JAZZ

2017年5月27日 (土)

大変身のイメルダ・メイIMELDA MAY 「LIFE. LOVE. FLESH. BLOOD」

”アイルランドの美空ひばり”(私の独断的命名)
~相変わらずの抜群の歌唱力は健在~

<Jazzy Pop,  Blues , Folk>
IMELDA MAY 「LIFE. LOVE. FLESH. BLOOD」
DECCA / EU / 5714901 / 2017

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Prodused by T Bine Burnett
Written by Imelda May

Vocals : Imelda May
Gest Player : Jeff Beck (Guitar M2),  Jools Holand (Piano  M9)
Marc Ribot : Guitar
Jay Bellerose : Drums
Zachary Dawes : Electric Bass
Dennis Crouch : Acoustic Bass
Patrick Warren : Keyboad


 これはイメルダ・メイのメジャー四作目、アルバム・タイトルが凄いですね、まさに彼女の生き様そのもの。彼女は私に言わせると”アイルランドの美空ひばり”だ。何を唄わせてもトップ・クラスのヴォーカルを聴かせてくれる。とにかくそうは言っても今まではやっぱり”ロカビリー歌姫”が看板。ところがここに来て驚きの大変身。大体髪型を現代風に変え、化粧もそれにそってかってのロカビリー時代風とは全くの変身、女性ってこんなに変化するんですね。あの彼女をお気に入りのジェフ・ベックも驚いたでしょう。

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          ↓↓   (見よ!この変身)

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 それも彼女をそうさせたのは、やっぱり離婚でしょうかね。彼女のロカビリー・バンドのリーダー格のギタリストDarrel Highamと18年の結婚生活にピリオドを打ち、離婚が報じられたのはもう少々前の話(2015年)。しかしその後ここまで変身とは全く信じられないところ。

  私は、彼女をここで何回と取りあげたのはやっぱりファンだからです。とにかくロカビリーは勿論だが、ジャズを唄わせても最高です。ジェフ・ベックとの共演での”Lilac Wine”、”Cry me a River”なんかは一流のジャズ・シンガーをも圧倒する(アルバム:Jeff Beck 「EMOTION & COMMOTION」(WPZR-30373/4,  2010))。

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 そしてこのアルバムにみるように、唄うはその曲調も大変化、なにせあのロカビリーの”Johnny Got a Boom Boom ”からの変化ですからね。まあとにかくお得意のロカビリーも顔を出すが、もう完璧な大人のシンガーへ変貌を遂げてみせ、ジャジー・ポップから、ブルース、フォーク、ロック、ソウル、ゴスペル、ジャズにまでに渡っている。これぞ彼女の芸達者の極地。そしてこの曲群、やっぱり全曲彼女の手によるオリジナル曲である。彼女に言わせると”自分の日記みたいなもの”と表現されている。
 レコーディングはLos Angelesにて7日間で行われたもの。

(Tracklist)
1.  Call Me
2.  Black Tears
3.  Should’ve Been You
4.  Sixth Sense
5.  Human
6.  How Bad Can A Good Girl Be
7.  Bad Habit
8.  Levitate
9.  When Its My Time
10.  Leave Me Lonely
11.  The Girl I Used To Be


Imagew_2 まずオープニングのM1.” Call Me”とM3.”Should’ve Been You ”で驚きますね。この2曲は今回の変身の代名詞的曲。みごとな二種の現代風ジャージー・ポップに感動です。
 又二曲目のリード・トラックM2.”Black Tears ”はジェフ・ベックのギターが登場。彼女の内と外の真実の心の姿をバラードで歌いあげる。これは1-2年前からお目見えしていた曲。ロカビリー時代のスローバラードですね。そしてやっぱりジェフのギターは心に染み込みます。
  M6. ”How Bad Can A Good Girl Be ”これは又聴きやすい親密感あるメロディーで一皮剥けた彼女を知ることになる気が休まる曲。
  M7. ”Bad Habit ” やっぱり出ますね、ロカビリー調の軽快な曲。
 M8.”Levitate ”親近感のあるメロディー、説得力のヴォーカル、そして隠れた色気まで臭わせて、一緒に唄いたくなるような曲。
 M9. ”When Its My Time ”こんなカントリー・ブルースっぽい曲も登場。昔、プレスリーが激しい曲の後にしっとり唄い上げた姿とダブリますね。上手い。 
 とにかく全体的に非常に聴きやすい説得力十分の曲とヴォーカル。ソフトであるが、やや陰影のあるところが味噌だが、決して暗くない。そして軽快な曲も交えてのまあ見事なアルバムに仕上げている。

 彼女は1974年7月10日生まれ(実はどうでも良い話だが、偶然私と生まれた月、日は一緒)、と言うことで40歳を過ぎている。アイルランドのダブリン出身のシンガー・ソングライター。本名はイメルダ・メアリー・クラビーImelda Mary Clabby 。2008年にアルバム『ラヴ・タトゥ』でメジャー・デビューしている。2012年8月に娘を生んでの母親でもある。
 このニュー・アルバムで”ロカビリー歌姫”から、”落ち着いた雰囲気の大人なシンガー”へ変貌を遂げてみせ、新たな挑戦に踏み切った。それでも印象は30歳代と言ってもよい十分の若さを感じさせる。

