寺島靖国

2021年4月11日 (日)

Yuko Ohashi Trio 「KISS from a ROSE」

ピアノ・ソロに近い演奏、トリオの味に欠ける
・・・録音が頼りのアルバム作成
今回のボーナスディスクは前代未聞の「ラフミックス」

<Jazz>

Yuko Ohashi Trio 「KISS from a ROSE」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1096 / 2021

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大橋 祐子 (piano)
鉄井 孝司 (bass)
高橋 延吉 (drums)

2020年12月1日 ランドマークスタジオ録音

  寺島レコードよりの作品群にて、何かと注目を集めてきたピアノの大橋祐子(東京都八王子市出身)の5作目のリーダー・アルバム。とにかく寺島靖国の期待を担っての、メンバーを一新したニュー・トリオによる第1弾となっている。
 前作『WALTZ NO.4』(TGCS-9672/73)は、なんとスタジオ録音とホール録音をペアにしての対比を楽しませて頂いたが、今回は又々驚きの完成ミックス版と、録音時そのままのラフミックス版をペアにしての発売で、これまたおそらくオーディオ好きにはたまらない規格ものになっている。
 更にピアノ・トリオ好きにとっても、これもなかなかの企画で嬉しいのだが、恐らく・・・・と想像しながら聴いたのであったが、少々ここに登場は遅れました。つまりそれにはそれなりの理由があって、その他の傑作の後回しになってしまった。それも以下の感想でお解りになるだろう。

(Tracklist)

01. I Fall In Love Too Easily
02. Pithecanthropus Erectus
03. Englishman In New York
04. Cielito Lindo
05. I'll Be Seeing You
06. Brave Bull
07. After You Left
08. Strode Rode
09. Linna
10. Kiss From A Rose
11. No Rain, No Rainbow
12. Tennessee Waltz Part-I
13. Tennessee Waltz Part-II

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 私の個人的期待はバラード調のM01., M03.,M05., M07.に尽きるのだが、M01." I Fall In Love Too Easily"はオープニング曲で、冒頭からバラード演奏で期待度は高めるに十分。思いのほか情感があってピアノの音にも十分と言える良質の澄んだところにあり、録音はミックス効果というところか、良い線をいっている。
 M03." Englishman In New York"にきて、いよいよと期待したのだが、この曲にはニューヨークの異国人としての哀感があるのだが、どうもそれが残念ながら十分伝わってこない。演奏する音の中にふと優しさが感ずるところが欲しいような。
 M05." I'll Be Seeing You"この曲には期待した。流れに思いやりが感ずるも、もう一歩深入りして欲しい。ドラムスのブラシの音が聞こえてくるが、彼女のピアノばかりが前に出てソロ演奏のように聴こえ、やっぱりトリオとして描き切れていないのでは。
   M06." Brave Bull"彼女のオリジナル曲。一生懸命演奏しているのは解るが、トリオの楽しさと味がやっぱり見えてこない。
 M07."After You Left" これが問題曲。なんとアレッサンドロ・ガラティのアルバム『Shades Of Sounds』の冒頭の曲。なんと比較するには相手がまずかった。冒頭ベースから入って面白いかなぁと思ったが、ガラティの哀愁が滲み出て心情に触れる世界までには一歩至らずだ。メロディーのジャズ編曲された流れ、打鍵音の強弱に音の間という繊細な世界、更にガラティの中盤のベースと築くジャズ世界に対しては、やはり比較は無理があった。
 決定的なのはM12.M13"Tennessee Waltz"で解るのだが、彼女はまだまだ人間の哀愁バラードの世界というのは少々厳しく、M13のようなピアノを思いっきり弾きまくってのトリオとしての構築が好きなんですね。こちらの方が生き生きしていて、そこに魅力を感じたアルバム作りのほうが良いのかも知れない。

 とにかく寺島靖国の期待に応えるべく一生懸命演じていることが解る・・・その解るところが寧ろ残念なアルバムだったのである。どうも諸手を挙げて素晴らしかったと言うには、少々難ありといった平凡作であった。 

(評価)
□ 編曲・演奏  78/100
□ 録音     85/100

(視聴)

 

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2021年3月 8日 (月)

エル Elle 「Close Your Eyes」 

演奏展開がジャズらしさを増して

<Jazz>

Elle 「Close Your Eyes」 
TERASHIMA Records / JPN / TYR-1095 / 2021

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Elle  : Vocal
Alessandro Galati : piano
Guido Zorn : bass
Lucrezio Seta : drums

 我が愛するアレッサンドロ・ガラティに見出されてレコーディング・デビューに至ったというイタリアの若手歌姫:Elle=エルの新作。前第1作『So Tenderly』(TYR-1081)は、「ジャズ批評」誌で2019年ジャズ・オーディオ・ディスク大賞のヴォーカル部門でトップ(金賞)に輝いた注目株。実はあのトップに関しては私はちょっと納得しなかったんですが、まあアレサンドロ・ガラティの曲作りと演奏に魅力があるところで納めていた。
 寺島靖国に言わせると、女性ヴォーカルは巧さより声の質に魅力が無ければ・・・と、成る程その意味においては私も取り敢えず納得しておく。
 今回も前作と同じくガラティ率いるトリオをバックにしたニュー・アルバムだが、全曲ガラティが編曲したという構成であるが、ただ同じモノは造らないと言うことか、オープニングの曲から若干イメージは変わって来ている。

 

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01. Comes Love
02. If I Should Lose You
03. Autumn In New York
04. Close Your Eyes
05. My Old Flame
06. I Concentrate On You
07. Once In A While
08. I Fall In Love Too Easily
09. Besame Mucho
10. I'll Be Seeing You

 エルのヴォーカルは、あるところで「"大人の夜の小唄セッション"ぽい」と表現されていたが、確かにそうかなと言うところか。とにかく力を抜いたテンダーにしてアンニュイ、そしてセクシー度も適当というところが魅力か。歌の巧みさというところでは、クラシック歌手を経てきていると言うのだが高度というところにはイマイチだ。ただ声の質が女性としての魅力があるところが支持されるポイントであろう、ウィスパー・スタイルが売り処。

