ユーロピアン・ジャズ

2018年1月18日 (木)

Trio X of Sweden  「Atonement」

( 2017年に聴いて印象に残ったアルバムを-9 )

美メロによる快感と安心感・安堵感のアルバム
      ~良識ジャズの典型 ~

<Jazz>
Trio X of Sweden 「Atonement」
Prophone / SWE / PCD171 / 2017

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レナート・シモンソンLennart Simonsson(p)
パー・ヨハンソンPer V Johansson(b)
ヨアキム・エクバーグJoakim Ekberg(ds)

 レナート・シモンソン、パー・ヨハンソン、ヨアキム・エクバーグの3人によって2002年に結成されたピアノ・トリオ「Trio X of Sweden 」のニュー・アルバム。
 調べてみると、この「Trio X of Sweden」はスウェーデン中部のウプサラ県が地域の音楽文化を支える目的で主宰する「ウプランドの音楽(Musik i Uppland)」のアンサンブルのひとつと言うことだ。1987年に「Trio con X」として発足、2002年から現在の名称で活動しているとのこと。
 2012年に発表されたアルバム『Traumerei』は、クラシックをジャズアレンジした作品で好評を博したらしいが、私は未聴。ちょっと聴いてみたい気持ちになっている。
 今回のこの最新アルバムは、映画音楽やポピュラーミュージックをカヴァーして、シモンソンはじめ彼等のオリジナル曲をも適度に配して、とにかく優しく優雅に聴かせてくれる。アルバム・タイトルの『Atonement』とは”償い”という意味で、これには結構深い意味を込めているのかも知れない。美しくメロディアスでエレガントな作品である。

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(Tracklist)
1.  I skymningen (Wilhelm Peterson-Berger) たそがれに
2.  Somaoh (Lennart Simonsson)*
3.  Atonement (Lennart Simonsson)*
4.  Nå skrufva fiolen, Fredmans Epistel No 2 (Carl-Michael Bellman)
5.  Wedding March (Felix Mendelssohn) 結婚行進曲
6.  Urban Reconnection (Lennart Simonsson)*
7.  Vallflickans Dans (Hugo Alfvén) 羊飼いの娘の踊り
8.  Naomi (Per V Johansson)*
9.  Utskärgård (Bobbie Ericson)
10.  I hoppet sig min frälsta själ förnöjer, Swedish hymn No 325 (Trad. Hymn)
11.  Liksom en herdinna, Fredmans Epistel No 80 (Carl-Michael Bellman) フレードマンの手紙
12.  Theme from Schindler’s List (John Williams) シンドラーのリストのテーマ
13.  Raindrops Keep Fallin’ on My Head (Burt Bacharach) 雨にぬれても
14.  The Mulberry Tree (Lennart Simonsson)*
15.  Send in the Clowns (Stephen Sondheim)
                   
 (*印:オリジナル曲)

  このトリオの演奏は、まずは癖が無いといったところをまず感じますね。対象の曲も確かにジャズ、クラシック、トラッド、ソウル、ポップ、ロックとオールラウンドにこなします。もちろんピアニストLennart Simonssonを中心としての彼らのオリジナル曲も5曲登場している。ポピュラーに知られた曲も、勿論彼らなりきの編曲やインプロヴィゼーションの導入などが成されているが極めてオーソドックスなものに感じるし、なにかジャズの教科書的演奏に聴こえてくるんです。

 オリジナル曲も非常に優しいし、聴く方には快感です。特にベーシストのヨハンソンの曲M8.  "Naomi" は、なにか懐かしいメロディーで、郷愁におそわれる。そんな思いに連れて行ってくれる良い曲ですね。ベースによるメロディー、それに続くピアノに取って代わるメロディー両者の美しさにホッとするところです。
 更にシモンソンのM14. " The Mulberry Tree "(Lennart Simonsson)は、そのピアノの奏でるやや不安げな美メロによるなかなかの名曲。
 又なんとM5. " Wedding March" (Felix Mendelssohn)結婚行進曲まで登場するが、これが又結構静かな思索的ジャズに変身なんですね、これはちょっと驚き。
 スウェーデンの賛美歌M10. " I hoppet sig min frälsta själ förnöjer, Swedish hymn No 325"などにも心安まります。
 その他私にとってはジョン・ウィリアムズの「シンドラーのリストのテーマ」M12.  "Theme from Schindler’s List" (John Williams)には美しさと懐かしさで参ったと言ったところです。

 こんな良識と快い響きと安心感の漂ったアルバムも珍しい。誰にでも勧められるアルバムです。

(視聴) 

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2018年1月14日 (日)

寺島靖国選曲シリーズ「Jazz Bar 2017」 * ミケーレ・ディ・トロ Michele Di Toro Trio 

これで17巻目、今回もやはり・・・ピアノ・トリオが中心で
  注目:ミケーレ・ディ・トロ・トリオMichele Di Toro Trio

<Jazz>
Y.Terashima Presents 「Jazz Bar 2017」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1061 / 2017

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(Tracklist)
1. Lilofee [Edgar Knecht]
2. Un Sogno d'estate [Lello Petrarca]
3. Se non avessi piu' te [Jesper Bodilsen]
4. On The Horizon [Jacob Christoffersen]
5. Kasztany [L.A. Trio]
6. Machismo Mouse [Darin Clendenin]
7. A Bruxa [Abe Rábade]
8. Pinocchio [Tingvall Trio]
9. Esperanza [Michel Bisceglia]
10. Purple Quarry [J.S. Trio]
11. Distances [Michele Di Toro]
12. My Love And I [Frank Harrison]
13. Paris 2002 [Stephan Becker]