 このアルバム・リリースはこの4月。それを知らないで居て、ブログ「ロック好きの行き着く先は...」のフレさんに教えられました。サンキュー。


(視聴)

       ”Black Tears”  ( 2016 )↓

      ”Cry me a River” with Jeff Beck   ( 2010 )↓

     ”Danny Boy”  with Jeff Beck  (2010) ↓

 

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2017年5月23日 (火)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi 「MÉNAGE À TROIS」

やっぱりエンリコのピアノは流麗にして美しかった

<Jazz>
Enrico Pieranunzi・André Ceccarelli・Diego Imbert 「MÉNAGE À TROIS」
BONSAI / IMP / BON160901 / 2016

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Enrico Pieranunzi (piano)
Diego Imbert (double bass)
André Ceccarelli (drums)
Recorded on Studio de Meudon, Meudon, Frabce  at 12-15, Nov, 2015

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 CAM Jazzとの独占契約の解除があって以来、ちょっとこのところエンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziはその活動も多方面に広がって、そのピアノ作品は若干難しい面もあったりして少々構えている私で、そんな事から今回このニュー・アルバムにはすぐに飛びつかず様子を見ていた私でありました。ところがブログ友爵士さんは昔からのファンだけあってやっぱり静かにしている私に薦めているので、結局のところ聴くことになったという次第。

 今作はフランスのBonsai Musicにて録音した注目のトリオ新作だ。それもクラシックとの融合を図った演奏と言うことで、やっぱり気になる作品でもある。

1797bigpmgrandw1  大体アルバム・タイトルの「MÉNAGE À TROIS」が凄い。これってフランス語で”三人婚”の事ですね、一般には男1+女2で平和な暮らしを営むという私には信じがたい状態。それはこの場合、イタリア人のエンリコ+フランス人二人のトリオってことでしょうか?、それともドラムスはエンリコの長年の朋友アンドレ・チェカレッリ(→)で、それが「2」で、それにベースのフランスのジャズ界のディエゴ・アンベールを加えた「2+1」なのか、とにかく洒落ていて難しいです。私はエンリコのフランスでの遊び心を何処かに秘めたのではと想像もするのだが・・・・。

(Tracklist)
1. Mr. Gollywogg (d'après Gollywogg's Cake - Walk de C. Debussy) 03:57 (Enrico Pieranunzi)
2. 1 ère Gymnopédie 03:47 (Erik Satie)
3. Sicilyan Dream (d'après Siciliano, BWV.1031 de J.S. Bach) 04:42 (Enrico Pieranunzi)
4. Medley: La plus que lente / La moins que lente 07:15 La plus que lente 02:07 (Claude Debussy) La moins que lente 05:08 (Enrico Pieranunzi)
5. Hommage à Edith Piaf (XVème Improvisation, Hommage à Edith Piaf) 04:44 (Francis Poulenc)
6. Le crépuscule 04:00 (Darius Millhaud)
7. Mein Lieber Schumann I (d'après Davidsbündlertänze Op.6 (No.2) de R. Schumann) 07:06 (Enrico Pieranunzi)
8. Medley: Romance / Hommage à Milhaud 05:00 Romance 01:25 (Darius Millhaud) Hommage à Millhaud 03:35 (Enrico Pieranunzi)
9. Mein Lieber Schumann II (d'après Carnaval de Vienne Op.26, Allegro, de R. Schumann) 07:05 (Enrico Pieranunzi)
10. Hommage à Fauré (d'après Improvisation, 5ème des « Pièces Brèves » Op.84 de G. Fauré) 04:38 (Enrico Pieranunzi)
11. Liebestraum pour tous (d'après Liebestraum No. 2 de F. Liszt) 04:18 (Enrico Pieranunzi)

 いっや~~なかなか百戦錬磨のエンリコだけあって、単なるクラシックものとは全くの別物です。やっぱりジャズですね。原曲の面影は無いでは無いが、やっぱり一筋縄ではゆかない(良い意味ですが)彼の色彩濃いジャズ化の世界。エンリコの編曲と彼の作曲をドッキングしたりしての快作。つまりクラシックの名曲はあくまでも彼のジャズの誘導の素材でしか無いと言っても良いくらいだ。

