ユーロピアン・ジャズ

2017年9月11日 (月)

アレッサンドロ・ガラティAlessandro Galati 「WHEELER VARIATIONS」

これは単なる耽美派に止まらない深遠なる恐ろしい世界だ!!

<Jazz>
Alessandro Galati 「WHEELER VARIATIONS」
Somethin' Cool / JPN / SCOL-4024 / 2017

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Alessandro Galati (piano, compositions, arrangements)
Simona Severini (vocal)
Stan Sulzmann (tenor saxophone)
Stefano Cantini (soprano saxophone)
Ares Tavolazzi (bass)
Enzo Zirilli (drums)

recorded at Sonoria Studios, Prato.   
mixed at Artesuono Studios by Stefano Amerio.

 アレッサンドロ・ガラティAlessandro Galatiの演ずるピアノの耽美なる哀愁の美しさには、もう『TRACTION AVANT』(Via Veneto Jazz/VVJ007/1994)以来、何年も酔ってきたのだが、今年も早々に『Cold Sand』(Atelier Sawano/AS155/2017)の美しいアルバムを堪能できた。しかし彼はその一方、実験的スリリングという美しさとは別世界の顔も持っていて、実はこのアルバムはピアノ・トリオでなくヴォーカル入りの6人編成によるモノであったため、美しさとは別物の実験色の強いモノであろうと勝手に決めつけて飛びつかなかったものだ。
 しかし、どうもそうとも言い切れないところも、諸々の感想ではちらほら見えてくるために、遂に取り付くこととなったアルバムである。
 トランペット奏者の故ケニー・ウィーラー(Kenny Wheeler, 1930- 2014年)に捧げられたアルバムだが、ガラティが彼とどのような関係にあったかについては私はよく知らない。しかしウィーラーの感傷的な美旋律にはガラティーも感動を受けていたようだ。

Ag1w(Tracklist)
1. KEN
2. k
3. e[#1]
4. n[#1]
5. NY
6. n[#2]
7. y
8. WHEEL
9. w
10. h
11. e[#2]
12. e[#3]
13. l
14. ER
15. e[#4]
16. r


 このアルバムも、製作は技術者はStefano Amerioが担当してのコンビであり、それぞれの楽器が鮮明に録音され、オーディオ的にも優れ盤。又トラックリストを見ると上のように曲名はふるったモノで、全曲ガラティによる作曲・アレンジということになっており、如何にもKenny Wheelerに捧げる記念盤であることが如実に解る。

Simonaseveriniw_2 なんと言っても、全編を通じてのダークにして深遠なる哀愁感ある世界が聴きどころだ。Simona Severini(→)のヴォーカルは低音にソフトにして厚みがあり、なかなか陰影があって心に訴える響きで迫ってくる。そしてテナーとソプラノ・サックスが独特な詩情世界を構築する。もともと私はサックス等は演奏によっては、うるさく感じて好まないことがあるのだが、ここではそれ相当に控えていてまあなんとか許容範囲と言うところ。
 M3.e[#1]にて、もうガラティのピアノの打鍵の美しさと余韻の絶妙な世界が全開する。
 曲によっては特にM5.NYやM14.ERのように、攻めのスリリンクな演奏面もあってアクセントとして効果を上げている。
 もちろんガラティのピアノが、哀愁感たっぷりの美旋律を展開するのだが、ピアノ・トリオ作品とは違って、ヴォーカルのバックでは若干控えめに流れるところはやむを得ないところ。しかし相変わらずの流麗にして美しい響きを展開している。
  又M7.yでは、ベースとドラムスのデュオで流す世界が一つの聴きどころでもある。
 しかし、6者の演ずるそれぞれの緻密な役どころに隙が無く、この全曲に流れる世界は、深遠にして異世界に聴く者をして引っ張り込む異様なムードがあって、それは恐ろしいほどだ。まさに凄いの一言。
 そして終曲M16.rでは、ガラティのソロ・ピアノによる独壇場で、しっかりとファンを納得させるのである。これは名盤だ。

(試聴)

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2017年9月 3日 (日)

マリオ・ラジーニャの作品Mario Laginha Novo trio 「TERRA SECA」

ポルトガル音楽の民族性をジャズ的発展へ

<Jazz>
Mario Laginha Novo trio 「TERRA SECA」
ONC Prodçóes / POR / NRTI017 / 2017

10073035812

Mario Laginha - piano
Miguel Amaral - portuguese guitar
Bernardo Moreira - contrabass

 ジャズへのアプローチは多種多様ではあるが、民族性を生かしたものも最近よくお目にかかる。ポーランドのアンナ・マリア・ヨペクの3部作の小曽根真、福原友裕との「HAIKU俳句」の”Yoake”、”Pandora”、”Do Jo Ji”なんかは驚きだった。

