニストのアレッサンドロ・ガラティを引っ張り込むに成功したアルバム『Sheads of Sounds』(TYR1062)を昨年リリースした寺島靖国だが、ここに最新作が早くも登場した。今作はガラティのピアノ・ソロ作品『Augustine』(TYR1076)とトリオでのライブ録音作品『Live From The Inside Out』(TYR1077)(→)と、2タイトルが同時発売となった。

 まずここで取りあげるのはそのソロ作品。確かにこれはガラティのソロによる小品集といったところで、17曲が収録されている。彼の曲が6曲で、その他は比較的ポピュラーな曲で占められて居る。
 これは彼が何かを求めて作り上げた作品というのでなく、あくまでも日本のファン向けのサービス版といったところを感じさせる。

(Tracklist)

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  ガラティの世界には、3面ぐらいの多彩さがあるが、このソロ録音はピアノの繊細さ、そして美しさ、優しさのみに目的化された最新録音作品だ。トリオ作品に見られる情緒豊かな優しさの面がたっぷりこのソロ全編に満ちていて、如何にも寺島靖国版といったところに仕上がっている。

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  トップの曲M1." In Beijing"は、アルバム『On a Sunny Day』で楽しませてくれた美旋律の曲で、このアルバムのスタートに相応しい。そして彼の名曲M6. "Seals"も登場する。
 又ふと懐かしさに見舞われるのは、M7. "Theme From Sunflower"(映画「ひまわり」のテーマ=ソフィア・ローレンが頭に浮かびました。いやー懐かしい)、坂本龍一の M9. "Merry Christmas Mr. Lawrence"(「戦場のメリークリスマス」)と、心が熱くなる。
 又、ちょっと気になったのはイタリアのルイジ・テンコの曲がM12. "In Qualche Parte Del Mondo"(世界のどこかで)はじめ3曲も登場するのだが、これはガラティが非常に愛しているミュージシャンであるとの事と言うことらしい。

 とにかく全編ガラティがスタジオで一人物思いに耽りながら、周囲のことは気にせずしっとりと情感を込めて演奏した曲群という印象である。深夜に心休めるには最高のアルバムだ。

(評価)
□演奏 : ★★★★★
□録音 : ★★★★☆

(参考試聴)  Alessandro Galati  "Seals"

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2019年1月30日 (水)

アガ・ザリアンの久々のニュー・アルバムAga Zaryan 「HIGH & LOW」

ポーランドからの
相変わらずの美しいソフトなヴォーカルが・・・・・しかし

<Jazz>
Aga Zaryan 「HIGH & LOW」
WARNER MUSIC POLAND / IMP./ ZARYAN201801 / 2018
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Aga Zaryan (Vocals)
Michal Tokaj (Keyboards)
David Doruzka (Guitars)
Slawek Kurkiewicz (Electric Bass)
Pedro Segundo (Drums,Percussion)
Lukasz Zyta (Drums #4,9)
Munyungo Jackson (Percussion #3)
Marcin Kaletka (Tenor Saxophone)
Robert Majewski (Trumpet,Flugelhorn)
Grzegorz Nagórski (Trombone)
Corbin Jones (Tuba #5,9,10)
Irena Kijewska (Background Vocals)
Recorded in Warsaw, Sep.-Oct. 2018, Polish Radio Studio S4
  いやはやポーランドの女性シンガー・アガ・ザリアンAga Zaryanの話になるのも久しぶりである。
 ここで彼女のアルバムを取り上げた最後が、ポーランドで手に入れたライブ・アルバム『LIVE AT PALLADIUM』(COSMOPLIS 070・071/2008)の紹介だったと思うので6年前の話になる。とにかく歴史的な悲劇のワルジャワ蜂起をテーマとしてのアルバム『UMIERA PIEKNO』(ポーランド2007年、EMI music poland/2010)を製作して、国家的評価をも勝ち取り頂点に立った彼女である。その後日本でも知られるようになるのだが、ポーランド・ミュージックの日本紹介はそれ程歴史が無い。彼女についても日本でのデビューは2010年になってからだった。従って彼女の数枚のアルバムは殆ど当時に纏めて注目されたのである。
 その後はアルバム『A BOOK OF LUMINOUS THINGS』(2011)を聴いたが、今後への発展におそらく問題意識にテーマがなかなか持てなかったのではと推測する。私にとってはそれ以来7年の経過がある。そしてここに久しぶりにニュー・アルハセムを聴く事になった。
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(Tracklist)
1. Back
2. High & Low
3. Not Here For Long
4. Paths
5. Spirit Voices
6. Proof
7. Dreams, Themes & Schemes
8. Turn Me On
9. A Story From A Tram (Listen, Little Man)
10. Boo To You Too
11. Geri
12. Evil