 今回もガラティの編曲演奏がやはり注目するところだ。ロマンティックな耽美性は相変わらずだが、彼の持ち味の嫌みの無い展開が時にスウィングし、時に刺激的なところを織り交ぜての過去の曲の演奏スタイルにとらわれない独自の世界がいい。選曲そのものは寺島靖国が行なったようだが、編曲にはガラティの独自的解釈が強化されて、バラードっぽくを期待した面を特にM1."Comes Love"のようにスウィングした軽快な出だしで、期待とは別展開させているところが面白い。アルバム・タイトル曲M4."Close Your Eyes"も同様でありピアノ、ベースの演奏も楽しめる。しかしどんな場面でも決して力んだ展開はみせず、あくまでもソフト・テンダリーに押さえている。曲の中で、ガラティのピアノ演奏の占めるところも多く、そんな意味では今回の方が、ある意味では変化が多くジャズっぽい。

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  いずれにしても、このエルのヴォーカル・スタイルは、やっぱりウィスパー系がぴったりで、M5."My Old Flame"の流れはいいし、中盤のガラティのピアノも美しい。そしてそのパターンは、M8."I Fall In Love Too Easily"の世界で頂点を迎える。ここではヴォーカルのイメージを大事に間をとりながらのピアノ演奏の世界が美しく、しかも進行して行くうちにスウィングしてみせたり、その流れは如何にもガラティの世界。

 このタイプの女性ジャズ・ヴォーカル世界は、"特にジャズならでは"というムードであって、それを寺島靖国は求めて企画した事がひしひしと伝わってくる。そんなアルバムとして評価したい。

(評価)
□ 編曲・演奏・歌  85/100
□ 録音       85/100

(視聴)
Elle の映像が見当たらないのでA.Galati Trio ものを ↓

 

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2020年12月21日 (月)

年末恒例の寺島靖国プレゼンツ「Jazz Bar 2020」

ピアノ・トリオ一点張りから、今年はサックスものも登場

<Jazz>

Yasukuni Terashima Presents 「Jazz Bar 2020」
Terashima Records / JPN / TYR-1094 / 2020

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 しかし驚きですね、なんとこのコンピレーション・アルバムは20年の経過で20巻目のリリースとなったことだ。今こうしてみると過去のアルバム全てが棚に並んでいて、私にとっては好きなシリーズであったことを物語っている。

 プロデューサー寺島靖国(右下)は常々「歳と共に変化を楽しみ、常に新鮮な気持ちと興味を維持すべし」と口にしているとか。ピアノトリオへのこだわりは相変わらずだが、オーディオ的好みはその録音やミキシングのタイプにも確かに変化は出てきている彼だ。近年は前へ前へと出てくるリアル・サウンドから、音楽としての臨場感、奥行きの感覚に磨きがかかってきた感がある。
 そして「哀愁の名曲」探しは相変わらずで、我々日本人の心に沁みるメロディーを追求くれている。その為私も好きな欧州系をかなり探ってくれたという印象がある。新世代のミュージシャンの発見にも寄与してきてくれているし、私にも大いに影響を与えてくれたこのコンピレーション・アルバム・シリーズはやはり楽しみなのである。

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01. Night Waltz / Enrico Pieranunzi Trio
02. Elizete / The Chad Lawson Trio
03. Morgenstemning / Dag Arnesen
04. C'est Clair / Yes Trio
05. Tangorrus Field / Jan Harbeck Quartet
06. Danzon del Invierno / Nicki Denner
07. Bossa Nova Do Marilla / Larry Fuller
08. Contigo en la distancia / Harold Lopez-Nussa
09. La explicacion / Trio Oriental
10. Soft as Silk / David Friesen Circle 3 Trio
11. Vertigo / Opus 3 Jazz Trio
12. The Miracle of You / Niels Lan Doky
13. New York State of Mind / Harry Allen

 冒頭のM1."Night Waltz"は、昨年ここでレビューしたエンリコ・ピエラヌンツィのアルバム『NEW VOSION』(2019)(下左)からの曲。そしてM3."Morgenstemning "が北欧ノルウェーのダグ・アネルセンのかなり前の三部作のアルバム『NORWEGIAN SONG 2』(LOS 108-2/2011)(下中央)からであり、この2枚のアルバムが私の所持しているものであった。その他11曲は、幸運にも私にとっては未聴のアルバムからの選曲であり、初聴きで期待度が高い。
 そもそもこのアルバムを愛してきたのは、結構日本にいる者にとって一般的に知られていないモノを紹介してくれていること、又私のジャズ界では最も愛するピアノ・トリオものが圧倒的に多い、更にどことなく哀愁のある美メロディーを取上げてくれていることなどによる。そして初めて知ったものを私なりに深入りしてみようという気持ちになるモノが結構あることだ。更になんとなく欧州系のアルバムも多いと言うことが私の好みに一致しているのである。

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   M1."Night Waltz"と続くM2." Elizete "は、哀愁というよりはどちらかというと優美という世界。
 M3."Morgenstemning" 聴きなれたグリークのクラシックからの曲。ノルウェーのミュージクですね。美しい朝の光を浴びて・・・と言う世界。とにかく嫌みの全くないダグ・アネルセンの細工無しの美。
 M5."Tangorrus Field" (上右) 寺島にしては珍しくテナー・サックスの登場。デンマーク出身のヤン・ハルベック。私はうるさいサックスはちょっと苦手だが、彼の演ずるは豪放と言うが、この曲では何故か包容感のある優しさと幅の広さが感じられ、ピアノとの演じ合いに美しさすらある。今回のアルバムには、最後のM13."New York State og Mind"にはHarry Allenのサックスがやはり登場する。
 M7."Bossa Nova Do Marilla" は、ボサノバと言いながらも、驚きのLarry Fullerのピアノの旋律を演ずる流れはクラシックを思わせる。
 M8." Contigo en la distancia"(下左)、キューバのHarold Lopez-Nussaにしては、信じれないほど哀愁の演奏。いっやーー驚きました。
 M10."Soft as Silk" (下中央)、ベーシストのDavid Friesenの曲。どこか共演のGreg Goebelのピアノの調べが心の奧に響くところがあって、この人の造る曲にちょっと興味を持ちました。ベーシストって意外に美旋律の曲を書く人が多い気がしますが・・。
 M12."The Miracle og You" (下右)、このピアニストの Niels Lan Dokyって、実は名は知れているにもかかわらず過去に聴いて来なかった一人で、今回ちょっと興味をそそる技巧派ピアノに聴き惚れて、興味を持たせて頂きました。

