ROCK

2020年6月 1日 (月)

ピンク・フロイド PINK FLOYD アルバム「ZABRISKIE POINT」の復活

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(今日の一枚) 我が家の庭から・・ヤマボウシの花
       Sony α7RⅣ,  FE4/24-105 G OSS , PL

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蘇る仮想「ZABRISKIE POINT」の全貌
美しいピアノの調べと、サイケデリックな浮遊感の世界

<Progressive Rock>

PINK FLOYD
VIRTUAL STUDIO ALBUM 「ZABRISKIE POINT」

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Recorded Nov./Dec. 1969 in Rome for the film "Zabriskie Point"

 今や、ブート界もあるべきであったアルバムの復活に力を注いでいる。すでに行き詰まっている現ギルモアとサムスンの主催するピンク・フロイドにおいては、当然復活は望めないため、かってのピンク・フロイドを愛し研究し資料を蓄積した輩の成果として、少しづつあるべき姿の再現が行われている。先日紹介したロジャー・ウォーターズの『PROJECT K.A.O.S.』もその一環である。

61mj6ozaryl_ac_  そしてこれは今年初めに手中にしたもので、1969年にご本家ピンク・フロイドの映画『Zabriskie Point』(→)に提供され、無残にも彼らの曲を理解できなかった監督アントニーニによって消え去られた曲群の集約によって蘇ったアルバム『ZABRISKIE POINT』なのである。実はこれは10年前にリリースされ、即完売。幻の名盤と化していたもので、ここに来て復刻されたものである。
 こうして今、当時のピンク・フロイドの世界を知ることができるのは幸せというものだと、この制作陣に感謝しつつ鑑賞できるのである。しかも音源はライブものでなく、スタジオ録音されたもの、映画からの抜粋など苦労のたまもので、音質も良好で嬉しい。
 当時、この映画に提供されたモノでのアルバム作りをしたらこうなるのではないかと、「仮想ZABRISKIE POINTアルバム」を76分40秒にて作り上げたものから、果たして我々は何を知りうるのか、それは恐らくピンク・フロイドを愛する輩には響いてくるはずである。

 

(Tracklist)

1. Love Scene
2. Intermezzo
3. The Violence Sequence
4. Crumbling Land Pt.1 *
5. Sleep
6. Oenone Pt.1
7. Fingal's Cave
8. Red Queen Prelude
9. Crumbling Land Pt.2 *
10. Rain In The Country
11. Blues
12. Red Queen Theme
13. Oenone Pt.2
14. The Embryo
15. Heart Beat Pig Meat *
16. Oenone(Reprise)
17. Come In Number 51 Your Time Is Up *

  *印 映画に採用された3曲(”Heart Beat, Pig Meat”(”若者の鼓動”),”Crumbling Land”(”崩れゆく大地”),”Come In Number 51, Your Time Is Up”(”51号の幻想”))
  又、採用されなかった曲の内 4曲:”Country ”Song",”Unknown Song",”Love Scene (Version 4)”,”Love Scene (Version 6)” は、後に 2枚組の 『 Zabriskie Point Original Motion Picture Soundtrack 』 に登場。
 更にその他の曲の一部が、2016年のボックスセット「THE EARLY YEARS 1965-1972」に収録された。

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M1-M3 美しいピアノのメロディーが流れる。M1はギターの別バージョンもある。M3.は"us and them"の原型が聴かれますね。
M5."Sleep" 静かな世界は出色。
このあたりまで、当時のライトのクラシック・ピアノを学んだキーボードの効果が甚大に出ている。
M6."Oenone" フロイド得意のサイケデリックな浮遊感たっぷり世界。後半には当時ウォータースがよく使ったドラムの響きと、ギルモアのギターによる音により盛り上がる。当時のフロイドの世界を十分に堪能出来る。これがM13,M16と登場する。
M7."Fingal's Cave"このサイケデリックにしてハード、そしてヘヴィ・メタルっぽい盛り上がりも凄い。
M8." Red Queen Prelude"アコギによるプレリュード
M9." Crumbling Land Pt.2"初期のフロイドの音と歌声と英国ロックを実感する。
M10."Rain In The Country "ギターの調べが優しい。後半は当時のウォータース得意のベースのリズムに、おそらくギルモアのギターの二重録音が聴かせる。
M11."Blues"ギルモアの原点であるブルース・ギターそのものの展開だ。
M12."Red Queen Theme " 珍しい歌モノ、ギルモアが歌う。
M13."Oenone Pt.2 " は懐かしいピンク・フロイドの音がたっぷりと再現されてますね。
M14."The Embryo" ここに挿入されているところが、一つの遊びでもあり、考えようによっては、どのアルバムにも寄りどころの無かった名曲"The Embryo"の住処を見つけたかの如く居座っているところがニンマリです。これがフロイド・マニアにとっては原点だという曲。
M15." Heart Beat Pig Meat " このリズム感が聴きどころ、映画のオープニングに流れる。これは映画サウンド・トラックでしょうね。
M17." Come In Number 51 Your Time Is Up" 当時のピンク・フロイドの代表曲ウォーターズの奇異感たっぷりの"Careful With That Axe, Eugene"の世界で幕を閉じる。映画の最後の爆発のシーンをも思い出すところだ。

 『ZABRISKIE POINT』の為に、1969年11月から12月にかけて、イタリアのローマにてピンク・フロイドは多くの楽曲をレコーディングしたのだが、それらを蘇らせてみると、ここにも、ウォーターズの発想である俗世間から異なる空間を描くというサイケデリック世界が盛り込まれていることが解る。彼らはこうして映画のサウンド・トラックにも、しっかりと自己の世界を築いていて、それが監督アントニーニには気に入らなかったのだろうか。

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  映画は  60年代後半、黒人差別撤廃、公民権運動、ベトナム反戦運動等の学園闘争の嵐が吹き荒れる南カリフォルニアの大学。60年代のアメリカの資本主義的大量消費、学生運動、銃社会、ヒッピー文化とフリーセックスなどが背景にある。
 社会に疑問を持ち、学生運動を展開する中で、現実逃避せざるを得なくなった男(学生)マークとその死、理想像とは全く別の資本主義的世界に疑問を持つ女性ダリアの葛藤を描いているのだが、そこに3曲のみの登場でしかなかったピンク・フロイドの曲、多くは残されたままになってしまった。最後のレストハウスの大爆破シーンは有名だが、アメリカの物質文明への批判であったのか、流れる曲Pink Floydの「51号の幻想」も印象的だった。

Zabriskiepoint

 そんな経過のなかでのこうして、架空の完全版を作成してゆく努力には、おそらくコンセプト主義のロジャー・ウォーターズにしてみれば、作品の完璧主義には異論があっても、歓迎の気持ちは内心あるのではないだろうか。おそらく彼はこれを聞かれると、"そんなことは関係ないことだ"と答えるに相違ない。そこがウォーターズの持ち味である。
 しかし、こうして改めてトータルに聴いてみると、次第に異空間に逃避した世界から現実の文明社会の不正に挑戦するに至るウォーターズの出発点をここに見る思いである。