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 さて登場する曲は、ドビュッシー、サティ、バッハ、シューマン、クープラン、リストといった作曲家だ。
 バッハと言えば懐かしのジャック・ルーシェを思い出すが、M3.”Sicilyan Dream ”に登場。バッハのイメージはあるが、ルーシェのようにその曲を生かしてジャズにしたというのでなく、全くの別物。つまりエンリコのジャズにその味を効かしたというパターン。編曲の凄さが出ている。
 しかし彼にはバッハよりはドビュッシーのほうが合いますね。それはM4.”La plus que lente / La moins que lente ”で味わえる。静かな世界をリリカル路線で聴かせるせるが、後半は彼の曲をドッキングさせて、それはなんとスウィングさせてのジャズ世界。いやはや遊び心も持ち合わせたピアノ達人だ。
 M5.” Hommage à Edith Piaf ”これは哀歌ですね。フランスの誇るシャンソン歌手エディット・ピアフへのオマージュだ。
 M7.”Mein Lieber Schumann I”シューマンを演ずるエンリコは、彼のベースに流れるクラシックの味そのものを生かしつつ演ずるジャズの流れる美しさに堪能する。
 M8.”Romance / Hommage à Milhaud ”これは彼の得意のクラシック流世界。そして気持ちを安らげる1曲に仕上がっている。
 まあこのように多彩な世界を演じてくれるエンリコのドラマティックで情熱込めたピアノ・プレイでありながら、彼の持つリリカルなところがしっかり織り込まれた快作だ。

 エンリコのクラシック楽曲を知り尽くしての演奏に、どちらかというとジャズ・ピアニストとしてのアレンジの妙にウェイトが置かれていて、それに更にインプロヴィゼーションが加わって、その融合の名演奏のアルバムと言って良いのでは思う。

(視聴)

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2017年5月11日 (木)

ドロタ・ミシキェヴィチDorota Miśkiewiczのベスト盤「Best of」

ポーリッシュ・ボッサの世界は・・・・・

 ポーランド・ジャズは私の注目点の一つであり、今Anna Maria Jopekの久々のニュー・アルバムがリリースというところで気分も高まっているが、彼女のバンドでバック・コーラスを担当していたドロタ・ミシキェヴィチDorota Miśkiewicz(1973年生まれ)という女性もヴォーカル・アルバムは結構人気がある。そして何枚かのアルバムがあるのだが、昨年リリースしたベスト盤があって、それをここで紹介する。

 <Jazzy Pop>
Dorota Miśkiewicz 「Best of」
SONY Music Ent. Poland / EU / 88985326232 / 2016


Bestof

(Tracklist)
1. Bezbłędny

2. Pod rzęsami
3. Um Pincelada
4. Nucę, gwiżdżę sobie
5. Poza czasem
6. Dwoje różnych
7. Budzić się i zasypiać (z tobą)
8. Nieuniknione
9. W komórce
10. So gia (Sodade)
11. Samba z kalendarza
12. Lubię być szczęśliwa
13. Anna Joanna (Jovano Jovanke) live

Dziennik2 ドロタ・ミシキェヴィチは、ポーランドジャズ界を代表するサックスプレーヤーHenryk Miśkiewiczを父に持ち、名門ショパンミュージックアカデミーで作曲、ヴァイオリンを学んでいる。目下はポーランドでシンガー、作曲家として活躍中。
 そしてこのアルバムは過去のアルバムから厳選した曲と新曲3曲、これらは彼女のオリジナル曲だ。そして未収録ライブ1曲を加えたもの。

 曲のパターンは主としてラテン風味も適度にあって、どちらかというとボサノヴァのムードが主流のジャズィーなポップ作品。それは冒頭のM1.”Bezbłędny”から軽快に流れてくる。
  M8.”Nieuniknione”などは、まあブラジリアンテイストと言って良いのだが、ところがユーロ・ポーランド風と言われる感覚もあって不思議なポーリッシュ・ボッサと言うところか。
 彼女の発声は極めて標準的なところをクリアしていて聴きやすいタイプ。面白いことにただ高音域に入ると、しっかり協力関係にあったアンナ・マリア・ユペクに似た発声法を聴かせる。
 M10. ”So gia (Sodade)”は、男性ヴォーカルとのデュエットで聴かせるのだが、ラテン・ムードを美しく歌いあげてくれる。

  今や、ポーランド・ジャズは世界で注目の一つであるが、ショパンを誇りとした国民は、音楽というものに対しての価値観を十分認識しているところに、クラシック、ジャズのみならずトラッドやロック、ポップに至っても成長して行く因子があるのではないかと思っている。

 このアルバムは、実に気楽に聴かせてくれる世界であって、初夏向きのボッサの世界だ。

(視聴) ”Poza czasem”

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2017年5月 7日 (日)

マーク・ジョンソンをフィーチャーしてのサン・ビービー・トリオSøren Bebe Trio 「EVA」

北欧とNYで生み出す静寂感溢れる美しい世界

Sb1_2 ”北欧の風景が聞こえてくる”とまで言われているピアニスト=サン・ビービー(ソレン・ベベ)のトリオ新作『HOME』(FOHMCD008)を先日紹介したところだが・・・・・、
 その前2013年にはマーク・ジョンソンをフィーチャーしての『EVA』をリリースしており、これも又”深い透明感と牧歌的な美しいメロディー”と表現されるに十分なアルバムで、ここで取りあげておく。

