女性ヴォーカル(ジャズ3)

2016年10月21日 (金)

エレン・アンデションEllen Andersson 「I'LL BE SEEING YOU」

スウェーデンからの新人女性ジャズ・ヴォーカルのカルテット・・・・・これはいけるかも

 

          Ellen Andersson エレン・アンデション

 

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<Jazz>
Ellen Andersson Quartet 「I'LL BE SEEING YOU」
PROPHONE / SWEDEN / PCD165  / 2016

 

IllbeseeingtouwEllen Andersson Quartet:
Ellen Andersson (vocal)
Anton Forsberg (guitar)
Hannes Jonsson (bass)
Sebastian Brydniak (drums)

special guests:
Peter Asplund (trumpet on 2,4,7)
Oilly Wallace (alto saxophone on 3,6,9)
2016年1月デンマークのコペンハーゲン録音

 

 

 

 1991年スウェーデン生まれの若手ながらな興味深い独特の味を持つ女性シンガーの登場だ。彼女は母国スウェーデンやデンマークのシーンで、ソロ歌手として、またヴォーカル・グループ「トゥシェTouché」(デンマーク)のメンバーとして精力的に活躍している。
 こうしてとにかく歌姫は世界で尽きること無くお目見えして来るわけで、歓迎です。

 このアルバムは彼女のヴォーカルにギター、ベース、ドラムスのカルテット・スタイルをとっているが、これがなかなかのインティメイトな雰囲気を盛り上げての演奏で、ジャズの持つ躍動と一方繊細な哀愁と、そしてスウィングすることも忘れずに自在に演じきっていて、そこに曲によってスペシャルゲストとしてのトランペット(Peter Asplund スウェーデン)、アルト・サックス(Oilly Wallace デンマーク)が乗ってくる。こんな洒落たジャズ演奏で、M4”Au Privave ”ではインスト部分たっぷり演じ、それに彼女の広域をカヴァーする魅力あるヴォーカルが乗ってくるといった洒落かただ。

 

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 スウェーデンということなのか、彼女の若干なまりのある英語が結構魅力を発揮するし、ややキュートに歌うところがあって、若さの割には訴えると言うか味を印象づけるヴォーカルを展開している。
 又M6” Gloomy Sunday ”では、ややハスキーな厚めのヴォーカルも聴かせ、低音から高音まで見事にカヴァーしていて芸達者ぶりも発揮。又M8”Smile ”は結構洒落たギターがたっぷりと演奏して、それにねっとりと彼女が唄うところはなかなかチャーミングでもある。

 いやはやこれはカルテットと言うだけあって、単なるヴォーカル・アルバムでないしっとりとしたジャズを聴かせるところが、私にとってはこれからの注目株だと捉えたところ。
 
(Tracklist)

 

1. 'S Wonderful
2. You've Changed (feat. Peter Asplund)
3. A Day In The Life Of A Fool (feat. Oilly Wallace)
4. Au Privave (feat. Peter Asplund)
5. I'll Be Seeing You
6. Gloomy Sunday (feat. Oilly Wallace)
7. Everything I Love (feat. Peter Asplund)
8. Smile
9. I Cried For You (feat. Oilly Wallace)

 

 (視聴)

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2014年8月25日 (月)

イヴィ・メンデスIve Mendes : 「MAGNETISM」

ちょっと不思議なムードのフュージョン・女性ヴォーカルもの
~夏の夜の一時を~

<Jazz>
 Ive Mendes 「MAGNETISM」
     Mizak, JPN , MZCF-1290 ,  2014


Magnetism

イヴィ・メンデス (vo,  produce)
ロビン・ミラー (g, p, fender  phodes, perc, produce)
マーク・スミス (b, produce)
アレックス・ガーネット (s)
マット・ホランド (tp)
トリスタン・バンクス (ds)
ソニア・スレニー (vln)
ニック・クーパー (cello)

