JAZZ

2019年12月 7日 (土)

エミール・ブランドックヴィスト Emil Brandqvist Trio 「SEASCAPES」

ドラマーのリーダー・トリオ
牧歌的な自然の広がる大地に根ざした美しさを展開

<Jazz>

Emil Brandqvist Trio「SEASCAPES」
SKIP RECORDS / GERM. / SKIP 9128-2 / 2015

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Emil Brandqvist : Drums, Percussion, Keyboads
Tuomas Turunen : Piano
Max Thornberg : Bass

 スウェーデンのドラマーのエミール・ブランドックヴィストEmil Brandqvist の結成したピアノ・トリオは、その演ずる世界の美しさは格別である。私はこのトリオの3枚のアルバムと、ピアニストであるTurunenのソロ・アルバム1枚を所持しているのだが、今回ここで取り上げる2015年のアルバム『SEASCAPES』以外は、全て過去に取り上げてきた。(下記参照)

Emil Brandqvist Trio 「FALLING CRYSTALS」(SKP 9135-2 / 2016) (下左)
Emil Brandqvist Trio 「WITHIN A DREAM 」(SKP 9141-2 / 2018) (下中央)
Tuomas Turunen    「Ornaments of Time」(SKP 9139-2 / 2017) (下右)

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 ところが先日寺島靖国がリリースした『for Jazz Audio Fans Only vol.12』(2019)に、アルバム『ESCAPES』からの曲"Vals"が納められていたことから、これももちろん私好みのアルバムであったので、それならばとこのアルバムをもここで取り上げようと言うことになったのだ。

Emilbrandqvistw (Tracklist)
1.Vals 
2.Silloin Lennän* 
3.Skog 
4.Färdas Under Vatten 
5.Du Håller Min Hand
6.Bobergs Udde
7.Den Sista Isbjörnen
8.Savotta* 
9.Stormsvala
10.Grimsholmen
11.Havsanemon

   11曲中9曲の殆どがドラマーのBrandqvistのオリジナル曲(*印以外)。
 なんと言ってもM1."Vals"が美しい曲。特にTuomasのピアノが透明感あり美しいメロディーを奏で、冒頭よりうっとりする。
 M4."Färdas Under Vatten" はかなり珍しく攻めの曲。これはトリオに加えてフルーゲルホーン、クラリネット、フルートなどが加わる。
 M5."Du Håller Min Hand" もBrandqvistの曲だが、ピアノが美しく、そしてM6."Bobergs Udde" の穏やかにして静かな広大な土地に広がる安堵感のような世界も聴きどころ、ここでもクラリネットがピアノと共にメロディーを美しく描く。 
 M7."Den Sista Isbjörnen" は、クラシック世界のにじみ出てくる曲。フル-ゲルフォーンがメロディーの重要なところを担っていて、後半に入ってピアノが美しくその役を変わる。やはり牧歌的な安定感。
 M8."Savotta" はちょっと異色でハイリズムからピアノの展開が主力の曲、やはりピアニストのTurunenの曲だ。彼はこのアルバムにM2(*印)と2曲提供している。アルバムの色づけには寧ろ良いと思う。
 M9."Stormsvala" ピアノに語らせ、シンバルやブラッシがメリハリ付けて、ベースが支えるBrandqvistらしいクラシック的な安寧の世界。

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 やはり全体には北欧的牧歌的な世界であり、ドラマーのトリオとしては意外にピアノの美しさが印象に残って、それ程ドラムスは表に出てこない。とにかくしっとりとした精神安定剤的流れの中に浸かれる曲群が主力で、聴いた後の気持ちは透明感に浸れるところ。
 このトリオはドイツからのリリースで、このファースト・アルバム「Seascapes」はドイツのエコー賞にノミネートされ、次の「Falling Crystals」はドイツのジャズリストの7位にリストさたとか。そして昨年のアルバム「 Within a Dream」のリリースは、絶賛されている。
 思うに、美旋律曲を創造するのは Brandqvistが得意で、それを演ずるTurunenがその美を更に高めているように思う。今後も楽しみなトリオである。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★☆
□ 録音    ★★★★☆

(視聴)

*

 

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2019年12月 2日 (月)

中村 真 Makoto Nakamura Trio 「Time Remembered」

ビル・エバンスものは更にしっとり深淵に美しく

<Jazz>

MAKOTO NAKAMURA TRIO  「Time Remembered」
CERBERA RECORDS / JPN / CER003 / 2014

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中村 真   piano
中村新太郎      bass
芳垣安洋        drums

録音年:2014年4月23日/収録場所:三芳町文化会館

619mqipngbl_ac_sl1500_   大阪出身のピアニスト中村真のピアノ・トリオ・アルバムである。
  これは私の関西のオーディオ・マニアの友人の勧めで聴いているアルバムだが、五年前のリリースものだ。実はこれと一緒に今年の録音でリリースされたアルバム『RUBY』(にはたづみレコード/JPN/NRCD0009/2019)(→)も一緒にお勧めで聴いている。この『RUBY』の方はExtemporization(即興)2曲にその他カヴァー6曲という構成のアルバムで、中にBill Evansの"Blue in Green"を演じている。しかしなかなかオリジナルの即興曲が解釈の難しい演奏で、ちょっと戸惑いもあってここでは取り敢えず聴きやすい五年前のこの『Time Remembered』の方をまずは検証してみたいというところなのだ。