Zabriskie_point_img_3887 (参考) 「Zabriskie Point」
  ザブリスキーポイント(→)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州 デスバレー国立公園のデスバレーの東に位置するアマゴサ山脈の一部で、 侵食された景観で有名です。 死の谷が誕生するずっと前に、500万年前に干上がったファーネスクリーク湖の堆積物で構成されている地。樹木の無い地の景観が異様で現在観光地となっている。

 

(評価)
□ 曲・演奏・貴重度  95/100
□ 音質        80/100

(視聴)

映画「ZABRISKIE POINT」のエンディングと"Come In Number 51, Your Time Is Up"

 

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2020年5月24日 (日)

ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes 「Another Time, Another Place」

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(今日の一枚)  我が家に咲くエゴノキの花
       Sony α74RⅣ, FE4/24-105 G OSS, PL

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ソフトにマイルドに優しくフォーク、カントリー調の世界
~~~18年ぶりのスタジオ・アルバム

 

<Folk, Country-and-Western>

Jennifer Warnes 「Another Time, Another Place」
IMPEX / US / IMP8317 / 2019

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Jennfer Warnes : Vocals

81gqtkgtpul850   とにかく18年ぶりのスタジオ・ニュー・アルバムですから、まあシェニファーが健在であったことをまず喜ぶべきでしょう。前作『The Well』(→)は傑作というよりは既に記念碑的取り扱いで、ここで取り上げてたのは2001年のこのアルバムの2009年リニューアル再発のGold Editionがリリースされた頃であった。あのアルバムはフォーク、カントリーをベースに、ブルース調の曲、更にトラディショナルに至るまでカヴァーして、彼女の総集編的なもので文句の付けようのないモノだった。
 ところが昨年驚きの70歳代の彼女が、ヴォーカルをこなしてのニュー・アルバムをリリースしたのである。そんなところから我が友人がそれは見落とせないと私に紹介したわけである。そうなれば、当然ここで考察しておこうというところとなった。

 そして注目しておきたいのは、ここに彼女の長年の友の一流ミュージシャンが参加している。彼女にぴったりついてのバックにギターの名手、ディーン・パークス、そしてベーシストのエイブ・ラボリエル、ペダル・スティールのグレッグ・ライズ、ドラマーのヴィニー・カリウタ、さらにパーカッショニストのレニー・カストロ、バック・コーラスにはブロンディ・チャップリン、そしてブルース・ギタリストのソニー・ランドレスなど、所謂ヴェテラン陣が協力・参加しての名を連ねての祝賀盤の気配だ。

Image_20200524193701   更に、彼女はレナード・コーエンとの関係も重要だが、かってのアルバム『Famous Blue Raincoat』(→)ではコーエンのトリビュート・アルバムでヒットしたのだったのだが、そのコーエンのバンドメンバーであった友人のロスコー・ベックが、共同プロデュースという形でに協力している。

(Tracklist)
01. Just Breathe
02. Tomorrow Night
03. Once I Was Loved
04. So Sad
05. I See Your Face Before Me
06. I Am The Big Easy
07. The Boys And Me
08. Back Where I Started
09. Freedom
10. Why Worry

  ゆったりとしたテンポのフォーク、カントリー調の曲が中心。アコースティックな演奏をバックに彼女は一曲一曲慈しむように丁寧に歌い上げている。しかし声では年齢は解らない、刺激のないソフトにして美声の癖のない歌声は健在。いやはや70歳を超えたお婆ちゃんとはとても思えない。古き良きアメリカ音楽の遺産とも言える曲を伝えてくれる心地よい作品。アルバムジャケットのイメージどおり、昼下がりのテラスに腰掛けて、カセットテープ・プレイヤーを横に置き、ゆったりとした世界が伝わってくる。

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 アルバムのレコーディングはテキサス州オースティンで行われ、幅広いジャンルから名曲をえりすぐってのカヴァーしたと言う。ロスコーとともに、30から50曲に亘る候補の中から選んだ結果らしい。
 オープニングのパール・ジャムの曲M1."Just Breathe"が良いですね、往年の彼女が思い出されます。
 そして最後はマーク・ノップラーのM11."Why Werry"で締めくくっているんですが、アコースティック・ギターの響きの中に、これぞ優しさと癒やしの究極の姿ですね。
7d4a5ff7ad6c56d13bebddec0f344aea  とにかく、古き良き仲間と再会しながら演奏し歌い上げた古き良き時代を想い起こすべく造られたアルバムであって、現代の再び歪み始めた時代に何か教訓らしい気持ちにもさせるところがニクイと言えるアルバムであった。
 歌うために戻ってきたと言う彼女のプロらしさに、なにはともあれ喝采したい。

(評価)

□ 選曲・演奏・歌  85/100
□ 録音       80/100

(試聴)

 

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2020年5月15日 (金)

キャメルのライブ映像盤 Camel 「ROYAL ALBERT HALL / LONDON」

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(今日の一枚) モッコウバラ(我が家の庭から)
       Sony α7RⅣ, FE4/24-105 G OSS, PL

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ラティマー復活のCamel」の一つの頂点

<Progressive Symphonic Rock>

Camel 「ROYAL ALBERT HALL / LONDON」
 MARQUEE / JAPAN / DVM106 / 2020

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  Andrew Latimer : Guitars, Flute, vocals
  Colin Bass : Bass, vocals
  Denis Clement : Drums, Percussion
  Pete Jones : Keyboads, vocals, Sax

 2018年5月に「Japan Live」を行ったキャメル、その 映像盤を2018年の7月にブートで出現しここで取り上げたのだが、その2ヶ月後の2018年9月のご本家英国ロンドン(ROYAL ALBERT HALL)でのライブ映像盤がオフィシャルにリリースされた。
 今回のライブは1976年の4thアルバム『MOONMADNESS 月夜のファンタジア』の全曲再現と過去のポピュラーな曲群という構成。ミュージシャンにとっては由緒あるロイヤル・アルバート・ホールでの価値あるライブで、それをプロショットで納めたオフィシャル盤であるだけに映像も安定しており、収録サウンドも良好で見応えがある。

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Gettyimagesw_20200515174301  キャメルと言えば、やはりアンディー・ラティマー(→)のギターだが、ラティマーがオリジナル・キャメル(1973年1stアルバム『Camel』)がメンバーの交代繰り返しほぼ解散状態から、1984年にアルバム『Stationary Traveller』で復活させた。それにより創始者といえるピーター・バーデンスも加わってのオリジナル・メンバー総結集でライブまで行うに至った。
 その後、ラティマーのバンドといってよい状態となりながらも、ベースのコリン・バスと共に『Dust and Dreams 怒りの葡萄』('92)、『Harbour of Tears』('96)などの名作も残してきた。ところがラティマーが不幸にも2007年に骨髄線維症という大病を患ってしまった。そして奇跡的にも回復して2010年より徐々に活動再開して、人気を不動にした3rdアルバム『Snow Goose』('75)の再演をしたり、この2018年には『MOONMADNESS』('76)の再演を中心にライブ活動を展開して日本にもお目見えしたわけだ。