<Jazz>
SØREN BEBE TRIO featuring MARC JOHNSON 「EVA」
Spice of Life / Imp. / SOL SV-0029 / 2013

Eva

Søren Bebe : Piano
Anders Mogensen : Drums
Marc Johnson : Double Bass
Recorded on Sep. 2nd & 3rd 2012 at SEAR SOUND,Studio V,NEW YORK


 これはデンマークのサン・ビービーの第4作目になる作品だが、ベーシスト=マーク・ジョンソンを迎えて、長年のお付き合いのドラマー=アナス・モーンセンとトリオを組んでのニューヨークのシェア・サウンドで録音されたアルバムである。
  マーク・ジョンソンと言えば、ビル・エヴァンス・トリオの最後トリオのベーシストであるわけで、サン・ビービーにとっても記念的貴重盤となったものであろう。ついでに一言、あの女流ピアニストにしてシンガーのイリアーヌ・イリアスEliane Eliasの旦那様でもある。

Evalist 収録曲は右のような11曲。ドラマーのモーンセンの曲が2曲。残りの9曲はサン・ビービーのもので全オリジナル曲集だ。
 相変わらずサン・ビービーのピアノは優美にして透明感ある像を描く。又モーンセンのドラムスは、シンバル、ブラシを駆使してこれ又繊細にして背景を静寂感に包む。そしてマーク・ジョンソンのベースも、彼らの世界に歩調を合わせた如くの控えめであるが、美しいメロディを演じてくれる。

  M1.”Freshman”冒頭から透明感あるピアノが、飛び込んでくる。続くM2.”For L.R.P.”クラシック調の優しい曲に・・・・。
 M4.”Luft/Air”のその名の通り、空気感が凄い。
 M5.”Flying High”あたりは、ジョンソン効果でピアノとベースの掛け合いがあって、ニュー・ヨーク的雰囲気もあるがやっぱり最終的には北欧世界ですね。
Marcj M8.”One man band”も珍しく押してくる曲だが、ジョンソンの存在感を示すベース・プレイが注目されるが、やはりここでもメロディアスなピアノ・プレイに美しさがあって落ち着いた味を描く。
 M9.”Eva”、これは女性の名前でしょうか、このアルバムのタイトルにもなっている曲だが、そこには控えめな優しいベースとピアノがメロディを交互に演じて美しく仕上げてる。 
  M10.”Change”は、ピアノとベースの和音、ベースのメロディ、そしてピアノの流れがやっぱり優しく静謐な世界を描いてくれる。

 明らかにサン・ビービー・トリオに、一層のベース効果を味わうことがマーク・ジョンソンにして成し遂げられ、このトリオの充実効果に厚みの部分に一役買っていることは事実だ。相変わらずこのアルバムも、サン・ビービー流のスウィングやアクセントのビートとを効かすというものではなかったが、私的にはそれには全く不満はなく納得の良盤の位置にある。

(試聴)

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2017年5月 3日 (水)

ダイアナ・クラールDiana Krallのニュー・アルバム「Turn Up The Quiet」

ヴォーカルを前面に出した懐かしさいっぱいの原点回帰の快作

<Jazz>
Diana Krall 「Turn Up The Quiet」
UNIVERSAL CLASSIC & JAZZ / JPN / UCCV-1162/ 2017

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Produced by Tommy LiPuma and Diana Krall
Recorded by Al  Schmitt at Capitol Recording Studios, Hallywood, CA

 いっや~~、数溜まって来たダイアナ・クラールのアルバム。その中でも今回この新作は”原点回帰”と言っても、彼女のピアノ演奏中心というのでなく(私はもう少しバリバリのジャズ演奏を期待していたんですが・・・)、やっぱりヴォーカル・アルバムですね。録音も完全にダイアナのヴォーカルが前面に強調されている。
 まあ、決して悪いわけで無く、ダイアナの相変わらずの親父声の充実感を十分に味わえます。彼女の育ての親と言うべきか、発掘し育て上げた立役者でもあるという巨匠のトミー・リピューマがプロデュース。しかしなんとこれは約10年ぶりの通算8作目のプロデュース作となるようだ。しかし彼はこの3月13日に80歳で発売前に亡くなったと思うが・・・と、すれば彼の記念作でもあり、遺作として感じ取らねばならないだろう(それに十分な内容だ)。

List1(Tracklist)
1.  Like Someone In Love
2.  Isn't It Romantic
3.  L-O-V-E
4.  Night And Day
5.  I'm Confessin' (That I Love You)
6.  Moonglow
7.  Blue Skies
8.  Sway
9.  No Moon At All
10.  Dream
11.  I'll See You In My Dreams
12. How deep is The Ocean *


