ユーロピアン・ジャズ

2020年4月 6日 (月)

キアラ・パンカルディChiara Pancaldi & Alessandro Galati 「The Cole Porter Songbook」

やはりパンカルディのヴォーカルはハイレベルであるが異色
~~注目のアレッサンドロ・ガラティとのデュオ

<Jazz>

Chiara Pancaldi & Alessandro Galati 「The Cole Porter Songbook」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1086 / 2020

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Chiara Pancaldi キアラ・パンカルディ (vocalヴォーカル)
Alessandro Galati アレッサンドロ・ガラティ(piano ピアノ)

 このところジャズ・シンガーとしての話題の豊富な個性派キアラ・パンカルディ(1982年イタリアのボローニャ生まれ。つい先日アルバム『PRECIOUS』(CR73497/2020)のリリースがあった)と、最近、寺島レコードからリリースが多い私の注目の叙情派でありながらアヴァンギャルドな面も見せるキャリア十分のピアニスト:アレッサンドロ・ガラティ(1966年イタリアのフィレンツェ生まれ)のデュオ作品。両個性派同士で実は注目していたアルバム。
  主題はアルバム・タイトルどおりのコール・ポーターの作品に迫ろうとしたもの。もともとキアラ・パンカルディの唄は独特の世界があって、どうも100%万歳して受け入れている訳ではないため、このアレッサンドロ・ガラティのセンスで如何に変貌して迫ってくれるかが楽しみのポイントでもあった。

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(Tracklist)

1. Easy To Love
2. Just One Of Those Things
3. Night And Day
4. So In Love
5. All Of You
6. My Heart Belongs To Daddy
7. It's Delovely
8. Let's Do It
9. Dream Dancing

Ag5x  デュオとは言っても、やはりヴォーカルの占める位置は大きいですね。私にしてはガラティのピアノにそって優しく歌ってくれる方が期待していたんですが、なになにパンカルディの独特の節回しによっての彼女のヴォーカルの独壇場にも近い世界が造られている。パンカルディの声の質は中高音のつややかさはなかなかのものと言えるものでこれには全く不満は無いが、なんといってもハートフルでありテンダリーでありながらその節回しと音程は変化した異質であってその歌は独特ですね。先のアルバムとその点は全く変わっていない。この世界にぞっこん惚れ込むという人が居るとは思うが、どうも素人向けとは言えず、万人に受けるという点ではちょっと疑問にも思っている。
 イタリアのミュージシャンはあらゆる分野に多く活躍しているが、この世界においてはパンカルディは独特である。まさか私自身のみがそう感ずるのだろうか、ラテナーノーツを担当している寺島靖国も声の質の良さを認めては居るが、あまり異質性には語っていない。いずれにしても彼女の唄はやっぱり上手いというのは当たっているのだろうと思う。とにかく上手い・・・しかし私は魅力については、もう少し馴染みやすい世界であってほしいと思うのである。いずれにせよ残念ながら万人向きではない。しかしそれでも丁寧にじっくりと語りかけてくる様は出色であり魅力も大いにある。更にリズムの展開にも彼女の魅力的なパンチ力のセンスが生きているという処も事実なのだ。

 そして今回のように、コール・ポーターの曲を何故選んだのかと言うことでは、ガティもパンカルディも曲の良さと言うことに一致していた。そしてM4."So in Love"は彼女の歌がいいですね、ムードが最高。続くM5."My Heart Belongs to Daddy"のガラティのピアノは美しい。
 このアルバムでは、私の期待に反してガラティは「伴奏者」に徹していた。彼の味のあるメロディーの表現は、ヴォーカルを生かす為に仕組まれたピアノの味をしっかり作り上げているのだ。

 私の個人的評価はまあ質の高さは認めるが、受け入れやすさや聴きやすさと言う点ではちょっと低くなった。こうゆうのはイタリア本国ではどんな評価か知りたいところだ。

(評価)

□   編曲・歌・演奏  ★★★★☆ 85/100
□ 録音       ★★★★☆ 85/100

(視聴)

このアルバム関係はまだ見当たらないので・・・過去のモノを
Cole Porter "So in Love" (これは惚れ惚れしますね)

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2020年3月23日 (月)

ペトラ・リネッカーpetra linecker 「Warm Embrace」

温かみの世界を狙った・・女性ヴォーカルとピアノとのデュオによる秀悦作品

<Jazz>

Petra Linecker & Martin Gasselsberger 「Warm Embrace」
ATS Records / Eu / / 2019

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Petra Linecker (vo)
Martin Gasselsberger (p)

 世界の美女狩りを得意とする我が友人から紹介のあったアルバムである。 
 オーストリアの女性ヴォーカリスト、ペトラ・リネッカーとピアニスト、マーティン・ガッセルスベルガーのデュオ作品。私にとっては全くの初物であるが、彼女は既にオーストリアではベテランであるようだ。
 とにかく"リネッカーの美しく透明感に富みながら深みと情感あふれたヴォーカル"がどうも売り物のようで、ピアノとのデュオでたっぷり聴くことが出来る。アルバム・ジャケのデザインからして並の世界でなさそうな雰囲気が伝わってくる。