Guiter これもポルトガルのジャズ・ピアニストの大御所と言われるマリオ・ラジーニャMario Laginha(1960年、リスボン生まれ)の試みる変則ピアノ・トリオ・アルバム。つまり彼のピアノにベース、ギターというドラムレス構成。彼には一般的なベース・ドラムスとのトリオも結成しているが、これは特にミゲル・アマラルMiguel Amaral演ずるポルトガル・ギターportuguese guitarが大きな特徴だ(→)。ポルトガルというとあの民謡”ファド”が重要だが、あの国を旅行した時に聴いたのを思い出す音色であって、これはあちらでは一般的に使われているギターだと思う(実際には、一般的クラシック・ギターとは異なる流れにあるようだが)。

 さて、このアルバムの中身は、ジャズとポルトガル音楽をかけあわせたような作品。サウンドはそれぞれの持ち味を発揮したところだが、やはり“ファド”のような叙情性を感じさせるギターの音が散りばめられている。
 そしてやっぱりクラシック的ムードが全体に流れているのである。まあ真剣に向き合って聴くという難しいことは避けて、むしろバック・グラウンド・ミュージック的気持ちで流しているとポルトガル・ムードに浸れて、ちょっと変わった気分にさせてくれるのである。
 この作品は、1曲以外は全てオリジナルだというので、それにしてもジャズにポルトガルの素朴なムードは確実にあって、彼の意気込みが感じられる。彼はThe most Creative Contemprary Portuguese Jazz Musiciansと言われている存在だ。

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(Tracklist)
1. Terra Seca
2. Dança
3. Quando as Mãos se Abrem
4. Tão Longe e Ainda Perto
5. Fuga para um Dia de Sol
6. Há Correria no Bairro
7. Enquanto Precisares - para o Pedro
8. Pela Noite Fora
9. O Recreio do João
10. Chão que se Move

500_laginha2 リーダーのマリオ・ラジーニャは、私は今までに聴き込んだ記憶が無いのだが、ジャズ・ピアニストとしての数十カ国に渡る演奏歴と、数々のオーケストラやビッグバンドに委嘱作品を提供する作曲家としてのキャリアを20年以上に渡って展開する、まさにポルトガルを代表する音楽家のひとりと言うところのようだ。そして紹介など見ると、リーダー作品としては、バッハの作曲技法に影響を受けた自作曲集『Canções & Fugas』(2006年)、ショパンへのオマージュ作品『Mongrel』(2010年)、建築にインスパイアされたピアノ・トリオ編成による『Espaço』(2007年)など、多様かつ個性的な作品を発表し続けていると言うのである。更に、世界の民族性を尊重した音楽作りに貢献しているようで、いやいや今後取り敢えずは少しは注目しておかねばならないと言ったところ。

(視聴)

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2017年8月22日 (火)

ウォルター・ラング・トリオWalter Lang Trio 「FULL CIRCLE」

どこか定まらないムードに若干不満足だが・・・

<Jazz>
Walter Lang Trio 「FULL CIRCLE」
Atelier Sawano / JPN / AS-151 / 2016


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Walter Lang : piano
Thomas Markusson : bass
Sebastian Merk : drums


 ジャズ・ピアニスト=ウォルター・ラングWalter Lang は、1999年から既にピアノ・トリオとして10枚以上のアルバムをリリースしているが、日本では"Swing Journal"を代表に、かなりの高評価を勝ち取って来ている。彼のもう一つのトリオである今年紹介したTRIO ELFは別にすると、ウォルター・ラング・トリオによる近作は、ここでも取りあげてきたが、このアルバムと同メンバーによるStarlight Reflection』2013)そしてMoonlight Echoes』2015)であった。そしてこの2作はいずれも夜の世界を描いてきた。それがなかなか心にしみいる世界でお気に入りだったんだが、今作は少々異なっている。そんな訳でここでの私の感想を書くにもなんとなく少々後回しになって、今、遅くればせながらの登場である。

 登場する曲は、何故か日本の名曲2曲、それとパット・メセニーの曲を代表にその他というところだが、オリジナル曲が多くを占めている。そしてテーマは小島万奈によるライナー・ノーツにあるところの”今回は全編を通して世界の土地や音楽への心を綴った、回想と現実を漂うようなアルバムだ”と言うところなのかも知れない。

Walterlangtrio

(Tracklist)
1. Minuano
2. Bokka(牧歌:宮澤賢治)
3. Play that Fiddle
4. Mathias
5. Oborozukiyo(おぼろ月夜:岡本禎一)
6. Season of Lent
7. Full Blast
8. Old Folks
9. Bali
10. Full Circle
11. Gipsies in Byzantium
12. Taksim Meydani
13. Kansas Skies

M1. Minuano パット・メセニーの曲。この明るさ、どうも期待したムードでない。
M2. Bokka やはり日本の曲は良いですね。哀感があって思索的な世界に導いてくれて私好み。
M3. Play that Fiddle オリジナル曲だが、この曲に見るような明るいというか軽い旋律がどうもあまり納得しない。
M4. Mathias この曲もあまり意味を感じない曲
M5. Oborozukiyo なんと文部省唱歌ですね。ベースによる旋律が主役をなす曲作りであるが、後半にピアノによる主旋律が演じられる。このような日本の曲が良い仕上げだ。
M8. Old Folks 物思いにふけれる味のある曲。
M10. Full Circle オリジナルとしてはやはりアルバム・タイトルにもなっているこの曲が良い。手頃に美しい中に深遠さのある世界に没頭できる。
M11. Gipsies in Byzantium ドラムスから始まって、美しいピアノ、なかなか宇宙感覚のある聴き応えがあり、こうした世界が私はラングに求めたい。
M13. Kansas Skies これはなんと懐かしくなるフォーク・ロック調で、どこかで聴いたような安堵感のある”カンサスの空”であるが、これはオリジナル曲。

