ROCK

2019年8月14日 (水)

[名盤検証] ミーナ・クライアル MEENA CRYLE & THE CHRIS FILLMORE BAND 「in concert -Live on Tour 」

女性ギタリストのブルース・ヴォーカル・・哀愁と熱唱と

29184151764_b4ab2c3243_b

 

<Blues, Rock>

MEENA CRYLE & THE CHRIS FILLMORE BAND 「in concert -Live on Tour」
Continental Record / Holland / CBHCD2028 / 2017

Inconcert

Meena Cryle :Vocals,Rhysm Guitar
Chris Fillmore : Lead Guitar
Roland Guggenbichler : Organ
Carl Kaye : Pedal Steel Guitar
Jojo Lackner : Bass
frank Cortez : Drums

   なんとオーストリア出身の1977年生れの女性シンガー・ギタリストのミーナ・クライアルのブルース・ロック・アルバム。リード・ギタリストはクリス・フィルモアが共演しての充実演奏をバックに、ブルース、ソウル、ロックのヴォーカル・アルバムだ。
 なんとなく、時にブルースが無性に聴きたくなるのだが、元祖黒人のブルースは当然としても、白人系でもブルースをこよなく愛して演ずるミュージシャンも多い。あのエリック・クラプトンもそんな一人であり、又ここで取り上げたピーター・フランプトン、スノーウィ・ホワイト等の英国陣もなかなかそれなりのブルースを演じてくれる。

Meenabyjohanneswahlw  さてこのミーナ・クライアル(→)だが、注目は女性シンガー・ギタリストと言うところだ。ブルースの女性版はやはり注目したくなる。彼女は、アルバム・デビユーして既に20年近くになっている。最近と言っても彼女が40歳にならんとしていた2017年に、リリースされたのがこのアルバム。当初はミーナ独自の名義でのアルバムとして2001年に「twilight zone」がリリースされているが、やはりギタリストとしてクリス・フィルモアがサポートしている。そしてこのアルバムはライブ盤であるが、The Chris Fillmore Band と彼女と対等な名義でのアルバムとなっている。この形は前作「TELL ME」からで、こうしたブルースは如何にギターの味が重要かと言うことも示していることである。
  彼女はこのフィルモアとの共演で、ギター演奏はリズム・ギターに寄っているが、ここではヴォーカルに大きなウェイトをおいていて、独特のややハスキーなパンチのある熱唱の面と、時にブルース独特の哀愁のある訴えるところを巧みにこなすのである。

 

Songlist

1448998707_comp_20151128_w   ソング・リストは上のようだが、冒頭1曲目はロックで展開するが、M2."Since I Met You Baby"には堂々のブルースを展開して、彼女の歌と共に、やや後半にはフィルモアの泣きギターが訴えて、これぞブルースだと展開する。
 M3."Rather go blind"はこんどはしっとりとミーナが歌い上げ、後半は熱唱に。こうして聴いてくるとさすが暦年のブルース女子が円熟期を迎えて充実した歌唱力発揮である。
 M4.M6.はロックそのもの。
   M5."It makes Me Scream" なにせ人気曲。これは語り調の哀愁あるギター・プレイからスタートして、おもむろにミーナのブルース節が切々と迫ってくる。このアルバムでもトップ・クラスの出来。いやはやフィルモア(→)のギターに惚れ惚れしてしまう、約9分30秒の曲。
  M7."Load have Mercy"ここでもブルースを展開。
  M8."Tell Me"これが懐かしの演歌調スロー・バラード調ロック、ギターも歌い上げて久々に懐かしい気持ちになる。
 そしてM9.はロック、M10.は再びスロー・バラードととにかく変化を持たせて飽きさせない。彼女は歌が旨くて曲による歌い回しに情感が行き届いていて納得。多分これはこのステージのお別れの曲。そして以下のM11.M12はアンコールのようだ。

  いやはや久しぶりにブルース、ブルース・ロック、ロックン・ロール、泣きギター、そしてしっとりの哀愁のヴォーカル、さらにはジャニス・ジョプリンなみの熱唱と、諸々100%の満足感アルバムであった。
   
 ( Meena : Discopraphy )
2010: Try Me, Ruf Records
2012: Feel Me, Ruf Records
2013: Tell Me, Ruf Records (Meena Cryle & The Chris Fillmore Band)
2017: In Concert: Live On Tour, Continental Blue Heaven (Meena Cryle & The Chris Fillmore Band)

(評価)
□ 曲・歌・演奏 :  ★★★★★
□   録音     : ★★★★★☆

(試聴)     "It Makes Me Scream "

 

| | コメント (2)

2019年7月20日 (土)

スノウィー・ホワイトのニュー・アルバム Snowy White and The White Flames 「THE SITUATION」

枯れた味が魅力のロックとブルース

<Rock, Blues>

SNOWY WHITE AND THE WHITE FLAMES 「THE SITUATION」
Soulfood / IMPORT / SWWF2019  / 2019

71r3c8ygfdlw_20190718140001
 
SNOWY WHITE & THE WHITE FLAMES
Snowy White : Guitor & Vocals
Walter Latupeirissa : Bass & Vocals
Max Meddleton : Keyboards & Percussion
Juan Van Emmerioot : Drums & Percussion
Kuma Harada : Bass
etc.
  
