サスキア・ブルーイン

2020年11月10日 (火)

寺島靖国 Yasukuni Terashima Presents 「For Jazz Vocal Fans Only vol.4」

華やかに14歌姫の登場

<Jazz>

Yasukuni Terashima Presents 「For Jazz Vocal Fans Only vol.4」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1093 / 2020

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  今年も無事リリースされた寺島靖国のコンピレーション・アルバム「ジャズ・ヴォーカル・ファン 第4巻」、今年も14人の女性のオンパレードだ。このところのジャズ・ヴォーカルは完全に女性に席捲されている現在、当然と言えば当然のことである。
 さて今年は、選ばれた14枚のアルバムだが、私が所持しているのは5枚止まりだった。寺島靖国は、このアルバム作成においてはできるだけマイナーなミュージシャンを選ぶようにしているようで、その為ここでは実は私は知らなかったアルバムが多いことを期待しているところがある。つまり新しい発見が大歓迎なんですね。そんな訳でこれはなかなか良さそうだと初めて知ったアルバムがあると手に入れて聴くのが例年の楽しみでもあるのである。

(Tracklist)
1. Close Your Eyes [Saskia Bruin] 3:26
2. Manha De Carnival [Karen Lane] 4:05
3. I'll Be Seeing You [Beth Goldwater] 3:34
4. From The Inside Out [Lauren Henderson] 6:30
5. Johnny Guitar [Carol Welsman] 2:28
6. That Old Feeling [Alma Mi?i?] 3:47
7. I Didn't Know About You [Sidsel Storm] 3:36
8. Get Out of Town [Hetty Kate] 3:11
9. Stardust [Emma Pask] 6:35
10. I Concentrate On You [Callum Au & Claire Martin] 6:57
11. Deep In A Dream [Gretje Angell] 5:25
12. Let's Face The Music And Dance [Cajsa Zerhouni] 4:24
13. Windmills Of Your Mind [Stefanie Schlesinger] 6:55
14. The Carioca [Kimba Griffith] 5:05

  収録曲は、取り敢えず上のリストにみるような14曲だが、オープニングは低音の魅力のサスキア・ブルーイン、彼女は何時も聴いている一人。そしてまあ何と言ってもこの中でもガッチリ自己の立場を固め、トップクラスの圧力が感じられるのはキャロル・ウェルスマン(M5)、クレア・マーチン(M10)でしたね。何時もアルバムを持っていて聴いているこの二人の他に、私が既に聴いてきたのはシゼル・ストーム(M7)、ヘティー・ケイト(M8)、キンバ・グリフィス(M14)あたりである。従って彼女らは初ものでなくちょっと空しかったが、初もので結構興味を持ったヴォーカリストも何人かいて喜んでいる。

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 私にとっての初もの、まずその一人がM3."I'll Be Seeing You "のベス・ゴールドウォーター(上左)ですね、ちょっと一瞬カレン・ソウザを思い起こす歌いっぷりで面白いし、高音がひっくり返るところは、ヘイリー・ロレンだ。早速アルバム注文した。
 そして
 M4."From The Inside Out"のローレン・ヘンダーソン、ここではデュエットものだが魅力的。
 M6."That Old Feeling "のアルマ・ミチッチ、セルビアの出身とか、力みの無いところがむしろ刺激的。
 M.9." Stardust"のエマ・パスク、オーストラリア出身とか、なんとなくあどけなさの残った発声が引きつける(上中央)。
 M11."Deep In A Dream"のグレッジェ・エンジェルもなかなか柔らかさがあっていいですね(上右)。
 M13." Windmills Of Your Mind"のステファニー・シュレジンガー、彼女はドイツ出身で、歌のこなしがお見事。
 以上、この6人のアルバムは聴いてなかった中でも注目株として捉えた。是非ともそれぞれのアルバムにアプローチしたい。(下にアルバム取上げる)

(試聴 ↓ Beth Goldwater)

      ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 ところで注目したアルバムの中で、何と言っても「ジャケ」が気に入ったのが、M13のステファニー・シュレジンガーだ。これは取り敢えず"ジャケ買い"をしてみようと仕入れてみた。(↓)

<Jazz>

Stefanie Schlesinger 「REALITY」
HIPJAZZ RECORDS / GERM / HIPJAZZ 012  / 2017

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STEFANIE SCHLESINGER(vo)
WOLFGANG LACKERSCHMID(vib)
MARK SOSKIN(p)
JOHN GOLDSBY(b)
GUIDO MAY(ds,per)
RYAN CARNIAUX(tp-3,8,9,12)

