ヨアヒム・キューン

2018年3月18日 (日)

ヨアヒム・キューンJoachim Kühn New Trio 「Love & Peace」

<My Photo Album (瞬光残像)>       (2018-No5)

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  「垂直-融解」       (Feb.2018 撮影)

ニュー・ピアノ・トリオの目指すものは?

<Jazz>
Joachim Kühn Trio 「Love & Peace」
ACT / Germ / ACT9861-2 / 2018


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Joachim Kühn(p), Chris Jennings(b), Eric Schaefer(ds)
Recorded by Gerard de Haro at Studios La Buissonne, France, May 15&16,2017

 2015年に新結成して『Beauty & Truth』(2015 年7 月録音) をリリースし、2017年のECHO Jazz Awardにおいて、ベスト・ジャーマン・アンサンブル賞を受賞したドイツのピアニストのヨアヒム・キューンのニュー・トリオ。そしてその第2弾である最新作がここに登場した。

 ピアニストにしてコンポーザーのヨアヒム・キューンは1944年生まれで既にベテランそのものの域に入っている。過去のトリオといえば、30年前の1980 年代に結成したJ.F. ジェニー・クラーク(b)、ダニエル・ユメール(ds)とのトリオが圧倒的に有名。なかなか先鋭的なインプロヴィゼーションが話題で有りながら、そこに美的なセンスがあって人気があった。しかしメンバーを早くに失ったことから、トリオは1998年にて終結してしまっていた。それが十数年経てのここに来て、2015年にクリス・ジェニングス(b)と、エリック・シェーファー(ds)という若いメンバーと”ニュー・トリオ”と称して再び活動を再開したので、否が応でも話題になっているのである。

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               (New Trio)
(Tracklist)
1.  Love And Peace (Joachim Kühn)
2.  Le Vieux Chateau (Modest Mussorgsky)
3.  Christal Ship (The Doors)
4.  Mustang (Joachim Kühn)
5.  Barcelona - Wien (Joachim Kühn)
6.  But Strokes Of Folk (Joachim Kühn)
7.  Lied ohne Worte No. 2 (Eric Schaefer)
8.  Casbah Radio (Chris Jennings)
9.  Night Plans (Ornette Coleman)
10.  New Pharoah (Joachim Kühn)
11.  Phrasen (Joachim Kühn)


 収録曲をみるとキューン自身の曲が6曲、メンバーの曲が2曲と、11曲中8曲はオリジナル曲という構成で、ここにも意気込みを感ずる。アルバム・タイトル曲のキューンの"Love And Peace" はオープニングに登場して、2分足らずの曲で、意外と聴きやすいなぁ~といった雰囲気を作る。取り敢えずの印象だが、心配するほどの先鋭性は感じられない、彼もこうして若いメンバーと組して意外に達観したおとなしさに落ち着いたのだろうか?。
 MussorgskyのM2. "Le Vieux Chateau"がいいですね。要所要所に懐かしいメロディーがピアノによって顔を出して楽しませてくれる。
 前半数曲は珍しいことに彼の前衛性、先鋭的なところは殆どみせずに聴きやすいトリオに徹している。M4. " Mustang"なんかはリズムカルで軽快で明るくて驚きますね。
 M5.  "Barcelona - Wien"がなんとも美しい。バルセロナからウィーンへの飛行機の中で作曲されたいうのだが、クラシック的フレージングにやや哀愁帯びた美ジャズが交錯して面白いのである。私はこの曲が一押しだ。
 M10. " New Pharoah"になると前衛的なインプロヴィゼーションがやはり顔を出して、M11. " Phrasen"に流れて行くのだが、このあたりはキューンの面目躍如といったところ。

 いずれにせよ、総じてかなり聴きやすいアルバム仕立てで、ホッとするのである。
 えらい聴き惚れて・・・と言うよりは、期待が大きかったせいか、う~~んまあそんなところかなぁ~~と、それなりにと言ったアルバムであった。
 さて、このニュー・トリオはキューンにとっても如何なるところを目指してゆくのか?、まだ私には明確に見えてこない。そんなところが目下の特徴と言えば特徴なのだろうか。
(評価)
□ 曲、演奏 : ★★★★☆
□ 録音    : ★★★★★

(視聴)

 

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2016年12月14日 (水)

