ROCK

2020年3月27日 (金)

ドイツのメランコリック・ゴシックロック MONO INC.「THE BOOK OF FIRE」

メロディーに美しさのあるポシティブパンクのゴシックロックを展開

<Gothic Rock>
MONO INC. 「THE BOOK OF FIRE」
NOCUT / EU / SPV263342 / 2020

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Vocals – Martin Engler
Bass, Vocals – Manuel Antoni
Drums, Vocals – Katha Mia
Guitar, Vocals - Carl Fornia
 
Producer [Produced By] – Martin Engler

  もう三十数年前に今のインターネット社会は存在しない頃、パソコンがある層では個人的にも使われ始め、そしてネット通信としてパソコン通信(NECとNIFTY)という時代があった。そんな時代に音楽でも私が興味があって関係したロック(主としてプログレ=NEC・PC-VAN(PROGRESSIG)分野では、仲間が全国規模で出来て、それが今やおじさんから老人という事になるのだが、未だにそれなりにロックを愛しているのである。実はつい先日その仲間から私に刺激を与えてくれたのが、日本ではあまり知られずのドイツのエレクトロ・ゴシック・ユニットの「MONO INC.」だ。

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 その「MONO INC.」は、2000年から活動開始し、スタジオ・アルバムは2003年から11枚リリースしていて、ドイツでは絶大な人気バンドであるらしい。このアルバムはそのユニットの最新アルバムである。ここで取り上げたと言うことは、それなりに私にとっても十分興味の持てる演奏を展開していると言うことに他ならない。
 それはゴシック系の暗さのなかただ埋没しているのでは全くなく、メタル系の疾走感もあり、特にメロディーの美しさを重視した音楽性の高いゴシックプロジェクトである。所謂パンクのネガティブさを変えたポジティブパンクの部類にも入るようだ。哲学的、神学的ニュアンスのある耽美性、芸術性をなんとなく持ったまあクサメタルといっても言いところも感じられ、私のようなクサメタラーにも受け入れられるところがあるのだ。

(Tracklist)

1 The Book Of Fire 7:21
2 Louder Than Hell 4:26
3 Warriors 4:16
4 Shining Light Featuring – Tilo Wolff 5:22
5 Where The Raven Flies 7:38
6 The Last Crusade 5:01
7 Death Or Life 5:07
8 Nemesis 4:34
9 Right For The Devil Featuring – Tanzwut 5:18
10 Run For Your Life 5:58
11 The Gods Of Love 3:39
12 What Have We Done 3:00

  このアルバムは従来作よりは若干暗めが感じられるところだが(もっとも以前のモノは総集編的スタジオ盤とライブ盤しか私は持っていないのだが)、そのテーマ自身がこれまた暗く重苦しい難解のもの。
 過去のアルバムの中ではダントツの人気が"Children of The Dark"という曲で、これがなかなかメロディアスである上に疾走感もある。その味に迫れるかどうかというところだ。

 とにかくリーダーの Martin Englerは 独特な中低音を主体としたヴォーカルを展開しているのがまずの特徴で(このバンドのスタート時はドラムス担当)、そしてドラマーはKatha Miaで女性というのが又異色(2007年、2ndアルバムから)、彼女は主としてバッキング・ヴォーカルを務めるが、時にツイン・ヴォーカルとしても演じてソプラノ系の高音も聴かせる。この対比が魅力と言えば魅力でこれで曲のカラーを作り上げているわけだ。

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 冒頭のM1." The Book Of Fire"がこのアルバムの主題の曲と言うことになろうと思うが、オフィシャルに公開している映像からも、何世紀にも及ぶ秘密の知識を含む神秘的な文化書の「火の本(Book of Fire)」の物語に焦点を当て、暗黒時代、血に飢えた異端審問と自由のための戦いを描いていると言うのだ。
  これは物語を構築してのアルバムであり、彼らの民族的歴史文化に入らないと理解は実際の処難しいところである。まあ東洋日本人の我々はそれはあくまでも曲展開のネタとして曲自身が面白く聴けるかどうかと言うところでしょうね。
 この Martin Englerのヴォーカルがこれまでのアルバムからも、北欧民謡トラッド的世界を独特の癖のある声で演じ、それが女性ヴォーカルの美しさによって清涼なる世界も覗かせるところが聴きどころで、結構病みつきになる。演奏も時にはHM/HR的なギターの味も加わって、しかも意外に乗りの良いところもあるので結構面白く聴けるのである。
 ドイツの音楽畑をある意味では代表しているような雰囲気を持ったメランコリックな結構クオリティーの高いバンドであり、過去のアルバムも少々聴いてしまったという不思議な魅力を持っている。もっと日本でも聴いて欲しいと思うところだ。

(参考)
<MONO INC.の Studio albums>
2003 Head Under Water
2007 Temple of the Torn
2008 Pain, Love & Poetry
2009 Voices of Doom
2011 Viva Hades
2012 After the War
2013 Nimmermehr
2015 Terlingua
2017 Together Till the End
2018 Welcome to Hell
2020 The Book of Fire

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★☆   85/100
□ 録音    ★★★★☆   80/100

(視聴)

 
*

  もはや名曲"Children of The Dark"ですね ↓ (Shymphonic Live)

 

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2020年3月18日 (水)

ピンク・フロイドPink Floyd 絶頂の75年ライブ 「LOS ANGELSE 1975 4TH NIGHT」

警察による逮捕者続出のライブの記録
マイク・ミラードによる好録音の出現

 

<Progressive Rock>

Pink Floyd 「PINK FLOYS LOS ANGELSE 1975 4TH NIGHT」
~ MIKE MILLARD ORIGINAL MASTER TAPES
Bootleg / Sigma 242 / 2020

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Live at Los Angeles Memorial Sports Arena, Los Angeles, CA, USA 26th April 1975

Pink Floyd
Venetta Fields : Backing vocals
Dick Parry : Saxophone
Cariena Williams : Backing vocals

  とにかくこの何十年の間にもピンク・フロイドのブートは何百枚と出現している。あのボックス・セット「Early Years 1965-1972」「The Later Years (1987-2019)」のオフィシャル・リリースによって下火になるのかというと全くそうでは無い。むしろ火を付けているのかと思うほどである。それもピンク・フロイドそのものはディブ・ギルモアの手中に握られたまま、全くと言って活動無くむしろ潰されている存在だ。これが本来のロジャー・ウォーターズにまかせれば、今頃米国トランプや英国の低次元の騒ぎなど彼の手によって一蹴されているだろうと思うほどである。相変わらずのファンはこのバンドの世界に夢を託しているのである。

 そんな時になんとあの彼らの絶頂期であった1975年の「FIRST NORTH AMERICAN TOUR」のライブものが、オフィシャルに使われるほどの名録音で知られるマイク・ミラードの手による良好録音ものの完全版が出現をみるに至ったのである。

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  とにかく世界的ベストセラーになったアルバム『狂気』(1973)以来、彼らにとっては全く別の世界の到来となる。金銭的には驚くほどの成果を上げ、それと同時に重圧ものしかかる。又スポンサーとのトラブル、四人の社会に於ける存在の意義にも変化が出る。