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(Tracklist)
Image2_20200322094201 1. Warm Embrace *
2. Over the Rainbow
3. Lullaby of Birdland
4. The Nearness of you
5. I can't stand the Rain
6. Imagine
7. Georgia on my Mind
8. Honeysuckle Rose
9. In Heaven's Spaces *
10. On a clear Day *
11. Everything must change
12. Wrong way round *
13. Anxious Moments *

 収録曲は上のようで、*印がオリジナル。M1."Warm Embrace "は彼女自身の曲で、残るはこの二人による共作となっている。そしてその他はかなり広いジャンルからの選曲だ。
 インティメイトと表現される世界で、冒頭M1.から静かなピアノをバックに、優しい彼女のヴォーカルが響く。どうも歌詞をしっかり理解しないといけなそうな世界だ。
 M4."The Nearness of you"を聴いても解るのだが、このマーチン・ガッセルスベルガーのピアノが又クラシックに裏打ちされたと思われる知的でクラシカルな響きが秀悦である。
2176454_xxlw_20200323204101  一方M5."I can't stand the Rain "となると一変してブルージーなジャズをしっかり演じているところもあってなかなかキャリアーのあるシンガーであることがわかり、そしておなじみのM6. "Imagine "、M7."Georgia on my Mind"は、ぐっとしっとりムードで歌い上げ、心に響いてくるところは芸達者。
 リズムカルなM8."Honeysuckle Rose "に続いて、二人の共作M9."In Heaven's Spaces "は一変してフォーキーにしてトラディショナルなムードの曲で、ヴォーカルやソロピアノも美しく、この世界に安らぎを求めたような普遍性の世界。
 更にM11."Everything must change "はこのデュオの世界観を凝縮したような尊大なる思想が感じられる素晴らしい演奏。そして二人共作のM13."Anxious Moments"の二人のヴォーカル・デュオも入ったトラディッショナルな世界で幕を閉じる。

 なかなかジャズ世界としては珍しいインティメイトな心洗われる世界を構築していて好感の持てるアルバムとして、お勧めである。

(評価)
□ 曲・歌・演奏  ★★★★★☆  90/100
□ 録音      ★★★★☆   80/100

(視聴)

 
 

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2020年3月14日 (土)

シーネ・エイ Sinne Eeg 「WE'VE JUST BEGUN」

ビックバンドをバックに歌い上げる一世代前のジャズ

<Jazz>

SINNE EEG & THE DANISH RADIO BIG BAND 「WE'VE JUST BEGUN」
BFM jazz / Denmark / BFM JAZZ 7621834675 2 / 2020 

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Sinne Eeg (vocal)

The Danish Radio Big Band
Nikolai Bogelund (conductor)
Jesper Riis (arrangement on 02, 03, 06, 07, 10)
Peter Jensen (arrangement on 01, 04, 05)
Roger Neumann (arrangement on 08, 09)

録音 : 2019年1月28-31日、於:デンマーク-コペンハーゲンのDR Koncerthuset Studio 3

  ここでも何回か取り上げて来たシーネ・エイSinne Eeg(1977年デンマークのレムヴィーLemvig生まれ)のニューアルバム。北欧ジャズ・シンガーとしては日本でも来日したりの人気の彼女だ。
A93785413985582682810jpeg  今回は1964年結成の50年の歴史あるデンマークの名門楽団The Danish Radio Big Band(このバンドは何枚かのアルバムをリリースしている)と組んでのアルバム。昔ながらのジャズの一形態のビック・バンドをバックにしてのもので、私には若干の抵抗があるだが、それでも手に入れてみたもの。
  そしてこのアルバムはどのような関係があったか不明だが、彼女が"My dear friend"と表している一昨年亡くなったアメリカのサックス奏者のロジャー・ニューマンRoger Neumann(1941-2018 →)に捧げている。

(Tracklist)

01. We've Just Begun
02. Like A Song
03. Those Ordinary Things
04. Talking To Myself
05. Hvorfor Er Lykken Sa Lunefuld
06. My Favorite Things
07. Samba Em Comum
08. Detour Ahead
09. Comes Love
10. To A New Day