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 今回は大きな獲物に飛びつけたという衝撃は無かったが、やはり寺島靖国の選曲にはやはり優美さ、美しさ、哀愁などはそれぞれにどこかに感ずる処があって、やはり年末恒例でこうして聴くことはベターなコンピレーション・アルバムと言うことことが出来る。
 とにかく20周年の成人となったこのシリーズにお祝いしたいところであった。

(評価)
□ 選曲、演奏           88/100
□ 録音(全体的に)      85/100

(参考試聴)

jan Harbeck Quartet "TANGORRUS FIELD"

*
Dag Amesen  " MORGENSTEMNING"

 

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2020年11月10日 (火)

寺島靖国 Yasukuni Terashima Presents 「For Jazz Vocal Fans Only vol.4」

華やかに14歌姫の登場

<Jazz>

Yasukuni Terashima Presents 「For Jazz Vocal Fans Only vol.4」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1093 / 2020

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  今年も無事リリースされた寺島靖国のコンピレーション・アルバム「ジャズ・ヴォーカル・ファン 第4巻」、今年も14人の女性のオンパレードだ。このところのジャズ・ヴォーカルは完全に女性に席捲されている現在、当然と言えば当然のことである。
 さて今年は、選ばれた14枚のアルバムだが、私が所持しているのは5枚止まりだった。寺島靖国は、このアルバム作成においてはできるだけマイナーなミュージシャンを選ぶようにしているようで、その為ここでは実は私は知らなかったアルバムが多いことを期待しているところがある。つまり新しい発見が大歓迎なんですね。そんな訳でこれはなかなか良さそうだと初めて知ったアルバムがあると手に入れて聴くのが例年の楽しみでもあるのである。

(Tracklist)
1. Close Your Eyes [Saskia Bruin] 3:26
2. Manha De Carnival [Karen Lane] 4:05
3. I'll Be Seeing You [Beth Goldwater] 3:34
4. From The Inside Out [Lauren Henderson] 6:30
5. Johnny Guitar [Carol Welsman] 2:28
6. That Old Feeling [Alma Mi?i?] 3:47
7. I Didn't Know About You [Sidsel Storm] 3:36
8. Get Out of Town [Hetty Kate] 3:11
9. Stardust [Emma Pask] 6:35
10. I Concentrate On You [Callum Au & Claire Martin] 6:57
11. Deep In A Dream [Gretje Angell] 5:25
12. Let's Face The Music And Dance [Cajsa Zerhouni] 4:24
13. Windmills Of Your Mind [Stefanie Schlesinger] 6:55
14. The Carioca [Kimba Griffith] 5:05

  収録曲は、取り敢えず上のリストにみるような14曲だが、オープニングは低音の魅力のサスキア・ブルーイン、彼女は何時も聴いている一人。そしてまあ何と言ってもこの中でもガッチリ自己の立場を固め、トップクラスの圧力が感じられるのはキャロル・ウェルスマン(M5)、クレア・マーチン(M10)でしたね。何時もアルバムを持っていて聴いているこの二人の他に、私が既に聴いてきたのはシゼル・ストーム(M7)、ヘティー・ケイト(M8)、キンバ・グリフィス(M14)あたりである。従って彼女らは初ものでなくちょっと空しかったが、初もので結構興味を持ったヴォーカリストも何人かいて喜んでいる。

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 私にとっての初もの、まずその一人がM3."I'll Be Seeing You "のベス・ゴールドウォーター(上左)ですね、ちょっと一瞬カレン・ソウザを思い起こす歌いっぷりで面白いし、高音がひっくり返るところは、ヘイリー・ロレンだ。早速アルバム注文した。
 そして
 M4."From The Inside Out"のローレン・ヘンダーソン、ここではデュエットものだが魅力的。
 M6."That Old Feeling "のアルマ・ミチッチ、セルビアの出身とか、力みの無いところがむしろ刺激的。
 M.9." Stardust"のエマ・パスク、オーストラリア出身とか、なんとなくあどけなさの残った発声が引きつける(上中央)。
 M11."Deep In A Dream"のグレッジェ・エンジェルもなかなか柔らかさがあっていいですね(上右)。
 M13." Windmills Of Your Mind"のステファニー・シュレジンガー、彼女はドイツ出身で、歌のこなしがお見事。
 以上、この6人のアルバムは聴いてなかった中でも注目株として捉えた。是非ともそれぞれのアルバムにアプローチしたい。(下にアルバム取上げる)

(試聴 ↓ Beth Goldwater)

      ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 ところで注目したアルバムの中で、何と言っても「ジャケ」が気に入ったのが、M13のステファニー・シュレジンガーだ。これは取り敢えず"ジャケ買い"をしてみようと仕入れてみた。(↓)

<Jazz>

Stefanie Schlesinger 「REALITY」
HIPJAZZ RECORDS / GERM / HIPJAZZ 012  / 2017

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STEFANIE SCHLESINGER(vo)
WOLFGANG LACKERSCHMID(vib)
MARK SOSKIN(p)
JOHN GOLDSBY(b)
GUIDO MAY(ds,per)
RYAN CARNIAUX(tp-3,8,9,12)