810cgm6w   そして1975年1月ようやく次のアルバム『炎』(1975 →)の作業に入る。しかしそこには『狂気』当時の彼らのクリエイティブなエネルギーのグループの姿はなかった。メイスンは個人的な問題から意欲は喪失していた("Shine on you Crazy Diamond","Wish You Were Here "の2曲はロジャー、デイブ、リックの三人、""Welcome to The Machine,"Have a Ciigar"の2曲はロジャーの作品である)。又ロジャー・ウォーターズの葛藤がそのままライブ(この「NORTH AMERICAN TOUR」)にも反映されていた。まさにライブとスタジオ録音が平行して行われメンバーも疲弊していた。更に慣れない4チャンネル録音で、技術陣も失敗の繰り返し。とにかくつまづきの連続で困難を極めたが、そこでロジャーは一つの開き直りで"その時の姿をそのままアルバムに"と言うことで自己納得し、ライブで二十数分の長い"Shine On"(後に"Shine On You Crazy Diamond")を2分割し、間にロジャーが以前から持っていた曲"Have a Cigar"を入れ、当時の音楽産業を批判したロジャー思想の"Welcome to the Machine"を入れ、更にロジャーのシドへの想いと当時の世情の暗雲の環境に対しての"詩"だけは出来ていたその"Wish you were here"は、ロジャーとギルモアが主として曲を付け仕上げた。しかしこの75年がバンド・メンバーの乖離の始まりであり、そんな中でのアルバム作りとなったのであるが・・・。
 そして予定より半年も遅れて9月にこの『炎』のリリースにこぎ着けたのだが、今想うに『狂気』に勝るとも劣らない名作だ。

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 しかしこのような状況であったこも関わらず、当時のピンク・フロイドの人気は圧倒的で、このロスのライブの4夜の4月22,23,24,26日の6万7千枚のチケットは一日で完売、追加の27日公演は数時間で売り切れというすざまじい売り上げであったのだ。
 そしてここに納められているのは26日(土)のライブの姿である。

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Disc 1 (63:33)
1. Mike Test
2. Intro.
3. Raving And Drooling
4. You Gotta Be Crazy
5. Shine On You Crazy Diamond Part 1-5
6. Have A Cigar
7. Shine On You Crazy Diamond Part 6-9 

Disc 2 (56:54)
The Dark Side Of The Moon
1. Speak To Me
7_20200316200101 2. Breathe
3. On The Run
4. Time
5. Breathe(Reprise)
6. The Great Gig In The Sky
7. Money
8. Us And Them
9. Any Colour You Like
10. Brain Damage
11. Eclipse

Disc 3
1. Audience 
2. Echoes

 このはライブは、絶頂期アルバム『狂気』、『炎』、『アニマルズ』の三枚に関係するセットリストの内容であり、又彼ら人気の最高に至る経過を盛り込んでおり、ブート界でもこの録音モノは引っ張りだこなのだ。しかもアンコールでは"ECHOES"も登場するのである。

Hogsinsmog  私がかってから持っていて出来の良いブート・アルバムは『Hog's in Smog '75』(STTP108/109=1975年4月27日追加公演モノ)で、セットリストは同一である。これもかなりの好録音であった(→)。
  
 しかしここに登場したマイク・ミラード録音モノは、更にその上を行く。Audienceとの分離はしっかりとしており、特に音質は高音部の伸びが素晴らしい。そして全体の音に迫力がある。
 当時のピンク・フロイドのライブは、スタジオ・アルバム版との演奏の違いは各所にあって、ギルモアのギターのアドリブも多く、マニアにはたまらない。ヴォーカルはロジャーの詩に込める意識は強くその歌声にも意欲が乗っていて聴きどころがある。そして至る所にやや危なっかしいところがあって、そこがリアルでライブものの楽しみが滲み出てくる。今回のものは既に出まわっていたモノの改良版で、内容が更に充実している。
 とにかく集まった聴衆の行為にも異常があり、爆竹の音もある。とにかく警察による逮捕者の多さでも話題になったライブでもある。

 "Raving And Drooling "は、『アニマルズ』の"sheep"の原曲だが、スタートのベースのごり押しが凄いしギターのメタリックの演奏も特徴的だ。"You Gotta Be Crazy"は"dogs"の原曲でツインギターが響き渡る。 この難物の2曲もかなり完成に至っている。『狂気』全曲も特に"On the run"のアヴァンギャルドな攻めがアルバムを超えている。そして一方この後リリーされたアルバム『炎』の名曲"Shine on you Crazy Diamond"の完成に近づいた姿を聴き取れることが嬉しい。
 又アンコールの"Echoes"にDick Parryのサックスが入っていて面白い。

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 いずれにしても、今にしてこの時代の良好禄音盤が完璧な姿で出現してくるというのは、実はギルモアというかポリー・サムソン支配下の現ピンク・フロイド・プロジェクトが、このロジャー・ウォーターズの葛藤の中からの重要な歴史的作品を産み、そして時代の変化の中でロックの占める位置を進化していった時期を無視している事に対して、大いに意義があると思うのである。そのことはピンク・フロイドの最も重要な『狂気』から『ザ・ウォール』までの四枚のアルバムに触れずに、ここを飛ばしてピンク・フロイド回顧と実績評価のボックス・セット「Early Years 1965-1972」「The Later Years (1987-2019)」を完成させたというナンセンスな実業家サムソンの作為が哀しいのである。

 当時のライブものとしては、この後5月はスタジオ録音に没頭、そして再び6月から「NORTH AMERICAN TOUR」に入って、『HOLES IN THE SKY』(Hamilton,Canada 6/28/75=HIGHLAND HL097/098#PF3 下左 )、『CRAZY DIAMONDS』(7/18,75=TRIANGLE PYCD 059-2  下右)等のブートを聴いたのを懐かしく思う。

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(評価)

□ 演奏・価値 ★★★★★☆   95/100 
□ 録音    ★★★★☆   80/100

(視聴)

 

 

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2020年2月 5日 (水)

WOAのウィズイン・テンプテーションWithin Temptation 「W : O : A 2019」

大観衆との一体感はさすがである

<Symphonic Metal>

Within Temptation 「W : O : A 2019」
Bootleg DVD / Hauptstrasse, Wachen, Germany 2019.08.02

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シャロン・デン・アデル (Sharon den Adel) - ボーカル (1996- ) 
ローベルト・ヴェスターホルト (Robert Westerholt) - ギター(1996- 現在制作担当) 
ルード・ヨリー (Ruud Jolie) - ギター (2001- )
ステファン・ヘレブラット (Stefan Helleblad) - リズムギター (2011- )
イェローン・ファン・フェーン (Jeroen van Veen) - ベース (1996- )
マルテン・スピーレンブルフ (Martijn Spierenburg) - キーボード (2001- )
マイク・コーレン (Mike Coolen) - ドラムス (2011- )

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  フィンランドのナイトウッシュのオフィシャル・ライブ映像盤『DECADES』を前回取り上げたので、ここでオランダのウィズイン・テンプテーションを取り上げておこう。いずれにしてもシンフォニック・メタルと言うところでは、この二バンドは今や世界の両雄としてとして君臨しているからである。
 この映像盤は、ブートレグではあるがプロショットもので、その映像はオフィシャル以上の素晴らしさで圧巻。
 ドイツ北部のヴァッケンで1990年から始まって、1998年には世界的メタル・フェスティバルの大イベントに成長したメタルの暑い夏の祭典。そして昨年の「WAKEN OPEN AIR 2019」のステージを録画した最も近くの映像だ。

