ユーロピアン・ジャズ

2018年12月13日 (木)

寺島靖国プレゼンツ「For Jazz Audio Fans Only~ Vol.11」

今回もサウンド・演奏に充実感に浸れる

<Jazz>
Yasukuni Terashima Presents
「For Jazz Audio Fans Only~ Vol.11」

TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1074 / 2018

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 オーディオ・ファンに向けたコンピレーション「For Jazz Audio Fans Only」の第11巻が登場した。ジャズを聴くにはまずそのサウンドが良くないと納得しないと言う寺島靖国の選曲シリーズだ。なにしろ「ジャズは音で聴け!」のコンセプトの下に集められたもので、なるほどと思わせるに十分だ。私もその傾向にあるといえば・・・・そうかも知れない。なんと言っても昔の録音の名演奏シリーズも音にがっかりしてしまうことは何度も経験している。そんな中でこのような企画はこれからのCD製作に良い刺激を与えていることは間違いないだろう。
 今回はそう有名で無いミュージシャンものが多いと思うが、それが私にとっては良い発掘の場ともなっていて楽しみなのである。

(Tracklist)
1 OLD CITY (LOUIS PERDOMO)
2 BALLAD FOR L (MARIO NAPPI TRIO)
3 INTERLUDE (FABIAN MEYER TRIO)
4 DJANGO (CLAUDIO FILIPPINI TRIO)
5 ULTIMO GIORNO IN VIA PALAZZI (MICHELE DI TORO TRIO)
6 AUTUMN LEAVES (SWEET BABY J'AI)
7 WHERE OR WHEN (THE LYNNE ARRIALE TRIO)
8 ILTER FABEL (MAKIKO HIRABAYASHI TRIO)
9 WHEN THE DAY IS YOUNG (STEPHAN BECKER TRIO)
10 SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE (SILVES TRIO)
11 LONGING (EMIL BRANDQVIST TRIO)
12 MISS (ALEXI TUOMARILA TRIO)
13 NO REGRETS (SIMON DENIZART TRIO)

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**今回も圧倒的にトリオものが多い。まぁ私のようにビック・バンドを好まない人間にとっては、これ又歓迎である。

  そしてまずの注目株は2曲目の”BALLAD FOR L”のイタリアの若武者マリオ・ナッピ・トリオMARIO NAPPI TRIOだ。これがなかなかのくせ者。アルバム『Triology Vol.2』からの曲が取りあげられた。彼らはなかなか一筋縄では行かないアグレッシブな世界を築く。そしてそれに相応しいトリオ対等の録音位置にありシンバルも冴える。
 次の注目はM4 "DJANGO" (アルバム『THE ENCHANTED GARDEN』上左)のクラウディオ・フィリッピーニ・トリオCLAUDIO FILIPPINI TRIO、イタリアのトリオだ。このトリオを知っただけでも十分このアルバムを手に入れた成果はある。とにかくピアノが素晴らしい上にドラムスはどちらかというと繊細派、ベースは意外にリード派だ。エンリコ・ピエラヌンツィが才能を認知しているトリオである。そう言えば押して知るべしと言った所。
  M6 "AUTUMN LEAVES" ベースとSWEET BABY J'AIのヴォーカルが低音で迫ってくる。
 M9 "WHEN THE DAY IS YOUNG" (STEPHAN BECKER TRIO、アルバム『Solar Energy』上中央)が録音が素晴らしくピアノが冴える。演奏も思索的で素晴らしい。
 M11 "LONGING" (EMIL BRANDQVIST TRIO)あたりは優しく美しくで気持ちが良い。
 M12 "MISS"は、先日ここで取りあげたALEXI TUOMARILA TRIOで、絶妙なピアノ・プレイが聴き応え十分(アルバム『Seven Hills』より、上右)。

 こんな調子で、なかなか今回のこのコンピ・アルバムは充実感があります。まあ年に一回のリリース・ペースで、あまり第一線の注目盤は避けているようで、その為若干古いリリースものもありましたが、私にとっては意外に新鮮で面白かった。
 

(試聴)

① CLAUDIO FILIPPINI TRIO

           *

② STEPHAN BECKER TRIO

                     *

③  ALEXI TOUMARILA TRIO

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2018年12月 9日 (日)

ラーシュ・ヤンソンのニュー・アルバム Lars Jansson Trio 「JUST THIS」

端麗なピアノ・タッチは緩急・メリハリの効いたメロディーに乗って

<Jazz>
Lars Jansson Trio 「JUST THIS」
Spice of Life / JPN / SOLSV41 / 2018

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Lars Jansson ラーシュ・ヤンソン (piano)
Thomas Fonnesbaek トーマス・フォネスベック (bass)
Paul Svanberg ポール・スヴァンベリー (drums)

 スウェーデン抒情派ピアノのベテラン・ラーシュ・ヤンソンLars Jansson (1951年スウェーデンのオーレブロ生まれ)の、レギュラー・トリオによる全曲13曲をオリジナルで構成したアルバムの登場だ。2015年の『Facing The Wall』(SV-0033/2015)以来3年ぶりとなる。
 前回ここで取りあげたのは2年前のセルフ・カヴァー・アルバム『More Human』(SOLSV-00371/2016)だったが、あのアルバムからは、人間性が溢れていたところにどっぷりと浸かることが出来たが、さてこのオリジナル曲集は?と興味の湧くところである。