 スノーウィー・ホワイトの"THE WHITE FLAMES"バンドのアルバムだ。このバンドの前作は久々に一昨年「Reunited...」(2017)がリリースされた。それはスタジオ・ニュー・アルバムとして2011年の「Realistics」以来で久しぶりであった。バンド名は彼の1983年の初のアルバム・デビューの「White Flames」の名前をつけている。そしてメンバーも変わらずに今回それに続いて順調にお目見えした訳である。
 実は私は、彼らの総集編のような映像とCDのライブを納めた「Live at Rockpalast」(2014年)がリリースされて、これでこのバンドは一応納めたのかと思ったのだが、こうして2017年再結成アルバム、続いてこの2019年のニュー・アルバムと順調にアルバムがお目見えすることは、何につけても結構なことだ。
 一方つい一昨年彼は個人名義でアルバム「RELEASED」(2017)をもリリースしていて、これは彼としては例外的多作である。それはロジャー・ウォーターズとの長い「世界THE WALLツアー」などを終えてからの、経済的余裕と時間の確保と両方が実ってのアルバム制作だったのだろう。

 先日ここで英国ロックからのブルース・ギタリストPeter Frampton を取り上げたとなると、私はこのスノーウィ・ホワイトがどうしても気になる。彼は、主としてこの"The White Flames"と"The Snowy White Blues Project"の2つのバンドで、ロックからブルースを展開していて、なにせ極めて紳士プレイヤーで派手な動きがない。しっかり注意していないとニュー・アルバムにも気がつかずにいることになってしまう。もう彼もいい歳になって枯れた味が滲んできた。実はそれを聴きたいのである。
 これは完全にアルバム制作のスタジオ録音盤。このバンドの11作目か。

Snowy_white1w (Tracklist)

1.The Situation
2.This Feeling
3.L.A. Skip
4.Can't Seem To Do Much About It
5.Crazy Situation Blues
6.Blues In My Reflection
7.Why Do I Still Have The Blues?
8.You Can't Take It With You
9.Migration
10.The Lying Game
11.Hard Blu
12.I Can't Imagine

  とにかく前編スノーウィ・ホワイトらしく優しいムードに包まれている。このバンドのメンバーも、もう結構いい歳になっいるので、荒々しさはない。日本人で英国で活躍してきたベーシストのKuma Haradaも名を連ねていて、これも私にとっては久しぶりだ。
 やはり主体はブルースだが、全体的にしっとりとしたムードだ。相変わらずのホワイトのはヴォーカルは、歌というよりは語っているといったニュアンスである。

White-f

(若き日のTHE WHITE FLAMES ↑)

 タイトル曲のM1."Situation"はパーカッションが響いて、珍しく軽快なラテン・ロック調。
   M2."This Feeling"は、今度はホワイトのシンセが、そしてギターが静かに神妙に流れるちょっと物思いに誘う曲。
 M5."Crazy Situation Blues" ここに来てブルースが全開。この曲は非常にゆったりとした静かなブルース。ホワイトの独特のヴォーカル、そしてギターも美しく流れる。
 M7."Why Do I Still Have The Blues" は、なんと8分以上の長曲仕上げ。静かな美しいゆったりしたギターでスタートして変調しての後半のロックとしての盛り上がりをみせるなど聴き応え十分。
   M9."Migration"は、珍しくキーボードも加わってヴォーカルなしのインスト曲。

 全体に聴きやすく、ホワイトの美しいギターが聴けるアルバム。このバンドとしては、やはり年齢的充実感といったところだろうか。前作に続いて初期のメンバーが再結集して人生を描いている風情を感じたところだ。

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★☆ 
□ 録音       : ★★★★☆

(試聴)  "Crazy Situation Blues"

 

 

| | コメント (2)

2019年7月 4日 (木)

ピーター・フランプトンのニュー・アルバム Peter Frampton Band 「All Blues」

ブルースで最後の花を・・・・

<Blues,  Rock>

Peter Frampton Band 「 All Blues」
Ume(USM) / IMP / 7764424 / 2019

Allbluesw

PETER FRAMPTON(El.Guitar, Voc)
ADAM LESTER (El.Guitar)
ROB ARTHUR(Key. Voc)
DAN WOJCIECHOWSKI(Drums) 

Mv5bmtywotm5  英国出身でロック全盛期にギタリストとして生きてきた男のブルース・ギターは、やっぱり40-50年の経過の中から築かれた世界であって、それなりに味わい深いのだ。ブルースはその起源からして英国の白人とは一線を画しているかの如くであるが、ギタリストからみるとロックとは離しても離されない流れにあって、ブルースを極めんとする心は自然と生まれたものでもあるといえる。

 このピーター・フランプトンPeter Framptonも1950年生れだから、70歳に近くになって、深刻な病に冒されていて今年ライブ活動の引退宣言ということになってしまった。しかしここにブルース曲のニュー・アルバムをリリースしたことは、ロッカーである彼のブルースに対する思い入れをみる思いである。

(Tracklist)

1.I Just Want To Make Love To You (with Kim Wilson)
2.She Caught The Katy
3.Georgia On My Mind
4.You Can't Judge A Book By The Cover
5.Me And My Guitar
6.All Blues (featuring Larry Carlton)
7. The Thrill Is Gone (with Sonny Landreth)
8. Going Down Slow (with Steve Morse)
9. I'm A King Bee
10.Same Old Blues

 6番目の曲のタイトルをアルバム・タイトルに持ってきて、全曲ブルースのオンパレード。
 60年代末のロック・グループ・ハンブル・パイHumble Pie結成からブルースをも演じてきた彼にとっては、やはりブルースなんでしょうね。
 このアルバム、勿論冒頭からブルース・ギターが全開して楽しめる。
   ボギー・カーマイケルのM3."我が心のジョージア"なんかが登場するが、ピアノから始まって彼のしっとりした泣きギターが歌い上げていいですね。
 M6."All Blues"はマイルス・ディビスの曲だがLarry Carltonのギターも呼び込んでの演奏だ。それが又美しい曲の仕上げに驚きますね。この曲もヴォーカルなしで、ピアノも生きていて共にメンバーどおし演奏を楽しんでいる雰囲気すらある。このあたりはロックというよりはジャズですね。
 M7."The Thrill Is Gone"は、 やや哀愁のあるブルースで、泣きのギター、ヴォーカルがしっとりと迫ってきて、これも私好みだ。
 M10."Same Old Blues"は、なんとなく昔懐かしい歌と演奏で始まり、最後は泣きのギターが登場して幕を閉じるところはちょっと感傷的になってしまう。

 とにかくこのアルバムはやはりフランプトンの記念碑的ニュアンスが濃い。メンバーも長年のツアー・メンバーと共にしていて、彼らと共にナシュビルにある彼のスタジオであるスタジオ・フェニックスに集結して録音されたものいう。そしてそこにラリー・カールトン、サニー・ランドレス、スティーヴ・モーズらがゲスト参加という豪華さである。