 相変わらず、彼女の歌声はソフトできつい刺激というものはない。そして充実感あるところがいい。
 ただ今回のアルバムのコンセプトは?、実はよく解らない。しかしバックの演奏はMichal Tokaj (Keyboards)を中心に、構成はジャズ・バンドそのものである。
 アルバム・タイトル曲のM2."High & Low" は、バックにトランペット、トロンボーンが入ってギターを主力に展開する如何にもジャズらしい曲。しかしどうも心に響いてこない。旋律に美しさというもが感じないためかと思う。
 ほとんどの曲はアガ・ザリアン自身が英語で詩をつけているので・・・そのあたりを聴きこまないと・・・・。
 M4 "Paths"にはバックのサックスも歌い上げるのだが、どうも曲自身がピンとこない。
 全体に暗さはなく、むしろ弾むほうが印象深い。
 ただそんな中で後半になって、M6 "Proof"、M7."Dreams, Themes & Schemes"にそれでもキーボードと彼女の唄に美しさが感じられたことは救いであった。
   又M8."Turn Me On"、M11." Geri"はしっとりと歌い込んで不思議なムードがあり、彼女の味が出ていて、この辺りはちょっと注目される。



 とにかく、このアルバムを聴くにつけ何を期待して何に感動するのか、というポイントが見つからないのである。彼女のアルバム『UMIERA PIEKNO』(2007)は、ポーランドという国の独立するまでの苦しい時代を生きてきた女性たちの心が歌われていて、そこには悲劇と陰と力強い意志とが美しく歌われたのだが、そのイメージがあまりにも強いので、このようなよりどころのないヴォーカル・アルバムを聴くと、彼女の歌がうまいだけにちょっと逆にむなしくなる。
 

0006yls0q4em06usc122[アガ・ザリアンAga Zaryan]
 1976年、ポーランド・ワルシャワ生まれの円熟女性ジャズ・ヴォーカリスト。父はクラシック・ピアニスト、母は英語教師/作家らしい。紹介ではエラ・フィッツジェラルドとマイルス・デイヴィスを聴いてジャズに夢中になったという話がある。2002年にアルバム『My Lullaby』でデビュー。2010年のアルバム『Looking Walking, Being』(日本盤は翌年発表)は、ポーランドで最も権威にある音楽賞“フリデリク”でジャズ・コンポーザー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。スタンダードからポップス、ワールド・ミュージックのフィーリングを織り交ぜ、作品ごとに多彩な味付けがある。私の推薦盤は『Umiera Piękno』。
<Aga Zaryan  Discography>
2002 My Lullaby
2006 Picking

2007 Umiera Piękno
2010 Looking Walking, Being
2011 A Book Of Luminous Things
2013 Remembering

2018 High & Low
(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★☆
□ 録音      : ★★★★☆
*
(視聴) 参考までにアルバム『UMIERA PIĘKNO』より"MIŁOŚĆ"

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2019年1月 5日 (土)

