ROCK

2017年9月 7日 (木)

ジェフ・ベックJeff Beck 2016年ライブ映像盤2題=その1「Baloise Session 2016」

BONES とJimmy Hallとの共演~良好映像Blu-ray盤

<Rock>
JEFF BECK 「Baloise session 2016」
VIDEOSMASH / VS-299BDR / 2017


Baloisesessionw

NTSC FULL HD 16:9  Linear PCM Stereo / Dolby 5.1 Surround time approx. 76min. / 1BDR
Live at Event Halle, Basel, Switzerland on 22nd October, 2016

Jeff Beck - Guitar 
Carmen Vandenberg - Guiter
Jonathan Joseph - Drums
Rhonda Smith - Bass
Tracks 1,4,10,11,16 -  Rosie Bones on Vocal
Tracks 6,7,13,14,15 - Jimmy Hall on Vocal


 2016年ジェフ・ベックの原点回帰・スタジオ・アルバム『LOUD HAILER』(ATOCO)リリース後、BONESを引き連れてのツアーを続けていたジェフ・ベックの、歴史あるスイスのバーゼルにおける”バロイーズ・セッション”でのライブの模様が、プロ・ショットのブルーレイ映像・5.1サラウンド・サウンドで登場した。

Hollywoodbowl2016w(参考までに)
 ここに来て忙しいのは、更にジェフ・ベックがデビュー50周年の節目に行った2016年8月10日のスペシャル・ライヴを収録した映像作品が、これ又ブルー・レイ映像版で登場する。それは『LIVE AT HOLLYWOOD BOWL』(→)で、こちらはスティーヴン・タイラー(エアロスミス)、かってコンビのキーボーディストのヤン・ハマー、更にいつものお付き合いの今やブルースの主といったバディ・ガイ、ZZトップのビリー・ギボンズや女性シンガー・べス・ハートをゲストに迎え、まさにスぺシャルそのものの記念ライブ。こんな堪らない映像版も登場する(これに関しては次回とする)。

 さて、本題に戻って、2016年10月22日スイス・バーセル・イベントホールで収録されたこの公演はハイヴィジョンTV放送されたもので、最高レベル・プロショット映像・サウンドで楽しめるので嬉しい限り。

Rosiejeffw(Tracklist)
1. The Revolution will be Will Be Televised
2. Lonnie on the Move
3. Live in the Dark
4. The Ballad of the Jersey Wives
5. You Know You Know
6. Morning Dew
7. A Change Is Gonna Come
8. Big Block
9. Cause We've Ended as Lovers
10. O.I.L. (Can't Get Enough of That Sticky)
11. Scared for the Children
12. Beck's Bolero
13. Shapes of Things
14. Rollin' and Tumblin'
15. Superstition
16. Right Now


Jeff1

 い~や、何時見てもジェフ・ベックはかっこいいですね。デビュー50周年とは信じられないところだ。この今回のツアー映像はいろいろとブートでも見ましたけど、このBlu-ray版は最高です。ギターを弾く指先の細かい動作までしっかり見れます。
 今回共演したRosie Bones も例のごとくステージ・アクトは歌以上に派手で・・・・尖っているムードはロックとして楽しめる。意外にCarmen Vandenberg のギターはおとなしいが、まあジェフとのツインですから遠慮しているんでしょうね。ほんとはもう少し暴れさせてやって欲しかった。しかし近年はジェフは若い女性軍をうまく使ってますね。
 アルバム『LOUD HAILER』からの曲を、主としてRosie Bonesにステージ華やかにさせ、そうはいっても ”Big Block”、” Cause We've Ended as Lovers”、 ”Rollin' and Tumblin'”などなど、過去の注目曲をしっかり盛り込んで楽しませる。更にハーモニカ奏者でヴォーカリストのJimmy Hall (もう昔だが、ジェフ・ベックの1985年のアルバム『フラッシュFlash』でヴォーカルを演じた)には又彼のブルース調なども聴かせて一段とライブを厚くしている。もう彼も70歳に近いはずだが歌は衰えていない。今でもジェフは彼との共演を楽しんでいる。
 私は結構Rhonda Smith のJazzyな Bassが好きなんですが、それも生かして楽しいステージにしていて先ずは結構なライブであった。

(参考視聴)
”Live in the Dark”

            *                       *

  Tokyo Internatinal Forrum 2017

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2017年8月30日 (水)

サンタナ&アイズレー・ブラザーズThe Isley Brothers ・ Santana 「Power of Peace」

世界の平和と愛を歌いあげる~期待を超えた注目盤

<Soul, Funk,  R&B, Rock>
The Isley Brothers ・ Santana  「Power of Peace」
Legacy Recordings / USA / 88985448512 / 2017

Pofpw

 Produced & Arranged by Carlos Santana
 
   ジャズ・ピアノ・トリオの抒情的プレイに浸ったり、時にプログレッシブなロックに入れ込んだり、はたまたクラシックのオーケストラ演奏に没頭したりと・・・音楽生活も多種多彩で異常ではないかと言われるのであるが、一向に疑問すら持たない私なのである。そんな流れの中で、ふとこんなソウル・ファンクといった世界にも魅力を感じてしまう。

 今回は、あのサンタナが導入源であった。そう、あっと驚きのサンタナ・バンドの大集合で、昔のラテン・ロックの華を思い起こしてくれた「サンタナⅣ」であったが、あれにゲスト参加したロナルド・アイズレーが今回の話題。どこでどう結びついたかは知らないが、40年、50年という歴史の中で、なんとサンタナ合流でのアイズレー・ブラザーズのアルバムがリリースされたのだ。
 まあ、そんな事になったので、なにはともあれ聴くと言うことになるのである。主力メンバーは下のようになる。

