JAZZ

2018年6月21日 (木)

話題のハイレゾCD=MQA-CD 登場 ~CD革命~ まずは日本から

CD低迷期に登場した「新CD」は、新たなCD時代を築けるか?
~ハイレゾ音源をCDに格納・保存、今までのCDプレイヤーで再生~

  (宣言) 私はこれを支持する!!

 しかし、現代のデジタル処理技術も凄いですね。オーディオ再生がその高音質化の流れの中で、ハイレゾの価値感が認められ、既にCDから離れて、デジタル・データとしてのネット配信が主流となりつつある時に、一方ではアナログ時代の高音質に再び回顧し、LPとしての価値が高まりつつある時に・・・・・なんとCDの逆襲だ。

 高音質ハイレゾCDの 「MQA-CD」 (Master Quality Authenticated-CD)が遂に登場!!
  

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 なんと、私は現在の手持ちの機器そのままで、このハイレゾCDからハイレゾ再生が出来るのである。そこで既に試みてみたのである。(ただしDACを持たないCDプレイヤーはハイレゾ再生不可)

「JAZZ  Hi-Res CD Sampler」
Unversal Music / JPN / UCCU-40126/7 / 2018


Jazz1

Cannonball Adderley、Miles Davis、John Coltrane 、Stan Getz、Joao Gilberto、Art Blakey & The Jazz Messengers、Oscar Peterson Trio、Anita O'Day、Bud Powell

Tracklist

1. 枯葉 / Cannonball Adderley、Miles Davis
2. セイ・イット / John Coltrane
3. イパネマの娘 (Stereo Version) / Stan Getz、Joao Gilberto
4. モーニン / Art Blakey & The Jazz Messengers
5. 酒とバラの日々 / Oscar Peterson Trio
6. オールド・デヴィル・ムーン / Anita O'Day
7. クレオパトラの夢 / Bud Powell
8. ザ・キャット (Album Version)

 なんと上のようなミュージシャンの1950年代の録音モノが、MQA-CDサンプラーとして登場。この時代モノが、クリアにしてメリハリのある、しかも奥行き感たっぷりの驚きの高音質で聴けるので、とにかく万歳である。これなら今後どんどんリリースして欲しい(MQA-CDの音のにじみはCDの1/400と言う)。

Mqa01Mqa02

 

  まあとにかく更なる驚きは、なんと言ってもあのCDに、これだけ高音質のハイレゾ音源の大量データをロスレスで納めてしまう圧縮技術が成功し、しかもそれを今までの一般のCDプレイヤーで読み取ることが可能にした事だ。
 ただしそのデータは、MQA-デコーダー内蔵の機器であればハイレゾ・サウンドを再生出来る(発売されたもの MQA 88KHz~348KHz/24bit)。又今までのMQA非対応機器であれば、CDと同じようにハイレゾではないが再生は可能(44.1KHz/16bit)、しかしそれも従来のCDよりは音質の改善は確実にあるという代物。

そこでハイレゾ対処法として、

 全くの従来のMQA非対応一般CD再生機でハイレゾ再生したい場合↓
      
   「MQAデコード対応DAC」を追加・・・・CDプレイヤーに接続でOK

 (私の場合) DAC内蔵のプレイヤーで、CD-ROM読み取り可能、更にUSB端子のあるプレイヤーを使っている場合↓
             
   このMQA-CDから「FLACファイル」等としてリッピング可能で、そのデータをプレイヤーに読ませれば、特に別に購入機器なしでハイレゾ・サウンドの再生可能となる。今回は私はこの方法で、特別機器の導入なしで聴いている。

 このように特徴は、データはSACDとは違って、一般CDプレイヤーで読み取り可能であって、そのデータはそのまま今までのCDのように再生出来ることと、又「MQAデコーダー」を介する事によってハイレゾ・サウンドの再生が可能という、なんとも言えない便利CDの登場となったのである。

 そしてこの6月、世界に先駆けて日本でUniversal Musicから、このMQA-CDのソフト(CD)が発売を開始したのである(一枚のMQA-CDはUHQCD仕様で約2500~3500円と従来と変わらない)。とにかく従来のCDと同じ扱いでハイレゾ・サウンドが身近になるという歴史的展開がスタートしたのである。そして価格もそう高くない。それはMQA-CD作製のプレス工場でMQA対応機器を購入するという設備投資の必要なく、通常のCDと同じようにプレス出来るからである。

 人気のあの高額な重量級LP再生は、ここに来て恐ろしいライバルの登場となった。又手元にしっかりCDとして置いておきたい輩にとっては、ネット配信データよりは確実に楽しめるものの出現となった。

(MQAの特徴)
  MQAとは、英国Medridian(ボブ・スチュアートが1977年創立。CDプレイヤー、アンプの製造開発)が提唱した音楽データの形式。2014年に発表されたもの。その一つは、時間的ボケ、ブレを減らして高音質に(この為、ハイレゾ再生で無く従来のCD再生でも音がよくなる)、二つ目は独自の圧縮技術によって高音質を保ったままで、大量データを軽量化した。そして従来機器との互換性を確保した。更にCD音源、ダウンロード音源、ストリーミング音源の全てに対応している。

(現実のところ)
3 Universal Musicでは、このMQA-CD(高音質のデータ)とUHQCD(高音質のCD素材盤質)を組み合わせて、クラシック、ジャズ、ロック、ポップス分野で発売を開始した。

 多分、あっと言う間に日本の音楽サービスは、このCDによって展開するだろう。


(参考)      
 

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2018年6月18日 (月)

なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演

 特別な意味は無いのだが、昔からなんとなく好きな曲(歌)があるもので・・・・そのうちの一つにもう60年前の曲で、今でも女性ジャズ・ヴォーカルのアルバムにはよく登場する「Cry Me A River」だ。