 2001年から始まったこのシリーズ、もう17年ですね。当初寺島靖国はこのオムニバスはレコード会社の選曲したものとは違う、だから売れても売れなくてもいい、だから個人色は出す、とにかく好きなものをかき集める・・・とスタートしたもの。結果は売れたと言うことですね、17年も続いているんですから。
 さて、今回の2017年盤は、上のように13曲選曲収録されている。ここで私は何時も取りあげているTingvall Trio(M8. "Pinocchio" ) そしてMichel Bisceglia(m9. "Esperanza" ) は当然と思っているが、M1. "Lilofee" [Edgar Knecht] そしてM3. "Se non avessi piu' te" [Jesper Bodilsen] 、M5. "Kasztany" [L.A. Trio]もなかなか素晴らしい。

 そして今回私の注目は、Michele Di Toro Trio(M11. "Distances" )とFrank Harrison Trio(M12. "My Love And I" )だった。そこでまずミケーレ・ディ・トロMichele Di Toro Trioについてここで焦点を当ててみたい。↓↓

 ① Michele Di Toro Trio 「PLAY」
     abeat for JAZZ / Italy / ABJZ134 / 2014

Play

  「ジャズ批評2015 年3 月号」”ジャズオーディオ・ディスク大賞2014” の8 位に選ばれた注目盤であるが(この時のNo.1は、Alessandro Galati「Seals」だった)、ピアニストのミケーレ・ディ・トロの評判は聞いていながらも、実は彼のこのアルバムには手を付けてこなかったので、ここで敢えてよいチャンスと挑戦してみたわけである。

Michele Di Toro (p)
Yuri Goloubev (b)
Marco Zanoli (ds)
Recorded on January, 30th and 31th 2014 at Protosound Polyproject, Chieti, Italy

(Tracklist)
1.Lutetia *
2.Ninna Nanna *
3.Daunted Dance %
4.Corale *
5.Distances
6.Remembering Chopin *
7.Joni... %
8.Change Of Scene *9.Touch Her Soft Lips And Part %
10.Chorale VIII - Ascension %
       
  (*印:Michele Di Tro  、 %印:Yuri Goloubev)

 このトリオ・メンバーからもその内容は押して知るべしと言うところ。1曲を除いてその他全曲彼らのオリジナル曲。このアルバムのリーダーであるミケーレ・ディ・トロは4曲。そしてなんとベースのユーリ・ゴロウベフYuri Goloubevは頼もしいことに4曲も提供していて、彼はロシアのクラシック・ベーシストで今やユーロ・ジャズには無くてはならないベーシスト(私の好みのロベルト・オルサー・トリオのベーシストだ)。
 過去にマーシャル・ソラール賞やフリードリッヒ・グルダ賞を受賞したという名ピアニスト、ミケーレ・ディ・トロとユーリ・ゴロウベフのピアノトリオとなればやはり注目。とにかく上品で流麗なタッチで耽美な世界が展開して感動もの。繊細なメロディを奏でて、それに見合ったテクニックを披露するリズム陣の黄金トリオのアルバムだ。
 このアルバムのM5."Distances"が、今回の『Jazz Bar2017』に取りあげられたのだった。

 ② Michele Di Toro 「PLAYING WITH MUSIC」
      MUSIC CENTER / IMP / BA 161 CD / 2017

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  イタリア・ジャズ界でも、ナンバー1の美男子と言われるこのミケーレ・ディ・トロ。1974年生まれ。これは2003-2004年の彼の30歳を迎える時の録音もの。もともとクラシック・ピアノを身につけ、ショパンを愛し、あのエンリコ・ピエラヌンツィの流れにある。
 そしてこのアルバムは廃盤状態にあり”幻のイタリア・ジャズ・ピアノ盤”と言われ中古市場を賑わせていたもの。そして昨年再販盤がリリース。そんな訳で注目し、手に入れたのだが、ミケーレ・ディ・トロのピアノ・ソロ、デュオ、トリオ演奏で、ライブとスタジオ録音版。いかにもヨーロピアン・ジャズのピアニストと言った印象で、クラシックの影響も受けており、上品で流麗なタッチで耽美な世界が繰り広げられている。しかしここにみる彼のアレンジやインプロヴィゼーションは驚きの凄さで圧倒する。成る程名盤と言われるのも解る。聴いていてふと数歳年上のGiovanni Mirabassiが頭に浮かんだ。

DitorowMichele Di Toro (p)
Franco Cerri (g)
Marcello Sebastiani (b)
Marco (b)
Alberto Biondi (ds)
Tony Arco (ds)

(Tracklist)
1.  Sabrina *
2.  Sensual Thought *
3.  Honeysuckle Rose
4.  How Insensitive
5.  L'Importante E Finire
6.  My Funny Valentine
7.  In A Sentimental Mood
8.  Playing "A La Turque" *
9.  Farmer's Trust
10.  See You! *
11.  Marrakech * 
         (*印:Michele Di Toro)

 かって私は、プログレッシブ・ロツクの世界でイタリアのメロディアスな曲仕上げとロマンティズムは群を抜いていることに圧倒されたわけだが、これは長い歴史の中から国民的に培われて来たものであろうと思っている。そしてジャズ界においても全くその道はしっかりと息づいていて、彼の作品もその流れを十二分に演じきっている。

(視聴) Michele Di Toro Trio

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2018年1月11日 (木)