  話題は、キーボードのピート・ジョーンズ、彼は盲目の天才プレイヤー。ヴォーカルもいいし、サックスも演ずる。このバンドで良い役割を果たしている。

(Tracklist)

<セット1:月夜の幻想曲(ファンタジア)>
1. アリスティラスへの誘い
2. 永遠のしらべ
3. 転移(コード・チェンジ)
4. 水の精
5. 月夜の幻想曲(ファンタジア)
6. Air Born ゆるやかな飛行
7. Lunar Sea 月の湖

<セット2>
1. Unevensong 心のさざ波
2. ヒム・トゥ・ハー
3. エンド・オヴ・ザ・ライン
4. Coming of Age 時代
5. ラージャーズ
6. アイス
7. マザー・ロード
8. Hopeless Anger 絶望の怒り
9. ロング・グッドバイ
10. レディー・ファンタジー

650pxcolin_bass  セット・リストを見て解るように、アルバム『MOONMADNESS』全曲披露のファースト・セットに続いて、セカンド・セットではかってのヒット曲を10曲を演じている。アンディ・ラティマーと盟友コリン・バス(→)をはじめとするキャメル復活メンバーは不変で、デニス・クレメント(drums)と盲目のプレイヤー・ピーター・ジョーンズ(keyboards, vocals)の 四人は今や完璧に一つのバンドと化していて気持ちが良い。

 この年の日本ライブと若干セットリストは異なっているが、アルバム『Dust and Dreams』からの曲"Rose of Sharon"でのラティマーのギター・ソロが無くなったのがちょっと寂しい。というのも実は、私はこの昔の『MOONMADNESS』よりは、このラティマー主導の後期Camelが好きと言うこともある。私の好きな曲"stationary Travellar"も期待していたんだが・・・それでも各アルバムから一曲づつサービス演奏しているので・・・良しとしておこう。
 かってのヒットの10曲披露サービスは、ラティマーの年齢と病後の体力を考えると、ほぼ完璧というところか。

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 もともとの幻想的な雰囲気や緊張感のある展開、さらには泣きのギターなどあってやはりキャメルは良いですね。このバンドの特徴はテンポの早い曲であっても刺激性が少なく、なんとなく優しくゆったりと心に響くところが魅力。そしてどこかで甘いメロディーが流れる。こんなところが聴く方は気持ちが良い。
 そして又一方、非常に哀しい世界の現実を描いて訴えるところも後期キャメルの特徴で、スタインベックの『怒りの葡萄』などをテーマにしたりと、そんな世界はラティマーの人生観に通じているのだろうと何時も思うのである。
 セット1では、"Lunar Sea"では、老雄ラティマーは十分テクニカルな部分をこなしているし、セット2では、やはり "Ice", "Mother Road ", "Hopeless Anger"は心打つ。そしておなじみの"Lady Fantasy "はアンコールで聴かせている。

 ある意味でのキャメルの総決算的なライブであり、貴重として記録しておく。

(評価)
□ 選曲・演奏  90/100
□ 画像・録音  85/100

(視聴)

 

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2020年4月19日 (日)

ナイトウィッシュNightwishのニューアルバム「HVMAN NATVRE」

"人類"と"自然"をテーマに、オーケストラをフィーチャーしての壮大なドラマ

<Symphonic Metal Rock>

Nightwish「HVMAN NATVRE」(Human Nature)
WardRecords / JPN / GQCS90881-2 / 2020

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Floor Jansen – vocals
Tuomas Holopainen – keyboards
Marco Hietala – bass & vocals
Emppu Vuorinen – guitars
Kai Hahto – drums
Troy Donockley – Pipes, flutes & whistles

 フインランドのシンフォニック・メタル・バンドのナイトウィッシュの5年ぶりのスタジオ・ニューアルバムの登場だ。既に世界的バンドに成長した彼らが6作連続でナショナル・チャート1位という金字塔を建てたところで、ここに9thアルバムは“ヒューマン=人類”と“ネイチャー=自然”を2大テーマにした壮大なCD2枚組アルバムだ。メンバーは変化なしの歌姫は前作以来のオランダのフロール・ヤンセンが相変わらず務めている。又ドラムスはカイ・ハートがこのところのメンバーとして落ち着いての初アルバムとなる。
 2枚目CDは、そのすべてを使ったインストゥルメンタル組曲「All The Works Of Nature Which Adorn The World」は、フル・オーケストラをバックにシンフォニックな演奏の世界を披露する。

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CD1
01. Music
02. Noise
03. Shoemaker
04. Harvest
05. Pan
06. How’s The Heart?
07. Procession
08. Tribal
09. Endlessness

CD2
01. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Vista
02. All The Works Of Nature Which Adorn The World – The Blue
03. All The Works Of Nature Which Adorn The World – The Green
04. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Moors
05. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Aurorae
06. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Quiet As The Snow
07. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Anthropocene (incl. “Hurrian Hymn To Nikkal”)
08. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Ad Astra

 

 昨年リリースされた最新ライヴ・アルバム/映像作品『DECADES:ライヴ・イン・ブエノスアイレス』もチャート1位に輝いたし、フロール・ヤンセン(ヴォーカル)が初のソロ・ツアー。マルコ・ヒエタラ (ベース、ヴォーカル)もソロ・アルバムとライヴを行うなど、昨年はそれぞれのメンバーの活動も盛んであった為、ナイトウィッシュはどんな状態かと、若干いろいろな噂も多かったが、遂に5年の間をおいての待望のニュー・アルバムが我々の前に出現した。

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 メインはCD1で、スタートM1."Music"はメタル・バンドとは思えない静かな深遠なスタートである。大地の鼓動を感じさせる。そして美しいコーラス、次第に盛り上がる中にヤンセンの高音の優しいヴォーカル、ドラマの開幕にふさわしい。そしてギターが響き、成る程、テーマ"自然"にふさわしい世界が出現する。これは完全にコンセプト・アルバムとして受け入れられるが、バンドのリーダーであり全曲作曲しているツォーマス・ホロパイネン (キーボード)は、本作のコンセプトは当初から考えたので無く、曲を作っていく中での“偶発的コンセプト・アルバム”と言っている。
 M2."Noise"冒頭から軽快なリズム、そして中盤からはメタリック・サウンドに。人類の、自然界の不安な部分を歌い上げる。
 M3."Shoemaker" なんといっても美しい曲だ。未知の世界へ夢を。
 M5."Pan"、M6."How's the Heart"は、 人間を取り巻く世界の夢と現実の現象をドラマチックに歌い上げる。
 M7."Procession" ヤンセンの美しく優しいヴォーカルでスタート、地球の生命の誕生そして人類賛歌に流れてゆく。
 M8."Trival" ここに来て神と宗教に、メタリック・サウンドで対峙。最後は深遠なる世界に。
 M9."Endlessness" 大地、宇宙、人間の物語を壮大に演奏し、ヒエタラのヴォーカルが締めくくる。