 この曲は、近年ロックの大御所にもなりつつあるジェフ・ベックもギター・ソロで演じたりと、登場は延々と今日に繋がっているのだ。そこで取り敢えず最近この曲を唄いあげた歌姫を聴き比べてみようと、手元にあったアルバムから取り出して並べてみたところ十数曲となった。

         ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

Jl1 もともとこの曲は1955年にジュリー・ロンドンJulie London(1926-2000 (→))の歌唱で米国で大ヒットしたものだが、作曲・作詞者はアーサー・ハミルトンArther Hamilton(1926-)である。この曲も意外に難産で、当初は映画音楽(「皆殺しのトランペット」)として作曲されたのだが却下され、なんと映画企画者で監督・主演のJack Webbがこの曲を惜しんで、自分と離婚したばかりのジュリー・ロンドンに紹介したというのである。そしてジュリーは、ギターとウッド・ベースのデュオをバックに唄いあげてヒットとなったものだ。これによりB級女優であったジュリーは一躍歌手として脚光を浴びることになったというもの。

 私が昔初めて聴いた当時は、当然このジュリーの唄ったものだが、歌の歌詞の内容などは特に理解もせず気にもしないで聴いて気に入っていたのだが、一度は裏切りながら復縁を乞う恋人に向かって”いまさらもう遅い、川のように泣くがいい”といういやはや”恨み節”と言えるバラード曲なんですね。しかし究極はそう言いながらも受け入れる女心を臭わせるのが良いのかも。

  そして1956年には映画「女はそれを我慢できないThe Girl Can't Help It」にジュリーは特別出演してこの曲を登場させ、世界的ヒットとなった。

         ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

そこで私が作製したCD(勿論、私のプライベイトのもの)

「CRY ME A RIVER」 selected by photofloyd

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1. Jeff Beck
2. Imelda May
3. Julie London
4. Nicki Parrott
5. Cheryl Bentyne
6. Diana Krall
7. Ilse Huizinga
8. Lyn Stanley
9. Hetty Kate
10. Barbora Mindrine
11. Alexis Cole
12. Halie Loren
13. Tierney Sutton

 

  どうですか、結構興味深いメンバーが集まりました。

Imeldamay_30 ”さあ、皆うまく歌えよ・・・・”と言う感じで、Jeff Beckの演奏からスタートさせた。そして歌姫トップは、ジェフとのコンビの私が言うところのあちらの美空ひばりImelda Mayの歌から始まる(実は美空ひばりもこの曲を日本語歌詞で歌っていますが、良い音源が手元に無し)。このイメルダはロックでもジャズでも何でもこなす、上手いです。そしておもむろにJulie Londonの登場、今聴いても情感の表し方は古くさくなくお見事。そして続いて今や花形のヴォーカリストを登場させるというパターン。いやはやそれぞれ皆個性ありますね。

NickipCheryi_b3Dk3Lynstanley






 Nicki Parrottは無難に唄っていますが、ちょっと情感が少ないかな。Cheryl Bentyneはバックのトランペットが効いてジャズっぽい。Diana Krallはやっぱり独特のクラール節。Ilse Huizingaはやや大人しいかなぁ、ちょっと既成のイメージとは違う。Lyn Stanleyはバックのサックスと共に大人ムード。Hetty Kateは情感抜きの異色派。Barbora Mindrineはバックこそ違ってもジュリー派。Alexis Coleは唄い聴かせる派。Halie Loren は小節を効かしての自分派。Tierney Suttonはまさに彼女の世界で歌い込む、別の曲かと思わせる。

 こうして並べて聴いていても、それぞれに個性があって飽きないところが味噌。従ってまだまだ多くの女性ヴォーカリストがこれからも聴かせてくれることが楽しみな曲である。

Cry Me A River
             (Arther Hamilton)

Now you say you're lonely
You cry the long night through
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you

Now you say you're sorry
For being so untrue
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you

You drove me, nearly drove me, out of my head
While you never shed a tear
Remember, I remember, all that you said
You told me love was too plebeian
Told me you were through with me and

Now you say you love me
Well, just to prove that you do
Come on and cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
I cried a river over you
I cried a river...over you...

 今頃になって あなたは「淋しい」なんて言うのね
一晩中 涙に暮れながら
だったら たくさんお泣きなさい
川のように泣くといいわ(涙が川になるまで泣いてみせて)
私だって あなたの為に たくさん涙を流してきたんですもの

今さら 「すまない」なんて謝られてもね
自分がどんなに不実だったかを
だったら たくさんお泣きなさい
川のように泣くといいわ
私だって あなたの為に たくさん涙を流してきたんですもの

あなたが涙しなかった時も
私はどれほどあなたに夢中だったことか
忘れもしないわ あなたが私に言った事
恋なんて バカらしいとか
私とはもう終わっただとか

それなのに
今さら あなたは「愛してる」なんて言うのね
だったら それを証して見せて
川のように あふれる涙で
        (ネット上でみた日本語訳を拝借)



(視聴)

* Imelda May

* Diana Krall

* 美空ひばり

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2018年6月14日 (木)

(検証シリーズ) ステファノ・バターリア・トリオStefano Battaglia Trio検証  アルバム「In The Morning」

心を癒やし、深層に浸透していく神秘的世界を描く

<Jazz>
Stefano Battaglia Trio 「In The Morning」
ECM / GERM / ECM 2051 2768055 / 2015

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Stefano Battaglia(piano)
Salvatore Maiore(double bass)
Roberto Dani(drums)
Recorded April 28, 2014 Teatro Vittoria, Torino
Produced by Manfred Eicher
Engineer Stefano Amerio


