ユーロピアン・ジャズ

2019年12月 7日 (土)

エミール・ブランドックヴィスト Emil Brandqvist Trio 「SEASCAPES」

ドラマーのリーダー・トリオ
牧歌的な自然の広がる大地に根ざした美しさを展開

<Jazz>

Emil Brandqvist Trio「SEASCAPES」
SKIP RECORDS / GERM. / SKIP 9128-2 / 2015

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Emil Brandqvist : Drums, Percussion, Keyboads
Tuomas Turunen : Piano
Max Thornberg : Bass

 スウェーデンのドラマーのエミール・ブランドックヴィストEmil Brandqvist の結成したピアノ・トリオは、その演ずる世界の美しさは格別である。私はこのトリオの3枚のアルバムと、ピアニストであるTurunenのソロ・アルバム1枚を所持しているのだが、今回ここで取り上げる2015年のアルバム『SEASCAPES』以外は、全て過去に取り上げてきた。(下記参照)

Emil Brandqvist Trio 「FALLING CRYSTALS」(SKP 9135-2 / 2016) (下左)
Emil Brandqvist Trio 「WITHIN A DREAM 」(SKP 9141-2 / 2018) (下中央)
Tuomas Turunen    「Ornaments of Time」(SKP 9139-2 / 2017) (下右)

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 ところが先日寺島靖国がリリースした『for Jazz Audio Fans Only vol.12』(2019)に、アルバム『ESCAPES』からの曲"Vals"が納められていたことから、これももちろん私好みのアルバムであったので、それならばとこのアルバムをもここで取り上げようと言うことになったのだ。

Emilbrandqvistw (Tracklist)
1.Vals 
2.Silloin Lennän* 
3.Skog 
4.Färdas Under Vatten 
5.Du Håller Min Hand
6.Bobergs Udde
7.Den Sista Isbjörnen
8.Savotta* 
9.Stormsvala
10.Grimsholmen
11.Havsanemon

   11曲中9曲の殆どがドラマーのBrandqvistのオリジナル曲(*印以外)。
 なんと言ってもM1."Vals"が美しい曲。特にTuomasのピアノが透明感あり美しいメロディーを奏で、冒頭よりうっとりする。
 M4."Färdas Under Vatten" はかなり珍しく攻めの曲。これはトリオに加えてフルーゲルホーン、クラリネット、フルートなどが加わる。
 M5."Du Håller Min Hand" もBrandqvistの曲だが、ピアノが美しく、そしてM6."Bobergs Udde" の穏やかにして静かな広大な土地に広がる安堵感のような世界も聴きどころ、ここでもクラリネットがピアノと共にメロディーを美しく描く。 
 M7."Den Sista Isbjörnen" は、クラシック世界のにじみ出てくる曲。フル-ゲルフォーンがメロディーの重要なところを担っていて、後半に入ってピアノが美しくその役を変わる。やはり牧歌的な安定感。
 M8."Savotta" はちょっと異色でハイリズムからピアノの展開が主力の曲、やはりピアニストのTurunenの曲だ。彼はこのアルバムにM2(*印)と2曲提供している。アルバムの色づけには寧ろ良いと思う。
 M9."Stormsvala" ピアノに語らせ、シンバルやブラッシがメリハリ付けて、ベースが支えるBrandqvistらしいクラシック的な安寧の世界。

Emil_brandqvist_triow

 やはり全体には北欧的牧歌的な世界であり、ドラマーのトリオとしては意外にピアノの美しさが印象に残って、それ程ドラムスは表に出てこない。とにかくしっとりとした精神安定剤的流れの中に浸かれる曲群が主力で、聴いた後の気持ちは透明感に浸れるところ。
 このトリオはドイツからのリリースで、このファースト・アルバム「Seascapes」はドイツのエコー賞にノミネートされ、次の「Falling Crystals」はドイツのジャズリストの7位にリストさたとか。そして昨年のアルバム「 Within a Dream」のリリースは、絶賛されている。
 思うに、美旋律曲を創造するのは Brandqvistが得意で、それを演ずるTurunenがその美を更に高めているように思う。今後も楽しみなトリオである。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★☆
□ 録音    ★★★★☆

(視聴)

*

 

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2019年11月24日 (日)

サン・ビービ-・トリオ Søren Bebe Trio 「ECHOES」

北欧のリリシズムを地で行くトリオの今年のニュー・アルバム

<Jazz>

Søren Bebe Trio 「ECHOES」
FROM OUT HERE MUSIC / DENMARK / FOHMCD015 / 2019

Echoes

Søren Bebe (p)
Kasper Tagel (b)
Anders Mogensen (ds)