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 冒頭からビック・バンドが派手に演じて、ちょっと尻込み。
   M2."Like A Song "、M3."Those Ordinary Things"になって彼女のヴォーカルを中心にバックはパーカッションの音もきこえる小コンポ風の演奏になってほっとして聴くのである。相変わらず歌詞をしっかり歌い込んでいてその点は好感が持てる。
 M4." Talking To Myself "は軽快だが、やはりバックは押さえられた演奏でソロに近いギターも入り、彼女のヴォーカル・アルバムとしての形を十分意識しての曲仕上げ。
 M5."Hvorfor Er Lykken Sa Lunefuld "は朗々と歌い上げたり、リズムカルな流れもあったり、彼女の中域の味のある歌声が優しく聴け、更にスキャット風のところもあり味が濃い。
 M6."My Favorite Things " 聴き慣れた曲をシーネ節で。
   M7."Samba Em Comum" このアルバムでは珍しいサンバ曲。まあ何でも歌いますと言ったスタイル。
   M8." Detour Ahead" バラード調でしっとり。
 M9."Comes Love " 彼女らしい歌い込んでの聴かせるタイプ。こうゆうのが彼女の特徴で悪くないです。
  全体の印象は、ロジャー・ニューマンに捧げたということなのか、やはり一時代前のアメリカン・ジャズの世界、それはM10."To A New Day"に特徴的だが、大きめのキャバレー(昔懐かし)での豪勢にジャズを味わいたいという人にはそれなりに良いのでしょう。私にとってはどうでもいいですが。

 彼女のヴォーカルも低音を生かしたり、パンチを効かしたり、結構ブルージーなところもあったりと芸達者である。しかしジャズって考えてみれは幅広いですね、未だにこの昔懐かし世界も健在なんだと、ふと思うのである。そしてまあ聴いてみるのも悪くないでしょう。

(評価)
□ 演奏・歌  ★★★★☆  80/100
□ 録音    ★★★★☆  80/100

(試聴)

 

* *

(参考) 全くこのアルバムとは別のピアノ・トリオとのライブ映像、実はこのタイプの方が彼女は良いのですが・・・↓

 

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2020年3月 1日 (日)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi 「COMMON VIEW」

オリジナル曲による創意の結晶といった流れ

<Jazz>

Enrico Pieranunzi  Jesper Somsen  Jorge Rossy
「COMMON VIEW」
CHALLENGE RECORDS / AUSTRIA / CR73459 / 2020

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Enrico Pieranunzi エンリコ・ピエラヌンツィ (piano)
Jasper Somsen イェスパー・サムセン (double bass)
Jorge Rossy ホルヘ・ロッシー (drums)
Recorded at MotorMusic, Mechelen(Belgium)
Recording dates : September 10 & 11,2018

 はっきり言ってこのアルバムも難物です。これは2018年の録音モノだが、エンリコ・ピェラヌンツィは近年この傾向にあることは解っての上でのアプローチであった。とにかくヨーロッパ叙情派ピアノの代名詞的彼であるが(1949年、ローマ生まれ)、このアルバムは極めて端麗なピアノ・タッチが聴かれるもハードにして軽快な転回をみせたり、美旋律を奏でるので無くトリオのそれぞれのアクセントを許容し協調してゆく妙を描く世界に専念していての曲作り。安易な叙情的美を求めるとしっぺ返しが来る。

 

Enricopieranunzi2w (Tracklist)

01. Falling From The Sky (JS)
02. Silk Threads  (JS)
03. Sofa  (JR)
04. Turn In The Path  (EP)
05. Love Waiting Endlessly (JS) 
06. Perspectives  (EP)
07. Instant Reveal I *
08. Who Knows About Tomorrow  (JR)
09. Instant Reveal II * 
10. Recuerdo  (JR)
11. Song For An August Evening (EP)

(JS):Jasper Somsen、(JR):Jorge Rossy 、(EP):Enrico Pieranunzi 、*印:三者

 それにしてもこのトリオのそれぞれの演奏の切れ味は見事と言いたい。けっしてピアノを前面に出してのベース、ドラムスが単なるリズム隊としてのサポートという単純なトリオ演奏では無い。収録曲は彼らがそれぞれ3曲づつ提供し、そして三者による2曲のオリジナル計11曲である。単なるカヴァーという世界で無いので、それは彼らの意志の見せ処としての曲構成展開が演じられているところにある。

 とにかく私にとってようやくゆったり許容できたのは、M2."Silk Threads "、M11."Song For An August Evening "の2曲くらいであった。多分こうゆうアルバムは聴いたことのある旋律が顔を出してホッとさせてくれるというものでないので、恐らく何回と聴いていく内に何かが見えてくるのであろうという世界なのだ。
 冒頭のM1." Falling From The Sky "は三者のお披露目、コラボレーションの妙。M2."Silk Threads "はがらっと変わってゆったりした世界。M3.Sofa""、M4."Turn In The Path"はコンテンポラリーにして実験音楽的ニュアンス。
 M7."Instant Reveal I"はピアノの音の美しさが演じられるも、曲の展開が異様で緊張感を誘う。そしてM9."Instant Reveal II"に繋かがり、三者の交錯が興味をひく。

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 近年のエンリコ・ピエラヌンツィの単なる耽美性から一歩も二歩も歩んだ彼の創意の意欲から生まれる世界だ。それはトリオのコラボレーションを楽しむ瞑想感覚のあるミステリアスにしてスリリングな一つの世界なのである。
 私からすると、とくにM11."Song For An August Evening "が往年のエンリコ・ピエラヌンティの演奏を思い起こさせて、救われた感じを持ったエンリコ・ワールドであった。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★☆  80/100
□ 録音   ★★★★☆  80/100

(試聴) 

 