エミール・ブランドックヴィスト・トリオEMIL BRANDQVIST TRIO 「WITHIN A DREAM」

全編通して・・・美しき詩的な叙情に包まれて

<Jazz, Contemporary Jazz>
EMIL BRANDQVIST TRIO 「WITHIN A DREAM」
Skip Records / Jermany / SKP9141-2 / 2018

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Emil Brandqvist : drums, percussie, klokkenspel, synthesizer
Tuomas Turunen : piano, celesta
Max Thornberg : contrabas. Gast

Martin Brandqvist : fluit, klarinet, basklarinet, percussie

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 スウェーデン、イエテボリ出身のドラマーであるエミール・ブランドックヴィストEmil Brandqvist の結成したピアノ・トリオのアルバム。とにかく美しさと懐古的心情の美、抒情性などの語り尽くせない美しいアルバム。ドイツからのリリースである。
 その手法はジャズといってもクラシックに近いピアノ・プレイを主軸に、ドラマーのリーダー・アルバムとは思えない美旋律Contemporary Jazzだ。これには勿論ピアニストのTuomas Turunen の力も大きいと推測する。

List
Recorded and mixed at S.Grammofonstudion,Gothenburg,Sweden,Noveber 1-5 and December 2017 by Åke Linton

All Songs written by Emil Brandqvist - exept M4(Tuomas Turunen ) and M12(Tuomas Turunen and Max Thornberg  )

 

 14曲全曲オリジナル、10曲はリーダーのEmil Brandqvist により、残る2曲がTuomas Turunen と Max Thornberg によるもの。

 M1、M3 とクラシカルな響きの美しいTuomas Turunen のピアノの調べで、どこか懐かしさを思い起こさせるムードに包まれる。
 M5 田園の水の流れを描いたと想わせ、終わりの盛り上がりが面白い。
 M6."Dream"夢心地の美しさ。
  M7."星空の下で"と言うところか、静かな北欧の散りばめられた星空の下に美しい情景が浮かぶ演奏。
 M8. いかにも抒情的、哀愁の淋しさ
 M10, M11 ここでもピアノのメロディーを支えるが如くのベース、ドラムス。それは究極の美しさだ。

 ここまで、リーダーがドラマーで「詩的」「美」「牧歌的な静」「哀愁」「懐かしさ」を描くトリオ作品は珍しいのではないだろうか、しかもアルバム全編を貫いている。まさに希有なアルバムだ。
 ここまでの徹底ぶりに、驚きと感動で聴き入ってしまったアルバム。

(Emil Brandqvist : Diacography)
2013: Breathe Out
2015: Seascapes
2016: Falling Crystals
2018: Within a Dream

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★★☆

(視聴)

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2019年1月 1日 (火)

謹賀新年 2019  ウォルター・ラング Walter Lang Trio 「Translucent Red」

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明けましておめでとうごさいます

今年もよろしくお願いします

             平成31年 元旦

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           ◇          ◇          ◇

日本レーベルのリリースも板について・・・日本人好み盤だ

<Jazz>

Walter Lang Trio 「Translucent Red」
Atelier Sawano / JPN / AS164 / 2018

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Walter Lang (piano)
Thomas Markusson (bass)
Sebastian Merk (drums)

 前作に続いて、Atelier Sawanoからのドイツのウォルター・ラングのピアノ・トリオ・ニュー・アルバムの登場。しかしアルバム・ジャケが凄い赤ですね。これを見ると情熱的な激しい内容のアルバムかとしり込みをしていました。そもそもウォルター・ラングは二つの顔を持っていてリリカルなサウンドを持ち味とするこのメンバーのピアノ・トリオと、一方Trio ELFのようなテクノ・サウンドによる世界とがある。
 しかし私好みはこちらのメンバーのトリオであるが、Atelier Sawanoからの前作『Full Circle』(AS-151/2016)は、なんとなく若干不満足であったため、今作の”赤ジャケ”をみると、更に若干尻込みして居たのです。しかしブログ友爵士さんから私のようなタイプは”これを聴かなきゃダメよ”と言う意味と思うが、お薦めが有って聴くに言ったと言う話。
 