 このトリオは、ピアニスト中村真が、2014年にベテラン・ベーシスト中村新太郎とドラマー芳垣安洋というリズムセクションを迎えたトリオの初アルバムだ。なんと事前の打ち合わせや曲決めを行わず全曲やり直し無しの一発勝負で行われた約4時間のレコーディングの中から、特に彼らが納得した素晴らしい演奏のみを収録しのだという。有名どころの曲のカヴァーであるが、トリオとしての即興を交えて演奏し、そしてそれを最大限に生かすエンジニアとしてレコーディングとマスターリングをMick Sawaguchiが担当して仕上げたようだ。そんな演奏と同時にオーディオ的にも興味のある一枚に仕上がっているのだ。

(Tracklist)
1.  Moonlight in Vermont
2.  Gone with the wind
3.  Solar
4.  Old folks
5.  Time remembered
6.  So what
7.  I'll be seeling you
8.  Ammonite
9.  Edelweiss
 
44506622_2021424631253798_10843264487784  中村真は、1972年1月14日大阪府吹田市生まれ。邦楽家の父の影響で幼少の頃より音楽に親しみ、早くも4歳からピアノを始めた。
 高校時代にオスカー・ピーターソンに感銘を受け、ジャズに傾倒。大阪音楽大学時代には、自己のトリオを結成する一方、音大のビッグバンドDJOにも参加。
 大学中退後プロとなり、2000年に自転車に乗り上京。以後、多くのミュージシャンと共演しているというやや異色のピアニストであり、2004年には3枚のピアノ・ソロ・アルバムをリリースしている。そして2006年には、なんと自転車で旅をしながらの北海道までソロピアノツアーを実行している。そんなちょっと風変わりな流れから生まれた彼の42歳の2014年のピアノ・トリオ・アルバムである。

 さてこのアルバム、まずM1." Moonlight in Vermont"を聴いてすぐ感ずるのはホール感の強い刺激的で無い音の録音だが、ドラムスのブラッシとかベース音もしっかり聴き取れるトリオ感十分のしっとり感と美音のピアノの演奏である。
 M2 、M3 はジャズ・ピアニストが選びそうなスウィングする中に、ベース・ソロも交えながらも自己陶酔型のピアノ演奏を展開。
 やはり聴き所は、アルバム・タイトルにもなっているBill Evansの曲M5."Time remembered"だ。間の取り方、音の強弱、高音のピアノ音の輝き、そして深遠なムードと、なかなか品も感じられるピアノとベースの語り合いの演奏、更にシンバルの響きが実に的を得ている。この7分40秒の曲演奏でこのアルバムは上等のものになっている。
 しかしこれはほんとにぶっつけ本番のトリオ演奏とは信じがたいベースの入り方など聴き所は沢山ある。ちょっと残念なのはドラムス・ソロがもうちょっと納得して聴けるタイミングが出来ているともっと良かったかと思うのだが。
 M8, M9 と、締めくくりに近いところは明るめ演奏のパターンで納めていて、聴き終わっての印象も良い。 
 評価としては、曲の構成の流れも良く、良いアルバムであっと言うにつきる。

(評価)

□ 選曲・演奏 ★★★★☆
□ 録音    ★★★★☆

(参考試聴) トリオもので、このアルバムの曲は見当たりませんので・・・

 

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2019年11月28日 (木)

寺島靖国プレゼンツ「For Jazz Audio Fans Only Vol.12」登場

ジャズはやはりリアルな録音で聴くに越したことは無い

<Jazz>

Y.Terashima Presents「For Jazz Audio Fans Only Vol.12」
TERASIMA RECORDS / JPN / TYR-1083 / 2019

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 録音が良いと言っても、音楽であるからいろいろなところに制作者の意図や焦点がある。従って誰もが同じではなく、CDの出来上がりにも違いがあって、こうしてコンピ・アルバムとして並べて聴いてみると実に面白い。
 そんなことでこのシリーズものを手にしているのだが、年一枚で12枚目となった。今年もそれなりに楽しめるが、寺島靖国プレゼンツ・シリーズも好評で、あれやこれやとリリースが多くなったため、どうもかなり古いアルバムから引っ張り出してきていてちょっと空しいところもある。

(Tracklist) 
01. Rosemary's Baby (Christopher Komeda) / NBS Trio
02. Uppgjor - No Return (Árni Karlsson) / Árni Karlsson Trio
03. I'm Lost (Antonio Farao) / Antonio Farao
04. Mirror Face (Eric Harding) / Eric Harding Trio
05. Very Special (Junko Onishi) / Junko Onishi presents JATROIT feat. Robert Hurst & Karriem Riggins
06. Le Saule (Dick Annegarn) / Christophe Cravero
07. Reminiscing (Rufus Reid) / Rufus Reid
08. Die Gedanken sind frei (Traditional) / Igor Prochazka Trio
09. My Corean Heart (Giovanni Mirabassi) / Giovanni Mirabassi Trio
10. Maaviljelia (Kaisa Kulmala) / Kaisa Kulmala Trio
11. Vals (Emil Brandqvist) / Emil Brandqvist Trio
12. Sometimes It Snows In April (Prince) / David Gordon Trio