 かっての1976年の当時のLP二枚組というライブ・アルバム「Frampton Comes Alive」の世界的大ヒット以来「ライブの人」と言われ、ステージの演奏を数十年楽しませてくれた彼が、今年で病(封入体筋炎)でライブは終了宣言したわけであるが、この病気が本当であれば、これは難病で四肢の筋力低下、嚥下障害を起こす。特に上肢の手指、手首屈筋の筋力低下が進行するので、ギタリストとしては致命傷だ。

そんなことを考えながら聴くと、非常に心引かれるアルバムということになった。

(評価)
□ 選曲・演奏 :  ★★★★☆
□ 録音           :  ★★★★☆

(試聴)

 

| | コメント (2)

2019年6月30日 (日)

サンタナのニュー・アルバム SANTANA「AFRICA SPEAKS」

久しぶりの新作はアフリカン・ビート、そしてフュージョンの復活

<Latin Rock, Fusion>
SANTANA 「AFRICA SPEAKS」
ConcordRecords / IMPORT / 00888072100541 / 2019

Africaspeaks

Santana Bands
Buika (vocals)
Laura Mvula (vocals)

Conchabuika2a110116  サンタナの流れは我々にとっては人生の歴史の一幕であった為、なんといっても注目してしまう。そして原点回帰の「SANTANA Ⅳ」(2016)以来の3年ぶりのサンタナのニュー・アルバム。一時は「Super Natural」(1999)以来、多くのミュージシャンの共演をネタにしてのアルバム作りであったが、前作からサンタナCarlos Santana流を前面に出してきた。そしてそれからがバンド・サンタナが如何様に展開してゆくかは実は興味のあるところでもあった。そんな中で、ここに登場は、なんとアフリカン・ミュージックにインスパイアされたと思われるの作品の登場をみたのだ。
 そして共演リード・ヴォーカリストにスペイン・マヨルカ島出身の女性シンガーのブイカBuika(→)が選ばれた。彼女はアメリカ公共放送局NPR"The Voice of Freedom"(自由の声)と表され世界的にも認められる存在。
 とにかく全編サンタナの懐かしのギターが炸裂する。しかしそこには更なるサンタナの姿の再確認も出来ることとなった。

Main01trw

(Tracklist)
1. Africa Speaks
2. Batonga
3. Oye este Mi Canto
4. Yo Me Lo Merezco
5. Blue Skies
6. Paraisos Quemados
7. Breaking Down The Door
8. Los Invisibles
9. Luna Hechicera
10. Bembele
11. Candombe Cumbele

Cindybio   冒頭M1."Africa Speaks"は、ボンゴ、コンガの音から出発して、サンタナの語り、ギターの語りと泣き、ブイカの歌、そしてなるほど今回のアルバムはかっての「不死蝶」の頃のフュージョン・スタイルの復活を思わせる音が聴こえてくる。 これはある意味で私は歓迎なのだ。
  バンド構成は、ドラムスはサンタナの女房Cidy Brackman Santana(→)が務めていて、例の総勢8人のバンド。
 もともとサンタナは、ロック、ラテン、ジャズ・ブルースのミックス・ミュージックだ。中でも「キャラバンサライ」(1972), 「ウェルカム」(1973), 「不死蝶」(1974)の頃はフュージン・バンドとしての印象の強いときがあった。私は当時は一種のプログレッシブ・ロックでもあると言っていたものです。
 M5."Blue Skies" は、サンタナのギターから流れ、女性ヴォーカルにカリビアン・ルーツのLaura Mvulaも加わって、完全にサンタナ・フュージョン・ミュージックの復活。これはロックというよりはジャズの世界と言ってもいい。このアルバムでは最長の9分を超える曲で私は最もこのアルバムではお気に入り。後半に流れるサンタナの静かなギターも聴きところ。やっぱりカルロス・サンタナ自身には、あの45年前の頃の音楽世界がしっかり残っていることが確信できて、今回は嬉しさを隠せなかった。
 M6."Paraisos Quemados"もアフリカン・ミュージックというよりは、サンタナ・フュージョン世界。ここでもサンタナの泣きギターがいいですね。

Carlos_santanaw

 このアルバムは、勿論主題のアフリカン・ミュージックのリズムカルにしてパワーフルな曲による世界がしっかり描かれているのだが、私の好みのサンタナのフュージョン世界が見事に織り込まれていたことに大歓迎したアルバムだった。

(評価)
□ 曲、演奏 : ★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(視聴)

 

 

| | コメント (2)

2019年6月 3日 (月)

ロジャー・ウォーターズRoger Watersの「US+THEM」記録盤

「US+THEM TOUR」 の英国ハイド・パークの記録

<Progressive Rock> 

PINK FLOYD'S ROGER WATERS 「 US+THEM」
HYDE PARK LONDON  FRIDAY 6 JULY 2018
COLUMBIA/LEGACY / EU /4607147953443 37852 / 2019

2

 既に、ここで何回か取り上げたピンク・フロイドの頭脳ロジャー・ウォーターズの「US+THEM Tour」ライブの記録されたCD2枚組盤。これはキング・クリムゾンのロバート・フリップがよく行ってきたオフィシャル・ブートレグというタイプの代物である。(COLUMBIA/Legacy 、Roger Waters.com、SONY MUSIC の名がクレジットされている)
Roger1  従って、ロジャー・ウォーターズも当然関わっているものと思うが、なるほど期待以上の高音質録音盤である。とにかくこのツアーものは、数え切れないほどの映像版も含めて巷には溢れている中で、それならばと、取り敢えずオーディエンス録音には近いが、音質はライブものとしてはトップ・クラスに値するものを出してくれた訳です。今年中には映像版とともに正規版がリリースされるという話がある中での思わぬ出現に驚いたといったところ。