Img_2085trw (収録曲)

01.Raise Your Banner
02.The Reckoning
03.Stand My Ground
04.In The Middle Of The Night
05.The Heart Of Everything
06.Ice Queen
07.Faster
08.Supernova
09.Paradise (What About Us?)
10.What Have You Done
11.Mad World
12.Mother Earth

 この日は運悪く雷雨トラブルにあった様だが、まさに数万人という大観衆のHARDER STAGEにウィズイン・テンプテーションWITHIN TEMPTATIONが登場。序盤は2018年に5年ぶりにリリースのアルバム『RESIST』から"Raise Your Banner"、"The Reckoning"をプレイ。曲がシャロンの低音のヴォーカルから始まりやや静かな印象のスタートだが、次第に盛り上がってゆくのはさすが人気バンド。
  3曲目にはあの大ヒット曲"Stand My Ground"が登場で、一気にオーディエンスをして虜にしてしまう。
 アルバム『Hydra』(2014)の大成功後は、噂では"燃え尽き症候群"のような状態に陥り、シャロンはソロ・プロジェクトを始動させたりで、このバンドの行く末に不安がよぎったのだった。しかし2018年5年ぶりのアルバム『RESIST』が登場し、ファンをホットさせたのだった。
 そしてこの2019年のメタル・フェスティバルに登場してのパフォーマンスに聴衆は酔うと言うことになった状況なのだ。

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 このステージで見る限り、シャロン嬢もいまや"お母さん"というイメージになってきたとはいえ、このシンフォニック・メタルの中心としてのヴォーカルは相変わらず聴衆を引きつけての演技は立派というところ。
 M5."The Heart Of Everything" は会場に響き渡る展開はシンフォニックな演奏で包み込む。
 M6."Ice Queen" のアコースティック・ギターをバックのこのライブ唯一のシャロンのバラード・ヴォーカルも聴かせどころでしっとりとしていい。
 M7."Faster " ルードとステファンのツインギターも映像を見る限り健在だ。 
   M9."Paradise" 元ナイトウィッシュのターヤとの共演で話題になった曲も登場。
   アンコールのM10."What Have You Done "は、シャロンの実力のみせどころ、なになに歳を感じさせない健在ぶりだ。
 M12."Mother Earth" の荘厳な夕陽に映える会場での一体感はお見事。

 しかし、便利な世の中になりましたね。ついこの間のドイツにおけるライブもプロショットでこうしてじっくり見れると言うことですから。そんな中で、彼らも20年の経過を重ねると紆余曲折もはらむと思うが、こうしてバンドとして健在であった事が何よりも目出度いのである。

<参考 : Within Temptation 過去のスタジオ・アルバム>
①Enter (1997年)
②Mother Earth (2000年)
③The Silent Force  (2004年)
④The Heart Of Everything (2007年)
⑤The Unforgiving (2011年)
⑥Hydra (2014年)
⑦Resist(2019年)

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★☆  90/100
□ 画像・音質 ★★★★☆  85/100

(視聴)

(この"2019WOA-Liveのプロショットもの"は、まだ見つからないので・・・参考に↓)
Within Temptation Ft.Tarja PARADISE Live at Helfest Festival 2016

 

 

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2020年2月 1日 (土)

ナイトウィッシュNightwish 「DECADES Live in Buenos Aires」

オフィシャル・ライブ映像盤~~彼らはやっぱり映像がいい
オペラティック・メタル、シンフォニック・メタルの華

<Symphonic Metal>

Nightwish 「DECADES Live in Buenos Aires」
Ward Records / JPN / Blu-ray / GQXS-90414 / 2020

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Tiomas Holopainen : Keys.
Floor Jansen: Vocals.
Marco Hietala: Bass,Vocals
Troy Donockley : Uilleannpipes, Low whistles, Vocals.
Emppu Vuorinen: Guitar
Kai Hahto: Drums

 世界的に人気のフィンランドのシンフォニックメタル・バンドのナイトウィッシュ、そのライブ映像盤。彼らは今や、オランダのウィズイン・テンプテーションと両横綱的存在といってよい。
 ナイトウイッシュの最新スタジオ・アルバムは2015年『Endless Forms Most Beautiful』で、既に四年以上経過しているが、その間、2017年には『VEHICLE OF SPIRIT』(Nuclear Blast / USA / NBA 3850-7) のライブ映像盤のリリースがあり、そして2018年にベスト・アルバム『Decades(Best of 1996-2016)』(HMHR180302-305)がリリースされ、その記念ワールド・ツアーが全82公演にも及んだ。その中のブエノスアイレス公演を完全収録したものである。

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Nw1  収録曲は右のように全21曲で、初期のヒット曲に加え近作『Endless Forms Most Beautiful』の収録曲という構成である。2018年9月30日のブエノスアイレスの“エスタディオ・マルヴィナス・アルヘンティナス"で、収録技術陣も大がかりでのステージを収録したもの。八千人と言われる熱気ある大観衆とのやりとりがしっかり捉えられており、サウンド面もDTSサラウンドで臨場感は十分。この手はやっぱりスクリーンに投影して、サラウンドの大音響で聴くのが一番だろうね 。(笑い)

 とにかく、ターヤ、アネッテ、そしてあアフター・フォーエバーのフロール・ヤンセンのサポート(2012年)から正式加入と歌姫三代目のナイトウィッシュだ。しかし意外に良かったのは、英国のイリアンパイプ奏者のトロイ・ドノックリーを加入させたことでしょうね。彼は私はケルティック・フォーク・ロックの「Iona」での演奏がお気に入りだったんだが、ナイトウィッシュに招かれ、そして加入、これによってこのバンドの演奏は一層シンフォニックの味も厚みがつき、又ケルト的ムードの神秘性を秘めるようになり、ツォーマスの世界との安定した重複によって充実したというところだ。

 3曲目の"With I had an Angel" あたりから、会場もそして演ずる彼らも元気が出て、続く4曲目の"10th Man Down"が、得意の物語調に曲を進めて、展開がメリハリ、締まりの良い曲に仕上げた結果、非常に盛り上がる。
 6曲目"Gethsemane"のシンフォニック・メタルそのものもインパクトあり。
 9、10曲目はヤンセンの美的ヴォーカルが聴きどころ。特に10曲目"Dead Boy's Poem"は、しっとり聴かせ、情緒たっぷりだ。そして後半メタルに転調しての曲の変化の流れがリーダーのツォーマスの手法の上手いところだ。
Nw3  11曲目"Elvenjig"は彼らの演奏の見せどころ、ドノックリーのパイプが効果的で、なかなか神秘的で良い。
 13曲目"I Want My Tears Back"のヒット曲はリズムカルで楽しく、会場全体も跳ねての一体感に包まれる。
 14曲目"Amaranth"は当然盛り上がり、15曲目のトノックリーのヴォーカルがなかなかのもの。歌姫は横に置いておいて、アルバムの一曲ぐらいは、彼と歌の旨いマルコで歌わせるのも良いのでは。
 16曲目"The Kinslayer" この曲を聴くと初代ターヤを思い出しますね。ここに来て彼女も映像盤リリースしますが、やっぱりナイトウィッシュ時代のような圧倒するものは残念ながら少し弱い、つまり曲や演奏もいかに大きいかですね、ツォーマス偉大なり。
 18曲目"Nemo"も登場してサービス満点。

