エスペン・バルグ

2019年4月24日 (水)

エスペン・バルグ・トリオEspen Berg Trio 「Free To Play」

ジャズの欧州的進化か ~そこにはスリリングな展開とアンサンブルの妙が

<Jazz>

Espen Berg Trio 「Free To Play」
BLUE GLEAM / JPN / BG011 /  2019

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Espen Berg (p)
Barour Reinert Poulsen (b)
Simon Olderskog Albertsen (d)

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  ノルウェーのエスペン・バルグ・トリオの3作目。ますます波に乗る彼らの進化形が体感できるアルバムの登場だ。とにかくリーダーのピアニストのエスペン・バルグは、キース・ジャレット、ブラッド・メルドー、エスピョルン・スヴェンソン等に影響を受け、フレッド・ハーシュに師事したという新鋭で、既に1st「Mønster」 2nd「Bølge」は魅力有るトリオとしてここでも取り上げてきた。そして欧州のハイセンス・アルバムをリリースするBLUE GLEAMレーベルからの3作目なのである。

(Tracklist)
1. Monolitt
2. Skrivarneset
3. Kestrel
4. Camillas Sang
5. Gossipel
6. Episk-Aggressiv Syndrom
7. ’Oumuamua
8. Meanwhile in Armenia
9. Furuberget
10. Body and Soul (日本盤 Bonus track)

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 曲はリーダーのエスペン・バルグ(↑)が作曲している。ピアノ・トリオとして所謂北欧の牧歌的ピアノ美旋律を期待すると大きな反発を感ずるだろう。しかし演奏はトリオが対等にがっちり組んでのアンサンブルが見事で、ピアノが前面に出てバックにベース、ドラムスという単純なパターンでない。
  いわゆる北欧流の牧歌的美旋律という顔もチラホラはするが、基本的にはピアノも単に美旋律を追ってゆくのではなく、時としてリズム隊としての役割を対等に果たしつつ三者の結合は聴きどころ。
  そうは言っても、M4."Camllas Sang" が美しいですね、ピアノとベースによる流れの妙に圧倒される。
 M6."Episk-Aggressiv Syndrom"の前半の熱っぽい演奏から、ガラッと変わって中盤からの宇宙空間をさ迷うがごとく展開に彼らの挑戦的世界が見えてくる。
 M7."'Oumuamua"は終盤に来ての流麗なピアノの流れを聴くとそこには彼らの美しさが滲んできて、アルバム最後の2曲M9."Furuberget"、M10."Body and Soul"でのゆったりした流れの中に、ようやく北欧的な美とピアノの美が実感できる。
 前2作に比べると、更に実験性と進化した形態のジャズの色が濃い。昔から"スウィングしなけりゃジャズでない"といった世界とは確実に決別している。私的には少々理解に困惑するところも有り、もう少し優しさと美旋律も織り込んで欲しいところだが、ちょっとそんな甘さは否定されてしまう。これは好みから見ると確実に賛否両論別れるピアノ・トリオであるが、進化と言う面からは一歩前進形の世界は間違いなく音楽的な評価はおそらく高いところにあると見る。

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音        : ★★★★☆

(視聴)  このアルバムからは見当たらなかったので・・・参考に

 

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2018年1月11日 (木)

エスペン・バルグ・トリオEspen Berg Trio「Bølge」

(2017年に聴いて印象に残ったアルバムを-8

美意識が支配する中にモダニズムを追求する静と動の交錯

<Jazz>
Espen Berg Trio「Bølge」
BLUE GLEAM / JAPAN / BG008/ 2017


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Espen Berg (p)
Barour Reinert Poulsen (b)
Simon Olderskog Albertsen (ds)

Recorded at  Rainbow Studio, Oslo, Norway

 2016年にここでアルバム『モンステルmønster』(BlueGleam/JPN/BG-006/2015)を紹介したノルウェーの気鋭ピアニストの第2弾だ。彼らは2016年ジャパン・ツアーを行って、高評価を得ている。
 相変わらず憂いを湛えたリリシズムと静謐な美意識が支配する中にモダニズムを追求する静と動の交錯する3者のインタープレイが楽しめるアルバムである。ブラッド・メルドーエスビョルン・スベンソンの影響を受けていると言われておりその先進性を追求する姿勢も諾(うべな)るかなと言うところだ。

1004670(Tracklist)
1. Hounds of Winter
2. Maetrix 
3. XIII
4. Bølge
5. Tredje
6. Cadae
7. For Now
8. Bridges
9. Skoddefall
10. Climbing
11. Vandringsmann (Bonus Track)
12. Scarborough Fair (Bonus Track)