  しかしラングは日本との関係に積極的ですね。今や、CD販売流通も世界的には冬の時代。日本はそれでもまだまだ世界から見るとCD派もいて、ミュージシャンにとっては有り難い国であるのかも知れない。さらに曲1曲を聴くというのでなく、アルバム通して聴きたいというところにもあるのかもしれない。

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(Tracklist)
1. Nancy (with the Laughing Face)
2. Afterglow
3. I Wonder
4. Translucent Red
5. La Musa
6. Precious Love
7. Soon
8. I Loves You, Porgy
9. Still Gone
10. They Didn’t Believe Me
11. Any Old Days
12. Sevilla
13. Dawn Song

 M1. "Nancy" これは女の子の名前だろうか、冒頭から優しいピアノの響きが伝わってくる。優しく女の子を見守る姿だろうか。タイトルを見ずに聴いていると、決して夜のムードでなくむしろ新年の静かな朝に通ずる雰囲気。
 M2. "Afterglow" 残照だ。更に優しいピアノの調べからスタート、ベース、シンバルも同様に優しさの溢れた響き。
 M4. "Translucent Red" ”透き通った半透明の赤”ということだろうか、アルバム・タイトル曲だが、その意味すねところは解らないが、これが又メロディーも優しくノスタルジックな抒情性豊かで聴き惚れる。
 M6. "Precious Love" 尊い貴重な愛、こうした曲を聴くと人間の世界が美しく見えてくる。
 M7. "Soon"そしてM9. "Still Gone"、M11." Any Old Days"と、郷愁をさそう。
 M10They Didn’t Believe Me、M12." Sevilla"は珍しく優しさの軽快な曲
 最後はM13. "Dawn Song"夜明け、未来への展望で納めるところがニクイところ。

 いやはや全編通して「優しさ」「懐かしさ」「優美」「叙情」「希望」「愛」など溢れた曲群で一貫している。彼が日本をイメージしているのかその点は解らないが、レーベルAtelier Sawanoの面目躍如たるアルバム作りとなっている。更に技術陣としてイタリアのステファノ・アメリオを起用し、レコーディングから音質まで素晴らしくあのECMアルバムを連想する世界に至っている。
 意外にこのアルバムを評しているブログは少なく、ここに新年早々に是非とも聴いて頂きたいアルバムとして取りあげた。

(参考)ウォルター・ラングWalter Lang
1961年ドイツ・シュヴェービッシュ・グミュント 生まれ。 アコーデオンとピアノを演奏する父と祖父のもとで育った。ボストンのバークリー音楽院とアムステルダム芸術大学でピアノと作曲を学んでいる。トリオは世界中をツアーしており、なんと言っても特に日本のジャズファンから愛されていて、親日家。このところ澤野工房からアルバムをリリース。

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★★☆

(試聴)

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2018年12月25日 (火)

クラウディオ・フィリッピーニ Claudio Filippini Trio 「THE ENCHANTED GARDEN」 & 「BEFORE THE WIND」

ピアノの美しさにコンテンポラリーな味付けのトリオ

<Jazz>

Claudio Filippini Trio 「THE ENCHANTED GARDEN」
CAM Jazz / ITA / CAMJ7839 / 2011


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Claudio Filippini (p,key)
Luca Bulgarelli (b)
Marcello Di Leonardo (ds)


  寺島靖国が『For Jazz Audio Fans Only Voll.11』(TYR-1074/2018)で取りあげた曲"Django"の納まっているアルバムである。当然これは聴いておかねばと注目したもの。
 あのエンリコ・ピエラヌンツィが、ライナーノーツを担当し、その才能を褒めたたえるイタリアのピアニスト、クラウディオ・フィリッピーニClaudio Filippini(1982年ペスカーラ生まれ) の2011年のリリースもの。当時30歳前後の新進気鋭の作品だった。これは日本でも評価が高くそれなりに売れたアルバムだったようだが、私は未聴だったもの。