Tuomash  深遠さとドラマチックと疾走感と神秘のシンフォニック・サウンド、そして優しさと美しさと・・・更にドノックレイのパイプによるトラッドぽい匂いも加味して見事に色彩豊かな世界を織り交ぜての一大ドラマの展開である。ここに来てヤンセンの世界も完全にナイトウイッシュの世界と同化し、曲展開も緩・速、強・弱、美しいメロディー、ドラマティックな重厚感と壮大な展開などメリハリが効いているために飽きさせない。そしてトータルの流れは、なんと芸術的匂いすら感じられる。お見事。

 CD2は、ツォーマス・ホロパイネン(→)がおそらくやりたかったシンフォニック・オーケストラとの共演によるインストメンタル交響詩だ。なんとクラシック音楽を聴く感覚で"地球と自然"に想いを馳せて、一時を納得してに聴き込める。

 とにかくゴシック・メタル、シンフォニック・メタルで世界を制覇したナイトウィッシュの壮大な絵巻のアルバムの登場である。

(評価)
□ 曲・演奏 :   ★★★★★☆   95/100
□ 録音   : ★★★★☆   80/100

(視聴)
   "Music"

 

 "Noise"

 

 

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2020年3月27日 (金)

ドイツのメランコリック・ゴシックロック=モノ・インク MONO INC.「THE BOOK OF FIRE」

メロディーに美しさのあるポシティブパンクのゴシックロックを展開

<Gothic Rock>
MONO INC. 「THE BOOK OF FIRE」
NOCUT / EU / SPV263342 / 2020

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Vocals – Martin Engler
Bass, Vocals – Manuel Antoni
Drums, Vocals – Katha Mia
Guitar, Vocals - Carl Fornia
 
Producer [Produced By] – Martin Engler

  もう三十数年前に今のインターネット社会は存在しない頃、パソコンがある層では個人的にも使われ始め、そしてネット通信としてパソコン通信(NECとNIFTY)という時代があった。そんな時代に音楽でも私が興味があって関係したロック(主としてプログレ=NEC・PC-VAN(PROGRESSIG)分野では、仲間が全国規模で出来て、それが今やおじさんから老人という事になるのだが、未だにそれなりにロックを愛しているのである。実はつい先日その仲間から私に刺激を与えてくれたのが、日本ではあまり知られずのドイツのエレクトロ・ゴシック・ユニットの「MONO INC.」だ。

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 その「MONO INC.」は、2000年から活動開始し、スタジオ・アルバムは2003年から11枚リリースしていて、ドイツでは絶大な人気バンドであるらしい。このアルバムはそのユニットの最新アルバムである。ここで取り上げたと言うことは、それなりに私にとっても十分興味の持てる演奏を展開していると言うことに他ならない。
 それはゴシック系の暗さのなかただ埋没しているのでは全くなく、メタル系の疾走感もあり、特にメロディーの美しさを重視した音楽性の高いゴシックプロジェクトである。所謂パンクのネガティブさを変えたポジティブパンクの部類にも入るようだ。哲学的、神学的ニュアンスのある耽美性、芸術性をなんとなく持ったまあクサメタルといっても言いところも感じられ、私のようなクサメタラーにも受け入れられるところがあるのだ。

(Tracklist)

1 The Book Of Fire 7:21
2 Louder Than Hell 4:26
3 Warriors 4:16
4 Shining Light Featuring – Tilo Wolff 5:22
5 Where The Raven Flies 7:38
6 The Last Crusade 5:01
7 Death Or Life 5:07
8 Nemesis 4:34
9 Right For The Devil Featuring – Tanzwut 5:18
10 Run For Your Life 5:58
11 The Gods Of Love 3:39
12 What Have We Done 3:00

  このアルバムは従来作よりは若干暗めが感じられるところだが(もっとも以前のモノは総集編的スタジオ盤とライブ盤しか私は持っていないのだが)、そのテーマ自身がこれまた暗く重苦しい難解のもの。
 過去のアルバムの中ではダントツの人気が"Children of The Dark"という曲で、これがなかなかメロディアスである上に疾走感もある。その味に迫れるかどうかというところだ。

 とにかくリーダーの Martin Englerは 独特な中低音を主体としたヴォーカルを展開しているのがまずの特徴で(このバンドのスタート時はドラムス担当)、そしてドラマーはKatha Miaで女性というのが又異色(2007年、2ndアルバムから)、彼女は主としてバッキング・ヴォーカルを務めるが、時にツイン・ヴォーカルとしても演じてソプラノ系の高音も聴かせる。この対比が魅力と言えば魅力でこれで曲のカラーを作り上げているわけだ。

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 冒頭のM1." The Book Of Fire"がこのアルバムの主題の曲と言うことになろうと思うが、オフィシャルに公開している映像からも、何世紀にも及ぶ秘密の知識を含む神秘的な文化書の「火の本(Book of Fire)」の物語に焦点を当て、暗黒時代、血に飢えた異端審問と自由のための戦いを描いていると言うのだ。
  これは物語を構築してのアルバムであり、彼らの民族的歴史文化に入らないと理解は実際の処難しいところである。まあ東洋日本人の我々はそれはあくまでも曲展開のネタとして曲自身が面白く聴けるかどうかと言うところでしょうね。
 この Martin Englerのヴォーカルがこれまでのアルバムからも、北欧民謡トラッド的世界を独特の癖のある声で演じ、それが女性ヴォーカルの美しさによって清涼なる世界も覗かせるところが聴きどころで、結構病みつきになる。演奏も時にはHM/HR的なギターの味も加わって、しかも意外に乗りの良いところもあるので結構面白く聴けるのである。
 ドイツの音楽畑をある意味では代表しているような雰囲気を持ったメランコリックな結構クオリティーの高いバンドであり、過去のアルバムも少々聴いてしまったという不思議な魅力を持っている。もっと日本でも聴いて欲しいと思うところだ。

(参考)
<MONO INC.の Studio albums>
2003 Head Under Water
2007 Temple of the Torn
2008 Pain, Love & Poetry
2009 Voices of Doom
2011 Viva Hades
2012 After the War
2013 Nimmermehr
2015 Terlingua
2017 Together Till the End
2018 Welcome to Hell
2020 The Book of Fire

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★☆   85/100
□ 録音    ★★★★☆   80/100

(視聴)

 
*

  もはや名曲"Children of The Dark"ですね ↓ (Shymphonic Live)

 

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2020年3月18日 (水)

ピンク・フロイドPink Floyd 絶頂の75年ライブ 「LOS ANGELSE 1975 4TH NIGHT」

警察による逮捕者続出のライブの記録
マイク・ミラードによる好録音の出現

 

<Progressive Rock>

Pink Floyd 「PINK FLOYS LOS ANGELSE 1975 4TH NIGHT」
~ MIKE MILLARD ORIGINAL MASTER TAPES
Bootleg / Sigma 242 / 2020

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Live at Los Angeles Memorial Sports Arena, Los Angeles, CA, USA 26th April 1975

Pink Floyd
Venetta Fields : Backing vocals
Dick Parry : Saxophone
Cariena Williams : Backing vocals

