アーロン・パークス

2019年8月10日 (土)

エマ・フランク EMMA FRANK 「COME BACK」

SSWのフォーキーにしてエレガントなヴォーカル

<Jazz , Rock, Pops, Folk>

EMMA FRANK 「 COME BACK 」
JUSTIN TIME RECORDS / Canada  /  RCIP-0289 / 2019

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Emma Frank (vo)
Aaron Parks (p , syn)
Tommy Crane (ds)
Zack Lober (b)
Franky Rousseau (g , syn)
Simon Millerd (tp) #6
Chi eh-Fan (vla , vn) #1, 3
Pedro Baraquinha ( g , b , perc , syn) #9

 この歌手は私の場合初物である。ちよつと巷ではそれなりの評価が出ている様子であり聴いてみたモノである。
 この作曲家・歌手のエマ・フランクEmma Frankはアメリカ生れで、カナダ・モントリオールの大学へ文学を専攻するために住んだ。そこでミュージシャンとしての道に進み、現在カナダ、アメリカでの音楽活動の道にいて、どちらかというとニューヨークが中心の活動になっているようだ。
 このアルバムはプロデュサーのフランキー・ルソーの力が大きいようだが、エマ・フランク自身も作曲家としての力を十二分に注いだものであり、又注目されるのはジャズ・ピアニトストとして今や私も関心の高いアーロン・パークスのピアノがバックに控えているところだ。この関係でのアルバム2作目となるものとか。

Emmafrank2 (Tracklist)
1. I Thought
2. Either Way *
3. Two Hours
4. Sometimes
5. Promises
6. Dream Team *
7. See You
8. Lilac *
9. Before You Go Away

*印以外はEmmaのオリジナル曲

 冒頭のM1."I Thought" は、シンガー・ソング・ライターでヴォーカリストの彼女の曲からスタート。成る程これはフォークぽい流れの中にエレガントな世界が展開し牧歌的世界というのが当たっている。彼女の歌声もソフトにして美しく包み込むような魅力がある。バックにはアーロン・パークスのピアノ・トリオに加えてViola, violin も加わっての曲作りだが、これはジャズというよりは、Folk, Pops, Rock の世界である。そしてその流れはM2.においても同様で、これがアルバム全編に及んでいるのだ。
 私はジャズの愛好者ではあるが、もともとロックの愛好者でもあり60年代から延々と続いているのだが、実はその流れからしてこの曲作りをみると、メンバーがジャズ・メンということでジャズと思われるかもしれないが、明らかにジャズというよりはPopsに近いFolkの世界であって、そのためジャズ愛好者からは異色で関心がもたれるのかもしれない。
 M3."Two Hours"は彼女自身の曲だが、支えるピアノにもまして高音の流れるような歌声、そしてハーモニー、ストリングスの流れが美しい曲。
 M5."Promises"、ここでは、ヴォーカルとピアノが対等に歌い上げるが、やはりパークスのピアノは魅力的。
 ここまで聴いてくるとM7あたりは添え物程度の曲で、M8."Lilac"になって、何か展望を感ずる世界を訴える。パークスのピアノもここでは弾んでいる。
 最後のM9."Before You Go Away" になってギターが登場してフォーク・ムードを静かに支えるも、パーカッション、シンセが参加して展望的に広がって終わる。

 確かに全編ノスタルジックで情緒豊かであり、暗くはないが、ただ明るいわけでもない。そこには歌詞の意味を十分理解してみないと簡単には評価してはいけないムードも感ずる。とにかくソフトにして美しくエレガントで、自然の中での人間の存在の価値観にも通ずるところも感じられて良いアルバムである。ただしやはりこれはジャズ分野で取り扱われているが、ジャズとは言いがたいですね、技法だけでなく世界観が違うとみる。

(評価)
□ 曲・演奏・歌 ★★★★★☆
□ 録音     ★★★★☆

(試聴)    " I Thought "

