JAZZ

2017年6月20日 (火)

アナト・フォート・トリオAnat Fort Trio 「Birdwatching」

自然界から人間を知らしめるアルバム

<Jazz>
Anat Fort Trio   Gianluigi Trovesi  「Birdwatching」
ECM / JER. / 4732357 / 2016

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Anat Fort: piano
Gary Wang: double bass
Roland Schneider: drums
Gianluigi Trovesi: alto clarinet

Recorded November 5-7, 2013 at Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano
Produced by Manfred Eicher.

Af3trw  これはイスラエル出身の女流ピアニスト、アナト・フォートAnat FortのECM3作目で、昨年にリリースされたアルバム。
 実はこのピアニストに関しては白紙であって、ここに来て2007年のカルテット作品『A Long Story』から、トリオもの『And If』(2010)、そしてこの近作『Birdwatching』と、一気に彼女のECMアルバム3作を聴いてみたということになった。

 さてこの近作アルバムだが、トリオ・メンバーのGary Wang(b)とRoland Schneider(ds)は、長年一緒の仲と言うことであり、スペシャル・ゲストにイタリアのリード奏者Gianluigi Trovesiをフィーチャーしたカルテット作品。

(Tracklist)
1 First Rays 2 Earth Talks 3 Not The Perfect Storm 4 It's Your Song 5 Jumpin' In 6 Milarepa Part 1 7 Song Of The Phoenix I 8 Song Of The Phoenix II 9 Murmuration 10 Meditation For A New Year 11 Inner Voices 12 Sun

  収録12曲の11曲がFortのオリジナル、他の1曲(M11)はメンバー4人の共作。録音は、2013年11月、スイスにて行われている。

 静かにして、穏やかなピアノ・ソロM1.”First Rays ”からスタート、”最初の光、輝き”ということで、朝の光景だろうか?既に真摯な気持ちにさせる。
 そして続くM2.”Earth Talks ”から Gianluigi Trovesiのalto clarinetが登場。クラリネットの音色から優しさの満ちた世界に。
 しかし、M3.”Not The Perfect Storm ”は意外に荒々しさを感じさせる曲に変わる。
 M4.”It's Your Song ”はクラリネットなしのピアノ・トリオで描く希望に満ちた世界に。
 M5.”Jumpin' In ”は又々印象は変わって不安感が・・・・これは自然界の一つの厳しさを表現か。演奏も極めて現代音楽的で、彼らの内包しているアグレッシブな部分を見る思いだ。
 M6.”Milarepa Part 1”は、再び一荒らし去っての安堵が漲る。
 M7.M8.”Song Of The Phoenix”不死鳥の如く自然の静かにして力強い姿を感ずる
 M9.”Murmuration ”クラリネットが響き、彼女のピアノが追従して不思議な広がりが。
  M10.”Meditation For A New Year ”自然界の姿か、ピアノは躍動と美しさを演じている。
 M11.”Inner Voices ”かなりフリーな演奏で有りながら、4者の思が結ばれる自然への不思議感。
 M12.”Sun”明るい未来感のある静かなピアノ・ソロの響きで終わる。

 予想外のフリーでダイナミックな曲にも驚くのだが、その感情に自然に対応しつつ、やはり静謐にして抒情的、自然の持つ深遠さなどを見事に描ききった作品に思う。今回のアルバム・タイトルを『野鳥観察』にしての”自然の厳しさと美しさとの対話”にしたのは、過去の作品からもごく自然な流れと感じた。

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R1632410w_2 アナト・フォートは、テルアビブ近郊にて1970年3月8日生まれ。ニュージャージー州のウィリアムパターソン大学で音楽を学び、ジャズの即興の探究や彼女のスキルを開発するために1996年にはニューヨークに移動もしている。こうした経過で最初のアルバム『Peel』(Orchard, 1999)を製作した。その後2007年、37歳の時に、Poul Motianのドラムスでアルバム『A Long Story』(→)にてECMデビューをした。
 今回三アルバムを聴くことになって、その結果、これからの彼女の次作も私にとっては気になる存在となった。

(視聴)

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2017年6月16日 (金)

アーロン・パークスAaron Parksピアノ・トリオ作品「Find The Way」

メリハリある抒情派美旋律が聴けるトリオ・アルバム

<Jazz>
Aaron Parks 「Find The Way」
ECM / GER / ECM2489 / 2017

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Aaron Parks (piano)
Ben Street (double bass)
Billy Hart (drums)

Recorded Oct. 10-12, 2015 at Studios La Buissonne, Pernes-les-Fontaines

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51d09vewdvlw アーロン・パークスは、なんと10歳代の1999年からアルバム・デビューしているが、30歳になって(2013年)ピアノ・ソロ・アルバム『Aborescence』ECM/GER/3744401/2013 →)でECMデビューを果した。そして既にここで取りあげたことのあるピアニストだ。あの作品は静かな森、樹木の情景の中の一つの空想、瞑想といった世界を描いたのであろうかと思わせた神秘的情景の作品で注目したのだった。そして今回はピアノ・トリオ作品、ECM2作目である。

 彼は今やアメリカの人気ピアニストで、1983年ワシントン州シアトル生まれで、まだ30歳代の新進気鋭である。
81qjz1hm4hl__sl1400_w_2 私は出逢ったアルバムの古いものと言っても、2008年のBlueNoteレーベルのアルバム『INVISIBLE CINEMA』(with  Mike Moreno, Matt Penman, Eric Harland  Universal.M.C./JPN/UCCQ9018/2014→)であり、近年の話である。。しかしそれ以前から、女性ヴォーカル・アルバム(Monika Borzym , Rebecka Larsdotterなど)のバックでのピアノを演ずることも多く、そんな活躍して来ている。
 今回は、ECMという流れの中でのトリオ作品であって、十分堪能出来るアルバムを仕上げてくれた。