 とにかく、彼らのステージは楽しい。迫力と美しさと懐かしさと神秘的なところも盛り込んで、良いステージだ。まあ楽しむ意味においても、このようなBlu-rayでのステージ映像盤は大歓迎である。
 近々9作目のスタジオ・ニュー・アルバムがリリースされることになっていて、それに伴ってツアーも企画されている。ロックも岐路に立っていて世界的に低調の中、フィンランドのからゴシック・メタル系で出発した彼らが、オペラティック・メタルそしてシンメトリック・メタルという形を作りつつ、そろそろ20年の経過を音楽的充実をしながら世界規模に展開しているのは楽しい限りである。
 

Nw4 (参考) ナイトウイツシユ過去のスタジオ・アルバム

①エンジェルズ・フォール・ファースト Angels Fall First (1997年)
②オーシャンボーン Oceanborn (1998年)
③ウィッシュマスター Wishmaster (2000年)
④センチュリー・チャイルド Century Child (2002年)
⑤ワンス Once (2004年)
⑥ダーク・パッション・プレイ Dark Passion Play (2007年)
⑦イマジナエラム Imaginaerum (2011年)
⑧エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル Endless Forms Most Beautiful (2015年)

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★★☆  95/100
□ 映像・録音   ★★★★★☆  90/100

(視聴)

 

*
"The Kinslayer" Live in Benos Aires 2018 by Floor Jansen

 

*
(参考) "The Kinslayer" Live Heartwall Areana 2006 by Taja Turunen

 

 

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2020年1月10日 (金)

ジェフ・ベック Jeff Beck 「CROSSROADS GUITAR FESTIVAL 2019」

ジェフ・ベックは相変わらずの歳を感じさせない若さを発揮
ジョニー・デップがゲスト参加

<Rock>

Jeff Beck 「CROSSROADS GUITAR FESTIVAL 2019」
VIDEOSMASH / VS-324BDR / 2019

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LIVE PRO-SHOT BLU-RAY DISC 5.1SURROUND
Live at American Airline Center, Dallas, Texas, USA
September 20, 2019

Jeff Beck : Guitar
Vinnie Colaiuta : Drums
Rhonda Smith : Bass
Jimmy Hall : Vocal
Venessa Freebairn-Smith : Cello
(Guest)Johnny Depp : Guitar, Vocal

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 エリック・クラプトンの主催する毎年行われているギター・フェスティバルの「CROSSROADS」だが、今年9月20日のジェフ・ベックのステージの模様をプロショットで完全収録したBootleg盤。しかしブルー・レイによる画像も素晴らしく、又音質も5.1サラウンドと立派。

 そして今年はなんとスペシャル・ゲストとして、昨年来共演で話題になっていたあのジョニー・ディップがギターとともにボーカル・ナンバーを披露している。

  メンバーはこのところのあの美人チェロリスト擁したジェフ・ベック・バントである。そして演ずる曲は下のようなところであった。

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 ジェフJeff Beck のギターに、いつものスミスRhonda Smith(Bass) ,  久しぶりのカリウタVinnie Colaiuta(Drums)そして話題の ヴェネッサVenessa Freebairn-Smith のCelloが加わる布陣で、今までプロショットものがまだ公開してかったため、貴重な映像盤。例のJimmy Hallのヴォーカルが入る。
 そしてなんと あの話題のジョニー・デップJohnny Depp がギターとヴォーカルでこの「CROSSROAD」にもゲスト出演。これはやっぱり話題になる。

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 しかし私は、このジェフ・ベック・バンドでは注目の一つは、ヴェネッサのチェロがどのように曲の中で生きるのかということにもあった。もともと過去にキー・ボードも多用したジェフ・ベックであるので、恐らくそのような感覚でチェロを流すのだろうと踏んでいたのである。それはM2."CAROLINE,NO"で手に取るように解った。それはバラード調の曲でチェロの調べが流れ、そこにシェフの美しいギターが乗るパターンでお見事と言うことになる。このあたりはこの映像版で非常に解りやすい。

 そしてM4."RUMBLE"からジョニー・デップが登場して、まずM5."ISOLATION"でヴォーカル披露開始、まあ上手いとは言えないが、興味をそそるところはピカイチ。
 そしてM6."HEDDY LAMAR"では、ジョニーはしっとりと歌い上げる。この曲がこのゲスト出演のメインの曲なんだろうなぁ。チェロ、ギターが静かにメロディーを流し、しっとりと聴かせるパターン。
 M7."BRUSH WITH THE BLUES"は、ジェフのギターの聴かせどころで盛り上がる。

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 毎年、「CROSSROADS」で楽しませてくれるジェフ・ベック、これも年中行事になっていて彼の健在ぶりを見ることが出来て。結構なことである。又こうしたプロショットの優良映像盤の出現も頼もしい限りである。そしてここでも観れたジョニー・デップには、いずれにせよ驚きました。

(評価)
□ 選曲・演奏 ★★★★☆  80/100
□ 録音・映像 ★★★★★    100/100

(参考視聴)

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2019年12月16日 (月)

ロジャー・ウォーターズRoger Waters 「PROJECT K.A.O.S.」検証

「RADIO K.A.O.S.」の完全版スタジオ・アルバム

<Progressive Rock>

Roger Waters 「PROJECT K.A.O.S.」
Reissue, Unofficial Release / Jpn / 2017

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Roger Waters & Bleeding Heart Band
Mixed by Chad Hendrickson

 しかしロック・アルバムといっても、コンセプト・アルバムという世界を構築してきたロジャー・ウォーターズの関係するところでは、今でも本人以上に、ファン仲間ではトータル・アルバムとしての作品への思い入れは大きい。かってピンク・フロイド時代の映画「モア」のサントラ音楽に提供したため崩壊したピンク・フロイドの組曲「ザ・マン」「ザ・ジャーニー」を未だに求めたり、又アルバム『ウマグマ』(1969)に納められている"Careful With Tfat Axe,Eugene"と、映画「砂丘」に登場するピンクク・フロイドの曲"51号の幻想"の関係、そして"若者の鼓動"、"崩れゆく大地"の2曲も含めての世界。更に映画「2001年宇宙の旅」とアルバム『おせっかい』の曲"エコーズ"との関わり合い。更にリイッシューされたアルバム『ファイナル・カット』では、曲"when the tigers broke free"追加され完成させたりと、話は尽きない。

Kaos1  これらはコンセプト・アルバムという世界に起こる不思議な現象で、更に2000年以降もロジャー・ウォーターズのソロ・アルバムにおいてもこれは起きているのである。
 まずは「ザ・ウォール・ライブ・ベルリン」では最後の締めくくりの曲に、アルバム『RADIO K.A.O.S.』(→)の"The Tide Is Turning"が採用され、アルバムどおり演じてきたコンセプト作品「ザ・ウォール」の曲にソビエト崩壊の時代の変化をオーバー・ラップさせ、喝采を得た。

