ジョルジュ・パッチンスキー

2020年5月 6日 (水)

[記録に残したいアルバム] ジョルジュ・パッチンスキーGeorges Paczynski Trio 「LES VOIX DU SILENCE 静寂の声」

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(今日の一枚)  我が家に咲く花 三つ葉ツツジ
        Sony α7RⅣ, FE4/24-105 G OSS

 

品格すら感じさせる静寂の奥深さの世界
オーディオ・ファンも注目の音質と音場

<Jazz>

Georges Paczynski Trio 「LES VOIX DU SILENCE 静寂の声」
Art & Spectals / Import / ASCD 191101 / 2019

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Georges Paczynski (drums,piano #13)
Ètienne Guéreau(piano)
Marc Buronfosse (bass)

Recorded on June 7th, 2019
All compositions by Georges Paczynski

Georgesphoto  昨年末リリースのジョルジュ・パッチンスキー・トリオ、2 年半ぶりの新作。過去5作は私にとっては貴重なアルバムとして存在している。そして既にここで何度か取り上げてきている(カテゴリー: ジョルジュ・パッチンスキー)。

『8 years old』(ATEIER SAWANO 005/2000)
『GENERATIONS』 (ASCD060401/2006)
『LE CARNET INACHEVE』 (ASCD130701/2013)
『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』(ASCD140901/2015)
『LE VOYAGEUR BANS BAGEGE』 (ASCD161101/2017)

 そして、リーダーのパッチンスキーは、“この作品でラスト”と語る注目アルバム。アルバム・ジャケも上のように、なんと日本語の「静寂の声」という文字がアートとなっているところも注目したい。
 既に「ジャズ批評」誌による"2019年ジャズ・オーディオ・ディスク大賞"を獲得している。この大賞はかなり音質、つまり録音技術にもウェイトが高いので、と言うことは、以前からのヴァンサン・ブルレVincent Bruleyの相変わらずの録音、ミックスの技術も評価の対象だ。

 このドラマーであるジョルジュ・パッチンスー率いるトリオだが、ちょっと気になるのは、今回はベースは変わらずのMarc Buronfosseだが、ピアノがStephane TsapisからÈtienne Guéreau(下右)に変わっている。

(Tracklist)

1. Le Chemin (6:07)
2. L'ombre (5:14)
3. L'attente (5:24)
4. L'inquietude (1:34)
5. L'apaisement (1:49)
6. Le Regard (4:25)
7. Le Sourire (2:41)
8. Le Geste (5:09)
9. Le Toucher (3:46)
10. L'eclair (6:07)
11. L'ineffable (2:04)
12. Le Silence (5:42)
13. Madame d… (4:00)
14. L'eternite (3:07)

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 今回も前作同様、長曲は無く比較的短曲がパッチンスキーのオリジナル曲14曲で埋め尽くされている。ピアニストの変更は大きな印象に無く、むしろそのピアノの美しさは粒立ちの良い音と繊細さに流れやや陰影すら感ずるところにあって素晴らしい。
 冒頭M1." Le Chemin"M2."L'ombre" から、品格のあるそして美しさのピアノの音、繊細にしてスティックによって演じられるシンバルが適度の音量で響き非常に気持ちが良い空間の世界を展開する。
 Paczynski3tyrw_20200504134801 フランス人の洒落た世界が感じられる独特なセンスある思索的演奏が続くが、M8."Le Geste"では見事なスウィンギーに展開し、M9." Le Toucher "になると静かに落ち着いた中にピアノの調べが訴えてくる。
 M10."L'eclair "では、終盤にドラムスによる盛り上がりが見事である。
 M12."Le Silence"の静の世界ではパッチンスキーのブラッシ奏法、繊細なスネアの響きと聴くに事欠かない。