  どうですか、なかなかジャケ買いしそうなのが解りますか、彼女はドイツ・ハンベルグ出身1977年生まれのシンガーだ。声も低音から高音まで標準的に見事に美しく歌う。曲もなんとビートルズの"Fool on the Hill"があったりして是非聴いてみたいと思ったところ。
 私的には彼女は高音は張り上げずに静かに歌い上げた声の方がいい。寺島靖国がライナーで書いているように歌が旨い、そしてその特徴の出ているこのアルバムのM9."Windmills of Your Mind"のスタンダード曲が彼によって選ばれている。
 アルバム冒頭M1."Parole, Parole"は、ラテンタッチだが、彼女が好きなのか、しかしあまり向いていないように思うが。
 M2."The Summer Knows"、M7."With You"、M11."Munich Butterfly"のバラードものはなかなかいけると言う感想で、私は彼女はその方が魅力的で良いと思う。
 注目したM10."Fool on the Hill"は見事にジャズに変身してバック陣もそれなりの演奏で聴き応え十分だった。

Stefanieschlesinger20170616074135 (Tracklist)
1.Parole, Parole
2.The Summer Knows
3.Reality
4.Hotel Shanghai
5.Com Amor, Com O Mar
6.Ganz leise
7.With You
8.Hurra, wir leben noch
9.Windmills of Your Mind
10.Fool on the Hill
11.Munich Butterfly
12.The Winner Takes It All

(評価)
□ 編曲・歌  85/100
□ 録音    85/100

(参考視聴)

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2020年9月26日 (土)

寺島靖国プレゼント「For Jazz Audio Fans Only Vol.13」

「ジャズは音で聴け」の世界は今年はどう変わってきたか・・・・

<Jazz>

 Yasukuni Terashima Presents
「For Jazz Audio Fans Only Vol.13」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1092 / 2020

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  今年も、無事寺島靖国氏の企画によるこのアルバムがリリースされた、13卷目だ。注目される好演奏、好録音盤を取上げ年に一回のリリースであるので、なんと今年でもう13年と言うことですね。オーディオ・ファンでもある私は、おかげで過去の全アルバムを聴いて楽しんでいる。
 恐らく今年のこのアルバムには、私の聴いているのは何か必ず取上げられるだろうと高を踏んでいましたが、なんと全13曲今年までに聴いてきたアルバムが無く完全に肩すかしでした。このあたりが、一般的な世界で無く、オーソドックスでない、にもかかわらず納得の好演奏を紹介してくれるのでありがたいと言う処なんです。

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 「ジャズは音で聴け」と豪語している彼の世界、中心は私の好きなピアノ・トリオだ。ところがこのところステファノ・アメリオの影響もあってか、低音とシンバルの強力エネルギー溢れるサウンドから、曲の質とその描く内容によっての音場型サウンドへと好みがシフトしつつあることを訴えている寺島靖国。 どんな選曲をしてくるか、ちょっと楽しみというか、期待というか、そんなところでこのアルバムを聴くのである。

(Tracklist)

1. The Song Is You 〔Christoph Spendel Trio〕
2. I Love You So Much It Hurts 〔Han Bennink / Michiel Borstlap / Ernst Glerum〕
3. Cancer 〔Allan Browne Trio〕
4. New Life And Other Beginnings 〔Aki Rissanen〕
5. Sailing With No Wind 〔Carsten Dahl Trinity〕
6. Counter 〔Floris Kappeyne Trio〕
7. Ammedea 〔Pablo Held Trio〕
8. Flight of the Humble 3 〔Robert Rook Trio〕
9. 928 〔Michael Beck Trio〕
10.Mistral 〔Peter James Trio〕
11.Get Out Of Town 〔Stevens, Siegel And Ferguson Trio〕
12.The Day You Said Goodbye 〔Larry Willis Trio〕
13.Don't Let The Sun Catch You Crying 〔Lafayette Harris Jr.〕
()内は演奏者

 こうしてみると、いやはやここに登場するは日本におけるポピュラーな演奏者は少ないというか、私はあまり知らないのであって、探求心、研究心のなさを思い知らされた。
 従って今回のアルバムは私にとっては非常に貴重だ。取上げた曲の全てのアルバムを聴きたい衝動に駆られる。

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 中でもやっぱり曲の良さからは、M1."The Song Is You "、M5."Sailing With No Wind "は興味ありますね。M1は、ポーランド生れのピアニストで、この曲を聴く限りでは、ジャズの中では刺激の無いむしろメロディー重視にも聴こえるが、エレクトロベースが面白い味付けで是非この曲を収録したアルバム『Harlem Nocturne』(BLUE FLAME)(上左)を聴きたいと思った。又M5.はジャズ名演といったタイプで、なかなか叙情もあって素晴らしい。このピアニストのカーステン・ダールはデンマーク生れのベテランで、私は唯一このピアニストは知ってはいるが、未熟にも彼のこのアルバムにはアプローチしてなかったので、美しいピアノの調べのこの曲を収録しているアルバム『Painting Music』(ACT Music)(上中央)は早速聴くことにする。
   そしてM9."928"(Michael Beck Trio)のベースとドラムスの迫力録音が聴きどころ。このマイケル・ベックも名前は聞いたことがある程度で今まで白紙状態であったため興味がある。更にM12."The Day You said Goodbye"がジャズの真髄を演ずるが如きのベースとブラッシが前面に出てきて、そこにピアノを中心とした流れがゆったりとしていて素晴らしい。このアルバム『The Big Push』(HighNote Records)(上右)を是非入手したいと思ったところだ。

 この寺島靖国のシリーズは、演奏は勿論無視しているわけでは無いが、所謂オーディオ・サウンドを重視し、その録音スタイルに深くアプローチしていてライナー・ノーツもその点の話が主体だ。それを見ても如何にサウンド重視がこのアルバムの目的であることが解るが、昔からシンバルの音の重要性の語りが彼の独壇場だ。そしてベース、ピアノの音質と配置などに、かなり興味と重要性を主張している。そんな点も私もこのアルバムに関しては、やはり興味深く聴いたのだった。