20170720_210108trw 少し難題にはなるが、タイトルの「Just This」は彼の探求する禅の心「ビギナーズ・マインド “初心”」の見地から生まれたと説明されている。全13曲には全てが彼の人生への深い想いと彼自身の心の反映されたものとして受け入れられているが・・・・。
 更に、このアルバムをレコーデイングする直前に夫人のクリスティーナの重篤な病気という精神的に苦悩する中での作品作りとなったものと言うことで、彼の持ち前の人間性の表現がここにありと言う世界のようだ。

 ”その追い込まれた精神の中で葛藤する彼のピアノは今まで以上に人間味溢れ極めて説得力のある力強いものになっている”と評価されているが・・・・。
 ヤンソンの言うところよると「人生の全てを受け入れるということは簡単なことではない。しかし現在を見つめ完全に自分を没頭させること、Just This。」と・・・・。

(Tracklist)
01. ジャスト・ジス / Just This
02. ピュア・センセイション / Pure Sensation
03. ワルツ・フォー・ビル / Waltz For Bill
04. レシーヴィング / Receiving
05. ボーヒュースレン / Bohuslan
06. ムスタファ / Mustapha
07. インティメイト・トーク / Intimate Talk
08. チェリッシュド / Cherished
09. ターン・ザ・ホール・シング・アップサイド・ダウン / Turn The Whole Thing Upside Down
10. ノー・パーパス / No Purpose
11. セイフ・トリップ / Safe Trip
12. アナッタ/ Anatta
13. トゥー・ハヴ・オア・トゥー・ビー/ To Have Or To Be

(all tracks composed and arranged by Lars Jansson)


Larsjansson01 スタートからアルバム・タイトル曲M01."Just This"が登場するが、なるほどヤンソンの陰影の感じられない家族愛的優しいメロディーが流れる。
 M02."Pure Sensation"やビル・エヴァンスに捧げたと言うM03."Waltz For Bill"は、ややアップ・テンポに展開する曲。しかし意外に印象に残らない、それは難点らしいところが無いのだ。これが実はヤンソンの演ずる曲の一つの特徴であるように思う。
 M04."Receiving"は、彼の技巧の妙による流れの魅力的な曲。
 中盤には、トリオとしての三者の技量の交錯が聴きどろの数曲が展開する。
 M10."No Purpose"M12. "Anatta"は、彼らしい心に落ち着きと安らぎを与えてくれる。
 最後のM13."To Have Or To Be"は、締めくくりに相応しいどこか愛情のあるバラッド。

  相変わらず彼の持ち味どおりで、難解な展開にはならない。やはり「ピアノ・トリオの教科書」的安定感があり、安心して聴いていられるピアノ・トリオ世界だ。そこがヤンソンの特徴だろうと思うが、聴き終わって”これだ!”というインパクトがない。逆にそうしたところが魅力なのかも知れないが、私にとってはどこか”毒”とまでは言わないが、そんな刺激がないところがちょっと寂しいのである。
 

(評価)
□曲・演奏 ★★★★☆
□録音   ★★★★☆

(試聴)

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2018年12月 5日 (水)

ソニア・スピネロのニュー・アルバム Sonia Spinello Quintet 「CAFÉ SOCIETY」

実力派のヴォーカルは情感たっぷり

<Jazz>
Sonia Spinello Quintet 「CAFÉ SOCIETY」
Abeat Jazz / ITA / ABJZ182 / 2018

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Sonia Spinello : voice
Fabio Buonarota : trumpet
Gianni Cazzola : drums
Lorenzo Cominoli : guitar
Attilio Zanchi : doublebass

45327647_2214351592178953w_2  私の注目のロベルト・オルサーRobert Olzerとのカルテット・アルバム『WONDERland』(ABJZ162/2017)の素晴らしさで知ったイタリアの実力派女性歌手ソニア・スピネロ。今度はクインテットによるスタンダード・ナンバーのアルバムだ。
 相変わらず、彼女のディープにして情感充ち満ちたヴォーカルで歌い上げられているが、彼女は1974年生まれで目下充実の年齢、ジャズ・ヴォーカルの研究者でもあるらしい。
 そして今度はピアノに変わって、トランペット、ギターがムードを盛り上げ役になっている。
 しかしそれにつけても、もうちょっと洒落たアルバム・ジャケにして欲しかった。それによりガラっと変わったムードとして聴けると思うのだが・・・。

20374504_1940449609569154_112946471(Tracklist)
1. Body And Soul
2. But Not For Me
3. Love For Sale
4. Misery
5. Our Love Is Here To Stay
6. Sophisticated Lady
7. You Don’t Know What Love Is
8. Yesterdays

 M1. "Body And Soul" ギターとミュートを効かせたトランペットがムード盛り上げ、ソニアのソフトにして厚みのある深く沈むヴォーカルがしっとりと聴かせる。
 M4. "Misery" も良いですね。これは”悲嘆”と言う意味だろうか、トランペットも哀しく響き、彼女のヴォーカルも美しくも哀しく歌って心打つ。
 M6. "Sophisticated Lady "このあたりは彼女の独壇場。
 M7. "You Don’t Know What Love Is"が、しっとりと訴えてきて、こうゆうムードには私は痺れて弱いんですね(笑)。

