JAZZ

2018年10月22日 (月)

ロ・ジェイのヴォーカル・アルバム Lo Jay 「Joue O'day」

フランスからのアメリカン・クラシック・ジャズ

<Jazz>

Lo Jay & Serge Moulinier Trio 「Joue O'day」
France / LISM2011 / 2018

1007739189

Lo Jay (voc)
Serge Moulinier (p)
Christophe Jodet (b)
Pascal legrand (ds)

 フランスものとしては珍しいアメリカン・クラシック・ジャズへの想い、アニタ・オデイ(Anita O'Day、1919 - 2006)回顧の女性ヴォーカル・アルバム。唄うはフランスではそれなりの評価を得ているロ・ジェイLaurence Lo Jayだ。しかし私にとっては初物で、このアルバムも今年リリースされているが、元は2012年作品のようで、元をただせば自主製作盤である。彼女はもともと心からアニタ・オデイのことを敬愛しているとのことで、そんなところからの作品。
 バックにはセルジュ・ムニエルのピアノ・トリオがこれ又スウィング感たっぷりにあのよき時代1950年から1960年代を甦らせている。

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(Tracklist)

970025_10202984451785880_28500024841. Sweet Georgia Brown 
2. Tennessee Waltz 
3. What is this thing called love 
4. Honeysuckle Rose 
5. Love for sale 
6. Skylark 
7. Boogie Blues   
8. I want a grown up man 
9. Just one of those things 
10. Angel eyes 
11. Tea for two 
12. Anita's 1940's Medley 

 フランス版であり自主製作盤ということで、あの自国気質の強い国なので、フランス語によるものかと思いきや、ロ・ジェイはヴォーカルは英語で唄われている。まあアニタ・オデイに捧げた作品なのであるからそれも当然のことであろう。もちろん世界を相手にするには英語というのは当然だ。

 比較的癖の無い素直なヴォーカルと演奏である。
 M2. "Tennessee Waltz"を聴いても、特別な編曲のもなく一般受けの仕上げ。
  M4. "Honeysuckle Rose"ベースをバックに語るように唄い、感じは良い。後半スウィング感をたっぷり聴かせる。
 M6. "Skylark"かなり優しい歌い込みで好感。
 M10. "Angel eyes" これが一番のお勧め曲。SEが入り、ベースがアルコで重厚に響き、ここで彼女の技量を示すゆったりとした歌い込みが見事。そしておもむろに演じられるピアノが美しい。後半でもやはりベースのバックが抒情的で良いし、ピアノとの交わりもよく、更に彼女のヴォーカルも頂点に。まさにこれ1曲で納得するアルバムである。

 まあ、あまり本気で聴き込もうと思わずに軽く聴くのが良いアルバムである。

(評価)
□ 演奏・ヴォーカル : ★★★★☆
□ 録音        : ★★★★☆

(My Image Photo)  「秋の赤」

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NIKON D800, TAMRON SP90mm F2.8 Di Macro VC USD, PL


(視聴) 

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2018年10月17日 (水)

聴き落としていたアルバム(4)~デイブ・キングDave King Trio「I've been ringing you 」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

まさにミステリアスな深遠な世界だ!!

<Jazz>
Dave King with Bill Carrothers & Billy Peterson
「I've been ringing you 」

Sunnyside / USA / SSC1336 / 2012


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Dave King (ds cymbals & waterphone on "goodbye")
Bill Carrothers (p)
Billy Peterson (b)

 THE BAD PLUSそして HAPPY APPLEのドラマーであるデイブ・キングが結成したピアノ・トリオ"Dave King Trio" のアルバムだ。
  既にリリースしてから数年経ているが、今年リリースされた寺島靖国のコンピュレーション・アルバム『For Jazz Drumms Fans Only Vol.2』(Terashima Records/TYR-1068/2018)に取りあげられ私は注目した。今更ながらアルバム全編を聴いて感動している。

800pxdave_king_drummer2 デイブ・キングDavid(Dave) King(→)は、ミネアポリス出身の1970年生まれで、目下ミュージシャンとしては脂がのっている。フリー・ジャズの激しさを持つThe Bad Plus (with Reid Anderson and Ethan Iverson)のトラマーとして彼は名を知らしめている。


(Tracklist)
1 goodbye
2 lonely woman
3 so in love
4 autumn serenade
5 if i should lose you
6 people will say we’re in love
7 this nearly was mine
8 i’ve been ringing you

 このアルバム、USAと言えどもなんとECM風というか、まさにユーロ系が得意とすやや暗めにして、哲学的に迫ってくる世界を持っている演奏なのだ。それはミステリアスであるにも関わらず、しかも不思議な安らぎ感を生むという私にとってはたまらない一枚。
Billcarrothers2w この重要因子は、以前にもここで取りあげたことのあるピアニストのビル・キャロザースBill Carrothers(→)による効果も大きいと踏んでいるが、収録曲目はスタンダードが中心であるが、その描き方には驚異を感ずるのである。

  M1 "goodbye" はっきり言えば、完全に私の好みの方に期待を裏切ってくれた。デイブのドラムスがドスンと来るかと思いきや、優しいブラシ奏法に、ピアノ、ベースが静かに十分間をとって余韻を残しての演奏よる静かな水面を描くがごとき深遠な世界。
  M3. " so in love" Cole Porterの曲だが、スタートはドラムスの音で始まるも、ややスローに展開し、ここまで心に深く染み込む演奏も希有である。
 M4. "autumn serenade"は如何にもこの初秋にぴったりの気分を描いてくれる。
 M6. "people will say we’re in love"が唯一やや激しさのドラムスが響くが、このアルバムの頂点ともなる役を果たし、メリハリをつけての快演。

