JAZZ

2019年2月14日 (木)

ツォーマス・トゥルネンのピアノ・ソロTuomas A. Turunen 「Ornaments of Time」

自然を見つめる思索的響きの世界

<Jazz>

Tuomas A. Turunen 「Ornaments of Time」
SKIP RECORDS / GERM. / SKP 9139-2 / 2017

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Tuomas A. Trunen plays on piano (Fazioli F278 mkⅢ)
Recorded, mixed & mastered by Stefano Amerio on Sep.5-8 2017

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 このところスウェーデンのEmil Brandqvist trioの2枚のアルバム(『Falling Crystals』(SKP 9135-2)、『Within A Dream』(SKP 9141-2))で 、その美しいピアノの調べを披露しているピアニストとして気になったのがツォーマス・トゥルネンTuomas Antero Turunen である。彼の名前をみると、フィンランドのシンフォニック・メタル・ロック・グループ「Nightwish」のTuomas HolopainenとTaja Turunenを思い起こすと言うと、知る人ぞ知るということなのだが、まあそれはそれとして、とりあえずは彼のアルバムを手に入れてみた。

24301387 彼はフィンランド出身(1980年生まれ)で子供のころからピアノに接し、なんと5歳で作曲をしたといわれている。
 しかし大学では数学を専攻し、又格闘技も身に着けたりしているらしいが、その後ミュージックの世界への魅力は持ち続けていたようで、2001年からはクラシック及びジャズの本格的勉強をしてきた若き新鋭ピアニストで、ジャズ・ピアノとしてはスウェーデンにてあのLars Jansson やAnders Jorminからも教育を受けてきたという。そんなところからも抒情的なピアノ・プレイが築かれてきたのかも知れないと想わせるのだ。

(Tracklist)

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Tuomasforest 収録曲は上のような12曲で、トラディショナルの2曲を除いて10曲は彼の手による曲で、完全なピアノ・ソロ・アルバムである。
  オープニングのM01."I heid her and said goodbye..."から、抒情的美旋律のクラシック調のピアノの調べが流れる。
 そしてほぼ全編、美しい自然に向かって詩的な感覚で眺めた哲学的・抒情的な演奏で占められている。

 ジャケをみると息子そして母のメモリーに捧げるアルバムと記されていて、自己のファミリーに想いを馳せた演奏集とも言えるようだ。
 2曲のトラディショナルも彼の地と関係したものであろうか、心安まる美しさに満ちている。

 ピアノもFazioliF278を使っており、又録音、ミックスの技術者として Stefano Amerio を起用していて、かなり美とリアリティーを意識して作られたアルバムであることは容易に想像され、そんな意味でも聴き応えある。

(このアルバム・ジャケは何を描いたのか、じっと見ても解りません。水のしぶきのようにも見えますが・・・・どなたか解りますか ? )

 彼はEmil Brandqvist trioの重要なピアノを担当しており、これからユーロ・ジャズのやや前衛性を加味した抒情的ピアノ演奏として益々目を離せない存在になりそうだ。

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★★☆

(試聴)

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2019年2月10日 (日)

エンリコ・ピエラヌンツィのニュー・アルバム Enrico Pieranunzi 「PLAY GERSHWIN」

ジャズでもなくクラシックでもなく・・・これは何なんでしょう
<Jazz, Classic>
Enrico Pieranunzi  Gabriele Mirabassi  Gabriele Pieranunzi
「PLAY GERSHWIN」
CAM JAZZ / IMPORT / CAMJ7939 / 2018
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Enrico Pieranunzi (piano)

Gabriele Mirabassi (clarinet)
Gabriele Pieranunzi(violin)

 ジョージ・ガーシュインと言えば、シンフォニック・ジャズと言われるクラシックとしてもジャズとしても通ずるアメリカの20世紀の作曲家だが、それを題材にしたイタリアのピアノの詩人と言われるエンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziのニュー・アルバムの登場。
 これが案の定、クラシックともジャズとも、なんとも正体の不明なアルバムの登場となった。それも彼のピアノにクラリネット、ヴァイオリンの加わったトリオ演奏によると言う不思議な世界を演じきったもの。もともとクラシックがベースと言うエンリコの事、まぁ聴いてみるとクラシック・スタイルと言ったほうが良いのかも知れない。
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もともとガーシュインの曲は、管弦楽曲、オーケストラとしての演奏が主体だが、それを3人の演奏となると室内楽的スタイルで、ちょっとイメージも変わる。更にそこにはそれなりのジャズ世界を演じてきた彼のアレンジが登場するわけで、そこが味噌と言えば味噌なのだが、如何にも正体不明なアルバムなのである
 まあこのところハイドンやバッハとか、さらにドビュッシーの曲を取りあげての彼の世界を演じてきたと言う事もあるのだが、ちょっと私の期待の世界とは別方向に流れているエンリコで、その極めつきがここに登場したとも言えると思う。
(Tracklist)
01. An Americab in Paris
02. Prelude 1

03. Prelude 2 (Blue Lullaby)
04. Prelude 3 (Spanish Prelude)
05. Prelude (Melody No.17)
06. Varaazioni Un Tema Di Gershwin