  まあどちらかというと、ユーロというよりアメリカン・ナイト・ムードといったところだ。この世界もジャズ・ファンの中では結構好きな人は居るんじゃないかと思うところ。ユーロ好きの私もこのような世界であればOKなんですね。なかなかこのような大人のムード・ヴォーカルも最近少なく、暫く聴き入ってしまった。

(評価)
□ 歌・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(試聴)  

(視聴)

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2018年11月27日 (火)

ジョバンニ・ミラバッシのニュー・アルバム GIOVANNI MIRABASSI TRIO 「SUMMER'S GONE」

ロマンティック・メロディストの世界は抒情的にして流麗な世界

<Jazz>
GIOVANNI MIRABASSI TRIO 「SUMMER'S GONE」
CAMJAZZ / Import / CAMJ 7938-2 / 2018
Summersgone
Giovanni Mirabassi (piano)
Gianluca Renzi (bass except 5,7,10,12)
Lukmil Perez (drums except 5,7,10,12)
Recording & Mixing Engineer : Stefano Amerio
Recorded at Artesuono Recording Studio in Nov. 2016
 イタリア人であるがパリで活躍しているピアニスト:ジョバンニ・ミラバッシGiovanni Mirabassiの久々のトリオ・アルバム(CamJazz第4弾)。前トリオ・アルバムは、ジブリ・アニメの大ファンだと公言し製作したジブリ曲集でもある『Animessiアニメッシ』(2013)であったが、どうも過去のアルバムと比して若干魅力は失せていた。そしてあれから既に4年半を経過してしまったんですね。
 むしろ昨年のCamJazzからのソロ・アルバム『LIVE IN GERMANY』 が私にとっては魅力を感じたところだ。

 今回の中身は全12曲中11曲がミラバッシのオリジナル曲というところが注目点。しかも彼のピアノ・ソロ曲も挿入されている。とにかくミラバッシとくれば2001年の『AVANTI!』(2001)が強力で、全てあのアルバムと比較して聴いてしまうと言う私である。あのようなソロによるものと、このトリオでは若干意味合いは異なっても、やはり彼の独特な抒情派で有りながらどこかコンテンポラリーなところがあり、又緊張感のある硬質な切れ味を加味してのメロデッックに聴かせるところが大きな魅力である。そんな意味でも待ちに待ったトリオ作品だ。
 更にレコーディング・ミキシング・エンジニアがステファノ・アメリオというところも聴きどころである。
42518634trw(Tracklist)
01. Requiem For N. F. (6:04)
02. A Dirty Job (5:02)
03. Le Voyage De Yui (3:52)
04. Quasi Quasi (5:04)
05. Ausencias (solo piano) (Astor Piazzolia)(8:08)
06. La Mélodie Du Désastre (4:32)
07. Impro 1 (solo piano) (1:06)
08. Summer's Gone (6:41)
09. My Corean Heart (4:55)
10. Impro 2 (solo piano) (0:51)
11. Nana Nana Nana (777) (5:45)
12. Valentina (solo piano) (3:01)


 考えてみるとこのアルバムは、ミラバッシのオリジナル曲集であることが、久しぶりと言うか珍しい部類に入るので、興味は津々というところであった。冒頭のM1." Requiem For N. F"から透明感のあるピアノの響きが止めなく流れ、ベース、ドラムスが快調に展開する。いっや~ミラバッシ世界が始まったなぁ~と嬉しくなる。
   M3." Le Voyage De Yui"
は、彼独特のコンテンポラリーなフリー・ジャズっぽい演奏もしてみせる。そしてそれが良いアクセントになっている。
 .そして皮肉にもこのアルバムの中では、私の場合彼がソロ・ピアノで演じたM5."Ausencias" (唯一彼のオリジナルでないPiazzoliaのカヴァー曲)が、一番お気に入りの曲になってしまった。つまりそれ程彼のソロで演ずるピアノの音は多彩でリリカルにして美しく、まさに宙を舞うが如くの展開に惚れ惚れとしてしまうのである。
*
Trio

 だからと言って、トリオ演奏が劣るわけで無く素晴らしい。特にアルバム・タイトル曲であるM08." Summer's Gone"が心を引きつける。ここにはロマンティック・メロディストの面目躍如なるミラバッシのピアノの音が澄みわたって美しく響き、しかも詩情をたっぷりと感じるところを演じてくれる。
 そしてアメリオの録音は、ピアノ・トリオとは言え、けっしてベース、ドラムスをないがしろにしない。三者をものの見事に配置する。従ってドラムス、シンバルの音も冴え渡り、ベースも心地よく響き、そんな中で、ミラバッシのピアノが非常に多くの音を多彩に演ずる。ふとピアノ・ソロ演奏かと思わせるところがあるくらいだが、ベース、ドラムスの二者はスパイスと高揚感を持たせてくれる役目は十分に果たしてくれる。

 とにかくミラバッシの抒情的で流麗な演奏は、如何にも独特の世界であって、どの曲を聴いてもその美しさに圧倒される。それはイタリア人の歌心なのか、ピアノで演ずる端麗美と詩情と多彩な音により構築するメロディーには彼以外の何物でも無いと聴けばすぐ解るところにある。
 久々にミラバッシのトリオ盤を手にしてご機嫌なのである。
(評価)
□曲・演奏 : ★★★★★☆ 
□録音   : ★★★★★
(参考視聴) 今回のニュー・アルバム映像はまだ見当たらないので、過去のものを・・
 