 どうも結論的には、それぞれ曲が独立して聴き所も勿論あるのだが、あまり全編通してどうも充実感ある意味が持てなかった。それは特にオリジナル曲の軽いタッチはあまり私の好むところで無かった為かも知れない(これは前作でも少し覗いて見られる疑問点でもあったのだが)。彼はTRIO ELFのような実験的トリオも試みているので、こちらのトリオではやっぱり抒情的な美しさ、そして思索的世界を深く推し進めて描いて欲しいと思うのだが、それは単なる私の期待なのかも知れない。

Walterl1wウォルター・ラングをちょっと回顧しておこう・・・・・
   
 1961年ドイツ生まれ ボストンのBerklee School of MusicそしてAmsterdam School of Artsを卒業している。1999年Walter Lang Trio結成。主なアルバム(↓)

初期トリオ
    "Walter Lang Trio plays Charles Chaplin" (1999)
    "Across The Universe" (2002)
    "Softly as in a morning Sunrise" (2005)
    "The Sound Of A Rainbow"(2005)

現トリオ Walter Lang (piano),  Thomas Markusson (bass),  Sebastian Merk (drums)
     "Starlight Reflection"  (2013)
     "Moonlight Echoes" (2015)
     "FULL CIRCLE" (2016)

TRIO ELF
     "Music Box Music" (2016)

(視聴)

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2017年8月11日 (金)

ジョルジュ・パッチンスキー・トリオGeorges Paczynski Trio ニュー・アルバム「LE VOYAGEUR SANS BAGAGE~荷物なしの旅」

静の思索的美と動のスリリングさ・・・好録音も聴きどころ

<Jazz>
Georges Paczynski Trio 「LE VOYAGEUR SANS BAGAGE」
Arts & Spectacles / FRA / ASCD 161101 / 2017

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Georges Paczynski (ds, p 15)
Stéphane Tsapis (p)
Marc Buronfosse (b)

Recorded mixed and mastered by Vincent Bruley
Studio Piccolo Paris
All compositions by Georges Paczynski

 とにかく好録音(エンジニアはヴァンサン・ブルレVincent Bruley)は知られたところのドラマー=パッチンスキーGeorges Paczynski のピアノ・トリオ・アルバムの最新盤。
  このジョルジュ・パッチンスキー・トリオは2013年の『LE CARNET INACHEVÉ』以来お気に入りなんですが、今作も、勿論彼のオリジナル曲で埋められており、その哲学的世界は我々を唸らせたピアノ・トリオ作品の前作『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』Art & Spectacles / ASCD140901)からの流れの中にある。そして期待度100%で迎い入れるのである。今回も当然同メンバーでのアルバムだ。

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 どうもテーマは一人駅に立つ旅人を神秘的に描いての全16曲と言うことらしい。、1-2分という短い曲から、長くとも5分という曲により構成されている。そこは前作も同じでこれもパッチンスキーの意志とみて良さそうだ。

(Tracklist)
1. La vieille valise (4:43)
2. Le réveil démonté (3:13)
3. La cymbale Fatiguée (2:34)
4. La baguette déformée (5:02)
5. La partition déchirée (4:27)
6. Le pupitre rouillé (3:56)
7. Le disque sans titre (3:02)
8. Le livre sans auteur (2:38)
9. Le miroir lézardé (2:56)
10. La statuette d'un sage (2:50)
11. Sur le quai désert (2:20)
12. En marche arrière (3:56)
13. Le violoncelle de lady L (1:59)
14. Les rails enchevêtrés (1:04)
15. Deux vers d'un poètes (4:07)
16. L'ascension sans fin (2:16)

 しかしヴァンサン・ブルレの録音は素晴らしい。ドラマーのリーダー作と言うことだけではないだろうが、パッチンスキーのシンバル音の素晴らしさは出色だ。しかしピアノ・トリオとしての曲作りは決して崩れていない。Stéphane Tsapis のピアノの旋律は、ピアノ・トリオとしての重要なポジションにあって、思索的な世界に導くのだ。

 今回もどことなく陰があり、しかも美しい。前作の”ある冬の夜に見た夢”という世界同様に思索的な感覚にも陥るし、”旅人の孤独感と期待感との交錯”を描いているようにも思う。パッチンスキーの年齢とは考えられないロマンが存在している。