(Tracklist)
1. Adrift
2. Song For Sashou
3. Unravel
4. Hold Music
5. The Storyteller
6. Alice
7. First Glance
8. Melquiades
9. Find The Way

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(Billy Hart,    Aaron Parks,   Ben Street )

 さてこのアルバムは、冒頭の曲M1.”Adrift ”のピアノの流れは、私のあまり好きはでないミニマル・ミュージックに通ずるような奏法から始まって、オヤッと思ったがそれがそのまま続くわけでなく、期待通り美しい戦慄が流れる。この曲ドラムスの叩き込みのアクセントはかなり攻めてくるが、ピアノの美旋律とのバランスが面白い。全編ピアノの音は澄んで美しく、旋律もヨーロッパ的なニュアンスも感じられ、抒情派のムードも悪くない。
 面白いのは、トリオ・メンバーのベーシストはBen Streetと、そしてドラマーBilly Hartの力強さを感ずるダイナミックなリズム隊で、曲によっては快調でメリハリがあってなんとも言えないスリリングな流れを作り上げ、美旋律ピアノとのインター・プレイがなかなか味なもの。特にM4.” Hold Music” は、アルバムの中間部に登場する曲だが、Billy Hart のドラムス主導で異色な仕上げ。そしてそれがM5.”The Storyteller ”、M6.”Alice”に流れて、単なる抒情派ではないトリオによるやや前衛的な響きもあって、現代的なセンスのインター・プレイを聴き取れる。そこにはパークスのピアノも単なる甘いロマンティックというところに止まっていないところが見事である。

 アーロン・パークスのピアノは、全体に不思議に力みというところは感じない。それは感じられる情景を、意外に冷静な中での対応をしていて、それをハイレベルな技法によって生み出される流麗なピアノの響きでもってして表現している事のためか。
 アルバム全体に起伏もあり、抒情的な美しいメロディーも流れて来るので、私にとっては納得のアルバムだ。以前聴いたBlue Note盤の『INVISIBLE CINEMA』と比べると、むしろ取っつきやすいアルバムである。これはECM効果の結果だろうか。

(参考)  Aaron Parks  :  Discography
         The Promse  1999
         First Romance  2000
         The Wizard  2001
         Shadows  2002
         Invisible Cinema  2008  Blue Note
         Alive in Japan   2013
         Arborescence   2013  ECM
    Find The Way  2017   ECM

(試聴)

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2017年6月12日 (月)

ニッキ・パロットNicki Parrottニュー・アルバム 「Dear Blossom」

Arborsレーベルからブロッサム・ディアリー・トリビュート集

<Jazz>
NICKI PARROTT 「Dear Blossom」
Arbors / U.S.A / ARBO194532 / 2017

Dearblossom

Nicki Parrott (vocal, bass)
Chris Grasso (piano except 4)
Chuck Redd (vibraphone on 1,2,5,6,10,11,12,14)
Lenny Robinson (drums except 4,13)

special guests:
Engelbert Wrobel (clarinet, tenor saxophone on 3,6,9,12)
Warren Vache (cornet on 4)
Vince Cherico (percussion on 1,5,14)

4862aa526dba47e3bc6250783ba2dabb  とにかく多作なニッキ・パロット、ArborsやVenusから年に数枚のニュー・アルバムが登場している。”お洒落なウッド・ベースを弾きながらのコケティッシュにしてウィスパー・ヴォイス”という代名詞も板に付いている彼女のこと、人気は当然で商業ベースからも評価が高い。
 今作はArborsレーベルの新作だが、ウィスパー・ヴォイスと言えば”その妖精”と言われた故ブロッサム・ディアリーBlossom Dearie(N.Y.生まれ、1924-2009)のトリビュート集だ。ふと思うに、ややコケティッシュというところでは、パロットはブロッサム・ディアリーと共通点もあるため、このトリビュートは成功確率は高いと踏む。

 近年Venusレーベルからのアルバムはどちらかというとジャズからポピュラーよりの仕上げが主流で来たため、このArborsの方はジャズ本流の作品として期待してしまうところである。(前作は昨年春のピアノ・トリオ作品「STRICTOLY CONFIDENTIAL」(Arbors ARCD19449))

 さて中身は勿論パロットのまろやかでコケティッシュ、ジャジーなお洒落なヴォーカルに、ビブラフォンの加わったカルテットのバックが主流で、それにトランペット名手ウォーレン・ヴァシェ(cornet)らをゲストに招き、更にクラリネット、パーカッションも時に加わっての軽妙なる小コンボ編成。

Np1(Tracklist)
1. I Wish You Love
2. Everything I've Got Belongs To You
3. I Walk A Little Easier
4. Peel Me A Grape
5. Inside A Silent Tear
6. Devil And The Deep Blue Sea
7. Dear Blossom
8. I'm Hip
9. Tout Doucement
10. Try Your Wings
11. Surrey With The Fringe On Top
12. Rhode Island Is Famous For You
13. It Amazes Me
14. It Might As Well Be Spring

 いつも思うのですが、ニッキ・パロットって力みが無くて良いですね。もともとベーシストが本職でしたから、こんなヴォーカル・スタイルになるんでしょうね。彼女は1970年オーストラリアのニューキャッスル生まれ、1994年よりニューヨーク在住ということで、今年で40歳も後半に入るところで最も充実している時ですかね。それにしても今作、相変わらず何となくキュートと言うか、乙女チックと言うか、その辺りは意外にしつこくなくてソフトでさらっとしている。そんな彼女のヴォーカル・ムードは拒否派もあまり居ないのではと思っている。
 今回のこのArbors盤は、バックも充実していて、その割には出しゃばってこないため、彼女のヴォーカルも浮き出てきてやはりなかなか仕上げも上手い。そしてソフトなジャズのムードもしっかり醸し出していて洒落た爽やかな良盤ですね。