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2018年11月19日 (月)

アンナ・マリヤ・ヨペクの新作 Anna Maria Jopek 「ULOTNE幻想」

「ポーランド民族音楽への愛」からの回想か・・・・・

<Jazz>

Anna Maria Jopek & Branford Marsalis 「ULOTNE 幻想」
AMJ / Import / AMJ001 / 2018


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Jopek Anna Maria (voc)
Marsalis Branford (ts,ss)
Krzysztof Herdzin (p,arr)
Mino Cinelu (per)
Maria Pomianowska (Bilgoray suka)
Robert Kubiszyn (b)
Piotr Nazaruk (cytra)
Marcin Wasilewski (p)
Atom String Quartet

 近年、世界各地の音楽とミュージシャンとの共演に挑戦してきたアンナ・マリヤ・ヨペクのニューアルバム。
 これは自主製作盤といってよいものであるが、おそらく彼女の意志が大きく働いてのものと推測する。ジャケ、ブックレットもポーランド語、英語、日本語が記されている。今や日本は彼女にとっては音楽的にも最愛の国でも有り、その結果であろう。

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 彼女としてみれば、ポーランドから発して世界各地の民族的愛を探究してきたことより、なんとしても根本的には自己の”ポーランド民族音楽への愛”をアルバムにしたかったという究極の一枚と思われる。それにはクラリネットとか、ソプラノサキソフォンの音が欲しかったのかも知れない。その結果ソプラノ・サックスにブランフォード・マルサリスBranford Marsalis をフィーチャーしての二人名義のアルバムを完成させた。又ピアニストはクシシュトフ・ヘルジンKrzysztof Herdzin が務めているが、彼の編曲も大いに力を発揮した作品とみる。日本での人気の高いピアニストのマルチン・ヴァシレフスキMarcin Wasilewski の登場もある。更にこのアルバムへの貢献は夫のマルチン・キドリンスキMarcin Kydrynskiであることが、曲の作曲者を見ても伺える。

(Tracklist)
DISC 1
1. W Polu Lipenka (tradycyjny)/野に立つ菩提樹
2. W Kadzidlanskim Boru (tradycyjny/Tadeusz Sygietynski)/カジドランスキ森
3. Niepojete i Ulotne (Marcin Kydrynski)/おぼろげ
4. Patrz i Sluchaj (Anna Maria Jopek/Marcin Kydrynski)/見て、耳を澄ませて
5. Niezauwazone (Anna Maria Jopek/Marcin Kydrynski)/見過ごされしもの
6. Czekanie (Anna Maria Jopek)/待ち侘びて
7. Na Droge (Anna Maria Jopek)/旅立ち
8. Opowiesc (Krzysztof Herdzin)/物語
9. Czule Miejsce (Anna Maria Jopek/Marcin Kydrynski)/繊細な心
10. Nielojalnosc (Andrzej Zieliński/Adam Kreczmar)/移り気

DISC 2 Bonus CD
1. Pozegnanie z Maria- pamieci Tomasza Stanko (Tomasz Stanko)/マリアとの別れ
2. A Night in the Garden of Eden (Karry Kandel)/
3. To i Hola (tradycyjny)
4. Czekanie – Alternate Version (Anna Maria Jopek)/待ち侘びて

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           (当アルバム・ゴールド・ディスクの獲得)

 上に紹介したように、このアルバムはアンナ・マリア・ヨペックとブランフォード・マルサリス(Sax)のコラボレーションアルバムの型を取っていて、通常のCD にボーナスCD がついたスペシャル・エディションとなっている。
 タイトルの「ULOTNE」は、「幻想」と訳されていて、中身はスラブ民族のトラディッショナルとポーランド民族音楽にインスピレーションを受けたものからの作曲など、ヨペクの民族音楽への拘りと思い入れの曲集である。又トマシュ・スタンコを追悼して、2年前に共演し、レコーディングされた楽曲「マリアとの別れ」もボーナス盤に収録されていた。

Na こんな事からして、彼女のキーバのゴンザロとの前作『Minione』(Universal Music Poland/2017→)とは全く趣向の異なった作品で、我々日本人からしても馴染みのない民族音楽に若干戸惑うのである。音楽ジャンルもこれというものでなく色々なタイプが混在し、文化の多様性を集約している作品として受け取れる。そんなところから、一般的ジャズ・アルバムとは性質を異にして、マルサリスの美しく歌いあげるソプラノ・サックスや、ピアノの音もそれぞれ美しいのだが、如何せん私の聴く立場としてスラブ民族音楽旋律を理解してついて行くことが出来ず、又肝心のヨペクのヴォーカルも情緒たっぷり引きつけるところがあり、高音部への歌いあげなどかなりの技能を発揮してはいるが、今回は私の鑑賞能力に無理があり、理解が追いつかず聴くに大きな感動というものには巡り会えなかった。