  とにかくこの何十年の間にもピンク・フロイドのブートは何百枚と出現している。あのボックス・セット「Early Years 1965-1972」「The Later Years (1987-2019)」のオフィシャル・リリースによって下火になるのかというと全くそうでは無い。むしろ火を付けているのかと思うほどである。それもピンク・フロイドそのものはディブ・ギルモアの手中に握られたまま、全くと言って活動無くむしろ潰されている存在だ。これが本来のロジャー・ウォーターズにまかせれば、今頃米国トランプや英国の低次元の騒ぎなど彼の手によって一蹴されているだろうと思うほどである。相変わらずのファンはこのバンドの世界に夢を託しているのである。

 そんな時になんとあの彼らの絶頂期であった1975年の「FIRST NORTH AMERICAN TOUR」のライブものが、オフィシャルに使われるほどの名録音で知られるマイク・ミラードの手による良好録音ものの完全版が出現をみるに至ったのである。

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  とにかく世界的ベストセラーになったアルバム『狂気』(1973)以来、彼らにとっては全く別の世界の到来となる。金銭的には驚くほどの成果を上げ、それと同時に重圧ものしかかる。又スポンサーとのトラブル、四人の社会に於ける存在の意義にも変化が出る。

810cgm6w   そして1975年1月ようやく次のアルバム『炎』(1975 →)の作業に入る。しかしそこには『狂気』当時の彼らのクリエイティブなエネルギーのグループの姿はなかった。メイスンは個人的な問題から意欲は喪失していた("Shine on you Crazy Diamond","Wish You Were Here "の2曲はロジャー、デイブ、リックの三人、""Welcome to The Machine,"Have a Ciigar"の2曲はロジャーの作品である)。又ロジャー・ウォーターズの葛藤がそのままライブ(この「NORTH AMERICAN TOUR」)にも反映されていた。まさにライブとスタジオ録音が平行して行われメンバーも疲弊していた。更に慣れない4チャンネル録音で、技術陣も失敗の繰り返し。とにかくつまづきの連続で困難を極めたが、そこでロジャーは一つの開き直りで"その時の姿をそのままアルバムに"と言うことで自己納得し、ライブで二十数分の長い"Shine On"(後に"Shine On You Crazy Diamond")を2分割し、間にロジャーが以前から持っていた曲"Have a Cigar"を入れ、当時の音楽産業を批判したロジャー思想の"Welcome to the Machine"を入れ、更にロジャーのシドへの想いと当時の世情の暗雲の環境に対しての"詩"だけは出来ていたその"Wish you were here"は、ロジャーとギルモアが主として曲を付け仕上げた。しかしこの75年がバンド・メンバーの乖離の始まりであり、そんな中でのアルバム作りとなったのであるが・・・。
 そして予定より半年も遅れて9月にこの『炎』のリリースにこぎ着けたのだが、今想うに『狂気』に勝るとも劣らない名作だ。

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 しかしこのような状況であったこも関わらず、当時のピンク・フロイドの人気は圧倒的で、このロスのライブの4夜の4月22,23,24,26日の6万7千枚のチケットは一日で完売、追加の27日公演は数時間で売り切れというすざまじい売り上げであったのだ。
 そしてここに納められているのは26日(土)のライブの姿である。

5_20200316200001 (Tracklist)

Disc 1 (63:33)
1. Mike Test
2. Intro.
3. Raving And Drooling
4. You Gotta Be Crazy
5. Shine On You Crazy Diamond Part 1-5
6. Have A Cigar
7. Shine On You Crazy Diamond Part 6-9 

Disc 2 (56:54)
The Dark Side Of The Moon
1. Speak To Me
7_20200316200101 2. Breathe
3. On The Run
4. Time
5. Breathe(Reprise)
6. The Great Gig In The Sky
7. Money
8. Us And Them
9. Any Colour You Like
10. Brain Damage
11. Eclipse

Disc 3
1. Audience 
2. Echoes

 このはライブは、絶頂期アルバム『狂気』、『炎』、『アニマルズ』の三枚に関係するセットリストの内容であり、又彼ら人気の最高に至る経過を盛り込んでおり、ブート界でもこの録音モノは引っ張りだこなのだ。しかもアンコールでは"ECHOES"も登場するのである。

Hogsinsmog  私がかってから持っていて出来の良いブート・アルバムは『Hog's in Smog '75』(STTP108/109=1975年4月27日追加公演モノ)で、セットリストは同一である。これもかなりの好録音であった(→)。
  
 しかしここに登場したマイク・ミラード録音モノは、更にその上を行く。Audienceとの分離はしっかりとしており、特に音質は高音部の伸びが素晴らしい。そして全体の音に迫力がある。
 当時のピンク・フロイドのライブは、スタジオ・アルバム版との演奏の違いは各所にあって、ギルモアのギターのアドリブも多く、マニアにはたまらない。ヴォーカルはロジャーの詩に込める意識は強くその歌声にも意欲が乗っていて聴きどころがある。そして至る所にやや危なっかしいところがあって、そこがリアルでライブものの楽しみが滲み出てくる。今回のものは既に出まわっていたモノの改良版で、内容が更に充実している。
 とにかく集まった聴衆の行為にも異常があり、爆竹の音もある。とにかく警察による逮捕者の多さでも話題になったライブでもある。

 "Raving And Drooling "は、『アニマルズ』の"sheep"の原曲だが、スタートのベースのごり押しが凄いしギターのメタリックの演奏も特徴的だ。"You Gotta Be Crazy"は"dogs"の原曲でツインギターが響き渡る。 この難物の2曲もかなり完成に至っている。『狂気』全曲も特に"On the run"のアヴァンギャルドな攻めがアルバムを超えている。そして一方この後リリーされたアルバム『炎』の名曲"Shine on you Crazy Diamond"の完成に近づいた姿を聴き取れることが嬉しい。
 又アンコールの"Echoes"にDick Parryのサックスが入っていて面白い。

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 いずれにしても、今にしてこの時代の良好禄音盤が完璧な姿で出現してくるというのは、実はギルモアというかポリー・サムソン支配下の現ピンク・フロイド・プロジェクトが、このロジャー・ウォーターズの葛藤の中からの重要な歴史的作品を産み、そして時代の変化の中でロックの占める位置を進化していった時期を無視している事に対して、大いに意義があると思うのである。そのことはピンク・フロイドの最も重要な『狂気』から『ザ・ウォール』までの四枚のアルバムに触れずに、ここを飛ばしてピンク・フロイド回顧と実績評価のボックス・セット「Early Years 1965-1972」「The Later Years (1987-2019)」を完成させたというナンセンスな実業家サムソンの作為が哀しいのである。

 当時のライブものとしては、この後5月はスタジオ録音に没頭、そして再び6月から「NORTH AMERICAN TOUR」に入って、『HOLES IN THE SKY』(Hamilton,Canada 6/28/75=HIGHLAND HL097/098#PF3 下左 )、『CRAZY DIAMONDS』(7/18,75=TRIANGLE PYCD 059-2  下右)等のブートを聴いたのを懐かしく思う。

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(評価)

□ 演奏・価値 ★★★★★☆   95/100 
□ 録音    ★★★★☆   80/100

(視聴)

 

 

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2020年2月 5日 (水)

WOAのウィズイン・テンプテーションWithin Temptation 「W : O : A 2019」

大観衆との一体感はさすがである

<Symphonic Metal>

Within Temptation 「W : O : A 2019」
Bootleg DVD / Hauptstrasse, Wachen, Germany 2019.08.02

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シャロン・デン・アデル (Sharon den Adel) - ボーカル (1996- ) 