 驚きは、Bad Plusの”破壊的ドラマー”と言われるデイブ・キングが、ピアノにビル・キャロザース、ベースにビリー・ピーターソンというトリオを構成したのは、如何にして何を目指して結合したのか解らないのだが、ここまで意気投合してミステリアスにして深遠、哲学的世界を描くに至るのか、その過程には興味を抱かざるを得ない程である。
 いずれにしてもビル・キャロザース効果は絶大であること、そして録音もリアルで楽しめる。いっやー、しかし良いアルバムに出会ったものだ。完全に私のお気に入りアルバムに登録だ。

(参考) (ネットにみる紹介文)
David King (born June 8, 1970) is an American drummer and composer from Minneapolis. He is known for being a founding member of the jazz groups The Bad Plus (with Reid Anderson and Ethan Iverson) and Happy Apple (with Michael Lewis and Erik Fratzke) although he is active in many other projects including free jazz collective Buffalo Collision with NYC "Downtown" musicians Tim Berne and Hank Roberts and the electronic art/pop group Halloween Alaska as well as the noise/prog band The Gang Font with former Hüsker Dü bassist Greg Norton.            

(評価)
□ 演奏 ★★★★★
□ 録音 ★★★★★☆

(My Image Photo)
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Sony ILCE-7M3,  Zeiss Vario-Tessar FE 4/16-35 ZA OSS, PL

(視聴)

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2018年10月13日 (土)

寺島靖国プレゼント 「For Jazz Drums Fans Only VOL.2」

結構このコンピレーション・アルバムも聴き応えあり

<Jazz>
Y.Terashima Present 「For Jazz Drums Fans Only VOL.2」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1068 / 2018

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 もともとピアノ・トリオを愛する私からすると、ピアノの描く気品ある抒情性やどこか心に響くメロディの美しさ・優しさというのは他の楽器では得られないところにある。楽器の個性によってそれぞれの迫ってくる味は異なっていて、そこに味わいが生まれるのだと思うのだが・・・・・。
Photo_2 ところが、ライブに参加して思い知らされるのだが、オーソドックスなピアノ、ベース、ドラムスというピアノ・トリオ位の小編成の場合、実はその重要な位置に意外にもドラムスがあると言っても過言では無い。実はそこがCD再生によって聴く場合と、ライブ会場での場合との大きな違いであるとも思っている。これはレコーディング・エンジニアやプロデュサーによって作られる世界と現実の差なのかも知れない。

 ドラムスは、リズム隊として若干軽んじられるところにある場合があるが、決してそうでは無い。ライブではドラムスのリードなくしてその充実感は得られないのではないかと思うところにある。

 寺島靖国の選ぶコンピレーション・アルバムであるから、まあドラムスに注目してのものとは言え、3曲ぐらいは私の持つアルバムからの選曲だろうと高をくくっていたら、なんと1枚のみで完敗(Fred Herschのみ)。しかしそれだけ初聴きもあって結果的には儲けたと言うところなのである。

(Tracklist)
01.Alone Together [Robert Glasper Trio]
02.Ringo Oiwake [Kenny Barron Trio]
03.Autumn Leaves[Orrin Evans]
04.Arcata[Fred Hersch]
05.Peaple Will Say We're In Love[Dave King]
06.Nar-this [Antonio Sanchez]
07.My Shining Hour [Ulysses Owens, Jr.]
08.Tears Inside[Mike Melillo Trio]
09.I'll Be Seeing You [Barry Green New York Trio]
10.Another Uphill Morning [Juan Ortiz Trio]
11.So In Love [Gregg Kallor]
12.Keep It Fresh [Inaki Sandoval]

 寺島靖国プレゼントとしてのコンピレーション・アルバムは、なんと言っても「Jazz Bar」だが、なんと17巻リリースされている。そして更に「For Jazz Audio Fans Only」は、オーディオ・ファン向けに、又「For Jazz Vocal Fan's Only」も女性ヴォーカルが主体でジャズ・ファンの一面をくすぐって・・・と言うところで支持がある。この三者は年一枚のペースでのリリースであるが、確実に人気が続いているのだ。
 そして新たに始まったこの「For Jazz Drums Fans Only 」も、今年で一年経っての二枚目というところで、ようやく軌道に乗ろうかとしている盤のリリースとなった。

 このアルバムの特徴は、前三者に比べると一口に言わせてもらうと”マニアック”と言ったところか?、私のようにECMに代表されるユーロ系の抒情派ピアノ・トリオ・ファンとすれば、日頃手にする事の少ないアルバムが納得の世界で聴けるところが素晴らしい。