  2016年、トランプ批判を展開したアルバム「アニマルズ」の曲"Pigs(three different ones)"が圧倒的支持を得たことに端を発して、彼の久々のニュー・アルバム「is this the life we really want ?」も丁度リリースされた時でもあり、その紹介曲も含めての人気のアルバム「狂気」「炎」「アニマルズ」「ザ・ウォール」からの選曲で構成して、特にピンク・フロイドと言っても殆ど彼のワンマン・バンドと化したアルバム「アニマルズ」からの"Dogs","Pigs"には充実した演奏を展開した。特に"Pigs"は、"TRUMP IS PIG"と大々的に打ち上げ、そして人間の根源に迫る"Us and Them"を演奏して世界情勢の不安定を訴えた。

List1

 いずれにしても再び大規模な世界ツアーへと発展したこの「US+THEM Tour」。2017年北米・オセアニア・ツアーから2018年の欧州、南米のほゞまる2年間の世界規模ツアーと拡大して、その2018年7月6日のブリティッシュ・ハイド・パーク・フェスにてのパフォーマンスをここに収録されたものだ。残念ながら日本には上陸しなかったが、このツアーの大規模さは群を抜いている。そしてすでに私自身も多くの映像ブートレグでも見てきたものである。しかしこれはおそらく放送用音源として録音されたものではないかと推測される良質もの。とにかくSEはもちろん効果音もしっかりとクリアに記録されていて十二分に楽しめる。

List2_1

 メンバーは10名編成バンドで、重要なギターはお馴染みのデイブ・キルミンスターに加えて人気のジョナサン・ウィルソンのツイン構成。そしてジョン・カーリンがキー・ボードを中心にマルチなプレイヤーぶりを発揮。また、女性ヴォール陣はLUCIUSの二人、又サックスは長い付き合いになっているイアン・リッチー。2年間通して同じメンバーでやりきった団結力も見事であった。

Lastshow

 歴史的経過からは、ピンク・フロイドを離れたろロジャー・ウォーターズだがこうして聴いてみると、殆どがなんのことはない彼によって作られた曲群であって何の違和感もなく、むしろ彼によるピンク・フロイドの問題意識をここに再現していることに驚かされる。そしてニュー・アルバム「is this the life we really want? 」の世界情勢の不安定さに問題意識が、なんともう40年以上も前のアルバムがここに生きている彼のピンク・フロイド作品に驚くのである。このライブ演奏の締めくくりは相変わらず"Comfortably Numb"であったが、「狂気」の最後を飾る"Brain Damage", "Eclipse"が、ここまで生き生きとこの時代にマッチするのに驚きを隠しえなかった。

 おそらく、これ程大規模ツアーはウォーターズはもう考えていないだろうから、ロックの時代を作った彼の今となっての75歳の男の努力に敬意を表したい。

(参考視聴)

 

 

| | コメント (0)

2019年5月26日 (日)

ブルース・ロックのアリー・ヴェナブル・バンドAlly Venable Band「PUPPET SHOW」

若さの女性によるハード・ロッキン・ブルース

<Blues Rock>
Ally Venable Band「 PUPPET SHOW」
Connor Ray Music / USA / CRM-1701 / 2018

81dyxx3o1ow

Ally Venable : Guitar & Vocals
Elijah Owings : Drums
Bobby Wallace : Bass

 久々にブルースの世界だ。そしてここに取り上げるアルバムは、20歳の女の子というか(女性と言うべきなのか)、そんなアニー・ヴェナブルと言うギタリストにしてシンガーのバンドで、自己のオリジナル曲をパワフルに展開するもの。
 近年ブルースの世界は、やや旧態然としたロック系ミュージツクの趣となつている。もともとジャズとしても原点としてのミュージックでありながらロック界に依存してしまっている。そこにこのような若き女性ミュージシャンが繰り広げるブルース・ロックは貴重と言えば貴重。これはロック・ブロガーのフレさんからの情報で聴くことになったアルバムだ。

810ymj7fhjlw  彼女は1999年テキサス州出身の今年20歳。現在話題の天才的と評価のあるブルース・ギター・ウーマン。既に何枚かのアルバムはリリースされていて、今年にはこのアルバムの後に「TEXAS HONEY」(→)がお目見えしている。しかしこの昨年のアルバムから聴いてみようと思った次第。
 そして以前には、2016年の「No Glass Shoes」でデビューと言われているが、「Wise Man」、「Train Wreck Blues」というアルバムもあるようで、そのあたりはよくわからない。いずれにしても、もはやブルース界を暴れまくっているという感があるのだ。


(Tracklist)

List_6

Av2  収録曲全10曲、2曲にてはゲスト・ギタリストの参加はあるが、彼女ギター・ヴォーカルのバンドの演奏ものである。
 オープニングは、これを聴いてピンと来たのは、昔のジェフ・ベック・サウンドだ・・・・という事で、それなりに面白いし迫力もある。彼女の歌声は、そんなにボリュームがある訳でないが、若さがあってパワフルに訴えてくる。
 M4."Brackwater Blies"は、"なるほど"と、最もオーソドックスなロッキング・ブルースとして聴ける。
  私は、白人のブルースも、それなりに良いという人間で、スノーウィ・ホワイトなんかは好きなんですね。しかしこうした若さのハード・ロック味ブルースは、むしろ別の意味で頼もしいと感ずるようになった年寄り愛好家でもある。
 そんなところで、M7."Comport in my sorrows"が、ややスロー・バラード調で、彼女のギターもじっくり聴けて、味わいも深くて一番お気に入りになった。若きファンは多分この線だけでは納得しないだろうと思うところもあるが。

6a45381d2cw

 このアリー・ヴェナブルは、なんと幼いころからブルース・ギタリストにあこがれてギターを手にしていたという。そして12歳には地元のテキサスのステージに立ち、アニー・ヴェナブル・バンドとしてクラブに出演して天才ギタリストとして注目を浴びていたらしい。
 このアルバムは、昨年ビル・ボード・ブルース・チャートで7位に食い込んでいて、今や注目株というところだ。間違いなく、これからのブルース・ロック界をしょって立つ女性プレイヤーとして、取り敢えず取り上げたわけだ。

(視聴)  "Blackwater Blues"

 

| | コメント (2)

2019年2月18日 (月)

