ヴォルファート・ブレーデローデ

2023年1月27日 (金)

2022年 ジャズ・アルバム(インスト) ベスト10

 2023年もスタートして、もう1月も終わろうとしているので、そろそろ昨年リリースされたジャズ・アルバムを取り敢えず整理しておきたい。そのうちに「ジャズ批評」誌でも、恒例の「ジャズ・オーディオ・ディスク大賞」が発表されるので、その前に私なりの独断と偏見によって、特に「INSTRUMENTAL部門」の「ディスク大賞」をここに挙げてみた。

 なお評価はリアルタイムに当初聴いた時の感想によることにした(このブログに当初記載したもの)。後からいろいろと考えると迷うところが多いため、初めて聴いて評価したものを尊重する(現在はちょっと異った評価のものもあるが)。又「ディスク」を評価と言うことでも所謂「曲・演奏(100点満点)」と「録音(100点満点=これは一般的な音の良さで、録音、ミックス、マスターなどを総合考慮)」のそれぞれの評価の合算(200点満点)で評価し、又同点の場合は演奏の評価の高いものの方を上位に、更に両者とも全く同点のものは、現在の評価によって順位を付けた。

 

🔳1 Alessandro Galati Trio  「Portrait in Black and White」
   (曲・演奏:95/100  録音:95/100  総合評価190点)

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🔳2   Worfert Brederode  Matangi Quartet  Joost Libaart  「Ruins and Remains」
    (曲・演奏:95/100  録音:95/100  総合評価190点)

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🔳3   Angelo Comisso  Alessandro Turchet   Luca Colussi「NUMEN」
    (曲・演奏:95/100  録音:95/100  総合評価190点)

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🔳4   Kjetil Mulelid Trio 「who do you love most ?」
   (曲・演奏:90/100  録音:92/100  総合評価 182点)

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🔳5   Tord Gustavsen Trio 「Opening」
   (曲・演奏:90/100  録音:90/100  総合評価180点)

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🔳6   Helge Lien Trio 「Revisited」
    (曲・演奏:90/100  録音:90/100  総合評価180点)

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🔳7   Kit Downes  Petter Eldh  James Maddren 「Vermillion」
    (曲・演奏:90/100  録音:90/100  総合評価180点)

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🔳8   Giovanni Mirabassi  「Pensieri Isolati」
    (曲・演奏:90/100  録音:88/100  総合評価178点)

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🔳9  Joel Lyssarides  Niklas Fernqvist  Rasmus Svensson Blixt  「Stay Now」
    (曲・演奏:90/100  録音:88/100  総合評価178点)

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🔳10 Alessandro Galati Trio 「European Walkabout 」
    (曲・演奏:88/100  録音:90/100  総合評価178点)

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(考察)
 年末に登場したAlessandro Galati Trio 「Portrait in Black and White」が、なんと1位を飾った。2位のWorfert Brederode 「Ruins and Remains」と同点であったが、ジャズ・アルバムとしての楽しさの評価を加味してこの順とさせて頂いた。
 しかし、相変わらずAlessandro Galatiの演ずるところ、ジャズというものの奥深さと聴く人間との関係に迫ってくるところは素晴らしい。そんな意味では「European Walkabout」は、もう少し上位と今は考えているが、聴いた当初の評価がこうであったので10位に甘んじた。

 Worfert Brederode 「Ruins and Remains」は、異色であるが彼の特徴が十分生かされた企画で驚きとともに上位に評価。
 今年はTord Gustavsen の久々のトリオものの出現があって嬉しかった。ほんとは3位ぐらいかもと今となると思うのだが、Angelo Comisso 「NUMEN」Kjetil Mulelid Trio 「who do you love most ?」の実力ある素晴らしさに圧倒されてしまった。
 Helge Lien のトリオものも嬉しかったが、曲が再演奏集というところで、こんなところに落ち着いた。