Sb1w イタリアのステファノ・バターリア(バタグリア)Stefano Battaglia に関しては、ECMレーベル愛好家にて結構その筋での支持者がいるのだが、私としては、じっくり聴く機会も無かった為、ちょっと反省(笑)して、ここで聴き込こもうとしているのである。
 近作にピアノ・ソロ盤2枚組『Pelagos』(ECM/5768968/2017)がリリースされていてなかなかハイレベルの作品として評価されているが、ピアノ・トリオ好きの私としては、まずは彼のその筋の最新作はこの2015年のアルバムECM6作目の『In The Morning』であるので、そこから2011年のアルバム『The River of Anyder 』と共に聴いている。

(「In The Morning」Tracklist)
1.  In the Morning
2.  River Run
3.  Moon And Sand
4.  When I am Dead My Dearest
5.  The Lake Isle of Innisfree
6.  Where Do You Go?
7.  Chick Lorimer
(Music by Alec Wilder,  arranged by Stefano Battaglia)

 ステファノ・バターリアは、2003年に自身が尊敬しているというBill EvansやPaul Bleyなどに焦点を当ててのアルバム『Raccolto』(ECM/051117-02)でECMデビューを果たした。
 この6作目は、米国のコンポーザーであるアレック・ワイルダーAlec Wilder(1907-1980)を取りあげている。このワイルダーは、ペギー・リーとかフランク・シナトラなどが歌っていたポピュラー・ソングやクラシックの室内楽、オペラなどの作曲家として知られる人だと言うが、私は知らなかったに等しい。彼はこの作曲家の音楽世界の深い部分に引きつけられていて、ここに挑戦しているのだという。ライブ録音盤である。録音は今や注目のステファノ・アメリオであり素晴らしい。

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 曲はやっぱりイタリア的なしっとりねちこいと言うタイプでない。その分だけイタリアものとしてはちょと別モノのスッキリした抒情性である。私はこのワイルダーの曲に詳しくないので、どれもオリジナルな新曲に聴ける。そしてそれを優しく描くバターリアのピアノは美しい。なにかジャズものを聴いているとは思わない別の世界にいるような気分にもなる。

 M5. " The Lake Isle of Innisfree" は、極めてECM的世界である。トリオそれぞれが一つ一つの音を大切に余韻を味わうべく展開する。15分以上の長曲であるが、途中から明解なピアノのリズムが心を癒やす如く流れ、今度はベースが心の奥に浸透して行く。そして中盤になって、シンバルとピアノによる深層の世界に・・・・と、とにかくアメリオの録音がよく静寂の中に響く音に集中してしまう神秘的世界。これは一人で静かに聴くに最高の曲で、この会場ではどんな雰囲気だったんだろうと想像してしまう。最終章では聴きやすい心地よいピアノを主体としてのリズムが流れトリオの音で満たされて、安堵の中に終わる。

 とにかく全曲きわどいパターンはなく、心に響く優しさと深遠なる響きで貫いていて、曲の合間に入る拍手の会場の音が、聴いている私にとって、ふと我に返るというところである。強いて言えば、最後の曲 M7. " Chick Lorimer" のみ異色で有り、トリオそれぞれの自由度が高い中に乱れの無いハイセンスな技巧を聴かせ、彼らのトリオとしての存在を示している。ただ優しさだけで無く、テクニシャンぶりを訴えてこれで締めくくりたかった気持ちが解るところだ。

(評価)
□ 演奏 ★★★★★☆
□ 録音  ★★★★★☆

■参考としてもう一枚のトリオ・アルバム■
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Stefano Battaglia Trio 「The River of Anyder」

ECM / GER / ECM 2151 8055 / 2011

Stefano Battaglia (p)
Salvatore Maiore (double-b)
Roberto Dani (ds)


  こちらのアルバムは、ECM的世界そのもの。私にはよく解らないが、イギリスの思想家サー・トマス・モアの著書『ユートピア』に出てくるAnyder川に流れる透き通った水をテーマにとの事。この川をはじめ他にも神話や伝説で知られる場所を彼の世界で描いたという作品。全曲Battagliaのオリジナル曲。これこそ彼らの自然から受ける時代を超えた情景を描いている叙情詩。自然と人間の高尚なる存在に目を向けさせる世界感を持ったトリオなのだ。

(視聴)

*     *

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2018年6月 7日 (木)

リン・スタンリーLyn Stanley のオーディオを意識したアルバム「THE MOONLIGHT SESSIONS Volume Two」

アナログの良さを=オーディオ・マニアに支持されて・・・・
<Jazz>
Lyn Stanley 「THE MOONLIGHT SESSIONS Volume Two」
A.T.Music/US/ATM3106/2017
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Lyn Stanley, all vocals
Mike Garson, piano
Tamir Hendelman, piano
Christian Jacob, piano
Chuck Berghofer, bass
Joe La Barbara, drums
Ray Brinker, drums
Bernie Dresel, drums
John Chiodini, guitar
Corky Hale, harp
Carol Robbins, harp
Hendrik Meurkens, harmonica
Luis Conte, percussion
Chuck Findley, trumpet
Rickey Woodard, tenor sax
Bob McChesney, trombone
The Budapest Scoring Symphonic Orchestra string players from Budapest Hungary’s Studio 22
 ”リン・スタンリーは、まさに大人のフィメール・ジャズ・ヴォーカリストですね。そして過去の誰でも知ってるポピュラーなスタンダード・ナンバーを歌い上げる。その声の質は簡単に言うと宝塚の男役そのものですね。低音にヴォリューム感があって高音部は伸びますが、澄んで清楚というタイプではなく、ちょっとマイルドに若干故意に作り上げているパターン。”
 そうですね、今回のアルバムも同じ印象だ。