ポーランドのプログレ ANAMOR 「ZA WITRAŹEM」 

メランコリーな楽曲を展開するプログレ・バンド

<Neo Progressive Rock>

ANAMOR 「ZA WITRAŹEM」 
LYNX MUSIC / POL / LM143CD-DG / 2018

Xyz

Anhsueimsa1089 アナモーANAMORはこのブログに初登場のバンドだ。彼らはポーランドの1990年代中期に結成された6人編成のもうベテラン・バンドである。どのような経過かは不明だが、ちょっと遅れて1stアルバムは2003年の『IMAGINCJE』(→)であった。もちろん私は当時から知らなかったのだが、ここに来て15年ぶりにニュー・アルバム(2nd)が登場したのである。ロック・ブログを展開しているフレさんが見つけて私も知ることになった。

  まずこのジャケの眼光を見るとやっぱり手にしたくなるロック・アルバムである。とにかくこのアルバム・タイトルも何か解らない。解らないなりきに聴くのも良しとするのがロックであって、聴いてから何か感ずればそれはそれOKとするのである。

Members_2

  なにせポーランドという国は音楽の宝庫である。”ショパンの国”としての誇りをもって、音楽というモノを大切にしている国なのだ。おそらく子供の頃からの音楽教育も充実しているのではないかと推測する。クラシック、ジャズの分野でも優れている上に、ロックも盛ん、そして他の国より目立つのがプログレッシブ・ロツクの充実度である。

(Tracklist)

List_2

 とにかく、主たるはポーランド語とくるから曲名も解らないのがある。しかし、
 M1."W GÒRĘ"いっやーー、このオープニングが良いですね。重厚にしてシンフォニック、そしてギターが流れを作る。ベースがちょっと不安な展開をする。そして女性ヴォーカルが登場するが、それは美しいがやや暗めでそしてメランコリックいった感じの世界を構築する。後半のギター・ソロは説得力十分。
 M2."POD PRĄD"は、メロディの充実したヴォーカル曲。
 M4."STARS"唯一英語の歌詞の曲。意外に内向的。
 M6."PODRÓŹ DO WTEDY"やや暗めであるが、情景の美しい曲。
 M8."SZMARAGOWO"Marta嬢の歌う世界に誘い込まれるところは深遠。それに続くギターの歌いあげが聴き所。
  M9."ZA WITRAŹEM"はエンディングの曲にふさわしく、なかなか抒情的な世界で、さらに彼女のヴォーカルはしっとりと歌い、又歌いあげも哀愁感が漂っていて感動的、そして聴く者の心に迫ってくるのだ。

 もともとこのバンドはMarek Misiak(g)、Tomasz Rychlicki(g)、Roman Kusy(b)、Jerzy Misiak(dr)、Marcin Ozimek(key) と女性リード・ヴォーカルのMarta Głowackaという6人編成デスタート。当時の一つの流れであったツイン・ギター・バンドであった。しかしその後Tomasz Rychlicki(g)に替わりMaciej Karczewski(key)が加入して、ツインキーボード編成バンドに変化して今日まで来たようだ。

 したがってその特徴はシンフォニックな展開をするロック・バンドなのである。しかしギターは、かってのプログレ・バンドのように美しいソロやフィードバックによるロングトーンを取り入れ、泣きも聴かせて楽しいのだ。どちらかというとCamelのAndy Latimerが頭に浮かんだ。
 全体のサウンドの印象はRiversideにも通ずるモノを感ずる。
 ヴォーカルのMarta嬢は、もう既にそれなりの年齢にはなっているが、声の質は若い。ロック独特の叫びはみせずに、なかなか情感に満ちたメランコリックな味があって、このバンドの一つの特徴を作っている。かってのQUIDAMのEmila Derkowska嬢をちょっと感ずるところがある。

 私は強いて言えば、M1とM9がお気に入りだが、なかなか聴き所を心得たシンフォニックにして哀愁までも感じさせるメロディック・ロックだ。

(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★☆
□ 録音     : ★★★★☆

(視聴)

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2019年1月19日 (土)

ザーズZAZの4thアルバム「EFFET MIROIR~心、重ねて~」

ちょっと大人の味も出ての新境地のアルバム登場
*
  ストリート・ミュージシャンからのスーパー・スター”タッシュ・スルタナ”登場で刺激を受けると、そうそう忘れてはいけないフランスの”ZAZ(Isabelle Geffroyイザベル・ジュフロワ 1980-)”がいる。しかもなんと久々のニュー・アルバムが登場しているので、当然ここに取り上げるのだ。
Zaz02w
 
<Chanson, Jazz, Rock, Pop>

ZAZ 「EFFET MIROIR~心、重ねて~」
Waner Music France / JPN / WPCR-18126 / 2018
51nfl79d3ul
*
 前作「PARIS "~私のパリ~"」(2014)以来、4年ぶりの4作目となる本作。今回は”日仏同時発売”されたということで、日本での彼女の”人気の高さ”が裏付けられている。
  2010年のデビュー・アルバム「ZAZ~モンマルトルからのラブレター」 (RESPECT RECORD/RES180)がフランスでは大ヒットして、日本にも伝わってきたわけだ(2010年、フランス・アルバム・チャートにて8週連続1位を記録した)。ストリート・ミュージシャンとして鍛えられたところに魅力をはらんでいて、曲自身の魅力としては、シャンソンはもちろん、フォーク、ブルース、アヌーシュ(ジプシー)・スウィング、ロックなどが加味して、ジャズ的アプローチが結実しているところにある。 更にそれに加えて、特にヒット曲”私のほしいもの”でも感じられるように、若いなりきの生き様に一つの”確固たる信念”とも思えるものが見えているところも魅力の一つだったように思う。
 そして時は流れフランスの大シャンソン歌手エディット・ピアフの再来と言われるまでに成長して、彼女のややハスキーな魅力の歌声で、しっかりフランスはじめ世界各地で確固たる地位を築いてきた。そんな中で久々のニュー・アルバムの登場をみたわけだ。