ローベルト・ヴェスターホルト (Robert Westerholt) - ギター(1996- 現在制作担当) 
ルード・ヨリー (Ruud Jolie) - ギター (2001- )
ステファン・ヘレブラット (Stefan Helleblad) - リズムギター (2011- )
イェローン・ファン・フェーン (Jeroen van Veen) - ベース (1996- )
マルテン・スピーレンブルフ (Martijn Spierenburg) - キーボード (2001- )
マイク・コーレン (Mike Coolen) - ドラムス (2011- )

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  フィンランドのナイトウッシュのオフィシャル・ライブ映像盤『DECADES』を前回取り上げたので、ここでオランダのウィズイン・テンプテーションを取り上げておこう。いずれにしてもシンフォニック・メタルと言うところでは、この二バンドは今や世界の両雄としてとして君臨しているからである。
 この映像盤は、ブートレグではあるがプロショットもので、その映像はオフィシャル以上の素晴らしさで圧巻。
 ドイツ北部のヴァッケンで1990年から始まって、1998年には世界的メタル・フェスティバルの大イベントに成長したメタルの暑い夏の祭典。そして昨年の「WAKEN OPEN AIR 2019」のステージを録画した最も近くの映像だ。

Img_2085trw (収録曲)

01.Raise Your Banner
02.The Reckoning
03.Stand My Ground
04.In The Middle Of The Night
05.The Heart Of Everything
06.Ice Queen
07.Faster
08.Supernova
09.Paradise (What About Us?)
10.What Have You Done
11.Mad World
12.Mother Earth

 この日は運悪く雷雨トラブルにあった様だが、まさに数万人という大観衆のHARDER STAGEにウィズイン・テンプテーションWITHIN TEMPTATIONが登場。序盤は2018年に5年ぶりにリリースのアルバム『RESIST』から"Raise Your Banner"、"The Reckoning"をプレイ。曲がシャロンの低音のヴォーカルから始まりやや静かな印象のスタートだが、次第に盛り上がってゆくのはさすが人気バンド。
  3曲目にはあの大ヒット曲"Stand My Ground"が登場で、一気にオーディエンスをして虜にしてしまう。
 アルバム『Hydra』(2014)の大成功後は、噂では"燃え尽き症候群"のような状態に陥り、シャロンはソロ・プロジェクトを始動させたりで、このバンドの行く末に不安がよぎったのだった。しかし2018年5年ぶりのアルバム『RESIST』が登場し、ファンをホットさせたのだった。
 そしてこの2019年のメタル・フェスティバルに登場してのパフォーマンスに聴衆は酔うと言うことになった状況なのだ。

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 このステージで見る限り、シャロン嬢もいまや"お母さん"というイメージになってきたとはいえ、このシンフォニック・メタルの中心としてのヴォーカルは相変わらず聴衆を引きつけての演技は立派というところ。
 M5."The Heart Of Everything" は会場に響き渡る展開はシンフォニックな演奏で包み込む。
 M6."Ice Queen" のアコースティック・ギターをバックのこのライブ唯一のシャロンのバラード・ヴォーカルも聴かせどころでしっとりとしていい。
 M7."Faster " ルードとステファンのツインギターも映像を見る限り健在だ。 
   M9."Paradise" 元ナイトウィッシュのターヤとの共演で話題になった曲も登場。
   アンコールのM10."What Have You Done "は、シャロンの実力のみせどころ、なになに歳を感じさせない健在ぶりだ。
 M12."Mother Earth" の荘厳な夕陽に映える会場での一体感はお見事。

 しかし、便利な世の中になりましたね。ついこの間のドイツにおけるライブもプロショットでこうしてじっくり見れると言うことですから。そんな中で、彼らも20年の経過を重ねると紆余曲折もはらむと思うが、こうしてバンドとして健在であった事が何よりも目出度いのである。

<参考 : Within Temptation 過去のスタジオ・アルバム>
①Enter (1997年)
②Mother Earth (2000年)
③The Silent Force  (2004年)
④The Heart Of Everything (2007年)
⑤The Unforgiving (2011年)
⑥Hydra (2014年)
⑦Resist(2019年)

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★☆  90/100
□ 画像・音質 ★★★★☆  85/100

(視聴)

(この"2019WOA-Liveのプロショットもの"は、まだ見つからないので・・・参考に↓)
Within Temptation Ft.Tarja PARADISE Live at Helfest Festival 2016

 

 

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2020年2月 1日 (土)

ナイトウィッシュNightwish 「DECADES Live in Buenos Aires」

オフィシャル・ライブ映像盤~~彼らはやっぱり映像がいい
オペラティック・メタル、シンフォニック・メタルの華

<Symphonic Metal>

Nightwish 「DECADES Live in Buenos Aires」
Ward Records / JPN / Blu-ray / GQXS-90414 / 2020

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Tiomas Holopainen : Keys.
Floor Jansen: Vocals.
Marco Hietala: Bass,Vocals
Troy Donockley : Uilleannpipes, Low whistles, Vocals.
Emppu Vuorinen: Guitar
Kai Hahto: Drums

 世界的に人気のフィンランドのシンフォニックメタル・バンドのナイトウィッシュ、そのライブ映像盤。彼らは今や、オランダのウィズイン・テンプテーションと両横綱的存在といってよい。
 ナイトウイッシュの最新スタジオ・アルバムは2015年『Endless Forms Most Beautiful』で、既に四年以上経過しているが、その間、2017年には『VEHICLE OF SPIRIT』(Nuclear Blast / USA / NBA 3850-7) のライブ映像盤のリリースがあり、そして2018年にベスト・アルバム『Decades(Best of 1996-2016)』(HMHR180302-305)がリリースされ、その記念ワールド・ツアーが全82公演にも及んだ。その中のブエノスアイレス公演を完全収録したものである。

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Nw1  収録曲は右のように全21曲で、初期のヒット曲に加え近作『Endless Forms Most Beautiful』の収録曲という構成である。2018年9月30日のブエノスアイレスの“エスタディオ・マルヴィナス・アルヘンティナス"で、収録技術陣も大がかりでのステージを収録したもの。八千人と言われる熱気ある大観衆とのやりとりがしっかり捉えられており、サウンド面もDTSサラウンドで臨場感は十分。この手はやっぱりスクリーンに投影して、サラウンドの大音響で聴くのが一番だろうね 。(笑い)

 とにかく、ターヤ、アネッテ、そしてあアフター・フォーエバーのフロール・ヤンセンのサポート(2012年)から正式加入と歌姫三代目のナイトウィッシュだ。しかし意外に良かったのは、英国のイリアンパイプ奏者のトロイ・ドノックリーを加入させたことでしょうね。彼は私はケルティック・フォーク・ロックの「Iona」での演奏がお気に入りだったんだが、ナイトウィッシュに招かれ、そして加入、これによってこのバンドの演奏は一層シンフォニックの味も厚みがつき、又ケルト的ムードの神秘性を秘めるようになり、ツォーマスの世界との安定した重複によって充実したというところだ。

 3曲目の"With I had an Angel" あたりから、会場もそして演ずる彼らも元気が出て、続く4曲目の"10th Man Down"が、得意の物語調に曲を進めて、展開がメリハリ、締まりの良い曲に仕上げた結果、非常に盛り上がる。
 6曲目"Gethsemane"のシンフォニック・メタルそのものもインパクトあり。