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2020年2月25日 (火)

キアラ・パンカルディChiara Pancaldi 「PRECIOUS」

歌唱能力は高いが、全体に馴染めないコンテンポラリー・ジャズの極み

<Jazz>

Chiara Pancaldi 「PRECIOUS」
CHALLENGE Records / AUSTRIA / CR73497 / 2020

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Chiara Pancaldi キアラ・パンカルディ (vocal)
Roberto Tarenzi ロベルト・タレンツィ (piano except 3, 7, 8) (electric piano on 3, 8)
Darryl Hall ダリル・ホール (bass except 5)
Roberto Pistolesi ロベルト・ピストレージ (drums except 5)
Diego Frabetti ディエゴ・フラベッティ (trumpet on 2, 9)
Giancarlo Bianchetti ジャンカルロ・ビアンケッティ (guitar on 4, 7)

  キアラ・パンカルディ(1982年イタリアのボローニャ生まれ)のヴォーカル・アルバム3作目。過去の2作はここでも既に取り上げてきた1st『I WALK A LITTLE FASTER』(CR73409/2015)2nd『WHAT IS THERE TO SAY』(CR73435/2017)で、スタンダード・カヴァー集という形あったが、今作はなんと自己のオリジナル曲で埋め尽くされている(9曲中7曲)。そんなところは、イタリア・シーンで活躍中の彼女の意欲作と言ってよいものだ。そしてロベルト・タレンツィ(p)以下のピアノ・トリオ(+ゲスト入りも4曲)をバックにしたもの。
 1stアルバムは、なんと突然のデビューで「ジャズ批評」企画の年間ジャズオーディオ・ディスク大賞2015ヴォーカル部門を取ってしまったものだった。あれは私自身は若干疑問に思っていたのであったが、新たらしモノに弱い大賞という感じでもあった。しかしこの3作目となると新人のインパクトでなく、実力がかなり評されるところである。

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1. Better To Grow *
2. Nothing But Smiles* 
3. Urban Folk Song
4. Adeus *
5. Precious (vo & p duo) *
6. The Distance Between Us* 
7. Songs Don't Grow Old Alone (omit piano)*
8. You And I (We Can Conquer The World)
9. Our Time*

( *印:キアラのオリジナル曲 )

 まずは印象は、ジャズ・ヴォーカルの線はしっかりしている。しかしどちらかというと躍動感ある現代風の流れが感じられるが少々難物。
 オープニングのM1." Better To Grow "では、やはりとマイナスの予想が当たってしまった。この曲は彼女のクリーン・ヴォイスは解るが、曲自身が魅力が感じられない。なにせブラジル音楽からの影響を受けていると言うとおりのテンポが快調なコンテンポラリーものであるが、私にとってはよりどころのない曲。
 そのイメージが続いて、彼女のかなり歌い上げる力量は理解しつつ、どうも旋律自身心に響いてこない。演奏の美旋律という処ではなく、フリー・ジャズっぽいところにむしろ興味は行ってしまった。
 アルバム・タイトル曲M5."Precious "は、初めてゆったりした物語調の曲となる。このあたりになってようやくピアノの美しさをバックに彼女のヴォーカルが私にとって美を感じられる世界となった。
 いずれにしても残すところM7.,M9.の2曲ぐらいが、馴染めると言えば馴染めた曲だ。
   M7."Songs Don't Grow Old Alone"はギターの美しい音と旋律を主としたバックに彼女の深みのある美しさのある歌声が展開して、スキャット系のヴォーカルも色づけしてなかなか技量の深さも感じ、これはなかなか良い。M8."You And I"はS.Wonderの曲というが、それも彼女のジャズ世界に変容していて見事言えば見事。
  そして最後のM9."Our Time" この曲はピアノの美しさに誘われての彼女の深い歌い込みが聴かれ好きなタイプ、そこには美しさと哀感も感じられてトランペットの響きもナイス、これはいい。変にブラジルっぽくなくこうした曲なら私は大歓迎だ。

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61kw1h2xjglw  アルバムを通して、彼女の美声と歌う技量の高さは実感できる。ただこれは好みの問題だが、私にとっては受け入れられる曲がなんと3-4曲のみと言うところで、少々残念であった。やはり何曲かはスタンダードをじっくり歌って欲しいと思うのであるが如何なものだろうか。
 彼女は私の好きなピアニストのアレッサンドロ・ガラティとの共演ものが次に控えているようで(「The Cole PorterSongbook」→)、そちらはピアニストのパターンからして期待に添ってくれるかもしれないと思うところである。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★☆  曲より技量をかって 80/100
□ 録音      ★★★★☆            80/100

 

(試聴)

 

 

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2020年2月13日 (木)

ウォルター・ラング Walter Lang Trio 「PURE」

ラング渾身のピアノ演奏で真摯な美世界を構築

<Jazz>

Walter Lang Trio 「PURE」
Atelier Sawabo / JPN / AS167 / 2019

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Walter Lang (piano)
Thomas Markusson (bass)
Magnus Öström (drums)