 今回もCDギリギリいっぱいの12曲を選んで集録している。
 これは好録音でオーディオ的に楽しめるモノを寺島靖国なりに選らんでいるので、自分のオーディオ装置のテストにも取り敢えずは参考になる。さて今回の選ばれたモノ12曲中私が持っていたのはアルバム4枚からの4曲であった。と言うことは結構私もこの世界は好きなんですね。

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  M1."Rosemary's Baby" これもずいぶん前のアルバムからで、私の好きな曲であるので、かってここで取り上げている。アルバム NBS Trio『plays Komeda』(BCD CDN 25 / 2010)からの曲。この"NBS Trio" というのは、ポーランドの"Nothing But Swing Trio" の略である。結構それなりに即興もあって楽しめる。(上左)
  M2." Uppgjor - No Return" これは重厚に響く世界だ。
  M3." I'm Lost" 美しいピアノの響き、ゆったりとしたメロディーもやや哀感があって聴き惚れる。(上中央)
  M4."Mirror Face" シンバルの音が軽快に響き、ベース・ソロも入るのだがドラムスの印象の強いトリオ演奏。
  M5."Very Special" ピアノの美しいスロー・ナンバー、ちよっと盛り上がりに欠ける。
  M6."Le Saule " 録音も協力してパワフルな演奏のピアノ・トリオ。
  M7."Reminiscing " ベースの低音が響く中での曲の流れ、成る程ベーシストがリーダーのトリオ演奏。(上右)
  M8."Die Gedanken sind frei " チェコの国の印象と違った軽い展開の世界。
  M9."My Corean Heart" ジョバンニ・ミラパッシらしく流麗なピアノの流れが印象深い。ドラムス、ベース、ピアノが活発に演ずる。録音は美しいと言うよりリアルというパターン。アルバム「Summer' Gones」(CAMJ 7938-2 / 2018)から。(下左)
  M10. " Maaviljelia" とにかくシンバルの派手なリアル録音モノ。遠近感も優れものだ。寺島はシステム・テストに使っているとか。
  M11."Vals " 曲の美しさをピアノの音の美しさで聴かせる録音。スエェーデンのドラーマーEmil Brandqvistの美しいリーダー・トリオ・アルバム「Seascape」(SKP92182 / 2015)から。(下中央)
  M12."Sometimes It Snows In April " リアルそのものの録音の一曲。ピアノの高音のきらめきが凄い。トリオ三者が手に取るように聴ける。ちょっと古い19年前のアルバム「UNDIMINISHED」(ZZCD9817 / 2000)から、たまたま私はこれを持ってました。(下右)

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 この企画は好んで聴いてから既に12年と言うことですね。アルバムというのはトータルとして聴き感じ取る私にとっては、コンピ・アルバムは一曲一曲聴くというもので、若干抵抗がないわけではないが、未聴のモノもあり新しい発見もあって例年楽しませて頂いているところである。

(評価)
□ 選曲 ★★★★☆ (少々古いモノが多くなってきて、評価は落ちた)
□ 録音 ★★★★★☆ (全てそれなりに好録音)

(試聴)

Kaisa Kulmala Trio

 

David Gordon Trio

 

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2019年11月24日 (日)

サン・ビービ-・トリオ Søren Bebe Trio 「ECHOES」

北欧のリリシズムを地で行くトリオの今年のニュー・アルバム

<Jazz>

Søren Bebe Trio 「ECHOES」
FROM OUT HERE MUSIC / DENMARK / FOHMCD015 / 2019

Echoes

Søren Bebe (p)
Kasper Tagel (b)
Anders Mogensen (ds)

Recorded January 2019 by Thomas Vang at The Village Recording

 デンマーク在住の俊英ピアニスト、サン・ビービーSøren Bebe(いまだに発音がよく解りませんが、ソレン・ベベ ?、セーレン・ベベ ? )待望のピアノトリオ新作である。前作は『HOME』(2016)でここで取り上げたが、これは彼の6枚目となるリーダーアルバムとなる。
 もともと2012年に彼の2枚のトリオ・アルバム『FROM OUT HERE』(2010)、『A Song For You』(2012)に出会って以来、私の注目株になったのであるが、当時、今は亡きエスビョルン・スベンソンとともに北欧ミュージックの良さが十分伝わってくるピアノ・トリオ・ジャズとして気に入っていたんです。
  今回のメンバーは、前作『HOME』と同じで北欧ピアノ・トリオの味をしっかり聴かせてくれている。

Thd01ggnyr (Tracklist)

1 Echoes
2 Waltz for Steve
3 Winx
4 Homeward
5 Kærlighedstræet
6 Jeg er træt og går til ro
7 Alba
8 Alone
9 New Beginning
10 Sospiri, Op.70