Ppmem1

  このメンバーを見ても、やっぱりアルバム・タイトルどおり「平和」がテーマなんだろうと思う。中身はなんだかんだと言ってもソウル、ファンク、ブルース、ジャズ、ポップスからの彼らが選んだ名曲群、今世界はつまらぬ抗争を繰り返している中に、もっと「平和と愛の心」に想いを馳せろと言わんばかしのアルバムなのである。トランプにも是非聴いて欲しいと言うところだ。
 アイズレー・ブラザース(ロナルド・アイズレー(Vo)、アーニー・アイズレー(G))にサンタナが合流と言うことは、当然女房のシンディ・ブラックマン・サンタナ(Dr)も参加している。そして更にベース、パーカッション、ヴォーカル等で10人以上のミュージシャンが、曲によって必要度で参加している豪華版。なにせロック界とR&B界双方で半世紀以上頑張ってきたこの連中のジョイント版は、やっぱりこの時代にこそ注目しておかねばならないし、どんな演奏や歌を聴かせるかは興味が湧くところである記念盤なのである。

     Absence of conflict is PEACE  --Carlos Santana !

Theisleybrothersandcarlossantana(Tracklist)
“Are You Ready”
“Total Destruction To Your Mind”
“Higher Ground”
“God Bless The Child”
“I Remember”
“Body Talk”
“Gypsy Woman”
“I Just Want To Make Love To You”
“Love, Peace, Happiness”
“What The World Needs Now is Love Sweet love”
“Mercy Mercy Me (The Ecology)”
“Let The Rain Fall On Me”
“Let There Be Peace On Earth”


 いっやーー、やっぱりツイン・ギターのハイパワー・バンドが聴かれる。サンタナ・バンドとは一味違ったところが聴きどころである。
 スタートはKarl Parazzoのパーカッションが鳴り響くところはサンタナ効果だねぇ~。そしてラテン・ロック調に染められたハイパワー曲がエネルギッシュなロナルド・アイズレーのヴォーカルで色づけられる。ギターもかなり騒ぎます。そしてベースにはやっぱりサンタナ・バンドからBenny Rietveldが加わっている。
 5曲目の“I Remember”が異色だ。これはシンディ・ブラックマン・サンタナの曲で、彼女のヴォーカルが聴かれる。いや~~知らなかったが、彼女のヴォーカルはなかなか魅力的。
 Billie Holidayの“God Bless The Child”、Curtis Mayfieldの“Gypsy Woman”の2曲では、情緒ゆたかな味わいあるロナルドのヴォーカル、そして美しいサンタナのギターと納得の曲。
 “Body Talk”のリズムは快調ですな。
 “Let The Rain Fall On Me”は、ピアノ・トリオ・ジャズそのもの。バラード調でそれに説得力十分のヴォーカル。これは期待しなかった意外性の良い曲仕上げ。
 最後の“Let There Be Peace On Earth”では、美しい女性合唱を聴かせ、平和を訴えるのだ。

 意外性のアルバムの出現に、ちょっとご機嫌な私なのであった。

(視聴)

”Gypsy Woman”

”I Remember”

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2017年8月26日 (土)

スティーヴン・ウィルソンSteven Wilson のニュー・アルバム 「to the bone」

なんと意外や、ポップ色が前面に・・・・

<Progressive Rock>
Steven Wilson  「to the bone」
Caroline / EU / CAROL016BR / 2017


Tothebone

Blu-ray版(収録内容)
〇アルバム・ハイレゾ・ステレオ・ミックス音源(24-bit/96k)
〇アルバム・ハイレゾ・5.1サラウンド・サウンド・ミックス音源(24-bit/96k)
〇「Pariah」ミュージック・ビデオ
〇「Song of I」 ミュージック・ビデオ
〇「Ask Me Nicely」アルバム・レコーディングのドキュメンタリー映像(約85分) 


 現代プログレッシヴ・ロックシーンのナンバー1=スティーヴン・ウィルソンSteven Wilson  (英国プログレ・バンドのポーキュパイン・ツリーのリーダー)が2年振りとなるソロ名義の5枚目(ソロは2008年に1st)のアルバム『トゥ・ザ・ボーンto the bone』をリリースした。2016年のアルバム『4 1/2』以来だ。

  なんと言っても彼は、あの大御所キング・クリムゾンからエマーソン・レイク・アンド・パーマー、イエス、ジェスロ・タル、XTC、ティアーズ・フォー・フィアーズ、 ロキシー・ミュージックなどのリイシューで最新ミックスを任されるエンジニアであって、それだけ自身の作品にもサウンドには拘っている。従って今回もそれを体感するために、ハイレゾ・サウンドそして5.1サラウンドにも拘ってのBlu-ray版を購入した。

Xyz

(Album"to the bone"Track list)
1. to the bone
2. nowhere now
3. pariah
4. the same asylum as before
5. refuge
6. permanating
7. blank tapes
8. people who eat darkness
9. song of i
10. detonation
11. song of unborn

Stevenwilson  オープニングM1.”to the bone”は意味深なサウンドだが、なかなか軽快にパーカッションがリード。しかもスティーヴンのヴォーカルも意外に軽い。しかし不思議に演奏の重厚感は伝わってくる。それでも今までのメタリックなサウンドは姿を消して、おやっと思うのだ。
 全く前知識なしで聴いたのだが、どうも今作はこんな風に紹介している事が解った。それは”スティーヴンが若い頃に好きだったピーター・ガブリエル『So』やトーク・トーク『Colour of Spring』、ティアーズ・フォー・フィアーズ『Seeds of Love』と言ったタイプのプログレッシブ・ポップ作品からインスピレーションを受けた作品”と言うことの様なのだ。

