ミシェル・ビスチェリア

2018年1月14日 (日)

寺島靖国選曲シリーズ「Jazz Bar 2017」 * ミケーレ・ディ・トロ Michele Di Toro Trio 

これで17巻目、今回もやはり・・・ピアノ・トリオが中心で
  注目:ミケーレ・ディ・トロ・トリオMichele Di Toro Trio

 

<Jazz>
Y.Terashima Presents 「Jazz Bar 2017」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1061 / 2017

 

2017jazzbar

(Tracklist)
1. Lilofee [Edgar Knecht]
2. Un Sogno d'estate [Lello Petrarca]
3. Se non avessi piu' te [Jesper Bodilsen]
4. On The Horizon [Jacob Christoffersen]
5. Kasztany [L.A. Trio]
6. Machismo Mouse [Darin Clendenin]
7. A Bruxa [Abe Rábade]
8. Pinocchio [Tingvall Trio]
9. Esperanza [Michel Bisceglia]
10. Purple Quarry [J.S. Trio]
11. Distances [Michele Di Toro]
12. My Love And I [Frank Harrison]
13. Paris 2002 [Stephan Becker]

 

 2001年から始まったこのシリーズ、もう17年ですね。当初寺島靖国はこのオムニバスはレコード会社の選曲したものとは違う、だから売れても売れなくてもいい、だから個人色は出す、とにかく好きなものをかき集める・・・とスタートしたもの。結果は売れたと言うことですね、17年も続いているんですから。
 さて、今回の2017年盤は、上のように13曲選曲収録されている。ここで私は何時も取りあげているTingvall Trio(M8. "Pinocchio" ) そしてMichel Bisceglia(m9. "Esperanza" ) は当然と思っているが、M1. "Lilofee" [Edgar Knecht] そしてM3. "Se non avessi piu' te" [Jesper Bodilsen] 、M5. "Kasztany" [L.A. Trio]もなかなか素晴らしい。

 そして今回私の注目は、Michele Di Toro Trio(M11. "Distances" )とFrank Harrison Trio(M12. "My Love And I" )だった。そこでまずミケーレ・ディ・トロMichele Di Toro Trioについてここで焦点を当ててみたい。↓↓

 

 ① Michele Di Toro Trio 「PLAY」
     abeat for JAZZ / Italy / ABJZ134 / 2014

 

Play

  「ジャズ批評2015 年3 月号」”ジャズオーディオ・ディスク大賞2014” の8 位に選ばれた注目盤であるが(この時のNo.1は、Alessandro Galati「Seals」だった)、ピアニストのミケーレ・ディ・トロの評判は聞いていながらも、実は彼のこのアルバムには手を付けてこなかったので、ここで敢えてよいチャンスと挑戦してみたわけである。

Michele Di Toro (p)
Yuri Goloubev (b)
Marco Zanoli (ds)
Recorded on January, 30th and 31th 2014 at Protosound Polyproject, Chieti, Italy

 

(Tracklist)
1.Lutetia *
2.Ninna Nanna *
3.Daunted Dance %
4.Corale *
5.Distances
6.Remembering Chopin *
7.Joni... %
8.Change Of Scene %
9.Touch Her Soft Lips And Part 
10.Chorale VIII - Ascension %
       
 (*印:Michele Di Tro  、 %印:Yuri Goloubev)

 このトリオ・メンバーからもその内容は押して知るべしと言うところ。1曲を除いてその他全曲彼らのオリジナル曲。このアルバムのリーダーであるミケーレ・ディ・トロは4曲。そしてなんとベースのユーリ・ゴロウベフYuri Goloubevは頼もしいことに4曲も提供していて、彼はロシアのクラシック・ベーシストで今やユーロ・ジャズには無くてはならないベーシスト(私の好みのロベルト・オルサー・トリオのベーシストだ)。
 過去にマーシャル・ソラール賞やフリードリッヒ・グルダ賞を受賞したという名ピアニスト、ミケーレ・ディ・トロとユーリ・ゴロウベフのピアノトリオとなればやはり注目。とにかく上品で流麗なタッチで耽美な世界が展開して感動もの。繊細なメロディを奏でて、それに見合ったテクニックを披露するリズム陣の黄金トリオのアルバムだ。
 このアルバムのM5."Distances"が、今回の『Jazz Bar2017』に取りあげられたのだった。

 

 

 