  どうですか、なかなかジャケ買いしそうなのが解りますか、彼女はドイツ・ハンベルグ出身1977年生まれのシンガーだ。声も低音から高音まで標準的に見事に美しく歌う。曲もなんとビートルズの"Fool on the Hill"があったりして是非聴いてみたいと思ったところ。
 私的には彼女は高音は張り上げずに静かに歌い上げた声の方がいい。寺島靖国がライナーで書いているように歌が旨い、そしてその特徴の出ているこのアルバムのM9."Windmills of Your Mind"のスタンダード曲が彼によって選ばれている。
 アルバム冒頭M1."Parole, Parole"は、ラテンタッチだが、彼女が好きなのか、しかしあまり向いていないように思うが。
 M2."The Summer Knows"、M7."With You"、M11."Munich Butterfly"のバラードものはなかなかいけると言う感想で、私は彼女はその方が魅力的で良いと思う。
 注目したM10."Fool on the Hill"は見事にジャズに変身してバック陣もそれなりの演奏で聴き応え十分だった。

Stefanieschlesinger20170616074135 (Tracklist)
1.Parole, Parole
2.The Summer Knows
3.Reality
4.Hotel Shanghai
5.Com Amor, Com O Mar
6.Ganz leise
7.With You
8.Hurra, wir leben noch
9.Windmills of Your Mind
10.Fool on the Hill
11.Munich Butterfly
12.The Winner Takes It All

(評価)
□ 編曲・歌  85/100
□ 録音    85/100

(参考視聴)

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2011年4月27日 (水)

これは期待の新人サスキア・ブルーイン Saskia Bruin :「Step Inside Love」

魅力の大人のムード漂うジャズ・ヴォーカル

Stepinsidelove_3 「Saskia Bruin / Step Inside Love」 Rip Curl Recordings RCIP-0152 , 2011

 久々にこれはと思う女性ジャズ・ヴォーカルに巡り会った感じだ。オランダ出身で、1987年より英国で活動というから誕生日は解らないが、まあ30代以上は間違いなさそうで、これまた遅咲きか?なかなか味のある唄が聴ける。日本初登場。
 早く言うとダイアナ・クラール調であるが、声の質は若干違う。なかなか低音は豊かで魅力あり、又中から高音域はニッキ・パロットに似たところがある。
 曲の流れはゆったりと心地よくマイルドに、そしてややけだるさもあって、主としてボサノバ・リズムを聴かせてくれる。

(members)
   saskia bruin (vo)
   chris ingham (p)
   andrew j.brown (b)
   russell morgan (ds)
   colin watling (ss)
   phil brooke (g)
   andy watson (g)
   heinz hunt (ts)

 バックの演奏は、これまた控えめで静かにムードを盛り上げる。流れるようなピアノ、それにギターが絡みながら旋律を奏でて気持ちの良い曲を作る。もちろん曲によってサックスも登場。かなり充実している。
Saskia2  彼女自身ピアノ、サックスもこなすと言うし、又もともと魅惑的ラテンサウンドにインスパイヤーされ、クールジャズの世界にも影響を受けてきたらしい。

(list)
   1. the look of love
   2. fell like making love
   3. virginia moon
   4. comes love
   5. estale
   6. step lnside love
   7. i got lost in his arms
   8. and we will fly
   9. once i loved
  10. wondering
  11. you're my thrill
  12. close your eyes
  13. call me
  14 i can't give you anything but love
    (13,14はボーナス・トラック)

 選曲はなかなか名曲が並んでいる。アルバム・タイトル曲”step inside love”はビートルズの曲だが、6番目に登場してなかなか彼女自身の解釈を推し進めて、この曲でも落ち着いた癒し系ヴォーカルを聴かせるのだ。スタート曲はおなじみバカラックの”the look of love”だが、冒頭から出来るだけぬくもり感のあるゆったりとした仕上げで、表現によってはウィスパー調というのかそんな歌声で引き込んでゆく。
 そして立派なのは、最初から最後までこのパターンで押し切っている。それなのに飽きさせないのが不思議なくらいだ。最後の”close your eyes”では、納得の低音ヴォーカルが聴かれる。

 とにかく、まだまだ日本への情報は少ないアーティストだ。このアルバムも2009年の自主製作盤(英国)と思われる。実はその道の通が日本に持ち込んで話題になり、ボーナス・トラックを追加して今年のリリースになったようだ。それも本国より日本での評価が高いとも窺える。このアルバムのパターンは、取り敢えず私好みであるのだが、多分ジャズ・ヴォーカル愛好家にはそれなりの評判をこれから更に勝ち取るであろうと予想される。そんな意味でも今後に期待の一枚であったが、気になるのは本国英国での成り行きだ。日本から大いにサポートしていくのも良いのかもしれない。
 最後に、これを紹介してくれた友人に感謝する。

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