Dave_king_drummer2_3 M1."Alone Together"
は、ドラムスに限らず、ベース、ピアノのスピード感は圧巻。ここには靖国一押しのハイテクニックが支配している。オーソドックスのようでいて、違うんですね。そこが聴きどころ。
 M2."リンゴ追分"Kenny Barronによって、これが出で来るから笑っちゃう、しかし笑っては居られない。支えるドラムスが東北の世界になっているところが恐ろしい。
 M3."Autumn Leaves"の編曲、インプロが圧巻だ。これも所謂従来から聴きならされたリズムでは刻んでこない。ここが何とも言えずプロフェッショナルっぽいのだ。
 M5."Peaple Will Say We're In Love"のDave King(右上)のドラムスの音はリアルでお見事。
Antonio_s1 M6."Nar-this"Antonio Sanches(右)、この流れ、いかにもプロ・ミュージシャンの面目躍如。Brad Mehldauも貢献。
 M7."My Shining Hour" Ulysses Owens, Jr.(右下)の健闘。
 最後の曲M12."Keep It Fresh" のようにドラムスが・・・チン、シャイーン、カンと響いてドカン、ドスンと来る迫力も楽しいもの。

Ulyssesojrtr_2 こんな調子で全編気を許さない選曲には驚いた。寺島靖国をなめちゃいけませんね。オーディオ感覚優先と本人は何時も言ってますが、ここに選ばれたものはドラムスの収録が優れていることは事実だが、決してそれだけでは無い。ジャズを知っての離れ業だ。
 このアルバム、一枚のCDとしては、かなり収録時間が長いのだが(80分近いか)、飽きることを知らずに一気に聴いてしまう。これで私は今更彼を見直してしまった。

(評価)
□ 収録選曲 ★★★★★
□ 録音    ★★★★★☆

(My Image Photo)

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Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS,  PL

(参考視聴) Antinio Sanchez

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2018年10月 7日 (日)

シャイ・マエストロ Shai Maestro Trio 「The Dream Thief」

流麗なメロディ中に内省的思考が支配

<Jazz>
Shai Maestro Trio 「The Dream Thief」

ECM / Ger / ECM2616 / 2018

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Shai Maestro (p)
Jorge Roeder (double-bass)
Ofri Nehemya (ds)

Prodused by Manfred Eicher
Recorded April 2018
Engineer : Stefano Amerio

 イスラエル出身の今や人気のベーシスト・アヴィシャイ・コーエンのバンドでの活躍で知ることになった若きピアニストのシャイ・マエストロ、イスラエル・ジャズ界に貴重な位置にある話題の才能あふれる彼の初のECM作品だ。
 イスラエルは中東パレスチナに位置し、ユダヤ人が3/4を締めていてユダヤ教が主流だが、イスラム、キリストも混在し文化は複雑。近年ジャズ界への進出も注目されている。
 プロデューサーのECMアイヒャーとのレコーディングに初めてマエストロが自己のトリオで臨んで出来上がった注目作(↓トリオとアイヒャーの録音風景)。メンバーはペルー人ベーシストJorge Roeder(7年間ずっと一緒だとか)と、新たにイスラエル人のドラマーOfri Nehemyaを迎えてのトリオ。

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Shaimaestrow [シャイ・マエストロShai Maestro]は、1987年、イスラエル生まれのジャズ・ピアニスト。5歳からクラシック・ピアノを始め、なんと8歳でジャズに開眼したという。テルマ・イェリン国立芸術高等学校でジャズとクラシックを学び、バークリー音楽大学のスカラーシップを得て、4年間ジャズ・ピアノやコンポジション、民族音楽論などを学ぶ。2006年からニューヨークでのイスラエル・ジャズ・シーンを牽引する私の好きなアヴィシャイ・コーエン(b)のグループに参加し(アルバム  『Gently Disturbed』(Sunnyside/4607/2008)『SEVEN SEAS』(BlueNote/TOCJ90070/2011)など)、一般に認知される。
 2013年12月の『The Road to Ithaca』(AGIP3526)に続き、2015年5月に3rdリーダー作『UNTOLD STORIES』(AGIP3526)をリリースしている。

(Tracklist)
1.My Second Childhood
2.The Forgotten Village *
3.The Dream Thief *
4.A Moon's Tale *
5.Lifeline *
6.Choral *
7.New River, New Water *
8.These Foolish Things (Remind Me Of You)
9.What Else Needs to Happen *


Smtriow

 収録曲は、マエストロのオリジナルの7曲(*印)が中心である。彼のソロ・ピアノ楽曲も収録されている。

 M1."My Second Childhood"はイスラエルのシンガーソングライターMatti Caspiの曲だそうで、マエストロが子供のころから大好きで、体に染み付いている曲だそうだ。ピアノ・ソロで描く内に秘めた心のその叙情性は見事である。
  M2."The Forgotten Village" 静かに刻むベースとドラムスの音に乗って、ピアノが優しく描く美旋律。全くの内省的異色のトリオ世界。
  M3."The Dream Thief"夢泥棒"という事ことだろうか?、後半見事に疾走し三者の交錯・振動が流れるのだが、そんな中でもどこか思索的なところが不思議という曲。アルバム・タイトル曲だ。
  M4."A Moon's Tale" これも静かなピアノから始まるが、突然ピアノの重低音、そして再び静かにメロディーが流れる。そこにはやはり危機感は無くむしろ安堵の世界。
 M6."Choral" 優しく美しいピアノ・ソロ。
 M7."New River, New Water"流麗な演奏が聴きどころ。
  M9."What Else Needs to Happen"は、物静かな曲だが、なんと突然”語り”が入る。意味は不明。何か次第に荒々しさが起こるかと思いきや、最後まで静かな演奏で終わる。