エスペン・バルグ・トリオEspen Berg Trio「Bølge」

(2017年に聴いて印象に残ったアルバムを-8

美意識が支配する中にモダニズムを追求する静と動の交錯

<Jazz>
Espen Berg Trio「Bølge」
BLUE GLEAM / JAPAN / BG008/ 2017


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Espen Berg (p)
Barour Reinert Poulsen (b)
Simon Olderskog Albertsen (ds)

Recorded at  Rainbow Studio, Oslo, Norway

 2016年にここでアルバム『モンステルmønster』(BlueGleam/JPN/BG-006/2015)を紹介したノルウェーの気鋭ピアニストの第2弾だ。彼らは2016年ジャパン・ツアーを行って、高評価を得ている。
 相変わらず憂いを湛えたリリシズムと静謐な美意識が支配する中にモダニズムを追求する静と動の交錯する3者のインタープレイが楽しめるアルバムである。ブラッド・メルドーエスビョルン・スベンソンの影響を受けていると言われておりその先進性を追求する姿勢も諾(うべな)るかなと言うところだ。

1004670(Tracklist)
1. Hounds of Winter
2. Maetrix 
3. XIII
4. Bølge
5. Tredje
6. Cadae
7. For Now
8. Bridges
9. Skoddefall
10. Climbing
11. Vandringsmann (Bonus Track)
12. Scarborough Fair (Bonus Track)


 オープニングのM1. "Hounds of Winter"は、スタートから美しさと静かさとそして安定感をもって安堵感を醸し出してくれる。しかし中盤からはテンポを早めての変調して流麗なピアノの流れとアンサンブルの妙を見せる演奏、これが"Hounds"の姿なのか。そしてハイテンポのM2. "Maetrix"へと流れる。
 さてこのアルバム・タイトルの「Bølge」というのは、ノルウェー語で「波」を意味しているとか、なるほど寄せては返すという曲の流れを表現しているものと思われるがそんな世界を堪能できる。
  とにかくそのM4. "Bølge"の約7分の曲は彼らの真骨頂の美しさだ。「波」と言っても高い荒々しい波でなく、静かに広がりをもって寄せてくる人の心に精神的安定感と幸福感に満たしてくれる情景だ。この曲でこのアルバムは私のお気に入りとなるんです。
 しかし一方M6. "Cadae"に見るようなトリッキーにして荒々しくポリリズムの描くところ、彼らの尋常ならぬインタープレイの境地を示している。
 そして続くM7. "For Now"の反転しての美しい落ち着きの世界へと繋がり、自然と人間との交わりの中から描く情景に心を奪われる。
 M8. "Bridges"、M9. "Skoddefall"を聴くと、なるほど彼らのジャズ心はこんな複雑なアンサンブルのある先進性のあるところに目指していることが知ることが出来る。
 Bonus Trackとして聴き慣れたM12. "Scarborough Fair" が登場するが、流麗なピアノ・プレイを聴かせ編曲の妙を見せる。

 とにかく美しい旋律や哀感のある情景のみに浸ろうとすると、複雑な変拍子やポリリズムがパンチを浴びせてくる。しかしそれはあくまでも美しい世界を構築する彼らの目指す方法論としての重要な役割の一つとして果たしていることなのだろう。こうしたハイレベルな現代主義的トリオ・ジャズはこれからも注目のところにあると言える。

(視聴)

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2018年1月 5日 (金)

 (新年第2弾) ヨーナ・トイヴァネン・トリオJoona Toivanen Trio 「XX」

音の余韻を生かし透明感と共に深遠なる世界を描く

<Jazz>

JOONA TOIVANEN TRIO 「XX」
CAM JAZZ / ITA / CAMJ7920-2 / 2017

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Joona Toivanen (p)
Tapani Toivanen (b)
Olavi Louhivuori (ds)
Recorded and mixed Cavalico on 31 May,1-2 June 2017 at Artesuono Recording Studio
Recording & Miixing engineer Stefano Amerio

Numurkah 澤野工房からの『Numurkah』(ATELIER SAWANO022 / 2000 (→))がリリースされて、我々も知ることになった若きメンバーのヨーナ・トイヴァネン・ピアノ・トリオ。全てを自らのオリジナル曲で網羅し、美しいピアノの流れに圧倒されたのだが、フィンランド生まれでスウェーデンで活躍中のトリオだ。今は嬉しいことにCAM JAZZから確実にニュー・アルバムをリリースしている。
  ここでも過去に取りあげた如く、このトリオの前作は2014年の『NOVEMBER』(CAMJ7878)で、更に最近は、ヨーナ・トイヴァネン自身のピアノ・ヒロ・アルバム『LONE ROOM』(CAMJ7904/2016)のリリースもあった。

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 トリオ・リーダーのヨーナ・トイヴァネンは1981年フィンランド生まれで、今年は30歳代後半に入ったところ。トリオは、弟であるタパニ(b)と、同級生だったオラヴィ・ルーヒヴオリ(ds)と共に1997年にフィンランドで10代に結成。過去に拘らない若さで、コンテンポラリーな雰囲気のある中に北欧独特のアンビエントな世界を描くジャズを持ち味として私もお気に入りのトリオだ。これはその不変のトリオのCAM JAZZからの3年ぶりのアルバムで、エンジニアとして今売り出しのステファノ・アメリオが担当している。
 そう言えば、ドラマーのオラヴィ・ルーヒヴオリは、ベテランの「トーマス・スタンコ・カルテット」にも加わっていて、今やスウェーデンでは名ドラマーの仲間入りか。