 M2.”nowhere now” を聴いても、プログレじゃなくポップそのものだ。

Ninet_tayeb_1w_2 しかし、そう思って聴いているとM3.” pariah” なんかは良い曲だ。イスラエルの女性シンガー、ニネット・テヤブNinet Tayeb(→)がボーカルとして参加していて、これがなかなかハスキー・ヴォイスでスティーヴンのどちらかというと美声に対比して面白く、なかなか味わい深い。後半バックの演奏も盛り上がりが壮大でこれは魅力曲。
 M4. ”the same asylum as before” では、ギター・ソロも、コーラス・ヴォーカルもと、とにかく聴く方はかしこまること無くイージーに聴ける。
 M5.”refuge”が彼らしい曲と言えそうな暗めで味わい深さがある。

 そしてそうこう聴いていると、今までのスティーヴン・ウィルソンのソロものとの比較では、圧倒的に異色で有り、う~~んどっかで聴いたムードだと思って見たら、そうです後半の数曲はなんとカナダのラッシュの何年も前の全盛期のタイプだなぁ~~。そう、そんなとところが今回のアルバム。今までの暗さもヘビーさもそれなりに見せるは見せるが、明らかにその世界でないのが今作だった。
 さ~~て、スティーヴン・ウィルソン・ファンはどう受け止めるのか・・・・??>肩すかし?そう言ったところでもない。曲の完成度の高さはやはり彼の成せる技。

(視聴)  ”pariah” SW with Ninet Tayeb

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2017年8月22日 (火)

ウォルター・ラング・トリオWalter Lang Trio 「FULL CIRCLE」

どこか定まらないムードに若干不満足だが・・・

<Jazz>
Walter Lang Trio 「FULL CIRCLE」
Atelier Sawano / JPN / AS-151 / 2016


Fullcircle_2

Walter Lang : piano
Thomas Markusson : bass
Sebastian Merk : drums


 ジャズ・ピアニスト=ウォルター・ラングWalter Lang は、1999年から既にピアノ・トリオとして10枚以上のアルバムをリリースしているが、日本では"Swing Journal"を代表に、かなりの高評価を勝ち取って来ている。彼のもう一つのトリオである今年紹介したTRIO ELFは別にすると、ウォルター・ラング・トリオによる近作は、ここでも取りあげてきたが、このアルバムと同メンバーによるStarlight Reflection』2013)そしてMoonlight Echoes』2015)であった。そしてこの2作はいずれも夜の世界を描いてきた。それがなかなか心にしみいる世界でお気に入りだったんだが、今作は少々異なっている。そんな訳でここでの私の感想を書くにもなんとなく少々後回しになって、今、遅くればせながらの登場である。

 登場する曲は、何故か日本の名曲2曲、それとパット・メセニーの曲を代表にその他というところだが、オリジナル曲が多くを占めている。そしてテーマは小島万奈によるライナー・ノーツにあるところの”今回は全編を通して世界の土地や音楽への心を綴った、回想と現実を漂うようなアルバムだ”と言うところなのかも知れない。

Walterlangtrio

(Tracklist)
1. Minuano
2. Bokka(牧歌:宮澤賢治)
3. Play that Fiddle
4. Mathias
5. Oborozukiyo(おぼろ月夜:岡本禎一)
6. Season of Lent
7. Full Blast
8. Old Folks
9. Bali
10. Full Circle
11. Gipsies in Byzantium
12. Taksim Meydani
13. Kansas Skies

M1. Minuano パット・メセニーの曲。この明るさ、どうも期待したムードでない。
M2. Bokka やはり日本の曲は良いですね。哀感があって思索的な世界に導いてくれて私好み。
M3. Play that Fiddle オリジナル曲だが、この曲に見るような明るいというか軽い旋律がどうもあまり納得しない。
M4. Mathias この曲もあまり意味を感じない曲
M5. Oborozukiyo なんと文部省唱歌ですね。ベースによる旋律が主役をなす曲作りであるが、後半にピアノによる主旋律が演じられる。このような日本の曲が良い仕上げだ。
M8. Old Folks 物思いにふけれる味のある曲。
M10. Full Circle オリジナルとしてはやはりアルバム・タイトルにもなっているこの曲が良い。手頃に美しい中に深遠さのある世界に没頭できる。
M11. Gipsies in Byzantium ドラムスから始まって、美しいピアノ、なかなか宇宙感覚のある聴き応えがあり、こうした世界が私はラングに求めたい。
M13. Kansas Skies これはなんと懐かしくなるフォーク・ロック調で、どこかで聴いたような安堵感のある”カンサスの空”であるが、これはオリジナル曲。

 どうも結論的には、それぞれ曲が独立して聴き所も勿論あるのだが、あまり全編通してどうも充実感ある意味が持てなかった。それは特にオリジナル曲の軽いタッチはあまり私の好むところで無かった為かも知れない(これは前作でも少し覗いて見られる疑問点でもあったのだが)。彼はTRIO ELFのような実験的トリオも試みているので、こちらのトリオではやっぱり抒情的な美しさ、そして思索的世界を深く推し進めて描いて欲しいと思うのだが、それは単なる私の期待なのかも知れない。

Walterl1wウォルター・ラングをちょっと回顧しておこう・・・・・
   
 1961年ドイツ生まれ ボストンのBerklee School of MusicそしてAmsterdam School of Artsを卒業している。1999年Walter Lang Trio結成。主なアルバム(↓)

初期トリオ
    "Walter Lang Trio plays Charles Chaplin" (1999)
    "Across The Universe" (2002)
    "Softly as in a morning Sunrise" (2005)
    "The Sound Of A Rainbow"(2005)