  さて、収録曲は前作はポップス曲だったが、今回はジャズ・スタンダードの懐かしの曲のオンパレード(*印:日本盤ボーナス曲)。
 スタートM1.” Like Someone In Love ”は、冒頭よりベースの重量感と彼女の低音の効いたヴォーカルがじっくりと迫ってくる。やっぱり彼女のヴォーカルは充実感あって良いですね。
 バック演奏はやっぱり従来のアルバムの流れで、ギター、ピアノ、ベース、ドラムス中心で、オーケストラも入るというヴォーカルを支えるパターンで変わっていない。
  M2.” Isn't It Romantic ”アンソニ・ウィルソンのギター、ジョン・クレイトンのベース、ジェフ・ハミルトンのドラムスに彼女のピアノがお馴染みのパターンで流れ、それにヴォーカルが乗ってダイアナ流懐かしの曲展開。
 M3.”L-O-V-E”こりゃ、ナット・キング・コールですね。1960年代ビートルズ・ロック前の世界を風靡した曲。
 M4.”Night And Day ”コール・ポーターの代表作、シナトラも良かったけど、私はセルジオ・メンデスが懐かしい。それをうまく両方のイメージを残してダイアナは熟してくれます。
 M7.”Blue Skies ”戦前のヒット。この曲はこのアルバムでは珍しくスウィングする。ダイアナのピアノ・プレイが溌剌として楽しめる。
 M8.”Sway”誰もが唄う”キエン・セラ”だ。しかしこれをゆったりと物憂いパターンで唄うところがダイアナ節だ。いやはや昔のザ・ピーナッツが聴いたらビックリでしょうね。
  M10.” Dream ”は、ジョニー・マーサーの作曲で、何とも言えない懐かしさいっぱいです。シナトラも唄ったし、映画でも何回と使われた。「足ながおじさん」が有名にもした曲。痺れますね。
  M12.”How deep is The Ocean ”日本盤ボーナス・トラックだが、昨年日本ライブで評価の高かった曲。これがなかなか深遠なムードあって良い。M11.” I'll See You In My Dreams”のスウィンギーな曲での外盤の終わりよりは日本盤がお勧めだ。

Dk2 全体にバラード調のゆったり、じっくりの世界。これはこれで気分良好ですね。アメリカン・クラシックの前々作『グラッド・ラグ・ドール』2012年)よりは、ムードがあってこの方が私好み。そう思って懐かしがって聴いているとあっという間に終わってしまう。こんな快作でした。

 前作『ウォールフラワー』(2015年)はグラミー16回受賞の大御所デイヴィッド・フォスターがプロデュースを務めたポップス・カヴァー集だったが、多分若い人にはそちらの方が承けると思うが、我々のような歳も重ねた人間にとっては、こちらも懐かしさで充ち満ちてしまったというところだ。

 さてさて、まだ私の期待のバリバリのジャズ演奏アルバムというところには不満作であったが、これだけスタンダードをポピュラーに仕上げると、これ又ヒット・アルバムとなるのは間違いない。しかし私は又々数年後を期待することになった。

(試聴) ” Night And Day

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2017年4月29日 (土)

サン・ビービー・トリオSøren Bebe Trio ニュー・アルバム「HOME」

究極の北欧ピアノ・トリオ美学!!

Søren Bebe Trio「HOME」
FROM OUT HERE MUSIC / Denmark / FOHMCD008 / EU

Home

All compositions by Søren Bebe

Søren Bebe - Piano
Kasper Tagel - Bass
Anders Mogensen - Drums

Recorded Nov. 2015 by Boe Larsen at MillFactory, Copenhagen
Mixed & Mastered by J.E.Kongshaug at Rainbow Studio, Oslo

  ピアノ・トリオ・アルバム『From Out Here』『A Song For You』(参照:この2アルバム、既にここに5年前2012年に取りあげた)で、北欧の美しさを焼き付けられた私にとっては、非常に印象のあるサン・ビービー・トリオSøren Bebe Trioが、ここに来てニュー・アルバムをリリースして来た(おそらく第5弾だ)。

 サン・ビービー(実は彼のこの名前の発音はこれで良いか、"ソレン・ベベ"?いまだに自信がありません)はデンマークを拠点に活躍している新鋭ピアニスト。2004年にデンマークの"Royal Academy Of Music"を卒業、2006年から旧友であるAnders Mogensen、同年のデンマーク「Summer Session」で知り合ったNiels Ryde(electric Bass)とトリオを結成。2008年にはMusic Meccaからこのメンバーでアルバム『Searching』を発表し、ピアノ・トリオ・ファンから注目を集めた。新鋭とはいえ既に10年以上のキャリアを築いてきており、第3作『A Song For You』からベースはKasper Tagel(double Bass) に変わっている。

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List1_2  収録曲は右のような全11曲、全てリーダー・ピアニストのサン・ビービーによるもの。
 とにかく北欧の自然たっぷりの静まりかえった美しい世界が頭に浮かんでくるフレーズに満ちあふれているアルバム。
 ピアノはあくまでも透明感の高い美しい調べを演じ、ベース、ドラムスもそれに呼応して心安まる自然風景を刻み込む。