Recorded January 2019 by Thomas Vang at The Village Recording

 デンマーク在住の俊英ピアニスト、サン・ビービーSøren Bebe(いまだに発音がよく解りませんが、ソレン・ベベ ?、セーレン・ベベ ? )待望のピアノトリオ新作である。前作は『HOME』(2016)でここで取り上げたが、これは彼の6枚目となるリーダーアルバムとなる。
 もともと2012年に彼の2枚のトリオ・アルバム『FROM OUT HERE』(2010)、『A Song For You』(2012)に出会って以来、私の注目株になったのであるが、当時、今は亡きエスビョルン・スベンソンとともに北欧ミュージックの良さが十分伝わってくるピアノ・トリオ・ジャズとして気に入っていたんです。
  今回のメンバーは、前作『HOME』と同じで北欧ピアノ・トリオの味をしっかり聴かせてくれている。

Thd01ggnyr (Tracklist)

1 Echoes
2 Waltz for Steve
3 Winx
4 Homeward
5 Kærlighedstræet
6 Jeg er træt og går til ro
7 Alba
8 Alone
9 New Beginning
10 Sospiri, Op.70

Triomembers

  北欧のデンマークということで、トルド・グスタフセンや故エスビョルン・スヴェンソンと比較されるところだが、静謐で美しい旋律と静かな世界が描かれるサン・ビービーのピアノ演奏を中心としたトリオ演奏がこのアルバムでもしっかり聴くことが出来る。
 曲はピアニスト・リーダーのサン・ビービーが5曲、ベースのカスパー・ターゲルが1曲、三人で1曲、そしてトラッドが1曲、そしてカヴァー曲2曲という構成で、基本的にはオリジナル曲集言ってもよいもの。
 北ヨーロッパ特有のやや暗めで、又牧歌的なところも感じられる美しいメロディーの音色が相変わらず彼らの特徴として迫ってくる。一方そんな中で、三人作の曲で恐らく即興込みと思われるNo.9 "New Beginning" が、若干このアルバムの中では異色で、それぞれ三者の役回りがうまく連携してメロディー中心で無く静かに交錯してゆく音の世界が面白い。

 相変わらずの「静」と「美」と「哀愁」との北欧世界が満ち満ちているアルバムで、何かほっとしたり、うっとりしたりと言う気分でトータル45分があっというまに過ぎてしまったアルバムであった。いずれにしても北欧の味がしっかり詰まっていて私にとっては高評価盤。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音    ★★★★★☆

(視聴)

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2019年11月19日 (火)

ヨエル・リュサリデスJoel Lyssaridesのピアノ・トリオ作品「A Better Place」

スウェーデンの若きピアニストの文学性を感ずる美旋律ピアノ・トリオ作品

 

<Jazz>

Joel Lyssarides「A Better Place」
PROPHONE / SWEDEN / PCD200 / 2019

1_20191119222801

Joel Lyssarides (piano)
Niklas Fernqvist (bass except 07)
Rasmus Svensson Blixt (drums except 07)

 1992年スウェーデン・ストックホルム出身という若いピアニスト、ヨエル・リュサリデスJoel Lyssarides のピアノトリオ第2弾新作。前作はこのメンバーでのトリオ作品『DREAMER』で、2017年にリリースされ好評であったもの。とにかくバッハ、ラフマニノフというクラシック畑から、現代ジャズのエスビョルン・スベンソン、そしてピアノ・ジャズの大御所ビル・エヴァンス、キース・ジャレット等にインスピレーションを得て、彼が自ら書いたオリジナル曲集である。

Joellyssarides1 (Tracklist)

1 Vilse
2 Circling
3 Walking Tune
4 Still
5 Eon
6 Wu Tau-Tzu
7 Fado
8 Denial
9 Meditation
10 Free at Last
11 A Betetr Place

   M1."Vilse" 短い曲だが、ピアノが静かに美しく流れて、この思索的世界がいいですね。
 M2."Circling" 懐かしさが沸いてくるような思い出にふけることの出来る美しい曲。
 M3."Walking Tune" M1,M2と違って弾むような展開の曲。しかしどこかクラシック調の展開。
 M4."Still" これはまさにクラシック的な美しさのあるピアノ曲
 こんな流れが続き、M5."Eon",M6."Wu Tau-Tzu" はトリオ自身が楽しむような展開でタイナミックな面もみせて、少々スパイスを効かしている。
 M7."Fado", M8."Denial" は、ピアノが奏でる優しく美しいメロディーの流れにより優雅な世界に浸れる。
 M9."Meditation" この曲もどこか哀感のある懐かしさをさそう。中盤にベースが低音で歌い上げトリオの味が感じられるところ。
 M10." Free at Last" 中盤のピアノとベースのユニゾンが聴きどころ。
 M11."A Betetr Place" 最後はアルバム・タイトルとなる明るい曲でしめくくる。

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 なんと言っても美旋律が流れ詩情豊かな文学性を感ずる世界を展開しているところが特徴。このようなタイプは所謂現代ヨーロピアン抒情派ピアノ・トリオと言って良いのだろうと思う。これが北欧のリリシズムと言ったところなのだろう。
 とにかくリーダーのピアニストのヨエル・リュサリデスは、ストックホルムの南ラテン音楽高等学校やストックホルム音楽大学でジャズ・ピアノ並びにクラシック音楽を学び、ピアニスト&作編曲家として幅広く活躍中と言うことで、クラシック・ムードを醸し出す現代ピアノ・トリオ作品と言ったところだ。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆ 

