フレッド・ハーシュ

2017年11月13日 (月)

フレッド・ハーシュFred Herschのピアノ・ソロ 「open book」

(今年聴いて印象に残ったアルバムを-2)

ハーシュの美学を・・・ピアノの響きと余韻がベストな録音で

<Jazz>
Fred Hersch 「{open book}」
Palmetto Records / USA / KKE-065 / 2017


Openbookw

Fred Hersch (piano solo)

Recorded at JCC Art Center Concert Hall, Seoul, South Korea
Track 4 recorded live in concert, November 1, 2016 / All other tracks recorded April 1-3, 2017

  注目の20分近くの長曲M4." Through The Forest "(Fred Hersch)が、私の期待した彼のメロディーの美しさがあまり感じられなかった為、それ程感動モノでなかったと言うことで登場が遅くなったが・・・。しかし何度と聴いていると、そこはフレッド・ハーシュだけのことはあって、勿論彼の繊細なタッチの美学はちゃんと散りばめられているアルバムである。
  又、録音も彼の弾くピアノ(Steinway)のソロ演奏音を適当な響きと余韻を描く好録音であって、その辺りも快感のアルバムである。

(Tracklist)
1 The Orb (Fred Hersch)- (6:26)
2 Whisper Not (Benny Golson)- (6:27)
3 Zingaro (Antonio Carlos Jobim)- (7:58)
4 Through The Forest (Fred Hersch)- (19:34)
5 Plainsong (Fred Hersch)- (4:51)
6 Eronel (Thelonious Monk/Sadik Hakim)- (5:40)
7 And So It Goes (Billy Joel)-(5:57)

Fredherschw M4. "Through The Forest"は、韓国のステージでの演奏録音版、19 分にわたるインプロもので、彼はこの演奏に関して、「予め考えたアイディアもセーフティ・ネットもなく、音楽的に、感情的に、到達したいところどこにでも趣くままに演奏した」と語っているとか。近年録音された演奏の中でも確かに注目に値するモノであると思うが、"Forest森林"と言うことの何か神秘的な世界感は十分に感じられる演奏だ。そしてその繊細なるタッチのピアノ音は彼ならではの世界であると納得するところ。ただ私の求めるリリカルなメロディーによる美学というところで無かったため、ちょっと空しさも感じられたのである。
 一方スタジオ演奏版のオープニングのM1. "The Orb"の静かなるしっとりとした美しさ、 M5. "Plainsong"の優しさには堪能してしまう。A.C.JobimのM3. "Zingaro"も、心に優しく響く、なんとなくクラシックを聴いているようなハーシュの世界となって、聴き入ってしまった。 
 最後に何故かBilly Joelとなって、M7. "And So It Goes"を非常に聴きやすいメロディー・タッチでありながら哀愁も感じられるところがお見事であった。
 やっぱり”ハーシュの美学”は生きているアルバムだ。

(視聴)

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2016年8月29日 (月)

フレッド・ハーシュ・トリオThe Fred Hersch Trio のライブ・アルバム 「sunday night at the vanguard」

繊細にして瑞々しく緩急メリハリのある粋なピアノ・トリオ

<Jazz>
The Fred Hersch Trio  「sunday night at the vanguard」
Palmetto Records / USA / PM2183 / 2016

Sundaynightw

Recorded Live at the Village Vanguard,NYC on March 27, 2016
<Personnel>
Fred Hersch(piano)
John Hébert(bass)
Eric McPherson(drums)

 そろそろピアノ・トリオの話題も・・・・、と言うことでフレッド・ハーシュFred Hersch (1955年オハイオ州、シンシナティ生まれ)の今年録音のライブ・アルバム。

 彼の活動はもう35年以上の歴史を刻んできて、私もここで何回か取りあげたのだが、難病からの復活を見てから、このところ精力的な活動に復帰していることは何よりというところ。
 このアルバムは、ライブものの有名なニューヨーク・ヴィレッジ・ヴァンガードでの今年3月の録音で、彼の相変わらずの繊細なピアノを中心としたトリオ・プレイに、その味を堪能できる。