  ユーロ・ジャズの陰影と哲学的センスにビル・エヴァンスの美しさとテンション感の高さが融合した感のあるパッチンスキーがリーダーとなるピアノ・トリオの一連の世界観はなかなか味な世界である。
 そしてそこにヴァンサン・ブルレの録音・ミックス技術が奏功して名盤を作り上げた。これが最後の作品とパッチンスキーは表明しているが、本当とすると寂しい事だ。

(評価)
◇ 曲・演奏 ★★★★★☆   90/100
◇ 録音   ★★★★★☆       95/100

(視聴)

 

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2017年8月11日 (金)

ジョルジュ・パッチンスキー・トリオGeorges Paczynski Trio ニュー・アルバム「LE VOYAGEUR SANS BAGAGE~荷物なしの旅」

静の思索的美と動のスリリングさ・・・好録音も聴きどころ

<Jazz>
Georges Paczynski Trio 「LE VOYAGEUR SANS BAGAGE」
Arts & Spectacles / FRA / ASCD 161101 / 2017

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Georges Paczynski (ds, p 15)
Stéphane Tsapis (p)
Marc Buronfosse (b)

Recorded mixed and mastered by Vincent Bruley
Studio Piccolo Paris
All compositions by Georges Paczynski

 とにかく好録音(エンジニアはヴァンサン・ブルレVincent Bruley)は知られたところのドラマー=パッチンスキーGeorges Paczynski のピアノ・トリオ・アルバムの最新盤。
  このジョルジュ・パッチンスキー・トリオは2013年の『LE CARNET INACHEVÉ』以来お気に入りなんですが、今作も、勿論彼のオリジナル曲で埋められており、その哲学的世界は我々を唸らせたピアノ・トリオ作品の前作『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』Art & Spectacles / ASCD140901)からの流れの中にある。そして期待度100%で迎い入れるのである。今回も当然同メンバーでのアルバムだ。

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 どうもテーマは一人駅に立つ旅人を神秘的に描いての全16曲と言うことらしい。、1-2分という短い曲から、長くとも5分という曲により構成されている。そこは前作も同じでこれもパッチンスキーの意志とみて良さそうだ。

(Tracklist)
1. La vieille valise (4:43)
2. Le réveil démonté (3:13)
3. La cymbale Fatiguée (2:34)
4. La baguette déformée (5:02)
5. La partition déchirée (4:27)
6. Le pupitre rouillé (3:56)
7. Le disque sans titre (3:02)
8. Le livre sans auteur (2:38)
9. Le miroir lézardé (2:56)
10. La statuette d'un sage (2:50)
11. Sur le quai désert (2:20)
12. En marche arrière (3:56)
13. Le violoncelle de lady L (1:59)
14. Les rails enchevêtrés (1:04)
15. Deux vers d'un poètes (4:07)
16. L'ascension sans fin (2:16)

 しかしヴァンサン・ブルレの録音は素晴らしい。ドラマーのリーダー作と言うことだけではないだろうが、パッチンスキーのシンバル音の素晴らしさは出色だ。しかしピアノ・トリオとしての曲作りは決して崩れていない。Stéphane Tsapis のピアノの旋律は、ピアノ・トリオとしての重要なポジションにあって、思索的な世界に導くのだ。

 今回もどことなく陰があり、しかも美しい。前作の”ある冬の夜に見た夢”という世界同様に思索的な感覚にも陥るし、”旅人の孤独感と期待感との交錯”を描いているようにも思う。パッチンスキーの年齢とは考えられないロマンが存在している。

11g_paczynskipresencesw  M1. ”La vieille valise” スタートのピアノの音にゾクっとする。ピアノからベースに、そしてシンバルの音と思索の世界が始まる。
 M3.”La cymbale Fatiguée” ピアノによるメリハリをシンバルの音が繋いでゆく
 M4..” La baguette déformée” この曲の5分が、このアルバムでは最も長い曲。深夜の落ち着きを描いているが如く流れる。ピアノの繊細さが堪らない。4分あたりでシンバルが響く抑揚が見事で、単調さを感じさせない。
 M5.. ”La partition déchirée”ジャズのスウィング感の心地よさも忘れていない曲。
 M10. ”La statuette d'un sage” 、M12. ”En marche arrière”15. Deux vers d'un poètes  にみる Stéphane Tsapis の緩急のメリハリ、澄んだ音の旋律の美のピアノ・プレイにも注目だ。このアルバムの価値観を高める見事な役を果たしている。
 M14. Les rails enchevêtrés では、トリオ・プレイで見事な前衛性を披露。