Ive1
  イヴィ・メンデスIve Mendesは、”ブラジルのシャーデー?”なんてふれこみのようだが・・・、ブラジルの中心地ジオアニアというところの出身であり、それがロンドンでシャーデーを世に出したロビン・ミラーの目にとまり、彼のプロデュースでこうしてデビューしたことによるのだろうか?。しかし音楽の質はちょっと違いますね・・・・。
 それにつけても、彼女のボリュームのあるヴォーカルがブラジル的ボッサのムードを醸しつつ、ロビン・ミラーの英国風なクラブ・ミュージックとの融合といってよいか不思議な感覚を呼ぶ。そしてどちらかというとスローに都会的に、そして夏の夜向きに仕上げた作品集。

 これは彼女のなんと二枚組の2ndアルバムで、日本にお目見えしたのは今年2014年であるが、もう数年前のリリース・アルバムだ。日本向けに一枚ものに再編集ものらしい。
 結構セクシーな面を狙っている風も感じ取れる。彼女は紹介には年齢が書いてないが、うーん、それなりに貫禄も有り、そういった歳なんでしょうね。そこがこんなムードを作る器量があるんでしょう。

List
 Tracklist は、左のように全15曲。彼女自身のオリジナル曲を披露するが、例えば3曲目”I don't want to talk about it もう話したくない”のようにロット・スチュアートのヒット曲も登場する。そうそうスタート曲”Yellow”もヒット曲のカヴァーだ。そして”Eu sei que vou te amor あなたを愛してしまう”のようにブラジルのジョピンの曲でポルトガル語のヴォーカルも披露。
 アルバム・タイトル曲の”Magnetism”は、パーカッション、ギターのリードで、ストリングスの調べも流れる中に、ちょっと不思議なメロディーでこんなところがクラブ・ミュージックの流れなのか、ちょっと面白い。
 
 
 

 とにかくご縁があって、私のところに舞い込んだアルバムで、彼女のことは全く知りませんでした。これはいずれにしても、低音を生かした女性ヴォーカル中心もので、雰囲気はやっぱり夏の夜といっていい。
 しかしこの手は、ややそれなりに聴くところを幅広くカヴァーしてゆく輩には聴かれるだろうが、日本でのジャズ・ヒットとしての位置は多分難しいのでは?と思われるアルバムである。

 

(視聴) ”I don't want to talk about it”

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2013年10月15日 (火)

ニッキー・シュライアNicky Schrire「Space and Time」

優しさと・・・清楚感と・・・・・

<Jazz> NICKY SCHRIRE 「space and time」
              Nicky Schrire Music 101  ,   2013

             

             
Spaceandtimetr

Nicky Schrire (voice),
Fabian Almazan (piano-3, 5, 7, 10),
Gerald Clayton (piano-2, 6, 9, 11),
Gil Goldstein (piano-1, 4, 8, 12)

All arrangements by Nicky Schrire
Produced by Matt Pierson
Released 10 September 2013 by Magenta Label Group/eOne Distribution

 ここにNICKY SCHRIRE(ニッキー・?)という女性ヴォーカリストの不思議と言うか、安堵感をもたらしてくれるアルバムが登場した。
 このアルバムは彼女の優しきヴォーカルとピアノのみの世界である。そしてちょっと最近体験しなかったムードに包まれる。これは誰でも一度は聴いて良いとお勧めアルバム。
 全曲彼女のアレンジメントとなっており、彼女自身のオリジナル曲も4曲登場する。プロデュースはダイアナ・クラール、ブラッド・メルドーなどを送り出しているマット・ピアソン。

Dsc9182(TRACKLIST)
1. You're Nobody Till Somebody Loves You (Cavanaugh, Stock, Morgan)
2. I Wish You Love (Trenet, Chauliac, Beach)
3. A Song for a Simple Time (Schrire)
4. Someone to Watch Over Me (George & Ira Gershwin)
5. Teardrop (Del Naja, Marshall, Vowles, Fraser)
6. Bless the Telephone (Siffre)
7. And So I Sing (Schrire)
8. Seliyana (Ntoni)
9. When You Go (Schrire)
10. Say It Isn't So (Berlin)
11. Here Comes the Sun (Harrison)
12. Space & Time (Schrire)