 既に前作までに彼らのトリオ作品は・・・・・”ピアノはリリカルなピアニストとしてビル・エヴァンスからキース・ジャレットの延長線上にある。そしてビートは何を加えてかというと、夜にひっそりと咲く花のように悲しいメロディーを持った、民謡にも似たシンプルな感性である”・・・と評されている。このアルバムもその流れで、まさにその世界を描き、私にとっては何にも変えられない美世界である。それもクラシック調の味に北欧ジャズのインプロヴィゼーションの醍醐味も加味された世界をしっかり構築している。

 とにかくスタートのM1.”The Path to Somewhere”の曲名どおり、硬質にして繊細なピアノの美音が響き、この世界はどこに連れて行ってくれるのか、全身任せたくなる深遠にして安定感の美学に浸れる。
 中盤のM5.”A Simple Song”、M6.”Haarlem Landscape”などは、彼らの余裕の世界であるが、やっぱり美しい。
  M10.”Home”はその通りの安堵の世界。
 そしてその流れは破綻すること無く、終曲M11.”Tak”まで、しっかりとTotal Playing time 45分間流れ、時の経過も忘れる北欧の空想の世界である。
 北欧の静謐な美学を求めるなら絶対お勧めアルバムだ。

                *           *          *

Eva_2 実はこのアルバムの前には、2013年にサン・ビービーは名ベーシストのマーク・ジョンソンMarc Johnsonをフィーチュアーして、ピアノ・トリオを組んで、
 アルバム『EVA』(Spice of Life / SOL SV-0029 / 2013 →)
・・・・・をリリースしている。
 このアルバムも美しさは群を抜いている。今回このアルバム『HOME』と同時に私の名盤仲間に入れたので、又後ほど取りあげたいと思っているところだ。

(視聴)”The Path to Somewhere” from 「HOME」

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2017年4月24日 (月)

ジョエル・レンメル・トリオJoel Remmel Trio 「SOME THINGS NEVER CHANGE」

美旋律ジャズでありながらフリー・インプロヴィゼーション展開重視

<Jazz>
Joel Remmel Trio「SOME THINGS NEVER CHANGE」
Atelier Sawano / JPN / JRT003 / 2016

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Joel ‐ Rasmus Remmel : piano
Heikko ‐ Joseph Remmel : bass
Aleksandra Kremenetski : drums

  取りあえず2013年の1stアルバム『LumeKristall』から注目してきた東欧はエストニアの若きピアノ・トリオの昨年リリースされた3rdアルバム。
 今回のアルバムは過去の2作よりは一歩前進というか発展というか進化を示していると思う。聴きやすいメロディーを取り入れた曲を主とするところから脱却して、おそらく即興を重視したややスタイルを複雑にした曲のため、ちょっと評価に躊躇するところがあって、しばらく横に置きっ放しになっていた。しかし彼らの流れは注目価値ありというところで、そのため遅まきながら今になってここ登場することになった。

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(Tracklist)
1. Kolmekesi Paadis
2. Stepping Into The Basement
3. Some Things Never Change
4. Taevatahed Laulvad
5. By The Book
6. Vaikse Aja Ilu
7. Mul On Hea Jeesuses
8. Turn Out The Stars

 殆どが、ピアニストのJoel Remmelの曲だが、女流ドラマーのAleksandra Kremenetskiの曲も1曲(M4)登場。

 オープニングから、メロディ中心と言うよりは、演奏のスリリングな交錯がみられるフリー・インプロヴィゼーションの展開となる。メロディの美しい欧州のピアノ中心のトリオ曲というところから完全に脱却を図っている。もともとフリージャズ世界に足を入れていたところがあるようで、過去の2作品にもそんな因子が顔を出していたが、若いといえども結成して7年経過したこの3rdでは、思い切ってその世界に展開を広げた感がある。
 アルバム・タイトルとなっているM3.”Some Things Never Change”は、ベースの低音からスタートとして次第にメロディーの美しさを交えつつも、やや前衛的ジャズ印象を貫いて展開するため、聴く方はこれらの多様なスタイルについて行けるかがポイントだろう。
 M6.”Vaikse Aja Ilu”では彼らの特徴であるピアノ・メロディの美しさと、変調する中にも優しい展開が支配し、ここにきて彼らの過去のアルバムの美しさを思い出した。それもそのはずこの曲1stアルバムにも登場していたもの。後半に入ってのインプロヴィゼーションに手を加えている。そして最後の1分間は安堵の流れを聴かせてくれて、なにかほっとする響きで終える。
 そしてM7.”Mul On Hea Jeesuses”では、この曲の前半はクラシック流の美ピアノの音で支配して、後半は一転してやや荒々しい古典的ピアノ・ジャズと化すという変化のアレンジを見せる。
 M8.”Turn Out The Stars”は最終トラックにふさわしいこのアルバムの締めくくりである。ビル・エヴァンスの曲のアレンジだ。それは美しいメロディのみに止まらない彼らの姿勢を変調ジャズにて示すのだ。