(Tracklist)
1.Demain c'est toi 明日はあなたのもの
2.Que vendra 何が起きようが我が道をゆく
3.On s'en remet jamais もう一度あなたの声を
4.J'aime j'aime 好き好き
5.Mes souvenirs de toi あなたの思い出
6.Toute ma vie 私の一生
7.Je parle 私は話す
8.Resigne-moi 私にかまわないで
9.Ma valse ワルツ
10.Si c'etait a refaire またやり直せたら
11.Pourquoi tu joues faux どうして調子はずれなの
12.Plume 羽根のように
13.Nos vies 私たちの人生
14.Saint Valentin ヴァレインタインデー
15.Laponie ラップランド
*
  このアルバムには15曲登場するが、今作の特徴はかってのヒット曲のカヴァーでなく、全てオリジナルだ。彼女自身の曲の外、フランスの新進気鋭の一連のミュージシャンが提供した曲であることだ(彼女がそれに詩を担当したものもある)。
  曲のタイプは、シャンソンをベースに南米音楽、ポップ、サルサ、ロックなど様々なジャンルをクロス・オーヴァーしたものでジャジーな雰囲気もある。まさに「ザーズの世界」が堪能できる。これらはパリ、ブリュッセル、そしてモントリオールで制作されたものだという。

Zaz1


 M1."明日はあなたのもの"で、おやっと思うほどの彼女の成長が感じられる。未だ見ぬ我が子に想いを馳せて、しっとりと歌いあげる。いっや~大人のムードだ。
 
M2."Que vendra何が起きようが我が道をゆく"から続く曲は、いつものザーズの流れで、リズムを刻み意志の強さを歌う。
 
M3、"On s'en remet jamaisもう一度あなたの声を"、M4."J'aime j'aime好き好き"は、シャンソンと言うよりは”ロックのザーズ節”の展開だ。
 M5 ".Mes souvenirs de toiあなたの思い出"は、ちょっぴり淋しさのシャンソン曲。こうした曲は彼女はうまくなりましたね~~。
 M8. "Resigne-moi私にかまわないで" この曲はこのアルバムではかなり重要な位置にある訴えも重い。彼女のミュージシュンとしてここまで進歩・発展した充実の曲。このアルバムの一つの頂点。
 M9、M10 は再び自分を取り戻していくシャンソンとロックの2曲。
 このように、彼女のこの数年間を振り返り、そしてこれからの人生に向かってゆく決意のような曲展開になっている。
 M13."Nos vies私たちの人生" 重なり合う不思議な人生を歌いあげる。そこには展望が描かれている。
 M14 ."Saint Valentinヴァレインタインデー"は、ちょっと印象的な歌。”私はいつもここにいる”と存在感を訴えているのか、それとも開き直り?
Guillaumeponcelettrw_2 M15."ラップランド"この最後の曲は印象的。殆ど彼女の唄というよりは語りでしめられているが、その美しさは抜群で、かってなかった彼女の別の世界が見えてくる。これは彼女の詩に注目のフランス若手ピアニストのギヨーム・ポンスレGuillaume Poncelet(1978-)(→)(おそらく彼のアルバム「Quatre Vingt Huit(88)」からの曲"Morning Roots"だと思う)が曲を付けたもので、「極北の地」に対する”憧れ”なのか、未来に自己を求める姿が見えてくる。
 印象深いのは”過去の息を吐き出し、新たに息を吸い込む”のくだりであり、おそらく自分をもう一度見つめ直して歩む決意を歌っているのではと想像するのだが・・・それにつけても美しい曲、往年のフランス映画のシーンのようだ。
 なかなか全編トータルに彼女が自己を見つめてこれから新しい道を進もうとする意志のようにも感ずるアルバムで、彼女の歌声と言い、曲の変化といい、なかなかの上出来アルバムの登場だ。進歩を感じた。
(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★★☆
□ 録音      : ★★★★★☆
(視聴)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年1月15日 (火)

[久々の衝撃]一人バンドのタッシュ・スルタナTASH SULTANA 「FLOW STATE」

パーフェクトなシンガー&マルチ・インストゥルメンタリスト"一人バンド"の初のフル・アルバム

 今のようなネット社会になる前(1980-1990年代)のパソコンが普及してきた頃、もう30年以上前の話だが、「パソコン通信」という電話回線を使ってのパソコンとホスト局とのサーバとの間での通信手段があって、そこで全国の諸々の愛好者と仲間を作って参加者のみのクローズドな会話をしてきたものだ。その当時の「PC-VAN~ Rock」のロック仲間から新年早々、最近ジャズに現(うつつ)を抜かしている私に、年賀状での推薦があった。それがこの”衝撃のタッシュ・スルタナ”だ。

49319465_w

<Psychedelic Rock,  Altanative Rock>

TASH SULTANA 「FLOW STATE」

Lonely land Records / EU / 19075870562 / 2018

81ldkmuljblw

Tash Sultana : Guitar, vocals, bass, piano, keyboards, trumpet, drums, pan flute, mandolin, saxophone, percussion

Produser : Tash Sultana
Engineered by Nikita Miltiadou、Dann Hume
Mastered Andrei Eremin

 
Ts2 オーストラリア・メルボルン出身のシンガーソングライター、マルチ・インストゥルメンタリストの23歳の才女タッシュ・スルタナTash Sultanaの初のフル・アルバム。
 なにせ、ギター、トランペット、サックス、パン・フルート、グランド・ピアノ等15種以上の楽器を自ら演奏。3歳から始めたというギターはジミ・ヘンドリックスに喩えられる程の腕の持ち主で聴く者を唸らせる。彼女はメルボルンの繁華街スワンストンで長年ストリートミュージシャンとしての活動してきた。
 2008年から2012年までは”Mindpilot”というバンドのボーカリスト、メルボルンでいくつかの賞を受賞。その後ソロで活動を開始、2016年頃よりYoutubeにてパフォーマンス映像を公開し評判を呼びSNSで大きな注目を集めた。公開曲「Jungle」がオーストラリアチャート39位を記録し、現在までに5,000万回以上のストリーミングを記録する。2017年にはオーストラリアの権威ある賞、ARIAミュージック・アワードにて4部門にノミネート。現在はアメリカ、イギリスを中心にドイツ、フランス、ニュージーランド、イタリア、カナダなどワールドツアーを敢行中、ソールドアウトが続出とか。今年のコーチェラにも初出演するなど勢いが止まらない。