Dsc_4764 彼女は特異な存在で、歌手であると同時にミシガン大学博士課程でマスメディアを学び、卒業後は米国有名企業などで働き、また幾つかの大学でも広告宣伝やマーケティングを教えるなどのキャリ アを積んで来ているのだ。又社交ダンサーとしての実績も凄い。世界プロ /アマ選手権 3位入賞など社交ダンスのナショ ナルチャンピオ ンなのだ。
   彼女自ら”International Recording Artist & Singer” と名乗っているのは、その演奏ばかりでなく、自らレコーディングに力を注いでいる為だろう。世界のオーディオ誌が彼女の歌や演奏ばかりでなくその音質を評価し、多くのハイエンドオーディオメーカーがサウンドデモに使用しているという。
 それは録音がふるっていて、1950年代と全く同様にアナログテープを用いて行われているようで、我々にとっての再生用にSA-CDによるステレオハイブリッド盤(通常のBlu-ray、CDプレーヤーなどで再生可能)やCDBaby.comなどのダウンロード音源(ハイレゾ音源)だけでなく、180グラムの重量級45回転2枚組のLPアルバム、更にオープンテープなども提供している。

Xat1245672747 このアルバムは昨年(2017年)リリースし好評アルバム『Moonlight Sessions Volume One』(→)(現在、このアルバムが入手困難)の第2弾だ。
  世界的に注目を集めていると言われているこのリン・スタンリーも、子供の頃からジャズ・ヴォーカリストには憧れていたようだが、実は遅咲きで、アルバム・デビューは、2013年でまだ5年前である。
 今作も、Steve Genewickによるオーディオファイル・レコーディング、ミックスにAl Schmitt、マスタリングはBernie Grundmanという一流陣が参加。

(Tracklist)
1.  Makin’ Whoopee
2.  The Very Thought Of You (p. Christian Jacob)
3.  That Old Feeling (p. Mike Garson)
4.  The Summer Knows (p. Christian Jacob)
5.  Over The Rainbow (p. Christian Jacob)
6.  How Deep Is The Ocean (p. Mike Garson)
7.  Angel Eyes (p. Mike Garson)
8.  At Seventeen (p. Mike Garson)
9.  You’ve Changed (p. Mike Garson)
10.  Smile (p. Christian Jacob)
11.  How Insensitive with Christian Jacob
12.  Love Me Or Leave Me (p. Tamir Hendelman)
13.  Since I Fell For You (p. Mike Garson)
14.  I’ll Be Seeing You

 曲目はもうジャズ・ヴォーカルものとしてのスタンダード集で完璧。とにかくバックの演奏も、昔からのジャズを感じさせるタイプで、昔を思い出すアナログ録音の刺激の無い音が広がってなかなか快感の録音だ。
 そして彼女のヴォーカルもやっぱり昔からの流れを無視すること無く、どちらかというとオーソドックスに歌いあげる。まあこれも大人のジャズ・ヴォーカル・アルバムとして聴くとそれなりに評価して良いのだと思う。とにかく聴いていて癒やされるというか何故かホッとするところが良いですね。特にM5. "Over The Rainbow" のバック演奏のピアノのメロディーには驚きの世界(聴いてのお楽しみ)。

(評価)
□ 歌・演奏  ★★★★★☆
□ 録音・   ★★★★★☆

(視聴)

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2018年5月22日 (火)

フレッド・ハーシュ・トリオFred Hersch Trio「LIVE IN EUROPE」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(我が家の庭から・・・エゴノキの花(その2) 満開 )



究極のトリオ演奏に迫る・・・・・・

<Jazz>
Fred Hersch Trio「LIVE IN EUROPE」
PALMETTO-RECORDS / PM2192 / 2018

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Fred Hersch (piano)
John Hébert (bass)
Eric McPherson (drums)

Recorded at Flagey Studio 4, Belgium, Nov.24th,2017


E01948d138494cw_2  最近のフレッド・ハーシュ(1955年Cincinnati/Ohio生まれ)の活躍は、年齢的には還暦過ぎの充実期とは言え、かっての大病からすれば驚くところである。
 昨年9月には彼の・ピアノ・ソロ・アルバム『open book』(PM2186/2017)が同じPALMETTOレーベルからリリースされており、あれは韓国ライブからのものだったが、これは昨年末の2017年11月、ベルギーでレギュラー・トリオによるライブ演奏の録音もの。この時は、3週間に及ぶヨーロッパ・ツアーを行ったようで、その最後から2番目のコンサートを収録したものだという。
 更に彼は今年(2018)になって、ソロ来日もしていて、なかなかその活動性も高いところだ。

 さてこのアルバムは、宣伝紹介では彼の言葉として「ピアノも最高にすばらしいもので、音響もパーフェクトだった」、「いい演奏が出来た“感覚”をもてた日だった」、「自分の演奏だけでなく、トリオのメンバーのジョン・エベール、エリック・マクファーソンの演奏も、最高!このトリオで活動して9 年。今では、3人がいつも完全にイコール(対等)。演奏中はいつも同じ言語をシェアしているけれど、創造性、内容、エネルギーのレベルにおいて、改めて“打たれるものがあった”」と、この9年のキャリアのあるレギュラー・トリオによるこの日の演奏に喜びを持ったようだ。

(Tracklist)
1. We See (Thelonious Monk) 5:51
2. Snape Maltings (Fred Hersch) 7:24
3. Scuttlers (Fred Hersch) 2:39
4. Skipping (Fred Hersch) 4:49
5. Bristol Fog (for John Taylor) (Fred Hersch) 8:26
6. Newklypso (for Sonny Rollins) (Fred Hersch) 8:40
7. The Big Easy (for Tom Piazza) (Fred Hersch) 6:56
8. Miyako (Wayne Shorter) 7:10
9. Black Nile (Wayne Shorter) 6:44
10. Solo Encore: Blue Monk (Thelonious Monk) 5:17

