ティングヴァル・トリオ

2017年8月 6日 (日)

ティングヴァル・トリオTINGVALL TRIOのニュー・アルバム 「CIRKLAR」

新世代ピアノ・トリオと言われる中の美旋律が堪らない

<Jazz>
TINGVALL TRIO 「CIRKLAR」
SKIP Records / Germ / SKIP 9157-2 / 2017

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Martin Tingvall  マーティン・ティングヴァル   -  piano and compositions
Omar Rodriguez Calvo
オマール・ロドリゲズ・カルヴォ - double bass
Jürgen Spiegel
ユルゲン・シュピーゲル   - drums and percussion

 私の期待度の高いティングヴァル国際トリオの前作『BEAT』(SKIP Records/SKP9137-2)から3年ぶりの7作目が登場。
 リーダーのティングヴァルMartin Tingvallは、近作はソロ・アルバム(『distance』 SKIP Records / SKP9147-2)が登場していたが、やっぱりこのドイツ、ハンブルグを拠点としたこのトリオは健在でした。国際トリオと言うのは、Martin Tingvallはスウェーデン、Omar Rodriguez Calvoはキューバ、Jürgen Spiegelはドイツ生まれと言うところによる。
 今回も全曲ティングヴァルによるところから、ダイナミックな曲展開である中に、北欧の世界感がにじみ出ているところであるが、それが今までの魅力の一つでもあった。一部にはあのE.S.Tと比較されるものとして、新世代ジャズのピアノ・トリオと言われ注目されているが、意外に聴きやすい安堵感もある。
  ドイツのEcho Jazz (今や世界的な権威ある賞となっている)は、前作までにジャズ部門でゴールド・ディスクを与えている。

Tingt2_2

(Tracklist)
01. Evighetsmaskinen 
02. Bumerang 
03. Vulkanen 
04. Bland Molnen 
05. Skansk Blues 
06. Cirklar 
07. Sjuan 
08. Det Grona Hotellet 
09. Tidlos 
10. Psalm 
11. Karusellen 
12. Elis Visa

Tingt4 さて、このアルバムだが、スタートからの三曲は、親しみやすいリズム・旋律と共に、アグレッシブでダイナミックな展開を示し、ピアノの重低音も交えて結構威勢の良いところを聴かせ、三者の意気込みが感じられる曲から始まる。続くM04.”Bland Molnen”  になって深遠なベースのアルコ奏法と期待のピアノの美旋律の登場だ。とにかく彼らの一見するところの出で立ちからは、信じがたいほどの北欧の大地を崇めるが如くの美旋律を聴かせてくれるのだ。こうした新しいピアノ・トリオの姿を試みる代表的トリオとして、今作も聴く者をして感動に導く。
 私はM.06.” Cirklar ” なども好きな曲だが、物語的展開、安堵感、暗さの無い世界でリズミカルな流れに乗ってのピアノとベースの美旋律に注目だ。
  ピアノの静かに流れる美しさは更にM.08.” Det Grona Hotellet”  にも聴くことが出来、10.”Psalm ” にも繊細なシンバルの音の中に堪能できる。
 M 07.”Sjuan” 、 M 09.”Tidlos”  は、彼らの面目躍如の"動"の曲。
 M.12. ”Elis Visa” は、締めくくりに相応しい大地からの声が感じ取れる曲。

 近代的なダイナミックなセンスを持ちながら、そこにはクラシック的表情も見せつつ北欧的優しい美旋律を聴かせるという愛着の感じられるピアノ・トリオである。

(参考) ~Tingvall Trio Discography
   Skagerrak (2006)
   Norr       (2008)
   Vattensaga (2009)
   Vägen        (2011)
   In Concert (2013)
   Beat         (2014)
   CIRKLAR   (2017)


(視聴)

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2016年12月29日 (木)

2016年の別れに・・・マーティン・ティングヴァルMartin Tingvall 「distance」

深遠な世界を感じ・・・心安らかにこの年を送る

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                                                   (我が家の白南天)
            *          *          *

<Jazz ,   Piano solo>
Martin Tingvall 「distance」
SKIP RECORDS / GERM / SKP 9147-2 / 2015

Diaance

All Songs composed and produced by Martin Tingvall
Martin Tingvall played on a Steinway D Grand Piano, Fender Rhodes and Celeste