91vqg2br9klw とにかくECMらしいのだが、静かな情景と美しさを描く手法は希有なトリオ演奏世界、どこか心の奥に迫りが感じるのだが、そこには優しさが残る不思議なアルバムである。
   2015年のアルバム『UNTOLD STORIES』(P-VINE RECORDS/PCD-93893/2015)(→)は、そのジャケの異様さと共に、彼のオリジナル曲に満たされつつ何処か異色の世界ムードの中に包まれ、何とも表現の難しい美しさを秘めてていて不思議なアルバムだった。しかし今回のアルバムはかなり雰囲気はオーソドックスなユーロ・ムードにあって、イスラエル色は薄れている。それもアイヒャー効果なのであろうか、しかしなんとも貴重な美しさのアルバムである。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★☆
□ 録音   ★★★★★☆

(My Image Photo)  (at Shigakogen)

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Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS,  PL

(視聴)

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2018年10月 3日 (水)

マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski Trio 「Live」

抒情派の真髄と、圧巻の迫真プレイで迫る熱演が聴ける

<Jazz>
Marcin Wasilewski Trio 「Live」
ECM / Germ / ECM 2592 6738486 / 2018

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Marcin Wasilewski (piano)
Sławomir Kurkiewicz (double bass)
Michał Miśkiewicz (drums)

 Recorded Aug. 2016 at Jazz Middelheim, Antwerp

Marcinsolo_imgwjpg ポーランドの人気ピアニスト:マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski (1975年ポーランドのスワヴノ生まれ)の、今回もレギュラー・トリオによる、2016年8月ベルギーのジャズ祭でのライヴ収録盤。もともとシンプル・アコースティック・トリオ(私は1995年アルバム『Komeda』(その後『Lullaby for Rosemary』に変わる)以来ファンである)で注目され、その後も不動のメンバーで、自己名義トリオに名を変えての活動が続いている。
 哀愁の抒情派ピアノを演じ、一方ではかなりの躍動的な展開をみせるこのトリオは、取り敢えずは注目株で、ニュー・アルバムは何時も待望しているところだ。

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(Tracklist)
1. Spark Of Life / Sudovian Dance [Live]
2. Message In A Bottle (Sting)[Live]
3. Three Reflections [Live]
4. Night Train To You [Live]
5. Austin [Live]
6. Actual Proof (Sting)[Live]

Sparkoflife さて、このアルバムのM2、M6以外は、Marcin Wasilewski のオリジナル曲だが、2014年のアルバム『Spark Of Life』ECM/ECM2400/2014)(→)でお目見えした曲M1、M3、M5が演奏されている。ただ2016年のライブ録音で有り、当初のアルバムにみるスタジオ録音盤との違いというか発展形というか、そのあたりが興味の持たれるところである。
 M1."Spark Of Life "、"M5." Austin "は、スタジオ・アルバム同様抒情的にしてメロディーも優しく心に染み込んでくる。これぞマルチン・ボシレフスキと言いたくなるところだ。

Faithful しかし思うに今回の目玉はM4. "Night Train To You"の圧巻のプレイだ。この曲は2011年のアルバム『Faithful』 (ECM/ECM2208/2011)(→)に登場した曲だ。成る程これがライブの醍醐味でもある。 とにかくこの14分に及ぼうとする迫真のプレイは凄い。ボシレフスキ(p)の集中力でアドリブが尽きること無く演じきる熱演に痺れる。しかもそれを支えるリズム隊の挑戦的アプローチによる攻撃的プレイが一層この展開に凄みを加味して迫ってくる。ベースの途切れること無く流れるようなプレイ、ドラムスはかってのスタジオ盤よりは録音の締める位置も高く楽しめる。しかもその3者のプレイに何故か美しさが秘められていて感心するのである。こうゆう演奏をECMがリリースするのは珍しいと思うが、中にちゃんと”Album produced by Manfred Eicher”と記されていて、Eicherご承認の演奏というところにあるとみる。

 ポーランドのジャズに限らずあらゆる分野の音楽レベルの高さは何時も感心するところだが、20歳代でデビューしたこのトリオは確実に発展・進歩しているところが嬉しい。ヨーロッパ耽美系らしい叙情性が満ちたところと、スリリングなトリオ格闘が聴けるこのトリオは貴重だ。
 さてさて次なるスタジオ・ニュー・アルバムに益々期待が持たれるところだ。

(評価)
□ 演奏 ★★★★★☆
□ 録音 ★★★★☆

(My Image Photo)  2018 Autumn

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Sony ILCE-7M3,  Zeiss Vario-Tessar Fe 4/16-35 ZA OSS, PL

(視聴)

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2018年9月30日 (日)

ニッキ・パロットNicki Parrott 「Stompin' At The Savoy」

ニツキ・パロットの50年代ジャズ・ムードたっぷりの快作

エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロングに捧ぐ!!
バイロン・ストリプリングをフィーチャリング

<Jazz>
Nicki Parrott 「Stompin' At The Savoy~tribute to Ella & Louis」
Venus Records / JPN / VHD-1238 / 2018

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ニッキ・パロット Nicki Parrott - vocals & bass
バイロン・ストリプリング Byron Stripling - trumpet & vocals
ジョン・ディ・マルティーノ John Di Martino - piano
アルヴィン・アトキンソン Alvin Atkinson - drums

