メラニー・デ・ビアシオ

2016年9月 7日 (水)

メラニー・デ・ビアシオMelanie De Biasioの1st「a stomach is burning」

ブルーな世界、憂鬱なる哀愁によって描かれる「メラニーの奥深い心情の世界」

<Contemporary Jazz,  Soul>
Melanie De Biasio 「a stomach is burning」
Igloo / EU / IGL193 / 2007


Astomachw
<a atomach is burning> was a "3 days live session"recorded and mixed in Dec.2006 at Igloo Studio by Daniel Léon

MELANIE DE BIASIO (vocal)
PASCAL MOHY (P)
PASCAL PAULUS (HAMMOND他)
TEUN VERBRUGGEN (DS)
AXEL GILAIN (B)
FEAT.STEVE HOUBEN (SAX,FL)

Melaniedebiasio ベルギーの個性的異色女性シンガーのメラニー・デ・ビアシオは、有能なコンポーザーでもあり、どうも私の気になるところである。
 その為なんとなくいろいろと知りたくなるのだが、その結果、この1stアルバムも、しばらく前に海外発注で手に入れてみたものである(今から9年前のリリースものであるのだが)。
 そこで、このアルバムを考察してみたいのだが、彼女を取りあげるのはこれで3回目ということになってしまった。

 彼女には自己名義のアルバムが3枚ある。その3枚を私の場合は、2nd『No Real』2014)から聴いて、次に3rd『Blackened Cities』(2016)を、そしてその後この1st(2007)という順に聴いたんですが、異色性は1st<2nd<3rdの順にニューアルバムに従って濃くなり、この1stも異色ではあるが最も一般ジャズに近いアルバムだった。

 このアルバムでも、彼女のヴォーカルは近代ジャズ演奏とともにその芸の域は深い。声の質も中低音に幅の広さがあり端麗ヴォイス、高音域はクリアーで快感。2ndで受けた印象通りのブルーな世界、憂鬱なる哀愁が漂っていて、しかしそこには彼女の不思議な魅力が溢れている。歌詞は英語であるが歌詞カードが無いため詳しくは知り得ていないが、ここには彼女の奥深い心情の世界が訴えられているのでは?と思うところ。
 ”a stomach is burning”という曲があり、アルバム・タイトルにもなっているのだが、”胃が焼ける”という意味なのか”欲望が燃える”との意味なのか?不明だ。
 しかし既にこの1stから、独特な「メラニー・デ・ビアシオ世界」が築かれていてお見事。

(Tracklist)
1 DWON *
2 A STOMACH IS BURNING *
3 NEVER GONNA MAKE IT *
4 MY MAN'S GONE NOW *
5 BLUE
6 LET ME LOVE YOU *
7 THE LATEST LIGHT OF LOVE
8 CONVICTIONS *
9 ONE TIME *
10 LES HOMMES ENDORMIS
(*印 Comp. M. De Biasio)


Bando5  曲は彼女自身の手によるものと、このアルバム・メンバーの曲が中心で、基本的にはオリジナル曲構成のアルバム(←)。

 アメリカン・スウィング・ジャズの軽快にして気持ちを高揚させるものとは全く異なるところで、ジャズ形式も多彩で゛、ブルースあれば、ファンクそしてスウィングもみられる。
 そのバック演奏は、全体にスローではあるがそこにあるスリリングな演奏によって緊張感たっぷりの陰影を描ききる。このあたりからも、かなり洗練されたバンド・メンバーであることが解るが、特にヴォーカルとのバランスにおいてもその締める位置も控えめではあるが、ジャズ演奏の質の高さは、クールな中に繊細な演奏を極め、キラリと光るものを感ずる。特にピアノ、サックスのジャズィーな競合は聴くに十分な味を堪能させる。そしてメラニーの物語調のバラード歌唱を支えるのだ。

 いや~~、これも埋もらせては惜しい異色の名盤である。

(視聴)

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2016年8月20日 (土)

メラニー・デ・ビアシオMelanie De Biasioの問題作「BLACKENED CITIES」

ロック、ソウルからの発展型?=異色の女性ヴォーカル・ジャズ

   <Soul, Jazz, Alternative Rock
   Melanie De Biasio「BLACKENED CITIES」
   Play It Again Sam / UK / PIASLO-50CD / 2016