07. Rhapsody In Blue

V4w  今回のトリオは、彼の兄弟のGabriele Pieranunzi(→)のViolinと、何年かとお付き合いのあるGabriele Mirabassi (右下)のClarinetと言う構成で有り、気心知れた仲間での挑戦と言うことだと思う。まあしかしヴァイオリン、クラリネットと来れば、所謂ジャズのオーソドックスなトリオであるドラムスのようなリズム隊が居ないので、それが一つジャズ離れしたところだろう、もともとジャズ的世界とか何とかとには拘った話でも無いのかも知れない。

C3w そこでむしろ"Prelude"の4曲のように、美しく演ずるのであるが、ピアノがリズム役を担っていて、いわゆるジャズのオーソドックスなピアノ・トリオを期待してはいけない。まあメロディーを奏でる3者のトリオであるのだが、むしろピアノより、クラリネツトとヴァイオリンの美しさがここでは前面に出でいる。
 とにかく懐かしのガーシュインのメロディーが流れてくる。それはピアノの音であったり、クラリネットであったり、ヴァイオリンだったり美しくは演じられている。当初私はヴァイオリンがもう少しスリリングな展開をしてくれるのではと期待したが、そんなところにはなくむしろ一般的な旋律隊であった。
 そしてメインは、M01. "An Americab in Paris"M07. "Rhapsody In Blue"の2曲と言うところだ。特にM01の方は全体の流れが実に起承転結がしっかり築かれ中間部の美しさなど見事と言えば見事な仕上げであった。一方M07は、むしろこの編曲であるならオーソドックスなピアノトリオで演じてみると面白いのかもしれないと思って聴いた。
 M06."Variazioni Un Tema Di Gershwin"のみエンリコによる曲と思われるが、即興的ニュアンスも感じられるも、特に引きつける魅力はあまり感じられなかった。

  ガーシュインのポピュラーな曲は、結構ジャスで演奏されてきているので、そんなところかと最初は思ったが、なにせこの構成のトリオであって、まぁ~ジャズ的ムードは期待しない方が良い。ところが一方クラシックとして聴けば、結構美しく演奏してくれているのだが、ちょっと変なアレンジもあって意外性も顔を出してすんなり行かない。はっきり言うと中途半端なんですね。こうゆうのを好んで聴くのはどうゆう人なのかとむしろそっちに興味を持つところである。まぁ私の愛聴盤にはなりそうもないものであった。
(評価)
□曲・演奏 : ★★★★☆
□録音:   ★★★★☆

(視聴)

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2019年2月 5日 (火)

アレッサンドロ・ガラティのニュー・アルバム Alessandro Galati 「Live from The Inside Out」

トリオはやっぱりライブが楽しい!!

<Jazz>

Alessandro Galati 「Live from The Inside Out」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1077 / 2019


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ALESSANDRO GALATI(PIANO)
GABRIELE EVANGELISTA(BASS)
STEFANO ATKINSON(DRUMS)

Recorded in 2015-2018 in The Cities of Pisa, Prato, Roma, Bolzano, Palermo.

 このブログを見ると解ると思いますが、私はとにもかくにもアレッサンドロ・ガラティのファンである(ここでは12回目の登場だ)。それはアルバム『TRACTION AVANT』(VVJ007/1994)の感動以来なんですね。
 今回、こうして前回に続いて彼のニュー・アルバムの感想を書くということは、何とも幸せ感いっぱいで有るのだ。寺島靖国の努力から生まれたのでしょうが、今回「ソロ版(『Augustine』(TYR-1078))」とこの「トリオ・ライブ版」が同時にリリースされるという快挙があったのです。

 そしてここでは、この2枚組のトリオ・ライブ版のほうに注目してみる事にした。”アレサンドロ・ガラティ・トリオ”というのはこのところ不変のメンバーで(上記)、これもお互いの関係が上手くいっていると言うことなんでしょうね。ピアノ・トリオといってもベース、ドラムスの活動もしっかりしていてはじめて楽しめるのでありますからね。

A_g_2(Tracklist)
Disc 1
1. L'incontro
2. Sorry I've Lost Your Number
3. Nina
4. Seals
5. How Deep Is The Ocean

Disc 2
1. Casi Abstemia
2. Trampin’
3. Taylor Without Scissors
4. Cherokee



<Disc-1>
 M1-1. "L'incontro"は、アルバム『On A Sunny Day』からの曲だが、うーん寺島靖国はこれから攻めてきたかと、やはり優しく美しく美旋律を大切にしてのライブ・アルバムであることを窺い知れる。
  M1-2"Sorry I've Lost Your Number"も美しい。そしてさらにスリリングな展開が圧巻でそれが美旋律との対比が聴きどころ。3者それぞれが演奏しがいのある曲だろうと思うのだ。聴く方も納得モノ。強弱・遅速の織り交ぜが素晴らしい。ガラティ様々の11分越えの長曲。これを聴いただけでもこのアルバムを買った価値は十分。
 やっぱりM1-4. "Seals"が登場します。この曲があってガラティといったところですので9分とじっくり展開ですね。
 そしてM1-5." How Deep Is The Ocean"が凄い。このスタンダードがこうなるんですね、まさにトリオ作品、3者の美学とパワーが炸裂、これぞライブの醍醐味だ。あっと言う間の11分12秒。