 Kit Downes 「Vermillion」の品格のあるジャズには高評価を付けた。
 Giovanni Mirabashiは、相変わらずのピアニストの演ずるレベルの高さが実感できた。
 Joel Lyssarides 「Stay Now」この線の北欧世界に期待しての高評価とした。

Stefanoameriowithhorus2w  なお、録音の質もかなり良くなってきているが、その出来から見ても、エンジニアとしては、やはりStefano Amerio(ArteSuono Recording Studio /  Itary→)の活躍が抜きんでていた。私の偏りもあるが、ここに選ばれた10枚うち、なんと6枚が彼の録音によるものであったという結果に驚いている。

  ジャズ演奏の最も基本的なインスト部門では、相変わらず本場米国を凌いでの欧州一派の健闘が昨年も圧倒していた。はてさて今年はどんなところに感動があるか楽しみである。
 なお、この10アルバムは、このブログで取り上げているので詳しくはそちらを見ていただくと嬉しい限りである。

(試聴)
Alessandro Galati Trio  「Portrait in Black and White」

  

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2020年1月28日 (火)

イエトゥル-・ルンデの美声 Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」

とにかく素晴らしい心洗われる美声に包まれて・・・

<Jazz>

Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」
ozella music / Germ. / OZ054CD / 2014

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Gjertrud Lunde - イェトゥルー・ルンデ - voice
Wolfert Brederode - ヴォルファート・ブレーデローデ - piano
Florian Zenker - フロリアン・ゼンカー - guitar, baritone guitar ,electronics
Bodek Janke - ヴォデック・ヤンケ - drums, percussion
Guest : Arve Henriksen - アーブ・ヘンリクセン - trumpet

 美女・美声のノルウェーのシンガー=イェトゥルー・ルンデは、2017年に来日しているが、この一月に再び来日して各地でのライブを行うと言うことで、取り敢えず聴いてみたアルバムである。さらに、ここでかって紹介したことのあるヴォルファート・ブレーデローデ (アルバム「Black Ice」(ECM2476/2016))がピアノでバックを固めている。来日も彼はトリオで同行してのカルテット構成で演奏してくれるというので楽しみである。

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  まあジャズと言えばジャズ。つまりジャズ特有の境界域の不明なジャンルには入るのだろうが・・・ちょっと違うと言えば違うようにも・・・というアルバムですね。

(Tracklist)

1.Akk Mon Min Vei
2.Going Home
3.Marche Vers L'aube *
4.I Dine Tanker / Tanto *
5.Finnskogene *
6.Pilgrim *
7.Rêve Bleu *
8.Beautiful *
9.Lead Me *
10.Gjendines Bådnlåt
11.Eg Veit I Himmerik Ei Borg

 収録曲11曲中7曲が彼女のオリジナル曲と来るから、音楽院の学位を持つ彼女の立ち位置が想像できるところであり、とにかく冒頭から清涼感ある透明度の高い歌声に驚かされる。
 M1."Akk Mon Min Vei "はノルウェーのトラッドのようであり、M2."Going Home"は、我々もよく知るドヴォルザークの「家路」である。その他の彼女の曲以外の2曲(M10, M11)はやはりノルウェーのトラッドと記されていて、深淵である。
 バックの演奏もギターが、ピアノが、北欧ならではの幻想的というか、広い静かな空間に広がるサウンドを聴かせてくれる。