(視聴)

 

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2019年11月14日 (木)

エミール・ヴィクリキー Emil Viklický Trio 「BALLARDS AND MORE」

完全にピアノ主導の東欧の香りあるジャズ・トリオ

<Jazz>

Emil Viklický Trio 「BALLARDS AND MORE」
ARTA / CZE / F15161 / 2013

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Emil Viklický / piano
František Uhlíř / double bass
Laco Tropp / drums

613hwfvqc1lw   チェコのもう大御所と言える70歳になるエミール・ヴィクリツキー Emil Viklickýのピアノによるトリオ・アルバムを取り上げる。近年は彼名義のトリオによるニュー・アルバムはなく、従ってこれは2008年の『TRIO'01』というアルバムからの4曲を収録し、新たな曲の追加による再編成した2013年の特別版アルバムである。
   しかしここにきて彼の新録ニュー・アルバムが出た。それはやはりチェコの大御所ベーシストのとのデュオ・アルバムで『MORAVIAN ROMANCE』(2019)(→)だ。久々のリリースでいずれ詳しく取り上げたい。

 とにかくバークリーに学び、昔の分裂前のチェコスロヴァキアでのアマチュア・ジャズ・フェスティバルの最優秀ソリスト賞をはじめ各種の賞を勝ち取り、クラシック畑での活躍もある。更に映画・舞台の音楽制作に携わったりというチェコ音楽界重要人物であり、是非アルバムを通して聴いておきたいという事でこれは入手したアルバムである。

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(Tracklist)

1. ALWAYS AND FOREVER / Pat Metheny 4:00
2. DEDICATED TO YOU / Sammy Cahn, Saul Chaplin, Hy Zaret 5:27
3. WHEN THE SUN COMES OUT / Harold Arlen, Ted Koehler 5:10
4. CORAL / Keith Jarrett 4:00
5. I FALL IN LOVE TOO EASILY / Jule Styne, Sammy Cahn 5:34
6. ASPEN LEAF / Emil Viklicky 8:18
7. BUHAINA, BUHAINA / Ray Brown 7:18
8. WINE, OH WINE / Emil Viklicky 13:34
9. SONG FOR JANE / Frantisek Uhlir 4:37

 なんと言っても、大戦後長年共産圏であったチェコスロヴァキアである。米国とは一線を画してきたわけであるが、ジャズの心はしっかり育んできており、しかしそんな環境から彼らの独特なジャズを作り上げてきたと言って良いようだ。なんといってもクラシカルな響きと東欧の香りが融合した一種独特のピアノ・トリオ作品と言って良い。昔共産圏時代にプラハに仕事で訪れたことがあったが、なんと若者は夜にはクラブに集まって、ピンク・フロイドのアルバム「THE WALL」からの"Another Brick in The Wall(p.1)"を歌い上げていてビックリしたが、彼らの心の中では欧州自由主義圏にかなり寄っていたことが解る。

Vddia  このアルバムもかなり洗練されたものに仕上がっている。タイトル通り新旧のバラードを、ヴィクリッキー(→)のピアノ主導でオリジナリティ溢れる演奏を展開している。キース・ジャレット、パット・メセニー、レイ・ブラウンらの往年の名曲を演じていることからもその対象の広さが感じられるところだ 。一方彼のオリジナル曲もしっかりと組み込んでの特別版として仕上がっているのだ。

 冒頭にパット・メセニーのM1."Allways and Forever"が登場するが、如何に東欧の雰囲気に塗り替えてしまうところは、さすがのベテランの演ずるところだ。
 彼のオリジナル曲としてM6."ASPEN LEAF" がいいですね。比較的硬質な音のピアノですが、どこか優しく哀愁帯びた響きが最高だ。
 又、寺島靖国はアルバム「For Jazz Ballad Fans Omly Vol.1」でM5."I FALL IN LOVE TOO EASILY"を取り上げている。たしかにこの曲でのピアノは美しく、そしてユッタリと詩的な心に訴える世界に、ベースとともに導かれる。

 戦後の苦難な中に、ジャズをめざして1977年にアメリカに渡って勉強したという心意気から始まっての人生をかけての音楽界に生きてきた男の味は、そう簡単には真似できない味が満ち満ちているのである。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆

(視聴)   "ASPEN LEAF" 

 

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2019年10月11日 (金)

マーティン・ティングヴァル Martin Tingvall ピアノ・ソロ 「THE ROCKET」

聴きやすいメロディーの美しいピアノ曲集

<Jazz>

Martin Tingvall 「THE ROCKET」
SKIP Records / EU / SKP9167CD / 2019

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Martin Tingvall(p)