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 リストを見ると10曲中6曲がハーシュのオリジナル曲。オープニングのモンクの曲M1.“We See”は軽妙にして跳ねるようなリズムと音の展開、こうゆう曲を聴く方はどう感ずるかだが、トリオ3者の絡み合いは如何にも完璧が要求される。演奏者が楽しんでいる世界だ。
 又M2. "Snape Maltings"もメロディーというよりは、この異様な展開を3者が構築する技量に圧倒される。 ピアノの流れをベース、ドラムスがサポートするというトリオ世界とは完全に別物。
 とにかくこのアルバムは全体的にもかなりの高揚感がある。ハーシュがこうして健康を回復してのトリオの楽しさの心の高まりをエベールとマクファーソンが共有しての世界に昇華している。そして例の如くハーシュのピアノの響きがクリアにして美しい。
 まあ唯一、このトリオとしての深い人生を感ずる演奏に流れたのは、John Taylorに捧げたM5. "Bristol Fog"だ。メロディーの主役がピアノからベース、そしてピアノと展開して8分を越える世界には私の期待を裏切らなかった。ハーシュの美的世界を堪能できる。
 M9." Black Nile "では、ドラム・ソロからスタート。激しさと言うよりは緻密さの感ずるところから始まって、次第に人生の夢をかき立てるところまでトリオの演奏は展開するのだ。

 これは一つの究極のトリオ演奏を示したと言って良い演奏に溢れていた。ハーシュの夢を感ずる回復の姿は、トリオ・メンバーの対等な展開の世界であることを示したものであった。
 まあ、私好みの曲は少々少ないことが残念だが、演奏技量の高さを感じさせて頂いたところに脱帽である。

(評価)
□演奏 : ★★★★★☆ 
□録音 : ★★★★★☆
 

(参考視聴)

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2018年5月18日 (金)

チェット・ベイカーChet Baker & Bill Evans「THE COMPLETE LEGENDARY SESSIONS」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(我が家の庭から・・エゴノキStyrax japonicaの花 D800,90mm,1/125sec,F5.6,ISO1600 )(15,May,2018)


宝物は更なる宝物になれたか・・・・・

<Jazz>
Chet Baker & Bill Evans「THE COMPLETE LEGENDARY SESSIONS」
STATE OF ART RECORDS / Euro / STATE OF ART 81219 / 2018

Legendarysessions

New York 1958-1959
24BIT DIGITALLY REMASTERED / STEREO


Listmembers トランペッター・チェット・ベイカーChet Baker(1929-1988) といえば、とにかく私にとっての名盤は『CHET~ballards by CHET BAKER』(Reverside/RLP12-299/1959)なんですが、Bill Evansとの共演をはじめ、参加メンバーも豪勢でとにかく人気盤。勿論当初はモノラル録音盤であり、それがステレオ盤になり、このところ音質重視で復刻LP盤のリリースも、又リマスター盤ということで近年はCDとしては、Chet Baker/Bill Evans 『Alone Together』 (Jazz Images/Euro/JIM38003/2016)があるのだが・・・・。
 ここに来て『THE COMPLETE LEGENDARY SESSIONS』(←)というものも出ている。かってのReversideの『CHET』なども持ち合わせているのであるが、24ビット・リマスター盤ということと他のセッションの数曲追加の全15曲のアルバムリリースであってのことで買ってみたという訳である。

Img_1 とにかくチェット・ベイカーといえば、悲劇のミュージシャンのレッテルは今日に於いても貼られている。1950年代半ばにおいては、所謂美男子、トランペット演奏も一級、唄も歌えると、時代の寵児とも目され、マイルス・デイヴィスをも凌ぐ人気を誇っていたわけである。
 しかしこのアルバム録音当時の1950年代後半から1960年代にかけてはあのヘロインに耽溺してしまい、その為このドラッグ絡みの事件を数多く起こして、米国はじめ公演先の国でも逮捕されたりしていた上に一時服役もするという状態に陥った。
 更に、1970年にはドラッグ絡みの喧嘩騒ぎで前歯を折られるという事もあったようで、演奏活動を休止したりした。その後復活したが、1975年頃より活動拠点を安堵を求めてか主にヨーロッパに移した。
 そして1988年5月13日、オランダアムステルダムのホテルの窓から転落死、その原因は定かではなく自殺説もある。

 ところでこのCD盤だが、名盤『CHET』 と作曲家チーム、ラーナー& ロウ楽曲集『Chet Baker Plays The Best Of Lerner And Loewe』からの合計14曲のチェット・ベイカー、ビル・エヴァンスの共演セッションを完全収録を売り物に、ボーナス・トラック1曲を加えたもの。

Chetbaker1dragankudjerski さて、問題のこの24BIT DIGITALLY REMASTERED の音であるが、Reversideから数年前にサービス日本盤として出されたCD(MONO/UCCO-99047)と比較してもはっきり言ってそう大きくは音質は高まったとは言えない。シンバルやフルートは右から聴こえてくるようにステレオ化は成されては居り、トランペット、サックスの響きにやや味付けを感じたが、どうもこれは私の期待が大きすぎたのか、そんなに目をみはるような大きな意味は無かった。
 又私のようにBallards好きからして聴いてみると、追加のセッションものはそれ程面白い訳でも無く、これも期待は空振りであった。そうは言ってもこの時代物をこれだけの内容、そして音質向上の努力の結果には敬意を表したい。初めてのこの『CHET』ものを入手するのであれば、当然これをお勧めするところだ。

  と、言うところで・・・・今や無きものに何か期待して新しい感動をつい求めてしまうのは、これぞファン気質というところか?。満足できる新しい発見があれば、それはそれ幸せと言うことだから。