<Disc-2>
 M2-1. "Casi Abstemia" では、ガラティのピアノが美しい旋律を奏でるが、ライブらしく9分以上の曲となっている。アルバム『SEALS』では約5分の曲であった。ここではベースも旋律を奏でたり、ドラムスのスティックの音が印象的で、このあたりはライブの魅力である。
 ガラティの美旋律だけでない面の M2-2. "Trampin’"を登場させてアルバムにアクセントを上手く付けている。この曲では美旋律というよりは3者のインタープレイが楽しめる13分になろうとする長曲。スタジオ盤と違ってドラムスのソロも聴き所となっているし、そこに入っていくピアノも頼もしい。やっぱりライブは良いですね。
 最後はスタンダードのM2-4. "Cherokee"で仕上げですね。ドラムスの奮戦とベースの主張、ピアノの盛り上がりと語り、3者の鬩ぎ合いが楽しめる。

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 今回は、ソロとトリオ・ライブの2タイトルでのリリースで、2019年の幕開けをしっかり楽しませていただいたのだが、やはりソロの美旋律も良いのだが、このトリオ・ライブ盤に私は軍配を挙げる。もともと両者の狙いは違うのだから比較というのもおかしいところだが、やっぱりジャズはトリオが良いですね、しかもライブが。録音もしっかりしている。・・・・今年のベスト・アルバム間違いなし。

(評価)

□ 演奏・曲 : ★★★★★
□ 録音   : ★★★★★

(視聴) "CHEROKEE"

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2019年2月 2日 (土)

アレッサンドロ・ガラティのニュー・アルバム Alessandro Galati 「Augustine」

全編、繊細な優しさ美しさに満ちている

<Jazz>
Alessandro Galati 「Augustine」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1076 / 2019

Augustine

ALESSANDRO GALATI (PIANO SOLO)

 1007803908イタリアの名ジャズ・ピアニストのアレッサンドロ・ガラティを引っ張り込むに成功したアルバム『Sheads of Sounds』(TYR1062)を昨年リリースした寺島靖国だが、ここに最新作が早くも登場した。今作はガラティのピアノ・ソロ作品『Augustine』(TYR1076)とトリオでのライブ録音作品『Live From The Inside Out』(TYR1077)(→)と、2タイトルが同時発売となった。

 まずここで取りあげるのはそのソロ作品。確かにこれはガラティのソロによる小品集といったところで、17曲が収録されている。彼の曲が6曲で、その他は比較的ポピュラーな曲で占められて居る。
 これは彼が何かを求めて作り上げた作品というのでなく、あくまでも日本のファン向けのサービス版といったところを感じさせる。

(Tracklist)

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  ガラティの世界には、3面ぐらいの多彩さがあるが、このソロ録音はピアノの繊細さ、そして美しさ、優しさのみに目的化された最新録音作品だ。トリオ作品に見られる情緒豊かな優しさの面がたっぷりこのソロ全編に満ちていて、如何にも寺島靖国版といったところに仕上がっている。

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  トップの曲M1." In Beijing"は、アルバム『On a Sunny Day』で楽しませてくれた美旋律の曲で、このアルバムのスタートに相応しい。そして彼の名曲M6. "Seals"も登場する。
 又ふと懐かしさに見舞われるのは、M7. "Theme From Sunflower"(映画「ひまわり」のテーマ=ソフィア・ローレンが頭に浮かびました。いやー懐かしい)、坂本龍一の M9. "Merry Christmas Mr. Lawrence"(「戦場のメリークリスマス」)と、心が熱くなる。
 又、ちょっと気になったのはイタリアのルイジ・テンコの曲がM12. "In Qualche Parte Del Mondo"(世界のどこかで)はじめ3曲も登場するのだが、これはガラティが非常に愛しているミュージシャンであるとの事と言うことらしい。

 とにかく全編ガラティがスタジオで一人物思いに耽りながら、周囲のことは気にせずしっとりと情感を込めて演奏した曲群という印象である。深夜に心休めるには最高のアルバムだ。

(評価)
□演奏 : ★★★★★
□録音 : ★★★★☆

(参考試聴)  Alessandro Galati  "Seals"

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2019年1月30日 (水)