 マーティン・ティングヴァルはスウェーデンのピアニストであり作曲家でもあって、彼のソロ・アルバム、トリオ・アルバム(「BEAT」「CIRKLAR」)などここで何回と取り上げてきたが、これは2016年のアルバム 「distance」(SKP1947-2)以来の3作目となるピアノ・ソロ作品。クラシカルにしてシンプルで静かな美しいメロディで奏でてくける。ちょっと異様なアルバム・タイトルだが、新しい世界を探求したという作品のようである。

Thwvm4q004 (Tracklist)

01. Hope
02. First Steps
03. The Rocket III
04. Floating
05. Piano Man
06. Dark Matter
07. In Motion
08. from Above
09. Ehoes From The Past
10. No gravity
11. lost In Space
12. Tales
13. Castle Song
14. Googbye For Now

15. The Rocket Ⅰ (bonus track)

 ソロ前作「distance」が素晴らしかったので、これも期待してのもの。今作は比較的短い曲が多く14曲収められている。

 M01."Hope"タイトルどおり未来志向の希望の溢れた美しいピアノ曲。
 M02."First Steps", M03."The Rocket III", M04." Floating" と、ジャズというよりはややクラシック調で、メロディーも美しくとっつきやすく比較的やさしく聴きやすい曲が並ぶ。
 M05."Piano Man" 彼の持ち前のクラシック・ピアノの演奏技量がハイレベルで展開。
   M06." Dark Matter" 物思いにふける曲。このあたりが彼の持ち味の曲作りで、やや哀感のある美しい曲。
   M07."In Motion"、M08." from Above" まさに物語調。
   M09." Ehoes From The Past" いやはやこれぞクラシック・ピアノ・ソロだ。
   M10." No gravity "、M11." lost In Space" 宇宙空間に対する憧れ的世界か、いかにも希望的。
 M12. "Tales "、M13."Castle Song" どうも夢見る物語的世界観が感じられる曲。
   M14." Googbye For Now" いずれにしても夢と希望の物語の締めとしての心の整理をしてくれる。

Martin_tingvallw

   このアルバムについて彼は「私たちの世界は信じられないほど急速に変化しています。 デジタル化は、私たちの日常生活だけでなく、社会のほぼすべての分野を変えています。 このアルバムで、私は静寂の対極をデザインしたかった。 同時に、新しい音楽の世界も探っています。 それが音楽が私に道を示すところです。」と言っている。

 先にも書いたが、全体的に優しさの感じられるクラシック調のピアノ・ソロ曲集。ジャズということを意識せずに若きも老いたるも一緒になって家族でゆったりとした時間に聴くにいいアルバムだ。
 と、言うことは気合いを入れてジャズ聴くということでは、若干ムードは肩すかしというところか。

(評価)
曲・演奏 ★★★★☆ 
録音   ★★★★☆

(参考)Martin Tingvall : Discography

(Solo)
En Ny Dag (Solo, 2012)
Distance (Solo, 2015)
The Rocket (Solo, 2019)

( the Tingvall Trio)
Norr (2008)
Vattensaga (2009)
Vägen (2011)
Beat (2014)
Cirklar (2017)

(視聴)

Solo ""Hope"

 

Solo ""Dark Matter"

 

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2019年9月27日 (金)

アダム・バウディヒAdam Bałdych =「sacrum profanum 」ジャパン・ライブ

Daldychdys アダム・バウディヒとクシュストフ・ディスのライブ・デュオ

・・・小ホールでの白熱の緩急自在の完全アコースティック演奏
・・・今年リリースしたアルバム「sacrum profanum」から

 

 ポーランドのヴァイオリニストのアダム・バウディヒは牧歌的であり静謐な世界を描くことで数年前から注目しているが、その彼とピアニストのクシュストフ・ディスの昨日(2019/9/26)ライブ・デュオ演奏。(アダム・バウディヒのアルバムは過去にもここで取り上げている=アルバム「Bridge」(2015/11/14)、アルバムBrothers」(2017/7/30))

 会場は上越ラ・ソネ菓寮。曲目はACTレーベルから今年リリースされたアルバムからである。(↓)

<Jazz>
Adam Bałdych Quartet「sacrum profanum」
ACT / Germ / 9881-2 ACT / 2019

Sacrumprofanum

(このジャケはアダム・バウディヒとクシュストフ・ディスに当日サインして頂いたもの)

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 収録曲は上のようで、アダム・バウディヒのカルテットである。そして今回来日ライブはそのメンバーのアダム・バウディヒとクシュストフ・ディスのデュオという形である。