11g_paczynskipresencesw  M1. ”La vieille valise” スタートのピアノの音にゾクっとする。ピアノからベースに、そしてシンバルの音と思索の世界が始まる。
 M3.”La cymbale Fatiguée” ピアノによるメリハリをシンバルの音が繋いでゆく
 M4..” La baguette déformée” この曲の5分が、このアルバムでは最も長い曲。深夜の落ち着きを描いているが如く流れる。ピアノの繊細さが堪らない。4分あたりでシンバルが響く抑揚が見事で、単調さを感じさせない。
 M5.. ”La partition déchirée”ジャズのスウィング感の心地よさも忘れていない曲。
 M10. ”La statuette d'un sage” 、M12. ”En marche arrière”15. Deux vers d'un poètes  にみる Stéphane Tsapis の緩急のメリハリ、澄んだ音の旋律の美のピアノ・プレイにも注目だ。このアルバムの価値観を高める見事な役を果たしている。
 M14. Les rails enchevêtrés では、トリオ・プレイで見事な前衛性を披露。

 「静の思索的美」と「動のスリリングなところ」を見事に操るプレイに圧倒される。それはリーダーがドラマーであることによるのか、はたまた彼らの目指すところがそこにあるのか、前作に続いて聴き惚れるアルバムであった。

(参考視聴)  (現トリオものが見当たらないので・・・参考まで)

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2017年8月 6日 (日)

ティングヴァル・トリオTINGVALL TRIOのニュー・アルバム 「CIRKLAR」

新世代ピアノ・トリオと言われる中の美旋律が堪らない

<Jazz>
TINGVALL TRIO 「CIRKLAR」
SKIP Records / Germ / SKIP 9157-2 / 2017

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Martin Tingvall  マーティン・ティングヴァル   -  piano and compositions
Omar Rodriguez Calvo
オマール・ロドリゲズ・カルヴォ - double bass
Jürgen Spiegel
ユルゲン・シュピーゲル   - drums and percussion

 私の期待度の高いティングヴァル国際トリオの前作『BEAT』(SKIP Records/SKP9137-2)から3年ぶりの7作目が登場。
 リーダーのティングヴァルMartin Tingvallは、近作はソロ・アルバム(『distance』 SKIP Records / SKP9147-2)が登場していたが、やっぱりこのドイツ、ハンブルグを拠点としたこのトリオは健在でした。国際トリオと言うのは、Martin Tingvallはスウェーデン、Omar Rodriguez Calvoはキューバ、Jürgen Spiegelはドイツ生まれと言うところによる。
 今回も全曲ティングヴァルによるところから、ダイナミックな曲展開である中に、北欧の世界感がにじみ出ているところであるが、それが今までの魅力の一つでもあった。一部にはあのE.S.Tと比較されるものとして、新世代ジャズのピアノ・トリオと言われ注目されているが、意外に聴きやすい安堵感もある。
  ドイツのEcho Jazz (今や世界的な権威ある賞となっている)は、前作までにジャズ部門でゴールド・ディスクを与えている。

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(Tracklist)
01. Evighetsmaskinen 
02. Bumerang 
03. Vulkanen 
04. Bland Molnen 
05. Skansk Blues 
06. Cirklar 
07. Sjuan 
08. Det Grona Hotellet 
09. Tidlos 
10. Psalm 
11. Karusellen 
12. Elis Visa

Tingt4 さて、このアルバムだが、スタートからの三曲は、親しみやすいリズム・旋律と共に、アグレッシブでダイナミックな展開を示し、ピアノの重低音も交えて結構威勢の良いところを聴かせ、三者の意気込みが感じられる曲から始まる。続くM04.”Bland Molnen”  になって深遠なベースのアルコ奏法と期待のピアノの美旋律の登場だ。とにかく彼らの一見するところの出で立ちからは、信じがたいほどの北欧の大地を崇めるが如くの美旋律を聴かせてくれるのだ。こうした新しいピアノ・トリオの姿を試みる代表的トリオとして、今作も聴く者をして感動に導く。
 私はM.06.” Cirklar ” なども好きな曲だが、物語的展開、安堵感、暗さの無い世界でリズミカルな流れに乗ってのピアノとベースの美旋律に注目だ。
  ピアノの静かに流れる美しさは更にM.08.” Det Grona Hotellet”  にも聴くことが出来、10.”Psalm ” にも繊細なシンバルの音の中に堪能できる。
 M 07.”Sjuan” 、 M 09.”Tidlos”  は、彼らの面目躍如の"動"の曲。
 M.12. ”Elis Visa” は、締めくくりに相応しい大地からの声が感じ取れる曲。

 近代的なダイナミックなセンスを持ちながら、そこにはクラシック的表情も見せつつ北欧的優しい美旋律を聴かせるという愛着の感じられるピアノ・トリオである。

(参考) ~Tingvall Trio Discography
   Skagerrak (2006)
   Norr       (2008)
   Vattensaga (2009)
   Vägen        (2011)
   In Concert (2013)
   Beat         (2014)
   CIRKLAR   (2017)


(視聴)

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2017年8月 3日 (木)