 ② Michele Di Toro 「PLAYING WITH MUSIC」
      MUSIC CENTER / IMP / BA 161 CD / 2017

 

Playingwm

  イタリア・ジャズ界でも、ナンバー1の美男子と言われるこのミケーレ・ディ・トロ。1974年生まれ。これは2003-2004年の彼の30歳を迎える時の録音もの。もともとクラシック・ピアノを身につけ、ショパンを愛し、あのエンリコ・ピエラヌンツィの流れにある。
 そしてこのアルバムは廃盤状態にあり”幻のイタリア・ジャズ・ピアノ盤”と言われ中古市場を賑わせていたもの。そして昨年再販盤がリリース。そんな訳で注目し、手に入れたのだが、ミケーレ・ディ・トロのピアノ・ソロ、デュオ、トリオ演奏で、ライブとスタジオ録音版。いかにもヨーロピアン・ジャズのピアニストと言った印象で、クラシックの影響も受けており、上品で流麗なタッチで耽美な世界が繰り広げられている。しかしここにみる彼のアレンジやインプロヴィゼーションは驚きの凄さで圧倒する。成る程名盤と言われるのも解る。聴いていてふと数歳年上のGiovanni Mirabassiが頭に浮かんだ。

DitorowMichele Di Toro (p)
Franco Cerri (g)
Marcello Sebastiani (b)
Marco (b)
Alberto Biondi (ds)
Tony Arco (ds)

(Tracklist)
1.  Sabrina *
2.  Sensual Thought *
3.  Honeysuckle Rose
4.  How Insensitive
5.  L'Importante E Finire
6.  My Funny Valentine
7.  In A Sentimental Mood
8.  Playing "A La Turque" *
9.  Farmer's Trust
10.  See You! *
11.  Marrakech * 
         (*印:Michele Di Toro)

 

 かって私は、プログレッシブ・ロツクの世界でイタリアのメロディアスな曲仕上げとロマンティズムは群を抜いていることに圧倒されたわけだが、これは長い歴史の中から国民的に培われて来たものであろうと思っている。そしてジャズ界においても全くその道はしっかりと息づいていて、彼の作品もその流れを十二分に演じきっている。

 

(視聴) Michele Di Toro Trio

 

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2016年4月 2日 (土)

ミシェル・ビスチェリアMichel Biscegliaの近作アルバム 「BLUE BIRD」

物思いに耽る究極の耽美的詩情の世界

  <Jazz>
       Michel Bisceglia「BLUE BIRD」
        Prova Records /  PR 1507-CD28 / 2015

Bluebird_2
Recorded on July 9th 2015 at Crescend Studio
Michel Bisceglia (piano)
Werner Lauscher (bass)
Marc Lehan (drums)

 今年新年の初聴きアルバムとして、イエローの『On a Sunny Day』か、ブルーの『BLUE BIRD』かと話題になったアルバムです。私はアレサンドロ・ガラティのイエローを新年のスタートの曲として取り上げたのですが、ミシェル・ビスチェリアのブルーもなかなかのモノでした。
 遅まきながら、そろそろほとぼりも醒めた頃なのでここでミシェル・ビスチェリアMichel Biscegliaの『BLUE BIRD』のほうも取り上げておくこととした。(彼に関しては↓を参照してください)

(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/michel-biscegli.html

Mb_trio
(Tracklist)
1. Blue Bird Prologue
2. Waiting For The Bird
3. The Wrong Bird
4. Dry Water
5. Call Of Death
6. The Last Drive
7. Parallel Dreams
8. Dance Of Hope
9. Nunc Dimittis
10. The Birth

Img_8333  さてこのアルバムだが、ベルギーの人気ピアニスト・ミシェル・ビスチェリア(1970年ベルギーのZwartberg生まれ、血筋はイタリア系と言う)の映画「青い鳥」(ガスト・ヴァン・デン・ベルジュ監督、2011年作品)というトーゴ共和国で撮影された作品をきっかけに作られたもの。彼はその映画音楽も担当している。その為”music for the film concert”とサブ・タイトルが付けられている。
 この映画は当然(と言っては語弊があるかも知れないが)観てないのでアルバムを聴きながら想像するところであるが、録音が2015年であり、映画に使われた曲を、ピアノ・トリオでアルバム用に演奏・録音されたのではないかと思っている。つまりサウンド・トラックものでは無いのだろう。