Adam Bałdych アダム・バウディヒ - violin
Krzysztof Dys クシュストフ・ディス - piano

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 曲目は全く私には解らないのだが、紹介による上のように神聖でクラシックな Hildegard von Bingen (ヒルデガルト・フォン・ビンゲン )或いは Thomas Tallis(トーマス・タリス)の曲などを アダム・バウディヒによりアレンジされたものとポーランド・フォークの影響を受けた彼の曲と言うことだ。
 過去のアダム・バウディヒのアルバムも、ヘルゲ・リエン・ピアノ・トリオをバックに、牧歌的な優雅にして広大な世界、そして静謐な音展開、更に時として激しい高揚をみせる演奏で注目してきたが、今回もその通りの演奏を小さなホールで、完全アコースティック演奏を聴かせてくれた。
 特に緩急自在の彼のヴァイオリンは感情を込めた静謐の演奏が特に素晴らしい。それにクリシュストフ・ディスは元クラシック・ピアニストであるだけに演奏の確実性はみごとで、インプロもまじえながら美しい世界を描いていた。

 何時も感ずることだが、この上越のラ・ソネ菓寮に於けるライブは小会場であるだけに、完全アコースティックで、静かな中の緊張感は尋常で無く、そこに繊細なデュオによる音が交錯しそして次第に演奏は盛り上がり絶頂に至る流れは素晴らしい。とにかくアット・ホームで、演者と聴衆の親密感があり素晴らしいライブであった。

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(会場ラ・ソネにて    右は私も一緒に記念撮影)

 

[(参照) 以下 ブログ「タダならぬ音楽三昧」よりの紹介文]

Adam Bałdych (アダム・バウディヒ)

 ポーランドのヴァイオリニスト、作曲家。16歳で既に国際的に活躍(ドイツ、ポーランド、セルビア、ハンガリー、インドネシア、スペイン、フランス、アメリカ)していた。最初、天才児と呼ばれ、今はヨーロッパで最もすぐれたジャズ・ヴァイオリニストの一人と言われている。2012 年、ACT Music レーベルより最初のアルバム "Imaginary Room" をリリース。これはヨーロッパの第一線で活躍するジャズ・ミュージシャン (Lars Danielsson、Jacob Karlzon、Verneri Pohjola、Morten Lund、Marius Neset)と録音されたもの。第二作目 "The New Tradition"はイスラエルのピアニスト Yaron Hermanと録音され、2014年5月にリリースされた。そして三作目 "Bridges" はノルウェーの Helge Lien Trio とコラボレーションしたもので 2015 年 8月に、四作目 "Brothers"は 2017 年 8月に Helge Lien Trio と Tore Brunborg とが参加している。

 Adamはドイツで最も重要な音楽賞 ECHO Jazz 賞の2013 年優勝者であり、ポーランドの「素晴らしき芸術」(Gazeta Wyborcza、Radio Zachod とTVPの三つのメディアによる)投票の優勝者でもある。更に、2011 年 Jazz Melomani の Jazz Hope 部門でグランプリ、 2012年には Jazz Melomani で年度優勝している。

 彼はまた 2013 年と 2015 年にポーランドの音楽賞 Fryderyk 賞(アメリカのグラミー賞相当)にノミネートされた後、2016 年度ジャズ・アーティストに選ばれている。アルバム "The New Tradition" は Best Jazz Album 2014 賞を受賞(TVP プログラム 2 と Jazz Melomani 協会により毎年 Gala Grand Prix Jazz Melomani の中より選ばれる)。2016 年 6 月にはポーランド大統領より Gold Cross of Merit 勲章を受章した他、Medal of Merit 勲章を文化的貢献・成功に対して受章している。

 2019年に 3月、新たにAdam Baldych Quartet (Baldych / Dys / Baranski / Fortuna)のアルバム "Sacrum Profanum" を発表している。

 

Krzysztof Dys (クシュストフ・ディス)

 1982 年生まれ。ポーランド人のピアニストで即興演奏家。イグナシー・ヤン・パダレウスキー音楽院でクラシックピアノの博士号を取得、現在は同学院で講義も受け持つ。クラッシックではスクリャービン国際ピアノ・コンクールで 3位(2007 年、パリ)、ジャズでワルシャワ・ジャズ・コンテストで 2位、「ジャズ・ナッド・オドゥラ」フェスで 1位となるなど、若いうちからクラシックピアノの賞を数々受賞。マイルス・デイビス、ハービー・ハンコック等に触発され、ジャズに傾倒。2002年以来、Soundcheck Quartet の一員として、6 枚のアルバムをリリースし、国内外の名だたる賞を受賞している。2016 年に自身が主宰するトリオとして初のアルバム『Toys』を発表。Adam Bałdych Quartet のメンバーでもある。

(視聴) Adam Baldych Quartet

 

 

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2019年9月10日 (火)

アイヴィン・オースタ・トリオ Eivind Austad Trio 「Northbound」

ノルウェーからの詩的で牧歌的にしてロマンティックなピアノ・トリオ・アルバム

<Jazz>
Eivind Austad Trio 「Northbound」
LOSEN RECORDS / EU / LOS211 / 2019

Northbound

Eivind Austad (piano)
Magne Thormodsater (bass)
Hakon Mjaset Johansen (drums)