現トリオ Walter Lang (piano),  Thomas Markusson (bass),  Sebastian Merk (drums)
     "Starlight Reflection"  (2013)
     "Moonlight Echoes" (2015)
     "FULL CIRCLE" (2016)

TRIO ELF
     "Music Box Music" (2016)

(視聴)

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2017年8月18日 (金)

ジョナサン・ウィルソンJonathan Wilsonのアルバム 「Fanfare」

不思議な多要素満杯のロック・アルバム

< Rock,  Pop,  Folk,Wold,&Country, Psychedelic>
Jonathan Wilson 「Fanfare」

Down Town / USA / 70373 / 2013

Fanfare

Songwriter : Jonathan Wilson
Produced and Recorded by Jonathan Wilson at Fivestarstudios in Los Angeles

 シンガー・ソングライターでプロデューサーとして知る人ぞ知るジョナサン・ウィルソンJonathan Wilson(1974年、ノースカロライナ生まれ) のアルバム。実は私は詳しいことは全く知らなかったが、これは彼の2ndアルバムだ。
 しかし、こうした不思議な充実ロック・アルバムがあることを知っただけでも収穫だ。
 何故、このアメリカン・ロックの世界に首を突っ込んだかと言うと、そうです今北米ロツク・ツアーを行っているロジャー・ウォーターズの「US+THEM Tour」の10人のメンバーの一人で、重要なヴォーカルとギターを演じているのがジョナサン・ウィルソン。しかも彼はウォーターズのニュー・アルバム『is this the life we really want? 』でも重要な役をしている。

Mi0003732431(Tracklist)
1. Fanfare
2. Dear Friend

3. Her hair is growing long
4. Love to love
5. Future Vision
6. Moses pain
7. Cecil Taylor
8. Illumination
9. Desert Trip
10. Fazon
11. New Mexico
12. Lovestrong
13. All the way down

  しかし彼の多能力というか、多芸というか、そんなところが如実に出ているアルバムだ。近年のロイ・ハーパーやドーズなど多くのアーティストのプロデューサーとしての実績も大きいだけあって、このアルバムは、ロックの多様性を全て詰め込んだような感想を持つのだ。しかし、ヘビー・メタルとかゴシック・メタル調は全くない。
 どうもよく解らないのがアルバム見開きの写真(↓)、このアルバムに私の持つ印象とは違う。それでも、ここに描かれるところは人間模様として、作者にとっては重要なのかも知れない。

Fanfare1

 M1. ”Fanfare” 思いの外、壮大な曲である。日本語で言う”ファンファーレ”だが、その意味するところは?。そしてなんとプログレっぽいではないかと思わせるに十分の曲。ピアノ、ストリングスも加味され、かっての70年代イタリアン・プログレをふと思い出したが、ジョナサンのヴォーカルもソフトで聴き応えあるし、彼のメロディーの持つところも美しく実感する。驚きは彼のマルチ・プレイヤーぶりだ。ここでは9種の楽器とヴォーカル担当している。そしてロックの多要素をふんだんに盛り込んだような曲。
 M2.” Dear Friend” キダーとヴォーカルでなかなか味な曲。描くは、宇宙感覚で見た人間模様か?、これも私に言わせると歌ものイタリアン・プログレだ。中盤から後半にかけてのギター・ソロは聴かせます。
 M3. Her hair is growing long 彼の6種の楽器とヴォーカルでの曲。オープニングには子供の声のSEも入って、アコーステック・ギターでゆったりと聴かせる。この曲のムードは一種独特のジョナサン世界。
 ここまでに明らかなのは、彼はやっぱりギタリストなんだなぁ~というところだ。しかし私には、Psychedelicというイメージはどうも感じられない。
 M4. ”Love to love” これぞオールド・ロックで明解な歌。M5.. ”Future Vision”は軽快ロック。M6..” Moses pain” は、まさしくフォーク・ロック、多分これが得意のパターンだろう。8. Illumination はヘビー・ロック。M9.”Desert Trip”、M12.” Lovestrong”は、美しいスロー・ロック・バラード、エレキの泣きソロも聴かせる。
 ヴォーカルは、70年代のピンク・フロイド流にも通ずるところ。

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(US+THEM tour)
          *
          *
          *
          *
 グラハム・ナッシュ、デヴィッド・クロスビー、ジャクソン・ブラウン、パット・サンソンなどゲスト参加、又ロイ・ハーパーとの共作曲も。とにかくメタルの以外のロックの多要素を詰め込んでの芸達者ロック・アルバム。
 成る程、ロジャー・ウォーターズが彼のアルバムにギタリスト&ヴォーカルとして選ぶのも理解出来る。

 ついでに、このアルバムでジョナサン・ウィルソンの操る楽器群を紹介する(驚きのマルチ・プレイヤー)→Electric Guitar, Organ, Clavinet, Synthesizer, Drums, Bass, Piano, Fender Rhodes, Mellotron, Millennium bells, Hammond Organ, Vibes, Percussion, Acoustic 12 string Guitars, Piano

(視聴) ”Dear Friend” from 「Fanfare」

 

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2017年7月14日 (金)

アナセマAnathemaのニューアルバム「the optimist」

美しいモダン・プログレッシブ・ロックと評価されて・・・・・

Anathema1


<Progressive Rock>
Anathema 「the optimist」
Kscope / UK / Kscope356 / 2017

Theoptimist_2

Personnel:
Vincent Cavanagh (vocals, guitar, keyboards, programming);1990-
Lee Douglas (vocals);2000-
Daniel Cavanagh (guitor, Piano, Keybord, Vocals)1990-2002, 2003-
John Douglas (keyboards, drums, programming); 1990-1997, 1998-
Daniel Cardoso (drums). 2012-
Jamie Cavanafh (Bass); 1990-1991, 2001-