(視聴)

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2017年6月 5日 (月)

アンナ・マリア・ヨペックAnna Maria Jopek のニュー・アルバム 「Minione」

描くはポーランドとキューバとの人間的哀感の融合
~ 憂愁の歌姫ヨペックとゴンザロ・ルバルカバの競演 ~

<Jazz>
Anna Maria Jopek, Gonzalo Rubalcaba 「Minione」
Universal Music Poland / Import / 573 980 8 / 2017

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Anna Maria Jopek - voice
Gonzalo Rubalcaba - piano
Armando Gola - bass
Ernesto Simpson - drums


Recorded at The Hit Factory Criteria Miami, 22nd-24th August and 20th-22nd December 2016

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 いや~~出ましたね、お久しぶりのニュー・アルバム。ポーランドのアンナ・マリヤ・ヨペック(1970~)となると、私にとっては好みの世界で3本の指に入るジャズ・ヴォーカリスト、それは憂愁の歌姫である(彼女は1997年よりアルバム・リリースしている。20年のキャリアだ。詳しくは末尾参照)。
 最終アルバムが3部作の一枚小曽根真との『HAIKU』となると思うので6年ぶりの登場です。この間、ボックス・セット『Dwa Serduszka Cztery Oczy』日本ライブも楽しませてもらったりとしてきましたが、今回はなんとこれも私好みのゴンサロ・ルバルカバのピアノ・トリオとの共演。期待に十分です。彼とは2011年のポーランドを歌い込んだアルバム『POLANNA』で共演していたので、今度はルバルカバの故郷キューバに近いMiamiでのお返し共演録音といったところか。

Amj5(Tracklist)
1. Twe Usta Klamia/Your lips lie : 5:58
2. Kogo Nasza Milosc Obchodzi/ Who cares for our love  4:14
3. Co Nam Zostalo Z Tych Lat/ What remains of those years?   5:11
4. Nie Wierze Ci / I don't believe you  5:02
5. Besame Mucho  4:23
6. Co Nam Zostalo... Wybrzmienie  1:29
7. Pokoik Na Hozej 6:42
8. To Ostatnia Niedziela / It's the last sunday 4:15
9. Miasteczko Belz 4:36
10. Nie Wierze... Detal 0:28
11. Rebeka 6:01

 これは何とも素晴らしい世界を構築してくれました。とにもかくにも私の印象では、キューバ人の多いあの華々しい巨大都市マイアミではあるが、その静かな路地裏の夜に描かれた哀感ある人間模様の世界という感じだ。
 この都市の人種的な構成は白人が多いのだが、ここの人口の65.76%はヒスパニックまたはラテン系である。この都市の民族的な構成はキューバ系が1/3と最も多く、アフリカン・アメリカンが2割強と言うところのようだ。
Gonsarow  そんな都市の人間模様には、キューバ人であるルバルカバ(ハバナ出身、1963年~)に描かせると現実味が帯びる。このアルバムの曲のアレンジメントはルバルカバによるもので、それだけ彼はヨペクの世界に思い入れを演じたと思う。それを又完全にヨペックの歌い込みによってヨーロッパ的な哀愁を加味して倍増して描ききっている。いやはや恐ろしいコンビの傑作だ。多分これはあの『PORANA』からイメージは作り上げられていたのであろう。
 
  スタートのM1.”Twe Usta Klamia”で完全に哀愁と大人の人間世界のヨペク節に突入。これから逃れられない感覚になる。
 M2.” Kogo Nasza Milosc Obchodzi”は軽快で有りながらどこかもの哀しさを感ずる曲仕上げ。  
 ボサノヴァ調、ときに現れるタンゴ調、これらもここまで彼らの哀感の世界に変容してしまうところが見事だ。
 そしてなんともここまで変調したM5.”Besame Mucho ”は希有の一言。ヨペクはハミングで哀愁を漂わせて唄いきる。
 そして又、M4.”Nie Wierze Ci”の哀しき暗さは特筆もの。又M11.”Rebeka”の優しさも見逃せない。
 アルバム全編を通して揺るぎないヨペクの世界感がひしひしと伝わってくる。

 とにかくヨペツクのポーランド・ドラッド探究は勿論、日本やポルトガル、そして他のアンゴラやブラジル、カーボ・ヴェルデなど民族的世界観の追求の一幕であろうか?。今回は、キューバ系世界にその焦点を絞った今作で、彼女のホーランド・ミュージックと世界ミュージツクの融合は一層深みを成している。そして彼女の暦年の磨かれた哀感ある歌唱力に喝采を浴びせるのである。まさに憂愁の歌姫だ。

 アンナ・マリヤ・ヨペクの過去のアルバムを参考までに↓・・・

(Anna Maria jopek Discography)
Ale jestem (1997年)
Szeptem (1998年)
Jasnosłyszenie (1999年)
Dzisiaj z Betleyem (1999年)
Bosa (2000年)
Barefoot (2002年)
Nienasycenie (2002年)
Upojenie (with Pat Metheny) (2002年;2008年)
Farat (live) (2003年)
Secret (2005年)
Niebo (2005年)
ID (2007年;2009年)
BMW Jazz Club Volume 1: Jo & Co (live) (2008年)
Polanna (2011年)
Sobremesa (2011年)
Haiku (2011年;2014年)
Minione (2017年)


(視聴)

 

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2017年6月 2日 (金)

