ノ-サウンドNosoundのニュー・アルバム「ALLOW YOURSELF」
ロック色が後退してのエレクトリックなサウンドは・・・?
<Alternative, Progressive Rock>
NOSOUND 「ALLOW YOURSELF」
Ksope / EU / KSCOPE 605 / 2018
NOSOUND : Giancarlo Erra (vocals, instruments, programming), Marco Berni ( keyboards), Alessandro Luci (bass), Paolo Vigliarolo (guitars) and Ciro Lavarone (drums).
イタリアはローマ出身のジャンカルロ・エラGiancarlo Erraをリーダーとしたロック・バンドNOSOUND。私の注目のバンドである。彼らのサウンドは、ポスト・ロック、ポスト・プログレッシブと言われるがとにかく多彩であり、アンビエントな色彩が印象深かったが、オルタナティブ・ロックでもあり、エレクトロニックとも言える面もあるバンドだ。
もともとこのバンドはあの英国Steven Wilsonのポーキュパイン・ツリーPorcupine Tree をおそらくイメージして作られたプログレッシブ・バンドであったと思うのだが、当初はエラのスタジオ・プロジェクトであった。そして2005年のデビュー・アルバム『Sol29』 (Kscopeから2010年再発)リリース。その後は、『Lightdark』(2008年)、『A Sense of Loss』(2009年)、『Afterthoughts』(2013年)、『Scintilla』 (2016年)と5枚のアルバムを5人バンドとしてリリースしていて(メンバーはドラムスが変わっている)、ここに6枚目のアルバムの登場である。
(Tracklist)
1.ego drip
2.shelter
3.don't you dare
4.my drug
5.miracle
6.this night
7.at peace
8.growing in me
9.saviour
10.weights
11.defy
さて、今回のアルバムは転換期を迎えての作品と言える。それは賛否両論あろうかと思うが、ロックとしての醍醐味は薄れ、エレクトロニックな方向へ変換したものと言ってよい。しかし曲自身は過去のアルバムと非常に共通性があるが、サウンドが変わっている。ドラムスの響き、泣きギターという面は完全に後退。
全編エラGiancarlo Erra自身のヴォーカルで埋められており、エレクトロニック・サウンドを主体に流れる。従って前作にみたロックのダイナミックさと多彩さは失われているが、相変わらず曲の流れはどこか退廃的美しさがある。又独特なアンビエントな面も失っていないが、それは前作と同様に癒やし系ではない。そしてM6."this night"のように、後半に盛り上がる曲仕上げは、やはり非凡なミュージック心を感ずるところだ。
描く世界はとどめなく深遠にして暗く、そこから訴える声には思わず息を止めて聴かざるを得ないところに追い込まれる。
暗い印象は世の終末をイメージすると言えばそんなところだが、私の印象としては、過去の純粋なる少年期の悲哀を今にして社会に訴えている孤独な悲壮感の如くの様が感じられる。しかし一方そこにはネガテイブだけでなく、何処か人間的美意識の持てる郷愁的な世界も感じられ魅力的だ。
とにかく、ロック界がこうしたバンドが存続して発展を遂げているというプログレッシブな流れはなんとも貴重である。
今回の転換がどう評価され受け止められるかはこれからの事であろうが、私自身の個人評価は、ロック・バンド色を充実させた前作『Scintilla』に軍配を挙げる。しかしこのアルバムも決して否定するのでなく、こうしてシンセサイザー、ストリング・マシーンを駆使してのエレクトロニックなサウンドを生かして、人間の退廃的暗さにも焦点を当て描く様は、ロックの芸術的発展的ミュージックとして大いに今後も注目したいのである。
(評価)
曲・演奏: ★★★★☆
録音 : ★★★★☆
(My Image Photo)
Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS, PL
(視聴)
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (1)
最近のコメント