 こんなところで、ちょっとアナセマAnathemaも聴いておかねばと、ニューアルバムを手に入れた。なにせ美しいサウンドでモダン・プログレッシブ・ロックとも言われるようになってきたのだから。
810n2oxspilw 昔はゴシック・メタルってとこでしたかね。次第にプログレっぽくなって・・・・、実はそんな変化するこのバンドも2012年の『weather system』Kscope/UK/KSCOPE367/2012)(→)で取り敢えずは締めくくっておこうと思ったのですが・・・・・、あのアルバムはリーダーのヴォーカリスト=ヴィンセント・カヴァナー Vincent Cavanagh と女性ヴォーカリスト=リー・ダグラス Lee Douglas の心に響く歌声が素晴らしいと高評価。更にバンド演奏を支えたドラマチックに盛り上げたたデイヴ・スチュワートのオーケストラ・アレンジ、やっぱり英国としてのなんとなく哀愁を漂わせたところが聴く者の心を捉えたのであった。
 あれから五年経って、彼らの11枚目の作品が登場して、やっぱり何となく手に入れることになるのであった。

 アルバム・タイトルは「ジ・オプティミストThe Optimist=楽観主義者」と銘打って、どうも主たる作曲者のダニエル・カヴァナーDaniel Cavanagh  (ギター/ピアノ/ヴォーカル/ループ)が「半・自伝的」と説明する作品のようだ。

(Tracklist)
1. 32.63N 117.14W
2. Leaving it behind
3. Endless ways
4. The Optimist
5. San fransisco
6. Springfield
7. Ghosts
8. Can't let go
9. Close your eyes
10. Wildfires
11. Back to start

  •    Anathemavcwこのアルバム、冒頭からロジャー・ウォーターズ流のSEを多用している。やっぱりピンク・フロイドがお手本なんですね。
     そしてこのバンドの特徴のミニマル奏法がここでも取られている。特にM5. ”サンフランシスコ”ではその流れが顕著、メタリツクなヘビー・サウンドのミニマルの流れは良いのだが、この手のキーボードによるものはどうも私は苦手だ。
     このグループの曲は、かってそれぞれの曲において同じ手法をとる為か、過去のアルバムでは、どの曲も同じに聴こえてしまうという感想を持ったことがある。
     今回のアルバムは、その意味ではそれぞれの曲の個性も出ていてアルバムをトータルに観賞出来るところは更なる発展を遂げたと言っても良いかも知れない。
     相変わらずリー・ダグラス Lee Douglas の声は美しい。又M6. ”スプリングフィールド”にみるように、静かな流れから次第に盛り上げていく曲の展開はやはり上手い。
     タイトルにみる「楽観主義者」の生き行く道程の波乱に満ちた姿を描こうとしたのか、そんなコンセプト・アルバムとしても仕上げているところが興味ある。M9. ”クローズ・ユア・アイズ”などは、彼らとすれば精神的な世界を描いた感のある異色な曲であり、又M10.”ワイルドフィアーズ”なども高揚感は圧巻の仕上げで、じっくり聴いてみるとその価値が感じられる。(尚、隠しトラックもあって探して聴いてください)

     さてなんと言ってもこのところは、ロジャー・ウォーターズの近作アルバム『is this the life we really want?』に圧倒されているところであって、そこにこのアルバムを聴いたわけだが、どうもそのタイミングはあまり良くなかった。つまりロジャー・ウォーターズと比較と言うことになってしまって、このアルバムは、余りにもその社会感覚と深刻さ、そして曲のスケールと展開などが中途半端な印象なのである。まあ誰がみてもそれは当然比較する相手が悪かったということで致し方ないところであり・・・・もう少し間隔を開けてよく聴き直した方がよいと思っているところだ。
     しかし彼らの一歩又前進したプログレ・アルバムとして、その価値を感じさせる一聴に値するアルバムであることは間違いないところ。
  • (視聴)

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    2017年7月 2日 (日)

    アンナ・マリア・ヨペクとスティングの共演 STING with ANNA MARIA JOPEK 「SPECIAL IN TORUN 2016」

    あの"Fragile" をデュエットで・・・・・・

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                                                  ( Anna Maria Jopek )

    < Rock,  Jazz>
    STING with ANNA MARIA JOPEK 「SPECIAL IN TORUN 2016」
    MEGADISC / Poland / 2017

    Stingwithamy

    Sting : Guitar & Vocals
    Anna Maria Jopek : Vocals
    Live at Torun, Poland Dec.8, 2016

    Sting  ポーランドの憂愁の歌姫アンナ・マリア・ヨペックについては、先日6年ぶりの久々のニュー・アルバム『Minione』 をここで紹介したところだが、彼女をお気に入りとなると、いやはやその名の見えるアルバムはついつい手に入れたくなる。
     このアルバムはスティングStingが2016年12月8日にポーランドで、これも久々のなんと13年ぶりのポリスのDNAを繋ぎ込んだロック・アルバム『57TH&9TH』をリリースしてのプロモーション・テレビ・スペシャルに出演。放映は今年の2017年1月1日に行われたモノ。そこになんとアンナ・マリア・ヨペックが登場。その様子を納めたブート・アルバムである。

     中身は下の様な内容で、私から見ると叱られそうだが、どうしてもヨペックに注目がいってしまうのである。と言うところで、とにかくあの”Fragile”を、スティングとヨペックがデュエットで唄っているところがハイライトです。いやはやこれは考えもつかなかった共演であった。