やりますね!輸入企画盤 「JAZZ SEXIEST LADIES」

いやはや驚きの女性ヴォーカル・オンパレード
~ CD3枚組の企画物 ~ ピンク・フロイドの3曲も

<Jazz, Lounge, Rock>
V.A  「JAZZ  SEXIEST LADIES」
Music Brokers / Argentina / MBB7238 / 2017

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 まずこの不思議な企画盤、"Music Brokers"というレーベルはアルゼンチンのポピュラー盤の再発メーカーのようだが、とにかくカレン・ソウザが看板シンガーみたいなところ。ロック系のリリースが多い。
 それはそれとしてえらいもんですね、こうゆう企画は。私は全く知らないのですが、なんと世界の美女狩りを得意とする我が友人がどこからか仕入れて紹介してくれた。

Xatl00000656w  中身はジャズ系のバック演奏で意外にオーソドックス。小編成でのコンボから、ビッグバンド、ストリングスなるオーケストラも時に入る。
 なにせ女性ヴォーカル陣があれやこれやと登場する。それぞれ何となくセクシーなムードを醸し出すは出すんだが、意外にあっさりしている。まあ、私にとってはカレン・ソウザ(→)がなんと言っても注目。全体で5曲登場する。

 しかし不思議なのはロック系からの選曲が多いことだ。どうも聴いていくと曲のジャジーな編曲がなされているが、ヴァン・ヘイレン、U2、メタリカ、ストーンズなども登場している。

Shirleyadamsonw 更に驚きはピンク・フロイド「狂気」からなんと3曲も登場。CD-1には、驚きの”Us and Them”とくるからビックリだ。そしてそれも知らないShirley Adamson という女性(→)のヴォーカル(V.A.の「Jazz and Floyd」(BSMF Records/ JPN/ BSMF-5033/2015)と言うアルバムに納められているもの)。これが何となくため息交じりだが、結構軽快に唄って魅力的で降参だ。ついでにピンク・フロイドの曲を紹介するとCD-2には、”Time”( Michelle Simonal)とくるからこれも恐れ入った。ロジャー・ウォータースが聴けばビックリの編曲。更にCD-3には、なんと”Breathe(in the air)”(Lyle Hunter Feat The Cooltrane Quartet )です。それがなんとも洗練されてセクシー。こうゆうのはピンク・フロイド派の私でも初お目見えに与った。

Sarahmenescalw_2 そうそう忘れてはいけないオープニングは、New Bossaの歌い手と言われている Sarah Menescal (←)という女性の登場。なかなか曲の唄い回しもセンスを感じさせる。・・・と、言った調子に多彩な女性軍のオンパレードだ。まあいろいろと語る前にとにかく聴いてみるが一番。それぞれ個性を生かしてのヴォーカルで飽きない。又過去にあまり縁の無かったシンガーであるだけ新鮮で興味も湧きます。そんなところだが、まあ聴き慣れたカレン・ソウザが貫禄の主役ですがね。

 その他、スーパー・トランプとか、ワム、ファレル、フリートヴッド・マーク、マドンナなどなどの曲群も登場して多彩。

 とにかく、絶賛するというので無いのだが、こうゆうものを企画するという発想に私は降参したといういやはや恐れ入った女性ヴォーカル集である。ここに登場するは、それぞれ多分過去といっても近年のリリースされたアルバムから選び込んだものと思われる。
 いずれにせよ、バック演奏共々意外に嫌みが無く、もっとセクシーかと思ったがそうではなく、ソフトに歌いあげてくれるので、BGMとしても成り立つ代物として面白かったというところであった。

(Tracklist)

 CD-1 GLAMOUR DIVAS
01. The Game Of Love - Sarah Menescal

02. Jump - Cassandra Beck
03. New Year´s Day - Karen Souza
04. Wonderwall - The Cooltrane Quartet
05. Skin Trade - Anakelly
06. Live Forever - Ivette Moraes
07. Us And Them - Shirley Adamson
08. Sgt.pepper´s Lonely Hearts Club Band - Astrid Bergman
09. Happy - Flora Martinez
10. Time After Time - Sarah Menescal
11. Amazing - Stella Starlight Trio
12. Breakfast In America - 48st Collective
13. My Foolish Heart - Karen Souza
14. Hungry Like The Wolf - Dinah Eastwood


CD-2 QUIET NIGHT
01. Moves Like Jagger - The Cooltrane Quartet
02. Gypsy Woman (She´s Homeless) - George White Group
03. Missing - 48th Street Collective
04. I Heard It Through The Grapevine - Karen Souza
05. Something - Sarah Menescal
06. Wake Me Up Before You Go-go - Urselle
07. Blame It On The Boogie - Eve St.jones
08. Firework - The Cooltrane Quartet
09. Time - Michelle Simonal
10. Let´s Stay Together - Flora Martinez
11. The Unforgettable Fire - The Noir Horns Feat Eva Wilson
12. Every Breath You Take - Karen Souza

13. Unfinished Sympathy - Anakelly
14. Porcelain - 48st Collective


CD-3 COCKTAIL CLASSICS
01. Don't stop - Jazzystics feat. Cassandra Beck

02. Breathe (In The Air) - Lyle Hunter Feat The Cooltrane Quartet
03. Never Tear Us Apart - Karen Souza
04. Can´t Buy Me Love - Stella Starlight Trio Feat Lizette
05. Lovefool - Urselle
06. A Sky Full Of Stars - The Cooltrane Quartet
07. Enter Sandman - Jazzystics
08. Material Girl - Cassandra Beck
09. Vertigo - Dinah York & The Swing Ensemble
10. Nothing Compares 2 U - George White Group
11. Revolution - Celso Mendez Feat Lua
12. Peperback Writer - Mandy Jones
13. …baby One More Time - The Cooltrane Quartet
14. Purple Rain - Urselle