 そしてここで取り上げるは、彼のソロ・アルバム『RADIO K.A.O.S.』である。このアルバム・リリースは1987年、彼のソロとしての腹づもりが固まったときである。バンド名も当時は"Roger Waters &Bleeding Heart Band"として活動した。それはこの前年にリリースされた長編アニメーション映画『風が吹くとき』のサウンド・トラック制作に力を注いだ時からだ。当時彼には世界冷戦下の核戦争の恐怖を中心としたもともと持っていた"反戦思想"に関心は高く、前ソロ作『ヒッチハイクの賛否両論』は内に向けた葛藤であり、それから今度はこのような外に向けたエネルギーの発露でもあった。

Pkaos  しかしこのアルバム『RADIO K.A.O.S.』は、ウォーターズの求めていたコンセプト・ストーリーを表すには実は不十分に終わってしまっていた。当時CD時代の幕開けにそってLPサイズにはこだわらない長編を彼は企画して曲も作っていたが、レコード会社は40分少々のLPサイズにこだわったため、大きく削っての作品となってしまっていたのである。そして一部の曲は先行した映画『風の吹くとき』のサントラに提供していたのである。
 そこで既にリリースされたアルバム『RADIO K.A.O.S.』を本来の姿に完成させようという動きがあって、まずは2000年に『PROJECT K.A.O.S.』が ライブ音源を中心に造られた。(参照 : 「ロジャー・ウォーターズの世界に何を見るか」)
 しかしその後はスタジオ録音版を収集して2017年には完成版『PROJECT K.A.O.S.』(→)が登場し、今にしてブートレグ界では持てあまされている。それがここに取り上げたリイッシュー版の『PROJECT K.A.O.S.』の原型である。
 もともとこのアルバムはウォーターズの反核戦争思想をベースにしての人の交わりを描いたアルバムであるが、彼の"自己を見つめる世界"、"社会をみつめる世界"のどちらかというと後者に当たる。そしてその数曲の追加収録によって、コンセプトが更に明快になってゆくのである。

(Tracklist)

Rw12 1. Get Back To Radio 4:51 *
2. Radio Waves (Extended) 6:57
3. Who Needs Information 5:56
4. Folded Flags 4:27 *
5 .Me Or Him? 5:17
6. The Powers That Be 3:57  
7. Going To Live In LA 5:38 * 
8. The Fish Report With A Beat 1:49 * 
9. Sunset Strip 4:46
10. Molly's Song 3:11*
11. Home 6:00
12. Four Minutes 4:00 13
13. The Tide Is Turning (After Live Aid) 6:16
14. Pipes And Drums 1:30 *
                                        (*印 新規収載)

  このアルバムは上記のように6曲が新規収録されていて、オリジナルが41:24分であったものが、なんと65:03分というストーリーを充実したアルバムになっている。注目はM1."Get Back To Radio"、M7."Going To Live In LA"、M10."Molly's Song"などが上げられるが、ジム・ラッドのセリフの充実や、話の主人公ビリーの新規セリフも入って、コンセプト・ストーリーがかなり解りやすくなっていると言うのだが・・・英語の理解力不足で少々残念。
 
 もともとストーリーとそのコンセプトは・・・
 主人公ビリーは植物人間的な存在、兄の擁護で生活。世界中に流れるラジオ電波(Radio Waves)と交信出来る超能力を持つことに気づく。様々な電波と交信している中で、電波を通じて社会や人間を操ろうとする権力者の存在に気付く。ビリーの抵抗は始まり、革新的試みが感じられるラジオ局「Radio KAOS」に接触。そして、DJのジムと共に世界に向けて平和のメッセージの発信を試みる。第二次大戦中の原爆開発プロジェクト「マンハッタン計画」やレーガン大統領、サッチャー首相ら、当時の政治家を交えながら、核の脅威が描かれる。物語の終盤では、ビリーの超能力は政府のスーパーコンピュータを操作できるほど強力になり、核兵器を制御して世界の混乱を納めることになる。

Rw11  既存のマスメディアの批判を試みつつ、更に「Radio K.A.O.S.」という仮想媒体を通して多くの社会的メッセージを発信しているアルバム。ピンク・フロイド在籍時のラスト・アルバム『ファイナル・カット』(1983年)の続編的存在で、マーガレット・サッチャーやロナルド・レーガンを実名で批判する。また、核兵器廃絶も強く訴えるものだ。ラストのM13. "流れが変わる時〜ライブ・エイドが終わって〜"では、想いもしなかったソ連の崩壊という社会現象から平和的で暖かなメッセージが歌われ一つの収束をするところは一つの救いでもある。

 このアルバムは、当時、"ピンク・フロイドの存続・所有権問題"の中での一つの戦いでもあったウォーターズは、ライブでもエネルギーたっぷりの展開を見せ、音楽的にも従来のフロイド・タイプをただ継承するので無く、むしろ一歩進めたことからも歴史的に興味深いアルバムである。更にそのコンセプトの完全化を期待するファンも多く、このような完全版が造られることは実に興味深い。

  当時の状況の中でのウォーターズのその姿には更に興味深いところがあるため、それぞれの新規収録曲の内容検討しながら、この完成盤の検証をいずれ又もう少し深入りしたい。

(評価)
□ 収録曲・演奏   ★★★★★☆ (完成度を高めた努力を評価) 
□ 録音       ★★★★☆

(参考「Radio K.A.O.S.」の多彩なメンバー)

Roger Waters – vocals, acoustic and electric guitars, bass guitar, keyboards, shakuhachi
Graham Broad – percussion, drums
Mel Collins – saxophones
Nick Glennie-Smith – DX7 and E-mu on "Powers That Be"
Matt Irving – Hammond organ on "Powers That Be"
John Lingwood – drums on "Powers That Be"
Andy Fairweather Low – electric guitars
Suzanne Rhatigan – main background vocals on "Radio Waves", "Me or Him", "Sunset Strip" and "The Tide Is Turning"
Ian Ritchie – piano, keyboards, tenor saxophone, Fairlight programming, drum programming
Jay Stapley – electric guitars
John Thirkell – trumpet
Peter Thoms – trombone
Katie Kissoon, Doreen Chanter, Madeline Bell, Steve Langer & Vicki Brown – background vocals on "Who Needs Information", "Powers That Be" and "Radio Waves"
Clare Torry – vocals on "Home" and "Four Minutes"
Paul Carrack – vocals on "The Powers That Be"
Pontarddulais Male Voice Choir - chorus

(参考視聴)

 

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2019年12月12日 (木)

ロジャー・ウォーターズRoger Waters 「Roger Waters With Eric Clapton / Chicago 1984」

クラプトンのギターが美しく響くウォーターズのライブ
今となれば貴重な記録が・・好録音で

<Progressive Rock>

Roger Waters 「Roger Waters With Eric Clapton / Chicago 1984」
IAC( KING STREET) / JPN / KING2CD4105 / 2019

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(Tour band)

Roger Waters: Lead vocals, Bass guitar, Acoustic guitar
Eric Clapton: Lead guitar 
Tim Renwick: Rhythm guitar, Bass guitar
Michael Kamen: Keyboards
Andy Newmark: Drums
Chris Stainton: Hammond organ, Bass guitar 
Mel Collins: Saxophone
Katie Kissoon: Backing vocals
Doreen Chanter: Backing vocals