グレゴリー・プリヴァ・トリオGrégory Privat Trio 「Family Tree」

フランスで熟成したピアニスト

<Jazz>
Grégory Privat Trio 「Family Tree」
ACT Music / Germ / ACT9834-2 / 2016

Familytree


Gregory Privat (p), Linley Marthe (b),  Tilo Bertholo (ds)

 先般紹介したLars Danielssonの「Liberetto シリーズ」を聴くにつけ、ニュー・メンバー・ピアニストのグレゴリー・プリヴァGrégory Privat にちょっと興味が沸いたのである。そこで彼のリリースしている近作アルバムを聴いてみたもの。
 彼は仏領マルティニーク島(知らなかったので調べてみると、カリブ海に浮かぶ西インド諸島のなかの一島。海を隔てて北にドミニカ国が、南にセントルシアがある。こんなところに、現在もフランス領があるんですね)出身、1984年生まれで今年33歳という若さ。父親がピアニストでその影響を受け、6 歳からピアノを始め、16歳の時には作曲をし、即興に彼なりきのものを既に持つようになったという経過。その後、フランスのトゥルーズで数々のセッションを重ね、そして中心都市パリに移住しての活動となる。その時は 27 歳だったという。

  • Gregory10w(Tracklist)
    1. Le Bonheur 4:13
    2. Riddim 6:25
    3. Family Tree 6:19
    4. Zig Zagriyen 5:00
    5. Le Parfum 5:39
    6. Sizé 5:26
    7. Filao 7:04
    8. Ladja 5:27
    9. Seducing The Sun 6:19
    10. Happy Invasion 7:54
    11. La Maga 4:29
    12. Galactica 8:27
  •  このアルバムの収録曲は上のとおり。全て彼のオリジナル曲である。
     冒頭(M1.”Le Bonheur” )から、不思議な世界に連れられて行くように、彼の流れるようなピアノの音の洪水に誘われる。ACTのトリオ録音も快調だ。
      なんと言ってもアルバム・タイトル曲であるM3.”Family Tree”、これぞカリブ海に浮かぶ島の情景なのか、なぜか哀愁がにじみ出す情感豊かにピアノの描くメロディが流れる。これがプリヴァだからこそ描く世界なのかと聴き入ってしまう。ドラムスも襲ってくる波のような抑揚を演じ、トリオの相性も良い。
     M5. ”Le Parfum”ではオーソドックスなトリオ演奏、そしてM6. ”Sizé” は、美しさから次第に彼らのめくりめくるインプロの交錯の盛り上がりに進む難解さも披露し、一転してM7.”Filao”は、ゆったりしたメロディアスな流れにに、ベースが厚く響き、最後にはピアノの美しさに快い世界を築く。M9.”Seducing The Sun”のピアノの美しさと澄んだシンバルの響きは、やはりこれも快感。

    Photoducw

     彼らの演奏はなかなか技巧的にもハイレベル、私には若さの弱点なんかは全く感じられなかった。こうした逸材であればLars Danielssonに引っ張り込まれるのがよく解ったのである。やはり私にとっては今後も注目的存在。

    (視聴)

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    2017年7月30日 (日)

    アダム・バウデフとヘルゲ・リエン・トリオAdam Bałdych & Helge Lien Trio のニュー・アルバム「Brothers」

    牧歌的な静謐とスリリングな緊張感と・・・私好み!!
     ~果たして、神への賛美の叫びか~

    <Jazz>
    Adam Bałdych & Helge Lien Trio 「Brothers」
    ACT / Germ / ACT 9817-2 / 2017

    61jhzfkjpvl__slw

    Adam Bałdych (vln, renaissance vln)
    Helge Lien (p)
    Frode Berg (b)
    Per Oddvar Johansen (ds)
    Tore Brunborg (sax) (M5,6,8)

    Music composed and arranged by Adam Bałdych
    except 7 composed by Leonard Cohen and arranged by Adam Bałdych & Helge Lien

     ヴァイオリニストのアダム・バウディフAdam Bałdych(ポーランド1986年生まれ)の新作だが、前作『Bridges』(ACT9591-2,  2015)同様にノルウェーを代表する我が愛するヘルゲ・リエン・トリオとの共作となっている。しかし曲はバウディフによるもので(レナード・コーエンの”Hallelujah”の1曲以外)、あくまでもヘルゲ・リエン・トリオはサポート役。と、言ってもヘルゲ・リエンのピアノが重要で、この音なしでは考えられない曲作りである。
     又ノルウェーのサックス奏者トーレ・ブルンボルグが3曲に参加して味付け。
     どうもバウディフの原因は解らないが亡くなった弟の為に捧げられたアルバムのようだ。そんなところからも哀感あるアルバム作りとなっている。

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    (Tracklist)
    1. Prelude (1:22)
    2. Elegy (7:34)
    3. Faith (4:52)
    4. Love (6:21)
    5. One (6:50)
    6. Brothers (6:06)
    7. Hallelujah (6:08)
    8. Shadows (6:32)
    9. Coda (4:21)

