シモーネ・コッブマイヤー Simone Kopmajer 「Hope」
相変わらずのスウィートにしてマイルドな歌声
<Jazz>
Simone Kopmajer 「Hope」
自主制作 /Import / SKLMR24 /2024
Simone Kommajer - vocals
Terry Myers - saxophone
Paul Urbanek - piano
Karl Sayer - bass
Reinhardt Winkler - drums
過去に取り上げてきたオーストリア出身の歌姫、シモーネ・コップマイヤー(1981年生まれ)の新作、今回は自主製作版ようだ。もともと彼女の持ち味である爽やかな可愛らしさにスウィートにしてマイルドな歌声は相変わらずで聴きやすさが売り物だ。
ここでも取り上げた評判の良かったアルバム『MY WONDERLAND』(2020)でバックを務めたTerry Myers(ts), Paul Urbanek(p)が今回もゆったりムードの演奏でシモーネの歌唱を支え。選曲は彼女自身の曲のほか、AORといわれる分野の曲からJazzまでの比較的やさしい曲で、シモーネの魅力を満たそうとした作品だ。
(Tracklist)
1. Pick Yourself Up (Dorothy Fields/Jerome Kern) (3:27)
2. Black Tattoo (Karolin Tuerk/Simone Kopmajer) (3:46)
3. Careless Whisper (George Michael/Andrew Ridgeley) (3:29)
4. Little Green Apples (Robert Russell) (4:19)
5. What A Difference A Day Makes (Stanley Adams/Maria Grever) (4:29)
6. Sittin´ On The Dock Of The Bay (Steve Cropper/Otis Redding) (4:01)
7. Amsterdam (Karolin Tuerk Paul Urbanek) (3:01)
8. Old Devil Moon (Burton Lane, E.Y. Harburg) (4:14)
9. Hope (Simone Kopmajer & Paul Urbanek) (4:02)
10. As The Night Goes By (Paul Urbanek) (4:40)
Bonus Track
11. So Faengt Das Leben An (Simone Kopmajer/Paul Urbanek) (3:13)
彼女も年期も入ってきたので、このアルバムでは、もう少しジャズらしくなってきたかと思ったが、むしろポップス色が強くなっている感がある。その点は少々残念であったが、自主製作盤であって彼女自身の好みに準じての作風かも知れない。まあ時に気楽に聴くヴォーカルものとして良いとしておこう。
彼女のオリジナル曲に注目してみたが、ピアノのPaul Urbanekの協力を得ていて、アルバム・タイトル曲M9."Hope"は、AORタイプでちょっとカントリーっぽい曲だ。又M11." So Faengt Das Leben An"はあまり特徴のない曲となっている。
M6."Sitting on the Dock of the Bay"は、オーティス・レディングの曲で有名だが、ペギー・リーなども歌っていて私にとっても最も親しみやすい曲だが、しっとりと仕上げていてこれはこれで納得。M3."Careless Whisper"ジョージ・マイケルの曲、これはまさにポップですね。本人が好きなのか、ファン・サービスか。
ダイアナ・クラールなども歌っているM1."Pick Yourself Up"は、ちょっとジャズ・ムードでオープニング曲。ダイアナ・ワシントンの歌っていたM5."What a Difference a Day Makes"(縁は異なもの)はむしろ若々しく軽快にこなしている。
そんな感じで、元来の彼女のソフトなスウィート、マイルドといったところを維持しながら、そろそろ円熟味もちょっと出したといった感じのヴォーカルでポップな味付けのジャズ・ヴォーカルが全編に渡って展開。ジャズ・ヴォーカル・ファンとしてはそのスタイルにちょっと物足りなさを感じたところだが、無難で広く勧められるアルバムとして結論づける。
(評価)
□ 曲・編曲・歌 : 87 /100
□ 録音 : 85 /100
(試聴)
"What a Difference a Day Makes"
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