  ウォルター・ラング・トリオのニュー・アルバムが澤野工房よりリリースされた(前作『Translucent Red』(AS164/2018)に続いて)。彼は1961年生れのドイツのピアニストだ。これまでにも何枚かのアルバムに聴き寄せられてきたのだが、このアルバムはその魅力の姿をたっぷりと擁して登場した。
  トリオ・メンバーを見ると、Magnus Öströmの名前が見られる。彼はあのE.S.Tでのドラマーとして知ったのだが、最近はBugge Wesseltoftのトリオでも活躍中で、ここではWalter Langと共演していて今や人気者のようだ。
 このアルバム・タイトルの「PURE」は音楽的には"Pure Tone"のことか、はたまた描く世界が"高潔"、"純粋"という意味に使っているのかと思いを馳せるのだが、このアルバムの内容がそんなところに焦点をおいているのかと、収録11曲中8曲が彼のオリジナルとくるからちょっと震えますね。彼には美旋律派とアヴァンギャルド派の二面があって、このアルバムは日本人好みの美旋律派に属するタイプ。

1200pxwalter_lang_pianist_20200215213401 (Tracklist)

01. Branduardi *
02. Always and Forever
03. Little Brother *
04. Meditation in F min *
05. 2 You *
06. Sad Song *
07. You Must Believe in Spring
08. Half Moon Bay *
09. Phases *
10. Who Can I Turn To
11. Meditation in Bb min *

*印 music by Walter Lang jun

  オープニングM1."Branduardi " を聴いて、ええ、これが"PURE"と若干疑いを持つが、Pat Methenyの曲M2." Always and Forever"に入ると、ベースがもの哀しく旋律を演じ、それに続いて美しくも哀しいピアノのメロディーが流れ、ドムスはブラシングで静かにサポート、ウーンこれぞウォルター・ラングと納得し、このアルバムへの期待がぐっと高まる。
 そして彼の曲M3."Little Brother"も、その流れの中で低音のピアノ、高音のベースと繋いで物思いの世界に導き、後半は今度はベースが低音、ピアノが美しい高音の響きで、なんとなく"PURE"な世界に。
 更にM4."Meditation in F min"も、真摯な感情でやや暗めに沈んだ思索的世界に導きながら、落ち着いた美しいピアノの旋律が優しく心を洗う。
 M5."2 You "はM2.3.4.と打って変わって弾む心が演じられる。この軽さは最近彼のアルバムによく顔を出すパターン。
 続くM6."Sad Song"は、一転して美しいピアノの調べにどこか物寂しさが襲ってくる曲。
   そしてM7.M8.は、やはりスローな展開の曲だが、これといった特徴はない。
 M9."Phases"は、なんか不思議な世界に誘われる。ここでもベースが旋律を奏で良い役割を果たしている。
 最後のM11."Meditation in Bb min"は、静かに流れる中に安堵と展望のあるピアノの美しさで包み静かに終わる。

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 これは久々にウォルター・ラングの「心」の曲を聴いた思いである。8曲に及ぶオリジナル曲を駆使して、人間の深層の美しさを信じての世界に相違ない。まさに清水が流れるが如くの美しさである。テクニカルに凄いという世界では無いのだが、"Meditation 瞑想"の付けられた2曲が私にとっては特に印象に残る曲であり、万人に心を打つとして受け入れられるアルバム作りも、それはそれ評価に値すると思うところである。

(評価)
□ 曲・演奏      ★★★★★☆  90/100
□ 録音    ★★★★☆  85/100

(視聴)

 

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2020年1月28日 (火)

イエトゥル-・ルンデの美声 Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」

とにかく素晴らしい心洗われる美声に包まれて・・・

<Jazz>

Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」
ozella music / Germ. / OZ054CD / 2014

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Gjertrud Lunde - イェトゥルー・ルンデ - voice
Wolfert Brederode - ヴォルファート・ブレーデローデ - piano
Florian Zenker - フロリアン・ゼンカー - guitar, baritone guitar ,electronics
Bodek Janke - ヴォデック・ヤンケ - drums, percussion
Guest : Arve Henriksen - アーブ・ヘンリクセン - trumpet

 美女・美声のノルウェーのシンガー=イェトゥルー・ルンデは、2017年に来日しているが、この一月に再び来日して各地でのライブを行うと言うことで、取り敢えず聴いてみたアルバムである。さらに、ここでかって紹介したことのあるヴォルファート・ブレーデローデ (アルバム「Black Ice」(ECM2476/2016))がピアノでバックを固めている。来日も彼はトリオで同行してのカルテット構成で演奏してくれるというので楽しみである。

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  まあジャズと言えばジャズ。つまりジャズ特有の境界域の不明なジャンルには入るのだろうが・・・ちょっと違うと言えば違うようにも・・・というアルバムですね。

(Tracklist)

1.Akk Mon Min Vei
2.Going Home
3.Marche Vers L'aube *
4.I Dine Tanker / Tanto *
5.Finnskogene *
6.Pilgrim *
7.Rêve Bleu *
8.Beautiful *
9.Lead Me *
10.Gjendines Bådnlåt
11.Eg Veit I Himmerik Ei Borg