(評価)
□演奏・    :★★★★★
□録音・音質 :★★★★☆

(参考視聴)

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2018年5月12日 (土)

ヨーナス・ハーヴィスト・トリオJoonas Haavisto Trioのニュー・アルバム「Gradation」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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  (我が家の庭から・・・・「モッコウバラ」   NikonD800/90mm/PL/May,2018)


北欧の世界を感じさせるコンテンポラリー・ジャズ

<Jazz>
Joonas Haavisto Trio「Gradation」
BLUE GLEAM / JPN / BG009 / 2018

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Joonas Haavisto : Piano
Antti Lötjönen : double bass
Joonas Riippa : Drums
Recorded December 17-19,2017 at Kallio-Kuninkala Studio, Järvenpää, Finland


 ヨーナス・ハーヴィスト(フィンランド)は北欧気鋭のピアニストだ。その4枚目のトリオ作が日本のBlue GLEAMレーベルからリリースされた。
 前作は日本でも好評の『Okuオク』(BLUE GLEAM/BG007)で、あれから2年ぶりとなる。日本の「奥」の世界をイメージしてのあの深遠なる演奏に再び触れたいと今作にも自ずから期待してしまう。今作は、ヨーナスのトリオ結成12年目の作品となるようだ。
 彼はなんと世界からの好評を受ける中、2017年には、あの名門ピアノ・メーカーのSteinway & Sonsの専属アーティストにもなったようだ。
 今作、収録全8曲(ハーヴィストのオリジナル7曲、トラディショナル1曲)で構成されたアルバムで、今回も何とも北欧の世界を感じさせるアルバムである。


Joonas001trw(Tracklist)
1.  Surge
2.  Moriens
3.  Sitka*
4.  Flight Mode
5.  Sigh
6.  Emigrantvisa
7.  Polar Night (Bonus Track )
8.  At The Dock

All compositions by Joonas Haavisto exept "6"(traditional)
Teemu Viinikainen : guitar (*印)

 過去の様式から一歩前進しての現代感覚で作り上げるジャズ芸術も多様化しているが、彼らのピアノ・トリオのジャンルはコンテンポラリー・ジャズというところに納まるのかも知れない。
 しかし美旋律ものというものではないが、北欧の自然からの美しい印象が流れてくる。新しいセンスのジャズを構築するのだが、所謂アヴァンギャルドという印象も無く、むしろ郷愁を誘うクラシックな深い世界を感じることが出来る。

16681581_2294595660679072_52860314516711618_2294595480679090_2765969_2 スタートは意外にもダイナミックにしてやや激しいピアノ・プレイで迫ってくるが、M2. " Moriens"になると、北欧をイメージする深い味わいのトリオ演奏が展開する。特に中盤のベース独奏が深く想いをもたせ、そして続くピアノが深遠な自然の展開をイメージするリリカルな見事なプレイにしみじみとしてしまう。
 M3. " Sitka"は、アラスカにある都市だそうだが、この曲のみ美しく優しいギターが加わってイメージを変える。それがこのアルバム・・トータルからみて、一つのアクセント効果をもたらしている。
 M4. " Flight Mode"のようにピアノのエネルギーを展開する曲もあるが、スウェーデンのトラッドというM6. " Emigrantvisa"は、なんとなく郷愁を誘うところがあって北欧の自然豊かな世界を想像させるに十分な曲だ。

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  相変わらずこのトリオは、過去に捕らわれない世界に挑戦しつつも、人の心をつかむ技に長けていて、なんとなく引き込まれていってしまう。そんなところが持ち味で、日本的な感覚にもマッチするところがポイントだ。

(評価)
□ 曲・ 演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★★☆

(参考視聴) Joonas Haavisto Trio

 

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2018年5月 8日 (火)

インドラ・リオス・ムーアIndra Rios-Moore「CARRY MY HEART」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(我が家の庭から・・・・NikonD800/90mm/PL/May.2018)


この心は何処まで届くのか・・・・・トランプ出現の落胆

<Jazz, Soul>

Indra Rios-Moore「CARRY MY HEART」
Impulse!/ International / 6722684 / 2018

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Indra Rios-Moore (vo)
Benjamin Traerup (sax)
Thomas Sejthen (b)
Knuth Finsrud (ds)
Samuel Hallkvist (g)

 インドラ・リオス・ムーア(1980-)のImpulse!第2弾。彼女に関しては私は白紙だったが、これも美女狩り得意の友人からの紹介だ。
 彼女は、NY出身で現在バルセロナを拠点に活動する女性シンガーというところだが、、2017年のアメリカの大統領選挙でトランプが選ばれた結果に対し、「あの結果はまるで顔をビンタされたような気持ちになった」というところからのリリース・アルバムという。
 彼女は見ての通り、ラテン・アメリカの血が入った有色人種ということで、当然のこととして”平等な人権”ということにはかなり敏感に生きてきたのであろう事は想像に難くない。

  Indraという名前は ヒンズー教で”天空の戦士”の事だという、彼女は時代を超えた音楽を創造する事、はたまた拘りを超越して戦う意志の表現なのだろうか?。以前にピンク・フロイドの曲”Money”をカヴァーしているところからも社会派であり、しかも今回は選挙後のアメリカ社会の政治的リアリティに関して唄いたいというところからのアルバムであるところが重要なポイントであろう。

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1. Carry my heart
2. Keep on pushing
3. I can see clearly now
4. Any major dude will tell you
5. Give it your best
6. Be mine
7. Don't say goodnight (it's time for love
8. Love walked in
9. Come sunday
10. What you won't do for love
11. I loved you

