チャンピアン・フルトン

2021年12月12日 (日)

チャンピアン・フルトン Champian Fulton Trio 「I'll See You In My Dreams」

洒落た酒場の歌付きジャズ・トリオ演奏といった世界

<Jazz>

Champian Fulton Trio
「I'll See You In My Dreams 夢であえたら」

Venus Records / JPN / VHCD-1293 / 2021

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チャンピアン・フルトン Champian Fulton - vocals and piano
ハンス・バッケンロス Hans Backenorth - bass
クリスチャン・レス Kristian Leth - drums

Produced by Tetsuo Hara
Recorded on November 23rd and 24th, 2020 at FinlandStudio, Aarhus Denmark.
Recording Engineers: Jacob Worm and Rune Hauge
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara / Venus Her Magnum Sound Direct Mix Stereo

  ピアノ弾き語りの米国歌姫:チャンピアン・フルトンChampian Fulton(1985年米オクラホマ州ノーマン生まれ)の、ハンス・バッケンルート(b)&クリスチャン・レス(ds)、というスカンジナヴィアンのリズム陣によるピアノ・トリオ・アルバム。デンマークでのスタジオ・セッション編でヴィーナス・レコードからのリリース盤。
 彼女のジャズに関しては、過去にもここでアルバム『BIRDSONG』(2020)など取上げてきた。

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 彼女のジャズ・ピアノは、女性的とか繊細にして情緒的というものでなく、これがジャズだと言わんばかしのなんとなく豪快さを感ずるアメリカン・ジャズを演ずるのだが、其の辺りがなんとなく注目してしまうところであるのだ。実際に4曲は歌無しのInstrumentalものである。しかし今回はかなりヴォーカルのウェイトも多く、その歌唱と演奏とのバランスも良好で、如何にもジャズの原点的な酒場向きの軽妙な演奏が聴ける。

(Tracklist)

1)オール・オブ・ユー All Of You 
2)ビーズと腕輪 Baubles, Banges & Beads
3)ブルース・フォー・ジェイ・マクシャン Blues For J.McShann *
4)ボディ・アンド・ソウル Body And Soul
5)エヴリ・ナウ・アンド・ゼン Every Now And Then
6)あなたに首ったけ  I've Got A Crush On You
7)ハッピー・キャンパー  Happy Camper
8)アイ・ドント・ウォント・トゥ・セット・ザ・ワールド・オン・ファイア I Don't Want To Set The Wolrd On Fire *
9)夢であえたら  I'll See You In My Dream *
10)恋に寒さを忘れ I've Fot My Love To Keep Me Warm
11)オパス・デ・ファンク  Opus De Funk *
12)ペニーズ・フロム・ヘブン Pennies From Heaven

*印 Instrumental

 やはり聴いてみると、彼女の歌はピアニストらしく、さりげなくスウィング・ジャズとのバランスが絶妙に歌い上げるところにある。それはキュート&メロウなといったところにあり、ハミングやスキャットもおりまぜての芸達者。ただ私的好みからすると声の質などちょっと違うところが残念でもある。まあそれはそれとして何時もジャズ演奏バー的雰囲気を醸し出す世界で、湿っぽくなく寧ろ軽快な心地よさにあり、それはそれでジャズとしては良い線を行っているのではと思うところにある。
 とにかく披露するピアノの演奏パターンは女性的というので無く、精悍なプレイが続発して、それがソロでは一層顕著となり、ジャズ・アクセントとして楽しめる。全体を通じて趣味よく洒落た酒場の歌付きジャズ・セッション方式が一貫して演じられ快適な時間となるし、お父さんたちの憩いの場としては最高というスタイルだ。

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  インストもののM3."Blues For J.McShann "のブルースものも、ベースやドラムスとのゆったりテンポに乗りつつ、ピアノ旋律とベースのアルコ奏法が歌い上げてなかなか楽しいし、M9."I'll See You In My Dream "のアルバム・タイトル曲は、これぞと軽快に嫌み無くピアノを弾きまくって、ブシ奏法も軽快でジャズを楽しませる。
 そんな調子で、難しいこと無しに軽くジャズを楽しもうという世界で評価したいアルバムだ。