  これまでは、インストを含む2枚のEP『Instrumentals』、『Notion』を発表しており、今回この初のフル・アルバムにはシングル「Free Mind」、「Salvation」、「Harvest Love」など全13曲を収録。

 とにかくステージ上には一人だけ。足元や手元に多くのペダルやエフェクター、サンプラー、キーボード、ギター等を置き、全てを操って音を重ねていくパフォーマンスで圧巻。


Ts1_2(Tracklist)
1. Seed (Intro)
2. Big Smoke
3. Cigarettes
4. Murder to the Mind (Album Mix)
5. Seven
6. Salvation
7. Pink Moon
8. Mellow Marmalade
9. Harvest Love
10. Mystik (Album Mix)
11. Free Mind
12. Blackbird
13. Outro
(All songs written by Tash Sultana)

 収録13曲、全てが彼女のオリジナル、そしてオール楽器も全て彼女が演奏。
 ストリート・ミュージシャンと言うと、フランスのZAZを思い出しますが、総じて技量が高いのが特徴だ。このタッシュは例外で無いどころか、それ以上の楽器の演奏能力が高いのとヴォーカルが見事というところは、近年見たことのないハイレベルだ。それは当に衝撃!。

Gettyimagesw

 M1." Seed (Intro)"澄んだギター・サウンドからスタート。そして美し響くヴォーカルが次第にレゲェ調に・・・・冒頭から魅力的。
  続くM2. "Big Smoke"から前半だけ聴いても衝撃が走る。
 曲展開は当に「タッシュ・スルタン節」だ。サイケデリックな展開の中に、R&Bであったり、レゲェ、ヒップポップが絡んだり、ポップな要素がたっぷり盛り込まれている。
 そしてギターは、エレキを中心に全ての要素が絡む奇っ怪さ。美しさ、リズムカル、泣き、早弾きと、恐ろしくなるギター・プレイだ。キーボードも説得力有り。
 ヴォーカルは、ソウルフルであり、時にクールに、又展開によりパワフルに、情熱的に、と多彩。
 M7. "Pink Moon"こうしっとりと歌われると、これが又たまりませんね。情感が伝わってくる。声域の広さも感心します。
 M9. "Harvest Love" このようなスローな曲の情感も半端じゃない。
 M12. "Blackbird"ギタリストの本領発揮。フラメンコ調を臭わせたりギター・テクニックはお見事。そしてギター・サウンドはM13. "Outro"へ続き美しく終わる。このあたりもニクイところだ。

 いやはや恐ろしいミュージシャンが現れました。これぞ何年に一人の逸材だ。なんとなく低調なミュージック界を奮起すべく背負って立つプレイヤーが登場したと言って間違いない。私にとってはアデルの出現時より圧倒的に衝撃は大きい。

 (評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★★
□ 録音      : ★★★★★☆
     
 (視聴)

*

*

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月 5日 (月)

キング・クリムゾンKing Crimson Live in Mexico「MELTDOWN」

8人バンド「ダブルカルテット・フォーメーション」でのパワーは圧巻
   ~2018ジャパン・ツアー記念盤~

<Progressive Rock>

King Crimson Live in Mexico「MELTDOWN」
WHD Entertainment / JPN / IEZP-122 / 2018

Kcw

Robert Fripp – Guitar
Jakko Jakszyk - Guitar, Vocals
Mel Collins - Saxes, Flute
Tony Levin - Basses, Stick, Backing Vocals
Pat Mastelotto - Acoustic And Electronic Percussion
Gavin Harrison - Acoustic And Electronic Percussion
Jeremy Stacey - Acoustic And Electronic Percussion, Keyboards
Bill Rieflin - Mellotron, Keyboards, Fairy Dusting

Cwhbowcueaayusmw 何回と終止符を打ったキング・クリムゾン、いつもロバート・フリップに騙されてきた我々は、多分気分転換だろうと、過去の経過から今回も見ていたのだが、案の定2014年ライブ活動を再開。同年6月に発表されたメンバー構成は、リーダーのフリップに、メル・コリンズ、トニー・レヴィン、ジャッコ・ジャクスジク、そして3人のドラマー、パット・マステロット、ギャヴィン・ハリソン、ビル・リーフリンという「トリプルドラム」編成の7人構成キング・クリムゾンで圧倒的パワーを見せつけた。そして同年9月9日よりアメリカにて17回公演のツアーを開始した。
 
 ついに日本にも2015年に12年ぶりに上陸、その高松サンポート公演が、2016年リリースの映像とオーディオ版の「ラディカルアクション~ライブインジャパン+モア」 としてお目見えした。
 しかし、2016年ビル・リーフリンが休養、代わりにジェレミー・ステイシーが加わる。彼はドラムスとキーボードを熟している。
 その後、2017年ビル・リーフリンが復帰、ステイシーはそのままで、なんと8人クリムゾン「ダブルカルテット・フォーメーション」となった。

21230864w

News01 この8人編成の2017年7月のメキシコ・シティ5公演を収めた映像・オーディオのブルーレイ・ディスクとメキシコ・シティ5公演で演奏された楽曲をCD3枚に収めたライブ・アルバムが、なんと立派な重量級パッケージで登場したのである(オマケにキング・クリムゾン・オリジナル・チケット・ホルダーが付いてきた→)。

 そしてこの延長上に「2018ジャパン・ツアー」が行われるが、その来日記念盤というニュアンスもある。(内容は↓クリック拡大)

List

 Blu-rayは”映像版”では、熱狂的ファンに迎えられた2017年北米ツアーのハイライトとして、ただでも加熱ぎみのメキシコ・シティ公演の熱気をそのまま収録。”オーディオ版”とともにサラウンド・サウンドで聴ける。クリムゾンはやはりこれだと、8人バンドの迫力を実感できる。今回はこれを観ると、エンジニアとしてアルバムを仕上げているビル・リーフリンは、ドラムスをステイシーに渡し、キーボードに専念している。