 彼女のオリジナル曲も、伝統を重んじての美しい世界を描いていて感銘を受けるが、 そこには単に美しいと言うだけで無く、ノルウェーの北欧の暗さもあるし、海の冷たい青も描いている。又深遠な森にある不思議な空気感も訴えてくる。
 とにかく全編ブレることなく 北欧の自然を我々に見せてくれる世界だ。アルバムとしての価値は高い。
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 イェトゥルー・グルンデGjertrud Lundeは現在ドイツで活動中のようだが、彼女はノルウェーの音楽一家に生まれる。4歳で最初のコンサートを行う。ノルウェー Stavanger音楽院で学んでいる間においても、幾つかの歌唱コンペで優勝したり幾多の賞や奨学金も得ていたという。オランダのハーグ音楽院でクラシック歌唱と古楽を学んで学位を得ている。このあたりの実力がこのアルバムではにじみ出ている。
 学業と並行してヨーロッパやアメリカでフェスティヴァルやコンサート・ツアーなども行ったらしい。ドイツに住んでからは、古楽、ワールド・ミュージック、ジャズを合わせての自分の音を作り出したのだそうだ。そしてこの2014年のデビュー・アルバムである 「Hjemklang」 は、世界的なジャズ批評サイト All About Jazz により 2014年のベストアルバムの一つに挙げられていると紹介されている。

Image_20200125213601  ヴォルファート・ブレーデローデWolfert Brederode (ピアノ) は、オランダ出身。現代オランダ・ジャズ・シーンで最も輝き、評価は非常に高く、三枚の ECMレーベル・アルバム( 「Currents」( 2007)、「Post Scriptum」(2011)、「 Black Ice」( 2016) ) がある。スイスのシンガーSusanne AbbuehlのECMアルバムにも参加していて一緒に来日した(右は来日時の私とのツーショット)。洗練されたピアノ・タッチから生まれる深遠な世界も聴きどころ。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★★☆      95/100
□ 録音      ★★★★☆         85/100

(参考視聴)

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2016年5月17日 (火)

スザンヌ・アビュールSusanne Abbuehl の深遠なる自然との対話の世界~日本ライブ

時にはこうした心が洗われるような世界も良いモノだ・・・・
   ~新潟県上越市=浄興寺ライブ~
      ~ECMアルバム 「The Gift」 (2013)~

 

 前回取りあげたECM盤のピアノ・トリオ作品「Black Ice」のオランダのピアニスト=ヴォルフェルト・ブレデロ-デに関心を抱き、その結果至った一つがこの女性ヴォーカリスト=スザンヌ・アビュールSusanne Abbuehl
  丁度タイミングよく、彼女は初の「日本ライブ」として現在日本の地にあり、そのライブに足を運んだ次第。勿論、彼女のヴォーカルを支えるピアニストがヴォルフェルト・ブレデロ-デである。
    (来日ライブメンバー)
     Susanne Abbuehl – voice
     Clément Meunier – clarinet
     Wolfert Brederode – piano
     Øyvind Hegg-Lunde - drums

 

Sa_2彼女の紹介を見ると(要約)・・・・・・
 「1970 年、スイスのベルン生まれ(オランダ+スイス国籍)。子供の頃から音楽に魅かれ、作詞作曲を行いながら、ハープシコードを習う。17才の時にロス・アンジェルスに移り、クラシック音楽の歌を習い始めた。アメリカとカナダをツアーした高校のジャズ・グループに所属していた。ヨーロッパに戻った後、ジャズとクラシック歌唱を Rachel Gould と Jeanne Lee にハーグ王立音楽院で学んだ。歌唱と音楽教授法で修士の学位を首席で得ている。また、アムステルダムにおいて Indurama Srivastava から古典北インド音楽歌唱を習い、その後よりボンベイで Prabha Atre に師事している。更に、作曲と分析をオランダの作曲家 Diderik Wagenaar から学んでもいる。スイスのルツェルンとローザンヌで大学教授を務める」・・・・と、ある。

P5121747trw そしてそのミュージックの世界は・・・・・「淡々と、しかし聴く者の耳にじわりと染み渡る深遠な魅力に溢れた歌声で、ヨーロッパを中心に人気を集める。1997年デビューで4作目という寡作ぶりながら、ECMを中心とする数多くのアーティストにも支持を受けている
・・・・・と、こんなところで、おおよそ彼女の世界を想像することが出来ると思うが、実のところライブでの実感は、それ以上であったと言うのが偽らざる私の感想だ。(写真:ライブ会場で私(顔は隠してあります)とのツーショット。ライブ終了後の彼女は非常に明るい印象だった)