(評価)
□ 演奏・歌  88/100
□ 録音    88/100

(視聴)
"Every Now And Then"

"I'll See You In My Dream "

 

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2020年9月13日 (日)

チャンピアン・フルトン Champian Fulton 「BIRDSONG」

アメリカン・ジャズの良さをしっかり演ずるアルバムだ


<Jazz>

Champian Fulton 「BIRDSONG」
CHAMPIAN RECORDS / IMPORT / CR003 / 2020

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Champian Fulton (piano) (vocal on 01, 03, 04, 07, 08, 09, 10)
Scott Hamilton (tenor saxophone except 05, 06)
Hide Tanaka (bass)
Fukushi Tainaka (drums)
guest:
Stephen Fulton (Champian's father) (flugelhorn on 02, 08, 09, 11)

Recorded Sept.24,2019 at Samurai Studios, Queens, NY.

  NYシーンで活躍し、ピアニストであり歌手でもあるチャンピアン・フルトン(1985年オクラホマ州ノーマン生まれ)の、今回は、チャーリー・パーカー生誕100周年に因んだパーカー・トリビュート編(チャンピアンのヴォーカルは11曲中7曲に登場)で、スコット・ハミルトン(ts)を迎え、更にシャンピアンの父スティーヴン(flh)もゲスト参入するというジャズ演奏も楽しめる自主制作盤。
 アルバムは結構多いのだが、私が前回ここで取上げたのは、結構アメリカン・ジャズの良さを感じた『After Dark』(GSR022/2016) であった。

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(Tracklist)

01. Just Friends 7:14 (J. Klenner & S. Lewis / April Music Inc.)
02. Yardbird Suite 6:36 (C. Parker / Atlantic Music Corp.)
03. This Is Always 5:32 (H. Warren & M. Gordon / Four Jays Music Pub.)
04. Star Eyes 5:40 (D. Raye & G. de Paul / April Music Inc.)
05. Quasimodo 5:07 (C. Parker / Songs of Universal Inc.) (p-b-ds trio)
06. All God's Chillun Got Rhythm 4:49 (G. Kahn, W. Jurmann & B. Kaper / April Music Inc.) (p-b-ds trio)
07. Dearly Beloved 4:46 (J. Mercer & J. Kern / Universal - Polygram Intl. Pub. Inc.)
08. Out Of Nowhere 5:06 (J. Green & E. Heyman / Sony ATV Harmony)
09. If I Should Lose You 7:22 (R. Rainger & L. Robin / Sony ATV Harmony)
10. My Old Flame 5:00 (S. Coslow & C. Midnight / Sony ATV Harmony)
11. Bluebird 9:25 (C. Parker / Atlantic Music Corp.)

 ピアニストとしても実績のあるチャンピアンだけあって、全曲彼女のアレンジメントと言うことのようだ。所謂、アメリカン・ジャズの世界で、ヨーロッパ系の哀愁という世界では全くなく、バップ&ブルースの伝統的流れに乗ったピアノや、心地よい刺激の無い包み込んでくるようなテナー・サックス、そしてどちらかというとスリリングというような刺激の無いハートウォーミングなコンポ演奏展開。全体的演奏の流れは結構小気味の良いところもあって、スウィング感たっぷりのジャズの醍醐味はちゃんと持っている。

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 又彼女の歌声は、中高音が主体のしっとりさのある情感の豊富なところにある。ただし残念ながら声の質は、これは感覚的なモノで致し方の無いところだが、私個人的な好みとは若干違ったところにあるのは、前作でも感じたところだ。
 しかしM3."This Is Always "、M10."My Old Flame"に聴けるしっとりさはある歌い込みは、テナーの調べやベースとの協演に、暗さの無い情感たっぷりのジャズの良さを十分感じ取れる。これはハミルトンの効果たっぷりというところも感ずるのだ。
 M5."Quasimodo "M6."All God's Chillun Got Rhythm"は、インスト曲で、スウィング感たっぷりの軽快なピアノ・プレイや早弾きを披露していてこれもジャズの標準的良さを聴かせてくれる。そしてM7."Dearly Beloved"では、語り聴かせるようなヴォーカル、リズムカルなヴォーカルとの取り合わせが見事。
 とにかく、M1."Just Friends "、M9."If I Should Lose You " など、小ホールで、ゆったりと安らぎながら一夜を過ごすには、なかなか良い気分にさせてくれるジャズの典型の歌と演奏である。
 