Recorded April 26-27, 2018 by Devide Bertolini at Gunnar Saevins sal, The Grieg Academy, Bergen

  北欧らしいと言われるピアノ・トリオ・ジャズ。2016年リリースの「Moving」に続くトリオ作品第2弾。 アルバム・タイトルは"北に向かって"と言ったところか。
 演ずる曲は彼らが感動しているデビッド・ボウイの名曲"SPACE ODDITY"を取り上げているが、その他の7曲はトリオ・リーダーのピアニスト・アイヴィン・オースタEivind Austad(1973-)によるオリジナル曲により占められている。

Eivindaustadtrio

(Tracklist)

1. 7 Souls 8:52
2. Space Oddity 5:05
3. Northbound 6:05
4. Open Minded 6:59
5. Beyond The 7th Ward 6:58
6. Folk 6:51
7. Down That Road 6:29
8. Faith 6:46
Total Time 54:05

 確かに北欧らしいと言ってよいのか、ピアノが美しく響き、展開は微妙に深遠な世界に導くピアノ・トリオ・ジャズだ。2曲目に登場するデビッド・ボウイの"SPACE ODDITY"を聴いても、耽美な世界に彼なりきの独自世界に染め上げた曲の仕上げである。
 他は全てオリジナル曲であり、M5."Beyond The 7th Ward"にみるように、特徴的なスローなテンポでピアノの音を一つ一つ響かせて、どこか非都会的牧歌的な大自然のイメージを感じさせる。
 いわゆるジャズらしい展開はM6."Folk "ぐらいで、オースタのピアノ・プレイが速テンポをみせるのもこの曲ぐらいだ。
 アルバム・タイトルのM3." Northbound"を聴くと彼らのしたいことが見えてくる。静かにどこかノルウェーの民族的なメロディーに聴こえてくる展開を見せつつも、次第にピアノの旋律も近代的即興に変化して、三者の交錯展開が面白く聴かせてくれる。そして最後は再び静かな世界に沈んでゆくという形をとっている。
   そしてM7." Down That Road"では、彼らのロマンティックな流れが結実していて、展開も面白い。
 M8."Faith"は冒頭から深く沈んで、これぞ北欧ノルウェーといった感じだ。
 ベース、ドラムスはそれ程特徴的な演奏展開は無い。曲が全てピアニストのものであり、更にこのトリオは録音のために集まると言ったグループのようで、曲の進行を補佐するといったところに終始している。

   トリオ・リーダーのアイヴィン・オースタは、1973年ヘルゲン生まれ、トロンハイム科学技術大学(NTNU)でジャズ研究を学び学士号。現在ベルゲン在住で、ベルゲン大学グリーグ・アカデミーのジャズ学科准教授と、演奏家としてのキャリアを組み合わせて活動しているようだ。ピアニストとして結構引き手あまたで、この自身のグループの他、幅広いプロジェクトに参加。

 全体に北欧ジャズの世界に特化して、静にして凛としたピアノの響きにまつわる曲展開を目指したものと見るが、同じノルウェーのトルド・グスタフセンほど哲学的で無く、その点は若干私は不満だったが、ソウル、ゴスペルを加味した牧歌的な世界を描くとなると、こうなるのかもしれない。とにかく彼らは目下諸々探究中にあることを述べているので、これからの展開に興味も持たれる。しかしノルウェーはこうした多くのピアノ・トリオが健闘していますね。

(評価)
□ 演奏・曲 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★★☆

(試聴)

 

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2019年7月25日 (木)

エルELLEのファースト・アルバム「SO TENDERLY」

美しいガラティのピアノをバックにウィスパー・ヴォイスで

<Jazz>

ELLE 「SO TENDERLY」
TERASHIMA Records / JPN / TYR-1081 / 2019

Sotenderly

Elle (vocal)
Alessandro Galati (piano)
Guido Zorn (bass)
Lucrezio De Seta (drums)

Ag1   初お目見えのエルElle本人が期待していたとおりの、日本盤としてはビックリのデビュー・アルバムですね。これは寺島レコードとイタリアのピアニストのアレッサンドロ・ガラティAlessandro Galati(→)とのプロジェクト、その結果の産物なんですね。ガラティはジャズ畑での私の最も愛するピアニストであり、その彼に見いだされたというエルであるが、彼女がイタリアのジャズ・クラブで歌っているのを見つけたようだ。
 そんな結果生まれたアルバムであるので、ガラティの優しい美旋律の生きたピアノ・トリオの演奏で、彼女のヴォーカルがしっとりと聴ける。それはまあウィスパー・ヴォイスという世界ですね。寺島靖国もお気に入りとか・・・そうなれば聴かねばならない一枚となってます。

(Tracklist)

1. How Insensitive
2. Tenderly
3. Time After Time
4. These Foolish Things (Remind Me Of You)
5. Moon River
6. The Nearness Of You
7. Body And Soul
8. Over The Rainbow
9. I Wish You Love