アガ・ザリアンの久々のニュー・アルバムAga Zaryan 「HIGH & LOW」

ポーランドからの
相変わらずの美しいソフトなヴォーカルが・・・・・しかし

<Jazz>
Aga Zaryan 「HIGH & LOW」
WARNER MUSIC POLAND / IMP./ ZARYAN201801 / 2018
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Aga Zaryan (Vocals)
Michal Tokaj (Keyboards)
David Doruzka (Guitars)
Slawek Kurkiewicz (Electric Bass)
Pedro Segundo (Drums,Percussion)
Lukasz Zyta (Drums #4,9)
Munyungo Jackson (Percussion #3)
Marcin Kaletka (Tenor Saxophone)
Robert Majewski (Trumpet,Flugelhorn)
Grzegorz Nagórski (Trombone)
Corbin Jones (Tuba #5,9,10)
Irena Kijewska (Background Vocals)
Recorded in Warsaw, Sep.-Oct. 2018, Polish Radio Studio S4
  いやはやポーランドの女性シンガー・アガ・ザリアンAga Zaryanの話になるのも久しぶりである。
 ここで彼女のアルバムを取り上げた最後が、ポーランドで手に入れたライブ・アルバム『LIVE AT PALLADIUM』(COSMOPLIS 070・071/2008)の紹介だったと思うので6年前の話になる。とにかく歴史的な悲劇のワルジャワ蜂起をテーマとしてのアルバム『UMIERA PIEKNO』(ポーランド2007年、EMI music poland/2010)を製作して、国家的評価をも勝ち取り頂点に立った彼女である。その後日本でも知られるようになるのだが、ポーランド・ミュージックの日本紹介はそれ程歴史が無い。彼女についても日本でのデビューは2010年になってからだった。従って彼女の数枚のアルバムは殆ど当時に纏めて注目されたのである。
 その後はアルバム『A BOOK OF LUMINOUS THINGS』(2011)を聴いたが、今後への発展におそらく問題意識にテーマがなかなか持てなかったのではと推測する。私にとってはそれ以来7年の経過がある。そしてここに久しぶりにニュー・アルハセムを聴く事になった。
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(Tracklist)
1. Back
2. High & Low
3. Not Here For Long
4. Paths
5. Spirit Voices
6. Proof
7. Dreams, Themes & Schemes
8. Turn Me On
9. A Story From A Tram (Listen, Little Man)
10. Boo To You Too
11. Geri
12. Evil

 相変わらず、彼女の歌声はソフトできつい刺激というものはない。そして充実感あるところがいい。
 ただ今回のアルバムのコンセプトは?、実はよく解らない。しかしバックの演奏はMichal Tokaj (Keyboards)を中心に、構成はジャズ・バンドそのものである。
 アルバム・タイトル曲のM2."High & Low" は、バックにトランペット、トロンボーンが入ってギターを主力に展開する如何にもジャズらしい曲。しかしどうも心に響いてこない。旋律に美しさというもが感じないためかと思う。
 ほとんどの曲はアガ・ザリアン自身が英語で詩をつけているので・・・そのあたりを聴きこまないと・・・・。
 M4 "Paths"にはバックのサックスも歌い上げるのだが、どうも曲自身がピンとこない。
 全体に暗さはなく、むしろ弾むほうが印象深い。
 ただそんな中で後半になって、M6 "Proof"、M7."Dreams, Themes & Schemes"にそれでもキーボードと彼女の唄に美しさが感じられたことは救いであった。
   又M8."Turn Me On"、M11." Geri"はしっとりと歌い込んで不思議なムードがあり、彼女の味が出ていて、この辺りはちょっと注目される。



 とにかく、このアルバムを聴くにつけ何を期待して何に感動するのか、というポイントが見つからないのである。彼女のアルバム『UMIERA PIEKNO』(2007)は、ポーランドという国の独立するまでの苦しい時代を生きてきた女性たちの心が歌われていて、そこには悲劇と陰と力強い意志とが美しく歌われたのだが、そのイメージがあまりにも強いので、このようなよりどころのないヴォーカル・アルバムを聴くと、彼女の歌がうまいだけにちょっと逆にむなしくなる。
 

0006yls0q4em06usc122[アガ・ザリアンAga Zaryan]
 1976年、ポーランド・ワルシャワ生まれの円熟女性ジャズ・ヴォーカリスト。父はクラシック・ピアニスト、母は英語教師/作家らしい。紹介ではエラ・フィッツジェラルドとマイルス・デイヴィスを聴いてジャズに夢中になったという話がある。2002年にアルバム『My Lullaby』でデビュー。2010年のアルバム『Looking Walking, Being』(日本盤は翌年発表)は、ポーランドで最も権威にある音楽賞“フリデリク”でジャズ・コンポーザー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。スタンダードからポップス、ワールド・ミュージックのフィーリングを織り交ぜ、作品ごとに多彩な味付けがある。私の推薦盤は『Umiera Piękno』。
<Aga Zaryan  Discography>
2002 My Lullaby
2006 Picking

2007 Umiera Piękno
2010 Looking Walking, Being
2011 A Book Of Luminous Things
2013 Remembering

2018 High & Low
(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★☆
□ 録音      : ★★★★☆
*
(視聴) 参考までにアルバム『UMIERA PIĘKNO』より"MIŁOŚĆ"

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2019年1月23日 (水)

ケイト・マクギャリー Kate Mcgarry 「THE SUBJECT TONIGHT IS LOVE」

透明感あるしっとりとしたヴォーカル

<Jazz>
KATE MCGARRY  KEITH GANZ  GARY VERSE
「THE SUBJECT TONIGHT IS LOVE」

Binxtown Records / JPN / RCIP-0282 / 2018
Album

Kate McGarry - Vocals / Piano (07)
Keith Ganz - Acoustic & Electric Guitar / Bass
Gary Versace - Piano / Keyboard / Organ / Accordeon