Joonatoivanentriow(Tracklist)
1. Polaroid (J. Toivanen)
2. Robots (O. Louhivuori)
3. Grayscape I (J. Toivanen)
4. Grayscape II (J. Toivanen)
5. Lament (J. Toivanen)
6. The Owl (O. Louhivuori)
7. Gemini (T. Toivanen)
8. Seconds Before (J. Toivanen)
9. Orion (J. Toivanen)
10. Trails (T. Toivanen)
11. Mt. Juliet (O. Louhivuori)

 収録リストを見ても、全11曲全て彼らのオリジナルに徹している。
 このアルバムもそうなのだが、北欧独特の叙情性を感じさせるプレイは、ピアノも打音が少なく、余韻を味わうべく透明感の高いどちらかというと「静」を描いている。このスタイルは、若さとは裏腹という感じで、つまるところ深遠なる世界を描くのである。
 又、時にピアノの弦も操作(ミュート)によってメロディーを流すことも有り、コンテンポラリーな世界も構築したりする。そんな中での北欧の都会とは離れた大自然の雰囲気すらも醸し出すところはお見事。ベースもアルコ奏法も交えて広がりと深みを構築する。更にドラマーのルーヒヴオリの曲M6."The Owl "にみるように、ドラムスによる描くところも如何にも北欧の自然を脳裏に浮かばせる一打一打の音に魂を込めているところは感動だ。とにかく曲作りの根本は、3者の演ずる音一つ一つをしっかりと聴かせる手法で構築する。聴く方もそんな流れに自然に集中してしまうのである。
 ところどころこのアルバムではミニマル奏法的なところが見受けられるが、曲の流れを次第に盛り上げていく手法としての一つだろうが、あまり拘るところがなく、アンビエントな世界に流して行くとこにおいては適量で納めている。このようなところも若さを感じさせないテクニシャンぶりには驚かされるのだ。

 こんな若き彼らの描く深遠なる世界で新年を迎えて心を新たにしているのである。

(視聴)  "Polaroid"

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2018年1月 1日 (月)

謹賀新年   波蘭ジャズ=ピアノ・コンビレーション・アルバム「POLISH PIANISM」

 明けましてお目出度う御座います
 今年もよろしくお願いします       2018年元旦


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                             (Mt. Asama)
                  *          *          *          *


波瀾ジャズ=更なる
発展期待のアルバムの登場だ!

<Jazz>
「POLISH PIANISM」
CORE PORT / RPOZ-10037 / Japan

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Mozdzer = Danielsson = Fresco,  Franciszek Raczkowski Trio,  Slawek Jaskulke Trio, Piotr Wylezol,  Hania Rani & Dobrawa Czocher,   Simple Acoustic Trio,   Sebastian Zawadzki Trio & Strings

  いずれそんな時が来るのでは・・・と、期待を込めながら待っていたアルバムの登場だ。ここれはポーランドのピアノを中心としたジャズ演奏陣のコンピレーションもの。
 このポーランドと言えば、2012年に旅行したことがあるのだが、とにかくクラシックは当然としてロック、ジャズをはじめ音楽というモノ全体を非常に愛して居る国民によって、重みのある長い歴史を乗り越えてきた新しい時代の国作りが行われいる国だ。
 又あのショパンの国だけあって、あらゆる音楽にその基礎には”音楽という学問”がきちんと備わっている印象を受けるのである。多分想像するに、国民の教育には音楽の価値感をしっかり幼少時からたたき込んでいるのではないかと思うのである。
 そんなところからも、ロックにおいてもプログレッシブ・タイプが好まれているし、ジャズにおいても美しいリリカルな旋律を聴かしながらも、新しいところにアプローチしていく姿が感じ取れる。しかも歴史的トラッド的ミュージックの尊重の姿もしっかり備わっているのだ。
 そんなところから、新年の第一号のアルバムとしては、これだと満を持して登場させる。

Papoland
                                         (Kraków(Poland)にて 2012年筆者撮影)

 このアルバムは、そんなところを背景にこのジャンルに於いて今や追従を許さないオラシオ氏が選曲して作り上げたものだ。その結果下に全てを記すが、今やポーランドに限らすユーロ圏そして世界に支持者のいるミュージシャンの集合となった。
 かってのポーランド・ジャズ界での功労者クリシュトフ・コメダを思い起こすわけだが、今日に於いては、その流れをしっかりと発展させているレシェク・モジジェル、マルチン・ヴァシレフスキなどが、ここにも登場して楽しませてくれる。

  さてオラシオ氏の選曲だが、このアルバム製作に於いて彼の意気込みはかなりのものであったかと理解は出来るが、ちょっとポーランドのミュージシャンの芸術性に少々懲りすぎた感はぬぐえない。まあそんなところで、少々力が入りすぎたか?、このアルバムは非常に奥深く聴き応えは十分ではあるが、ちょっとゆとりを持って、ポーランドの親近感を増す為にも、もうちょっとポピュラーなイジーリスニング的な面も盛り込んでは良かったのではと、ふと思う。例えばコメダものであれば、Simple Acoustic TrioかLeszek Możdżerの”Sleep Safe a Warm (ローズマリーの赤ちゃん)”とか。
 そうは言っても、私のように特にジャズにおいてはユーロ系のリリカルな世界を好む人間にとっては、ポーランドというのは当然その対象として重要で有り、こうしたアルバムが登場したことは、極めて歓喜に値すると評価してしまうのである。

(Tracklist)

Leszek_mozdzerw1 モジジェル=ダニエルソン=フレスコ/「サファーリング」
Możdżer - Danielsson – Fresco / 「Suffering」
(Lars Danielsson) from "THE TIME" album P C 2005 Leszek Możdżerc
# Leszek Możdżer (p), Lars Danielsson (b), Zohar Fresco (perc)