 オープニングのM1. "Hounds of Winter"は、スタートから美しさと静かさとそして安定感をもって安堵感を醸し出してくれる。しかし中盤からはテンポを早めての変調して流麗なピアノの流れとアンサンブルの妙を見せる演奏、これが"Hounds"の姿なのか。そしてハイテンポのM2. "Maetrix"へと流れる。
 さてこのアルバム・タイトルの「Bølge」というのは、ノルウェー語で「波」を意味しているとか、なるほど寄せては返すという曲の流れを表現しているものと思われるがそんな世界を堪能できる。
  とにかくそのM4. "Bølge"の約7分の曲は彼らの真骨頂の美しさだ。「波」と言っても高い荒々しい波でなく、静かに広がりをもって寄せてくる人の心に精神的安定感と幸福感に満たしてくれる情景だ。この曲でこのアルバムは私のお気に入りとなるんです。
 しかし一方M6. "Cadae"に見るようなトリッキーにして荒々しくポリリズムの描くところ、彼らの尋常ならぬインタープレイの境地を示している。
 そして続くM7. "For Now"の反転しての美しい落ち着きの世界へと繋がり、自然と人間との交わりの中から描く情景に心を奪われる。
 M8. "Bridges"、M9. "Skoddefall"を聴くと、なるほど彼らのジャズ心はこんな複雑なアンサンブルのある先進性のあるところに目指していることが知ることが出来る。
 Bonus Trackとして聴き慣れたM12. "Scarborough Fair" が登場するが、流麗なピアノ・プレイを聴かせ編曲の妙を見せる。

 とにかく美しい旋律や哀感のある情景のみに浸ろうとすると、複雑な変拍子やポリリズムがパンチを浴びせてくる。しかしそれはあくまでも美しい世界を構築する彼らの目指す方法論としての重要な役割の一つとして果たしていることなのだろう。こうしたハイレベルな現代主義的トリオ・ジャズはこれからも注目のところにあると言える。

(視聴)

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2016年2月29日 (月)

北欧ノルウェーからエスペン・バルグ・トリオEspen Berg Trio / 「mønster」

現代主義を主張する俊英ピアノ・トリオの登場

     <Jazz>
            Espen Berg Trio「mønster」
           Blue Gleam / JPN / BG-006 / 2015

Monster
Espen Berg : piano
Báròur Reinert Poulsen : double bass
simon Olderskog Albertsen : drums


 北欧のジャズにはなかなか魅せられるものが多いのだが、前回フィンランドのヨーナス・ハーヴィスト・トリオを取り上げて、ふと思い出したのが、友人からの紹介で知ったこのノルウェーのピアノ・トリオである。それは同じBlue Gleamからのリリースで、ノルウェーの俊英ピアニスト、エスペン・バルグEspen Bergの待望の日本デビュー盤『モンステルmønster』というものだった。
 ノルウェーはこのところ私にとって気になるジャズ・ピアニストが多く、ブッゲ・ヴェッセルトフトトルド・グスタフセンヘルゲ・リエン、ヤン・グンナル・ホフなどと、アメリカン・ジャズとは違った北欧独特の透明な空気感を持った美しいメロディを聴かせる作品に魅せられてきた。

Photo
 このエスペン・バルグというのは、キース・ジャレット、ブラッド・メルドー、エスビョルン・スヴェンソン等に影響を受け、フレッド・ハーシュに師事したというピアニストだと言うから、押して知るべしというところ。

(Tracklist)
1.Lenticularis/2.Revenge of the Sixth/3.Trettifem/4.All Erase/5.Attack of the Tones/6.Left at the Right Moment/7.Maple Noise/8.Folkejohnny/9.B13* /10.Smoll *
(*
印:日本盤限定ボーナストラック)

Eb 全曲、エスペン・バルクによるオリジナルもの。
 結構冒険心あるアルバムであって、オープニングからは非常に親しみやすい美しく印象的なメロディーから始まるのだが、M2、M3曲目になると一変して、かなりダイナミックなアグレッシブな曲を展開する。
 そしてM4、M5では彼らがモダニズムを求めていることが明白になる曲となり、静と動を織り交ぜて甘さを許さない硬派に繋がる様相を見せる。しかしその後、M6”Left at the Right”では静寂と聴きやすさと美しいピアノの調べを回帰する。
 こんな展開はなかなか手慣れたところで、アルバムの印象を多彩にする。M7.”Maple Noise”は、トリオとしての面白さをそれぞれのセンスで曲を築いて行く様が面白い。
  そして日本盤ボーナストラックの2曲があるが、なかなか詩情ありながら動的なところもあって面白く聴ける曲で、珍しくこのサービス・トラックも意味あるというアルバムだった。

 いや~、これは北欧ノルウェーの大地に営々と築かれてきたトラッド的音楽的流れはベースにあるであろうが、しかしそれとは一線を画して、現代主義的アプローチをみせる注目作と感じた。

(視聴)    「mønster」から”Trettifem”

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