(試聴)

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2017年5月27日 (土)

大変身のイメルダ・メイIMELDA MAY 「LIFE. LOVE. FLESH. BLOOD」

”アイルランドの美空ひばり”(私の独断的命名)
~相変わらずの抜群の歌唱力は健在~

<Jazzy Pop,  Blues , Folk>
IMELDA MAY 「LIFE. LOVE. FLESH. BLOOD」
DECCA / EU / 5714901 / 2017

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Prodused by T Bine Burnett
Written by Imelda May

Vocals : Imelda May
Gest Player : Jeff Beck (Guitar M2),  Jools Holand (Piano  M9)
Marc Ribot : Guitar
Jay Bellerose : Drums
Zachary Dawes : Electric Bass
Dennis Crouch : Acoustic Bass
Patrick Warren : Keyboad


 これはイメルダ・メイのメジャー四作目、アルバム・タイトルが凄いですね、まさに彼女の生き様そのもの。彼女は私に言わせると”アイルランドの美空ひばり”だ。何を唄わせてもトップ・クラスのヴォーカルを聴かせてくれる。とにかくそうは言っても今まではやっぱり”ロカビリー歌姫”が看板。ところがここに来て驚きの大変身。大体髪型を現代風に変え、化粧もそれにそってかってのロカビリー時代風とは全くの変身、女性ってこんなに変化するんですね。あの彼女をお気に入りのジェフ・ベックも驚いたでしょう。

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          ↓↓   (見よ!この変身)

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 それも彼女をそうさせたのは、やっぱり離婚でしょうかね。彼女のロカビリー・バンドのリーダー格のギタリストDarrel Highamと18年の結婚生活にピリオドを打ち、離婚が報じられたのはもう少々前の話(2015年)。しかしその後ここまで変身とは全く信じられないところ。

  私は、彼女をここで何回と取りあげたのはやっぱりファンだからです。とにかくロカビリーは勿論だが、ジャズを唄わせても最高です。ジェフ・ベックとの共演での”Lilac Wine”、”Cry me a River”なんかは一流のジャズ・シンガーをも圧倒する(アルバム:Jeff Beck 「EMOTION & COMMOTION」(WPZR-30373/4,  2010))。

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 そしてこのアルバムにみるように、唄うはその曲調も大変化、なにせあのロカビリーの”Johnny Got a Boom Boom ”からの変化ですからね。まあとにかくお得意のロカビリーも顔を出すが、もう完璧な大人のシンガーへ変貌を遂げてみせ、ジャジー・ポップから、ブルース、フォーク、ロック、ソウル、ゴスペル、ジャズにまでに渡っている。これぞ彼女の芸達者の極地。そしてこの曲群、やっぱり全曲彼女の手によるオリジナル曲である。彼女に言わせると”自分の日記みたいなもの”と表現されている。
 レコーディングはLos Angelesにて7日間で行われたもの。

(Tracklist)
1.  Call Me
2.  Black Tears
3.  Should’ve Been You
4.  Sixth Sense
5.  Human
6.  How Bad Can A Good Girl Be
7.  Bad Habit
8.  Levitate
9.  When Its My Time
10.  Leave Me Lonely
11.  The Girl I Used To Be


Imagew_2 まずオープニングのM1.” Call Me”とM3.”Should’ve Been You ”で驚きますね。この2曲は今回の変身の代名詞的曲。みごとな二種の現代風ジャージー・ポップに感動です。
 又二曲目のリード・トラックM2.”Black Tears ”はジェフ・ベックのギターが登場。彼女の内と外の真実の心の姿をバラードで歌いあげる。これは1-2年前からお目見えしていた曲。ロカビリー時代のスローバラードですね。そしてやっぱりジェフのギターは心に染み込みます。
  M6. ”How Bad Can A Good Girl Be ”これは又聴きやすい親密感あるメロディーで一皮剥けた彼女を知ることになる気が休まる曲。
  M7. ”Bad Habit ” やっぱり出ますね、ロカビリー調の軽快な曲。
 M8.”Levitate ”親近感のあるメロディー、説得力のヴォーカル、そして隠れた色気まで臭わせて、一緒に唄いたくなるような曲。
 M9. ”When Its My Time ”こんなカントリー・ブルースっぽい曲も登場。昔、プレスリーが激しい曲の後にしっとり唄い上げた姿とダブリますね。上手い。 
 とにかく全体的に非常に聴きやすい説得力十分の曲とヴォーカル。ソフトであるが、やや陰影のあるところが味噌だが、決して暗くない。そして軽快な曲も交えてのまあ見事なアルバムに仕上げている。

 彼女は1974年7月10日生まれ(実はどうでも良い話だが、偶然私と生まれた月、日は一緒)、と言うことで40歳を過ぎている。アイルランドのダブリン出身のシンガー・ソングライター。本名はイメルダ・メアリー・クラビーImelda Mary Clabby 。2008年にアルバム『ラヴ・タトゥ』でメジャー・デビューしている。2012年8月に娘を生んでの母親でもある。
 このニュー・アルバムで”ロカビリー歌姫”から、”落ち着いた雰囲気の大人なシンガー”へ変貌を遂げてみせ、新たな挑戦に踏み切った。それでも印象は30歳代と言ってもよい十分の若さを感じさせる。

 このアルバム・リリースはこの4月。それを知らないで居て、ブログ「ロック好きの行き着く先は...」のフレさんに教えられました。サンキュー。


(視聴)

       ”Black Tears”  ( 2016 )↓

      ”Cry me a River” with Jeff Beck   ( 2010 )↓

     ”Danny Boy”  with Jeff Beck  (2010) ↓

 