 彼女は、ロンドン生まれ、南アフリカ共和国で育ち、その後ニュー・ヨーク在住でマンハッタン・スクール・オブ・ミュージック卒業という経歴が紹介されている。ニュー・ヨークを拠点にしながらも、活動の場は広く南アフリカ、ダブリン、ロンドン、ロサンゼルス、ボストンなどで支持を受けているようだ。年齢は不詳だが20ー30歳代というところでしょう。
 声の質は極めて清楚。変な技巧を凝らすところが無いところが好感もてる。
 このアルバムは、ピアノそのものの演奏も優しく美しい世界を作り上げ、彼女の牧歌的とも言えるムードを持った歌声が優しく広がるのだ。まあ女性ヴォーカルものと言っても多種多様ではあるが、しかしその方面のファンは一度は聴いておく価値がある。所謂単純にジャズ・アルバムと言って良いかどうか?、クラシック的、トラッド的ニュアンスが加味された一種独特世界である。
 このアルバムは彼女の2ndアルバムで、デビュー・アルバムは「Freedom Flight」 (2012)がある。

(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=YSzwIFZeYcU

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2011年6月18日 (土)

ジェニファー・ウォーンズjennifer Warnes のアルバム

アメリカン優良音楽
万人受けのクセのないカントリー調コンテポラリー・ミュージック

Jenniferwarnes  ジェニファー・ウォーンズJennifer Warnes (1947年ワシントン州シアトル生まれ、21歳で1stアルバムをリリース。後にカントリー・ロックで花を咲かせる。映画主題歌などで評価を得る)は、どうゆうわけか深入りしなかった。もともと私が知ったのは、もう30年近く前と思うが米国カントリー・ロック系のヴォーカリストとしてである。さほど興味もなく忘れて来たわけだが、一昨年であったか、友人が突然彼女のアルバム「The Well」を送ってきた。これを聴いたときに完成された女性ヴォーカルものとして聴いたわけだが、声の質や唱法にクセもなく優等生のアルバムとして私の評価に入っていた。
 さてその後今年になって別の友人から、”このブログで多くの女性ヴォーカリストを取り扱っているのに、ジェニファー・ウォーンズを書かないのはどうか?”と、ご意見があり、有り難いことにこのつたないブログを読んでいてくれることに感謝しつつ、そのご意見によりここにちょっと触れることになった(実はこのブログでは2010.3.22にレナード・コーエンを取り上げた時に、彼女のアルバム「Famous Blue Raincoat」に触れたのであるが、扱いが軽すぎたかも・・・と、反省している。

<Country, Folk,   Contemporary Music>
Jennifer Warnes 「The Well 24 KARAT GOLD EDITION
IMPEX / IMP8302 / 2009

Thewell  もともとこのブログでは、どちらかというとニュー・アルバムがリリースされることを契機に話題にしているため、彼女の作品は焼き直しが現在は主流であり触れなかったと言うこともあるが、まあ、左のGOLD EDITIONは、10年前のアルバムの2009年の三回目のリニューアル・リリース盤であり、手元にあるので取り敢えずご紹介だ。

 先にも触れたが、このアルバムは2001年のもの。それの音質改善+3曲追加盤。
   何回聴いても特に歌が変わるわけでないが、確かに音質は良くなっている。このマスター・テープは彼女自身が持っている代物らしい。2曲が5,6曲目に挿入され、Bonus track として1曲追加というパターンをとっている。

1. The Well,    2. It's Raining,   3. Prairie Melancholy,  4. Too Late Love Comes,  5. La Luna Brilla,   6. Fool For The Look (In Your Eyes),   7. Invitation to the Blues,  8. And So It Goes,   9. The Panther,   10. You Don't Know Me featuring Doyle Bramhall,   11. The Nightingale,   12. Patriot's Dream,    13. The Well (Reprise),     14. (Bonus Track) Show Me The Light featuring Bill Medley