 まあこうしたアルバムは、ヨペクのようにジャズ・ヴォーカリストとして一定の評価を勝ち取ったものとして、彼女の今だから出来る事としての「拘り」として、ポーランドにおける一つの自己の世界の格調を高めたものとして作られた感がある。従って若干自己満足的なニュアンスもあり、一般ジャズ愛好家に広く愛着あるアルバム作りをしたというものではないと思う。もともと過去の彼女のアルバムにはこうしたトラッドものが顔を出していたのは事実で、その拘りは感ずるが・・・・・ここまで迫られると芸術性が高くなった分、ちょっと難物となった。

参考)
62557_444917708535_5510521_n<ブランフォード・マルサリスBraford Marsalis>  (ネットにみる紹介)
  1960年8月26日、ルイジアナ州ニューオリンズ生まれ。教育者エリスを父に持つ音楽一家に育ち、4歳でピアノ、小学校でクラリネット、15歳でアルト・サックスを演奏。父親が教鞭を執るニューオリンズの芸術専門学校と、ボストンのバークリー音楽大学に学び、’80年にクラーク・テリー・ビッグ・バンドでプロ・デビューした。’81年には、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズと、実弟ウィントンのグループに加入。’83年に、故ケニー・カークランドやジェフ・ワッツらと初リーダー作『シーンズ・イン・ザ・シティ』を発表し頭角を現した。以後、『ロイヤル・ガーデン・ブルース』『ルネッサンス』などの話題作を出す一方、マイルス・デイヴィス・グループでも活動し、『デコイ』の録音に参加。’85年にスティングの『ブルー・タートルの夢』に加わると、ツアー・メンバーとしても後援し、’88年には同バンドの一員として来日した。
 ’92年のアルバム『ブルース・ウォーク』で、グラミーの「最優秀器楽ジャズ・グループ賞」を受賞。’00年は、ピアノにジョーイ・カルデラッツォを迎えたカルテットによる『コンテンポラリー・ジャズ』で3つ目のグラミーを獲得。それに並行し、オルフェウス室内管弦楽団との近代フランス音楽集『クリエイション~20世紀フランス音楽作品集』もリリースし、ジャズ以外の舞台にも成果を残してきた。カルテットによる最近作は、『ブラッグタウン』と『メタモルフォーゼン』で、共に世界的なヒットになった。

(評価)
□ 曲  :  ★★★★☆
□ 演奏 : ★★★★☆
□ 録音 : ★★★★☆

(視聴)

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2018年11月13日 (火)

アレキサンドラ・シャキナAlexandra shakina「All The Way」

なんと言っても、中低音の魅力が・・・・・・

<Jazz>
Alexandra shakina「All The Way」
Venus Records / JPN / VHCD-1239 / 2018


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Alexandra Shakina (VOCALS)
Massimo Farao (PIANO)
Aldo Zunino (BASS)
Ruben Bellavia (DRUMS)

Recorded at Riverside Studio in Torino on April 5&6, 2018
Produced by Tetsuo Hara
Engineered by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara

   全く知らなかった女性ヴォーカリスト、そしてVenusレコードときたので、若干尻込みしがちな私ですが、美女狩りを得意とする友人からの勧めで聴いたアルバムである。
   アレキサンドラ・シャキナAlexandra Shakina は、ロシアのジャズ・シンガーだがこれがデビュー・アルバムのようだ。彼女に関しては現在のところ情報も少なく詳しいことは解らないのだが、とにかく宣伝では”妖艶なハスキー・ヴォイスが魅力的な本格的ヴォーカリスト”ということになっている。
 更にそこまでの流れも解らないが、このアルバムはトリノにての録音であり、バックの演奏は近頃も取りあげたマッシモ・ファラオ・トリオMassimo Farao' Trioが努めていて、どうもイタリアでの活動であるのかと思うのである。
 しかしイタリアと言ってもマッシモ・ファラオ・トリオの特徴であるアメリカン・ジャズ・ムードも上手に描いており、取り敢えずは立派なジャズ・ヴォーカル・アルバムに仕上がっている。
 
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01.All The Way (J. Van Heusen)オール・ザ・ウェイ
02.Let Me Love You (H. Bart) レット・ミー・ラブ・ユー
03.Get Out Of Town (C. Porter)  ゲット・アウト・オブ・タウン
04.Dedicated To You (Cahn, Chaplin, Zaret) デディケイテッド・トゥ・ユー
05.I Concentrate On You (C. Porter)  あなたに夢中
06.Weaver Of Dreams (V. Young) 夢織人
07.I’m Just Lucky So And So (D. Ellington) アイム・ジャスト・ラッキー・ソー・アンド・ソー
08.That Old Black Magic (H. Arlen) ザット・オールド・ブラック・マジック
09.Come Fly With Me (J. Van Heusen)  カム・フライ・ウィズ・ミー
10.Where Or When (R. Rodgers)何時か何処かで

 いずれにしても、ポイントである彼女の声の質はちょっとジャケの顔の印象とは異なって、低音の重量感というところだろう。とにかく中低音部に魅了する厚みがあり、これを生かしてのこれからへの展望も持っている。
 M10."Where Or When"などのように、彼女向きの独特な編曲もなされており、 この点は取り敢えず合格点だ。
 唄う曲はスタンダードものというところであり、ほぼ一般ジャズ・ヴォーカル・アルバムとして捕らえてよい。そして全体的に曲仕上げはマッシモ・ファラオ・トリオの流れで有り、ジャズとしては最も一般的な、言いようによっては特徴のあまりない世界に納まっている。