ヨアヒム・キューンJoachim Kühn 「Birthday Edition」

革新的ジャズ・ミュージックへの道

514ydjifhl 今年もYasukuni Terashima の『for Jazz Audio Fans Only vol.9』 (13アーティストの13曲)(→)を楽しんで来たのですが、そこに登場する曲で気になったものが納まっているアルバムを聴いているんです。こんな具合に「for Jazz Audio ・・・」は、私の知らなかったところとか、暫く忘れていたところに焦点を当てる一つの手段として定着してきています。

  まずはヨアヒム・キューンJoachim Kühn です。

<Jazz>
Joachim Kühn Birthday Edition
「Trio Kühn Humair Jeny-Clark」
「Europeana」

ACT Music / Germ / 6017-2 / 2014

Birthdayedition

 このアルバムはCD2枚組でCD1は Berlin での '87 & '95年のライブもの

<CD1> 「Trio Kühn Humair Jeny-Clark」
       Live at JazzFest Berlin '87 & '95

Joachim Kühn (p)
Daniel Humair (ds)
Jean-François Jenny-Clark (b)
Recorded live at JazzFest Berlin by SFB / rbb (Rundfunk Berlin-Brandenburg), Music previously unreleased
M1~3 recorded at the Berlin Philharmonie, November 6, 1987
M4~6 recorded at Auditorium im Haus der Kulturen der Welt, November 3, 1995


A2566671258884687_jpeg_21. Pastor
2. Easy to read
3. Heavy birthday
4. Heavy hanging
5. Guylene
6. More Tuna


 これはまず1枚目。このアルバムのタイトルになっているヨーロッパ屈指と言われるトリオによる未発表ライブ音源。ベースにはJ.F.ジェニー・クラーク(1998年死亡)、ドラムにはダニエル・ユメール。
Danielhumairdr  とにかく私が何時も納得してしまうこのレーベルACTのリアルなサウンドをまず評価ですね。1987年と1995年のライブ録音だが、まさに彼らの演奏のステージの中に居るような錯覚を起こすほど素晴らしい。
 そして肝心の演奏も・・・例の如くダイナミズムとスピード感の革新的スリリングな展開。ピアノ、ベース、ドラムスがそれぞれの役割を主張しつつお互いのインタープレイが、録音の良さによって見事に描かれている。
  私はこの冒頭のM1.”Pastor”に圧倒されてグーの音も出.ない状態に。
  M2.” Easy to read”は、その美しさとスリリングな展開の妙は傑出している名演。
 M3.” Heavy birthday”はヘビーで強烈。荒々しさをここまで描く気合いに脱帽。
 
<CD2> 「Europeana」
              Jazzphony No1. by  Michael Gibbs

Joachim Kühn (p)
Jean-François Jenny-Clark (b)
Jon Christensen (ds)
Music arranged by Michael Gibbs.
Soloists: Django Bates, Douglas Boyd, Klaus Doldinger, Richard Galliano,Christof Lauer, Albert Mangelsdorff & Markus Stockhausen
Radio Philharmonie Hannover NDR conducted by Michael Gibbs
Konzertmeister: Volker Worlitzsch

Joachimkuehn1_teaser_700x この2枚目は、マイケル・ギブス率いるオーケストラ・アンサンブルとヨアヒム・キューン・トリオの共演もの(全13曲)。
 民族音楽的な因子がみられる曲がある反面、やはりキューン(→)のトリオの革新的にしてアヴァンギャルドな演奏とオーケストラのクラシックな響きとの皮肉な対立・協調が面白い。
 ホルン、オーボエ、ソプラノ・サックス、トロンボーンそしてヴァイオリン等の主旋律の奏でるところとのクラシカルな曲が流れ、そこにこのトリオが食い込んで行く奇妙な曲仕立てを楽しむことになる。

 実は私の場合、やや取っつきにくさがあった為か、名前ぐらいで納得の聴き方は全くしてこなかったのが、このヨアヒム・キューンでした。今回寺島靖国の企画によって、初めての気分で接することが出来て喜んでいるところだ。このアルバムの宣伝文句は ”東ドイツに生まれ、冷戦時代に西側に亡命するなど、苦難にも満ちたヨアヒム・キューン。ヨーロッパに生を受けたものとしての音楽的なルーツをめぐる表現と、革新的表現が詰まった作品。今後の活動にも注目のアーティストの歴史的リリースです!”・・・と言うところで、参考になる。

(参考視聴) Joachim Kühn Piano solo

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