Triomembers

  北欧のデンマークということで、トルド・グスタフセンや故エスビョルン・スヴェンソンと比較されるところだが、静謐で美しい旋律と静かな世界が描かれるサン・ビービーのピアノ演奏を中心としたトリオ演奏がこのアルバムでもしっかり聴くことが出来る。
 曲はピアニスト・リーダーのサン・ビービーが5曲、ベースのカスパー・ターゲルが1曲、三人で1曲、そしてトラッドが1曲、そしてカヴァー曲2曲という構成で、基本的にはオリジナル曲集言ってもよいもの。
 北ヨーロッパ特有のやや暗めで、又牧歌的なところも感じられる美しいメロディーの音色が相変わらず彼らの特徴として迫ってくる。一方そんな中で、三人作の曲で恐らく即興込みと思われるNo.9 "New Beginning" が、若干このアルバムの中では異色で、それぞれ三者の役回りがうまく連携してメロディー中心で無く静かに交錯してゆく音の世界が面白い。

 相変わらずの「静」と「美」と「哀愁」との北欧世界が満ち満ちているアルバムで、何かほっとしたり、うっとりしたりと言う気分でトータル45分があっというまに過ぎてしまったアルバムであった。いずれにしても北欧の味がしっかり詰まっていて私にとっては高評価盤。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音    ★★★★★☆

(視聴)

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2019年11月19日 (火)

ヨエル・リュサリデスJoel Lyssaridesのピアノ・トリオ作品「A Better Place」

スウェーデンの若きピアニストの文学性を感ずる美旋律ピアノ・トリオ作品

 

<Jazz>

Joel Lyssarides「A Better Place」
PROPHONE / SWEDEN / PCD200 / 2019

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Joel Lyssarides (piano)
Niklas Fernqvist (bass except 07)
Rasmus Svensson Blixt (drums except 07)

 1992年スウェーデン・ストックホルム出身という若いピアニスト、ヨエル・リュサリデスJoel Lyssarides のピアノトリオ第2弾新作。前作はこのメンバーでのトリオ作品『DREAMER』で、2017年にリリースされ好評であったもの。とにかくバッハ、ラフマニノフというクラシック畑から、現代ジャズのエスビョルン・スベンソン、そしてピアノ・ジャズの大御所ビル・エヴァンス、キース・ジャレット等にインスピレーションを得て、彼が自ら書いたオリジナル曲集である。

Joellyssarides1 (Tracklist)

1 Vilse
2 Circling
3 Walking Tune
4 Still
5 Eon
6 Wu Tau-Tzu
7 Fado
8 Denial
9 Meditation
10 Free at Last
11 A Betetr Place

   M1."Vilse" 短い曲だが、ピアノが静かに美しく流れて、この思索的世界がいいですね。
 M2."Circling" 懐かしさが沸いてくるような思い出にふけることの出来る美しい曲。
 M3."Walking Tune" M1,M2と違って弾むような展開の曲。しかしどこかクラシック調の展開。
 M4."Still" これはまさにクラシック的な美しさのあるピアノ曲
 こんな流れが続き、M5."Eon",M6."Wu Tau-Tzu" はトリオ自身が楽しむような展開でタイナミックな面もみせて、少々スパイスを効かしている。
 M7."Fado", M8."Denial" は、ピアノが奏でる優しく美しいメロディーの流れにより優雅な世界に浸れる。
 M9."Meditation" この曲もどこか哀感のある懐かしさをさそう。中盤にベースが低音で歌い上げトリオの味が感じられるところ。
 M10." Free at Last" 中盤のピアノとベースのユニゾンが聴きどころ。
 M11."A Betetr Place" 最後はアルバム・タイトルとなる明るい曲でしめくくる。

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 なんと言っても美旋律が流れ詩情豊かな文学性を感ずる世界を展開しているところが特徴。このようなタイプは所謂現代ヨーロピアン抒情派ピアノ・トリオと言って良いのだろうと思う。これが北欧のリリシズムと言ったところなのだろう。
 とにかくリーダーのピアニストのヨエル・リュサリデスは、ストックホルムの南ラテン音楽高等学校やストックホルム音楽大学でジャズ・ピアノ並びにクラシック音楽を学び、ピアニスト&作編曲家として幅広く活躍中と言うことで、クラシック・ムードを醸し出す現代ピアノ・トリオ作品と言ったところだ。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆ 

(視聴)

 

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2019年11月14日 (木)

エミール・ヴィクリキー Emil Viklický Trio 「BALLARDS AND MORE」

完全にピアノ主導の東欧の香りあるジャズ・トリオ

<Jazz>

Emil Viklický Trio 「BALLARDS AND MORE」
ARTA / CZE / F15161 / 2013

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Emil Viklický / piano
František Uhlíř / double bass
Laco Tropp / drums