2 フランチシェク・ラチュコフスキ・トリオ/「5/8」
Franciszek Raczkowski Trio / 「 5/8」
(Franciszek Raczkowski) from "Apperentice" album PC2015 for tune
# Franciszek Raczkowski (p), Paweł Wszołek (b), Piotr Budniak (ds)


Slawekjaskulke2trw_23 スワヴェク・ヤスクウケ・トリオ/「メアリ」
Sławek Jaskułke Trio / 「Mary」
(Sławek Jaskułke) from "ON" album PC2015 Sławek Jaskułke
# Sławek Jaskułke (p), Max Mucha (b), Krzysztof Dziedzic (ds)

4 ピョトル・ヴィレジョウ/「ホワイト・ウォーター」
Piotr Wyleżoł / 「White Water」
(Piotr Wyleżoł) from "Improludes" album P C 2014 Hevhetia
# Piotr Wyleżoł (p)

5 ハニャ・ラニ&ドブラヴァ・チョヘル/「レプブリカ・マジェニ」
Hania Rani & Dobrawa Czocher / 「Republika Marzeń」
(Grzegorz Ciechowski, Zbigniew Krzywański) from "Biała Flaga" album P C 2015 MyMusic
# Hania Rani (p), Dobrawa Czocher (cello)


Marcinw6 シンプル・アコースティック・トリオ/「シンプル・ジャングル」
Simple Acoustic Trio / 「Simple Jungle」
(Marcin Wasilewski) from "Habanera" album PC 2000 Marcin Wasilewski
# Marcin Wasilewski (p), Sławomir Kurkiewicz (b), Michał Miśkiewicz (ds)

7 セバスティアン・ザヴァツキ・トリオ&ストリングズ/「ズヴウォカ」
Sebastian Zawadzki Trio & Strings / 「Zwłoka」
(Sebastian Zawadzki) from "Euphony" album PC2015 for tune
# Sebastian Zawadzki (p), Sofie Meyer (1st vln), Polyxeni Zavitsanou (1st vln), Kalina Wasilewska (2nd vln), Susan Bregston (viola), Valeriya Sholokova (cello), Johannes Vaht (b), Morten Lund (ds)

1tubisw8 トゥビス・トリオ/「シェデム・シェデム」
Tubis Trio / 「Siedem Siedem」
(Maciej Tubis) from "Live in Luxembourg" album PC2008 Maciej Tubis
# Maciej Tubis (p), Marcin Lamch (b), Przemek Pacan (ds)


9 レシェク・クワコフスキ/「プションシニチュカ」
Leszek Kułakowski / 「Prząśniczka」
(Stanisław Moniuszko) from "Katharsis" album PC1999 Leszek Kułakowski
# Leszek Kułakowski (p), Jacek Niedziela (b), Marcin Jahr (ds), Paweł Kukliński (1st vln), Jakub Rabizo (2nd vln), Błażej Maliszewski (viola), Tadeusz Samerek (cello)


Michaltoajw10 ミハウ・トカイ・トリオ/「ザ・サイン」
Michał Tokaj Trio / 「The Sign」
(Michał Tokaj) from "the sign" album P C 2014 Hevhetia
# Michał Tokaj (p), Michał Barański (b), Łukasz Żyta (ds)

11 スワヴェク・ヤスクウケwithハンセアティカ・チェンバー・オーケストラ/「バイ・ゾポト」
Sławek Jaskułke with Hanseatica Chamber Orchestra / 「By Zopt」
(Sławek Jaskułke) from "Fill the Harmony Philharmonics" album PC2005 Sławek Jaskułke
# Sławek Jaskułke (p), Sławomir Kurkiewicz(b), Krzysztof Dziedzic(ds), Hanseatica Chamber Orchestra


(視聴)

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2017年12月30日 (土)

2017年の別れに・・・・・ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft のピアノ・ソロ「Everybody Loves Angels」

2017年 さようなら・・・・・・・

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 (Togakushiyama, Takatumayama)

 今年もいろいろと有り難うございました。

               *          *          *          *


これはまさに『It’s Snowing On My Piano』の続編だ!

<Jazz>

Bugge Wesseltoft 「Everybody Loves Angels」

ACT / Germ / ACT 9847-2 / 2017

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Bugge Wesseltoft (piano solo)
Recorded at LofotKatedralen, Lofoten, Norway,Feb.24-26,2017

Buugepianow ブッゲ・ヴェッセルトフトのアルバム『It’s Snowing On My Piano』 (ACT 9260-2(→))から20年になるんですね。もっともあのピアノ・ソロ・アルバムを私が聴いたのは遅まきながら2年前なんですけど・・・・このアルバムはまさににその続編です。とにかくこれは誰が聴いても静謐にして美しくそして静かな世界に浸れます。安息の世界ですね。
 このアルバムの収録は、ノルウェイの北部、ロフォーテル諸島の教会で行われたとか(末尾の「視聴」参照)、そこはブッゲの祖父の生まれ育った土地で、厳寒の地であると同時に美しい自然の地であるようですね。

Wesseltoft3_byw(Tracklist)
1. Es sungen drei Engel (traditional & Bugge Wesseltoft)
2. Bridge Over Troubled Water (Paul Simon)
3. Koral (Johann Sebastian Bach & Bugge Wesseltoft)
4. Angel (Jimi Hendrix)
5. Reflecting (Bugge Wesseltoft)
6. Morning Has Broken (Cat Stevens)
7. Salme (Christoph Ernst Friedrich Weyse & Bugge Wesseltoft)
8. Blowing In The Wind (Bob Dylan)
9. Angie (Mick Jagger & Keith Richard)
10. Locked Out Of Heaven (Bruno Mars, Philip Lawrence & Ari Levine)
11. Let It Be (John Lennon & Paul McCartney)