Special Guests
Ron Miles - Trumpet (12)
Obed Calvaire - Drums (09)
Katemcg  ジャズ・ヴォーカリストと言っても一味違うフォーク、ソウルの味のある独特の世界をゆくソング・ライターでもあるケイト・マクギャリーKate McGarryの最近作。
 とにかく彼女の描く世界は凜として透明感あるしっとりとした心潤うところにあり、それを生かすべくバックは夫のKeith Ganzのアコースティックなギターを主体にシンプルそのもので、たっぷり彼女の歌声を手に取るように聴く事が出来る。又キーボードはGary Versace が、ピアノ、オルガン、アコーディオンなどをこれ又シンプルに演じ、彼女のヴォーカルを前面に押し上げるべく落ち着いた演奏を聴かせるのである。

(Tracklist)


Tracklist1


 今作もアコースティックなバツク演奏に支えられて気品あるアルバムに仕上がっている。
   M1."Prologue"と"M12.Eplogue"があってアルバム・トータルにリラックスした心に通う世界を心地よく聴かせる。
 M2."Secret Love"のように馴染みの曲も、完全にアカペラに近い雰囲気で物語をゆったり語るがごときケイト節で歌いあげて好感。
 M3."Climb Down"のようにKeith Ganzの味のあるギターで、優しさと叫びと歌うブルース調も聴かせ味わい深い。
 M5."Fair Weather"M10."She Always Will"は8分に迫る曲で、静かにアコースティックに演じられるピアノとギターそしてベースも美しく、物語を聞かせる如くのヴォーカルは見事。
 アルバム中盤から後半へのM7、M8、M9 も、落ち着いた世界をしっとりと歌い上げる。
 M11."Indian Summer"、 ピアノもギターもシンプルに静かな世界をしっとりと構築する。そして彼女のヴォーカルもそんな雰囲気を更に品良く歌ってくれる。
 こうした作品はジャズといっても一種独特の味があり、豪勢なリズムたっぷりの世界とは完全に異にする。そのため好き好みでは分かれるところにもあるとみる。一日を振り返って夜に一人で静かに物思いにふけり聴いているにはベストなアルバムである。
*
ケイト・マクギャリーKate McGarryは、1970年生まれ今年で49歳になる。アイルランド系米国人。米・マサチューセッツ州出身のジャズ・ヴォーカリスト。マサチューセッツ大学アマースト校へ進学、ジャズとアフロ・アメリカン・ミュージックの学位取得。卒業後は「ワン・オクロック・ジャンプ」のメンバーとして活動。その後ロサンゼルスへ移り、クラブで歌ったり、ハリウッドで映画やTVの仕事をもしている。
 92年に初アルバム『Easy To Love』(2016年に再発、VTL015)を発表。以後アルバム『Show Me』(2001)、『Mecy Streets』(2005)、『THE TARGET』(2007)、『Girls Talk』(2012)をリリース。2009年のアルバム『IF LESS IS MORE...Nothing is Everything 』はグラミーにノミネート。国内外のクラブやフェスのほかラジオへも出演、ニューイングランドやマンハッタンの音楽学校では教壇にも立つという。
(評価)
□ 曲・歌・演奏 :★★★★★☆
□ 録音      :★★★★☆
(視聴)

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2019年1月19日 (土)

ザーズZAZの4thアルバム「EFFET MIROIR~心、重ねて~」

ちょっと大人の味も出ての新境地のアルバム登場
*
  ストリート・ミュージシャンからのスーパー・スター”タッシュ・スルタナ”登場で刺激を受けると、そうそう忘れてはいけないフランスの”ZAZ(Isabelle Geffroyイザベル・ジュフロワ 1980-)”がいる。しかもなんと久々のニュー・アルバムが登場しているので、当然ここに取り上げるのだ。
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<Chanson, Jazz, Rock, Pop>

ZAZ 「EFFET MIROIR~心、重ねて~」
Waner Music France / JPN / WPCR-18126 / 2018
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*
 前作「PARIS "~私のパリ~"」(2014)以来、4年ぶりの4作目となる本作。今回は”日仏同時発売”されたということで、日本での彼女の”人気の高さ”が裏付けられている。
  2010年のデビュー・アルバム「ZAZ~モンマルトルからのラブレター」 (RESPECT RECORD/RES180)がフランスでは大ヒットして、日本にも伝わってきたわけだ(2010年、フランス・アルバム・チャートにて8週連続1位を記録した)。ストリート・ミュージシャンとして鍛えられたところに魅力をはらんでいて、曲自身の魅力としては、シャンソンはもちろん、フォーク、ブルース、アヌーシュ(ジプシー)・スウィング、ロックなどが加味して、ジャズ的アプローチが結実しているところにある。 更にそれに加えて、特にヒット曲”私のほしいもの”でも感じられるように、若いなりきの生き様に一つの”確固たる信念”とも思えるものが見えているところも魅力の一つだったように思う。
 そして時は流れフランスの大シャンソン歌手エディット・ピアフの再来と言われるまでに成長して、彼女のややハスキーな魅力の歌声で、しっかりフランスはじめ世界各地で確固たる地位を築いてきた。そんな中で久々のニュー・アルバムの登場をみたわけだ。

