カティア・ブニアティシヴィリ

2021年1月20日 (水)

カティア・ブニアティシヴィリ Khatia Buniatishvili 「LABYRINTH」

タイトルどうりの異常ともいえる静から迷宮へと誘う演奏
・・・・久々の名盤である

<Classic,  classical music >

Khatia Buniatishvili 「LABYRINTH」
Sony Classical / Germ / 19439795772 / 2020

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Khatia buniatishvili(p)
Gvantsa Buniatishvili(p track 5,13)
arr. Khatia Buniatishvili track 1,5,8,11

Recording: Paris, Philharmonie, La Grande Salle Pierre Boulez,
June 16–20, 2020

 どちらかという奔放な解釈でありながら繊細な表現に秀でていることで知られる今や注目のピアニスト、カティア・ブニアティシヴィリの新作。なんとクラシックから映画音楽と現代音楽にまでの幅広い分野の曲がセレクトされていて多彩そのもの作品集。(彼女については、詳細は既にここで取上げているので、そちらを参照)
 そしてタイトルが「Labyrinth 迷宮」ですから、これまた聴き手を惑わす世界かとおそるおそる聴くことになった。しかしアルバム自身は彼女のお気に入り曲を集めたものであり、多くの人に聴いてもらうべく多彩であり気軽に聴ける世界と銘打っている。
 彼女の言う「迷宮」とは、「運命・宿命と創造」、「難局と放免(悪魔祓い)」ウンヌンが・・・これを聴くことによって理解できるかどうか。

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(Tracklist)

1.Ennio Morricone:Deborah’s Theme( from the film Once Upon a Time in America
2.Erik Satie:Gnopédie No. 1
3.Frédéric Copin:Prélude in E minor op. 28/4
4.György Ligeti: Arc-en-ciel No. 5 from Études pour piano – Book I
5.Johann Sebastian Bach:Badinerie(from Orchestral Suite No. 2 in B minor BWV 1067 for piano four hands with Gvantsa Buniatishvili
6 Johann Sebastian Bach:Air on the G String 5:19 from Orchestral Suite (Overture) No. 3 in D major BWV 1068
7.Sergi Rahmaninov(arr.Alan Richardson):Vocalise op. 34/14
8.Serge Gainsbourg:La Javanaise
9.Heitor Villa-Lobos:Valsa da dor
10.François Couperin:Les Barricades mystérieuses from Pièces de clavecin – Book II
11.Antonio Vivaldi/Johann Sebastian Bach:Sicilienne Largo from Bach’s Organ Concerto in D minor BWV 596 based on Vivaldi’s Concerto in D minor RV 565
12.Johannes Brahms:Intermezzo in A major op. 118/2
13:Arvo Pärtt:Pari intervallo for piano four hands
14.Phlip Glass(arr. Michael Riesman & Nico Muhly ):I’m Going to Make a Cake from the film The Hours
15.Domenico Scarlatti:Sonata in D minor K 32
16.Franz List:Consolation (Pensée poétique) in D-flat major S 172/3
17.John Cage:4:33
18. Alessandro Marcello/Johann Sebastian Bach:Adagio from Bach’s Keyboard Concerto in D minor BWV 974 based on Marcello’s Oboe Concerto in D minor

  とにかくとにかく上のように選曲がユニーク。クープラン、スカルラッティ、バッハなどのバロック期の作品からサティが登場し、モリコーネ、ペルト、ゲンスブールをはじめジョン・ケージまでの近現代作品まで網羅し、時代を超えて多彩な曲が登場してくる。

E0080798_2b  M1."Deborah’s Theme"はモリコーネだが、暗く沈んで静かに物思いの世界で始まり。M2."Gnopédie No. 1"サティは静かな世界に心安まる。そしてM3."Prélude in E minor op. 28/4"ショパンの超ゆったりの演奏で美しい世界にと、完全にこのアルバムの世界に弾き込まれてしまう。
 M4." Arc-en-ciel No. 5 from Études pour piano – Book "になって初めて強打鍵盤音が出現。
 バッハのM5."Badinerie", M6."Air on the G String"はほっとする安堵感あり、現実の世界に呼び戻される。M7."Vocalise op. 34/14"ラフマニノフは抒情性たっぷり。
 M9."Valsa da dor"は強弱のメリハリが素晴らしく、彼女の特徴を聴ける。弱の深い情感に心が惹かれる。
 M11."Sicilienne Largo from Bach’s Organ Concerto in D minor BWV 596"ビヴァルディ・バッハも美しい。M12."Intermezzo in A major op. 118/2"ブラームスは納得の美。
 M13."Pari intervallo for piano four hands"の「断続する平行」は、姉のGvantsa B.とのフォー・ハンド演奏。とにかく深遠に奥深さは出色。
 M14."I’m Going to Make a Cake from the film The Hours"の展開はまさに映画を見る世界。
 M15."Sonata in D minor K 32"スカルラッティのソナタ、M16."Consolation"リストの「慰め」は、このアルバムを聴いてよかったと心に染み入る名曲・名演奏。
 M17.はあの有名なジョン・ケージの"4分33秒"、全ての楽器の休章。これが登場するとは思わなかった。ここではかすかに聞こえる小鳥のさえずり。そして終曲M18."Adagio from Bach’s Keyboard Concerto in D minor BWV 974 "は締めくくりに相応しい美しいバッハのアダージョ。