 冒頭の曲はアルバム・タイトル曲の”the well”だが、これが彼女のこのアルバムに於けるメイン曲であることは最後に再登場させることからも窺える。やはりどちらかというとカントリー・ロック調のコンテポラリー・ミュージックというところか。もともとレナード・コーエンのバック・コーラスを担当していた経過もあり、彼の影響もかなり受けていることが解る。私がもともと熱を上げるタイプのロックとは異なるわけだが、そうは言っても悪くはない。
 そしてこのパターンでこのアルバムは進行するのであるが、このアルバムでは、3曲目の”prairie melancholy”も悪くない。そして二曲の名曲がある、一つは4曲目のトラッド曲”too late love comes”で、ジェニファーが歌詞を付けている。もともとカントリーというのは米国南部の白人系移民による曲が原点にあるもので、その後のカントリ・ロックやカントリー・ウェスタンへの流れはあまり私の好みでないが、こうした原点のトラッドへのアプローチは歓迎である。
 参考までに米国南部と言ってもディープ・サウスからのブルースは所謂黒人霊歌・労働歌を原点としての流れであり、セントルイス、シカゴ、ニューヨークと広がり、それぞれのパターンを創り上げるが、こちらはそこにはカントリーとは異なった私好みの世界が展開する。
 そして話は戻るが、7曲目になる才能の塊tom waitsの”invitation to the blues”は、このアルバムでも最高の出来である。ここに納められた曲の中では最もJAZZYな出来で、なんといってもドイル・ブラムホールIIのブルース・ギターが聴きどころだ。そしてトランペット、ピアノの響きが美しい。彼女のこのアルバム造りもこのパターンで行って欲しいところであるが・・・・・、それは私の好みの話で、それはジェニファーを愛するカントリー派には酷な話になってしまうであろう。

Doylebramhall  ジェニファーがシング・ソングライターとしての力量を発揮していることが解るのは、このアルバムにも彼女が関わった5曲が登場する。先にも触れたメインのタイトル曲”the well”もそうだが、そして忘れてはならないのは、彼女のタイプを鑑みて協力しているドイル・ブラムホールdoyle bramhall(ヴォーカルでも登場する=左)の力が大きい。彼はここにバック・バンドで貢献している美しいリード・ギターのドイル・ブラムホールIIの父親だ。彼のブルース・バンドのドラムスと作曲には定評があるところ。彼は1949年テキサス州ダラス郊外のアーヴィング生まれ、子供の頃からドラムスをたたき歌を唄い特にブルースには、あのブルース・ギターの開拓者のスティーヴィー・レイ・ヴォーンとバンドを組んでいた実力者。後半の”the panther”も彼が作曲に貢献している。

Doylesnowy  さてさて、更に話は進むが、息子のドイル・ブラムホールIIDoyle BramhallII(1968年生まれ)となると、これが私の好きなブルース・ギタリスト。彼がこのアルバムの殆どの曲のリード・ギターを務めている。むしろ私はその方が関心を持ったと言ってもいいのである。
 写真の左がドイルだ。右のギター職人スノーウィー・ホワイト(このブログの2010.8.20のアーティクル参照)と共演している。このカットは、あのピンク・フロイドのCreative Genius(創造的才能)と言われるロジャー・ウォーターズの「In The Flesh ツアー」(1999-2000年)に参加した時のもの。彼は左利きでギターを逆に持って演ずる。それも左利き用でなく右利き用の通常のものをひっくり返した状態で弦が付いている。そしてピッキングは下から上にアップでする。このあたりは特異で妙に印象深くなるのだ。それはさておき、あのギタリストにうるさいロジャー・ウォーターズに目を付けられるほどの当時は若きエース(参照:このブログでは2007.2.27に「ロジャー・ウォーターズにみるギタリスト・ベスト10」に取り上げている)である。

Dbiiwelcome 左は、このドイル・ブラムホールIIのアルバム。彼のテクニックを聴きたければ一聴してほしい。

「Doyle Bramhall II & Smokestack / WELCOME」 RCA 07863 69360 2 ,  2001
 彼は最近は、エリック・クラプトンにも気に入られ引っ張られて、あの”CROSSROADS GUITAR FESTIVAL”でも活躍しいる。