(Tracklist)
List

Cf なるほど、ピエラヌンツィが目をつけるだけあって、まずはピアノの音が瑞々しく透明感のあるところで、M1."Il Fiore Purpureo"はそのピアノ・ソロからスタートして、シンバル音、ベースと入ってくるところがこれはなかなかと魅力を感じさせる。次第にペースを上げてジャズの世界に突入するも騒がしさが無い中にしっかりと主張はしている。
 M2."Verso Sera"は、所謂スウィング・ジャズとは一線を画して、フリー・ジャズに近い世界を展開。しかしそこにはふとピアノがクラシックを思わせる中に、シンバルの繊細な響き、ベースは曲の支柱になって支えるの音が十分対等に交錯して違和感の無いジャズにしてみせる。これが又録音エンジニアはStefano Amerioとくるから、なかなか快感の音であるのだ。
 寺島靖国はこのアルバムの最後の曲ジョン・ルイスのM13."Django"を選曲したのだが、これが静かにメロディアスな優しいピアノ、そしてベース、ブラシ・ドラムスの音がゆったりと繊細に響き、なんとも言えない魅惑の快感の世界に包まれる。ユーロの世界、イタリアの世界と華々しいアメリカン・ジャズとは別の感覚を楽しませてくれる。
 ミッシェル・ルグランの曲M8."You Must Belieave in Sprig"のピアノの美しさには惚れ惚れする。

  このアルバムは13曲盛り込まれているが、彼らのオリジナルが多く、曲によっては三者の責め合いもあって、単なる抒情性の世界では無く、既成の世界から一歩出て行くフリー・ジャズの色も見せてコンテンポラリーなところは将来楽しみなところである。

(評価)
□曲・演奏 : ★★★★☆
□録音   : ★★★★★☆

                              - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

(参考)

 Claudio Flippini Trio 『BEFORE THE WIND』 
                    (Cam
Jazz/CAMJ 7936-2/2018)

 彼らのトリオは不変で、今年はこのニュー・アルバムをリリースしている。このアルバムもついでにと手に入れてみたが、ここでもクラウディオ・フィリッピーニのややクラシックがかった美しいピアノが展開し、決して難解にならないコンテンポラリーさもやはり持っていて、結構快感で楽しめるところにある。なんとエレクトリック・サウンドも交えるという一幕もある。又ベースのLuca Bulgarelliは、ソロ演奏で聴かしたり、アルコ奏法を交えてうやはり美しいバックを構築するところもある。これもAmerioの録音で、サウンドにうるさい人には是非聴いて欲しい魅力的トリオ・バランスを構築している。

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1. Maia (4:41)
2. Andromeda (5:50)
3. Don’t Elevarsi (6:19)
4. Bassever (1:09)
5. Forever (5:36)
6. Goa (6:21)
7. Mentre Dormi (4:59)
8. Haze (6:14)
9. Encore (4:06)

All music by Claudio Filippini except tracks #4 Luca Bulgarelli;
#6 Claudio Filippini, Luca Bulgarelli, Marcello Di Leonardo

Claudio Filippini(p, keys),
Luca Bulgarelli(b),
Marcello Di Leonardo(ds)

Recorded in Decem.2017 at ARTESUONO RECORDING STUDIO
Recording & Mixing engineer Stefano Amerio

(視聴)

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2018年12月21日 (金)

寺島靖国プレゼンツ 第18巻 「Jazz Bar 2018」

18年目を迎えたシリーズは、やっぱり欧州ムード美旋律曲集

<Jazz>
Yasukuni Terashima Presents 「Jazz Bar 2018」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1075 / 2018