 とにかく、久しぶりに素晴らしいアルバムを聴いたという気持ちで聴き終えることが出来る。カティア・ブニアティシヴィリも自分の好きな曲を演奏したと言うだけあって、情感の入れ方も素晴らしい。彼女の色に染められて、曲によってこんな哀感があったのかとも新しい発見がある。彼女のこうした面は初めてと言うことではないが、しかしこの世界は彼女がこれからも大切にしていく世界であろうと思うし、是非そうあって欲しいと願うのである。
 
(評価)
□ 選曲・演奏    95/100
□ 録音       88/100

(視聴)

 

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2018年6月10日 (日)

(美女狩りシリーズ)カティア・ブニアティシヴィリKhatia Buniatishvili 「Kaleidoscope」 

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若き飛んでる女流ピアニストのムソルグスキーの「展覧会の絵」

 

<Classic>

 

Khatia Buniatishvili 「Kaleidoscope」
Sony Classical / EU / 88875170032 / 2016


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「Kaleidoscope」
Khatia Buniatishvili, piano 
Recorded: 23-26, 8, 2015  


 

Kb1 今や話題の女流ピアニストのカティア・ブニアティシヴィリKhatia Buniatishviliのピアノ・ソロ・アルバムとしては最新作である(2016年リリース)。彼女はまあはっきりいうと良きにつけ悪しきにつけ「飛んでるミュージシャン」ですね。
  所謂クラシック・ミュージシャンのイメージからみれば、型破りな存在である。1987年ジョージア(旧称グルジアで、女性ヴォーカルではケイティ・メルアとか、日本の相撲で言えば栃ノ心だ)生まれであるから、30歳になったところだ。6歳よりリサイタルやオーケストラとの共演を行っているというから並とは違う。又女性としての魅力を十二分に披露するところも積極的、美貌を売り物にスタイル、ファッションも堂々とアピール。そして詰まるところ彼女の演奏にも型破りなところは随所に見られ、それも今や批判組を圧倒して支持者が増えているのである。

List 
CDデビューは、2011年ソニー・クラシカル専属としてリスト作品『FRANZ LIST KAHTA BUNIATISHVILI(Sony Classical/88697766042)(→)であった。これは最近あらためて仕入れて聴いた盤。演奏は派手というかメリハリはかなりある。自由奔放さと激しい演奏を演ずるところは、アルゲリッチにも似ていると評されたところだが、その通りである。やはり少々荒々しさが勝っているかと言うところであった。

 

 さて話は戻って今回のこのアルバム「Kaleidoscope」の中身は・・・

〇Mussorgsky (1839 - 1881) / Pictures at an Exhibition (piano version)
  ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』
〇Ravel (1875 - 1937)/ La Valse  ラヴェル:ラ・ヴァルス
〇Stravinsky (1882 - 1971)/ Three Movements from Petrushka
  ストラヴィンスキー:『ペトルーシュカ』からの3楽章



 驚いたことに、今時はこうしたクラシック・アルバムに「Kaleidoscope(万華鏡)」というようなタイトルを付けるんですね。選曲がらみと演奏とで確かにそんな印象はあるのだが、又ジャケも既成観念からするとクラシックぽくない。

 

 さて、このアルバムの注目はやはりモデスト・ムソルグスキーの「展覧会の絵」だ。これにはもともとのピアノ版(1974年「ピアノ組曲」として発表)とオーケストラ版(モーリス・ラヴェルによる管弦楽に編曲されたもの)がある訳だが、私はCD時代になって親しんできたのは、アルフレッド・ブレンデルのピアノによる1985年録音盤「Alfred Brendel/PICTURES AT AN EXHIBITION」(PHILOPS420 156-2)(↓左)であった。(時には、オーケストラ版として、アンドレ・プレヴィン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の1985年録音盤「André Previn/PICTURES AT AN EXHIBITION」(PHIRIPS416 296-2)(↓中央)も聴いて来た)
 一方、クラシック版の話をしているのにロックの話はちょっとまずいかも知れないが、好きなのは、かってのE.L.P.のアルバム「Emerson, Lake & Parmer/展覧会の絵」(↓右)だ。