    Adambaldych4_teaser_700x M1. ”Prelude” は、ヴァイオリンとピアノのデュオで冒頭から私が勝手に感じている北欧的な哀愁そのものだ。
     M.2. ”Elegy”の入り方はドラムスとピアノの不安なる打音でピンク・フロイド(ロジャー・ウォーターズ)流。ここでもヴァイオリンとピアノが哀感のある叙情を描き、又一方スリリングな味のヴァイオリンも登場し、懐かしのキング・クリムゾンといった雰囲気をみせる曲。ロジャー・ウォーターズの近作『is this the life we really wants? 』は、ピアノの音を重量感を引き出すに使っているが、それは感覚的には、この曲でも共通点。・・・・と、こんな具合にプログレッシブ・ロックと比較することは叱られそうだが(リエンがウォーターズのファンだと言うのでお許しを)、しかしその共通点が見いだされるところが面白い。しかし醸し出す哀感は完成度の高い曲だ。
      M3.”Faith”はピアノの美しさが前面に。M4. ” Love”の、ヴァイオリンのピッチカート奏法は意外に牧歌的というかトラッド的雰囲気を生み出すんですね。

    02helgelientrio2014_lamapre M6.”Brothers”が凄い。静から動、そしてダイナミックな展開。これは単にジャズという世界に止まっていない。聴きようによってはプログレッシブなロックでもある。人一人の激動の人生を表現しているのだろうか?素晴らしい。さすがピンク・フロイド党のリエンが・・・関わっているだけのことはある。
     M7.” Hallelujah” 先頃惜しまれて亡くなったレナード・コーエンと言えばこの曲だ。彼が亡くなる直前までライブで歌い込んでいた。しかし私はこの曲の良さは知っているが、実はその唄う意味を完全に理解しているわけで無い。これ自身は”神の賛美、喜び・感謝の叫び”というのは解るが、ここに取りあげられたことから逆にその中身の深さに迫ってみたいと思ったところである。しかしこの曲も完全に彼らのこのアルバムのモノに昇華している。
     M8.“Shadows”の、ヴァイオリンとサックスが、このように美しく重なり合っての演奏は発聴きだ。
     M9.”Coda”ヴァイオリンそしてピアノの調べは如何にも哀愁感たっぷり。

     実はこのアルバム、購入に若干ビビッていたのだが、Suzuckさんが絶賛しているので、これはと言うところで手にしたモノ。なんとそれは正解で、全編ムダな曲が無く完璧なコンセプト・アルバム。傑作だ。

    (参考視聴) Adam Bałdych とHelge Lien Trio の共演(当アルバムとは別)

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    2017年7月18日 (火)

    ラーシュ・ダニエルソンLars Danielsson 「Liberetto III」

    欧州各地の民族性を網羅したような・・・異色性は更に

    <Jazz>
    Lars Danielsson 「Liberetto III」
    ACT / GERM / ACT9840-2 / 2017

    41h6luwh4tl


    Lars Danielsson (b, cello, p intro 5 & 8, wah-wah cello & guembri 9),
    Grégory Privat (p),
    John Parricelli (g),
    Magnus Öström (ds, perc)

    Guests:
    Arve Henriksen(tp 1, 2, 6, 9, voice 6),
    Dominic Miller(ac-g 10),
    Hussam Aliwat(oud 4 & 7),
    Björn Bohlin (english horn 2, 3, 8 & oboe d'amore 1),
    Mathias Eick (tp 10)

     ラーシュ・ダニエルソンのカルテット・タイプの恒例バンド“リベレット”によるシリーズの第3作目。過去に「Liberetto 」&「LiberettoⅡ」の2作に魅了された私であり、当然手に入れたこのアルバムだ。この3作目で変わったのはカルテット・メンバーのあの話題のピアニスト・ティグランだ。彼に変わってグレゴリー・プリヴァが新メンバーとして加入している。
     そしてカルテットと言っても、上のように更にトランペットなどのゲストも迎えての作品だ。

    Larsdw とにかく全ての曲はダニエルソンのオリジナルによるものだが、彼はスウェーデン出身、しかし印象は全く北欧とは違った世界である。それはこの3作目にして更に強まっているのだ。かってTigranが影響していたかと思っていたが、どうもそうでは無かったようだ。とにかくサウンド、曲の旋律、そして醸し出すムード、これらはカラフルそのもので、いやはや欧州を広く総なめの感ありだ。

    (Tracklist)
    1. Preludium (2:09)
    2. Agnus Die (4:56)
    3. Lviv (4:34)
    4. Taksim By Night (4:15)
    5. Dawn Dreamer (6:26)
    6. Orationi (4:02)
    7. Sonata In Spain (4:07)
    8. Da Salo (6:02)
    9. Gimbri Heart (3:56)
    10. Mr Miller (3:31)
    11. Affrettando (5:18)
    12. Berchidda (4:46)

