ブッゲ・ヴェッセルトフト

2017年1月 4日 (水)

今年の酉年にちなんで・・・ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft 「TRIALOGUE」

その道の達人による未来志向のジャズとは・・・・

<Future Jazz>
Wesseltoft Schwarz Berglund 「TRIALOGUE」
Jazzland / nor / 060253786601 / 2014

Trialogue1

Recorded at Schloss Elmau Feb 2014
Bugge Wesseltoft(p), Henrik Shwarz(computer), Dan Berglund(b) 



 酉(とり)年にちなんで・・・・十二支の「とり」は、「鶏(ニワトリ)」の事になるようだが、まあ拡大して「鳥」ということでは、なんと言ってもこのジャケのアルバムだ。
 もともと「酉」の意味は、”果実などが極限まで熟した状態”を言うようで、従って”物事が頂点にまで極まった状態”を言っていることになる。しかしそんな意味でもこのアルバムの価値を見いだせるのである。

Trialogue2 これは2014年リリースだが・・・・今年新年早々に頭に浮かんだ。とにかく強烈なインパクトのあったものであり、今になったが是非とも記録しておきたい。
 しかしこのタイプのジャズは何と言えばよいのろうか?、フューチャー・ジャズと言う言葉があるが、これも漠然としている。とにかくエレクトロ・アコースティックでアンビエントな世界に、それに止まらずスリリングな味付けの中に抒情性すら感ずるという演奏が見事なアルバムだ。

 とにかくドイツ・ベルリンの奇才エレクトロ・ジャズのヘンリク・シュワルツHenrik Shwarzに、ノルウェー・オスロのジャズ・ピアニストのブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoftが合体、そこにスウェーデンのあのE.S.T.で知られたベーシストのダン ・ ベルグルンド Dan Berglundが合流したんですから、それはやっぱり単なるトリオでなく未来志向の快作になるのは推して知るべしであった。
 又ブッゲ・ヴェッセルトフトは、昨年秋に来日、それも5人の女性を引き連れての再興プロジェクト「ニュー・コンセプションズ・オブ・ジャズ(NCOJ)」2016年版として話題をさらった。しかし彼は私好みとしては、クラシックのイメージすら感じさせる『it's snowing on my piano』(1997, 2013再発)『Songs』(2012)のようなソロ・ピアノのアルバムもあり、更に、同郷のシゼル・アンドレセンとのコラボレーションも印象深く、非常に不思議な人だ。

Wsbjoach

 そしてこのアルバムは非常に録音もリアルで良好。スタートM1.”Interlude”は、我がオーディオ装置が壊れたかと思わせる不思議な雑音様のコンピューター・サウンドを交えて、ピアノが深遠な世界に導く。しかしこうしたテクノ系にしてはベースはアルコ奏法を交え不思議な世界に導き、ピアノの調べは極めて叙情的で美しい。このテクノ感覚の斬新さにクラシック調の演奏がかみ合って聴くものを引き込んでいくのだ。曲はインプロヴィゼイションの流れを取り込んでの彼らのオリジナルもので効果を上げている。又曲によってヴァイオリン、ビオラ、チェロなどが加わって一層クラシック・ムードを盛り上げる。
 ピアノ・トリオを愛する者にはテクノ指向は実は受け入れないところと思うのだが、何故かこのアルバムはおそらく抵抗なく入ってしまうのではと、私自身がそうであったことから想像してしまうのだ。それ程異色快作であった。

(視聴)

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2015年12月12日 (土)

ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft ピアノ・ソロ : 「it's snowing on my piano」

雪にちなんで・・・・・「静」を音で表現

 この数日は本列島も雨、暖冬というところは住みやすいという感じでもあるが、地球温暖化のもたらすものか?、実はそれによる自然界に於ける変化はそう生やさしいものではなさそうだ。地球規模の天候の変化、動植物の生態系の変化などは、実はかなり恐ろしいのだという。
 ただただ物質を求めての人間の欲求の生み出すところの結果ではあろうが、今何をすべきかはもっともっと真剣に考える必要がありそうだ。

 さてその暖冬とはいえ、年の瀬を迎えていよいよ雪の季節です。先日ノルウェーのブッゲ・ヴェッセルトフト Bugge Wesseltoftのピアノ・ソロ・アルバム『SONGS』 を取り上げたのですが、エレクトロニクスによるフューチャー・ジャズが売り物の彼としては、意外にもエレクトロニクスを加味しないピアノ・ソロの美しさを知らしめるというアルバムで驚きました。
 そしてさらに友人から彼のこの季節にマッチしたもう今から十数年前のアルバムであるが『it's snowing on my piano』   (2013年再発)の紹介もあって、この季節を感じつつ今にして納得している作品であるので、ここに記録と言うことに相成った。

   <Jazz>
          Bugge Wesseltoft「it's snowing on my piano」
         ACT / GER / ACT9260-2 / 2013

Buugepiano

   Recorded Oct.15-16. 1997  Rainbow Studio, Oslo, Norway
      Bugge Wesseltoft : Piano

 ECMの多くの作品を録音しているRainbow Studioでの録音もの。
 まあとにかくBuggeと言う人は、丁度この録音していた時期(1997年)は、主としてフューチャー・ジャズということでエレクトロニクスを駆使したジャズで売り出していた時で、一方でこんなアルバムを残していたとは信じられないところですね。

Bugge4(Tracklist)