 

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 なんとここに来て、改めて若き女流ピアニストのこの「展覧会の絵」を聴くことになったのだった。
 勿論これはクラシック演奏なのだが・・・・私はこのカティア・ブニアティシヴィリの演奏を聴いてなんとジャズ的な世界も頭に描いていた。それは演奏にある彼女の特徴である型破り性にある。クラシック・ピアニストは、それを極めてゆくうちにジャズ・ピアニストとして自己を主張してゆくようになることが多い(アンドレ・プレヴィンはクラシックとジャズの双方をこなしている)。しかし彼女はクラシック畑に留まって古いしきたりを破りつつ独自の世界を切り開こうとしているところが、如何にも現代的な若者の世界である。

 つまりこのアルバムの「展覧会の絵」も、スタートの「ブロムナード」は極めてスローにしてソフトであって、まずここから何が起こるのかと不安と期待を抱かせる、この手法も悪くは無い。それも「グノーム」にてのインパクトを聴かせたいのだろう。彼女の得意の速弾きから考えると「古い城」も遅めのソフトにゆったりしている。それも「ブィドロ(牛車)」になっても打鍵は強くなるもるも、まだスローな流れは続く、そして「ザムエル・ゴールデンベルグとシュムイレ」では速緩と強弱の変化はかなり強め、 「リモージュの市場」になって早い展開をみせ、続く「カタコンプ」は再び極端にゆったりと変化。 「にわとりの足の上に建つバーバ・ヤーガの小屋」の強打音と早い流れに入って、成る程これを印象づける一つの手法であったのかと思う。 「キエフの大門」は壮大に展開するところは頂きだ。

Kb2 不安定なリズム感と躍動感、全体的な無計画さというところを指摘もされる彼女だが、見方によっては大胆でありながらも繊細さをも持ち合わせ、意表を突く演奏で結構楽しめる。独自の音楽を聴かせようとする試みはクラシック界でも今や貴重な存在だろう。
 もう一つ、なんと言って良いか、ライブ演奏での彼女は時として犯すミスタッチや曲の流れの独自解釈による破綻も美貌や演技で帳消ししてしまうという離れ業があるようだが、今やそれを容認しているクラシックを聴く方も時代の変化の中にいるのだなぁ~と思うのである。

(評価)
□ 演奏 ★★★★☆
□ 録音 ★★★★★☆

<Khatia BuniatishviliのDiscography & Biography>
2011年 Franz Liszt ピアノソロアルバム
2012年 Chopin 協奏曲(パリ交響楽団、パーヴォ・ヤルヴィ指揮)
2014年 Motherland ピアノソロアルバム
2016年 Kaleidoscope ピアノソロアルバム
2016年 DVD/BLUE-RAY リスト・ベートーヴェンピアノ協奏曲(イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、ズービン・メータ指揮)
2017年 Rachmaninoff ラフマニノフピアノ協奏曲第2・3番(チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、パーヴォ・ヤルヴィ指揮)

 

 1987年グルジアのトビリシ生まれ。トビリシ中央音楽学校を卒業後、トビリシ国立音楽院に入学。6歳よりリサイタルやオーケストラとの共演を行っている。12歳から本格的に演奏活動 を行っており、ルガーノ、ジュネーヴ、ヴェルビエ、サンクトペテルブルグ等の音楽祭にも招かれて、その他多くのヨーロッパの主要なホールで 演奏会を行っている。'03年ホロヴィッツ国際コンクールでは、特別賞受賞。同年エリザベート・レオンスカヤ奨学金を付与され、同じ年、パリのフランソ ワ=ルネ・デュシャーブルのマスター・クラスに招待された。'08年にはショパン、ピアノ協奏曲第2番でカーネギーホールにデビュー。同年アルチュール・ルービンシュタイン国際ピアノコンクール3位並びに最優秀ショパン演奏賞、オーディエンス・フェイバリット賞受賞。ヴァイオリンのキドン・クレーメルのほか、指揮者パーヴォ・ヤルヴィとの信頼関係も深いとか。2011年よりソニー・クラシカルの専属アーティストとなる。  
(このBiographyは、
ネット上の記事を参照にした)

(参考視聴)

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