 また、メキシコ・シティ5公演マスターから制作されるライヴCDはフリップの総指揮の下とは言え、CD収録には、オーディエンスの騒音を如何にカットするか苦労したようだ。しかし『ラディカル・アクション』の音像をクリエートし好評であったデヴィッド・シングルトン以下ファミリー・チームが再度挑戦して仕上げている。

 とにかく、リアル・プログレッシヴ・ロック・バンドと言われるキング・クリムゾンが史上4度目となる決定的ラインナップを完成させたわけで、『ラディカル・アクション』以上にファンを唸らせるのである。

Live1b

 とにかく、中身は濃い。ジャッコ・ジャクスジクも、声の質にはもう一歩と言われてはいたが、もうこれで良いだろうとクリムゾン・ファンにも容認されて熱唱する。
 1960年代からのクリムゾンの歴史を辿る演奏曲目も、このバンドとしてのアレンジも加わって、十分納得して聴けるのである。フリップの言う”過去とは一線を画した演奏”は、なかなか強者の集まりで、お見事である。"Larks' Tongues In Aspicでは、ジェイミー・ミューアのパーカッションとまではゆかなくても、それなりの納得演奏。"特に"21st Century Shizoid Man"は、確実に一歩前進、昔の暴れ者メル・コリンズも紳士になっての奮戦、ギャビン・ハリソンのドラムスも感動もので、会場と一体になった演奏は楽しめる。何回観て聴いても飽きないクリムゾンだ。しかしやっぱり映像ものは説得力がある。

 今回の来日ライブを逃すと、おそらく50周年記念でのこの全開パワーには多分再びお目にかかれることはないだろうと思う状況にある。このアルバムと共にクリムゾを手中にしよう。

(評価)
□演奏    : ★★★★★
□録画・録音 : ★★★★★☆

(参考視聴) 

① 2015年 高松版 

② メキシコ版

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

Audio CLASSIC Progressive ROCK アイオナ アガ・ザリヤン アデル アヤ アレクシス・コール アレッサンドロ・ガラティ アンジェイ・ワイダ アンナ・マリア・ヨペク アヴィシャイ・コーエン アーロン・パークス イエス イタリアン・プログレッシブ・ロック イメルダ・メイ イモージェン・ヒープ イリアーヌ・イリアス イーデン・アトウッド ウィズイン・テンプテーション ウォルター・ラング エスビョルン・スヴェンソン エスペン・バルグ エミリー・クレア・バーロウ エミール・ブランドックヴィスト エンリコ・ピエラヌンツィ エヴァ・キャシディ カレン・ソウサ ガブレリア・アンダース キャメル キャロル・ウェルスマン キング・クリムゾン キース・ジャレット クィダム クレア・マーティン ケイテイ・メルア ケイト・リード ケティル・ビヨルンスタ コニー・フランシス コリン・バロン ゴンザロ・ルバルカバ サスキア・ブルーイン サラ・ブライトマン サラ・マクラクラン サラ・マッケンジー サンタナ サン・ビービー・トリオ ザーズ シェリル・ベンティーン シゼル・ストーム シネイド・オコナー ショスタコーヴィチ シーネ・エイ ジェフ・ベック ジャック・ルーシェ ジョバンニ・グイディ ジョバンニ・ミラバッシ ジョルジュ・パッチンスキー スザンヌ・アビュール スティーヴン・ウィルソン スティーヴ・ドブロゴス ステイシー・ケント ステファン・オリヴァ スノーウィ・ホワイト スーザン・トボックマン セリア セルジオ・メンデス ターヤ・トゥルネン ダイアナ・クラール ダイアナ・パントン ダイアン・ハブカ チャーリー・ヘイデン ティエリー・ラング ティングヴァル・トリオ ディナ・ディローズ デニース・ドナテッリ デヴィット・ギルモア デヴィル・ドール トルド・グスタフセン ドリーム・シアター ナイトウィッシュ ニコレッタ・セーケ ニッキ・パロット ノーサウンド ハービー・ハンコック パスカル・ラボーレ パトリシア・バーバー ヒラリー・コール ビル・ギャロザース ピアノ・トリオ ピンク・フロイド フェイツ・ウォーニング フランチェスカ・タンドイ フレッド・ハーシュ ブッゲ・ヴェッセルトフト ブラッド・メルドー ヘイリー・ロレン ヘルゲ・リエン ペレス・プラード ホリー・コール ボボ・ステンソン ポーキュパイン・ツリー ポーランド・プログレッシブ・ロック ポール・コゾフ マティアス・アルゴットソン・トリオ マデリン・ペルー マリリオン マルチン・ボシレフスキ マーラー ミケーレ・ディ・トロ ミシェル・ビスチェリア メコン・デルタ メッテ・ジュール メラニー・デ・ビアシオ メロディ・ガルドー モニカ・ボーフォース ユーロピアン・ジャズ ヨアヒム・キューン ヨーナス・ハーヴィスト・トリオ ヨーナ・トイヴァネン ラドカ・トネフ ラーシュ・ダニエルソン ラーシュ・ヤンソン リサ・ヒルトン リッチー・バイラーク リリ・ヘイデン リン・エリエイル リン・スタンリー リヴァーサイド リーヴズ・アイズ ルーマー レシェック・モジュジェル ロジャー・ウォーターズ ロバート・ラカトシュ ロベルト・オルサー ローズマリー・クルーニー 中西 繁 写真・カメラ 北欧ジャズ 問題書 回顧シリーズ(音楽編) 女性ヴォーカル 女性ヴォーカル(Senior) 女性ヴォーカル(ジャズ2) 女性ヴォーカル(ジャズ3) 寺島靖国 戦争映画の裏側の世界 手塚治虫 文化・芸術 映画・テレビ 時事問題 時代劇映画 波蘭(ポーランド)ジャズ 相原求一朗 私の愛する画家 私の映画史 索引(女性ジャズヴォーカル) 絵画 趣味 雑談 音楽 JAZZ POPULAR ROCK SONYα7