 「静の思索的美」と「動のスリリングなところ」を見事に操るプレイに圧倒される。それはリーダーがドラマーであることによるのか、はたまた彼らの目指すところがそこにあるのか、前作に続いて聴き惚れるアルバムであった。

(参考視聴)  (現トリオものが見当たらないので・・・参考まで)

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2015年7月20日 (月)

ジョルジュ・パッチンスキーGEORGES PACZYNSKIの原点アルバム「8 years Old」

ユーロ・ピアノ・トリオのセンスがみなぎるライブ盤

<Jazz>

           Paczynski Levinson  Jenny-clark 「8 years old」
            Atelier Sawano / JPN / ATELIER SAWANO 005 / 2000

8yearsold

          GEORGES PACZYNSKI(ds)
          JEAN-CHRISTOPH LEVINSSON(p)
          JEAN-FRANÇOIS JENNY-CLARKE(b)

8yearsoldgp もう70歳は超えているフランスのドラマーであるジョルジュ・パッチンスキーGEORGES PACZYNSKI(1943~)のピアノ・トリオ作品が、今年もリリースされて(『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』)、その出来の素晴らしさに感動しているわけである。(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/georges-paczyns.html

 こうなると彼の原点アルバムも聴いてみたいと言うところでAtelier Sawano から2000年に日本向けにリリースされたこのアルバムを手に入れてみたところだ。これはもともとはあまり知られないマイナー・レーベルから1991年にリリースされていたもので、”幻の名作品”として日本ではその筋では話題になっていたものを、Atelier Sawano が再リリースしてくれたものだ。メンバーはベテラン・ミュージシャンでの構成で、一種の風格の感ずる仕上げの作品。

 Tracklist
   1. The drive (9'36  oliver nelson)
   2. re; person i knew  (8'25   bill evans)
   3. qal     (9'59   Jean-christophe levinson)
   4. au-dela   (12'30  Jean-christophe levinson)
   5. ballarde   (21'11  Jean-christophe levinson)

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 おそらくこのトリオでは、ベーシストのジェニー-クラークJEAN-FRANÇOIS JENNY-CLARKE(1944-1998)あたりが日本でも知られていたのだろうかと言うところだと思う。
 パリのライブ・ハウス「モンパルナス」でのライブ盤(october 14th. 1991 )であるが、それぞれの曲は長めで、短いもので8'25(2曲目)で、長いのは21'11に及ぶ(5曲目)。オリジナル曲は3.4.5.の3曲で、ピアニストのレヴィンソンの曲。

 1曲目”The drive”は、ビル・エバンスとの関係も深いOliver Nelsonの曲、このあたりもこのトリオが目指す方向が見えると言っていいのだろう。レヴィンソンのピアノが叙情的で美しい。そしてジェニー・クラークのベースがリズム隊と言うよりは歌うが如くメロディーを奏でている。
 4曲目”au-dela”、ここでもピアノとベースの絡みもハイレベルで、更にパッチンスキーのドラムスが加わって、トリオのインタープレイを満足出来る。
 5曲目”ballade”は21分を超える長い曲だが、中盤でジョルジュ・パッチンスキーのドラム・ソロが登場。それもブラッシ・ワークを静かにたっぷりとってから、シンバル、ハイハット、ドラムのオンパレードでこの曲を終える。
 全体的には、ユーロ系のちょっと品格ある叙情的世界というところの作品だ。

(参考視聴) この1991年当時の映像モノは無いので、その後のGEORGES PACZYNSKI TRIO を参考に!