(Tracklist)
1.Demain c'est toi 明日はあなたのもの
2.Que vendra 何が起きようが我が道をゆく
3.On s'en remet jamais もう一度あなたの声を
4.J'aime j'aime 好き好き
5.Mes souvenirs de toi あなたの思い出
6.Toute ma vie 私の一生
7.Je parle 私は話す
8.Resigne-moi 私にかまわないで
9.Ma valse ワルツ
10.Si c'etait a refaire またやり直せたら
11.Pourquoi tu joues faux どうして調子はずれなの
12.Plume 羽根のように
13.Nos vies 私たちの人生
14.Saint Valentin ヴァレインタインデー
15.Laponie ラップランド
*
  このアルバムには15曲登場するが、今作の特徴はかってのヒット曲のカヴァーでなく、全てオリジナルだ。彼女自身の曲の外、フランスの新進気鋭の一連のミュージシャンが提供した曲であることだ(彼女がそれに詩を担当したものもある)。
  曲のタイプは、シャンソンをベースに南米音楽、ポップ、サルサ、ロックなど様々なジャンルをクロス・オーヴァーしたものでジャジーな雰囲気もある。まさに「ザーズの世界」が堪能できる。これらはパリ、ブリュッセル、そしてモントリオールで制作されたものだという。

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 M1."明日はあなたのもの"で、おやっと思うほどの彼女の成長が感じられる。未だ見ぬ我が子に想いを馳せて、しっとりと歌いあげる。いっや~大人のムードだ。
 
M2."Que vendra何が起きようが我が道をゆく"から続く曲は、いつものザーズの流れで、リズムを刻み意志の強さを歌う。
 
M3、"On s'en remet jamaisもう一度あなたの声を"、M4."J'aime j'aime好き好き"は、シャンソンと言うよりは”ロックのザーズ節”の展開だ。
 M5 ".Mes souvenirs de toiあなたの思い出"は、ちょっぴり淋しさのシャンソン曲。こうした曲は彼女はうまくなりましたね~~。
 M8. "Resigne-moi私にかまわないで" この曲はこのアルバムではかなり重要な位置にある訴えも重い。彼女のミュージシュンとしてここまで進歩・発展した充実の曲。このアルバムの一つの頂点。
 M9、M10 は再び自分を取り戻していくシャンソンとロックの2曲。
 このように、彼女のこの数年間を振り返り、そしてこれからの人生に向かってゆく決意のような曲展開になっている。
 M13."Nos vies私たちの人生" 重なり合う不思議な人生を歌いあげる。そこには展望が描かれている。
 M14 ."Saint Valentinヴァレインタインデー"は、ちょっと印象的な歌。”私はいつもここにいる”と存在感を訴えているのか、それとも開き直り?
Guillaumeponcelettrw_2 M15."ラップランド"この最後の曲は印象的。殆ど彼女の唄というよりは語りでしめられているが、その美しさは抜群で、かってなかった彼女の別の世界が見えてくる。これは彼女の詩に注目のフランス若手ピアニストのギヨーム・ポンスレGuillaume Poncelet(1978-)(→)(おそらく彼のアルバム「Quatre Vingt Huit(88)」からの曲"Morning Roots"だと思う)が曲を付けたもので、「極北の地」に対する”憧れ”なのか、未来に自己を求める姿が見えてくる。
 印象深いのは”過去の息を吐き出し、新たに息を吸い込む”のくだりであり、おそらく自分をもう一度見つめ直して歩む決意を歌っているのではと想像するのだが・・・それにつけても美しい曲、往年のフランス映画のシーンのようだ。
 なかなか全編トータルに彼女が自己を見つめてこれから新しい道を進もうとする意志のようにも感ずるアルバムで、彼女の歌声と言い、曲の変化といい、なかなかの上出来アルバムの登場だ。進歩を感じた。
(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★★☆
□ 録音      : ★★★★★☆
(視聴)

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2019年1月15日 (火)

[久々の衝撃]一人バンドのタッシュ・スルタナTASH SULTANA 「FLOW STATE」

パーフェクトなシンガー&マルチ・インストゥルメンタリスト"一人バンド"の初のフル・アルバム

 今のようなネット社会になる前(1980-1990年代)のパソコンが普及してきた頃、もう30年以上前の話だが、「パソコン通信」という電話回線を使ってのパソコンとホスト局とのサーバとの間での通信手段があって、そこで全国の諸々の愛好者と仲間を作って参加者のみのクローズドな会話をしてきたものだ。その当時の「PC-VAN~ Rock」のロック仲間から新年早々、最近ジャズに現(うつつ)を抜かしている私に、年賀状での推薦があった。それがこの”衝撃のタッシュ・スルタナ”だ。

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<Psychedelic Rock,  Altanative Rock>

TASH SULTANA 「FLOW STATE」

Lonely land Records / EU / 19075870562 / 2018

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Tash Sultana : Guitar, vocals, bass, piano, keyboards, trumpet, drums, pan flute, mandolin, saxophone, percussion

Produser : Tash Sultana
Engineered by Nikita Miltiadou、Dann Hume
Mastered Andrei Eremin