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2017年5月23日 (火)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi 「MÉNAGE À TROIS」

やっぱりエンリコのピアノは流麗にして美しかった

<Jazz>
Enrico Pieranunzi・André Ceccarelli・Diego Imbert 「MÉNAGE À TROIS」
BONSAI / IMP / BON160901 / 2016

Ebrico

Enrico Pieranunzi (piano)
Diego Imbert (double bass)
André Ceccarelli (drums)
Recorded on Studio de Meudon, Meudon, Frabce  at 12-15, Nov, 2015

Enricopieranunziw1
 CAM Jazzとの独占契約の解除があって以来、ちょっとこのところエンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziはその活動も多方面に広がって、そのピアノ作品は若干難しい面もあったりして少々構えている私で、そんな事から今回このニュー・アルバムにはすぐに飛びつかず様子を見ていた私でありました。ところがブログ友爵士さんは昔からのファンだけあってやっぱり静かにしている私に薦めているので、結局のところ聴くことになったという次第。

 今作はフランスのBonsai Musicにて録音した注目のトリオ新作だ。それもクラシックとの融合を図った演奏と言うことで、やっぱり気になる作品でもある。

1797bigpmgrandw1  大体アルバム・タイトルの「MÉNAGE À TROIS」が凄い。これってフランス語で”三人婚”の事ですね、一般には男1+女2で平和な暮らしを営むという私には信じがたい状態。それはこの場合、イタリア人のエンリコ+フランス人二人のトリオってことでしょうか?、それともドラムスはエンリコの長年の朋友アンドレ・チェカレッリ(→)で、それが「2」で、それにベースのフランスのジャズ界のディエゴ・アンベールを加えた「2+1」なのか、とにかく洒落ていて難しいです。私はエンリコのフランスでの遊び心を何処かに秘めたのではと想像もするのだが・・・・。

(Tracklist)
1. Mr. Gollywogg (d'après Gollywogg's Cake - Walk de C. Debussy) 03:57 (Enrico Pieranunzi)
2. 1 ère Gymnopédie 03:47 (Erik Satie)
3. Sicilyan Dream (d'après Siciliano, BWV.1031 de J.S. Bach) 04:42 (Enrico Pieranunzi)
4. Medley: La plus que lente / La moins que lente 07:15 La plus que lente 02:07 (Claude Debussy) La moins que lente 05:08 (Enrico Pieranunzi)
5. Hommage à Edith Piaf (XVème Improvisation, Hommage à Edith Piaf) 04:44 (Francis Poulenc)
6. Le crépuscule 04:00 (Darius Millhaud)
7. Mein Lieber Schumann I (d'après Davidsbündlertänze Op.6 (No.2) de R. Schumann) 07:06 (Enrico Pieranunzi)
8. Medley: Romance / Hommage à Milhaud 05:00 Romance 01:25 (Darius Millhaud) Hommage à Millhaud 03:35 (Enrico Pieranunzi)
9. Mein Lieber Schumann II (d'après Carnaval de Vienne Op.26, Allegro, de R. Schumann) 07:05 (Enrico Pieranunzi)
10. Hommage à Fauré (d'après Improvisation, 5ème des « Pièces Brèves » Op.84 de G. Fauré) 04:38 (Enrico Pieranunzi)
11. Liebestraum pour tous (d'après Liebestraum No. 2 de F. Liszt) 04:18 (Enrico Pieranunzi)

 いっや~~なかなか百戦錬磨のエンリコだけあって、単なるクラシックものとは全くの別物です。やっぱりジャズですね。原曲の面影は無いでは無いが、やっぱり一筋縄ではゆかない(良い意味ですが)彼の色彩濃いジャズ化の世界。エンリコの編曲と彼の作曲をドッキングしたりしての快作。つまりクラシックの名曲はあくまでも彼のジャズの誘導の素材でしか無いと言っても良いくらいだ。

Enricopieranunzi3_websito
 さて登場する曲は、ドビュッシー、サティ、バッハ、シューマン、クープラン、リストといった作曲家だ。
 バッハと言えば懐かしのジャック・ルーシェを思い出すが、M3.”Sicilyan Dream ”に登場。バッハのイメージはあるが、ルーシェのようにその曲を生かしてジャズにしたというのでなく、全くの別物。つまりエンリコのジャズにその味を効かしたというパターン。編曲の凄さが出ている。
 しかし彼にはバッハよりはドビュッシーのほうが合いますね。それはM4.”La plus que lente / La moins que lente ”で味わえる。静かな世界をリリカル路線で聴かせるせるが、後半は彼の曲をドッキングさせて、それはなんとスウィングさせてのジャズ世界。いやはや遊び心も持ち合わせたピアノ達人だ。
 M5.” Hommage à Edith Piaf ”これは哀歌ですね。フランスの誇るシャンソン歌手エディット・ピアフへのオマージュだ。
 M7.”Mein Lieber Schumann I”シューマンを演ずるエンリコは、彼のベースに流れるクラシックの味そのものを生かしつつ演ずるジャズの流れる美しさに堪能する。
 M8.”Romance / Hommage à Milhaud ”これは彼の得意のクラシック流世界。そして気持ちを安らげる1曲に仕上がっている。
 まあこのように多彩な世界を演じてくれるエンリコのドラマティックで情熱込めたピアノ・プレイでありながら、彼の持つリリカルなところがしっかり織り込まれた快作だ。

 エンリコのクラシック楽曲を知り尽くしての演奏に、どちらかというとジャズ・ピアニストとしてのアレンジの妙にウェイトが置かれていて、それに更にインプロヴィゼーションが加わって、その融合の名演奏のアルバムと言って良いのでは思う。