 これは当にブッゲ・ヴェッセルトフトの究極のソロ・ピアノ・プロジェクトと言って良いです。何処かに書いてありましたが確かに「音楽の聖域」とも言って良いくらいの世界感に満ちていて虜になってしまう。

1935404_132685463353_4155409_n 取りあげた曲はトラディショナルもあるが、彼の経歴から見れば当然と言えるポール・サイモンの"明日に架ける橋"から始まって、ジョン・レノン&ポール・マッカートニーの"レット・イツ・ビー"、ボブ・ディランの"風に吹かれて"、キャット・スティーヴンス"雨にぬれた朝"、ジミ・ヘンドリックスの"エンジェル"、またブルーノ・マーズ"天国の外"といったロックやフォーク系のポピュラーな代表曲から、バッハの楽曲へと広く多彩な曲群を取りあげている。しかし不思議に彼のソロ・ピアノ・プレイのマジックによって、全く異なった深遠なる静謐にして美しくしかも何か人間的な暖かさを感ずる世界に導かれるのである。
  何時までもふと思い出して聴いてゆきたいアルバムだ。

          *          *          *          *

 さて、今年2017年も結局のところ、いろいろと騒がしい一年でした。何か「不安」が蓄積した一年とも言えると思います。
 特に気になることは、日本はじめ世界が過去の反省の歴史が薄らいで、何か又逆行が始まっているのではと心配するところです。来る年はそんな「不安」が一掃できる年であって欲しいと願っています。

 そんな事をふと頭をよぎらせつつ、昨年同様に、今年もユーロ・ジャズからこのアルバムで、心を落ち着かせ美しい静かな世界の中で来る新年を迎えたいと思います。
 このブログは、今年はこれで一つの締めにいたします。
 今年も、この拙いブログを見て頂き、そしていろいろな感想やご意見ご示唆を頂いた諸兄に改めてここに感謝いたします。来る新年もよろしくお願いします。それでは皆様良いお年をお迎えください。 (photofloyd(風呂井戸))

(視聴)

 

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2017年12月23日 (土)

ニコレッタ・セーケNikoletta Szőke のニュー・アルバム「MOONGLOW」

ジャズの楽しさを広く味わえる無難な大衆版

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<Jazz>
Nikoletta Szőke「MOONGLOW」
Nood Record / NR001 / 2017

Moonglow

Nikoletta Szőke (vocal)
Róbert Lakatos (piano)
József Horváth Barcza (double bass)
Gregory Hutchinson (drums)

guest artists:
Kornel Fekete-Kovacs (trumpet on 1,4,9) (brass arrangement on 1,9)
Attila Korb (trombone on 1,9)
Nico Gori (clarinet on 3)
Kristof Bacso (saxophone on 1,9)
Mathias Heise (harmonica on 7)
Istvan Gyarfas (electric guitar on 1,3,7,9,10)
Istvan Toth Jr. (acoustic guitar on 4,6)
Jonathan Zwartz (strings arrangement on 4,6,12)
Hungarian Studio Orchestra (on 4,6,12)

Recorded at Super Size Recording,Budapest in 2016 December

  ハンガリーの若き美人歌手ニコレッタ・セーケ(1983年生まれ)の、Roberto Lakatos Trio を中心に、上のような豪華ゲスト・ミュージシャンを配し、オーケストラやホーンアレンジまで配してのポピュラーなスタンダード曲を中心のセルフ・プロデュース作品の登場。
71lq10sg0olw ニコレッタに関しては、当初澤野工房からリリースされたアルバムからスタートしたのだが( 『Shape of My Heart』 (2011年)→)、なんとなくジャケに描かれる彼女の姿に魅了されて、それにつられて今日までこれで4枚目であろうか買ってしまうと言う私のだらしなさである(あどけない顔に反して体格は凄いですけど(笑))。
 それも実のところは、バックのロバート・ラカトシュのピアノにも釣られて・・・と言うところもあるのだが。

22424431w(Tracklist)
1. I Wish You Love
2. My Baby Just Cares For Me
3. Moonglow
4. Eu Sei Que Vou Te Amar
5. So Many Stars
6. What Are You Doing The Rest Of Your Life?
7. Smile
8. Someone To Watch Over Me
9. All The Good Life
10. Day In, Day Out
11. Teach Me Tonight
12. Let There Be Love

  ホーン・セッション入りの豪華なバックで”スウィングしてのジャズだ”と言ったパターンでスタートする。これは私の期待のユーロ系のしっとりとしたピアノ・トリオ・バック演奏とはちょっと違っている。まあオープニングだから派手にと言うところなのだろうが・・・。
 以前からちょっと気になったのだが、やっぱりニコレッタのヴォーカルは、これと言って特徴はないのだが、なんとなく音程が外れていそうな風に聴こえるところがあってと、これがハンガリー語社会の英語のためかとも思って聴いていたんですが、相変わらずこのアルバムでもそんなところがある。全体にユーロ系の暗さはなく、彼女のヴォーカルはむしろ快活・明瞭というところだ。