 収録曲11曲中7曲が彼女のオリジナル曲と来るから、音楽院の学位を持つ彼女の立ち位置が想像できるところであり、とにかく冒頭から清涼感ある透明度の高い歌声に驚かされる。
 M1."Akk Mon Min Vei "はノルウェーのトラッドのようであり、M2."Going Home"は、我々もよく知るドヴォルザークの「家路」である。その他の彼女の曲以外の2曲(M10, M11)はやはりノルウェーのトラッドと記されていて、深淵である。
 バックの演奏もギターが、ピアノが、北欧ならではの幻想的というか、広い静かな空間に広がるサウンドを聴かせてくれる。

 彼女のオリジナル曲も、伝統を重んじての美しい世界を描いていて感銘を受けるが、 そこには単に美しいと言うだけで無く、ノルウェーの北欧の暗さもあるし、海の冷たい青も描いている。又深遠な森にある不思議な空気感も訴えてくる。
 とにかく全編ブレることなく 北欧の自然を我々に見せてくれる世界だ。アルバムとしての価値は高い。
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 イェトゥルー・グルンデGjertrud Lundeは現在ドイツで活動中のようだが、彼女はノルウェーの音楽一家に生まれる。4歳で最初のコンサートを行う。ノルウェー Stavanger音楽院で学んでいる間においても、幾つかの歌唱コンペで優勝したり幾多の賞や奨学金も得ていたという。オランダのハーグ音楽院でクラシック歌唱と古楽を学んで学位を得ている。このあたりの実力がこのアルバムではにじみ出ている。
 学業と並行してヨーロッパやアメリカでフェスティヴァルやコンサート・ツアーなども行ったらしい。ドイツに住んでからは、古楽、ワールド・ミュージック、ジャズを合わせての自分の音を作り出したのだそうだ。そしてこの2014年のデビュー・アルバムである 「Hjemklang」 は、世界的なジャズ批評サイト All About Jazz により 2014年のベストアルバムの一つに挙げられていると紹介されている。

Image_20200125213601  ヴォルファート・ブレーデローデWolfert Brederode (ピアノ) は、オランダ出身。現代オランダ・ジャズ・シーンで最も輝き、評価は非常に高く、三枚の ECMレーベル・アルバム( 「Currents」( 2007)、「Post Scriptum」(2011)、「 Black Ice」( 2016) ) がある。スイスのシンガーSusanne AbbuehlのECMアルバムにも参加していて一緒に来日した(右は来日時の私とのツーショット)。洗練されたピアノ・タッチから生まれる深遠な世界も聴きどころ。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★★☆      95/100
□ 録音      ★★★★☆         85/100

(参考視聴)

*

 

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2020年1月24日 (金)

メッテ・ジュール Mette Juul 「CHANGE」

究極のヴォーカル・アルバムの線をゆく

<Jazz>

Mette Juul 「CHANGE」
UNIVERSAL / Denmark / 7796107 / 2019

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Mette Juul : vocal & guitar
Ulf Wakenius : guitar
Lars Danielsson : acoustic bass, cello, cymbals
Heine Hansen : piano, rhodes, celeste, harmonica
Gilad Hekselman : guitar
Per Mollehoj : guita

Image_20200122214101  北欧デンマークの女性ギタリスト兼ヴォーカリストのメッテ・ジュールの最新盤。彼女に関しては、かってここでそのヴォーカルに高評価を付けた私だが(参照 「Comming In From The Dark」(2010) →)、あれから9年経っているんですね(その間アルバム「Moon on My Shoulder」(2013)があるが)。ここでもその流れは十分に発揮している。
 アコースティックな静かな落ち着いたギターを中心としたバックに、フォーキィーにブルージーにシンプルに際だった装飾やテクニックをこらすことなく歌い上げる。

(Tracklist)

1.Beautiful Love
2.At Home (There Is a Song) *
3.Get Out of town
4.It Might Be Time To Say Goodbye *
5.Double Rainbow
6.Just Friends
7.I`m Moving On
8.Dindi
9.Young Song *
10.Without a Song
11.Northern Woods
12.The Peacocks ( A Timeless Place )
13.Evening Song *

(*印 メッテ・ジュールのオリジナル)