Blackenedcities3

  (Tracklist)
   M1.Blackened Cities   24:14

 ベルギーの異色の個性派女性ジャズ・シンガーのメラニー・デ・ビアシオ。彼女の最新作3rdアルバムだ(このアルバムは約25分の1曲のみ)。
 これを取りあげたいために、先日彼女の前作2ndアルバム(2014年『ノー・ディールNo Deal』((参考) ”Melanie De Biasio「No Deal」” ))を紹介した訳だが、この3rdアルバム『BLACKENED CITIES』は、更に負けず劣らずの衝撃の問題作である。私にとっては今年の注目作の最右翼。

  このアルバム(というかこの曲)は、明らかに社会派の作品とみれる。まずジャケからみても暖かさの感じられない工業都市のモノクロ写真。真っ黒な雲の合間からさす逆光によって浮き出る工業建造物の影は印象深い。そこに果たして人間の世界はどのように構築されているのか?、そして人間性の回復は得られたのか?、まずそんなテーマを感ずるアルバム・ジャケなのだ。
 この”Blackened Cities”という作品、”黒ずんだ工業都市”ということなのだろうが、メラニーが18歳までに過ごした事のある街、マンチェスター(英国)、デトロイト(米国)、バルバオ(スペイン)そして地元でもあるシャルルロワ(ベルギー)などの脱工業地域の街の風景から、インスピレーションを得て完成させたものだという。
Mdb
 曲は深く暗く静かにして荒涼たる世界を聴く者に描かせるところから始まり、メラニーの美しい中・低音の訴えかけるようなヴォーカルが静かにスタートする。繰り返し歌え上げる”goldjunkies”という言葉が焼き付けられる。
 明らかに、「黒ずんだ工業都市」にうごめいてきた人達の生活は・・・・・そこにはこの曲が描くところにみるとおり”明るさ”というものは感じとれない。彼女はこの曲によってこのような都市の再生を期して歌うのであろうか?・・・それに関しては、今聴いている私には解らない。
 前作『ノー・ディール』とはテーマは異なるところであろうが、その暗さはやはり共通している。しかしそこに響くメラニーの歌声が、妙に暖かく美しく心に響いてくるのである。

Bcs このアルバム製作に当たっては、メラニー自身の発想と曲づくりから行われているが、ブリュッセル王立音楽院で出会ったバンド・メンバーや気の知れたアーティスト達と本作を作り上げようだ(←参照)。

Melanie De Biasio : Voice, Flute
Pascal Mohy - Piano
Sam Gerstmans - Double Bass
Dre Pallemaerts - Drums
Pascal Paulus - Synth, Backing Vocals
Bart Vincent - Backing Vocals

Mdb1

 メラニー・デ・ビアシオは、1978年7月12日、ベルギーのCharleroiに生まれ38歳、フルート奏者にしてコンポーザー。紹介は前回アーティクルを見てもらうことで省略するが、彼女のアルバムは既に世界的に評価が高く、2015年度「ヨーロピアン・ボーダーブレーカーズ(EBBA)賞」を受賞している。

 コンセプティブな発想が盛り込まれていることや、その曲のタイプからも、Jazz分野から見ればContemporary Jazz、 Crossover Jazz、Club Jazz、 Experimental Ambientと言えるのか、一方Rock側からも、Alternative Rock として評価されたりで、一種のProgressive Rockとも言えるところにある。こんなところからもおおよその彼女の世界が見えてくるところである。
 とにかくJazz界からは、その曲の異色性からも関心度が高く、抜群の歌唱力と相まってクールにして、聴きようでは熱い心が感じられ、その矛盾した世界は高評価を持って注目されているわけだ。
 ある紹介によると、彼女は、影響を受けたミュージシャンとしてNina Simone, Betty Davis, Abbey Lincoln, Betty Carter, Funkadelic, Billie Holiday,Siouxsie and The Banshees, Duke Ellington, Sly and The Family Stone, Delroy Washington, burning spearなどの名が挙げられている。