    Stingwitamylist

     とにかくヨペックのインターナショナルな活動はお見事である。それもその彼女が興味を持った国のミュージックを吸収していくところ、しかもそれをポーランド流に解釈して仕上げてしまうのだ。今回のニューアルバム『Minione』においても、マイアミにてミュージックの宝庫キューバに焦点を絞って、名ピアニストのゴンザロ・ルバルカバとの共演により彼女なりの哀愁のアルバムとして作り上げてしまった。それも彼女流のポーランド・ミュージックを忘れていないところが凄い。

    Vldamj_sting

     このアルバムに納められているスティングに彼女が果敢に挑戦している姿は素晴らしい。是非ともファンは一度は聴いておきたいところです。
      登場する彼女の曲である”Szepły Lzy”や”Upojenie”の編曲による歌がこれ又新鮮ですね。

    (視聴) ”Fragile” by Sting  ft.Anna Maria Jopek

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    2017年6月28日 (水)

    トップ・モデル=カレン・エルソンKaren Elsonのヴォーカル・アルバム「DOUBLE ROSES」

    刺激の無いお行儀の良い(?)ポップ・アルバム

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    <Rock, Pop>
    KAREN ELSON 「DOUBLE ROSES」
    1965Records , Hostess / UK / HSEY4040 / 2017

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       Vocals & Composed by Karen Elson
       Produced by Jonathan Wilson


     これは完全に「美女狩りシリーズ」です。
     とにかく英国のトップ・モデルであるカレン・エルソンのヴォーカル・アルバム。彼女は1stアルバム『The Ghost Who Walks』をリリースしたのが2010年(これは私は申し訳ないが聴いてない)、従ってこのアルバムは7年ぶりの2ndアルバムとなる。そしてプロデューサーに今回のロジャー・ウォーターズの北米ライブでギターとヴォーカルを担当しているジョナサン・ウィルソン。

     まあこんなにお行儀が良くてよいのかと思わせる曲群である。カレン・エルソンのシンガー・ソングライターとしての作品。テンポも早くなくゆったりしたポップ曲。バックにはストリングスも入った刺激度は低いどちらかというと美しさの演奏(こうゆうのも”Rock”として受け止めているようだが、いやはや一口に”Rock”と言ってもその占める範囲はまさに広いですね)。
     そんな中でもM8.”A Million Stars #”は、珍しくエレクトリック・ギターをバックに聴かせます(このほうが私の趣味ですけどね)。そしてM9.”Wolf”はサックスがバックで歌いあげてくれて、一番盛り上がった曲ですかね。
     まあとにかくやさしく語り聴かせる如くタイトル・トラックのM2.”Double Roses”などを代表に美しく聴かせてくれます。
     いずれにしても彼女の歌声は高中低音至るところ美しいのです。モデルとしての美貌と難点のないプロプォーション。そしてこの美しい声と、天は幾つのモノを彼女に与えたのでしょうかね(”天は二物を与えず”というのは嘘ですね)。

    Karenelson1jpg(Tracklist)
    01.Wonder Blind
    02.Double Roses
    03.Call Your Name
    04.Come Hell And High Water
    05.The End
    06. Raven
    07. Why Am I Waiting
    08. A Million Stars #
    09. Wolf
    10. Distant Shore

     Karen Elson は、1979年生まれ、今年で38歳になる。2003年にロバート・プラントの「Last Time I Saw Her」にヴォーカルとして参加して以降、英国出身のこの美貌のシンガーは、ファッションの世界から更に多方面での活動を展開してきたのだという。
     どこかで見た彼女の紹介記事によると、彼女の音楽活動というのは、創設メンバーでもあるニューヨークのキャバレー・グループ「ザ・シチズン・バンド」というものなのだそうだ。ミュージシャン、パフォーマー、アーティスト、アクロバットなど、多種多様な才能が参加するパフォーマンス集団らしい。なかなか現代風の感覚での活動のようだ。このあたりは私の知らない世界であって、何かの機会に覗いてみようとも思っているところ。

     まあ、彼女のフォトと歌声をここで堪能してください。
      ( フレさん、この手は如何でしょうか^^) )

    Bodeniconscollectionfall


    (視聴) ”Call Your Name

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    2017年6月 8日 (木)

    ロジャー・ウォーターズRoger Waters”怒り”のニュー・アルバム「Is This The Life We Really Want?」

    『If I had been God 』 (もし私が神ならば) 
                から
    『Is This The Life We Really Want?』
    これが我々が本当に望んでいる人生なのか?への怒りの展開

      「不安」そして「訴え」「抵抗」の問題作

    <Progressive Rock,  Art Rock>
    Roger Waters 「Is This The Life We Really Want?」
    SONY MUSIC ENT. / JPN / SICP5425 / 2017

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     (Members)
    Roger Waters – vocals, acoustic guitar, bass guitar
    Nigel Godrich – keyboards, guitar, sound collages, arrangements
    Gus Seyffert – guitar, keyboards, bass guitar
    Jonathon Wilson – guitar, keyboards
    Roger Manning – keyboards
    Lee Padroni – keyboards
    Joey Waronker – drums

    Lucius (Jess Wolfe, Holly Laessig)–  vocals
    David Campbell – string arrangements

     ピンク・フロイドの“Creative Genius創造的鬼才”=ロジャー・ウォーターズの25年振り「怒り」のニュー・アルバムだ。そもそも宗教問題も含めて社会にアプローチした『If I had been God (もし私が神ならば)』のタイトルで作り上げてきたアルバムだが、ここに来ての世界では米国トランプ大統領誕生などを始めとしての如何にも理解とか納得の範疇から逸脱した政治情勢、増え続ける紛争、差別問題、環境問題への意識低下などと不安情勢によって、彼の元々のテーマであった「不安」がエスカレート、”訴え”と”抵抗”のスタートとして『Is This The Life We Really Want?(これが我々が本当に望んでいる人生なのか?)』と題してのアルバムと化して到着した。

