セリア

2012年8月15日 (水)

セリアSiljeの最新アルバム : 「UNCLOUDED」

ツイン・ギターをバックに落ち着いた優しき世界

 ノルウェーのトルド・グスタフセンの流れから、何となく行き着いたセリア(Silje Nergaard = シリエ・ネルゴー(ル))であるが、最新アルバムもあるので聴いてみた。

SILJE NERGAARD 「UNCLOUDED」
Sony Music  88691928342  ,  2012

Unclouded

 ノルウェー出身のジャズ系シンガー・ソングライターのセリアは、1989年ロンドンから”tell me where you're going”でシングル・デビュー。日本では翌年1990年に東芝EMIよりこの曲で同様にシングル・デビューして好評だったとか。当時から私は気になるところになく、全くその筋のことは知らなかったが、その後の彼女はインター・ナショナルな方向に向かったが、泣かず飛ばずであったらしい。そしてノルウェーに落ち着いての1995年にリリースしたノルウェー版のアルバム「Brevet」が好評で息を吹き返し、2000年のアルバム「Port of Call」あたりからジャズ路線に落ち着いたようだ。

 過去に12枚のアルバムをリリースしているが、これが最新アルバムで、このアルバムも、かなり彼女の活動履歴から国際的な活動があっての結果、彼女自身の作品を英語歌詞で収められている。

01 – All I Had*
02 – Norwegian Boatsong*
03 – Gods Mistakes*
04 – The Moon’s A Harsh Mistress
05 – Ordinary Sadness
06 – When The Morning Comes (Song For Karla)*
07 – Det Var For Sent*
08 – When Our Tune Is Played*
09 – He Must Have Been Telling A Lie*
10 – I Will Write You Every Day*
11 – Human*
                    *印 Music: Silje Nergaard
Siljenergaard3 Silje Nergaard : vocals
  Hargrimm Bratberg : Guitars
  Hävar Brendikson : Guitars


 メンバーはこのように、バックはツインのアコーステイック・ギターが演じている。曲によっては、サックス、トランペットも聴かれる。
 彼女はデビュー当初はポップな曲を歌っていたようだが、近年はジャズ・ヴォーカルの地位を築いている。そしてこのアルバムもジャズとは言え、ちょっと違いを感ずる。アメリカン・ジャズっぽいところも”gods mistakes”には見え隠れするが、主力は別世界。
 やはりどこか北欧っぽい”静”と”郷愁”と”優しさ”が流れてくる。ちょっと簡単にジャズと言う世界ではない。私には解らないが、彼女の曲というところからノルウェーのトラッドな世界に通ずるものがあるのであろうと推測しているのである。このバックの二人のギタリストはヨーロッパ・ツアーなど同行していて、新しい音を作り上げたともホーム・ページに記している。
 もともと彼女のヴォーカルは、優しさに充ち満ちているし、安堵の世界に導いてくれる。このあたりにファンはやっぱり魅せられているのだろうと想像する。
 デビューから既に20年以上経過しているわけで、力みのない唄い回しからも、円熟期の彼女のアルバムという雰囲気はやはり感じられるところであった。
(参考)セリアSilje Nergaardの過去のアルバム
  • Tell Me Where You're Going (1990)
  • Silje (1991)
  • Cow on the Highway (1995)
  • Brevet (1995)
  • Hjemmefra - From Home (1996)
  • Port of Call (2000)
  • At First Light (2001)
  • Nightwatch (2003)
  • Darkness Out of Blue (2007)
  • A Thousand True Stories (2009)
  • If I Could Wrap Up a Kiss (2010)
  • Unclouded (2012)
  •  

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    2012年8月13日 (月)

    トルド・グスタフセンのピアノで聴く女性ヴォーカル・アルバム(2):セリア「nightwatch」

    ノルウェーのセリア(シリエ・ネガード)Silje Nergaardは、日本での北欧ブームの先駆け

    SILJE NERGAARD 「nightwatch」 
    Universal Music  0602498656488 ,  2003

    Nightwatch_3

     ノルウェーのトルド・グスタフセンのピアノ・ブレイに惚れ込んでいる私ですが、彼はそれなりに唄もののバックもこなしているようだ。
     このアルバムは90年前半から日本でも知る人ぞ知るノルウェーの女性ジャズ・シンガー・セリアSilje Nergaard の2003年のアルバム。彼女も歴史的には1989年にあのギタリストのパット・メセニーの力を得てロンドンでデビューして好評を得ている。曲調は、ジャズといってもポップ色もかなり濃く、そして声の質はやや細身であって、パワーのあるタイプでなく、なんとなくあどけない感じのするところもある。そんなところが持ち味で日本では結構1990年代にお馴染みにもなっていた。しかし私自身は当時はそれほど興味を持っていたわけではなかった。
     このように経歴をみると既にベテランのシンガー・ソングライターといっていい。その他、芸術に広く才能を発揮しているようで、彫刻、絵画などの活動もあるという。
     

    Siljenergaard1  さて、このアルバムのメンバーは下記の通り・・・・

     Silje Nergaard : vocals
      Tord Gustavsen : piano + fender rhodes
      Harald johnsen : acoustic bass
      jarie vespestad : drums

      
        ・・・このメンバーに加えて曲によってストリングスが加わったり、ギター、トランペット、フリューゲルホーン、サックスがバックを支えている。
     そうは言っても、私にとってはトルド・グスタフセンのピアノを聴きながらというのが嬉しいところ。そんなところから手にしたアルバムでもある。

    Nightwatchlist  収録全12曲中11曲が彼女のオリジナル曲。シンガー・ソングライターの面目躍如と言ったところ。
     ”this is not america”のみパット・メセニーとデヴィット・ボウイによる曲だが、何故この1曲のみが加わったのか?と言うところは解らないが、このアルバムの中では一つのポイントとなる出来の良い曲だ。
     Jazzyな曲で、トルド・グスタフセンのピアノが中盤や、後半にソロに近い演奏が聴かれる曲”how am i supposed to see the stars”、”in a sentence”などがなかなか良いし、”unbreakable  heart”もピアノの味と彼女のヴォーカルの聴かせどころの曲だ。その他”dance me love”などのピアノとトランペットをバックにしてのバラード調の曲もいい線をいっている。
     しかし全体のアルバムの印象としては、英語で国際的なところを狙っているとは思うが、ジャズ特有の演奏やヴォーカルの面に於いて、妖しげでスリリングなところがあまりないというところで、私好みからは若干物足りなさも感ずるアルバムでもあった。

    (参考)トルド・グスタフセンhttp://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/tord-gustavsen-.html

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