     とにかくこのバンドは、タニエルソンがベース、チェロ、民族楽器グエンブリを演じ、過去の2枚は、アルベニアのティグランTigranのピアノが一つの核でもあったと思う。それが、カリブ海、マルティニークで生まれたというプリヴァGrégory Privatに変わったわけだが、しかしピアノの流れはこれ又快調で、実はこのピアノの占める位置がもっと多くても良いのではと思うぐらいであった。それもノルウェイの注目トランペッターArve Henriksenがゲスト参加し、4曲で重要な流れの位置にあってのこと。それに加えBjörn Bohlin のenglish horn などが、今回のアルバムの一つの特徴を築いていることなどで、少々出番が少なかった感がある。実は、私にとってはピアノが旋律を流してくれるM5,M8,M12などの曲に魅力を感じているのである。

     又かつてエスビョルン・スヴェンソン・トリオE.S.T.で活躍していたドラマーのMagnus Öströmの味もM3, M9あたりで聴き取れてなんかホットしているのである。
      M4.はトルコですかね、M7.はスペインでしょうね、といった具合で、多様な欧州の異国的民族性も盛り込んでいて、更にM6,M10は、トランペットとベースで醸し出す世界は、日本からみると明らかに異国そのものであり、そしてその哀愁を聴かせてくれる。
      とにかくこうしてみると欧州は様々な多様性が基礎にある諸国の集合体で有り、そんな世界をダニエルソンらしい好感メロディーで広く網羅し聴かせてくれたアルバムであった。ただ私の好みからはピアノの役の多かったアルバム「Ⅰ」「Ⅱ」の方に軍配は上がる。

    (視聴)

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    2017年5月23日 (火)

    エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi 「MÉNAGE À TROIS」

    やっぱりエンリコのピアノは流麗にして美しかった

    <Jazz>
    Enrico Pieranunzi・André Ceccarelli・Diego Imbert 「MÉNAGE À TROIS」
    BONSAI / IMP / BON160901 / 2016

    Ebrico

    Enrico Pieranunzi (piano)
    Diego Imbert (double bass)
    André Ceccarelli (drums)
    Recorded on Studio de Meudon, Meudon, Frabce  at 12-15, Nov, 2015

    Enricopieranunziw1
     CAM Jazzとの独占契約の解除があって以来、ちょっとこのところエンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziはその活動も多方面に広がって、そのピアノ作品は若干難しい面もあったりして少々構えている私で、そんな事から今回このニュー・アルバムにはすぐに飛びつかず様子を見ていた私でありました。ところがブログ友爵士さんは昔からのファンだけあってやっぱり静かにしている私に薦めているので、結局のところ聴くことになったという次第。

     今作はフランスのBonsai Musicにて録音した注目のトリオ新作だ。それもクラシックとの融合を図った演奏と言うことで、やっぱり気になる作品でもある。

    1797bigpmgrandw1  大体アルバム・タイトルの「MÉNAGE À TROIS」が凄い。これってフランス語で”三人婚”の事ですね、一般には男1+女2で平和な暮らしを営むという私には信じがたい状態。それはこの場合、イタリア人のエンリコ+フランス人二人のトリオってことでしょうか?、それともドラムスはエンリコの長年の朋友アンドレ・チェカレッリ(→)で、それが「2」で、それにベースのフランスのジャズ界のディエゴ・アンベールを加えた「2+1」なのか、とにかく洒落ていて難しいです。私はエンリコのフランスでの遊び心を何処かに秘めたのではと想像もするのだが・・・・。

    (Tracklist)
    1. Mr. Gollywogg (d'après Gollywogg's Cake - Walk de C. Debussy) 03:57 (Enrico Pieranunzi)
    2. 1 ère Gymnopédie 03:47 (Erik Satie)
    3. Sicilyan Dream (d'après Siciliano, BWV.1031 de J.S. Bach) 04:42 (Enrico Pieranunzi)
    4. Medley: La plus que lente / La moins que lente 07:15 La plus que lente 02:07 (Claude Debussy) La moins que lente 05:08 (Enrico Pieranunzi)
    5. Hommage à Edith Piaf (XVème Improvisation, Hommage à Edith Piaf) 04:44 (Francis Poulenc)
    6. Le crépuscule 04:00 (Darius Millhaud)
    7. Mein Lieber Schumann I (d'après Davidsbündlertänze Op.6 (No.2) de R. Schumann) 07:06 (Enrico Pieranunzi)
    8. Medley: Romance / Hommage à Milhaud 05:00 Romance 01:25 (Darius Millhaud) Hommage à Millhaud 03:35 (Enrico Pieranunzi)
    9. Mein Lieber Schumann II (d'après Carnaval de Vienne Op.26, Allegro, de R. Schumann) 07:05 (Enrico Pieranunzi)
    10. Hommage à Fauré (d'après Improvisation, 5ème des « Pièces Brèves » Op.84 de G. Fauré) 04:38 (Enrico Pieranunzi)
    11. Liebestraum pour tous (d'après Liebestraum No. 2 de F. Liszt) 04:18 (Enrico Pieranunzi)

     いっや~~なかなか百戦錬磨のエンリコだけあって、単なるクラシックものとは全くの別物です。やっぱりジャズですね。原曲の面影は無いでは無いが、やっぱり一筋縄ではゆかない(良い意味ですが)彼の色彩濃いジャズ化の世界。エンリコの編曲と彼の作曲をドッキングしたりしての快作。つまりクラシックの名曲はあくまでも彼のジャズの誘導の素材でしか無いと言っても良いくらいだ。