Fhw

1. A Cockeyed Optimist (Rodgers & Hammerstein)
2. Serpentine (Hersch)
3. The Optimum Thing (Hersch)
4. Calligram (for Benoit Delbecq) (Hersch)
5. Blackwing Palomino (Hersch)
6. For No One (Lennon/McCartney)
7. Everybody's Song But My Own (Wheeler)
8. The Peacocks (Rowles)
9. We See (Monk)
10. Solo Encore: Valentine (Hersch)

 M2, M3, M4, M5とハーシュのオリジナル曲が続くアルバムで・・・・
 M2.”Serpentine”は浮遊感覚の美しい曲で、ピアノのみでなく、トリオとしてのそれぞれの味が出ている。冒頭のピアノとベースのシンクロが美しく、中盤からのベースのソロ・パートも繊細なプレイでじっくり聴かせこの曲の展開に大きな効果を発揮している。
 M3.”The Optimum Thing ”は、一転してテンポ・アップして4ビートでハーシュのピアノが前面に出て聴かせてくれるが、ここでは叙情性のメロディー世界と異なって、やや前衛的な難解な曲展開を聴かせる。
 M4.”Calligram”は、やはりスタンダード曲演奏の拘束から放たれての独創性重視の自己の世界だ。ジャズ・ピアノの奥深さを見せつける。
 M5”Blackwing Palomino ”も、ここには彼のリズムカルな心情を思いのまま弾いてみせる。
 この4曲は、ハーシュが健康回復の充実感を謳歌している様として私は歓迎する部分だ。

Fredherschtrio そして後半はがらっとイメージを変えて、Paul McCartneyの曲M6.”For no one”の心にゆったりと響く優雅な曲として演奏され、心を休ませ豊かさに導いてくれる。
 続くM7.”Everybody's Song But My Own ”はハイ・テンポの展開だが、私にはあまり意味をなさない曲だった。
 M8.”The Peacocks ”は叙情的メロディーの曲というのではないのだが、次第に引き込まれていくこのトリオの繊細な交錯プレイに、彼らのトリオの存在感を十分感じ取れる曲。何回と聴き込んでみたい。
 M10.”Solo Encore: Valentine ”のアンコールの締めの曲。ハーシュのピアノ・ソロで抒情的にしてしんみりと味わえる曲。こうゆうところを実はもう少し私は聴きたかったのだが、それは又次作に期待。

(視聴)

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2016年2月19日 (金)

フレッド・ハーシュFred Herschのチャーリーに捧ぐアルバム「ARABANDE」

チャーリー・ヘイデンに捧ぐ1987年のリマスター盤

         <Jazz>
          
 FRED HERSCH 「ARABANDE」
      Sunnyside Communications / US / SSC1432 / 2016

Sarabande
Fred Hersch (piano)
Charlie Haden (bass)
Joey Baron(drums)

1986年12月4日,5日 Classic Sound Studio, NYC 録音

 フレッド・ハーシュFred Hersch(1955~)も多くのアルバムを残しているが、近年健康を回復して健闘していることが喜ばしい。
  2014年には、トリオもの「FLOATING」 、昨年2015年はソロ「SOLO」とリリースして、このところ我々を楽しませてくれている。
 (参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/fred-hersch-tri.html

 そしてこれはあのチャーリー・ヘイデンと競演した若き頃の作品であるが、今ここにリマスターで復活させ、ヘイデンに捧げる作品とした。ハーシュのファンなら多分LPで聴いてきたであろうこの作品、音質の改良も加えて手軽なCDでの復活に喜んでいるだろうと思う。ただし私は初聴きであるが、なかなか非常に堪能しているんです。

(Tracklist)
1 I Have Dreamed (Rodgers & Hammerstein) 5:27
2 Enfant (Ornette Coleman) 6:27
3 The Peacocks (Jimmy Rowles) 7:10
4 What Is This Thing Called Love? (Cole Porter) 5:10
5 Sarabande (Fred Hersch) 5:37
6 This Heart of Mine (Arthur Freed & Harry Warren) 5:28
7 Child’s Song (Fred Hersch) 4:30
8 Blue In Green (Bill Evans & Miles Davis) 4:46
9 Cadences (Fred Hersch) 5:01