 9、10曲目はヤンセンの美的ヴォーカルが聴きどころ。特に10曲目"Dead Boy's Poem"は、しっとり聴かせ、情緒たっぷりだ。そして後半メタルに転調しての曲の変化の流れがリーダーのツォーマスの手法の上手いところだ。
Nw3  11曲目"Elvenjig"は彼らの演奏の見せどころ、ドノックリーのパイプが効果的で、なかなか神秘的で良い。
 13曲目"I Want My Tears Back"のヒット曲はリズムカルで楽しく、会場全体も跳ねての一体感に包まれる。
 14曲目"Amaranth"は当然盛り上がり、15曲目のトノックリーのヴォーカルがなかなかのもの。歌姫は横に置いておいて、アルバムの一曲ぐらいは、彼と歌の旨いマルコで歌わせるのも良いのでは。
 16曲目"The Kinslayer" この曲を聴くと初代ターヤを思い出しますね。ここに来て彼女も映像盤リリースしますが、やっぱりナイトウィッシュ時代のような圧倒するものは残念ながら少し弱い、つまり曲や演奏もいかに大きいかですね、ツォーマス偉大なり。
 18曲目"Nemo"も登場してサービス満点。

 とにかく、彼らのステージは楽しい。迫力と美しさと懐かしさと神秘的なところも盛り込んで、良いステージだ。まあ楽しむ意味においても、このようなBlu-rayでのステージ映像盤は大歓迎である。
 近々9作目のスタジオ・ニュー・アルバムがリリースされることになっていて、それに伴ってツアーも企画されている。ロックも岐路に立っていて世界的に低調の中、フィンランドのからゴシック・メタル系で出発した彼らが、オペラティック・メタルそしてシンメトリック・メタルという形を作りつつ、そろそろ20年の経過を音楽的充実をしながら世界規模に展開しているのは楽しい限りである。
 

Nw4 (参考) ナイトウイツシユ過去のスタジオ・アルバム

①エンジェルズ・フォール・ファースト Angels Fall First (1997年)
②オーシャンボーン Oceanborn (1998年)
③ウィッシュマスター Wishmaster (2000年)
④センチュリー・チャイルド Century Child (2002年)
⑤ワンス Once (2004年)
⑥ダーク・パッション・プレイ Dark Passion Play (2007年)
⑦イマジナエラム Imaginaerum (2011年)
⑧エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル Endless Forms Most Beautiful (2015年)

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★★☆  95/100
□ 映像・録音   ★★★★★☆  90/100

(視聴)

 

*
"The Kinslayer" Live in Benos Aires 2018 by Floor Jansen

 

*
(参考) "The Kinslayer" Live Heartwall Areana 2006 by Taja Turunen

 

 

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2020年1月10日 (金)

ジェフ・ベック Jeff Beck 「CROSSROADS GUITAR FESTIVAL 2019」

ジェフ・ベックは相変わらずの歳を感じさせない若さを発揮
ジョニー・デップがゲスト参加

<Rock>

Jeff Beck 「CROSSROADS GUITAR FESTIVAL 2019」
VIDEOSMASH / VS-324BDR / 2019

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LIVE PRO-SHOT BLU-RAY DISC 5.1SURROUND
Live at American Airline Center, Dallas, Texas, USA
September 20, 2019

Jeff Beck : Guitar
Vinnie Colaiuta : Drums
Rhonda Smith : Bass
Jimmy Hall : Vocal
Venessa Freebairn-Smith : Cello
(Guest)Johnny Depp : Guitar, Vocal

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 エリック・クラプトンの主催する毎年行われているギター・フェスティバルの「CROSSROADS」だが、今年9月20日のジェフ・ベックのステージの模様をプロショットで完全収録したBootleg盤。しかしブルー・レイによる画像も素晴らしく、又音質も5.1サラウンドと立派。

 そして今年はなんとスペシャル・ゲストとして、昨年来共演で話題になっていたあのジョニー・ディップがギターとともにボーカル・ナンバーを披露している。

  メンバーはこのところのあの美人チェロリスト擁したジェフ・ベック・バントである。そして演ずる曲は下のようなところであった。

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 ジェフJeff Beck のギターに、いつものスミスRhonda Smith(Bass) ,  久しぶりのカリウタVinnie Colaiuta(Drums)そして話題の ヴェネッサVenessa Freebairn-Smith のCelloが加わる布陣で、今までプロショットものがまだ公開してかったため、貴重な映像盤。例のJimmy Hallのヴォーカルが入る。
 そしてなんと あの話題のジョニー・デップJohnny Depp がギターとヴォーカルでこの「CROSSROAD」にもゲスト出演。これはやっぱり話題になる。

Jeff3  演じた曲は上のような9曲で、ジェフの演奏は、いつものように M1."SPACE FOR THE PAPA"とあるのは、むしろ"INTRODUCTION""BIG BLOCK"が演じられ、M3."STRATUS"とで盛り上げる。
 しかし私は、このジェフ・ベック・バンドでは注目の一つは、ヴェネッサのチェロがどのように曲の中で生きるのかということにもあった。もともと過去にキー・ボードも多用したジェフ・ベックであるので、恐らくそのような感覚でチェロを流すのだろうと踏んでいたのである。それはM2."CAROLINE,NO"で手に取るように解った。それはバラード調の曲でチェロの調べが流れ、そこにシェフの美しいギターが乗るパターンでお見事と言うことになる。このあたりはこの映像版で非常に解りやすい。

 そしてM4."RUMBLE"からジョニー・デップが登場して、まずM5."ISOLATION"でヴォーカル披露開始、まあ上手いとは言えないが、興味をそそるところはピカイチ。
 そしてM6."HEDDY LAMAR"では、ジョニーはしっとりと歌い上げる。この曲がこのゲスト出演のメインの曲なんだろうなぁ。チェロ、ギターが静かにメロディーを流し、しっとりと聴かせるパターン。
 M7."BRUSH WITH THE BLUES"は、ジェフのギターの聴かせどころで盛り上がる。

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 毎年、「CROSSROADS」で楽しませてくれるジェフ・ベック、これも年中行事になっていて彼の健在ぶりを見ることが出来て。結構なことである。又こうしたプロショットの優良映像盤の出現も頼もしい限りである。そしてここでも観れたジョニー・デップには、いずれにせよ驚きました。

(評価)
□ 選曲・演奏 ★★★★☆  80/100
□ 録音・映像 ★★★★★    100/100

(参考視聴)

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2019年12月16日 (月)

ロジャー・ウォーターズRoger Waters 「PROJECT K.A.O.S.」検証

「RADIO K.A.O.S.」の完全版スタジオ・アルバム

<Progressive Rock>

Roger Waters 「PROJECT K.A.O.S.」
Reissue, Unofficial Release / Jpn / 2017

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Roger Waters & Bleeding Heart Band
Mixed by Chad Hendrickson