  取り敢えずの評価としては、私が興味を持った前作『No Deal』を彼女のアルバムとしては、お勧めだ。

(視聴) ”Blackened Cities”

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2016年8月 6日 (土)

(問題盤)メラニー・デ・ビアシオMelanie de biasio 「NO DEAL」

ベルギーからの物憂い陰影漂う完璧なジャズ・ヴォーカル
    ~このダークなムードは??~

      <Jazz>
            
Melanie de Biasio「NO DEAL」
      Hostess Entertainmen / UK / PIASR-690CDX / 2014

Nodeal
MELANIE DE BIASIO(vo, flute)
DRE PALLEMAERTS(ds)
PASCAL PAULUS(clavinet analog synths)
PASCAL MOHY(p)

 なんと言っても評価が難しく、私のところで埋もれていたアルバムを今この夏に登場させる。とにかく重い、深く暗い、ジャケの黒そのもの、その響き渡る物憂げな歌声。そしてそれは欠点の無い恐ろしいほどの完璧なジャズ・ヴォーカル。

(Tracklist) 1.I Feel You   2.The Flow   3.No Deal    4.With Love   5.Sweet Darling Pain   6.I'm Gonna Leave You   7.With All My Love

  唄うは、ベルギーの個性派シンガー、メラニー・デ・ビアシオMelanie de biasio 。ビリー・ホリデイの再来かと比較され期待されているが?。
 このアルバムは彼女がデビューしてから7年目の2014年リリースの2ndアルバムだ。そしてこのアルバムを今となってここに登場させるのは、現在3rdアルバム( 『Blackened Cities』(PLAY IT AGAIN SAM / UK / PIASLO 50 CD / 2016))もリリースされ、それにも焦点を当てたいからである。

 とにかく彼女はフルートを演ずるが、このアルバムでのヴォーカルはその録音もやや残響を聴かせホール感を十分に出したもので、クールにして官能的なところがあり、その深さは尋常では無い。
 又曲の仕上げはなかなか現代的であり、スムースジャズとして評価も受けている。
 このアルバムは上記のとおり7曲の30分少々の短いものだが、過去に無かった世界で強烈な印象を受ける。最近で言うとメロディ・ガルドーのアルバム『CURRENCY of MAN』 に近い印象のところもあって、若干ロックっぽいところも私には好評、その重厚な陰影の世界はまさにピカイチ。

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 紹介文はこんなところだ・・・・→「古き良きジャズ、ブルース、ソウルの影響を受けるメラニーはベルギーの名門大学、ブリュッセル王立音楽院で音楽の才能を開花させ、2007年に『Stomach Is Burning』でアルバム・デビュー。母国ベルギーやフランスなどのフランス語圏の国で高い評価を受けた。クラシック・ダンスからフルート、ヴォーカルの勉強を続けてきた彼女の歌声はビリー・ホリデイやニーナ・シモンを彷彿とさせ、本作からは大人のスムースジャズのフレイヴァーが漂う。またポーティスヘッドなどのトリップ・ホップの世界観も見事に表現している」・・・・・・と。

A328269114659421017140_jpeg さて、このアルバムは「好きか?」と聞かれれば、私は即「好きだ」と言える。それほど暗い中にバック陣のハイレベルな演奏と曲仕上げ、重厚な魅力のあるヴォーカルが漂っているからだ。ちょっと類の無い恐ろしいどちらかというとクールなヴォーカルのコンテンポラリー・ジャズ・アルバムだ。

 本人に言わせると・・・・・・・・”前作と比べるとよりジャズの要素が少なくなっていると思う。空間の広がり、反響するものがそこにはあって、もっとインディーでアンダーグラウンドな雰囲気を出すことができた。プロデュース、ミックス、マスタリング……すべての工程に私が関わったから、より私らしい作品になったわ”・・・・・・・と。
 彼女の意志がこの世界を構築しているようだ。やっぱり恐ろしい。

 このアルバム聴いたことのある方は・・・・是非感想聞かせてください!!(聴く人により、いろいろな感想があるのでは?と思うのである)

(視聴)

① ”The Flow

② ”.I'm Gonna Leave You

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