  今回は、先ずこのリリースされたアルバムの紹介程度にしておいて、ここに登場したアルバムを入手し聴いて、次回からそのアルバムの感想をここに紹介したいと思っている。

(評価)
選曲  90/100
録音  90/100

(参考視聴)  Carsten Dahl Trinityの演奏

 

 

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2020年3月 5日 (木)

寺村容子YOKO TERAMURA & 山中千尋 CHIHIRO YAMANAKAのピアノ・トリオ対決

日本女性ピアニスト・ジャズにちょっと耳を
まさに対照的なジャズ・ピアノ・トリオ世界

 

 日本女性ジャズ・ピアニストの寺村容子と山中千尋を取り上げる。たまたま昨年ニュー・アルバムを両者リリースしていて、ただし私はここで取り上げてこなかったのだが、なんと今年の「ジャズ批評」214号のジャズ・オーディオ・ディスク大賞に銀賞と7位に入っていたので、ちょっと感想を書いておきたくなった。

 

<Jazz>
YOKO TERAMURA TRIO 「GRACEFUL TOUCH」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1084 / 2019

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寺村容子(ピアノ)
新岡 誠(ベース)
鳥山 悠(ドラムス)

Yokot (Tracklist)

1.No Problem 危険な関係のブルース (Duke Jordan)
2.Last Tango In Paris ラスト・タンゴ・イン・パリ (Gato Barbieri)
3.These Foolish Things ジーズ・フーリッシュ・シングス (Jack Strachey)
4.Who Wants To Live Forever リヴ・フォーエヴァー (Brian Harold May)
5.Graceful Touch グレイスフル・タッチ (Tord Gustavsen)
6.Children's Crusade チルドレンズ・クルセイド (Sting)
7.You Must Believe In Spring ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング (Michel Legrand)
8.Bay Walk ベイ・ウォーク (Yoko Teramura)
9.Left Alone レフト・アローン (Mal Waldron)
10.Wish Of The Ancients いにしえの願い (Yoko Teramura)

 寺島レコードが気合いを入れているどちらかというと美旋律ピアノを演ずる寺島容子の2019年リリース新作だ。私の場合どちらかというと録音が話題になったアルバム『TERAMURA YOKO MOODS』(TYR-1026)以来である。
  アルバム・タイトルが、あのトルド・グスタフセンの名曲"Graceful Touch"で、彼女はここでその曲のカヴァーを披露している。こんなところからも目指している方向が解ると言うところだが、なにせトルド・グスタフセンは哲学的深遠な世界に踏み込むという強者、これを描くにはまだ荷が重いと言わざるを得ない。このアルバムでは一番の聴きどころであり、しかし今後に期待で目指すことは悪くない。

 おそらくプロデューサー寺島靖国の方向性を描こうとしたところは、その録音からも解るところだ。なんと同一音源に二種類のマスタリングを行って、二枚組にしている。一枚は通常と思われるトリオのエネルギー・バランスで、もう一枚はピアノをやや引っ込めてドラムス、とベースが少し表に出てくる。私は後の方のタイプが良かったのですが、演奏よりもこんなオーディオ的遊びが出来る楽しいアルバムである。
 いずれにしてもバラード系演奏を聴かせてくれて私好みであるのだが、ならばもう少し情感のあるピアノタッチの強弱による描く世界が欲しいと思うところであった。まあ彼女もこれからなんでしょうね。録音にもよるのかも知れないが、音ばかりが表に訴えてくるアルバム。

                  - - - - - - - - -

<Jazz>
Chihiro Yamanaka 「Del Tramonto」
UNIVERSAL MUSIC / JPN / UCCJ-2167 / 2019

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Chihiro Yamanaka : Piano, FenderRhodes, Hammond B-3 Organ

Yoshi Waki: Bass
John Davis: Drums
Vincente Archer: Bass
Damion Reid:Drums

録音年 2019年5月
録音場所 Boomtown Studio Brooklyn

Profile_3w (Tracklist)
1 ジェンナリーノ Gennarino (Chihiro Yamanaka)
2 パソリーニ Pasolini (Aldo Romano)
3 シンキング・オブ・ユー Thinking Of You (Chihiro Yamanaka)
4 ネヴァー Never (Chihiro Yamanaka)
5 チェロキー Cherokee (Ray Noble)
6 スイート・ラヴ・オブ・マイン Sweet Love Of Mine (Woody Shaw)
7 ルッキング・アップ Looking up (Micheal Petrucciani)
8 ブルー・マイナー Blue Minor (Sonny Clark)
9 ソリチュード〜C・ジャム・ブルーズ Solitude〜C jam blues (Chihiro Yamanaka / Duke Ellington)
10 プリマ・デル・トラモント Prima Del Tramonto (Chihiro Yamanaka)

 このアルバムは数多い山中千尋ピアノ・ジャズの最新作である。ブルーノート80周年記念作としての位置にもある。そして中身はソニー・クラークなどブルーノートの名曲をカバーし、フランスの障害を克服した最高のジャズ・ピアニストと評されていたミシェル・ペトルチアーニの没後20年にも焦点を合わせた作品を収録している。しかしそれでも主たるは彼女自身のオリジナル5曲が占めている。 リズムセクションは、ニューヨーク・トリオのレギュラーであるヨシ・ワキとジョン・デイビス。そして、ロバート・グラスパー・トリオのリズムセクションであるヴィセンテ・アーチャーとダミオン・リードという2組のリズムセクションとの共演もの。

 M1." Gennarino "は軽快なタッチでスタートし、M3."Thinking Of You"彼女の特技である転がるような打鍵さばきが惚れ惚れするほど見事である。
 M5."Cherokee"は、ドラムソロから始まり、疾走するベース、そして続くピアノの早引き、この流れはピアノ・トリオの醍醐味を地でゆき圧巻。確かに彼女の技量はハイレベル。
 M10."Prima Del Tramonto"はバラード調で聴きやすい流れ、しかしドラムスは疾走しており、後半は変調するという一筋縄ではゆかない。