 ・・・・と、言うところで余談に余談を繰り返したわけであるが、ジュニファーのこのアルバム「The Well」に戻ってみると、どちらかというと作曲やバック・バンドに私の興味のある連中が揃っていると言うところが、私にとっての味噌となるアルバムなのだ。
 結論的に言うと、このジェニファーのアルバムは、カントリー色と米国に於ける常識派の優等生アルバムで、社会に優良音楽として受け入れてこられた通りのもの。彼女の歌声も例えばエヴァ・キャシディEva Cassidyの美しさには届かないが、完成度とテクニックは一流と言っていいと思う。
 最後に、私の女性ヴォーカルものへの期待の一部を紹介すると、Jazzyな世界と、そこに潜むやや危ない世界が見え隠れするスリリングなところが欲しいのである。その意味ではジェニファーは別の優良世界であってそれはそれ貴重であると言いとどめておきたい。

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2011年4月17日 (日)

NZ女性ヴォーカル: Brooke Fraser, Whirimako Black

 そもそも今年の地震騒ぎはNZ(New Zealand)からだった。あのビル崩壊の悲しい事件。そして3.11には、誰をも現状は想像をもしなかったであろう日本の危機、東日本大震災の悲劇。
 そんな時ではあるが、これらの事件とは全く関係ない事情で私に届いたNZ土産の女性ヴォーカル・アルバムの6枚のCD。とにかく聴いてみた。まずはそのうちの2ヴォーカリスト、Brooke Fraser とWhirimako Blackに焦点を当ててみる。

Brookefraserflags  「Brooke Fraser / flags」 columbia ,  2010.10

 これはニュージランドのシンガーソングライターであるブルック・フレーザーの3rdアルバム。彼女は目下NZでは押しも押されぬポップ界の人気ものとか。日本でも知る人ぞ知るというところのようだ。1983年12月生まれというから現在は27歳というところか。

 全て自己の作詞作曲の1stアルバム「What to Do with Daylight」(2003.10)と、米国デビュー・アルバムの2ndアルバム「Albertine」(2006.11)、そしてこの3rdアルバムの3枚を同時に聴いてみたところの感想だが、3枚それぞれ別の個性をみせるが、基本的にはフォーク調のロックの世界ではあるが、しかしどこかに心に響いてくる民族性が感じられる。彼女の父親はフィジー出身のラクビー選手とか。そんな環境が曲に出てくるのか。
Whattodowithdaylight Albertine  そしてやっぱり魅力は彼女の声の質であろう。柔らかく透明感あり聴きやすい。唄い回しも丁寧だ。アコギのみのバックでの唄なども聴きどころである。
Brooke_fraser  歌詞諸々内容的には単なる明るいポップではない。表現によるとCCM(Contemporary Christian Music )という範疇に入るものらしい。
 特に2ndアルバムではその点が顕著となる。トップを飾る”shadowfeet”という曲は英文学者でキリスト教伝道者C.S.Lewisの小説からインスパイアされたと言われている。死生観をテーマにしているようだ。
 更に、世界の子供をボランティア・寄付・募金により支援している国際NGO団体ワールド・ビジョンの公式アーティストとしても存在しているとか、彼女の世界がこんなところからも見えてくる。

 彼女はNZのウェリントン出身ということで、15歳で雑誌記者になって2002年には編集者になったという。その後オークランドを中心に音楽活動に入り、注目を浴びたようだ。
 目下リリースされているのはこの3枚のようだが、DVDもカップリングされている特別版もあるようなので、映像ものも見てみたいところ。
 ルックスは結構いけてるところもミソなんでしょう。私から見るとやはりフィジーの血をひいている面立ちで、その為というわけではないだろうが、顔が長い方で、イモージェン・ヒープにも似ている印象だが・・・?、そのあたりの感想は各自におまかせのところ。
 しかし、日本でも若い者達を中心にもう少し聴かれてもいいアルバムであることは事実である。

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Whirimakoblacksoulsessions  「Whirimako Blake / Soul Sessions」 Mai Music , 2006

 年期の入ったジャズ・ヴォーカリストの Whrimako Black です。NZのマオリ族の女性で、1961年生まれというので50歳ですね。びっくりするのは、アルバム・ジャケの写真でも解るように、民族的習慣なのか?口から顎にかけての刺青だ。
 それはそれとしてこのアルバムは、殆どジャズの有名スタンダード・ナンバーで埋め尽くされている。
 