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  彼女自身のギター以外にも、ウルフ・ワケニウスそしてギラッド・ヘルスマンのギターがいいですね。又ラーシュ・ダニエルソンのベースやチェロなどが入る。これらも極めてシンプルに、アコーステイックで、彼女の歌声を支える。
 その彼女の歌は、どちらかというとフォークに近い牧歌的であるが、時にブルージーでとにかく冒頭M1.".Beautiful Love"からしっとりと嫌みの無い充実感たっぷりの素直なヴォーカルである。これぞ彼女の神髄と言って良いだろう。とにかくシンプルな演奏で、彼女のヴォーカルが眼前で歌っているがごとく録音されている。
 13曲収録されているが。メッテ自身の曲も4曲ありM4."It Might Be Time To Say Goodbye"あたりはしっとり歌い聴かせる曲でなかなかいい。最後のM13."Evening Song "も同様でアコースティック・ギターの弾き語りであろうか、訴える力を持っていていつの間にか彼女の世界に引き込まれる。
 M3."Get Out of town"は、なんとコール・ポーターの書いたミュージカルの曲で、このアルバムの中でも異色で結構リズムカルに迫ってくる。
 その他、アントニオ・カルロス・ジョビンの曲もM5."Double Rainbow "、M8."Dindi "と登場する。このように意外に幅広いところを網羅しているが、いずれもメッテ流の世界になっていて、このあたりは彼女の実力を評価したい。

 なかなか彼女の声の質も良く、含蓄のあるヴォーカルで、アコースティックな演奏がバックで支え、上出来のアルバムといっておく。

(評価)
□ 曲・歌  ★★★★★☆   90/100  
□ 録音   ★★★★☆   85/100

(視聴)

 

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2020年1月19日 (日)

ミクロス・ガニ・トリオ Miklós Gányi Trio 「Retrospective Future」

新感覚のピアノ・トリオを目指して・・「回顧的未来」の意味は ?

<Jazz>

Miklós Gányi Trio「 Retrospective Future」
Atelier Sawano / JPN / AS168 / 2020

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Miklós Gányi  (piano)
Péter Oláh (bass)
Attila Gyárfás (drums)

 私にとっては初めて知るピアノ・トリオだ。澤野工房がヨーロッパのピアノ・トリオを中心にアルバムのリリースを展開しているが、今や音楽業界とくにヨーロッパではCDリリースは下火の状況であり、そんな中で、ハンガリーのピアニストのこのミクロス・ガニは自ら澤野に売り込んできたという。
1007927958  しかしその評価は良好で、2017年にスタンダード曲限定という制約の中で『Beyond the Moment』(AS157)がリリースされ、そして晴れて2019年になってオリジナル曲を加味してのアルバム『The Angle of Reflection 』(AS166)(→)がリリースされることになった。更にそれがそれなりの評価があったと言うことだろう、日本でのライブが行われ、更にこの第三作目のアルバム『Retrospective Future』がリリースされたという経過である。

(Tracklist)

1. Majority
2. Get Lucky
3. Estate*
4. Continuum
5. Fragile
6. 'Round Midnight*
7. One For P.B.
8. Wicked Game
9. Overjoyed*
10. Body and Soul
(*Piano Solo #3,6,9)

M-ganyi-trio

 このアルバムにはトリオ演奏7曲、ガニのピアノ・ソロ3曲という構成で、又オリジナル曲は2曲に止まっていてその他はカバー曲である。

 冒頭M1に"Majority"というオリジナル曲を配して、彼ら自身のピアノ・トリオというものの解釈をもって我々に迫ってくる。これはユーロ独特の美旋律による哀愁の曲というのとは全く異なっていて、むしろトリオのアンサンブルを全面に出しながらも快適なテンポで、ピアノ、ベース、ドラムスがそれぞれソロ展開を取り入れつつ主張する演奏パターンをみせ、これはちょっと一筋縄では行かないぞと思わせるのである。
 大体アルバム・タイトルが「回顧的未来」というところが意味深で、スタンタード曲とオリジナル曲のギャップをどうこなすかというピアノ・トリオとしての意気込みが感ずるところだ。
 しかしM3." Estate"をガニがソロ演奏するというところに、なるほど一つの旋律の美学をはらんでいることが見える。しかし決して単純なカヴァーでなく、その編曲は今まであまり聴かない面白いパターンで聴かせてくれる。この曲は私の好きな曲(参照 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-668808.html)であるので多くの演奏を聴いてきたので比較できるのだが、いかにも新感覚ジャズを求めていると言う世界だ。
 M4. Continuum", M5"Fragile" は、やはりそこにはピアノの美旋律によるピアノ・トリオとしての形はしっかり築いている。
 M6."'Round Midnight" はモンクの曲だが、ピアノ・ソロでゆったりと演じて心地よい。
 M7."One For P.B." はオリジナル曲で再び新感覚ジャズに迫ろうとする。M8."Wicked Game"は美しく優しい展開を見せ、このような曲の配置はメリハリがあって上手い。
 M9."Overjoyed" のピアノ・ソロ演奏も単純な音に流さない技法を聴かせて自己主張するところが聴きどころ。

 こんな流れのアルバムであって、すぐ飛びつく名盤というのでなく、何度も聴くに従って味が出てくるという不思議なアルバムでもある。

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 ピアニスト・ミクロス・ガニは、1989年プダペスト生まれというから、なんとまだ若き30歳。5歳よりバイオリンを習い、その後ピアノに転向、わずか12歳で権威あるコンクールで優勝したという。クラシックを学んだが、高校時代からジャズに傾倒していったという経過。近年、澤野に売り込みそれなりの評価を受けたというところ。彼らの写真をみると特にガニは30歳とはおもえない貫禄があって、むしろそのあたりと感覚の新鮮さのギャップが面白い。彼のピアノは意外に単純にゆかない早引きと余韻の残し方の世界が印象に残る。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★☆  85/100
□ 録音    ★★★★☆  80/100