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2015年7月 7日 (火)

ジョルジュ・パッチンスキー・トリオGeorges Paczynski Trio:「LE BUT, C'EST LE CHEMIN」

ドラマーの叙情的なピアノ・トリオ作品

<Jazz>

  GEORGES PACZYNSKI TRIO 「LE BUT, C'EST LE CHEMIN」
   Art & Spectacles / Eu / ASCD 140901 / 2015
 Recorded and mixed by Vincent Bruley on Sept.16-17,2014

Le_but
        Georges  Paczynski (ds,p)
        Stéphane Tsapis (p)
        Marc Buronfosse (b)

Gp2c フランスのベテラン・ドラマー”ジョルジュ・パッチンスキー”のピアノ・トリオ・アルバム。これに至るには、前作2013年のアルバム『LE CARNET INACHEVÉ』と合わせて、我がオーディオ・マニアの友人のお勧めでここに至っています。
 とにかくマイナー・レーベルからのデビュー・アルバム『8 Years Old』(1992)以来10年以上を経て、今度はこのレーベル Art & Spectacles からの第一作の『GENERATIONS』(2006)が「ジャズ批評」誌ジャズ・オーディオ・ディスク大賞金賞を受賞し、日本でも注目ミュージシャンとして名乗りを上げた。本作で、同レーベルから4 作目のリリースである。(この間SAWANO KOHBOHからアルバム『LEVIN' SONG』(2007)のリリースもある)
(参考)
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-f340.html

Lebutlist 異色と言えば異色ですね、ドラマーの主導のピアノ・トリオ作品で、全15曲(左:クリック拡大)のうち14曲が彼のオリジナル作品(曲によってはパッチンスキーはドラマーでありながらピアノも演ずる)。そして前作から今作はピアノはVincent Bourgeyx からStéphane Tsapis に変わっているが、その彼のピアノも実に繊細にしてクリアな音を披露し、編曲にも貢献している。

 そして今作も詩的でかつ素晴らしい美的センスにあふれた作品に仕上がっている。
 そして私の注目点は、更に感動するところであるこの録音の出来の良さだ。録音およびエンジニアには、Vincent  Bruley(ヴァンサン・ブルレ)が担当。ピアノの音のクリアさは群を抜いており、ベースもしっかりと曲を支える。パッチンスキーの繊細なドラミング は文句なく絶品。ブラッシ・ワークは手に取るように聴き取れるし、特にシンバルの音は圧巻。ジャズ・オーディオ・ファンにはたまらないところだ。

 そして今作は当レーベル一号アルバム『GENERATIONS』よりも、曲は短いモノが多いが、更に叙情的で聴きやすい世界になっている。しかしこの『GENERATIONS』も、彼らの個性を築いていて見事なアルバムであるので取り上げておく。(↓)

                                *    *    *    *

<Jazz>

GEORGES PACZYNSKI TRIO 「GENERATIONS」
Art & Spectacles / Eu / ASCD 060401 / 2006
Mixed by VINCENT BRULEY
Recorded on Feb.23-28, 2006 at  Studio PICCOLO, Paris

Generations このアルバムは、前にも記したように「ジャズ批評」誌ジャズ・オーディオ・ディスク大賞金賞の名盤。
 ジョルジュ・ パッチンスキーが、この Art & Spectacles レーベルでのデビュー盤、初めて世間に公になった記念すべきアルバム。

 Georges  Paczynski (ds,p)
 Penaud Palisseaux (p)
 Laurent Fradelizi (b)


 さて、これは私にとってはリアル・タイムに聴いたモノでなく、最近作の2枚に触れて、その素晴らしさを感じて過去の作品に興味をもって手に入れたアルバムである。そしてこれを聴いてみて解ったことだが、やはり録音の質のレベルが高い。ピアノは勿論、ベースの響きも素晴らしく、そしてドラムスも生き生きとして音像の美しさが素晴らしい。
 そして寺島靖国の『For Jazz Audio Fans Only Vol.1』の第1曲目に選ばれ登場する。こんなことからもその録音の評価が窺えるのだ。