 

Produced by Tetsuo Hara
Recorded at Trading 8's Studio in New York on February 19,20 & 21, 2018.
Engineered by Chris Sulit
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Venus Hyper Magnum Sound Direct Mix Stereo
Artist Photos by Brian Wittman

  Venus Records から又々ニッキ・パロットの登場。今や完全に彼女は看板ジャズ・アーティストになりましたね。

Striplingbyron2w 今回は、”エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロングに捧ぐ”と言う事で、まあ50年代ジャズを回顧している。それはトランペットをこなし渋いヴォーカルでルイ・アームストロングの再来とまで言われるバイロン・ストリプリングByron Stripling(1961-)(→) をフィーチャリングして、二人のデュエットとニッキ・パロット流の編曲によっり、トランペットも入って聴かすちょっと洒落たアルバムである。

(Tracklist)

1.イット・エイント・ネセサリリー・ソー
2.ジー・ベイビー・エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー
3.誰も奪えぬこの思い
4.スイングしなけりゃ意味ないね
5.チーク・トゥ・チーク
6.いつもさよならを
7.私の小さな夢
8.サヴォイでストンプ
9.ミスター・パガニーニ
10.サマータイム
11.二人でお茶を
12.我が恋はここに
13.エヴィル・ガル・ブルース
14.ジス・タイム・ザ・ドリームス・オン・ミー


  実はこちらの方が先にリリースされたのだが(当初『Cheek to Cheek』というアルバム・タイトルだったと思うのだが)、前回紹介したダイアナ・クラールとトニー・ベネットのデュエット・アルバムと手法は同じである。こちらではパロットはベースも弾きながらの作品になっており、久しぶりにジャズらしいアルバムに仕上がっている。
 とにかくVenus Recordsは、パロット作品がそこそこに売れてくれるので、年に数枚のアルバムをリリースをするという離れ業を展開している。

 エラ・フィッツジェラルドElla Jane Fitzgerald(1917-1996)&ルイ・アームストロングLouis Armstrong(1901-1964)の共演が華咲いた50年代が、ジャズ界では一つの歴史ですね。それを回顧再現するという企画はおそらくジャズ・ヴォーカリストにとっては一つの願望なのかも知れない。
 
 まあとにかく聴き慣れた懐かしのジャズを十分楽しく展開してくれる。こうゆうのは肩ぐるしくなくリラックスして文句なく聴けるところが良いのですね。

Npw

 M1."It Ain't Necessarily So "イントロからトランペットが歌いあげ、おもむろにパロットのスローにして情感のあるヴォーカル、そしてストリプリングのヴォーカルがムードを盛り上げる。こりゃなかなかいいじゃないかと冒頭から思わせる。このパターンはM2."Gee,Baby, Ain't I Good To You"も同様だが、パロットのベース、ストリプリングのトランペットの共演も聴きどころ。
 M5."Cheek To Cheek"は、このアルバムでは珍しくストリプリングのヴォーカルがリードして唄われる。まあこれといっての特徴は無くもっとも一般的な仕上げ。
 M6."Everytime We Say Goodbye"は、パロットの叙情的な歌いあげのスローバラード。
 M8."Stompin' At The Savoy"は、パロットのヴォーカルにストリプリングのトランペットが絡み、後半彼のヴォーカルも後押しするというスウィング感たっぷりの短い曲。
 しかしそれに続くM9."Mr.Paganini"はスロー・バラード調で、パロットのヴォーカルを中心に展開。後半はスウィングとスローが転調して交互に展開する。ここではストリプリングのヴォーカルは入らない。
 そしてM10."Summertime"はしっとりとしたトランペットと両者のヴォーカル。なかなか良い味を出している。
 M11."Tea for Two"はスロー仕立てでパロットのソロ・ヴォーカル。

 相変わらず、パロットの声は嫌みが無く素直で好感持てる。ストリプリングはルイ・アームストロングとまでは行かないが、それでも渋さはあるし、曲の中での彼のヴォーカル部分はそれ程多くなくパロットの支えに徹していて、これはこれで良いのではと思った。
 パロットの最近のアルバムの中では、これはJazzy not Jazz路線で無く、懐かしのジャズに徹していて、あまり細工無しの聴きやすいタイプで私はこの方がいいと思ったところだ。

(評価)
□ 歌・演奏 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆

(参考視聴) 今回のアルバム関係の映像はまだ見られないので・・・

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2018年9月26日 (水)

ダイアナ・クラールとトニー・ベネットのデュエットTony Bennett & Diana Krall 「LOVE IS HERE TO STAY」

ジャズ界のキング&クイーンによる懐かしのアメリカン・ジャズの粋な世界
~ビル・チャーラップ・トリオのバックで

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<Jazz>
Tony Bennett & Diana Krall 「LOVE IS HERE TO STAY」
Verve / USA / B0028703-02 / 2018

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TONY BENNETT トニー・ベネット(VOCAL)
DIANA KRALL ダイアナ・クラール(VOCAL)
BILL CHARLAP ビル・チャーラップ(PIANO)
PETER WASHINGTON ピーター・ワシントン(BASS) 
KENNY WASHINGTON ケニー・ワシントン(DRUMS)