  進化する若きトリオの1シーンを感じさせるアルバムであった。

(視聴)

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2017年4月16日 (日)

ベネディクト・ヤーネル・トリオBenedikt Jahnel Trio 「THE INVARIANT」

流麗なピアノと風格あるクラシック調な哲学的ジャズ世界

<Jazz>

Benedikt Jahnel Trio 「THE INVARIANT」
ECM / JERM / ECM2523 5712837 / 2017

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Benedikt Jahnel: piano
Antonio Miguel: double bass
Owen Howard: drums

Recorded March 2016 at Rainbow Studio, Oslo
produced by Manfred Eicher.

 ECM盤が続きます。前回、Julia Hülsmann Trio の『Sooner and Later』を取りあげたが、あのアルバムのジャケからふと思い出したアルバム。私はジャケに結構拘っているのですが、訴えてくる印象が似ているのでこのアルバム『THE INVARIANT』を再考するに至った。
 ところがなんとジャケ(Cover photo)の作成者をみると、『Sooner and Later』のLiner photosを担当したArne Reimerという人の写真によるものだった。
 まあそれはそれとしてこれもドイツですね、ベルリンを拠点にして活躍中のピアニストのベネディクト・ヤーネルBenedikt Jahnel によるトリオ作品。5年ぶりのECM第2作目となるもの。
 このアルバムのタイトルは「不変」と訳せば良いのか、いずれにしてもこのトリオ結成して10年と不変で来たようで契りは深い。そのトリオ・メンバーはスペイン人ベーシスト、アントニオ・ミゲルと、カナダ人ドラマー、オーウェン・ハワードと国際的。

(Tracklist)
1. Further Consequences
2. The Circuit
3. Mirrors
4. Mono Lake
5. Part Of The Game
6. For The Encore
7. Interpolation One
8. En Passant

 曲は全てベネディクト・ヤーネルによるもの。彼は1980年生まれのドイツ人、2000年にベルリン芸術大にて学位取得し、2005年米国N.Y.に渡り、2007年にベルリンに戻っている。

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 とにかくオープニングM1.” Further Consequences ”から聴かれる彼のピアノはクラシック調にして流麗そのもの。その曲名も哲学的であり描くところも深い。それがECM流に流れて、M2.”The Circuit ”に繋がって行く。
 そして9分以上のM3.” Mirrors ”には、その深遠な世界にはまってしまう。
 M4.” Mono Lake ”は、やや安堵感が漂ってほっとする。
 M5.”For The Encore ”は欧州的美の広がる静謐さが感じ取れる優しい曲。
 M7.”Interpolation One ”のベースとピアノの音で描く暗さは凄いが、M8.”En Passant ”で一転して明るい陽光の差す様な世界に、そして流麗なピアノの調べを経て静かに幕を閉じる。
 はっきり言って、曲の流れは聴きやすく難解では無い、しかし描く世界の哲学的世界は深い。しばらく解釈に時間がかかって横に置いておいたが、今こうして聴き直してみると、これはなかなかハイレベルな格調高い名盤です。

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2017年4月12日 (水)

ジュリア・ハルスマン・トリオJulia Hülsmann Trio 「Sooner and Later」

ECM流のピアノ・トリオ・アルバムだが・・・・高尚の一言

<Jazz>
Julia Hülsmann Trio 「Sooner and Later」
ECM / JERM / ECM 2547 / 2017

Soonerandlater

Julia Hülsmann(p)
Marc Muellbauer(double bass)
Heinrich Köbberling(ds)

Produced by Manfred Eicher
Recorded Sep. 2016, Rainbow Studio, Oslo

(Tracklist)
1. From Afar *
2. Thatpujai *
3. You & You +
4. Biz Joluktuk 
5. All I Need
6. The Poet (For Ali) -
7. Offen -
8. J.J. *
9. Soon *
10. Later +
11. Der Mond *
(Composer : "*印"Julia Hülsmann、  "+印"Heinrich Köbberling"、  "-印"Marc Muellbauer)

Julia_huelsmannw 1968年生まれのドイツの女流ジャズ・ピアニストにしてコンポーザーのジュリア・ハルスマンのピアノ・トリオ作品。
  彼女はベルリンを拠点にしてのベテラン・ジャズ・ピアニストだ。このところはクインテット、カルテットという作品が続いていたが、久々の6年ぶりのトリオ作品と言うことだ。

 まずECMと言えどもジャケの印象は更に地味で、そしてそこには日常の姿をしっかり見つめようとする想(こころ)を感じ取れる。
 そして演奏は明らかに”ECMサウンド”で、物静かに哲学的に流れて行く。演奏の特徴は彼女の名前を冠したアルバムだが、ピアノが決して前面に出て振る舞うと言うところがないところだ。三者の対等なるトリオ演奏が聴きどころ。

