ヨアヒム・キューンJoachim Kühn New Trio 「Love & Peace」
<My Photo Album (瞬光残像)> (2018-No5)
ニュー・ピアノ・トリオの目指すものは?
<Jazz>
Joachim Kühn Trio 「Love & Peace」
ACT / Germ / ACT9861-2 / 2018
Joachim Kühn(p), Chris Jennings(b), Eric Schaefer(ds)
Recorded by Gerard de Haro at Studios La Buissonne, France, May 15&16,2017
2015年に新結成して『Beauty & Truth』(2015 年7 月録音) をリリースし、2017年のECHO Jazz Awardにおいて、ベスト・ジャーマン・アンサンブル賞を受賞したドイツのピアニストのヨアヒム・キューンのニュー・トリオ。そしてその第2弾である最新作がここに登場した。
ピアニストにしてコンポーザーのヨアヒム・キューンは1944年生まれで既にベテランそのものの域に入っている。過去のトリオといえば、30年前の1980 年代に結成したJ.F. ジェニー・クラーク(b)、ダニエル・ユメール(ds)とのトリオが圧倒的に有名。なかなか先鋭的なインプロヴィゼーションが話題で有りながら、そこに美的なセンスがあって人気があった。しかしメンバーを早くに失ったことから、トリオは1998年にて終結してしまっていた。それが十数年経てのここに来て、2015年にクリス・ジェニングス(b)と、エリック・シェーファー(ds)という若いメンバーと”ニュー・トリオ”と称して再び活動を再開したので、否が応でも話題になっているのである。
(New Trio)
(Tracklist)
1. Love And Peace (Joachim Kühn)
2. Le Vieux Chateau (Modest Mussorgsky)
3. Christal Ship (The Doors)
4. Mustang (Joachim Kühn)
5. Barcelona - Wien (Joachim Kühn)
6. But Strokes Of Folk (Joachim Kühn)
7. Lied ohne Worte No. 2 (Eric Schaefer)
8. Casbah Radio (Chris Jennings)
9. Night Plans (Ornette Coleman)
10. New Pharoah (Joachim Kühn)
11. Phrasen (Joachim Kühn)
収録曲をみるとキューン自身の曲が6曲、メンバーの曲が2曲と、11曲中8曲はオリジナル曲という構成で、ここにも意気込みを感ずる。アルバム・タイトル曲のキューンの"Love And Peace" はオープニングに登場して、2分足らずの曲で、意外と聴きやすいなぁ~といった雰囲気を作る。取り敢えずの印象だが、心配するほどの先鋭性は感じられない、彼もこうして若いメンバーと組して意外に達観したおとなしさに落ち着いたのだろうか?。
MussorgskyのM2. "Le Vieux Chateau"がいいですね。要所要所に懐かしいメロディーがピアノによって顔を出して楽しませてくれる。
前半数曲は珍しいことに彼の前衛性、先鋭的なところは殆どみせずに聴きやすいトリオに徹している。M4. " Mustang"なんかはリズムカルで軽快で明るくて驚きますね。
M5. "Barcelona - Wien"がなんとも美しい。バルセロナからウィーンへの飛行機の中で作曲されたいうのだが、クラシック的フレージングにやや哀愁帯びた美ジャズが交錯して面白いのである。私はこの曲が一押しだ。
M10. " New Pharoah"になると前衛的なインプロヴィゼーションがやはり顔を出して、M11. " Phrasen"に流れて行くのだが、このあたりはキューンの面目躍如といったところ。
いずれにせよ、総じてかなり聴きやすいアルバム仕立てで、ホッとするのである。
えらい聴き惚れて・・・と言うよりは、期待が大きかったせいか、う~~んまあそんなところかなぁ~~と、それなりにと言ったアルバムであった。
さて、このニュー・トリオはキューンにとっても如何なるところを目指してゆくのか?、まだ私には明確に見えてこない。そんなところが目下の特徴と言えば特徴なのだろうか。
(評価)
□ 曲、演奏 : ★★★★☆
□ 録音 : ★★★★★
(視聴)
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