613hwfvqc1lw   チェコのもう大御所と言える70歳になるエミール・ヴィクリツキー Emil Viklickýのピアノによるトリオ・アルバムを取り上げる。近年は彼名義のトリオによるニュー・アルバムはなく、従ってこれは2008年の『TRIO'01』というアルバムからの4曲を収録し、新たな曲の追加による再編成した2013年の特別版アルバムである。
   しかしここにきて彼の新録ニュー・アルバムが出た。それはやはりチェコの大御所ベーシストのとのデュオ・アルバムで『MORAVIAN ROMANCE』(2019)(→)だ。久々のリリースでいずれ詳しく取り上げたい。

 とにかくバークリーに学び、昔の分裂前のチェコスロヴァキアでのアマチュア・ジャズ・フェスティバルの最優秀ソリスト賞をはじめ各種の賞を勝ち取り、クラシック畑での活躍もある。更に映画・舞台の音楽制作に携わったりというチェコ音楽界重要人物であり、是非アルバムを通して聴いておきたいという事でこれは入手したアルバムである。

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(Tracklist)

1. ALWAYS AND FOREVER / Pat Metheny 4:00
2. DEDICATED TO YOU / Sammy Cahn, Saul Chaplin, Hy Zaret 5:27
3. WHEN THE SUN COMES OUT / Harold Arlen, Ted Koehler 5:10
4. CORAL / Keith Jarrett 4:00
5. I FALL IN LOVE TOO EASILY / Jule Styne, Sammy Cahn 5:34
6. ASPEN LEAF / Emil Viklicky 8:18
7. BUHAINA, BUHAINA / Ray Brown 7:18
8. WINE, OH WINE / Emil Viklicky 13:34
9. SONG FOR JANE / Frantisek Uhlir 4:37

 なんと言っても、大戦後長年共産圏であったチェコスロヴァキアである。米国とは一線を画してきたわけであるが、ジャズの心はしっかり育んできており、しかしそんな環境から彼らの独特なジャズを作り上げてきたと言って良いようだ。なんといってもクラシカルな響きと東欧の香りが融合した一種独特のピアノ・トリオ作品と言って良い。昔共産圏時代にプラハに仕事で訪れたことがあったが、なんと若者は夜にはクラブに集まって、ピンク・フロイドのアルバム「THE WALL」からの"Another Brick in The Wall(p.1)"を歌い上げていてビックリしたが、彼らの心の中では欧州自由主義圏にかなり寄っていたことが解る。

Vddia  このアルバムもかなり洗練されたものに仕上がっている。タイトル通り新旧のバラードを、ヴィクリッキー(→)のピアノ主導でオリジナリティ溢れる演奏を展開している。キース・ジャレット、パット・メセニー、レイ・ブラウンらの往年の名曲を演じていることからもその対象の広さが感じられるところだ 。一方彼のオリジナル曲もしっかりと組み込んでの特別版として仕上がっているのだ。

 冒頭にパット・メセニーのM1."Allways and Forever"が登場するが、如何に東欧の雰囲気に塗り替えてしまうところは、さすがのベテランの演ずるところだ。
 彼のオリジナル曲としてM6."ASPEN LEAF" がいいですね。比較的硬質な音のピアノですが、どこか優しく哀愁帯びた響きが最高だ。
 又、寺島靖国はアルバム「For Jazz Ballad Fans Omly Vol.1」でM5."I FALL IN LOVE TOO EASILY"を取り上げている。たしかにこの曲でのピアノは美しく、そしてユッタリと詩的な心に訴える世界に、ベースとともに導かれる。

 戦後の苦難な中に、ジャズをめざして1977年にアメリカに渡って勉強したという心意気から始まっての人生をかけての音楽界に生きてきた男の味は、そう簡単には真似できない味が満ち満ちているのである。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆

(視聴)   "ASPEN LEAF" 

 

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2019年11月 9日 (土)

Keith Jarrett American Quartet 「Complete TOKYO 1974」

キース・ジャレット(アメリカン・カルテット)の初来日'74年東京公演の記録
壮絶なカルテット演奏・・・・これは間違いなく愛蔵盤

<Jazz>
Keith Jarrett American Quartet 「Complete TOKYO 1974」
KJ-146 / 2019

Live2

Keith Jarrett : P, ss, per
Dewey Redman : Ts, musette, per
Charlie Haden : B
Paul Motian : Ds, per

Keith_jarrett2  キース・ジャレット(右)話も、このところここでは疎遠になっていたが、この初来日の記念音源の登場で久しぶりに話題とする。なんと1974年東京公演の記録が好録音でブートではあるが登場したのである。当時私はキース・ジャレットにはそれなりに関心があったが、威勢の良いハービー・ハンコックのクロスオーバーというかジャズ・ファンクの『ヘッド・ハンターズ』などに圧倒されていたのだった。しかしそうはいってもキースのアルバムには愛着があり、ついに彼のライブに参戦できたのは10年後の1984年であった。そして次第にジャズ・ピアノとしては、私にとってナンバー1の存在となった経過から、この初来日には非常に興味がある。
 それも当時のアルバム『DEATH AND THE FLOWER 生と死の幻想』(1974年10月録音)には、プログレッシブ・ロックに夢中であった私の当時ジャズに求めた一面を十分に納得させたアルバムであった。これは今でも愛聴盤である。