Martin_tingvall_05_fcm  Tingvall Trio でお馴染みのスウェーデン生まれのマーティン・ティングヴァルMartin Tingvall のソロ・ピアノ・アルバム。
 アイスランドを旅してインスプレーションを得たと言うピアノ・ソロ作品。前作の『en ny dag』(SKIP91172/2012)が素晴らしかったのが印象深いのだが、今作も全曲彼のオリジナルで負けず劣らずの快作である。

 スタートM1.”an idea of distance”から、ゆったりと叙情的なピアノの音が如何にももの悲しく展開する。それはやっぱり都会のイメージでなく何処か人々の生活圏から離れた孤独な地に立っての雰囲気が感じられ、深遠なる自然の中に自己を見つめるに相応しい時間を作ってくれる。

List 彼はドイツで活躍しているのだが、やはりその心は北欧なんでしょうね。私が勝手にそう思うのだがこの世界はまさに北欧なんです。
 珍しくM6.”a blues”では、強い鍵打音で心に強く響くが、その後M7.”black sand”では再び元に戻って、クラシック調の優しい美しいピアノの響きに変わる。

 ”アメリカのジャズとヨーロッパの芸術音楽の要素とそれを兼ね備えた”と彼の演奏を紹介しているのを見たが、彼のピアノは、非常に透明感ある響きを基調にして、牧歌的という表現が良いのか、人間の雑踏とは離れた世界観を聴かせてくれ、そしてしかも非常に美しいのです。これはジャズというより全ジャンルに広めたいとふと思わせる。

 そして・・・・このアルバムを聴きながら、全ての原点に戻った気持ちで今年2016年を送りたいのである。

                      ----------------------------

 今年もこの拙いブロクを覗いて頂き、いろいろとご指導有り難うございました。来る2017年も又よろしくお願いします。皆様にもご多幸なる新年をお迎えになりますよう祈念いたします。
                   
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(視聴)

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2015年9月10日 (木)

初秋に聴くピアノ・ソロ2題 ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft「SONGS」と マーティン・ティングヴァルMartin Tingvall「en ny dag」

あの猛暑から一転して秋は確実に訪れて・・・・・

 今年の夏は7月からの猛暑で圧倒された年ではあったが、考えて見ると短かったとも言える。もう外は虫の声の合唱で、秋が来たことを知らせてくれているのだ。
 こんな時にはふと、心安まるピアノ・ソロが何とも言えずこの秋を歓迎するのだ。

 ここに2012年リリースされた二枚のアルバムが私にとってはこの秋スタートである。

        <Jazz>  
                  BUGGE WESSELTOFT  「SONGS」
                       Jazzland / Europe / 2791733 / 2012

Songs2
         Recorded in Bugges Room,April-September 2011
                 Bugge Wesseltoft : Piano

Buggelist
 もともとノルウェーのジャズ界の革新派で、この自ら作り上げたJazzlandレーベルで、エレクトロニクス派としてのサウンドを売り物に、まさしく未来ミュージックを作ってきたというブッゲ・ヴェッセルトフトJens Christian Bugge Wesseltoft。
 その彼の全くのピアノの原点を探るような聴き慣れたスタンダード曲(左リスト参照)のソロ演奏。2012年にリリースされたこのアルバムに今にして聴き惚れている。
 とにかくあの曲が、ここまで静かに美しく情緒たっぷりに心の奥まで鎮めてくれる曲となって、私にとってのこの秋の夜を演出してくれるとは・・・・・。

Bugge2
 彼のピアノ・ソロとしては1997年『It's Snowing on My Piano』、2007年『Im』、2009年『Playing』に続くもの。
 私は彼の作品にはあまり接触してこなかったが、ここに来て友人の紹介もあって納得して聴いている訳である。秋の夜にはふと我を見つめるに格好のアルバムだ。しかしこの落ち着き感は凄い・・・・。

                    *          *          *          *          *          *

     
      <Jazz>

               Martin Tingvall  「en ny dag」
               SKIP / GER / SKP91172 / 2012

En_ny_dag            
                  Martin Tingvall : Piano

 こちらはドイツの俊英ピアニスト(と言っても生まれは1974年スウェーデン)のマーティン・ティングヴァルMartin Tingvallによる2012年リリースの初のピアノ・ソロ・アルバムである。彼が主催する異色のインター・ナショナル・メンバーのピアノ・トリオ「TINGVALL TRIO」は私のお気に入りで、過去のECM的なスタジオ・アルバム(『Skagerrak (2006)、『Norr 』(2008)、『Vattensaga 』(2009)、『Vägen 』(2011)、『Beat 』(2014))は私の愛蔵盤でもある。