Fh1 60歳を過ぎているハーシュが、32歳の時の作品と言うことと、しかもアルバム・デビューの2作目ということで、実は私は興味津々であった。

 しかし聴いてみての驚きは、全く若さの荒さが無く詩的な世界は全く現在と変わらない。まず冒頭のM1”I Have Dreamed ”から、これから何か静かに物語を聴かせましょうというムードである。
 このアルバムでは彼の曲は3曲のみ。特にM7”Child's Song”はチャーリー・ヘイデンに捧げた曲というが、その明るさには意外であった。最後の曲M9”Cadences ”もこのアルバムでは明るい方に入るのだが、アルバム・タイトル曲のM5” Sarabande”は、彼らしい詩的な味わいを聴かせる。
  尊敬してやまないオーネット・コールマンの曲も2番目に登場させ、このアルバムではコール・ポーターの曲M4”What Is This Thing Called Love?”と並んでひときわ気合いが入った演奏を展開し、ベース、ドラムスも後半両者のデュオが洗練された響きでそれを一層引き立てる。そして続いては一転して、メロディアスにして美しいピアノの詩人と言われるリリカルな趣をM3”The Peacocks ”で披露する。この流れは若きハーシュと言うよりは、円熟した風格がある。

 どうもピアノ・トリオの興味はユーロ寄りになる私だが、アメリカ・オハイオ州シンシナティ出身のフレッド・ハーシュに関しては、こうして私好みの世界に流れてくるのである。

(試聴) ”The Peacocks”

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2014年8月 5日 (火)

フレッド・ハーシュ・トリオFred Hersch Trio ニューアルバム 「FLOATING」

詩情豊かなアメリカン・ジャズ

<Jazz>

           FRED HERSCH TRIO 「FLOATING」
            PALMETTO , US ,  PM2171 ,  2014


Floating1
Fred Hersch(piano)
John Hébert(bass)
Eric McPherson(drums,per)

 

1 You and The Night and The Music (Dietz/Schwartz – Warner Brothers Inc ASCAP)
2 Floating
3 West Virginia Rose (for Florette & Roslyn)
4 Home Fries (for John Hébert)
5 Far Away (for Shimrit)
6 Arcata (for Esperanza)
7 A Speech to the Sea (for Maaria)
8 Autumn Haze (for Kevin Hays)
9 If Ever I Would Leave You (Lerner/Lowe – Chappell-Co Inc ASCAP)
10 Let’s Cool One (Monk – Thelonious Music Corp BMI)

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 1955年オハイオ州シンシナティ生まれのフレッド・ハーシュが、病で2007年に倒れてから復帰してのライブ盤を入れての3枚目のアルバム。
 彼の生まれたシンシナティというところは、米国の中でも私の少しの旅した中では最もヨーロッパ的な落ち着いた雰囲気の感じられる都市だったように思う。オハイオ川が流れるその風情によるものかも知れないが、私にとっては好印象であった。それは又私の親族が今でもこの都市に住んでいるところからも更に親密感を持つのである。特にこの川岸近くに立つ高層のビルの上にある回転式のレストランでの食事をしての風景は、非常に美しく、もう何年も前の経験だが今でも忘れないところだ。

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 さて、このニュー・アルバムは4年ぶりのスタジオものだが、メンバーはこのところ固定しているジョン・エイベア(b)エリック・マクファーソン(d)とのトリオ。そしてお馴染みの曲からスタートするが、やっぱりアメリカン・ジャズの華々しいところはちゃんと持っていて、彼のピアニストとしてのテクニックの健在性を聴かしてくれる。そして2曲目にアルバム・タイトル曲”Floating”が登場して、がらっとイメージは変わってしっとりと人生を味わうが如くのメロディーの奥深い美が襲ってくる。このアルバムの主たる表現だと思われる。
 そして3曲目からの6曲は、彼の人生にて大切な人と言わせる人達に捧げた曲が並ぶ。特に3曲目” West Virginia Rose ”は、母親と祖母に捧げた曲のようでスローな中に情感が込められた曲。スウィング、バラードが繊細なピアノ・タッチで詩情豊かに流れてくる。
 なるほどこのアルバムは、「ピアノの詩人」と言われるハーシュの面目躍如のアルバムに仕上がっていて、これも貴重な一枚である。

(試聴)

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