Generationslist_2 Tracklistは右のように9曲。ここではトリオとしての意識が高く、パッチンスキーのオリジナル曲は4曲で、3者によるもの1曲その他は他メンバー2曲づつという構成。
 なんと言ってもパッチンスキーの幻のデビュー作『8 YEARS OLD』が、SAWANO KOHBOHから2000年に再リリースされた時の彼らの演奏の紹介が”知的で叙情的なプレイ。耽美的旋律と野心的曲想が程よい緊張感を伴い、織なすジャズタペストリーの世界”と表現されているが、このアルバムもまさにその表現に値する快作。そして結構アヴァンギャルドにして実験的なアプローチも見え隠れして、単なる美的叙情派でないところが聴きどころ。そんな意味では最近作の『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』よりも面白いと言っても良い仕上げだ。
 なお6曲目ではドラム・ソロも堪能でき、ドラム、ブラッシ・ワーク、ハイハット、シンバルが快調な録音で聴き取れる。

(参考視聴)

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2014年5月18日 (日)

ジョルジュ・パッチンスキー・トリオGeorges Paczynski Trio 「LE CARNET INACHEVÉ」

耽美派系の繊細にてスマートな作品

<Jazz>

GEORGES PACZYNSKI TRIO 「LE CARNET INACHEVÉ」
Art & Spectacles   ASCD 130701,  2013

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Georges Paczynski (drums except 9)(p on 12)
Vincent Bourgeyx (piano except 12)
Marc Buronfosse (bass except 10,12)

1. Le Gardin De Phare
2. L'Apatride
3. La Derniere Valse De Madame De…
4. La Possede
5. Au Coeur Des Tenebres
6. La Violoncelliste
7. 10 Avril 2010
8. Struggle For Life
9. L'Etrange Machiniste
10. Tout Cela Avait Bien Un Sens…
11. Le Portrait De Laura
12. Le Carnet Inacheve
13. Immobile, En Son Detachement
14. L'Inscription Effacee
15. Mother Of Earl

Trio  フランスの70歳を越えたベテラン・ドラマーのジョルジュ・バッチンスキー(1943~)のこのレーベルでの3作目のピアノ・トリオ・アルバム。
 「ジャズ批評」誌にて好評であった2007年「Generations」 、2009年「Présence」の2作とは異なって、今作はピアニストにヴァンサン・ブルゲ(1972~)をフューチャーしての新トリオによる作品。ドラマーが主導のトリオであるだけに作品ごとにメンバーは変わっていても流れは確実に継承されているようだ。私は残念ながら前2作は聴いてないので是非とも聴いてみたいとこの作品を知って目下思っているところ。

 曲は短いものがずらっと15曲並ぶ。そして最後の” Mother Of Earl”以外はオリジナル。その点もバッチンスキーの意欲を窺い知れるところである。彼のこのアルバムにて主体的に聴かれる技法はブラッシ・ワーク、そしてシンバルであるが、その繊細にてスマートなところは非常に心地よい。ドラマーのアルバムということで、ドラム・ソロがかなり絡むのかと思いきやそうでなく、12曲目の” Le Carnet Inacheve ”のピアノ・ソロは、なんとバッチンスキーが奏でて思索的世界感を醸し出す。曲は比較的スローというかしっとりじっくりと聴かせるもので、即興的な部分も感じとれるがある意味では計算し尽くされたピアノ・トリオ・プレイを展開。しかし14曲目ではテンポの速い攻めのプレイも見せてくれる。ブルゲのピアノもクラシックの影響があるのかメロディーの美しさとそのタッチに品が感じられて好感が持てる。

 あくまでもスウィングするジャズというよりは、ECM的なやや暗めであり、思索と詩情との世界に誘ってくれる私好みのアルバムである。

(参考視聴)

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