Img_8335 とにかく詩情豊かにして耽美的なピアノ・プレイを演じてくれるビスチュリアで彼の美しいメロディー・ラインを十分に堪能できる。
 M1.M2.の約10分、8分というやや長めの曲には、このアルバムを表現するピアノの思索的にして耽美的世界を描く。特に詩情的美しさのメロディーは勿論だが、無音の間取りが何とも言えず引き込まれる。
 M3.はビスチェリアの軽快なプレイを聴かせ、M5.は懐古的静の中の美しさ、M6.は期待と展望の美と続く。
 M7.は珍しくドラムスからスタートするが、それに同調してのピアノが流れ、両者のコンビネーションの音楽的掛け合いが見事で、聴くものをして納得させる。


Img_8339 全体に美しいメロディーを主体に”静”と”トリオそれぞれの音の余韻による哀愁”を印象づけ、”華やか”というものでなく、どちらかというと”陰影のある世界”である。
 まあテーマがそうなのだろうと推測するが、いわゆる軽快にスウィングするジャズではなく、又ダイナミックにスリリングに迫ってくるものではない。その点を期待すると裏切られる。

 別の目から見た注目点として、このアルバムは録音の良いところも素晴らしい。ピアノのクリアな音に、ベースのソフトにして充実感のある音、そしてドラムスの特にシンバルの繊細にして響く空間が良い。その三者の分離とバランスが見事である。そこは気分を更に良くするポイントでもあった。

(視聴)

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2014年7月17日 (木)

ミシェル・ビスチェリアMichel Bisceglia のピアノ・トリオ「singularity」

透明感のある美旋律のピアノに圧倒される

Inneryoub
 あの寺島靖国の「Jazz Bar 2007」で知らしめられた美旋律ピアノのトリオ曲”Paisellu miu”。この曲は、ミシェル・ビスチェリアMichel Biscegliaというベルギーのピアニストによる右のアルバムに収録されている。(参照 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-402b.html )

  「INNER YOU」 (Prova Records, PR0701-CD1, 2007)
      Michel Bisceglia (p)
      Werner Lauscher (b)
      Marc Lehan (ds)

(Tracklist)
 1,Sandino
 2.Out to Sea
 3.Lorenz Factor
 4.Softly as in a morning sunrise
 5.Simone
 6.Paisellu Miu
 7.With Purpose
 8.Blues for alice
 9.Side Square
10.The Traveller


 このアルバムはトップにチャーリー・ヘイデンの”Sandino”が登場し、ビスチェリア自身のオリジナルも5曲。全編美旋律の洪水だ。そしてこのアルバムに引きずられて、目下彼の5アルバムを聴いているが、とにかくどれもゆったりとしていて聴きやすくそして流麗なメロディーと哀愁感は、天下一品。
 そこで最新作をチェックしてみよう。 ↓

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<Jazz>
  michel bisceglia. singularity
       Prova Records ,  PR1401CD22,  2014

Singglarity2_2

 ミシェル・ビスチェリアの今年のニュー・アルバム。メンバーは上の「INNER YOU」と同一のトリオ。(これには同時に「my ideal」というライブ・アルバムも一緒にリリースされた。ここには7曲収録されていて、「INNER YOU」から、”Out to sea”が登場し、更にあの哀愁の名曲”.Paisellu Miu”が聴けるし、プロコム・ハルムの”青い影 a whiter shade of pale”も演じられている)

Mbtrio1 このトリオのリーダーのビスチェリアはピアニスト、作曲家、アレンジャーとして目下油の載ったところ。ベルギー人であるが、どうもイタリア系らしい。彼の紹介などを見ると、やはりビル・エヴァンスやキース・ジャレットに影響を受け、そしてラフマニノフに傾倒しているようだ。  1970年生まれで、1997年以来現メンバーでトリオを編成してCDをリリースしている。ヨーロピアン・ピアノ・トリオにおいて、もはや重要な一人にのし上がっている。

Sigularitylist
 このアルバムは、左のように9曲。オリジナル曲を展開しているが、とにかく聴く者にとって説得力のある心に浸みるメロディーと演奏が続く。特に近年のジャズの一つの流れである攻撃的な方向はない。つまりオーソドックスで精神安定剤的演奏につつまれる。メロディーもなかなか哀感が漂っていて魅力的。
  はっきり言って、特に集中して聴くということでなく、バックグラウンド・ミュージックとして流していても抵抗がないと言うかグッドである。これもジャズの一つの大事な要素と思っているが・・・。

(視聴) ”Puccini”

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