 Venus Recordもかなり意欲的にこのアレキサンドラ・シャキナに取り組んでいて、このアルバムの売れようによっては、彼女のヴォーカルものは今後立て続けにリリースされてくる可能性も秘めている。取り敢えずは期待株としておこう。

(評価)
□ 歌唱・演奏 ★★★★☆
□ 録音     ★★★★☆

(My Image Photo)

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初冬の花・石蕗   Nikon D800,  Lensbaby

(視聴)

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2018年11月 9日 (金)

アレクシ・トゥマリラ・ピアノ・トリオAlexi Tuomarila Trio 「Kingdom」

ブラッド・メルドーお墨付きのピアノ・トリオ

<Jazz>
Alexi Tuomarila  Mats Eilertsen  Olavi Louhivuori
「Kingdom」

EDITION / ADN 1090 / 2017

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Alexi Tuomarila (アレクシ・トゥオマリラ, piano)
Mats Eilertsen (マッツ・ アイレットセン, bass)
Olavi Louhivuori (オラヴィ・ロウヒヴオリ, drums)

Recorded on 5th December 2017 at K.K.Studio, Finnland
Produced by Alexi Tuomarila
Executive Producer: Dave Stapleton

15977464_1382560951794505_296827606 このピアノ・トリオは初聴きである。この秋、日本ライブが行われて知るに至った。
 ピアニストアレクシ・トゥオマリアAlexi Tuomarila、1974年-)は、Brad Mehldauが絶賛しているというだけあって、なかなかのピアノ・テクニシャン。又ミュージック・パターンもメルドーに一脈通ずるところもある。
 彼は、フィンランドのジャズピアニストだ。クラシック・ピアノを始め、20歳からブリュッセル王立音楽院へと留学しナタリー・ロリエなどに従事した。在学中に自己名義のアレクシ・トゥオマリア・カルテットを結成し、1999年にベルギーのHoeilaartで開催された国際ジャズ祭で最優秀賞に選ばれているとか(アルバムは、二枚リリースされている。末尾Discograpgy参照)。
 ジャズ界の新生と言えば新生だが、既にその後トリオによるアルバムもリリースし、5枚のアルバムが認められる。又賞の受賞もあって年齢的にも円熟のときを迎えていると思う。

(Tracklist)
1. The Sun Hillock (Alexi Tuomarila)
2. Rytter (Mats Eilertsen)
3. The Girl in a Stetson Hat (Alexi Tuomarila)
4. Vagabond (Alexi Tuomarila)
5. The times they are a-changin’ (Bob Dylan)
6. Shadows (Olavi Louhivuori)
7. Aalto (Alexi Tuomarila)
8. Bruin Bay (Alexi Tuomarila)
9. White Waters (Olavi Louhivuori)


 曲は上記の如く、M5は、Bob Dylanの曲で、ほかの8曲はトリオ・メンバーのオリジナル(リーダーのトゥマリラは5曲)である。
 トゥオマリラのピアノ演奏内容は、コンテンポラリーな面と、一方クラシックに通ずる面との混在で、なかなか面白い。ありきたりのジャズは既に超越していてレベルは高い。
 又ポーランドのベテラン名トランペッター・トマシュ・スタンコTomasz Stankoの下で研鑽を積んでいて、そのせいか演奏も中身は濃い。
 このトリオは、メンバーそれぞれが個性を持って演奏するなかなか一筋ならないトリオであり、しかしそのコミュニケーションは素晴らしくお互いが上手く通じ合ってのことであろう、それぞれの存在が録音も良くベースの弱音やドラムスのシンバルの音も明解に解るが、決して乱れては居ない。そのあたりが敬服してしまうところ。

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 M2. "Rytter"の流れは、アイレットセンがアルコ奏法をもみせるなか、三者の流れの統一感と盛り上がりは納得もの。
 ただユーロ独特の抒情性溢れるメロディーが心に浸みるというタイプでなく、それぞれ及び三者一体の技量の濃さが聴く者に迫ってくると言うタイプで、プロ好み。M4."Vagabond"やM8. "Bruin Bay"の後半は少々難解である。こんなところは、今まで一般受けはもう一つといったところのポイントか。
 私は結構M9."White Waters"は、北欧的世界を頭に描くことが出来、又フィロソフィーも感じられて評価は高い。

<Alexi Tuomarila Discography>
▼Alexi Tuomarila Quartet
2001: Voices Of Pohjola (Igloo - IGL 158)
2003: 02 (Finlandia Records, Warner Jazz - 0927-49148-2)

▼Alexi Tuomarila Trio (Mats Eilertsen, Olavi Louhivuori)
2006: Constellation (Jazzaway Records - JARCD 030)
2013:  Seven Hills (Edition Records - EDN1041)
2017:  Kingdom (Edition Records - EDN1090)

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★★☆

(参考視聴)

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2018年10月22日 (月)

ロ・ジェイのヴォーカル・アルバム Lo Jay 「Joue O'day」

フランスからのアメリカン・クラシック・ジャズ

<Jazz>

Lo Jay & Serge Moulinier Trio 「Joue O'day」
France / LISM2011 / 2018

1007739189

Lo Jay (voc)
Serge Moulinier (p)
Christophe Jodet (b)
Pascal legrand (ds)