Produced by Dae Bennett & Bill Charlap
Arranged by Bill Charlap

  いっやー、驚きですね、ジャズ・ヴォーカル界のキングと言われる90歳越のトニー・ベネットとダイアナ・クラールとのデュエット盤である。
 かってもこの二人のデュエットはあったのだが、一枚のフル・アルバムとしてのリリースには驚きだ。クラールにとっては、父親とのデュエットと言うところである(両者は20年以上の付き合いがあるとか)。録音はNYのスタジオで録音日の記載が無いが最近と判断される。
61abhgxwp5l そう言えば少々前にベネットはレディ・ガガとの共演盤(『Cheek To Cheek』(Interscope Records/3799884/2014)(→))もあったが、いずれにしてもお元気そのもので驚きである。

 そして曲は全て生誕120周年を迎えたアメリカ音楽界の父ジョージ・ガーシュウィンを祝っての、ジョージ&アイラのガーシュウィン兄弟作の名曲の数々を取りあげている。
 更に、これにはビル・チャーラップが強力に関係している。プロデュース、編曲に携わり、演奏も自己のピアノやピアノ・トリオがバックを支えているのだ。

(Tracklist)

1.  `S Wonderful (George Gershwin/Ira Gershwin) 2:51
2.  My One and Only (George Gershwin/Ira Gershwin) 2:50
3.  But Not For Me (George Gershwin/Ira Gershwin) 3:06
4.  Nice Work if You Can Get It (George Gershwin/Ira Gershwin) 2:45
5.  Love is Here to Stay (George Gershwin/Ira Gershwin) 4:28
6.  I Got Rhythm (George Gershwin/Ira Gershwin) 2:00
7.  Somebody Loves Me (George Gershwin/George De Sylva & Ballard McDonald) 3:42
8.  Do it Again (George Gershwin/George De Sylva) 2:55
9.  I've Got a Crush on You (George Gershwin/Ira Gershwin) 4:00
10.  Fascinating Rhythm (George Gershwin/Ira Gershwin) 2:43
11.  They Can't Take That Away From Me(George Gershwin/Ira Gershwin) 3:25
12.  Who Cares? (George Gershwin/Ira Gershwin) 1:59

  もうこれはアメリカン・ヴォーカル・ジャズの究極の姿を披露している。聴いて疲れず、気分は良好に、そしてムードは何か前途に開ける人間関係を美化しているようだ。
 好感100%の曲はやっぱりアルバム・タイトル曲のM5."Love Is Here To Stay"だと思った。これぞ社交場と化している大きくない酒場に集う大人の社会に気分最高に聴こえてくるパターンだ。よき時代のアメリカん・ムード。

Diana20krallw ダイアナ・クラールのソロM3."But Not For Me"もビル・チャーラップのピアノ・ソロをバックにバラード調の歌声で聴ける。私としては叱られるかも知れないが、このパターンでもう少し聴きたいぐらいでもあった。彼女なら弾き語りでこのムードをもってアルバム一枚でも作って欲しいものだと思うぐらいである。と、言うのも実のところは、私はクラールのヴォーカルを聴くということからこのアルバムを入手していると言う経過であって、言ってみれば、まあそんなところなのだ。
 とにかくベネットの年齢から来る歌声は決して美しいわけでは無いが、年輪を感じさせる枯れた味わいが聴きどころなのである。しかしほんとはクラールの描くところの近代性とは実は別ものとも思っている。しかしまぁこの対比も一つの味として評価しておこうと思うのである。ガーシュウィンの曲も又それで良かったのかも知れない。まあバック・グラウンド・ミュージックとしては上出来の部類。
 
(評価)
□ 歌・演奏 : ★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(視聴)

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2018年9月23日 (日)

ロベルト・オルサーのニュー・アルバム Robert Olzer Trio 「CELESTE」

天空の美はここに!

 「CELESTE(天)より柔らかく注ぐ美音の雫があなたを浄める、典雅にして透明、深遠にして柔和、天才ピアニストが辿りついた至高の世界がここに!」
 ~これはこのアルバムの宣伝文句だ。澤野工房からクラシカルな演奏の抒情派ロベルト・オルサーのニュー・アルバムの登場だ。

<Jazz>
Robert Olzer Trio 「CELESTE」
ATLELIER SAWANO / JPN / AS163 / 2018


Celestew

Roberto Olzer (piano)
Yuri Goloubev (bass)
Mauro Beggio (drums)

Recorded on 28-30th Aug. 2017 at Arteuono Recording Stdios-Cavalicco-Italy
Decorded,mixed & mastered by Stefano Amerio
Roberto Olzer plays FAZIOLI F278 mk III

 イタリアのロベルト・オルサーの久々のトリオ作品。彼は私の注目の期待株。2016年の3rdアルバム『DREAMSVILLE』 以来そんなに間隔が空いているわけでは無いが気持ちは久々である。このところはヴォーカルやトランペットの入ったカルテット作品やソロ・アルバムが続いたためだ。
 今回のアルバム・タイトルは『CELESTE』ということで、なんとこのイタリア語からイタリアの懐かしのプログレッシブ・ロック・グループの”CELESTE”を思い出してしまった。このグループのアルバムがリリースされたのは、オルサーが小児期の話だ。イタリア語で”至高の天空”と言う意味で、その美しく透明感のある音楽が持ち味なのだ。その話とは全く関係ないが、懐かしい”チェレステ”という言葉から回顧してしまったのである。当然このアルバムも狙いは”至高の透明感あふるる典雅な世界”だ。