(視聴)

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2017年5月11日 (木)

ドロタ・ミシキェヴィチDorota Miśkiewiczのベスト盤「Best of」

ポーリッシュ・ボッサの世界は・・・・・

 ポーランド・ジャズは私の注目点の一つであり、今Anna Maria Jopekの久々のニュー・アルバムがリリースというところで気分も高まっているが、彼女のバンドでバック・コーラスを担当していたドロタ・ミシキェヴィチDorota Miśkiewicz(1973年生まれ)という女性もヴォーカル・アルバムは結構人気がある。そして何枚かのアルバムがあるのだが、昨年リリースしたベスト盤があって、それをここで紹介する。

 <Jazzy Pop>
Dorota Miśkiewicz 「Best of」
SONY Music Ent. Poland / EU / 88985326232 / 2016


Bestof

(Tracklist)
1. Bezbłędny

2. Pod rzęsami
3. Um Pincelada
4. Nucę, gwiżdżę sobie
5. Poza czasem
6. Dwoje różnych
7. Budzić się i zasypiać (z tobą)
8. Nieuniknione
9. W komórce
10. So gia (Sodade)
11. Samba z kalendarza
12. Lubię być szczęśliwa
13. Anna Joanna (Jovano Jovanke) live

Dziennik2 ドロタ・ミシキェヴィチは、ポーランドジャズ界を代表するサックスプレーヤーHenryk Miśkiewiczを父に持ち、名門ショパンミュージックアカデミーで作曲、ヴァイオリンを学んでいる。目下はポーランドでシンガー、作曲家として活躍中。
 そしてこのアルバムは過去のアルバムから厳選した曲と新曲3曲、これらは彼女のオリジナル曲だ。そして未収録ライブ1曲を加えたもの。

 曲のパターンは主としてラテン風味も適度にあって、どちらかというとボサノヴァのムードが主流のジャズィーなポップ作品。それは冒頭のM1.”Bezbłędny”から軽快に流れてくる。
  M8.”Nieuniknione”などは、まあブラジリアンテイストと言って良いのだが、ところがユーロ・ポーランド風と言われる感覚もあって不思議なポーリッシュ・ボッサと言うところか。
 彼女の発声は極めて標準的なところをクリアしていて聴きやすいタイプ。面白いことにただ高音域に入ると、しっかり協力関係にあったアンナ・マリア・ユペクに似た発声法を聴かせる。
 M10. ”So gia (Sodade)”は、男性ヴォーカルとのデュエットで聴かせるのだが、ラテン・ムードを美しく歌いあげてくれる。

  今や、ポーランド・ジャズは世界で注目の一つであるが、ショパンを誇りとした国民は、音楽というものに対しての価値観を十分認識しているところに、クラシック、ジャズのみならずトラッドやロック、ポップに至っても成長して行く因子があるのではないかと思っている。

 このアルバムは、実に気楽に聴かせてくれる世界であって、初夏向きのボッサの世界だ。

(視聴) ”Poza czasem”

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2017年5月 7日 (日)

マーク・ジョンソンをフィーチャーしてのサン・ビービー・トリオSøren Bebe Trio 「EVA」

北欧とNYで生み出す静寂感溢れる美しい世界

Sb1_2 ”北欧の風景が聞こえてくる”とまで言われているピアニスト=サン・ビービー(ソレン・ベベ)のトリオ新作『HOME』(FOHMCD008)を先日紹介したところだが・・・・・、
 その前2013年にはマーク・ジョンソンをフィーチャーしての『EVA』をリリースしており、これも又”深い透明感と牧歌的な美しいメロディー”と表現されるに十分なアルバムで、ここで取りあげておく。

<Jazz>
SØREN BEBE TRIO featuring MARC JOHNSON 「EVA」
Spice of Life / Imp. / SOL SV-0029 / 2013

Eva

Søren Bebe : Piano
Anders Mogensen : Drums
Marc Johnson : Double Bass
Recorded on Sep. 2nd & 3rd 2012 at SEAR SOUND,Studio V,NEW YORK


 これはデンマークのサン・ビービーの第4作目になる作品だが、ベーシスト=マーク・ジョンソンを迎えて、長年のお付き合いのドラマー=アナス・モーンセンとトリオを組んでのニューヨークのシェア・サウンドで録音されたアルバムである。
  マーク・ジョンソンと言えば、ビル・エヴァンス・トリオの最後トリオのベーシストであるわけで、サン・ビービーにとっても記念的貴重盤となったものであろう。ついでに一言、あの女流ピアニストにしてシンガーのイリアーヌ・イリアスEliane Eliasの旦那様でもある。

Evalist 収録曲は右のような11曲。ドラマーのモーンセンの曲が2曲。残りの9曲はサン・ビービーのもので全オリジナル曲集だ。
 相変わらずサン・ビービーのピアノは優美にして透明感ある像を描く。又モーンセンのドラムスは、シンバル、ブラシを駆使してこれ又繊細にして背景を静寂感に包む。そしてマーク・ジョンソンのベースも、彼らの世界に歩調を合わせた如くの控えめであるが、美しいメロディを演じてくれる。

  M1.”Freshman”冒頭から透明感あるピアノが、飛び込んでくる。続くM2.”For L.R.P.”クラシック調の優しい曲に・・・・。
 M4.”Luft/Air”のその名の通り、空気感が凄い。
 M5.”Flying High”あたりは、ジョンソン効果でピアノとベースの掛け合いがあって、ニュー・ヨーク的雰囲気もあるがやっぱり最終的には北欧世界ですね。
Marcj M8.”One man band”も珍しく押してくる曲だが、ジョンソンの存在感を示すベース・プレイが注目されるが、やはりここでもメロディアスなピアノ・プレイに美しさがあって落ち着いた味を描く。
 M9.”Eva”、これは女性の名前でしょうか、このアルバムのタイトルにもなっている曲だが、そこには控えめな優しいベースとピアノがメロディを交互に演じて美しく仕上げてる。 
  M10.”Change”は、ピアノとベースの和音、ベースのメロディ、そしてピアノの流れがやっぱり優しく静謐な世界を描いてくれる。