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 やはり日本向け仕上げか、ポピュラーなスタンダード曲を中心に収録されている。
  そして成る程M1."How Insensive"での冒頭からソフトにしてマイルド、やや物憂いエルのウィスパー・ヴォイスが迫ってくる。続くM2."Tenderly"でもその流れは続き、中盤にガラティのソロに近いピアノ、そしてGuido Zornのベースが聴かれ、成る程ガラティの優しく美しくといった演奏もテーマになっていることが解る。
 とにかくエルはもともとはオペラ歌手も務めたとはいうが、極力抑えた発声で夜のジャズ・ムードを盛り上げている。
   しかし、その点はアルバム作りにも有能なガラティのこと、M3.,M4ではメディアム・テンポ曲を配して、そして再びM5."Moon River"、M6."The Nearness Of You"はスロー・テンポに仕上げている。そして彼女のややハスキーで語りかけるような歌声が相変わらず続く。それならむしろM3.,M4.ではもう少し明るく歌い上げたほうがアクセントがあって良かったのではとも思ったところである。まあ私にしてみれば、肩の力を抜いたガラティの美しい旋律のピアノを聴けるのであまり文句はないのだが、とくにそれはM6.M8."Over The Rainbow"の中盤にも顔を出して、しっとりとした中に美しさがあるピアノは出色である。まあこれが目当てでこのアルバムを手に入れているというところもあって、取りあえず満足のアルバムであった。

Trentinoinjazz

 エルに関しての情報は少ないのだが、ボサノバ曲を自作自演していたふしもあり、かなりの実力派か。年齢も30歳代 ?。又こうして聴いていると彼女の押さえられたややハスキーなウィスパリング型の声はむしろ作られたもので、かなり透明感のある声を持っている様子も窺える。そしてかなりチャーミングな面も持っていそうだ。又これからのガラっと変わった発展もありそうな予感がする。

(評価)

□ 選曲・歌・演奏  ★★★★☆
□ 録音       ★★★★☆

( 試聴 目下、この関係の映像等は見当たらないので・・・ちょっとお預け)

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2019年7月 8日 (月)

ステファン・オリヴァのニュー・アルバム Stephan Oliva「Orbit」

久々のオリジナル曲によるインテリジェンス溢るるピアノ・トリオ盤


<Jazz>
Stephan Oliva, Sebastien Boisseau, Tom Rainey 「Orbit」
YOLK MUSIC / j2075 / 2019

Orbit

Stephan Oliva (p)
Sebastien Boisseau (b)
Tom Rainey (ds)

Recorded and mixed by Gerard De Haro
Mastering by Nicolas Baillard at Studio La Buissonne in 2018

 フランスのピアニスト、ステファン・オリヴァの久しぶりのピアノ・トリオ・アルバム。マイナー・レーベルからのリリースで取りあえず手に入れた。まずは注目点はアルバム・ジャケにもトリオ3人の名前が列記されていて、いわゆるピアニストの為のトリオというスタイルでなく、三者が三位一体型のトリオでの演奏型。そうは言ってもステファン・オリヴァが全11曲7曲を、そしてベースのセバスチャン・ボイソウが3曲を提供している。まあ彼らがジャズを極めんとする一つのパターンであるオリジナル曲アルバムだ。
  アルバム・タイトル「Orbit」の意味は、所謂人工衛星などの"周回軌道"のことのようだが、"人生の流れる環境"などの意味もあるようで、そんなところからも哲学的世界を感ずる。

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(Tracklist)

1. Split Screen (Stephan Oliva)
2. Wavin (Sébastien Boisseau)
3. Gene Tierney (Stephan Oliva)
4. Processione (Stephan Oliva)
5. Le Tourniquet (Sébastien Boisseau)
6. Cercles (Stephan Oliva)
7. Inflammable (Marc Ducret)
8. Polar Blanc (Stephan Oliva)
9. Around Ornette (Stephan Oliva)
10. Spirales (Stephan Oliva)
11. Lonyay Utça (Sébastien Boisseau)

  このアルバムは、所謂オーソドックスなピアノ・トリオ・ジャズを期待してはいけない。"フランスらしい気品に溢れ、冷気漂うインテレクチュアルな美的ピアノ・トリオ作品"と評されているが、まさにそんな作品だ。そしてこのトリオの三位一体型の演奏も群を抜いている。これぞこの3人が互いに目指すものを融合させたといったパターンは随所に感じられる。
 とにかく所謂叙情的優しさ美しさというものではない。しかしその気品あるインテリジェンスの高く、フィロソフィカルな世界は、ある意味での前衛性も加味して響き渡る。いっやーーなかなかスパイスの効いた刺激と深遠さとで、あっという間にアルバム一枚を聴いてしまう。