Ro1(Tracklist)
1 Deliverance*
2 The Old Castle
3 Song 6
4 G-Spot Tornado / Sleep Dirt
5 Parisian Episode VIII*
6 Piece III
7 ... And After*
8 A Simple Song*
9 Celeste
10 Canova*


  オルサー及びメンバーのオリジナル曲が6曲(*印)。その外はMussogsky(M2)、Mompou(M3)の名が出てきたと思うとFrank Zappa(M4)とかWwan Svensson(M6)、Ralph Towner(M9)の名前も出てくる多彩さだが、全体にクラシカルな演奏の美しさ、優しさは一貫している。

 スタートの彼の曲M1 "Deliverance"から、澄んだ美しさのある真摯な気持ちにさせる演奏が飛び込んでくる。”オルサーはこれだから良いのだ”と言いたくなる。
 そして懐かしいメロディーが聴けるムソルグスキーのM2 "The Old Castle"と流れは旨い。
 ちょっと余興っぽいところからスタートするM4 "G-Spot Tornado / Sleep Dirt"、ここではゴロウベフのベースの味も十分堪能できるし、勿論中盤からのピアノの響きの美しさは絶品。なかなか味のある出来だ。繊細なシンバル、ステイックからスタートのM5 "Parisian Episode VIII"はゴロウベフの曲だが、ドラムスのベッジオの如何にも繊細さが滲み出ている。 
 続くM6 "Piece III"は、難しい技巧無しの優しい物語のような曲。
 後半珍しくM8 "A Simple Song"の軽快な曲、そして落ち着いたM9 "Celeste"。最後はオルサーの軽やかなピアノ・プレイのM10 "Canova"で納める。

  やはりロベルト・オルサーはいいですね。今アルバムの私の推薦はM1からM3への流れ。そしてM4のトリオ味だ。録音もStefano Amerioでトリオを納得の配置で描き、それぞれの音はハッとするほどの響きを持つ。

(評価)
□曲・演奏 ★★★★★☆
□録音   ★★★★★

(My Image Photo) 私からも「天空」

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Sony ILCE-7M3,  ZEISS Vario-Tessar FE 4/16-35 Za OSS,  PL  


(参考視聴)

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2018年9月20日 (木)

聴き落としていたアルバム(3)~ 小曽根 真MAKOTO OZONE「Ballads」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

小曽根の世界はやはりこれだ!!

<Jazz>
MAKOTO OZONE「Ballads」
Verve / JPN / UCCJ-2074 / 2008

Ballads

Makoto Ozone : piano
James Genus : bass
Kiyishi Kitagawa : bass
Clarence Penn : drums
Wallace Roney : Trumpet
Michel Brecker : sax


  小曽根真のピアノの高度な演奏そしてセンス良さというか、そのあたりは近くはあのAnna Maria Jopekのアルバム『HAIKU』で唸らせたが、・・・・このところは久々のトリオ盤『DIMENSIONS』(2017)、そしてクラシック盤『Beyond BORDERS』(2018)と言う2枚だろうか。

 さて彼のブレイは、私の好みからしてみるとやっぱりバラードものだと思っている。しかしもともと私はアルバムは一枚の何曲かをトータルに聴いて評価するタイプであるため、ベスト盤とかオムニバス盤というのはなんとなく敬遠して来た。が、今年の過去に経験の無い猛暑がようやく収束して、このなんとなく秋の雰囲気になると、何故か急に彼のバラードが聴きたくなって、ここに来て今更彼のベスト盤に手を付けたのである。それがこのアルバムだ。

(Tracklist)
1.シー She
2.ア・ア・マン・オン・ア・コブルド・ストリート *#
3.マイ・トゥモロウ* (TVドラマ『あしたの、喜多善男』:メイン・テーマ)
4.エイジアン・ドリーム*
5.ミスト Myst*
6.ユーアー・ノット・アローン*
7.レイク・トゥーン*
8.ネイチャー・ボーイ
9.ホエア・ドゥ・ウィー・ゴー・フロム・ヒア*
10.サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー
11.ウィー・アー・オール・アローン
12.自由への賛歌#
13.リボーン*
*印 Makoto Ozone
#印 New Recording

 ベスト盤だけあって、演奏スタイルはピアノ・ソロ、デュエット、トリオ、ビッグバンドと多彩。これは過去に私も聴いてなかったアルバムも含めて14年間にリリースされた作品からのセレクションである。曲自身は彼のオリジナルが主だ(8曲)。

  CM曲として使われた「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」、「ウィ・アー・オール・アローン」の外、TVドラマ「あしたの、喜多善男」のテーマ「マイ・トゥモロウ」なども収録されている。