    Enricopieranunzi3_websito
     さて登場する曲は、ドビュッシー、サティ、バッハ、シューマン、クープラン、リストといった作曲家だ。
     バッハと言えば懐かしのジャック・ルーシェを思い出すが、M3.”Sicilyan Dream ”に登場。バッハのイメージはあるが、ルーシェのようにその曲を生かしてジャズにしたというのでなく、全くの別物。つまりエンリコのジャズにその味を効かしたというパターン。編曲の凄さが出ている。
     しかし彼にはバッハよりはドビュッシーのほうが合いますね。それはM4.”La plus que lente / La moins que lente ”で味わえる。静かな世界をリリカル路線で聴かせるせるが、後半は彼の曲をドッキングさせて、それはなんとスウィングさせてのジャズ世界。いやはや遊び心も持ち合わせたピアノ達人だ。
     M5.” Hommage à Edith Piaf ”これは哀歌ですね。フランスの誇るシャンソン歌手エディット・ピアフへのオマージュだ。
     M7.”Mein Lieber Schumann I”シューマンを演ずるエンリコは、彼のベースに流れるクラシックの味そのものを生かしつつ演ずるジャズの流れる美しさに堪能する。
     M8.”Romance / Hommage à Milhaud ”これは彼の得意のクラシック流世界。そして気持ちを安らげる1曲に仕上がっている。
     まあこのように多彩な世界を演じてくれるエンリコのドラマティックで情熱込めたピアノ・プレイでありながら、彼の持つリリカルなところがしっかり織り込まれた快作だ。

     エンリコのクラシック楽曲を知り尽くしての演奏に、どちらかというとジャズ・ピアニストとしてのアレンジの妙にウェイトが置かれていて、それに更にインプロヴィゼーションが加わって、その融合の名演奏のアルバムと言って良いのでは思う。

    (視聴)

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    2017年5月11日 (木)

    ドロタ・ミシキェヴィチDorota Miśkiewiczのベスト盤「Best of」

    ポーリッシュ・ボッサの世界は・・・・・

     ポーランド・ジャズは私の注目点の一つであり、今Anna Maria Jopekの久々のニュー・アルバムがリリースというところで気分も高まっているが、彼女のバンドでバック・コーラスを担当していたドロタ・ミシキェヴィチDorota Miśkiewicz(1973年生まれ)という女性もヴォーカル・アルバムは結構人気がある。そして何枚かのアルバムがあるのだが、昨年リリースしたベスト盤があって、それをここで紹介する。

     <Jazzy Pop>
    Dorota Miśkiewicz 「Best of」
    SONY Music Ent. Poland / EU / 88985326232 / 2016


    Bestof

    (Tracklist)
    1. Bezbłędny

    2. Pod rzęsami
    3. Um Pincelada
    4. Nucę, gwiżdżę sobie
    5. Poza czasem
    6. Dwoje różnych
    7. Budzić się i zasypiać (z tobą)
    8. Nieuniknione
    9. W komórce
    10. So gia (Sodade)
    11. Samba z kalendarza
    12. Lubię być szczęśliwa
    13. Anna Joanna (Jovano Jovanke) live

    Dziennik2 ドロタ・ミシキェヴィチは、ポーランドジャズ界を代表するサックスプレーヤーHenryk Miśkiewiczを父に持ち、名門ショパンミュージックアカデミーで作曲、ヴァイオリンを学んでいる。目下はポーランドでシンガー、作曲家として活躍中。
     そしてこのアルバムは過去のアルバムから厳選した曲と新曲3曲、これらは彼女のオリジナル曲だ。そして未収録ライブ1曲を加えたもの。

     曲のパターンは主としてラテン風味も適度にあって、どちらかというとボサノヴァのムードが主流のジャズィーなポップ作品。それは冒頭のM1.”Bezbłędny”から軽快に流れてくる。
      M8.”Nieuniknione”などは、まあブラジリアンテイストと言って良いのだが、ところがユーロ・ポーランド風と言われる感覚もあって不思議なポーリッシュ・ボッサと言うところか。
     彼女の発声は極めて標準的なところをクリアしていて聴きやすいタイプ。面白いことにただ高音域に入ると、しっかり協力関係にあったアンナ・マリア・ユペクに似た発声法を聴かせる。
     M10. ”So gia (Sodade)”は、男性ヴォーカルとのデュエットで聴かせるのだが、ラテン・ムードを美しく歌いあげてくれる。

      今や、ポーランド・ジャズは世界で注目の一つであるが、ショパンを誇りとした国民は、音楽というものに対しての価値観を十分認識しているところに、クラシック、ジャズのみならずトラッドやロック、ポップに至っても成長して行く因子があるのではないかと思っている。

     このアルバムは、実に気楽に聴かせてくれる世界であって、初夏向きのボッサの世界だ。

    (視聴) ”Poza czasem”

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