1. IT'S SNOWING ON MY PIANO*
2. IN DULCE JUBILO
3. MITT HJERTE ALLTID VANKER
4. DEILIG ER JORDEN
5. O LITTLE TOWN OF BETHLEHEM
6. DU GRONNE,GLITRENDE TRE
7. DET KIMER NAB TIL JULEFEST
8. WHAT CHILD IS THIS(GREENSLEEVES)
9. KIMER,I KLOKKER
10. ES IST EIN ROS ENTSPRUNGEN
11. STILLE NACHT,HEILGE NACHT
12. INTO ETERNAL SILENCE*
Music composed(*) and arraged by B.Wesseltoft

 とにかく冒頭のM1から、静かな夜の降り注ぐ雪が頭に浮かんでくる。この”静”を音で表すのであるからミュージックというものの奥深さである。
 そして全編優しいピアノの音が広がっている。北欧の冬の夜が描かれているのだろう。そして安堵の気持ちが湧いてくる清い演奏。
 演奏テクニックを見せつけるという技巧派というよりは、音の余韻、流れ、タッチを尊重しての世界であって、ここには彼のセンスが込められている。
 裏ジャケットには、幼い子供を膝に乗せてピアノを弾くBuggeの姿が見えるが、そんな世界も又良いものです。

(試聴)

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2015年9月10日 (木)

初秋に聴くピアノ・ソロ2題 ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft「SONGS」と マーティン・ティングヴァルMartin Tingvall「en ny dag」

あの猛暑から一転して秋は確実に訪れて・・・・・

 今年の夏は7月からの猛暑で圧倒された年ではあったが、考えて見ると短かったとも言える。もう外は虫の声の合唱で、秋が来たことを知らせてくれているのだ。
 こんな時にはふと、心安まるピアノ・ソロが何とも言えずこの秋を歓迎するのだ。

 ここに2012年リリースされた二枚のアルバムが私にとってはこの秋スタートである。

        <Jazz>  
                  BUGGE WESSELTOFT  「SONGS」
                       Jazzland / Europe / 2791733 / 2012

Songs2
         Recorded in Bugges Room,April-September 2011
                 Bugge Wesseltoft : Piano

Buggelist
 もともとノルウェーのジャズ界の革新派で、この自ら作り上げたJazzlandレーベルで、エレクトロニクス派としてのサウンドを売り物に、まさしく未来ミュージックを作ってきたというブッゲ・ヴェッセルトフトJens Christian Bugge Wesseltoft。
 その彼の全くのピアノの原点を探るような聴き慣れたスタンダード曲(左リスト参照)のソロ演奏。2012年にリリースされたこのアルバムに今にして聴き惚れている。
 とにかくあの曲が、ここまで静かに美しく情緒たっぷりに心の奥まで鎮めてくれる曲となって、私にとってのこの秋の夜を演出してくれるとは・・・・・。

Bugge2
 彼のピアノ・ソロとしては1997年『It's Snowing on My Piano』、2007年『Im』、2009年『Playing』に続くもの。
 私は彼の作品にはあまり接触してこなかったが、ここに来て友人の紹介もあって納得して聴いている訳である。秋の夜にはふと我を見つめるに格好のアルバムだ。しかしこの落ち着き感は凄い・・・・。

                    *          *          *          *          *          *

     
      <Jazz>

               Martin Tingvall  「en ny dag」
               SKIP / GER / SKP91172 / 2012

En_ny_dag            
                  Martin Tingvall : Piano

 こちらはドイツの俊英ピアニスト(と言っても生まれは1974年スウェーデン)のマーティン・ティングヴァルMartin Tingvallによる2012年リリースの初のピアノ・ソロ・アルバムである。彼が主催する異色のインター・ナショナル・メンバーのピアノ・トリオ「TINGVALL TRIO」は私のお気に入りで、過去のECM的なスタジオ・アルバム(『Skagerrak (2006)、『Norr 』(2008)、『Vattensaga 』(2009)、『Vägen 』(2011)、『Beat 』(2014))は私の愛蔵盤でもある。

 (参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/tingvall-trio.html

 そんな訳で、彼のピアノ・トリオ・アルバムはここでも既に取り上げてきたところだが、このソロ・アルバムは、実は今回初めて聴くことになったもの。

  • (Tracklist)
    1. En Stjärna Faller 2:10
    2. En Början 4:25
    3. Debbie And The Dogs 4:20
    4. Efter VI Skildes Åt 4:22
    5. En Ny Dag 4:45
    6. Det Är Åska I Luften 3:46
    7. Så Hissas Flaggan På Midsommarafton 4:09
    8. Utan Ström I Harare 3:30
    9. Till Dem Därhemma 4:41
    10. Kvällens Sista Dans 4:14
    11. Myggan Som Inte Ville Dö 3:05
    12. När Barnen Sover 3:15
    13. Dagens Slut 1:55
  • Martin1 彼の描くところ、北欧からのメロディーがやっぱり流れてくると言うところか。その美しさというところは、何故か日本人の我々の郷愁を誘うという世界。
     4曲目”Efter VI Skildes Åt” は、”パーティーの後”という意味になるのだろうか、又12曲目”När Barnen Sover ”(”幼子が眠る時”?)などのこの郷愁感はもはや絶好調。
     美しいピアノ・メロディーの世界には、”都会の夜の静かさ”と”どこか都会から離れた自然に包まれた世界”と二つに分けてみると、彼の世界はやっぱり後者だろうなぁ~と思うのである。

     秋になってふと我に返って聴いた万人に推薦できる二枚のアルバムだった。

  • (視聴) Bugge Wesseltoft
  • (視聴) Martin Tingvall

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