 明らかにサン・ビービー・トリオに、一層のベース効果を味わうことがマーク・ジョンソンにして成し遂げられ、このトリオの充実効果に厚みの部分に一役買っていることは事実だ。相変わらずこのアルバムも、サン・ビービー流のスウィングやアクセントのビートとを効かすというものではなかったが、私的にはそれには全く不満はなく納得の良盤の位置にある。

(試聴)

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2017年5月 3日 (水)

ダイアナ・クラールDiana Krallのニュー・アルバム「Turn Up The Quiet」

ヴォーカルを前面に出した懐かしさいっぱいの原点回帰の快作

<Jazz>
Diana Krall 「Turn Up The Quiet」
UNIVERSAL CLASSIC & JAZZ / JPN / UCCV-1162/ 2017

Turnupthequiet

Produced by Tommy LiPuma and Diana Krall
Recorded by Al  Schmitt at Capitol Recording Studios, Hallywood, CA

 いっや~~、数溜まって来たダイアナ・クラールのアルバム。その中でも今回この新作は”原点回帰”と言っても、彼女のピアノ演奏中心というのでなく(私はもう少しバリバリのジャズ演奏を期待していたんですが・・・)、やっぱりヴォーカル・アルバムですね。録音も完全にダイアナのヴォーカルが前面に強調されている。
 まあ、決して悪いわけで無く、ダイアナの相変わらずの親父声の充実感を十分に味わえます。彼女の育ての親と言うべきか、発掘し育て上げた立役者でもあるという巨匠のトミー・リピューマがプロデュース。しかしなんとこれは約10年ぶりの通算8作目のプロデュース作となるようだ。しかし彼はこの3月13日に80歳で発売前に亡くなったと思うが・・・と、すれば彼の記念作でもあり、遺作として感じ取らねばならないだろう(それに十分な内容だ)。

List1(Tracklist)
1.  Like Someone In Love
2.  Isn't It Romantic
3.  L-O-V-E
4.  Night And Day
5.  I'm Confessin' (That I Love You)
6.  Moonglow
7.  Blue Skies
8.  Sway
9.  No Moon At All
10.  Dream
11.  I'll See You In My Dreams
12. How deep is The Ocean *


  さて、収録曲は前作はポップス曲だったが、今回はジャズ・スタンダードの懐かしの曲のオンパレード(*印:日本盤ボーナス曲)。
 スタートM1.” Like Someone In Love ”は、冒頭よりベースの重量感と彼女の低音の効いたヴォーカルがじっくりと迫ってくる。やっぱり彼女のヴォーカルは充実感あって良いですね。
 バック演奏はやっぱり従来のアルバムの流れで、ギター、ピアノ、ベース、ドラムス中心で、オーケストラも入るというヴォーカルを支えるパターンで変わっていない。
  M2.” Isn't It Romantic ”アンソニ・ウィルソンのギター、ジョン・クレイトンのベース、ジェフ・ハミルトンのドラムスに彼女のピアノがお馴染みのパターンで流れ、それにヴォーカルが乗ってダイアナ流懐かしの曲展開。
 M3.”L-O-V-E”こりゃ、ナット・キング・コールですね。1960年代ビートルズ・ロック前の世界を風靡した曲。
 M4.”Night And Day ”コール・ポーターの代表作、シナトラも良かったけど、私はセルジオ・メンデスが懐かしい。それをうまく両方のイメージを残してダイアナは熟してくれます。
 M7.”Blue Skies ”戦前のヒット。この曲はこのアルバムでは珍しくスウィングする。ダイアナのピアノ・プレイが溌剌として楽しめる。
 M8.”Sway”誰もが唄う”キエン・セラ”だ。しかしこれをゆったりと物憂いパターンで唄うところがダイアナ節だ。いやはや昔のザ・ピーナッツが聴いたらビックリでしょうね。
  M10.” Dream ”は、ジョニー・マーサーの作曲で、何とも言えない懐かしさいっぱいです。シナトラも唄ったし、映画でも何回と使われた。「足ながおじさん」が有名にもした曲。痺れますね。
  M12.”How deep is The Ocean ”日本盤ボーナス・トラックだが、昨年日本ライブで評価の高かった曲。これがなかなか深遠なムードあって良い。M11.” I'll See You In My Dreams”のスウィンギーな曲での外盤の終わりよりは日本盤がお勧めだ。

Dk2 全体にバラード調のゆったり、じっくりの世界。これはこれで気分良好ですね。アメリカン・クラシックの前々作『グラッド・ラグ・ドール』2012年)よりは、ムードがあってこの方が私好み。そう思って懐かしがって聴いているとあっという間に終わってしまう。こんな快作でした。

 前作『ウォールフラワー』(2015年)はグラミー16回受賞の大御所デイヴィッド・フォスターがプロデュースを務めたポップス・カヴァー集だったが、多分若い人にはそちらの方が承けると思うが、我々のような歳も重ねた人間にとっては、こちらも懐かしさで充ち満ちてしまったというところだ。

 さてさて、まだ私の期待のバリバリのジャズ演奏アルバムというところには不満作であったが、これだけスタンダードをポピュラーに仕上げると、これ又ヒット・アルバムとなるのは間違いない。しかし私は又々数年後を期待することになった。

(試聴) ” Night And Day

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