 しかし相変わらすロジャー・ウォータースの話題は尽きない。つい先日は世界的に「US+THEM」映画の公開で話題をさらったが、ここに彼がピンク・フロイドから一歩引いてのソロ活動当初に再び関心が高まるのである。まずその一つがこのエリック・クラプトンとのライブ録音の驚愕とも言える素晴らしい音源が出現した。このライブは話題高かったがその記録版は、私も何枚かを所持しているが、どちらかというと見る耐えない何となく解る程度の映像モノ、そしてサウンド版も良好と言ってもかなり聴くに問題の多いモノ。しかし中身はさすがクラプトンのギター世界は素晴らしい、そしてメル・コリンズのサックスも、マイケル・カーメンのキー・ボードもと聴きどころは多かったのだ。
 とにかくギルモアとは全くの趣違いのクラプトンのギターと、ピンク・フロイド時代のウォーターズの手による曲をとにかくアグレッシブに編曲したところの楽しさだ。当時は最も脂ののったウォーターズのこと、エネルギーに満ち満ちたプレイが凄い。

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 ピンク・フロイドの熱気最高潮の「アニマルズ・ツアー」、莫大な資金をかけた「ザ・ウォール」ツアー。しかしその後の、1983年にリリースする12thアルバム『ファイナル・カット』以後、ピンク・フロイド は内部亀裂によりコンサート・ツアーを行わず、バンドは活動休止する。そんな中で、 ロジャー・ウォーターズは1984年にソロ・アルバム『ヒッチハイクの賛否両論(原題:The Pros And Cons Of Hitch Hiking)』(右下)をリリースした。これは彼が『ザ・ウォール』時代に既に出来上がっていたものだが、ピンク・フロイド・メンバーに受け入れられず、アルバム・リリース出来なかったモノだが、ギタリストにエリック・ クラプトンを起用して、彼の心の内面にある不安の世界を描いた作品として、クラプトンのギターの美しさと共に注目された。そしてエリック・クラプトンと共にメル・コリンズをも帯同して大規模なライヴ・パフォーマンスを披露する。同年6月16日の スウェーデンのストックホルムからスタートし、ヨーロッパ~北米で19公演を行う。その中で最終公演 となる7月26日のイリノイ州シカゴでのコンサートは地元のロック専門FMラジオWXRT-FMのスペシャル番組として収録・放送されたのであった。このアルバムはそれが音源となっているためサウンドはオフィシャル級で、30年以上経ってのこのオフィシャル・ブートレグの出現は驚愕を持って受け入れられているのだ。

(このライブの評価)
□ ロジャー・ウォーターズの世界に何をみるか
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_aff8.html

 

81idrepzkfl_ac_wjpg (Tracklist)

(Disc 1)
01 太陽讃歌
02 マネー
03 もしも
04 ようこそマシーンへ
05 葉巻はいかが
06 あなたがここにいてほしい
07 翼を持った豚
08 イン・ザ・フレッシュ?
09 ノーバディ・ホーム
10 ヘイ・ユー
11 ザ・ガンナーズ・ドリーム
1db4d8e94f124bfc95703bd4e71b9ffa (Disc 2)
01 4:30 AM トラベリング・アブロード
02 4:33 AM ランニング・シューズ
03 4:37 AM ナイフを持ったアラブ人と西ドイツの空
04 4:39 AM 初めての出来事 パート2
05 4:41 AM セックス革命
06 4:47 AM 愛の香り
07 4:50 AM フィッシング
08 4:56 AM 初めての出来事 パート1
09 4:58 AM さすらう事そして生きる事をやめる
10 5:01 AM心のヒッチハイキング
11 5:06 AM ストレンジャーの瞳
12 5:11 AM 透明なひととき
(Encore)
13 狂人は心に
14 狂気日食

 セット・リストは第1部、第2部、そしてアンコールを含めて全25曲で、このアルバムは上のように完全収録している。このコンサートの特筆すべき点はウォーターズがピンク・フロイドから一歩離れてのロックらしい世界に原点回帰している事と、やはり エリック・クラプトンの参加である。自己の世界を持つクラプトンが、自らの楽曲は一切演奏せず、ピンク・フロイドとロジャー・ウォーターズの楽曲を一人のリード・ギタリストとして デヴィッド・ギルモアとは全く異なる世界で完璧なギター・ソロを披露している。特に前半のピンク・フロイド曲の変化が面白い、これは当時のウォーターズのフロイド・メンバーへの不満が攻撃性となり、一方クラプトンが時々見せるギター・ソロ・パーフォーマンスは、完全に彼ら自身の世界に突入し、かっての曲がむしろ異色に変化して新鮮に蘇ってくる。これはウォーターズとクラプトンのプライドの成せる技であったのかも知れない。このあたりは当時単にピンク・フロイドの再現を期待したファンには不満があったと言われているが、何度聴いてもその変化はブルージーなロックに変化していて面白い。又こうも演者によってギターの音色も変わるのかと圧倒される。

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  後半のアルバム『ヒッチハイクの賛否両論』の再現は、クラプトンの美しいギターによって描かれるところが聴きどころであり、相変わらずのウォーターズの造る美しいメロディーと"美・静"の後に来る"彼の絶叫"と"爆音"に迫られるところは圧巻である。そして"セックス革命"のテンションの高いギターと"愛の香り"、"ストレンジャーの瞳"の美しさにほれぼれとするのである。

Image2  商業的問題から僅か19公演で終了したこのツアーであったが、この二人を筆頭に豪華メンバーでの パフォーマンスを収録したこのライヴ・アルバムはファンにとってまさに驚きで迎えられる作品である (圧巻のライブ・バック・スクリーン映像→) 。
 そして輸入盤を国内仕様としてここにオフィシャル盤以上にかなり丁寧な解説付きでリリースされているところは評価したい。久々にロジャー・ウォーターズのアグレッシブな編曲演奏に触れることが出来、又あのピンク・フロイドの転換期を体感できるところが貴重である。

(評価)
□ 曲編成・演奏 ★★★★★☆
□ 録音       ★★★★☆

 

(視聴)

 

 

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2019年10月31日 (木)

King Crimson 2019年10月映像版「Rock in Rio 2019」

もう足かけ6年目となるトリプル・ドラムス・クリムゾンも完成期か

<Progressive Rock>

<Bootleg DVD>  
King Crimson 「Rock in Rio 2019」

Kc2019

Live Rock in Rio  / Oct.6.2019

(Tracklist)
01.Drumsons
02.Neurotica
03.Red
04.The Court of the Crimson King (with Coda)
05.Indiscipline
06.Epitaph
07.21st Century Schizoid Man

Kc

Fripp_20191031091901  キング・クリムゾン三連発です。
 新生キングクリムゾンも6年目となり「2019年南米ツアー」敢行、ついこの間の10月6日にブラジル・リオデジャネイロで行われたロックフェス「ロックインリオ2019]でのライブをプロショット収録した最新映像がお目見えしている。テレビ放映されたモノか。なんとこれは南米のハードロック系がメインのフェスであって、クリムゾンが出演は珍しい。その際の映像で注目だが、大観衆の前ににて圧倒的な観衆の支持を得た。
 ワンマンショーではないので、時間も限られた中で、"スターレス"は無かったが、どちらかというとファンには喜ばれる楽曲が選ばれていて、最初から最後までいつも通りバンドの集中力も素晴らしく迫力あるライブが堪能できる。ブートとは言えHDマスターソースから製品化されたものという。