 (List)
   1. stormy weather*
   2. georgia on my mind*
   3. good morning heartache
   4. black coffee*
   5. cry me a river
   6. misty*
   7. what a differebce a day makes
   8. summertime*
   9. the look of love
  10. our love is hero to stay*
  11. autumn leaves*

 彼女のアルバムは、2000年から6枚今日までリリースされているようで、このアルバムは5枚目の2006年のもの。

Whirimakoblack  静かに優しく聴かせるムードはなかなかのもの。バック・バンドもギターを中心にゆったりと支えていて気持ちが良い。
 又、歌詞は11曲中7曲(*印)がマオリ語で歌われていて(残りは英語)、これまた一種独特のジャズとはいえ、ソウルっぽいし、トラディショナルな世界も感じられ面白い。これはなかなか掘り出し物だ。
 ”cry me a river”は、flugelhornから始まり、guitarが静かにバツクを務め、じっくりと歌い上げ、後半は独特な節回しがなされて魅力あるものに仕上がっている。”the look of love ”は、昔のセルジオ・メンデス調を思い出させるが、これも又ヴォーカルが主体で聴かせる。それぞれの曲のこうした作りは日本で言うと民謡調といえる気分があって好感が持てる。”autumn leaves”は誰もが唄うところであるが、マウイ語でちょっと違った気分で聴けるところがミソ。

 先にも書いたが、やっぱりこれは私にとっては掘り出し物の世界で、もう少し別のアルバムも聴いてみたくなったところである。

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2010年12月25日 (土)

フレドリカ・スタールFredrika Stahl 「Sweep Me Away」

FREDORIKA STAHL ~フランスからのポップ・ジャズは粋だった

Photo1  フランス発のジャズ・シンガーということで、何となく聴くことになったフレドリカ・スタール Fredrika Stahl。彼女は1984年スウェーデン生まれの今年26歳の若手新進歌手。しかし幼少期はフランスで育ち、感受性の高い12歳には故郷に帰り、そして17歳にはスウェーデンの学校を卒業して、歌手を志して故郷を離れフランスはパリに再び住むことになる。2005年21歳で名門ジャズ・クラブ”ニュー・モーニング”に出演するようになり注目を獲得。ピアノを演ずるシンガー・ソング・ライター。2006年に1stアルバム「A Fraction of You」をリリースし好評得る。

Sweepmeaway 3rdアルバム「SWEEP ME AWAY」 Sony Music 88697647572  , 2010

 彼女はフランスのジャズ畑からの日本デビューであったようだが、このアルバムを聴くと、1stアルバムのジャズ色は消えて、もはやジャズとは言い難い。イントロを入れて14曲納められているが、全て彼女の作詞作曲。こんなところにも才能を感ずるが、彼女自身でピアノをも演じている。
 なんとなくシャンソンのような語りムードがあったり、ラグタイムragtimeぽかったり、フランスとスウェーデンの両国の異なった文化により形成された彼女により築かれたメロディー・ラインである。どちらかというとここまで来ると、ポップ系と言って良いのではと思う。

 そしてトータル感覚の上にアルバムが作られたようで、彼女のハミングの多重録音ハーモニーと語りの入るイントロからスタートするという手法で、なかなか粋なアルバムに仕上がっている。
  1. intro
  2. sweep me away
  3.fast moving train
  4. rocket trip to mars
  5.altered lens
  6. M.O.S.W.
  7. adrop in a sea
  8. she & i
  9. fling on boy
10. what if ?
11. in my head
12. Fading away
13. song of  july
14. so high

Live1  曲の演奏は彼女のPiano に加えて、Drums, Bass, Guitars, Wulitzer そして Strings が入る。
 そして歌声は、可愛らしさの残るクリアーなヴォイス。力みのない歌声。高音になるに従い優しい声になる。とにかく疲れない歌唱で印象は良い。
 既に来日ライブも行っているが、なかなか評判も良かったようだ。

1stアルバム「A Fraction of You」 (2006年)
2ndアルバム「Tributaries パリで見つけた12の贈り物」 (2008年)

 

 

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