  アルバム・タイトル曲のM1."Carry my heart"から彼女の美しい歌声が優しく響くが、どことなく哀しみをもった陰影がある。彼女の唄は、ゴスペル、ソウル、R&Bなどがベースなのだろうか。
 2曲目のM2. "Keep on pushing"は、アフリカ系アメリカ人公民権運動の集団のシンボルとしての賛歌として多く唄われるようになったインプレッションズ(1960代を中心に)の曲の一つ。ここでも彼女の意志がみえる。
 ロックと言えども、ジャズやR&Bの因子が見え隠れしたスティーリー・ダンのM4."Any Major Dude"が彼女を刺激した曲のようだ。
 これも、ソウル・バンドのアイズレー・ブラザースのM7."Don't Say Good  Night"
  更に、白人でR&Bやソウルの流れにあったボビー・コールドウェルのM10. "What you won't do for love" のAORのタイプも登場だ。

Indragroup

 こうして聴いてみると、穏やかに彼女の美しい声での訴える唄が多く、バツク演奏陣は静かにそれを支える。特に彼女の夫のBenjamin Traerupのサックスも優しい。強烈に訴えるのでないこんなパターンであるからこそ彼女のトランプ思想への落胆が一層浮かび上がるように聴こえるのだ。
 彼女の年齢からみれば、ちょっと相応しくない”一昔前のアメリカにおける人権運動の流れを感ずる歌”に共感している姿こそ、アメリカにおける苦労の結晶の長い歴史の経過から築かれた大切なものが、トランプによって一瞬にして崩れて行く状況を悲しんでいるように伝わってくるのである。

(評価)
□ 歌、演奏 :  ★★★★★☆
□ 録音       : ★★★★☆

(視聴)

①   "Carry My Heart"

                *          *          *

② "Money/Pink floyd" カヴァー
(これだけソウルフルになった"Money"は・・・作者ロジャー・ウォーターズも驚きだろう)

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2018年5月 4日 (金)

アレッサンドロ・ガラティ・トリオALESSANDRO GALATI TRIO 「Shades of Sounds」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(Nikon D800/90mm/PL/Apr.2018)


ガラティの「メロディー信仰の世界」で描ききった作品
    ~寺島レコード、気合いでリリース~

<Jazz>
ALESSANDRO GALATI TRIO 「Shades of Sounds」
TERASIMA RECORDS / JPN / TYR-1062 / 2018

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Alessandro Galati  : piano
Gabriele Evangelista  : bass
Stefano Tamborrino :  drums

Recorded in Nov. 2017 at Artesuono Studio (Italy)
Recorded, Mixed & Mastered by Stefano Amerio
Producer : 寺島靖国Yasukuni Terashima

 先日このアルバムが到着して、「今年の目玉の一つは遂に手に」と私は感じ取った。1994年のアルバム『TRACTION AVANT』(VVJ007)以来、アレッサンドロ・ガラティ(1966年イタリア・フィレンツェ生まれ)に虜になってしまっている私が、ここに来て今年は彼のアルバムを近年リリースしてきた「澤野工房盤( 『OUTER GOLD, INNER LORD』(AS161) )」と、それに加えてあの寺島靖国が名エンジニアであるステファノ・アメリオの手による録音に興味を持って企画されたこの「寺島レコード盤」と、立て続けに2枚手に入ると言う事になったのである。そんな訳で、この春は私にとっては大変な感動の時となってしまった。
 もともとガラティはイタリアVia Veneto Jazzレーベルからのリリースだが、日本盤としてBLUE GLEAM盤が頑張っていたのだ。ところが、ここに来て澤野工房そして寺島レコードと、今や人気のこの両レーベルが競ってリリースしてくれることは、何に付けても頼もしい話である。

Image_triow そしてアレッサンドロ・ガラティ・トリオは、この現メンバーで落ち着いてますね。ガラティ自身もベースのGabriele Evangelistaには絶対の信頼を置いているし、Stefano Tamborrinoのドラムスの演奏についても”空気をプレイする”と絶賛している。
 それがこのところの『Seals』VVJ090/2014)『On a Sunny Day』(VVJ105/2015)『Cold Sand』 (AS155/2017)などの成功アルバムをリリースしている原点なのかもしれない。

 さて、このアルバムの音に関しては、ステファノ・アメリオの技量を十分に堪能できる。しかもそれには寺島靖国の介入がどこまで具体的にあったかは不明だが、私の聴くところによると見事寺島サウンドの味付けをも感ずることが出来た。そしてそれを聴き分けるには格好のアルバムがある。それは、つい先日リリースされた澤野工房の『OUTER GOLD, INNER LORD』である。こちらも同じガラティ・トリオでアメリオの同じスタジオにおける録音・ミックスであるが、これが若干違うところが面白い。私の気のせいかも知れないが、ドラムスの取り入れが異なっている。この寺島盤ではかなり効果を上げているのだ。
 もう一つ言うならば、さすがガラティのピアノ演奏とアメリオによる録音だ。ピアノの音色が出色の出来だ。寺島靖国の昨年の自慢のアルバム『BALLADS』(TYR-1058/2017)と比較しても、明らかにこちらは格段上の艶のある美しさだ(ピアノは名機Fazioli)。これは、演奏技術、録音技術、ピアノの質による相違であろう・・・この音こそピアノ・トリオの真髄と言いたくなる。

Sqsjfuo4(Tracklist)
1. After You Left
2. Stella By Starlight / Victor Young
3. You'll Walk In The Field
4. Blue In Green / Bill Evans
5. Coracao Vagabundo / Caetano Veioso
6. Andre / Alessandro Galati
7. The Two Lonely People / Bill.Evans
8. Nobody Else But Me / J.Kern , O.Hammerstein
9. Moments Notice / John Coltrane