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    Nigelgodrich011trw プロデュサーはナイジェル・ゴッドリッチNigel Godrich(英国, 1971-)だ(→)。彼は英国、米国系のポピュラー・ミュージック界では40歳代にして既にプロデュサーとして実績ある重鎮で、オルタナティブ・ロック系アーティストを多く担当してきている。サウンドはメタル・ロック系とは一線を画していて、どちらかというとクリアと言われる音が構成要素。又かってのピンク・フロイド風とはちょっと異なり、近年のロジャー・ウォーターズの趣かと思われるところ。あの2015年の『Roger Waters: The Wall』でもプロデュースを担当している。そしてこのアルバムの出来をみると、今作への気合いは相当であったと推察する。実際、演奏面でのKeyboads、Guitar での介入もしている。

     このアルバム、全編を通してアコースティック・ギター、ピアノ、ドラムスがクリアに重く響き、バックのKeyboad系や、String系の音場の広がりによる立体感も素晴らしく、それによる単なる乾いたサウンドでなくウォーターズ流の重厚なところで展開する。録音の出来も最高クラス。

    Jwilson2tr 近年のウォーターズ自身のサウンドの指向の色合いも変化しているが、今回そんな意味でも、バンド・メンバーを見ても、現在の彼の北米ツアー「The US+THEM Tour」に同行しているギターのJonathon Wilson (近作アルバム『Fanfare』(Downtown/USA/70373/2013) →)にも注目だ。彼はおそらくゴッドリッチとの関係で、今回のアルバムやツアーにウォーターズとの関係が出来たのでは?と思うところ。その他、Joey Waronker (drums)、Gus Seyffert (guitar,  bass )もツアー・メンバーとなっている。こんなところからも、今回のアルバムはサウンド的にもピンク・フロイド時代の流れからはかなり変化を示しており、ギルモア流のエレキによるギター・ソロ的因子は殆ど影を消していて、アコースティックでハードな因子が強い。そのあたりが、ウォーターズの意志の感ずるところで新鮮と言えば新鮮。

    (Tracklist)
    1. “When We Were Young” 1:38
    2. “Déjà Vu” 4:27
    3. “The Last Refugee” 4:12
    4. “Picture That” 6:47
    5. “Broken Bones” 4:57
    6. “Is This The Life We Really Want?” 5:55
    7. “Bird In A Gale” 5:31
    8. “The Most Beautiful Girl” 6:09
    9. “Smell The Roses” 5:15
    10. “Wait For Her” 4:56
    11. “Oceans Apart” 1:07
    12. “Part Of Me Died” 3:12

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    (Roger Waters, Gus Seyffert & Jonathon Wilson  )

     このアルバムは、もともとタイトルが『If I had been God 』であった様に、”もし私が神だったら、何が変わるだろうか、何が変わっていただろうか”と、宗教的因子のもたらす社会現象に警告を発しつつ、M2.“Déjà Vu”から問題提起が始まる(この曲は”Lay Dawn Jerusalem (If had Been God)”で 2014年発表)。この”デジャブ”というのはフランス語で、”既視感”と訳されるが、実際には一度も体感したことが無いのに、以前どこかで体感したことがあるように感ずることを言うらしい。そんなところからウォーターズの神だったらの仮定から発展して、かなり抽象的に社会異常を皮肉たっぷりに歌いあげている。M3.“The Last Refugee”では今に生きる難民に追いやられた子供の姿から悲観的側面を描き、そしてM4“Picture That”でこの異常社会の告発を爆発させる。

     そしてハイライトはM6.“Is This The Life We Really Want?” だ。静かに始まるこの曲で、社会に渦巻く不安感、絶望感、それを生み出す世界の紛争、危機、差別を訴え、その今の社会環境、政治などへの怒りがぶちまけられる。"若い娘が人生を無為に過ごす そのたびに 大馬鹿者が大統領に就任する そのたびに"などなど・・・延々とかず数え切れない異常事態を歌いあげる。そして、『これは我々が本当に望んだ人生なのか?』と問いかけるのだ。この曲の悲劇的暗さは凄い。続くM7.“Bird In A Gale”の悲劇的不安感へのやるせない訴えは、ウォーターズの心そのものだ。

     ネガティブ因子の強いメッセージが詰め込まれたこのアルバムではあるが、ウォーターズは過去のアルバムでは、何時もその最後の曲には、必ず少しの光明を覗かせてきた。しかしこのアルバムの最後の曲M12.“Part Of Me Died”に何かの光明は感じ取れるのだろうか、悲観的因子の中でも自分の救いの居場所を感じ取れたのであろうか?、今回は、私は悲劇にしか終わらない世界の疑問の中で終わってしまった。

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     さて、現在進行中のウォーターズの北米ツアーが、オーバー・ラップするのだが、彼はツアーとこの新作を通して、一つにはトランプと同類の勢力へのレジスタンスを起こしたいとも公に語っている。その布石がこの突如タイトルが変えられたこのアルバムであり、後はツアーを通して理解出来る仲間を通じて、力ある勢力となり得るかどうか、それが今彼の出来る運動でもある訳だ。「連中のようなナルシズム、欲望、悪意、そして他人の気持ちをなんとも思わない態度、ほかの誰とも共感しない態度」に対抗していきたいと言い、そして「ドナルド・トランプのような反社会的な社会病質者は共感の欠如が生み出したものなんだ」と説明している。もはやウォーターズが最も信じてきた「人類が第2次世界大戦の反省に立った新しい人間的世界への構築の約束」が破壊されていくことの落胆と怒りとが収まらない不満がこのアルバムに込められている。