 さてこのブート盤は、アルバム『生と死の幻想』録音半年前の1月12日東京郵便貯金ホールの公演モノだ。なにせ45年前と言うことになり、その音質には当然疑問の持たれるところだが、なんとこれはマスター音源からのステレオ録音版で・・・"ええ、ほんと!"と思わせるCD2枚組好録音盤である。まさにオフィシャル盤といっても恥ずかしくない。

 この初来日の日本公演は下のような記録になっている。9回のカルテット公演と1回のソロ公演だ。

Deweyredman2w 1月4日&5日、東京厚生年金ホール
1月6日、北海道厚生年金ホール
1月8日、名古屋市民会館
1月10日、京都会館
1月11日、福岡電気会館
1月12日、郵便貯金ホール
1月13日、大阪サンケイホール
1月14日、東京厚生年金ホール
1月15日、東京厚生年金ホール(ソロ・パフォーマンス)

(Tracklist) 1974.1.12 東京郵便貯金ホール

Disc 1 (42m20s)
1.Etude N0.5
2.Death And The Flower
3.(If The)Misfites(Wear It)

Disc 2   (46m03s)
1.The Rich(and The Poor)
2.Everything That Lives Laments
3.Extension No.6

 収録内容は上のように、CD2枚に納められている。会場のアナウンス、メンバー紹介もしっかり収録されていて、キース・ジャレット・トリオ+レッドマン(ts 上)のカルテットで、この会場に当時いたファンにはたまらないアルバムであろうことは想像に難くない。是非とも手に入れておくべき代物だ。

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   CD1-M1."Etude N0.5" キースのソプラノサックスの奇声とも言える不思議な世界からスタート、早々にモチアン(上右)のドラムスが鳴り響く。これには会場は度肝を抜かれたと思う。
 CD1-M2."Death And The Flower" キースのマルチプレイヤーぶりを発揮したWoodFluteにパーカッションによる展開。続くヘイデン(上左)のベースとピアノの静寂の不思議な世界、そしてレッドマンのテナー・サックスと展開してゆく。確かにこれは後のアルバムにお目見えした"生と死の幻想"のテーマだ。後半のカルテットによるスリリングな展開は凄い。そして再びキースのピアノは思索的世界に、そしてベースの描く世界にも吸い込まれる。やはりこの日のライブものでは、私の注目はこの曲にいってしまう。
 そしてCD1-M3."Misfites"のカルテットによる壮絶な即興演奏の嵐に驚愕するのである。
 CD1のこれら3曲は、合間の無い40数分の連続演奏。このキースの演奏には、今となってはアルバム『生と死の幻想』を愛聴している私には何も不思議な世界では無いが、当時の会場のファンはM3を含めて驚き聴き入ったに相違ない。

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  CD2もなかなか面白い。CD2-M1."The Rich(and The Poor)"のクラシック調のピアノ・タッチ、テナー・サックスとピアノのユニゾン、ブルース調の変調と面白い。そして消えるようなピアノとベースの響きで終わる。
 CD2-M2."Everything That Lives Laments" 静かなピアノ、テナー・サックスの歌い上げでスタート、ベースが引き続いてほぼソロで静かに語ってゆく、そしてその後次第にピアノの流麗な流れる演奏が主たる曲構成の役に移ってゆく。そしてドラムスの台頭、最後は四人の合流とこのあたりの息が合った世界はお見事である。
  このCD2も3曲は40数分連続で演奏される。

 しかしブートでも、このような録音盤が出てくるのは珍しい。キース・ジャレットものは色々とあるが、これは久々のブート界のヒットだ。

(評価)
曲・演奏 :  ★★★★★
録音   :  ★★★★☆

(視聴)  この日の映像モノは見当たらない。参考までにアメリカン・カルテットものを


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2019年11月 4日 (月)

Fred Hersch Trio 「Nice Jazz Festival 2019」

今年の夏のフレッド・ハーシュのエネルギッシュなプレイ

<Jazz>

Fred Hersch Trio 「Nice Jazz Festival 2019」
JKAZTIME 165 / 2019

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Stereo Soundbaord Recording
Live at Nice Jazz Festival, Nice, France, July 16th 2019

Fred Hersch - piano
John Hébert - bass
Erin McPherson - drums 

 今年2019年7月16日のフレッド・ハーシュ・トリオのヨーロッパ最大のジャズ・フェスティバルの一つ「フランス・ニース・ジャズ・フェスティバル」出演時のライブ・パフォーマンスをステレオ・サウンドボード音源で収録したもの。
 評価あるレギュラー・メンバーのジョン・エイバート、エリック・マクファーソンとのピアノ・トリオによる素晴らしい演奏を披露。フレッド・ハーシュの最新ライブの模様をブートとはいえ、それなりに十分聴くに堪える音質で聴くことが出来る。

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(Trachlist)