 これは彼女の技量の高さをいやでも迫ってくるアルバムでジャズ古典的スタイルでの超絶技巧はナンバー1だ。しかし面白みという点ではやや欠けている。ニューヨークを拠点に活躍し、ボストンのバークリー大学の助教授という実力者だからこそ、彼女はもう一歩力まず余裕を持って新しい現代ジャズ手法に迫ってくれると面白いのだがと思う。又録音も一世代前の標準型で面白くない、寺島レコードのようなサウンドに挑戦があればアルバムの価値も上がろうとゆうところ。

(評価)

         (寺村容子)         (山中千尋)

□ 曲・演奏    75/100                    90/100
□ 録音      90/100              75/100

 

█ 日本女性ピアニストの二人のアルバムを並べてみたが、とにかく対照的。技量は圧倒的に山中千尋、アルバム作りは寺村容子というか寺島レコードに、というところで面白い対決となった。「ジャズ批評」の"ジャズオーディオ・ディスク大賞2019"の「インストゥルメンタル部門」では、寺村容子が銀賞、山中千尋が7位というところであった。やっぱりこの賞は演奏より録音にウェイトがあるのかなと、又は演奏の技量と深さより聴きやすさを選んだのかと思わせる、そんな結果であったが、これからも両者の奮闘に期待したい。

(試聴)

寺村容子

 

*

山中千尋

 

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2019年12月20日 (金)

寺島靖国 Yasukuni Terashima Presents 「Jazz Bar 2019」

年末恒例の好評・人気コンピレーション・アルバム
今年は全曲ピアノ・トリオ曲

<Jazz>

Yasukuni Terashima Presents 「Jazz Bar 2019」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1085 / 2019

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 今年も順調にリリースされましたね、もう19巻目になる。立派なシリーズものと言うことですね。
 このシリーズ、もともとピアノ・トリオが中心であること、欧州系が多くを占めていること、そして意外にポピュラーでないところも開拓してくれるということなど、私にとってはおあつらえ向きと言うことになる。
   とにかく寺島靖国独特の「 哀愁」の「美しいメロディー」をもつ世界を選び抜いて、今回も世界各国の美旋律ジャズを紹介してくれている。従ってそんなことから私の棚には19巻しっかり並んでいるんですね。

 今回実は意外だったのは、今年は13のアルバムからの曲が選ばれての収録だが、今までと違ったのは私が所持しているアルバムが実は一枚も無かったと言うことなんですね。いっやーーこれは意外でした。しかしそれは実は私にとっては嬉しいことで、収録13曲全てが初物なのかも知れないと喜んだのです。そして私好みの世界の新しい発見があるかも知れないと嬉しくなったのですね。
 更に今年はジャケのイメージが少し変わりました (↑)。これは過去のモノの中でも好きな部類に入る。もともと女性を取り上げて美的な感覚を狙ったジャケなんですが、これも寺島レコードの特徴とも言える。

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(収録曲)

01.To Michel (Daniele Sala Trio)
02.Accarezzame (Julian Oliver Mazzariello Trio)
03.Farewell To Winter (Craig Schneider)
04.Chez Mini (Andrea Garibaldi Trio)
05.Graceful Touch (Yoko Teramura Trio)
06.Espana (Jessica Williams Trio)
07.And You Are (Noam Lemish)
08.Kathy's Waltz (Geoff Lapp Trio)
09.Maria durch den Dornwald Ging (Oli Poppe Trio)
10.Luigi's Muse (Ari Erev)
11.Maria Gennem Torne Gar (Carsten Dahl)
12.El Bailador (Peter Sarik Trio)
13.La Valse D'oscar (Francois Ingold Trio)

 以上のような13曲が並ぶが、これも今年の特徴で嬉しいことに全13曲全てがピアノ・トリオの演奏ものとなった。
 冒頭のM1."To Michel"は、明るくいやに調子が良い曲でスタート。
 M2."Accarezzame"イタリア・ジャズ界からのデビュー盤「DEBUT」(上左)というアルバムからの知らなかったピアニストのトリオ作品。ムードたっぷりの心に響く曲。
 M3."Farewell To Winter "、なんと10年前にこの「Jazz Bar」に登場したアルバム(上中央)からの別の曲。ロマンを感ずる曲展開。
 M4."Chez Mini" イタリアもの。トリオ作品(上右)だが初のリーダー作だという。メロディが豊かでセンスを感ずる。
 M5."Graceful Touch " 寺村容子のリアル録音盤から。トルド・グスタセンの曲(2003年「Changing Places」から)。演奏はまだまだ及んでいません。
 M8."Kathy's Waltz " も澄んだピアノ、繊細に響くシンバルとかなりリアルな音の録音盤。
 M9."Maria druch ein Dornwald Ging" これは堅物の真面目演奏(下左)。
   M10."Luigi's Muse" イスラエルのピアニスト(下中央)、美しさは持っているがムーディーさにおいてはちょっと中途半端。
 M11."Maria Gennem Torne Gar "  Tradというが、哀愁感たっぷりで聴き入ってしまう。
 M13."La Valse D'oscar" (下右)このアルバムを納めるには標準的美しさでをお役を果たしている。

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 今年のこの内容は、どちらかというとマイナーな演奏者に焦点を当てている感はあるが、全体に決し悪い出来でなかった。それも私にとっては初物が多かったことが嬉しい限りである。しばらくは何度と聴いて行きたいアルバムであった。

(評価)
□ 選曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音     ★★★★★☆

(参考試聴)

*

 

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2019年11月28日 (木)

寺島靖国プレゼンツ「For Jazz Audio Fans Only Vol.12」登場

ジャズはやはりリアルな録音で聴くに越したことは無い

<Jazz>

Y.Terashima Presents「For Jazz Audio Fans Only Vol.12」
TERASIMA RECORDS / JPN / TYR-1083 / 2019

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 録音が良いと言っても、音楽であるからいろいろなところに制作者の意図や焦点がある。従って誰もが同じではなく、CDの出来上がりにも違いがあって、こうしてコンピ・アルバムとして並べて聴いてみると実に面白い。
 そんなことでこのシリーズものを手にしているのだが、年一枚で12枚目となった。今年もそれなりに楽しめるが、寺島靖国プレゼンツ・シリーズも好評で、あれやこれやとリリースが多くなったため、どうもかなり古いアルバムから引っ張り出してきていてちょっと空しいところもある。