 収録曲は9曲で、彼のオリジナル曲はM6のみ。Bill Evans、 Victor Young、John Coltraneなど登場するが、
M1とM3は、なんとイスラエルのトラッドということだ。この2曲は当然我々には聴いたことがない曲で、まさに新曲なのである。実は私が思うには、これがこのアルバムの一つのポイントにもなっていると思っている。
  それはまずM1. "After You Left" の抒情性溢れたメロディーとガラティの手によるピアノの哀感の響きはもはや究極のイタリア情感そのものである。これを冒頭に持ってきた寺島靖国のしたたかなこのアルバムの狙いが見えてくる。そしてM3. "You'll Walk In The Field"に置いても、ベースの語りやシンバルの響きが全くこのピアノの哀感を更に盛り上げての描いていて、そこにみる世界は歴史的に流れているイタリアの抒情性の奥深さを感じて聴き入ってしまう。
 M2. "Stella By Starlight"も、この抒情性の流れに完全に同化させ、スローにして哀感をも助長する。
 M4. "Blue In Green"はエヴァンスの色がイタリアのやや湿度のある色に描かれる。ここにもガラティの所以たるところが聴ける。
M6. "Andre"は、ガラティの唯一の曲だが、私をしてかって虜にしたこの曲。これはかなり日本を意識しての彼の美学を再現してくれたのではないだろうか。今回の演奏と録音は、かってのものと比較して、かなりドラムスの効果を上げる録音となって、如何にも三位一体のトリオ作品として聴き取れる。
 リズム感たっぷりのM8. "Nobody Else But Me"M9. "Moments Notice" にしても、やや押さえられた演奏で、ピアノの美しい音が生きていて”優美な印象の世界”に導かれる。

Trentinoinjazz

 とにかくこのアルバムは全体を通して流れはバラード調に仕上げられていて、抒情的、耽美的な流れをしみじみと感じさせる心の奥深いところに響くものになっている。ガラティの繊細な感覚による美旋律家たるところの面目躍如、これはおそらく寺島靖国の目指したアルバムに仕上がったモノと言えると思う。当然私は万歳である。

(評価)
□ 曲、演奏 : ★★★★★
□ 録音    : ★★★★★

(視聴) このニュー・アルバムに関する映像は未だ見当たりませんので・・・

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2018年4月30日 (月)

ポーランドのマテウス・パルゼクMateusz Pałka Trio「SANSA」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(Nikon D800 / 90mm / 22,Apr.2018)

ポーランドの若きトリオによる現代感覚の思索的世界

<Jazz>
Mateusz Pałka Trio「SANSA」
EMME RECORDS / POL / ERL1704 / 2017

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Mateusz Pałka(p)
Piotr Południak(b)
Patryk Dobosz (ds)
Recorded at RecPublica Studios Lubrza, Feb 24-25, 2017

 このアルバム、つい昨年末にリリースされたものだが、どうも思い出せないのが、このポーランドの若きトリオ・アルバムをどうして購入したか?って事なんです。私の一つの興味はポーランドの音楽事情なだが、ジャズばかりでなくロック畑でもなかなかのものに逢える。そんな中でこのアルバムの接点が何であったのか・・・・?、いずれにしても味のある価値あるアルバムにお目にかかったものだ。
 このトリオは、ポーランド南部にある歴史情緒ある町クラクフ出身の新世代ピアニスト、マテウス・パルゼクMateusz Pałka(1993年生まれ)率いるトリオで、これは記念すべきデビュー作だ。若き彼らにしては、なんか意外にも円熟感すら感ずる思索的で叙情性をもったピアノトリオ作品なのである。
 (参考)このクラクフKrakówの町はポーランド王国の首都、中央ヨーロッパの文化の中心地であったところ。ポーランドは第二次世界大戦では壊滅的な打撃を受けたのだが、ここにドイツ軍の司令部が置かれていたため、戦災を逃れた都市。ポーランドの京都みたいなところ。欧州では私の好きな町の一つ。

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(Tracklist)
1.  Godbye Truth And Consequences *
2.  This Is Not A Time For A Barber *
3.  Sansa *
4.  Maia *
5.  I Love You (C.Porter)
6.  Hungry Young Rabbit *
7.  Mantra (P.Poludniak)
8.  Little Gold Man *
9.  Eleven *
      ( *印 Written by Mateusz Pałka)

 主たる曲群はマテウス・パルゼクのオリジナル曲であるが、ただ抒情的メロディーに流れるので無く、現代的なセンスに溢れたアグレッシブな因子に支えられた中での如何にも思索的な世界を築いている。
 聴いていると、あっと言う間に収録51分が流れてしまう。それは展開の変化が複雑なので飽きないのだ。そしてピアノ・トリオといえどもドラムスは奥に引っ込んでいるのでなく、見事に対等に演じている。M6."Hungry Young Rabbit"は展開も早くドラムスの威勢も良いのだが、不思議に聴きやすい。そしていつの間にかピアノがリズムを築く展開へという変化がうまいのだ。
 イタリア的なしっとり感の抒情性と異なって、やや乾いた味の旋律やリズムが抒情的なのである。そしてそこが新鮮なのだ。
 過去のものに捕らわれない自己の道を突き進んでいるようで、そこが若さなのであろうが、曲の出来は見事で新鮮にして革新的であるも、なんとそこには円熟感すら感じてしまう。
 M9.  "Eleven"は、最も静寂感あるところからスタートするが、ピアノの音が美しく響き、三者の音の間のとり方もそれぞれが 築くところがうまく融合して快感の出来。アルバム・タイトル曲のM3. " Sansa"が思索的で出色。
 これからも注目株のトリオである。

(評価)
□ 曲・・演奏:  ★★★★☆
□ 録音    : ★★★★☆

(視聴)

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