1. Plain Song / Havanna (10:59)
2. Dream Of Monk (05:38)
3. Floating / Lonely Woman / Nardis (18:50)
4. Newk's Calypso (04:55)
5. This Is Always / A Cockeyed Optimist (16:18)
6. Round midnight / Unknown Title (08:31)
7. Sarabande (04:01)

Fredherschsolow  このところのフレッド・ハーシュはかなりエネルギッシュに活躍していますね。これはこの7月のフランスでのジャズ・フェスの一翼を担ってのパフォーマンスの記録であるが、M1."Plain Sobg" 気持ちの整えられる落ち着いた物思いにふけられるピアノ・ムードでスタート。
 そしてM2."Dream Of Monk"でのエイバートのベースの活躍をみても単なるハーシュのワンマン・トリオでなくメンバーそれぞれの味を生かしてのトリオでこの三者の信頼感による結束がよく解る演奏だ。
 しかしハーシュらしいM3."Floating/Lonely Woman/Nardis"にみる美しいと同時に思索的世界へのピアノ演奏もしっかり演じていて、その後マクファーソンのドラムス・ソロそしてベース・ソロもいい塩案配に展開し、この日の演奏も極めてバランスの良いライブ演奏を展開している。三曲の途切れない演奏で、"Nardis"ではインプロも交えての展開も見事で、ライブ演奏の中盤に18分以上集中させるところはにくい展開だ。
 M4."Newk's Calypso"はリズムカルに楽しさ満ちあふれた演奏。
 M5."This Is Always / A Cockeyed Optimist " 再びハーシュの描く流麗なピアノによって流れる世界を楽しめる。
 M6."Round midnight / Unknown Title" このような溌剌としたエネルギッシュな演奏はやはり彼の完全復活の姿なのだろう、ドラムスとベースも弾んで、会場を巻き込んでの三者の気持ちの良いトリオ演奏を展開。最後のM7."Sarabande"は、ハーシュらしい優しいメロディーの流れる落ち着いた世界で幕を閉じる。

 こうしてブートにても、ある程度の音質はしっかり確保してライブ演奏を完全に聴けるというのは、まあ結構なことと思いつつこのアルバムを聴いているのである。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆☆ 

(参考視聴) この日の映像はありませんので・・・・参考までに

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2019年10月23日 (水)

72年の キング・クリムゾンKing Crimson 「Live in Newcatle」

72年の驚異の好演奏と好録音・・これは決定盤
ミューアのパーカッションが・・これぞクリムゾン

<Progressive Rock>

King Crimson 「Live in Newcatle」 
Panegyric / EU / CLUB48 / 2019

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Robert Fripp(g, mellotron)、John Wetton(b, vo)、David Cross(violin, mellotron)、Bill Bruford(ds)、Jamie Muir(per, allsorts)

71afcupmupl_acw  ここに来て、またしてもフリップ魔術でキング・クリムゾン病が発症している。近年のライブ総集編『KING CRIMSON AUDIO DIARY 2014-2018』(KCXP5007/2019)(→)がリリースされ、これは5枚組アルバムであって連日聴いているのだが、これをレポートする前に、まずは片付けておかねばならないアルバムがある。それはこの『Live in Newcastle』だ・・・今年リリースされたライヴ音源発掘シリーズ「The King Crimson Collectors’ Club」の第48弾。1973年のアルバム『Larks' Tongues In Aspic 太陽と戦慄』 発売前の1972年秋から冬にかけてのUKツアーより12月8日のニューカッスル公演を収録したもの。なんと言っても私がファンであったジェイミー・ミューア在籍時の音源で、涙もの。

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(Tracklist)
1. Larks’ Tongues in Aspic Part One 10:47
2. RF Announcement 1:09
3. Book of Saturday (Daily Games) 2:49
4. Improv I 14:49
5. Exiles 6:20
6. Easy Money 9:33
7. Improv II 17:28
8. The Talking Drum 5:49
9. Larks’ Tongues in Apsic Part Two (incomplete) 3:47

Smalljamie_muir  アルバム『Larks' Tongues In Aspic太陽と戦慄』の全曲収録。しかもその間にインプロが挟まれるという構成。それぞれの曲のスタイルはほぼ完成しいるが、なんと言ってもライヴであるだけに、それぞれのメンバーの試行錯誤と思い入れが入っていて、正直言ってアルバムよりインパクトがある。又不思議なことに何十年と彼らのライブ音源を追ってきたのであるが、当時のものがこのモノラルではあってもこの良音質で聴けるのは奇跡に近い。演奏も悪くない、とくにフリップのギターフレーズを振るっているし、なんと言ってもミューア(→)のパーカッションが十分堪能出来る。