 フランスものとしては珍しいアメリカン・クラシック・ジャズへの想い、アニタ・オデイ(Anita O'Day、1919 - 2006)回顧の女性ヴォーカル・アルバム。唄うはフランスではそれなりの評価を得ているロ・ジェイLaurence Lo Jayだ。しかし私にとっては初物で、このアルバムも今年リリースされているが、元は2012年作品のようで、元をただせば自主製作盤である。彼女はもともと心からアニタ・オデイのことを敬愛しているとのことで、そんなところからの作品。
 バックにはセルジュ・ムニエルのピアノ・トリオがこれ又スウィング感たっぷりにあのよき時代1950年から1960年代を甦らせている。

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(Tracklist)

970025_10202984451785880_28500024841. Sweet Georgia Brown 
2. Tennessee Waltz 
3. What is this thing called love 
4. Honeysuckle Rose 
5. Love for sale 
6. Skylark 
7. Boogie Blues   
8. I want a grown up man 
9. Just one of those things 
10. Angel eyes 
11. Tea for two 
12. Anita's 1940's Medley 

 フランス版であり自主製作盤ということで、あの自国気質の強い国なので、フランス語によるものかと思いきや、ロ・ジェイはヴォーカルは英語で唄われている。まあアニタ・オデイに捧げた作品なのであるからそれも当然のことであろう。もちろん世界を相手にするには英語というのは当然だ。

 比較的癖の無い素直なヴォーカルと演奏である。
 M2. "Tennessee Waltz"を聴いても、特別な編曲のもなく一般受けの仕上げ。
  M4. "Honeysuckle Rose"ベースをバックに語るように唄い、感じは良い。後半スウィング感をたっぷり聴かせる。
 M6. "Skylark"かなり優しい歌い込みで好感。
 M10. "Angel eyes" これが一番のお勧め曲。SEが入り、ベースがアルコで重厚に響き、ここで彼女の技量を示すゆったりとした歌い込みが見事。そしておもむろに演じられるピアノが美しい。後半でもやはりベースのバックが抒情的で良いし、ピアノとの交わりもよく、更に彼女のヴォーカルも頂点に。まさにこれ1曲で納得するアルバムである。

 まあ、あまり本気で聴き込もうと思わずに軽く聴くのが良いアルバムである。

(評価)
□ 演奏・ヴォーカル : ★★★★☆
□ 録音        : ★★★★☆

(My Image Photo)  「秋の赤」

Dsc_4453trw
NIKON D800, TAMRON SP90mm F2.8 Di Macro VC USD, PL


(視聴) 

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2018年10月 3日 (水)

マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski Trio 「Live」

抒情派の真髄と、圧巻の迫真プレイで迫る熱演が聴ける

<Jazz>
Marcin Wasilewski Trio 「Live」
ECM / Germ / ECM 2592 6738486 / 2018

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Marcin Wasilewski (piano)
Sławomir Kurkiewicz (double bass)
Michał Miśkiewicz (drums)

 Recorded Aug. 2016 at Jazz Middelheim, Antwerp

Marcinsolo_imgwjpg ポーランドの人気ピアニスト:マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski (1975年ポーランドのスワヴノ生まれ)の、今回もレギュラー・トリオによる、2016年8月ベルギーのジャズ祭でのライヴ収録盤。もともとシンプル・アコースティック・トリオ(私は1995年アルバム『Komeda』(その後『Lullaby for Rosemary』に変わる)以来ファンである)で注目され、その後も不動のメンバーで、自己名義トリオに名を変えての活動が続いている。
 哀愁の抒情派ピアノを演じ、一方ではかなりの躍動的な展開をみせるこのトリオは、取り敢えずは注目株で、ニュー・アルバムは何時も待望しているところだ。

Marcinwasilewskitriow

(Tracklist)
1. Spark Of Life / Sudovian Dance [Live]
2. Message In A Bottle (Sting)[Live]
3. Three Reflections [Live]
4. Night Train To You [Live]
5. Austin [Live]
6. Actual Proof (Sting)[Live]

Sparkoflife さて、このアルバムのM2、M6以外は、Marcin Wasilewski のオリジナル曲だが、2014年のアルバム『Spark Of Life』ECM/ECM2400/2014)(→)でお目見えした曲M1、M3、M5が演奏されている。ただ2016年のライブ録音で有り、当初のアルバムにみるスタジオ録音盤との違いというか発展形というか、そのあたりが興味の持たれるところである。
 M1."Spark Of Life "、"M5." Austin "は、スタジオ・アルバム同様抒情的にしてメロディーも優しく心に染み込んでくる。これぞマルチン・ボシレフスキと言いたくなるところだ。