 (参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/tingvall-trio.html

 そんな訳で、彼のピアノ・トリオ・アルバムはここでも既に取り上げてきたところだが、このソロ・アルバムは、実は今回初めて聴くことになったもの。

  • (Tracklist)
    1. En Stjärna Faller 2:10
    2. En Början 4:25
    3. Debbie And The Dogs 4:20
    4. Efter VI Skildes Åt 4:22
    5. En Ny Dag 4:45
    6. Det Är Åska I Luften 3:46
    7. Så Hissas Flaggan På Midsommarafton 4:09
    8. Utan Ström I Harare 3:30
    9. Till Dem Därhemma 4:41
    10. Kvällens Sista Dans 4:14
    11. Myggan Som Inte Ville Dö 3:05
    12. När Barnen Sover 3:15
    13. Dagens Slut 1:55
  • Martin1 彼の描くところ、北欧からのメロディーがやっぱり流れてくると言うところか。その美しさというところは、何故か日本人の我々の郷愁を誘うという世界。
     4曲目”Efter VI Skildes Åt” は、”パーティーの後”という意味になるのだろうか、又12曲目”När Barnen Sover ”(”幼子が眠る時”?)などのこの郷愁感はもはや絶好調。
     美しいピアノ・メロディーの世界には、”都会の夜の静かさ”と”どこか都会から離れた自然に包まれた世界”と二つに分けてみると、彼の世界はやっぱり後者だろうなぁ~と思うのである。

     秋になってふと我に返って聴いた万人に推薦できる二枚のアルバムだった。

  • (視聴) Bugge Wesseltoft
  • (視聴) Martin Tingvall

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    2014年9月15日 (月)

    ティングヴァル・トリオTingvall Trio : ニューアルバム「BEAT」

    インターナショナル・トリオの6作目も美しい世界だった

    <Jazz> 
          TINGVALL TRIO 「BEAT」
                   SKIP RECORDS   SKP9137-2  , Germany , 2014

    Beat
     スウェーデンのピアニストのティングヴァルMARTIN TINGVALLとキューバのベーシストOMAR RODRIGUEZ CALVO、ドイツのドラマーJÜRGEN SPIEGELよりなるインター・ナショナル・トリオの6作目。今作はハイレゾ音源の供給やLPでのリリースもあり、音にもかなりこだわった作品。彼等の2006年からのDiscographyは下記のとおりである。

    Skagerrak (2006)
    Norr (2008)
    Vattensaga (2009)
    Vägen (2011)
    In Concert (2013)
    Beat (2014)

     そしてこのアルバムのtracklistは下のような12曲。

    Beatlist_2

      2ndアルバム「Norr」を聴かせていただく機会がもてて興味を持つことになり、2006年の1stアルバム「SKAGERRAK」 、そしてこの最新アルバムに手を付けてみた・・・。従って私にとっては彼等は3作目になるのだが、ブログなどの諸氏の感想を見ると、E.S.T.と良く比較されているが、リズム・テンポの変化はあっても私はあまりそうしたイメージは感じない。もしろ彼等の世界の基本的な印象はクラシック調にあって、それにジャズ心が絡んでくる。アップテンポぎみになったときに、なんとなくロックからの影響を受けているのかなと思わせるところもあるが、それでも主流は端麗なメロディーをメランコリックに流してくれる。あまりフュージョンぽいところにはゆかない。

    Trio2_2
     全曲、ピアニストのティングヴァルによるもので、それをトリオのメンバーがそれぞれの個性を出して編曲しているというパターン。一曲目”Den Gamla Eken”は、ウッド・ベースのアルコ奏法にピアノの旋律が美しく流れ、まるでクラシックを聴いている世界だが、2曲、3曲とジャズゥイな演奏を展開。そしてアルバム・タイトル曲の4曲目”Beat”は再び耽美的な演奏に戻り、アルバムの中ではそうした曲の配列の抑揚の見事さを感ずるところ。
     又7曲目”Heligt”は、一つの物語を映画で見ている気持ちにさせるピアノの調べで、壮大に展開する。
     技巧的に高度な演奏かどうかということは私には難しい評価で、ここではそれは別にして、極めて真摯な世界を折り目正しい姿勢で展開してくれるのである。とにかく聴き安いジャズ・ピアノ・トリオで安心して対応できる。そして最後の”De Vilsna Tomten”の美しいピアノには感服してしまう。

    (視聴)
       ”BEAT”

       
           ”Den Gamla Eken”

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