 M4. "Eu Sei Que Vou Te Amar "になって、スロー・バラードのムードある流れになる。ストリングス・オーケストラもバックに流れ、パーカッションも快いという曲だが、英語から離れたアントニオ・カルロス・ジョビンの曲だった。
 M5. "So Many Stars "でようやくラカトシュのピアノ・ムードも盛り上がる。これはなんとSergio Mendesの曲だ。
 M6. " What Are You Doing The Rest Of Your Life? "は、ムード派Mishel Legrandの曲で、バックのアコースティック・ギターとピアノで、しっとりと美しく歌いあげて私なりに納得。
  続いてなんとChaplinのM7. "Smile"も登場。これが実は私がこのアルバムの中でも結構興味を持ちました。それは実は今まで聴いたものより、編曲が洒落ているんですね。ちょっとイメージの変わった"Smile"なんですね。これがこのアルバムの価値を上げてます。
 M8. " Someone To Watch Over Me "は、私好みにピアノ・トリオらしいところを味わいながら聴ける曲。
 M9. "All The Good Life "  エレクトリック・ギターとピアノのバックがジャジィーで楽しい上に、それだけでも良かったのだが、その後ホーンも入ってきて、豪華ジャズ演奏。

  と、言った具合で、ハンガリーという特徴的印象でなくて、まあ難しい事無くジャズの豪華さと、ムーディーな世界の両方を楽しめる誰もが無難に聴けるアルバムである。

(視聴)

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2017年12月 5日 (火)

シーネ・エイSinne Eegのニュー・アルバム「DREAMS」

北欧美人がしっとりと描くジャズ世界

<Jazz>
Sinne Eeg 「DREAMS」
Victor Entertainment / JPN / VICJ-61764 / 2017

Dreams

Sinne Eeg シーネ・エイ(vocal)
Jacob Christoffersen ヤコブ・クリストファーセン(piano)
Larry Koones ラリー・クーンズ(guitar)
Scott Colley スコット・コリー(bass)
Joey Baron ジョーイ・バロン(drums)
Add.Vocals:Sinne Eeg,Warny Mandrup,Lasse Nlsson,Jenny Nilsson

  デンマークの人気美人歌手シーネ・エイのニュー・アルバムの登場だ。彼女は10年前に2007年の『Waiting For Dawn』と2010年の『Don't Be So Blue』でデニッシュ・ミュージック・アワード「最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム」を受賞して、自国のデンマークでは既に押しも押されぬ人気歌手。そして世界で注目されることとなるのだが、そして今やベテランの雰囲気すらある(体格もネ)。日本でも人気ジャズ歌手だ。
 私の印象では、意外に北欧にしては不思議にアメリカ風のジャズを展開する彼女だが、このアルバムも私にはそんな印象の部分が多く聴かれる。彼女を支える演奏人は、お決まりのピアニストはデンマークのヤコブ・クリストファーセンで、残るクインテットのメンバーは、ラリー・クーンズ(g)、スコット・コリー(b)、ジョーイ・バロン(ds)などアメリカのミュージシャンである。

Sinneeegw

 そして収録曲は、シーネ作詞作曲のオリジナルが6曲登場するというなかなかの才女ぶりを発揮している。その他はジャズ・スタンダード5曲が演じられる。

(Tracklist)
1 ビター・エンド *
2 ヘッド・オーヴァー・ハイ・ヒールズ*
3 ラヴ・ソング *
4 恋とは何でしょう
5 フォーリング・イン・ラヴ
6 ドリームス *
7  アレッポ *
8  タイム・トゥ・ゴー *
9 四月の思い出
10 エニシング・ゴーズ
11 オン・ア・クリア・デイ(日本盤ボーナス・トラック) 
           (*印:Sinne Eagのオリジナル曲)

Sinneeegprisw3 オープニングから米国ムードが漂うのだが、刺激的と言うよりは優しくじわっと感じさせるタイプは相変わらずだ。年齢も多分中年になっていてその声質も重みが増してきた。中盤のアルバム・タイトル曲のM6."Dreams"、そして続くM7."Aleppo"、M8"Time To Go"の一連の彼女のオリジナル曲を聴くと、そうはいってもやっぱり何となく物思いの世界に導く北欧ならではの雰囲気が溢れている。このあたりが彼女の一つの聴かせどころなんだろうか。
 とにかく全編を通して、しっとりとした女性独特の世界が感じられる。そんなアルバムであってやっぱり日本人にはこれからもかなり支持を得て行く事は間違いない。しかしファンには叱られそうだが、私には意外に迫るモノを感じないのですね。セクシーという面が弱いのかなぁ~~、しかし北欧美人であるし更にその辺りが相乗効果を発揮して今後も多分手堅くファンを獲得して行くだろう事は間違いないと思う。

(視聴)

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2017年11月16日 (木)

ソニア・スピネロSonia Spinello Quartet 「WONDERland」

(今年聴いて印象に残ったアルバムを-3)

やや陰影のある優しさのヴォーカルとロベルト・オルサー・トリオの美が聴きどころ

<Jazz>
Sonia Spinello Quartet「WONDERland」
ABEAT Records / ITA / AB JZ162 / 2016

Wonderland1
Wonderland2_4
Sonia Spinello(vo)
Roberto Olzer(p)
Yuri Goloubev(b)
Mauro Beggio(ds)
featuring
Bebo Ferra(g)
Fabio Buonarota(flh)

 なんといってもRoberto Olzer Trioをバックにしての女性ヴォーカル・アルバムと言うことで、取り敢えずは聴いたものだ。ヴォーカリストはソニア・スピネロSonia Spinelloで、「ジャズ批評」で2016年の「JAZZ AUDIO DISC AWARD 2016-VOCAL」の金賞を取っている。「ジャズ批評」もちょっと新しもの好きのような気もしましたけど。この女性は私はこのアルバムで初めて知ったもので、イタリアの歌手だがそんなに若くはなさそうだが詳しいことは解らない。彼女名義のアルバムはこれが最初ではないかと思われる。