 M1."Larks’ Tongues in Aspic Part One" 伝説的な映像版でも見てきたとおりのミューアはホイッスルを駆使してのパーカッション・プレイが重要で、クロスのウァイオリンもスリリングに、そしてフリップのギターもロックを超越していて・・・当時両者ここまでプログレッシブであったことに改めて脱帽。
 M3."Book of Saturday " はウェットンのヴォーカルが懐かしさを呼び起こす。当時のクリムゾンのスリルと荒々しさとこのロマンティックな歌の交錯による世界は類を見ないモノだった。
 M4."Improv I" これと M7."Improv II" がこのアルバムでは核である。これぞクリムゾンと唸らせる。彼らのインプロヴィゼーションの結晶。15分と17分のブラッフォードのドラムスとミューアのパーカッションが最も生き生きとする世界だ。なんとミューアのソロ・パートもあってアルバムでは聴けないライブものの最も楽しめるところ。今のクリムゾンにはこのミューアのパーカッションが無いのが物足りない一つだ。フリップのキターがどこか哀愁がある。
Robert_frippw  M5."Exiles" クロスのヴァイオリンとフリップ(→)のメロトロンの叙情性がクリムゾンのもう一つの私が愛した面である。
 M6."Easy Money" いつもどうりの盛り上がりを作るが、後半のインプロがいいですね、パーカッションがここでも有効。
 M8."The Talking Drum" ブラッフォードのドラムスは当然だが、クロスのヴァイオリンの盛り上がりも凄い。
   M9." Larks’ Tongues in Apsic Part Two (incomplete)" はおまけのように途中でストンと終わってしまうのが残念。

 こうして驚異の録音盤が時として現れるのはフリップの魔術なのか、何時も私なんかはそれにまんまとひっかかって興奮してしまう。こうして周期的にクリムゾン病が発症するのはなんと50年も続いているのである。
 それにつけても、ミューアをここで感じ取れたことは感動であったと同時に、このところの三人ドラムス・クリムゾンに現をぬかしていたわけだが、それにも増してこの50年近く前のがクリムゾンが如何に素晴らしかったかを再認識するのである。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★
□ 録音    ★★★★☆

(視聴)

 

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2019年10月19日 (土)

ロバータ・ガンバリーニRoberta Gambarini 「DEDICATIONS」

説得力十分のジャズ・ヴォーカルの自信作・・・三大女性ジャズ・ヴォーカリストに捧げる

<Jazz>

Roberta Gambarini 「DEDICATIONS」
55 Records / JPN / FNC J-5566 / 2019

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Roberta Gambarini ロバータ・ガンバリーニ (vocal)
Jeb Patton ジェブ・パットン (piano)

2019年1月14日ニュージャージー州サウスオレンジSouth OrangeのAlley Cat Productions録音

 イタリア・トリノ出身で米国にてジャズを学び活躍しているロバータ・ガンバリーニ(1972年生れ)のアルバム。彼女に関しては10年前にアルバム「EASY TO LOVE」(IOR 77084)で話題になったことは何となく覚えているが、その後特に歩みを追ってこなかったが、我が友人よりこのアルバムを教えられて、なんとなく興味を持って聴いたというところだ。
 まず注目点はピアノとのデュオで歌い上げるところだ。これはなかなかヴォーカルに自信がないと出来ない技、そして第二の注目点は、歴代女性ジャズ・ヴォーカリストのエラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレエの三人に捧げられた一編であることだ。これもヴォーカルに自信のある現れであるとみれる。

 

Rg1 (Tracklist)

1. Lady Be Good / How High The Moon
2. As Time Goes By
3. Willow Weep For Me
4. Blame It On My Youth
5. Two For The Road
6. Lullaby Of Birdland
7. It Don't Mean A Thing
8. Misty
9. I Can't Give You Anything But Love

 なかなかじっくり歌い込むタイプですね。そしてドラマチックな歌唱というのは当たっていると思う、それは結構艶のある歌声で低音から高音までしっかり発音してのヴォーカルは評価に値する。ボストンのニューイングランド音楽院で学んでのアメリカ・デビューを果たしたというだけに実力派だ。ムーディーに歌うジャズ・ヴォーカルと違ってなかなか迫力すら感ずるところはアメリカン・ジャズ世界でどのように迎えられるいるのか、ちょっとその点は不明だが、こうして順調にアルバムをリリースしているところは見事である。とにかくM2."As Time Goes By"ではドスの効いたという表現にあたる歌い舞わしもみられるのだ。
 パットンのピアノはジャズ・ピアノそのもので、ムード作りに貢献しているが、とにかく彼女の迫力ある歌声が響きわたって、バランスからみてこのコンビでよかったのかと私は若干思ってしまうが、それが又いいという評価もあるのだろうと想像しているのである。
 そしてやっぱり聴き慣れているM3."Willow Weep For Me"そしてM4."Blame It On My Youth"と流れていって解るのだが、従来のジャズ・ヴォーカルと一線を画していて、柔軟・弾性・張り・躍動・情感と人一倍優れていて、希有に感ずるところもあるヴォーカルだ。
 聴き慣れたと言えうか、私の好きな曲M8."Misty"では、やはり彼女の人並み外れた歌唱力に感心してしまうのだ。

 まあ、後は好みと言うことになるが、近年の女性ジャズ・ヴォーカルのパターンとは違って説得力十分で、むしろそれが好き嫌いの別れるところにあるかと思うが・・・・。私の場合は時にはこのタイプも面白いと聴いた。

(評価)
□ 選曲・歌 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆

(参考視聴)

 

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