LevinMcollinsJakko

 スタートからトリプル・ドラムスによる演奏で度肝を抜いての演奏。映像からメンバーを見ると、このところキーボード担当していたBill Rieflinが抜けていて、一時そうだった7人体制で、キーボードはJeremy Stacey がドラムスとともに演じている。
 Jakko Jakszykは完全にもうクリムゾンのヴォーカル担当になってかなり自然体で演じている。
 相変わらず、インプロにおいてはもうMel Collinsはお得意のスタイルで味を付ける。なにせ昔から暴れるのは得意。
 Tony Levin のベースは相変わらず落ち着いている。

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 かってのジャズ・ドラムス的タッチは、Gavin Harrisonがなかなか上手いドラムスを展開する。
 Pat Mastelottoは相変わらずパーカッションとドスンバタンのドラムスを叩く。
 とにかくここでもあまり表に出る雰囲気も無く、Robert Frippは静かにギター、キーボードを満足げに演じている。ここ6年間である程度満足できるクリムゾン回顧を成し遂げたのであろうから、そろそろ頭の中はニュー・アルバム構想でも出来ているのか、ちょっとそんなことも感じながら見たというわけだ。

(評価)
□ 選曲・演奏 ★★★★★☆
□ 画像・録音 ★★★★☆

(参考視聴)

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2019年10月27日 (日)

キング・クリムゾンKing Crimson ニュー・アルバム「AUDIO DIARY 2014-2018」

2014年の復活からのツアー・ライブ演奏集 CD5枚組

<Progressive Rock>
King Crimson 「AUDIO DIARY 2014-2018」
Panegyric / Import / KCXP5007 / 2019

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Robert Fripp(g, Key), Jakko Jakszyk(g, voc), Tony Levin(B), Mel Collins(Sax), Bill Rieflin(Key) , Pat Mstelotto(D), Jeremy Stacey(D, key), Cavin Harrison(D), Chris Gibson(key)

  2011年のフリップ引退宣言によるキング・クレムゾンの終焉、そからなんと2014年のキング・クリムゾンの復活劇、これも何度も騙されての衝撃だった(過去にそのあたりは考察したのでそちらに譲るが)。その2014年の復活(NY公演)から2018年(東京公演)まで各ツアーのフリップ自身の納得のベスト・オブ・キング・クリムゾン・ライヴといったものだ。
 既にそれぞれの音源がお披露目されていると思うが、こうしてCD5枚組として時系列に納められていると、このメンバーでの進化も感じとれて面白い。クリムゾンの特徴は各地を巡りながらレパートリーも増えて、そして演ずる曲目も場所により違いがあったり、同曲も少しずつ演奏が違ったりとライブならではの楽しみがある。
 CD5は今回初音盤化だが、「Easy Money」「Level Five」(11月29日, 11月30日Bunkamuraオーチャードホール)、「Peace」(12月12日福岡サンパレス)、「Cadence And Cascade」(12月14日広島文化学園HBGホール)、「Breathless」(12月19日Bunkamuraオーチャードホール)と、2018年11~12月の「KING CRIMSON  JAPAN TOUR 2018」が締めくくりとなっていて、なんとなく日本人のプログレ好きをフリップも感じ取って制作してくれたのかも・・・。

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Tracklist:
CD1
01. Hoodoo (2014-09-09 Albany, NY) (5:38)
02. Larks’ Tongues In Aspic, Part One (2014-09-18 New York, NY) (9:21)
03. A Scarcity Of Miracles (2014-09-19 New York, NY) (6:47)
04. Level Five (2014-09-20 New York, NY) (6:54)
05. One More Red Nightmare (2014-09-27 Chicago, IL) (6:06)
06. Interlude (2014-09-30 Los Angeles, CA) (2:12)
07. Banshee Legs Bell Hassle (2014-10-03 San Fransisco, CA) (1:39)
08. The Talking Drum (2014-10-01 Los Angeles, CA) (4:07)
09. 21st Century Schizoid Man (2014-10-04 San Fransisco, CA) (8:54)
10. The Light Of Day (2014-10-06 Seattle, WA) (5:57)
CD2
01. Radical Action I / Meltdown (2015-09-03 Cardiff) (7:51)
02. Interlude (2015-09-05 Brighton) (2:15)
03. Sailor’s Tale (2015-09-07 London) (6:41)
04. The Letters (2015-09-08 London) (5:18)
05. The Court Of The Crimson King (2015-09-11 Manchester) (7:02)
06. Starless (2015-09-14 Birmingham) (12:22)
07. Easy Money (2015-09-15 Birmingham) (7:39)
08. Pictures Of A City (2015-09-12 Paris) (8:17)
09. Suitable Grounds For The Blues (2015-11-17 Montreal) (5:15)
10. The ConstruKction Of Light (2015-11-27 Vancouver) (6:27)
11. Level Five (2015-11-29 Victoria) (6:42)
CD3
01. Larks’ Tongues In Aspic, Part Two (2016-09-12 Berlin) (6:41)
02. Epitaph (2016-09-15 Prague) (8:39)
03. Devil Dogs Of Tessellation Row (2016-09-17 Zabrze) (2:59)
04. Red (2016-09-23 Copenhagen) (6:24)
05. Banshee Legs Bell Hassle (2016-10-01 Stockholm) (1:28)
06. Cirkus (2016-10-03 Hamburg) (7:24)
07. Radical Action II (2016-11-03 Antwerp) (2:17)
08. Pictures Of A City (2016-11-05 Milano) (8:09)
09. Peace (2016-11-06 Milano) (1:56)
10. Larks’ Tongues In Aspic, Part One (2016-11-09 Florence) (8:06)
11. Easy Money (2016-12-03 Paris) (9:32)
12. 21st Century Schizoid Man (2016-12-04 Paris) (12:27)
CD4
01. Cirkus (2017-06-11 Seattle, WA) (7:33)
02. Starless (2017-06-12 Seattle, WA) (12:16)
03. The Letters (2017-06-26 Minneapolis, MN) (6:53)
04. Heroes (2017-07-05 Toronto) (4:30)
05. Interlude (2017-07-09 Red Bank, NJ) (2:46)
06. Last Skirmish (2017-07-18 Mexico City) (6:12)
07. Indiscipline (2017-10-24 Atlanta, GA) (8:16)
08. Dawn Song (2017-11-08 Albany, NY) (2:22)
09. Prince Rupert’s Lament (2017-11-09 Albany, NY) (2:30)
10. The Errors (2017-11-13 Long Island, NY) (4:43)
11. Fallen Angel (2017-11-20 Greensburg, PA) (6:11)
12. Neurotica (2017-11-22 Ann Arbor, MI) (4:39)
13. Islands (2017-11-26 Milwaukee, WI) (9:16)
CD5
01. The Court Of The Crimson King (2018-06-16 Krakow) (7:03)
02. Suitable Grounds For The Blues (2018-06-21 Essen) (5:23)
03. Pictures Of A City (2018-07-01 Berlin) (8:17)
04. Meltdown (2018-07-05 Stockholm) (4:17)
05. Bolero (2018-07-19 Pompeii) (6:57)
06. Radical Action (2018-07-23 Rome) (5:45)
07. One More Red Nightmare (2018-11-07 Nottingham) (5:53)
08. Moonchild (2018-11-10 Liverpool) (3:16)
09. Easy Money (2018-11-29 Tokyo) (10:07)
10. Level Five (2018-11-30 Tokyo) (6:38)
11. Peace (2018-12-12 Fukuoka) (2:09)
12. Cadence And Cascade (2018-12-14 Hiroshima) (4:26)
13. Breathless (2018-12-19 Tokyo) (4:56)