 私自身は、ジャズにおいて欧州系のリリカルな演奏を好むのだが、時にこのようなしっとり、マイルド系のアメリカン・ジャズもいいものだと聴くのである。

(評価)
□ 演奏・歌  85/100
□ 録音    80/100

(視聴)

 

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2017年2月25日 (土)

チャンピアン・フルトンChampian Fulton 「After Dark」

アメリカン・ジャズの楽しめる道に浸る・・・・

 

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(Champian Fulton)

<Jazz>
Champian Fulton 「After Dark」
Gut String Records / U.S / GSR022 / 2016

 

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Champian Fulton (piano and vocals)
David Williams (bass)
Lewis Nash (drums)
Stephen Fulton (trumpet & flugelhorn) tracks:1,4,6,7

 

 オクラホマ州出身のまだまだ若い(1985年生まれ)女流ジャズ・ピアニストにしてヴォーカリストのチャンピアン・フルトンの純アメリカ的ジャズ・アルバム。最初の1曲目からミュートを効かせたトランペットがムードを盛り上げる。ニューヨーク・タイムズでも彼女のことを「メインストリーム・ジャズ・シーンにおいて、魅力溢れる若きディーバ」と評されたとか。
(ただしこのアルバム・ジャケ、洗練されたところの感じないちょっとダサいところが少々難ですが・・・・・)

 これは彼女のピアノ・トリオ作品でも有り、それにStephen Fultonの trumpet と flugelhornが4曲に加わっているが、このトランペッターは多分父親なんですね。そんな微笑ましいアルバムだ。そしてそこに彼女のヴォーカルを乗せていて、NYのナイトクラブの雰囲気を味わえる作品といったところ。それはもともと彼女はSarah Vaughan、 Billie Holiday、 Helen Humes を聴いて育ったという話からも押して知るべしであろう。

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 ブルースの女王Dinah Washington によってポピュラーになった歌を集めたアルバムということだが、チャンピアンは、ピアノを弾き語りで主としてピアノ・トリオ・ジャズとして聴かせてくれる。Dinah Washington はブルースと言ってもジャズ畑での活動であったわけで、その流れを十分汲み取って、これは完全なジャズ・アルバムとして仕上がっている。

 

 しかしどうもチャンピアンの声の質とその独特なやや粘度の高い発声テクニックは、私好みのところとちょっと違っているんですが、しかしむしろ演奏面でしっかりアメリカ感じ取れるところに楽しませてもらう因子がある。だいたい曲の中盤はトリオ演奏を楽しむパターンで、ピアノ演奏も気分良く聴けて解りやすいので、これでジヤズの原点的良さも知ることが出来るのだ。特にM10.”Baby Won't You Please Come Home”あたりはその典型ですね。又M11.”Midnight Stroll”は、これはインスト曲で、よき時代のジャズの雰囲気をたっぷりとピアノ演奏を中心に聴かせてくれる。

 

(Tracklist)
1. Ain't Misbenhavin'
2. That Old Feeling
3. What a Defference a Day Made
4. Blue Skies
5. Keepin' Out of Mischief Now
6. A Bad Case of the Blues
7. Travelin' Light
8. Mad About the Boy
9. All of Me
10. Baby Won't You Please Come Home
11. Midnight Stroll

 

 彼女のアルバムは既に何枚かあって、ヴィーナス・レコードが扱っていたんですが、これは彼女名義のレーベル作品であるところをみると、ヴィーナスとの関係は打ち止められたのか、日本離れ?ちょっとそのあたりは確かな情報はない。

 

(試聴)

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