         彼女のサイン(↓)~私の名前は頭文字のみで隠してあります
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P5121713w 彼女の歌い上げる曲の世界は、私から見ると、やはり一種の前衛ジャズというところか?、プログレッシブ・ジャズという範疇にも入るのか?。今回のライブでは、深遠にして思索的な世界を歌い上げ、ヨーロツパの民族的歴史の世界を感じさせ、描くところ自然に迫る情景をしっとりと聴かせるのである。
 又会場が、新潟県上越市(高田)の静かで広い敷地にある親鸞のゆかりのある浄土真宗の浄興寺という、敬虔にして重厚なお寺の本堂であったため、なおのことそんな気持ちに引き込まれたのであった。このヨーロッパからのメンバーも、東京から長野県、新潟県と車で来たため、日本の自然に感動したようだ。
          (本堂のライブ演奏ステージ ↓)

 

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                     (浄興寺での演奏=Susanne Abbuehl のFacebookより)

 

■スザンヌ・アビュールの作品

<ECM レーベルよりのアルバム>
① 2001 年 「April」 (オランダのグラミー賞にあたる Edison 音楽賞受賞)
② 2006 年 「Compass」
③ 2013 年 「The Gift」 (↓)

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Susanne Abbuehl 「The Gift」

 ECM Records / Germ. / ECM 2322  3727084 /  2013

 

 Susanne Abbuehl (Voice)、Matthieu Michel (flugelhorn)、Wolfert Brederode (piano Indian harmonium)、Olavi Louhivuori (drums percussion)

 

 1. The Cloud
2. This And My Heart
3. If Bees Are Few
4. My River Runs To You
5. Ashore At Least
6. Forbidden Fruit
7. By Day By Night
8. A Slash Of Blue
9. Wild Nights
10. In My Room
11. Bind Me
12. Soon (Five Years Ago)
13. Fall Leaves Fall
14. Sepal
15. Shadows On Shadows
16. This And My Heart var.

 

 これは女流詩人のSara Teasdale(1800年代後半から1900年代アメリカの詩人)とか Emily Brontë(イギリス「嵐が丘」の作家) そして Emily Dickinson (1800年代のアメリカの詩人)の詩に彼女が作曲したアルバム 。深遠な魅力に溢れた歌声で、ヨーロッパの深い森の中で自然に溶け込むが如くの世界を聴ける。

 

<その他>
  Jeanne Lee Music & Dance Ensemble、Christof May、Stephan Oliva、Michel Portal、Mats Eilertsen、Paolo Pandolfoなどと共演。

 

 しかし、スザンヌ・アビュールのヴォーカル・アルバムを聴き、そしてライブで歌声を直に聴いてみると、ほんとにジャズの世界の広さを感じます。以前に同様の世界として感じたRadka toneff と比べてみても、勝るとも劣らず彼女の世界は自然の中の深遠なる世界に敬虔な気持ちで人間を感ずるところに導くのだ。聴きようによっては”暗い”と感ずるところもあるが・・・しかし、ここまで歌い込むというのは、そう安易な気持ちでないものと推測している。
<追記>2016.5.19
    (参照)「タダならぬ音楽三昧」http://invs.exblog.jp/24392081/

 

(参考視聴)

 

 

 

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2016年5月14日 (土)

ヴォルフェルト・ブレデロ-デ・トリオWolfert Brederode Trio「Black Ice」

静と思索を透明感ある演奏で・・・・

 

    <Jazz>
       Wolfert Brederode Trio 「Black Ice」
       ECM / Germ / ECM 2476  4776462 / 2016

 

815itpxjpvl__sl1400__2Wolfert Brederode (piano)
Gulli Gudmundsson (double bass)
Jasper van Hulten (drums)

Engineer: Stefano Amerio
Recorded July 7-9, 2015 at Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano

 

(Tracklist)
1. Elegia
2. Olive Tree
3. Bemani
4. Black Ice
5. Cocoon
6. Fall
7. Terminal
8. Conclusion
9. Curtains
10. Rewind
11. Bemani (var.)
12. Glass Room
13. Fall(var.)