 
Ts2 オーストラリア・メルボルン出身のシンガーソングライター、マルチ・インストゥルメンタリストの23歳の才女タッシュ・スルタナTash Sultanaの初のフル・アルバム。
 なにせ、ギター、トランペット、サックス、パン・フルート、グランド・ピアノ等15種以上の楽器を自ら演奏。3歳から始めたというギターはジミ・ヘンドリックスに喩えられる程の腕の持ち主で聴く者を唸らせる。彼女はメルボルンの繁華街スワンストンで長年ストリートミュージシャンとしての活動してきた。
 2008年から2012年までは”Mindpilot”というバンドのボーカリスト、メルボルンでいくつかの賞を受賞。その後ソロで活動を開始、2016年頃よりYoutubeにてパフォーマンス映像を公開し評判を呼びSNSで大きな注目を集めた。公開曲「Jungle」がオーストラリアチャート39位を記録し、現在までに5,000万回以上のストリーミングを記録する。2017年にはオーストラリアの権威ある賞、ARIAミュージック・アワードにて4部門にノミネート。現在はアメリカ、イギリスを中心にドイツ、フランス、ニュージーランド、イタリア、カナダなどワールドツアーを敢行中、ソールドアウトが続出とか。今年のコーチェラにも初出演するなど勢いが止まらない。

  これまでは、インストを含む2枚のEP『Instrumentals』、『Notion』を発表しており、今回この初のフル・アルバムにはシングル「Free Mind」、「Salvation」、「Harvest Love」など全13曲を収録。

 とにかくステージ上には一人だけ。足元や手元に多くのペダルやエフェクター、サンプラー、キーボード、ギター等を置き、全てを操って音を重ねていくパフォーマンスで圧巻。


Ts1_2(Tracklist)
1. Seed (Intro)
2. Big Smoke
3. Cigarettes
4. Murder to the Mind (Album Mix)
5. Seven
6. Salvation
7. Pink Moon
8. Mellow Marmalade
9. Harvest Love
10. Mystik (Album Mix)
11. Free Mind
12. Blackbird
13. Outro
(All songs written by Tash Sultana)

 収録13曲、全てが彼女のオリジナル、そしてオール楽器も全て彼女が演奏。
 ストリート・ミュージシャンと言うと、フランスのZAZを思い出しますが、総じて技量が高いのが特徴だ。このタッシュは例外で無いどころか、それ以上の楽器の演奏能力が高いのとヴォーカルが見事というところは、近年見たことのないハイレベルだ。それは当に衝撃!。

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 M1." Seed (Intro)"澄んだギター・サウンドからスタート。そして美し響くヴォーカルが次第にレゲェ調に・・・・冒頭から魅力的。
  続くM2. "Big Smoke"から前半だけ聴いても衝撃が走る。
 曲展開は当に「タッシュ・スルタン節」だ。サイケデリックな展開の中に、R&Bであったり、レゲェ、ヒップポップが絡んだり、ポップな要素がたっぷり盛り込まれている。
 そしてギターは、エレキを中心に全ての要素が絡む奇っ怪さ。美しさ、リズムカル、泣き、早弾きと、恐ろしくなるギター・プレイだ。キーボードも説得力有り。
 ヴォーカルは、ソウルフルであり、時にクールに、又展開によりパワフルに、情熱的に、と多彩。
 M7. "Pink Moon"こうしっとりと歌われると、これが又たまりませんね。情感が伝わってくる。声域の広さも感心します。
 M9. "Harvest Love" このようなスローな曲の情感も半端じゃない。
 M12. "Blackbird"ギタリストの本領発揮。フラメンコ調を臭わせたりギター・テクニックはお見事。そしてギター・サウンドはM13. "Outro"へ続き美しく終わる。このあたりもニクイところだ。

 いやはや恐ろしいミュージシャンが現れました。これぞ何年に一人の逸材だ。なんとなく低調なミュージック界を奮起すべく背負って立つプレイヤーが登場したと言って間違いない。私にとってはアデルの出現時より圧倒的に衝撃は大きい。

 (評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★★
□ 録音      : ★★★★★☆
     
 (視聴)

*

*

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2019年1月12日 (土)

リン・エリエイル Lynne Arriale Trio 「GIVE US THESE DAYS」

硬派で爽快なプレイの女流ピアニスト作品

<Jazz>
Lynne Arriale Trio 「GIVE US THESE DAYS」
ChallengeRecords / AUSTRIA / CR73453 / 2018

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Lynne Arriale (piano)
Jasper Somsen (bass except 9)
Jasper van Hulten (drums except 9)
Kate McGarry (vocal on 9)
Recorded Decem, 18-19, 2017 at MotorMusic Studioa, Belgium

39051739w 米国ベテラン女性ピアニストのリン・エリエイルLynne Arrialeとオランダ出身のイェスパー・サムセン(b)とイェスパー・ファン・フルテン(ds)の二人と組んだトリオ作品(→)。ベルギーでの録音だ。

  リンは、知る人ぞ知るピアニストだが、長い経歴の中で幾つかの作品がある。しかし実は私は全く知らないということではないが、ちょっと片聴き程度のところだった。と言うとお解りでしょうが、所謂ユーロ系の叙情派とは全く異なって、むしろ今となればアメリカン・ジャズの古典的流れにある”現代ハード・パップ・ピアノの王道をゆく正統派”と表現されるタイプなのだ。しかし彼女の活動の広さを物語るように、今回のこのアルバムはユーロ製作である。

