ティングヴァル・トリオ Tingvall Trio 「BIRDS」
「鳥」のテーマの目的コンセプトがあまり伝わってこない
<Jazz>
Tingvall Trio 「BIRDS」
Skip / Import / SKP91972 / 2023
Martin Tingvall (p)
Omar Rodriguez Calvo (b)
Jurgen Spiegel (dr)
ドイツ・ハンブルグを拠点に活動するヨーロッパを代表する美メロ・ピアノトリオ「ティングヴァル・トリオ」の9thアルバム。トリオ・リーダーのスウェーデンのピアニスト、マーティン・ティングヴァルが自然界をテーマとしての作品の一環として「鳥」にインスピレーションを得た作品だ。
彼の言葉は「彼らは自然の音楽家です。彼らは毎日素晴らしい音楽と信じられないほどインスピレーションを与えてくれます。ただ注意深く耳を傾けなければなりません。残念ながら、私たちはもうそれをやっていないようです、雑音が多すぎるのです。他の騒音が私たちを取り囲んで、気が散ってしまいます。このアルバムが人々に、私たちの周囲の環境を違った見方で認識するきっかけになれば幸いです。私自身、地球温暖化によって引き起こされる鳥の行動の変化をすでに観察しています。S.O.S、もうやめるべき時です。 自然に耳を傾けて行動してください。」 と・・・地球上の自然破壊につながる問題点に言及している。
Tingvall Trioはもう結成して15年以上となる。リーダーのピアノのMartin Tingvallはスウェーデンで、ベースのOmar Rodriguez Calvoはキューバ、ドラムスのJürgen Spiegelはドイツ生まれという国際トリオだ。。
過去のTingvallのソロも含めてアルバムは全て聴いてきて、ここでも何度か彼らを取り上げたが、全てオリジナル曲を中心にどちらかというと美旋律の自然を対象とした曲に魅力がある。今回も期待度は高かった。
(tracklist)
1 Woodpecker
2 Africa
3 SOS
4 The Day After
5 Air Guitar
6 Birds
7 Birds of Paradise
8 The Return
9 Nuthatch
10 Humming Bird
11 Nighttime
12 A Call for Peace
鳥の状況を描いているのかM1." Woodpecker(キツツキ)"、M2."Africa"は軽快な曲。 M3."SOS"は、いかにも問題に直面しての姿か、不安が感じられる。ティングヴァルの声が入るが・・・これは好感度は無し。
M4."The Day After"になって、ようやく私の期待する美しく優しいピアノの旋律の聴ける曲が登場。後半にアルコ奏法のベースが不安感を感じさせて気になる曲だ。
M5."Air Guitar"は演奏技法が多彩で面白い。ピアノはミュート奏法のようだが。
M6."Birds" タイトル曲、スタートからやや暗めのベースのアルコの音で始まる、ピアノが入って小躍りする印象。次第にトリオで盛り上がるも意味不明、M7."Birds of Paradise"も軽妙な世界だが、印象にあまり残らない。
M8."The Return"優しく美しくのピアノのメロディーが登場し再びベースのアルコ。夏に戻ってくる鳥の姿か?、物語を感ずる世界は見事。
M9." Nuthatch" ゴジュウガラか、良く解らない曲。
M10."Humming Bird" ハチ鳥の姿(?)、何を描いているか不明だが、メロディーは優美で軽快。M11." Nighttime" ピアノの透明感ある美しい音を聴かせる。これら2曲はM4.M12.の2曲に続いて納得曲。
M12."A Call for Peace"彼の鳥に思いを馳せての究極の曲として聴いている。ピアノ・ソロで美しい。
どうも私自身が「鳥」の世界に興味がないせいか、全体にあまり目的が良く解らない曲群でこの「鳥」にまつわるコンセプトも理解が難しい。又このアルバムは、時に聴ける演者の声がどうも私には気分良くなかった(キースのようなうなり声ではないけれど)。そして私のお気に入りのアルバム『Dance』(2020)の"In Memory"のような曲を期待してはいけないのかもしれないが、過去のアルバム『CIRKLAR』(2017)の"Bland Molnen"、"Cirklar"とか、やはりいろいろと期待度が高いので、評価は決して低いアルバムではないのだが、今回は若干空しかったような感覚であった。
(評価)
□ 曲・演奏 87/100
□ 録音 87/100
(試聴)
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