Wonderlandlist

  これも何故だか解らないが、スティーヴィー・ワンダーの曲がずら~と並んでいる(何ででしょうね?)、10曲中5曲もだ。だからアルバム・タイトルは「WONDERland」となっているのかも知れない。あとは彼女自身の曲3曲とスティングとベーシストのゴロウベフY.Goloubevの曲1曲づつである。
 ヴォーカルの質はどちらかというと陰性、明るいというものでは無い。それはこのアルバムとしての表現なのか、もともと彼女の素質なのかこれも実は知らないのだ。又彼女の発声の高音部は私の好みとは少々異なっているが、中・低音に魅力を持っている。

13600294_1749377958676321_822137421  M1."Visions"の出来が良いですね。この仕上げはスピネロのヴォーカルとのマッチングも良く、オルサーのピアノ、ゴロウベフのベースが又退廃的なムードに抒情的な美しさを盛り上げますね。これはなかなかとスタートでこのアルバムではトップ・クラスの出来。
 M3."Fragile"はStingのポピュラーな曲。なかなか味なフィーリングで聴き応えがある。この曲は良く聴くのだが、彼女らしさというか、彼女の特徴をしっかり出して唄われている。これは寺島靖国の今年の『for Jazz Vocal Fans Only Vol.2 』(TYR1059)にも選ばれている。
 M4."Sorry"は、スピネロ自身のオリジナルの曲で、哀感があって良いです。このアルバムでの彼女の曲では出色。Flugelhornが生きています。
 M2.、M5.、M6.ではギターが入るが、どうもこのアルバムでは彼女とのマッチングに魅力が発揮出来ていない印象を受け、感動の仕上げは至っていなかった。
  M7."Too shy to say"は、ベース・ソロから始まって、彼女の優しさのヴォーカルが入り、するとピアノがそれを支えるという流れで、シンバル音とピアノの力まない繊細な流れは聴きどころ。

 こうした女性ヴォーカル・アルバムでのロベルト・オルサー・トリオの優しさの漲ったバック演奏の美しさは、聴きどころであったもの。

(視聴)

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2017年11月 5日 (日)

ルイージ・マルティナーレLUIGI MARTINALE TRIO「face the music」

音楽的センスが漂っている粋なトリオ

<Jazz>

LUIGI MARTINALE TRIO「face the music」
ABEAT Records / ITA / AB JZ 549 / 2015


61jpjmedv9lw

Luigi Martinale (p)
Reuben Rogers (b)
Paolo Franciscone (ds)
Recorded by Alberto Macerata at Play Studio, Bricherasio, (CN) Italy
on January 15th, 16th, 2014

 寺島靖国選曲シリーズ『for Jazz Audio Fans Only Vol.10』(TYR-1060)で知ったアルバムだ。実はこのルイージ・マルティナーレ・トリオLuigi Martinale Trioに関しては、私は白紙状態。このシリーズに選ばれた事から興味を持せていただいた。まだまだ私の守備範囲の狭さを実感させられた。

Rmtrio このアルバム、ここに選ばれたと言うだけあって録音も秀悦。リアルな音と曲としての配置と残響が見事にバランス良く再生される。なんと寺島靖国自身のアルバムは、ちょっとリアルなところを追求するが為に、曲としてのバランスをどうしても欠いてしまうのだが、そんな意味でもこれはさすがに音楽のイタリアというところである(昨年末リリースされて評判だった大橋祐子の『ワルツNo.4』(TYR-1054/1055)の”スタジオ盤”と比較してみると面白い)。
  ピアニストのルイージ・マルティナーレは1963年生まれと言うことだから今年で54歳、円熟期ですね。彼はトリノ音楽院でクラシック音楽を学んで、ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院ではエンリコ・ピエラヌンツィにジャズを学んでいる。
 このアルバムもベースにリューベン・ロジャースReuben Rogers を迎えての音楽的センスの満ちあふれたアルバムに作り上げている。

(Tracklist)

List

  収録曲は10曲中6曲はルイージ・マルティナーレ自身のオリジナル曲。スタートのThelonoous Monkの曲"Ask me now"を聴くと、三者のバランスも良くなかなか粋なトリオだと言うことが解る。
 M2."Caress" 、マルティナーレの曲が登場すると、成る程ユーロ・ジャズのメロディーの美しさが迫ってくる。明らかにこの曲を挟むM1.M3.のモンクの曲とは本質的に異なるところが見えてくる。それでかえって私の求める魅力度が高まってくる。
 M4.Coots/Lewisの"For all we Know"はしっとりと演奏され、ピアノが美しく流れちょっと想いに耽ることが出来る。後半にベース・ソロも気持ちを落ち着かせてくれる。
 M5からM9までマルティナーレの曲が続くが、寺島靖国にも選ばれたM7."Breath"が良いですね。ピアノが高音で流す部分のメロディーはエレガントで美しく魅力たっぷり。展開もふと題名のように"囁(ささ)き"が感じられる。
 M9."Indian Trick"のリズム展開は、異色的で面白い。

 このアルバムは好録音も後押ししていると思うが、なかなか達人のトリオ・ミュージックとして捉えることになったもの。彼の他のアルバムも聴いてみたいと思っているところだ。

(視聴)
(Solo)      Luigi Martinale

 
                             *            *

(Trio)     Luigi Martinale Trio

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