デニース・ドナテッリ Denise Donatelli 「whistling in the dark...」
ベテランがここまで歌い込んでくると喝采である
<Jazz>
Denise Donatelli 「whistling in the dark...the music of burt bacharach」
SAVANT Records / USA / SCD 2196 / 2021
Denise Donatelli (vocals)
Larry Goldings (piano, keyboards & organ)
Thomas Dybdahl (prepared piano & synth- track 1)
Anthony Wilson (guitars)
Larry Klein (bass & additional keyboards)
Vinnie Colaiuta (drums)
Recorded at The Village Studios, West Los Angeles, CA
Additional recording at Strange Cargo, Los Angeles, CA
1950年生れのもうお婆ちゃん(? 失礼)と言ってよいベテランだが、期待に反せず取り敢えずはコンスタントに新作を発表しているジャズ・ヴォーカリスト・デニース・ドナテッリDenise Donatelliのニュー・アルバム。私の以前からマークしている女性ヴォーカリストだが、このジャケの若さ(?)には驚きである。
今回はなんと、ミュージシャン、ソングライター、レコードプロデューサー、そしてベース奏者でもあり、有名処のアルバム作りに名を馳せているラリー・クラインの全面プロデュース作品。曲はバート・バカラックのヒットナンバーを取上げている。
バックもいやはや多彩な顔ぶれ、Larry Kleinが自らベースを弾き、ギターのAnthony Wilson とか、ジェフ・ベックと一時頑張っていたドラムスのVinnie Colaiutaなどの顔ぶれも面白い。ピアノは実力派Larry Goldings で、彼はColautaとの共演歴がある。
デニースは数年前のグラミー賞の会場でラリー・クラインと会い、彼と意気投合、この新作プロジェクトがスタートした。プロジェクトの候補は多岐に亘ったが、ラリーがバカラック集のアイデアを考えた。
1. Whistling in the Dark 4:43
2. The Look of Love 4:20
3. In Between the Heartaches 5:18
4. Toledo 4:47
5. Anyone Who Had a Heart 4:24
6. Walk on By 4:19
7. In the Darkest Place 4:50
8. Mexican Divorce 4:37
9. A House is Not a Home 4:03
選曲は彼女が意欲的であったようだが、スローナンバー中心。相変わらずの彼女のヴォーカルは中低音部は充実、高音にかけてややハスキーで、刺激性のないかなかメロウで説得力のあるところだ。とても70歳とは思えない女性の魅力を発揮している。
M1."Whistling in the Dark" タイトルトラック、なかなか洒落た雰囲気でスタート。
M2."The Look of Love " 聴き慣れた曲をギターのハイセンスな世界をバックに、デニース節がスローにして見事な節回し。
M3."In Between the Heartaches" やや暗さを描くヴォーカル、情感がタップリ。
M4."Toledo "、M7."In the Darkest Place"は、バカラックとコステロのコラボ曲。このあたりはマニアックで渋いですね。
M6."Walk on By " リズムカルな展開で曲が生きている。
なかなか編曲が洒落た味付けで、曲の仕上げが奥深い。彼女のヴォーカルとともにバック陣のセンスもハイレベルで聴き応え十分なアルバム。もうポピュラー音楽遺産といえるバカラックの世界に、ただヒットを並べるのでなく一つの聴き方や見解を示したアルバムだ。
(評価)
□ 選曲・歌・演奏 85/100
□ 録音 85/100
(試聴)
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