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2017年6月16日 (金)

アーロン・パークスAaron Parksピアノ・トリオ作品「Find The Way」

メリハリある抒情派美旋律が聴けるトリオ・アルバム

<Jazz>
Aaron Parks 「Find The Way」
ECM / GER / ECM2489 / 2017

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Aaron Parks (piano)
Ben Street (double bass)
Billy Hart (drums)

Recorded Oct. 10-12, 2015 at Studios La Buissonne, Pernes-les-Fontaines

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51d09vewdvlw アーロン・パークスは、なんと10歳代の1999年からアルバム・デビューしているが、30歳になって(2013年)ピアノ・ソロ・アルバム『Aborescence』ECM/GER/3744401/2013 →)でECMデビューを果した。そして既にここで取りあげたことのあるピアニストだ。あの作品は静かな森、樹木の情景の中の一つの空想、瞑想といった世界を描いたのであろうかと思わせた神秘的情景の作品で注目したのだった。そして今回はピアノ・トリオ作品、ECM2作目である。

 彼は今やアメリカの人気ピアニストで、1983年ワシントン州シアトル生まれで、まだ30歳代の新進気鋭である。
81qjz1hm4hl__sl1400_w_2 私は出逢ったアルバムの古いものと言っても、2008年のBlueNoteレーベルのアルバム『INVISIBLE CINEMA』(with  Mike Moreno, Matt Penman, Eric Harland  Universal.M.C./JPN/UCCQ9018/2014→)であり、近年の話である。。しかしそれ以前から、女性ヴォーカル・アルバム(Monika Borzym , Rebecka Larsdotterなど)のバックでのピアノを演ずることも多く、そんな活躍して来ている。
 今回は、ECMという流れの中でのトリオ作品であって、十分堪能出来るアルバムを仕上げてくれた。

(Tracklist)
1. Adrift
2. Song For Sashou
3. Unravel
4. Hold Music
5. The Storyteller
6. Alice
7. First Glance
8. Melquiades
9. Find The Way

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(Billy Hart,    Aaron Parks,   Ben Street )

 さてこのアルバムは、冒頭の曲M1.”Adrift ”のピアノの流れは、私のあまり好きはでないミニマル・ミュージックに通ずるような奏法から始まって、オヤッと思ったがそれがそのまま続くわけでなく、期待通り美しい戦慄が流れる。この曲ドラムスの叩き込みのアクセントはかなり攻めてくるが、ピアノの美旋律とのバランスが面白い。全編ピアノの音は澄んで美しく、旋律もヨーロッパ的なニュアンスも感じられ、抒情派のムードも悪くない。
 面白いのは、トリオ・メンバーのベーシストはBen Streetと、そしてドラマーBilly Hartの力強さを感ずるダイナミックなリズム隊で、曲によっては快調でメリハリがあってなんとも言えないスリリングな流れを作り上げ、美旋律ピアノとのインター・プレイがなかなか味なもの。特にM4.” Hold Music” は、アルバムの中間部に登場する曲だが、Billy Hart のドラムス主導で異色な仕上げ。そしてそれがM5.”The Storyteller ”、M6.”Alice”に流れて、単なる抒情派ではないトリオによるやや前衛的な響きもあって、現代的なセンスのインター・プレイを聴き取れる。そこにはパークスのピアノも単なる甘いロマンティックというところに止まっていないところが見事である。

 アーロン・パークスのピアノは、全体に不思議に力みというところは感じない。それは感じられる情景を、意外に冷静な中での対応をしていて、それをハイレベルな技法によって生み出される流麗なピアノの響きでもってして表現している事のためか。
 アルバム全体に起伏もあり、抒情的な美しいメロディーも流れて来るので、私にとっては納得のアルバムだ。以前聴いたBlue Note盤の『INVISIBLE CINEMA』と比べると、むしろ取っつきやすいアルバムである。これはECM効果の結果だろうか。