     1960年代に産声を上げたロックの歴史は何らかの「抵抗」から始まったとも言って良い。それが多様な発展を遂げながら、社会構造に存在するエネルギーを何時も生み出してきたとも言える。しかし50年以上の歴史を経ての今日こうしたロックの力はどのように存在するのか?疑問の多い中で有りながら、何かこのウォーターズのニュー・アルバムに、一つのロックの究極の姿を見たよう気がするのは私だけであろうか?。

    <追記>
      BBC : UK Top 40 Rock Album (Friday 9th June  2017)
           1. Roger Waters / is this the life we really wants? *
           2. KISS / KISSWORLD *
           3. SikTh / The Future In Whose Eyes *   
                  ↓    
          
    5.Pink Floyd / The Dark Side of The Moon
         15.Pink Floyd / The WAll
         21.Pink Floyd / Wish You Where Here
         38.Pink Floyd / Animals

              *印: 新登場,   Top40に恐ろしいですね、Roger Waters と Pink Floyd で
               5アルバムがチャート・インしています。

    (視聴)

    1  “Picture That”

    2   “The Last Refugee”

    “Smell The Roses”

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    2017年5月30日 (火)

    ロジャー・ウォーターズRoger Waters 「the US + THEM Tour」 スタート

    相変わらずのバック映像が圧巻~ニュー・アルバムからも5曲

    Roger Watersの北米ツアー「The US + THEM Tour」

     ”Creative Genius of Pink Floyd(ピンク・フロイドの創造的鬼才)”と言われるロジャー・ウォータースのライブ・ツアー。今回は、昨年来のトランプ批判、そして彼のニュー・アルバムの社会問題意識をバックにした社会に訴える色彩が強い。
     この5月26日、Cansas Cityの Sprint Center からスタートした。これから延々と10月まで各地で演奏される。いやはや70歳を超えたウォーターズのエネルギッシュなステージには驚きだ。それには社会問題への彼の意志があるからこそ出来ることのようにも思う。

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     ツアー・メンバーは、「The Wall Tour」からのDave 'Killer' Kilminster (guitar)、Jon Carin ( keyboards & guitar)の二人と、昨年の「Desert Trip 2016」からはIan Ritchie (saxophone)と、 女性Vocals のLucius (Jess Wolfe & Holly Laessig)である。特にJon Carinのバックで果たす役割も大きいと思う。
     そしてそれに 新メンバーとしてアメリカン・ミュージシャンJonathan Wilson を代表に4人が加わっての10人バンド。この辺りが、新風を吹き込んでいる。今やウォーターズはアクターではあるが、ディレクターとしての才能をも大いに発揮している。下記のような構成で相変わらず豪勢そのもの。

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    Roger Waters - bass, Guitar and Vocals
    Joey Waronker - drums
    Jonathan Wilson - guitar and vocals
    Gus Seyffert - guitar and bass
    Dave 'Killer' Kilminster - guitar
    Drew Erickson - Hammond organ and piano
    Lucius (Jess Wolfe & Holly Laessig) - vocals
    Ian Ritchie - saxophone
    Jon Carin - keyboards & guitar

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     Setlistは、ピンク・フロイド・アルバム「狂気」「炎」「アニマルズ」「ザ・ウォール」が中心というところだが、ロジャー・ウォーターズの6月発売のニュー・アルバム『Is This The Life We Really Want?』から5曲登場。
     相変わらず、さすがアメリカというところで、スケールの大きいライブを展開。
     スタートは”Speak to Me”締めは”Brain Damage ,Eclipse ”。 アンコールは”Vera & Bring The Boys Back Home ”(この曲はJess Wolfe と Holly Laessigの二人の女性とウォーターズの三人でのアコースティック・バージョン)からお決まりの”Comfortably Numb ”という形で以下の通り。

      演奏では、相変わらずの Dave 'Killer' Kilminster のリード・ギターはピンク・フロイドを十分に演ずる。それとギターとヴォーカルで米国組Jonathan Wilsonが健闘、ウォーターズのニュー・アルバムの印象は、このアメリカ組の色彩が結構強く、ウォーターズの新境地も見え隠れする。

    18671007_14320909w<Setlist>
    Speak to Me (Pink Floyd song)
    Breathe (Pink Floyd song)
    One of These Days (Pink Floyd song)
    Time (Pink Floyd song)
    Breathe (Reprise) (Pink Floyd song)
    The Great Gig in the Sky (Pink Floyd song)
    Welcome to the Machine (Pink Floyd song)
    When We Were Young (New Album 「Is This The Life We Really Want?」)
    Déjà Vu (New Album 「Is This The Life We Really Want?」)
    The Last Refugee (New Album 「Is This The Life We Really Want?」)
    Picture That (New Album 「Is This The Life We Really Want?」)
    Wish You Were Here (Pink Floyd song)
    The Happiest Days of Our Lives (Pink Floyd song)
    Another Brick in the Wall Part 2 (Pink Floyd song)
    Another Brick in the Wall Part 3 (Pink Floyd song)
    Dogs (Pink Floyd song)
    Pigs (Three Different Ones) (Pink Floyd song)
    Money (Pink Floyd song)
    Us and Them (Pink Floyd song)
    Smell the Roses  (New Album 「Is This The Life We Really Want?」)
    Brain Damage (Pink Floyd song)
    Eclipse (Pink Floyd song)

    Vera & Bring The Boys Back Home (Pink Floyd song)
    Comfortably Numb (Pink Floyd song)

    (視聴)
    1  Tour Members紹介

    2  Picture That (from New Album)

    3 Dogs , Pigs

    4  Brain Damage,   Eclipse

    5  Comfortably Numb

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