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 このシリーズは、なんとなく毎年手に入れて一年を回顧する習慣になっているもの。そんなところから今年の18巻目は多分寺島レコードからリリースされたAlessndro Galati などを筆頭に、選曲はおそらくこんなところだろうと数曲予想していたのだが、なかなか一筋縄では行かない寺島靖国、完全に予想を翻されて、なんと私の購入アルバムはゼロ。それは予想に反してかなり古いモノを掘り起こしているためだ。そんなわけだか、皮肉にも極めて意外にフレッシュな感覚で聴く事の出来たコンピ・アルバムとなった。ただ予想したるところは、ユーロ系が多いというところにあって、これは私の期待に添っていたことになる。

(Tracklist)
1. SAD TO SAY [Vladimir Shafranov]
2. PIENSA EN MI [Marco Mezquida]
3. MISSION [Varga Gabor Jazz Trio]
4. GIORGIA MOOD [Giorgio Azzolini]
5. FENESTA CHE LUCIVI E MO NON LUCI [Alessandro D'Episcopo]
6. OLD FOLKS AT HOME [Moncef Genoud Trio]
7. MY LAMENT [Martin Terens Trio]
8. JUSTE AVANT [Jean-Pierre Mas]
9. LA CHANSON DES VIEUX AMANTS [Charles Loos Trio]
10. HIDDEN MESSAGE [Laszlo Gardony]
11. MARCIA FUNEBRE [John Taylor]
12. DUST IN THE WIND [Philippe Lemm Trio ]
13. TRES PALABRAS [Abe Rabade]

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*
  さて上の選曲をみても、意外にも売れ筋ではマイナーと言って良い布陣です。そこが味噌と言えば味噌なのだが、私にとってウ~ンそんなところもあるのかと、ニヤっとして紹介された曲の気にいったアルバムを押さえたくなるんですね。しかし今回少々調べてみると結構古いモノが多く、ここまで来るとちょっと寺島靖国もこのところは苦労しているのだなぁと想像もしてみるんです。そんなに無理しないで今年の人気モノも載せておけば良いのにと若干同情もしてしまう。
 それもそう近年は『For Jazz Audio Fans Only』、『For Jazz Vocal Fans Only』、『For Jazz Drums Fans Only』と、立て続けにコンピ・アルバム・シリーズをリリースしているわけで、どうも若干ネタ切れかと想像もしてしまう。

 それもなんと、M3. "MISSION" [Varga Gabor Jazz Trio]は、このシリーズの7年前の「2011年版」の2曲目にも同じモノが登場しているんです。これはやっぱりまずいでしょう。それでも許さなければいけないのかとなると、このアルバム結構値段もお高いので、その分まけて頂戴と言いいたくもなった次第。周りのスタッフも気がつかなきゃいかんでしょう。でも許しましょう、得るモノも大きいので・・・・。

M1. "SAD TO SAY" [Vladimir Shafranov]  は、ジャズという感覚無しで聴ける美旋律。(アルバム上左)
M5."FENESTA CHE LUCIVI E MO NON LUCI"は、まさにイタリアの歌心で心にしみ込んでくる。(アルバム上左から二番目)
MartinterensM7."MY LAMENT"これはちょっと注目もの。ドイツのMartin Terens Trio(→)、どこかアグレッシブな世界を求めている演奏で興味を持つ。録音がシリアスで、ドラムスのブラッシ奏法が効果的(アルバム上左から三番目)
M9."LA CHANSON DES VIEUX AMANTS"なんとなく泣かせる曲。余韻の捕り方がなかなか上手い演奏。(アルバム上右)
M10."HIDDEN MESSAGE"哀愁曲のまあ及第点モノ。

 選曲されたものに関しては、先日リリースの『For Jazz Audio Fans Only Vol.11』と刺激性はかなり低い。まあ優しいというムードといってよいのかとも思う。このシリーズはどちらかというとロマンチックな面や抒情性を重んじての選曲として、我々も受け入れてきたのであるから当然なのかもしれない。そんな世界に作り上げられているアルバムだ。そこが魅力の一つであると言っておこう。しかし少々残念なのは、今回は古いアルバムからの選曲が多く、「2018」と銘打っているにしては?・・・・と、疑問も無いわけではない。取り上げた曲の納められたアルバムにせまってみようという意欲は若干過去に比べると低かったことは否めない。