 とにかく、スタートのM1."Spilit Screen"から三者の絶妙なスリリングな連携に驚きながらも、この先の展開に不安をかき立てられながら聴くことになるが・・・。M2."Wavin"の静寂にして深遠な世界によって、なる程このアルバムの思索的世界を知らしめられる。
 中盤は、M7."Inframmable"にみるように、ピアノの高音と低音で深遠な世界にリズムを刻み、一変して途中から変調し三者のメロディーというよりはリズムの妙が前衛的にインタープレイし展開する曲だ。そしてそのながれからM8."Around Ornette"のスリリングな演奏と深遠な世界の三者の交錯への世界と流れる。
 M9."Spirales"はベースのソロが低音で響き、そしてピアノ、ドラムスが、独自の世界を作りながら次第に合流する流れに入ってゆく。
 こうしたトリオ展開は、次世代ピアノ・トリオの一角を築き上げているという印象である。
   そして終曲M11."Lonyay Utca"は、静かな永遠の世界に導きつつアルバムを納める。

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 このアルバムは一曲一曲よりは、全曲をトータルに構成されたアヴァンギャルド・トリオ作品として聴くと良い。それはこのトリオ三人のインテリジェントにしてアグレッシブな姿勢によって作り上げられたものとして知ることが出来る。そこにポイントをもって聴くと、ちょっとした多くのピアノ・トリオ作品の中で、この作品のある意味での重要性に接することが出来る。しかしそれにつけてもステファン・オリヴァ(↑)の繊細なプレイとフィロソフィカルな世界は凄い。

(評価)
□ 曲・演奏 :  ★★★★★☆
□   録音   :  ★★★★★☆

(視聴)

 

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2019年6月15日 (土)

シゼル・ストームのニュー・アルバム Sidsel Storm 「AWAKE」

ソフトでテンダリーな円熟ムードで

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<Jazz>

Sidsel Storm 「AWAKE」
 CALIBRATED / JPN /  CALI146 / 2019

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Sidsel Storm (vocal)
Magnus Hjorth (piano)
Lasse Mørck (double bass except 9)
Snorre Kirk (drums except 9)
Tobias Wiklund (cornet on 1, 2, 3, 4, 5)

*guests:
Pernille Kristiansen (violin on 6)
Jenny Lüning (viola on 6)
Nicole Hogstrand (cello on 6)

 シゼル・ストームSidsel Stormのニュー・アルバム、考えてみると久しぶりのような感じだが、前作は「CLOSER」(2015)だと思うで4年ぶりという事になるか。手持ちとしては4枚目のアルバムとなる。今までのアルバムはラーシュ・ヤンソンとかヤコブ・カールソン、マグネス・ヨルトといった欧州人気ピアニストのバックでのヴォーカル・アルバムであったので、それも手伝って結構人気があった。
 彼女はデンマークの美人歌手として紹介がされて、端正な清澄ヴォイスとして評価もある。今回のアルバムは久しぶりという事での彼女に進化があるか、期待をこめて興味津々で聴いたところだ。

(Tracklist)

1. Comes Love (Stept/Brown/Tobias)
2. The Road (Hjorth/Storm)
3. You're Getting To Be A Habit With Me (Warren/Dubin)
4. I Didn't Know About You (Ellington/Russell)
5. Back To You (Hjorth/Storm)
6. I Got It Bad (And That Ain't Good) (Ellington/Webster)
7. All Through The Night (Porter)
8. Too Marvelous For Words (Whiting/Mercer)
9. Awake (Otto/Storm) (vocal & piano duo)

Sidsel  まず聴いての感想は、彼女の瑞々しく誠実感あるどちらかというと優し気な温かみある美声派は変わっていない。
  オープニングM1."Comes Love"快調なスタート、そしてM2."The Road"でがらっとバラード調にしっとりと聴かせる。両曲ともPianoとCornetが彼女のヴォーカルのバックと曲のメロディーとを演じてのムード作りが功を奏している。
 M3."You're Getting To Be Habit With Me"のハイテンポに続いて、M4."I Dn't Know About You"のしっとり寄り添ったヴォーカルと、多彩なところで飽きさせない。
 その後もリズムカルとバラードの交互な展開をして単調でなく聴きやすいアルバム仕上げ。
 M6."I Got It Bat"は特に説得力のあるテンダリーな情感的なヴォーカルとViolin、 Viola、 Cello のストリングスと共に大人の味付けが妙に説得力がある。
 最後のM9."Awake"が、落ち着いた語り聞かせるような曲展開で、ピアノの調べと共にソフトなヴーカルが聴きどころ。

 デビュー・アルバムから10年、来日公演なども経て日本では北欧の気風とマッチングして人気を獲得しつつある彼女も、なかなか円熟してきたという印象を持つ。今回のアルバムは快調なスウィング感からラテンタッチそして本領のソフトに語りかけてくるようなバラードと幅広く網羅していて聴きごたえ十分。今や、なかなか洒落たバックの好演にのって、北欧の重要なヴォーカリストの位置を築いた感がある。

(評価)

▢ 選曲・演奏・歌 :  ★★★★★☆
▢ 録音               : ★★★★☆

(視聴)

 

 

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