(Tracklist) 
01. Rosemary's Baby (Christopher Komeda) / NBS Trio
02. Uppgjor - No Return (Árni Karlsson) / Árni Karlsson Trio
03. I'm Lost (Antonio Farao) / Antonio Farao
04. Mirror Face (Eric Harding) / Eric Harding Trio
05. Very Special (Junko Onishi) / Junko Onishi presents JATROIT feat. Robert Hurst & Karriem Riggins
06. Le Saule (Dick Annegarn) / Christophe Cravero
07. Reminiscing (Rufus Reid) / Rufus Reid
08. Die Gedanken sind frei (Traditional) / Igor Prochazka Trio
09. My Corean Heart (Giovanni Mirabassi) / Giovanni Mirabassi Trio
10. Maaviljelia (Kaisa Kulmala) / Kaisa Kulmala Trio
11. Vals (Emil Brandqvist) / Emil Brandqvist Trio
12. Sometimes It Snows In April (Prince) / David Gordon Trio

 今回もCDギリギリいっぱいの12曲を選んで集録している。
 これは好録音でオーディオ的に楽しめるモノを寺島靖国なりに選らんでいるので、自分のオーディオ装置のテストにも取り敢えずは参考になる。さて今回の選ばれたモノ12曲中私が持っていたのはアルバム4枚からの4曲であった。と言うことは結構私もこの世界は好きなんですね。

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  M1."Rosemary's Baby" これもずいぶん前のアルバムからで、私の好きな曲であるので、かってここで取り上げている。アルバム NBS Trio『plays Komeda』(BCD CDN 25 / 2010)からの曲。この"NBS Trio" というのは、ポーランドの"Nothing But Swing Trio" の略である。結構それなりに即興もあって楽しめる。(上左)
  M2." Uppgjor - No Return" これは重厚に響く世界だ。
  M3." I'm Lost" 美しいピアノの響き、ゆったりとしたメロディーもやや哀感があって聴き惚れる。(上中央)
  M4."Mirror Face" シンバルの音が軽快に響き、ベース・ソロも入るのだがドラムスの印象の強いトリオ演奏。
  M5."Very Special" ピアノの美しいスロー・ナンバー、ちよっと盛り上がりに欠ける。
  M6."Le Saule " 録音も協力してパワフルな演奏のピアノ・トリオ。
  M7."Reminiscing " ベースの低音が響く中での曲の流れ、成る程ベーシストがリーダーのトリオ演奏。(上右)
  M8."Die Gedanken sind frei " チェコの国の印象と違った軽い展開の世界。
  M9."My Corean Heart" ジョバンニ・ミラパッシらしく流麗なピアノの流れが印象深い。ドラムス、ベース、ピアノが活発に演ずる。録音は美しいと言うよりリアルというパターン。アルバム「Summer' Gones」(CAMJ 7938-2 / 2018)から。(下左)
  M10. " Maaviljelia" とにかくシンバルの派手なリアル録音モノ。遠近感も優れものだ。寺島はシステム・テストに使っているとか。
  M11."Vals " 曲の美しさをピアノの音の美しさで聴かせる録音。スエェーデンのドラーマーEmil Brandqvistの美しいリーダー・トリオ・アルバム「Seascape」(SKP92182 / 2015)から。(下中央)
  M12."Sometimes It Snows In April " リアルそのものの録音の一曲。ピアノの高音のきらめきが凄い。トリオ三者が手に取るように聴ける。ちょっと古い19年前のアルバム「UNDIMINISHED」(ZZCD9817 / 2000)から、たまたま私はこれを持ってました。(下右)

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 この企画は好んで聴いてから既に12年と言うことですね。アルバムというのはトータルとして聴き感じ取る私にとっては、コンピ・アルバムは一曲一曲聴くというもので、若干抵抗がないわけではないが、未聴のモノもあり新しい発見もあって例年楽しませて頂いているところである。

(評価)
□ 選曲 ★★★★☆ (少々古いモノが多くなってきて、評価は落ちた)
□ 録音 ★★★★★☆ (全てそれなりに好録音)

(試聴)

Kaisa Kulmala Trio

 

David Gordon Trio

 

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2019年7月29日 (月)

寺島靖国プレゼンツ 「For Jazz Ballad Fans Only vol.1」

この新シリーズはジャズ・バラッドに焦点を当てて・・・

<Jazz>

Yasukuni Terashima Presents 「For Jazz Ballad Fans Only vol.1」
Terashima Records / JPN / TYR-1082 / 2019

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 寺島靖国のシリーズものも十数年前からの「Jazz Bar」から始まって、まさにここに来て増えている最中だが、又しても新シリーズのスタートだ。とにかく"難解にして疲れるジャズはもう聴かない"と宣言した彼だが、あのジャズ・オーディオ喫茶を閉じてから怒濤の寺島レコードの新譜をリリースしている。その中で、とにかくジャズ・バラードを聴こうと、又しても新企画に着手、出来上がったのがこのシリーズということになる。
 コンピレーション・アルバムですから、まあとにかく面倒なことは抜きにして聴くことにしましょう。中身はトリオ、カルテット、女性ヴォーカルなど広くカヴァーしている。

(Tracklist)

1. My Foolish Heart/Harry Allen Quintet
2. Estate/The Lynne Arriale Trio
3. Polka Dots and Moonbeams/Claire Martin & Jim Mullen
4. I'll Be Seeing You/The Fred Hersch Trio
5. Deep In A Dream/Don Lanphere
6. Smile/Melissa Stylianou
7. Trane's Mood/Andreas Mayerhofer Trio
8. California Dreamin'/Tomomi Fukui Mt. Nonet
9. I Fall In Love Too Easily/Emil Viklicky Trio
10. 'Round Midnight/Miriam Bayle
11. Petite Fleur/Jan Harbeck Quartet
12. I Get Along Without You Very Well/Steve Rudolph - Drew Gress - Phil Haynes