(試聴)

*

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2018年12月17日 (月)

シモーネ・コップマイヤーSimone Kopmajer 「SPOTLIGHT ON JAZZ」

キュートから円熟味の加味されたロマンチィック・スタイルへ

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<Jazz>
Simone Kopmajer 「SPOTLIGHT ON JAZZ」
Lucky Mojo / EU / LMR 1801 / 2018

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Simone Kopmajer (Vocals)
Terry Myers (ts,cl)
Paul Urbanek (p)
Martin Spitzer (g)
Karl Sayer (Bass)
Reinhardt Winkler (Drums)

 オーストリア出身のジャズ・シンガーでヴィーナス・レコードからデビューしたシモーネ・コップマイヤーSimone Kopmajerのニュー・アルバム。ジャズ・スタンダードにスポットライトを当てたそのままのタイトルの付いたアルバムの登場だ。これはVenusでなくLucky Mojo Recordsからのリリース。彼女は最近は米国での活動も多い。

61qu5ysczl__w_2 私の知る限りだと、かっては"シモーネ"と言う名前でアルバムがリリースされていた。私が持っているのはデビュー当時のアルバムを二枚組にしたVenus Recordsの"The Best Coupling Series"のもので、『Moonlight Serenade 』+『 Romabce』(VHCD-1147/2013 →)である。この当時はキュートと言った表現に当たる可愛い声でのジャズを歌ったアルバムであった。これはもともと2003年に彼女のデビューした時のもので(彼女は1981年生まれであるから、当時22歳)、もう15年前になる。従って今回のアルバムはどんなムードか、若干彼女の変化に興味を持ちつつこれを聴いた訳だ。

319779_101509324183w_2(Tracklist)
1 Spotlights 3:56 *
2 Pennies From Heaven 5:10
3 You Don ́T Call Me 3:30
4 Mighty Tender Love 4:17 *
5 Poinciana 6:46
6 Dig That Riff 4:00
7 Remember Jeannie 6:58 *
8 Struttin ́ With Some Barbecue 4:08
9 Exactly Like You 4:44
10 A Gift From Buddy 4:40
11 Stompin ́ At The Savoy 4:25
12 We ́Re Goin ́ In 4:32
13 Mood Indigo 4:04
14 Dig That Riff 3:02

 (*印:Simoneのオリジナル曲)

  それでもあのキュートは残しつつ若干卒業して、適当に垢抜けた円熟味が加味され大人のジャズヴォーカル色が加わったロマンテイック・スタイルになった彼女をこのアルバムで聴ける。
 バックはピアノ・トリオにテナー・サックス、ギターが加わって、ジャズの条件はしっかりとそろえている。全体に標準的なサウンドで、荒れることの無い、コンテンポラリーな変化も無い大人しいバックで、やはり彼女のヴォーカルを主体とした演奏だ。
 実は彼女の前作『Good Old Times』は昨年リリースされたアルバムだが私は聴いてなかった。その中身はロック・ポップスに近いモノだったようだが、今回はしっかりジャズ・シンガーを表に出している。

  オープニングのM1,"Spotlights"から、やや陽気な展開で、その流れはアルバム全体の印象となっている。まあ声の質から言っても深刻さの無いお手軽ジャズ・ヴォーカル・アルバムとして聴くのがよいのだろうと思う。
 私的は M2、M3、M5あたりは落ち着いたムードで好感。
 M10 "A Gift From Buddy" M13 "Mood Indigo"の2曲は、大人のムード仕立てで、このアルバムでは出色。

(評価)
□ 歌・演奏 : ★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(視聴)

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