(視聴)

 

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2020年1月 1日 (水)

アレキサンドラ・シャキナ Alexandra Shakina 「MOOD INDIGO」

Dsc03261trsw 謹賀新年  

2020年元旦
今年もよろしくお願いします。

 

 

 

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                        (ナナカマド)

 さて元旦早々何からスタートしようか考えましたが、やはりシャズ・ヴォーカル界は完全に女性ヴォーカルの天下、従って2019年リリースの注目株からスタートとします。

  ロシアの歌姫の相変わらずの低音の魅力で2ndアルバム登場

<Jazz>
Alexandra Shakina 「MOOD INDIGO」
Venus Records / JPN / VHCD-1267 / 2019

Moodindigo

Alexandra Shakina (VOCALS)
Massimo Farao (PIANO)
Nicola Barbon (BASS)
Gianni Cazzola (DRUMS)

2019年1月21日,22日 Riverside Studio Torino Italy 録音

Produced by Tetsuo Hara
Engineered by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Photography by VictoriaNnazarova
Designed by Artplan

  ロシアの歌姫アレキサンドラ・シャキナの第二弾。ロマンチックなハスキー・ヴォイスと言われているが、ハスキーというよりは低音に重量感のある歌声で訴えてくる。アルバム・デビューは2018年で、まだニュー・フェースに近いが、なかなかの学歴と経験の持ち主で教壇にも立っているようで、所謂若者ではなさそう。

91akeo3vbl_ss500_  今作も、以前ここで取り上げた前アルバムの1st『All The Way』(2018年)(→)と全く変わらないスタイルでのロマンチックなスタンダード曲集である。
 実はVenus Records と言うことで、少々尻込みするのだが、この彼女のヴォーカル・アルバムは前作以来、かなりの実力のあるヴォーカリストとして実は一目置いている。とにかく曲の内容をしっかり歌い込んでくるテクニックも素晴らしく、訴える力も大きい。おそらくロシア出身とはいえ、自由主義圏での学んだ成果が出ているのではと思うところだ。
  バックは女性ヴォーカルを支えるに手慣れている前作同様マッシモ・ファラオ・トリオである。このトリオはイタリアにしてはアメリカ的ジャズが得意で、私はそれ程思い入れは無かったが、過去にここで二度ほど取り上げている。そして録音はイタリアに於けるものであり、明らかにこれはロシアとの関係では無く、イタリア産とみてよいと思う。

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1.エスターテ
2.アイ・クッド・ハブ・トールド・ユー
3.ロマンチックじゃない?
4.レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス
5.ラブ・ユー・マッドリー
6.ムード・インディゴ
7.オンリー・トラスト・ユア・ハート
8.スリーピン・ビー
9.テイク・ラブ・イージー
10.ユー・アー・ザ・トップ
11.カムズ・ラブ
12.アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
13.あなたを想いて

As1

 スタートはマルティーノの私の好きな曲M1."ESTATE"だ。これで新年冒頭のアルバムとして選んだとう事もあるかも。これが又従来聴く多くのシンガーとは全くイメージの違う太く豊かな低音で迫ってくるところが凄い。そして歌が上手い。
  M2."I Could Have Told You " 、M3."Isn't It Romantic" かなり昔の2曲、こうゆうのを選んでゆったりと情感込めてクールに歌われる様は説得力十分。
 アルバム・タイトル曲M6."Mood Indigo" は、デューク・エリントンの曲で、スローにブルージィーにアメリカン・ムードに仕上げているが、マッシモ・ファラオのピアノがしっとり聴かせるにピッタリのヴォーカルが乗っていい仕上げ。もともとファラオはアメリカン・ジャズ・ムードが得意としているので、M8."A Sleepin Bee"でもスウィング・ジャズを立派に演じている。
 M11."Comes Love"は、なんとベースとのデュオで歌い上げる。こうしたはスタイルはアカペラに近いので歌唱力に自信のある証拠だし、そんな実力を十分発揮だ。
 M12."I'm A Fool To Want You " はビリー・ホリデイーがしっとりきかせてくれた曲で、如何に歌い上げるか注目曲。ここにも彼女なりきの世界が十分感じられていい仕上げだ。

 古きアメリカン・ジャズ・ヴォーカルをファラオのピアノ・トリオをバックにオーソドックスに挑戦したアルバム。そこには立派に歌唱力の実力を示し、ジャケにみる顔立ちからは想像も出来ない魅力的重量級のヴォーカルが全編に満ちている。これはまだまだ続編の出そうな雰囲気を感ずるところであった。評価は並以上とする。

(評価)
□ 選曲・歌唱力  ★★★★☆  85/100
□ 録音      ★★★★☆  85/100

(参考視聴)

 

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