 しかし、彼女の演ずる曲(以前のアルバム『With Words Unspoken』(Digital Music Products/518/2016)に登場する"Where Or When")が、昨年末の寺島靖国の『For Jazz Audio Fans Only Vol.11』に登場して、おやっと、ちょっと関心を抱いたと言う事と、フォーク、ソウル、ジャズに通ずる女性シンガーのケイト・マクギャリーの名もスペシャル・ゲストとして見えた為、ここらで一度はしっかり彼女のアルバムも通して聴いておこうと、この最近作を手に入れた次第。

 彼女は1957年ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ、ピアニスト&作曲家として国際的に演奏活動を行うほか、ノースフロリダ大学でジャズを教え、各国でもワークショップなどを開催。又様々なコンクールで審査委員を務めるという既にもはや重鎮。


Lynne72145ew(Tracklist)
1. Woodstock
2. Appassionata
3. Finding Home
4. Give us These Days
5. Slightly Off-center
6. Another Sky
7. Let it be
8. Over and Out
9. Take it with Me


 これは本流のピアノ・トリオである。そして女流ピアニストということは感じさせない歯切れのよいメリハリのあるピアノ・タッチが特徴といってよいだろう。基本的にはスウィングする流れからの発展形。
 それはジョニ・ミッチェルの曲M1. "Woodstock"の冒頭から見事に展開する。しかもこの曲では、進行するにつれ昂揚のある流れから次第に徐々に盛り上がって、遂に見事なる華を全開する硬派の爽快にして豪快なプレイに驚かされる。
  一方M4. "Give us These Days"のアルバム・タイトル曲では、その心に染み入る抒情的な美しさを演じてくれる。この彼女のオリジナル曲を、アルバムタイトルに持ってきたと云ところからも、彼女はこのようなちょっと物思いにふけるロマンティックな線も大切にしていることと推測できる。
 
M7. "Let it be"は、お馴染みビートルズの曲だが、変にしつこさが無く意外にサラっとしていて原曲も生かしての編曲部もなかなか聴きごたえある。
 
M9. "Take it with Me"は、トリオものでなく、しっとりと聴かせるシンガーKate McGarry が登場する。ピアノとヴォーカルのデュオ作品だ。曲はトム・ウェイツのもので、これが私のもう一つの目当てであったもの。そのムードは抱擁感に包まれて味わい深く良いですね。実はもう一曲ぐらい聴きたいといったところ。

 結論的には、ジャズの先生の基本をクリアした充実作品として聴いた。

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(視聴) "Give Us These Days"

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2019年1月 5日 (土)

エミール・ブランドックヴィスト・トリオEMIL BRANDQVIST TRIO 「WITHIN A DREAM」

全編通して・・・美しき詩的な叙情に包まれて

<Jazz, Contemporary Jazz>
EMIL BRANDQVIST TRIO 「WITHIN A DREAM」
Skip Records / Jermany / SKP9141-2 / 2018

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Emil Brandqvist : drums, percussie, klokkenspel, synthesizer
Tuomas Turunen : piano, celesta
Max Thornberg : contrabas. Gast

Martin Brandqvist : fluit, klarinet, basklarinet, percussie

Trio_2

 スウェーデン、イエテボリ出身のドラマーであるエミール・ブランドックヴィストEmil Brandqvist の結成したピアノ・トリオのアルバム。とにかく美しさと懐古的心情の美、抒情性などの語り尽くせない美しいアルバム。ドイツからのリリースである。
 その手法はジャズといってもクラシックに近いピアノ・プレイを主軸に、ドラマーのリーダー・アルバムとは思えない美旋律Contemporary Jazzだ。これには勿論ピアニストのTuomas Turunen の力も大きいと推測する。

List
Recorded and mixed at S.Grammofonstudion,Gothenburg,Sweden,Noveber 1-5 and December 2017 by Åke Linton

All Songs written by Emil Brandqvist - exept M4(Tuomas Turunen ) and M12(Tuomas Turunen and Max Thornberg  )

 

 14曲全曲オリジナル、10曲はリーダーのEmil Brandqvist により、残る2曲がTuomas Turunen と Max Thornberg によるもの。

 M1、M3 とクラシカルな響きの美しいTuomas Turunen のピアノの調べで、どこか懐かしさを思い起こさせるムードに包まれる。
 M5 田園の水の流れを描いたと想わせ、終わりの盛り上がりが面白い。
 M6."Dream"夢心地の美しさ。
  M7."星空の下で"と言うところか、静かな北欧の散りばめられた星空の下に美しい情景が浮かぶ演奏。
 M8. いかにも抒情的、哀愁の淋しさ
 M10, M11 ここでもピアノのメロディーを支えるが如くのベース、ドラムス。それは究極の美しさだ。

 ここまで、リーダーがドラマーで「詩的」「美」「牧歌的な静」「哀愁」「懐かしさ」を描くトリオ作品は珍しいのではないだろうか、しかもアルバム全編を貫いている。まさに希有なアルバムだ。
 ここまでの徹底ぶりに、驚きと感動で聴き入ってしまったアルバム。

(Emil Brandqvist : Diacography)
2013: Breathe Out
2015: Seascapes
2016: Falling Crystals
2018: Within a Dream

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★★☆

(視聴)

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