Faithful しかし思うに今回の目玉はM4. "Night Train To You"の圧巻のプレイだ。この曲は2011年のアルバム『Faithful』 (ECM/ECM2208/2011)(→)に登場した曲だ。成る程これがライブの醍醐味でもある。 とにかくこの14分に及ぼうとする迫真のプレイは凄い。ボシレフスキ(p)の集中力でアドリブが尽きること無く演じきる熱演に痺れる。しかもそれを支えるリズム隊の挑戦的アプローチによる攻撃的プレイが一層この展開に凄みを加味して迫ってくる。ベースの途切れること無く流れるようなプレイ、ドラムスはかってのスタジオ盤よりは録音の締める位置も高く楽しめる。しかもその3者のプレイに何故か美しさが秘められていて感心するのである。こうゆう演奏をECMがリリースするのは珍しいと思うが、中にちゃんと”Album produced by Manfred Eicher”と記されていて、Eicherご承認の演奏というところにあるとみる。

 ポーランドのジャズに限らずあらゆる分野の音楽レベルの高さは何時も感心するところだが、20歳代でデビューしたこのトリオは確実に発展・進歩しているところが嬉しい。ヨーロッパ耽美系らしい叙情性が満ちたところと、スリリングなトリオ格闘が聴けるこのトリオは貴重だ。
 さてさて次なるスタジオ・ニュー・アルバムに益々期待が持たれるところだ。

(評価)
□ 演奏 ★★★★★☆
□ 録音 ★★★★☆

(My Image Photo)  2018 Autumn

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Sony ILCE-7M3,  Zeiss Vario-Tessar Fe 4/16-35 ZA OSS, PL

(視聴)

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2018年9月23日 (日)

ロベルト・オルサーのニュー・アルバム Robert Olzer Trio 「CELESTE」

天空の美はここに!

 「CELESTE(天)より柔らかく注ぐ美音の雫があなたを浄める、典雅にして透明、深遠にして柔和、天才ピアニストが辿りついた至高の世界がここに!」
 ~これはこのアルバムの宣伝文句だ。澤野工房からクラシカルな演奏の抒情派ロベルト・オルサーのニュー・アルバムの登場だ。

<Jazz>
Robert Olzer Trio 「CELESTE」
ATLELIER SAWANO / JPN / AS163 / 2018


Celestew

Roberto Olzer (piano)
Yuri Goloubev (bass)
Mauro Beggio (drums)

Recorded on 28-30th Aug. 2017 at Arteuono Recording Stdios-Cavalicco-Italy
Decorded,mixed & mastered by Stefano Amerio
Roberto Olzer plays FAZIOLI F278 mk III

 イタリアのロベルト・オルサーの久々のトリオ作品。彼は私の注目の期待株。2016年の3rdアルバム『DREAMSVILLE』 以来そんなに間隔が空いているわけでは無いが気持ちは久々である。このところはヴォーカルやトランペットの入ったカルテット作品やソロ・アルバムが続いたためだ。
 今回のアルバム・タイトルは『CELESTE』ということで、なんとこのイタリア語からイタリアの懐かしのプログレッシブ・ロック・グループの”CELESTE”を思い出してしまった。このグループのアルバムがリリースされたのは、オルサーが小児期の話だ。イタリア語で”至高の天空”と言う意味で、その美しく透明感のある音楽が持ち味なのだ。その話とは全く関係ないが、懐かしい”チェレステ”という言葉から回顧してしまったのである。当然このアルバムも狙いは”至高の透明感あふるる典雅な世界”だ。

Ro1(Tracklist)
1 Deliverance*
2 The Old Castle
3 Song 6
4 G-Spot Tornado / Sleep Dirt
5 Parisian Episode VIII*
6 Piece III
7 ... And After*
8 A Simple Song*
9 Celeste
10 Canova*


  オルサー及びメンバーのオリジナル曲が6曲(*印)。その外はMussogsky(M2)、Mompou(M3)の名が出てきたと思うとFrank Zappa(M4)とかWwan Svensson(M6)、Ralph Towner(M9)の名前も出てくる多彩さだが、全体にクラシカルな演奏の美しさ、優しさは一貫している。

 スタートの彼の曲M1 "Deliverance"から、澄んだ美しさのある真摯な気持ちにさせる演奏が飛び込んでくる。”オルサーはこれだから良いのだ”と言いたくなる。
 そして懐かしいメロディーが聴けるムソルグスキーのM2 "The Old Castle"と流れは旨い。
 ちょっと余興っぽいところからスタートするM4 "G-Spot Tornado / Sleep Dirt"、ここではゴロウベフのベースの味も十分堪能できるし、勿論中盤からのピアノの響きの美しさは絶品。なかなか味のある出来だ。繊細なシンバル、ステイックからスタートのM5 "Parisian Episode VIII"はゴロウベフの曲だが、ドラムスのベッジオの如何にも繊細さが滲み出ている。 
 続くM6 "Piece III"は、難しい技巧無しの優しい物語のような曲。
 後半珍しくM8 "A Simple Song"の軽快な曲、そして落ち着いたM9 "Celeste"。最後はオルサーの軽やかなピアノ・プレイのM10 "Canova"で納める。

  やはりロベルト・オルサーはいいですね。今アルバムの私の推薦はM1からM3への流れ。そしてM4のトリオ味だ。録音もStefano Amerioでトリオを納得の配置で描き、それぞれの音はハッとするほどの響きを持つ。

(評価)
□曲・演奏 ★★★★★☆
□録音   ★★★★★

(My Image Photo) 私からも「天空」

Dsc03574trw
Sony ILCE-7M3,  ZEISS Vario-Tessar FE 4/16-35 Za OSS,  PL  


(参考視聴)

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