 

 これは、このところECMを愛する多くの輩が、ブログで取りあげているオランダのピアニストのヴォルフェルト・ブレデロ-デWolfert Brederode(1974年生まれ)のトリオ作品だ。

P5121752w 彼に関しては実は私は詳しくはない。ところがタイミングよく、このトリオ・メンバーではないが、現在異色の女性ジャズ・ヴォーカリストのスザンヌ・アビュール Susanne Abbuehl のサポート役(ピアノ演奏)で来日ライブを行っていた。
 会場は東京、横浜もあるが、新潟県上越市にある浄土真宗の浄興寺本堂でのライブに、これは面白いと私は興味を持って参加してきたのだ。ここにはピアノは立派な「Bøsendorfer」が、デンと構えていた。(ちょっと私の顔は隠してあるが、その時の彼とのツーショット(浄興寺本堂にて)2016.5.12)

 

Sa1 とにかくECMから何枚かのアルバムをリリースしているスザンヌ・アビュールは、いずれ取りあげたいと思うが、スイス出身で広くヨーロッパで活躍し評価の高い女性歌手。前衛ジャズという範疇としてよいか、深遠にして思索的な世界を歌い上げ、異色の世界を構築する。そしてヴォルフェルト・ブレデロ-デは、彼女のECM作品「The Gift」、「Compass」、「April」などのアルバムで、ピアノ演奏面で支え、大きな役割を果たしてきた。又彼自身はECMには3枚のアルバムをリリースして来ている。そんな事で今回の彼女の来日公演にも彼が同行しているし、このような経験が、ここで取りあげたトリオ作品にも活きていることは間違いない。

 

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 これまでに、ブレデロ-デのアルバムは、カルテット編成でのアルバム「Currents」(2007年)、「Post Scriptum」(2011年)をECMからリリースしているが、この「Black Ice」は、ECMでは初のピアノ・トリオ作品。
 リーダーのヴォルフェルト・ブレデロ-デは、ベーシストGudmondsson(アイルランド出身)とは1990年代に出会い、それ以後、フリー・インプロヴィゼーションから演劇のための音楽までコラボレーションは多く経験しているのだという。又ドラムスのJasper van HultenはGudmundssonと共に演奏活動をしてきている。そんな関係で出来上がったトリオであるようだ。

 

P5121753w_2 さて彼らのこのアルバムを聴くと、先ずはECMということもあってトルド・グスタフセンの作品と比較したくなる出来である。
 落ち着いた世界が全編に流れ、透明感ある演奏によって静と思索と優しい旋律が漂ってくる。Gulli Gudmundssonのベースもピアノと負けて劣らず十分に聴かせる思索の余韻ある音で迫ってくる。ドラムスのJasper van Hultenはしっかりとバックでの世界作りに貢献して、シンバルの余韻には透明感ある情景を描く。
 トータル・アルバム的流れでこの作品は作られていて。Gudmundsson作の1曲を除き、全てブレデローデのオリジナル曲。

 

 彼らの描く世界は、究めてECM的といえばそうなのだが、トルド・グスタフセンとの違いも聴きどころ。若さの割にはこの落ち着きは何なんだろうと不思議にも思う。しかしこのトリオECM第一作は好評に受け入れられており、続いての第二作に流れていくのは間違いないと思うが、彼らがこれだけの世界に馴染んでしまうのか、それとももう少しアグレッシブな冒険的音も築くようになるのか、目下は未知数。いずれにしても私は大歓迎で今後を楽しみにしているところだ。

 

(試聴) ”Elgia” from 「Black Ice」

 

(参考視聴) ”Common Fields”

 

 

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