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 冒頭から静かな世界を描くM1."She"、M2."A Man on Cobbled Street"と、ピアノ・ソロでスタート。彼独特のピアノの音の余韻が心を静かに落ち着かせる。
 M3. "My Tomorrow"これはどこか心の温まるメロディ。
 M4. "Asian Dream"で、ピアノ・トリオ演奏となるもその沈静世界の延長上にある。
 M5. "Myst"トランペットが入り旋律を奏でるが、小曽根のピアノと対をなして美世界を描く。
 M6. "You're Not Alone"は、ビック・バンド編成だが、静かなスタート、小曽根のピアノは何処か郷愁を誘う美しさだ。
 M7. "Lake Thun "これも美しいピアノ・ソロ。彼の作曲によるバラードを十分に楽しませる。
 M8. "Nature Boy"広く知られたこの曲も、やはりソロでスローに演じられる中に情緒豊かに訴えてくる。
  M9. "Where Do We Go from Here" Saxと共演の形をとっているが、Saxが唄ってピアノが合い間に情景を美しく描くスタイルも安定感たっぷり。
  M10. "Someone to Watch over Me"管楽器を中心としたビック・バンドをバックにしての曲。このアルバムではアクセントの曲となった。
  M11.、 M12. スタンダードの聴き慣れた曲も彼らしい編曲が生きていて楽しい。
 M13. "Reborn" 美しく納めたソロ演奏。

  全体にバラード特有の内省的というか、心を落ち着かせ休めるというか、そんな世界を抒情的に又情感たっぷりに描ききった13曲である。ベスト盤であり、ピアノ・ソロからトリオなど演奏バターン各種だが、彼の編曲の妙も素晴らしく、そこには彼の美しくしかも深遠さも加味したピアノの調べは聴き手の心の琴線に触れる響きを持っている。さすが小曽根と言いたくなるところ。彼のニューレコーディングも交えて、又ビック・バンド曲をアクセントとしたアルバムとしてのバランスも結構とれていて納得であった。

(評価)
□ 曲・演奏 :★★★★★☆
□ 録音   :★★★★☆  

(My Image Photo) 

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Sony ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL  Aug. 2018

  

(視聴)

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2018年9月15日 (土)

ウンサンWoong Sanのニュー・アルバム「I'm Alright」

ウィスパー・ヴォイスに、なんとブルジー、ソウルフル、ファンキーと取り混ぜての久々のフルアルバム快作

<Jazz>
Woong San「I'm Alright」
Universal Music / JPN / UCCU-1583 / 2018

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Woong San ウンサン(vocal)
John Beasley ジョン・ビーズリー(piano)
Benjamin J.Shepherd ベンジャミン・J.シェパード(bass)
Terreon Gully テレオン・ガリー(drums)
Paul Jackson Jr. ポール・ジャクソンJr. (guitar)
Charlie Jung チャーリー・ジュン (guitar)
Damon Brown デイモン・ブラウン (trumpet)

Produced by John Beasley
Recorded 12th,13th April 2018


  私は決して韓流派じゃないのだが、このウンサンは例外。彼女の過去の何枚かのアルバムもウィスパー系のヴォーカルには一目置いてきた。これは久々のスタジオ・アルバムのような気がしたが、3年ぶりらしい。実はもう年齢も45歳ぐらいだと思うのでリタイアしたのかとも思っていたが、しかしかってのポニーキャニオンからユニバーサルミュージックに移籍しての第一作品としてお目見えした。なになに健在であったのだ。そしてプロデュースがビーズリーに変わっての彼女の変化が実はこのアルバムには確かに見られるところが聴きどころ。

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(Tracklist)

01. Smoke Gets In Your Eyes
02. Heartless
03. Bear Walk
04. Too Far
05. Love Is A Losing Game
06. I’m Alright
07. You And The Night And The Music
08. Forget Regret
09. I Love You More Than You'll Ever Know
10. I Can’t Stand The Rain
11. Tell Me Why

 オープニングはM01. "Smoke Gets In Your Eyes 煙が目にしみる"で、これはやっぱり得意のスロー・バラード調に仕上げている。しかし続く曲でこのアルバムは少々過去と違うところがミソ。
 M04. "Too Far"は、ラテン・タッチでなかなかいい。 そこにM05. "Love Is A Losing Game"はファンキー・ムード。このあたりから今回のアルバムのイメージが見えてくる。それはM10. "I Can’t Stand The Rain"で頂点を迎えるのだが、エレクトリック・ベースの低音に彼女の語るが如くのソウフルな歌声はなかなか味がある。
 このように過去の彼女のイメージから一歩脱却してのM09. "I Love You More Than You'll Ever Know溢れ出る愛を"のブルージーな曲を、ギターの味のある演奏をバックに歌い込むところはなかなか聴きどころなのだ。
 そうはいっても、アルバム・タイトルの彼女のオリジナル曲M06." I’m Alright"は、泣きギターをバックに彼女のファンも納得のラブ・バラード。M07. "You And The Night And The Musicあなたと夜と音楽と"もビーズリーのムードを盛り上げるキー・ボードによってベースが低音で語り、彼女の落ち着いたウィスパー・ヴォイスで迫るのである。 
 最後の彼女のオリジナル曲M11. "Tell Me Why"は、バックのギター、ピアノも美しく、彼女の魅惑の歌声がしっとりと聴ける。

 こうしてオリジナル曲に加え、スタンダードの「煙が目にしみる」「あなたと夜と音楽と」、ソウル曲のカヴァー(「溢れ出る愛を」、「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」等)を歌い込んで、彼女のカレン・ソーザも顔負けのセクシー・スモーキー・ヴォイスの上に、多彩・多様な芸を盛り込んだ面白いアルバムとなった。

(評価)
□演奏・歌 : ★★★★☆
□録音   : ★★★★☆

(My Image Photo)

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Sony α7Ⅲ ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL  Aug. 2018

(参考試聴)

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