 しかしロック・アルバムといっても、コンセプト・アルバムという世界を構築してきたロジャー・ウォーターズの関係するところでは、今でも本人以上に、ファン仲間ではトータル・アルバムとしての作品への思い入れは大きい。かってピンク・フロイド時代の映画「モア」のサントラ音楽に提供したため崩壊したピンク・フロイドの組曲「ザ・マン」「ザ・ジャーニー」を未だに求めたり、又アルバム『ウマグマ』(1969)に納められている"Careful With Tfat Axe,Eugene"と、映画「砂丘」に登場するピンクク・フロイドの曲"51号の幻想"の関係、そして"若者の鼓動"、"崩れゆく大地"の2曲も含めての世界。更に映画「2001年宇宙の旅」とアルバム『おせっかい』の曲"エコーズ"との関わり合い。更にリイッシューされたアルバム『ファイナル・カット』では、曲"when the tigers broke free"追加され完成させたりと、話は尽きない。

Kaos1  これらはコンセプト・アルバムという世界に起こる不思議な現象で、更に2000年以降もロジャー・ウォーターズのソロ・アルバムにおいてもこれは起きているのである。
 まずは「ザ・ウォール・ライブ・ベルリン」では最後の締めくくりの曲に、アルバム『RADIO K.A.O.S.』(→)の"The Tide Is Turning"が採用され、アルバムどおり演じてきたコンセプト作品「ザ・ウォール」の曲にソビエト崩壊の時代の変化をオーバー・ラップさせ、喝采を得た。

 そしてここで取り上げるは、彼のソロ・アルバム『RADIO K.A.O.S.』である。このアルバム・リリースは1987年、彼のソロとしての腹づもりが固まったときである。バンド名も当時は"Roger Waters &Bleeding Heart Band"として活動した。それはこの前年にリリースされた長編アニメーション映画『風が吹くとき』のサウンド・トラック制作に力を注いだ時からだ。当時彼には世界冷戦下の核戦争の恐怖を中心としたもともと持っていた"反戦思想"に関心は高く、前ソロ作『ヒッチハイクの賛否両論』は内に向けた葛藤であり、それから今度はこのような外に向けたエネルギーの発露でもあった。

Pkaos  しかしこのアルバム『RADIO K.A.O.S.』は、ウォーターズの求めていたコンセプト・ストーリーを表すには実は不十分に終わってしまっていた。当時CD時代の幕開けにそってLPサイズにはこだわらない長編を彼は企画して曲も作っていたが、レコード会社は40分少々のLPサイズにこだわったため、大きく削っての作品となってしまっていたのである。そして一部の曲は先行した映画『風の吹くとき』のサントラに提供していたのである。
 そこで既にリリースされたアルバム『RADIO K.A.O.S.』を本来の姿に完成させようという動きがあって、まずは2000年に『PROJECT K.A.O.S.』が ライブ音源を中心に造られた。(参照 : 「ロジャー・ウォーターズの世界に何を見るか」)
 しかしその後はスタジオ録音版を収集して2017年には完成版『PROJECT K.A.O.S.』(→)が登場し、今にしてブートレグ界では持てあまされている。それがここに取り上げたリイッシュー版の『PROJECT K.A.O.S.』の原型である。
 もともとこのアルバムはウォーターズの反核戦争思想をベースにしての人の交わりを描いたアルバムであるが、彼の"自己を見つめる世界"、"社会をみつめる世界"のどちらかというと後者に当たる。そしてその数曲の追加収録によって、コンセプトが更に明快になってゆくのである。

(Tracklist)

Rw12 1. Get Back To Radio 4:51 *
2. Radio Waves (Extended) 6:57
3. Who Needs Information 5:56
4. Folded Flags 4:27 *
5 .Me Or Him? 5:17
6. The Powers That Be 3:57  
7. Going To Live In LA 5:38 * 
8. The Fish Report With A Beat 1:49 * 
9. Sunset Strip 4:46
10. Molly's Song 3:11*
11. Home 6:00
12. Four Minutes 4:00 13
13. The Tide Is Turning (After Live Aid) 6:16
14. Pipes And Drums 1:30 *
                                        (*印 新規収載)

  このアルバムは上記のように6曲が新規収録されていて、オリジナルが41:24分であったものが、なんと65:03分というストーリーを充実したアルバムになっている。注目はM1."Get Back To Radio"、M7."Going To Live In LA"、M10."Molly's Song"などが上げられるが、ジム・ラッドのセリフの充実や、話の主人公ビリーの新規セリフも入って、コンセプト・ストーリーがかなり解りやすくなっていると言うのだが・・・英語の理解力不足で少々残念。
 
 もともとストーリーとそのコンセプトは・・・
 主人公ビリーは植物人間的な存在、兄の擁護で生活。世界中に流れるラジオ電波(Radio Waves)と交信出来る超能力を持つことに気づく。様々な電波と交信している中で、電波を通じて社会や人間を操ろうとする権力者の存在に気付く。ビリーの抵抗は始まり、革新的試みが感じられるラジオ局「Radio KAOS」に接触。そして、DJのジムと共に世界に向けて平和のメッセージの発信を試みる。第二次大戦中の原爆開発プロジェクト「マンハッタン計画」やレーガン大統領、サッチャー首相ら、当時の政治家を交えながら、核の脅威が描かれる。物語の終盤では、ビリーの超能力は政府のスーパーコンピュータを操作できるほど強力になり、核兵器を制御して世界の混乱を納めることになる。

Rw11  既存のマスメディアの批判を試みつつ、更に「Radio K.A.O.S.」という仮想媒体を通して多くの社会的メッセージを発信しているアルバム。ピンク・フロイド在籍時のラスト・アルバム『ファイナル・カット』(1983年)の続編的存在で、マーガレット・サッチャーやロナルド・レーガンを実名で批判する。また、核兵器廃絶も強く訴えるものだ。ラストのM13. "流れが変わる時〜ライブ・エイドが終わって〜"では、想いもしなかったソ連の崩壊という社会現象から平和的で暖かなメッセージが歌われ一つの収束をするところは一つの救いでもある。

 このアルバムは、当時、"ピンク・フロイドの存続・所有権問題"の中での一つの戦いでもあったウォーターズは、ライブでもエネルギーたっぷりの展開を見せ、音楽的にも従来のフロイド・タイプをただ継承するので無く、むしろ一歩進めたことからも歴史的に興味深いアルバムである。更にそのコンセプトの完全化を期待するファンも多く、このような完全版が造られることは実に興味深い。

  当時の状況の中でのウォーターズのその姿には更に興味深いところがあるため、それぞれの新規収録曲の内容検討しながら、この完成盤の検証をいずれ又もう少し深入りしたい。

(評価)
□ 収録曲・演奏   ★★★★★☆ (完成度を高めた努力を評価) 
□ 録音       ★★★★☆

(参考「Radio K.A.O.S.」の多彩なメンバー)

Roger Waters – vocals, acoustic and electric guitars, bass guitar, keyboards, shakuhachi
Graham Broad – percussion, drums
Mel Collins – saxophones
Nick Glennie-Smith – DX7 and E-mu on "Powers That Be"
Matt Irving – Hammond organ on "Powers That Be"
John Lingwood – drums on "Powers That Be"
Andy Fairweather Low – electric guitars
Suzanne Rhatigan – main background vocals on "Radio Waves", "Me or Him", "Sunset Strip" and "The Tide Is Turning"
Ian Ritchie – piano, keyboards, tenor saxophone, Fairlight programming, drum programming
Jay Stapley – electric guitars
John Thirkell – trumpet
Peter Thoms – trombone
Katie Kissoon, Doreen Chanter, Madeline Bell, Steve Langer & Vicki Brown – background vocals on "Who Needs Information", "Powers That Be" and "Radio Waves"
Clare Torry – vocals on "Home" and "Four Minutes"
Paul Carrack – vocals on "The Powers That Be"
Pontarddulais Male Voice Choir - chorus

(参考視聴)

 

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