(参考)  Aaron Parks  :  Discography
         The Promse  1999
         First Romance  2000
         The Wizard  2001
         Shadows  2002
         Invisible Cinema  2008  Blue Note
         Alive in Japan   2013
         Arborescence   2013  ECM
    Find The Way  2017   ECM

(試聴)

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2014年2月19日 (水)

アーロン・パークスAaron Parks ソロ・ピアノ・アルバム : 「ARBORESCENCE」

樹木の繁る森の中にての・・・・・・ピアノの調べ

<Jazz> AARON PARKS 「ARBORESCENCE」
              ECM Records  / CD / ECM 2338 / 2013
                           
Aaron Parks (p)
Producer : Sun Chung / November 2012, Mechanics Hall, Worcester MA
Rec. Engineer : Rick Kwan / Avatar Studio, NY / Music by Aaron Parks

Arborescence

  ECMからのリリースで、最近結構取り上げている人の多いアーロン・パークスのピアノ・ソロ・アルバム。実は私はこのアルバムで初めての彼のプレイに接したというところで、彼の過去の作品との比較的見解は述べられないのだが、前作はBlue Note 盤の「Invisible cinema」でカルテットというアンサンブルでのピアノ・プレイであったようだが、今回はソロ・アルバムということで様相を異にしている。いずれにしてもこのアルバムはECMということで、それなりの作品であろうことは想像するところだが、結果はそのとおり。
 しかしプロデューサーが、Sun Chungとなっている。ちょっと意外というか彼はManfred Eicherの片腕か?、これが初プロデュースらしいが。
 このアルバムのTracklistは下記の通り11曲。全てアーロン・パークスのオリジナルというか即興が殆どのようだ。

  1. Asleep In The Forest
  2. Toward Awakening
  3. Past Presence
  4. Elsewhere
  5. In Pursuit
  6. Squirrels
  7. Branchings
  8. River Ways
  9. A Curious Bloom
10. Reverie
11. Homestead

Aaron1b_2 アーロン・パークスは、1983年シアトル生まれというから新進気鋭と言って良いだろう。14歳にてなんとワシントン大学に入学、数学、コンピューター、音楽を専攻したと紹介されている。16歳にしてマンハッタン音楽院に入学し既に作品を録音している(「The Promise」)。そして24歳にして前作にてブルー・ノートからのデビューにより脚光を浴びると言うことになった。

 さてこのアルバムに関してだが、彼の言葉によると”収録した音楽は、事前に準備無しで録音したホールで生まれたものがほとんど。私の作品やスタンダードも演奏し録音したが、後で聴きなおしたもので気に入ったのは殆ど即興だった”と言っている。結果的にこのアルバムには彼自身の2曲以外は即興演奏が収録されている。 

その曲群であるが、アルバム・タイトルや曲のタイトルからみても静かな森、樹木の情景を描きつつ、その中に埋もれての内省的とも言える感じで、一つの空想、瞑想といった世界を描いたのであろうか?。聴く者にとっても静かにしてある意味での安堵感に浸れる。そして神秘的な情景が頭に浮かんでくるのである。ピアノの響きもなかなか快感に近いところにあって、即興であるからこそ彼の描くところが何か優しさに満ちているようにも聴こえる。

 5曲目の”In Pursuit”あたりに一つの盛り上がりをみせ、” Squirrels”にて前衛性に近いタッチもみせるが、全体的には気品のあるクラシックにも通ずるピアノ・プレイは、なかなか聴きどころも多い。ECMからこのような作品をリリースしたが、今後このパターンを続けるのか?、逆に攻撃的なアプローチをしてみせるのか?、これからの彼には興味が尽きない。

        Aaron Parks  :  Discography
         The Promse  1999
         First Romance  2000
         The Wizard  2001
         Shadows  2002
         Invisible Cinema  2008  Blue Note
         Alive in Japan   2013
         Arborescence   2013  ECM
 

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