  とにかく、M1、M2と冒頭から詩的な世界が広がる。そしてその流れはM3, M4ても同様だ。刺激性の無い演奏が彼らの持ち味として安定性の感覚を聴く者に及ぼしてくる。
 これはどこかで見たが「文学性の演奏」と言わしめる世界なのである。全編、静かに流れるが、これは単なる抒情性とか美旋律といったところとは異なるのだ。ただし静かな流れと言っても、快調なリズムをも展開する。とにかく高尚という言葉に尽きる演奏なのだ。
 あまりにも整然とした演奏に、はっとするような山が無いと言えばそうなのだが、従ってなんとなく始まって、快く聴いてなんとなく終わるというアルバムなのである。そんなところは北欧ものの大自然をイメージするとか、逆に南のイタリアにおける演歌調を味うとは違っている。これが・・・ドイツなのか?。
 なにせ、花粉症の季節、抗アレルギー剤を内服しているせいか、聴き入っているとすぐ寝てしまうのである。

Jhtrio_2

  収録11曲中の殆どの9曲が彼らのオリジナル曲(ジュリアが5曲)であるが、作品紹介をみると・・・・、"ツアーでヨーロッパ、アメリカ、ペルー、中央アジア、中国も一緒に廻ったとのことでアジアでの演奏は「自分たちの世界を広げてくれた」という。M-4”Biz Joluktuk ”はその中央アジアでのツアー時にキルギスで12歳のヴァイオリニストが弾くのを聴いた曲に インプロヴィゼーションを施したものと言うのだ。
 M-2”Thatpujai ”ドイツのピアニスト、ユタ・ヒップのソロで聴かれるフレーズをテーマにしているとか"・・・・など、彼らの印象を受けたものにインプロヴィゼーションを繰り広げた曲群のようだ。
 結論、こうした真摯な高尚なアルバムも好感が持てるし私にとっては価値あるアルバム。

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2017年4月 8日 (土)

チャーリー・ヘイデンCharlie Haden (with C. Baker, E. Pieranunzi, B. Higgins) 「Silece」

1989年のリマスター復刻盤に感動

<Jazz>
Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins 「Silece」
Soul Note / ITA / SNGG116-2 / 2017

Silence

Recorded Nov.11-12. 1987 at CMC Studio, Roma

 Charlie Haden ( Bass ), Chet Baker (Trumpet , Vocal), Enrico Pieranunzi ( Piano ), Billy Higgins ( Drums )

Mi0003186081 "Soul Note Remastered Reissue Series"としての登場盤で、これはチャーリー・ヘイデンのSoul Note での初の録音盤(1987年)。
  ヘイデンが、ウエスト・コースト・ジャズへの思いをこめたというコンセプトのもと制作された作品と言うが、今こうしてみると豪勢なメンバーによるカルテットだ。
 なんと言っても、チェット・ベイカーが亡くなる半年前の演奏で、それだけでも興味がある。これは私は過去に一度も聴いてなかった盤であるだけに尚更だ。しかもあの抒情的ピアノ・プレイを聴かせてくれるピエラヌンツィが絡んでいて文句なしだ。

(Tracklist)
1.  Visa
2.  Silence
3.  Echi
4.  My Funny Valentine
5.  ’Round About Midnight
6.  Conception

Chet675 とにかくチェット・ベイカーの演奏が印象的で、これはまさに彼のアルバムかと思わせる程です。2曲目の”Silence ”がチャーリー・ヘイデンの曲でこのアルバムの主役をなしていて、これが静かなエンリコのピアノに続いて、どちらかというと陽ではなく陰に包まれていると言って良いのだが、チェット・ベイカーの押さえてのペットの響きが支配する。それは極めて叙情的な世界であって、それにおもむろに登場するヘイデンのベースが更に深淵なる雰囲気を構築するんですね。私から見るとこれはチェット・ベイカーの人生を象徴するがごとくの出来映えだ。
  M4.”My Funny Valentine”においては、何とか陽の世界を見せようとしているが、やっぱり聴く方の気持ちも入ってしまって、チェット・ベイカーのヴォーカルも登場するが、如何にもこのバンド4者の最大限の花ではあるが、やっぱり抒情的な世界になっている。

Chetbakerenricopieranunzi そしてこのアルバムの私の最大の焦点はM5.” ’Round About Midnight”だ。なんと11分を超える演奏だが、繊細な感覚が4者のそれぞれの全ての音に秘められている。この曲には完全に聴く私は取り込まれてしまった。ベイカーから続くピエラヌンツィにメロディー演奏が引き継がれ、両者の抒情的美が溢れている。そしてその後は優しいヘイデンのベースがほぼソロで演じられ、もう満足の極みである。

 いやはや良いアルバムをリマスター再発してくれたものだ。当時リアル・タイムに聴いた人たちは、どんな気持ちで直後のベイカーの悲しみを送ったのだろうか、今こうして聴いていてその想は想像に難くないのであった。

(視聴)

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