[記録に残したいアルバム] ジョルジュ・パッチンスキーGeorges Paczynski Trio 「LES VOIX DU SILENCE 静寂の声」
(今日の一枚) 我が家に咲く花 三つ葉ツツジ
Sony α7RⅣ, FE4/24-105 G OSS
品格すら感じさせる静寂の奥深さの世界
オーディオ・ファンも注目の音質と音場
<Jazz>
Georges Paczynski Trio 「LES VOIX DU SILENCE 静寂の声」
Art & Spectals / Import / ASCD 191101 / 2019
Georges Paczynski (drums,piano #13)
Ètienne Guéreau(piano)
Marc Buronfosse (bass)
Recorded on June 7th, 2019
All compositions by Georges Paczynski
昨年末リリースのジョルジュ・パッチンスキー・トリオ、2 年半ぶりの新作。過去5作は私にとっては貴重なアルバムとして存在している。そして既にここで何度か取り上げてきている(カテゴリー: ジョルジュ・パッチンスキー)。
『8 years old』(ATEIER SAWANO 005/2000)
『GENERATIONS』 (ASCD060401/2006)
『LE CARNET INACHEVE』 (ASCD130701/2013)
『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』(ASCD140901/2015)
『LE VOYAGEUR BANS BAGEGE』 (ASCD161101/2017)
そして、リーダーのパッチンスキーは、“この作品でラスト”と語る注目アルバム。アルバム・ジャケも上のように、なんと日本語の「静寂の声」という文字がアートとなっているところも注目したい。
既に「ジャズ批評」誌による"2019年ジャズ・オーディオ・ディスク大賞"を獲得している。この大賞はかなり音質、つまり録音技術にもウェイトが高いので、と言うことは、以前からのヴァンサン・ブルレVincent Bruleyの相変わらずの録音、ミックスの技術も評価の対象だ。
このドラマーであるジョルジュ・パッチンスー率いるトリオだが、ちょっと気になるのは、今回はベースは変わらずのMarc Buronfosseだが、ピアノがStephane TsapisからÈtienne Guéreau(下右)に変わっている。
(Tracklist)
1. Le Chemin (6:07)
2. L'ombre (5:14)
3. L'attente (5:24)
4. L'inquietude (1:34)
5. L'apaisement (1:49)
6. Le Regard (4:25)
7. Le Sourire (2:41)
8. Le Geste (5:09)
9. Le Toucher (3:46)
10. L'eclair (6:07)
11. L'ineffable (2:04)
12. Le Silence (5:42)
13. Madame d… (4:00)
14. L'eternite (3:07)
今回も前作同様、長曲は無く比較的短曲がパッチンスキーのオリジナル曲14曲で埋め尽くされている。ピアニストの変更は大きな印象に無く、むしろそのピアノの美しさは粒立ちの良い音と繊細さに流れやや陰影すら感ずるところにあって素晴らしい。
冒頭M1." Le Chemin"M2."L'ombre" から、品格のあるそして美しさのピアノの音、繊細にしてスティックによって演じられるシンバルが適度の音量で響き非常に気持ちが良い空間の世界を展開する。
フランス人の洒落た世界が感じられる独特なセンスある思索的演奏が続くが、M8."Le Geste"では見事なスウィンギーに展開し、M9." Le Toucher "になると静かに落ち着いた中にピアノの調べが訴えてくる。
M10."L'eclair "では、終盤にドラムスによる盛り上がりが見事である。
M12."Le Silence"の静の世界ではパッチンスキーのブラッシ奏法、繊細なスネアの響きと聴くに事欠かない。
ユーロ・ジャズの陰影と哲学的センスにビル・エヴァンスの美しさとテンション感の高さが融合した感のあるパッチンスキーがリーダーとなるピアノ・トリオの一連の世界観はなかなか味な世界である。
そしてそこにヴァンサン・ブルレの録音・ミックス技術が奏功して名盤を作り上げた。これが最後の作品とパッチンスキーは表明しているが、本当とすると寂しい事だ。
(評価)
◇ 曲・演奏 ★★★★★☆ 90/100
◇ 録音 ★★★★★☆ 95/100
(視聴)
最近のコメント