Kctoyko119  確かにこうしてみるとエイドリアン・ブルー在籍時のクリムゾンだと、もうライブでは "クリムゾンキングの宮殿" 、"エピタフ"などは聴けないような雰囲気であったが、演奏スタイルには変化があるとはいえこのメンバーになっての新生クリムゾンは、しっかり演奏してくれて実はそれだけでも嬉しいところだ。
 私的にはジャッコ・ジャクスジクのヴォーカルが、ウェットンであればもっと感動なんだろうけど、そこまで要求はちょっと無理というところは納得している。
 そして「宮殿」は当然だが、「アイランズ」や「リザード」からの曲も加わり、どうなるかと思っていた「ディシプリン」時代も網羅して、さらにおまけにデヴィッド・ボウイの"ヒーローズ"まで入って、いやはやこの7人から8人に増えたダブル・カルテット・キング・クリムゾンは、彼らの1969年から始まって、50年間の全ての年代のキング・クリムゾンを新解釈で蘇らせてくれたことになる。
 こうして聴いてみても、トリプル・ドラムスなんて聞いたことが無いことをやって遂げたクリムゾンも、全く違和感が無く、又メル・コリンズの奮闘も効果的であるし、トニー・レビンの存在も安定していて安心感ある。
 "太陽と戦慄"もミューアのパーカッションとまでは行かないが、ドラムス陣の奮戦もあって取り敢えず新タイプで仕上げていて、けっして悪くない。一応はやはりライブのラストは"21世紀の精神異常者"、"スターレス"あたりで纏めてくれたのも私にとっては嬉しいことだ。

 しかし、こうしてフリップもコピー・バンドのジャクスジクを上手く使って、このメンバーをそろえて5年間以上続けてキング・クリムゾンの総決算ライブを敢行したのは、いずれにしてもたいしたものだ。意地でもエイドリアン・ブルーに対する彼の自尊心が作り上げたものだったが、それがかえって世界的にも受け入れられ、プログレ界ではピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズやデイヴ・ギルモアが今でも活動している双極として私は大いに歓迎なのである。

 

(評価)
□ 選曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音     ★★★★☆

(視聴)

 

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2019年10月23日 (水)

72年の キング・クリムゾンKing Crimson 「Live in Newcatle」

72年の驚異の好演奏と好録音・・これは決定盤
ミューアのパーカッションが・・これぞクリムゾン

<Progressive Rock>

King Crimson 「Live in Newcatle」 
Panegyric / EU / CLUB48 / 2019

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Robert Fripp(g, mellotron)、John Wetton(b, vo)、David Cross(violin, mellotron)、Bill Bruford(ds)、Jamie Muir(per, allsorts)

71afcupmupl_acw  ここに来て、またしてもフリップ魔術でキング・クリムゾン病が発症している。近年のライブ総集編『KING CRIMSON AUDIO DIARY 2014-2018』(KCXP5007/2019)(→)がリリースされ、これは5枚組アルバムであって連日聴いているのだが、これをレポートする前に、まずは片付けておかねばならないアルバムがある。それはこの『Live in Newcastle』だ・・・今年リリースされたライヴ音源発掘シリーズ「The King Crimson Collectors’ Club」の第48弾。1973年のアルバム『Larks' Tongues In Aspic 太陽と戦慄』 発売前の1972年秋から冬にかけてのUKツアーより12月8日のニューカッスル公演を収録したもの。なんと言っても私がファンであったジェイミー・ミューア在籍時の音源で、涙もの。

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(Tracklist)
1. Larks’ Tongues in Aspic Part One 10:47
2. RF Announcement 1:09
3. Book of Saturday (Daily Games) 2:49
4. Improv I 14:49
5. Exiles 6:20
6. Easy Money 9:33
7. Improv II 17:28
8. The Talking Drum 5:49
9. Larks’ Tongues in Apsic Part Two (incomplete) 3:47

Smalljamie_muir  アルバム『Larks' Tongues In Aspic太陽と戦慄』の全曲収録。しかもその間にインプロが挟まれるという構成。それぞれの曲のスタイルはほぼ完成しいるが、なんと言ってもライヴであるだけに、それぞれのメンバーの試行錯誤と思い入れが入っていて、正直言ってアルバムよりインパクトがある。又不思議なことに何十年と彼らのライブ音源を追ってきたのであるが、当時のものがこのモノラルではあってもこの良音質で聴けるのは奇跡に近い。演奏も悪くない、とくにフリップのギターフレーズを振るっているし、なんと言ってもミューア(→)のパーカッションが十分堪能出来る。

 M1."Larks’ Tongues in Aspic Part One" 伝説的な映像版でも見てきたとおりのミューアはホイッスルを駆使してのパーカッション・プレイが重要で、クロスのウァイオリンもスリリングに、そしてフリップのギターもロックを超越していて・・・当時両者ここまでプログレッシブであったことに改めて脱帽。
 M3."Book of Saturday " はウェットンのヴォーカルが懐かしさを呼び起こす。当時のクリムゾンのスリルと荒々しさとこのロマンティックな歌の交錯による世界は類を見ないモノだった。
 M4."Improv I" これと M7."Improv II" がこのアルバムでは核である。これぞクリムゾンと唸らせる。彼らのインプロヴィゼーションの結晶。15分と17分のブラッフォードのドラムスとミューアのパーカッションが最も生き生きとする世界だ。なんとミューアのソロ・パートもあってアルバムでは聴けないライブものの最も楽しめるところ。今のクリムゾンにはこのミューアのパーカッションが無いのが物足りない一つだ。フリップのキターがどこか哀愁がある。
Robert_frippw  M5."Exiles" クロスのヴァイオリンとフリップ(→)のメロトロンの叙情性がクリムゾンのもう一つの私が愛した面である。
 M6."Easy Money" いつもどうりの盛り上がりを作るが、後半のインプロがいいですね、パーカッションがここでも有効。
 M8."The Talking Drum" ブラッフォードのドラムスは当然だが、クロスのヴァイオリンの盛り上がりも凄い。
   M9." Larks’ Tongues in Apsic Part Two (incomplete)" はおまけのように途中でストンと終わってしまうのが残念。

 こうして驚異の録音盤が時として現れるのはフリップの魔術なのか、何時も私なんかはそれにまんまとひっかかって興奮してしまう。こうして周期的にクリムゾン病が発症するのはなんと50年も続いているのである。
 それにつけても、ミューアをここで感じ取れたことは感動であったと同時に、このところの三人ドラムス・クリムゾンに現をぬかしていたわけだが、それにも増してこの50年近く前のがクリムゾンが如何に素晴らしかったかを再認識するのである。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★
□ 録音    ★★★★☆

(視聴)

 

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