  ざっと見て、この中で私の手持ちのアルバムは3枚であった。収録全12曲であるから、そのうち1/4は持っていることになる。これがもっと多いとこのシリーズの意味は半減してしまうので、さすが寺島靖国、うまくポピュラーなアルバム以外からも上手に盛り込んでいる。

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 M1."My Foolish Heart" (上左)これが驚きのライブ録音、Harry Allenのテナー・サックス・バラッド。とにかくスタート時右のスピーカーからしか音が出ない。オヤオーディオ装置がおかしくなったのかと思いきや、バリバリ音の混じったテナーが次第に左によって中央に来る。音質と演奏はかなり迫力がある。これは面白そうだと思わせるに十分のスタート。
 M2."Eatate"、(上左から2番目)このLynne Arrale Trioの演奏がいいんですね。と・・聴いていると私の持っているアルバム「Live at Montreux」からだった。アリエールのピアノ演奏の強弱・流れは一級品。このアルバムでも一・二を争う出来。
 M3."Polka Dots and Moonbeams"の円熟のクレア・マーチンのヴォーカル。M4."I'll Be Seeing You"ハーシュの美しいピアノに降参。M5."Deep In A Dream" 美しいピアノ、ソプラノ・サックスの歌。M6."Smile" (上左から3番目)メリーサのソフトな美しいヴォーカル 。
 M7."Trane's Mood" は、2015年に気に入ったアルバム「DEDICATIONS」のピアニスト・マイヤーホファーの名オリジナル曲・トリオ名演。
   M9."I Fall In Love Too Easily"、(上右)ピアノ・トリオの本質をゆく名演、ビクリッキーのピアノに注目。
 M10."'Round Midnight" やや投げやり風の味なヴォーカルとミュートを効かせたトランペットの印象的な演奏。
 M11."Petite Fleur" 極めて標準的テナーに満足。
 M12."I Get Along Without You Very Well" これぞ本格的ピアノ・トリオのトリオとしての醍醐味。 

 もともとバラード好きな私ですので、このアルバムの出現は嬉しいですね。寺島靖国の選曲はもともと若干癖があって、それが結構楽しめるところが魅力。そんなところからも又知らなかったミュージシャンにお目にかかれて楽しみました。

(評価)
□ 選曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音     ★★★★☆

(試聴)

Lynne Arriale Trio / ESTATE

 


  Melissa Stylianou / SMILE

 

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2019年7月25日 (木)

エルELLEのファースト・アルバム「SO TENDERLY」

美しいガラティのピアノをバックにウィスパー・ヴォイスで

<Jazz>

ELLE 「SO TENDERLY」
TERASHIMA Records / JPN / TYR-1081 / 2019

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Elle (vocal)
Alessandro Galati (piano)
Guido Zorn (bass)
Lucrezio De Seta (drums)

Ag1   初お目見えのエルElle本人が期待していたとおりの、日本盤としてはビックリのデビュー・アルバムですね。これは寺島レコードとイタリアのピアニストのアレッサンドロ・ガラティAlessandro Galati(→)とのプロジェクト、その結果の産物なんですね。ガラティはジャズ畑での私の最も愛するピアニストであり、その彼に見いだされたというエルであるが、彼女がイタリアのジャズ・クラブで歌っているのを見つけたようだ。
 そんな結果生まれたアルバムであるので、ガラティの優しい美旋律の生きたピアノ・トリオの演奏で、彼女のヴォーカルがしっとりと聴ける。それはまあウィスパー・ヴォイスという世界ですね。寺島靖国もお気に入りとか・・・そうなれば聴かねばならない一枚となってます。

(Tracklist)

1. How Insensitive
2. Tenderly
3. Time After Time
4. These Foolish Things (Remind Me Of You)
5. Moon River
6. The Nearness Of You
7. Body And Soul
8. Over The Rainbow
9. I Wish You Love

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 やはり日本向け仕上げか、ポピュラーなスタンダード曲を中心に収録されている。
  そして成る程M1."How Insensive"での冒頭からソフトにしてマイルド、やや物憂いエルのウィスパー・ヴォイスが迫ってくる。続くM2."Tenderly"でもその流れは続き、中盤にガラティのソロに近いピアノ、そしてGuido Zornのベースが聴かれ、成る程ガラティの優しく美しくといった演奏もテーマになっていることが解る。
 とにかくエルはもともとはオペラ歌手も務めたとはいうが、極力抑えた発声で夜のジャズ・ムードを盛り上げている。
   しかし、その点はアルバム作りにも有能なガラティのこと、M3.,M4ではメディアム・テンポ曲を配して、そして再びM5."Moon River"、M6."The Nearness Of You"はスロー・テンポに仕上げている。そして彼女のややハスキーで語りかけるような歌声が相変わらず続く。それならむしろM3.,M4.ではもう少し明るく歌い上げたほうがアクセントがあって良かったのではとも思ったところである。まあ私にしてみれば、肩の力を抜いたガラティの美しい旋律のピアノを聴けるのであまり文句はないのだが、とくにそれはM6.M8."Over The Rainbow"の中盤にも顔を出して、しっとりとした中に美しさがあるピアノは出色である。まあこれが目当てでこのアルバムを手に入れているというところもあって、取りあえず満足のアルバムであった。

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 エルに関しての情報は少ないのだが、ボサノバ曲を自作自演していたふしもあり、かなりの実力派か。年齢も30歳代 ?。又こうして聴いていると彼女の押さえられたややハスキーなウィスパリング型の声はむしろ作られたもので、かなり透明感のある声を持っている様子も窺える。そしてかなりチャーミングな面も持っていそうだ。又これからのガラっと変わった発展もありそうな予感がする。

(評価)

□ 選曲・歌・演奏  ★★★★☆
□ 録音       ★★★★☆

( 試聴 目下、この関係の映像等は見当たらないので・・・ちょっとお預け)

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